白銀「心機一転新スレだよ!前スレは」
1スレ目
【安価】入間「出来たぜ白銀!性転換ライトだ!」【ニューダンガンロンパV3】
【安価】入間「出来たぜ白銀!性転換ライトだ!」【ニューダンガンロンパV3】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488980777/)
2スレ目
白銀「性転換ライト2!安価もあるよ!」【ニューダンガンロンパV3】
白銀「性転換ライト2!安価もあるよ!」【ニューダンガンロンパV3】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1489582162/)
白銀「だよ!内容は前スレ>>583 の内容からそのまま続きになるから宜しくね!」
白銀「あと前スレ>>630で王馬くんのCVを田村ゆかりにして読んでるって言ってた人!」
白銀「そう思って読み返してみるとナイスだったので、わたしも田村ゆかりだと思うことにするね!」
白銀「一応前スレ最後付近の展開を地味に3行でまとめると」
・24時間惚れ薬
・増えるレズ
・赤松誕生祭(途中)
白銀「って感じかな?」
白銀「前スレはHTML化依頼しといたから、落ちる前に内容を振り返っておいてね」
白銀「まあ当分落ちないだろうけど…」
白銀「>>2から一応、前スレまでの内容を踏まえてキャラまとめを更新して貼っておくね!」
白銀「前スレまでを読み返すのが面倒な人は地味にそっちをチェックだね」
白銀「それではキャラ説明が終わったら、本文いきなりスタートです!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1490672210
【性転換概要まとめ】(された順)
【王馬♀】
身長145.08cm
前髪と横の外にハネた髪の束はそのままに、後ろ髪は腰までの長さのストレート
胸は女の時の春川くらいの存在感(白銀談)
上着のデザインは同じだけど体にピッタリフィットしていて、スリットから白いボックスプリーツのミニスカートがチラチラ見え、太もものよくわからない紐はそのままにオーバーニーソックスを履いている
もうすぐ男に戻れるようになるので嬉しい
最近茶柱♂に言い寄られてる
【最原♀】
身長159.03cm
前髪はそのままに後ろ髪の長さは赤松くらいで黒髪ロングストレート
胸はB寄りのCカップ(赤松談)
上着は男の時の物と同じデザインで、ボタンの向きも男物のままで、ボディーラインが出るようにピッタリしたもの
下は黒のプリーツミニスカートを着用し、黒いハイソックスを履いている
外見は美少女になろうとも、女子の胸や足のガン見は欠かさない
赤松によくセクハラされているのでセクハラし返そうとすると、怒られることが納得いかない
晴れて赤松と恋人同士になった
【百田♀】
身長171.12cm
上に立っていた髪は重力に負けて下に落ち、女の時の東条くらいのショートヘアーになった
赤松と同じくらいの巨乳(白銀談)
いつもの変なジャケットの着方はそのままで、上半身の衣装は男の時着ていた物がそのままサイズが今の体にフィットしたくらい
膝丈スカートに素足
胸がパッツンパッツンで健康的なエロさがある(白銀談)
春川と付き合っている
男に戻りたいと思っているが、春川が男のままでいると言ったのでホモップルになることを危惧している
【春川♂】
身長174.96cm
前髪はそのままに、後ろは1つに結んで腰まで流している
セーラー服はシャツになり、暗い赤色のカーディガンを着用し、黒基調のチェックのズボンを着用
髪についていたフレンチクルーラーは腕につけている
性転換されたその日の晩に百田を襲って恋人になるまでこぎつけた
百田のセコム
研究教室は光の速さで物理的封印を施しており、一応、暗殺者であることは隠している
前スレの視聴者様に優しい人が多かったようで、なんとかそのまま暗殺者であることを隠し通すことができた
男のままでいるか女に戻るか今凄く悩んでいる
【真宮寺♀】
身長174.84cm
髪は男の時と変わらない
胸の大きさは白銀くらい(白銀談)
漫画にいるような美人でセクシーでドSな女教官っぽい衣装(白銀談)
スリットの入ったロングスカートを着用し、上着は男の時の物とほぼ同じだけど胸の存在感がある
姉清が表人格になり、是清人格はたまにしか出ないようになった
天海と清い交際中で、天海のネックレスをつけている
是清に許可を貰ったので、女で居続ける予定
是清マジ良い奴
【天海♀】
身長166.47cm
前髪はそのままに、後ろ髪は赤松くらいの長さの毛量の多い巻き毛(ヘアーアイロンで巻きまくった感じ)
胸は白銀くらい(白銀談)
上半身は男の時に着ていた服をそのままレディースにした感じで、下はくるぶしまであるふんわりとした茶色い生地のアジアンなスカート
落ち着いた雰囲気で大学生のお姉さんっぽい(白銀談)
姉清にもらったロザリオを付けている
男に戻る予定
【入間♂】
身長186.84cm
前髪はそのままに、後ろは鎖骨くらいの長さのゆるくウェーブのかかった髪
元のピンク色より少し錆びた感じの色になった学ランを着用
女子の時につけていた太ももの装飾品がそのままズボンの上に付けられている
他にも色々スチームパンクっぽさが全開
男になって増した性欲を全て東条にぶつけている
みんなが元の性別に戻れるような発明品を開発しようと日々奮闘しており、生活面と性活面で東条に頼っている
酒のお陰で最近体調が凄く良くなった
女に戻る予定
【東条♂】
身長190cm
前髪はそのままに、後ろ髪は襟にわずかにかかるくらいの長さ
胸元の蜘蛛の巣柄と紫のタイはそのままに燕尾服になった
入間を優しく支える良きパートナーであり、みんなを支える執事
男になって体力が増え、力仕事も捗るようになったのでこのままでも良いと思っている
入間に対してとても甘くなってしまった
男のままでいる予定
【茶柱♂】
身長178.2cm
前髪はそのままに、後ろ髪の長さは肩くらいまでになった
ジャンプとかのスポーツ漫画に出てくる感じのスポーツマンイケメンタイプ
服装は、ゲーム冒頭のモブ茶柱のブレザーをそのままに、下をズボンにした感じ
性転換事件で一番得をした人物…と思いきや、先日黒幕の手によって自分も追加で性転換させられてしまった
惚れ薬の影響で王馬の可愛さに目覚め、今日もラブアタックし、女で居るように説得する毎日
夢野とは親友止まりとなるのであった
【非性転換組キャラ】
【白銀】
コロシアイ生活の黒幕であり、性転換事件のクロである
上記8名を性転換したことを糾弾された際、「自分は本当はレズで、最原♀が好きで犯行に及んだ」と偽証してその場を乗り切った
本当はただ視聴者アンケート(安価)の結果で行動し、無差別に性転換させていっただけである
そしてレズではなくノンケだし腐女子
最近の楽しみは、マザーモノクマの部屋で入間の研究室のモノチッチの映像を見て、入間と東条の営みを観察すること
外見だけなら春川♂が最高に好みだが、別に百田と春川の間に入るつもりは毛頭ない
最近アンジーに言い寄られて困っている
【赤松】
女子にセクハラするのが楽しくてよくやっているが、普通にノンケ
最原とは永遠に親友止まりとなると思いきや、色々あってお付き合い開始
元々変態気味だったが、性転換事件の際白銀と長時間行動を共にしたお陰で影響されてしまって変態に磨きがかかってきた
最近、白銀にカメラを習っている
最原は最高の被写体
【キーボ】
あの事件以来、内なる声がおかしなことを言い始めたので、自分の体が何かおかしなことになってのではないかと心配している
入間にメンテナンスを頼みたいが、最近忙しいようでメンテナンスされていないので、早くどうにかならないかと思っている
みんなの性別を元の性別として見続けているので、王馬に対しても容赦ない腹パンをお見舞いした
今後、夢野がどんなに酷いロボット差別を言い続けても夢野に腹パンする日は来ないだろう
【アンジー】
最原をお婿さんにしようとしていたのに、あの事件によって最原が女になってしまったので、他のお婿さん候補を探し中
東条を口説いてみたのだが、きっぱりと断られてしまった
東条の後は春川を口説いていたが、春百は強すぎた
惚れ薬の影響で白銀のことが好きになり、レズでも良いんじゃないかと思ってきだした
【夢野】
最近転子のラブアタックがなくなり、平和な日常を取り戻した
転子とはただの親友になった
モノクマにマジック用のハトが食われて全滅してハートがブレイクした
でもキッチンにハトを持ち込んだ夢野が悪い
【ゴン太】
みんなが異性になっても特に変わらない対応をしている
東条を紳士だと思っているので、東条を尊敬している
【星】
特に以前と変わらない
らーぶらーぶなカップル達を見てたまに、在りし日の彼女との思い出を思い出してセンチメンタルになる
百田♀「オレ達からのプレゼントはな…、これだ!」つ額に入った何か
赤松「……これは…!」
春川♂「…飲み会の時の写真をパズルにプリントしたんだよ」
春川♂「写真のデータは白銀に貰ったんだ」
百田♀「こないだガチャでミルクパズルっていう、宇宙飛行士の訓練なんかにも使われる真っ白いパズルが出てきてよ」
百田♀「これ何か使えるんじゃねーかと思って、ハルマキと一緒に写真を選んだんだぜ!」
春川♂「まあ、全員が写ってる写真が少なかったからさ、あんまり良いショットじゃないかもしれないけど」
赤松「凄く嬉しいよ…!」
赤松「ありがとう!百田くん、春川さん、白銀さん!」
モノクマ「それもね、印刷したのはボクなんですけど!」
王馬♀「まだ居たんだ」
モノクマ「ボクだけハブるとか酷くない?」
茶柱♂「モノクマーズもハブっちゃってますけどね…」
モノクマ「あんなのとボクを一緒にしないでよね!」
モノクマーズ「「お、お父ちゃん…」」in食堂の隅っこ
百田♀「勿論飾ってても良いんだけどよ、折角パズルなんだから遊んでくれよな!」
赤松「私に完成させることが出来るかな?」
春川♂「もし出来なかったら百田に頼めばいいんだよ」
春川♂「百田は白一色のパズルだって出来るんだからさ」
赤松「うん、じゃあその時は百田くんにお願いしちゃおうかな」
百田♀「おう!任せとけ!」
赤松「最原くん、今度一緒にこのパズルしようね!」
最原♀「うん!」
東条♂「…私からのプレゼントは、この料理ってことでも良いかしら?」
東条♂「ごめんなさいね。いつもより良い物を食べてもらおうと準備したのだけれど、準備に時間のかかる物ばっかりだったから…」
赤松「私、東条さんのお料理は大好きだし、こんなご馳走をみんなで食べられるなんてとっても幸せだから、勿論お料理だってプレゼントになりえるよ!」
東条♂「それは良かったわ。ありがとう赤松さん」
赤松「こちらこそ!」
王馬♀「えっとー、オレと茶柱ちゃんはケーキを作ったから、それがプレゼントってことでいいよね?」
茶柱♂「す、すみません、プレゼントを用意する時間がなくて…」
赤松「これ3つとも2人で作ったの?」
茶柱♂「ええ、まあ…。たまに東条さんに手伝っていただきましたが…」
赤松「でも凄いよ!後でみんなで有難くいただかせてもらうね!」
茶柱♂「はい!」
王馬♀「あ、ちなみに、ケーキのどれか1つのどこかにソラマメ入れたから、みんな奮って当ててね!」
茶柱♂「え!いつの間にそんなことを!?」
キーボ「ケーキにソラマメですか…」
王馬♀「キー坊は絶対当たらないよ!だって食べられないんだから!」
キーボ「……」
最原♀(とても寂しそうな顔をしている…)
東条♂「ソラマメ……フェーヴね」
王馬♀「うん、そうだよ」
赤松「えっと、フェーヴって?」
東条♂「一応、本来はそのままソラマメの意味なのだけれど…、フランスのお菓子のガレット・デ・ロワに入っている陶器製の小さな人形のことよ」
東条♂「公現節の日に家族でガレット・デ・ロワを切り分けて食べ、フェーヴが当たった人は祝福を受け、1年間幸運が継続すると言われているの」
東条♂「今ではフェーヴに使用されるのは陶器製の人形だけれど、昔はソラマメを使用していたことからその名称がそのまま付いたのよ」
真宮寺♀「ちなみに、ガレット・デ・ロワの起源は古代ローマにも遡るヨ…」マスクON
真宮寺♀「サートゥルヌス神を祀る農神祭で豆を1つ入れたケーキが出され、豆が当たった出席者を宴の王とする習慣があったそうだヨ」
真宮寺♀「この風習はブルボン朝の初期にも見られ、ルイ14世の宮廷においても行われていたらしいネ」
真宮寺♀「宮廷に出入りしていた者が奮って参加をしていたそうでネ、見事フェーヴを当てたれた者は王に対して願いを聞き入れてもらう権利を得られたそうだヨ」
王馬♀「要するに、王様ゲームの起源みたいな感じだね」
赤松「なるほど!MAX20へぇボタンだよ!」
最原♀(古いよ赤松さん…!)
東条♂「…王馬君、分かっていると思うけど…」
王馬♀「大丈夫だよ、後でね」
王馬♀「さて、次は星ちゃんの番だね!星ちゃんのプレゼントは何かな?」
星「…生憎だが俺は用意していない」
星「俺みたいな死刑囚から贈り物なんざ貰ったところで迷惑だろうからな」
赤松「そ、そんなことないよ!」
赤松「星くんからプレゼントが貰えなくてちょっと残念だよ」
赤松「……じゃあさ、プレゼントが無い代わりに、私のお願い聞いてくれる?」
星「お願い…?」
赤松「うん。私のピアノを聴いてさ、感想くれないかな?」
赤松「なかなか無いんだよね、私の演奏を聴いてくれる人に直接感想を聞ける機会が」
赤松「1人で練習してるか、コンサートとかが多いからさ」
赤松「だから、貴重な意見として聞きたいんだよ、星くんの感想がさ」
赤松「…駄目、かな?」
星「…ピアノを聴くのは構わねえが、俺は芸術的なことはさっぱりだからな」
星「赤松がそれでも構わねえってんなら俺はいいぜ」
赤松「うん!それで大丈夫だよ!」
赤松「えへへ、宜しくね!」
白銀「その演奏、今しない?」
赤松「えっ?」
白銀「ここでわたしのプレゼントその2だよ!さあ受け取ってよ!」つ袋
赤松「…これは…」袋から取り出す
赤松「パーティードレスだね」
白銀「うん!ピアノを弾く赤松さんに似合うと良いなって思いながら作った、ちょっと大人な感じのドレスだよ。あと袋の底の方にヒールも入れてるよ」
赤松「…そんなこと思いながら作ってくれたんだね…」
赤松「ありがとう…!」
モノクマ「はいはい、いい感じに盛り上がってきましたね」
モノクマ「ここで君達にスペシャルなプレゼントを用意しましたー!」
最原♀「スペシャルなプレゼント?」
モノクマ「テラスの方から外に出てご覧よ」
赤松「外?」スタスタ…ドアガチャッ
赤松「……ピアノだ…」
赤松(テラスを降りてすぐのところに、グランドピアノが置いてある)
赤松(近づいてみると、私の研究教室にあるものとは別の物だとわかる)
赤松(鍵盤をポンポンと叩いてみる)
赤松(…調律は完璧みたい)
白銀「モノクマもなかなか粋なことしてくれるね」
モノクマ「うぷぷ、演出って必要だよね」
モノクマ「だって普通に研究教室で弾いてたって、絵面がつまんないもんねー!」
赤松「…みんな…」
白銀「折角だし、弾いてくれたら嬉しいな」
入間♂「飯のBGMにしてやるよ」
ゴン太「ゴン太も赤松さんの演奏、聴きたいな」
キーボ「赤松さんの素晴らしい演奏を録音したいと思います!」
星「フッ…感想を言う約束だからな」
春川♂「早く着替えてきて弾きなよ」
夢野「ウチも音楽のことはよく分からんが、赤松の演奏を聴きたいと思っておるぞ」
百田♀「ジュピターとかならオレも知ってるぜ!良かったら弾いてくれよな!」
赤松「えっと、どのかな?」
百田♀「色々あんのか…、なんか壮大な宇宙を感じる曲の方だ!」
赤松「……ホルストの方かな?多分」
茶柱♂「転子は以前にも聴かせていただいた、ジュ・トゥ・ヴがまた聴きたいですね!」
東条♂「あら、リクエストの流れかしら?」
東条♂「それじゃあ私はバッハの『主よ、人の望みの喜びよ』とかをお聴かせ願いたいわ」
天海♀「じゃあ俺はシューマンのトロイメライでお願いします」
真宮寺♀「では私も……ショパンの英雄でお願いするわ」
アンジー「んー、夜だし何か夜想曲とかいいんじゃないかなー?」
王馬♀「あのね、夜想曲っていうのは夜を想う曲のことなんだよ?」
王馬♀「社交パーティーがお開きになって帰る時に『あー今日も楽しかったー!夜が明けちゃうとか、なんか寂しいなー』っていう気持ちを表したのが夜想曲(ノクターン)なんだよ」
王馬♀「だから『夜だから夜想曲』っていうのはおかしいよ、明け方の曲なんだから」
アンジー「なるなる、2へぇだねー!」
王馬♀「少な…」
王馬♀「あ、オレはリストの超絶技巧練習曲第4番ニ短調マゼッパが聴きたいな!折角の超高校級のピアニストの生演奏だもん!勿論第2稿でよろしく!」
赤松(24の大練習曲……!;)
最原♀「…僕は勿論、ドビュッシーの月の光がいいな」
最原♀「もし良かったらだけど、聴かせてくれないかな?」
赤松「……うん、いいよ!勿論だよ!」
赤松「ふふっ、みんながリクエストしてくれるなんて嬉しいな」
赤松「王馬くんは悪意しかないリクエストだけど…」
王馬♀「えー?純粋に聴いてみたいだけだよ。オレは作曲家の中でリストが1番好きだからね!」
赤松「まあ、いいけど…」
赤松「それじゃあ私、着替えてくるね!みんなは先に食べてていいよ!」
東条♂「リクエストしておいてなんだけれど、赤松さん空腹は大丈夫かしら?」
赤松「うん、全然平気だよ!曲の合間にちょこちょこ食べさせてもらおうかなって思ってるし」
赤松「ほら私、ピアノ馬鹿だし…」
赤松「友達にこんなにピアノを聴きたいって言われたの、初めてで嬉しいんだよね!」
赤松「嬉しくて空腹なんて吹っ飛んじゃうよ!」
東条♂「そう、なら良いのだけれど。無理はしないでね」
赤松「うん、大丈夫だよ!」
赤松「じゃあみんな、また後でね!」ドアパタン
全員「……」
東条♂「王馬君、フェーヴはどこかしら?」
王馬♀「このイチゴの下だよ」
東条♂「了解したわ」
キーボ「え!場所言っちゃうんですか!?」
春川♂「普通に考えて、主役の赤松に当たるようにすべきでしょ」
春川♂「そんなの私でもわかるよ」
キーボ「でもなんだか八百長みたいじゃないですか?」
天海♀「フェーヴは本家フランスでも子供にそれが当たるように大人たちがしていますから、まあそんなもんっすよ」
百田♀(そういうもんなんだな…)
キーボ「そ、そうなんですね…」
王馬♀「キー坊はロボットだからそういう人間の心遣いみたいなのが分かんないんだろうねー、ロボットだから!」
キーボ「何で2回も言ったんですか」
入間♂「ていうかそろそろ食っていいか?」
東条♂「…まあ、赤松さんも先に食べて良いと言っていたし、食べなければ逆に気を使わせてしまうかもしれないわ」
東条♂「みんな、少し食べましょう」
東条♂「もし冷めて美味しくなくなってしまった物があったら言って頂戴。温め直すわ」
入間♂「斬美の料理は完璧だからな、冷めても上手いぜ!」b
東条♂「ふふ、ありがとう入間さん」
みんなで小皿に料理を取り分ける
赤松「みんな、お待たせ!」ドアバーン
星「随分早いじゃねーか」
赤松「早く戻ってきたかったから、倉庫で着替えてきちゃった!」
赤松「あ、一応トイレの鏡でざっとチェックだけしてきたけどね?ダッシュで」
茶柱♂「あの、一応ヒールですし無理なさらないでくださいね;」
赤松「ちょっとくらい平気平気!」
赤松「あ、ねえ最原くん!これ、どうかな?変じゃないかな…?」クルッと回ってドレスを見せる
最原♀(赤松さんの今着ているドレスは彩度の低い落ち着いた紫色とピンク色をしたツートンカラーのドレスだった)
最原♀(恐らく白銀さんは、普段の赤松さんの制服のニットとスカートの色からそのままインスピレーションを受けたんだろう)
最原♀(紫色のスカートの上にピンクの布が何段もの大きなフリルを作って縫い付けられており、色で落ち着いた雰囲気をもたせたものの、そのフリルと胸元の大きなリボンで少女らしさもあるように見受けるデザインだった)
最原♀(…赤松さんが僕にドレスを見せる為に回った時、紫の布地とピンクの布地がしっかり下まで縫い合わされていないようで、スリットが深く入っており、脚が見えて少しドキッとしてしまった)
赤松「……あ、あの、最原くん…。やっぱり変なのかな?これ…」
最原♀「あ!ご、ごめん…。その、つい見とれちゃってて…」
赤松「…見とれてくれてたんだ」
赤松「ふふ!ありがとう!///」
最原♀「ごめんね、なんかまともな感想が出てこなくて…」
最原♀「えっと、凄く可愛いです…///」
赤松「…直球な感想を言われちゃうと、それはそれでなんか照れちゃうね…///」
2人「……///」
2人以外の全員「……」モグモグ
王馬♀「…ねえ、そろそろ弾かない?」
赤松「!そ、そうだったね!よし、頑張って弾くね!」
赤松「まずは百田くんリクエストのホルストのジュピターから弾くね!」
東条♂「テラスを開けっぱなしにして、みんな、テラスの方で立食しましょう」
百田♀「それに賛成だぜ!まあ折角だし近くで聴きたいからな!」
入間♂(ていうか白銀の研究教室から酒持ってくりゃ良かった…)
最原♀(それから赤松さんはジュピター、ジュ・トゥ・ヴ、主よ、人の望みの喜びよ、トロイメライ、英雄、夜想曲第2番、月の光…と、食事休憩を挟みながら弾いていってくれた)
ーーー
赤松「……」食事休憩中
最原♀「…赤松さん、何か顔が恐いけど大丈夫?」
赤松「う、うん…、次に弾くマゼッパのことをちょっと考えてて…」
赤松「うーん…」指ストレッチ
最原♀「難しい曲なんだね…?」
赤松「うん。…第3稿なら私もたまに演奏するんだけど、王馬くんの指定した第2稿はね……」モグモグ
赤松「ピアノの巨匠たちが演奏不可能って言ってる曲で、リスト自身が演奏してもちょっと厳しいって言われてる曲なんだよね…」
赤松「…一応、演奏してる人もいるけどね…」
最原♀(作曲者でも難しい曲なのか……)
最原♀「…第3稿を弾いても誰もわかんないんじゃないかな?」
赤松「だ、駄目だよ!ぜんぜん違う感じだから分かる人にはすぐ分かっちゃうし、それに折角リクエストしてくれたんだし、私頑張って弾くよ」
王馬♀「そうそう!頑張って駄目ならいいけど、最初からズルなんて考えたら駄目だよ?」
最原♀(いつの間に近くに居たんだ…)
王馬♀「ていうかそろそろケーキ食べない?」
王馬♀「オレ デザートな気分なんだけど、主役の赤松ちゃんが食べたいって言ってくれないとさ…ね?」
赤松「そうだね、じゃあ東条さんに切ってもらおうか」
東条♂「じゃあ、冷蔵庫に戻して冷やしておいたケーキを持ってくるわね」スタスタ
入間♂「ホントに食えるんだろうな…?」
茶柱♂「一応転子が味見しましたので、多分大丈夫なハズです!」
東条♂「私も少し手伝ったから味は保証するわ」
入間♂「じゃあ大丈夫だな!」
王馬♀「……」
茶柱♂「本当はケーキに立てる蝋燭でもあれば良かったのですが…」
赤松「無いものは仕方ないよ」
キーボ「それでは蝋燭はありませんが、改めてハッピーバースデーの歌を…」
白銀「蝋燭無いならもう切っちゃっていいんじゃないかな!?」
最原♀「それに賛成だ!」
同
意
最原♀(キーボくんを歌わせてはいけないからな…)
白銀(超初期の海外ボカロでももっとまともに歌うってのに、キーボくんのアレはなんなんだろうね…)
白銀(声は柿原っぽくていい感じなのに…)
東条♂「じゃあ切り分けるわね」
王馬♀「3つのケーキを15人で食べるわけだから、1つのケーキを5等分に宜しくね!」
キーボ「……」ショボーン
東条♂「……切るわね」
東条♂「切り分けが終わったわ」
東条♂「はい、赤松さんの分よ」
赤松「ありがとう!」
最原♀(確かあれにはソラマメが入ってるんだよな…)
東条♂「はい、最原くんも」
最原♀「ありがとう、東条さん」
夢野「…全員に行き渡ったようじゃな」
キーボ「……」寂しそうな顔
夢野「…んあー、そんな顔をされては食いにくいわい」
キーボ「スイマセーン…」
天海♀「皆さん、覚えてますよね?フェーヴが入ってたらその日から1年間幸運が継続するっす」
王馬♀「ちゃーんと王冠も用意しておいたから、当たった人は教えてね!」
茶柱♂「…王冠とは?」
天海♀「フェーヴが当たった人は王冠を被って祝福されるんすよ」
茶柱♂「ほほう」
王馬♀「ちなみに王冠はこちらでーす」つガムテームの芯に金の折り紙を切って貼って作った物
入間♂「それを王冠って…、ガキの工作じゃねーかよ」
王馬♀「オレ的には温かみを出そうと思ってあえてこんな感じに仕上げてみたんだよ」
入間♂「オメーの手先が不器用なだけじゃねーのか?」
東条♂「よく出来ていると思うわ」
入間♂「まあこういうのもアリだよな」
王馬♀「おい」
白銀「そのままだと戴冠してもすぐ落ちちゃいそうだから、ここに何故かあるカチューシャにくっつけるね」ちゃちゃっとガムテで合成
真宮寺♀「…じゃあそろそろケーキを頂きましょうか」
赤松「いっただっきまーす!」
全員「……」ジーッ
赤松「…あれ?みんな食べないの?」
最原♀「た、食べるよ。いただきます」パクッ
ゴン太「いただきます!」モグッ
真宮寺♀「私が食べさせてあげるわ。はい、あーん…」
天海♀「あーん…、いやー美味しいっすね」モグモグ
茶柱♂「それは良かったです!」
茶柱♂「転子と王馬さんの愛の結晶ですからね!」
王馬♀「東条ちゃんも手伝ってくれたよね?」
茶柱♂「はっ!そ、そうでした!失礼しました!」
東条♂「私は構わないわ」
王馬♀「オレは構うよ」
白銀「じゃあ、茶王with東条さん作ってことで」
王馬♀「変なまとめ方しないでよ!大体なんでオレが後ろなんだよ!」
白銀(そりゃあ、今の状態だと完全に受けだから…)
赤松「……」モグモグ
赤松「……あれ?」
最原♀「もしかして、フェーヴが入ってたとかかな?」
赤松「う、うん。なんか突然豆が…」
真宮寺♀「あら、当たりなようね」
天海♀「やりましたね」
茶柱♂「おめでとうございます、赤松さん!」
ゴン太「おめでとう!」
星「フッ、良かったじゃねーか」
百田♀「お、おお!今日主役の赤松に当たるなんてすげー偶然だな!」
春川♂(ちょっと下手すぎるよ百田…)
夢野「んあー!めでたいのう!」
キーボ「これで赤松さんは これから1年幸運ですね!」
アンジー「1年は終一とラブラブでいれるってことじゃないかなー?」
入間♂「オレ様と斬美のラブラブ度には及ばねーだろうがな!」
東条♂「おめでとう、赤松さん」
王馬♀「じゃあ折角だし、最原ちゃんが戴冠してあげなよ」つ王冠
最原♀「え、僕?」
白銀「おお、いいねいいね!」カメラ構え
最原♀「……えっと、じゃあ、赤松さん」
赤松「はい!」
最原♀「おめでとう。今年1年赤松さんに幸運が訪れますように…」王冠カチューシャをつける
最原♀(…とかでいいのかな?なんて言えばいいのかわかんないや…)
赤松「うん、ありがとうございます!」ニコッ
最原♀(……可愛い…)
アンジー「楓は今ドレス着てるし王冠被ってるしで、まるでお姫様だねー!」
赤松「お、お姫様!?」
アンジー「うん、綺麗だよ楓ー!」
赤松「あ、ありがとう…///」
最原♀「そうだね、絵本のお姫様みたいだよ」
赤松「も、もう、最原くんまでそんな恥ずかしいことを…///」
王馬♀「……じゃあ今年最初の運試し、マゼッパをミス無く弾けるかそろそろいってみよっか!」
赤松(折角忘れてたのに…!;)
赤松「……うー…、神様仏様リスト様ハワード様お願いします、ちゃんと弾けますように!」指わきわき
王馬♀「…レスリー・ハワード?ならまだ生きてるよね?」
ーーー
赤松「…………」演奏終了
最原♀(燃え尽きてる…)
赤松「ゆ、指が間に合わない……からちょっと遅くなる…、し、普通にミスもしまくっちゃった…」指わきわき
最原♀「……いや、でもあの動きと弾き方は凄いよ…」
王馬♀「オレからしたら暗譜してるだけでも凄いよ!」
王馬♀「指の動きもえげつなかったね!さっすが超高校級のピアニストだよ!」
赤松「…………」
東条♂「素晴らしい演奏だったように思うわ。感情も込められていて丁寧に引き上げていたように見えたもの」
赤松「第3稿!第3稿の方弾くよ!こっちの方が元々演奏会向きだしね!」演奏開始
最原♀(赤松さんはそう言って再び、超絶技巧技術をもって弾き始めた…)
演奏終了
真宮寺♀「凄かったわね…」
天海♀「ええ。それにやっぱり第2稿とは違うんすね」
王馬♀「オレは第3稿の方が好きだな」
最原♀(じゃあ何で第2稿をリクエストしたんだ…)
星「…赤松、いい演奏だったぜ」
赤松「本当!?ありがとう、星くん!私もこっちの方がちょっと自信あるんだよね!」ゼーハー…
東条♂「赤松さん、お疲れ様。飲み物を飲んだほうが良いわ」つオレンジジュース
赤松「ありがとう!ふー、いい汗かいたー…」ゴクゴク
最原♀(ピアノってスポーツなんだな…)
書き溜め分が終わったので一旦執筆終了です
新スレでこれから宜しくお願いします
序幕
コトコト。
コトコト。コトコト。
鍋の中から湧き上がる蒸気が蓋を揺らしている。
家庭科室の中は魚が腐ったかのような生臭いにおいが充満していた。
鍋の中で煮込まれている肉は、かつて翔太の『友達だったもの』である。
食用にカットされて、野菜と一緒に煮込まれている今となっては、人間だった頃の面影は何処にもない。
「待っていてね。翔太くん。もう直ぐ準備が出来ると思うから」
鍋の中をゆっくりと掻き回しながらも翔太の様子を伺うのは、同じクラスの遠藤由紀である。
先程まで『友達だったもの』を捌いていたからだろうか。
首にかけた由紀のエプロンは血の赤に染まっていた。
これが悪い夢を見ているだけなのであれば、どうか醒めて欲しい。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
翔太は今日に至るまでの日々を回想することにした。
ゲーム1 十二指腸
TO 天野翔太
件名 第1回 友食いゲーム
状態 健常者
ワクチン 十二指腸
秋の訪れを告げる金木犀の香りが風に乗って教室の中に運ばれてくる。
日当たりの良い南向きに作られた教室は、カーテンに遮られていても尚、沢山の光を集めていた。
天野翔太は購買部で買ったばかりのパンを片手に席に着く。
昼休みの教室は喧噪感と弁当の匂いで包まれていた。
「なぁ。翔太。お前のところにも例のメール届いたか?」
背の高い1人の生徒が翔太の隣にドッシリと座る。
男の名前は赤星遊岳(あかほしゆうがく)。
翔太とは幼稚園の時から苦楽を共にする幼馴染の関係である。
運動神経の良かった遊岳は、1年生ながらにしてバスケットボール部でレギュラーを務めていた。
「例のメールって……ワクチンがどうのっていうやつ?」
「ああ。何でもあのメールはウチのクラスの生徒全員に一斉に届いているらしいぜ。不気味だよなぁ」
大した気にも留めていない様子で遊岳は弁当箱のフタを開ける。
中から出てきたのは一面の黒。
全国の男子高校生たち御用達のり弁であった。
遊岳は冷えた白米を無造作に口の中に運んでいく。
「単なる悪戯だろ。あまり興味ないかな」
「ハハッ。まぁ、今の翔太はそれどころじゃないって面をしているよなぁ~」
考えていることが表情に現れやすいというのは、幼い頃より指摘されてきた翔太の欠点であった。
目敏く翔太の思考を見抜いた遊岳は、意味深な笑みを浮かべる
「小春さんと何か進展あったか?」
遊岳の言葉は矢のように翔太の胸を打ち抜いた。
動揺した翔太は思わず食べていたパンを喉に詰まらせてしまう。
「んだよ。この前、告るって言っていたのに、まだ何もしてねーの?」
「わ、悪かったな。俺はお前と違って慎重派なの。今はベストなタイミングを伺っているの」
普通の男子高校生にとっては、告白という一大イベントはおいそれとは実行できないものであった。
成績優秀。スポーツ万能。容姿端麗。
あらゆる才能に恵まれた遊岳は、子供の頃から、女という女にモテまくった。
翔太は思う。
遊岳の頭の中には手酷い振られ方をしてショックを受ける、というパターンは最初から想定されていないのだろう。
「でもよぉ。モタモタしてっと、他の男に取らてちまうぜ? 小春さんを狙っている男子ってウチのクラスに結構いるからな」
「ううっ。分かっているよ」
異様に具の少ないコロッケが挟まったパンを齧りながらも、チラリと小春の方を盗み見る。
教室の隅で昼食を取っている小春は、遊岳と比べると4分の1くらいのサイズの小さな弁当箱で食事を取っていた。
佐伯小春は無口で掴みどころのない生徒であった。
学年トップクラスの成績と可憐な容姿を持ち合わせているにもかかわらず、あまり他人と関わろうとしない。
いつもポツンと教室の隅にいて、窓の景色を眺めているようなことが多かった。
(んん? 小春さんが俺の方に近づいてきたぞ)
最初はトイレにでも行くのかと思っていたのだが、どうやらそういうわけではないらしい。
翔太と遊岳が陣取っている窓側の席は、掃除の時間でもない限り、他の生徒が足を運ぶことのないエリアだった。
「天野くん。ちょっといいかしら?」
「……は、はい!?」
思わず上擦った声で返事をしてしまう。
(な、何が起こっているんだ――!?)
異性との交際経験はおろか、好きな女子とまともに会話すらしたことがない翔太は完全に動揺していた。
翔太と小春の出会いは今から半年ほど前の――入学式の日にまで遡る。
今にして思うと、完全に一目惚れであった。
翔太は桜散る木の下で物憂げに佇んでいる小春を目の当たりにして、心奪われたのである。
「何か用かな?」
「あのね。天野くんに少し聞きたいことがあって。他の人には聞かれたくないことだから屋上に来てもらえない?」
「……ああ。うん。分かった」
小春に誘われた翔太は、ゆっくりと席を立つ。
何気なく振り返ってみると、ニヤニヤとした表情を浮かべる遊岳の姿が目に入る。
(お前は息子の恋路を見守る母親かっつーの!)
文句を言ってやりたい気持ちに駆られるが、好きな人を待たせるわけにもいかない。
翔太はドクドクと脈打つ心臓を抑えながらも、目の前の少女の小さな背中を追っていく。
県立桜坂高校は地元の人間の間ではそれなりに知名度のある進学校である。
堅実な進学実績と洗練されたデザインの制服を併せ持つ桜坂高校は、街全体を覆う過疎化の煽りを受けても、受験生たちに底堅い人気があった。
「ごめんね。急に呼び出しちゃって」
小春に案内されるままに翔太が向かった先は学園の屋上であった。
心地の良い秋風が肌を撫でる。
昼休みの屋上は、一緒に昼食を取りたいカップルたちにとっても憩いの場となっていた。
「いや。大丈夫だよ」
屋上には翔太たち以外に3組の男女が昼食を取っていた。
そのどれもが一目で恋人同士だと分かるほどに距離が近い。
翔太の緊張は自然に強まっていく。
(――この状況ってアレだよな? どう考えても愛の告白が始まるシチュエーションだよな?)
これから始まるバラ色の学校生活を想像すると、胸が弾むかのようだった。
「天野くんのところにも例のメールって来ているよね?」
「ああ。うん。来ているけど……」
「実を言うとね。私のところにもメールが来ているんだ」
小春は不安気な表情で携帯の画面を翔太の方に向ける。
TO 佐伯小春
件名 第1回 友食いゲーム
状態 感染者
ワクチン 十二指腸
ドナー 天野翔太
(――お、俺の名前?)
そこで翔太は遅まきながらも小春の用事が愛の告白ではないことに気付く。
「他の友達にも確認したのだけど、『感染者』と書かれているのが私だけだったの。だから不思議に思ったのよね。天野くんはどうだった?」
「えーっと。たしか健常者って書かれていたはずだけど」
ポケットの中から携帯を取り出して確認してみる。
よくよく見比べてみると、翔太に送信されたメールの内容は、小春のものとは微妙に違っていた。
「……そう。天野くんも健常者だったんだ」
小春は何事か呟くと1人で推理を進めているようであった。
小春には幼い頃からこういった一面があった。
他人に対しては無関心な割に、身近な『謎』に対してはやたらと好奇心が強く、1人で推理を重ね悦にふける。
周囲にいた大人たちは、そんな何処となく浮世離れした小春の将来を心配に思うことが多かった。
「――よ、用事っていうのはそれだけ?」
「うん。ごめんね。くだらないことに付き合せてしまって」
小春は小さく頭を下げると、そのまま屋上を後にしようとする。
(まずい! このままでは小春さんが行ってしまう!)
思い返してみれば、高校に入ってからというもの、翔太は堕落しきった学生生活を送っていた。
とある事件がきっかけで小学校から続けていたバスケットボールを辞めた翔太は、特に何をするでもなく家と学校を往復するだけの日々を過ごしていた。
ここで声をかけなければ一生この生活から抜け出せないかもしれない――。
そう考えた翔太は大きく息を吸った後、小春の肩に手をのせる。
「小春さん!」
振り返った小春は、呆気に取られた表情を浮かべていた。
風に靡く黒髪が愛おしくて、自然と声が出ていた。
「好きです! 初めて会った時から貴方のことが気になっていました!」
小春は最初、驚いたような素振りを見せるが、やがて、俯きながらも顔色を赤くしていく。
(おおお!? この反応はもしかして……脈アリなのか!?)
小春のリアクションに確かな手応えを感じた翔太であったが、そこで違和感に気付く。
いくら緊張していても人間の顔はこんなに赤くはならない。
小春の顔はストーブの上に置いた餅のように膨らんでいく。
――その時だった。
乾いた音が聞こえたかと思うと、膨らみ切った小春の頭が爆発して、内容物を飛散させた。
なんだこれ。
なんだこれ。なんだこれ。なんだこれ。
訳も分からず翔太は頬に飛び散ったものに手を伸ばす。
掌の中にある肉片が、小春の体から出てきたモノの一部であることに気付くまでに暫く時間がかかった。
一体どれくらいの間、立ち呆けていただろうか。
大好きだった女の子が目の前で肉塊に変り果ててしまった。
悪夢であれば醒めて欲しいが、目の前に転がる肉塊が放っている圧倒的な存在感は現実逃避を許さない。
「誰かに……知らせないと」
既に屋上の生徒たちは小春の死に気付いて騒ぎ立てていた。
振り返った翔太は覚束ない足取りのまま屋上を後にする。
「よっ。結果はどうだったよ。リア充めっ!」
教室に戻ると、遊岳はニヤニヤとした表情で翔太のことを出迎える。
「おい! 小春さんに連れ出されたって本当かよ!?」
「クソ~ッ! 遊岳はともかく……お前だけは俺の仲間だと思っていたんだけどなぁ~!」
事情を知らないクラスの男子たちは好き勝手に囃し立てている。
もともと小春は男子からの人気が高かっただけに、翔太に向けられる眼差しには、何処か嫉妬の感情が籠っていた。
06「蝶翼のダイバージェンス」
●シュタゲ●
2011/05/2822:29 0 0
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トランザム!!
全裸空間wwwwwwwwwwwwwwwwww
刹那といいタクトといい、脱ぐのがもはやデフォに
ラボメンが増えるよ!やったねオカリン!
女性率が着々と上がっるwwww
シャイニングフィンガーまでラボメンになるとは・・・
このまま行けば、下のブラウン屋で働いてるゆかりんとか、メイド喫茶のモモーイもラボメン入りか??
戦士は何かしら関わりありそうだし
どうでもいいけどダイバージェンスイヴってアニメ、昔やってなかったっけ
を渡され、自分の持ってきた荷物を担ぎ、廊下(ちなみにここは普通の学校だった、それならなぜ普通の教室を使わなかったのかは疑問だったが)を歩いているうちに考えた、自分の次に学校を出発する広河ますみ(女子十五番)を待つことにしようと。
実は彼女は、クラス内では誰も知らなかったが(いや、一人いたな、岡村恭平(男子四番)が知っている)山口勇介(男子二十一番)たちのグループとかなり仲が良かったのだ。それは彼女が転校してくる前からそうだった。ますみが転校してくる半年ほど前(彼女は元から地元には住んでいたのだが、どこぞのお嬢様校に通っていた)、彼女がそこら辺の不良ぶった小学
11月という季節はやけに日が早く沈み始める。
12月に冬至があるらしいが、この時期は俺にとってはすでに冬は始まっている。
身も心も急激に寒くなる。
思い出したくない11月……。
「おい!広樹!そっちに行ったぞ!!!」
大声で俺の仲間が叫んだ。
それと同時に1人の男が俺の方へと走って来た。
その男は
「ど、どいてくれ!頼むから!!」
俺に頼む男の声は裏返りながら、泣きそうなトーンだった。
表情は今にも死んでしまいそうな程青ざめていた。
そしてその男は俺の真横を通り過ぎて行こうとした。
俺は男に真横から拳を顔面叩きつけた。
男は大きく倒れ込む。
倒れ込んだ男を俺の仲間が追って来た。
「わりぃ!もう少しで逃がしちゃうとこだった!……てかさすが広樹だな。」
さすが?何がだ?
「一発で仕留めるなんて俺達じゃ出来ないもんな!」
まぁ、そうだろうな……。
「てめぇ!誰に喧嘩売ってんのか分かってんのか!」
俺の仲間の『新保雷太』(しんぽらいた)は倒れた男を睨みつけた。
「すいませんでしたぁぁ!!」
その男は俺達に土下座をし始める。
その間に他の仲間も集まって来た。
「何こいつ?謝ってんの?」
「調子に乗って喧嘩売る奴がわりぃんだろ!」
「でもよりによって広樹の方に逃げたのが不運だね!」
すると雷太が俺に尋ねてきた。
「どうするこいつ?どこかに拉致る?」
まぁそれも面倒臭いな……。
「じゃあ全裸にして表に連れて行こう!」
俺がそう提案すると全員一致で決まった。
「翔太。元気出せって。世の中には女なんて星の数ほどいるんだからよ」
異変を察した遊岳は翔太の肩にポンと手を置いた。
――振られたくらいで済んでいたらどれだけ救われただろうか。
それにしても先程の光景はなんだったのだろう。
未だに現実味がなさすぎて思考が上手くまとまらない。
「うおっ。つーか、翔太、その汚れはなんだよ!? ペンキでも被ったのか!?」
掌に付着した汚れをマジマジと見つめながらも遊岳は驚きの声を漏らす。
普段は勘の鋭い遊岳だったが、屋上で起きた出来事について完全に想定の範囲外であった。
(……とにかく俺が見たままの状況を伝えよう)
覚悟を決めた翔太が小春の死を説明しようとした直後であった。
「おい! マジでヤベェぞ! このメール!」
教室にいる生徒たちがスマホを片手に騒ぎ始める。
異変に気付いた翔太はポケットの中から携帯を取り出すと、新着のメールが届いていた。
送信元となっているのは未登録のメールアドレスだった。
この男は俺達のグループの女メンバーをナンパして来た。
かなりしつこかったので俺達が呼び出されて出動した訳だ。
年齢は20前後だろう。
裸で路上に放り出されたその男を見てみんな笑っている。
あの男も悔しいだろうな。
俺達まだ中学3年のガキだぜ。
こんな子供のグループにやられてちゃ、今後この辺は歩けないな。
でも仕方ない。あいつが俺達に喧嘩を売るから悪いんだ。
男を放置して俺達は家に帰る事にした。
帰り道は途中まで彼女の『中野美幸』(なかのみゆき)と歩いて帰るのが日課だった。
「ねぇ広樹?明日帰りに映画見に行かない?」
美幸は俺に腕を絡ませてくったくのない笑顔でデートの申請をする。
「……明日は無理だ!」
美幸はあからさまに不機嫌そうな顔をして
「何で?今日だってせっかく日曜だったのにみんなと遊んでたんだから、平日くらい2人っきりで遊ぼうよ!」
……。
「明日は姉ちゃんの命日で墓参りに行くんだ。」
美幸はハッとした表情で
「あ、そうだったね……。ごめんね!」
別に謝らなくてもいいんだけどな……。
「じゃあまた今度誘うね!バイバイ!」
そう言って俺と美幸は別々の方向へと帰って行く。
あれから3年か……。
中学に入ってから一気に時が進んで行く。
無限とも思えた小学校生活は終わり、その代り人生の岐路に立たされる受験がそこまで近づいている。
受験なんていっても俺が行ける高校なんてたかだか知れているが……。
この街には高校が3つある。
学力で言えば上中下と上手い事別れている。
ほとんどの地元民はこのどれかを受験する。
俺もその1人で志望校は1番難易度の低い高校だ。
俺のグループの仲間も何人かはそこに行く。
おそらく彼女の美幸もそうだろう。
中学に入ってから喧嘩ばかりしていた俺が高校に行けるだけでもよしとするか。
そうこう考えながら家に辿り着く。
中々馴染まない『愛川』という表札を横目に家の鍵を開けて部屋へと上がる。
俺は自分の部屋に入る前に姉ちゃんの部屋に入った。
……3年前とほとんど変わらない。
たまに母さんが掃除しているけど、それ以外は何も変わっていない。
姉ちゃんの机、その上に整頓されている教科書。
本棚には漫画や小説など様々な本が並べられている。
ベッドの布団は薄いピンクで、ぬいぐるみが置いてある。
……いかにも女子の部屋だ。
姉ちゃんが死んだのは3年前の明日。
その時の姉ちゃんは中学3年で今の俺と同じ年だ。
あの時は姉ちゃんがやけに大人に思えたけど、もう追いついちゃったな。
身長も今では俺の方が高い。
変わらない姉ちゃんの部屋とは違い、俺の生活環境は激しく変わった。
あの頃は力もなく何も守れない弱い男だった。
でも今は俺は多くの守る対象がある。
「なんだよ……これ……」
件名 ゲーム1 結果発表
死者数 1/40
死者名 佐伯小春
偶然と呼ぶにはあまりにも出来過ぎたタイミング。
メールには首から上の部分が弾け飛んだ小春の画像が添付されていた。
「――――ッ!」
瞬間、翔太の脳裏に再生したのは、異常なまでに頭が膨れ上がった生前の小春の姿であった。
翔太は咄嗟に口元を抑え、胃の奥からせり上がったものを押し戻そうとする。
「これ、ウチの学校の屋上じゃね?」
「ああ。今から見に行こうぜ!」
画像を見た生徒たちは、目を爛々と輝かせていた。
まるで小春の死が面白くて仕方がないといった様子である。
「なぁ、翔太。この写真に写っているのって小春さんだよな? お前……何か知っているんじゃねーか?」
野次馬たちに嫌悪感を抱いていても無意味だということは分かっている。
翔太は今日あったこと出来事を全てクラスメイトに打ち明けることにした。
髪の毛
TO 天野翔太
件名 第2回 友食いゲーム
状態 健常者
ワクチン 髪の毛
窓の外から差し込んだ朝日が部屋の中を照らし始める。
天野翔太は学校から電車で2駅ほど離れた場所にある、分譲マンションの一室で母親と2人暮らしの生活を送っていた
(クソッ! なんなんだよ。このメール!)
翔太は苛立ちを抑えきれずに手にした携帯をベッドの上に叩きつける。
冷静になって考えてみると、小春の死には色々と不可解な点が多かった。
教師たちは『最初からこうなることを知っていた』かのように小春の死についての話題に触れようとしない。
警察についても同様である。
小春の死について事情聴取すらせずに何も動く気配がない。
喩えるならそれは人間の死がゲームのように軽く扱われているかのような奇妙な感覚であった。
姉ちゃんが死んで……いや死ぬ前の苦しみや悩みも知らないで、俺は平然と生きていた。
俺がもっと頼れる男だったら、頼れる人間だったら姉ちゃんの苦しみを和らげてあげられたかもしれない。
姉ちゃんが死んだ時に、そうやって強く思った。
だから俺はさぼりがちだった空手の道場にも、積極的に足を運ぶようになった。
もっともっと強くなる。
強くなって大事なものを守る。
二度と無くさない様に俺は誰からも頼られる人間になる。
そう決意して3年間生きてきた。
おかげで喧嘩に明け暮れる毎日だ。
いつの間にか空手の道場も行かなくなってしまったが……。
だけど、それでも俺の周りには人が集まって来た。
基本は不良の奴が多いが、真面目な奴もいるし、女子だっている。
今はこの仲間たちが何よりの宝だ。
この宝だけは絶対に失うもんか!
「よぉ。翔太。はよっ」
制服に着替えて、電車に乗り、学校に到着した翔太を出迎えたのは、遊岳の軽快な挨拶であった。
「遊岳。あの花は……?」
「ああ。クラスの女子が買ってきたらしいぜ。辛気臭いったらありゃしねぇわな」
小春の机の上には花の入ったビンが置かれていた。
中に入っていたのは紫色の花弁が美しい紫苑の花である。
何処かミステリアスな雰囲気を持った紫苑の花は、生前の小春の姿と重なる部分があった。
(……そうか。本当に小春さんは死んだんだな)
どんなに目を凝らしても教室の中に小春の姿を見つけることは出来なかった。
生きていれば今頃は教室の隅で小説を読んでいたのだろう。
「翔太。お前のところにも例のメール届いたか?」
「ああ。こんな時だっていうのに……気味が悪いよな」
「念のために聞くが、今朝のメール、お前は『健常者』だったか?」
「そうだけど……。だから何なんだよ」
「――ここだけの話なんだけどな。オレはこの『友食いゲーム』っていうのと小春さんの死が何か関係しているような気がしているんだ」
「……はぁ!?」
遊岳の発言を受けた翔太は頓狂な声を上げる。
「もしかしてお前……そういうオカルトを信じるタチだったのか?」
「お前も言っていただろ? 小春さんだけメールに『感染者』と表示されていたって。あの後、気になって調べてみたんだが、小春さん以外のクラスメイトは『健常者』って表示されていたんだよ。ウチのクラスは全員で40人もいたんだ。これが単なる偶然だと思うか?」
「…………」
遊岳の言葉は翔太の胸を目掛けて矢のように突き刺さる。
たしかに偶然と呼ぶには色々と確率が偏り過ぎているような気がする。
しかし、翔太は納得できなかった。
人間の死がメールによって決定されていたなんて誰が信じるというのだろう。
仲間を守る為なら何だってする。
仲間を傷つける様な奴がいたら、とことん追い詰める。
俺が全員をきっちり守る。
だから姉ちゃんもそっちで見守っててくれ。
俺は姉ちゃんの写真が入った写真立てを手に取り、姉ちゃんに再度誓った。
その時母さんが帰って来た。
「広樹、あんたまたこの部屋に来てるの!」
母さんは呆れた表情をしながら俺に言った。
「全く、あんたのシスコンぶりには母さん引くわよ。」
うるせぇな……。
「もうあれから3年経つのよ。いい加減姉離れしなさいよ!」
俺は写真立てをそっと元の位置に戻して姉ちゃんの部屋を出た。
母さんはその俺の様子を見ながら、茶化す様に話しかけて来る。
「どうせ明日も墓参りに行くんだから、今日くらいゆっくりさせてあげなさい。
ねぇ美穂!」
母さんは姉ちゃんの写真に向かって話しかけ、部屋のドアを閉めた。
「オレの予想が正しければ今日もまた……新しい『感染者』が選ばれているはずだ」
「ちょっと待て。ということはつまり『感染者』に選ばれた奴は、小春さんと同じように死んじまうってことか?」
「ああ。そうなるかもな」
その時、翔太の脳裏に過ったのは生前の小春の姿である。
ここで遊岳の言葉を『ありえない』と一蹴するのは簡単である。
けれども、たとえ1パーセントでも可能性があるなら見過ごすことはできなかった。
「感染者を探そう。俺が男子に聞いて回るから、遊岳は女子を任せた」
「おうよ。お前ならそう言うと思っていたぜ」
それから。
翔太と遊岳は授業の合間の休憩時間を利用して、クラスメイトのメールをチェックしていくことにした。
総勢40名のクラスメイトたちのメールを確認するのは意外なほどに骨が折れた。
「翔太! 感染者を見つけたぞ!」
2人が感染者を見つけたのは昼休みのことであった。
「……そうか。感染者は由紀さんだったか」
「ねぇ。天野くん。感染者ってどういう意味なの?」
2人目の感染者――遠藤由紀は小春と同じ文芸部に所属している女の子であった。
思わず守ってあげたくなるような柔らかい雰囲気を持った由紀は、小春の影に隠れてはいたが、男子からの人気も高かった。
TO 遠藤由紀
件名 第2回 友食いゲーム
状態 感染者
ワクチン 髪の毛
ドナー 飯島奈緒
「――同じだ」
由紀に届いたメールは、以前に見た小春のメールと同一の内容のものであった。
状態の項目に書かれている単語が『健常者』と『感染者』で異なっている上にドナーの項目が追加されていた。
「由紀さん。落ち着いて聞いて欲しい。もしかしたらキミの命に関わることになるかもしれないんだ」
「……どういうことですか?」
「小春さんが変死する直前に届いたメールと、由紀さんに届いたメールの内容が一致している。もしかしたら次に危ないのは由紀さんかもしれないんだ」
「そっか。だから小春……昨日は様子がおかしかったんだ」
もともと小春と仲が良かった由紀は、彼女の様子の変化について誰よりも早く勘付いていた。
机の上に置かれた紫苑の花も、由紀が用意したものだったのである。
次の日になり姉ちゃんの墓参りに行く為に学校を休む事にした。
母さんと花と線香を持って墓に向かう。
墓地は家から車で1時間くらいの所にあり、少し遠い。
俺は勉強が嫌いだが、学校は好きだ。
理由としては仲間といつだって会えるからだ。
だからよほどの事がない限りは学校を休む事はしたくない。
だが今日だけは別だ。
姉ちゃんの墓参りだけはきっちりしたい。
彼女や仲間に会えなくても今日だけは我慢出来る。
そうこう考えているうちに墓地に辿り着く。
墓地は結構広いのだが、さすが月曜の昼間というだけあって、人はあまりいなかった。
俺と母さんは水道で水を汲んで姉ちゃんの墓に向かった。
すると姉ちゃんの墓の前に人が立っていた。
身長は180センチ程で、俺より高い。
髪の毛は茶髪で、皮ジャンを着ている。
その男はしばらく姉ちゃんの墓を見つめていたが、俺達の存在に気付くと、目も合わさずにこの場を去って行った。
「誰だろあれ?」
俺が素朴な疑問をすると母さんは
「さぁ?美穂の友達かしら?」
姉ちゃんに男友達?
そんなの見た事も聞いた事もない。
姉ちゃんはいつも彩菜と一緒にいた。
男の友人で墓参りに来る程の人間なんて考えられない。
でも今の男の人……横顔しか見ていないけど、どこか寂しそうだった。
やっぱ姉ちゃんのツレなのかな?
ただそれにしては少しいかつい雰囲気の人だったけど……。
「さあ広樹!お墓に水をあげて。」
あぁそうだな。
姉ちゃんに水をやらなきゃな……。
「遊岳。もしメールの内容が真実だとして、由紀さんを助けてやる方法って何かないかな?」
「ああ。オレもそれを考えていた。『ゲーム』っていうくらいだし何かしらの救済措置があるはずだろう」
遊岳の言葉をヒントにするならば気がかりなのは、『ワクチン』と『ドナー』の欄だった。
感染者を健康に戻すために必要なのは、『ワクチン』に書かれている『髪の毛』の可能性が高い。
けれども、ここで問題になってくるのはドナーとして表示されている女生徒の名前だった。
「……チッ。よりにもよって奈緒かよ。やりづれぇ」
翔太としても遊岳と同じ意見だった。
1―Aのクラスの中でも飯島奈緒は、派手な外見と苛烈な性格で有名であった。
プライドが高く、リーダーシップも強いためにクラスの中では女王のポジションに君臨している。
真面目で大人しい由紀とは良くも悪くも由紀とは正反対の人間であった。
「遊岳。俺が突撃するから、サポートの方を頼んだ」
覚悟を決めた翔太は、奈緒たちグループが昼食を取っている席に移動する。
時刻は既に小春が死んだタイミングと同じ――昼休みに突入している。
もしも遊岳の推測通りにゲームの結果が人間の死にかかわるのであれば一刻の猶予もなかった。
「ねぇ。ちょっといいかな」
クラスでは女王の地位についている奈緒は、常に2人か3人の取り巻き立ちと昼食を取っていることが多かった。
中でも奈緒と親しい生徒は2名。
諸星留美と新島亜衣である。
いわゆる白ギャル・黒ギャルと言われる容姿をした2人は、クラスの女子の中でも奈緒に次ぐ発言力を持っていた。
「はぁ。なんだよ。翔太」
翔太の方を向くなり、奈緒は退屈そうな表情を浮かべていた。
「少し変な相談になるかもしれないんだけど……。髪の毛を少しだけ分けて欲しいんだ」
翔太は笑顔を取り繕いながらもポケットの中からハサミを取り出す。
「ブッ。ウケるんですけど~」
「天野。それヤバイよ~。完全に変態じゃん!」
翔太の言葉が2人の女生徒のツボに入ることになる。
奈緒の取り巻きである留美と亜衣は、わざとらしく手を叩いて笑っていた。
「なにそれ。意味わかんないんですけど」
状況は悪化の一途をたどっていた。
笑いものにされたことに苛立ちを覚えた奈緒は、不機嫌そうに毛先をクルクルと指で回していた。
普通に頼んでも交渉は困難だろう。
そう考えた翔太はここまでの経緯を正直に説明することにした。
ウェインライト(????)
クラス:セイバー
身長:190cm/体重:84kg
出典:
地域:妖精郷(自称)
属性:中立・中庸
性別:男
イメージカラー:黒
特技:殲滅、手助け
好きなもの:アロマセラピー、昼寝、勉強/ 苦手なもの:会話
武装:深紅の剣、黄金の剣、選定の剣
天敵:過去
の陰陽師、土御門小夜(さよ)。
今、僕は『才囚学園』とかいう学校の前に立っている…
僕が其処に立っている理由は聞くまでもないだろう。勿論、53回目の『コロシアイゲーム』に参加する為だ。
時は1カ月前に遡る。
学校から帰った直後に、コロシアイゲーム……『ダンガンロンパ』の関係者が訪ねてきて、
「陰陽師という素晴らしい才能を持つ君に、ぜひダンガンロンパに参加して欲しい」と言うのだ。
勿論最初は断ったが、まあいろいろあって最終的には承諾した。
………………というわけで、僕は平凡な高校生が決して外出しないような時間(丑三つ時)に、1人でこんなところにいるわけだ。
荷物の持ち込みは事前に許可してもらったため、着替えやら調べている途中の古文書やら愛用している楽器やら、大荷物である。
ーーーったく、本当に面倒。
そう思った時、左半分が白、右半分が黒の奇妙なクマのぬいぐるみがこちらに向かって歩いてきた。
『あんたって確か………''モノクマ"だっけ……』
「うぷぷ…土御門さんだね!そうだよ、僕はモノクマ!この才囚学園の学園長だよ??
さあさあ、他のみんなが寝てる間に、とっととスタンバイしないとね!」
そうして、モノクマは学園の中へ僕を引っ張っていく。
ーーそっか、もう他の参加者…………平凡な高校生たちはもう顔合わせ済みなんだっけ。
そして、ある教室に辿り着く。
「うぷぷ……じゃあ朝まで眠っててね~!」
と、いきなり睡眠薬を吸わされ、僕の意識は強制的に闇へ…………
は真っ暗。
…………というか閉じ込められてる??
[続く]
250万DLを突破、劇団員たち20名のソロ曲の制作も決定して勢いに乗るイケメン役者育成ゲーム『A3!』のコミカライズが本日発売のコミックゼロサム5月号にて発表されました!
「少し変な相談になるかもしれないんだけど……。髪の毛を少しだけ分けて欲しいんだ」
翔太は笑顔を取り繕いながらもポケットの中からハサミを取り出す。
「ブッ。ウケるんですけど~」
「天野。それヤバイよ~。完全に変態じゃん!」
翔太の言葉が2人の女生徒のツボに入ることになる。
奈緒の取り巻きである留美と亜衣は、わざとらしく手を叩いて笑っていた。
「なにそれ。意味わかんないんですけど」
状況は悪化の一途をたどっていた。
笑いものにされたことに苛立ちを覚えた奈緒は、不機嫌そうに毛先をクルクルと指で回していた。
普通に頼んでも交渉は困難だろう。
そう考えた翔太はここまでの経緯を正直に説明することにした。
「ふ~ん。で?」
「で? って。俺の話を聞いていたのか?」
「知らないわよ。アタシが髪に幾ら費やしていると思っているの? そんなウソくさい話、信じられないし」
奈緒からすると翔太の提案は到底飲めないものであった。
彼女が髪の毛に対してかけている費用は、カット、トリートメント、カラーリング、パーマで月に1万円にも上る。
何の根拠もない事情により、髪の毛を切るのは我慢のならないものであった。
もしかしたら人の命がかかっているかもしれないのに――どうしてこう冷酷でいられるのだろうか。
奈緒の身勝手な物言いを受けて翔太は頭に血を登らせていた。
「翔太。まぁ、落ち着けよ」
後ろからポンと肩に手を置かれる。
振り返ると、そこにいたのは柔らかい笑みを浮かべる遊岳だった。
「少し変な相談になるかもしれないんだけど……。髪の毛を少しだけ分けて欲しいんだ」
翔太は笑顔を取り繕いながらもポケットの中からハサミを取り出す。
「ブッ。ウケるんですけど~」
「天野。それヤバイよ~。完全に変態じゃん!」
翔太の言葉が2人の女生徒のツボに入ることになる。
奈緒の取り巻きである留美と亜衣は、わざとらしく手を叩いて笑っていた。
「なにそれ。意味わかんないんですけど」
状況は悪化の一途をたどっていた。
笑いものにされたことに苛立ちを覚えた奈緒は、不機嫌そうに毛先をクルクルと指で回していた。
普通に頼んでも交渉は困難だろう。
そう考えた翔太はここまでの経緯を正直に説明することにした。
「ふ~ん。で?」
「で? って。俺の話を聞いていたのか?」
「知らないわよ。アタシが髪に幾ら費やしていると思っているの? そんなウソくさい話、信じられないし」
奈緒からすると翔太の提案は到底飲めないものであった。
彼女が髪の毛に対してかけている費用は、カット、トリートメント、カラーリング、パーマで月に1万円にも上る。
何の根拠もない事情により、髪の毛を切るのは我慢のならないものであった。
もしかしたら人の命がかかっているかもしれないのに――どうしてこう冷酷でいられるのだろうか。
奈緒の身勝手な物言いを受けて翔太は頭に血を登らせていた。
「翔太。まぁ、落ち着けよ」
後ろからポンと肩に手を置かれる。
振り返ると、そこにいたのは柔らかい笑みを浮かべる遊岳だった。
「奈緒! この通りだ! 今日だけはオレの友達の頼みを聞いてくれないか?」
遊岳は両手を合わせながらも奈緒に向かって頭を下げる。
その表情には俺のように張り詰めたものがなく、どこか冗談めかした感じであった。
「……いやいや。マジ無理だって。いくらユーガクの頼みだからって髪の毛だけは無理だから」
遊岳の言葉を受けた奈緒は満更でもなさそうな表情を浮かべていた
180センチを超える身長と、甘いマスクを兼ね備えた遊岳は、クラスの女子たちの憧れの的であった。
それはクラスの女王として君臨している奈緒とて例外ではなかった。
「奈緒の髪の毛って綺麗だよな。その髪の色、もしかして駅前に出来た新しい美容院に行ったのか?」
「お~。流石はユーガク。よく分かったね」
遊岳に褒められた奈緒は上機嫌にサラサラの髪の毛を掻き分ける。
「でもなぁ……惜しいよなぁ……」
「ん? 何がよ」
「奈緒は美人だからショートカットの方が似合うと思うんだよなぁ」
「ちょい待ち。その手には乗らないからね」
「マジだって。オレ、一度でいいから、ショートの奈緒を見たいと思っていたんだよな。だってほら? 奈緒のような小顔美人じゃないと絶対にショートって似合わないだろ?」
吐息がかかりそうになるくらいの至近距離。
歯の浮くようなセリフを吐きながらも遊岳は奈緒の髪の毛に触れる。
『塚本美穂』(つかもとみほ)
姉ちゃんの名前だ。
それに対して俺の名前は『愛川広樹』(あいかわひろき)。名字が違う。
理由は簡単だ。
姉ちゃんが死んだあとに親が離婚したからだ。
3年前に姉ちゃんは死んだ。
世間的には彩菜の事件に巻き込まれた様に言われていたが、本当は違う。
姉ちゃんはいつ死んでもおかしくない病気だった。
幼馴染の彩菜の復讐劇に巻き込まれたのだと、メディアでは騒いでいたが、どのみちいつ死んでもおかしくはなかった。
だが俺はそれを後になって知った。
姉ちゃんが病気で苦しんでいる事や悩んでいる事なんて何も知らなかった。
本当に自分の事しか考えていないただのガキだった。
だから姉ちゃんの病気のことを知った時は激しく自分を責めた。
もう少し何か出来なかったか?
もう少し姉ちゃんの助けになれなかったか?
それは日を追うごとに後悔の念となって大きくなっていった。
だが、姉ちゃんの死ぬ間際の手紙を見て俺は気持ちを切り替えた。
手紙と言っても俺や家族宛てではない。
幼馴染で親友の彩菜宛てだ。
彩菜は姉ちゃんの幼馴染であるが、俺にとっても幼馴染だ。
俺が幼稚園に入る前にここに引っ越してきた時からの付き合いだ。
姉ちゃんと仲が良かった彩菜は頻繁にウチに来ていた。そのせいで俺もかなり遊んだ記憶がある。
3つも年上の彩菜を呼び捨てにするなと、いつも姉ちゃんに怒られてたけど、何か照れくさくてずっと呼び捨てだった。
その彩菜が起こした惨劇。
はっきり言って衝撃だった。
そして姉ちゃんの死。
現実離れし過ぎで何が何だか分からなかった。
2人はどんな気持ちで死んでいったのか?
だが、彩菜宛ての手紙に姉ちゃんの当時の気持ちが細かく書かれていた。
自分の死期を悟り、残った彩菜の為に余命を尽くす。
姉ちゃんの出した答えだった。
俺はそれを見て後悔するのをやめた。
俺が後悔しても姉ちゃんが喜ぶ訳でもないし、生き返る訳でもない。
姉ちゃんは自分の死に打ち勝ち、生きる目標を見つけたんだ。
俺も姉ちゃんを見習って強く生きる。
後悔を教訓として誰よりも強くなってみせる。
彩菜のような犠牲も絶対に出させない。
全部守る!
今の俺を支えているのは姉ちゃんの意思と彩菜の無念だ。
だけど俺の意思とは別に親は離婚した。
今の世の中3組に1組は離婚すると聞いた事がある。だから珍しい事ではないし、必ずしも悪い事とも言い切れない。
しかしそれが他人事ならだ。
自分の実の親が離婚となったらそんな簡単には感情は働かない。
ましてや姉ちゃんや彩菜の事をやっと自己処理し始めていた俺にとっては、受け入れたくない事実だった。
まぁ離婚の原因としては簡単だ。姉ちゃんの死因が病死だと分かって大量の保険金が下りてきた。
もともと夫婦仲がそこまで良くなかったのもあるだろう。
だがこの保険金の事で大きくもめた。
親父は元々仕事を転々としていた。
上司ともめてはすぐに辞めるような人間だ。
休みの日はパチンコや競馬に没頭していた。
勝てば外で大盤振る舞い。
負ければ家で飲んだくれ。
絵に描いた様な駄目なおやじだった。
そんな親父が保険金を半分持って離婚すると言い出したのは俺が中学に入る直前だった。
(うわー。うわー。うわー。うわー!)
翔太は赤面していた。
見ているだけで恥ずかくなってくる。
普通の男子ならば「気持ち悪い」と非難されそうな行動も、遊岳が行うと映画のワンシーンのように不思議とサマになっていた。
翔太は思う。
こんな行動が許されるのは学園広しと言っても幼馴染くらいのものだろう。
「……し、仕方ないわね。こ、今回だけだから」
遊岳の説得には流石の奈緒も根負けすることになった
奈緒は翔太が持っているハサミを取ると、ストレートロングの金色の髪の毛に近づける。
「ねぇねぇ。ユーガク。アタシはアタシはー? どんな髪型が似合うかなー?」
「もうっ! 亜衣は露骨すぎ! でも~、私もユーガクの好みが気になるかも」
この状況をチャンスと捕らえた留美と亜衣は、獲物を狙う猛禽類のような眼差しを向けていた。
(ワリィ。翔太。こっちはもう少し時間がかかりそうだわ)
視線が合うと遊岳は、軽く頭を下げて翔太に向かってアイコンタクトを飛ばす。
付き合いが長いこともあり、言葉はなくても遊岳が伝えたいことはなんとなく分かった。
奈緒から目的のものを入手した翔太は由紀の元に戻ることにした。
目的の髪の毛を入手した翔太であったが、さっそく次の壁にぶつかっていた。
机の上に並べられた髪の毛は、どれも10センチ近くある。
普通に食べても胃の中で消化されずに残ってしまいそうだった。
いざ前にしてみると、他人の髪の毛を食べる、ということが思いのほか、高いハードルであったことに気付く。
「大丈夫。命がかかっているかもしれないんだもん。私、食べるよ」
さもそれが当然のことのように由紀は言った。
翔太は思う。
大人しそうに見えて由紀は意外とメンタルが強い子なのかもしれない。
美術部ペア
同じ美術部員同士、教室で絡むことは少なくても仲良し。
一緒にスケッチの場所を探したり。
というか男子テニス部が見えるところによく行く(笑)
「ねえ永佳ちゃん、テニスコートの方でスケッチしようよ」
「はぁ!?別に良いけど…べ、別に、卓也さんがどうとかこうとか関係ないから」
「はいはい」
第一班
テーマは「必殺技」
本編では戦闘らしい戦闘をできないまま全滅した一班。
せめてここだけでも必殺技とかみんなあればなあ、と。
というかぶっちゃけこの班をラストに描いたのですが、
構図がネタ切れしてたので、こんな感じになりました。
本編で苦しみ続けた優人の笑顔が描きたかったのです。
はサイト開設13周年を迎えました。
ここまで続けて来られたのも、全ては足を運んでくださる皆様の応援のおかげです。
本当にありがとうございます。
これからもマイペースですが頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。
戦闘記録
1 ○ アキヒロ(軍人) v.s. 田中顕昌(男子11番) ×
(5/31 2:29a.m. 田中顕昌 退場)
2 ○ 榊原賢吾(男子7番)
湯浅季莉(女子20番) v.s. 木戸健太(男子6番) ×
城ヶ崎麗(男子10番)
朝比奈紗羅(女子1番)
鳴神もみじ(女子12番)
(木戸健太・城ヶ崎麗・朝比奈紗羅・鳴神もみじ 撤退)
3 ○ 室町古都美(女子18番) v.s. 横山圭(男子18番) ×
(5/31 3:45a.m. 横山圭 退場)
4 ○ 財前永佳(女子6番) v.s. 相葉優人(男子1番) ×
宍貝雄大(男子8番)
荻野千世(女子3番)
小石川葉瑠(女子5番)
(5/31 4:21a.m. 宍貝雄大 退場)
(相葉優人・荻野千世・小石川葉瑠 撤退)
5 ○ 池ノ坊奨(男子4番)
真壁瑠衣斗(男子16番)
上野原咲良(女子2番)
高須撫子(女子10番) v.s. 内藤恒祐(男子12番) ×
林崎洋海(男子20番)
如月梨杏(女子4番)
星崎かれん(女子16番)
(5/31 5:27a.m. 如月梨杏 退場)
(5/31 5:28a.m. 内藤恒祐 退場)
(5/31 5:28a.m. 林崎洋海 退場)
(5/31 5:28a.m. 星崎かれん 退場)
チーム編成
1班 男子一番・相葉優人 男子八番・宍貝雄大 女子三番・荻野千世 女子五番・小石川葉瑠
チーム編成
1班 男子一番・相葉優人 男子八番・宍貝雄大 女子三番・荻野千世 女子五番・小石川葉瑠
2班 男子二番・芥川雅哉 男子十五番・日比野迅 女子十一番・奈良橋智子 女子十七番・水田早稀
3班 男子三番・雨宮悠希 男子五番・川原龍輝 女子七番・佐伯華那 女子十九番・山本真子
4班 男子四番・池ノ坊奨 男子十六番・真壁瑠衣斗 女子二番・上野原咲良 女子十番・高須撫子
5班 男子六番・木戸健太 男子十番・城ヶ崎麗 女子一番・朝比奈紗羅 女子十二番・鳴神もみじ
6班 男子七番・榊原賢吾 男子九番・松栄錬 女子九番・鷹城雪美 女子二十番・湯浅季莉
7班 男子十一番・田中顕昌 男子十九番・芳野利央 女子八番・阪本遼子 女子十三番・蓮井未久
8班 男子十二番・内藤恒祐 男子二十番・林崎洋海 女子四番・如月梨杏 女子十六番・星崎かれん
9班 男子十三番・原裕一郎 男子十八番・横山圭 女子十四番・平野南海 女子十八番・室町古都美
10班 男子十四番・春川英隆 男子十七番・望月卓也 女子六番・財前永佳 女子十五番・広瀬邑子
良好であることは日頃から永佳の部活仲間である上野原咲良(女子二番)や卓也の部活仲間である木戸健太(男子六番)と城ヶ崎麗(男子十番)から聞かされていたのだから、振られることは明ら
自動拳銃コルト・ガバメントを携えた財前永佳(女子六番)が、そこにはいた。
その後ろには、眉をハの字に下げて愁いを帯びた表情を浮かべる望月卓也(男子十七番)が、こちらは武器らしい物は持たずに立っていた。
永佳の小さく鋭い瞳に見下され、もみじの身体は小刻みに震えた。
「ひ…永佳ちゃ……
永佳ちゃんが
大切な幼馴染、朝比奈紗羅(女子一番)の左側頭部が弾け飛ぶ様を、鳴神もみじ(女子十二番)はまるでスローモーションの映像を見ているかのように、コマ送りで、はっきりと、目撃した。
上野原咲良(女子二番)と池之坊奨(男子四番)との再会もこの時だった。
正直、麗と再会できたこと、麗と一緒に中学生活を送れる喜びを感じることで精一杯で、2人と会話をした記憶があまりないのだけれど。
1年生のクラスには、健太や麗、そして真壁瑠衣斗(男子十六番)・高須撫子(女子十番)もおり、楽しくてた
十三番・蓮井未久さん!
男子十六番・真壁瑠衣斗君!
男子九番・松栄錬君!
男子六番・木戸健太君!
女子二十番・湯浅季莉さん!
女子二番・上野原咲良さん!
女子十番・高須撫子さん、以上!』
女子九番・鷹城雪美
女子一番・朝比奈紗羅 死亡
【残り四人】
再度、銃声。
魔姫の右側頭部に紅い花が咲き、左側頭部が吹き飛んだ。
そのまま雪美の上に折り重なるように倒れ、つむぎの紺色のセーターをじわじわと濡らしていった。
No.089
2012年6月1日(2日目)、6:15p.m.――
ありきたりな、ね
愛してる。とか
好き。とか
そんな言葉なんかいらない
そばにいてくれるだけでいい
そばにいて、たまに抱きしめてくれれば、
わたしはそれだけで嬉しくて嬉しくて、
涼太が好きって思わずにはいられないんだよ。
でもきっとこんなこと
はずかしくって死んでも言えないと思うけど
言葉は、紡がれることはなかった。
キーボがゴン太の襟首を掴むと地面に押さえつけ、その太い首に、刀を突き刺した。
刀が引き抜かれると同時に、鮮血が噴き上がった。
自らの血で全てを赤く染めたゴン太の目は、もう何も見ていなかった。
キーボの一撃が、邑子の細い首を貫いた。
倒れる時、秘密子の驚愕した表情が見え、百田の叫び声が聞こえた。
智江子(女子12番)の機嫌は最悪だった。
それは、突然プログラムという非現実的な環境に放り込まれた事が原因だ。
佐々木涼太
塩見大輔
鈴木 章
高木 翔
田尻幸夫
蓼沼将大
坪内 匠
中村尚志
夏越雄一郎
鳴瀬修平
前島雅彦
松本 弘
山口卓馬
脇村 肇
渡会健吾
阿部美咲
去来川舞
牛尾まどか
小野寺楓子
柏原亜里
片桐怜花
清田梨奈
久保田菜々
佐藤真優
白井さとみ
芹沢理沙子
高橋柚香
塚原悠希
永井あゆみ
林 美穂
星田亜衣
三田彩音
安原美彌
横田沙織
吉田桃子
香川県城岩町立白岩中学校三年B組クラス名簿
女子9番 榊 祐子 (サカキ ユウコ)
支給武器 (原作) 伸縮式特製警棒(特別付録の毒薬付)
(映画) 毒薬(シアン化カリウム)
死亡状況 全身打撲。(23日13:05頃 C=10)
戦闘能力 殺害 中川有香
★★★☆☆ 被害 自殺
容姿 灯台の悲劇の幕を開いた張本人。幼少時の父の家庭内暴力により、暴力を極端に恐れる。プログラム中、運悪く七原が大木の頭からナタを抜き取るシーンを目撃。七原が殺したと思い込み、彼を危険と判断。その後、灯台グループ(内海委員長達)と合流し、しばらく平和に過ごす。
が、内海が七原を運び入れたことで、彼女の恐怖は絶頂に。シチューに毒を盛って七原を殺そうとするが、それを有香が味見と称して口にして灯台内を恐怖に陥れる。結果、友人同士の殺し合いとなり皮肉にも生き残った彼女だったが、七原から逃げる為に階段を上っている間に墜落しかける。七原が助けの手を伸べたところでやっと勘違いに気付くが、罪の意識から彼の手を振りほどき、墜落して死亡。
可哀想な子です。とても怖かったのでしょう。勘違いだったけど。結構静か目な子だったような印象があります。とにかく好きです。この子。大体、支給武器からして私の好みです。映画版の彼女、非常に可愛いです。映画版の方では完璧に自殺でしたが(七原に助けられるシーンはない)。
それにしても映画版の灯台の惨劇は原作に結構忠実で、しかも演技派揃い(?)なのでかなり満足です。管理人好きキャラ(女子)NO.2。
★★★☆☆
知力
★★★☆☆
非暴力主義
★★★★★
『私、みんなのこと好きなの、忘れてた』
(映画版)
女子20番 南 香織 (ミナミ カオリ)
支給武器 (原作) シグ・ザウエルP230 9ミリショート
(映画) ピッケル
死亡状況 頭部に銃弾。(22日14:40頃 F=06)
戦闘能力 殺害 なし
★★★☆☆ 被害 清水比呂乃
容姿 アイドルグループ「フリップサイド」の剣崎順矢の大ファン。彼のロケットペンダントを肌身離さず持っている。ニキビが悩み。
プログラム中では、内海委員長達の誘いを断り(というより不信感のあまり逃げ)、恐怖のあまりに発狂する。たまたま通りかかった(?)杉村に問答無用で発砲し(外れたが)、次に清水比呂乃に遭遇。またもや発砲し(こちらは左腕上部に命中)、双方共に緊迫状態のところに七原が登場。七原の説得の声にぼんやり突っ立っていたところを比呂乃に狙われ、死亡。
狂ってしまった女の子。『やらなきゃやられる』の言葉どおりに狂いましたね。本当に怖かったのでしょう。映画版では稲田瑞穂と『ずっと友達だよ』『わかってる』の言葉を交わした後、中盤で刺し違えて死亡していました。出番は少なめ。
ちなみに「フリップサイド」の代表曲(?)は「銀河のマグナム」。
★☆☆☆☆
知力
★★☆☆☆
発狂
★★★★★
『ジュンヤ。殺される!撃つ。おかあさん。おねえちゃん!おとうさん。撃つ!撃つ!ニューアルバム!』
(単行本p.269上段)
香川県城岩町立城岩中学校3年B組クラス名簿
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名簿の見方→コチラをクリック(別窓で開きます)。
女子 出席番号 男子
稲田 瑞穂 (いなだ・みずほ) 1番 赤松 義生 (あかまつ・よしお)
内海 幸枝 (うつみ・ゆきえ) 2番 飯島 敬太 (いいじま・けいた)
江藤 恵 (えとう・めぐみ) 3番 大木 立道 (おおき・たつみち)
小川 さくら (おがわ・さくら) 4番 織田 敏憲 (おだ・としのり)
金井 泉 (かない・いずみ) 5番 川田 章吾 (かわだ・しょうご)
北野 雪子 (きたの・ゆきこ) 6番 桐山 和雄 (きりやま・かずお)
日下 友美子 (くさか・ゆみこ) 7番 国信 慶時 (くにのぶ・よしとき)
琴弾 加代子 (ことひき・かよこ) 8番 倉元 洋二 (くらもと・ようじ)
榊 祐子 (さかき・ゆうこ) 9番 黒長 博 (くろなが・ひろし)
清水 比呂乃 (しみず・ひろの) 10番 笹川 竜平 (ささがわ・りゅうへい)
相馬 光子 (そうま・みつこ) 11番 杉村 弘樹 (すぎむら・ひろき)
谷沢 はるか (たにざわ・はるか) 12番 瀬戸 豊 (せと・ゆたか)
千草 貴子 (ちぐさ・たかこ) 13番 滝口 優一郎 (たきぐち・ゆういちろう)
天堂 真弓 (てんどう・まゆみ) 14番 月岡 彰 (つきおか・しょう)
中川 典子 (なかがわ・のりこ) 15番 七原 秋也 (ななはら・しゅうや)
中川 有香 (なかがわ・ゆか) 16番 新井田 和志 (にいだ・かずし)
野田 聡美 (のだ・さとみ) 17番 沼井 充 (ぬまい・みつる)
藤吉 文世 (ふじよし・ふみよ) 18番 旗上 忠勝 (はたがみ・ただかつ)
松井 知里 (まつい・ちさと) 19番 三村 信史 (みむら・しんじ)
南 香織 (みなみ・かおり) 20番 元渕 恭一 (もとぶち・きょういち)
矢作 好美 (やはぎ・よしみ) 21番 山本 和彦 (やまもと・かずひこ)
■第二部■ プログラム編 - 2 - ルール説明
立花 陽平(男子7番)は少し寒気がしたので睡眠から覚めた。
クラスメート達はスースーと気持ちのよい寝息を立てている。
(どうして俺達は教室に戻ってきてるんだ?修学旅行に行ってたはずだが)
そう、見渡せば教室の中にいて、机が3-1と同じように並んでいて自分の席に座らせられている。
クラスメート達は少しずつ目を覚ましていく。
立花は首に異変を感じた。首輪が付いている。他のやつも同様だ。
クラスの半分くらいが目を覚ましたぐらいにガラガラとドアが開き、男と軍服姿の兵士が4人入ってきた。4人とも軍刀と実銃を装備していた。
(30代前半ぐらいのちょっとかっこいい)男が口を開いた。
「はいっ、皆さん起きてくださ~ぃ!」
クラスの大半が目を覚ました。ある人間を除いてだが・・・
男はクラス名簿らしきものと手に取り、一人の名前を呼んだ。
「江井原 大輔(男子3番)起きなさい!」
江井原は寝たままだ。いつも思うのだがやつは低血圧なのだろうか。
「3つ数えるまでに起きないと撃つよ。1~」
男は銃口を江井原に向けた。他の生徒達は声も出ない状況だった。
「2~、3っ・・・やっと起きましたか。ぎりぎりですよ。」
「んん?あんた誰?なんかあったん?」
男子の大半は「ほっ」と肩を落とし、女子は恐怖でこわばっていた。
男は教壇のほうへ戻り、黒板になにやら書きだした。下手な字で「山本 哲也」と書いた。
(地図がない島なんかあるわけないだろ!!しかもなんだ夢の島って)武車はいつもツッコミが出そうなのをこらえた。
「禁止エリアは毎日4回放送します。午前0時、6時と午後12時、6時です。禁止エリアに入ったまま時間がくると首輪が爆発するので注意してください。分校は例外で皆が出て行った20分後に禁止エリアに入ります。もう1つ、2日目の午前0時にA1~4、B1~4、C1~4は禁止エリアとなります。忘れそうな人はメモしてください。以上、なにか質問はありますか?」
和久井 優子(女子9番)が手を挙げた。
「では、和久井さん」
「親にはどう伝えているのですか?」声をこわばらせながら言った。
「交通事故と説明しています。まあそこで反対意見の人間は抹殺しましたが。」
皆の顔が青くなるのが分かった。例の2人を除いて。
次は江井原が手を挙げた。
「では、江井原くん」
「優勝特典はなんなん?」
皆、一斉に江井原をにらんだ。江井原は微動だにしない。
「優勝者には総統のサイン色紙と人生一生保障が付いてきます。」
「ほかになにかありませんか?ないようなのでゲームを始めますよ。」
立花は心の中で決意した。
(絶対にこいつら(政府)を許さねぇ!俺がこんなクソゲームぶっ潰してやる!!)
柳生 美穂(女子8番)も決意を固めた。
(あたし、あいつに負けっぱなしでは[ピーーー]ない!絶対に!!)
武車、和久井は以外にも同じ考えをしていた。
(俺(あたし)、あの人に気持ち伝えなきゃ。神様、それまで生かしてください。)
死の歯車は回り始めた。その歯車は狂うことを知らない。
【残り20人】
ノンフレーム目次
×
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[プロローグ]、[零時間目 幕開け]
三年A組 クラス名簿
男子 番号 女子
赤木 周平 1 青木 恵
赤野 義弘 2 上田 瑞穂
石田 芳樹 3 今田 香奈
上野 隆弘 4 小川 さくら
片野 俊彦 5 片山 恵子
柏原 孝明 6 琴弾 佳代
佐野 修貴 7 新岡 真由
滝沢 和磨 8 相馬 遥
梨本 大輝 9 谷崎 真央
本田 翔 10 千草 薫
牧田 コウ 11 天道 美咲
矢吹 俊 12 渡川 琴音
山田 武 13 渚 梨香
山本 隆二 14 沼田 香邪
脇 賢治 15 根岸 千里
脇谷 健児 16 南 佳織
04.殺してください
「今日はこれから、ちょっと殺し合いをしてもらう」
加納と名乗った男から放たれたその言葉は、視聴覚室にいたクラスメイト24名を固まらせるには十分すぎる威力を持っていた。
波崎蓮(16番)は、締め付けられるような胸の苦しみのあまり、息をすることを忘れていた。やがて酸素が足りなくなった身体が、本能的に肺から古い空気を押し出す。そこでようやく呼吸が再開する程度には、その空間は停止状態にあった。
「ころしあい……」
誰かが、ポツリとつぶやく。ようやくそこで、加納は動きを再開した。その場の時が、動き出した。
加納は大きく頷くと、さらに続ける。
「そう、殺し合い。今は10時を少しまわったところだね。このあと、12時ちょうどから試合開始になるから、それまでに簡単なルール説明をする。きちんと聴いておくように」
手元にある時計をチラリと見る。先程全員を目覚めさせたチャイムは、10時ぴったりのものだ。おそらく9時から始まった1時間目の途中、教育委員会のビデオ学習をしている時、睡眠ガス的なものが撒かれたのだろう。そこから先の記憶は、自分にはない。
小説のお部屋です。駄文ですがご勘弁を。。
終わらない戦い~BATTLE ROYALE~
瀬戸内海に浮かぶ観光名所と知られる春立島。
今日も観光客でにぎわっていた。
そんな島に4人のロックを愛する青年達がいた。
ここ大東亜共和国ではロックは御法度。
だから、ひっそりとロックを楽しむことしかできなかった。
ある日、彼らは春立島がプログラムの実施会場に選ばれたことを知る。
プログラム・・・
大東亜共和国で行われている戦闘実験である。
全国の中学3年のクラスから無作為に選び出し、
最後の一人になるまでクラスメイト同士殺し合いをさせる。
生き残ったただ一人が家路につくことができる。
そんな残酷なゲームが行われていた。
4人の青年達は断じて許せなかった。
故郷が血に染められてしまうことを。
そんな4人はある決心をする。
島の住人、プログラム対象クラス、担当教官、様々な視点から
プログラムを見つめる、恐らく一番オリバトらしくないオリバト。
ここはA-4 甲賀弾正屋敷である。甲賀卍谷衆頭領、甲賀弾正の屋敷の一室である。
囲炉裏の前に座り込んでいる少年がいた。
「プログラムの途中で別のプログラム……? さっきまで一緒にいた筈の琴弾は……桐山はどうなったんだ?」
少年の名前は杉村弘樹。香川県城岩町立城岩中学3年B組所属。
不幸にも彼のクラスが戦闘実験第六十八番プログラムに任命され、修学旅行に向かう途中のバスの中で拉致されて最後の一人になるまで殺し合いを強いられる羽目になった。
クラスメイトが脅え、戸惑い、狂乱していく中、彼は会いたい人のために会場を奔走した。
友人である七原達と一時的に出会い、プログラムからの脱出の話を持ちかけられたが、それよりも優先してまで探し出したい人物がいた。彼の片思いの相手である琴弾加代子である。
そして彼はその思いが通じ出会うことができた。
殺し合いの最中だというのに、彼はとても暖かい時間を過ごしていた。
クラスの不良達のリーダー、桐山和雄が杉村と琴弾を襲撃にきた。
琴弾を守るため、彼の前に立ったところで――意識が途切れている。
【参加者名簿】(五十音順)
01:浅倉威/02:秋山蓮/03:天野雪輝/04:戦場マルコ/05:乾志摩夫/
06:宇谷九一郎/07:雨流みねね/08:朧/09:香川英行/10:陽炎/
11:我妻由乃/12:霞刑部/13:ガッシュ・ベル/14:金糸雀/15:カントリーマン/
16:北岡秀一/17:城戸真司/18:キャンチョメ/19:吉良康介/20:霧島美穂/
21:桐山和雄/22:来須圭悟/23:甲賀弦之介/24:是方昭吾/25:坂本竜太/
26:猿谷甚一/27:シオ/28:シュナイダー(ウマゴン)/29:真紅/30:水銀燈/
31:翠星石/32:杉村弘樹/33:ゼオン・ベル/34:蒼星石/35:相馬光子/
36:平清/37:筑摩小四郎/38:チャン/39:津幡共仁/40:ティオ/
41:七原秋也/42:ノール/43:ハード/44:雛苺/45:ヒミコ/
46:ブック/47:美神愛/48:ミツル(芦川美鶴)/49:三村信史/50:薬師寺天膳/
51:ヨキ/52:レオナルド・エディアール/53:レオパルドン・パピプリオ/54:ワタル(三谷亘)/
【WaqWaq ワークワーク】1/4
● シオ/○レオナルド・エディアール/ ● ヨキ/ ● ノール
原作:復讐の唄
タグ:R-15 残酷な描写 アンチ・ヘイト 復讐の唄 復讐教室 キャラ改変 オリジナル展開 ジョジョの奇妙な冒険 究極生命体 波紋使い 幽波紋使い μ's 高校生設定 多重クロスオーバー 亀更新
高校生の彩菜は酷い虐めを受けていた。
死のうとしたその時別世界の人間ディルゴが現れ彩菜に究極生命体の力を与える。
少女の復讐劇が始まる……(只今、旧文体を現在の文体に修正中)
各キャラの目的&能力紹介です。
1藤沢彩菜……ビルから飛び下り自殺しようとした処、この少女が死ぬのは早いと思った別世界の人間、ディルゴに助けられる。
ディルゴが今度この少女の前に現れるのは10人に復讐した時らしい。
能力 究極生命体(柱の男、サンタナからカーズまで全ての能力を使用可能。無論吸血鬼とて例外では無い。また自分の体を様々な生物に変える事が出来る。ジョジョ世界の能力よりもより強力になっている。) 波紋(太陽に匹敵するレベルの波紋が練れる)超能力(時間操作、念力、テレポート、原子操作による発火能力、念写、プラズマ操作能力、洗脳能力)
目的 ディルゴによりまた生きる希望を取り戻した彩菜はクラスへの復讐を決意。
彼女の復讐は達成されるのか……。
2塚本美穂……彩菜が4月苛められた時から、何とかして救おうと考えていた彩菜の親友。
実は蓮と協力していたのだが彩菜の洗脳と東方仗助の介入により決別。
今は心臓病も治り人生をどう生きるか模索中である。
能力 波紋……まだまだ弱いが精度は目を見張る物がある。
目的 彩菜と一緒にこの先の人生を楽しく生きていく事。
ALIVE‐アライブ‐
人間はいつも死んでいる。日にちを繰り返すごとに死んでいる。それを生きるということは、なんとおかしな話なのだろう。
草木も眠るうしみつ時。とある深夜のバーに、一人の中年の男が酒を飲んでいる。
その男は、先生栄一郎(せんじょう・えいいちろう)と言った。
ちょうど一年前まで、先生はある小学校の教師だった。
しかし、彼が受け持っていたクラスで、ある事件が起きてしまった。
その為、彼は懲戒免職を受けてしまったのだった。
先生は一枚の紙を見つめていた。
その紙とは、先生が教師だったころに受け持っていたクラスの名簿であった。
先生は突然、激しい歯ぎしりを始め、その名簿をバンバンと叩き出し、愚痴り始めた。
「畜生っ……! 私がこうなったのも、全てあのクソ問題児共のせいで……!」
「じゃあ、ゲームでもするか?」
先生の後ろから誰かの声が聞こえた。
「だっ、誰だ!?」
先生が振り返った。
そこに立っていたのは――。
「ちょっと待って! 良いこと閃いたかもしれない!」
家庭科の時間に使っていた裁縫箱が役に立った。
中からハサミを取り出した翔太は、目の前の髪の毛を細かく刻んでいく。
「……何をしているの?」
「こうやって髪の毛を細かくバラバラにしていけば少しは食べやすくなるだろ? あ。良かったらこっちも使ってよ。まだ買ったばかりの口を付けていないやつだから」
翔太は鞄の中から取り出したペットボドルを机の上に置く。
コンビニで買ったばかりのペットボトルの緑茶は、結露で表面が淡く湿っていた。
「……優しいね。翔太くん。小春が好きになるのも分かるよ」
何気なく呟いた由紀の一言は、翔太の心に激しく揺さぶりをかけるものであった。
「小春から聞いていなかったんだ。小春は翔太くんのことがずっと好きだったんだよ?」
「は、初耳だよ!?」
「昨日だって私……告白しにいくものだとばかりに思っていたんだから。結果はあんなことになっちゃったけど」
驚きこそしたが、納得できる部分もあった。
想い口にした後の小春が見せた照れの表情は、鈍感な翔太に明確な手応えを感じさせていたのである。
「小春はね。ああいう性格だから、誤解されやすいんだけど、本当は誰よりも女の子らしい性格をしているんだ。翔太くんは、昼休みの、猫ちゃんのことを覚えている?」
「ああ。うん。覚えているよ」
当時のことは今でも鮮明に記憶している。
その日、生徒の1人が捨てられていた子猫を持ち込んだことによって、教室は騒然となった。
最初の内は可愛らしい子猫を抱いて盛り上がっていたのだが、『誰が面倒を見るか?』という話題になってからは一転。
互いに面倒事を押し付け合うような、殺伐とした空気を作ることになっていた。
「あの時ね。みんながもう保健所に連れていくしかない! っていう感じになっている時……。翔太くんだけは必死になって里親を探そうとしていたよね」
雨に打たれた子猫は衰弱していて、野良としては生きられないような状態であった。
翔太は思う。
最終的に引き取り先を見つけられたから良かったものの、そうでなければ後味の悪い結末となっていただろう。
最初は俺を気にしてか母さんも離婚は反対していたが、最終的には親父は仕事を辞めてしまったので、離婚を承諾せざるを得なくなった。
しかし条件として親父を家から出て行かせた。
そして俺は母さんの旧姓『愛川』を名乗る事になった。
だから姉ちゃんが眠っている『塚本家』の墓には俺は入らない。
どうせ姉ちゃんは生きていても女だ。
いずれは誰かと結婚して嫁ぐ事になれば墓は別々だ。
だけど、何か寂しい気持もあった。
母さんによく言われるシスコン……。
間違いないだろうし、否定する気もない。
俺にとって姉ちゃんは尊敬の対象であり、目標とする人物だ。
特別に想って何が悪いんだ。
「美穂また今度来るからね。今日は帰るわね。」
母さんは姉ちゃんにそう告げて墓を後にした。
墓地の駐車場で車に乗り込んだ時だった。どこからか救急車の音が聞こえて来る。
音は次第に近くになり、駐車場内に入って来た。
俺と母さんは車内から事を見ていた。
誰かが担架で運ばれて行く。
それに付き添う様に人もいる。
墓参りに来て倒れてちゃ世話ないな。
……でもこうやっていつも誰かが死と向き合ってるんだな。
だから全力で生きなきゃもったいない。
中途半端に生きてたらもったいない。
俺は再度姉ちゃんに誓いを立てて、母さんと墓地を後にした。
『まず、し…死んだ生徒の名前を言っていくぞ…
死…んだ順番…だから…
男子1番、朝倉伸行…
男子21番、矢口宗樹…
女子2番、赤木明子…
男子12番、西野葵…
男子18番、実月裕太…
男子4番、遠藤圭一…
女子17番、湯中天利…
以上だ…
これは冗談じゃなく…皆…』
『男子7番、栗原佑君…は知っているか。
女子3番、金城玲奈さん!!
男子3番、池田圭祐君!!
男子1番、青山豪君!!
ぼちぼちのペースだな、まあ最初だからオーケイか!!』
「これ、誰だい?」
「えっと…男子17番・不破千尋っスね!
コイツ、ただの中
キルスコア
順位 加害者 人数 被害者
1位 結城緋鶴(F19) 7人 青山豪(M1)
真中那緒美(F16)
笠井咲也(M5)
小南香澄(F6)
桐島伊吹(F4)
斎藤穂高(M8)
稲田藤馬(M4)
2位 真田勝(M9) 5人 池田圭祐(M3)
新島恒彰(M15)
美作由樹(M18)
長門悟也(M14)
不破千尋(M17)
3位 桐島伊吹(F4) 3人 金城玲奈(F3)
津田彰臣(M13)
高山淳(F11)
4位 浅原誠(M2) 2人 濱中薫(F14)
矢田美晴(F18)
新島恒彰(M15) 2人 中原朝子(F13)
駿河透子(F9)
不破千尋(M17) 2人 浅原誠(M2)
真田勝(M9)
美作由樹(M18) 2人 姫川奈都希(F15)
坂本陽子(F7)
吉原遼(F20) 2人 三河睦(F17)
椎名貴音(F8)
5位 周防悠哉(M11) 1人 工藤久尚(M6)
長門悟也(M14) 1人 吉原遼(F20)
小南香澄(F6) 1人 柚木康介(M19)
坂本陽子(F7) 1人 今岡梢(F1)
椎名貴音(F8) 1人 脇連太郎(M20)
三河睦(F17) 1人 岩見智子(F2)
政府内部連絡文書二〇〇〇年度第〇〇〇〇四九号
総統府監房特殊企画部防衛担当官並専守防衛陸軍幕僚監部戦闘実験担当官発
共和国戦闘実験第六十八番プログラム二〇〇〇年度第一三号担当官宛
次回ノ戦闘実験第六十八番プログラム対象クラス
神奈川県四宮市立篠山中学校三年四組
男子十九名
女子二十名
計三十九名
コノクラスニハ戦闘実験体十六号ガ在籍シテイルトノコト
追加
志願者一名
兵庫県神戸市立春日第二中学校三年二組男子九番
周防悠哉(スオウ・ユウヤ)
志願理由不詳
過去ノ戦闘経験等ナシ
念ノタメ、動向ニハ注意スルコト
尚、出席番号ハ男子十一番ニ入ル
はまぐり 無節操ジャンルサイトですので、OBRのみのURLはこちらになります
午後のパレード 200X年度
北海道上見市立狛楠中学校3年B組
(男子20名/女子21名/計41名) 進行中
43話/終盤戦
【残り14人】 標準ルール。血と暴力の青春をただ書いていく予定です。
another world 透 サブタイトルに沿うように話を展開しています。
~Real~ 1993年度第43号
私立青奉中学校3年1組(特進クラス)
(男子17名/女子17名/計34名) 進行中
78話(79話)/中盤戦
【残り15人】 ~Link~と若干の関連性あり
Star☆Dust 水金 翔 読みやすく、を目標にマイペース更新しています。イラスト・質問・お題などもたまに更新しているのでよろしければそちらもどうぞ(^_^)
月に叢雲、花に風 2012年度
東京都私立帝東学院中等部3年A組
(男子20名/女子20名/計40名)
翌日----俺はいつも通りに学校へ行き仲間たちとアホみたいに騒いでいた。
俺の仲間はクラスや部活は比較的バラバラだ。
まぁ部活と言ってもすでに引退しているのだが。
男子7人女子4人のグループだ。
俺みたいに喧嘩ばかりしている奴もいれば、学級委員もいたり進学校に行く奴もいる。
みんな価値観は大きく違うし、それを無理矢理同じにしなくてもいいと思っている。
いろんな個性が混ざり合って新しい事に気づく事だって出来る。
「広樹、何ぼーっとしてんだよ!聞いてんのか?」
ハッと我に戻った。
俺は考え事をすると1人のモードに入り込んでしまう悪い癖がある。
「で、何だっけ?」
俺は仲間の1人である雷太に聞き返した。
「だから、この間隣の中学の奴らが喧嘩売って来ただろ?あれ、まだ決着ついてないんだよ!」
あぁあれか……。
先週隣の中学の奴らが俺達に喧嘩売って来たからボコボコにしてやった。
すると今度はOBを連れてリベンジをしにくるらしい。
それで仲間の『西島聖』(にしじませい)が呼び出しを喰らった。
まぁ無視しておけばいいのだが、万が一にも聖が1人の時に襲われたらまずい。
聖は俺と違って喧嘩派ではなく、どっちかといえば格闘技派なのだ。
喧嘩は弱くはないが、根が真面目なところがあって多勢に弱い。
学級委員をやるほどの真面目っぷリで正義感も強い。
何でも親父が警察らしいので、その辺りは血筋なのかもしれない。
正義感が強いゆえに、不良を許せないらしい。
そう前に言っていた。
じゃあ何で俺達とつるんでるのかと聞いたところ
「お前達は不良じゃないだろ?不良って悪い事ばっかする奴らだろ?お前達は自由にやってるだけで、そんなに悪い事はしてないじゃん。だから俺は一緒にいるんだよ!」
と答えていたが、喧嘩をする事は悪い事には入らないらしい。
「広樹!聞いてんのか?」
おっとまたモードに入ってしまった。
「じゃあ今日こっちから奇襲かけるか!」
雷太にそう答えると、
「ピースの男子は全員集合させておくな。」
雷太はそう言って他のクラスの仲間の所に向かった。
すると黙って聞いていた彼女の美幸が
「ねぇ今日は喧嘩?喧嘩するなとは言わないけどピースばっかじゃなくて、私も相手にしてよ。」
「あぁ今日は勘弁してくれ。聖が狙われてるんだ。早いとこ決着つけないと危ねぇんだよ。」
美幸は頬を膨らませて
「何?そんなに危険な奴らと喧嘩すんの?」
「いや、みんなでやれば余裕で終わるよ。」
すると美幸は嬉しそうな顔で、
「じゃあ私も行く!見物しに行く!」
はぁ?
「ふざけんな!喧嘩場に女が来るなよ!」
美幸は上目使いで俺を見つめる。
「だって、いざとなったら広樹が守ってくれるでしょ?ねぇお願い」
……俺は美幸のお願いは中々断れない。
魔法:あやしい電波を発するよ
①特殊な『歌』を唱えることで怪電波を放ち、周囲一帯に悪影響を与える。
②レディオガールを中心とした半径100m以内ではあらゆる精密機器が機能を停止し、また電話や電子メール等による通信も不可能になる。
③怪電波によって他の生物の脳細胞の電気信号をジャックし、肉体を外部からコントロールすることが可能。ただしこの場合の射程距離は半径20m前後に留まり、効果時間も全力を出して数秒が限界。
身長:148cm(魔法少女)/152cm(人間)
破壊力:★★★
耐久力:★★
敏捷性:★★★
知性:★★★
自己主張:★
野望/欲望:★★
魔法のポテンシャル:★★★★
好きなもの:カラオケ、アニメや特撮、散歩
嫌いなもの:退屈、学校、母親
☆ドクトル・サーミャ/伊我良いがら 紗美さみ☆
魔法:魔法の救急車でみんなを助けるよ
①魔法の救急車を召喚する。魔法少女の攻撃にも耐え得る高い耐久性を持つが、速度は通常の自動車に毛が生えた程度。
②ハンドルやアクセルに触れずとも、サーミャが救急車に触れてさえいれば自動で操縦が可能。
③怪我人を車体後部のスペースに搬送することで自動で治療を行い、どんな重傷でも数十秒で完治させることができる。
④車体後部の扉から医療器具を飛び道具として射出可能。ちなみに医療器具は魔法のアイテムであり、無限に生成できる。
身長:160cm(魔法少女)/171cm(人間)
破壊力:★
耐久力:★
敏捷性:★
知性:★
自己主張:★★★★★
野望/欲望:★★★★★
魔法のポテンシャル:★★
好きなもの:自分、自分の所有物、自慢話
嫌いなもの:非知性的の馬鹿、態度のでかい輩、予算管理
「私の知り合いに外交部門に勤務している魔法少女がいる。
そいつに口利きしてもらえれば、外交部門には就職できるだろう」
「マジですか」
「裏口入学のようなものなので、あまりお勧め出来る手段では無いのだがな」
「でもその人紹介してくれるんですよね?試験官優しいですし」
「うむ、教え子の頼みとあらば断れんな」
レディオガールは迷わずその魔法少女に会わせてもらうことにした。
どうやら曰く付きの手段らしいが、とりあえず独り立ち出来るなら何だっていい。
肌に合わなかったら、適当に辞めればいいだけだ。
◆
2番 伊勢谷レオン
3番 伊藤麻貴
5番 菊池京花
12番 近藤紗弥加
17番 阪本太一
19番 杉江尚哉
21番 鈴木敬
22番 橘廉
26番 土屋慶助
27番 南条彰
28番 二階堂司
30番 西谷愛実
31番 藤田竜
33番 牧野佳奈
34番 松浦陸
35番 水島比奈子
37番 宮本萌衣
39番 山崎義和
少なすぎる
朝は普通に教室に41人揃っていたのに
今は半分以下…
「クソッ………」
俺は思わず呟いた
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「そういうところ。小春は翔太くんの優しくて、面倒見の良いところを好きになったみたい」
知らなかった。
自分の何気ない行動の1つが小春の目に留まっていたことは翔太にとって予想外のことであった。
けれども、今更それを知って何になるというのだろうか。
翔太の中に芽生えた感情は『嬉しさ』よりも『虚しさ』の方が強かった。
「お。なんだなんだ。楽しそうな話をしているじゃん」
女子たちの猛アタックを切り抜けた遊岳が遅れて席に到着する。
(……過ぎてしまったことを考えるのは止めよう。とにかく今は目の前の命を救うことに集中しないと)
予想外の言葉を受けた翔太は、そんなことを考えていた。
赤松・最原のオブジェ捜索に付き合い、中庭に超高校級のロボットの研究教室を解放させたり、校舎の5階を解放させた。
もう、あの2人は何でアタシをオブジェ捜索に誘ったんだろうね?
あれか?サボリの常習犯だからか?
解放されたばかりの5階をブラブラ歩きながら、超高校級のコスプレイヤーの研究教室の扉をコッソリ開けて中を覗いてみると、テンションが上がって「尊いよぉ!」と叫んでいる白銀の姿があった。
見なかった事にしてあげよう。
気づかれない内にバタンと扉を閉めて、今度は超高校級の探偵の研究教室に行く。
すでに教室の中を調べていた赤松と最原は、本棚のファイルを調べたり、毒薬と解毒薬を見比べたりしていてアタシが来た事には気づいていないようだった。
今ならサボって、作りかけの発明品の仕上げとかできそうじゃない?
うん、できる。
絶対にやれるわ。
「おっ、入間じゃねーか。終一と赤松も一緒か」
後ろから突然聞こえた百田の声に、アタシは思わずビクリと肩を跳ね上げた。
「あっ、百田君。王馬君はどうだった?」
「それがよ、星といくら探しても見つからねーんだよ。まっ、代わりにこいつを見つけたけどな」
そう言って百田がアタシ達の目の前に出したのは、今ではお馴染みとなった思い出しライトだった。
出たな、記憶植え付けライト…。
「つーわけでだ、食堂に来てくれ。他のメンバーには星の方が声をかけてるはずだからな」
「うん。わかったよ」
そして、赤松と最原が研究教室の出入り口の方に行くのを眺めながら、アタシは百田をジロジロと眺めていた。
百田が抱えてしまった病気…。
そうなるようにしたのがモノクマ達だとすると、治療する為には…
TO 遠藤由紀
件名 状態変更
状態 感染者 → 健常者
それから。暫く髪の毛に悪戦苦闘をしていると、由紀の携帯に1通のメールが届く。
「おお! やったな由紀!」
メールの内容を確認した遊岳は最初に喜びの声を上げる。
「由紀さん。体調に何処か変わったところはない?」
「うん。大丈夫。なんともないよ」
「どうやらオレたちの推測は正しかったみたいだな。感染者が助かるためにはワクチンを接種すること。これ以外に考えられねえ」
「ああ。何はともあれ由紀さんが無事で良かったよ」
本来ならば手を叩いて喜びたい場面なのだが、2人の表情は晴れなかった。
この時――翔太と遊岳は頭の中で全く同一のことを考えていた。
今回のワクチンは、『髪の毛』という代わりの利く部位だったから事なきを得た。
けれども、例えばこれが『心臓』といった臓器だった場合はどうなっていたのだろうか?
助かるためには友人の心臓を『食べる』しかない。
そんな極限の状況に置かれた時、果たして人間は正気を保っていることができるのだろうか?
考えるだけで背筋が寒くなってくる。
「なぁ。そういえば1回目のゲーム終了のメールが届いたのって何時だったっけ?」
「たしか昼の1時頃だったと思う。あと20分か。ギリギリだったな」
1―Aの生徒たちに一斉にメールが届いたのはピッタリ13時00分のことであった。
前回のゲーム終了メールが届いた時刻と比較をして1分の誤差もない。
これらのことからゲームの終了時刻は13時であると推測することができた。
TO 天野翔太
件名 ゲーム2 結果発表
死者数 6/39
死者名 井波裕也 瀬川豊 滝川柚乃 長嶋四朗 那須川さくら 藤本葵
「なっ。死者が増えている……!?」
メールの内容を確認した翔太は絶句した。
ゲームはクリアーしたはずなのに一体何故?
しかし、頭の中に降りたその疑問は画像として添付された7名の死体を見た途端に解決することになった。
「……欠席者か」
死者の欄に書かれている生徒に共通する点は、いずれも学校に登校してこなかったという点にある。
仮にもし、ゲームのルールに学校を欠席してはならないという項目が存在しているのだとしたら――。
今回の結果にも納得がいくものがある。
「ざっけんじゃねぇぞ! ゴラアアアァ!」
怒声と共に蹴り飛ばされた机が床の上に転がった。
この状況に対して真っ先に不満を唱えたのは、山口健吾であった。
女子グループのリーダーが奈緒だとしたら、男子グループのリーダーはこの健吾である。
金髪ピアスで、小中と柔道に打ち込んでいた健吾は、教師たちからも恐れられている存在だった。
「誰なんだよ! こんな意味のわからねえ悪戯をするやつは!? いるんだろ! 出てこいや!」
前回の小春の時も不可解な点が多かったが、今回の死はそれに輪をかけて尋常ではない。
健吾は今回の騒動をクラスの中にいる何者かの悪戯だと決めつけていた。
「ねぇ。さっきから葵に連絡がつかないんだけど」
「こっちもダメ。今朝からメッセージを送っているんだけど既読がつかないよ」
昨日の事件が未解決であることが尾を引いてた。
立て続けに送られてきたクラスメイトたちの死体の画像により、教室の中は不穏な空気に囚われていた。
美幸とはもう1年程の付き合いだ。
付き合う前から美幸の事は知っていた。
華があって同級生の奴らなら誰でも知っている存在。
女子のリーダー的な奴で、俺は2年の終わりに美幸に告白して付き合う事になった。
俺達はグループにチーム名を付けた。
『ピース』
名付け親は美幸だ。
男陣はもっと格好良い名前を考えていたんだが、美幸のゴリ押しで決まった。
ピースって平和だろ?だから俺はあまり気兼ねがしなかったがそれは違った。
美幸いわく、ピースとは『かけら』という意味らしい。
パズルのピースみたいなものだ。
俺達は様々な個性のかけらが集まって出来たチーム。
だからその1ピース1ピースを大事にしたいとの意味を込めてピースらしい。
まぁ発想が女子っぽいな。
だけどチーム名にはそこまでこだわりは無かった。
みんなと共通出来る呼び名があれば何だっていい。
別に暴走族や、バンド、ダンスチームを結成しようってわけじゃないんだ。
ただ何となく繋がりを呼び名で示したかった。
子供の発想と言えばそうだが、中3なんてこんなもんだろ。
だから俺はピースで納得したし、周りの仲間もみんな美幸に賛成だった。
美幸の周りを納得させる力は本当に頭が下がる。
俺なんて喧嘩でしか物事を示す事が出来ない。
だから俺は何となく美幸のお願いがいつも断れないんだ。
「みんな落ち着け! まずはそれぞれ協力して、学校を休んだやつの家に行ってみようぜ!」
この混沌とした状況下でリーダーシップを発揮したのは遊岳だった。
遊岳は欠席した6人の住所を人伝手に聞き出すと、クラスの連中に次々と仕事を割り振って行く。
「よし。それじゃあ、翔太は井波の家を頼んだ。様子が分かったらオレの携帯に連絡をくれ」
「――分かった」
井波裕也の家は翔太の家から徒歩で10分圏内の場所にあった。
勤勉な裕也のノートはクラスの中でも評判で、翔太は試験前にノートのコピーを貰いに裕也の家を訪れたことがあった。
何かの冗談であって欲しい。
誰かの悪戯であって欲しい。
そう願いながらも翔太は学校の外に出る。
「なんだよ……これ……」
しかし、裕也の家の前が警察たちの手によって封鎖されているのを見た途端、翔太の中の最後の希望は潰えることになった。
クラス名簿
桜坂高校1―A クラス名簿
1番 赤星遊岳 21番 月野木涼子
2番 秋元理恵 22番 寺井銀二
3番 天野翔太 23番 土井武
4番 飯島奈緒 24番 藤堂雛
5番 25番
6番 上田香奈枝 26番 南雲千尋
7番 遠藤由紀 27番
8番 岡田美穂 28番 新島亜衣
9番 柿本勝 29番 西野渡
10番 神木綾斗 30番 蜂谷七菜香
11番 黒峰駿 31番 林順平
12番 32番 姫宮夢愛
13番 桜庭雅也 33番 藤井沙耶
14番 篠崎廉也 34番
15番 城田エリ 35番 諸星留美
16番 36番 山口健吾
17番 高尾由比 37番 柳下大樹
19番 田辺浩明 39番 湯河原竹男
20番 千歳未来 40番 綿谷幸
男子16 女子17
ゲーム3 歯
TO 天野翔太
件名 第3回 友食いゲーム
状態 健常者
ワクチン 歯
クラス名簿
桜坂高校1―A クラス名簿
1番 21番 月野木涼子
2番 秋元理恵 22番 寺井銀二
3番 天野翔太 23番 土井武
4番 飯島奈緒 24番 藤堂雛
5番 25番
6番 上田香奈枝 26番 南雲千尋
7番 遠藤由紀 27番
8番 岡田美穂 28番 新島亜衣
9番 柿本勝 29番 西野渡
10番 神木綾斗 30番 蜂谷七菜香
11番 黒峰駿 31番 林順平
12番 32番 姫宮夢愛
13番 桜庭雅也 33番 藤井沙耶
14番 篠崎廉也 34番
15番 城田エリ 35番
16番 36番 山口健吾
17番 高尾由比 37番 柳下大樹
19番 田辺浩明 39番 湯河原竹男
20番 千歳未来 40番 綿谷幸
男子15 女子16
クラス名簿
桜坂高校1―A クラス名簿
1番 21番 月野木涼子
2番 秋元理恵 22番 寺井銀二
3番 天野翔太 23番 土井武
4番 飯島奈緒 24番 藤堂雛
5番 25番
6番 上田香奈枝 26番 南雲千尋
7番 遠藤由紀 27番
8番 岡田美穂 28番 新島亜衣
9番 柿本勝 29番 西野渡
10番 神木綾斗 30番 蜂谷七菜香
11番 黒峰駿 31番 林順平
12番 32番 姫宮夢愛
13番 桜庭雅也 33番 藤井沙耶
14番 篠崎廉也 34番
15番 城田エリ 35番
16番 36番 山口健吾
17番 高尾由比 37番 柳下大樹
19番 39番 湯河原竹男
20番 千歳未来 40番 綿谷幸
男子14 女子16
クラス名簿
桜坂高校1―A クラス名簿
1番 21番 月野木涼子
2番 秋元理恵 22番 寺井銀二
3番 天野翔太 23番 土井武
4番 飯島奈緒 24番 藤堂雛
5番 25番
6番 上田香奈枝 26番 南雲千尋
7番 遠藤由紀 27番
8番 岡田美穂 28番
9番 29番 西野渡
10番 神木綾斗 30番 蜂谷七菜香
11番 黒峰駿 31番
12番 32番 姫宮夢愛
13番 33番 藤井沙耶
14番 篠崎廉也 34番
15番 城田エリ 35番
16番 36番
17番 高尾由比 37番 柳下大樹
19番 39番 湯河原竹男
20番 千歳未来 40番 綿谷幸
男子10 女子15
欠席者の安否について確認した1―Aの生徒たちは絶望に暮れていた。
――このゲームは誰かの悪戯ではない。
突発的に起こった6人のクラスメイトの死は1―Aの生徒たちにそう認識させることになった。
次の日の朝。
一晩寝て冷静になった翔太は、昨夜ノートにまとめておいた『友食いゲーム』の情報を整理してみることにした。
ルール1 ゲームの参加者は『感染者』と『健常者』の2種類のステータスに分類される
ルール2 感染者がワクチンを摂取すると健常者になる
ルール3 ワクチンを接種できないまま昼の1時を過ぎると感染者が死亡する
ルール4 学校を休むと死亡する
携帯に届いたメールを見た翔太はホッとした。
ゲームにおいて最も死の危険性が高いのは『感染者』である。
健常者はワクチンとなる体の一部を差し出すことはあるが、感染者と比べると何倍も安全な立場にある。
けれども。
この時の翔太はまだ――『友食いゲーム』の本質を半分も理解していなかった。
美幸とはもう1年程の付き合いだ。
付き合う前から美幸の事は知っていた。
華があって同級生の奴らなら誰でも知っている存在。
女子のリーダー的な奴で、俺は2年の終わりに美幸に告白して付き合う事になった。
俺達はグループにチーム名を付けた。
『ピース』
名付け親は美幸だ。
男陣はもっと格好良い名前を考えていたんだが、美幸のゴリ押しで決まった。
ピースって平和だろ?だから俺はあまり気兼ねがしなかったがそれは違った。
美幸いわく、ピースとは『かけら』という意味らしい。
パズルのピースみたいなものだ。
俺達は様々な個性のかけらが集まって出来たチーム。
だからその1ピース1ピースを大事にしたいとの意味を込めてピースらしい。
まぁ発想が女子っぽいな。
だけどチーム名にはそこまでこだわりは無かった。
みんなと共通出来る呼び名があれば何だっていい。
別に暴走族や、バンド、ダンスチームを結成しようってわけじゃないんだ。
ただ何となく繋がりを呼び名で示したかった。
子供の発想と言えばそうだが、中3なんてこんなもんだろ。
だから俺はピースで納得したし、周りの仲間もみんな美幸に賛成だった。
美幸の周りを納得させる力は本当に頭が下がる。
俺なんて喧嘩でしか物事を示す事が出来ない。
だから俺は何となく美幸のお願いがいつも断れないんだ。
俺はしぶしぶ美幸が来る事を了承した。
ただし他の女子は絶対に連れていかない。
万が一人質になんてとられたら勝てる喧嘩も勝てなくなる。
そして学校がこの日も終わった。
旧校舎の図書室が俺達の溜まり場だ。
何でも昔から不良はここに溜まるのが習慣らしい。
そこに俺と美幸含めた6人が集まった。
男子は俺と雷太と聖。
後は『加藤智則』(かとうとものり)と『柳瀬拓海』(やなせたくみ)だ。
あと2人の男子は今日学校に来ていない。
まぁ5人でも十分だな。
俺達は聖が呼び出されている公園に向かった。
そこには10人程隣の中学の不良が集まっていた。
……たかが10人か!
余裕!
「てめぇら!これだけの人数で俺達をどうにか出来ると思ってんのかぁ!!」
雷太が相手に向かって叫んだ。
すると相手も
「うるせぇ!!誰がこれだけって言った!!」
その声と同時に公園の入り口から、つまり俺達が来た方からたくさん人がやって来た。
みるからに悪そうな奴らばかりだ。
これが聖の言っていたOBのやつらか……。
こいつら全部合わせると50人はいる……。
さっきまで威勢の良かった雷太が黙り出す。
いつも冷静な拓海も、正義感の強い聖も、普段から逃げ腰の智則もみんな一切口を開かず黙り込んだ。
さすがに50人はやばいな……。
ん……って美幸がいるじゃねぇか!!
やべぇこいつだけでも逃がさないと!!
すると隣の中学の連中が
「珍しいなピースがビビってんぞ!!」
くっ!調子に乗りやがって!
でもここはまともに喧嘩してる場合じゃねぇ!
漫画じゃねぇんだ!5人で50人も相手に出来るか!しかも美幸を守りながらって……。
とりあえず突破口を開かないと……。
その時雷太が追い打ちをかける様にある事に気が付いた。
「お、おい!あのOB連中ただのOBじゃねぇぞ……。あいつらクリミナルのメンバーだ!」
何!クリミナル!
俺達は全員一瞬で固まった。
欠席者の安否について確認した1―Aの生徒たちは絶望に暮れていた。
――このゲームは誰かの悪戯ではない。
突発的に起こった6人のクラスメイトの死は1―Aの生徒たちにそう認識させることになった。
次の日の朝。
一晩寝て冷静になった翔太は、昨夜ノートにまとめておいた『友食いゲーム』の情報を整理してみることにした。
ルール1 ゲームの参加者は『感染者』と『健常者』の2種類のステータスに分類される
ルール2 感染者がワクチンを摂取すると健常者になる
ルール3 ワクチンを接種できないまま昼の1時を過ぎると感染者が死亡する
ルール4 学校を休むと死亡する
携帯に届いたメールを見た翔太はホッとした。
ゲームにおいて最も死の危険性が高いのは『感染者』である。
健常者はワクチンとなる体の一部を差し出すことはあるが、感染者と比べると何倍も安全な立場にある。
けれども。
この時の翔太はまだ――『友食いゲーム』の本質を半分も理解していなかった。
心地の良い風が吹く朝だった。
その日の翔太は、何時もと同じように電車に乗り、何時もと同じように桜の植えられた坂を上り、何時もと同じように学校に到着した。
何もかもが怖いくらいに何時も通りだった。
だから幼馴染の告白を受けた時、翔太は暫く言葉の意味を理解できないでいた。
「翔太。悪いな。どうやら今回の感染者はオレみたいだ」
遊岳は普段と変わらない落ち着き払った態度で、ポケットの中から携帯電話を取り出した。
TO 赤星遊岳
件名 第3回 友食いゲーム
状態 感染者
ワクチン 歯
ドナー 女生徒
遊岳に届いたメールには感染者に共通する文言が書かれていた。
「不幸中の幸いだったのは、ドナーの範囲が広いっていうことかな。これならまだ作戦も立てやすい」
「呑気に言っている場合かよ! このままワクチンが手に入らないと……お前、死んじまうかもしれないんだぞ!?」
翔太は動揺していた。
翔太にとって遊岳は物心ついた時から苦楽を共にしている仲間である。
大切な幼馴染を失うようなことは、受け入れようのないものであった。
「そうは言ってもな。髪の毛ならいざしらず、他人を助けるために歯を差し出してくれる女の子がいると思うか?」
「そ、それは……」
遊岳の言葉に反論の余地はなかった。
麻酔もなしに歯を抜く。
実のところそれは、人間が感じる痛みの中でも最悪のものだと言われていた。
自分を犠牲にして他人の命を助けることができる人間はそうはいない。
前回の奈緒の一件から痛感していたことであった。
家ではお母さんが朝食を作ってくれる……今から学校へ行く事に憂鬱な気分とは裏腹に
「おはよう彩菜!」
「おはようお母さん」
「早く食べないと遅刻するわよ」
「……うん……」
いつもの会話だ。
学校での出来事はお母さんには何一つ話していない。
勿論心配をかけたくないからだ……。
ピピピピピピピ!
時計のアラームが鳴っている。
いつもの目覚ましの音だ。
カーテンからは朝日が差し込み窓の外からは小鳥のさえずりが聞こえてくる。
そんな爽やかな一日の始まりとは対極の私の暗く重い1日は始まる。
「そうは言ってもな。髪の毛ならいざしらず、他人を助けるために歯を差し出してくれる女の子がいると思うか?」
「そ、それは……」
遊岳の言葉に反論の余地はなかった。
麻酔もなしに歯を抜く。
実のところそれは、人間が感じる痛みの中でも最悪のものだと言われていた。
自分を犠牲にして他人の命を助けることができる人間はそうはいない。
前回の奈緒の一件から痛感していたことであった。
「けどまぁ、オレも何も対策をしていないというわけではないぜ。こいつを見てくれよ」
「それは……!?」
遊岳がポケットの中から取り出したものを見て翔太は目を疑った。
何故ならば――。
幼馴染の掌の上に置かれていたものが、紛うことなき人間の歯だったからである。
「こいつは正真正銘、ウチの学校に通っているとある女生徒の歯さ。朝早くから知り合いの歯医者のところに行って分けてもらったんだよ。流石にウチのクラスの奴のものを手に入れることは出来なかったが、代用品になるかもしれないだろ?」
「スゲー! スゲーよ! 遊岳!」
3回戦のメールが届いた時間は今朝の5時のことである。
同じ学校に通う歯を手に入れることが出来たのは本当に偶然であった。
この短時間に遊岳は自らのコネクションを活用して、目的の『女生徒の歯』を入手したのである。
「虫歯でボロボロになっている歯だが、まぁ、贅沢は言っていられないよな」
掌の中の歯を見て遊岳は苦笑する。
私の名前は藤沢彩菜。中学3年生だ。
私は学校で酷い苛めを受けている。
去年までの中2の頃のクラスでは大して目立つ訳でもないが、決して苛められるような事はなかった。
最初はクラスの女子の無視から始まって、急速に男子まで広がり、先生の見ていないところで、殴られ蹴られ暴行を加えられる。
最初は止めに入っていたクラスメイトも次第に見て見ぬ振りをしていく。
加速していく苛め。
エスカレートした苛めは私の処女まで失わせた。
「というわけで俺は今からワクチンを試してみる。だが、その前に1つだけ約束してくれ」
何時になく真剣な表情を浮かべる遊岳。
翔太は思う。
普段おどけていることが多い遊岳が、ここまで真剣な顔つきになるのは随分と久しぶりのことであった。
「翔太。もしオレが今回のゲームで死んじまったら、お前がオレの代わりに、このふざけたゲームを終わらせてくれ」
遊岳の口から出てきたのは、思わず毒気を抜かれるほどの突拍子のない提案であった。
「は? む、無理だろ。そんなの」
「いいや。お前なら出来る。ガキの頃のことを覚えているか? 近所にあったタイヤ公園のお化け杉。アレの頂上に1番最初に登ったのはお前だったろ」
「何時の話をしているんだよ……」
呆れた様子でツッコミを入れる翔太であったが、自身の中に眠っていた何かが再熱するのが分かった。
(……たしかに小学生の頃の俺は無敵だったよな)
テストを行えば満点を連発して、缶蹴りやドッチボールで遊んだ日には、常に周囲から持て囃されていた。
自分が行くところには何時も人が集まる。
出来ないことなど何もなかった。
高校1年生ながらにして翔太は、人生の絶頂期が小学生の頃だったと断言することができた。
「オレは絶対に忘れねえ。翔太は不可能を可能にする! いつもオレたちのヒーローだった」
翔太にとって遊岳の言葉は意外なものだった。
小学生の頃と比べると、遊岳は同世代の誰よりも身長が伸びたし、成績も良くなった。
今では翔太が遊岳に勝っているところを見つけ出すことは難しかった。
「……よし。んじゃあまず、このダミーが通用するかを試してみるわ」
「ダメだった場合はどうするんだよ?」
「そん時はそん時だ。タイムリミットの13時までは時間があるから色々と試してみるよ。もっともオレは自分が助かるために女子を傷つけるようなダセェ真似はしないけどな」
遊岳はカラカラと笑うと掌の中の歯をひょいと口の中に放り込む。
「……調子はどうだ?」
「なんか体がスゲー熱くなってきた。こいつは効いているかもしれねぇ」
仮に遊岳の用意したダミーが通用した場合は、昨日と同じように状態変更のメールが送られてくることになるだろう。
翔太は携帯の画面に視線を移す。
今のところ新着のメールが届く気配はなかった。
ビシャリ。
ビシャリ。ビシャリ。ビシャリ。
翔太の頬に生暖かい液体が付着する。
「ユ……ウガク……?」
不思議に思って視線を戻す。
翔太の視界に飛び込んできたのは、首から上が消失して、ドロリとした肉が剥き出しになった遊岳の姿であった。
私の名前は藤沢彩菜。中学3年生だ。
私は学校で酷い苛めを受けている。
去年までの中2の頃のクラスでは大して目立つ訳でもないが、決して苛められるような事はなかった。
最初はクラスの女子の無視から始まって、急速に男子まで広がり、先生の見ていないところで、殴られ蹴られ暴行を加えられる。
最初は止めに入っていたクラスメイトも次第に見て見ぬ振りをしていく。
加速していく苛め。
エスカレートした苛めは私の処女まで失わせた。
何度か先生に告げようと思ったが脅迫写真をネットに流すと言われ出来なかった。
怖かった……
もう誰も助けてくれない。
親にも先生にも話せない。
かつての友達はみんな離れていった。
私は孤独だ……
いっそ死のう……
それが一週間前に思った私の純粋な気持ちだった。
家の近くの10階建てのマンションの屋上から飛び降り自殺をしよう。
いや、それでもすぐに[ピーーー]ない事があると聞いた事がある。
苦痛はもう嫌だ……。
首吊り自殺も考えたがそれも最初は苦しいらしい……。
じゃあリストカットはどうだろう……あれはあれでなかなか[ピーーー]ないらしい。
ともかく楽に死にたかった。
もう苦しいのは嫌だった。
嫌な事全てから逃げ出したかった。
しかし考えれば考えるほど楽に[ピーーー]る方法なんてない。
「――なぁ。お前。団地に住んでいる赤星遊岳だろ?」
それは翔太と遊岳が初めて打ち解けた日のことだった。
当時の2人はまだ小学1年生で、子供用の小さな机の横には、ピカピカのランドセルがつられていた。
「今日の放課後、暇か? 遊びにいこうぜ」
「…………」
「っておいー! 無視かよー! お前ってば、いつも難しい本を読んでいるんだな。楽しいのか? それ?」
出会った頃の遊岳はよく言うと真面目、悪く言うと融通が利かない子供であった。
毎日のように塾に通う遊岳のことを周囲の子供たちは、『ガリ勉』というレッテルを貼ってからかっていた。
翔太は幼稚園で見ていた時から、そんな遊岳のことを遊びに誘いたくて仕方がなかった。
小学校に進級して、同じクラスになった今が最大のチャンスだと考えていた。
ここでファヴからの途中説明だポン。
まずここまでで死んだのが、
ねむりん、ルーラ、ラ・ピュセル、マジカロイド44の四名ポン。
そして細かい説明ポン。
ラ・ピュセルの死因は原作、アニメと同じく事故死、、、だポン。
ねむりんも原作、アニメと同じくマジカルキャンディーを集めなかったことによるものポン。
ルーラはマジカルキャンディーが一番少なかったことによるものポン。
マジカロイド44は、ハードゴア・アリスによる殺人ポン。
次にハードゴア・アリス、スノーホワイトの関係ポン。
まずスノーホワイトをマジカロイドが襲ったポン。そしてたまたま近くにいたハードゴア・アリスが助けたポン。ここからの関係ポン。いやーラ・ピュセルは本当に不幸ポン。事故死、、、なんて。
そういえば、月刊魔法少女育成結構ても言ったとーり、TVアニメ魔法少女育成計画のオフィシャルファンブックが発売中だポン。黒の魔法の作者は原作のオフィシャルファンブックを持ってるけど、これほすぅぃいって言ってたポン。宣伝はここまでポン。
それではシーユー。だポン。
入れた留姫には、もはや必要のないものだったからだ。
ああ、それにしても、せっかく着替えたと言うのにまた汚れてしまった。もっとも、雄大と塔子を滅多刺しした時のような夥しい量の返り血は、浴びなかったから良かったけれど。それよりもこの銃、思った以上の衝撃があった。今回は至近距離だったから良かったものの、練習くらい、しておいた方がいいかも知れない。
「では行くぞ! 死んだ順番だ! 男子6番の閑谷邦康君! 男子8番の勢多翼君! 女子12番の内藤真依子さん! 男子13番の野口素明君! 男子7番の鈴木明也君! 女子6番の佐久間佳江さん! 女子16番の原田千秋さん! 男子20番の和田純直君! 女子17番の日生吹雪さん! 女子20番の矢矧彩乃さん! 以上だ!」
健太郎の言ってる事は嘘じゃなかった。
本当に亮と話していたんだ。
しかし亮が来ても1つも安心出来ない。
亮の目はいつもと違い完全に私を睨んでいるように見える。
思わず私は
「亮?これはどういう事?何で待ち伏せなんかしてんの?」
すると亮は
「彩菜に聞きたい事と言いたい事とか色々あってさ。」
声のトーンまでいつもと違う。
何かが変だ。
さっき健太郎が叫んでいた、人殺しという言葉と何か関係があるのか?
「亮、まず大輔の事から聞けよ!」
祐樹が亮にそう言うと亮は頷き
「彩菜……お前が大輔をあそこまで追い詰めたのか?」
大輔の話?
あそこまでとは何の事だ?
「どういう事?」
私は質問の意図が分からないのでそのまま返した。
すると健太郎が
「何しらばっくれてんねや!!ええ加減にせぇよ!!」
「健太郎!!お前が話しに入るとややこしくなるから!亮に全部任せただろ!」
そう祐樹が健太郎を抑えた。
亮が続ける。
「大輔は歩道橋から落ちる前にすでにボロボロだったんだ。あれはお前がやったんじゃないのか?」
いきなり確信を突かれた質問に私は戸惑った。
「うるさいな。楽しいはずないだろ。これは勉強の本なんだから!」
「ん? ならどうして本なんて読んでいるんだ?」
「……キミも竜門団地で暮らしているなら理由は分かるだろう?」
「はぁ!? 全然、わからねーよ」
そこで遊岳は自身の置かれている状況について説明する。
竜門団地とは全国でも有数な製薬会社、『竜門食品』が建設した住居である。
この団地で暮らしている人間の多くは、工場の低水準の給与で生活することを余儀なくされていた。
「ボクは将来、ゆうめいな企業に入って、お金持ちになるんだ! そしてパパとママに良いくらしをさせてやりたいと思っている!」
我に返った遊岳は恥ずかしそうに目を反らす。
これまでにも遊岳は同年代の子供たちに夢を語ってきた。
しかし、その度に周囲の人間たちは遊岳のことを『ガリ勉』、『根暗』と小馬鹿にしてきた。
「うおおおー! マジかよ! スゲー! おまえ、それ、超立派じゃん!」
どうせバカにされるに決まっている。
そう確信していた遊岳であったが、翔太の反応は違っていた。
「……お前、笑わないのか? 変なやつだって」
「どこに笑う要素があったんだよ? 俺、おまえみたいなスゲーやつが同じクラスにいるとは思わなかったぜ!」
「~~~~っ!」
こんな感覚は初めてであった。
その時、遊岳は初めて自分を受け入れてくれる人間に出会えたような気がした。
「まぁ、それは置いとくとして、今日の放課後は一緒に遊ぼうな」
「……はぁ!? お前、ちゃんとボクの話を聞いていたのかよ。嫌だよ。ボクは勉強があるんだから」
魅力的な提案であったが、将来の夢のためには勉強が不可欠と考えていた遊岳は首を振った。
「おいおい。お前、先生に言われなかったか? 勉強ばっかしていると、頭の固い大人になっちまうって。そんな考えじゃ、社会でつーよーしないんだぞ!」
「…………!?」
痛いところを突かれた遊岳は言葉を詰まらせる。
「うっ。な、なら少しだけなら……」
「よっしゃ。じゃあ、今日から俺たちはトモダチな」
翔太が差し伸べた手を遊岳は戸惑いながらも見つめていた。
「トモダチ……?」
「そうさ。俺たちはトモダチ! 一生のトモダチだ」
私が死んだらお母さんもお父さんも悲しむかな?
先生や学校は慌てるだろうな……
クラスメイトはどうなるのかな?
中学は義務教育だから退学はないにしろ大きな処罰は受けるだろうな……。
私が何かに証拠を残せばみんなの今後の人生に大きな障害になるだろうな……。
進学が閉ざされる者。
親から見捨てられる者。
警察のお世話になる者。
見てみたいな……。
この時ふと私は一つの感情が芽生えたのに気が付いた。
死ぬ事によってクラスメイトに復讐が出来る……それが今私が心から望む事なんだと……。
しかし死んでしまったら結果を見る事が出来ない……。
でも仕返しはしたい……。
復讐したい…………。
別に罪を償ってくれなくていい。
みんな私のように地獄の苦しみを味わえばいいんだ。
どうせ死ぬつもりなら全員に復讐してから死のう……。
一人残らず地獄の苦しみを与えてやる。
これを私は生きる最後の糧にしよう。
私は綿密に計画を練った。
そして一週間が経った今準備は整った。
復讐リストはクラスメイト全員
クラス名簿
男子名簿順
1:阿部祐樹
2:五十嵐隼人
3:越智一真
4:川本大輔
5:北浦亮
6:小林政敏
7:志水哲也
8:瀬尾優斗
9:辻村健太郎
10:常盤蓮
11:峰嶋貴志
12:森谷直人
13:山瀬裕也
14:吉永翔太
女子名簿順
1:稲葉結衣
2:岡崎杏奈
3:奥井詩織
4:窪田恵美
5:古賀美里
6:渋谷真央
7:菅原千鶴
8:滝嶋結子
9:塚本美穂
10:夏目麻衣
11:野村藍
12:藤沢彩菜(自分)
13:三輪楓
14:結城真莉
15:若槻梨乃
ポタポタ。ポタポタ。
気が付くと零れ落ちた涙が、1枚の写真を淡く湿らせていた。
遊岳が死んだ。
自宅に帰っても未だに翔太は、その事実を受け止めきれずにいた。
ルール1 ゲームの参加者は『感染者』と『健常者』の2種類のステータスに分類される
ルール2 感染者がワクチンを摂取すると健常者になる
ルール3 ワクチンを接種できないまま昼の1時を過ぎると感染者が死亡する
ルール4 学校を休むと死亡する
次の日の学校を休みたい気持ちもあったが、ルール4の存在が強制的に翔太を学校に通わせる。
「――約束したんだ。俺が……俺が……遊岳の替わりに絶対にこのゲームを終わらせてやる……」
どんなに泣いたところで手を差し伸べてくれる親友は、もうこの世界にはいない。
そのことを考えると余計に悲しくなって、涙を止めることができなかった。
ルール5 感染者が誤ったワクチンを接種すると死亡する
翔太はそこでノートに新しい1行を書き加える。
部屋の中の時計がカチカチと秒針を刻んでいる。
過ぎてしまった時間を巻き戻すことは誰にも出来ない。
写真の中にいる遊岳は、何時もと変わらない大らかな笑みを浮かべていた 。
ゲーム4 左目
TO 天野翔太
件名 第4回 友食いゲーム
状態 健常者
ワクチン 左目
復讐リストはクラスメイト全員
クラス名簿
男子名簿順
1:阿部祐樹
2:五十嵐隼人
3:越智一真
4:川本大輔
5:北浦亮
6:小林政敏
7:志水哲也
8:瀬尾優斗
9:辻村健太郎
10:常盤蓮
11:峰嶋貴志
12:森谷直人
13:山瀬裕也
14:吉永翔太
女子名簿順
1:稲葉結衣子
2:岡崎杏奈
3:奥井詩織
4:窪田恵美子
5:古賀美里
6:渋谷真央子
7:菅原千鶴
8:滝嶋結子
9:塚本美穂
10:夏目麻衣子
11:野村藍子
12:藤沢彩菜(自分)
13:三輪楓
14:結城真莉子
15:若槻梨乃子
###
二ヶ月の海外出張は恙無く終了し、俺は日本へと帰ってきた。
海外出張は俺にとって日常的なことであり、特に珍しいことでもなかったが、手塚にとっては違ったのだろうか。確かに出会ってからこれだけの期間離れたのは初めてで、途中から連絡もとれなくなってしまったが、あちらはあちらで普通に過ごしているものだとばかり思っていた。
「早く帰ってこいよ…」
肩にかけていたボストンバッグがずるりと床に落ちて鈍い音をたてる。背中を向けていた手塚が勢いよくこちらを振り向いた。
沈黙。沈黙。沈黙。
沈黙。
「ああああああああっ!?」
気まずい見つめ合いの後、およそこの男らしくもない叫び声を上げて手塚は壁に張り付いた。大量に散乱した俺の服が身体に絡みついている。そこに白い液体が付着しているのは、気のせいではないだろう。
「……………………………」
どう反応すべきなのか全くわからない。折角久し振りに会えたというのに、何故こんなに対応に窮さねばならないんだろう。
とりあえず、色々片付けるのが先だろうか。
まだ出張用の荷物をしまっていないし、スーツも着たままでは窮屈だ。それらを処理してから手塚の周りに散乱している服を洗濯しよう。そうしよう。それがいい。
「おいどこ行くんだよ」
スーツの上着を脱ぎながら寝室へと歩き出した俺に制止の声が飛ぶ。やはりこの対応は正解ではなかったようだ。わかってはいたが。
仕方がないので上着はソファの背にかけ、手塚の前で片膝をつく。
「どこにも行かん」
「行こうとしてたじゃねーか」
「ここにいてほしいのか?」
そう言うと水分が多めの角膜でこちらを睨む。
何だろう、この小動物から威嚇されているような感覚は。この男からそんな印象を受ける日が来るとは思わなかった。旅疲れから幻でも見てるんだろうか。
続
11月11日----二学期も半ばに入り間もなく期末テストの勉強が始まる。
外には少しずつだが冷たい風が吹いていて世間では紅葉シーズンに入ろうとしていた。
私の復讐は今日から始まる。
暗くて重くて長い復讐が……。
そのせいか今までとは違い今日の私は少し前向きに生きられる。
実際この1週間は学校に行けば苛められてはいたが、私は復讐のための準備をしていたために、気分は少し前向きだった。
少なくとも今すぐに死のうという考えはどこかに消え去っていた。
そんな事を考えながら朝食を済ませて、自分の部屋でパジャマとして使っているスウェットを脱いで学校のセーラー服に着替えた。
鏡を見て寝癖を直し髪を整えた。
そして鏡に写る自分に向かって
「よし!」
と小さな声で気合いをいれた。
カバンを持ち準備を整え
「行ってきます。」
「気をつけてね!」
「は~い」
私は学校へと向かった。
学校へ登校する時は私はいつも一人だ。
前までだったら仲の良かった友達と一緒に通学していたが今では完全に一人だ。
家が近くで仲の良かった親友の『塚本美穂』が私にいつも
「おはよう!彩菜」
と声をかけてくれていたのだが今は登校中にバッタリあっても目を逸らして無視して行ってしまう。
そして集団で登下校している仲の良さそうな声に嫉妬と憧れの気持ちを抱きながら私は学校に辿り着く。
下駄箱で靴を履き替える。ボロボロになった校舎用のの上履きは凄惨な苛めを物語っていた。
それに私は履き替えて自分の教室を目指した。
ゲームが始まって4日目の学校である。
立て続けに起こったクラスメイトの死によって教室の中は、異様な雰囲気に包まれていた。
――もしかしたら次に死ぬのは自分かもしれない。
――もしかしたら隣に座る人間が感染者なのかもしれない。
生徒たちは疑心暗鬼の状態に陥り、教室の中には寒気がするような静けさだけが残っていた。
けれども、そんな時だからである。
翔太は誰かが声をかけて教室の空気を改善する必要があると考えていた。
「みんなに聞きたいことがある。この中に感染者はいるか!?」
暫く待ったが、返事はない。
教室にいる誰もが翔太の言葉など最初から無かったかのように振る舞っていた。
教室に向かう途中の廊下でクラスの不良グループの男子に背中や頭を叩かれながら
「俺の前を歩いてんじゃねぇよ!ブスが!!」
「ははは一真君朝から機嫌悪いね」
私に怒鳴りつけてきたのは
不良グループの『越智一真』と『川本大輔』だ。
「ごめんなさい」
私は一言謝り後ろから来る一真と大輔に道を譲った。
私の横を通り過ぎる瞬間に一真の後を歩いていた大輔が私の胸をセーラー服の上から平手打ちした。
「痛っ!」
思わず口にした。
それを聞くなり大輔は
「彩菜、今度はいつやらしてくれるんだ?」
私は下を向いた。
私はこの一真と大輔に何度も凌辱されている。
最初は怖いと悔しいの二つの気持ちしかなかった為に、拒み続けていたが拒めば顔以外の所をボコボコになるまで殴られる。とても女子の扱いではない。徐々に私は拒むのをやめていった。
しかし自ら受け入れているわけではない。あくまで自分の身を守ろうとする防衛本能がゆえだ。
「一真君いつやろっか?」
「そんなにこんなブスとやりてーのかよ大輔は?」
「ブスでも一人で処理するよりはマシじゃない?」
「そんなもんか?はははは」
何気ないような口調で二人は話していると私の後ろから
「おい!やめろ!」
悪魔の会話を止めるように仲裁の言葉が入った。
咄嗟に私は顔を上げた。
「――バカかお前。感染者が自分から名乗り出るはずがないだろう」
替わりに返ってきたのは意外な人物の言葉であった。
神木綾斗。
県内トップの大病院、神木医院の跡取りにして、成績は常に学年1位をキープしている秀才である。
クラスの男子の中では遊岳と並んで容姿が整っているが、常に人を見下しているかのような態度を取っているからか、浮いた話は聞こえてこなかった。
「ゲームのルールを知らないわけではないだろう? 感染者だと名乗り出ることは、自ら縄に首をかけるのと同義だ」
綾斗の言葉は一見すると正論であるようにも思える。
けれども、翔太の考えは違っていた。
今こうしている間にも感染者が誰かの左目を狙っているかもしれない。
そういった疑心暗鬼の状態では、クラス一眼となって今後の会議の場を設けることすら出来はしない。
教室は直ぐにでもゲームの闇に飲まれてしまうことになるだろう。
「――翔太の言う通りかもしれない」
翔太の言葉に同調したのは意外な人物であった。
「アタシたちが最優先してやらなければならないことはなんだ? 率先してゲームに参加することではないだろ?」
女子グループのリーダー、飯島奈緒は席を立って他の生徒たちに問いかける。
ワクチンとして髪の毛を提供してからの飯島奈緒はショートカットになっていた。
髪型を褒めて欲しかった男子はこの世にはいない――。
けれども、遊岳が死んだ今だからこそ、替わりにクラスをまとめようと考えていた。
「そうだよ! 奈緒の言う通り!」
「みんなで協力してゲームから抜け出す方法を探しましょう!」
奈緒の一言により、教室の風向きが変わった。
1―Aの教室に希望の光が射した瞬間であった。
(いける! この流れなら!)
奈緒が協力してくれたのは嬉しい誤算であった。
クラスの中でも強力な発言権を持った奈緒が味方に付けば、クラスメイトを希望に導くことも出来るかもしれない。
だがしかし。
微かな希望の糸口を掴んだ翔太は、一転して、絶望的な状況に気付くことになった。
(おい。そんなことをしたら俺たちはもう……!)
突如として不良グループのリーダー、健吾が教室に足を踏み入れる。
健吾の右上には金属バッドが携えられていた。
教壇の上に立っている翔太にしか見えないが、健吾の両目は焦点が合っていない。
遠目に見ても完全に正気を失っていることが分かった。
そこには不良グループのボスであり、この二人が頭の上がらない存在の『常盤蓮』が立っていた。
「れ、蓮君おはよう」
「よ、よう蓮!」
「おはようじゃねぇだろ!こんな廊下で何くだらねえ事話してんだ!他のクラスの奴や教師が近くにいたらどーするんだ?」
そう言って蓮は二人を睨む。
「わ、わりぃ大輔が変な話振ってくるから」
まず一真が蓮に謝り、続いて三人の中でも一番立場の低い大輔が
「ご、ごめんって蓮君、一真君。今度から気をつけるよ」
ビクビクしながら大輔は二人に謝った。
すると蓮は
「もういい。行くぞ!」
と二人に言って教室に行ってしまった。
今のやりとりだけ見れば彼は私を助けたヒーローのような存在に見えるが実際は間逆だ。
クラスの苛めの主犯のうちの一人だ。
実際私が最初に凌辱されたのも奴が一真や大輔に命令したからである。
「止めろおおおおぉぉぉ!」
咄嗟に止めに入ろうとした翔太だったが、既に状況は手遅れであった。
健吾のスイングの先にいた生徒の名前は――諸星留美。
奈緒と同じ女子グループに属するクラスの中心的人物である。
ガキンッ。
金属バットによる一撃を受けた留美は、頭から血を流して倒れることになった。
「はははは! ははははははは!」
健吾の攻撃は止まらない。
床の上に転がりピクピクと痙攣している留美に向かって――健吾は何度も何度もバッドを振り下ろす。
「クッ……」
慌てて止めに入ろうとする翔太であったが、何者かに体を止められる。
一真や大輔は蓮の言いなりでしかない。
自分は私に一切手を出してはこない。
一真や大輔が私を襲っている所を遠くで見ているだけだ。
実行犯でないから万が一事件沙汰になっても逃げ切る事が出来る。
蓮はただの馬鹿な不良とは違って頭もキレる。
私が襲われている所をスマートフォンで録画して私が先生や友達に襲われた事をばらしたら動画サイトにこれを流すと脅してきた。
蓮自身は録画をしている為に当然動画には映っていない。
最悪の場合動画サイトに流そうと思えば流す事だって出来る。
私はこれによって彼らの言いなりになるしかなかった。
何度も呼び出されては体を好きにされ屈辱にまみれてきた。
クラスのほとんどがこの事を知らないでいる。
一部を除いては……。
その一部の中に今日私が復讐しようとしている人間がいる。
男子名簿番号8番
『瀬尾優斗』
優斗は学年で一番のイケメンと言っていいほど顔が整っている。
去年のバレンタインデーの時には20個以上も本命のチョコを貰っていたという話だ。
運動神経もそこそこ良く成績も200人中上位20位くらいには入っている。
それでもって人と話す時はいつも明るく爽やかに接する。
人気があるのも理解出来ない事はない……しかし優斗はとてつもなく腹黒く計算家だ。
事実私は、彼に襲われている。
私が不良グループに襲われ始めたのは5月頃だったがそれをあるルートで知った優斗は私に接近してきた。
「蓮達にひどい事をされてるらしいじゃないか?俺で良かったら力になるよ!」
この一言に当時の私は救われた。誰も知らない、言えない苛めを優斗は気付いてくれてなおかつ力になると言ってくれてきたのだ。
私は心底嬉しかった。
心の底から感動した。
暗い道から抜け出せるような気がした……。
しかしそれは間違いだった。
見事に私は裏切られた。
騙された……。
「悪いね。これもオレたちのリーダーが生き残るためには必要なことなのさ」
何かを悟ったように口を開く生徒の名前は寺井銀二。
1―A不良グループのNO2にして、健吾の右腕とも呼べる人物であった。
ボクシングの大会では幾度となく表彰台に上っている銀二は、1―Aトップの武闘派として、その名を知られていた。
「お前たち……自分が何をしているのか分かっているのか!?」
「知っているさ。しかし、それが他人の命を犠牲にする行為だとしても――『生きたい』と願うのは当然のことだろう?」
「――――ッ!?」
銀二に指摘をされた翔太はハッと冷静に戻る。
たしかに銀二の言うことには一理あるのかもしれない。
ここで健吾を止めるということは、感染者である健吾に対して[ピーーー]と言っているのと同義である。
「ハハハッ! オレの邪魔をするやつは容赦しねぇ!」
健吾は威圧するかのように宣言すると、ポケットの中から銀色に光る物体を取り出した。
(あれは……スプーンか……?)
空が少しずつ明るくなってきた。
もうじき夜明けだろうか。
皆川玉樹(男子16番)は横で眠っている麻生咲(女子1番)に目をやった。
持ってきていた部活のウインドブレーカーをはおり、膝を抱えて眠っている。 一度吐いてしまった影響だろうか、いささかやつれているように見える。 教室で担任の中岡の亡骸を投げつけられたため、先生の血が咲の顔やセーラーなどに付着している。
何なんだ、あの政府のやつら…咲をこんな目に合わせるなんて…
咲が目をゆっくり開けた。 しばらく辺りを見回して、玉樹の方を見た。
「おはよう、咲。 よく眠れた?」
「あんまり…銃声とか…してた…から…」
そうだ、夜中に何度も聞こえた銃声。 あれはやはり誰かの命を奪ったのだろうか? 一体、ゲーム開始からのたった3時間の間に何人が死んだのだろうか? とても想像できない、昨日まで一緒にいた友達がいなくなるなんて…
助けてくれると言い私を心から油断させておいて私を家に連れ込み性欲のままに私を襲った。
私は襲われる瞬間まで優斗に心から感謝していた。しかし彼は見事に裏切った。
いや正確に言えば裏切るのではなく最初から私を騙して襲うつもりだったのだ。
私は絶望した。そしてちょっとでも信じた自分に腹がたっていた。
優斗はそれから何度か私を襲った。
優斗の行動はクラスの誰も知らない。不良グループの蓮達ですら知らない。
完全な単独行動だ。
それもそうだ優斗の売りは爽やかなイケメンである。
そんな優斗に黒い影が見え隠れして良いわけがない。
少しでもそんな噂が流れたらたちまち女子のほとんどは優斗から離れて行くだろう。
だから優斗は完全に一人で行動していた。
もしかしたら……いや他にも優斗の犠牲になっている女子は学校中にいるだろう。
私はクラス全員に復讐するのにあたって一番最初のターゲットはこの瀬尾優斗に決めた。
一番最初だけあってじっくり確実にやりたかった。
あまりクラスの人間と深く関わっていない優斗は絶好の相手ではあった。
優斗の単独行動をこっちに利用させてもらう事にした。
優斗の売りは何度も言うが爽やかなイケメンである。
女子に人気があるのも深く優斗の事を知らないからだ。
女子と性行為をするためなら嘘をつこうが騙そうが優斗は何でもやってのける。
しかし女子も馬鹿ばかりではないはずなのだがイケメン特有の笑顔と空気に落とされてしまう。
ただでさえ学校中で人気者なのだ。特に2年や1年の女子なら優斗と仲良くなれただけで鼻が高くなり皆に自慢したくなる。
それを切り口にいつも優斗は女子を泣かす行為を繰り返してきている。
私は正義感で優斗に復讐をするのではない。あくまで私怨だ。
……しかし優斗の思いあがった考えや態度は許せない。
優斗は完全に自分がイケメンだと理解している上で女子に手を出す。
そしてそれが優斗を支えている一番の自信であり生きてく上での糧だ。
私はそのプライドを完膚無きまでに打ち砕く事にした。
教室に入り私は教室内を見回す。
すでにクラスの人間のほとんどが来ている。
普通ならみんなに
「おはよう」
の一言を言われるのだろうが私には誰も声をかけない……
いつもなら孤独感でいっぱいの私だが今日は違う。
むしろ一人にさせてくれる事がありがたかった。
次に健吾が取った行動は思わず目を覆いたくなるようなものであった。
健吾は留美の体に馬乗りになると、スプーンを使って留美の眼球をエグり取る。
(でも……だからって……こんなの絶対に間違っている!!)
泣きだすもの。逃げ惑うもの。嘔吐するもの。
場の空気に触れて高翌揚するもの。
教室の人間たちが見せた反応は様々であった。
「あ、あ、あああああぁぁぁ!」
中でも最も過敏な反応を見せたのは奈緒である。
奈緒にとって留美はクラスの中でも最も大切な友人であった。
留美の元に駆け寄った奈緒は、左目をくり抜かれた彼女の元で膝を折る。
今回の一件によりクラス一眼となってゲームから抜け出そうとする奈緒の意志は、完全に壊れていた。
「――この状況を見ても他人を信用しろと言うのか?」
阿鼻叫喚に包まれる教室の中――。
綾斗だけは、最初からこうなることが分かっていたかのように嗤っていた。
優斗は私の斜め右前の席だ。
何気ない顔をしながら隣の席の女子と話している。
「だろ?あそこのハンバーガーおいしいだろ?今度一緒に行くか?」
「いいね!行こっか!」
話しているのは女子の学級委員の『滝嶋結子』だ。
仲よさそうに二人で話している所で
キーンコーンカーンコーン!
チャイムが鳴り一日が始まった。
の爪
TO 天野翔太
件名 第5回 友食いゲーム
状態 健常者
ワクチン 右手の爪
私はここ1週間で優斗が今手を出している学校中の女子を調べた。
わかっただけでも3人はいた。その中に1人おもしろい女子が入っていた。
学年は一つ下の2年生でテニス部の女子だ。2年生の中ではかなりの人気があって3年生でもそこそこ人気がある。
その女子とどうやら2カ月前から極秘に付き合っているらしい。
極秘に付き合っているのには理由があった。
優斗にとっては何人も同時に付き合っているのだから当然といえばそうなのだが、女子の方にも一つ問題があった。
この女子は前々からある不良に好意を寄せられていた。
さっき廊下で私を怒鳴りつけた越智一真だ。
これまでのゲームを経験して分かったことがある。
それは、どんなに呼びかけたところで、ゲームに関連する事件については、周囲の人間たちは一切の干渉をして来ないということであった。
警察、教師、果ては両親までも――。
ゲームに対する大人たちの対応は、あくまで『不干渉』を貫く構えを見せている。
一体何故?
どうして周囲の人間たちはゲームに関与しないのだろうか?
詳しい理由は分からなかったが、翔太は逆にそこに1つの可能性を見出していた。
――ゲームの始まりは事前に予見されていたのではないだろうか?
そうでなければ此処まで周到に事態を対処できるはずがない。
これだけ人が死んでいるのにニュースの1つすら流れないのが証拠だった。
翔太は思案する。
もし仮にゲームの情報を統制している『首謀者』がいるのだとすれば――。
その人間から情報を聞き出すことにより、離脱のヒントを入手できるのではないだろうか?
現在のところそれだけが、翔太にとっての唯一の希望であった。
一真は夏休みの頃からずっとこの2年生の女子に言い寄っているらしい。
2年生の女子は断りたいのだが怖くてうまく断れない。
そして何とか逃げ続けている。
それを2年中の男子が知っているため一真が怖くて誰とも付き合う事が出来ない。
そこを優斗は狙った。
「極秘に付き合えば一真にばれないし、卒業するまでの辛抱だよ」などと言って付き合ったのだろう。
優斗からしてみれば、わざわざ極秘にしてもらえれば願ったり叶ったりだ。
私はそこに目をつけた。
事前に優斗の事をある手段で調べつくしていた私は、優斗が次にいつその2年女子とデートをするのかを知っていた。
優斗と2年女子が次にデートするのは今日の学校が終わってから学区内を外れたカラオケだ。
私はその時間まで一日を耐える事にした。
授業が終わるたびに他の生徒からも苛めを日課のように受けるが今日は特に耐えた。
ゆっくり時間が過ぎ
キーンコーンカーンコーン!
一日の終わりを知らせるチャイムが鳴った。
優斗は帰りの会が終わるなり
「じゃあな結子!」
と言って教室からさっさと出て行った。
私もゆっくり教室を後にした。
本当はさっさと優斗を追いかけたかったのだが、クラス内の誰かに急いでいる所を感づかれると面倒な事になりそうなので、慎重にいつものようにゆっくり学校を出た。
行き先も時間もわかっているので焦る事はないのだが、それでも優斗と2年女子に何かあってカラオケに来なかったりしたら計画に狂いが生じてしまう……出来れば最初はつまづきたくない。
そんな事を思いながら必死で家に帰りドタドタ部屋に入って急いで着替え再び家を後にした。
家に帰ったのには2つ理由があった。1つはカラオケに行くのに制服のままでは目立つ事。2つ目に学区内から外れたカラオケの為に自転車でないと先周り出来ないという事。
私は何としても先に着いてなければならなかった。
それは優斗がカラオケのどこの部屋に入るかを確認する為だ。
家を急いで飛び出し、自転車のペダルを力の限りに漕いだ。サドルに座る事なく鬼の形相で風を切った。出来る限りの近道でカラオケに向かった。
「ハア、ハア」
息継ぎをしないで泳いでいるような感覚。
万が一優斗より遅く辿り着いてしまったりしたら面倒臭い。いやもっと厄介なのはバッタリ遭遇してしまう事だ。
そんなプレッシャーを感じながら私はカラオケに辿り着く。
カラオケの自転車置き場に自転車は置かず少し離れた場所に隠して走ってカラオケに向かった。
「ハア!ハア!」
肩で息をしてカラオケ内に入って行くとそこにも肩で息をしている女子がいた。
『野村藍……彼女は私の協力者だ。
私が優斗と2年女子との事を調べられたのも今日のデートの事を事前に調べられたのも藍がいたからだ。
この藍は私と同じクラスなのだが私が苛められる前まではクラスで軽い苛めを受けていた。
私が苛められている内容程ではないが、クラス中の女子に無視をされ、男子にも相手にもされていなく隣の席の机は少し離され、病原菌のように扱われていた。
私が苛めを受けてからは藍は大して苛めを受けなくなってきたが誰にも相手にされずクラスでも存在感は全くない。
臆病でいつも何かにビクビクしている。
そんな藍を私は利用した。
それは6日前の事である。
----6日前
私は藍をこっそり呼び出してこう告げた。
「今私が苛められてるのは分かってるでしょ?」
「う、うん分かるよ。」
「苛められてる最中何度も目があったのに一度も助けてくれなかったよね?」
「だ、だって、私なんかじゃ何も出来ないもん。」
「止める事くらいは出来たんじゃないの?
「そんな事したら次は私が的になっちゃうもん……。」
今にも泣き出しそうな顔をしながら藍は話した。
しかし私はこの身勝手さに腹が立っているのではなかった。逆にその自己中的発想を利用する事のみ考えた。
「そうだね仲裁なんかしようとしたら藍が的になっちゃうもんね。でもね藍、分かってると思うけど私がもしここで登校拒否とかしたらどうなると思う?」
「え?そ、それは……苛めが終わるんじゃない?」
藍の見当違いの馬鹿な発想に怒りを覚えた。
私が藍に言わせたいのはそんな事ではない。
降ってきた言葉に、村主環(女子12番)は顔を上げた。
姿を隠すため、近場の茂みに潜り込む。
周りから見た時に、環の金髪と白い肌は闇に浮かんで見えるかもしれないので。
風に乗って運ばれてくる空気は、少し変な臭いがする。
教室で嗅いだそれに比べれば格段に薄いが、勘違いではない。
水上朱里(女子18番)が殺害された後に充満したものと同じ臭い――血の臭い。
…後で探ってみる…か……
状況把握がしたい。
もしも武器のようなものが落ちていれば、手に入れたい。
始まってから何度も銃声が聞こえ、自身も逢坂珠尚(女子1番)と戦闘になった時には銃を使われた。
『午後10時3分、女子11番・志摩早智子。
午後10時5分、男子1番・出雲淑仁。
午後10時6分、男子5番・北王子馨。
午後10時11分、男子8番・隅谷雪彰。
午後10時21分、女子8番・柏原茉沙美。
午後10時21分、女子4番・卜部かりん。
午後10時25分、男子6番・佐倉信祐。
以上8名だ』
「そうだね、私は苛めから解放されるわね。でもそうなったら次に苛めの対象になるのは誰だろうね?」
私は藍を軽く睨みながら言った。
「え!わ、私?何で?」
「元々藍は苛めを受けてたでしょ?今はそれがないのは私に被害が集中してるからでしょ?私がいなくなったら元に戻るだけだよ。」
「でも、私どうしたらいいのか分かんないよ。」
「じゃあ教えてあげるね!私が登校拒否にならないように少しだけ協力してくれればいいの!」
「協力?」
「うん!学校では今まで通り私を避けてくれていいから私の代わりに調べて欲しい事があるの?それくらいならできるでしょ?」
「うん……でも調べるって何を?」
「それはね……」
----
と言われる野原惇子(女子16番)の異色の組み合わせが、環を見下ろしていた。
と言われる野原惇子(女子16番)の異色の組み合わせが、環を見下ろしていた。
くうた)】
主人公。16歳、高2。のんびりしてるやら、ほんわかしてるやら言われるけど、割と毒舌な方。それなりに人付き合いは上手い。いじられることが多い。とにかくなんの特徴もない、平凡な男。
【間宮 果帆(まみや かほ)】
取っ付きにくい感じのスレンダーな美人。本堂空太の彼女。綺麗な女の子だが男勝りで口が悪い。本当は不器用で優しい女の子。所謂ツンデレ。白百合美海とは親友同士。八木沼由絵とは幼馴染み。
【白百合 美海(しらゆり みみ)】
校内一とも言われる程の正統派美人。学園のマドンナ的存在。明るくて可愛い、親切で優しい、美人でスタイル抜群、なのに気取らない性格と非の打ち所のない女の子。どこか儚げな一面があり数多の男を虜にしている。
これまでのゲームを経験して分かったことがある。
それは、どんなに呼びかけたところで、ゲームに関連する事件については、周囲の人間たちは一切の干渉をして来ないということであった。
警察、教師、果ては両親までも――。
ゲームに対する大人たちの対応は、あくまで『不干渉』を貫く構えを見せている。
一体何故?
どうして周囲の人間たちはゲームに関与しないのだろうか?
詳しい理由は分からなかったが、翔太は逆にそこに1つの可能性を見出していた。
――ゲームの始まりは事前に予見されていたのではないだろうか?
そうでなければ此処まで周到に事態を対処できるはずがない。
これだけ人が死んでいるのにニュースの1つすら流れないのが証拠だった。
翔太は思案する。
もし仮にゲームの情報を統制している『首謀者』がいるのだとすれば――。
その人間から情報を聞き出すことにより、離脱のヒントを入手できるのではないだろうか?
現在のところそれだけが、翔太にとっての唯一の希望であった。
その日の朝。
翔太はインターホンの音によって目覚めることになった。
視界に入った人物を見た翔太は、胸の鼓動を早めていく。
「由紀さん……?」
その少女、遠藤由紀は2回目のゲームでワクチンの入手を手伝ったことで翔太との仲を深めていた。
瞬間、翔太の脳裏に過ったのは考え得る限りでも最悪の結末――。
由紀が感染者でワクチンとして翔太の体を『食べに来た』というパターンだった。
与えられた役割が健常者だからと言って命の保証がされるわけではない。
そのことは昨日の一件により身に染みて理解していた。
「ど、どうしたの? 急に?」
「ごめんなさい。迷惑なのは分かっているのだけど、こんなことを頼めるのは翔太くんしかいなくて」
不安気な由紀の表情を目の当たりにした翔太は、直ぐに彼女の目的がワクチンでないこと察した。
「ああ。うん。俺で良かったら何でも相談してよ」
「翔太くんの家はね。私の近所にあるんだよ。これからは一緒に登校して欲しいんだけど。ダメ……かな……?」
由紀の言葉を聞いた翔太は納得した面持ちになる。
過去のゲームは全て朝の5時に開始されていた。
女子が1人で登校するのには様々なリスクが付き纏う。
通学までの1人でいるタイミングは、ある意味ゲームにおいて最も危険な時間帯だった。
そんな感じで藍を使い優斗の事を6日かけて調べさせた。
「彩菜ちゃん、ごめん遅くなって!
「いいよ!それより受付済ましちゃおう。」
私達は急いで受付を済ました。そして一番入口に近い部屋を指名して部屋の中に入った。
部屋の中ではカラオケが出来る状態で、モニターからは映像が流れているが私と藍はじっと窓の向こうに視線をやった。
私がここに着いたのが16:40だ。今時計を確認すると16:52だ。真っすぐ学校から向かって来たらそろそろのはずだ。
ガタ!
カラオケの扉が開いた。
しかし違った。二人組の女子高生だ。女子高生は受付を済ませると奥の部屋まで行ってしまった。
17:05
ガタ
また扉が開いた。
今度は4人組の男女だ。
また違った……。
私は少し焦った。
「ねぇ藍、本当に17:00にここの店なんでしょうね?」
「ほ、本当だよ。私だって部活の後輩とかから一生懸命聞きだしたんだから」
「なら良いけど……」
イライラしながら藍の言葉を聞いていた。
万が一にも優斗が来なかったりしたら今日の計画は実行出来なくなってしまう。
それだけは避けたい。何としてもあいつに地獄を見せてやるんだ。
そんな不安と苛立ちにかられている時だった。
ガタ!
セーラー服を着た可愛らしい女の子が入って来た。
……2年生のあの子だ。と同時に後ろから優斗が入って来た。
手にはコンビニで買って来たらしい飲み物が入った袋を持っている。
このカラオケは飲食類の持ち込みが許可されているために、事前にコンビニで買ってから来たのだろう。
そしてカラオケの外で待ち合わせをして今一緒に入って来たのだ。
私も藍もじっと見て部屋番号を確認した。それは3つ隣の部屋だった。優斗達は受付を済ますと私達の部屋の前を通り過ぎ自分たちの部屋に入って行った。
それを確認するなり藍がカラオケの店の外に行った。
そして少し経つと帰ってきた。
「どうちゃんと出来た?」
「一応やって来たよ……」
「じゃあ準備は整ったわね。」
私と藍は一旦カラオケのカウンターで精算をして店をそっと出た。
「えっと今は17時35分だからもうちょっとだね!」
「うん……」
「もう藍は帰っていいよ。」
「え?ホントに??」
藍は全力の笑顔でそう答えた。私と藍は自転車を隠してあった場所までそそくさと行き、
「じゃあねありがと藍!」
「うん……それじゃあね」
と言い、逃げるようにこの場を去った。ある意味藍は正しい選択をした。
それは今からここで何が起きるかを藍は理解していたからだ。
私は腕時計を何度も確認しながらその時を待った。
そして
18:00
時間だ。
遠くの道からかすかにその音は聞こえてきた。そしてどんどん音は近づいてくる。
ブォン!ブォンブォン!!
バイクの音だ。
そしてそのバイクはカラオケの駐輪場に入って行った。
バイクを停めヘルメットを取りその男はある物を探している。
ジロジロ自転車を見ながらそのある物を見つけた。
そのある物とは優斗の彼女の真っ赤に目立つ自転車だ。
その自転車のカゴの中には優斗達の部屋番号が載っている手紙を藍に書いて置かせておいた。
その手紙を見るなりカラオケの店内に入って行った。
その男の名はクラスの不良グループの越智一真だ。
------------少し時間は遡って優斗
もうすぐ時間だな。
今日はカラオケを早く切り上げて俺の家にさっさと連れ込んでしまおう。
そんな風に考えながえながら俺はコンビニで飲み物を二人分購入して17:00に待ち合わせのカラオケに向かった。
そこにはすでにあの子が駐輪場で待っていた。
俺の極秘で付き合ってる彼女だ。
俺は自転車で駐輪場にゆっくり向かう。
すると向こうも俺に気付く。
「あ!優斗君!」
笑顔でこっちに手を振っている。
「ごめん、ちょっと遅れちゃったね。」
「いいよ全然……あ、もしかして飲み物買って来てくれたの?」
「うん、ここ持ち込みオッケーだしな。はいこれ君の分」
「ありがとう。優斗君ってやっぱり気が利くね。だからモテるんだろうなぁ。」
「はは俺なんてそんなにモテないよ。」
と言いつつも俺よりモテる奴なんか学年中どころか学校中見渡してもいるわけないだろう。
事実俺には今彼女が6人いる。
この子はその内の1人にすぎない。
俺は自分がどのレベルの男かはきちんと理解している。
クラスでの立ち位置や異性からの見られ方はよく分かる。
勉強なら裕也。
運動なら祐樹。
喧嘩なら蓮。
女子の権力者なら真莉、真央、詩織、結子。
男子なら完全に亮。
俺は基本的に記録されるようなNO1が一つもない。
だが平均値はかなり高くその上完璧のルックスだ。
必要以上に目立たずモテる。これが俺の理想なんだ。
あまり目立ち過ぎると敵が増えてくるのと、複数の女子と遊びにくくなる。
一度に色々な彼女を作るにはこの子みたいに極秘に付き合えるのは俺にとっては絶好のカモだ。
本当に一真様々だ。彼のおかげでこの極秘交際が発生したからな。
「優斗君?どうしたの?」
「あ、あぁちょっと考え事だよ。じゃあ店入ろっか。」
そう言って俺達は店に入った。
受付を済まして指定された部屋に入る。
カラオケなんてせいぜい1時間くらいで終わらせてさっさと家に連れ込もう。
いや、それとも野外プレイもありだな。
なんと言ってもこいつは俺以外の男とは付き合えないから俺のいいなりだ。
そんな事を考えながら歌を歌っていると
ガチャリ
部屋の扉が開いた。
俺は歌いながら扉の方を見ると店員がポテトのセットを持ってきた。
「あ、ごめんさっき頼んじゃった。」
余計な金を使わせやがってと思いながらも歌いながら俺は笑顔で頷いた。
ポテトを食べながら順番に流行りの曲を歌う。
彼女が歌っている姿は本当に可愛らしい。こんな子を自由に遊べるなんてなんてラッキーなんだ。
これだったらもう彩菜なんかで欲求処理しなくても全然よさそうだな。
そんな事を思っていると再び扉が開いた。
何気なく見た時計の時間は18:04を表示していた。
さっき扉から店員が入ってきたばかりだったので、俺はてっきりまた店員が来たのだと先入観を持ちながら開いた扉に視線を移した。
そこにはありえない男が立っていた。
この瞬間だけは見られてはいけない相手、
一真だ。
そんな馬鹿な何で一真がここに。
俺は焦るを通り越して完全に固まった。
それと同時に彼女も歌うのを止め固まっている。
何故か一真も何も言わずに突っ立っている。
部屋にはメロディの音が流れているのだが空気自体は静まり返っていた。
すると最初に彼女が口を開く。
「か、一真先輩ごめんなさい!」
?何を謝っているんだ?
「一真先輩に言おう言おうと思ってたんですがつい言いだせなくて、私と優斗君は付き合ってるんです。」
おいおいお!!、何を勝手な事を言ってんだ!!!
そんな事認めてしまったらこの男は何をしでかすか分かったもんじゃない。
だから極秘に付き合ってきたんじゃないのか?こいつは馬鹿か!
…………。
いや、まだ間に合うちょっと苦しいが何とか誤魔化しきれば逃げられる。
「ところで由紀さんはどうしてウチの住所を?」
翔太としてはそれが最大の疑問であった。
高校に入ってからは、遊岳以外の友人を自宅に招き入れたことがなかった。
「えーっとね。ウチのお母さんが翔太くんのお母さんと知り合いで、そのツテがあって知ることができたんだ」
「あー」
幼い頃に父親と死別した翔太は現在、母親と2人暮らしの生活を送っていた。
現在は友人の会社に所属して、全国を飛び回っているが、過去にはパートの仕事を転々としていた時期があった。
「ちょっと待っていて。由紀さん。今準備してくるから」
「……由紀でいいよ」
「え?」
「仲の良い人からはそう呼ばれているし。翔太くんにはこれから迷惑をかけると思うし」
「……分かった。これからよろしくな。由紀」
翔太はネットで注文しておいたサバイバルナイフを手に取った。
刃渡り10センチを優に超えるこのナイフは、折りたたむことによって手軽に持ち運ぶことも可能だった。
(……出来ればコイツは使いたくないんだけどな)
翔太はハンガーにかけられた制服に着替えると、内ポケットの中にナイフを入れる。
朝の日差しを一杯に浴びる東向き部屋が机の上を明るく照らしている。
小さい頃から何千回と繰り返して見てきた光景。
けれども、ポケットの中の刃物の重さが、これから起こるであろう不吉を予感させていた。
由紀と合流した翔太は由紀と一緒に学園を目指すことにした。
母親が同じ職場で働いていた、という時点で察しがついていたのだが、2人の最寄りの駅は同じだった。
改札を出た2人は、学校前の桜並木の坂を歩く。
「誰も……いないね……」
普段通りであれば通学する生徒たちでごった返しているはずの坂道は、奇妙なほどに静まり返っていた。
まるで世界の中で自分たちだけが切り取られてしまったかのような感覚だった。
「ねぇ。翔太くん。あれを見て……!」
坂道を上り終わって学校の門を潜ろうとした時、2人は奇妙な光景を目にすることになった。
「綾斗。何を持っているんだよ?」
そこにいたのはトラックに積まれた大きな鍋を学園に持ち込もうとするクラスメイトの姿であった。
神木綾斗。
学年トップの秀才にして、大病院の跡取り。
スペックだけで考えると非の打ちどころのない人物なのだが、翔太は何時も他人を見下すかのような態度を取っている綾斗のことが苦手だった。
「か、一真落ちつけよ、付き合ってるって行っても今日のカラオケに付き合ってるって意味でその、なんだ……別に変な意味で付き合ってるとかじゃないんだよ。」
一真は黙ったままこっちを睨む。
一瞬怯むが俺は続ける。
「いや、この子がお前のお気に入りだって事は知ってるさ、だけどなこの子に言い寄ってくる男子が結構いてなそいつらをどうやって対処するか相談に乗ってたんだよ。」
「あ?カラオケで?」
ついに一真が口を開き始めた。
と思ったと同時に俺の肩に手を回し
「おい店出るから精算するぞ!」
だ、駄目だ。店から出たらその時点で俺は終わる……まずい。
すると彼女は何も考えていないのかとりあえず会計をしに行った。
馬鹿か……あいつは何も頭が回らない奴だな……。
俺は一真に引きずられるように店を出た。
…………終わった。
------------彩菜
一真がここに来たのは至って単純な理由だ。
藍が偽物の手紙を書いたのだ。藍が昨日のうちに一真の下駄箱に優斗の彼女の名前で明日の18:00に○○のカラオケに来て下さいと誘いの手紙を忍ばせておいたからだ。
普通の人間ならこんな古いというか怪しいような事には騙されないだろうが、一真は暴力でしか物を語れない単細胞なのだ。
しかも自分に何故か自信を持っている勘違い君でもある。
そんな一真を見越して優斗の部屋に遭遇させる。
これが優斗への最大の復讐だ。
結果が楽しみだとワクワクしていた時だった。
カラオケの店の中から3人が出てきた。
一真は優斗の首に腕を回ししっかり逃げられないように無理やり優斗を歩かせている。
優斗の顔は真っ青になっていた。まだ何かされた分けではないが完全に脅えていた。
2年生の女子は半泣きになりながら二人の後をそっとついて行った。
そして3人は路地裏に入って行った。
私も細心の注意を払いながらその路地裏が見えるギリギリの場所まで行った。
ゆっくり足音を立てずに物音一つ立てずにそっと覗く。
すると私の予想をはるかに超えた展開になっていた。
私の計画の中ではキレた一真が優斗を2、3発殴ってビビった優斗が彼女を差し出すかのように詫びを入れるかと、その程度に考えていた。
それだけでも十分なはずだった。明日からは優斗ブランドは消滅し一気に人気のない一人の生活を始めさせる予定だった。
しかし優斗は私が覗いた時点ですでに2,3発どころか顔の原型が留めていないくらいに殴られていた。
2年の女子は怖くてその場で泣き崩れていた。
一真は優斗の髪の毛を掴み
「おい、優斗!生きてるか?」
「ひゃ、ひゃい」
口の中が切れているのか優斗は上手く返事が出来ていない。
「てめぇあれだけこの子に手を出すなって言っただろうが!俺が狙ってるの知ってて何してくれてんだ!!」
「ご、ごへんなひゃい」
優斗は目からは涙が溢れ、鼻や口からは激しく流血している。腫れあがった頬はシャープな優斗の面影を完全に消してしまっていた。
これではもうその辺で会っても誰だか分からない。
「――見てわからないのか。こいつは寸胴鍋だ」
綾斗が持っている鍋は、ラーメンの専門店で使われているような巨大なものだった。
インテリな雰囲気を持つ綾斗が、巨大な鍋を運んでいる姿は傍目に見て異様なものがあった。
「そうだ。お前たちも運ぶのを手伝ってくれ。家庭科室に持ち込みたい器具は他にも色々とあってな」
「構わないけど……そんなん何に使うんだよ」
「決まっているだろう? いざという時に人間の肉を調理するためだ」
綾斗はメガネの位置を整えながらも平然と回答する。
「なっ」
人間の肉を調理する。
最初にその言葉を聞いた時、翔太は吐き気を催しそうになった。
「友達の肉を調理って……どうかしているんじゃないか!?」
頭に血が上り、視界がぼやけて霞んでいく。
しかし、翔太とは対照的に、綾斗の表情は至って冷静なものであった。
「何もオレが調理すると決まったわけではない。これは必要な人間が必要な時に利用すればいい」
「でも、だからって……」
「ならお前は……どんな病気を持っているとも分からない人間の肉を生で食べるというのだな?」
翔太はそこで冷静になって考え直す。
ここで綾斗の行動を否定するのは綺麗事だった。
家畜として育てられた動物の肉ですら、生で食べることには様々なリスクは付き纏う。
ましてそれが人間のものとなれば尚更であった。
綾斗の言うことにも一理ある。
最悪のケースを想定した場合、どうしても人間の肉を調理する必要があった。
「――悪かったよ。俺が間違っていた」
感情的になって頭ごなしに否定してしまった自分が恥ずかしかった。
たとえそれが倫理的に間違っていることだとしても――。
最悪のケースに対する保険という意味では、綾斗の行動は何も間違っていない。
「まずはこいつを運べばいいんだな」
「ほう……」
翔太が自ら積極的に荷物を抱きかかえに行くと、綾斗はどこか感心した表情を見せた。
「翔太くん。私も手伝うよ」
「ありがとな。じゃあ、由紀は反対方向を持っていてくれ」
こうして翔太たち3人は、家庭科室に様々な調理器具を持ち込むことにした。
鍋の縁から鉄の匂いが、なんだかやけに生々しく感じられた。
翔太たちが教室に到着した頃には時刻は8時20分になっていた。
ゲームの中の『学校を休むと死亡する』というルールを警戒して大多数の生徒たちは着席していた。
「うわぁぁぁん! 夢愛あああぁぁぁちゃん! 痛いよおおおぉぉぉ!」
突如として教室に籠ったような男の声が響き渡る。
「よしよし。泣かないで。男の子でしょ」
「うううっ。うぐっ。痛い……。痛い……」
始業ギリギリの時間に1組の男女が教室の中に足を踏み入れる。
「ねぇ。翔太くん……。あれ……」
「ああ。竹男のやつ……指の爪を剥がしたんだ」
竹男の右手からはポタポタと血液が滴り、床の上に血痕を残していた。
出血の状態から考えて、剥いだ枚数は1枚や2枚ではなかった。
麻酔もなしに指の爪を剥ぐ痛み。
果たしてそれがどのようなものなのか翔太には想像もできなかった。
「夢愛さん……。ちょっといいかな」
状況から言って今回の感染者は彼女と見て間違いはなかった。
姫宮夢愛(ひめみやゆあ)。
教室の中では物静かな彼女は、あまり自分について語らない。
――良く出来た人形のような女の子だ。
初めて夢愛と出会った時、翔太はそんな印象を抱いていた。
「なにかしら。翔太くん」
近くで見ると、改めて可愛いと思った。
小柄な体型の割に胸は大きく、長い睫毛によって彩られた眼を見ていると吸い込まれそうになった。
「竹男のワクチンのことなんだけど……どうやって解決したの?」
「ふふ。夢愛は何も特別なことはしてないよ。ただ竹男くんの家に行って相談をしたの」
「相談?」
「そ。竹男くんに相談して『夢愛を助けて』とお願いしただけ」
「……ひ、人の命がかかっているんだぞ。爪くらいは安いものさ!」
鼻息を荒くしながらも竹男は言った。
他人を助けるために自分を犠牲にできる人間は多くない。
そのことは過去のゲームで嫌というほど思い知ったことである。
だからこそ翔太は竹男の言葉を素直に受け止めることができないでいた。
一真は優斗の髪を掴んだまま再びキレだした。
「てめぇがどんだけ遊んでようが俺には関係ねぇよ!だけど俺が狙ってる奴を遊び半分で手を出して無事に済むと思ってたのか?」
と言い終わると同時に髪の毛を一気に引き抜いた。
「ギャーーーー!!」
無造作に引き抜かれた髪は空中でパラパラ舞い、優斗の頭から一部皮膚が見える状態になっている。
「いてぇよ!いてぇよぉぉ」
優斗が地面で疼くまる。
しかし一真は関係なしに優斗の顔面をつま先で蹴り上げる。
優斗はエビのようにのけ反り後ろの壁にぶつかった。
「も、もう許して……」
優斗は泣きながら何とか声に出した。と同時に前歯が折れているのに私は気が付いた。
「いいか優斗、百歩譲っててめぇが真剣に付き合ってたなら俺はまだここまでキレねぇよ」
と言った時に2年女子が
「私達は真面目に付き合ってます。確かに一真先輩にきちんと返事を出さないまま優斗君と付き合ったのは申し訳ないけど……でも私達はまじ…」
と泣きながら言う彼女の言葉を遮るように
「あんな、真面目な気持ちはお前だけなんだぞ!こいつは他に俺が知っているだけでも5人は女がいるぞ!」
「!!」
2年女子は驚いた様子で優斗を見る。
優斗は地面に転がっていたため表情は読みとれなかった。
「優斗君他に彼女なんていないよね?」
優斗は黙ったままだった。
下手に嘘をつくと一真にまたやられる。
ベストなアンサーを考えていた。
「……爪を渡したのは本当に竹男の意志なんだな?」
「当たり前だ! それ以外にどんな理由があるっていうんだ!」
竹男の言葉が真実であるのならば、それは翔太にとっては喜ばしいことであった。
健吾の暴走によって教室では、『ワクチンを手に入れるためには殺して奪うしかない』という空気が出来上がっていた。
今回のように平和的に解決する手段を示せば、1―Aの生徒たちを大いに勇気付けることになるかもしれない。
「優斗正直に答えたら今日はこれで勘弁してやるよ!」
「優斗君!!正直に言って!」
すると重い口を優斗は開いた。
「い、いるよ、他にひゃのじょが5人いるよ……ごめん」
2年女子は口を自分の手で押さえ再び泣き出しそうになりながらも優斗にビンタを喰らわした。
「優斗君最低!!私は本気だったのに!」
と言ってその場を去って行った。
「ざまぁねぇな!まぁ自業自得だな!今まで散々やってきたんだろお前も!」
私は一真自信に同じセリフを言ってやりたかった。
私からすれば一真も優斗も大して変わらない。
「ひぎぃっ。ぐぅぅ~」
感情的に説明をしたのが傷に響いたのだろう。
爪を剥がされた竹男は、右手を抑えたまま蹲る。
「大丈夫かよ!? 傷を見せてみろよ!」
異変を感じた翔太は竹男の手の傷を確認する。
「うぐっ……」
そこで翔太の視界に入ったのは、想像を絶するほど痛々しい傷跡であった。
ナイフか何かで無理やり剥がしたのだろう。
竹男の爪は肉ごと深く抉り取られ、赤く染まっていた。
素人目に見ても今の状態のまま放置するのが危険だということは直ぐに分かる。
「いいな優斗今日は知らないチンピラにからまれたんだぞお前は!わかってるよな?」
「う、うん!」
「万が一バラしたらお前卒業までの間地獄になるからな。男の彩菜バージョンだ!」
聞いてて虫唾が走るがここは我慢だ。
しばらく一真が優斗に脅しをかけて、そしてカラオケの駐輪場に停めてあるバイクに乗って帰って行った。
優斗は起き上がるのも精いっぱいの様子で泣きながら
「何でこんな事に……うぅ」
ひどい様子だった。
髪は一部にハゲが出来て学生服はボロボロになっている。顔に至っては誰だか全く分からないほど変化してしまっている。前歯もない。
ふふふ。
復讐完了!
多少どころか結局私にとっては最大の結果になった。
優斗の女遊びを支えている容姿を全て失わせた。そして今後は一真にビビって何も出来ないだろう!
これは私が優斗に与えた天誅なのだ。
ゾクゾクと背中から全身に至るまで大きな達成感と満足感に私は駆られた。
辺りはすっかり暗くなり私もその場を離れ家に帰った。
今日はテンションが上がって寝られないかもしれない。
その夜私は布団の中で思いふけった。
復讐がこんなに楽しいなんて。
私は歪んでしまったのか?
いいや私は無理やり歪められただけだ。
そうクラスメイトに……
あと27人。
11月12日----私はワクワクしながら朝を迎えた。昨日の優斗の悲痛な叫びと悲惨な姿が目に焼き付いて忘れない。
いつもの暗い気持とは違い声を高らかに
「行ってきま~す。」
こんな登校は何カ月ぶりだろうか。清々しく学校へ行ける日がくるなんて……いやまだ始まったばかりだ。
私は昨日の一件で緩んだ気持ちをもう一度絞め直した。
そして学校に向かう途中であちらこちらの登校中の生徒から同じ話が聞こえてきた。
昨晩の優斗と一真の一件である。
「ひぎぃっ。ぐぅぅ~」
感情的に説明をしたのが傷に響いたのだろう。
爪を剥がされた竹男は、右手を抑えたまま蹲る。
「大丈夫かよ!? 傷を見せてみろよ!」
異変を感じた翔太は竹男の手の傷を確認する。
「うぐっ……」
そこで翔太の視界に入ったのは、想像を絶するほど痛々しい傷跡であった。
ナイフか何かで無理やり剥がしたのだろう。
竹男の爪は肉ごと深く抉り取られ、赤く染まっていた。
素人目に見ても今の状態のまま放置するのが危険だということは直ぐに分かる。
「――オレが保健室に連れていくよ」
竹尾の異変に対して最初に反応した生徒の名前は田辺浩明。
1―Aの頼れる委員長にして、翔太にとっては中学の時からの付き合いになる友人であった。
「浩明……。任せてもいいか?」
「ああ。応急処置なら小学生の時、ボーイスカウトで習った。なんとか傷が化膿しないように処置してみるよ」
浩明はそう宣言すると、蹲っている竹男に肩を貸す。
小柄な浩明の体と比較すると、竹男の肥えた体は途方もなく大きくなものに見えた。
一真はきちんと優斗に口止めをしていた。そして優斗も口を簡単には割る事はないはず。
だがいくら学区外とはいえあそこのカラオケにいた生徒もいたのだろう。
もしかしたら暴行現場も見ていたのかもしれない。
そこから一気に噂になったのだ。
噂とは話が勝手に大きくなるものである。
ある生徒は
「3組の一真が優斗の髪の毛を全部燃やしたんだって」
また別の生徒は
「3年の越智一真先輩が優斗先輩の顔をナイフで切り刻んだうえに学生服も破り捨てたらしいよ。」
いくら一真でも髪を燃やしたりナイフで切り刻むような事はしない。
いやそこまではさすがに度胸はないはず。それに一真は今まで自分の拳一つで喧嘩をしてきた。道具には頼るタイプではない。
あくまで大げさな噂なのだがこれが学校の教師陣の耳に入った。
越智一真は1週間の自宅謹慎とする。
これが学校が奴に与えた処分だ。……ずいぶん緩い。でもまぁしょうがない。とりあえずは学校に来なければ他の計画を遂行しやすくなる。
朝の担任の話では優斗は2週間の入院が必要らしい。それを聞くなり優斗の席の隣に座っている滝嶋結子が前の席の
『窪田恵美』に声をかけた。
「優斗何かそうとう顔ボコボコなんだって!他のクラスの子達が生で現場を見たらしいよ。イケメンだけがとりえだったのに残念だねあいつも。」
「そうだね、でも今度ご飯に行く約束を結子してなかったっけ?」
「あんなの社交辞令だってば!あんな遊び人と二人でご飯なんか行ったらすぐにヤラれておしまいだよ。」
「そうなんだ……でも優斗も気の毒だね」
「何で?恵美あんたあいつに気でもあったの?」
「あ、あるわけないでしょ!」
「ふ~ん、どっちでもいいけど、それより今日またあそこ寄って行こうよ」
「え?でも結子塾に行かなくていいの?」
「いいの、いいの!」
この話を普通に聞いていたら塾をさぼってファーストフードやカラオケあたりにでも遊びに行くんだと思ってしまうほどあっさりとした会話だ。
だがそんな健全な遊び場ではない。この二人が行くのは合法ではあるがドラッグパーティを開催しているクラブだ。
女子名簿番号8番
『滝嶋結子』
今日の復讐のターゲットは彼女だ。
結子は学年でも10位に入る成績で、高校もかなりレベルの高い所に行くらしい。
クラス内の女子の派閥は大きく分けると2つある。
細かい少数派は別として、一つはこの結子を中心としたグループだ。結子は本来真面目で面倒見の良いおねぇさんタイプの女の子だ。
クラスの色々な女子に頼りにされている。私も元々はその一人だ。
私への苛めがクラス内で始まったのは5月からだった。女子のもう一つの派閥の『結城真莉』の率いるグループと、不良グループの蓮の一派の2つのグループに集中攻撃された。
私は結子にだけは相談しようと思っていた。
助けて欲しかったからだ。
でも
ここでもまた裏切られた。
----7月最終登校日の下校時
部活のない日は私は結子と結子の金魚のフンの恵美と私の親友の美穂との四人で帰る事が多かった。これが結子グループだ。
いつもなら結子が話題を振って私達がそれに合わせて話しをしながら下校するのが基本だった。
だがその時期私はクラスの半分近くの人間に苛めや無視をされていた。
理由は様々でおおやけになっている苛めもあるがそれは少数で蓮グループや優斗のように裏で私を苦しめるものがほとんどだった。
精神的にも限界に来ていた。私は帰りに楽しく会話出来る状態ではなかった。
「遊岳がいなくなった今……オレたちがクラスを支えていかないとな」
「浩明……」
翔太はジンと涙腺を緩ませる。
浩明には昔からこういうところがあった。
誰もやりがたがらない仕事を率先して引き受け、グループの先頭に立って、集団を率いようとする。
翔太は浩明の情に厚い一面を好ましく思っていた。
(……そうだよな。これまで俺は少し悲観的に考えすぎていたのかもしれない)
何かにつけて物事を悪い方面にばかり、考えすぎてしまうのは悪い癖だと翔太は自責する。
誰かに相談したい…………でも誰に?
親友の美穂?……言えば美穂まで一緒に苦しめてしまいそうで言えない。
恵美?別に大して恵美の事を好きでもなかったが嫌いでもない。だけど恵美に相談しても解決は絶対にしなさそう。
ここはやっぱり私達のリーダーの結子に相談するべきだ。
この時私は間違った選択をした事に全く気付いていなかった。
一度家に帰り、学校は終業式だけだったので半日だった。わたしはすぐに結子の家に向かった。
自転車を漕ぎ結子のを目指す。私の家とは500m程しか離れていないので10分程で辿り着いた。
結子の家のインターホンを鳴らそうとした時、何やら家の中から叫び声が聞こえてきた。
「!!んた!しょ!!!」
「※♯Aoこ!」
さすがに何を言ってるのかまでは外には聞こえなかったが、忙しそうだったので一旦私は家に帰った。
そしてその夜結子に電話した。
私は携帯電話を持っていなかったので家のコードレス電話から結子の携帯に電話した。
プルルルル
プルルルル
「はい」
「あ、結子?私彩菜だけど」
「……どうしたの?」
結子の声は少し暗かった。
「えーと相談したい事があって……今から家に行ってもいいかな?」
「待って!今日は無理だよ明日の塾の帰りでもよかったら南町の公園で待ち合わせしない?」
「あ、ごめんね。うん、それじゃあ明日の夜ね!」
そう言って電話を切ったが本当はすぐにでも相談したかった。
そして次の日の夜を私は待った。
学校は休みなので一日中私は家にいた。一歩も外に出たくなかった。
結子に会うまで誰にも会いたくなかった。
そして夜になり私は待ち合わせの公園に向かった。
結子の塾は20:00に終わるのでここには20:15分くらいには来るだろうと思い20:00には公園にいた。
……しかし約束の時間になっても結子はなかなか来ない。
何か塾であったのかと思い私はもう少し待った。
21:30になった。さすがにこれ以上は待っても来ないだろうと思い家に帰った。
そして家に帰るなり結子に電話した。
竹男が保健室に運ばれてから数分後。
自分の席に着いた夢愛は、教室の隅でマニキュアを塗っていた。
過剰なネイルアートは男ウケが悪い。
あくまでクリアカラーを使って自然に見せるのが夢愛の拘りであった。
血に濡れた竹男のものとは対照的に、薄ピンク色の夢愛の指先は、手入れを施すことで一段と輝きを増していた。
「~~♪」
先程までの動揺した素振りは何処にやら――。
鼻歌交じりに爪の手入れをする夢愛からは、竹男に対する気遣いは見られない。
「……フンッ。食えん女だ」
後ろの席に着く綾斗は、人知れずに不快感を露わにしていた。
プルルルル
プルルルル
「……はい」
「あ、ごめんこんな遅くに」
時間は22:00を回っていた。
「結子今日何かあったの?」
「ちょっとね……あぁそういえば待ち合わせしてたね。すっかり忘れてたよごめんごめん。」
忘れてた…………私は少なからずショックを受けた。
「忘れてたの?私1時間以上も待ってたんだよ。」
「ごめんって!私も色々忙しいんだよ。」
「……そっか……結子にとって私はそんな程度だったんだね。」
私は切ない思いで結子にそう言った。一日でも早く相談して苛めから抜け出したい私にとっては忙しいの一言で約束をすっぽかされるのは何よりショックだった。
信頼してる友人なだけに……しかし結子は私の言葉を聞いて態度を変える。
「あのさ、彩菜あんたって何でそんな自己中なの?」
「私が自己中?」
「は?そんな事も自覚がないわけ?そもそもあんたが携帯持っていたら公園から私に電話して確認できたでしょ?」
「え?私が悪いの?」
「そんなふうに言ってないでしょ!」
徐々に結子は怒りはじめる。
「私は昼は部活の最終練習で夜は塾でもうクタクタなの!部活をやってるせいで1学期の成績はズタボロで親にめちゃくちゃ怒られて夜の外出は塾の日以外禁止になったんだよ!!!」
それでかと私は思った。しかし今にして思えばそれを口にするべきではなかったのかもしれない。
「あ~だから昨日の昼に結子の家に行ったらもめてたんだね。ごめんね結子の事何も分かってあげられなくて……」
それを聞いた瞬間に結子の態度は豹変する。
「は?何で私があの時怒られてるの知ってんの?」
「え……あの時帰ってから私結子の家に相談しに行こうと思って家の前まで行ったら怒鳴り声が聞こえて、それで私……」
「てか何で連絡もなく来るわけ?マジ信じらんないんだけど!!私のマネージャーにでもなったわけ?」
「ご、ごめん。でも結子がそんなに親に怒られてるなんて知らなかったから……」
「あんたには分かんないでしょうね!彩菜の家はそんなに厳しくもないし部活も文化部だから大して今は忙しくないどろうしね!」
「そ、そうだね……。」
「私の気持ちなんて彩菜には全くわかんないでしょ?学校では皆に相談され、部活ではチームをまとめ、家ではオールマイティな優等生をしてなきゃならないこの苦痛な気持ち!!」
たたみかけるように結子の猛舌は続く。
「成績だってちょっと下がったくらいでそんなに悪くないし、少なくとも彩菜よりは上だしね。でもうちのクラスではどうやったって3番目にしかなれなじゃない。」
そうだ、うちのクラスには超秀才が2人いる。1年の頃から学年の1,2位を取り続けている。
「あの二人がいたらクラスで1位なんて無理なのよ!それなのに私の両親は常に1位を目指せの一点ばり!」
いつの間にか結子のグチみたいになってきている。そう思っていた矢先に。
「私はもう優等生でいる事に疲れたの!!せめて家の外ではバカをやらせてよ!……聞いてるの彩菜?」
「うん……聞いてるよ。」
「こんな風に私が悩んでるなんて少しも気づかなかったでしょ??相談したいのはこっちの方よ!……まぁ彩菜に相談しても何も解決しないけどね!」
これには少しカチンときた。
「で、でも結子だって私が何に悩んでるか分かんないでしょ?」
すると結子の口から思いもよらない答えが返ってきた。
「分かるわよ!どうせ真莉達や杏奈達と上手く行ってない事でしょ?それとも蓮達?何が原因かまでは分かんないけど、少しこじれたくらいで落ち込み過ぎなんだよ!」
「ちょっと待って。私がそこら辺のグループに苛められてるの知ってるの?」
「知ってるってゆ~か見ればだいたいわかるでしょ!特に杏奈と結衣は思いっきり態度に出してるじゃない!」
「そんな、知ってて助けてくれなかったの?」
私は泣きそうになりながらも必死で話した。
「はぁ?そんな事言うの?あんたなんか私と一緒にいなかったらクラス全員敵だよ!それを分かって言ってんの?」
「ひどいよ!結子!私達友達じゃないの?」
私はいつの間にか泣いていた。
しかし結子はこれに相当腹が立ったらしく
「ひどいって何よ?自分の事ばっか考えて私の事なんか少しも考えていない彩菜の方がよっぽど最低じゃない!しかも泣くなんてどれだけ卑怯なのよ!」
私は何も言い返せなかった。
「自分の相談だけしようとして私の事は一切おかまい無し。それのどこが友達なのよ!もう彩菜とはつるまない!これからは勝手にして!」
そう言うと結子は電話を切った。
…………。
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
私は心の底から泣いた。
信じていた友達に言いたいように言われてしかも見捨てられた。裏切られた。
そしてこの日を境にクラスのほとんどが私に話しかけなくなる。
夏休みが明ける頃には結子も恵美も完全に私を無視するようになっていた。
----
私は結子を許さない。
信じていたのに裏切った。
そして自分だけが普通の生活を送っている。
絶対に許さない。
私は結子から居場所を取り上げる事にした。
結子の居場所は2つある。
1つは恵美と通っているクラブだ。私は行った事はないがそこでは優等生の結子がメイクをして服装もだいぶ大人の格好をして遊んでいるらしい。
普通クラブなんて中学生は入場禁止だが、結子も恵美も化粧をするととても15歳には見えない。
それを良い事に羽を伸ばしまくっているらしい。
これは本能の結子なんだろう。
それとは別にもう1つの居場所は結子の家だ。
結子は家では超が付くほどの優等生だ。1学期には成績を崩しかけたが夏休みで挽回をした結子は再び親に重宝されているらしい。
こっちの結子は理性の結子だ。
きっとこの2つの顔を使い分けて2つの居場所できちんとやりくりをしている事に満足なんだろう。
私はそれを潰す事にした。
結子と恵美は今日の夜にクラブに行くと行っていた。恵美は大して行きたくないんだろうが結子の誘いは断れないんだろう。
一日が終わり学校が終わると
「じゃあまた後で電話するね恵美!」
「オッケー。分かったよ。」
そう言うと二人とも学校を後にした。
私も一旦家に帰った。
昨日の優斗の時とは違いあの二人の行動はだいたい分かる。それなりにつるんでいた訳だから。
夜になり結子が塾に行く時間になった。……いや塾をさぼって恵美とクラブに行く時間だ。
------------結子
私の家は厳しい。特に受験勉強の追い込みのこの時期は家の監視や門限などが半端じゃなかった。
私はそれが嫌だった。
何とか逃げ道をずっと探していた。
2学期に入りその道をついに見つけた。
それがクラブの存在だった。
最初は全く興味が無いと言うか中学生の私には完全に無縁の世界だった。
しかし夏休みのある日、塾に行こうとしていた時にクラスのギャル二人組に街中でばったり会った事から私は変わっていった。
----夏休み
「あれ?結子じゃん」
「あ、本当だ。結子ォ!」
クラス内でもギャルと言うか遊び人の二人だ。
「何何何?こんな時間から制服来てどこ行くの?」
「塾に決まってんでしょ。」
「だよね、結子が援交でもしてたらマジビックリだもんね。」
このやけに絡んで来るのが『三輪楓』だ。援交や男遊び、万引き、飲酒、喫煙。色んな噂が飛び交う女子だ。
「てか、楓さぁ結子は真面目なんだからそんな事する訳ないっしょ!」
こっちの方は楓の顔色をいつも窺っている『菅原千鶴』だ。
こんな二人にかまってたら塾に遅れてしまう。
「悪いんだけど私塾に行かないといけないから行くよ。」
「冷てぇなぁ。同じクラスなんだから少しくらいしゃべってこうや。それともそんなに勉強しなきゃ高校もまともに行けないの?」
カチンと来た。
私の悪い癖だ。すぐに頭に来てしまう。
「別に勉強しなくてもあんた達より良い高校にくらい入れるわよ。」
「だったらいいじゃん。そこのコンビニの駐車場で休んでこうよ。」
私は仕方なくこの二人とコンビニの駐車場で話をしていった。
すると楓が服の中から煙草を取り出して火を付けた。
楓は慣れた手つきで煙草を吸い始めた。とっさに私は
「ちょっと!匂いが付くじゃない。」
「大丈夫だよ結子。はい、これ匂い消し。私達もいつもこれで匂い消してるんだよ。」
千鶴はそう言うと私に匂い消しのスプレーを振った。
「てか結子って何でそんなに真面目なの?もっと遊んだ方がいいんじゃない?」
「別にいいでしょ。」
そうは言うもの楓の一言は私を揺さぶる。
私も好きで優等生をしているのではない。
やっと三年間の部活から解放されて少しは遊びたい……これが本音だ。
しかし周りが、家庭がそれを許さなかった。
「てか結子ってメイクとかしたらめっちゃ可愛くなりそうじゃね?」
「うん。なりそう、何か綺麗な感じになりそうだね。」
「そうだ!良い事思いついた。ちょっと結子じっとしてて」
「は?何するの」
「いいからいいから」
そう言うと楓はカバンから化粧ポーチを取り出して私にメイクをやり始めた。
本来なら抵抗して拒否するべきなのだろうが私は何故か受け入れた。
手慣れた感じで楓は私にメイクを施した。
「出来たぁ~!てかやば!めっちゃ可愛い。」
「すっごい変わってるよ結子!18歳でも通るよ!」
千鶴はそう言いながら私に手鏡を渡した。
これが私??
そこには今まで見た事もないくらい綺麗な私がいた。
「どうよ!私の腕は!だてに遊んでる訳じゃないんだよ。」
思わず感心していた自分がいた。
「結子さぁそのメイクならクラブとか行ったらめっちゃ人気者になれるよ。」
「クラブ?あんなとこ中学生じゃはいれないでしょ?」
「まぁそうだけどそのメイクしてたら余裕で15歳には見えないから大丈夫だってば!」
確かに何か大人びた感じがする。
「そうだ!明日千鶴とクラブに行こうと思ってたんだけど結子も行こうよ。」
「え?……明日は、」
私か話しきる前に先読みしたかのように楓が
「塾でしょどうせ!だったら尚更遅くなっても親にばれないじゃない。一日くらいさぼっちゃいなよ。」
私は少し悩んだが行く事にした。
今私は受験勉強で一番大事な時期だ。しかし心のモヤモヤが取れない。
家でのストレス学校でのストレス全てをどこかにぶちまけたかった。
そして私は少しずつクラブにはまっていった。
いつからだったか恵美も強引に連れて行くようになり、楓や千鶴がいない時でも行くようになっていた。
塾の日にさぼって近くのコンビニのトイレか公園のトイレでメイクをして私服に着替えてクラブに繰り出す。
最初は抵抗あった煙草だが、今では自分も喫煙側になってしまっていた。
しまいには週末限定の合法ではあるがドラッグパーティにまで足を運ぶようになっていた。
----
そして11月12日の今日もまた私はメイクをして着替えて集合場所で恵美と合流した。
「よう!恵美。」
「あ、結子。用意出来た?」
「うん!さっさと行こ!」
私と恵美は走ってクラブに向かった。
塾の終わる時間までしか私はクラブにいられない。
しかしそのわずかな時間が私のストレス解消になる。
クラブに行けば色んなジャンルの人と友達になれる。
色んな男から声を掛けられる。
色んな遊びを覚えられる。
今の私にとってはもうクラブ無しではやっていけない程にはまっているのが分かる。
私の生きがいだ。
しかしその生きがいもいきなり終焉を迎えた。
私達の行くクラブは地下1階にある。
私と恵美はいつものように店の扉を開けた。
まだ店は始まって1時間も経っていないせいかお客は少なかった。
私と恵美が受付でお金を払おうとした、その時に事は起こった。
「あ?結子ちゃんと恵美ちゃん?」
私達に声を掛けてきたのはこのクラブのオーナーだ。
「あのさちょっとこっちの部屋に二人とも来てもらえる?」
何だか分からないが私達は奥の部屋に呼ばれた。
オーナーは奥のソファに座り私達にも座るように言ってきた。
そしてオーナーはソファとソファの間ににあるテーブルの上に指を刺した。
そこに置かれた物に私は目を疑った。
「これ結子ちゃんと恵美ちゃんだよね?」
テーブルの上には私達のクラスの集合写真が置いてあった。しかも丁寧に日付まで入っている。
「ん~君達18歳じゃなかったの?さすがに俺も15歳……てか中学生を店に入れてるのがバレたらかなりまずいんだよねぇ!」
私は固まった。なぜこの写真がここに?
「これ一緒に写ってる子、楓ちゃんと千鶴ちゃんでしょ?あの子達は最近来てないけどみんな中学生だったとはねぇ」
恵美が泣きそうな顔で切り出す。
「お願いです。学校には言わないで下さい。それから親にも!」
「分かってるよ。見抜けなかった俺も俺だしね。でもこの店は18歳未満禁止だから二人とも申し訳ないけど今後は出入り禁止ね。」
!!!!!!ちょっと待って!!!!!
え???
なぜそんな急に?
私はパニックになった。
「てゆーかこの写真を持って来たのは誰ですか!?」
私は取り乱しながらオーナーに聞いた。
「ん~分かんない!昨日店のポストの中に入ってたからねぇ。てかそんな事俺にとってはどうでもいい事なんだよ。重要なのは中学生の君らが店に偽って何度も出入りしてた事が大問題なんだわ!」
「で、でも私この店しか居場所がないんです!」
「まぁそんな事までは俺は知ったことじゃないよ。もしまた店に来たくなったら3年後においでよ!それまでは君らこの辺りの18禁のクラブは全部ブラックだからね!」
!!!!!あり得ない………………
そんな絶望した顔をしている私を無情にもオーナーは外に連れ出した。
私の唯一の居場所がなくなった。
落ち込みながら私は夜道を歩く。
公園のトイレで二人とも着替え直し帰り際に
「クラブに行けなくなっちゃったのは残念だけど、これで受験勉強に励む事が出来るよ!」
そう言うと恵美は少し嬉しそうに帰って行った。
きっと今まで私に合わせて大して行きたくもないクラブ遊びに嫌々付き合ってたんだろう。
恵美にとってはその程度だが私にとってはそれが全てだったのに……。
絶望に追いやられながらも私は家に帰った。
そして私は更なる地獄に突き落とされる事になる。
「ただいまー。」
家ではテンションを戻さなければならない為少し無理して声を出した。
するとお父さんが私の声を聞くなり、見た事もないような怒った顔で私に近づきながら
「ゆうこぉぉぉぉぉ!!!!」
???
何?
いきなり怒鳴られたかと思った瞬間私は父親に初めて拳で顔を殴られた。
「きゃぁ!!」
思いっきり玄関のドアにぶつかる私を捕まえて靴も脱いでない状態で、奥のリビングまで引きずりながら連れていかれた。
訳が分からないまま私はリビングに入った。
すると椅子に座っているお母さんは泣いていた。
何が起きたんだ?
と思った瞬間、今日クラブで体験した驚きの何倍も驚愕な写真がテーブルの上に置いてある。
「結子!!!何だこれは!お前いつも塾に行ってたんじゃないのか!」
テーブルに数枚ある写真を1枚取り出しお父さんは私に怒鳴りつけた!
その写真とはクラブでの私の写真だ。しかもここ最近のだ。
なぜこんな写真が?
しかもその写真には喫煙どころか、週末に行われているドラッグパーティの状態まできちんと写っている。
「結子私はあなたをこんな風に育てた覚えはないわよ!」
泣きながらお母さんは私に言う。
私の頭の中は真っ白になった。
そしてこのあと2時間ほどお父さんの説教が続き
「お前は明日から受験が終るまでの間は学校にも塾にも行かさん!学校には先生にきちんと訳を話して上手くやってもらう!」
「え?ちょっと待ってよ!」
「うるさい!!!!」
私の言い分なんて全く聞いてくれない……。
「塾の代わりに家庭教師を雇う。お前は今日から受験まで一歩も外には出さんからな!」
私は泣く事さえ出来なかった。
何が起きているのか全く分からない。
いや理解しないように脳がコントロールしている感じだ。
この家族からの監視が嫌で始めたクラブ……そのせいで監視どころか監禁されるなんて………
いったい何がいけなかったの???
私は絶望の淵に立ったままその場に膝から崩れ落ちるかのように座りこんだ。
私の居場所と自由は全てなくなった。
-------------少し時間は遡り彩菜
私は結子の家の近くの公園にいた。
まもなく結子がここを通って家に帰ってくる。
きっとその時点でかなり落ち込んでいるだろう。
私にはそれが分かっていた。
なんてったってクラブに写真を置かせたは私なのだから。
そして今から家で何が起こるかも知っていた。
4日前私は藍と一緒に結子達のクラブの付近に来ていた。
私と藍、どちらがメイクしても店には入れなさそうだったので、仕方なくクラブに入って行く人に、お金を渡し結子を撮って来るようにお願いをした。
それを藍が家に送りつけたのである。
クラブのポストにクラスの集合写真を入れた実行犯も藍だ。
いたって簡単なこの作業だが今の結子にはとてつもなく効果的になるはずだ。
しばらくして結子が落ち込んだ顔で公園の前を通り過ぎて家に入った。
結子の家の中から父親の声がはっきり聞こえる。
夏休み初日に結子が怒られている時とは比較にならない程の声量だ。
私は結子の父親の声が静かになるまで家の外で会話を聞いていた。
結果、結子はしばらく学校には来れなくなった。
私に家のストレスや部活の事で八つ当たりした報いだ。
私から友達のグループという大事な居場所を奪った罰だ
復讐完了。
「クスクス」
私は家に帰る途中ずっと微笑しっぱなしだった。
愉快、痛快、晴々とした気分。
私はかつての友達の不幸を心から喜べるようになっていた。
これであと26人
11月13日----私はいつものように学校へ向かった。
2日で2人処分した……いいペースだ。しかも私にとってはそこそこの敵である。優斗も結子も私的な被害率で言えばクラスでも中ボスである。
だがまだまだ苛めの筆頭者達に気付かれては絶対にいけない。
筆頭者……蓮グループと真莉グループだ。蓮のグループは蓮が仕切って一真と大輔が実行するだけであって、実質は蓮がいなければ被害は断然変わる。
しかし真莉のグループは違う。基本的にはクラスのほとんどの女子がこのグループに所属している。結子のグループと元苛められっ子の藍とクラスの出来事に無関心の『夏目麻衣』以外は全員ここのグループだ。
しかも結子のようなカリスマを持った人間が3人もいる。
真莉のグループの『渋谷真央』、『奥井詩織』この二人は真莉と同じくらいクラス内での発言力を持っておりここに結子を合わせた4人がクラスの女子のトップだ。
真莉に直接何かされた事よりもどちらかというとこの詩織と真央が余計な事を真莉に吹き込む。
最初の頃は笑っていた真莉も徐々に私に笑顔がなくなる。
夏休みに入る頃には完全にこのグループが敵になっていた。
始まりは全てあの女だ。
渋谷真央……あの女がクラスの女子の黒幕だ。
真莉は比較的に3年の女子の人気者で、いつも真莉の周りには人が集まっているイメージだ。
詩織は女子にしてはルーズな性格で、何でも面白半分で首を突っ込む。て男子とも結構仲がいい。
しかしこの真央は自分が大好きでいつもお高く気取っている。一旦敵として睨まれればとことん相手を追い詰める。詩織とは幼馴染らしいのだが正反対の性格で相当にネチネチした性格だ。
以前は藍もこの女に苛められていた。
私は女子の仲で一番許せない。
何が原因でそこまで私の事を憎んでいるのかは分からないが、とにかく1学期の頃からひたすら私を目の敵にしてくる。
真莉や詩織が加害者側に周ったのも全てこの真央の影響だろう。
この3人が敵に周り、結子達とも切れて私はクラスの女子からも見放されたのだ。
しかし今すぐにこの真莉グループに復讐を実行する訳にはいかない。
物には順序があって今はクラスの中ボスやザコへ復讐しなければクラス全員へは完遂出来ない。
そうだ今日はもっと小物に的を絞っている。
男子名簿番号11番
『峰嶋貴志』
優斗や結子に比べたら何て事はない小物だ。
この男に今日は天罰を与える。
教室に入り私はいつものごとく誰からも挨拶をもらえず静かに席に着く。
カバンから教科書を机の中にしまっているその時に私の頭に真横から何かが飛んで来た。
私は思わず椅子から倒れた。
「痛ったー。」
倒れた体を起こし飛んできた物を見ると小さなサッカーボールだ。小学生の低学年が遊ぶ様なゴムのやつだ。
廊下でキャッチボールでもして遊んでいたのだろう。それがキャッチミスで教室の中に入ってしまった所を運悪く私に当たってしまったのだ。
プラスに考えればの話だが……。
私は飛んできた方に顔を向ける。
「あっぶね~窓に当たらなくてよかった~」
一人の男子がヘラヘラしながらボールを拾う。
私に当たった事なんてまるでおかまいなしだ。
それを見ていたクラスの女子は大爆笑している。
真莉グループだ。
するとボールを持っていた男子の後ろから教室に入って来た一人の男子が叫ぶ
「おいおいおい!てか俺の机に何触ってんだよ!!きったねぇーな!!!」
倒れた体を起こす為に少し机に触っただけなのに怒鳴られる。
「ごめん」
私は一言謝る。
それを見て真莉達は再び笑う。
ボールで遊んでた二人はおかまいなしにキャッチボールを再開する。
他の生徒も全く気にしていない。
誰も私の味方はいない。
まぁいつもの事だ。
ただ今日に限ってはこの私を怒鳴りつけた男子『峰嶋貴志』はターゲットでありそれなりに思い入れは違う。
「朝から最悪の気分だぜ!てか早く席替えしねぇかな。何で俺の隣に彩菜がいるんだ。」
この貴志は私の席の隣だ。
10月の中間テストが終わって席替えをした時にこの男はすごい嫌な顔をしながら私の隣の席になった。
通常男女隣合わせの席なのだが、このクラスは女子が一人多い為女子の一人席が一番窓際にある。幸か不幸か私の隣の席には男子がいた。この貴志だ。
席替えをした当日から机を異常に離して私を避けた。
くだらない。
本当にやる事は小学生と変わらない。
この貴志という男子はクラスでも1,2を争う卑怯者で、まだ私がクラスで苛られて間もないから私に因縁を吹っ掛けてきた。
----1学期
5月のある日の給食の時間の事である。私は給食を食べる為に手を洗い席について運ばれてくるのを待っていた。
私の学校は給食係というものがあって週毎に男女4人ずつが交代でこの当番にあたる。
当番内容は学校中の給食が置いてある給食室から給食を運んできてクラス全員分を盛り付ける。そして食べ終わったら片づけて再び食器などを給食室まで持って行く。単純な作業だ。
その時の給食当番にこの貴志は入っていた。
貴志はその当番の中でも盛り付けが終わった給食を各席に運ぶ係りだ。
私の席の列に運びに来る時の事だった。
その時の席の並びは私の前に真莉で後は真央だった。
貴志は私の席と真莉の席に給食を配り終えると再び盛り付けしてある給食を取りに行った。
そして私の後ろの席の真央に配りに戻った時に事故は起きる。
貴志が私の前の真莉の席の横を通り過ぎる瞬間に真莉の机からプリントがヒラリと落ちた。
後ろから見ていた私は取ってあげようと思ったがそれより先に貴志が床に落ちたプリントに気付く。
私は手を引っ込め拾うのを止めた。
貴志は両手が塞がっているため拾えないからすぐに通過するだろうと思いその後拾ってあげようと考えた。
案の定貴志はすぐに下を向いていた顔を前に上げて進み出そうとした。
しかしその瞬間に一瞬貴志の体がよろめいた。
ガッシャーーーーン!!
貴志自体は無事だった。
しかし両手に持っていた給食は後ろの席の真央に直撃してしまった。
「キャーーー!あっつい!!」
真央が大声で叫ぶ。
それまで各席でにぎやかに話していた会話が一気に止まる。
シーンとした音。
乾いた空気。
重たい沈黙。
集まる視線。
それはほんの1~2秒の事だったがやけに長く感じた。
貴志はオロオロしていた。
よりによって相手は真央である。おそらく女子を相手にするなら最悪の相手と言っても過言ではない。
「ちょっと真央大丈夫!」
すかさず近くの席の詩織が駆け寄る。
それをきっかけにグループの女子がみんな寄ってくる。
ハンカチやハンドタオルで一生懸命真央を拭いている。
詩織以外の女子はきっと真央のご機嫌取りだろう。
唯一同じグループの真莉は私の前の席でまだ座ったままだ。
真莉も真央を見ている。
しかし気のせいかどこかよそよそしく感じる。
詩織を初めクラスの半分くらいの女子がみんな駆け寄っているのに真莉は席から動かない。
確かに隣に貴志が立っているのだから動きにくいといえば私と同じなのだが何故かどこか違和感を感じた。
しかし今問題なのは真莉ではない。
貴志の立場だ。
「ちょっとぉぉ!!何すんのよぉぉぉ!!」
「あ、ああ、お、俺……」
焦っているせいか貴志は言葉に出来ていない。
それもそうだ。真央を敵に回すという事はクラスの女子をほぼ敵に回すに近いという事だ。
可哀想に……。
まぁ貴志のミスではあるが私は純粋に同情した。
しかし私の気持ちとは裏腹に貴志はとっさにある行動に出た。
責任転嫁だ。
----------???
私はクラスの端から彩菜と楓達とのやりとりをそっと見ていた。
ふっ!いい気味だ。
彩菜はもっと苦しめばいいんだ。
彩菜は気付いていない。このクラス全体での彩菜への苛めは私が陰で動いているという事を………。
彩菜だけは絶対に自殺に追い込んでやる!!
私は心に憎悪を燃やして教室を後にした。
----------???
私はクラスの端から彩菜と楓達とのやりとりをそっと見ていた。
ふっ!いい気味だ。
彩菜はもっと苦しめばいいんだ。
彩菜は気付いていない。このクラス全体での彩菜への苛めは私が陰で動いているという事を………。
彩菜だけは絶対に自殺に追い込んでやる!!
私は心に憎悪を燃やして教室を後にした。
時刻は3時間ほど前に遡る。
「――い、嫌だ。学校に行きたくない」
ゲーム開始を知らせるメールが送付されたその直後。
湯河原竹男はベッドの上で布団にくるまりながらも恐怖で震えていた。
竹男の部屋の至るところに飾られているのは、ガラスケースに入った美少女フィギュアである。
流行のキャラクターのみで固められたコレクションの中には、マニア垂涎の限定品も多数取り揃えられている。
フィギュアの収集は竹男にとって1番の趣味であった。
今更だけど茶柱♂と王馬♀の身長差33cmって犯罪臭すごい
書き溜めましたので投下していきます
>>304
ほんそれ
最原♀「赤松さん、お疲れ様」
赤松「最原くん!ありがとう…」
白銀「そういえば百田くんと春川さんのプレゼントのパズルの写真見て思ったんだけどさ、まともな集合写真撮ってないし、折角だから今から撮っちゃわない?」
茶柱♂「良いアイデアですね!」
ゴン太「ゴン太も賛成だよ!」
白銀「じゃあ赤松さん、室内に入ってきて!外だと暗くてフラッシュで撮らないといけないからさ…」
白銀「1灯フラッシュ直接当てのみの写真、わたし好きじゃないんだよね…」
赤松「え!写真!?ま、待って!汗拭くから!」
東条♂「おしぼりよ。使ってちょうだい」つおしぼり
赤松「ありがとう東条さん!」汗拭き拭き
白銀「じゃあ赤松さんをセンターにして並んで並んで―!」カメラ構え
星「おい、白銀は入らねーのか?」
白銀「えっと…、誰かが撮影しないといけないし、わたしはいいよ」
アンジー「アンジーは つむぎと一緒に写りたいなー」
星「なら俺が撮る。写真は上手くはねーが、三脚代わりにシャッターを押すだけなら俺でもできるからな」
赤松「うーん…、私は星くんとも一緒に写りたいな…」
王馬♀「じゃあモノクマに頼んだらいいんじゃないかな?」
モノクマ「え!ボク!?この会を盛り上げるために散々努力してあげた、このボクを今度は三脚代わりに使っちゃうってわけ!?」
モノクマ「…まあ良いですけど…」ショボーン
モノクマ「はいはい、じゃあ白銀さんも入って入って」
白銀「う、うん。宜しくね、モノクマ」つカメラ
モノクマ「みんなもうちょっと寄って寄って。あ、前の列の人は座っちゃってね」
赤松「えっと、私は…」
真宮寺♀「ドレスで床に座るのもあれだし、立ってて良いと思うわよ」
赤松「それじゃあ立ってるね」
最原♀「隣、いいかな?」
赤松「勿論だよ!」
キーボ「最原クンは身長的に前列では…?」
夢野「キーボよ、空気を読むのじゃ…」
王馬♀「読めるわけないよ、ロボットだし」
キーボ「むむっ…」
モノクマ「はい撮るよー」パシャッ
春川♂「…急に撮るんだね」
モノクマ「もう何枚か撮るよー」パシャッパシャッ
白銀「も、モノクマ!スリーカウントダウンしながら撮ってくれると嬉しいんだけど…」
白銀「こっちもまばたきしないようにとか気を使えるから…」
モノクマ「大丈夫大丈夫!似たような写真何枚か撮ってるからさ、誰かがまばたきしてたら まばたきしてない写真から顔を持ってきてフォトショで切り貼りすればいいんだよ」
モノクマ「学校や結婚式の集合写真を撮るプロのカメラマンだってそうしてるし」
白銀「それするのって多分わたしだよね?手間が増えるなぁ…」
モノクマ「じゃあ次、みんな何かポーズしてよ」
赤松「…ピースでいいかな?」
モノクマ「普通だなぁ…。ボクもモブの写真撮ってるわけじゃないんだからさ、もっと奇抜なのないの?」
最原♀「もう、ピースでいいだろ。早く撮ってよ」
モノクマ「もー、仕方ないなあ。はいはい撮りますよっと」パシャパシャパシャッ
夢野「何故連射をしたのじゃ…」
モノクマ「まばたき対策だから?」
モノクマ「あ、夢野さん全部目つぶってるね」
夢野「んあー!?と、撮り直すのじゃ!」
モノクマ「もう充分数撮ったでしょ。それじゃあボクは帰るね」
夢野「待つのじゃ!」
モノクマ「あ、外のピアノは朝までに回収しとくからそのままでいいよ」つカメラ返却
モノクマ「それでは皆さん、おやすみなさーい」ボヨヨーン
夢野「んあーーー!!」
茶柱♂「ゆ、夢野さん、落ち着きましょう!」
茶柱♂「きっと白銀さんがいい感じに合成してくださるハズです!」
白銀「え!?」
夢野「……ついでにいい感じに顔を可愛く加工してくれても良いぞ?」
白銀「いや…、コスプレ写真じゃないからさ、そういうのは弄らないよ…」
夢野「…んあー…」
東条♂「さあ、そろそろお誕生会もおしまいとしましょうか」
赤松「うん。みんな、今日は本当にありがとうね!」
赤松「急だったのに、こんなに色々プレゼントを用意してくれて嬉しかったよ」
赤松「ピアノもいっぱいみんなに聴いてもらえたし、すっごく最高の会だったよ!」
赤松「また来年も…っていうのは無理だろうけど、またこんな楽しいことをみんなと一緒に出来たらなって思うんだ」
天海♀「また来年もしても良いんじゃないんすか?」
赤松「えっ?でも…」
真宮寺♀「ここを脱出した後でも、またみんなで集まれば出来るものね」
赤松「……うん、そうだよね」
赤松「私の誕生会だけじゃないよ。みんなのお誕生日も一緒にお祝いできたら嬉しいな!」
夢野「16人分の誕生日を毎回祝うとなると、1月に1回は顔を合わせることになりそうじゃな」
ゴン太「いいんじゃないかな?ゴン太、みんなに会えると凄く嬉しくなると思うんだ」
アンジー「主は言いました…。なんならなんかもうLINEグループでも作成してチャットしまくってはどうかと」
キーボ「まあ、毎回みんなのお誕生会に全員が出席できるとは思えませんしね」
最原♀「というか…、キーボくんって誕生日あるの?」
キーボ「ムッ!ロボットにだって誕生日くらいあります!10月29日です!」
王馬♀「誕生日っていうか、製造日じゃない?」
夢野「言えておるのう」
キーボ「ロボットだって完成した日を誕生日と言ってもいいじゃないですか!それとも生物にしか適用されないと言うんですか!?」
キーボ「それはロボット差別ですよ!!」ビシッ
星「フッ、ここを出た後も…か」
真宮寺♀「あ…、ごめんなさい、私…」
星「いや、いい。お前らだけで楽しんでくれや」
真宮寺♀「本当にそんなつもりは…」
星「俺の方こそ水を差すようなことを言っちまって悪かった」
星「どうやらお前らと過ごした日々が思いの外楽しかったみたいでな、つい疎外感を覚えちまった」
星「…クールじゃねえな」スタスタ…ガチャッパタン
天海♀「星君……」
真宮寺♀「ごめんなさい、私が…」
天海♀「いや、俺もっす…」
赤松「元はと言えば私の発言のせいだよね…」
最原♀「…誰のせいでもないよ」
東条♂「そうよ。それに星君には面会に行けばいいもの」
春川♂「…ねえ、こんな話したってしょうがないよ」
春川♂「私も帰るね」スタスタ…ガチャッパタン
百田♀「お、おい待てよハルマキ!じゃあオレも帰るわ」タッタッタッ…ガチャッパタン
東条♂「…私は後片付けをするわね」
天海♀「俺も手伝うっす」
真宮寺♀「じゃあ私も手伝うわ」
入間♂「はー…、すっかり辛気臭くなっちまったじゃねーか」
入間♂「おい白銀!酒だ!酒を飲ませやがれー!」
白銀「え!今日も飲むの…?」
白銀「うーん…、ごめんね。わたしも今日ははしゃぎすぎちゃって疲れたから、もう寝たいんだよね…」
白銀「お酒は勝手に持って行っていいよ」
白銀「ただ、今日は研究教室の方では飲まないでね。見てない所で散らかされても困るからさ…」
入間♂「チッ、しかたねーな。それで妥協しといてやるよ」
王馬♀「じゃあオレも貰って行こっかな―」
茶柱♂「ま、また飲まれるのですね…」
茶柱♂「仕方ありません。転子もお付き合いしましょう!」
王馬♀「別に無理しなくていいよ?」
茶柱♂「いえ、お気遣いなく!これは転子の肝臓を丈夫にする為の訓練ですから!」
王馬♀「…ほんと程々にね?」
茶柱♂「はい!お気遣いいただき、ありがとうございます!」
キーボ「ではボクももうやることがないので、おやすみさせていただきますね」
ゴン太「今日はとっても楽しかったよ!みんなありがとう!」
夢野「んあー…、もうすぐマナが切れそうじゃ」
夢野「眠ってマナを蓄えるとするかの」
最原♀(みんなぞろぞろと食堂から出ていってしまった)
最原♀「……えっと、僕も後片付けの手伝いしようかな」
赤松「最原くん」服の裾をつかむ
赤松「私がお昼に言ったこと、もう忘れちゃったかな?」
最原♀「お昼に…」
赤松『今日はずっと私と一緒に居てくれないかな?』
最原♀「えっと、でも、大変そうだし片付けを手伝った方が良いと思うから…」
赤松「……」ジーッ
天海♀「…最原君、彼女が頼んでるんだから一緒に居てあげましょうよ」
真宮寺♀「ええ。片付けは3人で充分足りているから、こっちに気を使わなくても大丈夫よ」
最原♀「…そう?それじゃあ天海くん、真宮寺くん、東条さん、お疲れ様。おやすみなさい」
赤松「おやすみなさい!」
天海♀「おやすみなさい」
真宮寺♀「おやすみなさい。…キッチンの方に居る東条さんにも伝えておくわね」
赤松「ありがとう。じゃあ最原くん、みんなから貰ったプレゼント持つの手伝ってね!」
最原♀「う、うん」
赤松「あと倉庫の方に脱ぎ散らかしてる服も回収しないとね」スタスタ…ドアガチャッ
最原♀(こうして赤松さんのお誕生日会は終わった)
ー翌朝、王馬の部屋ー
王馬♀「ほら!放送も鳴ったしとっとと起きろよ酔っぱらい!!」ベシベシッ
茶柱♂「うーん…、はっ!ここは…!?」
王馬♀「オレの部屋だよ。昨日飲んでてそのまま寝ちゃったの覚えてないの?」
茶柱♂「え!ということは転子、彼女の部屋にお泊りしちゃったってことですね!?きゃっ!///」
王馬♀「オレに力があったら部屋まで引きずり戻してやったとこだけどね」
茶柱♂「照れなくてもいいんですよ?」
王馬♀「何もないから照れる必要もないんだけどね」
茶柱♂「お布団までかけてくれてるじゃないですか」
王馬♀「オレの部屋で風邪引かれても困るし」
茶柱♂「転子知ってます!それはツンデレというやつですね!」
王馬♀「早く自分の部屋に戻ってシャワー浴びて朝ご飯食べに行きなよ」
茶柱♂「早くシャワー浴びてこいよ…ですか…///ついに転子も社会勉強する日が来たのですね…!」
王馬♀「…オレさ、茶柱ちゃんと漫才する気はないんだけど…」
茶柱♂「転子が突っ込む方ですね!」
王馬♀「ボケ倒してるんだよなあ…」
王馬♀「ていうかオレ、そろそろ食堂に行きたいから早く部屋から出ていってよ」
王馬♀「鍵かけらんないから」
茶柱♂「おっと、それは失礼しました!」ワタワタ…
茶柱♂「ではまた後ほど食堂で!」
王馬♀「…うん」
ーーー
ピンポーン
王馬♀「……はい」
茶柱♂『転子です!何で転子が朝ご飯食べに行くまで食堂に居てくれなかったんですか?』ドア越し会話
茶柱♂『折角お付き合いしてるというのに…、転子寂しかったです!』
王馬♀「めんどくさっ…」
茶柱♂『…というか、普通に真面目なお話があるので開けてもらえませんか?』
茶柱♂『本当は食堂でしようと思っていたのですが、できませんでしたので…』
王馬♀「……何?」ドアガチャッ
茶柱♂「もうそろそろ入間さんの発明品が完成しますので、転子は王馬さんが男死に戻ってしまわないように説得しに来ました」
王馬♀「茶柱ちゃんがオレを説得できると思ってんの?」
茶柱♂「はい、勿論です!」
茶柱♂「王馬さんが男死に戻りたい理由、もしくは女子で居たくない理由というものがあると思うのですが…」
茶柱♂「それさえ解消できれば、王馬さんは女子のままで居てくれると転子は踏んでいます!」
茶柱♂「というわけで、女子で居続けたくない理由をお聞かせ下さい!」
王馬♀「茶柱ちゃん程度に解決できるようなもんじゃないと思うけど」
茶柱♂「とりあえずお話を聞かせてもらいたいです」
王馬♀「…わかったよ、入って」
茶柱♂「お邪魔します!……まだお部屋がお酒臭いですね…」
王馬♀「仕方ないじゃん…」
茶柱♂「それで、理由は何なのでしょうか?」
茶柱♂「王馬さんが女子になってひと月ほどが経ってます」
茶柱♂「性転換してしまった当初とは違い、女子の体にはだいぶ慣れ、もう抵抗は無いのでは?」
王馬♀「まあ確かに、この体での生活にももう慣れちゃったけどさ…」
王馬♀「オレがどーーーーーーーーしても女で居たくない大きな理由が、2つあるんだよね」
茶柱♂「2つですか、女子の味方である転子が必ず解決してみせましょう!さあ、言って下さい!」
王馬♀「…………いや、やっぱなんか、言いたくないな…」
茶柱♂「ここまで来てですか!?」
茶柱♂「王馬さんは今は女子なんですから、どんなに生々しい話をされてもセクハラにはならないので安心して相談してくれていいんですよ?」
王馬♀「なんで生々しい話前提なの」
王馬♀「……いや、その……あれが…」
茶柱♂「どれですかね?」
王馬♀「……生理がつらい…」
茶柱♂「やっぱり生々しい話じゃないですか!」
王馬♀「生々しいとか大声で言うなよ!恥ずかしい!!」
茶柱♂「しかし生理は女子の宿命です…」
茶柱♂「今の転子に出来ることと言えば、生理を10ヶ月程度止めてあげることだけですね」
王馬♀「え?どうやって止められるの?」
茶柱♂「あ、すみません、冗談のつもりでした。まさか分からないとは思いませんでした、本当にすみません、どうか忘れて下さい」
王馬♀「いや、どういうこと?マジで知りたいんだけど」
茶柱♂「そういう反応されると逆に困ってしまうので、本当に勘弁してください…」
王馬♀「でも…」
茶柱♂「話を戻しましょう!辛いということであれば、痛みが軽減されれば良いということですよね?」
王馬♀「まあ、止められないならそうだね」
茶柱♂(止められないことはないんですけどね…)
茶柱♂「基本的にはやはりお腹を冷やさないことでしょうか」
茶柱♂「腹巻きを巻いたり、あとは食生活に気を使ったりですね」
茶柱♂「食べると体が冷えてしまう生野菜を避けたり、飲み物も温かい物を飲んだ方が良いですね」
茶柱♂「ちなみに、温かいからといってコーヒーやココアを飲むのは絶対に駄目です!余計お腹の痛みが強くなってしまいます」
茶柱♂「チョコレートや油ものの料理は駄目ですね、これもお腹が痛くなってしまいます」
王馬♀「食べるもの無くなっちゃうんだけど…」
茶柱♂「それ以外の物でしたら大丈夫ですよ」
茶柱♂「それと、酷い時でなければそれらを飲み食いしてもわりと大丈夫ですし、なんなら鎮痛剤を飲んでしまえば一発で治ります」
王馬♀「結局薬なんだ…」
茶柱♂「あと、普段から運動をしてればあまり痛くはならないそうですよ」
茶柱♂「というわけで王馬さんもネオ合気道を始めましょう!」
王馬♀「えーやだー…」
茶柱♂「何はともあれこれで1つ目のお悩み解決ですね!」
王馬♀「……まあそういうことでもいいけどさ、次はほんとに絶対解決できないよ」
茶柱♂「女子の悩みを解決することが転子の使命です!」
茶柱♂「さあ、言ってみてください!」
王馬♀「女になったせいで身長が縮んだから嫌だ」
茶柱♂「……それで?」
王馬♀「…終わりだよ!なんでこんなに小さくされないといけないんだよ!」
茶柱♂「可愛いじゃないですか145cm!」
王馬♀「嫌だよ!オレ男子高校生だよ!?」
茶柱♂「今は女子ですよ」
王馬♀「そうだけどさ!それでもちっちゃいし!!」
茶柱♂「…確かにこの悩みは転子では厳しそうですね…」
王馬♀「でしょ?」
茶柱♂「……夜更かしを止めて牛乳を飲むところから始めましょうか」
王馬♀「今更じゃん…」
王馬♀「やっぱり手っ取り早く身長伸ばすというか戻すには男に戻ることが1番なんだよ」
茶柱♂「それにしても王馬さんがそんなに身長にコンプレックスを持っているとは思いませんでした…」
王馬♀「そりゃ気にするよ、オレだって男だし」
茶柱♂「……身長小さい女子は守ってあげたくなるような可愛さがありますよ?」
王馬♀「オレは夢野ちゃんとか見てもなんも思わないけど?」
茶柱♂「夢野さんもあんなに可愛らしいのに…」
茶柱♂「あ!解決法をひらめきました!」
王馬♀「えっ」
茶柱♂「困った時の入間さんです!入間さんに身長の伸びる薬とかを発明してもらいましょう!」
王馬♀「…いや、そんな凄い物を発明できてたら、とっくに特許取って市場に出回りまくってるでしょ…」
茶柱♂「ほら入間さんって基本頼まれないと作らないじゃないですか」
茶柱♂「性転換ライトや惚れ薬の時だってそうでしたし、きっとやる気になれば何でも作れちゃうと思いますよ」
王馬♀「急に妙な説得力が生まれたね…」
茶柱♂「早速頼みに行きましょうよ!」
王馬♀「……まあ、オレとしても身長欲しいし行くけどさ」
茶柱♂「…ところで王馬さん、これで身長も取り返せすことができれば、もう男死に戻る必要なんてありませんよね?」
王馬♀「え?それとこれとは話が違うよね?」
茶柱♂「王馬さん、女子で居たくない理由は2つだけって言いましたよね!?」
茶柱♂「女子の体にはもう慣れたって言ってましたよね!?」
茶柱♂「嘘だったんですか!?恋人である転子を騙したのですか!?」
王馬♀「え、ちょっと落ち着いて…」
茶柱♂「もう転子には嘘はつかないと誓って下さい!じゃないと生理10ヶ月止めますよ!?」
王馬♀「何その脅し……」
茶柱♂「誓わないのですか!?」ズイッ
王馬♀「近い近い!!…誓うから!!茶柱ちゃんには嘘つかないよ!!」
茶柱♂「なら良いですよ。約束ですからね!」
王馬♀「…………」
茶柱♂「じゃあ入間さんのところへ行きましょうか!」
王馬♀「……うん…」
ー入間の研究教室ー
茶柱♂「入間さん、今ちょっといいですか?」
入間♂「実験の観察が暇だからいいぜ!何の用だ?」
茶柱♂「身長の伸びる薬か何かが欲しいんです!ありませんかね?」
入間♂「あるぜ!」
王馬♀「何であるんだよ!都合のいい道具がホイホイあるとかドラ●もんかよ!!」
茶柱♂「何で王馬さん怒ってるんですか?これで身長伸ばすことができるんですよ?」
入間♂「テメーが使うのか」
入間♂「よーし、使い方を説明してやる!この錠剤1錠で身長を1cm伸ばすことができる薬だ!以上だ!」
王馬♀「すご…」
入間♂「もっと褒めてもいいんだぜ?」
入間♂「ちなみに効果は1ヶ月で切れるから、高身長を維持したいなら1ヶ月ごとに服用が必須だな」
王馬♀「……」
王馬♀(確かに身長は伸ばしたい…。でも、これを飲んで身長が伸びてしまえばオレは一生女…。この薬はできれば後日オレが男に戻ってから使いたい…)
王馬♀(……)
茶柱♂「どうしました?飲まれないのですか?」つお水
王馬♀「やっぱり入間ちゃんの発明品なんて信用できないよ」
王馬♀「どうせ変な副作用とかあるに決まってるし」
入間♂「よく気がついたな!あるぜ副作用!」
王馬♀「ホントにあんのかよ、最初に言えよ危ないな!」
入間♂「言い忘れてただけだろー、カリカリすんなよ生理かよ?」
王馬♀「あ?」
入間♂「ぴぐぅ!」
茶柱♂「それで、副作用というのは?」
入間♂「あ、ああ。えっと、これは発明品同士の相性が悪いんだ」
茶柱♂「というと?」
入間♂「この薬の影響がある間は、他の体に影響が及ぶ発明品を使うことができないんだ」
入間♂「例えば惚れ薬とか性転換ライト系とかだな」
王馬♀「ダイレクトだね…」
王馬♀(ということは、ますます飲んだらいけないじゃんこれ…)
王馬♀「ちなみにだけど、これ飲んで性転換ライト<解>に当たったらどうなるの?」
入間♂「細胞がどっかバグってガン細胞が生まれてそのまま死ぬとかだな、多分」
王馬♀(シャレになんないやつじゃん!!!!!)
王馬♀「こえーよ!あぶねーな!最悪学級裁判沙汰じゃん!!」
入間♂「安心しろ!病死は学級裁判にならねーってモノクマが前に言ってたからオレ様は安全だ!」
王馬♀「オレが駄目なやつじゃん!!」
茶柱♂「それは恐ろしい副作用ですね…」
茶柱♂「ですが王馬さんは男死に戻らないので大丈夫ですね!」
王馬♀「え……」
入間♂「ん?なんだ、オメーなんてぜってー男に戻ると思ってたが、戻んね―のか」
王馬♀「いや……」
茶柱♂「…男死に戻るんですか?」
王馬♀「…………」
王馬♀「はぁ…、茶柱ちゃんにはガッカリだよ」
茶柱♂「え?」
王馬♀「…実は茶柱ちゃんの為を思って、今まで言わなかったことがあるんだよね」
王馬♀「そしてオレはその為に男に戻らなきゃいけないんだよ」
茶柱♂「……男死に戻らなくてはいけない本当の理由があるということですか?」
茶柱♂「…聞かせてくれませんか?」
王馬♀(茶柱ちゃんには絶対バレないかつ証明のしようのない、それでいて男に戻っても文句の言われない嘘…)
王馬♀(…これしかない!)
偽
王馬♀「オレ、実は外の世界に彼女が居るんだよね!」
証
茶柱♂「!!?か、彼女…!?」
王馬♀「だからオレは何が何でも男に戻らないといけないんだよ!」
王馬♀「彼女の為にね!」
茶柱♂「か、彼女が居るなんて初耳ですよ!?」
王馬♀「まあ、言ってなかったし」
茶柱♂「彼女が居るのに転子とお付き合いしたというのですか!?」
王馬♀「その辺は惚れ薬の影響で成り行きだよね」
茶柱♂「……王馬さん、それは嘘じゃないですよね?」
王馬♀「これは本当だよ!」
茶柱♂「嘘だったら分かってますよね?止めますよ?」
王馬♀「う、うん…」
茶柱♂「……彼女、どんな人なんですか?」
王馬♀「それは教えられないよ」
王馬♀「だって、悪の総統の彼女の情報なんて教えて、どこからか情報が漏れたら彼女が危ないんだしさぁ…」
茶柱♂「彼女さんの存在を証明できないのなら、それは嘘ってことにはなりませんか?」
王馬♀「それって悪魔の証明みたいになっちゃうよね?やめてよね!」
茶柱♂「……ですが、これじゃ納得できません!」
茶柱♂「居るかどうかも分からない彼女さんの為に、転子は王馬さんを諦めきれません!」
王馬♀「うーん、そうは言われても、こればっかりはどうしようもないよねー…」
茶柱♂「…王馬さんは転子のことが好きじゃないんですか?」
王馬♀「茶柱ちゃんのこともいい子だと思ってるけどさ、やっぱり彼女が1番だよね!」
茶柱♂「……」
入間♂「な、なんだか穏やかじゃねーな…」
入間♂「そんなオメーらの為に探して持ってきてやったぜ!」
入間♂「嘘発見器だ!」
王馬♀「死ね」
入間♂「ストレートな罵倒…だと…!?」
茶柱♂「なるほど!これさえあれば王馬さんの彼女の詳細を聞かずとも、彼女の真贋が明らかになりますね!」
王馬♀「ちゃ、茶柱ちゃん、オレの言うことが嘘だと思ってんの!?オレ、茶柱ちゃんの彼女でしょ!?彼女の言うことが信用できないってんの!?」
茶柱♂「王馬さんの普段の行いと、今更彼女ぶってるところが怪しさビンビンです!」
茶柱♂「指につけるタイプのようですね、つけますよ」嘘発見器を付ける
王馬♀(……終わった……)逃げられないように入間に羽交い締めにされてる
入間♂「それは嘘を言った時だけブーッて音が鳴るようになってるぜ、説明は以上だ」
茶柱♂「了解しました!」
茶柱♂「王馬さん、転子の質問に答えてくださいね」
王馬♀「……」
茶柱♂「返事は?」
王馬♀「はい」
茶柱♂「ではいきますよ!」
茶柱♂「王馬さんは外の世界に彼女がいますね?」
王馬♀「Ein solcher Mensch bleibt nicht.」
王馬♀「Idiot.」
茶柱♂「日本語でお願いします」
王馬♀「オレ、今母国語話したい気分なんだよね…」
嘘発見器「ブーッ」
茶柱♂「…日本人ですよね?」
王馬♀「違うよ!実はオレ、ドイツ人なんだよね!」
嘘発見器「ブーッ」
王馬♀「クソッ!」
入間♂「これ便利だな、常に付けさせとくか」
茶柱♂「それ良いアイデアですね」
王馬♀「マジでやめて、オレから嘘を取ったら後は『可愛い総統』っていうことしか残んなくなるから」
入間♂「というか、態度を見る限りこりゃさっきの彼女発言は嘘だな!」
茶柱♂「ですね…」
王馬♀「は?ホントに居るし!」
嘘発見器「ブーッ」
王馬♀「あっ!ちくしょう!」
入間♂「ついでに訊いてやるぜ!お前は童貞だな?」
王馬♀「もう止めようよこんなこと!いたいけな美少女をいじめんなよ!」
入間♂「自分で言うやつがあるかよ」
入間♂「ていうか質問に答えね―ってことは童貞なんだな」
王馬♀「ちげーし!」
嘘発見器「ブーッ」
王馬♀「……こいつ後でプレス機で潰すけど別に構わないよね?」
入間♂「貴重な発明品だからやめやがれ」
茶柱♂「…なんか流石に可哀想になってきました…」
入間♂「同情すんのか…」
茶柱♂「…王馬さん、転子は王馬さんのことが大好きなのですが、王馬さんは転子のことは好きではないのでしょうか?」
王馬♀「色々めんどくさい女だと思ってるよ…」
茶柱♂「確かに転子はめんどくさいとよく言われます…、夢野さん辺りに…」
王馬♀「言われてたんだ」
茶柱♂「ですが夢野さんは、それも転子を構成するものの1つだし、自分は好きだと言ってくれました」
茶柱♂「王馬さんはどうでしょうか?」
王馬♀「質問の意味がわかんないんだけど?」
茶柱♂「転子のことが嫌いだというのなら、転子は身を引かせてもらいます…」
茶柱♂「ですがそうでないというなら、これからも転子にラブアタックさせてください」
茶柱♂「ついでにネオ合気道も極めてみてください!」
王馬♀「いやそれは絶対しない」
茶柱♂「ラブアタックを拒否しないということは、ラブアタックはしても良いんですね!?」
王馬♀「…まあ、他人に好意を向けられること自体は悪い気はしないしね」
王馬♀「でもさあ、よく考えてみてよ」
王馬♀「オレは悪の総統だよ?いざとなったら茶柱ちゃんを利用して悪いことしたり、最悪死なせちゃったりするかもだよ?」
王馬♀「オレの組織に居るたくさんの部下とおんなじようにさ、弾除けに利用したり捨て駒にしちゃうかもよ?それでm」
嘘発見器「ブーッ」
王馬♀「これだから機械は嫌いなんだよ!空気読めよ!今シリアスなとこだろうが!!」ジタバタ
入間♂「おい暴れんじゃねえ!改造台に拘束すんぞ!?」
茶柱♂「…今のは何に反応して嘘とみなしたのかは分かりませんが、王馬さんはやっぱり悪の総統って感じはしませんね」
王馬♀「…もう無理、オレのカリスマ溢れたイメージが崩壊するからこの機械外して、後生だから」
入間♂「元々近所の悪ガキくらいにしか思ってなかったけどな」
王馬♀「入間ちゃんにもなめられてたとか…絶望しそう…」
茶柱♂「で、でも転子は、王馬さんは凄い人だと思ってましたよ!」
茶柱♂「王馬さんの鋭い考えと行動は、黒幕に狙われちゃうくらい凄いじゃないですか!」
茶柱♂「王馬さんは黒幕から転子を身を挺して守ろうとしてくれましたし…!」
茶柱♂「惚れ薬なんてなくても、転子は王馬さんのことを好きになっていたと思いますよ」
王馬♀「フォローとかいいから…」
茶柱♂「違います!本心です!」
茶柱♂「なんなら、その嘘発見器を転子が付けて真実を証明しましょうか!?」
王馬♀「もういいよ、そんなに言うってことは本心なんだろうし、何度もそんなこと言われても困るんだよ…」
王馬♀「結局茶柱ちゃんは黒幕の思惑通り男にされちゃったし、そんな失敗エピソード話されたくないんだけど」
茶柱♂「失敗ですか…、確かにそうかもしれませんね」
茶柱♂「王馬さんは過去の失敗は嫌がるようですが、教訓にすればいいんですよ」
茶柱♂「王馬さんは何でも1人で考え過ぎです!もっと周りを頼って、考えを話してみたらどうですかね?」
茶柱♂「最初に王馬さんが星を撮影した時だって、1人だったんですよね?」
茶柱♂「みんなに話してみんなで行えば、黒幕も流石に手を出せなかったんじゃないでしょうか?」
王馬♀「…へー、オレのせいで学園の謎の手がかりを1つ失ったって言いたいんだ?」
茶柱♂「違います!だから、失敗してもこれからの教訓にすれば大丈夫なんですよ!」
茶柱♂「もう二度と情報を取り逃すことのないようにしたらいいんです」
茶柱♂「それに、先日の件で黒幕はこの中には居らず、別の人が外部から手を出してるとわかりましたし、もうみんなのことは信頼できますよね?」
王馬♀「まだ裏切り者が居る可能性だってあるから、全員は信用できてないよ?」
茶柱♂「手厳しいですね…」
茶柱♂「では転子はどうでしょうか?転子も怪しい裏切り者に見えますか?」
茶柱♂「転子も黒幕に狙われましたし…、それでも信用できませんかね?」
王馬♀「……今、嘘発見器ついちゃってるからさ、正直に言うと…」
王馬♀「オレ、性転換しちゃった人達はわりと信用してるよ?」
王馬♀「流石に裏切り者が恋愛ごっこするなんてちょっと思えないしね」
王馬♀「みんな本気で恋愛してるように見えるしさ…」
王馬♀「何も意味ないじゃん、好きになったとしてもいつか相手も死ぬんだろうし」
王馬♀「『好きな人が死んじゃって絶望的!』って興奮するような変態なら知らないけど…」
王馬♀「ここの人達は割りとまともな人が多い感じするし」
王馬♀「まあ、ただの勘だけど」
入間♂「なんだかんだオレ様のことも信用してたんだな」
王馬♀「仮に入間ちゃんが裏切り者だとすると、そんな馬鹿みたいに人に頼まれた物全部作って提供とかありえないよね」
王馬♀「そもそも、そんな万能な発明スキル披露しちゃってるとさ、いざ使われて困るものの発明を依頼された時に拒否とかしたら怪しまれるし、ありえないよ」
王馬♀「まあそんなわけだからさ、茶柱ちゃんのこともある程度は信用してるよ?」
茶柱♂「!では、これからは転子や性転換組の皆さんには考えをお話いただけますね!?」
王馬♀「それはどうかなー…」
茶柱♂「え!信用していただけてるのに駄目なんですか!?」
王馬♀「だって馬鹿が多いし…」
入間♂「ホント馬鹿が多いと嫌んなるよなー」
王馬♀「馬鹿筆頭が何言ってんの」
入間♂「ば、馬鹿筆頭ぅ…?」
茶柱♂「最原さんや天海さんや東条さんはかなり頭が良いと思いますよ!」
茶柱♂「それに、いざ何かあったら転子や東条さんが守ってあげられます!」
入間♂「斬美ってほんとパーフェクトガイだよな…♡」
茶柱♂「皆さんとここで生活してからかなり長い時間が経ちましたし、そろそろ頼ってくれてもいいんですよ?」
茶柱♂「…駄目ですかね?」
王馬♀「……あーもー!ほんっと茶柱ちゃんってめんどくさいよね!」
茶柱♂「す、すみません…。でも転子、王馬さんに頼られたいんです!」
茶柱♂「転子は王馬さんの伴侶ですからね!」
王馬♀「何ランクアップしてんの」
王馬♀「もう!わかったよ!次なんか思いついたらみんなに話すよ!」
茶柱♂「え!本当ですか!?」
茶柱♂「王馬さんが心を許してくれたようで転子は嬉しいです!」ダキッ
王馬♀「ちょっと、やめてよ!何が悲しくて体格の良い男共にサンドイッチにされないといけないんだよ!」
入間♂「オレ様もこれいつまで羽交い締めにし続けねーといけないんだか…」
王馬♀「入間ちゃんはそろそろ降ろせよ!身長差ありすぎてずっとオレ浮いてるんだよ!腕痛いから!」
入間♂「やっぱオメー生理だろ?今日は一段とうるせーからな」羽交い締めを解く
王馬♀「…違うけどさ、君ほんと中身女?ありえないんだけど…」嘘発見器を外す
茶柱♂「さあ、王馬さんはみんなに頼ってくれると約束してくれましたし、転子のラブアタックを引き続き受けてくれるそうですし、外の世界に彼女は居ないことが判明しました!」
茶柱♂「これでもう何も杞憂することはありませんね!」
王馬♀「ふーん、良かったね」
茶柱♂「では、先ほど二度と転子に嘘はつかないと誓ったにも関わらず、舌の根も乾かぬうちに嘘をついた件についてですが…」
王馬♀「あれ?そんな話したっけ?」
茶柱♂「しましたよね?」嘘発見器を王馬につける
王馬♀「…記憶にございません」
嘘発見器「ブーッ」
王馬♀「こいつ後で絶対潰してやる」
入間♂「だからやめろって!」
茶柱♂「まあでも転子も鬼ではありません」
茶柱♂「王馬さん、転子に10ヶ月生理止められるのと、この身長が伸びる薬を1錠飲むのとどちらが良いですかね?」
入間♂「!!?」
王馬♀(……10ヶ月止められたとしても数日後にはオレは男に戻ってるから何も関係ない…と思うけど、なんか茶柱ちゃん恐いし…)
王馬♀(身長が伸びる薬は飲みたいけど、それ飲むと1ヶ月は男に戻れないんだよな…)
王馬♀「ていうか1錠だけなんだ…」
茶柱♂「小さいほうが可愛いですからね!でも10錠までなら良いですよ!」
王馬♀「それでも155cm…」
入間♂「あんまりでかくなっちまうと服が寸足らずになっちまうぞ」
王馬♀(……なんかどっちも嫌だし、どうしよう…)
王馬♀(…茶柱ちゃんはオレのこと可愛いって言ってるし、いつもより可愛く嘘泣きでもして誤魔化すか…)
王馬♀「うっ、ぐすっ…」
茶柱♂「!!?ど、どうされました!?」
王馬♀「どっちもやだ…ひっく…」
茶柱♂「そ、そう言われましても約束を破ったのは王馬さんですし…!」オロオロ
王馬♀「でも嫌だもん…」
茶柱♂「こ、困りましたね…」
王馬♀(茶柱ちゃんが諦めれば解決するだけなんだけどな…)
入間♂(オレ様の研究教室で何めんどくせーことしてんだこいつら…)
王馬♀(これは逃亡して部屋にふさぎ込んだフリするのが1番楽かな…)
王馬♀「びえええええええん!!茶柱ちゃんなんかもう知らなぁああああい!!!!!!」ダッシュ
茶柱♂「あ、待って下さい!」追いかける
茶柱♂「捕まえましたよ!」腕ガシッ
王馬♀(クソッ!運動神経甘く見てた…)
入間♂「3秒で捕まってんじゃねーよ」
王馬♀「オレ、男に戻りたいけど茶柱ちゃんに変なことはされたくないよ!」グスッグスッ…
茶柱♂「あれ?でも王馬さんって、男死の体に戻りたいということは、男死の体が好きってことじゃないんですか?」
王馬♀「ん??」
茶柱♂「王馬さんの女子の体で居たくない理由は全て解決しました」
茶柱♂「ということは、残る考えられる理由は、王馬さんが男死の体が好きだからってことですよね?」
王馬♀「どうしてそうなった」
茶柱♂「転子の男死の体でよければどうぞ…」
王馬♀「……オレはホモじゃないです…」
茶柱♂「ということは、王馬さんは女子の体が好きなんですね?」
王馬♀「え?うん、まあ…」
茶柱♂「ということは今は女子の体ですし、そのままで満足っていうことですね!?」
王馬♀「!!?」
茶柱♂「転子、嬉しいです!!」ダキッ
王馬♀「いや待って!」
茶柱♂「転子が女子に戻るまでもうちょっとだけ待ってて下さいね!」
茶柱♂「転子が女子に戻った暁には女子が好きな者同士、レズプレイいたしましょう!!」
王馬♀「!???」
入間♂「…つまり、王馬もレズだったんだな…?」
王馬♀「……オレは、レズだった…???」
茶柱♂「女子の体で女子が好き…、それは立派なレズですよ!」
茶柱♂「レズの転子が言うので間違いありません!」
茶柱♂「…レズな王馬さんに男死な転子が酷いことするなんて、とんでもないことですよね」
茶柱♂「転子、王馬さんを大事にしますね!」ギュッ
王馬♀「??う、うん…」
王馬♀(…な、なんか約束破った罰を回避できたし、これでいいのかな…?)
王馬♀(……よくよく考えてみると、何でオレほんとに男に戻りたかったんだろう…)
王馬♀(生理は鎮痛剤でなんとかなるし、背も入間ちゃんの薬を使えば伸びるし…)
王馬♀(オレの才能は別に男じゃないといけないってわけでもないし……)
王馬♀(……何で男に戻ることにこだわってたんだっけ…)
ーーーー
ー食堂ー
入間「おい、テメーら!」ドアガチャッ
赤松「!!?い、入間さん…!?」
最原♀(そこに居たのは、外見だけは完璧なイケメンの見慣れた入間さんではなく、ひと月以上見てなかったビーナスボディを取り戻した彼女だった)
最原♀「じょ、女性に戻ってる…!?」
入間「おう!見て分かる通り、予告通りの期日に性転換ライト<解>が完全に完成したぜ!」
入間「他人に人体実験するわけにはいかねーからな、オレ様自身で試してみたが…」
入間「ご覧のとおりよ!」
入間「恐らく時間経過で性別が戻ることはないはずだ」
入間「まあ、戻ったら戻ったでまたライトを当てちまえばいいけどな」
天海♀「へえ、じゃあとうとう戻れすんすね」
真宮寺♀「…女性のあなたと別れるのは少しだけ寂しいわね」
天海♀「安心して下さい、中身は俺のままなんで」
真宮寺♀「ええ、わかっているわ…」
入間「さあ、誰から戻りたいんだ?」
入間「実験の成功はオレ様自身が体現してるぜ!安心して戻りやがれ!」
天海♀「じゃあまずは俺がいきますね」
真宮寺♀「ねえ、ちょっと待って」
天海♀「?」
真宮寺♀「最後に、抱きしめてくれない?」
天海♀「はい、勿論」ギュッ
入間「……他のやつ立候補いるかー?」
天海♀「すみません、おまたせしました」
天海♀「さあ、やっちゃってください」
入間「行くぜ!性転換ライト<解>!」ペッカー
天海「……どうやら、本当に戻ったようっすね」
入間「服装も元に戻してやるよ」衣装チェンジライトピカー
真宮寺♀「天海さん、体は大丈夫?何か異常はない?」
天海「ええ、今のところ何も問題はありませんね」
真宮寺♀「良かった…!」ダキッ
天海「…真宮寺さん、こんなに小さな方だったんすね…」ギュッ
入間「……次は真宮寺か?」
真宮寺♀「いえ、私は女のままでいることにしたの」
白銀「なんでぇっ!!?」
天海「…白銀さん?」
白銀「あ、ただの純粋な疑問だよ?深い意味はないんだよ?」
白銀(ホモにならんのかい!!)
真宮寺♀「自分の中で会議した結果よ」
白銀「へ、へぇ〜…」
白銀(塩ざんまい録画する準備は万端だったというのに…!不覚…!)
入間「じゃあ次はどいつの番だ?」
百田♀「……オレが行く」
春川♂「…百田は男に戻ることにしたんだね」
百田♀「ああ、色々滅茶苦茶悩んだが、オレは宇宙に轟く百田解斗だからな!」
春川♂「そう」
百田♀「…ちなみにハルマキは結局どうするんだ?」
春川♂「……私も色々(膝枕のことについて)考えたんだけどさ…」
春川♂「私は男のままで居るよ」
百田♀「そ、そうか…」
白銀「!!!!!????」ガタッ
最原♀「し、白銀さん、どうしたの?」
白銀「あ、いや、普通に、春川さんが男で居るってことに驚いただけだよ?」
最原♀「確かに驚きだよね…」
白銀(今期の推しCPにしよう…)
白銀「ち、ちなみにどちらが攻めで…?」ドキドキ…
春川♂「私」
白銀(いよっしゃあああああああああ!!!!!)グッ
百田♀「……やっぱりするのか、男同士になっても」
春川♂「当然」
百田♀「……そうか…」
入間「当てるぜ?」
百田♀「おう!いっちょやってくれ!」
入間「性転換ライト<解>!」ペッカー
百田「おお…!」
入間「続いて衣装チェンジライトだぜ!」ピカー
百田「…なんか久々にズボン穿いた気がするな…」
入間「だろうな」
春川♂「百田、これからも宜しくね」
百田「……おう」
白銀(大丈夫…!春川さんは百田くんには優しいから、きっと優しくやってくれると思うよ…!)ハァハァ…
キーボ「白銀さん、大丈夫ですか…?」
白銀「うん、大丈夫大丈夫!」
入間「それじゃあ次イきたいヤツはー?」
最原♀「東条さんはどうするの?」
東条♂「私はこのまま男でいるわ」
最原♀「男のほうが力仕事が出来て便利だって言ってたもんね」
東条♂「ええ」
茶柱♂「次は転子が行きます!」
茶柱♂「入間さん、宜しくお願いします!」
入間「行くぜ!」性転換ライト<解>ペッカー
茶柱「ふおおおお!!戻りました!!完全に女子の体です!!」
茶柱「名前の横の邪魔な♂マークも消え去り、転子絶好調です!!」
入間「衣装チェンジライト行くぜ―」ピカー
茶柱「……なんだか久しぶりにお腹を出したので、ちょっとお腹が冷える感じがしますね」
王馬♀「オレのスカーフでも巻いとく?」
茶柱「いけません!王馬さんがスカーフを取ったら肩がえっちぃことになってしまいますからね!」
王馬♀「オレは大丈夫だけど、心配してくれるなんて嬉しいよ!」
最原♀(王馬くんがデレてる…。また惚れ薬でも飲んだのだろうか…?)
最原♀「えーっと、じゃあ次は…王馬くん、お先にどうぞ」
最原♀「ずっと男子に戻りたがってたよね?」
王馬♀「オレはこのままでいるよ?」
最原♀「!!!????」
最原♀「ど、どうしたの王馬くん!!?」
王馬♀「…そもそも何であんなに男にこだわってたのか思い出せないんだよね…」
最原♀「えっ…」
王馬♀「だってオレは心は男なんだからさ、女子の体の方が嬉しいハズなのに…」
最原♀「…まあ女子の体でいて多少は嬉しいけどね…?」
王馬♀「ていうかオレは女子の体で居ても女子のことが好きだからさ…」
王馬♀「これはもうオレはレズってことだよね」
最原♀「!!?」
最原♀「…その理論で行くと、今僕は女だけど赤松さんのことが好きだからつまり…」
最原♀「……僕もレズ…?」
赤松「さ、最原くんしっかりして!最原くんはノーマルだよ!!」
最原♀「……いや、でも、王馬くんの言うことも一理あるし…」
赤松「入間さん!早く最原くんに性転換ライト当てて!!」
入間「性転換ライト<解>だ!<解>を忘れるな!!」ペッカー
入間「あと衣装チェンジライトも当てるぜ!」ピカー
最原「!!?」
最原「赤松さん、僕はレズだったのにどうして男に戻しちゃったの?」
最原「これじゃ赤松さんとレズれないよ!?」
赤松「いや、その理論はおかしいよ!うまく説明できないけど、なんかおかしいから!」
茶柱「惜しかったですね…、戻ってしまいましたか…」
赤松「茶柱さんの入れ知恵!?」ガーンッ
王馬♀「最原ちゃん、女のほうが絶対良かったのにね」
赤松「王馬くんがレズ思考になってる…」
王馬♀「いや、オレはある意味ノーマルだよ?女子が好きなだけだからね」
王馬♀「あとそっちの方がつまらなくないし」
赤松(ノーマルとは一体…)
最原「入間さん!僕を女子に戻してくれないかな!?」
入間「え?戻りて―のか?」
赤松「……最原くんは私とレズりたかったの…?」ガーン…
最原「…なんか急に、女子同士でキャッキャウフフとお風呂に一緒に入る夢が諦めきれなくなって…」
赤松「夢だったんだ…」
最原「女子同士がキャッキャウフフしてる中に入るのは男の夢(ロマン)なんだよ!」
最原「でも男のまま入ってしまうと景観が著しく損なってしまうからね…」
最原「となると…」
最原「僕が女になるしかないんだ!」
赤松「それは違うよ!!」Rボタン張り手
白銀(どう転んでもGLかNLだからあんまり興味ないな―)
白銀(BLは春百だけかー、まあ1組あっただけでも充分かな)
白銀(あーあ…、入東好きだっただけに残念だなー)
白銀(ていうか、東条さんだけ男ってことは、受攻逆転するのかな?)
白銀(…でも入間さんなら女のままでも攻めそうだなぁ…)
赤松「と、ところで王馬くんはなんでそんなことになったの…?」
茶柱「レズと女子の良さを毎日説いた結果ですね!」
赤松「洗脳かな…?」
王馬♀「やっぱり最初は色々悩んでたんだけどさ、考えるのをやめたら楽になったよ」
赤松「考えるのやめちゃったんだ…」
白銀(どうしてレズに走った!君なら素晴らしいホモになれたというのに!)テーブルバンバン
キーボ「白銀さん、本当に大丈夫ですか…?」
白銀「……いや、レズだらけで嬉しくて、なんかつい…」
白銀(悲しいことこの上ないわ…!)
最原「……はっ!僕は今まで何を…?」
赤松(私が張り手をして気絶した最原くんが起きたね…)
赤松「最原くん、さっきまでのこと覚えてる?」
最原「さっき…?」
最原「あ、あれ…?僕の服がズボンに…」
最原「あ、そういえば声も気持ち低く戻ってる」
偽
赤松「あのね、最原くんは性転換ライト<解>で男の子に戻ったショックで気絶しちゃったんだよ」
証
最原「そ、そうだったんだね…」
王馬♀「最原ちゃん、自分のほっぺちょっと触ってみて?」
赤松「!?」
最原「ほっぺ…?あ、痛い…腫れてる…?」
赤松「気絶して倒れた時に、床に思いっきりぶつけちゃったんだよ」
最原「そうなんだね」
これ王馬はある意味首謀者に勝ったと言えるな(白目)
王馬♀「ねえ、なんか頭も痛くない?」
最原「そう言われてみると…」
偽
赤松「性転換ライト<解>の威力は強力だから、ちょっとした副作用らしいよ?」
証
最原「そうなんだね」
赤松「すぐ収まるらしいから、安心していいよ」
茶柱「転子も性転換ライト<解>を使いましたがピンピンしてますよ」
最原「あれ?」
赤松「副作用には個人差があるらしいよ!」
赤松「茶柱さん!王馬くん!ちょっと倉庫来てね!!」
王馬♀「嫌だよ、絶対張り手するでしょ?」
赤松「大丈夫だよ、ちょっとお話するだけだからさ」腕素振り
茶柱「2対1です!負けませんよ!」
ドタバタドアバタンッ
最原(……3人が倉庫に行ってしまった)
最原(僕は食堂内を見渡した)
最原(そこには先ほど出ていった3人以外のメンバーが揃っていて、みんな思い思いに話をしていた)
最原(白銀さんは何故か凄く落ち込んでいた)
最原(見ると、どうやら元の性別に戻ったのは僕、百田くん、天海くん、入間さんの4人だけらしい)
最原(……そういえば王馬くんは何で戻らなかったんだろうか…)
最原(後で訊いてみよう…)
最原(一部久々な顔ぶれでみんな楽しそうに話しをていて、コロシアイ生活を強要させられていて監禁されているだなんて忘れてしまいそうな、平和そのものな光景だった)
東条♂「最原君、氷よ。冷やすと良いわ」
最原「ありがとう、東条さん」
最原(氷は冷たすぎないように、清潔な布巾で包まれていた)
最原(気配りが流石超高校級のメイド……いや、執事なのかな?)
最原(とにかく流石だなと思った)
最原「…今日も平和だなぁ…」
白銀「……ほんとにね…」
白銀(つまらないなぁ…)
白銀「性転換ライト2!安価もあるよ!」【ニューダンガンロンパV3】
白銀「性転換ライト2.5!安価はあるのかな?」【ニューダンガンロンパV3】
終一
これで終わらせる!
読んでくださってありがとうございました!
色々あり最後の方が巻きでお送りしましたが、最低限広げた風呂敷が畳めて良かったです
アンジーはこれからもつむぎちゃんに言い寄り続けます
振り返ってみればレズと下ネタばかりでしたが、楽しんで書けました
ホモももっと書きたかったですが男がいなさすぎてどうしようもありませんでした
レズもホモも好きです、NLも勿論好きです
あと自分はCPは何でも割りといける人間なので、適当にCP作って書くのが凄く楽しかったです
ちなみに前半の安価展開で想定していた1番バッドエンドなルートは、赤松♂ちゃんが最原♀くんとらーぶらーぶして、赤松ちゃんが完成間近の性転換ライト<解>をプレス機で潰して性別を戻れなくして、つむぎちゃんに罪を押し付ける赤最ヤンデレルートでした
メリバ好きです
後半のコメントリクエストも消化しきれず申し訳ないです
あと、転子好きなので男になって出番増えたのは書いてて嬉しかったです、安価ありがとう
赤松ちゃんと王馬くんは可哀想な描写が比較的多くなってしまってまじごめん、好きな子いじめできて楽しかったです
次回何か書く時はコテを変えたいと思います
感想など残してくれたら励みになります
それではここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました
またいつか別の作品を見かけましたら、その時はまた宜しくお願いします
乙!
意外なCPが見れて楽しかったです
最後の方大変だったけど楽しかった乙
1の書くキャラ達好きだから次のSSも楽しみにしてます
HTML化依頼してきました!
コメント適当に返していきます!
>>329
赤松ちゃんに妨害されたので残念ながら戻ってしまいましたが、まだまだ今後チャンスはあるはずです
>>354
勝ちましたね()
>>358
ありがとうございました!
>>359
キャラが好きと言ってもらえて嬉しいです
私としても書くのが楽しかったのでまた書きたいと思っています
ええ…この終わりだと王馬があまりに可哀想…
転子がアンジーばりのストーカーと化してたし、他のメンバーは性別越えて相手を受け入れたのに
転子は王馬がかわいい女の子になったから惚れただけじゃん。戻って欲しかった…
>>361
正直もう少しどうにかしてあげたかった思いもあったのですが、荒れてたので早く畳みたかったという思いと、転子は最初のスレラスト付近のみんなが元に戻れないということを知った場面でも1人拍手してたレズキチキャラにしてましたので…
すみません…
転子は頑固で融通効かないことも多いけど何だかんだ相手のことを思いやれる優しい子だと
思うんだよ。好きな子相手なら尚更。なのに強姦で脅すとか他の男子よりよっぽどケダモノだよ…
荒らしのせいでペース崩れたのかもしれないけど途中まで凄く楽しんでたから正直ガッカリした
面白かったよ乙乙
視聴者のために翻弄する白銀よく頑張ったえらい
もっと確かに性転換増やしたかったなー赤松ちゃんとか白銀とかアンジーとか…ゴン太も女の子に…
でもイケメンキルミーと入間見れたからなんかまあいいか
長い間乙
嘘発見器あれば簡単に黒幕見つかるんじゃないかなと思ったけどまあそんな事どうでもいいよね!
>>363
ほんとすみません…
>>364
ありがとうございます!
他の子は勿論のこと、つむぎちゃんが最後まで男にならなかったのは正直ちょっと寂しかったですが、安価展開故致し方ないですよね
>>366
こちらとしても長い間読んでくださってありがたい限りです
嘘発見器は…ギャグSSだし多少はね?(途中のシリアス展開から目を背けながら)
誕生会振った者です 言ってみるもんでしたね乙
最初から楽しんで見てたけど自分もちょっと王馬が可哀想だとは思ったww(紅鮭ラストやラブアパート見ると、転子もNLしてる案外普通な乙女だし)
転子はガチレズなんじゃなくて中高生くらいの女の子にありがちな疑似恋愛だよね
別に性的に見てる訳じゃなくて単純に好きな子とイチャイチャベタベタしたい恋に恋してる的な
乙!面白かった
1の書くキャラ生き生きしてて好きだから次スレも楽しみにしてるよ
つむぎにもしライト当たってたらどんな感じだったのかだけ知りたいな
>>368、>>369
二次創作ギャグにありがちなキャラ膨張表現のつもりでした
転子ばかり言われておりますが、最原くんも本編ではあんなに変態じゃないしハルマキもあんなに百田依存しないし、つむぎも本編では腐女子ではありません
今思えば>>1に注意書きをもっと入れていれば良かったです
念のために次回からキャラ崩壊注意の注意書きを>>1に書いて始めたいと思います
ご意見ありがとうございました
>>370
ありがとうございます
つむぎちゃんの男体化を考えると、
白銀♂のスペック
身長:187.92cm
ブレザー着用、白銀♀のジャケットのデザインそのまま
ジャケットの下は白シャツ、ズボンにサスペンダーが付いており、オレンジのリボンタイはそのまま採用、黒い長ズボン
髪は後ろは最原♂くらいのショートカット、前髪は♀の時のままを引き継ぎセンター分けデコ出し
地味にイケメン
という感じにしたと思います
容姿の解説と評価はつむぎちゃんが鏡を見ながら自分でべらべら言うと思います、他に誰も言ってくれないだろうし
皆のその後が気になるけどひとまず完結お疲れ様
王馬の「オレが…プリキュア…?」とかの小ネタも地味に楽しかったよ
お疲れ様
今回の荒らしでわかったと思うけど、荒らしに関しては作者が取り合ったらダメだよ
実際に同じ奴に荒らされてたダンロンの別ssでは無視してたら荒らされなくなったからね
ちなみに、荒らされた理由とか、何が悪かったんだろうとか考える必要もないからね
強いて言うと運が悪かったってことだけなんだ
もちろん、荒らす奴が1番悪いんだけどね
>>373
ありがとうございます
小ネタ入れるのが好きなので、反応してもらえて嬉しいです
>>374
今まで掲示板で荒らされるという経験がなかったのでテンパってしまいました
勉強になりました…
お優しい声かけありがとうございます
次からはスルーしたいと思います
転子好きだけどそんなキャラ崩壊してるとは感じなかったな
性転換にこだわってたのも原作通りだし、脅し云々は男死の体になって下心とかも増したからかなと(王馬が男に戻ったら死活問題だろし)
男子のまま好きになるには、王馬がネオ合気道極めるのが必須になってくるだろし
こういうドタバタ展開だとつむぎはもとより王馬も苦労人ポジなんだなって面白かった
性転換ネタだけでなく色んなCP見れて楽しかったです 乙!
キャラ崩壊が原因じゃなくて、特定のキャラがあんまり酷い目に遭ってると可哀想ってレスが
つくのは仕方ない。最原も結構酷い目に遭ってるけど自業自得だったり最終的に大本命赤松と
くっついてプラマイ的にプラスだけど王馬は最初から最後までフォローなかったしね
まあその辺の塩加減は難しいわな
特定キャラだけが酷い目に遭う系のネタ(可哀左右田)っぽい感じはした
王馬はフォローなくても特に酷い扱いとは思わなかったよ
寧ろ不憫なのが新鮮で良かった
まぁ普段があれだしたまにはこういう役回りも多少はねみたいな感じ
これがゴン太や星君だったら可哀想って思ったかも
王馬が悲惨過ぎて隠れてしまったが百田も結構可哀想なことになってるよな
荒らしが来なきゃ安価でなんとかなったんだろうか
>>378
桑田や左右田は扱い酷いことが多いな。失恋系以外は最後にフォロー入ってハッピーエンドになるけど
>>378
(塩加減って聞いて自然に真宮寺を想像してしまった このスレの真宮寺くんは良いやつだったのにごめん)
んあ…いつのまにか終わってた…
乙でした!面白かったし、キャラ崩壊してても全然気にならなかったな。キャラ崩壊があっても楽しめるのがssだしな。まぁいろんな人がいるしそこまで気にしなくてもいいんじゃないかな?
ワイは王馬ちゃん好きだったから荒らしがなかったら膝枕してもらえたのかなぁ…なんて思うと少し残念だったけど…(まぁどっちみちなかっただろうけどw)
本当に乙でした!ありがとう!!
>>376
感想とフォローありがとうございます
>>377
途中までの安価展開で変なとこ踏み抜くと赤松ちゃんは別の子とくっついたりする可能性もあったので、結果的には最原は救われたけど自分的にはどっちもどっち感あります…
次回ほのぼの?系を書くとすると、完璧なハッピーエンドも目指してみたいと思います
>>378
可哀左右田ネタが好き…というか不憫なキャラが好きなので、つい不憫にさせすぎたかもしれません
無印だったらセレスさんとか十神とか不憫にさせたいと思ってしまいます
孤高な感じのキャラが弱るところを見るのが好きというか…
>>379
星くんはデフォで可哀想だから絶対不憫にできないし、ゴン太も良い子だから不憫には出来ませんね
>>380
春川と百田、王馬と茶柱、白銀とアンジーはもっとエピソード掘り下げる気がありました
掘り下げたエピソードを踏まえて、春川百田王馬茶柱は性別どうするか悩んで、安価で性別最終決定しようかなっていう感じの想定で
白銀アンジーは最終的に、拒否されるか、レズるか、片方が男になるか、など考えていました
アンジーのエピソードが少なかったのが心残りです
>>381
(わいも初見塩で真宮寺を想像してしまいましたで…)
>>382
乙ありがとうございました
382の王馬の膝枕に対する情熱が凄い…
王馬ちゃんの膝枕は382のもので良いと思います、ただし天海は譲りません
乙。面白かったよ
荒らし気にせず続けてほしかったけど、すごい勢いでスレ消費されてたから仕方ないか
面白かった!乙乙!
アンジーや真宮寺の後日談が気になりますがともあれ面白かった…また貴方の作品が見れる事を楽しみにしてます!
乙!不憫な王馬がみれて嬉しかったしかわいかった。新しい組み合わせに目覚めました!
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