【モバマス】喜多見柚「グリルドスクエア」 (24)



モバマスのフリルドスクエアのSSです。
のんびりしたお話です。


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『5名様でお待ちの喜多見様ー』


柚「はーい、喜多見ですっ。お次どうぞっ」

穂乃香「えっ……綾瀬です?」

忍「名乗らなくていいから、穂乃香ちゃん。柚ちゃんも穂乃香ちゃんを巻き込まないの」

柚「えへへ、なんか家族になったみたいでついっ」

あずき「あれ? それだとプロデューサーがお父さんで柚ちゃんがお母さんになるのかな?」

柚「それは照れるっ!」

P「まだそんな年じゃないやい」

柚「照れたよっ」ニヘー

P「お願い、話聞いて」

『ふふっ、元気なご家族ですね。お席ご用意できましたのでどうぞー』

P「冗談ですよね!? 違うんです、勘違いなんです……」

あずき(お母さん大作戦が始まってたね)

穂乃香(横にそっと寄り添ってみれば良かったでしょうか)

忍(工藤様って呼ばれてみたかったかも……ちょっとだけ)



P「5人って座るには難しい人数だな」

柚(……)

あずき(……)

忍(……)

穂乃香(……)

「「「「じゃんけん、ぽんっ」」」」

P「俺がなんか恥ずかしいから、できるだけ静かになー」

柚「アタシの勝ちっ、なのでPさんの隣っ!」

あずき「最初はチョキ大作戦は決まらなかったー」

忍「今日のところは見逃してあげる」

柚「忍チャン!?」

忍「ウソウソ、冗談だよっ」

穂乃香「店員さんが待ってくださってるので早く座りましょう」






『ご注文がお決まりになりましたらお呼びください』


穂乃香「はい、ありがとうございます」

柚「……」

柚「ふっふっふ……」

柚「オフの日にキミたちをファミレスに呼んだのは他でもないよっ」

あずき「なんだーっ!」

穂乃香「……?」

忍「……」

柚「Pサンがお昼ご飯おごってくれるってー♪」

P「おい」ペチ

柚「ふにゅ」

柚「もうっ、柚を叩くのダメーっ」

P「なんか可愛い音がするから」

柚「そ、そかっ。ならちょっとだけ、ねっ」ニパー

P(可愛いなぁ)

あずき(柚ちゃん、ちょろいなぁ)



柚「ホントのところは! 柚がお昼まで寝ててお腹空いたナーって思ってたところに……」

穂乃香「デレぽで見ました」

忍「アタシがちょうどレッスン終わりで何食べよっかなって呟いたから」

あずき「デレぽで見たねっ」

P「デレぽ、みんなそんなチェックしてるのか」

あずき「これはお昼ご飯大作戦かなって期待したよね♪」

穂乃香「私もちょっとだけ誘ってもらえるかなって思ってしまいました」

P「ユニットの仲が良いのはいいことだけど……俺は?」

柚「なに言ってるのPサンっ」

あずき「そうだよっ」

P「あずき、さっきから乗っかってるだけだろ」

あずき「バレたー」

忍「……Pさんもいれてフリルドスクエアだから、ね」

P「……」

穂乃香「はい、お誘いしないなんてありえませんよ」

P「……ふたりに言われると少し恥ずかしいよ」

柚「むー。アタシたちはっ!?」

P「慣れた」



あずき「もー。そんなプロデューサーにはあずき特製ドリンク持ってきちゃうから」

柚「ドリンクバー大作戦だーっ」

P「あっ。ちょっと。飲めるものにしてくれよー!」

穂乃香「……」

P「ん? 穂乃香?」

穂乃香「あっ。その……あずきちゃんのに、興味があって……」

忍「じゃあアタシ待ってるね。穂乃香ちゃん、りんごジュースお願いしてもいい?」

穂乃香「はいっ、待っててくださいね」

P「……」

忍「……」

P「飲めるやつがくると思う?」

忍「あずきちゃんの大作戦もたまには決まるから……」

P「俺ひとりだと荷が重いんだよなぁ」

忍「あはは……頑張ってね」

P「このランチの成否は忍の肩にもかかってるからな」

忍「なんか期待がすごいっ!」






P「注文しといたぞー」

柚「Pサン、ありがとー」

あずき「はいっ、プロデューサー。柚ちゃんとあずきの大作戦ドリンクだよっ」

P「え。真っ黒なんですが……」

穂乃香「大丈夫です、ちゃんと見てましたから」

P「穂乃香が言うなら……」

忍「Pさんの穂乃香ちゃんへの信頼がすごい」

忍(これもちょっと、うらやましいかな、なんて)

P「あ。フツウに美味しい」

あずき「でしょー♪ 作戦成功でよし!」

柚「コーラにメロンソーダ混ぜただけだよーっ♪」

P「そうだよな、柚はともかくあずきは良い子だもんな」

柚「こらーっ! ヘンケンだーっ!! コウギするー!!!」

P「人の鼻にチョコスティック入れようとしたヤツのセリフじゃないぞ」

柚「ぴゅー、ぴゅーっ」

P「誤魔化せてない」



あずき「ね、ね。プロデューサー、ご褒美ちょうだいっ」

P「え、なんの?」

あずき「もちろん作戦成功の!」

P「別に頼んでない……まぁ良いけど」

あずき「あずきはなでなでを所望するよっ」

P「人前」

あずき「ち、ちょっとだけっ」

ポン

P「まったく」

P「意外に美味しかったよ、ありがとな」

あずき「えへへ、うんっ」

忍(むーっ)

柚(忍ちゃんが分かりやすくむくれてる)

穂乃香(忍ちゃんもあずきちゃんも可愛いですね)



『ご注文の品は以上でよろしかったでしょうか? ごゆっくりどうぞー』


柚「忍チャンがオムライスってなんか似合うね」

忍「ほう。柚ちゃんはアタシが子ども舌って言いたいのかな?」

柚「ち、違うよっ。なんかこう、うん、フツウって感じ!」

忍「やっぱりバカにしてるでしょー!」

柚「うわーん! 助けてあずきチャン!!」

あずき「えっ。ほ、ほら、あずきも柚ちゃんも似たようなものだよ。ハンバーグだし!」

P「まぁ、どっちもどっちだよな」

穂乃香「ふふっ」

忍「Pさんと穂乃香ちゃんがなんかオシャレなんだよっ」

柚「なんとかパスタ!」

あずき「よっ、最年長!」

P「ジェノベーゼとペスカトーレな」

穂乃香「はい、でもきっと好きなものを好きなように食べるのが一番ですよ」

柚「はーい」

忍「はーい」

あずき「はーい」

穂乃香「先生になったみたいですね。じゃあ、いただきます、しましょうか」

「「「「「いただきますっ」」」」」




P「それにしてもみんなわりと食べるな」

忍「へへん、女子高生ですからっ」

柚「そうだよーっ」

あずき「デザートも頼んじゃうからっ」

穂乃香「Pさんもたまには甘い物……どうですか?」

P「穂乃香まで頼むのか……じゃあパフェでも食べようかな」

穂乃香「ふふっ、ちゃんと体重管理はしてますからね」

P「そこは疑ってないよ、安心して」

あずき「おっと?」

P「ちなみに柚、あずきは疑ってるからな」

柚「そんなーっ」

P「これから水着の撮影とかもあるからな」

忍「Pさん、アタシまだお仕事で水着着たことないんだけど」

P「……現在企画中です。というかやりたい?」

忍「ちょっと恥ずかしいけど……Pさんは見たい?」

P「質問を返すのはずるいな……まぁ、見たいよ」

忍「えへへ、じゃあやるっ」

あずき「こらー、いちゃいちゃするなー」

柚「そうだぞーっ。構えーっ」

穂乃香「……私もー……なんちゃって」

P「んっ?」

あずき「おっ!」

忍「あ!」

柚「わぁ!」

穂乃香「みんな急に注目しないでくださいっ。ち、ちょっと乗せられただけですっ」

忍(緩んでる穂乃香ちゃんは可愛いなぁ)

柚(ねー、Pさんがいるからかなー)






ガヤガヤ


あずき「あんみつが美味しいね」

穂乃香「ゼリーもいいですよ?」

忍「それで……」

あずき「さっきの話だけど、柚ちゃんがお昼まで寝てたなんて珍しいね」

忍「それ!」

柚「え、っと……」

穂乃香「確かに……あまり聞きませんね」

忍「だいたい朝から遊ぼーって誘ってくれるし」

あずき「楽しいこと探しに行こーって、ね」

P「用事がなくても事務所来てたりするしな」

柚「あはは……うーんと、ね……」

柚「ゆ、柚にもたまにはそんな日もあるよっ」

柚「ほら、昨日のレッスンとかキビシかったし!」

あずき(これは訳ありっぽいね……)

穂乃香(……なにか悩んでるんでしょうか)

忍(ここはアタシたちよりPさんの出番だよっ)

P(そんなこと言われてもなぁ)

柚「あ、あれ、みんな顔がナットクしてないっ。柚を置いてけぼりにしないでーっ」



P「あー……っと……柚?」

柚「やたっ、Pサンが戻ってきたー。なーに?」

P「ほい、あーん」

忍「!」

あずき「!!」

穂乃香「?」

柚「むぐっ」

柚「う、嬉しいけど柚はどうしてパフェを詰め込まれたのカナ!?」

P「最近レッスンも厳しめにしてたから」

P「甘いものを食べさせれば甘やかしたことになるかなーって」

柚「扱いがザツっ。柚以外の子にそんなことやったら怒られるよっ」

P「柚は怒らないのか」

柚「アタシはいくら甘やかされても嬉しいっ!」

あずき「そんなことないよ! ほら、プロデューサー、あずきにも!!」

P「えー」

穂乃香「忍ちゃんにはゼリーをあげます。あーん」

忍「えっ、アタシもPさんから……。って、穂乃香ちゃん、ゼリーが落ちちゃう、落ちちゃう」

あずき「あっ、そっちも欲しい! みんなからデザートを貰おう大作戦を始めるよっ」

忍「んーんんー(あずきちゃんはまたレッスンが増えるよ! いいの!?)」

あずき「エライ人は言いました。甘い物には勝てない、と」

あずき「ということで穂乃香ちゃん、あずきにもー♪」

穂乃香「はい、食べた分だけみんなでレッスンしましょうね」



ワイワイ


P「……」

柚「……」

P「ふふっ」

柚「えへへ」

P「さわがしいな」

柚「ねっ」

P「……だから今日テンションが高かったのか?」

柚「そ、そんなことないよっ。柚、フツウ、いつもどおり!」

P「……たまには休んだっていいと思うよ」

柚「そう……かな?」

柚「……みんなに心配されちゃった、ね」

P「誤魔化しても、疲れてる気持ちがこぼれちゃうことだってあるから、さ」

柚「Pサンがそう言うなら……信じるっ」

P「ん」

柚「んー。ね、ね、Pさん耳貸してっ」

P「なんだ?」

柚「……」

柚「みんなと一緒って『楽しい』ねっ♪」

P「……そうだな」

柚「にへーって感じ! よーしっ、いつもの柚、復活だよっ」

柚「ということで、みんなは柚にもデザートちょーだいっ」






『ありがとうございましたー』


忍「Pさん、その、おごってくれてありがと」

P「まぁ社会人だしな」

忍「えへへ、食費がちょっと浮きました」

P「俺より稼いでるでしょうに……」

穂乃香「なんだかすみません、ありがとうございました」

あずき「ありがとーっ」

柚「とーっ」

P「どういたしまして」

P「たくさん食べた分は来週から消費してもらうからなー」

柚「昨日も厳しかったのに!? 柚は優しくされたいよっ!」

忍「アタシは今日レッスンしたから」

あずき「忍ちゃんの裏切りものー! ここはみんなで頑張ろう大作戦だよっ」

忍「しょうがないなぁ。穂乃香ちゃん、厳しくいこうね」

穂乃香「ふふっ、はい」



あずき「じゃあ、あずきたちはこっちから」

忍「アタシはあっちー」

穂乃香「じゃあ、また来週会いましょう。Pさん、お疲れ様でした」

P「おう、気をつけて帰ってなー」

柚「またねーっ♪」

P「……柚とは途中まで一緒か」

柚「埼玉っ娘だからねっ」

P「関係な……あるか」

柚「Pサンに気軽に会いに行けるよっ、今日みたいに♪」

P「みんなそうなんだけど」ペシッ

柚「ゆずっ」

P「なに今の音」

柚「アイドルアピール!」

P「あざとい」

柚「ひどいっ」



柚「……Pサンは、またお仕事?」

P「そうだな。途中で抜けてきちゃったし」

柚「そっかー……えっと、ゴメン、なさい」

P「柚たちと休むのも仕事だからなー」

柚「あ、あれっ。Pサンは、楽しくなかった? やっぱりお仕事ーって感じだったのカナ……」

P「あぁ、そういうことじゃなくて」

柚「……んー?」

P「気にしないでいいよってこと。柚は楽しかったんだろ?」

柚「うん」

P「じゃあ俺も嬉しいよ。それが一番大事だ」

柚「ん……ありがとう、Pサンっ」



テクテク


P「……」

柚「……なんかねっ」

P「うん」

柚「朝起きたときにね、今日の柚はダメダメだなーってなって」

柚「よくわかんないんだけどちょっぴり楽しくなくて」

柚「そのまま布団に潜り込んじゃったんだー」

P「……」

柚「気づいたらお昼で、なんかアタシひとりっぼっちになっちゃったのカナって思ってた」

柚「そしたら忍ちゃん、あずきちゃん、穂乃香ちゃんとか、みんなの顔が浮かんで」

柚「隠してたつもりだったのに、誰か気づいてーってキモチ、バレちゃってたね」

P「それで急にお昼行こうなんて言ったのか」

柚「たぶんっ。でもっ、みんなすぐ返事くれて、こうして会えて嬉しかった!」

P「なら、良かったよ」



柚「もういつも一緒なわけじゃないけどっ、いつでも集まれるっていいなって思う!」

柚「アタシにとってフリルドスクエアはもういっこのお家みたいなモノっ」

P「お家?」

柚「いつでも帰ってこれる場所? みたいなっ♪」

P「うん、みんなにとってそうだといいな」

柚「きっとそうだよっ! それでね……」

P「……?」



ダッ


柚「はぁっ……えへへ」

柚「あのねっ! Pサンのいるところが集合場所だからっ!」

柚「真ん中にいつだってPサンがいるんだからねっ」

P「え? あっ、おいっ」

柚「ハズかしいから逃げるっ! じゃあねー♪」

P「……まったくもう」

P「柚ーっ!」

クルッ

柚「えっ、なーにーっ!」

P「また明日、な」

柚「うんっ、Pサン。また明日っ!!」



おしまい。
フリルドスクエアはいいぞ。

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