・アイマス×モバマス
・千早とライラさんともう一人で力仕事
・ヤマ、オチ特になし
・口調等に違和感があったらごめんなさい
頑張って年内には完結させたいと思います
以上、よろしければお付き合いください
↓なお前回
【予定は未定】千早「一周年?」 ライラ「おー」
【予定は未定】千早「一周年?」 ライラ「おー」 - SSまとめ速報
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千早「皆さんこんばんは、如月千早です」
ライラ「ライラさんでございますよー」
千早「いつも通りの不定期放送、予定は未定をお送りします」
ライラ「千早さん千早さん」
千早「何かしら?」
ライラ「この服、なんと言うものなのでしょうか?」
千早「これは作務衣ね」
ライラ「サムエですかー」
千早「確か、昔の人の作業着みたいなものだったかしら」
ライラ「おー、確かに動きやすいのです」
千早「珍しく衣装が指定されているわけだけど、なんで作務衣なのかしら」
ライラ「あー、今日のゲストの方が関係しているのだと思いますよー」
千早「そうなの?」
ライラ「はいです。事務所でもよく着ていらっしゃいます」
千早「……ライラさん、本当に作務衣知らなかったの?」
ライラ「お着物のお仲間なのかなーとは思ってましたです」
千早「間違ってはいないんじゃないかしら、多分」
千早「ではライラさん、ゲストの紹介をお願いするわね」
ライラ「はいですよー、今日のゲストの藤原肇さんなのですー」
肇「藤原肇です。よろしくお願いします」
千早「ようこそ、藤原さん」
ライラ「よろしくお願いしますですよー」
千早「…………」
肇「あの、どうかしましたか?」
千早「いえ、私たちと違って様になっているなと思って」
肇「あ、ありがとうございます」
ライラ「お似合いでございますねー」
千早「さすが、普段から着ているというだけはあるわね」
肇「あの、出来ればそのあたりで……」
ライラ「おー、それでは行きますですよー」
千早「予定は未定、どうぞお楽しみください」
ライラ「それで、今日は何をするのですか?」
千早「さあ?」
肇「……え?」
ライラ「あー、いつも通りでございますか」
千早「何かを企画していそうな雰囲気はあったけれど」
ライラ「それでは、行ってみれば分かるのですねー」
肇「それでいいんですか?」
千早「まあ、いつものことよ」
ライラ「なるようになるのですよー」
肇「はあ……」
***************************
千早「なるほど」
肇「臼と杵、ですね」
ライラ「おー、お餅つきでございますか」
肇「向こうには屋外用のかまどまでありますね」
ライラ「何に使うのですか?」
肇「おそらく、もち米を蒸すんだと思いますが」
千早「……ただ餅をつくだけではない、と」
肇「かなり本格的な準備がしてあるようです」
千早「まあ、ウチのスタッフのことだから簡単ではないと思っていたけれど」
ライラ「えーと、時間の都合上、前日までに必要な準備はしています、とのことですが」
千早「つまり?」
肇「普通、研いだもち米を一晩くらい水に浸けておかないといけないんです」
ライラ「おー、そうなのですか」
千早「藤原さん、詳しいのね」
肇「実家では恒例行事でしたので」
千早「実家?」
ライラ「あー、肇さんのお家はトウゲイをなさるそうなのですよ」
肇「はい。実家は備前焼の窯元をしていて、それなりに名前も知られているんです」
千早「ああ、そういう所って季節の行事を大切にしていそうだものね」
肇「お察しの通りです」
ライラ「おー、ではライラさんの出番は少なそうなのですねー」
肇「いえ、そんなことはないと思いますが……」
千早「そういえば、今年の初めに餅つきの仕事をしたって言ってたわね」
ライラ「でも、ライラさんたちはペッタンペッタンしただけなのですよ」
肇「そうなんですか?」
千早「ふふ、じゃあライラさんには頑張ってついてもらおうかしら」
ライラ「おー、頑張りますですよー」
――――――
――――
――
千早「で、まずは何をすればいいのかしら」
ライラ「もち米、硬いままですねー」
肇「ですので、まずはもち米を蒸かさないといけません」
千早「なるほど」
ライラ「蒸かす、ですか?」
肇「お湯を沸かして、その湯気でもち米を柔らかくするんですよ」
ライラ「おー」
千早「お湯を沸かす……ね」
ライラ「どうしましたですか?」
千早「お湯を沸かすには、火が必要よね?」
ライラ「そうでございますねー」
千早「でも、私たちの前にはかまどと薪しかないわ」
ライラ「あー、ライラさん分かりましたですよ」
肇「火、おこしましょうか?」
千早「できるの、藤原さん?」
肇「ええ、陶芸と火はセットですから」
千早「それは頼もしいわね」
ライラ「あー、肇さんのお気持ちは嬉しいのでございますが……」
肇「どうかしましたか?」
ライラ「スタッフさんから、簡単に出来ては面白くない、とのお言葉でございまして」
千早「……ええ、そうでしょうとも」
肇「えっと、あの……?」
千早「ああ、藤原さんは気にしなくていいわ」
ライラ「いつものことですからねー」
千早「私たちが四苦八苦する姿が見たいのよ」
肇「では、助言くらいは……?」
ライラ「……大丈夫なようでございますねー」
肇「分かりました。精いっぱい務めさせていただきます」
千早「私も人のことは言えないけれど、この番組ではもっと楽にしていていいのよ?」
ライラ「そこが肇さんのいいところなのでございますよ」
肇「そ、そうでしょうか?」
ライラ「はいですよー」
千早「ふふ。ライラさんが言うなら、そうなんでしょうね」
一先ずここまで
カバーガール、なんていうものもありましたね
どれだけの人が覚えているんでしょうか……
題材的にも年を越すとマズいので頑張ります
お付き合いいただけましたら幸いです
***************************
千早「さて、火をおこさなければならないようなんだけども」
ライラ「どうすればよろしいのでしょうか」
肇「まずは薪を組みましょう」
千早「とはいっても、サッパリなのよね」
肇「細かい薪は燃えやすいですが長持ちしません。大きい薪はその逆です」
ライラ「ふむふむ」
肇「そして火は下から上に燃えるので、そこに注意して頂ければ」
ライラ「他には何かありますですか?」
肇「そうですね。あとは空気の通り道を作ってあげればいいかと」
ライラ「おー」
千早「(そういえば以前のキャンプの時、プロデューサーはどうしていたかしら?)」
千早「えーと、焚き付け用の新聞紙の上に細かい薪を置いて……」
肇「新聞紙は丸めたほうが火が移りやすいですよ」
ライラ「こうでございますか?」
肇「はい、そんな感じです」
千早「両脇に大きな薪を置いて、その上を渡すように薪を……」
肇「千早さん、実はやったことありませんか?」
千早「いえ、これは見様見真似というか」
ライラ「そうなのですか?」
千早「去年のキャンプの時を思い出して、ね」
ライラ「あー、懐かしいでございますねー」
千早「本当に上手くいくかは分からないけれど」
肇「いえ、これならたぶん大丈夫だと思います」
ライラ「肇さんがそうおっしゃるなら大丈夫ですねー」
肇「…………いざとなったら、私が」
千早「(そんなに気負わなくていいのに)」
ライラ「それで、火はどうやってつけるのですか?」
肇「これ、みたいですね……」
千早「マッチ箱ね。いやに軽いけど」
ライラ「おー、ライラさん初めて見ますですよ」
肇「普通、使いませんからね」
千早「マッチが三本しか入っていないのはどういうことなのかしら」
ライラ「仲良く一本ずつでございますねー」
肇「……ライラさんって、すごいですね」
千早「ええ、本当に」
ライラ「これはどうやって使うのですか?」
肇「箱の横にあるザラザラの所と、マッチの頭をこすると火が点くんですよ」
ライラ「おー、やってみていいでしょうか?」
千早「じゃあ、トップバッターはライラさんね」
ライラ「えい」
肇「…………あ」
千早「…………あ」
ライラ「うー、折れてしまいましたです」
肇「ちょっと力が入り過ぎたみたいですね」
千早「じゃあ次は私かしら」
ライラ「頑張ってくださいですよー」
千早「あんまり見られると緊張するわね……はい、と」
ライラ「おー、火がつきましたです」
肇「消えないうちに新聞紙に点けてください」
千早「え、えっと……こう?」
ライラ「あー」
肇「消えてしまいましたね……」
千早「……急に動き過ぎたかしら」
ライラ「あと一本でございますねー」
肇「私がやってもいいんでしょうか?」
千早「火が点かないと番組が進まないし、いいんじゃないかしら」
ライラ「お任せしましたです」
肇「わかりました」
千早「よろしくお願いするわね」
肇「それでは……」
ライラ「おー」
千早「……恐ろしく手際が良いわね」
ライラ「あっという間に薪に火が点きましたです」
肇「こういうことは、慣れが物を言いますから」
千早「私たち部分、必要だったのかしら」
肇「いえ、千早さんたちがきっちり薪を組んでくれたおかげです」
ライラ「お役に立てて良かったのですよー」
肇「あとは適当に薪を足しながら、お湯が沸くのを待ちましょうか」
ライラ「たき火、あったかいですねー」
千早「ふふ、そうね」
――――――
――――
――
千早「…………ねえ」
ライラ「はいです?」
千早「スタッフが隣で、ものすごい勢いで火を焚いているんだけれど」
ライラ「おー、ポッカポカですねー」
千早「初めから……ううん、なんでもないわ」
肇「多分、臼と杵を温めるためのお湯を沸かしているのかと」
千早「お湯?」
肇「臼が冷たいままだと、上手くお餅にならないんですよ」
ライラ「そうなのでございますか」
千早「(スタッフまでたき火をする必要、あるのかしら?)」
肇「ですので、この先は時間との勝負です」
千早「どうすればいいのかしら」
肇「まずは蒸し上がったもち米を臼に移して、こねて潰します」
千早「杵でつくんじゃないの?」
ライラ「いきなりつくとお米が飛んでくるのですよー」
千早「(あ、これは実際にやっちゃったのね)」
肇「大体潰し終わったら、いよいよ杵でつきます」
千早「ようやく私が知っている餅つき、って感じね」
ライラ「ペッタンペッタン、楽しいのですよ」
肇「最初は、合いの手は私がやりますね」
千早「ええ、きっとそのほうがいいわね」
ライラ「合いの手は難しかったですからねー」
肇「息を合わせて頑張りましょう」
ライラ「おー」
***************************
千早「杵って、結構重いのね」
肇「はい。こうやって体重をかけて、ねじるように、潰して、いきます。」
ライラ「おー」
千早「な、なかなか大変そうね」
肇「さあ、ご一緒に」
千早「そうね」
ライラ「ライラさんもー」
千早「これは、ホントに、キツイ、わねっ」
ライラ「難しいですねー」
肇「でも、この工程が、出来をっ、左右します、のでっ」
千早「どれくらい、潰せば、いいのかしら?」
ライラ「うんしょ、うんしょ」
肇「粗方、潰し終わる、まで、ですっ」
千早「さ、先は、長そうね……!」
ライラ「頑張りますよー」
千早「でも、これ」
肇「なん、ですか?」
千早「テレビ的に、どうなのかしら、って」
肇「…………地味、ですねっ」
ライラ「あー、今更でございますねー」
千早「それは、そうだけどっ」
肇「(あれ、ライラさん余裕なのかな?)」
――――――
――――
――
千早「ふぅ、これくらいでいいのかしら」
肇「ええ、十分です」
ライラ「それでは、ライラさんの出番ですねー」
千早「杵、重いわよ?」
ライラ「あー、力はそんなにいらないのでございますよー」
千早「え?」
肇「杵は臼の真ん中に落とすようなイメージですね」
千早「杵を……落とす?」
ライラ「えへへー、まずはライラさんがお手本をお見せしますですよ」
肇「よろしくお願いしますね」
ライラ「よろしくですー」
千早「(こう、杵を一気に振り下ろすイメージだったんだけど)」
ライラ「よいしょー」
肇「はいっ」
千早「(ホントに力はいらないのね)」
ライラ「よいしょー」
肇「はいっ」
千早「(もっと激しい感じかと思っていたのだけど)」
ライラ「よいしょー」
肇「はいっ」
千早「(すごく和やかな感じね)」
ライラ「よいしょー」
肇「はいっ」
千早「(藤原さんも手馴れている様子だし)」
ライラ「よいしょー」
肇「はいっ」
千早「(これなら私も大丈夫、かしら)」
ライラ「ふー、ちょっと休憩でございますよ」
肇「ふふ、お疲れ様です」
千早「どんな感じかしら?」
肇「だいぶいい感じですよ」
ライラ「千早さんもやりますですか?」
千早「そうね、せっかくだし」
肇「細かい調整は私がやりますので、千早さんはとにかく真ん中に杵を落とすようにしてください」
千早「お手柔らかにお願いするわね」
ライラ「頑張ってくださいですよー」
肇「それでは、行きましょうか」
千早「よっ、と」
肇「ふふ、いい感じですよ」
千早「そう、かしら!」
ライラ「おー、お上手でございますねー」
千早「そうなら、いいのだけどっ」
肇「本当に初めてなんですか?」
千早「いえ、前に一度、やったことは、あるけどっ」
ライラ「どなたとでございますか?」
千早「事務所のみんなと、なのだけれど」
肇「その時もこんな風に?」
千早「いいえ、私は、ちょっと触った程度でっ」
ライラ「でもお上手なのですよ」
千早「でもこれ、結構しんどい、わね!」
肇「それでは、いったん休憩しましょうか」
千早「……ふう」
ライラ「お餅、どんな感じでございますか?」
肇「これなら、あとちょっと仕上げをすれば大丈夫ですね」
ライラ「おー」
肇「お二人に倣って、私も少し頑張りますね」
千早「合いの手はどうするのかしら?」
肇「これくらいなら私だけで問題ないと思います」
千早「……そうなの?」
肇「仕上げだけですから」
ライラ「おー、肇さん力強いのです」
千早「餅をつくスピードが違うわね」
肇「経験があるかどうか、だけだと思いますよ?」
ライラ「音も違うのですねー」
千早「これぞ餅つき、ていう音ね」
ライラ「ペッタンペッタン、とは違うのですよ」
肇「お二人も、慣れればこれくらい、すぐできるように、なりますよっ」
千早「私は、もうちょっと力をつけないとダメかしら」
ライラ「うー、ライラさんもですねー」
肇「さて、これくらいでいいかと」
千早「あとはお餅を丸めればいいのよね」
ライラ「はいですよ」
千早「ここからは私も経験があるから、大丈夫だと思うわ」
肇「お手並み拝見、ですね」
千早「……御眼鏡にかなうといいのだけれど」
今日はここまで
……何とか、今年中には完結できそうです
お楽しみいただけたなら幸いです
***************************
千早「まずは餅とり粉をふってその上に、よね?」
ライラ「食べやすい大きさにちぎって丸めるのですよー」
肇「その前に、そのままちょっとだけ食べてみてください」
千早「え?」
ライラ「いいのですか?」
肇「ええ、ぜひ」
千早「……ん、と」
ライラ「おー、あったかいですねー」
肇「ふふ、つきたてですから」
千早「! 柔らかくて、甘い」
ライラ「うー、噛み切れませんです」
肇「出来立てでしか味わえない贅沢です」
千早「何にもつけていないのに、すごく美味しいわ」
ライラ「あー、おかわりはありませんですか?」
肇「あんまり食べすぎると無くなっちゃいますから……」
千早「ふふ、おかわりは我慢しましょうか」
ライラ「うー、残念でございます」
肇「では、丸めていきましょう」
千早「こんな感じでいいのよね?」
肇「はい。粉をまぶして、親指と人差し指で絞り出すように」
ライラ「こうでございますか?」
千早「そうそう。ライラさんも上手ね」
ライラ「えへへー」
――――――
――――
――
千早「丸め終わったわね」
ライラ「この後はどうするのですか?」
肇「実は、こんなものを用意しました」
千早「大根おろし?」
ライラ「美味しそうで……うー、ちょっと辛いでございます」
肇「ライラさん……」
千早「これにお餅をつけるのかしら?」
ライラ「お餅、辛くなりませんですか?」
肇「ふふ、それが良いんですよ」
千早「じゃあひとつ」
ライラ「……どうでございますか、千早さん?」
千早「うん。お餅の甘さと大根おろしの辛さがちょうどいい感じ」
肇「つきたてのお餅で食べると格別なんですよ」
ライラ「では、ライラさんもー」
千早「どう?」
ライラ「おおー、美味しいでございます」
肇「ふふ、良かったです」
ライラ「おかわりしてもいいですか?」
千早「ええ、どうぞ」
ライラ「あー、幸せでございますよー」
千早「でも、あんまり食べ過ぎちゃ駄目よ?」
肇「このあと、焼き餅もありますからね」
ライラ「焼き餅でございますか?」
千早「ええ、あっちでスタッフが火の準備をしているわ」
ライラ「おー」
千早「(心なしか、いつも以上にスタッフがはしゃいで見えるわね)」
肇「では行きましょうか」
ライラ「ふー、あったかいのでございますよ」
千早「ライラさんって、寒いのはダメだったかしら」
ライラ「あー、苦手ですねー」
肇「じゃあ、あったまりながらお餅を焼きましょう」
ライラ「網の上に乗せるだけでいいのですか?」
千早「そうね。味付けは後で」
ライラ「楽しみですねー」
肇「ふふっ」
千早「それにしても、藤原さんって頼もしいのね」
肇「そうでしょうか?」
千早「ええ。今日は頼りっぱなしだもの」
ライラ「美味しいお餅も、肇さんのお陰でございますねー」
肇「それは、たまたま経験があったというだけで」
千早「経験があっても、それを人に伝えるのはまた別の問題よ」
肇「そう……でしょうか」
ライラ「ライラさんも分かりやすかったのですよー」
千早「私は、人に伝えるというのがあまり上手くないから……だからこそ、凄いと思うわ」
肇「……ありがとうございます」
ライラ「肇さん力持ちでございますし」
千早「そういえばそうね。杵なんかも軽々使いこなしていたし」
肇「軽々かどうかは……その」
肇「でもそうですね。ずっと土いじりをしていたので、力はある方だと思います」
ライラ「土いじり、でございますか」
肇「ええ、陶芸は体力勝負なところもありますから」
千早「ふふ」
ライラ「どうしたのですか?」
千早「陶芸の話をしている藤原さんは、すごく楽しそうだなって」
肇「……そうかもしれません」
千早「どうしてアイドルに?」
肇「『小奇麗にまとまってはいるが、色がない』、そんな風に言われまして」
ライラ「?」
肇「私が作る器には、作った人間の顔が見えないんだそうです」
千早「作った人の……顔?」
肇「陶芸を通じて表現する、自分というものが弱い……そういうことなんだと思います」
肇「だから、まったく別の世界で自分を見つめ直してみたいと思いまして」
肇「私は何が出来て何が出来ないのか、そして何がしたいのか」
ライラ「肇さん、なんだか格好いいのです」
肇「そんな……」
千早「謙遜することはないと思うわよ?」
肇「まだまだ未熟者です」
ライラ「ちょっとずつ進めば、それでいいのですよー」
千早「そうね、ライラさんの言う通りだと思うわ」
肇「……前に進めているなら、嬉しいです」
千早「(藤原さんにとっての陶芸は、きっと、私にとっての歌のようなものなのね)」
ライラ「千早さん肇さん、お餅が膨らんでいるのです」
千早「あ、つい話し込んじゃったわね」
肇「ライラさん、お餅をこの砂糖醤油につけてください」
ライラ「こうでございますか?」
肇「つけたらもう一度炙って、完成です」
千早「香ばしい、良い匂いね」
ライラ「うー、早く食べたいです」
千早「ふふ、あとちょっとの辛抱よ」
ライラ「あー、お腹が空く良い匂いでございますよー」
千早「(……今にも涎をたらしそうな顔ね)」
肇「……もういいと思いますよ」
ライラ「待ってましたです!」
千早「じゃあ、海苔をまいて……いただきます」
ライラ「いただきますですよー」
肇「……やっぱりつきたてのお餅は弾力が違いますね」
千早「ええ……すごく…………伸びる」
ライラ「はふっはふっ」
肇「ふふっ」
千早「甘辛い砂糖醤油との相性がすごくいいわね、これ」
ライラ「お餅、柔らかいのですよー」
肇「これを知っちゃうと、市販のお餅が物足りなくなるんですよね」
千早「ああ、分かる気がするわ」
ライラ「とても美味しいのですので、おかわりが欲しいのですよ」
肇「はい、どうぞ」
千早「……うん、いくらでも食べられそう」
ライラ「はふっはふっ……うー、幸せでございますー」
肇「……食べ過ぎには注意してくださいね?」
千早「……肝に銘じるわ」
ライラ「美味しいですねー」
肇「ライラさんは……まあ、これでいいんでしょうね」
千早「ええ、これがいいのよ」
***************************
千早「ライラさん、満足した?」
ライラ「はいです! 大満足でございます」
肇「それはよかったです」
千早「それにしても、今日は藤原さんに助けられっぱなしだったわね」
肇「いえ、私は口を出すばっかりで」
千早「大根おろしや砂糖醤油、藤原さんが用意してくれたのよね?」
ライラ「おー、そうだったのですか」
肇「……どうせなら美味しいものを食べてもらいたいなって」
ライラ「肇さん、ありがとうございますですよ」
肇「喜んでもらえたなら、頑張った甲斐があります」
ライラ「今度ライラさんにお料理教えていただけませんですか?」
ライラ「ライラさんも、もっと自分でお料理できるようになりたいのです」
肇「え、ええ。私で良ければ」
千早「良かったわね、ライラさん」
ライラ「はいですよ」
肇「(料理、勉強しなきゃ)」
ライラ「いつか、ライラさんのお弁当を千早さんに食べていただきたいですねー」
千早「ふふ、楽しみに待ってるわね」
ライラ「千早さんのお弁当のお返しなのですよ」
肇「(あれ……責任重大?)」
千早「さて、そろそろ時間ね」
ライラ「あー、もうでございますか」
千早「藤原さんはどうだったかしら」
肇「はい、すごく楽しかったです」
千早「そう言ってもらえるとこっちも嬉しくなるわね」
ライラ「突然のお餅つきでございましたからねー」
千早「私たちはある程度慣れているけど、ね」
肇「あ、あはは……」
千早「それではお別れの時間です」
千早「如月千早と」
ライラ「ライラさんとー」
肇「藤原肇がお送りしました」
ライラ「またお会いしましょー」
千早「また、会えるのかしらね?」
肇「え?」
ライラ「予定は未定でございますからねー」
千早「どうなることやら」
***************************
【収録後】
P「お疲れ、千早」
千早「お疲れ様ですプロデューサー」
P「……何か言いたそうな目だな」
千早「いえ、なんでプロデューサーがいい汗かいた風なのかなって」
P「いやー、久しぶりだと疲れるな、餅つき」
千早「……そういえば、後ろで何かやってましたね」
P「おう、もち米も余ってたしな」
千早「何人かで臼を囲んでお餅をついていたのは見ましたけど」
P「ああ、俺も一緒に餅ついてた」
千早「……なにやってるんですか」
P「年の瀬といえば餅つき、やらない手はないだろ」
千早「……はぁ」
P「どうした?」
千早「プロデューサーは相変わらずプロデューサーだな、と」
P「褒めてる?」
千早「呆れてます」
P「そうなの?」
千早「……で、久しぶりっていうのは?」
P「昔は朝から夕方までぶっ通しでついたりしたもんだ」
千早「…………はい?」
P「いやー、あのころに比べるとさすがに衰えを感じるな」
千早「今日も結構な速さでついてませんでした?」
P「そりゃ、人数がいたから」
千早「ああ、テレビで流れているようなつき方をしていましたね」
P「慣れないうちはやっちゃ駄目だぞ?」
千早「やりません」
P「やらないの?」
千早「やりません」
P「たまには冒険を?」
千早「しません」
P「そうか、しないか……」
千早「また何か企んでいるんでしょう?」
P「んー、なんのことかなぁ」
千早「誤魔化せてませんよ」
P「千早も手強くなったなぁ」
千早「誰のせいですか」
P「誰?」
千早「今私の目の前にいる人のせいです」
P「成程」
千早「言っても止める気はないんでしょうけど」
P「さすが、よく分かっていらっしゃる」
千早「どれだけの付き合いだと思ってるんですか」
P「よし、土産の餅持って帰ろう」
千早「……露骨に話を逸らさないでください」
P「んー、なんのことかなぁ」
千早「……まったく」
千早「(お陰で退屈しませんけど、ね)」
<もう終わる>
当初予定の年内には完結させることが出来ました
食べ物を美味しそうに書く能力の無さに絶望しています
なお、複数人による高速餅つきは経験のない方はおやめください
石臼を割る、もみじ餅ができる等、悲惨な結末につながる恐れがあります
実際に行った場合のいかなる事象にも>>1は責任を負いかねます
お付き合いいただきましてありがとうございました
このSSまとめへのコメント
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