尊敬する妙高姉さんを巡って、初風と高波が仲良くケンカするお話(短めです)
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【鎮守府 大広場 ベンチ】
高波「それでですね、長波姉さまが…」ホノボノ
妙高「まあ、あの子らしいわね」ホノボノ
初風「………ちょっと」デ ン
高波「ひっ」ビクッ
妙高「あら初風、こんにちは。どうしたの?突然」
初風「こんにちは妙高姉さん。用があるのはこの子にです」ズビシッ
高波「私、かも…?」ビクビク
初風「あなたね、最近………」
初風「妙高姉さんにまとわりつきすぎなのよ!」ド ン
高波「!!」
妙高「あらあら」
初風「妙高姉さんはお忙しい身。あまり遊んでいる暇はないの」
初風「だから私も、いつも事前に予定を聞いて、わずかな余暇にお会いできるかお伺いを立てて…」
初風「なのに貴女ときたら…!」
高波「わ、私だって!ちゃんと弁えてお声をおかけしてるかも…です!」
初風「それに何?その格好、妙高姉さんに似せてるつもり?100年早いわよ!」
高波「これは、妙高さんから教えてもらってるので、直伝かも!」
初風「な、なんてうらやま………じゃなくて!とにかく、妙高姉さんの迷惑になることはやめてちょうだい!」
高波「その発言、妙高さんを甘く見てるかも!むしろ失礼だと思います!妙高さんはこういう会話の時間までも計画的に…」
あーだ ミョウコウ こーだ ネエサン
やいの カモ… やいの カモデス!
妙高「んー…」ポツン
妙高「(私を慕ってのことであれば嬉しくもあるし、微笑ましいから見ていたくもあるけど、そろそろ止めた方がいいわね)」
初風「貴女、妙高姉さんの本当の怖さを知らないでしょ!?妙高姉さんが怒ったら怖いわよ!」
高波「当然知ってます!」
妙高「ちょっと二人とも…」
初風「私なんかこないだ、笑顔ですごまれただけで、自分の首が斬り落とされる錯覚を見たもの!」
妙高「えっ」
高波「私も、こないだ妙高さんからお説教いただいているときに、コッチの方向へ歩いてきたエラー猫が踵を返したのを見たかもです!」
妙高「ちょ」
ザワザワ エッ、クビガ? エラーネコガ?
妙高「ちょっとちょっと!二人とも!なんか色んな人に聞かれてるから!」
妙高「違うんです皆さん、違うんです!」アセアセ
妙高「もう!二人ともいい加減に…」
初風・高波「「妙高(姉)さんは黙っててください!!」」
妙高「(さっきまで『怒らせると怖い』って言ってたのに急に強気に!?)」
初風「こうなったら…」
高波「はい…」コク
初風「妙高姉さんにふさわしい駆逐艦はどっちか、勝負よ!」
高波「負けないかも…です!」
妙高「ええ…」
【鎮守府 艦娘寮(妙高の部屋)】
妙高「なんてことがあったのよ…」ハァ…
那智「姉さん、嚮導する身として、特定の駆逐艦とばかり仲良くしない方がいい」(曙にもらったウイスキー片手に)
足柄「そうそう。ね、羽黒!」(『霞ちゃんLOVE』と書かれた礼号ジャージを着ながら)
羽黒「え?あ、はい、(あまり聞いてなかったけど)そうですね」(神風へ贈るマフラーを編みながら)
妙高「…正論だけど、貴女たちにだけは言われたくはなかったわね」
那智「まぁ、姉さんを慕う駆逐艦が多いというのは、私たちとしても嬉しく思うよ」
足柄「姉さんの魅力は、広く知られて然るべきものよね!」
妙高「ふふ、ありがとう。でもそれで、変に騒動になるのは困りもので…」
足柄「それにしても、勝負って、どういうことやるのかしらね?」
妙高「私も何も聞かされてないの。一応、危ないことはダメって釘は刺しておいたけど…」
妙高「どうあれ、二人が仲良くなるようにしないといけない…」
妙高「念のため夕雲に話をしたら、『お任せください』とは言ってたけど…」
~~~(1週間後)~~~
【鎮守府 中会議室】
陽炎「第1回『チキチキ』~」
夕雲「『私の方が妙高さんのことを知っているクイズ』~」
ワー ワー パチパチパチパチ
陽炎「さぁー、ワケがわからない流れから始まりましたーこの企画ー、司会はわたくし陽炎とー」
夕雲「夕雲の二人で務めさせていただきます」
陽炎「はあ…なんだって私がこんなこと…」
夕雲「大切な妹のためですもの、頑張りましょう?」
陽炎「アンタね…そういえば私が何でもするとでも思ってるんでしょ!?」
夕雲「あら、違うんですか?」
陽炎「大正解よ」
夕雲「ですよね、私もです」ウフフ
夕雲「なお客席には、後に登場します主役お二人の姉妹の皆さんにお集まりいただいております」
巻雲「夕雲ねえさん、司会姿もステキですー!」キャー!
夕雲「あらあら、巻雲さんったら」
不知火「陽炎…もうちょっと夕雲のように笑顔を見せた方がよいのでは」キリッ
黒潮「司会は出演者にエエ振りを出さなアカンで~」
親潮「司会としての心得も携えているとは…さすがです、黒潮さん!ステキです!」
陽炎「はいはい、司会二人にも暖かい声援がたくさん送られて嬉しい限りですね!」
陽炎「それじゃ、さっさと…じゃなくて、早速本日の主役の二人をお呼びしましょう!」
陽炎「『妙高姉さんのためなら、いつでも首をさしだす覚悟はできている!』」
陽炎「そもそも首はあるのかないのか、妙高さんを守る首なし騎士(デュラハン)を名乗る陽炎型7番艦・初風、抜錨!」
初風「よろしく。今の私はいったい何人目の私なのかしら?(首を斬られた回数的な意味で)」
浦風「何やら哲学的なことを言っとるの…深い意味はないんじゃろうけど」
嵐「大丈夫だから!艦娘になってからは一度も首斬られてないからな!一人目だよ!…多分」
舞風「初風姉さん頑張ってー!それ、ワン・ツー!」
初風「えっ、ふ、2人目ってこと!?」ガクガク
野分「違います、テンション上がって踊ってるだけです!」
不知火「陽炎、笑顔」
陽炎「今は私のことはほっといて、初風を応援なさい!」
夕雲「対するは、『妙高さんへの憧れは、かも、じゃなくて、常に断定です!』」
夕雲「普段は気弱だけれどもここは譲れません、小妙高を名乗る夕雲型6番艦・高波、抜錨です!」
高波「妙高さんのためなら、どんな相手でも、『カモ』にしちゃいます…!」
長波「頑張れよー高波ー!勝ったら長波サマ特製チャーハン作ってやるからなー!」ブンブン
高波「長波姉さま…!ありがとうございます!」
摩耶「いいねえ、アタシにも食わせてくれよ」
長波「おっ、摩耶さんも食べるかい?いいぜ、たくさん作っちゃうから!」
朝霜「ていうか、何で摩耶さんまでここにいるんだ…?」ヒソヒソ
風雲「さ、さあ…」ヒソヒソ
早霜「ヤンママの授業参観………」ウフフ
陽炎「二人が登場したところで、勝負のルールを説明するわ。夕雲、お願い。ていうか私も知らないんだけど」
夕雲「はい。今回は、『妙高さんのことをどれだけ把握しているか』、という点での勝負となります」
陽炎「(『第1回』とか『今回は』とか、次回以降があるのかな………)」
夕雲「そこで、お二人にはクイズにより勝敗を決していただきます!」
夕雲「ルールは簡単。お二人には事前に妙高さんに関する問題を作っていただいておりますが…」
夕雲「その問題を作成者が読み上げ、もう片方がそれに答える。これを交互に行います」
夕雲「互いに50問ずつ出題・回答し、最終的な正答数が多い方が勝ちとなります」
陽炎「てことは、全100問ってことか…うっへえ」
陽炎「かかる時間を考えると気が滅入るけど、そんなに思いつくものなの?」グデー
不知火「陽炎、えg…」
陽炎「はぁーい☆」ニッコリ
黒潮「笑顔が引きつっとる、減点1やな」
陽炎「うっさいわ!」
夕雲「今回のクイズの方は減点等の特殊要素はありませんので、シンプルに回答数だけを競います」
巻雲「アドリブでもしっかり繋ぐ夕雲姉さん、やっぱりステキですー!」キャー!
親潮「く、黒潮さんだって、司会の挙動にまでチェックができてステキですよ!」
陽炎「お願い、私の方に声援をちょうだい…?」
陽炎「あーもう、この流れだと私の胃に穴が開いちゃう!さっさと始めましょ!」
夕雲「はい。それでは最初の出題は、初風さんからお願いします」
初風「覚悟はいいわね、いくわよ…!」
高波「覚悟なんて、とっくにできてるかも…!」
初風「第1問!妙高姉さんがお風呂で体を洗う時に、最初に洗うのは統計上どこが一番多い?」
陽炎「えーなにその問題、陽炎お姉ちゃん、ちょっと引いちゃうn…」
高波「左肩!」
陽炎「あ、即答なんだ」
初風「…正解よ。軽いジャブだったとはいえ、やるわね」
高波「高波の統計では、左肩が最も多く、79.8%の確率で左肩からスタートしてるかもです」
初風「私の統計では80.2%よ。近似値ね」
陽炎「うーん何の会話なんだか分からないなーこれもー」
夕雲「こういう微妙な問題でも回答が一致するあたり、お二人のデータの精緻さがうかがえますね」
陽炎「答えがブレそうな問題ってのもどうかと思うけどね、まぁ二人が納得するならいい…のかしら…?」
夕雲「それでは続いて、高波さんからの第1問、よろしくお願いします」
高波「はい!第1問!妙高さんのお部屋の居間の電球が交換されたのは、直近では何日前?」
初風「それは、『3日前』という誤答を期待したのかしら?…愚問ね、正解は『41日前』よ!」
高波「うっ…正解、です。さすがかも…」
陽炎「えっと、あの、初風さん。今の問題のどこに引っ掛け要素があったのかを教えていただいても…?」
初風「3日前に、電球を持って自室に入る妙高姉さんの姿が目撃されているの」
初風「私もそれを見て、最初は『妙高姉さんの部屋の電球が切れたから交換するのかな?』と思ったわ」
初風「でもその電球は、同日に『最近部屋の電気が点滅し始めた』と言う羽黒さんの言を聞いた妙高姉さんが、後で羽黒さんに渡すために持っていったものだったのよ」
初風「電球を持っていった姿を目撃しただけでは、きっと今の質問に『3日前』と答えていたところでしょうね」
陽炎「アッハイ」
高波「私の意図まで完璧に見抜くとは…『妙高さんを守る首なし騎士(デュラハン)』の名は伊達じゃないかも…!」
初風「貴女こそ、そこまで目が行き届いているとは、さすが『小妙高』ね。でもその程度の小細工、私には通用しない!」
陽炎「………」
陽炎「ねぇ夕雲、これってもはやストーカーとかそういう次元じゃ…」ヒソヒソ
夕雲「1問目からとてもハイレベルな戦いが繰り広げられてますね。それでは第2問に…」
陽炎「姉として、正してあげるべきなんじゃ…」ヒソヒソ
夕雲「めっ」(人差し指を陽炎の唇に)
陽炎「!」ピトッ
夕雲「今は二人に満足いくまで戦ってもらって、それから考えましょ?」ニコッ
陽炎「………///」
陽炎「なんていうか、アンタ、ズルいわ」ハァ
夕雲「ええ♪」ニコッ
陽炎「あーもう、調子狂うなぁ」ワシャワシャ
不知火「陽炎」
陽炎「ウェーヒ♪」ニッコォォォ!
黒潮「ヤケクソ感のある違和感バリバリの不自然極まりない笑顔………」ムムム
黒潮「逆にええね!プラス100点!」
親潮「さすがです!」
陽炎「今の『さすが』は私の笑顔に対してのものと見なしまぁす☆」ニッコォォォ!
夕雲「それでは初風さんからの第2問、お願いします!」
~~~(数刻後)~~~
初風「………答えは『シャンディお願いします』、で、どうかしら?」ハァ ハァ
高波「正解、です………」ハァ ハァ
陽炎「なんとぉ!衝撃の展開!!この難問の嵐に対し、両者ともに全問正解でフィニィィィィィッシュ!!」ヤケクソハイテンション
夕雲「…あっ。そういえば、同点の場合の決着方法を決めるのを失念しておりました」テヘペロ
巻雲「うっかりな夕雲姉さんもステキですー!」キャー!
陽炎「一体この勝負の行方は、どうなってしまうのかぁぁぁぁぁ!」
夕雲「うーん、即興クイズでのサドンデスとかなんでしょうかね…」
陽炎「……………」
夕雲「陽炎さん?」
陽炎「………はあ」クールダウン
陽炎「………疲れた」グデー
不知火「陽炎、笑顔」キリッ
陽炎「はいはい。後で部屋に帰ったら、いくらでも最高の笑顔見せたげるから」
不知火「!!……は、はい……///」プシュー
黒潮「突然の公開ジゴロで黙らせるとは。さすがやね」
親潮「(私も、黒潮さんの笑顔を思う存分眺めたいです…///)」
陽炎「もうさー二人とも尋常じゃないデータ持ってるんだしさー、そういうの交換しあってさー」
陽炎「こんなケンカなんかしないでさー、二人でさらなる高みを目指しちゃいなさいよもう…」(投げやり)
初風「!!」
高波「!!」
陽炎「…へ?何そのキラキラした目は。適当言っただけなんだけど…」
初風「そうか…その手があったか…!」
高波「目からウロコ、かもです…!」
夕雲「陽炎さん…さすがです。さすがの『姉力(あねちから)』です!」
陽炎「な、なんかイヤな予感」
夕雲「そんなことありません。ほら、見てください」
初風「貴女の力量…大したものだわ。確かな『本気』を感じ取った。見くびっていたわ、ごめんなさい」
高波「こちらこそ…偉大なる『先輩』に対する無礼を詫びたいかも…ごめんなさいです!」
夕雲「陽炎さんの言葉で、険悪だった二人の仲に、一筋の光が…!」
初風「これからは、二人の力を合わせて、『妙高道』を探究していきましょう?」スッ
高波「一人だと辛く困難な山も…二人一緒なら平気、かも…です!」スッ
ガシッ!!
夕雲「皆さんご覧ください。激闘を終えた二人の間に、今、確かに熱い友情が芽生えました!」
陽炎「ええー…『後で正してあげるべき』って話だったけど、悪化してない?これ…」
夕雲「二人の感動の握手で、本日は終了です。ありがとうございました。また次回にご期待くださいね」
陽炎「私的には悪手だったわ…夕雲は『妹のやりたいことを何も言わず応援するタイプ』の姉だったのね…」
(あと少しで終わりなのですが
ごめんなさい少しだけ離席します)
~~~(さらに1週間後)~~~
【鎮守府 売店】
妙高「(最近、あの二人を見かけないけど、どうしたのかしら…)」
妙高「(数日前に、夕雲から『万事上手くいきましのたでご心配なく』という謎の報告を受けたのだけれど…)」
妙高「ん、あれは…?」
初風「はあ、参っちゃったわね…」
高波「前途多難かもです…」
妙高「初風、高波!」
初風「あっ、妙高姉さん!」
高波「妙高さん!」
妙高「二人とも、仲良くなったのね!よかったわ」
初風「ええ、そりゃあもう!」
高波「戦友かもです!」
妙高「戦友?」
初風「それより姉さん、聞いてくださいよ!さっき売店に行ってきたんですけど」
高波「明石さn…じゃなくて、アイテム屋さん、ひどいかもです!」
妙高「なに?どうしたの?」
初風「実は、この自費出版の本を置いてもらおうと思ったんですけど」
高波「ウチじゃちょっと扱えないって、断られちゃったんです…」
妙高「あらあら」
妙高「(この短い期間に二人で本を作るまでに至るなんて、驚異的な急接近ね…!)」
妙高「(夕雲の力添えがあったのかもしれないけど、いったい何があったのかしら)」
初風「費用負担は全部こっち、売り上げは全部売店のものでいいって言ったのに、それでもダメで…」
高波「この本なんですけど…」スッ
妙高「どれどれ………」ペラッ
妙高「 」
初風「こないだの、妙高さんに関するクイズの問答集をまとめてみたんです!」フンス
高波「加筆もたくさんあるかもです!」
初風「妙高姉さんの素晴らしさを、あまねく知ってもらうこと、それこそが我々の使命で…」ドヤァ
高波「まずはこの本をきっかけに、多くの人にですね…」ドヤァ
妙高「………」ゴゴゴゴゴ
初風「使命、で……」
妙高「 」ニッコリ
初/風「 」スパッ
初風「(………あ、あれ?今たしかに、首が斬れた感覚が…!?)」
妙高「あなたたち………」ゴゴゴゴゴ
高波「(ひぃっ!妙高さん、怒ってるかもです!どどど、どうしよう!?)」
エラー猫「にゃーん」
高波「(!!『鎮守府のパルプンテ』ことエラー猫さん!猫さんならこの状況を打開してくれるかも…)」
エラー猫「………」プイス
高波「(こっちを見て踵を返してどっか行っちゃったかも!?)」
妙高「これからプライバシー、ストーキング行為その他諸々について」
初風「ひっ!」ガシッ
妙高「色々と『お話』してあげますから」
高波「かも!?」ガシッ
妙高「今すぐいらっしゃい!」
初風・高波「「いやあぁぁぁぁぁ………」」ズルズルズルズル
初風・高波「「(やっぱり妙高(姉)さんは怒るとコワイ!)」」
夕雲「うふふふふ…友情とは、喧嘩して、仲直りして、一緒にふざけて、怒られて…」
夕雲「そうして築きあげていくものなのですよ。よかったわね、高波さん」
陽炎「私はアンタが一番恐ろしいわ…」
おわり
陽炎が悪いよ-陽炎が
止めない夕雲も悪い(確信)
短いですが以上です、読んでいただきありがとうございました。
>>31
陽炎の不自然な笑顔に免じて、許してあげてください…
ちょっとしたらHTML化依頼出してきます
ちなみに、これまで艦これで以下のSSを書いてます、もし御興味があれば…(ダイマ)
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