蒼龍「私、奥さんだよね? 」
提督「はい」
蒼龍「結構その、シてるよね? レスとかじゃないよね? 」
提督「はい」
蒼龍「……愛されてるよね? 」
提督「それはもう」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………なんで自分でシたの? しかも貧乳スレンダーのロングな女の子で」
提督「え、えーっとそれは……」
蒼龍「おかしくない? そんなに溜まってたの? 」
提督「や、あの、男としてはセックスとソロは違うっていうか」
蒼龍「ソロの方がいいの? ……そんなにいいならこれからはずっと一人でスれば? 」
提督「それは困る、蒼龍に拒否されたら泣く」
蒼龍「あ、そ、そう……」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………照れてるの可愛
蒼龍「うっさい黙れ! 」
提督「ッス」
蒼龍「…………まぁ、分からなくもないしそこについては実際そこまで怒ってもいないんだけどさ」
提督「はい」
蒼龍「普通私に暴露ないようにしない? ちゃんと処理しない? 」
提督「ッスネ」
蒼龍「折角新しいランジェリー下ろしてさ、いい具合にお酒入ってさ、「先にシャワー浴びておいて」、なんて言われて」
提督「はい」
蒼龍「あなたの寝室のベッドでゆっくり待ってようと思ったら」
提督「ん」
蒼龍「思ったらさ、思ったらさぁ! 」
提督「……捨て忘れたティッシュがベッドサイドにありましたね」
蒼龍「サイッテーだよもう……」
提督「スミマセンデシタ」
蒼龍「本当だよ……もうまともにヤる気分じゃないしアルコール変に抜けてきて最悪」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………あの、正座止めてい
蒼龍「いいわけないでしょう馬鹿男」
提督「ッス」
蒼龍「あぁ……苛々する。こんなことしてる自分に苛々してきた」
提督「……」
蒼龍「しかもさ、パソコン見たら履歴残ってるし。そんなに気に入ったの? またあれでシたいの? 」
提督「いや、あれは単に忘れてただけだよ」
蒼龍「パスワードおしえてくれるくらい信頼されてるのは嬉しいけどその信頼の結果がこれだよ」
提督「申し開きもございません」
蒼龍「せめて私に似てる子なら見なかったことにもできたのに」
提督「蒼龍に似てる子なんていないよ。蒼龍みたいに完璧な子いないし」
蒼龍「…………」
提督「…………あ、そこでやっぱ照れ
蒼龍「うっさいなぁ! 踏み潰してあげようか? 」
提督「どこを? 」
蒼龍「その躾のなってない性欲の塊」
提督「御勘弁を……それに蒼龍もこれ好きでしょ? 無くなったら困るよ? 」
蒼龍「…………本当に潰すよ? 」
提督「スミマセンデシタ」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………あの、正座」
蒼龍「分かった、もういいよ、ベッド座ろっか」
提督「っと……寒いっていうか足冷たい」
蒼龍「私の心はもっと冷たいけどね」
提督「……ごめん」
蒼龍「うん」
提督「…………もっと寄っていい? 」
蒼龍「いいよ、私も寒いし。ランジェにバスローブだけだから」
提督「ん」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………こんなので機嫌よくなるくらい好き、なんだからね」
提督「ん」
蒼龍「ずっとカッコいいままでいてね、私の眼の前では。できれば私がいないところでも」
提督「あぁ、約束する」
蒼龍「よろしい。……じゃあ、寝よっ
提督「シない? 収まりつきそうもないんだけど」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………あのさ」
提督「や、分かってる、分かってるんだけど、なぁ? 」
蒼龍「なぁ? じゃない」
提督「…………蒼龍が嫌ならシなくてもいいけどまたさっきのでスるかも」
蒼龍「それが脅しになると思ってるって……なってるけど」
提督「うん」
蒼龍「まぁ、いいかな……でも」
提督「? 」
蒼龍「あの動画の履歴は消したから」
提督「oh……」
蒼龍「ん? 潰そっか? 」
提督「スミマセンナンデモナイデス」
蒼龍「ん」
「…………ん」
「ん…………お酒、抜けちゃったね」
冷めた雰囲気を取り戻すようにまずはキスを。
新しいキスを探すようにもう一度キスを。
理由なんて無くても、何度だってキスを。
優しく、啄むそれから彼女の唇を味わう為に少しだけスウィープ。
舌先を触れ合わせて、でもそれだけでは二人とも足りなくて。
絡み合わせ、溶け合わせ、体液と想いを交換する。
卑猥、というよりは心が暖まる原風景のような。
彼女とのキスは、いつもそうだ。
「……飲む? 」
「んーん……他ので満たしてくれるんでしょう? 」
「あぁ…………あぁ」
精液、なんて遊び心が湧き上がったけれどさすがに、言わない。
どれだけ怒らせても許してくれる彼女だけれど、自分だって怒らせたいわけではない。
冷めた心は想いで暖める。
暖かな想いはきっと心を満たすから。
だから、だから今夜も、そしてこれからも、二人は同じことを繰り返していくのだ。
そう、願えば、きっと自分だけの女神は、微笑んでくれるのだからーーーー
…
………
……………
蒼龍「ねぇ、なんで? なんで? ねぇ? 」
提督「…………」
蒼龍「昨日あれだけシたよね? 朝までシたよね? 嫌がる女の子がやめてって言ってもヤったよね? 」
提督「…………」
蒼龍「出して出して出しまくってたよね? 身体中ベトベトだし腰震えて立てなかったんだよ? 」
提督「…………それで、蒼龍さんだけ昼過ぎまで寝てましたね」
蒼龍「あなたがまた一人でシてる間にね」
提督「…………正直、その」
蒼龍「うん」
提督「執務終わらせて寝室戻ってきて」
蒼龍「ん」
提督「ベットベトで寝落ちしてる全裸の蒼龍を見てたら、その」
蒼龍「我慢できなかった、と」
提督「はい」
蒼龍「……でもそれなら私を見ながら、その……いや、それはそれで嫌だけど、できない? 」
提督「可愛いしエロいんだけど……その、夫性というかその辺のが湧き上がってきてさ」
蒼龍「オットセイ? 」
提督「そんな言葉無いかもしれないけど」
蒼龍「? オットセイはいるよね? 」
提督「え、そりゃあ要るだろう。蒼龍みたいな奥さんいたら勝手に出てくるだろうけど」
蒼龍「寝室に? オットセイ? 召喚? 」
提督「寝室とは限らないかもしれないけど……え? 蒼龍って青姦に興味あるの? 」
蒼龍「はぁ? 」
提督「えっ? 」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………あ、父性とか母性的な意味で、夫性? 」
提督「そうだけど」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………まぁ、いいや」
提督「う、うん」
蒼龍「でもそれなら私起こすとか」
提督「幸せそうに寝てたから。寝言で「美味しい……もう食べられない」とか言ってたし」
蒼龍「う、嘘……嘘でしょ? 」
提督「嘘だよ」
蒼龍「あぁん? 」
提督「痛っ、やめて、脛蹴らないで、痛いです、遊び心なんでっす、痛いっ、あ、今は水色なんっ~~ッ
蒼龍「言動には気を付けてくださいね? 提督閣下」
提督「ッス」
蒼龍「…………で、さ」
提督「はい」
蒼龍「正座させられてる理由は分かるよね? 」
提督「…………いや、本当に本当なんだけど、分からないです」
蒼龍「は? 」
提督「そりゃあ、その、可愛くてエロくて最高に愛しい奥さんがいるのにソロでシてたのは申し訳ないですけれども」
蒼龍「うん」
提督「一応頑張って蒼龍に近い子探したつもりなんです、本当です」
蒼龍「そこ、そこだよ馬鹿男」
提督「はい? 」
蒼龍「私と一晩中ヤって私見てシたくなって探したんだよね? 」
提督「はい」
蒼龍「なんで! そこで! 私に! 近い女の子! 探すのっ! 」
提督「え? えーっと……」
蒼龍「私の代わりがその辺の動画で済ませられるみたいじゃない! 」
提督「あ、そっかそういう……」
蒼龍「そういう」
提督「…………いや、でもそれ理不尽じゃない? 頭痛くなってきた」
蒼龍「私はそれより心が痛いんだけど? 」
提督「ッス」
蒼龍「……ねぇ、性欲おかしくない? 最近までこんなこと無かったよね? 」
提督「や、蒼龍が前より近くにいると普段の生活してるだけで溜まってきて」
蒼龍「……普段からそういう目で女の子見てるんだ」
提督「そ、蒼龍だけだぜ? 」
蒼龍「当たり前でしょ。……馬鹿なの? 」
提督「男は皆馬鹿なんです」
蒼龍「あっそ」
提督「はい」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………じゃ、一緒にその動画見よっか」
提督「えっ」
蒼龍「あ? 」
提督「……なんで? 」
蒼龍「その女の子より私の方がいいっておしえてあげる」
提督「や、おしえられるまでもなく蒼龍の方が可愛いから」
蒼龍「誤魔化すな」
提督「誤魔化しとかじゃなくて本音であっ……分かった、分かったから、見る、見させてください。
だから蹴らないで抓らないで痛いっ! 」
蒼龍「早く」
提督「…………ん」
「うぅん…………私の方が胸、大きいよ? 」
「そうだね」
「私の方が、きっと可愛い」
「あぁ」
「腰だってもっと括れてる、はず」
「はずじゃない」
「…………」
「…………信じられない? 」
違うけど、なんて言葉が尻すぼみになるくらいには不安なんだ。
彼女を不安にさせて、嫌な気分にさせたのは、自分。
どんな言葉より、結局彼女に安心をあげられるのは、行動。
抱き寄せて、頤に手を遣って、それから真心を込めたキスを。
「それに……」
「うん? 」
「あの男の人より、あなたの方が、カッコいい」
「ありがとう? 」
「褒めてないばか…………ん」
「……ん」
柔らかく、暖かく、それから僅かに震える身体を強く強く抱き締める。
壊れそうな程、抱き締める。
壊れてもいいから、この気持ちが伝わってほしい。
俺は、蒼龍のことが、何よりも愛おしい。
それこそ、この身の全てを捧げても替えがきかないくらいに。
だから、その彼女を怒らせたことを身に刻みつつ、想いの丈を、今夜もぶつけるんだーーーー
…
………
……………
蒼龍「ねぇ、なんで? なんで? ねぇ? 」
提督「…………」
蒼龍「馬鹿でしょ? 馬鹿なんだよね? 性欲にすぐ負ける中学生並のボンクラなんだよね? 」
提督「だから男は皆馬
蒼龍「知らない! から! そんなの! 私は! あなたのこと! 言ってるの! 」
提督「……馬鹿って認めたら許してくれる? 」
蒼龍「そんなわけないでしょうが! 仏の顔も
提督「三度ある? 」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………馬鹿」
提督「…………ごめんなさい」
蒼龍「…………動画じゃなかった、画像じゃなかった、そもそも私意外じゃない、これは褒めてあげる」
提督「はい」
蒼龍「でもさ」
提督「うん」
蒼龍「なんで! 私が寝てる横で! 私の! ショーツ! 巻き付けて! いるの! クズ! 猿男! 女の敵! 」
提督「……ッス」
蒼龍「ベトベトドロドロどころじゃないよこれ……汚いとかじゃなくて速攻ゴミ箱入れなきゃいけない」
提督「ソッスネ」
蒼龍「……新しいのだったんだよ? 」
提督「似合ってた」
蒼龍「そりゃあどうも。……本当去勢した方がいいんじゃないの? 猿なの? 」
提督「や、猿とか失礼だろう? 馬並と言ってほし
蒼龍「精々大型犬程度でしょうが! 思い上がるなヒューマン! 」
提督「大型犬? 」
蒼龍「レトリバーが大体二十センチで近種もそれくらいなの! 」
提督「へぇ……十五へぇくらいかな」
蒼龍「そ」
提督「でもさ…………なんでそんなこと知ってるの? 獣姦に興味あっひぃぃぃぃ
蒼龍「……次、当てる」
提督「スミマセンスミマセンスミマセンスミマセンスミマセン」
蒼龍「……はぁ」
提督「スミマセン…………土下座してる目の前にか、踵を床にだーん! するのは駄目だよ、怖い」
蒼龍「怖くしてるんだから当たり前でしょ」
提督「ハイ」
蒼龍「……本当さ、次は顔面でもお腹でも股間でも、容赦なんて無いから」
提督「はい。……あ、足でもお嘗めしましょうか? 蒼龍様」
蒼龍「ん」
提督「ん……ん? 」
蒼龍「靴、嘗めてくれるんでしょう? 」
提督「そんな趣味あ…………申し訳ございません、お許しください」
蒼龍「……ふん」
提督「…………」
蒼龍「…………ばか」
提督「や、でもさ、俺のしたことは許されないのは、分かる」
蒼龍「当然」
提督「それでも、敢えて言いたいことが私にはあるのです」
蒼龍「何か? 」
提督「最近さ、その精のつく食べ物、ばっかじゃない? 」
蒼龍「今頃気付いたの? 」
提督「は? 」
蒼龍「…………あなたカッコいいから」
提督「あん? 」
蒼龍「他の女の子に奪られるの、ヤだから」
提督「ん? 」
蒼龍「……あなたが! 私だけで満足すればって! 思ったの! 分からないの? 馬鹿なの? 死ね、死んでしまえ! このゴミクズ野郎! 」
提督「お、おう……」
蒼龍「…………もうやだ、なんでこんなやつ好きになっちゃったんだろう」
提督「なんていうか……ありがとう? 」
蒼龍「謝らなかったところは褒めてあげる」
提督「うん」
蒼龍「…………好きなの、大好き」
提督「あぁ」
蒼龍「でも、大ッ嫌い。殺したい、ぐちゃぐちゃにしてやりたい」
提督「蒼龍にされるなら、いいよ。文句無い」
蒼龍「そーいうところが……はぁ」
提督「……」
蒼龍「……」
提督「…………寝よっか。今日は何も、しないよ。当然起きてからも」
蒼龍「だめ」
提督「んん? 」
蒼龍「だーめ、私を満足させなさい」
提督「……いいの? 」
蒼龍「いい、許す」
提督「……朝まででも? 」
蒼龍「いいよ。…………私のこと、好き? 」
提督「好き。……蒼龍は? 」
蒼龍「当然。……………………ね、濡れちゃった」
提督「何にもしてないのに? 」
蒼龍「だってあなたに近付いてるから……こんな女嫌い? 」
提督「さぁね」
蒼龍「……む」
提督「でも……蒼龍みたいな女の子は好きだよ。他には何もいらない」
蒼龍「そ」
提督「…………おいで」
…
………
……………
提督「おはよ」
蒼龍「うん。…………キス」
提督「酒飲んでヤって寝たから口、臭いよ」
蒼龍「いいの、ちょっと触れるだけ」
提督「……ん」
蒼龍「ん。…………おはよ」
提督「あぁ。…………シャワー、浴びておいで」
蒼龍「一緒じゃなくていいの? 」
提督「我慢できないから」
蒼龍「ふぅん? ……なぁに? これ」
提督「仕方無いよ、朝の寝起きだから」
蒼龍「そ、っか」
提督「うん」
蒼龍「……口でしてあげてもいいけど? 」
提督「いいよ。蒼龍にそういうことしてもらいたくて好きになったんじゃない」
蒼龍「そっか。…………シャワー浴びたら、何食べたい? 」
提督「何でもいいけど……俺の好きなもの」
蒼龍「私がつくったら何でも美味しいって言うくせに」
提督「だって全部美味しいし……ベーコンエッグとトーストと、甘いコーヒー」
蒼龍「りょーかい。…………起きますか」
提督「うん」
蒼龍「…………あ、そうだ」
提督「うん? 」
蒼龍「好き、だよ。これからも、その、よろしくね」
提督「こちらこそ。…………見捨てるなよ? 」
蒼龍「あなたが私に飽きない限りはね」
提督「ありえない」
蒼龍「それならいいでしょ。…………ずっと、一緒、だからね? 」
提督「ん」
蒼龍「嫉妬深いよ? 」
提督「蒼龍みたいな可愛い奥さんに嫉妬されるなら嬉しいよ。……行きな」
蒼龍「ん」
…
………
……………
離してなんて、あげない。その辺、きっちり分からせてあげるんだから、ね?
前編終わり
ちなみに海豹や海馬は二十一センチ程度だそうです
変なこと調べて変な敗北感
蒼龍「ねぇ? なんで? なんで? ねぇ? 」
提督「…………」
蒼龍「そりゃあ私も大概だよ? 結構ノってたよ? それは認めるよ? 」
提督「…………」
蒼龍「でもさ、おかしくない? おかしいよね? これ私がおかしい? 」
提督「……おかしくないです。私が全面的におかしいです」
蒼龍「カメラ三台も設置してまで撮りたかったの? ハメ撮り」
提督「はい」
蒼龍「しかもリクスー買って就活生と面接官役でヤったやつだよ? 」
提督「…………」
蒼龍「しかも、何だっけ? DVDに編集したタイトル」
提督「……言うの? 」
蒼龍「言わせてるもん」
提督「…………『現代社会の闇! 社会のことを何も知らない就活生の大事なトコロに大事なルールを教え込む ~ 幼気な爆乳就活生と悪徳面接官 ~ 』です」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………死ねば? 」
提督「…………赦してください」
蒼龍「まったく……何でこんなのが高級将校なんだろう」
提督「や、でもイメプレなんて今まで何回も
蒼龍「あぁん? 」
提督「…………」
蒼龍「撮ったこと怒ってるんですけど?
編集してAVみたいなパッケまで自作したこと怒ってるんですけど? 」
提督「……はい」
蒼龍「まったく……それちゃんと破棄するからね」
提督「そんな無体な」
蒼龍「はぁ? 」
提督「や、だって、ねぇ? 」
蒼龍「ねぇ? じゃないの変態さん」
提督「渾身の一作なんですよ、お姉さん」
蒼龍「誰がお姉さんだ」
提督「蒼龍」
蒼龍「見た目も実年齢もあなたの方が年寄りでしょうが」
提督「ってもね。俺はまだだけど熟女モノ好きな人が女優より歳上なんてことはザラに
蒼龍「そんなこと訊いてない! 」
提督「はい」
蒼龍「……貸して」
提督「え? 」
蒼龍「演習用の的に仕込んでくるから」
提督「えー……」
蒼龍「適当に捨てたら誰かに見られるかもしれないし」
提督「でも演習用の的だって粉々になるとは限らないだろ? ここは万全を期して俺が
蒼龍「あなた、的、やる? 」
提督「どうぞ煮るなり焼くなり爆撃するなりしてあげてください」
蒼龍「ん。…………表面も裏面もガチのAVじゃんこれ」
提督「え? 蒼龍ってAVのパッケじっくり見たことあひぃぃぃぃぃぃっ
蒼龍「ごめん、ピアスホールつくってあげようと思ったんだけどミスっちゃった」
提督「ピ、ピアスホールは万年筆振りかざしても空けられないっすよ。それに俺ピアス興味無い」
蒼龍「あはは、まったく……本当に当てるわけないでしょう? 」
提督「本当? 」
蒼龍「この目見て嘘吐いてるように見える? 」
提督「んー……」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………俺の好きな目だ、俺が映ってる」
蒼龍「…………ばか」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「んんっ…………そりゃあガチでつくったからな」
蒼龍「それにしてもこれは」
提督「まぁ、実際結構簡単なんだ」
蒼龍「ふぅん? 」
提督「枠は今日日ネットに転がってるし、あとは画像嵌めていって煽り書くだけ」
蒼龍「あっそ」
提督「あぁ」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………ここ、読んで」
提督「万年筆の位置確かめるなよ……拒否しないから」
蒼龍「気のせいだよ、気のせい」
提督「……『折角入った会社で落ちこぼれはイケナイ! しっかりした処性術を教えなければ! 』」
蒼龍「その隣」
提督「『お前の肢体は犯罪だ! 自己主張の激しいやつは嫌われる! それはおっぱいも同じ! 』」
蒼龍「次」
提督「『我が社は入社から寿退社まで面倒見ます! 円満結婚と性活の為の指導は当然だ! 』」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………泣いていいかな」
提督「…………すまん」
「役になりきって遊ぶのは正直嫌いじゃないけど……あれはダメ」
「……悪い」
彼女のそんな顔が見たいわけじゃなかった。
できればもっと別の、幸せそうな顔が見たかったんだ。
単に男として、快感に蕩けた顔も、情欲に溺れた顔も記録したかっただけである。
彼女の全てをものにしたい、そんな男の幼稚な我儘なのだ。
それでも、それでも蒼龍にあんな顔をさせてしまうくらいなら、
こんなことはすべきではなかった。
俺が見ていたいのは蒼龍の幸せな笑顔。
これだけは誓って掛け値無しの真実。
それならば、今からすることは決まっている。
「……もうしないから。蒼龍にあんな顔はさせない」
「ん。…………遊ぶのは嫌いじゃないって言ったけど」
「あぁ」
「今は、私だけを見て? ありのままの私、あなたが選んだ私を」
「…………ん」
眩しい程の愛には想いの分だけくちづけを。
愛する女の子には心ゆくまで愛の囁きを。
これが良いことだとは思わないけれど。
それでも喧嘩をして、仲直りをして。
その度に思い出すんだ。
自分が深まる絆に幸福を覚えるのは、彼女だけなのだということを。
「ん…………好き、ずっと好きで、いさせてね? 」
「あぁ…………おいで」
…
………
……………
蒼龍「ねぇ? なんで? なんで? ねぇ? 」
提督「…………」
蒼龍「あれ最近破棄したばっかだよね? 」
提督「はい」
蒼龍「カメラ破棄してメモリも消去したよね? 」
提督「しました」
蒼龍「なのに! 何で! また! 撮ってるの! 」
提督「や、カメラ一台俺も忘れててさ」
蒼龍「だとしてもそれのバッテリー普通切れてない? 」
提督「あー、今の技術が凄いんじゃない? うん」
蒼龍「そんな! わけ! あるか! 馬鹿! 変態! クズ! 嘘吐き! 」
提督「……ッスネ」
蒼龍「大体仮に百億歩譲ってもそれを編集する? 」
提督「だって、男の子だもん☆ 」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………キモいんだけど」
提督「…………すみません」
蒼龍「しかも何で全部盗撮っぽくて設定もアレなやつなの? 」
提督「や、そりゃあ俺もラブいやつ欲しいけど」
蒼龍「欲しいけど? 」
提督「蒼龍撮らせてくれる? 」
蒼龍「絶対ヤダ」
提督「だろ? 」
蒼龍「だろ? じゃないんですけど」
提督「えー? 」
蒼龍「……で、今度の設定は? 」
提督「そんなの蒼龍も知って……その足の動きは如何なる理由のものでありましょうか」
蒼龍「痛みが続くの嫌でしょ? 一発で全部潰してあげるからね」
提督「やめろ、やめてください、本当マジで。死ぬ、男として死ぬ」
蒼龍「…………ん」
提督「はぁ…………新型の艦載機をねだる蒼◯ちゃんが媚を売って悪い上官に奉仕する設定です」
蒼龍「なんでこれタイトル無駄に伏せ字使ってるの? 」
提督「なんかその方が盗撮モノっぽくてエロいかなって」
蒼龍「はぁ……」
提督「ちなみに今回はパッケ蒼◯ちゃんの目線にモザイクを入れてみました」
蒼龍「馬ッ鹿じゃないの? 本当に」
提督「男の子だからね」
蒼龍「ていうかなんでもその言葉で片付けようとするのやめた方がいいよ」
提督「や、男なら蒼龍みたいな、っていうか蒼龍が相手ならこんなものだよ」
蒼龍「他の男の人でも? 」
提督「うん、ロリコンは知らないけど」
蒼龍「そう」
提督「はい」
蒼龍「…………私はあなたのもので他人のものではないけどね、
そうであってあなたの物では無いんだよ? 」
提督「反省してます、本当」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………撮りたい? 」
提督「何を? 」
蒼龍「純愛系の真っ当な……真っ当なAVがあるのかは知らないけどそういうやつ」
提督「いいよ、別に。蒼龍がいれば俺は他に何も要らない」
蒼龍「その割に惨憺たる有様だけど? 」
提督「それは……まぁ、うん」
蒼龍「…………」
提督「信用しろとは言わないけどさ、信頼はしておいてよ。蒼龍のことしか、見てない」
蒼龍「…………」
提督「…………足りない? 」
蒼龍「足りない、全然足りない、足りないけど……許す。あなただし」
提督「ありがとう」
蒼龍「…………その代わり」
提督「ん? 」
蒼龍「明日、どっか遊びにいこっか。書類関係の誤魔化しなんて得意でしょ? 」
提督「まぁね。……俺はもっと蒼龍、というか皆外に出てもいいと思うんだけどな、許可なんて無くても」
蒼龍「仕方無いよ、人外の化け物なんて勝手に動いていたらいい気しないから」
提督「軍人と政財界の一部しか存在の根幹なんて知らないもんな」
蒼龍「……うん」
提督「でも、俺はそんなこと気にしないから」
蒼龍「ふぅん? 都合よく自由に抱ける女だからじゃないの? 」
提督「…………怒らせたいの? 」
蒼龍「だってあなた怒らないし。もっと他人を頼ってよ、あなたの為に生きたい女の子に」
提督「……それは」
蒼龍「それは? 」
提督「…………ん、善処する」
蒼龍「よろしい」
提督「あぁ」
蒼龍「……ん」
提督「……それにほら、人外っていうけど、俺は人間の可愛い女の子以外と恋なんてできないよ」
蒼龍「そう? 」
提督「人外の化け物だと思ってお前らのこと蔑むやつなんて幾らでもいるだろ? 」
蒼龍「まぁ、ね。大体の人間は蔑んで近寄りもしないか下卑た目で見てくるだけ」
提督「他に研究対象として見る、なんてのも多少はいるけどな」
蒼龍「それが一番嫌、かな。私は」
提督「そうか」
蒼龍「化け物にも意志とか自我はあるからね」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………どこ、行きたい? 外に行くのはそれなりに簡単だけど精々一晩くらいだよ」
蒼龍「あなたが決めてよ。女の子にデートコース任せないで」
提督「はいはい。……女の子を楽しませるのが男の仕事、ってやつ? 」
蒼龍「当然。その代わり女の子は楽しませたくなるような子になるのが仕事」
提督「なるほど」
蒼龍「ま、それは男女逆でも同じなんだけどね」
提督「そう、だな。……今から行く? 」
蒼龍「今でもいいの? 」
提督「蒼龍は女の子の仕事してるし。……俺はしてないけど」
蒼龍「駄目じゃん」
提督「そうだね。……補佐、頼める? 」
蒼龍「当然。私、結構できる女なんだからね? 」
女の子のことは正直よく分からないしきっといつまでも理解できないけれど。
それでも蒼龍のことだけは、いつか本当に全て知りたいと思う。
こんなにも駄目な男のことを一心に愛してくれる。
こんなにも我儘な馬鹿のことを心から信頼してくれる。
そんな子を振り回し続けていられる程、自分は傲慢ではないつもりだ。
だから、というのもおかしな話だけれど。
これからは今までよりももっと、蒼龍を頼っていこうと思う。
今までは彼女の負担になると思っていたし、仕事のできる男として見られたいと思っていた。
けれど、彼女のことを知りたい自分と同じなんだ、彼女も。
蒼龍だって愛した男のことを知りたいのだと思う。
否、たった今、今更ながらに思わされたのだ。
それに、プライベート以外でも彼女と過ごせることはきっと幸せなことだ。
「……蒼龍」
「コーヒー? 」
「あぁ。……何で分かった? 」
「あなたの奥さんだから、じゃあ駄目? 」
「駄目じゃない。……むしろそれがいい」
「でしょ? じゃ、ちょっと待ってて」
「あぁ」
くだらない日常ですら彼女と在れば愛おしい。
そんな簡単なことをおしえてくれた彼女に今はただ感謝を。そして最大級の愛を。
この気持ちを、いつか彼女が真に理解してくれることを祈って。
今は真面目で真摯な男であろうと、思う。
…
………
……………
蒼龍「ねぇ? なんで? なんで? ねぇ? 」
提督「…………」
飛龍「…………」
蒼龍「飛龍は今日絶対帰ってこないって言ってたよね? 隼鷹たちとお酒飲んでるからって」
提督「はい」
飛龍「…………」
蒼龍「帰ってきてるじゃん。しかも割とアルコール抜けてるし」
提督「そうですね」
飛龍「…………」
蒼龍「飛龍が部屋に帰ってこないって言うから相部屋でヤるの許したのに」
提督「はい」
飛龍「あの、はい」
蒼龍「飛龍さんどうぞ」
飛龍「別にいい歳の夫婦が何処でヤろうが私はいいと思うしさ」
蒼龍「はい」
飛龍「蒼龍も提督も色々言いたいことは分かるよ。私も今日は隼鷹の部屋に泊まる予定だったし」
提督「はい」
飛龍「……でもとりあえず蒼龍は服着てシーツ手放そう? 」
提督「だよな、俺も服着
飛龍「提督はパンツだけね」
提督「……ッス」
蒼龍「んっ…………ぁ」
提督「……おっと」
飛龍「? 」
蒼龍「…………ぅ」
提督「…………」
飛龍「どしたの? 」
蒼龍「…………垂れてきた」
提督「シャワー浴びて執務室集合でいい? 」
飛龍「……二回戦目に入らないでね? 」
蒼龍「入らないから」
提督「つーか始めても二回戦じゃなくて三回せっいでぇ!
蒼龍「ばか」
飛龍「……回数とかどうでもいいから早くしてくれない?
冷静に見えるかもしれないけど割と苛ついてるよ、私」
蒼龍「はい」
提督「はい」
飛龍「じゃ、私先に行ってるから」
提督「…………」
蒼龍「…………」
提督「…………割とこれ誰も悪くなくない? 」
蒼龍「そうだけどあなたが言っていいことではないよね」
提督「うん」
蒼龍「…………」
提督「…………」
蒼龍「…………シャワー行こ」
提督「ん」
…
………
……………
飛龍「遅い」
提督「二人分のシャワーだし」
蒼龍「ごめんね飛龍」
飛龍「いいけど。提督の蔵酒開けてるから」
提督「ほぁ? ……ん…………おう」
飛龍「それだけ青くなるならよかったかな、開けて」
蒼龍「……飛龍」
飛龍「これで済ませてるんだからいいと思ってよ蒼龍。
その代わり手早く終わらせるから」
提督「…………」
蒼龍「テンション下がり過ぎでしょ……」
飛龍「蒼龍とお酒しか興味無い人間だもん。仕方無いね」
蒼龍「そんな他人事な」
飛龍「他人事だし? 私は奥さんじゃないからね」
蒼龍「…………ぅ」
提督「…………」
飛龍「ま、それは置いといて。……何で? 」
蒼龍「? 」
提督「? 」
飛龍「本当に分からない? 」
提督「や、まさか飛龍が帰ってくるとは思わなかったし鍵掛けてなかったのも悪いとは思ってるけど」
蒼龍「今回は飛龍のベッドに何も付いてないよね? 」
飛龍「はぁ? 」
蒼龍「ぁ」
提督「oh……藪からドラゴーン……」
飛龍「ちょっと待って、本当待って、今回、は? 」
蒼龍「…………」
提督「…………あー、ほら、蒼龍って結構飛ぶかるぉぁぁぁぁぁぁっ?
蒼龍「ばか」
飛龍「……頭痛くなってきたけどこれはもういいや。
ちゃんと綺麗にしたんでしょ? 」
提督「し、深夜に予備の部屋のと交換しておきました」
飛龍「そ。……まぁ、正直いつの間にかベッド新しくなってて気付いてたけどさ」
提督「申し訳もございません」
飛龍「うん。……で、分からない? 」
蒼龍「割と真面目に」
提督「同じく」
飛龍「…………何で隼鷹と千歳にお酒大量にあげて私呼ばせてまでここでヤりたかったの? 」
蒼龍「は? 」
提督「」
飛龍「隼鷹言ってたよ? 提督がお酒くれるときは蒼龍は呼ばずに私だけ呼ぶよう言われてるって」
蒼龍「何? そんなことしてたの? 」
提督「……はい」
蒼龍「…………」
飛龍「まぁ、別にそれで提督に嫌われてるとかは思わないけどさ」
提督「はい」
飛龍「普通にそれとなく言ってくれれば私誰かの部屋いるよ? そんなに信用できない? 」
提督「……そういうわけじゃ。言いにくいことだし」
飛龍「でも蒼龍になら言うよね? 」
提督「…………言う」
飛龍「でしょ? 」
蒼龍「…………」
飛龍「そりゃあ蒼龍は心に決めた女だしさ、扱いが違うのは仕方無いけど」
提督「あぁ」
飛龍「『蒼龍といたいから部屋を空けてほしい』の一言でいいと思わない?
私もガキじゃないしそれで大体分かるんだから」
提督「……ん」
飛龍「隼鷹も千歳も、飛鷹も千代田も、それにここの空母組は皆知ってたんだよ?
酔っ払いにすら憐れまれたんだよ? 」
提督「…………」
飛龍「ちょっとは私のこと考えてくれてもいいんじゃないかな、違う? 」
提督「違わない、です」
飛龍「……それに蒼龍も蒼龍でしょ」
蒼龍「え? 」
飛龍「おかしいと思わなかった? 提督が部屋に誘ってくるとき絶対私がいないの」
蒼龍「あ……」
飛龍「これ恋は盲目では片付けられないと思うんだよね」
提督「や、それ意味違わない? 」
飛龍「そうだね。恋したら親友とか部下の気持ちなんて見えなくなる病気だもん」
提督「…………考え無しだった。ごめん」
蒼龍「ごめんね、飛龍」
飛龍「別に。もういいけど」
提督「許してくれるのか? 」
飛龍「許すというか……もう何も言えないよ」
提督「うん? 」
飛龍「さっきから蒼龍泣きそうだし」
提督「? …………大丈夫? 」
蒼龍「だいじょばない……本当泣きそう」
飛龍「蒼龍がそんな顔するくらい私のこと大事にしてくれるならいいよ。
蒼龍がちょっと抜けてるのは知ってるし」
提督「……そっか」
蒼龍「ごめんね蒼龍……これからはもっと色んなこと気を付けるから」
飛龍「そうだね。さすがに今回は私も泣きそうだったし」
蒼龍「……嫌いにならない? 」
飛龍「なれないから安心して。……蒼龍は私と逆だったら絶縁したりする? 」
蒼龍「それはできないよ、絶対」
飛龍「ね? 」
蒼龍「……うん」
提督「……本当悪かったな。なんなら他のボトルも開けていいぞ」
飛龍「それはこっちが悪いよ。そんなことしない」
提督「そっか」
飛龍「うん。……その代わり」
提督「うん? 」
飛龍「今日は蒼龍借りて行くから。今なら言いたいことお互いに言えそうだし」
提督「あぁ。そうしておけ」
飛龍「ん。……蒼龍? 」
蒼龍「行こっか」
飛龍「うん」
>>74
蒼龍が蒼龍に謝ってて草
提督「じゃ、佳い夜を」
飛龍「はいはーい、また明日ね」
提督「おう」
蒼龍「またね。…………あ、そうだ」
提督「うん? 」
蒼龍「飛龍が許しても私はまだ許してないからね」
提督「え? 」
蒼龍「飛龍も部屋入ってきたとき泣きそうだったんだから。一晩一人で反省してね? 」
提督「……あぁ、分かった」
蒼龍「じゃ、私も行くから」
提督「ん」
きっと、いや、絶対に蒼龍は幸せになる。
今まで蒼龍を一番知っていた私が思うんだから間違いない。
結局蒼龍はあの人に奪られてしまったけれど、
私はそれでよかったのだと思う。
私は無意識に蒼龍が常に最も自分を理解してくれる存在だと思っていたのだ。
そうでなければ奪られた、なんてきっと考えない。
その時点で私とあの人には雲泥の差があったのだろう。
私は私の見たい蒼龍しか見ていなかったけれど、彼は蒼龍そのものを見ていた。
そのことについては素直に彼を尊敬している。
だって私にはまだそれができていないから。
半身を失ったような喪失感はまだ、心に燻っている。
それは私が無意識にでも蒼龍に押し付けていた意識の分の呵責。
だとしてもこの心の痛みは当分消えそうもない。
だから、彼のボトルを一本開けたのはせめてもの仕返し。
「飛龍? 」
「ん? 何でもない。ちょっとぼうっとしてただけ」
「そ」
私は、これから蒼龍と少し離れなければならないと思う、独り立ちだ。
それは別に蒼龍と離れ離れになるわけではない。
蒼龍から離れられなくて勝手に傷付いたのは私。
そしてそれが理由で蒼龍に要らぬ呵責を与えたのも、私。
だからいつか、そう遠くない日に蒼龍を蒼龍として見ることのできる、
そんな女になって私は本当の意味で蒼龍の親友になる。
それが当面の、私こと飛龍の目標になった。
…
………
……………
蒼龍のことだけ見ていたいのは本当だけれど。
それだけでは人は生きていけない。
今回はそんなことを身に沁みて実感した。
飛龍はただの部下なんかじゃない。
信頼のできる、敬すべき友人だ。
蒼龍を幸せにするためにも、これ以上間違うことは、できないだろう。
だから今夜は、一人で寝る。
そして、明日はもう一度飛龍に謝って、蒼龍と、それから隼鷹たちでも誘おう。
秘蔵のボトルだって開けても構わない。
これはただの宴会ではなくて、俺が一つ成長した、記念なのだから。
ただ、これからも蒼龍のことしか見れない日があっても、
少しくらいは、許してほしいと、思う。
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【艦これ】提督「俺と、高雄と愛宕」
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