【艦これ】駆逐艦ツンデレ担当反省会! (85)
霞「……」
執務室 コイヨベネット
叢雲「どうして……こうなったのかしら」
満潮「元はと言えば霞が……」
霞「それを言うなら曙だって同罪よ!」
曙「なっ、アンタたちだって無罪とは言わせないわよ!」
ガチャ
提督「お前らうるさいぞー」
「「「「キャアァアァッ!!」」」」ピュー
提督「……何なんだ? あいつら」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1488021117
一時間前……
朝潮「……」プクー
潮「……」ムスー
曙「(アンタ、いったい何したの?)」正座
霞「(そっちこそ、あんな顔した潮初めて見たわよ)」正座
大潮「満潮ちゃん連れてきましたよー!」
満潮「もう! 引っ張らないで……って何この状況」
朝潮「満潮もそこに座りなさい。お話があります」
満潮「は……はぁ?」
朝潮「座 り な さ い」
満潮「アッハイ」正座
曙「(朝潮ってあんな怖かったっけ?)」
霞「(ごく稀にお姉ちゃんモードになるのよ……)」
満潮「(アンタ達何したのよ? 朝潮がああなるって相当よ?)」
朝潮「さっき、鳳翔さんに呼ばれてお話してきました」
Oo。
鳳翔『提督が昨日ね、久しぶりにお店のほうに来てくれたの』
潮『そうなんですか。最近忙しそうでしたもんね』
鳳翔『そうねぇ。でも隼鷹さんたちと随分飲んだ後みたいだったから……』
朝潮『お疲れ様です。鳳翔さん』
鳳翔『もっと飲ませて色々聞いちゃいました☆』テヘペロ
『『鳳翔さん!?』』
鳳翔『コホン……それでね、潰れた提督がこんなこと言ってたの』
提督『こんだけ頑張ってもよォ~~ッ、まだクズとかクソとか言われるンだよなァ~~ッ』
鳳翔『ちょっと素直になれないだけですよ。本心で嫌ってるわけないじゃないですか』
提督『呼び方普通なだけでキツい奴らも相変わらずだしさァ~~、もうどうすりゃいいんだよォ~~』
鳳翔『大丈夫ですよ。皆提督の働きは認めてますから……ちょっと飲ませすぎましたね』ボソッ
鳳翔『多分これって曙ちゃんや満潮ちゃん、霞ちゃんのことよね?』
朝潮『そう……ですね。妹たちが申し訳ありません……』
潮『曙ちゃん……』
鳳翔『私が言ってもいいのだけど、こういうことは姉妹のほうがいいかなと思って……
それとなくでいいから、注意しておいてくれないかしら?』
潮『はい、勿論です』
鳳翔『ありがとう。勿論三人以外にも心当たりはいるから、そっちもそれぞれの姉妹にお願いしてみますね』
朝潮『……いえ、注意では済みません』
鳳翔『朝潮ちゃん?』
朝潮『今までは司令官に気にするなと言われたので黙っていましたが……こうなってはそうもいきません。
一度、本気でお説教します!』
潮『そうだね……曙ちゃん、もう素直じゃないとか言っていい段階じゃないよね』
鳳翔『お、お手柔らかにね? 姉妹の仲が悪くなるようなことは提督が一番望んでないから……』
朝潮『もちろんです! この朝潮、全霊で司令官の素晴らしさを教え込む覚悟です!』Lv97
潮『綾波ちゃん達も遠征終わり次第呼んで、お話しないとね……!』Lv96
鳳翔(たまたま空いてる娘を呼んだつもりだったのだけれど……早まったかしら?)
朝潮「あなたたちは、私たちが再三注意したのに、それでも司令官に暴言を止めませんでした」
潮「曙ちゃんにもいつも言ってたけど、チョコを用意したって秋刀魚を捕ってきたって帳消しにはならないんだよ?」
曙「(何かと思えばいつものことじゃない……)」
満潮「(止めときなさい。あぁなった朝潮はいつもの忠犬じゃないから)」
霞「(ま、口が悪いのは事実だしね。姉妹に迷惑かけた罰として大人しく説教されてましょ)」
曙「(朝潮はどうか知らないけど、潮ってこうなると長いのよね……)」
朧「綾波姉さん連れてきたよー」
綾波「吹雪ちゃんもいますよー」
吹雪「そのお説教、叢雲ちゃんも混ぜて下さい!」
叢雲「ちょっと、離しなさいよ伸びるでしょ……って何この状況!?」
曙(生贄がまた一人……)
満潮(説教する側はもっと増えたみたいだけど……)
霞(ま、諦めて一緒に説教されなさい……)
叢雲(直接頭の中に……!?)
少女説教中……
30分後
朝潮「……というわけです。わかりましたか?」
潮「もうあんまり提督いじめちゃダメだからね?」
曙「分かった……分かったから……」
満潮「延々司令官の武勇伝聞かされたわね……」
叢雲「そう? 途中からラブコメ始まってた気がするけど」
霞「何にしてもこれでようやく……」
吹雪「さて! それじゃあ行きますよ!」
「「「「へ?」」」」
綾波「反省したら、司令官にごめんなさい、しないといけませんよね?」ニッコリ
大潮「そうですよ! クズとかクソとかつけないで、ちゃんと
『司令官ごめんなさい! 本当は大好きです!』って言って下さい!」
曙「は、ハアァ!? すっ、すす好きって、誰があんなクソ提……」
朧「んんっ!」
曙「あ、て……提督。のことなんか、別に全っ然! 好きでもなんでも!」
綾波「じゃあ『ごめんなさい』までは言えますね? もちろん『クソ』抜きで」
曙「うっ、あっ……んん……」
霞「まんまとハメられたわね」
叢雲「普段あんま絡まない大潮と綾波なのに、まさかのチームワークね」
吹雪「他人事みたいに言ってるけど、全員だからね?」
満潮「分かってるわよ……ま、私はもともとクソとかクズとかつけてないし、難しいことでもないわね」
大潮「ちゃんと『ごめんなさい』もつけるんですよ?」
満潮「うっ……ま、まぁ、大好きとか言わされるのに比べたら……」
朝潮「さぁ、司令官の所へ行きますよ。私たちは離れて見てるから、自分で扉を開けて入るのよ」
そして冒頭へ……
曙「ハァ……ハァ……な、なにが『難しいことでもない』よ……全力ダッシュじゃない」
満潮「う、うるさいわね……そっちこそ、司令官の声だけで逃げ出したじゃない……」
叢雲「どうすんのよ……司令官はともかく吹雪たちがすぐ探しに来るわよ……」
霞「一回こう失敗すると、二回目は勇気がいるわね……」
曙「これ、このまま逃げて有耶無耶にしちゃえばいいんじゃない……?」
叢雲「それは流石に吹雪たちの索敵力ナメすぎよ……」
霞「それに、ウチの長女は有耶無耶なんて通じない真面目人間よ」
満潮「諦めて、やりきる方向で考えたほうが身のためよ」
曙「そうは言うけど……もう一回行って、いける? このメンバー」
叢雲「これから言うぞって心持でいくから変になるのよ。いつもみたいに書類でも持ってく感じでいけば?」
霞「そうね……まずは部屋に入らないことには始まらないわ」
満潮「入りさえすれば、あとは勢いでなんとかなるかも知れないわね」
叢雲「いくわよ……?」
コンコン
提督『どうぞー』
曙「」ビクッ
満潮「ほ、ほら! 入るわよ! せめて二の舞は避けないと」
ガチャ
提督「なんか珍しい四人組だな。どうした? 新しい駆逐隊でも結成したか?」
霞「違うわよ! ……えぇと、その……」
『司令官!』
叢雲「なんていうか……ね?」
『ごめんなさい!』
曙「あ、うあ……あの……」
『本当は大好きです!』
満潮「それは言わなくていいんでしょ!!」
提督「は?」
満潮「ぁ」
叢雲「ぃ」
霞「ぅ」
曙「ぇ」
満潮「て、撤退ーっ!!」
バタン!
叢雲「なんとなく……何考えてたかは察しがつくけど……」
曙「おかげで……また台無しじゃないの……」
満潮「大潮が変な事言うから……思い出しちゃって……」
霞「ま、まあ……部屋に入れただけ一歩前進よね……」
叢雲「思ったんだけど」
曙「何?」
叢雲「一人ずついけばいいんじゃない?」
霞「……それもそうね。最初は連れて行かれたけど、今は見張りもいないわけだし」
満潮「多分どっかで隠れて見てはいると思うけど」
曙「……多分漣あたりの発案ね」
叢雲「そこはどうでもいいわ。さっきも、満潮以外は逃げずにいられたんだし」
満潮「うっ」
叢雲「一人ずつ入って、一人ずつ済ませればいいんじゃない?」
曙「それはそうだけど……どうやって済ますか、よね」
満潮「そ、そうよ! さっきは全員話し始めでつまずいたじゃない!」
霞(一人取り残されないように必[ピーーー]……)
霞「まぁ、ここまできたら詰められるところまで詰めてからいきましょう」
叢雲「そうね。で、満潮は何か案はあるの?」
満潮「えっ? あ、そうね……やっぱり、普段通りって大事だと思うわ」
曙「この四人って、その『普段』が悪いからこうなったのよね」
霞「確かにそうだけど、じゃあ最初みたいにいきなり入って『ごめんなさい!』ってできる?」
曙「ま、出来なかったからこうしてるわけよね」
叢雲「っていうか、アンタ達普段司令官とどんな会話してるの?」
満潮「どんなって……普通よ、普通」
満潮の場合
満潮「艦隊が戻ったわ」
提督「おかえり……ちょっとカスったか」
満潮「ふん、この程度小破にもならないわ」
提督「損傷は損傷だ。どうせドッグは空いてるし、入渠してこい」
満潮「はあ!? こんなの、ドッグ入りにはまだ早いわ!」
提督「怪我してからじゃ遅いだろ」
満潮「なにそれ! 私が力不足って言いたいの?」
提督「力は充分だから、万全で戦ってほしいんだよ」
満潮「なにそれ、ワケわかんない」
提督「補給も整備も追いつかなくてボロボロになったのは過去の話だ。
正しく運用すればお前たちに負けはない。俺はそう信じてる」
満潮「……どうしたって、勝てないことだってあるわ」
提督「それはお前がいつも言う通り、俺の戦略がつまらないだけだ」
満潮「そう? 自分の至らなさに気付いてたのね。少し見直したわ」
提督「ああ、俺は至らないから、傷を負った駆逐艦を含めた作戦が立てられないんだ」
満潮「……しょうがないわね。そういうことなら入渠してきてあげるわ」
提督「ありがとう。恩に着るよ」
満潮「ただし! この程度、すぐに直るんだから、すぐ戻ってくるわよ! 書類サボったら分かるんだから!」
提督「分かってるって」
満潮「ふん! …………ありがと」ボソッ
曙「確かに上官に対する口のきき方じゃないわね」
満潮「呼び名に『クソ』とかつけるよりよっぽどマシじゃない?」
叢雲「まぁそれはおいといて」
霞「……満潮姉、面倒な女ね」
満潮「面倒って何よ!?」
曙「だって……ねぇ?」
叢雲「入渠だけでこんな騒いでどうするのよ……駆逐艦は少しのダメージが命取りなのよ?」
霞「明石さんの修理なら文句言わないのに……」
満潮「だって、入渠しちゃったら艦隊の様子分からないじゃない!
見てない内に全滅とか、ホント嫌だから!」
叢雲「まぁ気持ちは分かるけど落ち着きなさいよ」
曙「そうよ。百人以上艦娘がいて全滅するような相手なら、アンタ一人いてもいなくても一緒でしょ」
霞「それに、今更クズ司令官がそんな下手を打つとも思えないでしょ。いくらクズでも、もう四年になるんだから」
満潮「何よ、随分信頼してるみたいじゃない? そういう霞はどうなのよ?」
霞「あたし? あたしは……」
霞の場合
霞「こんなの全然強化のうちに入んないわよ」
提督「えー……夕立から借りてきたB型砲なんだけど、不満?」
霞「今回の相手は装甲が硬いんだから、魚雷で撃ちぬかないとダメでしょ!?
駆逐艦の砲撃なんて誤差よ誤差!」
提督「そこまで言わなくても……分かった、潜水艦から魚雷集めてこよう」
霞「分かればいいのよ」
提督「えーっと、六連装、五連装、艦首魚雷……全部霞に乗せちゃえ!」
霞「ちょっ、そこまで集めなくても……ってそれ潜水艦用!」
提督「おっと間違えた、駆逐艦はこっちか」
霞「だからあたしに詰め込むのをやめなさいったら!」
提督「だって霞が撃ちぬいてくれるんだろ? いやー安心だなー」
霞「それはもちろんやってやるわよ! でも電探の一つも残さないとか何考えてんの!?」
提督「大丈夫大丈夫、随伴には偵察機と電探マシマシで行かせるから」
霞「その分あたしに載せなさいよ!?」
提督「冗談だよ。魚雷は半分時雨に積んでもらって、霞も一つ電探持ってってくれ」
霞「分かってるなら最初からそうしなさいったら。全く」
提督「いやぁ霞はからかい甲斐があるなぁ」
霞「はぁ!? そんなことのために貴重な時間を無駄にしてたの? ほんっとクズなんだから!」
曙「これに関しては10:0でクソ提督の過失じゃない?」
叢雲「そうね。戦術についても間違ったこと言ってるわけじゃないしね」
満潮「戦艦に任せて雑魚散らしに専念する手もあるけど、まぁ霞なら本命狙えるもんね」
霞「……これ朝潮姉に言ったらあたし釈放なんじゃない?」
叢雲「でもクズ呼ばわりはしてるわけだし、せめて執行猶予ってとこじゃない?」
曙「まぁ霞についてはクズさえ除けばなんとかなりそうね」
霞「そうかもね。案外曙もクソさえ除けばいけるんじゃない?」
叢雲「それはどうかしらね……」
曙の場合
曙「ちょっと! クソ提督!!」
提督「な、なんだどうした?」
曙「また朧の絆創膏が増えてるんだけど! また無茶な作戦させたんじゃないでしょうね!」
提督「朧……? いや、ここ数日朧は出撃してないはずだけど」
曙「え……あっ」
漣『おやボーロ、また怪我が増えましたかな? あれ、昨日出撃あったっけ?』
朧『あ、これはその……チョコ刻むのに熱入り過ぎちゃって』
曙「…………なっ、何よそれ! 朧が力不足ってこと!?」
提督「なんだそれ……ローテ組んでるんだから出番無い日だってあるだろそりゃ」
曙「う、うっさい! いいからあたしたちをちゃんと出撃させなさいよ!」
提督「そりゃ言われればシフトはいくらでも調整するけど……」
曙「それでいいのよ。ふん!」
提督「……あれ? シフトの話だったっけ?」
曙「そ、そうよ! 分かったらちゃんと調整しといてよね!」
提督「お、おう?」
曙「全く、こんなことでいちいち来るこっちの身にもなってよね! ホント、冗談じゃないわ」スタスタ
霞「これは10:0で曙の過失ね」
曙「うっ……」
叢雲「完全に濡れ衣じゃない」
満潮「からの逆ギレとかもう擁護のしようがないわね」
霞「っていうか、入渠すれば治るんだから出撃で絆創膏貼るわけないじゃない」
叢雲「アンタは本当に反省しなさい」
曙「うぅ……思い出す場面が悪かっただけよ」
満潮「そう? 見てる限りは大体あんな感じだと思ったけど」
霞「これは反省のしがいがありそうね……」
叢雲「まぁ曙は後で悔い改めてもらうとして、最後は私ね」
叢雲の場合
叢雲「んっ……まだ味噌が濃いわね」
提督「まだダメかぁ、今度は量だけじゃなくて味噌も変えてみたんだけどな」
叢雲「その努力は認めるけど、結果が伴わなきゃしょうがないのよ」
提督「相変わらず叢雲は厳しいな」
叢雲「甘やかしてほしいなら雷とか夕雲あたりに頼みなさい?」
提督「あいつらはそもそも俺を厨房に入れてくれないレベルだからな」
叢雲「フンッ……愛されてるようで何よりね」
提督「なんだ、叢雲は愛してくれてないのか?」
叢雲「ブフゥーッ!? あ、あんた何、何言ってんの!? バカなの!?」
提督「おぉう……ほら、タオル」
叢雲「あ、ありがと……あんた、いつもこんなこと言ってんの?」
提督「こんなことって?」
叢雲「あ、……愛してるとか、何とか……そういう破廉恥なことよ」
提督「いや、ちょっとした冗談のつもりだったんだが、まさかここまで反応するとは……」
叢雲「……あんた、他の娘にああいうこと言っちゃダメよ? 私だから良かったものの……」
提督「そりゃ言わないけど……叢雲ならいいのか?」
叢雲「っ! なんであんたはそうなのよ! 久しぶりに酸素魚雷食らいたいの!?」
提督「えぇ……」
叢雲「なによその顔? ほんとに酸素魚雷食らわせるわよ!」
曙「何一人だけ世間話してんのよ」
満潮「えっ、っていうか何? アンタ司令官にご飯作らせてるの?」
霞「まぁ他にもご飯作ってもらってる娘はいるらしいけど、味付けに文句言ってるのは初耳よ」
叢雲「あいつの味付けはちょっと濃いのよ」
満潮「味付け以前に私たち司令官のご飯とか食べた事ないんだけど」
叢雲「ホワイトデーでもらってるでしょ?」
曙「クッキーとかね? お菓子はご飯って言わないから」
霞「……でもあのお菓子も相当だったわよね。やっぱり美味しいの? ご飯」
叢雲「そうね……逆にあの味付けなら清霜とか子供っぽい娘にはウケるかもね」
満潮「っていうか味付け以外は文句ないの?」
叢雲「そうね。腕は悪くないわ」
曙「……って! クソ提督の料理スキルは今はいいから!」
霞「そうだったわね。えぇと、叢雲もあんまり問題なさそうじゃない?」
満潮「叢雲は10:0じゃないわね」
叢雲「その過失表現気に入ったの……?」
霞「酸素魚雷持ち出さなければクズ司令官に弄ばれてるだけだものね」
曙「弄ばれて、って……///」
叢雲「あーはいはい。ムッツリは置いといて、次行くわよ」
今日はここまで
明日も多分夜9時くらいに
叢雲「さて、勝手にキレる曙以外は普段通りでも良さそうってことでいいかしら?」
曙「……改めて言われると何も言えないわ」
霞「そうね。ノルマはまぁ各々なんとかねじ込むとして……」
満潮「やっぱり話し始めよね」
叢雲「そうね。とくにアンタたちは今日非番だから仕事の話するわけにもいかないから」
霞「言われてみると、仕事以外って何の話してたかしら……」
曙「仕事とセクハラ除いたら会話が思い出せないって相当よね」
満潮「他は本当に雑談だから覚えてないのよね……」
叢雲「私も個人的に雑談って言われるとねぇ……」
「「「「う~ん」」」」
清霜「あれ? 霞ちゃん、こんなとこで集まって何してるの?」
霞「あら、清霜。……まぁ、ちょっとね。座学は終わったの?」
清霜「あ、うん。……そこの会議室、空いてるよ? 廊下にいることなくない?」
叢雲「……本当ね」
満潮「だいぶ冷静じゃなかったわね、私たち」
曙「清霜に指摘されるっていうのがもうどうしようもないわね」
霞「……入りましょう。清霜も来る?」
清霜「ううん、私は司令官にこれ返しに行かないと」
霞「なにそれ……帽子?」
満潮 曙 叢雲「!」ピコーン
清霜「そ! 教室に入ってきた毒グモ捕まえるのに借りてたの。メアカモッサなんとかっていったっけ」
霞「毒グモ!? 清霜大丈夫だったの?」
清霜「へーきへーき。皆無事だよ」
霞「そうみたいね、良かった」
満潮「……ねぇ」
曙「……奇遇ね」
叢雲「多分同じこと考えてるわ」
清霜「?」
霞「?」
叢雲「清霜、良かったらソレ、私たちが返しておいてあげるわ」
清霜「えっ? 大丈夫だよ。返すだけだし」
満潮「気にしないで。どっち道これから執務室に行く予定だったから」
清霜「でも、借りたのは清霜だし……」
曙「いいから! 返しといてあげるって言ってるでしょ!」
清霜「えぇっ??」
霞「ちょっとアンタたち、何言い出してんの?」
叢雲「ちょっと考えてみなさい……『帽子を返しに来た』って言えば、話題なくても話しできるでしょ」
霞「あぁ……そういう」
清霜「な、なんかよくわからないけど……じゃあ、お願いするね?」
満潮「ありがと。ちゃんと責任持って司令官に届けるわ」
霞「で? 預かったはいいけど誰が持っていくの?」
叢雲「そうねぇ……曙は論外として、満潮も後に回したいし……」
曙「もう叢雲か霞でいいんじゃない?」
霞「あんな必死で清霜から横取りした割に投げやりね?」
満潮「帽子は一つしかないんだし、物を持ってくって糸口が見つかっただけ良かったと思わないともうやってられないのよ」
叢雲「ま、そうね。逃げられないなら前向きにいきましょ」
霞「じゃあ私と叢雲、どっちにする?」
曙「ジャンケンでいいんじゃない?」
満潮「対応雑ね……」
叢雲「まぁいいでしょ。やるわよ」
「「じゃーんけーん……ぽん!」」
……
霞「入るわよ」
提督「霞か、空いてるぞ」
霞「これ、清霜から預かって来たわよ」
提督「あぁ、そこに掛けといてくれ」
霞「ん、ってまた外套脱ぎ散らかしてるじゃない、もう……」
提督「……どうした? なんか元気ないな」
霞「……そうかもね」
提督「……?」
霞「気にしないで。ちょっと思うところがあっただけよ」
提督「はぁ……。何があったか知らないが、気に病むくらいなら相談してくれよ。俺じゃなくてもいいから」
霞「そう……じゃあ、聞いてくれる?」
提督「えっ、俺でいいの?」
霞「今日だけは、司令官がいいの」
提督(なんか調子狂うな……クズって言わないし、本格的に参ってるみたいだ)
霞「私って、どれだけ司令官のこと傷つけてる?」
提督「……は?」
霞「いつも皆に注意されてるから、分かったつもりではいたの。
でも、司令官はいつも笑って許すから、それに甘えて見ないフリしてた……」
提督「おい、何の話だ?」
霞「さっきの騒ぎ、覚えてるでしょ?」
提督「あ、あぁ……お前と、叢雲と曙、満潮もいたな」
霞「私たちね、怒られたの。それぞれの姉妹に。司令官への態度が悪いって」
提督「あー……」
霞「正直、ショックだった。司令官が笑って許してくれるから、悪い事なんてしてない気でいたのね。
そんなわけないのにね」
提督「実際気にしてないんだが」
霞「でも一番ショックだったのはね、そう言われて、気付いて……司令官から逃げ出した自分に、だった
悪い事したら謝る、そんな当たり前なことから逃げたのよ、私は。
バッカみたいよね? いつも『目を見て話しなさい』なんて言ってるのに、その本人は顔も合わせられないなんて。
ホント、どの面下げて人を馬鹿とかクズとか言ってたのか……」
提督「んー……後悔、してるのか?」
霞「うん……」
提督「おかしいことをしたと?」
霞「思う……」
提督「そっか……」
霞「…………」
提督「よし! 歯を食いしばれ」
霞「……えっ?」
パァン!
霞「…………」ジンジン
提督「生憎注入棒は手持ちがなくてな。平手で我慢してくれ」
霞「初めて、手を上げられたわね……」
提督「そりゃ女子供を苛めて喜ぶ趣味はないからな……
それより、お前が初めて出撃した時のこと、覚えてるか?」
霞「初めて……?」
提督「まだろくに重巡もいなかった頃だ。ほとんど駆逐艦だけで少し遠くの海域に出撃させた」
霞「…………」
提督「当然勝てるわけもなく、艦隊はボロボロで帰還したな」
霞「えぇ……そうだったわね」
提督「その時お前は初めて言ったんだ……『このクズ!』って」
霞「そう……そうよ。艦娘になってまで、また勝手な指揮者のせいで沈むのか、って。
あの頃は本気でそう思ってたし、司令官がそうだと思ってた」
提督「上司や司令官を信用できないのはお前に限った話じゃない」
霞「今は皆、司令官を信じてる。……本当は私だって。
でも、散々なじっておいて、今更態度なんて変えられないじゃない……」
提督「なら、変えなくていい」
霞「……え?」
提督「話の途中だったな。お前にクズだと言われてから、俺にはトラウマが出来た」
霞「トラウマ……? そんなのあるなんて初耳よ」
提督「初めて言うからな。ぶっちゃけ、お前に怒られたのが相当効いたんだよ。
それから、俺はお前に怒られないように安全な艦隊運用を心掛けるようになったんだ。
つまり、一度も轟沈者を出してないのは、ある意味お前のおかげってことだ」
霞「は……はぁ?」
提督「本気で怒られたのはあれ一回だけど、お前にクズって言われる度に俺の中ではあの日がフラッシュバックするんだよ」
霞「何よそれ……本当に、何よそれ……」
提督「だから、無理して変わることはない。まぁ変わること自体を止めはしないけど、強制はしない。
霞は霞のままで、俺たちの大事な仲間だ。馬鹿とかクズとか言われたくらいで、俺がどうこうすると思ったか?」
霞「……手は叩いたわね」
提督「あっ、バレた?」
霞「ビンタのフリして耳元で猫騙しなんて、清霜だって引っ掛からないわよ」
提督「でも耳には結構キタだろ?」
霞「もうっ……ほら、手出しなさい……こんなに真っ赤にして」ギュッ
提督「あぁでもしないとお前、話聞いてくれなかったろ。姉に似て生真面目だもんな」
霞「そうね……真面目だから、ケジメはつけておくわ」
提督「ケジメ?」
霞「んっ……、司令官、今までごめんなさい」
今夜はここまで
(思いつきで進んでいくので痛い目見るかは書いてる本人にもわから)ないです
……
霞「ま、そんな感じで一抜けさせてもらったわ」
曙「信じらんない……あの霞がクソ提督に頭下げるなんて」
満潮「う、ウソ言ったってすぐわかるのよ?」
叢雲「なら司令官に確かめてくればいいじゃない」
曙 満潮「「それは……その……」」
霞「やれやれ、せっかく最初の一人になってあげたのに、だらしないったら」
叢雲「仕方ないわね。それで? やってみて何か掴めたかしら?」
霞「そうね……単純に一つ、気付いたんだけど」
曙「何っ!?」
満潮「何にっ!?」
霞「……仕事の話しなければ、罵倒しなくて済むんじゃない?」
叢雲「そういえばアンタはそうかもね」
霞「? どういうこと?」
叢雲「そのうち分かるわ。じゃ、次は満潮ね」
満潮「はぁっ!? な、なななんで私!?」
叢雲「末っ子の霞が行ったんだから、次はその姉のアンタでしょ」
曙「えっ、これってまさか若い順!?」
叢雲「そ。その次はアンタだから、今のうちに覚悟決めておきなさい」
満潮「ちょっちょっと待ってよ!? 私持ってくもの何もないわよ!」
霞「そんなことだと思って、司令官から勲章借りてきたわ」
満潮「何のために!?」
霞「まぁ清霜が見たがってるとかなんとか……適当にね。終わったからって返しに行けばいいわ」
叢雲「流石、用意周到ね」
曙「謝罪した舌の根も乾かない内から騙してきたの……?」
……
満潮「み、満潮よ」コンコン
提督「開いてるぞ」
満潮「とっ、届け物よ、司令官」ガチャ
提督「ああ、もういいのか」
満潮「そ、そうみたいね」
提督「……」
満潮「……」
提督「ところで満潮には話があったんだ」
満潮「なっ何!?」
提督「単刀直入に言うと、苦情が来てる。お前のな」
満潮「……はぁ!? 私が何したっていうのよ!」
提督「何したっていうか……まあ平たく言うと
『満潮が全然打ち解けられなくて怖い』って話だ」
満潮「何それ!? 意味わかんない!」
提督「……満潮、お前夕雲型の何人と挨拶した?」
満潮「は? ……夕雲型?」
提督「神風型に至っては一度も顔合わせてないんじゃないか?」
満潮「……それが、どうかしたの? 顔を合わせないなんて編成の都合じゃない」
提督「じゃあ、なんで俺が新入りとお前を一緒にしないと思う?」
満潮「そんなの……練度の差でしょ。足を引っ張るって分かってて組ませるはずないもの」
提督「正解はな、面倒見てる軽巡とかから『満潮と一緒にしないでくれ』って言われてるんだよ」
満潮「なによ……それ……」
提督「いじめだと思ったか? 悪いが妥当な判断だと俺も思う。お前は口も悪いが、それ以前に他人を拒絶しすぎる」
満潮「拒絶って何よ? 何を証拠にそんなこと……」
提督「新人歓迎会。知らないわけはないよな? 姉の朝潮が率先して準備してる一人なんだから。
毎回すっぽかしてるらしいじゃないか」
満潮「いいでしょ、別に。私一人いなくたって」
提督「……まだ、離ればなれになるのが怖いのか?」
満潮「……っ!」
提督「隊の編入と解隊を繰り返して、結局生き残ったの仲間は時雨だけ……だったか」
満潮「……そうよ。八駆も四駆も全滅。時雨だって、結局私より後に沈んでた……
とんだ死神よね? こんなのに仲良くされたらたまったもんじゃないでしょ。だからよ。だから……」
提督「もういいんじゃないか」
満潮「……な、何がよ」
提督「悲惨な末路を辿ったのは、何もお前だけじゃない。でも、それぞれ前を向いて生きてる。
大和を見てみろ。ホテルだ旅館だと言われながら今日も元気にラムネ配ってるぞ」
満潮「……私も、一緒にラムネ配り歩けっていうの?」
提督「せめて後輩に気ぐらい配ってやってもいいんじゃないか」
満潮「無理よ……私は、自分で精一杯なの……」
満潮「仲間になっても、すぐに皆いなくなる……そんな悲しい思いをするなら、もう仲間なんて……
そう思ってた。だから、仲間にならないように、仲良くならないように、そう、心がけてた」
提督「だが、お前の仲間は二度と沈まなかった」
満潮「そうよ……でもだからこそ、私はますます怖くなった。
大丈夫だと安心したところで誰か沈んだら……安心した分、落差は広がるわ」
提督「そうか……悪かったな」
満潮「だから私は…………ぇ?」
提督「誰も沈まない所を見せつけることが、お前の恐怖を取り除く方法だと思ってたんだが……
かえってそれがお前を苦しめてたんだな」
満潮「なに……言ってるのよ? 司令官は何も悪い事してないじゃない!」
提督「良かれと思って勝手にやって、結果だけお前に押し付けた。立派な自己満だ。ごめんな」
満潮「やめてよ! 司令官は何も悪くない! 悪いのは全部私なのに!!
朝潮みたいに真面目になれない、時雨みたいに優しくなれない、扶桑みたいに認められない!
全部私が弱いからっ!」
提督「でもそれが、満潮だろ」
満潮「っ!?」
提督「朝潮みたいじゃなくていい。時雨も扶桑もそう言うさ。
大事なのは『誰かみたいな』強さじゃなくて、満潮だけの強さじゃないのか?」
満潮「なんでよ……勝手に喚き散らすような子供相手に……なんでそこまで優しくするのよ」
提督「そんなの、仲間だからに決まってるだろ」
満潮「……ぃや……いや、嫌! 仲間はいなくなるの! いつか! ぜったい! だから……」
提督「満潮っ!」ダキッ
満潮「たいせつ……だからぁ……いなくなるの、いやなのぉ」グスッ
提督「大丈夫、誰も、いなくならない。約束する。俺が、させない」
満潮「み、みっともないトコ見せたわね……」
提督「もう大丈夫か?」
満潮「えぇ。怖くないって言うと嘘だけど、司令官が約束してくれたから……」
提督「内容自体はもう3年実行済みだ。信頼してくれていいぞ」
満潮「司令官が約束を守ってくれるなら……私も、前に進める。
いつまでもトラウマに怯えて仲間を怖がるなんて、考えてみればバカな話だものね」
提督「随分吹っ切れたな、今からでも神風たち呼ぶか?」
満潮「それは自分でやるわ。それから……司令官の言ってくれた、私だけの強さを探してみる。
きっとそれが分かって初めて対等な仲間になれると思うから」
提督「なんだ、自分で分からないのか」
満潮「言わないでよ? 探すんだから。……まず自分が『強い』と思うことをしてみるわね」
提督「お、おう」
満潮「司令官、今までごめんなさい。それと……ありがと」
今日はここまで
明日は曙の番……ですな? 議長
……
満潮「や、やってきたわ……///」
曙「……なんか元気ないわね? まさかクソ提督に何かされた!?」
叢雲「アンタは隙あらばそれね。むしろされたいの? そういうこと」
霞「そういえばこれ見よがしに水着になったりしてたわね……そうなの?」
曙「そっ、そんなわけないでしょ! あれは七駆で揃えただけで……」
満潮「そういえば大掃除してた時の着物、ノーパンだったって聞いたんだけど」
曙「それは……っ! ……本当、だけど」
叢雲「やっぱり……」
霞「曙……アンタ……」
満潮「あ、曙に司令官から預かりものよ」ニッコリ
曙「その『大丈夫よ私は理解があるから』みたいな笑顔やめて!
……で、なにこれ」
霞「蟹?」
満潮「迷子になってたから、朧に届けてやってくれって」
曙「し、しょうがないわね! ちょっと行ってくるわ!」ピュー
霞「逃げたわね」
叢雲「……朧の蟹ってあんな美味しそうだった?」
満潮「あのサイズに食指が動く自分に疑問を持ちなさいよ」
……
コンコン
曙「曙、入るわよ」
提督「はいはい、どうぞ」
ガチャ
曙「コレ、朧のじゃないわよ」ポイ
提督「おっと、そうだったのか」
曙「朧の蟹はもっと丸くて赤いのよ。部下のペットくらいちゃんと覚えときなさいクソ提督!」
提督「それは悪かったな」
曙「全くよ。クソ提督が自分の蟹も覚えて無かった、なんて知ったら朧悲しむわよ」
提督「それはマズいな。黙っててくれないか」
曙「ふふん、どうしようかしら?」
提督「代わりにお前のクソ呼ばわりも水に流してやるから」
曙「え……あっ!」
提督「なんかよく分からんがお前らそういう話でモメてたんだろ?
怒ってる奴らには俺から言っておくから、お前も気にしなくていいぞ」
曙「何それ……あたしに情けをかけようっていうの?」
提督「情けって人聞きの悪い……でもお前、謝れって言われて頭下げるような柄でもないだろ」
曙「言われて……って、あたしが悪いとか思ってない前提じゃない」
提督「俺は思ってないぞ?」
曙「あたしもほんとは……って、え、えぇー!?」
曙「さんざ罵倒されておいて悪くないって、なんなの!? ドMなの!?」
提督「いやだってなぁ。もうお前の『クソ提督』はそういう固有名詞だと思ってるから」
曙「あたしだって提督くらい言えるわよ!」
提督「ほーう? んじゃ言うてみ」
曙「え、あ、……て、……ていと、く」
提督「ん? 何だって?」
曙「う……うっさい! このク……提督」
提督「別に無理してクソ取んなくていいんだぞ」
曙「だから! 悪いとは思ってるんだってば!」
提督「お、おう……分かってるならなんでクソ呼びを続けてたんだよ」
曙「なんでって…………あたしのことイヤらしい目で見るし、
潮にはデレデレするし、漣にはベタベタするし、朧には甘いし……なんかムカついたからよ!」
提督「えぇ……(全然覚えがない……漣についてはされてる側だろ俺)」
曙「最悪あたしのこと見るのは構わないけど、他の娘にまで迷惑かけるのが我慢ならないの! ……多分」
提督「えーっと……つまり、俺が他の艦娘と話してると腹が立ってクソ呼ばわりしちゃう、と?」
曙「ん……まぁそうなるわね」
提督(これってアレじゃね? でも当たりでも外れでも逆ギレするよなぁ……どうするかなぁ)
曙「そう考えると、あたしも悪いけど提督も悪いのね」
提督「そうですね……」
曙「何よその返事?」
提督「いや、女の子の扱いって難しいなって……」
曙「はぁ、そういう意味わかんないとこ、最初に会った時から変わんないわね」
提督「初めてかぁ……確か、曙が七駆最後のだったんだよな」
曙「そうだったわね。潮なんて飛び跳ねて喜んじゃって……
その潮に抱き着かれてニヤケ面さらしてるのが提督だって知った時は、ほんとに頭抱えたわ」
提督「(あっぶね外れだった言わなくて良かったー)俺も初対面でクソ呼ばわりされた時は頭抱えたぞ」
曙「人の姉妹イヤらしい目で見てたんだから、当然の反応よ」
提督「お前以外に適用された試しのない当然だけどな……」
曙「そのくせ艦娘のこと大事にするし、イヤらしい顔してないときはすごい優しいし
小破でもすごい心配してくるし、疲れてると絶対出撃させないし
何かあるとアイス奢ってくるし、出撃の時は最新装備くれるし……何なの?」
提督「えっダメなの!?」
曙「ダメじゃないけど! クソっぽい印象持たせてからいい人アピールしないでよね!」
提督「いや別にアピールしたわけじゃ……っていうか、よく覚えてるな?」
曙「それはもう、いつも見てるからよ」
提督「早霜みたいなこと言ってんな」
曙「そんな好意的なモノじゃないけどね」
曙(好意……あれ? いつも提督を見てて他の娘といると嫌って……かなり好意的なんじゃない!?)
提督「? どうした」
曙「なっななな、何でもないわよ!」
提督「いやでもすっげ顔赤いぞ」
曙「なんでもないから! とにかく、口が悪かったのは謝るから!」
曙「ごめんなさい、て、提督……少し一人にして……///」
今日はここまで
明日は叢雲でやっとひと段落するけどいいよね?
答えは聞いてない!
……
曙「…………」
満潮「どうしたのよなんか言いなさいよ」
曙「ノーコメント」
霞「まぁ私たちも事細かに報告なんかしてないけど……」
叢雲「もともとあの曙から素直に話が聞けるとは思ってなかったし、いいんじゃない?」
満潮「それもそうね」
曙「そうして……」
霞「顔色おかしいわよ? 横になる?」
曙「大丈夫……叢雲? 提督が電球持ってきてくれって言ってたわ」
叢雲「はぁ……全く、分かったわ。それじゃ、最後だしささっと行ってくるわね」
……
叢雲「入るわよ」
提督「お、電球持ってきてくれたか?」
叢雲「ないわよ。そもそもこの部屋電球使ってないでしょ」
提督「バレたか」
叢雲「わざわざ届けさせる用事なんてでっちあげて親切なことね」
提督「ま、放っておいたらいつまでかかるか分からなかったしな」
叢雲「変な気遣いばっかり覚えちゃって。そんな風に育てた覚えはないわよ?」
提督「お前に育てられた覚えは……無いとは言えないな」
叢雲「そうよね。もぐりだったアンタをここまで鍛えてやった優しい初期艦様だもの」
提督「ほんとそういうこと言わなけりゃいい女なのにな」
叢雲「い、いい女って……アンタもそういうこと言わなきゃねぇ……」
提督「で? その優しい初期艦様も姉妹に怒られたのか?」
叢雲「そうね。吹雪が珍しくお冠だったわ。あの子司令官大好きだから」
提督「他の奴らの時も思ったけど、吹雪たちは今更お前らの何が気に障ったんだろうな?」
叢雲「ま、色々思うところはあったんでしょうね。朝潮なんて妹二人だし」
提督「そう言えばストレスヤバそうだよな……本人は真面目なだけに」
叢雲「でも、直接の原因はアンタよ。酔って鳳翔さんのとこで愚痴ったそうじゃない。
それを聞いた子たちがとうとう爆発した、って感じかしら」
提督「全然覚えてないんだが……鳳翔……店……うっ頭が」
叢雲「大丈夫? 水飲む?」
提督「い、いや……平気だ」
叢雲「でもそうね……アンタに当たりの強いのが何人かいるのは分かってたけど、
傍から見ると自分もそこに含まれてたのは、私も驚いたわ」
提督「そうだよな。他の三人と違ってお前から直接悪口言われた覚えは俺もない」
叢雲「ま、吹雪たちと比べれば口が良いとは言えないのも確かだし、文句は言えないわ」
提督「ふーん……ま、本人が納得してるなら俺から言うことは無いな」
叢雲「これだけ大勢に慕われて、司令官冥利に尽きるわね?」
提督「優しい秘書艦様のおかげだな」
叢雲「そういうこと。……正直、ここまでになるとは思ってなかったけどね」
提督「なんだ、初日からさんざ人のケツ叩いておいて、見くびってたのか?」
叢雲「見くびったっていうより、期待してなかったのほうが正解ね。
私たちが生き残るには、優秀な司令官が必要だった。
でもいざ着任してみれば右も左も分からないのが司令官だって言うじゃない」
提督「裏を返せば教育のし甲斐がある、ってか」
叢雲「そういうこと。何も知らないなら私が使い物になる程度に教育してやればいい。
そう思ってたんだけどね……」
提督「お蔭で業務も滞りなく片付くし、戦果も上々、損害はまぁ無くは無いが人的被害はゼロ。
俺もシバかれた甲斐があったってもんだな」
叢雲「まさかそこまでいくとは思ってなかったのよ。仲間は百を超えるし、そのほとんどに真っ当に慕われるんだもの。
……そうなると、もう私って必要ないのかしら、って最近思うのよ」
提督「……珍しく弱気だな?」
叢雲「そうね。アンタと二人きりなんてほんとに久しぶりだから、ちょっとおかしいのかもね。
……アンタはどう思う?」
提督「そんなことはない。お前は必要だ」
叢雲「ふふ、そう言うのは分かってたのに。言って欲しかっただけ……甘えてるわね、私」
提督「いいんじゃないか? 甘えても」
叢雲「何言ってるのよ、教育って名目でさんざアンタをしごき倒したのよ? 私は」
提督「それはもう仕上がったわけだろ? 今度は叢雲がされる側になったっていいはずじゃないか」
叢雲「その理屈だと、アンタが私をしごき倒すことになるわよ?」
提督「それも悪くないかもな……冗談だ槍を仕舞え。
お前は自分で必要だと思ったからやった。だから俺もお前に必要だと思うことをするだけだ」
叢雲「……ほんと、そんな風に育てた覚えないわよ。
そういう言い方されたら、止められないじゃない」
提督「なんでかウチには素直じゃないのが多くてな。搦め手も覚えないとやってけなかったんだ」
叢雲「全く……それで? 司令官は私に何が必要だと思うの?」
提督「そうだな……とりあえず、夕日でも眺めてみるか」
叢雲「何それ……全然ダメね」
提督「えー」
叢雲「ほら、こっち来て……そ、その辺。で……っ」
ポスン
叢雲「こんな風に、肩を貸すとこまでできて及第点よ。覚えておきなさい」
提督「……まだまだ初期艦様には教わることいっぱいだな」
叢雲「でも、今までとは違うんでしょ?」
提督「あぁ、善処する」
叢雲「なら、私も善処してあげるわ。だから、今日までのことはここで清算ね」
叢雲「司令官、今までごめんなさい、これからよろしくね」
…………
鳳翔「いらっしゃい……あら、珍しい組み合わせですね」
提督「なんか色々あって……テーブル席、空いてるかな」
満潮「……こんばんわ」
霞「心配かけてごめんなさい」
叢雲「ま、結果は見ての通りよ」
鳳翔「席なら空いてますけど……曙ちゃんがいませんね?」
霞「それは、そっとしといてあげて」
満潮「しばらく引き籠りたいんですって」
……
鳳翔「はい、枝豆とサラダです」
叢雲「ありがとう」
提督「しかし駆逐艦と鳳翔の店に来る日が来るとはなぁ……隼鷹たちに見つかったら何言われるか」
満潮「何よ、呑兵衛とは昨日も飲んでたんでしょ? いいじゃない駆逐艦だって。お酒は飲まないけど」
提督「? いや、あいつらとはしばらく飲んでないぞ。……酷い目に遭うからな」
鳳翔「えっ? だって昨日あんなに酔っぱらって……」
提督「あぁ、言ってなかったっけ? 学生時代の友達と飲みに行ってたんだよ」ピロン
霞「司令官、スマホ鳴ってる」
提督「ん、……お、丁度いいや、ほらコイツら」
<今起きた……あったま痛てぇ
<良いご身分だなこのヤロー
<だからウォッカは一気するもんじゃないとあれほど……
霞「随分酷い飲み方してたのね」
提督「おかげで早々にお開きになって寝る時間が取れたよ」
起きたら今日仕事だっつってんのに付き合わされた俺に何か言うことあるよな>
<あ、クソ提督だ
<人間のクズがこの野郎
<おー、女の敵の提督君じゃないか
お前ら空爆させんぞ>
満潮「……随分な言われようね」
叢雲「アンタ、友達相手に何したのよ?」
提督「何もかにも……俺が提督になって、周りは艦娘だらけだって知ったらこの扱いだ。
ったく、こっちはお前らのために命張ってるってのに、着任からこっちずーっとこうだよ」
鳳翔「……(汗」
提督「やっかむのはわかるけどさ、こっちだってそれなりに苦労してるんだし、三年も四年も同じネタ引っ張るこたぁないよな?」
霞「鳳翔さん……昨日聞いた話ってもしかして……」
満潮「ジー」
叢雲「ジー」
鳳翔「あ、あはは……ここのお代は結構ですので……」ススス
青葉「しかし漣ちゃんも悪ですねぇ。曙ちゃんの謝るところを隠し撮りしようだなんて」
漣「ぼのタンのツンデレ(笑)っぷりにはそろそろお灸が必要だとおもっとったところなんですよ」
青葉「『ちゃんと謝ったか確認するだけ』って言えば吹雪ちゃんたちは隠しカメラ壊さないし
撮った映像はこうして保存しておけますけど……これ、何に使います?」
漣「もちろん、七駆の部屋にプリントアウトして飾ります!」
青葉「曙ちゃん、部屋ふっとばしたりしません?」
曙「やっぱりアンタだったのね、漣」
漣「ゲェーッ! ぼのタン!」
曙「執務室は密室なのに吹雪も朝潮も確認に来ないし、何より、
真っ先に首を突っ込んできそうなアンタが見当たらないからおかしいと思ったら……」
漣「あー、そのだねぼのタン、これにはふかーいワケが……
あっ待って待って改修MAXのB型砲向けないで今丸腰だから当たるとすっごい痛……アーッ!」
くぅ疲
依頼出してきます
このSSまとめへのコメント
すばらしい。