ママさんチーム達が喫茶店でお茶をするだけのお話です
他校に乗りこんだり、あんこう踊りをしたりはしません 今回は
よろしくお願いしマウス
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― 大洗 喫茶店
しほ「沙織さん、こちらです」
好子「待ってましたよ!」
沙織「あの…みんな…私、まだ学校があるんだけど…」
百合「まぁまぁ、せっかく、皆で大洗に集まることがあったものでして」
久子「だったら、お茶でもしようって流れになってな」
沙織「んもー、一杯だけだからね!!」
……
……
喫茶店員「ケーキセットお待たせしましたー」
沙織「あっ、こっちでーす! そういえば、この前みぽりん達とね…」モグモグ
沙織「『みんなの名前の由来って、どんな感じなのかな?』って話になってね…」
しほ「!!」ブーーーッ!!
好子「うわ!ばっちぃ!!」
しほ「…げほ…ご、ごめんなさい…」
沙織「大丈夫?しぽりん」
しほ「え、ええ…」ガタガタ
好子「……」
百合「……」
久子「……」
沙織「で、話を戻すんだけど、まず華は…」
………
…
― 大洗女学園 戦車倉庫
華「私の名前?」
沙織「華道の家の娘だから華って…いやだとか思ったりしたことある?」
華「とんでもありません!!私はこの一文字に自分の総てが詰まっていると思っています」
華「華の字の中心線はまっすぐな生き方、左右対称の字体は決してぶれない心を表わし…」
華「これは、華道だけでなく戦車道にも必要な事です…ですから、この名をつけて頂いたお母様達には感謝の気持ちしかありません」
優花里「ご自分の名前に、これだけ誇りを持っていらっしゃるとは…」
みほ「華さん、素敵です」
麻子「親御さんが聞いたら、喜ぶだろうな」
…
………
百合「華さん…そこまで」ウルウル
沙織「百合は華道の跡継ぎの期待を込めて『華』って名前を付けたの?」
百合「ええ、産まれた季節の花の名とも考えたのですが…母親としては、これ以上嬉しいことはありません」
沙織「五十鈴流は安泰だね!」
久子「この場合で、戦車道の娘だと、戦(せん)とかになるな」
百合「あえて、戦(いくさ)とかというのもありかと」
好子「大穴で車(くるま)ってもあるわね」
しほ「……」
沙織「ゆかりんはね…」
優花里「私は…よく知らないんですよね」
沙織「まぁ、たしかに皆が皆、自分の名前の意味知っているわけではないよね」
優花里「『優花里』という名前は大好きなんですけど…その…名前に対して自分が負けているような気が…」
沙織「そんなことないよ!!」
みほ「そうだよ、優花里さん」
華「私達の中で一番の優しさをお持ちなんですから」
麻子「帰ったら、聞いてみるといいぞ」
優花里「そうですね!皆さん、ありがとうございます!!」
…
………
好子「優花里って名前はね、私の名前が『好子(よしこ)』だから、や行の名前にしたかったの」
沙織「みぽりんとこは、ま行だね」
しほ「(ドキッ!)……!!そ、そうね!!」ビクビク
沙織「しぽりん?どうしたの?」
しほ「い、いえ…別に…」ダラダラ
好子「私は『優花(ゆうか)』って名前を考えていたのよ」
百合「では、『優花里(ゆかり)』さんの『里(り)』は…なるほど!!」
沙織「え!?わかったの?」
久子「…そうか、理容室の(り)か」
好子「正解!、旦那の提案でね、文字は里にしたけどね」
沙織「うーん、名前、一つにも夫婦の想いってのもあるんだねー」
しほ「……」ダラダラ
………
…
麻子「私の名前の由来は…はっきりとは分からない」
みほ「麻子さん…」
麻子「皆、そんな暗い顔をするな」
麻子「知っているだろうが、私の両親はいない」
優花里「冷泉殿…」
麻子「私と両親をつなぐ、この『麻子』という名前が、どういう想いで名付けられたのかを調べる為に、たくさんの本を読んだ」
麻子「それでわかったんだ…『麻』というのは健やかで丈夫で欲しいという意味で付けられる文字だったと」
華「麻子さん…」
麻子「真実を確かめることはできないが、少なくともこの名前に相応しいように、強く生きるぞ」
沙織「麻子!!」
ギュッ…
麻子「おい、沙織苦しいぞ」
沙織「いいの!!こうしたいの!!」ギュッ
優花里「私も、武部殿と同じ気持ちです!!」ギュッ
華「その通りですわ!!」ギュッ
みほ「麻子さん!!」ギュッ
麻子「ぐ、ぐるじい…」
…
………
好子「ぐすっ…切ないですね」ウルウル
百合「ええ…本当ですわ」ウルウル
沙織「本で意味を知った時の麻子、一晩中泣いてたって」
好子「ちょっと!!本気で泣かせに来ないでくださいよ!!」ブワッ
百合「…うええええ!!」ボロボロ
久子「まったく…しょうがない孫だねぇ…」
沙織「ほら、おばあ、ハンカチ」
久子「…すまん」ビーーン!!
沙織「それは…やめてよ…」
沙織「みんな、色んな想いがあるのに…私なんか、アイドルから取ったっとかっていうらしいんだよ!!」
しほ「…!!」ドキーン!!
ガシャンッ!!
沙織「ちょ、ちょっと!しぽりん、大丈夫?さっきから変だよ!?」
しほ「い、いえ、沙織さん…だ、大丈夫です!!」
沙織「そ、そう?ならいいんだけど…」
沙織「あ!そうだ、しぽりんに聞きたかったんだ、みぽりんの名前の由来…」
しほ「!!」ビクッ
プルルル…
沙織「いけない!!つい話し込んでて、学校の方、忘れてたよ!!」
好子「それは急いで、戻ったほうがいいですね」チラ
百合「でしたら、続きはまた今度のお茶の時に」チラ
久子「ウム、皆によろしく伝えておいてくれ」チラ
しほ「…さ、沙織さん、また…」ダラダラ
沙織「うん、学校に戻るね、あ、お茶ご馳走様でした!!また今度ね!!」
……
好子「…さてと、西住どの…ではなくで西住さん」
百合「私達でよければ聞きますよ」
好子「まほさんとみほさんの名前の事ですよね?」
久子「相手が沙織だから、いいものの動揺まるだしだぞ」
しほ「み、みなさん…実は…」
………
…
― 現在から 25年位前
内村『マモー!!』
ちはる『ミモー!!』
しほ「しほー!!」
しほ「やっぱり、ウッチャンは熊本が生んだ最高のコメディアンね!」
しほ「もし、私があの二人に加わったら…『シモー』…う~ん、今一つね…」
しほ「しもー…まも…みも…しほ…うん!?」
しほ「『まほー』と『みほー』!!これは結構いい響きね!!」
………
…
― 現在から 18年前
???「おぎゃあ!おぎゃあ!!」
常夫「しほ、お疲れ様」
しほ「常夫さん…」
常夫「ほら、君に良く似た綺麗な女の子だよ」
しほ「ふふっ…私も母親ね」
常夫「ああ、さっそく名前を決めなくちゃね」
しほ「名前…」
テレビ『…今週の金曜ロードショーは『ルパン三世 ルパンVS複製人間』…』
テレビ『…ルパンが天才科学者マモーに挑む!!』
しほ「……」
しほ「…ま…まほー…」
常夫「『まほ』!! 素晴らしい名前じゃないか!!」
しほ「え?…あ、あの常夫さん…」
まほ「!? おんぎゃぁあ!!? おんぎゃぁあ!!?」
常夫「ハハハ!!ほら、この子も大声で賛成しているぞ!!今日からお前は『まほ』だ!!」
しほ「……」
…
………
しほ「…と言う訳でして…」
百合「……」
久子「……」
好子「うっわぁぁ…最低だぜ…」
しほ「ルパンがルパンが悪いのよ…」
百合「え、えーと…、この事は娘さんには?」
しほ「言えるわけないです」
百合「ですよねー」
久子「まさか、お茶をしていて墓まで持っていかなければならない秘密を聞かされるとは…」
久子「なんだか、心臓が…死にたくなってきたぞ…」
好子「久子さん!しっかり!!」
百合「これが原因で久子にもしもの事があったときには…」
好子「孫の麻子さんは…しほさんを…いえ、原因となった名前のみほさんを恨むことに…」
しほ「ちよ!やめてよ!!」
久子「冗談だ」
しほ「驚かせないでください」
百合「ですが、名前の方は冗談では済まないですよね」
しほ「うう…」
好子「どうしたものでしょうねぇ」
久子「どうも、こうもないだろ」
久子「お笑い番組のキャラクターから名付けられた娘なんていない」
しほ「ひ、久子さん…」
久子「まほにみほ、名前自体は別に普通の素敵な名前だ」
好子「なるほど」
久子「ちゃんとした理由があれば、それでいいだろ?」
しほ「つまり、名前を付けた理由をでっち上げればいいってことね!!」
百合「身もふたもない言い方ですけど、まぁそういうことですわ」
…
………
― 西住家
しほ「まほ」
まほ「お母様、戦車道の報告で何か不備でもありましたか?」
しほ「いえ、たまには、まほとお話しをしたくなりまして」
まほ「は、はぁ」
しほ「まほ、貴女は自分の名前の由来を知っていますか?」
まほ「いえ、聞いた事はありません」
しほ「そうですね、一度伝えておこうと思いまして…」
まほ「そ、そうですか (唐突だなぁ)」
しほ「私は戦車道の『星(ほし)』になるという想いを込めて『しほ』と名付けられました(大嘘)」
まほ「はい」
しほ「まほには戦車道の『誉れ(ほまれ)』になって欲しいという想いで『まほ』と名付けたのです」ドヤッ
まほ「そうだったのですか (それだと『れまほ』に…まぁいいか)」
しほ(我ながら、素晴らしい理由ね!!これでまほも私を見直してくれるはず!!)
まほ「あの、お母様ひとつ、伺ってもよろしいでしょうか?」
しほ「なんでしょう」
まほ「みほの名前の由来はなんでしょうか?」
しほ「えっ」
まほ「いえ、私同様、みほにも何かしらの想いを込めたと思いますので、それを聞かせて頂ければと…」
しほ「え、ええ…」
しほ(ヤバい!!考えてなかったわ!!)
しほ「み、みほはね… (え、えーと…『ほし』で『しほ』だったから…)」ダラダラ
まほ(あ、これ適当に言っただけだな)
しほ「ほ…み…」
しほ「ほ、『ホーミー』で常夫さんと激しく『ホーミタイ』した時に出来た子供だからよ…」
(※ホーミー 日産のハイエースだよ!!)
(※ホーミタイ Hold me tight 強く抱きしめてってことだよ!!)
まほ「…」
…
………
― 大洗 喫茶店
しほ「娘が口を利いてくれなくなりました…」ヨヨヨ
百合「……」
久子「……」
好子「うっわぁぁ…最悪だぜ…」
しほ「どうしましょう…」
百合「と言われてもなぁ」
久子「娘が、車で子作りされたなんて聞かされたら、そりゃ口も利きたくないだろ」
しほ「みほはちゃんと布団で作った子供です!!…やっぱり喘ぎ声が『ホーミー』だったからにすれば良かったかしら…」
好子「問題はそこじゃないですから」
久子「でだ、黒歴史を作り上げている西住さんをどう救えばいいかだが…」
好子「…何か、思いつきます?」
百合「無理です、百合無理かたつむりです」
しほ「そんなぁ…」
久子「総てが露見して、娘さん達が名前捨ててしまうくらいの覚悟はしておいた方がいいかもな」
しほ「……」ビクッ
好子「みほさんは、名前を隠すためにソウルネームか本名で名乗らなくていい学校に転校し…」
百合「まほさんは名前と素顔を捨てて覆面か仮面の戦車乗りになる…」
久子「そして、悲しいかな西住流の歴史はここで潰えるというわけだ」
しほ「いやぁぁぁ!!」
久子「冗談だ」
しほ「意地悪しないでください~」
好子「でも、そうなる可能性も」
百合「あるかもしれませんよ」
しほ「ううっ…」
久子「心配するな、だからこうして皆で考えているんだろ」
好子「そうそう」
百合「当然ですわ、だって私達…」
好子・百合・久子「「「友達ですからね!!」」」
しほ「皆さん…」
???「あ、いたいた!!みんなー!!」
沙織「やっぱり、皆揃っていたんだね!!」
しほ「さ、沙織さん…」
優花里「こんにちは!いつも母がお世話になっています」
華「今日は戦車道の練習が無かったので来ました」
麻子「沙織から、おばあ達がいるっていうんで」
沙織「せっかくだから、お茶と一緒に…」
みほ「こ、こんにちは…」
まほ「どうも…」
沙織「この前の名前の続き聞こうと思って!」
しほ「そ、そうなの…」ダラダラ
好子(ヤバいわね)
百合(これはヤバいですわ)
久子(ヤッベっぞ!!)
沙織「で!しぽりん!!みぽりんとまぽりんの名前ってどういう風に決めたの?」
沙織「わざわざ、まぽりんまで来てくれんだから聞かせてよ~!」
まほ「ちゃんとした理由が聞きたいのでやってきました」
しほ「ま、まほ…」
みほ「…わ、私も知りたいな」
華「西住流の名前の由来…是非とも聞きたいですわ!」
麻子「うむ」
まほ「聞かせてください」
優花里「いざいざいざ!!」
一同「「「さぁ!しほよ、返答やいかに!!」」」
しほ「そ、それは…」
しほ「……」
一同『……』
しほ「…ご…」
しほ「ごめんなさい!!」
沙織「し、しぽりん?」
しほ「……!!」
しほ「実は…二人の名前を付けた時…深く考えてはいなかったのです…」
みほ「お母さん…」
まほ「……」
しほ「まほ、みほ…言い訳にしか聞こえないかもしれませんが聞いてちょうだい…」
しほ「常夫さんとは、子供は二人にしようと決めていました」
しほ「単純に、ま行の順番にしたのも否定しません…」
まほ「…」
みほ「…」
しほ「…ですが、二人を授かり育てるようになってから、私は決めたことがあります」
華「それは?」
しほ「まほ…貴女には『まっすぐに育って欲しい』という想いを込めて接してきました」
しほ「それは重圧になったかもしれません…時には厳しくなり、年相応の子供には辛いことであったでしょう…」
しほ「ですが、貴女は西住流を体現した『まっすぐ強く』育ってくれました」
まほ「お母様…」
しほ「そして、みほ…貴女は『みんなに愛される』ようになって欲しいと願ってました」
みほ「お母さん…」
しほ「まほの後を追って、戦車道を始めてくれて、母は本当に嬉しかったです」
しほ「でも、いつ頃からか…みほの笑う顔を見る機会が減ったのを母は危惧していました…」
しほ「そして、黒森峰での事があって戦車道から遠ざけ…この事も母である私が、もっと上手く立ち回れば、みほに辛い思いをさせるような事はなかったかもしれません…」
しほ「でも、みほ…貴女は帰ってきた…ここにいる仲間や、学校を超えた仲間達と…」
しほ「私の想いを超えて、『みんなと供に』強く育ってくれました」
みほ「お母さん…」
しほ「これだけは言わせて、二人とも、私にとっては誇るべき娘であると…」
まほ「お母様、充分です、その言葉だけで私は満たされます」
みほ「うん、とっても嬉しかったよ!!」
しほ「まほ…みほ…こんな不器用な母を…ありがとう…」
華「素晴らしいですわね」
優花里「ほんとですね」
麻子「そうだな…」
沙織「名前を付けた後の育て方こそ、重要だったんだね!」
しほ(…た、助かったぁ~っ!!)
好子・百合・久子(((つ、疲れた…)))
………
…
唐突だが、ここでだが、説明せねばならない!!
実は、しほはこの時、まほとみほに総てをぶちまけるつもりだったのだ!!
あまつさえ、まほとみほの顔をグリーンとオレンジに塗ってやろうというくらいでのつもりでいたのだ!!
しほ「ごめんなさい!!」
しかし!この時、しほの行動を予想できた、好子、百合、久子は!!
好子「あ、西住さん、やらかしそう…」
百合「お止めしないと!!」
久子「やらせないよぉー!!」
見事なチームワークを見せるのだった!!
久子「『…聞いてちょうだい…常夫さんとは…』」
まず、人生経験豊富な久子が、この状況で一番の選択肢を考え!!
好子「なるほど…なるほど…」カキカキ
理容店の鋏捌きで鍛えた好子が文字に書き起こし!!
百合(気づいて!しほさん!!)サッ!
華道の花を生ける静かな動きで、他に気取られることなくカンペを提示する!!
しほ(そういうことね!!)ティキーン!
その、三人の意図を汲んだしほは、その指示通りに動き、事なきを得たのだった!!
…
………
しほ「し、正直助かりました…」ヒソヒソ
好子「貸し一ですよ」ヒソヒソ
沙織「どうしたの、二人とも?」
百合「なんでもないですわよね?」
しほ「ええ」
好子「あ、ごめんなさいね、沙織さん」
久子「ふぅ…」
麻子「おばあ、大丈夫?なんだか疲れているみたいだけど…」オドオド
久子「大丈夫じゃよ、人の心配する前に麻子の方こそ、皆に迷惑かけてないのかい!!」
麻子「ちゃ、ちゃんとやってる…」
好子「ほ~ら、せっかく揃ったんだし、優花里達も、なにか注文しなさいよ!!」
喫茶店員「ケーキセット4つと、カレーライス、焼き魚定食お待たせしましたー」
沙織「でもさー、いつか私達も子供できたら名前とかで悩むんだろうねー」モグモグ
麻子「その前に結婚できるのか?」モグモグ
沙織「できるもん!素敵な旦那様と素敵なお家を建てて…」
華「また、理想に走る…」パクパク
優花里「まぁ、まだ先のことですし、今から深く考えても始まらないですよ」モグモグ
まほ「子供か…私は名前、考えているぞ」パクパク
みほ「うそ!!お姉ちゃん、誰か相手がいるの!?」
しほ「まほ!…そんなとこまで母に似なくても…」
まほ「相手はおりませんよ、ただ何となく付けてみたいなって名前が…」
まほ「大好きな『カレー』から名前を取って『かほ』と『れほ』って名前がいいなぁと思いまして」
沙織・華・優花里・麻子「「「「……」」」」
みほ「そっかぁ…じゃあ!私は大好きな『ボコ』からで『ぼほ』だね!!」
好子・百合・久子「「「……」」」
しほ「…うん、やっぱり二人とも私の娘ね!!」
カエルの子はカエルだった
END
以上です
今回もありがとうございました
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