春香「危険なチョコレート」 (60)

『ある朝:765プロ事務所』

春香「おっはよーございまーす!」

P「おはよう春香」

春香「はーい、おはようございますプロデューサーさん! 恒例、春香ちゃんのお菓子コーナーですよー!」

P「お! 待ってました! それで、今日は何だ?」

春香「ぬふふふふ。聞きたいですか? 知りたいですか?」

P「お、おう……。何かお前今日えっらいテンション高いな……」

春香「そーこまで言うなら仕方ありません! 今日のお菓子はぁ……チョコレート!」

P「へぇ、チョコレートか。良いね。仕事で疲れた脳には最高だ」

春香「でしょう!? しかも! タダのチョコではございません! 大人なアナタにピッタリなラムトリュフなのです!」

P「ん? あー、酒入りってことか? ……どーすっかなぁ」

春香「そうですけど、あれ? プロデューサーさんお酒ダメでしたっけ?」

P「いや、そういう事は無いしむしろ好きだけどさ……。そういうの食うと酔って無くても酒気帯び運転のチェックに引っかかることがあるんだよ」

P「今日送迎しなきゃダメだから、ちょーっと今食うのはマズいかなぁって」

春香「え!? そ、そうなんですか!? うわ、気が利かなくてごめんなさい」

P「いやいやいや、気にするなって。未成年だし、そんなアルコールがどうこうなんて知らなくても仕方ないよな」

P「それに、今食うのがダメってだけで、仕事終わってから食えば良いだけだし。……あぁもう、だからそんな悲しそうな顔するなよ」ナデナデ

春香「あ、頭……。えへへ……」

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小鳥「ふむむ、落としてから上げる。流石はプロデューサーさん、絶妙な口説きテクです」

春香「ひゃっ……! おおおおはようございます小鳥さん!」

P「……どうも音無さん。相変わらず気配を消すのがお上手で。あと口説いてません。人聞きの悪いこと言わないでください」

小鳥「ええもう、色々なモノが見られますし、事務員の必須スキルですよこれは」

春香「……口説いてもいいのに」

P「むしろそれは家政婦の技能なんじゃないですか音無さん? そして春香お前は何を言っているんだ」

春香「いやほら、何というかこう……、たまには胸のときめくような出来事があっても良いんじゃないかと思うわけですよ。という訳でプロデューサーさんの甘い囁きが聞きたいなぁと」

小鳥「おおっとここで大胆発言!」

P「何がという訳でなのか全然分かんねーよ。……お前自分の酒入りチョコで酔ってんじゃないか? 今朝味見しただろこれ。現場でそんなだと困るぞ?」

春香「まさか! 確かに食べましたけど、いくら未成年でもチョコレート一粒に入ってるお酒じゃあ酔いませんよ!」

P「いや、そこはお前の耐性次第だから分からんが……。まぁこの程度なら機嫌が良いで周りに通せるか……?」

春香「そんなことより! ほら! キュンとくる一言お願いしますよ!」

P「言い寄れって? そう言うけどお前さぁ……」

春香「うあっ!? ちょ、ちょっと……! いきなり顔が近いですよプロデューサーさん!?」

P「動くな、じっとしてろ」

春香「じ、じっとしてろと言われても……」

P「目をそらすな、こっちを見ろ」

春香「あうう……」

小鳥「おおっ! 見つめ合う二人! このままガッとやってチュッと吸ってhaaanということですか!?」

春香「あ、あのっ! ここ、小鳥さんも見てるし、その……、そういうのは段階を痛っ!?」

P「ほら、こんな感じでヘタレるじゃねえか。そういう事はもっと度胸つけてから言え」

小鳥「あらぁ、寄ると引いちゃうのね春香ちゃん。意外だわ」

春香「うう……、デコピン……」

P「……さて、音無さんはチョコいかがです? お菓子に入ってる程度のアルコールなら余裕ですよね?」

小鳥「えっと……、そのぉ……、せっかく作ってくれたんだし、是非とも頂きたいのですが……。実は先日久々に体重計に乗りまして……」

春香・P「あ~……」

小鳥「年々お肉がつきやすく落ちにくくなってくるのが辛いです……」

P「残念ながら男の俺ではその苦しみを100%理解できるわけではありませんが……。何というか、頑張ってください」

P「――そうだ、直接聞くのもどうかと思うが、お前は大丈夫か春香? そろそろ水着の仕事も増えてくるぞ?」

春香「あ~……」

P「おい、しばらくレッスンキツ目にいくか?」

春香「だ、大丈夫です! 自分で何とか出来る範囲ですから! 音無さん! 一緒に頑張りましょう!」

小鳥「ええそうね春香ちゃん! 一緒に頑張りましょう!」

春香「はい! 一人では辛くても、二人ならきっと……!」

P(不安だ……)

P「……ん? おっと、その辺の話は後にしようか。そろそろ出るぞ春香」

小鳥「あら、お話しているとあっという間ですね。準備は大丈夫ですか?」

P「ん~……。はい、大丈夫ですね。では行ってきます音無さん」

春香「行ってきます」

小鳥「はい、今日も事務所から応援してますよー」

『その日の夕方:事務所』

千早「おはようございます」

小鳥「おはよう千早ちゃん。……あら? 今日はオフじゃなかったかしら?」

千早「一人で家にいるのも飽きたので、ちょっと皆の顔を見に……」

小鳥「ほほーん?」

千早「……何ですか? その反応は」

小鳥「んー? 別に、皆の顔と言いつつ、プロデューサーさんと春香ちゃんが帰ってくる時間を見計らったかのように来たのはどうしてかなぁ? って、ちょっと思っただけよぅ?」

千早「……っ! そ、そうですか。私は二人が今日いつ戻ってくるのかは知りませんでしたが、偶然タイミングが良かったみたいですね」

小鳥「そうなの? へー、偶然ってあるものねぇ」

千早「そうです、偶然です、たまたまです」

小鳥「ふーん……」

千早「………………」

小鳥「………………」

小鳥「そうそう、偶然といえば。先週春香ちゃん達のスケジュールを熱心にチェックしていた千早ちゃんを偶然見かけたんだけど」

千早「み、見られてた!?」

小鳥「『この日なら夜は予定が空いてるわね。一緒に夕食、二人とも、嫌じゃないかしら……?』 ――どお? 似てる? 似てる?」

千早「しかも聞かれてる!?」

小鳥「『偶然タイミングが良かったみたいですね』ですって! やーん! 素直になれない千早ちゃん可愛いわぁ!」

千早「…………くっ!」

小鳥「本当に、千早ちゃんは春香ちゃんとプロデューサーさんが大好きなのねぇ」

千早「なっ! なななな何を!?」

小鳥「違うの?」

千早「いえ、その……。確かに私にとってかけがえの無い二人ですけど」

小鳥「でしょう? ……それで、どっちが本命?」

千早「ほ、本命!? あ、あの、そういう風にどちらが上か比べるようなものではありませんから……!

小鳥「まぁ! 二人一緒にモノにしたいってこと!?」

千早「モノにって……。いや、そうではなくてですね……」

小鳥「あらやだ! いきなり三人でだなんて千早ちゃんったら大胆! 若い子二人同時にお相手しなきゃだなんてプロデューサーさんもタイヘンねぇ!」

千早「ですから人の話を聞いてください! もう!」

小鳥「うふふ、ゴメンナサイね、もうやめるわ。……は~面白かった。あ、本命がどうこうっていうのは冗談よ?」

千早「あたりまえです! そんな……、三人でだなんて……、三人……」

小鳥「あら? それもアリかなとか思っちゃった?」

千早「冗談じゃなかったんですか?」

小鳥「んー、千早ちゃん次第!」

千早「わかりました、真面目に受け答えしてはいけないんですね。――はぁ、全く」

小鳥「あはは……。でも、こうしてお話してると思うけど、やっぱり大分雰囲気変わったわね千早ちゃん」

千早「最近皆にそう言われますけど、そんなに変わりましたか私?」

小鳥「そりゃもう、事務所に入ったばかりの千早ちゃんは歌以外は塵芥って感じで、こんな無駄話に付き合ってくれなかったでしょうし」

小鳥「今みたいな会話だと、氷のような目で『他人を気にする暇があるのなら、まずご自分の恋愛について心配するべきでは無いですか? まあ、なんでも、いいですけど』くらい言いそうだもの。……誰が行き遅れよ!」

千早「想像上の私に怒りをぶつけないでください。あと確かに歌以外に無関心だった事は認めますが、流石にそこまで酷い人間ではなかったと思います」

小鳥「あん! 何だかんだ言ってやっぱりクール! でもそこが好き!」

千早(なんだか疲れてきたわ……)

小鳥「……でも、私から見るとまだちょっと遠慮があるように見えるけどね」

千早「遠慮、ですか?」

小鳥「何て言うのかしら、千早ちゃんって、仕事の事ならガンガン言うけど、プライベートだと一歩引くじゃない?」

千早「それは、確かに……。自覚があります」

小鳥「プロデューサーさんも言ってたわよ? 『もっと仕事以外でも色々言ってくれてもいいのに』って」

千早「えっと……。こんなに他人と関わることなんて今まで無かったので、そのあたりの距離感がいまいち分からなくて……」

小鳥「春香ちゃんにはあんなにべったりなのに?」

千早「お、男の人が相手だと勝手が違うんです! それに、そういうのは春香の方からで、私はそんな事してません!」

小鳥「あぁ、重い女だと思われたくないみたいな?」

千早「ニュアンスは大体あってますけど、その表現はどうなんですか?」

小鳥「そんなこと気にする必要無いと思うんだけどなぁ。千早ちゃんみたいな娘に頼りにされて嫌がる男の人なんていないわよ?」

千早「そうでしょうか……?」

小鳥「だってさぁ、美希ちゃんとか伊織ちゃんとか見てたら、大抵の事は許されそうに思えるんだけど」

千早「あの二人は何というか……。あの二人だから許されているような気がします」

小鳥「あはは、確かに、あまり例としてよろしくなかったわね。でも、千早ちゃんの頑張りに対して何をしてあげたらいいかってプロデューサーさんの方も悩んでるみたいだし」

小鳥「――ワガママを言ったら、むしろ張り切って叶えてくれるかもしれないわよ?」

千早「………………」

小鳥「おっ? 今プロデューサーさんにやってもらいたことが頭の中を駆け巡ってるわね?」

千早「はっ!? ……コホン、そうですね。音無さんがそこまで言うのなら」

小鳥「そうそう! もっと甘えちゃえばいいのよ!」

千早「甘え……っ!?」

小鳥「あら? つまりそういうことでしょう?」」

千早「あのっ、頼ると甘えるでは意味が違うかと……!」

小鳥「えー? それじゃあ、さっきのシンキングタイムの中で、千早ちゃんは何をしてもらいたいと思ってたの?」

千早「それは……、頼るというのなら、仕事関係の事だけでなく、個人的な事でもわからないことがあればすぐに教えてもらうとか……」

小鳥「お仕事がうまくいったら頭を撫でてもらいたい? それともプレゼントが欲しい?」

千早「何でそれを!? ――あっ! い、いえそんなこと全く思ってません!」

小鳥「流石にそこで取り繕うのは無理があると思うわぁ~」

千早「その笑顔はやめてください! ……くっ」

小鳥「いやでも、千早ちゃんがそういう事をして欲しいなら、自分から言わないと多分やってくれないわよ? プロデューサーさん、そういうの嫌がると思ってるでしょうし」

千早「うっ……。わかってはいるのですが、やはり勇気が……」

小鳥「――ねぇ、千早ちゃん」

千早「何ですか?」

小鳥「練習がてら、このお姉さんに甘えてみても、いいんじゃよ?」

千早「あ、いえ、それは別に」

小鳥「わーお、そこで素に戻っちゃうかぁ。ボケ殺しだわっ、恐ろしい娘! というかそこまであっさり切り捨てないで! 地味に傷つくからっ!」

千早「す、すみません……。そういう会話のノリ? みたいなものがまだよく分からなくて」

小鳥「あはは、でもそこが千早ちゃんの可愛い所だものね。……そっかぁ、それじゃあもう、ぶっつけ本番でいくしか無いわね。もう二人が帰ってくる時間だし」

千早「えっ!? きょ、今日いきなりやるんですか? しかもここで!?」

小鳥「あら? じゃあ千早ちゃんは仕事先で知らない人の視線を気にしながら、プロデューサーさんに頭を撫でてとか言えるの?」

千早「……無理です」

小鳥「でしょう? それなら一回ここでやってみて慣れたほうが良いと思わない? つまりはリハーサルよ」

千早「確かに一理ありますが……。それで本音は?」

小鳥「私が見たい!」

千早「やっぱり……」

ガチャ

小鳥「あ、帰ってきたわね」

千早「……っ!」ビクッ

小鳥(意識し過ぎてビクッてなる千早ちゃん可愛い!)

P「……そういや、酒の入ったチョコで思い出したんだけど、ウイスキーボンボンってあるだろ? あれって家で作れるものなの? あ、戻りましたー」

春香「ただいまー。――ああ、実は最初に作ろうと思ったのはそっちなんですけど、調べたら一応家でも作れそうなんですが、すっごく作るのが大変みたいで、ちょっと今回は諦めたんですよ」

P「へぇ~、って千早じゃん。おはよう」

小鳥「お帰りなさい」

千早「ど、どうもお疲れ様です」

春香「わ~、千早ちゃんだ~!」

千早「きゃ! ちょっと、春香! いきなり何を……!」

春香「千早ちゃん分の補給~」

P「ん……? あれ待って、何で千早がいるんだ? え、嘘、スケジュール間違えたか俺!?

千早「いえ! 暇だったので来ただけです! ――春香っ、くすぐったい……!」

P「あっ、そう……。うっわぁ、マジで焦った……」

小鳥「一人が寂しくて、つい事務所に来ちゃったらしいですよ?」

千早「音無さん!?」

春香「本当!? 全く、千早ちゃんは甘えん坊さんだなぁ! このこの!」

千早「やっ……! 変な所触らないで!」

P「おーい、二人とも、色々と捲れて危ない事になってるから一旦離れなさい」

春香「はぁい……」

千早「……た、助かりましたプロデューサー」

小鳥「女の子のくんずほぐれつを見ても眉一つ動かさず対応するプロデューサーさんマジクール」

P「いや、本来こういうの止めるのは女性であるあなたの仕事ですからね?」

小鳥「止める? 私が? キャッキャウフフを? 冗談キツいですよプロデューサーさん!」

P「そうやって俺にばかりこういう仕事が来るから何も感じなくなりましたよ……」

小鳥「なるほど、感じなくなった! つまり最初の頃は目の保養とか思ってたということですね? イヤラシイ目で見ていたということですね!?」

P「しまった! 言葉尻を捕らえられて最低野郎にされた!?」

春香「ぷ、プロデューサーさんになら性的な目で見られても、私……平気ですから!」

P「お前も乗っかるんじゃねぇ! しかも何気に言葉が酷い!」

春香「千早ちゃん! 千早ちゃんはどう思う? プロデューサーさんが私達を見てるとムラムラするらしいよ!?」

千早「なっ!?」

P「おい言葉選べよリボン!?」

千早(む、ムラムラって……。つまりプロデューサーが私を見て……。そ、そんな……)

千早「そんな……、だ、ダメですプロデューサー……。恥ずかしい……」

P「何でこんな真に受けちゃってるのこの娘」

小鳥「ほう、千早ちゃんも意外と才能がありそうですね……。頭の中ではプロデューサーさんがどうなっているのやら……」

P「何の才能ですか……。あ、言わなくていいです聞きたくないんで。――その、何だ、千早。今のは音無さんと春香が適当な事を言ってるだけでだな……」

小鳥「あ、プロデューサーさん、多分今千早ちゃんに近づくと……」

千早「きゃあっ!?」

小鳥「逃げられ……、遅かったですね」

春香「うわぁ、あれは結構傷つく反応だ……」

千早「あ……、ああっ! す、すみませんプロデューサー!」

P「そっかー、俺千早にそういう奴だと思われてたんだ……。ショックだわー」

千早「い、いえあの……! も、もちろんプロデューサーがそういう人ではないという事はわかっています! ただ、もしそういう目で見られたらとちょっと考えてしまって」

千早「な、何と言いますか、確かに恥ずかしいですけど、別に嫌ではないというか……」

千早「むしろ私なんかでもそういう対象になるのかなと思ったりして……。それで、えっと……。ああ、何言ってるのか分からなくなってきたわ……」

春香「ねえ、音無さん」

小鳥「何かしら?」

春香「……こういう時に不謹慎なのは分かってます。分かってますけど言いたい。……オロオロする千早ちゃん超可愛いです」

小鳥「全力で同意するわ」

P「はいそこ、外野は黙る。――いや、まぁ、そんなに思いつめる必要はないぞ? こっちもちょっと大袈裟に悲しむ素振り見せただけで、実際そこまで気にしていないし」

千早「本当ですか……?」

P「本当本当」

千早「そうですか。プロデューサーがそう言うのなら……」

春香「……はい! それじゃあ、お話が円満にまとまったところで、お菓子の時間にしませんか? 千早ちゃん、今日私チョコ作ってきたんだよ! 食べるよね?」

千早「ん……。そうね、頂こうかしら」

小鳥「ああ、そう言えば……。千早ちゃんとお喋りするのが楽しくてすっかり出すの忘れてたわ」

P「俺も欲しいな。もう外に出る用も無いし」

春香「はい、取ってきますね!」

小鳥「それじゃあ私は飲み物を。チョコレートなら、コーヒーかしら?」

P「お願いします。――あ~、やっと一息つける」

千早「ふふ、いつもお疲れ様です」

P「お前もちゃんと休めよ? 仕事熱心なのは良いけど、オフの日にまで事務所来る必要は無いだろうに」

千早「いえ、午前中にゆっくりしてリフレッシュ出来ましたし、それに一人でいてもつまらないですから」

P「あぁ、何? 寂しかったんだって?」

千早「寂しかったのではありません! つまらなかったんです! 寂しいというのは音無さんが勝手に言ったことです! 事実無根です!」

P「ハハハ……。それなら、わざわざ皆に会いに来たのに残念だったな。俺達以外今日事務所には誰も来ないぞ?」

千早「いえ! むしろ一番会いたい……っ!」

P「あん? 一番……?」

千早「何でもありません! と、とにかく、誰でもいいから会ってお喋りしたい気分だったんです」

P「まぁ、千早がそう言うならそれで良いか……。で? 一番会いたいって? そんなに俺に会いたかった?」

千早「聞こえてたんじゃないですか! 何故聞き返したんですか!?」

P「そりゃあ直接千早の口から聞きたいからさ。ということでテイク2、どうぞ!」

千早「いっ、言えるわけないじゃないでしょう……!」

P「はっはー! 照れるな照れるな!」

千早「もうっ、知りません!」

P「ちっ、フラれたか。俺は会いたいと思ってたんだがなぁ……、そうか片想いだったか」

千早「ふあっ!? え、えっと。わ、私もプロデューサーに、その……。――その視線は何ですか?」

P「いや、こう真っ当に照れてくれる奴はからかい甲斐があるなぁって思ってるだけだけど?」

千早「~~~~~っっ!」

P「ハハハ、そのペチペチ叩いてくるの画的には可愛らしいんだけど、お前体の鍛え方でいうとウチじゃ上位だからあまり力を込められると……。あ、ちょ、痛い痛いマジやめて」

P「――悪かった。からかいすぎたな」

千早「いえ、私も熱くなりすぎました。すみません」

P「そういえば、この後どうする予定だったんだ? わざわざ来たのに何もしないで帰るのもつまらないだろ?」

千早「そっ、そうですね! あのっ、えっと、プロデューサーの都合が良ければ、その……、夕食……」

P「夕食……? ああ、そろそろ晩飯の時間だな。じゃあせっかくだし皆で何処かに行くか?」

千早「……っ! ぜ、是非! 私もそのつもりでしたので!」

P「そりゃちょうど良かった。……でも、どこで食おうかなぁ。千早の希望は?」

千早「い、いえっ、どこでも大丈夫ですっ!」

P「一番困る回答だな……。ああ、つまり俺と一緒ならどこでも良いとかそんなアレだな」

千早「ふぁい!? えっと、その……」

P「おーい、そこで詰まられるとこっちも恥ずかしいぞ~」

千早「うぅ…………」

春香「いい雰囲気になっている所に颯爽と春香さん登場! チョコレートお持ちしましたぁ!」

千早「ひぁ……っ!」

P「おう、サンキュー春香。そうだ、千早と飯食いにいくことになったけど、お前も来るだろ?」

春香「当たり前じゃないですか! 千早ちゃんとプロデューサーさんある所私ありみたいな風潮ありますからね!」

P「意味分かんねぇし、そんな風潮ねぇよ……。まぁいいや、参加者追加1で。改めて聞くけど食い物に希望は? ちなみに何も言わないとたるき亭になる」

春香「えー、色気がなーい! オシャレなものが食べたーい!」

P「ふわっとした回答だなオイ。そうだな……、イタリア料理とかどうだ? ……と言い出したら何やら無性にピザとパスタが食いたくなった。よし決定」

春香「うわっ、横暴!」

P「うっせ、奢ってやるから文句言うんじゃねえ」

春香「いいですねイタリアン! 楽しみだなぁ……!」

P「現金な奴め……。千早もそれで大丈夫か? ……千早?」

千早「…………ふぇっ!? は、はい、何でしょう?」

P「何か悩み事か? ボーっとしてたけど」

千早「あ、いえ、別に……」

春香「んふふふふ……。私は何でボーっとしてたのか分かるよ千早ちゃん」

千早「え?」

春香「千早ちゃんは私達と一緒にご飯食べるのが楽しみで仕方ないんだ! どんなお喋りしようかとか、そういうのを考えてて上の空になってたんだよね!?」

千早「なっ!? ち、違っ! あっ、いや、楽しみだというのは間違ってないけど、違うというのはその……。うううう……!」

春香「……あーもー可愛いなぁ千早ちゃんは!」

千早「きゃ……っ!」

春香「抱き心地も最高だし!」

千早「ちょっと……! 恥ずかしいからやめて春香!」

P「おい春香」

春香「何ですかプロデューサーさん? いくらプロデューサーさんでも、千早ちゃんは渡しませんよ?」

P「イチャつくのは構わんが、とりあえずぶち撒ける前にその箱をテーブルの上に置け」

春香「おっと私としたことが……。これでよろしいか?」

P「よろしいぞ」

春香「では改めて、千早ちゃ~ん!」

千早「は、春香……!?」

春香「ん~、髪サラサラー、いい匂いー、肌スベスベー」

P「いっつも仲良いなぁお前ら」

春香「もう、ラブラブっすよ!」

千早「ぷ、プロデューサー! 見てないで止めてください……!」

P「えー、やだ、馬に蹴られる。ラブラブらしいし」

千早「別に私と春香はそういう関係じゃ……!」

春香「そんな! 酷いよ千早ちゃん、先週のあの一晩は遊びだったの!?」

小鳥「ちょーっとその一晩とやらについて詳しくお願いします! あ、コーヒー入りました。どうぞ」

P「あぁ、どうもありがとうございます音無さん」

小鳥「いえいえ……。それでそれで? その一晩は何があったの? むしろナニをしちゃったの?」

千早「地方ロケで同じ部屋に泊まっただけです! 何もありません!」

小鳥「と、こう言ってるけど本当かしら春香ちゃん?」

春香「そんなわけないじゃないですか! もう、ねちょねちょのぐちょぐちょでしたよ!」

小鳥「まぁ! 素晴らしい! 滾る! 想像するだけで体中に力が満ちてくるわ!」

千早「ちょっと! ヘンな嘘つかないで春香!」

P「……ツッコミ不在で会話のカオスがとどまるところを知らんなぁ」

千早「だからプロデューサー! そんな遠い目をしてないで、二人を止めてください!」

P「知ってるか千早? こういう時男には言論の自由が認められていないんだ。だから俺は何も言えない。……いやー、残念だなー、本当は助けたいんだけどなー」

千早「し、白々しい……! って、春香!? いきなり何を!?」

春香「ん? ちょっとあの一晩の再現をしようかと……」

小鳥「何ですと!? す、少し待ってちょうだい! カメラ取ってくるから!」

千早「だから何も無かったでしょう!? 音無さんもやめてください!」

春香「大丈夫大丈夫! 妄想した通りにやるから! イメトレはばっちりだよ!」

千早「今妄想って言ったわよね!? 完全に春香の脳内の出来事じゃない! ――やっ! その手つきはやめて!」

春香「ぬふふ……、よいではないか~、よいではないか~」

P「おっと、春香よ、いい加減悪ノリし過ぎだ。それに、そうしてると千早がお前のチョコを食えないぞ?」

春香「ありゃ? うーん……、それもそうですね。名残惜しいけどとりあえずここまでで」

P「さて……。千早ー? 生きてるかー?」

千早「はぁ……、はぁ……。も、もっと早く止めてください!」

P「いや、まぁ……。ある程度満足させないと春香の奴スネるし……」

千早「…………へぇ」

P「……今の『へぇ』はかなり温度が低いな」

千早「誰のせいだと思ってます?」

P「オーケー分かった。俺が悪かったからその目はやめてくれ……」

千早「……ふんっ」

小鳥「まぁまぁ、機嫌直して千早ちゃん。はい、コーヒー」

千早「ありがとうございます音無さん」

P「煽ってた音無さんの方がむしろ罪は重いはずなのに、何だこの扱いの差……」

千早「何か言いました……?」

P「あ、すみません何でもないです」

春香「ゴメンね千早ちゃん? 今日会えると思ってなかったからつい嬉しくて……」

千早「……仕方ないわね。でも、次からはあまりエスカレートしないでもらえると嬉しいわ」

P「主犯より下の扱いだと……?」

千早「はい……?」

P「いえ、私は何も言っておりません」

春香「ほらほら、千早ちゃん。はい! チョコだよ! どうぞ召し上がれ!」

千早「ええ、頂くわ」

春香「……どう? おいしい?」

千早「ん……、何と言うか、変わった風味ね」

春香「あぁ、お酒がちょっと入ってるからかな? 口に合わなかった……?」

千早「いえ……、むしろ癖になるというか……。もう一個貰っても良いかしら?」

春香「よかったぁ……! いいよいいよ、どんどん食べて! あっ、プロデューサーさんと小鳥さんも、どうぞ!」

P「おぅ、頂きます」

小鳥「あー、どうしよう! 人が食べてるのを見るとやっぱり自分も食べたくなってくるわ。いえ、でも体重が……」

小鳥「んんん……、なるべく小さいものを選べば……大丈夫かしら? よし、じゃあこれだけ……」

P(意志弱いなぁ……)

P「まぁ、音無さんは自己責任ということで、俺も頂きますか」

小鳥・P「…………んっ!?」

P「音無さん、これって……」

小鳥「あ、プロデューサーさんもそう思います?」

P「俺はこういうの食ったこと無いから分からないんですが、こういうのがデフォってわけでは無いみたいですね? 音無さんの反応を見る限り」

小鳥「私もそこまで色々食べたことがあるわけでは無いですけど、お店で売ってるのはここまででは……」

P「そうですか……、じゃあやっぱり、そういうことかぁ?」

小鳥「まぁ、春香ちゃんですし、あり得るんじゃないかと……」

春香「あれ? あの、このチョコ何か問題がありましたか?」

P「いや、春香……、お前これ、酒の分量間違えてないか? かなり濃いぞ」

小鳥「うん、私達がキツいって思うくらいだから、相当よ?」

春香「ええ!? おっかしいなぁ。ちゃんとレシピ通りに作ったと思うんですけど……」

P「まぁ、出来上がったものは仕方ない。むしろ問題はこいつの処理だな。酒に弱い奴が大量に食ったら確実にエラいことになる。食っていいのは俺達とあずささん、あと社長くらいか」

春香「あっ、でも今千早ちゃんが……」

P「おっと、そうだった。おい千早、今の聞こえただろ? チョコレートはそれで最後に……、千早?」

千早「………………んあ?」

P・小鳥(…………やっべぇ)

春香「うわっ! 千早ちゃん顔真っ赤!」

P「いやいやいや、流石に早すぎないか?」

小鳥「多分元々のアルコール耐性が相当低いんでしょうけどそれにしても……」

P「ん……? あれ、見間違いかな? 何やら大分チョコが減ってる気が……」

小鳥「うわ、本当だ。……確かに、癖になる味とか言ってましたね。味は気に入ったもんだから一気食いしちゃったといった感じでしょうか」

P「だー、面倒くせぇ……」

春香「酔っ払っちゃったってことですか!? ――千早ちゃん、大丈夫?」

千早「んー? ……ふふ、はるかぁ」

春香「きゃあ!? ち、千早ちゃん……?」

千早「うふふ、その表情……、怯えた感じ、可愛いわ。ちょっといじめたくなるわね」

春香「ち、千早ちゃん!? は、恥ずかしいよ……」

P「おお、珍しいな。千早が攻勢だ。酔うと積極的になるんだなぁ」

小鳥「それに、春香ちゃん意外と攻められると弱いですよね。今朝もそうでしたけど」

P「まぁ、自分でそれ分かってるからこその先制飽和攻撃なんでしょう」

小鳥「なるほど、言われてみればそんな気は……」

春香「いや、二人ともそんな悠長なこと言ってないで助けてくださいよ!」

P「何言ってんだお前? 『自分がされて嫌なことは人にやっちゃいけません』――お前千早に対してそんな感じだったじゃないか。つまりお前にとってそれは許容範囲なんだろう?」

春香「そんな薄情な! 分かりました反省します! これからは控えますから助け――。千早ちゃん! そんな所に手を入れないで!」

千早「そういえば、さっき私にいい匂いがするって言ってくれたけど、春香もいい匂いよ?」

春香「ひゃんっ! く、くすぐったいからやめてよぉ……」

千早「味も見ておこうかしら」

春香「ちょっ、舐めるのはダメ! やぁ……っ!」

P「まぁ……、何だ、邪魔しちゃ悪いな。俺達は給湯室の方に避難……じゃなかった。とにかく向こうで休憩してるわ……」

小鳥「そうしましょうか。これ以上食べられるとマズいからチョコレートは回収してと……」

春香「ちょっ! 見捨てるんですか!? ――やっ、ちょっ、千早ちゃん! 脱げそう! 脱げそうだから!! ストップ!!!」

千早「もぅ、春香ったら。さっきからプロデューサーばかりで私を無視? ……お仕置きが必要ね」

春香「ひ……っ! プロデューサーさん! 音無さん! 誰か!」

P「こういう時何て言えばいいんだろうな? ……ごゆっくり?」

春香「このっ! おっ、覚えてろぉ~!?」

千早「そんなに怖がらなくてもいいのに、本当に可愛いわね春香は。ふ、ふふ、ふふふふふ……」

春香「ひぃぃぃぃ…………!」

『給湯室』

小鳥「あぁ、絹を裂くような悲鳴が聞こえる。春香ちゃん、あなたの犠牲は忘れないわ……!」

P「はぁ……、せっかく今日の仕事は終わったってのに。音無さんチョコもう一つください。糖分が欲しい」

小鳥「確かにこの後も大変でしょうね。はい、どうぞ」

P「どうも。しっかし、ありゃシラフに戻るまで外には出せないな。飯は中止か」

小鳥「あらら、千早ちゃんもそれが楽しみで今日ここに来たらしいのに、残念ですね」

P「ああ、確かにそんな雰囲気でした。仕方ないですよ、まさかチョコで泥酔するなんて誰一人予想出来ませんって。……あのまま寝落ちしてくれたら一番楽なんですけど」

小鳥「いや~、経験的にあれは早々に酔うくせに中々潰れず飲み会の最後の方まで誰かに絡み続けるタイプですね。長引きますよきっと」

P「俺もそう思います。あー、面倒だ……」

小鳥「でも、何というか新鮮ですね。スキンシップ過剰な千早ちゃん」

P「根の寂しがり部分を、恥ずかしがり屋の部分が覆い隠した結果が普段の千早ですから。素直になればあんなもんでしょう」

小鳥「なるほど、つまりデレた千早ちゃんはああなるのか……」

P「表現はアレですが、言い得て妙ですね。まぁ、さっきはその上で自制心とか倫理観が酒で消えてたから惨劇になりましたけど」

P「……ん? いやいや、今スルーしかけましたが、アレをスキンシップで片付けていいんですか? 男女って不平等だなぁ」

小鳥「まぁそこは同性だから許されるってことで。……いや~、それにしても」

P「何ですか?」

小鳥「可愛かったですねぇ、酔った千早ちゃん……。いえ、あの状態の千早ちゃんは千早ちゃんと呼ぶべきではないか……」

P(あー、何やら妙なスイッチが入ったぞこの人……)

小鳥「そう! ちーちゃんと呼ぶべきね! 可愛い! 酔いどれちーちゃん可愛い!」

P「とりあえず落ち着きましょうか音無さん」

小鳥「何でそんなテンション低いんです!? プロデューサーさんはアレを見て何も思わなかったんですか!!?」

P「それはまぁ……、言動は可愛いを通り越して何かもうエロいってレベルでしたが、あの雰囲気はヤバいでしょう? 可愛いと思わないはずがない」

小鳥「でしょう!?」

P「何なんでしょうねあの火力? 確かにクールな所の崩れた時が可愛いらしいのは知ってましたけど」

小鳥「あ~、しょっちゅうからかって遊んでますよね。私もですけど」

P「楽しいですよねあいつのリアクション。――まぁ、と言っても、普段はやっぱり素直じゃないというか、照れるばかりで自分から返しに何かをするということは無かったのに……」

小鳥「さっきの自分からぐいぐい行く姿勢ですよね! あれは最早戦術核レベルの破壊力!」

P「全くもってそう思いますよ。微妙に呂律が回ってない所とか、酔ってるせいで目がトロンとしてる所とかが実に良い」

小鳥「良い所を突いてます! 流石よく見てますねプロデューサーさん!」

P「そりゃもう、アピールポイントになりそうな所は一発で把握できなきゃこの仕事はやってられませんよ」

ガチャ

P「あ?」

小鳥「ん?」

千早「プロデューサー、今私のこと可愛いって……」

P「うおっ!」ガタッ

P「あ……、い、今の話聞いてたのか……? というか、春香は?」

千早「春香ですか? お二人がいなくなった後しばらくしたら眠ってしまって……。やはり疲れていたのでしょうか?」

P「そりゃ多分寝たんじゃなくて気絶……」

千早「そんなことよりです! 今私のこと可愛いと言ってましたよね? プロデューサーから見て私……可愛いですか?」

P「そんなことの一言で片付けちゃ「どうなんですか!?」――想像以上に対処に困るなお前……」

P「まぁ……、そりゃ当然可愛いと思ってるよ。俺は自分が良いと思えないアイドルを売り出せるほど有能じゃない」

千早「ほ、本当ですか……!? …………やったぁ」

P「ぐ……っ!」

P(今の小さくガッツポーズはかなりの破壊力!)

P「えーっとだな千早……」

千早「………………」

P「千早? 何でそっぽ向くんだ? 千早ー?」

千早「…………千早じゃないです」

P「……はい?」

千早「音無さんがさっき言ってました。今の私は千早と呼ぶべきじゃないって」

P「いや、お前それは……」

千早「お前でもないです、ちーちゃんです」

P「あのさ千早「ちーちゃん」……。いや、だからな? 流石に当人を前にして俺がそう呼ぶのは色々とアウトだと思うんだよ」

千早「……? 私は気にしませんよ?」

P「俺が気にするんだっての」

千早「ちーちゃんって、呼んでくれないんですか……?」

P「んぐっ……! そ、その上目遣いは心が痛いからやめてくれ……!」

千早「…………んー!」

P「おおう!?」

P(抱きついて俺の胸にグリグリ頭を押し付け……、スネたか)

P「こ、こういう場合どうしましょう音無さん……ぎゃあ!?」

小鳥「は、はぁぁぁぁ……! な、何これ! 何これぇぇぇぇ…………!? 知らない……! 私こんなの初めてなのほぉぉお……!」

P「ちょっ! 音無さん、鼻血鼻血!」

小鳥「はー、はー……。だ、ダメですプロデューサーさん……! 私は……、これ以上この戦いについていけません……! は、春香ちゃんの様子……、見てきます……」

P(ゾンビみたいな動きで出て行った……。そして……)

千早「ん……、これで人目を憚る必要はなくなりました」

P(俺一人でこの決戦兵器に立ち向かわなきゃいけないということか……。いい加減グリグリすんのやめてほしい)

P「なあ、千早「ちーちゃん」いや、だからちは「ちーちゃん!」……、オーケー分かったよちーちゃん」

千早「……! はい!」

P(ここまで満面の笑顔な千早俺ですら初めて見た気がするぞ……)

千早「~♪~~♪」

P(機嫌が直ってグリグリをやめたと思ったら今度は頬ずり……。状況変わらず……)

千早「ねぇ……、プロデューサー」

P「どうした? 千早いっ……!」

千早「ん!」

P「……そうだった、悪いなちーちゃん。でも気に喰わないからって抓るのはやめてくれ」

P(わーい、超面倒くさいよこの娘。可愛いけどね、可愛いんだけどね!)

P「そ、それでどうしたんだ?」

千早「今、二人っきりですね」

P「そ、そうだな……」

P(あれ、これ春香の時と同じパターンじゃね? 。そして抱きしめられてるから逃げられない……。あれ? ヤバい?)

P「な、なあ、ちーちゃん」

千早「……どうしました?」

P「いや、いっつも俺が美希に言ってるからお前も分かるだろ? あまりこうやってくっつくのは良くないんじゃないかなーって思うわけよ」

千早「ああ……。でも、こうしてるとプロデューサーの心臓の音が聞こえて……。凄くドキドキしてるのが分かります。私とこうしているからドキドキしてるんですよね?」

P「そうだな、凄く心臓に悪い状況だ。だから速やかに離れてもらえると助かるんだが」

千早「嫌ですか?」

P「嫌では……ないが、むしろ嫌じゃないから困ってるわけで」

千早「さて、それならどうしましょうか。……やっぱりダメですね。もっと困らせちゃいます。ふふっ」

P「ぐ……っ。せ、せめて現状維持で頼む。そんな風に力を込めるのは勘弁してくれ……。頬ずりも」

千早「それも却下で。こうしてると凄く落ち着くんです。……うん、美希が抱きつく理由が分かります」

P「そりゃ良かったよ。俺はとても落ち着いていられないけどな」

千早「……それは、私をそういう目で見てるって事ですよね?」

P「うん?」

千早「だから、落ち着いていられないというのは、こうしてるとムラムラして……」

P「ムラムラって……。あぁ、そういやさっきそんな話になったな」

千早「あの時は恥ずかしいって答えましたけど、実際にこうして体験すると違いますね。確かに恥ずかしくはありますけど、それ以上に……嬉しいです」

千早「私がこんな事をしてもプロデューサーは反応してくれるんだなと。ほら、私は美希のようにその、スタイル……、いえプロポーション……じゃなくて、その……体の起伏が……、起伏……、くっ!」

P「オーケーそこまでだ。それ以上自分を追い詰めなくていいぞ千早……。いや、ちーちゃんか」

千早「やはり千早でお願いします。ちゃんと名前で呼ばれる方が何というか……好きです」

P「それじゃあ千早。言っただろ? 俺は自分が良いと思えないアイドルを売り出せるほど有能じゃないって。千早だって俺から見たらとても可愛い女の子だ。こんな風にくっつかれたら冷静じゃいられないさ」

千早「プロデューサー……!」

P「だから離れて欲しいんだけどそりゃこんな事言ったら火に油注ぐだけだよな分かってたけど!」

千早「はぁ……! プロデューサー! プロデューサー!」

P「目が怖い目が怖い! だっ! ちょっ、あまり寄りかかる……おわっ!?」

ドサッ

P「ってぇ……。大丈夫か? ちは……や……」

千早「ふふふ……、押し倒しちゃいました」

P「あ……」

P(その表情はヤバい! マジで抑えが……! 何だっけ!? こういう時は何を唱えるんだ!? 素数? 円周率? 般若心経?)

千早「あぁ……、こうした方がより密着できますね。更に強くプロデューサーが感じられます」

P「千早……、頼むからどいてくれ。この体勢は本気でマズい」

千早「ん? 何がマズいんですか? 具体的に言ってもらわないと分かりません」

P「そういう反応は分かってる奴しかしないっての……」

千早「あは、バレバレでしたか。でも、やはり直接プロデューサーの口から聞きたいです」

P「言えるわけないだろう。こっちにゃ色々あるんだよ……」

千早「そういう事言うならこのままですね。……はぁ、温かい」

P(どうしたもんかなぁ……、無理やり引き剥がそうとしたら抵抗するだろうし、そうなると力の加減間違えたら怪我させちまうかも)

千早「あれ? ……あの、プロデューサー」

P「……今度は何だ?」

千早「口の周りにチョコが……。取ってあげま「え? あ、本当だ」……す……」

P「これで取れたか?」ゴシゴシ

千早「……………………」

P「ん…………?」

P(何だ? 急に立ち上がって……。って、チョコレート漁ってやがる!)

P「おい千早! それはもう食っちゃダメだ!」

千早「あぁ、私は食べませんよ? プロデューサー。チョコレートをどうぞ」

P「はい? いや、俺も今はもういらんけど……」

千早「そんな事言わずに、どうぞ食べてください」

P「いや、だから……」

千早「食べてください! さあ! さあ!」

P「ちょ……っ! いきなり何だ!?」

千早「だって! プロデューサーが勝手に自分で拭いちゃうからいけないんです! 私がやってあげようと思ったのに!」

P「だからって俺の顔にチョコを塗りたくろうとするんじゃない!」

千早「良いじゃないですか! 減るものでもないですし!」

P「減るわ! チョコが!」

千早「私とチョコレートとどっちが大切なんですか!」

P「そのセリフはこのタイミングで言うものじゃない! ――わかった! でももったいないからせめて食わせてくれ。つーかお前に任せたら顔中ベッタベタになりそうで嫌だ」

千早「……まぁいいでしょう」

P「どうにも無駄に疲れるな……。ほら、こんな感じでいいか?」

千早「はい。では早速、……んっ「待て」――どうして止めるんですか?」

P「今……何をしようとした?」

千早「プロデューサーの口の周りについたチョコを取ろうとしただけですよ?」

P「それならどうしてこんなに顔を近づける必要があるのかなぁ……!?」

千早「え……? こういう場合舐めて綺麗にするのが常識ですよね?」

P「どこの世界の常識だ!」

千早「真の持ってきた漫画に……」

P「……現実と虚構をごっちゃにしちゃダメだぞ千早?」

千早「ダメですか?」

P「ダメだ」

千早「…………」グリグリ

P(またスネた)

千早「……プロデューサーは」

P「はい?」

千早「プロデューサーは酷い人です。美希や伊織がワガママを言っても許してあげてるのに、私にはダメだって言うし……」

P「流石に聞いてやれるものと無理なものがあるんだよ。今の場合考えるまでもなく後者だっての。それにあいつらにもダメなものはダメって言ってるからな?」

千早「私は今までずっと我慢してたんです! だから他の皆よりももっと色々と許されるべきなんです!」

P「なんつー超理論。じゃあもう我慢するのやめてどんどん言ってこいよ。頻繁に言おうが溜め込もうが叶えられる要望の限度は一緒だし、バンバン言った方がお得だぜ?」

千早「…………」

P「…………」

千早「今はそういう話をしているんじゃありません!」

P「あ、うん。よく分からないけどゴメン」

千早「全く……。つまり私が何を言いたいかというと……」

千早「………………」

P「………………千早?」

千早「眠いです」

P「おい」

千早「寝ます。膝枕してください」

P「急だなぁ……。でもまぁ、それぐらいなら」

千早「……! それじゃあ、ソファまで行きましょう! すぐ行きましょう! 善は急げです!」

P「ちょ、待て! あんまり引っ張るなって!」

『事務所』

小鳥「あ、千早ちゃんにプロデューサーさん」

P「音無さん。春香は……?」

小鳥「えーっと、とりあえず事後処理は済ませました。今はそこで寝かせてます。状況はちょっと男性に説明するのが憚られるレベルでしたので、聞かないでもらえると……」

P「そ、そうですか」

P(何をやった千早!?)

千早「もう、プロデューサーったら、音無さんとばかり話してたらダメです。今は私を優先してください」

小鳥「あら、随分仲良しになったのね。良かったわね千早ちゃん」

千早「はいっ♪ 今から膝枕してもらうんです」

小鳥「あらら、それはどっちを羨ましがればいいのか困るわね~」

千早「ふふっ、今は私がプロデューサーを独占です。ほら、プロデューサー、早くしてください」

P「急かすなって。……はいよ、どうぞ」

千早「それでは失礼します。…………んん、いい感じです」

P「そらどうも」

千早「頭も撫でてください」

P「はいはい」

千早「うん……、気持ちいい……で…………す……」

P「………………」

千早「………………すぅ」

P「やっと……、やっと大人しくなったか……」

小鳥「あはは、お疲れ様です」

P「本当に疲れましたよ……。もうこいつら事務所に泊めましょう。正直送る気力も残ってないです」

小鳥「分かりました。春香ちゃんのご両親には私が連絡しておきますね」

P「すみませんがお願いします。見ての通り動けないもので」

小鳥「は~い」

P「はぁ……、散々振り回して最後は一人で先に寝てか……」

千早「………………ふふ」

P「………………全く、どんな夢見てんだか」

小鳥「連絡してきました。……幸せそうな寝顔ですね」

P「ありがとうございます。それにしても、随分冷静ですね音無さん? こういうとき大体無駄にテンション高いのに」

小鳥「いや……、今はもう頭に昇るだけの血液がありませんから……」

P「……どうリアクション取ればいいのか困るんですけど」

小鳥「まぁ……、今は頭に焼き付けておいて、元気になったらじっくりと楽しみたいと思います」

P「あぁ、良かった、ギアがローなだけで煩悩は平常運転でしたか」

小鳥「もちろん、私はいつだって私です。……ところでプロデューサーさん」

P「何です?」

小鳥「この後どうするつもりですか?」

P「そりゃあ、事務所に二人だけ置いておくわけにはいきませんし、俺も泊まりでしょう」

小鳥「いえ、それは分かってます。ちょっとどうやって寝るのか気になったもので」

P「ん……? ああ、ソファー全部埋まってるのか。まぁ、その気になれば椅子並べればその上でも寝られますし、別に床でも平気です」

小鳥「いえ、そうじゃなくて……。気付いていないんですか?」

P「はい?」

小鳥「そこからどうやって席を立つおつもりなのかなぁ……と、千早ちゃんに思いっ切りホールドされてますけど」

P「えっ……? うわっ、マジだ! あ、ヤバい。結構がっちりしがみついてるから後ろ手だと力が入らなくて外せないぞこれ……!」

小鳥「大変ですねぇ……。それじゃあ私は上がります。お疲れ様でした~」

P「あの、音無さん……? それはないと思いませんか……?」

小鳥「いやいやいや、どう考えてもそのままにした方が面白いですよね? この状況で私が手を貸すとでも?」

P「ぐっ……。お、覚えててくださいよ?」

小鳥「そりゃあもちろん忘れるはずが無いじゃないですか、明日が楽しみで仕方ありませんからね。それじゃあお先に失礼します」

P「あ……………………」

P「マジで帰りやがったあの人」

P「……………………一旦起こすか?」

千早「……………………んにゅ」

P「無理だな。……もういい、知らん、寝よう」

『翌日』

千早「すぅ…………すぅ……」

千早「…………ふふ」スリスリ

千早「…………ん? んん……?」

千早(今……私何に頬ずりを……? それに、何か重い物が体の上に……)

千早「………………」

P「…………ぐぅ」

千早「…………………………」

千早(えーっと……、とりあえず落ち着くのよ私。整理しましょう。私はプロデューサーに抱きついて膝枕をされていて、プロデューサーは私の体に頭を……)

千早「!?!!?!??!?」ガバッ

P「何だぁ!? ん……? あー、朝か。……おはよう千早」

千早「は……っ!? お、おはようございます!」

P「あれ? ……スマン、お前を枕にしてたみたいだな。寝る時はそんなこと無かったはずなんだが、夜中の間に横になっちまったんだろう」

千早「い、いえっ! 大したことでは……! それでその……どうして事務所で……?」

P「覚えてないのか? 昨日の事」

千早「昨日……? 昨日は春香の作ったチョコレートを食べて……、それから……、それから……? あ、ああ……!」

P「おー、バッチリ記憶残るタイプか。あの酒癖でそれは将来苦労するなぁ」

千早「わ、私ったらとんでもない事を……! すみません! ご迷惑をおかけしてしまいました!」

P「はっはっ、そんなに気にする必要は無いって。酒で失敗するのは誰しも通る道だし……。まぁ酒じゃなくてチョコだけど。むしろ飲んだらああなるってのが分かったのは収穫だよ」

千早「でも……!」

P「いや、マジで。千早がいつまで今の仕事を続けるかはまだ分からないが、20になっても続けるなら関係者と飲む機会だってあるだろうし……」

P「もし知らずに飲ませて宴会の席でいきなりああなってたらと思うと……。むしろ事務所の中だけで済んで本当に良かったと思うわ」

千早「そ、そうですか……」

P「それに、何だかんだ言って楽しかった部分はあるからなぁ」

千早「楽しい?」

P「え? 言わなきゃわからない? 察しが悪いなぁちーちゃんは」

千早「あっ!? だ、ダメです! 忘れてください!」

P「あぁ、そうだった、ちーちゃんって呼ばれるより千早って呼ばれる方が好きなんだよな。ゴメンゴメン」

千早「あーっ! あーっ! 聞こえません! 何も聞こえないです!」

P「ははは……! いやー、愉快で良いよなお前のそういう反応。……でもさ、昨日も言ったけど、もっと色々ねだったり甘えたりして良いんだぞ? そりゃ、あまり行き過ぎたことは許可できないけど」

P「正直仕事以外であれをやれこれをやれとお前に言われた事って全然無かったから、結構うれしかったよ」

千早「そ、そうですか……? そういう事なら……、これからはたまに……、本当にたまにですけど」

P「おう、いつでもどうぞ」

千早「……はいっ!」

春香「んん……? あれ? 何で事務所……? って、ああっ!」

P「お、春香も起きたか」

千早「あ……、おはよう、春香。その……昨日の事なんだけど……」

春香「ぎゃあ!? ちちち千早ちゃん!?」

P「おいおい、いくらなんでも相手の顔見て開口一番ぎゃあってお前……」

春香「あ……、その……、ゴメンね? 千早ちゃん。私びっくりしちゃって……」

千早「いえ……、仕方ないわよ。昨日は相当酷いことをしたもの……。でも、やっぱり……グスッ。あの、すみませんプロデューサー、目にゴミが入ったので、少しお手洗いに行ってきます」

P「お、おう…………行ってらっしゃい」

春香「……………………」

P「……………………あ~あ」

春香「し、仕方ないじゃないですか! 昨日のアレがあった上で、寝起きの頭が働かない時にいきなり顔見せられたら誰だってああなりますよ!」

P「そんなにだったのか? 俺には甘えてくるばかりで……ああでも一瞬危ない時があったな」

春香「なっ! 羨ましい! 私も甘えられたかったです! 責めるのは私のポジションなのに!」

P「懲りてねえなお前……」

春香「もちろんです! 今回はちょっと逆襲されちゃいましたけど、あの程度で私の愛は……あれ?」

P「どうした?」

春香「今身動きしたら違和感が……あれ? あれれれれ?」

P「おいおい、そんな風に襟広げたら下着が見えるぞ?」

春香「いや、その下着なんですけど……、どういうわけか昨日付けてたのと違ってて……」

P「何だそりゃ……? あ、もしかして事後処理ってそこまでやるレベルだったのか!? そら音無さんも言葉濁すわ……」

春香「どういうことです?」

P「昨日春香が気絶したあとは、音無さんがお前の世話をしてたんだけど……。まぁ、下着を換えてやらんといけないくらいの状態だったってことだろうな」

春香「な、なるほど……」

春香(うわー! せっかく音無さんが秘密にしてくれてたみたいなのに……! 知られちゃった! 言うんじゃなかった!)

P「あれ? そうだよ。音無さんはどこだ? あの人のことだから俺らが寝てる間に事務所に来て気配消しながらどっかで見てそうだし、それならもう姿を見せてもおかしくないはずだが……」

ピリリリリ! ピリリリリ!

P「ん? こんな早くから電話とは……って、噂をすればだ。――はい、もしもし音無さん。おはようござ……は? 今日は休む? 貧血? はは、昨日で血を失いすぎましたか……え? 違う?」

P「フラッシュバック? なるほど……、なまじ回復したせいで逆に抑えられなかったと。まぁ貧血ってとこだけ伝えますよ。……はい、わかりました、ではそういう事で」

P「はぁ……。全く、この点だけは困った人だなぁ……。仕事はできるんだけど」

春香「音無さんはお休みって、結構書類残ってますけど大丈夫なんですか?」

P「まぁ、今日皆に入ってる仕事はわざわざ俺がついていく必要の無いものだけだから、各自現場に行ってもらって、俺は残ってあれを片付ければなんとか……」

P「春香はどうするんだ? 今日は久々のオフだし、やりたい事も色々あるだろう?」

春香「あーっと……、まぁ着替えたりしたいですし帰りますけど……。あれ? そういえば響ちゃんって昨日沖縄ロケから帰ってきたんじゃありませんでしたっけ?」

P「ああそうだ。メール着てたよ。今日おみやげ持って来るってさ」

春香「それじゃあ、響ちゃんに会ってから帰ることにしましょうかね」

P「ついでにどっか飯食いに行こうぜ? 昨日の晩飯は流れちゃったし、響も入れて4人でさ」

春香「いいですね! ……よく考えたら昨日のお昼ごはん以降何も食べてないや。あ、気付いたら一気にお腹が空いてきた」

P「まぁ、あいつが来るまでのんびりしてなさい。動くと余計に腹が減る」

春香「あはは、そうします。――あぁ、沖縄のおみやげ楽しみだなぁ……!」

P「響のことだから無駄にあれもこれもと買い込んで持って来るぞ? ああ、もしかしたらそれで一食分になるかもな」

春香「すっごくありそうです! 響ちゃんより荷物のほうが大きくなってたりして!」

P「ハッハッハ! ……もしそうなってたら全力でからかってやろう」

春香「うがー! そんなイジワルな事言うプロデューサーには、おみやげ分けてあげないんだからな!」

P「ヤバい! 今のすっげえ似てた! 超言いそうだわ!」

春香「バラエティ番組に一緒に出る機会があったらやっちゃいますよこれ!」

P「よし! まかせろ仕事取ってきてやる!」

春香「お願いしますよ? 頑張ってください! プロデューサーさん!」

『同時刻:事務所前廊下』

千早「はぁ……、あれ位で動揺してしまうなんて……。もっとしっかりしなきゃダメね」

千早「目の腫れも引いたし……、そろそろ戻ろうかしら」

響「おー、千早じゃないか」

千早「あら?」

響「おはよう千早! 久しぶりだな~」

千早「おはよう我那覇さん。そういえば、ずっと沖縄にいたのよね、その前からお互い忙しくて顔を合わせてないし、本当に久々ね」

響「えへへ~、皆に会うのが楽しみすぎてこんな早くに来ちゃったんだ。おみやげも一杯買ってきたんだぞ!」

響「ちんすこうに、シークヮーサーのジュースに、ソーキそば……は貴音が全部食べちゃいそうだけど、他にもたくさんあるから大丈夫!」

千早「それはまた……、随分奮発したわね」

響「あれもこれもと思ってたらつい……。あ! 一番のおすすめはコレかな。千早は多分食べたこと無いと思うけど、自分は好きなんだよね。すっごく美味しいんだ」

千早「へぇ、何かしら?」

響「ん? ……豆腐よう!」

終わり……?

以上です
直接酒を飲ませずにいかに千早を酔わせるか考えた結果の無駄に長い前フリ

続いておまけ「その時二人に何があったのか」

千早「そんなに怖がらなくてもいいのに、本当に可愛いわね春香は。ふ、ふふ、ふふふふふ……」

春香「ひぃぃぃぃ…………!」

千早「……二人とも行っちゃったわね。これで二人っきり……はむっ」

春香「ひっ、耳は……!」

千早「春香って肌の触り心地が良いわよね。もち肌って言うのかしら、いつまでも触ってられるわ」

春香「ちょっ……! そう言いながら何で服を捲ろうとするの!?」

千早「顔じゃ撫で回すには面積が足りないのよ」

春香「何処を撫でるつもりなのかなぁ!?」

千早「良いじゃない。女同士だし」

春香「あっ、やめっ……!」

千早「……まだるっこしいわね、そんなに抵抗するならいっそ脱がせちゃうわよ?」

春香「なあっ!?」

千早「隙ありっ!」

春香「あっ!」

千早「へぇ……、これはこれは……」

春香「な、何なのその笑顔……」

千早「いえ……、どうしてそこまで嫌がるのかと思ったら……。ふふ、プロフィールの数字にプラスいくらされてるのかしら」

春香「うぐ……っ!?」

千早「まあ、今からこれを愛でる身としては多少肉付きが良くなっていたほうがうれしいのだけれども」ツツー

春香「ひう……っ!? だ、ダメ……っ!」

千早「あら、もう私にはバレちゃったんだから、今更隠す必要も無いじゃないの」

春香「別に体型隠したかったから抵抗してたわけじゃないよ!?」

千早「……? じゃあ何がダメなのかしら? 春香も普段から私に同じような事やってるわよね?」

春香「ううっ……、それを言われると……」

千早「まさか、するのは良いけどされるのは嫌だとか……。いえ、そんなはず無いわね。大丈夫、春香がそんな身勝手な最低の人間じゃないってちゃんと知ってるわ」

春香「さ、さり気なく逃げ道を塞いでくるね千早ちゃん……」

千早「何の事かしら? ……まぁいいわ。それじゃあお互い納得した所で始めましょう」

春香「納得してない! 全然納得してないよ私! というか何するつもり!?」

千早「それはもちろん春香のこの可愛いお腹に色々と」サワサワ

春香「や……っ! く、くすぐったい……っ」

千早「こんな風に撫でたり揉んだり」ムニムニ

春香「ふ……っ! くぅ……っ!」

千早「声を抑える所がそそられるわね、どこまで我慢できるかしら? 春香チャレンジね、生っすかの企画会議に上げてみる?」

春香「……っ、……はぁっ。通るはず無いでしょ。100%放送禁止だよこんなの……」

千早「まぁ、こんなに可愛い春香は誰にも見せたくないし、別に良いんだけど。……それより気付いてる? 動いたからどんどん服が上に捲れ上がってるわよ?」

春香「えぁ……っ!?」

千早「うーん、こうして見ると、春香もかなりスタイルが良いわね……。というか胸のサイズもウチの中では上から数えたほうが早いのよね春香って」

春香「ちょっ! そんなにじっくり見ないで!」

千早「ああ、隠しちゃダメだってば。もう、そんなに恥ずかしがる事無いじゃない」

春香「いやいや! 流石に女の子同士でもじっくり見られたら恥ずかしいよ!」

千早「そう? じゃあ我慢して」

春香「酷い!?」

千早「はぁ……。それにしても羨ましいわ。どうやったら育つのか是非とも教えてもらいたい所ね」

春香「そ、そんなこと言われても困るんだけど……」

千早「あれ、待って……、何だったかしら……。そうだ、大きい人の胸を揉むと大きくなるって聞いた記憶がある。きっとご利益的な何かだったわ」

春香「いや、それは揉まれると大きくなるの間違いじゃないかな?」

千早「そんなはず無いわよ、その程度で成長するなら私だって苦労していないもの」

春香「凄くどうコメントしていいか悩ましい一言だ!」

千早「まあ何でもいいわ。とりあえず試してみて、効果が無かったらその時はその時ね。失敗は成功の母とも言うし」

春香「ちょっ、待っ……! 揉むことは確定してるの!? ……んっ、く……ぁ…………っ」

千早「……ブラが邪魔ね、取っちゃいましょう」

春香「ひっ……! 直接はやめ……っ!」

千早「ふふ、恥ずかしがる春香が凄く可愛いわ。こうしたらどうかしら?」

春香「ふぁっ、あぅっ!」

千早「あとは……こうとか?」

春香「~~~~~~~~~っ!!!」

千早「あら? ……春香? 春香ー?」

春香「…………………………」プシュー

千早「寝ちゃったのかしら……? まあ仕事上がりだし、仕方ないわね」

千早「…………暇になってしまったわ、プロデューサー達とお喋りすることにしましょうか」

「……新鮮ですね。スキンシップ過剰な千早ちゃん」

千早「…………あら? 何の話かしら……? 私の名前が聞こえたけど」

千早「……しばらくこっそり聞いてようかしら」

本編へ続く

おまけここまで

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