【ガルパン】インモラルしほエリ (42)
エリカ「──師範の身体、すごく良い香りがしています。……きっと高級な香水なんでしょうね」
しほ「そういう貴方の髪の毛だって──とても良い匂いがするのね」
エリカ「っ……いやだ、嗅がないでください、訓練の後、まだシャワーも浴びてないのに……」
しほ「すん、すん……あぁ、若い子の汗の臭い。ほどよい臭さ」
エリカ「っ……ほんと、やめてくれませんか……恥ずかしいので……」
しほ「それに毛触りも、まほやみほよりもサラサラしてる。本当に、綺麗な色──」
エリカ「……っ」
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エリカ「……。」
エリカ「師範は──」
エリカ「二人にも、こんな事をしてあげているのですか?」
しほ「……。」
エリカ「まぁ、出来ていたら、こんな苦労はありませんか」
しほ「……。黙りなさい」
エリカ「……ごめんなさい……」
エリカ「……。」
エリカ「……ところで、師範」
しほ「なに」
エリカ「もしも菊代さんが、今──この部屋に入ってきたら、どうしますか……?」
しほ「……。」
エリカ「仕事部屋で執務しているはずの家元に──お茶を運んであげようと──」」
エリカ「──ほら、足音がもう聞こえますよ」
エリカ「『とん、とん、とん』」
しほ「……やめなさい」
エリカ「こうしている間にも、廊下を、すぐそこまで来ているんですよ、襖のすぐ前まで、ほら、もう菊代さんがすぐ近くまで──」
しほ「……エリカ」
エリカ「あと三歩、あと二歩、あと一歩……あ、とうとう襖が」
エリカ「……『スゥーーーー』……」
しほ「……。」
エリカ「『い、家元……!?』。あ、違いますか、『お、奥様……!?』 でしょうか?」
しほ「……。」
エリカ「──あはは、見てください。菊代さんったら、あんなに驚いてます」
しほ「……エリカ……」
エリカ「菊代さん、今にもお盆を手から落としてしまいそう。そりゃそうですよね。『奥様』のこんな姿を、いきなり目撃してしまったら──……あっ!?」
しほ「今度は何」
エリカ「どうしよう、師範、大変です──菊代さんの隣に──隊長が……!」
しほ「……っ」
しほ「エリカっ。いいかげんになさい──口が、過ぎる」
エリカ「……。」
エリカ「……怒りましたか?」
しほ「とても、不愉快だわ」
エリカ「申し訳ありません」
しほ「……。……言葉が、固い」
エリカ「え?」
しほ「謝るにしても、もうすこし、砕けた口調でいいわ」
エリカ「……『すみません?』」
しほ「他人行儀ね」
エリカ「他人ですから──痛っ」
しほ「……」
エリカ「……ごめんなさい」
しほ「それくらいでいい」
エリカ「はぁ」
しほ「まほや、みほと、同じくらいで、いい」
エリカ(……。)
エリカ「師範の身体、暖かいです。スーツの上からでも、よくわかります」
しほ「ええ、貴方も」
エリカ「……。」
エリカ(……。)
エリカ(……。)
エリカ(……。)
エリカ(……こんなこと間違ってる。続けていちゃいけない……)
エリカ(……私だってそれくらい分かってる……)
エリカ(だから、今日こそはもう終わりにしようって、そう決心した──何回も何回も──)
エリカ(……そのはずなのに……私はまた、こうして──)
エリカ(今またこうして……)
エリカ(家元の仕事部屋で、こうして密やかに──)
エリカ(──隊長や、あの子の、身代わりとして──)
エリカ「……師範」
しほ「なに」
エリカ「私は、西住流のために、一生懸命に頑張ってきたんです」
エリカ「遊びたいのも我慢して、戦車道の勉強を一生懸命にやって、西住流にふさわしい人間になろうって必死に努力してきたんです」
しほ「……知っています」
エリカ「それなのにもう──私は分からなくなりました」
しほ「?」
エリカ「西住流に「ふさわしい」って、なんです? どうあれば、「ふさわしい」と言えるんですか?」
エリカ「師範は──こんなに──優しい……」
エリカ(……。)
エリカ(……本当は、知りたくなかった)
エリカ(家元には、『厳しい人』であってほしかった。西住流の頂点。常人とは違う、神のような人──)
エリカ(それなのに……こんなに……こんなに可愛い人だったんて……本当は知りたくなかった……)
エリカ(だけどもう、私は──知ってしまった──)
エリカ(私は、もう……)
エリカ(……。)
しほ「……。西住流は西住流です。……私がどうであろうと、関係ない」
エリカ「……。」
しほ「迷うことなく、西住流を志せばいい。西住流の真髄は、きちんと伝統に記されている」
エリカ「……詭弁ですね。家元のそんな言葉、聞きたくありませんでした」
しほ「……。」
エリカ「師範は、口が達者なだけの、ただの甘えん坊じゃないですか」
しほ「……。」
エリカ「……ごめんなさい……また、言い過ぎました。……怒らないでいてくれますか?」
しほ「……いいでしょう。だけど──その生意気な口を、しばらく閉じていなさい」
エリカ「はい」
エリカ「……。」
しほ「……分かったなら、もっと、側へ……」
エリカ「あ……」
エリカ「……。」
エリカ(……師範の腕にだかれていると、どうしてこんなに落ち着くんだろう)
エリカ(……本当のお母さんじゃないのに)
エリカ(……ただの、他人なのに……)
エリカ(……。)
エリカ(隊長や、「元」副隊長の、お母さんなのに)
──ギシっ……
エリカ(──!?)
常夫『しほさん、入るよ──』
エリカ「──ッ!!」
──スーーーーッ……
常夫「……」
エリカ「……」
しほ「……」
常夫「……あー……」
常夫「……ごめんね?」
エリカ「い、いえ……」
しほ「……まったく……貴方ときたら……」
ハゲか。
ハゲ発言が、そんなに気に障りはったのか……
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エリカ(そのお婆さんと出会った時、常夫さんはそうとうに酔っぱらっていたそうです)
エリカ(とどのつまり──『本当におばさんと出会ったのか』──とうことにさえ、実のところ常夫さんはあまり確信がなくて──あぁ、師範がとっても呆れてる)
エリカ(まぁ、無理もないわよね。常夫さんのせいで、私と師範は、こんなことになっているのに)
エリカ(……こほん、とにかく、その時常夫さんは、一月間のマカオ出張整備業務がようやく片付いて、さぁ数日後にはようやく帰国だぞ、さぁようやく嫁さんに会えるぞ、と)
エリカ(浮ついた気持ちで、酒瓶を片手に整備士仲間と夜の市場を練り歩き続け──)
エリカ(『あなた、いかがわしいお店などには行っていないでしょうね』と師範がまた、ギロリと常夫さんを睨みをつけました。──『もちろん!』 常夫さんはぶんぶんと首を縦に振りました)
エリカ(──健全に仲間と飲んだくれたあと、さてそろそろ宿舎に帰ろうかと──近道のために大通りからいつもの裏路地へとそれて──そこで、そのお婆さんと出会ったそうです)
エリカ(『そこな日本のお方々』。流ちょうな日本語で、そのお婆さんは声をかけてきたそうです)
エリカ(一見すると、手相占いのお婆さん? 熊本の商店街でもよく見かけるような、おばあさん。小さなテーブルと質素な椅子を立てて、通りの片隅で、商店街の景観をささやかに彩っているような……)
エリカ(だけど、そこは熊本のきらびやかな商店街じゃない。マカオの夜の、薄暗い路地裏……なぜ、そんな場所に老婆が?)
エリカ(……連れの人達は少し不気味そうにしていたらしいけど──常夫さんは、おっとりしていそうで、あんがい肝がすわってる。たぶん、いつもの朗らかな笑顔を見せながら──『やぁこんばんわ。ばあちゃんも日本の人? 俺達一か月くらいここにいるけど、ばあちゃんとははじめましてだなぁ』って、とってもフランクに──)
エリカ(──で、ちょこちょこ喋ってるうちになんだか仲良くなって、屋台でご飯を奢ってあげたんですって)
エリカ(うーん……常夫さんがもっとこの家にいてくれたら、隊長も、元副隊長も、今よりずっと社交的な性格になっていたのでは……)
エリカ(──というような事を言ったら、師範がちょっぴりむっとした顔をした。ああもう、可愛い)
エリカ(さておき──おばあさんはエビ串にかぶりつきながら機嫌良さそうに、こう言ったそうです)
──あんたとこの嫁さんは、子育てののことでいくらか難儀しているようだね──
エリカ(それを聞いて、同僚の人達はぎょっとしたそうです)
エリカ(だって、そこまでのお婆さんとの会話の中、常夫さんは一度たりとも『家族の話』などしていないのに──)
エリカ(──だけど、それでもさすが常夫さん、(ははぁなるほど、さすがは自称ホンモノ占い師のばあ様だ。うまい具合に「カマ」をかけてきたのだな)と、冷静だかなんだかよく分からない自己完結をして──」
エリカ(『うん、うちの嫁さんは、なかなか大変で』と)
エリカ(『本当はもっと娘に優しくしてやりたいのに、立場がそれを許してくれんのです。本人もまた、人一倍マジメな女性ですから──』と)
エリカ(そんな風に、異国の地で会った見ず知らずの関係ない相手にだからこそ打ち明けられる家庭事情を、ペラペラ喋るのはなんだか心に気持ちよかったそうな。)
エリカ(そんな感じで、そのうちに話は、「家を離れることになってしまった可哀想な次女」と、「その事についての嫁の複雑な心境」に入ろうとしたのだけれど)
エリカ(お婆さんが、まるでその話を予見していたように)
──なるほど苦労をなさっているのだね。家をでていった娘さんのことも、さぞ心配だろう──と。
エリカ(御婆さんの言葉をきいて、とうとう常夫さんも、何か、緊張めいたものに囚われてしまったそう)
エリカ(『(──今までの会話で、何かそれを特定できるような情報があったのか?──いや、ないぞ。うん。無い)』)
エリカ(しばし絶句して、おばあさんの顔をまじまじと見てしまったそうな。常夫さんが凝視する先で、お婆さんは──桜の花でもながめるように、のんびりと笑んでいたそうな)
エリカ(『いっそ妖怪みたいにニタニタ笑ってた方が、返って落ち着くんだけどなぁ』ですって)
エリカ(『まさか産業スパイか? だとしたらどういう手口だ?』だなんて、常夫さんは酔っぱらった頭でぼんやりと考えたそうだけど)
エリカ(常夫さんはひとまず冷静に──『どうしてそんな事がわかるんだろう』と、率直に)
エリカ(するとお婆さんは)
──年よりはなんだって知ってるんだよ──と。
エリカ(あるいはこれもまた、熟練の占い師がもつ高度なカマかけ技法なんだろうかと、考えつつ──)
エリカ(とりあえず、すごいなぁと朗らかに笑ったんだって)
エリカ(……さて、今の話をどう解釈したものか、と、私と師範が顔をみあわせていると──『二人とも、酔っ払いの妄言だと思ってるだろう』と常夫さんが笑いました)
エリカ(まぁ、多分常夫さんの言う通りで──こんな状況でなければ、きっとそう考えて聞き流していたわよねぇ……)
>>24以降を次のように修正しました。
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エリカ(そのお婆さんと出会った時、常夫さんは相当に酔っぱらっていたそうです)
エリカ(だから──『本当におばさんと出会ったのか』──という事だって、実のところ常夫さんはあまり確信がなくて──あぁ、師範がとっても呆れてる)
エリカ(だけど師範が呆れるのも無理はない。常夫さんのせいで、私と師範は、こんな事になっているのに。そりゃあ私は、面と向かっては文句をいえないけれど──)
エリカ(……こほん、とにかく、その夜常夫さんは、一か月間におよんだマカオでの出張整備がようやく片付いて、さぁ数日後にはようやく帰国だぞ、さぁようやく嫁さんに会えるぞ、と)
エリカ(ちょっぴり浮ついた気持ちで、酒瓶を片手に整備士仲間と夜の市場を練り歩き──)
エリカ(『あなた、いかがわしいお店に立ち寄ったりはしていないでしょうね』と、師範がまた、ギロリと常夫さんを睨みをつけました。──『もちろん!』 常夫さんはぶんぶんと首を振りました。……まぁ、想像通りの夫婦関係なのかしらね)
エリカ(ともあれ、あくまで健全に、仲間と飲んだくれた後、そろそろ宿舎に帰ろうとして──大通りからいつもの裏路地へと入り──そこで、そのお婆さんと出会ったそうです)
エリカ(『そこな日本のお方々』。流暢な日本語で、そのお婆さんは声をかけてきたそうです)
エリカ(一見すると──手相占いのお婆さん? 熊本の商店街でもよく見かけるような、おばあさん。小さなテーブルと質素な椅子を立てて、通りの片隅で、商店街の景観をささやかに彩っているような……)
エリカ(だけどもちろん、そこは熊本のきらびやかな商店街じゃない。マカオの夜の、薄暗い路地裏……なぜ、そんな場所に老婆が一人で?)
エリカ(……お連れの人達は謎のお婆さんに対してちょっと不気味そうにしていたらしいけど──常夫さんは、おっとりしていそうで、あんがい肝がすわってて──『やぁこんばんわ。ばあちゃんも日本の人? 俺達、もう一か月くらいここにいるけど、ばあちゃんとは初めて会うね』と、とってもフランクに──)
エリカ(御婆さんはなかなか素性を明かそうとせず、だけど常夫さん曰くの『ちょっとおもしろいばあちゃん』で、お話しが弾むうちになんだか仲良くなって、ばあちゃんも交えてもうちょっと街で遊んでいこうと──それで、屋台でご飯を奢ってあげたんですって)
エリカ(その話を聞いて、私は──常夫さんがもっとこの家にいてくれたら、隊長も、元副隊長も、今よりもずっと社交的な性格になっていたのでは……)
エリカ(──というような事を思って、軽い口調で師範に言ったら、師範はちょっぴりむっとした顔をした。……ああもう、可愛い人だなぁ……)
エリカ(さておき──おばあさんはエビ串にかぶりつきながら機嫌良さそうに、こう言ったそうです)
──そう言えば、あんたの嫁さんは、子育ての事でいくらか難儀をしているみたいだねぇ──
エリカ(同僚の人達は、おばあさんの言葉にぎょっとしたそうです)
エリカ(だって、そこまでのお婆さんとの会話の中──常夫さんは一度たりとも『家族の話』などしていないのに──)
エリカ(──だけど、それでもさすがは常夫さん、(なるほどなるほど、さすがは自称ホンモノ占い師のばあ様だ。うまい具合に「カマ」をかけてきたのだな。『家族の不和系』なんて、誰にでもよくある話だからね)と、自己完結をして──」
エリカ(『いやぁそうなですよ、うちの嫁さん、なかなか大変で』と、続けて──)
エリカ(『本当はもっと娘に優しくしてやりたいのに、嫁の立場がそれを許してくれんのです。人一倍マジメな女性ですから──』と──。ここで、師範が常夫さんの膝をツイとつねりました。)
エリカ(まぁそんな具合にに、見ず知らず相手にだからこそ打ち明けられるというのか、ペラペラと家庭事情を話続け──あぁ、その場にいる同僚の人は、とっくに知ってるくらいに気ごころの知れた整備士仲間だそうな)
エリカ(そのうちに話は、「家を離れることになってしまった可哀想な次女」と、「その事についての嫁の複雑な心境」に入ろうとした。ただ、それについてはさすがに同僚の前で話すわけにもいかないので、常夫さんが少し黙り込む。そもそも少し喋りすぎたかな、という気持もしてきて──)
エリカ(──だけど、それまで聞き役に徹していたお婆さんが、突然口を開いて──)
──なるほど苦労をなさっているのだね。家を出て行った娘さんのことも、さぞ心配だろう──と。
エリカ(『え?』と、その事情を知らない同僚の人が、声をあげたそうな)
エリカ(そして──とうとう常夫さんも、何か、緊張めいたものを感じざるを得なくて──まぁ、そりゃそうよね。)
エリカ(『どうして、そんな事を知っているんだろう』って、ね)
エリカ(『(──今までの会話の中に、何かそれを特定できるような情報があったのか?──いや、ないぞ。うん。無い)』)
エリカ(しばし絶句して、おばあさんの顔をまじまじと見てしまったそうな。常夫さんが凝視する先で、だけどお婆さんは──花見でもするようなのんびりした雰囲気で)
エリカ(『いやいっそ、妖怪みたいにニタニタ笑ってくれてた方が、しっくりきたんだけどな』ですって)
エリカ(『まさか産業スパイの類か?』だなんて、常夫さんは酔っぱらった頭でぼんやりと考えたそうだけど)
エリカ(常夫さんはひとまず冷静に──『何の話だい?』と、とぼけた風に──)
エリカ(するとお婆さんは)
──いやいや、年よりはなんだって知ってるんだよ──と。
エリカ(常夫さんは、『これもなにか、熟練の占い師が身に着けてる高度なカマかけの技法なんだろうか』考えつつ──)
エリカ(とりあえず、『そうかそうか、すごいですねぇ』と、適当にその場は笑ってごまかしたんだって)
エリカ(……と、いう所までを常夫さんから聞いて──私と師範が顔をみあわせていると──『二人とも、酔っ払いの見た幻覚か妄想かなにかだと思ってるだろう』と常夫さんがカラカラと笑いました)
エリカ(まぁ、常夫さんの言う通りかもね。──こんな状況でなければ、酔っぱらって夢でも見てたんだろうって、そう思っちゃってたかなぁ……)
ついでに──あんだけもう書くの止める止めるいうてたのに何でまたSS書いとんねん、っっていうのはまったくごもっともでございやす。
けんども、前のやつは、日ごろの生活の中頭の中で常にあーでもないこーでもないと考えていたくらいの熱のいれようで、そうなるとやっぱり日常生活でも時間がとられました。
たいして今度のやつは、暇な時間に、パソコン画面の前に座ってその時だけの妄想でツラツラと書いているような具合。
なので、シンプルかつツマラナイ話になるかとは思います。もし期待してくださる方がいらっしゃいましたら、先に、ごめんなさい。
しほ「あなたがマカオの夜を堪能していた事はよく分かりました。だけど、私が教えてほしいのは、結局ところなぜ、貴方がこんなバカな真似をたのかという事です」
エリカ(師範がにらみつける先、恒夫さんは──ケラケラと楽しそうに笑っていました。『なぜって、しほさん。俺は本当にその問いに答えなきゃいけないのかな』ですって。……もうっ)
エリカ(つまり──)
エリカ(『ご馳走様。あんたは良い旦那だね。どれ一つ、あんたの願いをかなえてあげようじゃないか』、と、預言者のバァ様がいよいよ妙チクリンな事をのたまいはじめ、なのに常夫さんは──)
エリカ(『へぇそれはありがたい。じゃあ──ぼくの妻の幸せを一つ、お願いしよう。つまり、彼女が──娘達に素直になれない分、僕にいっぱい甘えてくれますように』、だって)
エリカ(……。)
エリカ(あほらし)
エリカ(……まぁ、仲が良さそうで、ちょっぴり羨ましいけれど……)
エリカ(もっとも、公平に考えるのなら……常夫さんのそのおバカな発言も、飲みの席を賑やかすため害の無いノロケ話だろうと思う)
エリカ(ただ問題のは……そのお願いが、いったいどういう仕組みなのか、現実的な効力を持ってしまっていること)
エリカ(そして何より、いったいなんでか、常夫さんのお願いとは「少し違う形」で、効力を持ってしまったこと)
エリカ(『うーん、バァちゃん、少し耳が遠かったのかなぁ』 あっはっは、と笑う常夫さんを、ギロリとまた、師範がにらみつけました)
エリカ(私も、さすがにちょっぴり呆れはしたけれど)
エリカ(──一昨日、私達は島田流率いる大学選抜チームに勝利した。他でもない、西住みほの指揮の下で)
エリカ(そうして昨日、熊本に帰還した私は、師範から緊急の呼び出しを受けた。隊長に許しをいただいて、学園艦からこの熊本の実家へと、急行した……あぁ、隊長、も今頃心配してるだろうなぁ……)
エリカ(家元の門をたたき、応接室に案内された私は、一人戦々恐々と──「私はなぜ呼び出されたのだろう」「昨日の戦いで何かお咎めを受けるのだろうか」「まさか破門なのだろうか」と、胃の痛い思いをし)
エリカ(そして、廊下を近づいてくる足音に気付いて、「師範がやってくる!」と、いよいよ心臓がバクバク。)
エリカ(そうしてそうして、いよいよ足音が障子のすぐ側にまでやってきて──)
すぅーー……
エリカ「……!」
エリカ(開かれた障子の向こう、現れた西住流の家元は──)
しほ「……エリカ……」
エリカ(なぜか、熱い吐息を言葉に込めて、私をじっと、切なげな瞳で見つめていた)
何度もすみません。修正をします。
エリカ(もっとも、公平に考えるのなら……常夫さんのそのおバカな発言も、飲みの席を賑やかすため害の無いノロケ話だろうと思う)
エリカ(ただ問題のは……そのお願いが、いったいどういう仕組みなのか、現実的な効力を持ってしまっていること)
エリカ(そして何より、いったいなんでか、常夫さんのお願いとは「少し違う形」で、効力を持ってしまったこと)
エリカ(『うーん、バァちゃん、少し耳が遠かったのかなぁ』 あっはっは、と笑う常夫さんを、ギロリとまた、師範がにらみつけました)
エリカ(私も、さすがにちょっぴり呆れはしたけれど)
エリカ(──一昨日、戦車道大会の試合抽選会に──突然あの副隊長が姿を現した)
エリカ(そうして昨日、熊本に帰還した私は、師範から緊急の呼び出しを受けた。隊長に許しをいただいて、学園艦からこの熊本の実家へと、急行した……あぁ、隊長、も今頃心配してるだろうなぁ……)
エリカ(家元の門をたたき、応接室に案内された私は、一人戦々恐々と──「私はなぜ呼び出されたのだろう」「まさか、副隊長の件で、つまり、去年の大会の件で何か今更お咎めをうけるのだろうか」「まさか破門なのだろうか」と、胃の痛い思いをし)
エリカ(そして、廊下を近づいてくる足音に気付いて、「師範がやってくる!」と、いよいよ心臓がバクバク。)
エリカ(そうしてそうして、いよいよ足音が障子のすぐ側にまでやってきて──)
すぅーー……
エリカ「……!」
エリカ(開かれた障子の向こう、現れた西住流の家元は──)
しほ「……エリカ……」
エリカ(なぜか、熱い吐息を言葉に込めて、私をじっと、切なげな瞳で見つめていた)
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