日高舞「オーガ再臨」 (20)

アイドルマスターディアリースターズの日高舞さんとアイドルマスターの音無小鳥さんがしゃべってるだけです。

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舞「さ。飲むわよ」

小鳥「あたし、明日も仕事なんですけど……」

舞「私もよ。主婦は休みなく365日働いてるのよ」

小鳥「それはそうですけど、あたしはお金を稼ぐお仕事です」

舞「私だってアイドル復帰してるからお金稼いでるわよ」

小鳥「そうですけど……」

小鳥「はぁ……舞さんが言い出したら聞かないなんて分かり切ってるのになぁ……」

舞「分かってるじゃない」

小鳥「で、お店はどうするんですか?」

舞「んー。小鳥見てたら焼き鳥食べたくなったわね」

小鳥「ピヨッ!?」

舞「ま、そんなこんなで焼き鳥行きましょ」

小鳥「はーい」




小鳥「で?」

舞「ん?」

舞「ああ、注文ね。とりあえずビールでどう?」

小鳥「賛成ですけど、違います」

舞「じゃあ、タレか塩かって事ね」

小鳥「舞さん」

舞「……わかってるわよ」

小鳥「では、急に呼び出した理由をどうぞ」

舞「愛がね……新しいお仕事忙しいらしくて」

小鳥「絵理ちゃんと涼くんも一緒のやつですよね。結構話題になってましたね」

小鳥「あ、塩で」

舞「はいはい。やっぱりタレは辛い歳よね」

小鳥「……悲しくなるんで止めましょう」

舞「えぇ」

小鳥「で、愛ちゃんが忙しいのとあたしが呼び出されたのに何か関係が?」

舞「はい。生二つと、とりあえず盛り合わせを塩で。お願いします」

舞「愛が全然家に居てくれなくて寂しいのよ」

小鳥「旦那さんは?」

舞「旦那も年末特番やらクリスマス特番でてんてこまい」

小鳥「だからこうして主婦業サボって飲みに来たわけですね」

舞「たまにはいいでしょ? 毎日働いてるんだから息抜きしたって」

小鳥「ダメなんて言ってませんよ」

小鳥「それにしても舞さんの口から『寂しい』なんて聞くとは思いませんでした」

舞「そりゃ私だって人の子だから寂しくなる時くらいあるわよ」

小鳥「あ、ありがとうございます」

舞「どうする? とりあえず乾杯しとく?」

小鳥「何にですか?」

舞「愛のお仕事の成功を祈って、かしら」

小鳥「祈らなくても愛ちゃんなら成功しますよ」

舞「それもそうね」

舞「ま、とりあえず何かはわかんないけど、乾杯」

小鳥「乾杯」

小鳥「それで、あたしは舞さんの愚痴に付き合ってればいいんですか?」

舞「まぁ、そうなるわね」

小鳥「はいはい。では聞いてますからどうぞ」

舞「そう言われると言いにくいわね……」

小鳥「いつものふてぶてしい舞さんならこの程度じゃ引かないのに……」

舞「ふてぶてしいとはご挨拶ね」

小鳥「事実を言ったまでです」

舞「……まぁ、実際かなりふてぶてしいなーとは自分でも思うのよ」

小鳥「本当にどうしました? 悪い物でも食べました?」

舞「失礼ね。我が家の食事は全部私が賄ってるのよ。そんな悪い物食べる隙はないわよ」

小鳥「そうでしたね。さすが主婦さまです」

舞「小鳥は結婚の予定ないの?」

小鳥「……帰りますよ」

舞「あー、ごめんごめん。でも、その様子だと、あのプロデューサーくんとは何も進展ないのね」

小鳥「プロデューサーさんは今が一番忙しくて楽しい時期だと思いますから。あたしの事に構ってくれる余裕なんてないですよ」

舞「そうかしら? 私の見た感じだと結構よさげに見えたんだけど」

小鳥「今はあたしの事は良いんです! それより舞さんの事ですよ!」

舞「ごめんごめん」

小鳥「で、舞さんが寂しいなんて本当にどうしたんですか?」

舞「んー……。あ、こっちです。どうもどうも」

舞「なんて言うのか、昔の自分と愛を比べてる感じね」

小鳥「舞さんと愛ちゃんを?」

舞「愛がね、今のお仕事始めてから、前よりもずっと良い笑顔をするのよ」

小鳥「良い事じゃないですか」

舞「うん。その通りだと思うわ」

小鳥「じゃあ舞さんは何が不満なんですか?」

舞「昔の私はあんな顔でアイドルやれなかったなって」

小鳥「あー……」

舞「私はいっつもどこか不機嫌で面倒くさそうな顔してたのよね」

小鳥「そんな顔でもあっという間にトップアイドルになれたんだから本当に化け物ですよね」

舞「失礼ね」

小鳥「でも、事実ですよ」

舞「まぁそうね……」

小鳥「それで、その昔の舞さんと愛ちゃんの笑顔を比べるとどうして寂しくなるんですか?」

舞「多分、寂しいのもあるけど、本当のところは後悔かもしれないわね」

小鳥「後悔?」

舞「そ。愛みたいにアイドルを楽しめなかったなって言う後悔」

小鳥「楽しんでなかったんですか? ……って聞くまでもないですね。あんな顔してましたし」

舞「最初は楽しかったのよ。でも、段々とつまんなくなったの」

小鳥「……」

舞「私もずっと楽しいままだったら愛みたいな笑顔でアイドル出来たのかしら」

小鳥「愛ちゃんと舞さんは違いますから」

小鳥「例え、舞さんがずっと楽しいままでも愛ちゃんみたいな笑顔ではなかったと思います」

舞「母娘なのに?」

小鳥「母娘なのにです」

小鳥「愛ちゃんの笑顔が他の誰にも真似できないように、舞さんの笑顔は舞さんにしか出来ません」

小鳥「そりゃ不機嫌で面倒そうな顔より笑顔の方が良いとは思いますけど……」

舞「愛はどうしてあんなに良い笑顔をするのかしら」

小鳥「アイドルがとても楽しいんだと思いますよ」

小鳥「少なくともあたしの目にはそう映ります」

舞「じゃあ私が楽しかった頃の笑顔なら愛と比べても劣らない?」

小鳥「劣らないとは思いますよ」

舞「思う、ね」

小鳥「舞さんのアイドルやってて楽しそうな笑顔を見たのがもう随分昔ですから。覚えてません」

舞「はぁ……小鳥にすら覚えてもらえないくらい短い間だったのね」

小鳥「そもそもあたしだってすぐ辞めちゃったんで舞さんと一緒だったのなんて一年くらいですし」

舞「……小鳥のせいなのよ」

小鳥「はい?」

舞「私がアイドルやるのつまんなくなったの」

小鳥「……」

舞「一緒に歩いてくれる友達と、一緒に張り合って高め合うライバルを同時に失った私に残ったのは喪失感ばかりだったわ」

小鳥「……仕方ないです。あたしにはアイドル続けるの辛かったんです」

舞「私と一緒は嫌だったの?」

小鳥「いえ……舞さんと一緒はとても楽しかったですよ。それは間違いないです」

舞「なら、どうして?」

小鳥「……自分の才能の無さに心が折れちゃったんですよ」

舞「小鳥にも才能あったわよ」

小鳥「今のあたしならそう思います」

小鳥「でも、当時のあたしのすぐ隣にあたし以上に才能のある女の子が居たんですよ」

舞「……」

小鳥「舞さんが愛ちゃんと舞さんを比べるように、あたしも舞さんとあたしを比べてたんです」

舞「それで、辛くなった、と」

小鳥「そういうわけです。舞さんのせいにしちゃってるあたしはずるいですけど、当時はそうやって割り切ったんです」

舞「小鳥は自分の事しか考えてなかったのね」

小鳥「無茶言わないでください。あたしだって当時は10代の女の子ですよ」

舞「まぁ、それもそうね……私だって自分の事しか考えてなかったし」

小鳥「だから、今の舞さんの気持ち、本当は痛いほど分かります」

舞「……」

小鳥「今の愛ちゃんが羨ましいんですよね。舞さんは」

舞「羨ましい……」

小鳥「自分だってああいうふうになれるはずだったのに、どうしてなれないんだろうって」

舞「そう……その通りね」

小鳥「あたしは……そう考えたら逃げ出すしかなかったんです」

小鳥「舞さんは……どうしますか?」

舞「私と愛の違いって何だと思う?」

小鳥「違いですか?」

舞「そ」

小鳥「えっと……年齢?」

舞「昔の私なら愛ともそう変わらないわよ」

小鳥「えー……じゃあわかんないです」

舞「私と愛の違いは、周りに誰が居るか、だと思うのよ」

小鳥「周りにですか?」

舞「私には友達もライバルも小鳥ただ一人しか居なかったわ」

舞「でも、愛には絵理ちゃんも涼も居るし、二人以外にもたくさん友達もライバルも居る」

舞「そこが私と愛の違い」

舞「孤高って言えばカッコよく見えるかもしれないけど、言っちゃえばただのぼっちよ」

舞「ぼっちなんてなんにも楽しくないの」

小鳥「それが舞さんと愛ちゃんの違い、ですか?」

舞「そ。多分、愛自身と私自身には大きな違い何てないのよ」

舞「でも、周りに誰が居るか。それだけでここまで大きく違ってくる」

舞「765のアイドルもソロの時より、ユニットの方が良い笑顔してるじゃない?」

小鳥「あー、そうですね。確かにみんな一緒に出てる時の方が良い笑顔してますね」

舞「私にはそれがなかったのよね……」

舞「だから寂しいし、私が持ってなかったものを持っている愛が羨ましいんだと思うわ」

小鳥「なるほど……」

舞「こんな愚痴に付き合ってくれてありがとね。小鳥」

小鳥「たまには良いじゃないですか」

小鳥「シュンとしてる舞さんなんて滅多に見れませんし」

舞「それもそうね」

舞「はぁ……」

小鳥「ため息つくと幸せが逃げますよ」

舞「幸せねぇ……」

小鳥「本当に今日はしおらしいですね。いつもの舞さんなら『愛が羨ましいから、私もやる!』くらい言うと思うんですけど」

舞「あ」

小鳥「え? ……あっ!」

舞「それよ! 名案だわ!」

小鳥「待って! 待ってください!」

舞「そうよ! 愛が羨ましいなら、今からでも友達とライバル作ればいいのよ!」

小鳥「あぁ……余計な事言っちゃった……ごめんね……みんな……愛ちゃん……」

舞「そうよね! せっかく愛がこんなに面白そうなお仕事してるんだから私も混ぜてもらいましょ!」

舞「そうと決まれば早速まなみに連絡しなきゃね!」

小鳥「まなみさんに恨まれそうだなぁ……」

舞「小鳥」

小鳥「はい?」

舞「あんたもやらない?」

小鳥「あたしは良いです」

舞「なんでよ?」

小鳥「今のあたしはうちの娘を見るのが何よりも楽しいんです」

小鳥「それこそ舞さんとアイドルやるよりも」

舞「ふーん……言うじゃない。後悔しても知らないわよ」

小鳥「後悔なんてしませんよ」

小鳥「私は今が一番楽しいんです」

小鳥「こうしてたまにお友達と一緒にお酒飲んで、みんなの笑顔を見ているのが」

舞「小鳥……ありがとね」

小鳥「どうしたしまして」

舞「じゃあせっかくだし、お礼も兼ねて今日は全部奢ってあげる!」

小鳥「本当ですか! 舞さん最高!」

舞「というわけで、気の済むまで飲みましょう!」

小鳥「はい!」

End

以上です。

岡本まなみさんがまさかの登場でしたね。
そしてALIVEが聴けるようになりましたね!
劇場には愛ちゃんが出てくれましたね!!
これはもう本気で舞さんの登場もありえますよね!!!

期待してやまないです。本当に……。

876に興味を示された方は是非ゲームのプレイをおススメします。
……と言いたかったんですが、Amazonでプレミア価格になってましたね。

でも、こうしてまた876が展開してくれて私は嬉しい限りです。どうかこのままアニメ化!なんて事になったりしないかなーなんて……。

何はともあれお読み頂ければ幸いです。依頼出してきます

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