空想特撮シリーズ オトクラマン (31)
※デレマスSSです
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――――――
悠貴「でゅわっ!」
飛鳥「ん?」
悠貴「オトクラマンっ!」ビシッ
飛鳥「…………。オトクラマン?」
悠貴「備前の国からボクらのために! きたぞ、われらのオトクラマンっ!」ビシッ
飛鳥「備前……ああ、なるほど。でも呼んだ覚えはないんだけどな」
悠貴「でゅわっ!」ビシッ
飛鳥「…………」
悠貴「あ。すみません、もしかしたら備前じゃなくて、備中か美作かもっ」
飛鳥「いや、それはいいんだけれど……えっと。じゃあ、そのオトクラマンは、具体的には何をしにきたんだい?」
悠貴「宇宙怪獣ミムラーを追ってきましたっ!」
飛鳥「……ミムラー?」
悠貴「はいっ」
飛鳥「……。なるほど。怪獣退治の専門家というわけだね」
悠貴「いえっ! 退治じゃないです! LIVEバトルですよっ、アイドルですから!」
飛鳥「…………」
飛鳥「……ちなみに、そのミムラーとやらを放置しておくと?」
悠貴「事務所のカロリーが狙われてしまいます! 346プロの、おやつの貯蓄がピンチです!」
飛鳥「……確かに、それは甚大な被害が出そうだね」
飛鳥「ミムラーを倒す方法は? その、LIVEバトルで」
悠貴「もちろんあります! 必殺技で!」
飛鳥「なるほど。ヒーローのお約束だね」
悠貴「ランニング光線ですっ」
飛鳥「ん?」
悠貴「ランニング光線ですっ」
飛鳥「…………ん?」
悠貴「ランニング光線ですっ。……あっ、追い風ランニング光線ですっ!」
飛鳥「言い直したね」
悠貴「なんのことだかさっぱりっ」
飛鳥「…………」
悠貴「あっ! すみません。もう3分経ちそうなので、この辺で! お疲れ様でした! しゅわっちっ!」バッ
飛鳥「えっ、ちょっと悠貴―――って、なんだ。走っていくのか」
飛鳥「というか……なんだ今のは?」
――――――
悠貴「でゅわっ!」
飛鳥「またかい?」
悠貴「オトクラセブンっ!」ビシッ
飛鳥「オトクラマンはもういいから―――ん? セブン?」
悠貴「はいっ! オトクラセブンですっ! でゅわっ!」ビシッ
飛鳥「セブン……。どうしてセブン? 7……なな……菜々? いや、関係ないか」
悠貴「はいっ! 菜々さんではありません! 乙倉悠貴です! オトクラユウキの名をかりて!」
飛鳥「いや……なら君は何者なんだい?」
悠貴「飛鳥さん……。私は、私はね。人間じゃないんです。岡山県から来た、オトクラセブンなんですっ!」
飛鳥「…………」
悠貴「びっくりしましたよね……」
飛鳥「いや、びっくりというか。どこに驚いたらいいのかわからないというか」
悠貴「でも私は行かないと! パンドンを止めなきゃならないのでっ」
飛鳥「パンドン?」
悠貴「このままでは、346プロに存在しているパンが、全てなくなってしまいます!」
飛鳥「パン……ああ、わかった。パンが好き過ぎるアイドル―――いや、怪獣か」
飛鳥「……というか。アイドル事務所にパンなんて、大量にあるわけじゃないから、放っておいてもいいんじゃ―――」
悠貴「オトクラアイでスパーク!」
飛鳥「まぶしっ。……なんだい、そのやたら光るメガネは。それに、いつのまにか頭につけているカチューシャも」
悠貴「オトクラアイですっ! こっちのカチューシャは、バンビスラッガーです!」
飛鳥「バンビ? ああ。メルヘンアニマルズのときの」
悠貴「それでは行ってきますっ。 ニノミヤ隊員っ、お元気で! しゅわっちっ!」バッ
飛鳥「なんで隊員? なあ悠貴……行ってしまった。いったいどうしたんだ? 最近の悠貴は」
――――――
悠貴「帰ってきました!」
飛鳥「ああ、おかえり」
悠貴「帰ってきました!」
飛鳥「? おかえり。それはもうわかったよ」
悠貴「帰ってきたオトクラマンですっ! でゅわっ!」ビシッ
飛鳥「まだ続くのか……」
悠貴「燃える346にあとわずか!」
飛鳥「燃えていないし、すでに事務所に到着しているけれど」
悠貴「帰ってきたオトクラマンです!」
飛鳥「ああ。さっき聞いたよ。今度はそういう名前なんだろう?」
悠貴「いいえっ、新オトクラマンです!」
飛鳥「ん? ああ、違ったのか。それが名前で―――」
悠貴「いいえっ、オトクラマンⅡ世です!」
飛鳥「……ん?」
悠貴「オトクラマンジャックです!」
飛鳥「結局どれなんだい?」
悠貴「お好きなようにっ!」
飛鳥「…………。まあいいさ」
飛鳥「どうして帰ってきたんだい?」
悠貴「もちろん怪獣を追いかけてです!」
飛鳥「またか」
悠貴「はいっ。今度は怪獣カッコングを探しにきました!」
飛鳥「カッコング……?」
悠貴「カッコングは、まわりに幸運のおすそ分けをする怪獣です。一富士、二鷹、三カッコングですっ」
飛鳥「ああ、茄ッ子ングってことか……。まあでも、それならなにも問題ないじゃないか。害はないんじゃ?」
悠貴「あと、口からオイルをはきますっ。一発芸だそうですっ」
飛鳥「いや出来るわけないだろう! いくら茄子さんでもそんな芸当は……。んん? だが、あるいは……いやいや無理だ!」
悠貴「あ、じゃあそろそろ行ってきますねっ」
飛鳥「言うだけ言って放置するのか!?」
悠貴「すみませんっ、今回怪獣は一体だけじゃないから、忙しくて」
飛鳥「他にもいる、と?」
悠貴「はいっ。ツインテールも探しています」
飛鳥「ああ、ツインテールか。それならわかりやす……くない! 該当するアイドルが多い! みんなまとめてターゲットにする気なのか!?」
悠貴「オトクラ5つの誓いを忘れないでくださいね! しゅわっちっ!」バッ
飛鳥「いや、初耳なんだが!? おい、悠貴!」
――――――
悠貴「あ、飛鳥さん!」
飛鳥「……悠貴か。いや、オトクラマンと呼んだほうがいいかな? 最近のパターンだと」
悠貴「いえっ。今は乙倉悠貴です。346プロ所属の、アイドルユウキですよ! えへへっ」
飛鳥「……そうか。安心したよ。今日はなんとか、話が通じそうだ―――」
悠貴「変身するのは今からですよっ」
飛鳥「だめだったか」
悠貴「さあ、飛鳥さん。いっしょにオトクラタッチですっ」
飛鳥「ないだい今度は。オトクラタッチ?」
悠貴「はい! 北斗と南、飛鳥と悠貴です! 敬称略ですっ」
飛鳥「……よくわからないけど、変身するには、ボクの力が必要だと」
悠貴「そういうことです。よろしくお願いします!」
飛鳥「ああ。気が向いたらね。それじゃあ」
悠貴「ええ!? ちょ、ちょっと飛鳥さん! それじゃあ変身できませんよっ!?」
飛鳥「できなくても、ボクには特に不都合はないかな」
悠貴「私が困ります! オトクラマンエースに変身できないじゃないですか!」
飛鳥「今度はエースなのか……。変身できないと、困るのか?」
悠貴「オトクラギロチンが使えませんっ!」
飛鳥「物騒な技を使うんだな、オトクラマンエースは」
悠貴「変身しないと……ユウキキラーを倒さないとっ……」
飛鳥「ユウキキラー?」
悠貴「はい。恐ろしい相手です。私でも、勝てるかどうかっ」
飛鳥「……なるほど。よくわからないけど、強敵というわけか」
悠貴「そうなんですっ。油断をしていると、あのユウキキラーは……」
飛鳥「うん」
悠貴「……私のミックスジュースに、次から次へと、野菜を入れてきて―――」
飛鳥「頑張って野菜を克服してくれ。健闘を祈るよ、オトクラマン」スタスタ
悠貴「ええ!? ちょ、飛鳥さん! 聞いてましたか!? 私のジュースがピンチなんですよ!? 飛鳥さーんっ!」
――――――
悠貴「オトクラの父がいる」
飛鳥「いるだろうね」
悠貴「オトクラの母がいる」
飛鳥「いるだろうね。岡山に」
悠貴「そしてユウキが ここにいるっ!」
飛鳥「そうだろうね」
悠貴「人呼んで、オトクラマンタロウですっ! でゅわっ!」ビシッ
飛鳥「……タロウ?」
悠貴「はいっ、タロウです! 346プロっ、ナンバー……っ、ナンバー……。えっと、何番なんでしょう?」
飛鳥「いや、こっちに聞かれても」
悠貴「ですよねっ」
飛鳥「むしろこっちが聞きたいんだけれど。どうしてタロウ?」
悠貴「それはもちろん、オトクラマンタロウだからですっ」
飛鳥「…………。なるほど」
悠貴「はいっ」
飛鳥「また、怪獣を探しに?」
悠貴「あ、いえっ。今回は大丈夫です」
飛鳥「大丈夫? 特に戦う相手はいないのか?」
悠貴「いえ、そうではなくっ。誰が相手でも負ける気がしないんです。えへへっ」
飛鳥「……すごい自信だけれど。それはどうして?」
悠貴「今の私は、ものすごい必殺技を持っているからです。名付けて、オトクラダイナマイトですっ!」
飛鳥「オトクラ……ダイナマイト? まあ、確かにシンプルに強そうな名前だけれど……。具体的にはどんな効果が?」
悠貴「えっと、まず使う前に注意なんですけど。使うのは一回だけにしないと危険なんですっ」
飛鳥「エネルギー消費が大きすぎる、とか?」
悠貴「はいっ。もし二回使ってしまうと、寿命が二十年縮んでしまうんですっ」
飛鳥「ダメじゃないかな。それ使ったらダメじゃないかな」
悠貴「仕方ないです、自爆技なのでっ」
飛鳥「余計ダメじゃないかな。自爆技だったのか?」
悠貴「あ、大丈夫ですよ! 体がバラバラになっても、心臓が無事なら平気ですから」
飛鳥「だからダメじゃないかな! アイドルが見せちゃいけない描写じゃないのかなそれは!?」
悠貴「アイドルユウキ、頑張ります! しゅわっちっ!」
飛鳥「待つんだ悠貴! しゅわっちじゃない! 全然大丈夫じゃない! 物理的に自爆するアイドルはいない! あと結局、しゅわっちって何だい!?」
――――――
芳乃「と、いう夢をみましてー」
悠貴「あはは……不思議な夢でしたね」
芳乃「しゅわっちだとか美城特捜隊だとかー。よくわからない言葉ばかりでしてー」
悠貴「み、美城特捜隊?」
芳乃「あとはー、『オトクラマンレオです! 天秤座ですけどっ』とかー。『LIVEのルールを乱したやつらは運び去ります! 主に清良さんとかクラリスさんのもとへっ』とかー。『オトクラマン13です! 13歳ですからっ』とかー」
悠貴「よ、よくわからないですけど……聞いた感じだと、なんだか特撮番組っぽいかなって」
芳乃「特撮?」
悠貴「はいっ。私も詳しくないんですけど……」
ガチャ
飛鳥「ああ、悠貴。ここにいたのか。ちょうどよかった」
悠貴「あ、飛鳥さんっ」
芳乃「こっちもちょうどよかったのでしてー。今、ちょうど飛鳥と悠貴の夢の話をー」
飛鳥「夢? ボクの?」
芳乃「いえ、夢にみたのはわたくしなのですがー」
飛鳥「……? よくわからないが……。とりあえず、悠貴。プロデューサーから預かり物だよ」スッ
悠貴「プロデューサーから? これは……何の資料ですか?」
飛鳥「悠貴に、ドラマの仕事が入ったらしい。主演で、海外で撮影だそうだ」
悠貴「主演……って!? わ、私にですか!? 海外っ!? ほんとですか!?」
芳乃「それはそれはー。おめでたいのでしてー」
飛鳥「悠貴の活躍が認められたということだろう。おめでとう」
悠貴「あ、ありがとうございますっ! えへへっ」
芳乃「ドラマ……どんな役なのでしてー?」
悠貴「あっ、じゃあさっそく資料を見てみますね。えっと……」
悠貴「……主演、乙倉悠貴。役柄は……あ。オトクラマングレート役だそうですっ」
飛鳥「……ん?」
芳乃「でして?」
悠貴「オトクラマングレート役ですっ! ……って、オトクラマン!? な、なんですかこの役!?」
飛鳥「……それは……ちょっと、ボクにも予想外だったね。特撮モノ、なんだろうか?」
悠貴「オトクラマン……確かに乙倉ですけど……というかグレート? どうして急にグレート? そもそもオトクラマンっていったい……」
飛鳥「ああ、悠貴も混乱してしまった……。プロデューサーも、なにを考えてこの仕事を……」
芳乃「……夢じゃなくて、お告げだった……の、でして?」
―――おわり―――
おわりです。ありがとうございました。
前回のSSR乙倉さんは、SS書いたら出ました。
モバの方のSR乙倉さんは、SS書かなくて出ませんでした。
なら今回のガチャは。きっと。
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