八幡「俺が仮面ライダーに……?」 (60)

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』と『仮面ライダー龍騎』のクロス作品です。

俺ガイルのキャラがライダーとなって戦います。

以前こちらに投稿していた『仮面ライダーぼっち』『ぼっちライダーディケイド』の改稿、完全版です。

前作を読んでくださっていた方、スレを落としてしまい誠に申し訳ありませんでした。

疑問点等ありましたら、些細なことでもお答えしますのでお気軽にどうぞ!

感想もらえたらとても励みになります!

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1479890197

「おい比企谷、聞いているのか?」

「高校生活を振り返って」という作文の課題を提出した俺こと比企谷八幡は、職員室で説

教を受けていた。

「なぁ、比企谷。私が君たちに出した課題は何だったかな?」

現代文担当の教師平塚静が俺に詰問する。

「……はぁ、高校生活を振り返って、だったと思いますが」

「それで、どうしてこんなものが出来上がるんだ?」

「どうしてといいましてもね……俺は素直に思った事を書いただけですよ?」

「君は素直になると犯行声明を書いてしまうのか?」

静がため息をつく。

「犯行声明って……ずいぶん物騒なことを言いますね」

「物騒なことを書いたのは君なんだがな。……まぁ、一応言い訳くらいは聞いてやる」

「言い訳、ね。その時点で俺の意見を認める気がないじゃないですか。そんな人に言うこと

はありませんよ」

「ほう、言うじゃないか。だがこういうものは普通、自分のことを省みると思うのだがな」

「普通、ね。嫌いなんですよその言葉。俺いっつも集団からはじかれるような人間なんで」

「屁理屈を言うな、小僧」

「小僧って……そりゃあなたの歳からしたらゴフゥッッ!」

腹パンされた。なんだこいつ……。

「何すんすか……」

「言葉では伝えられないこともあるだろう」

「あんた国語教師だろうが。早々に言葉の力をあきらめてんじゃねぇよ」

「ふっ、国語教師だからこそさ。言葉にはできることとできないことがあると知っている」

だからといっていきなり暴力に頼るか……。

「わかりましたよ、書き直せばいいんでしょう書きなおせば」

「当たり前だ。それと比企谷、きみに質問がある」

「なんですか?」

不機嫌さを隠さずに俺は言う。

「君は、部活とかやっているのかね?」

「いいえ」

「友達とかはいるのか?」

「平等を重んじるのが俺のモットーなんで、特に親しい人間は作らないようにしてるん

すよ」

「つまりいないんだな?」

「まぁ、そういう解釈もできますね」

「やはりそうか!私の見立て通りだな!」

俺を傷つけるだけの事実確認がしたかったのか?

「彼女とか、いるのか?」

「今はいないですね」

まぁいたことないけどね!

「そうか……よし、こうしよう。レポートは書き直せ」

まぁ、異論はない。さっき自分で認めたしな。

「はい」

「だが、君の心ない言葉に私が傷ついたのも事実だ。女性に年齢の話をしないのは常識だろ

う」

「不文律を根拠に責められるのは釈然としませんね……それに、

そっちは俺の体を傷つけたんだからお相子でしょう」

「体の傷はすぐに治る、だが心の傷は一生治らないんだよ」

知ったこっちゃねぇよんなもん。

「罪には罰を与えないとな。君には、奉仕活動をしてもらう」

「奉仕活動……?」

なんだよ、面倒くせえな。俺の揚げ足とって自分の仕事手伝わそうとしてるんじゃ

ねぇの。つーか、落ち度の面でいえば圧倒的にこいつのほうが大きい気がするんだが……

仕方ない。今後は当たり障りのないことを書くようにしよう。

そう自分に言い聞かせる。 正論が通じない人間はことのほか多い。

「付いてきたまえ」

平塚に連れられて、特別棟の廊下を歩く。

嫌な予感がする。というかこの人といて嫌な予感がしなかったことがない。

階段を上り、ついに最上階の四階まで来た。

「着いたぞ」

平塚が立ち止ったのは何の変哲もない教室。プレートには何も書かれていない。

俺が不審に思っていると、彼女はがらりとそのドアを開けた。

教室内には机と椅子が無造作に積み上げられており、そのスペースの約半分が埋め尽くさ

れている。

物置代わりか何かだろうか。特別な内装などは一切ない、普通の教室。

その中心に、彼女はいた。

座って本を読んでいる少女は、まるで世界の終わりが来ても彼女だけはそうしているんじ

ゃないかと思わせるような、そう錯覚させるような雰囲気。

不覚にも俺は見とれてしまった。

彼女は来訪者に気付くと、本を閉じてこちらを見上げる。

「平塚先生、ドアを開ける時にはノックをお願いしたはずですが……いつになったらあな

たには常識が身につくんですか?」

端正な顔立ち。しかしそこから放たれた言葉は刺々しかった。

「ノックしても君は返事をしないだろう?」

「返事をする前に先生が入ってくるんですよ」

彼女は不満そうな顔をする。

俺は、この少女を知っている。二年J組雪ノ下雪乃。常に学年一位をとる秀才。

その上容姿端麗で、この学校で知らない者はいないというほどの有名人だ。

「それで、そのぬぼーっとした人は?」

ぬぼーって、お前。俺は水地面タイプのポケモンじゃねぇッつーの。

「彼は比企谷八幡。入部希望者だ」

「二年F組比企谷八幡です。って、おい、入部ってなんだよ」

「君にはペナルティとしてここでの部活動を命じる。異論反論抗議質問口答えは認めない」

「そうですか……」

俺はくるりと背を向けて歩き出す。俺は早々と帰ることにした。

「おい!どこへいく!」

「いや、口答えすんなっていったのはそっちじゃないですか。だから行動で示してるんで

すよ」

「そんな言い訳が通じると思うのかね」

「俺は別に悪いことしてませんからね。先生に年齢の話をしたからって理由だけで部活な

んてまっぴらごめんですよ」

「知らないのか?女性に年齢を聞くというのは、それだけでセクハラになるんだぞ?」

「別に聞いたわけじゃねーし。なら訴えるなりなんなりご自由にどうぞ」

ったく。こんな茶番に付き合っていられるか。

「デス・バイ・ピアーシングッッ!!」

何故ブラックロータスの必殺技を?と聞く前に俺は勢いよく蹴り飛ばされていた。

「何すんだよ!」

「うるさいうるさい!口答えするな!いいからここで部活しろ部活しろ部活しろー!」

なんだこの人……子供かよ。

平塚先生に腕を掴まれ、再び教室内に引き戻される。

「というわけで、彼はなかなか根性が腐っている。そのせいでいつも孤独な哀れむべき奴

だ」

こいつ本当に殴ってやろうかな。

「人との付き合い方を学ばせれば少しは変わるだろう」

暴力でしかコミュニケーション取れないあんたが言っても全く説得力ねーけどな。

「こいつを置いてやってくれ。彼の孤独体質の改善が私の依頼だ」

「それなら先生が殴るなりなんなりして躾ればいいじゃないですか」

なんてことを言いやがるんだこの女は。

「私だってそうしたいが最近そういうのはうるさくてなぁ」

テメェさっき思いっきり俺に攻撃しただろうが。

「お断りします。その男の下卑た目を見ていると身の危険を感じます」

雪ノ下が襟元をなおしながら、俺を睨みつけながら言う。

「はっ!言ってくれるな、自意識過剰女」

「自意識過剰、ね。仕方ないじゃない。私はあなたと違って美しいんだから」

その通りなのが腹正しいところである。

「安心したまえ、その男は自己保身にかけては長けている。決して刑事罰に問われるよう

なことはしない。こいつの小悪党ぶりは信用していいぞ」

「釈然としねぇ……。それは常識的判断ができるとか言えないんですかね」

「小悪党……。なるほど」

なんで初対面の相手にこんなに罵倒されなならんのだ。

「まぁ、先生からの依頼とあれば無碍にはできませんね。いいでしょう、その依頼、受け

ましょう」

「そうか、なら後は頼んだぞ」

あー、面倒事に巻き込まれちゃったよ。ポツンと取り残される俺。

なんだあいつは。もしかして美少女と二人で同じ部活をやっていれば、アニメやラノベよ

ろしく人気者になる!とでも思っているのだろうか。だとすればとんだ見当違いである。

訓練されたぼっちは甘い話など断じて持ち込ませない。

それに俺は、好きで一人でいるのだ。他人にどうこう言われる筋合いはない。

……つーか俺は、ここでこの美少女様と何をすればいいんだろう。

「何か?」

俺の視線に気づいたのだろうか。雪ノ下が声をかけてきた。

「ああ、どうしたものかと思ってな」

「何が?」

「いや、俺何も説明受けてなくてな。ここがなにする場所なのかもいまだにわかってない」

俺がそういうと、雪ノ下は不機嫌そうに本を閉じ、こちらを睨みつけた。

こいつ睨まないと会話できねぇのか?

「では、ゲームをしましょう」

「ゲーム?」

「そう、ここが何部かを当てるゲームよ」

「あんた以外に部員は?」

「いないわ」

ふむ、そうだな……。ぼっちには、常人にはない能力が一つだけある。それは、深い思考力

だ。普段の生活で他人との会話にエネルギーや時間を使わないため、その分自分

の中での思考は高度なものとなる。

特別な道具を必要とせず、一人でも活動が成り立つ。

ピカンと来たぜーッ!

「文芸部、だな」

「違うわ。……死ねばいいのに」

なんでクイズに失敗しただけで死ななならんのだ。

「あー、お手上げだお手上げ。わかんねぇよ」

「今私がこうしてあなたと会話していることが最大のヒントよ」

なんだそりゃ?さっぱり正解に結びつかない。

「比企谷君、女子と最後に会話したのはいつ?」

……そう、あれは二年前の六月のことだ。

女子『ねぇ、ちょっと暑くない?』

俺『ていうか、蒸し暑いよね。』

女子『え?あ、うん。』

まぁ、俺に話しかけられてたわけじゃないんだけどね。俺の黒歴史の一つである。

「持つ者が持たざる者に救いの手を差し伸べる。これを奉仕というの。ホームレスには炊

き出しを、もてない男子には女子との会話を。困っている人に救いの手を差し伸べる。そ

れがこの部活よ」

一呼吸おいて、彼女は続けた。

「ようこそ奉仕部へ」

ふむ、つまりはスケット団みたいなものか。

「優れた人間には、哀れな人間をすくう義務がある。あなたの問題を矯正してあげるわ。感

謝なさい」

「憐れむべき人間……か。そんなふうに思っている奴には、誰も救うことなんかできねぇよ」

「へぇ……口だけは立派ね」

「つーかお前俺とあってから十分もたってねぇだろうが。俺が口だけかどうかなんてわか

らないんじゃねぇの?」

「……やはり、あなたの孤独体質はそのひねくれた考え方が原因のようね。それに、目も腐

っている」

俺の目は関係ないだろ……。

「目のことはいいだろ」

「そうね、今さら言ってもどうしようもないものね」

「そろそろ俺の両親に謝れよ」

「確かにそうね。いちばん傷付いているのはご両親よね」

「お前には自分の非を認めるということができないんだな。なら、これ以上話すこと

はない」

「そうね、ある程度の会話シュミレーションは終了ね。私のような美少女と会話ができた

のだから、大抵の人とは会話できるはずよ」

雪ノ下は満足そうな表情を浮かべている。

「はいはいそれはどうも」

「納得していないようね……」

「今まであってきたやつらは、お前が綺麗だからって特別扱いしてくれたのか?ずいぶん

おめでたい人生だったんだな。羨ましいぜ」

突如、がらりとドアが開けられる。

「雪ノ下、苦戦しているようだね」

「この男がなかなか自分の問題を認めないんです」

問題ね……。

「いい加減にしろよ、あんたら。さっきから変革だの問題だのと好き勝手に言いやがって。

俺はそんなもの求めてない。あんたらの自己満足のために俺を巻き込むな」

「はたから見ればあなたの人間性には大きな問題があると思うわ。そんな自分を変えたい

と思わない?向上心が皆無なの?」

「少なくとも、お前らよりはまともな人間だと思ってるよ。変わるだの変われだの、他人

に俺の『自分』を語られたくねぇンだよ。つーか、人に変われと言われた程度で変わる

なら、そんなもんは『自分』じゃねぇ」

「自分を客観視できないだけでしょう?あなたのそれは、ただの逃げよ」

「変わることだって、現状からの逃げだ」

「それじゃぁ悩みは解決しないし、誰も救われないじゃない」

「ああ、その通りだ。さっきも言っただろ、お前にはだれかを救うことなんてできない」

俺と雪ノ下は激しく睨みあう。

「二人とも、落ち着け」

険悪な状態の俺達を、平塚が止める。

「それではこうしよう。今から君たちのもとに悩める子羊たちを送り込む。彼らを君たち

なりに救ってみたまえ。そして自分の正しさを証明するといい。スタンドアップ!ザ!ヴ

ァンガードっ!!」

「お断りです。それと先生、年甲斐もなくはしゃぐのはやめてください。見ていて気分が

悪いので」

「と、とにかくっ!勝負しろったら勝負しろっ!お前らに拒否権はないっっ!」

俺達は表情を曇らせる。

「むぅ……なら君たちにメリットを用意しよう。勝った方がなんでも命令できる、という

のはどうだ?」

なんでも……か。

「この男が相手だと貞操の危険を感じるのでお断りします」

「貞操、ね。本当にお花畑な頭だな。……俺が勝ったらお前には、死んでもらう」

「へぇ、おもしろいわね。いいわ、その勝負、受けてあげる」

「決まりだな」

しまった……いつの間にか乗せられていた……。

そんな俺達を見て、平塚先生は嫌らしい笑みを浮かべていた。

「勝負の裁定は私が下す。まぁ、適当に頑張りたまえ」

そう言い残し、平塚は部室を去った。残された俺達は、それ以降一切口を利かずに、読書を

して、チャイムが鳴ると帰路に就いた。

ああ、面倒臭いことになっちまった。

さて、あんなことがあった次の日のことである。

やっと授業が終わった。早く帰ること風のごとし!

俺は急いで帰り支度を済ませる。

部活?何それ。食べられるの?

教室のドアを開けると、そこには悪魔がいた。

「やぁ、比企谷。今から部活かい?」

「……ご明察ですね」

「そうかそうか。それは良かった。逃げたらどうなるか、わかっているな」

「わかってますよ」

しぶしぶ俺は、奉仕部の部室へと向かう。その足取りは当然重い。

「ん?なんだこれ?」

三階から四階へとつながる階段で、俺は黒いカードデッキを見つけた。拾い上げてみてみる

が、 表にも裏にも何も書かれていない。

よく見てみると、バックルには2枚のカードが挟まれていた。

「SEAL」と書かれたカードと、「CONTRACT」と書かれたカードだ。

トレーディングカードか何かだろうか?まぁいいや。後で紛失物入れに入れといてやろう。

そう思い、ポケットの中にデッキを入れる。

部室に着くと、鍵は開いていた。

椅子にすわり、一人読書をする。まぁ、こんだけでいいんならさほど生活に支障はないかな。

そう思った瞬間、

「うっっ」

今までに味わったことのないような激しい頭痛に襲われた。

気持ちわりい。なんなんだこれ……。

次の瞬間、俺は自分の目を疑うことになる。

教室の窓から、突如糸が伸びてきて、俺の体に巻きついたのだ。そしてその窓の中には、巨

大なクモの化け物が。

「が…はっっ…」

ものすごい力で糸に引っ張られる。

「や、めろ……くそ、ほんとに何なんだよ……」

そして俺は……、

鏡の中に入った。

何を言っているんだと思うだろうが、事実なのだから仕方がない。

間違いなく、俺は鏡の中に入ったのだ。

鏡面に触れた瞬間、重力が消えた。謎の浮遊感に見舞われる。頭痛はいつの間にか消えてい

た。

浮遊感が消え、目を開けるとそこは、先ほどと変わらぬもとの奉仕部の部室だった。

いや、変わらないわけではない。そこには、俺を引きずりこんだクモの怪物がいた。

「ひうっっ……」

俺は情けない声をあげてしまう。ふと、自分の手を見ると、それは自分の物ではなかった。

灰色なのだ。手が、灰色。灰色で、金属質な感じがする。

「ああ?」

これは、夢だ。そうに違いない。鏡の世界なんて存在するはずがないし、俺の体

おかしくなってるし。

すると、クモが巨大な脚で俺に攻撃を仕掛けてきた。

「ガァッ!」

痛い。めちゃくちゃ痛い。たとえ夢だとしても痛いのは嫌だ。つーか待て、夢の中って五感

が鈍くなるはずだろ……?なんでこんなリアルな痛みが……?

ともあれ逃げようと思い、動こうとしたがその前に蜘蛛が糸を吐き出し、再び俺の体を拘束

した。

身動きが取れない俺に、蜘蛛は容赦なく攻撃を仕掛けてくる。

その足が、俺の体を抉ろうとしたまさにその時。

何かがその攻撃を止めた。

「驚いたわ。まだ契約していないライダーがいるなんて。」

どこか蝙蝠を連想させるような体の色をした、俺と同様金属で身を覆われたそいつは、そう

語りかけた。

「け、契約……?」

「本当に何も知らないの……?後ろで隠れてなさい。」
「Sword Vent」

そいつは俺が手にしたのと同じようなデッキ(ただ、そいつのそれには中央に蝙蝠型のマー

クがあった。)からカードを取り出し、持っていた短剣にスキャンさせると、空から細長い

槍が降ってきた。

その槍で蜘蛛に攻撃を繰り出す。

なるほど、あれで武器を出すのか。

「Sword Vent」

俺もバックルからカードを取り出し、(いつの間にかカードが一枚増えていた。)左手の機械

にスキャンする。

同じように、空から剣が降ってくる。

「よしっっ!」

しっかりと剣を両手で握る。

助走をつけて、斬りかかる。

「馬鹿、やめなさい!」

俺の振るった剣が、蜘蛛の足に当たった瞬間、剣が無残にも砕け散った。

「ブランク体でモンスターが倒せるわけないでしょう!いいから下がってて!」

「す、すまん……。」

そいつは、蜘蛛と激しい戦いを繰り広げる。すげえ迫力だな。
「これで決めるわ!」

「Final Vent」

すると、どこからともなく蝙蝠型のモンスターが現れる。

「ま、またモンスター!?」

「ダークウイングッ!」
そいつはそう叫び、高くジャンプする。すると、その体を蝙蝠が覆った。どうやらあいつは

味方らしい。

蝙蝠と合体し、ドリルのような形で、敵に向かって急降下する。

「飛翔斬っっ!」

期待

何で前スレ落としたの?
今回はどのくらいで落ちる?

⇒⇒⇒12

ありがとなす!

⇒⇒⇒13
受験勉強やべぇ!ってなったからです……。

今回は、落とさないはず……です。

その攻撃は、蜘蛛の銅を貫いた。

大きな爆発を挙げて、蜘蛛が消滅する。

「すげぇ……」

戦いを終えたそいつが、俺の方に向かってくる。

「あなた、いったい何者?どうも巻き込まれただけのようだけど」

「な、なぁ!これっていったい何なんだよ!教えてくれ!」

「呆れた……本当に何も知らないのね。まぁ、いいわ。元来た道を戻りなさい」

「元来た道?」

「鏡からこの世界に入ったでしょう。入ってきた鏡に体を触れれば、もとの世界に戻れる

わ」

「そ、そうか……うぁっっ!」

突如空から、炎が降ってきた。見上げると、赤い龍のモンスターが空からこちらを見下ろし

ていた。

「無双龍、ドラグレッダー……」

そいつはつぶやき、

「ハアアァァァッッ!」

勢いよく龍のモンスターに向かっていく。

でも、相手は空中にいるんだぞ?攻撃届くのか?

「Advent」

カードをスキャンすると、再び蝙蝠のモンスターが現れる。

そして、そいつの背中にくっつくと、そのまま空中に飛び上がった。

なるほど、こうやって空中戦をするつもりか。

しばらくは力が拮抗していたが、敵は炎攻撃という遠距離技を持つのに対し、どうもあい

つはそれを持たないようで、徐々に押されていった。

「グガァァッッ!!」

龍が突進を仕掛ける。その勢いを殺しきれず、そいつは思い切り地面に叩

きつけられる。

龍は咆哮を上げ、追い打ちをかけるように、炎を吐く。

やばいだろ。このままじゃあいつやられちまうぞ。

俺はとっさにそいつのそばに駆け寄る。

「お、おい!しっかりしろ!」

「は、早く逃げなさい。あなたには何も……」

いや、一つだけ可能性がある。俺がもっている「Contract」というカード。こ

れは確か、「契約」とかそういう意味だったはずだ。

こいつが蝙蝠のモンスターを使役しているのを見る限り、このカードを使えば、龍のモ

ンスターを味方にできるかもしれない。

まぁ、この状況ではそれ以外に手はないだろう。

「おい!龍野郎!これを見ろっ!」

契約のカードを龍に向けてかざす。

「ば、バカ……そんな事をしたら!」

龍が、俺に突進してくる。

くそ、無理だったか……?

衝撃を覚悟し足に力を込める。

しかし、俺が吹き飛ぶことはなかった。

龍のモンスターはカードに吸い込まれていった。

カードの絵柄が変わる。

先ほどまで渦が描かれていたそこには、赤き龍の絵が。

「Drug Redder」

「ドラグ……レッダー……」

突如、俺の体に変化が起きる。

さっきまで灰色だったその体は、深紅の色に染まる。

力が、みなぎる。最後に、真っ黒だったデッキの中央に龍の紋章が浮かび上がった。

「仮面ライダー……龍騎……」

そいつは静かに、つぶやいた。

「龍騎、ライダーになったからには、あなたは私の敵よ!」

そして突然、俺に攻撃を仕掛けてきた。

「な、何だ!何のつもりだ!」

なんだこの変わりようはっ……!

「ライダーは、共存できないっ!」

「なに言ってっ!」

「冥土の土産に聞きなさい。私はナイト……仮面ライダー、ナイトっ!」

そいつ、いや、ナイトは、鋭敏な動きで槍を突き出す。

「くっそっ!とち狂いやがって!」

俺はデッキに触れる。契約したことで、そのカードは増えていた。

「何かないか……これだ!」

「Guard Vent」

龍の腕の形をした楯2つを手に持ち、攻撃をしのぐ。

しかし、守るだけではジリ貧だ。

「この野郎、いい加減にしろっ!」

「Strike Vent」

龍の頭を模した武器を、右腕に装着する。

「くらえッッ!」

それを突き出すと、後方からドラグレッダーが現れ、勢いよく炎を吐き出した。

苦悶の声を上げ、ナイトがのけぞる。

ったく、こっちには戦う気なんかないっつーの!

「ちょっとだけ時間を稼いでくれよ」

「Advent」

攻撃を終え、いとどは消えた龍を再び呼び出す。

いとどは⇒一度

ドラグレッダーにナイトの相手をさせている隙に、この世界に来るときに引き込まれた鏡へと急ぎ、

元の世界へと帰還した。

改めて奉仕部の椅子に座り、龍の紋章が入ったカードデッキを眺める。

「しっかし、これはいったい……」

夢だと切り捨てるには感覚がリアルすぎる……。

「いや、だがあれは……」

と、そこに雪ノ下雪乃が入ってきた。

「よお」

「こんにちは、もう来ないと思った……え?」

「ん?どうした?」

「あなた、それ……」

俺のカードデッキを指さしてそう言った。

「ああ、これか。俺もよくわかんねぇんだけどよ」

「そう、ふふ。奇妙な縁もあったものね」

「あ?何言って……」

雪ノ下はそう言って、ポケットに手を突っ込む。

「本当に、奇遇よね」

彼女が手にしたのは、俺が今持っていたのと同じようなカードデッキ。そしてその中央に描かれて
いるのは、蝙蝠のエンブレム。

「お前……」

「そう、私は仮面ライダーナイトよ。比企谷君。いいえ、仮面ライダー龍騎」

すみません、奉仕部部室内で一連の戦闘を行うと、かなり矛盾が生じますね……。

天井があるのにどうやって飛翔斬うったのかとか、ドラグレッダーと空中戦を行うような高さはないとか……

がばがばで申し訳ナス!もう少しよく見直してから投稿します……。

蜘蛛との戦闘の時点で開けた場所まで八幡が逃げたとか、保管オナシャス!

乙です

「雪ノ下……お前!さっきは何なんだよ!いきなり襲ってきやがって!」

「当然でしょう?ライダーは共存できないって、言ったじゃない」

首をかしげて雪ノ下は言う。

「それが訳わかんねぇッつってんだ。何だよライダーって!」

「……そうね、別に教える義理はないけれど、何もわかっていない相手を攻撃する

というのも気が進まないわね……。いいわ、教えてあげる」

「私も細かいところまでは知らないけどね。このカードデッキを手にして、モンスターと契約

したものは、仮面ライダーと呼ばれる存在になる。そしてライダーは、モンスターや他の

ライダーと戦うのよ」

「モンスターと戦うってのは、わかる。だが、なんで同じライダー同士が戦うんだよ」
「ライダー同士は戦い、殺しあう。そして、最後に生き残ったライダーはなんでも願いをか

なえることができるのよ」

雪ノ下のような奴がそんな突拍子もないことを言い出すことに戸惑いを覚える。

「は、はぁ?なんでも願いがかなうって、お前それ本気で言ってんのか?」

「そうね、確かに普通ならあり得ないし、信じる方がおかしいんでしょう。でも、それで

もそれにすがるしかない。そんな人だけがライダーになるの。どうしてもかなえたい願い

がある者だけが」

「叶えたい、願い……」

雪ノ下の表情は真剣そのもので、とても茶化すことなどできなかった。

「ライダー同士が戦う理由はわかったかしら?それじゃぁ、始めましょうか」

「ま、待てって!殺し合いって……」

「ライダーバトルに敗北したライダーは死ぬ」

いとも簡単に、彼女はそういってのけた。

「戦いに負けたら死ぬ。戦うことから逃げて、モンスターにえさを与えられなくなったら、

契約モンスターに食い殺される」

「えさ?」

「モンスターは、別に仲間になったわけじゃない。ライダーに力を与える代償として、餌を

要求する。餌になるのは、同じモンスターかライダー。そして、モンスターが満足できるだ

けの餌を与えられなくなれば、契約破棄とみなされ、モンスターに食い殺される

……さて、もういいかしら?」

「だから待てって!俺は戦う気なんてない!」

「あなたになくても私にはあるのよ。それに昨日言ってたじゃない。勝負に勝ったら私に

は死んでもらうって。そんなことを言っていいのは、死ぬ覚悟のある人間だけよ」

「あれは……それとこれとは話が……ウオッ!」

鏡の世界から、蝙蝠のモンスターが飛来し、俺を襲った。幸い回避できたが、一瞬でも遅

れたら危なかった。

「なんのつもりだ!」

「わからない?戦わないというなら、私はこうしてあなたを襲わせるわよ?」

「言ってもわかんねぇ奴だな。なら、一発ぶん殴って無理矢理にでも言うことを聞かせて

やる」

「その言葉を待っていたわ」

俺達二人は鏡の前に立つ。

雪ノ下が、バックルを前にかざす、すると、鏡の中からベルトが出現し、彼女の腰に巻き

つく。

「ミラーワールドに行く時はこうするの。まぁ、あなたは今日で行くのが最後でしょうけ

どね」

「残念だがそうはなんねぇよ」

「変身!」

デッキをベルトに入れると、彼女の姿は雪ノ下雪乃から、仮面ライダーナイトへと変わ

った。

「待っているわ」

そう言い残して、彼女は鏡の中に入って行った。

バックレたいが、あんな化け物にしょっちゅう襲われてはやってられない。それに、家で

襲われたら家族にも危険が及ぶ。

小町への危害は絶対に許さない。

「やるしかないのか……」

雪ノ下がしたように、俺もバックルをかざす。

「変身!」

安価をできるようになってから出直せks

龍騎見始めたばっかだからタイムリーだわ。期待。

⇒⇒⇒24
すみません、安価のつもりではなく、この番号でコメントしてくださった方への返信のつもりで書きました。

⇒⇒⇒25
ありがとなす!

俺は再び、謎の世界へと入って行った。

「来たのね。しっぽを巻いて逃げると思っていたわ」

「あんなふうに脅されちゃあかなわんだろうが。こんなこと、俺が止めてやる」

「戦いを止めるために戦うライダー、ね。馬鹿なのかしら」

「馬鹿はそっちだろうが。テメェにどんな願いがあろうと、絶対止めてやるからな。こん

なの、認めてたまるか」

「なら、あなたは勝っても私を殺さないのかしら?」

「悪いかよ」

「ふん、お人よしね。そんなことを言ったら私が手加減するとでも思っているの?

だとすれば甘すぎると言わざるを得ないわね」

「別にんなこと思ってねぇよ。昨日会ったばかりだが、お前がそんなないってことくらいは

わかる」

「そう、それはよかったわ。なら、そろそろ始めましょうか」

「Sword Vent」

ナイトが再び槍を手にする。

「Sword Vent」

こちらも剣を手にする。先ほどのよわっちい武器ではなく、龍のしっぽを模した立派な剣

だ。

「行くぞ!」

攻撃の体制を取り、走り出す。

喧嘩の経験なんて皆無だが、それなりに体は鍛えているつもりだ。
「力だけじゃライダーバトルには勝てないわ」

「Nasty Vent」

ナイトが新たなカードをスキャンすると、契約モンスターである蝙蝠が飛来する。

「キィィィィィィィィィンッッ!」

超音波が、俺の耳を襲う。

平衡感覚を失う。何だ、これ……。

「いくわよ」

まともに動けない俺を、ナイトが何度も槍で痛めつける。

剣で応戦しようとしたが、どうやらいつの間にか放してしまったようだ。

「ウアアッッ!」

最後に思い切り振りあげた彼女の攻撃で、俺は勢いよく吹き飛んだ。

「くそ……」

「Strike Vent」

先ほど彼女を撃退した龍の頭型の火器を呼び出す。

「くらえええっっ!」

ドラグレッダーが現れ、灼熱の炎を吐き出す。

しかし彼女はジャンプして、軽々とそれをよける。

「Advent」

蝙蝠が再び現れ、彼女の背中に張り付く。

そしてそのまま、空高く跳びあがった。

くそ、空中戦?そんなのできね……いや、そうでもないか。

「Advent」

「ガアアアアアアァァァッッ!!」

けたたましい咆哮をあげ、ドラグレッダーが現れる。

その背中に乗り、俺も空中へと舞い上がる。

「頼むぞ!ドラグレッダー!」

龍のはきだす炎で、ナイトに遠距離攻撃を仕掛ける。

「そっちに遠距離武器がないのはわかってんだよ!」

彼女はさっきから、回避行動しかとれていない。

「蝙蝠が龍に勝てると思うなッ!」
「そっちこそ、あなたごときが私に勝てると思わないことね!」

「Final-Vent」

やべぇ、さっき見たあいつの必殺技だ。

ドリル状になって急降下する超威力の技。あんなもんくらってたまるかよ!

どうする?もうあいつは攻撃態勢に入っている。

俺はデッキからカードを取り出す。

なにか使えそうなのは……
これだっ!

龍のエンブレムが描かれた、他のカードとは少し仕様が違うカード。

俺はそのカードを急いでスキャンした。

「Final-Vent」

カードをスキャンすると、俺はくるくると回りながら高くジャンプした。

そのまま、キックの体制をとる。そんな俺の後ろから、ドラグレッダーが勢いよく炎を吐

く。その炎が俺にあたったが、不思議と何の痛みも感じない。

「ドラゴンライダーキックっ!」

即座に命名したはいいが、何ともダサい。

俺とナイトが激突し、大きな爆発が起きる。

「グアアアアァァッッ!」

「うううううっっ!」

俺達は、無様に地上を転がる。

何とか立ち上がるが、どちらも満身創痍で、完全に肩で呼吸している状態だ。

「はぁ……はぁ……まだ、やるつもりかよ」

「そうしてもいいのだけれど……。まぁ、いいわ。今日はこのあたりにしておきましょう」

「へっ、そりゃよかった」

俺とナイト、雪ノ下は元の奉仕部部室へと戻った。

「はぁぁぁ……酷い目にあったぜ」

「ライダーになった以上、それは宿命ね」

「けっ、戦いを仕掛けてきたお前のせいだろうが」

「勝手に契約したあなたが悪いわ」

さっきまで命がけの戦いをしたというのに、彼女の態度は昨日と寸分たがわない。

何というか、きもの座った女である。

かくいう俺も、あんな戦いをしたというのに、彼女に対して悪感情は抱いていなかった。

むしろ昨日よりも好感を持っているとさえいえる。

本気で戦ったら友情が芽生えるというあれだろうか。

なら、なら、俺と彼女は。

「なぁ、雪ノ下。俺と友達に」

「ごめんなさい。それは無理」

「えー、まだ最後まで言ってないのに」

この野郎、断固否定してきやがった。やっぱこいつ、全然可愛くねェな。

やはり、俺の青春ラブコメはまちがっている。

仮面ライダー龍騎 所持カード

Advent 5000AP

契約モンスター、無双龍ドラグレッダーを召喚する。突進、もしくは火炎攻撃を行う。

Sword Vent 2000AP ~ドラグセイバー~

ドラグレッダーの尾を模した剣。

曲刀である。短めだが、小回りが利きやすいという利点がある。

Strike Vent 2000AP~ドラグクロー~

ドラグレッダーの頭部を模した武器。打撃武器として殴りつけることもできるが、基本的に

はドラグレッダーを呼び出し火炎攻撃を行うことが多い。(Adventとは別扱い)

威力は劣るが、ドラグレッダーなしでこの武器だけで火炎攻撃を行うこともできる。

Guard Vent 2000GP~ドラグシールド~

ドラグレッダーの腕部を模した武器。最大二個まで展開できる。

物理攻撃にも強いが、ドラグレッダーが炎をつかさどる龍ということもあり、特に炎攻撃に

は強い。肩に装備することもできる。

Final Vent 6000AP~ドラゴンライダーキック~

ドラグレッダーの吐き出す炎を身に浴び、その状態で空中からのキックを放つ。

このことから、ファイナルベント中は契約モンスターからの攻撃が無効化されると思われ

る。龍騎本編ではテレビスペシャル以外この技はすべて成功しており、文字通りの必殺技で

ある。

ブランク体 所持カード
Sword Vent 300AP~ライドセイバー~

正規ライダーに比べて極めて貧弱な武器である。敵に攻撃して武器のほうが折れるという

体たらくであり、実用的ではない。

Guard Vent 300GP~ライドシールド~
龍騎本編には登場しなかった武器。ライドセイバー同様、相当貧弱なものだと推測される。

ブランク体は契約モンスターがいないため、アドベントやファイナルベントは存在しない。



期待

乙です

仮面ライダーナイト 所持カード
Advent 4000AP~ダークウイング~
蝙蝠のモンスターダークウイングを召喚する。突進攻撃を行う。

Sword Vent 2000AP~ウイングランサー~
槍上の武器。ほかのライダーの近接戦闘武器に比べてリーチが長く、ナイトを接近戦得意な

ライダー足らしめる一因となっている。

Guard Vent 3000GP~ウイングウォール~
マント状になったダークウイングを背中に装着する。装備箇所が背中ということで、普通に

装備しただけでは正面からの攻撃には効果が薄い。ただし、後方からの奇襲攻撃などには有

用性を発揮する。

しかし特筆すべきは、防御能力に関してではなく飛行能力を与えることにある。

これにより空中戦を行うことができるようになる。

Nasty Vent 1000AP~ソニックブレイカー~
ダークウイングを召喚し、超音波攻撃を放つ。超音波によってダメージを与えるというより

は、相手の平衡感覚を崩し、攻撃の起点や、ピンチからの脱出手段として用いられる。

蝙蝠らしいトリッキーな一枚である。

Trick Vent 1000AP~シャドーイリュージョン~
自身の分身を発生させる。

分身体は一定のダメージを受けると消滅する。

本物に一定以上のダメージが加わるとすべての分身が消滅する。

Final Vent 5000AP~飛翔斬~
ダークウイングと合体し、ドリル状となり急降下しながら敵にぶつかる。

戦いを終えた俺達は、昨日と同様チャイムと同時に解散した。

そしてその翌日である。

「ふぅ……」

俺はため息をついて部室へと向かった。しかし昨日ほど足取りは重くない。なんでだろうな。

さっぱり分からない。そういうことにして置いてくれ。

「よう」

「こんにちは」

にこりともせずに雪ノ下は挨拶をする。

「今日は、戦おうなんて言わないのか?」

「戦いたいの?私は別にいいけど?」

「勘弁してくれ。まだ体が痛むんだよ」

「ま、今日は勘弁してあげるわ」

雪ノ下が軽く笑いながら言う。

と、そこに。

コンコンと、ドアをノックする音が響く。平塚ではないだろう。あの人はノックな

んかしないし。

「どうぞ」

「失礼しまーす」

緊張しているのか、少し上ずった声だった。

戸が開かれ、ちょっとだけ隙間が開き、そこに身を滑り込ませるように彼女は入ってきた。

誰かに見られるのを嫌うようなそぶりだ。

肩までの茶髪に緩くウェーブを当てて、歩くたびにそれが揺れる。ちなみに胸も大きい。

雪ノ下とは比べ物にならない。俺と目が合うと、驚いたような声を上げる。

「なんでヒッキーがここにいるし!」

「いや、俺ここの部員だし」

ていうかヒッキーって俺のこと?

つーかこいつ誰だよ?正直言って全く覚えがない。

チャラそうな見た目。俺なんかとは全く接点がなさそうな奴だ。まぁほとんどの奴とは接

点がないんだけどね!

「2年F組、由比ヶ浜結衣さんね」

「あ、あたしのこと知ってるんだ」

由比ヶ浜の顔がぱっと明るく輝く。

雪ノ下に名前を知られているというのは一種のステータスのようだ。

「お前良く知ってるな。何でも知ってるんじゃねえの?」

「なんでもは知らないわ。知ってることだけ」

お前はどこの委員長だよ?何?猫になっちゃうの?

「それに、あなたのことなんて知らなかったし」

「そうかよ……」

「別に落ち込まなくていいのよ。あなたの矮小さに目をそむけた私の心の弱さがいけない

の」

「なぁ、それって慰めてるつもり?」

「ただの皮肉よ」

「なんか……楽しそうな部活だね!」
由比ヶ浜がキラキラした目でこちらを見つめている。

「全く楽しくはないのだけれど。そう思われたことがむしろ不愉快だわ」

雪ノ下は冷たい目をしていた。

「あ、いや、なんかさ。すごく自然な感じでいいなっておもって」

その言葉を受けて、少し気まずそうにした雪ノ下が俺に話を振る。

「そういえば、比企谷君もF組だったわね。同じクラスなのね」

「え、そうなん?」

「まさか、知らなかったの?」

俺の言葉に由比ヶ浜がピクリと反応する。

「し、知ってますよ?」

「なんで目そらしたし」

由比ヶ浜はジト目で俺を見る。

「そんなんだから、ヒッキー、友達いないんじゃないの?」

腹が立つ馬鹿にしくさった目。どうせこいつもリア充グループの一員だろう。つまり、俺の

敵だ。

「……このビッチめ」

「はあ?ビッチって何よ!私はまだ処……って、なに言わせるのよっ!」

由比ヶ浜は顔を真っ赤にして言う。

「別に恥ずかしいことではないでしょう?この年でヴァージ……」

「わー!なにいってるの、雪ノ下さん!女子力足りないんじゃない!?」

「下らない価値観だわ」

「つーか、女子力って言葉がもうビッチ臭いな」

「またビッチ呼ばわりした!ヒッキーマジキモい!」

「俺のキモさとお前がビッチであることは関係ないだろ。あと、ヒッキーって言うな」

まるで俺が引きこもりみたいじゃねーか。あ、なんだ。これ悪口だったのね。なにそれひ

どい。陰口は良くない。だから俺は。正直に言ってやるんだ。

「このビッチめ。犯すぞ」

「こんのぉっ!またいったな!ていうか犯すってなによ!最低!死ね!」

「……簡単に死ねとか言うな。殺すぞ?」

「あ、ごめん。そういうつもりじゃ……。えっ!?今言ったよ?殺すって言ったよ!?」

「それで、あなたは何をしにきたの?」

「あ、うん。実はね、助けて欲しいんだ。私の占いで、ここに来たらいいって出たから」

「占い?」

「私の占いは当たるんだー」

雪ノ下は怪訝そうな表情を浮かべる。まぁ、こいつそういうの信じてなさそうだもんな。

「まあ……、いいけれど。で、何をすればいいの?」

「うん、あのね、クッキーを……」

言いかけて、ちらりと俺の方を見る。

ああ、俺がいたらまずいのか。

「比企谷君」

雪ノ下が顎で廊下の方を示す。

失せろという合図だ。

ま、女子同士で話した方がいいこともあるのだろう。

「ちょっとマックスコーヒー買ってくるわ」

さりげなく行動するとか俺優しすぎる。

俺が女子なら絶対惚れてるね。すると、雪ノ下も思うところがあったらしく、俺に声をか

ける。

「私はいちごミルクでいいわ」

「……殴るぞてめぇは」

ナチュラルに人をパシるとか雪ノ下さん半端ねぇ。

特別棟の四階から一階までは、だらだら歩けば十分ほどはかかる。その間にはあいつらの

話も終わるだろう。

由比ヶ浜がどんな人間だろうが、これが初の依頼人だ。つまり、俺と雪ノ下の初の勝負だ。

ま、あいつに死んでもらうとかは冗談だが、やるからには勝たせてもらおう。

購買の前にある怪しげな自販機には、そこいらのコンビニでは見かけられない怪しげなジ

ュースがある。限りなく何かに似たそれらは、これでなかなかうまいから侮れない。

不気味な音を立てる自販機に俺は百円玉を入れる。マックスコーヒー、……あいつの分も

買ってやるか。

三人中二人だけってのもあれだな。ボッチは俺のポジションだ。簡単に譲る気はない。

「遅い」

開口一番、雪ノ下が放った言葉がそれだった。

俺の手からいちごミルクをひったくる。この野郎……。

「おい、二百円」

「は?」

「お前ナチュラルに踏み倒す気かよ」

「これは百円だったと思うけれど」

「人件費だよ」

「……?あなたの人件費なんてゼロでしょう?」

にっこり笑って雪ノ下は俺に百円玉を渡す。どうやらパシった分の料金はくれないらしい。

俺の手に残ったのはマックスコーヒーとスポーツドリンク。

それが誰の為のものなのか由比ヶ浜も気づいたらしい。

俺は黙ってスポドリを由比ヶ浜に渡す。

「ほい、お前の分だ」

「あ、なんかごめんね」

由比ヶ浜は俺に百円を差し出す。

「ああ、別にいいよ」

「そ、そういうわけにはっ!」

雪ノ下はともかく、由比ヶ浜の分は俺が勝手に買ってきたものだ。その分の金をもらうつも

りはない。

かたくなに金を渡そうとする由比ヶ浜だったが、俺が雪ノ下の方に歩いて行くのを見てあ

きらめたらしい。

「……ありがとう」

小さな声で笑うと、由比ヶ浜は微笑んだ。俺史最高の感謝の言葉だった。

満足して、俺は雪ノ下に話しかける。

「話は終わったのか?」

「ええ、あなたがいないおかげでスムーズに話が進んだわ。ありがとう」

俺史最低の感謝の言葉だった。

「……そいつはよかった」

「家庭科室に行くわ。比企谷君も一緒にね」

「家庭科室?なにすんの?」

俺の質問に由比ヶ浜が答える。

「クッキー……。クッキーを焼くの」

「はぁ……、クッキーを」

さっぱり話が読めん。

「由比ヶ浜さんは手作りクッキーを食べてほしい人がいるそうよ。でも、自信がないから

手伝ってほしい、と」

「そんなこと友達に頼めよ」

「う……、そんなこと、あんまり知られたくないし、占いでもやめた方がいいって出たし

……」

また占いかよ。最近の女子高生ってのはそんなもんなんかね。

由比ヶ浜は視線を泳がせながら言う。正直言って他人の恋路なんてどうでもいい。

「はっ」

思わず鼻で笑ってしまう。

「うう……」

「へ、変だよね。私みたいなのがクッキーなんて……」

「いや、変っていうか純粋に興味がないんだよ」

「ひどい!ヒッキーまじきもい!あー、腹立ってきた。私だってやればできる子なんだか

らね!」

由比ヶ浜が言ったその時だ。キーン、と、つんざくような高音が俺の頭に響く。

「由比ヶ浜さん、では、先に家庭科室に行っててくれるかしら。私達は用意があるから」

「うん、わかった」

そう言って由比ヶ浜は、教室を去った。

「雪ノ下?」

「モンスターが、来たわ」

なるほど、あの音はモンスター襲来の合図ってわけか。

「「変身!」」

俺達が鏡の世界に着くと、すでに戦闘は始まっていた。

「……ライダー?」

モンスターと、別のライダーが戦っている。

赤とピンクの中間色のライダー。その姿はどこかエイを思わせる。

「Advent」

そのライダーが、契約モンスターを呼び出すアドベントカードを使うと、予想通り赤いエイ

のモンスターが出現した。

エイはそのままモンスターに突進していく。

「グギャァァァッッ!」

断末魔を上げて、モンスターは消滅した。

と、そこへ

「Sword Vent」

「はぁぁぁぁぁっっっ!」

「ゆ、雪ノ下?」

槍を持った雪ノ下が、件のライダーに襲いかかる。

「え!?」

意表を突かれたライダーは、驚きの声を挙げる。

「ま、待って!あたしは戦う気はっ!」

その言葉を聞かず、雪ノ下は思い切り斬りつける。

「も、もう!待ってってば!」

しかし雪ノ下の攻撃の手が休まることはない。

「うう……もうっ!」

「Coppy Vent」

そのカードをライダーがスキャンすると、そいつの手に、雪ノ下が持つ槍と全く同じものが

現れる。

「もうっ!人の話は聞いてよねっ!」

そう言い、ライダーが雪ノ下に斬りかかる。

ライダーが突き出した槍に、雪ノ下の体が吹き飛ばされる。

「Final Vent」

え?これってまずいんじゃ……。

契約モンスターのエイに乗ったライダーが、すごい勢いで突進をかます。

「ああああああっっ!」

再び吹き飛ばされる雪ノ下。

しかし、根性でか、なんとか立ち上がる。

「……あなた、わざと急所を外したわね」

「だから、戦うつもりはないって言ってるでしょ!」

「あなたにはなくても、こっちにはあるのよ!」

「Final Vent」

「む、無茶だよ!そんな状態じゃ……」

そのライダーの言う通り、雪ノ下の走るフォームはめちゃくちゃだ。

「はぁぁっ!飛翔斬っ!」

放ったその一撃も、軽々とよけられてしまう。

「もう、やめてよねっ!」

そう言ってそのライダーは後ろを向いて走りだす。元の世界に戻るのだろう。

「おい、雪ノ下、大丈夫か?」

この状態で大丈夫もくそもあったもんじゃないだろうが。

「ほら、戻らねぇと」

肩を貸そうとするが、彼女の意地なのか、よろめきながらも自分の足で歩いた。

俺達が家庭科室に着くと、当然だが由比ヶ浜はすでにいた。

「ごめんなさいね、遅くなって」

「ううん、私も今来たところ」

そんなはずはないのだが。俺達は鏡の世界にきてからここに来たんだから。まぁ由比ヶ浜はそういう奴なんだろう。

「そう、では、始めましょうか」

「で、俺は何すればいいの?」

「あなたは味見をしてくれればいいわ」

……それ絶対俺必要なかっただろ。

まぁいいか。働かなくていいんなら働かない。働いたら負けだ!

手早く準備を終えると、雪ノ下はエプロンをつける。

「曲がっているわ。あなた、エプロンもまともに着れないの?」

「え、エプロンくらいきれるもんっ!」

しかし、由比ヶ浜はなかなかに苦戦しているようだった。

「ほら、やってあげるからこっちに来なさい」

「いいの、かな」

「早く」

逡巡した由比ヶ浜の態度を雪ノ下がぶち壊す。想像はしてたけど、こいつ誰にでもこんなな

んだな。

「ごごごごめんなさい!」

ごごごってお前ゴゴゴゴーレムかよ。なかなか堅いよね。

「なんか、雪ノ下さんってお姉ちゃんみたいだね」

「私の妹がこんなできの悪いわけないけどね」

ため息をつく雪ノ下。

「ムーーー、失礼なっ!見返してやるんだからぁっ!」

いよいよ調理が始まった。由比ヶ浜の作業ペースは意外に早い。

「さて、と……」

ある程度作業が進んだところで、由比ヶ浜がインスタントコーヒーを取り出す。

「コーヒーか。確かに飲み物はあったほうがいいよな。気が利いてんじゃん」

「はあ?違うよ。これは隠し味。男子って甘いもの苦手でしょ?」

そうでもないと思うが。それに仮にそうだとしても、クッキーにコーヒーを入れるのは違う

だろ。

そんなこんなで、由比ヶ浜の調理方法はめちゃくちゃだった。

結論というか、今回のオチ。由比ヶ浜には圧倒的に料理のスキルが欠如していた。できるで

きないの問題ではない。最初から存在していない。SAOで魔法を使おうとするとかそうい

うレベル。

不器用なくせに大雑把。下手くそなくせに独創的。どこかのラノベで「下手の一念」という

造語があったが、料理は思いでどうこうなるものではない。

「理解できないわ……。どうしてこんなことになるのかしら」

「……見た目はちょっと残念だけど、食べてみなきゃ分からないよねっ!」

ちょっと?これをちょっとと言うのか?なんか炭みたいになってんだけど。あと、これを食

うの?うわー、俺には無理だわー。

「そうね。味見役もいることだし」

えー……、俺が食うんですか?ちょっとひどすぎるでしょう。これもう毒味のレベルじゃん。

しかも、最初から毒ってわかりきってるじゃん。

「ほら、早く」

俺が逡巡していると、雪ノ下がせかしてくる。

「一個だけだぞ?一個だけだからな!」

迷いながらも、俺はそれを口に入れ、咀嚼する。

「……どうだった?」

由比ヶ浜が不安そうに見つめてくる。

「……ちょっとしたウンコよりまずい」

「はぁ!?何よそれっ!……ていうかちょっとしたウンコってなんだし……」

そう言って、由比ヶ浜もそれを口に運ぶ。

「……うーん、ヒッキーのいうこと、ちょっとわかるかも」

わかっちゃうんだ。自分が作ったのに。

ちなみに雪ノ下はさっきからおれたちに背を向けて窓の方を見ていた。

こいつ、自分だけ食べないつもりだ!

由比ヶ浜のクッキーは何とか食べ終わった。ちなみに雪ノ下は食べようとしなかったが、無

理矢理食わせた。あの時のうらみがましい目は忘れられない。言っとくけどもっとえげつな

いことをお前はしたんだからな!?

「さて、ではこれからの方針を考えましょう」

「由比ヶ浜がニ度と料理をしなければいいと思いまーす」

「それで解決しちゃうの!?」

「それは最後の方法よ」

「雪ノ下さんまでっ!?」

「やっぱり才能ないのかな……。占いでもうまくいかないって……」

「なるほど。解決方法がわかったわ」

「え?」

「あなた、まずその認識を改めなさい。才能がない?ろくに努力もしていないのにそんなこ

とを言わないでほしいわね。それに、占い?そんなものが何になるの?何の科学的根拠もな

いわ」

科学万能主義には異論を唱えたいが、今の意見にはおおむね賛成だ。占いでどうこうとか、

俺にはとても信じられない。

「うう、でも、私の占いは当たるんだよー。それに、みんなこういうのやらないっていうし

……。向いてないんだよ」

由比ヶ浜は愛想笑いを浮かべる。

「……その周囲に合わせようとするのやめてくれないかしら。ひどく不快だわ。自分ができ

ない原因を人に求めるなんて、恥ずかしくないの?」

雪ノ下の語調は強かった。正論だ。まごうことなき正論。しかしもう少し言い方というのが

あってもいいと思う。

正しいからというだけで納得できる人間などほとんどいない。人は、感情で生きる生き物な

のだから。

「……」

由比ヶ浜は黙りこむ。ここまで否定されたのだ。その心境は押しはかれば簡単にわかる。

彼女はコミュニケーション能力が高いのだろう。だから、今まで人にここまで否定さ

れることなんてなかったはずだ。

自分に迎合しようとする人間を強く否定する者は少ない。

しかし雪ノ下はそんなことお構いなしだ。味方を作らず、しかもそれでいて、一人で乗り切

れる能力を持った彼女には、人の痛みなどわからない。

いや、わかっても気にしないというのが正しいのか。だから彼女には、人が救えない。

彼女たちは、まったく正反対の存在なのだ。相入れなくて当然だろう。

俺には、由比ヶ浜が怒って帰る未来が見えていた。

「か……」

ほらね、やっぱり。帰るっていい出すんだろ?そのくらいわかってるわかって……

「かっこいい……」

「「は?」」

俺と雪の下の声が重なる。

「建前とかそういうの全然言わないんだ。そういうのって、すごくかっこいい!」

由比ヶ浜が熱い目線で雪ノ下を見つめる。

雪ノ下は若干、いやかなり戸惑っていた。

「な、何を言っているのかしら。私、結構きついこと言ったと思うのだけれど……」

「ううん!そんなことない!確かに言葉はひどかった。でも、本音って気がするの」

違う。こいつは言葉をオブラートに包めないだけだ。

「ごめんなさい。ちゃんとやるから、力を貸してください」

由比ヶ浜は逃げなかった。どころか、あの雪ノ下が押されている。

雪ノ下にとっては初めての経験だっただろう。正論を言われてちゃんと謝るやつは少ない。

「正しいやり方を教えてやれよ」

「……一度手本を見せるから、その通りにやってみて」

「うん!」

彼女たちの表情は一様に明るかった。

ま、料理がうまくいくかどうかは別だけどな。

読んでるぞ~がんばれ
結構面白いぞ

乙です

出来上がった雪ノ下のクッキーはとてもうまかった。

「もうこれを渡せばいいんじゃねぇの?」
「それじゃ意味ないじゃない。さ、由比ヶ浜さん。やってみて」
「うん!」

そして、二回目の彼女の挑戦が始まった。

「そうじゃないわ、もっと円を描くように……」

「違う、違うのよ、それじゃ生地が死んじゃう」

「由比ヶ浜さん、いいから。そういうのはいいから。レシピ以外の物を入れるのは今度にし
ましょう」

「うん、だからね、それは……」

あの雪ノ下が困惑し、疲弊していた。額に汗が浮かんでいる。

何とかオーブンに入れた時には、肩で息をしていた。

「なんか違う……」

焼きあがったクッキーを見て由比ヶ浜が言う。食べてみると、雪ノ下が作ったものとは明ら

かにレベルが違う。

「どうすれば伝わるのかしら……」
雪ノ下は持つ者ゆえに、持たざる者の気持ちがわからない。優秀な人間は教えるのもうまい

というのはただのまやかしだ。あやかしだ。あやかしがたりだ。みんな買ってね!

「フッ!」

「あら、何かしら比企谷君。喧嘩を売っているの?」

「いやいや、お前らのやってることがあまりにもバカらしくてなぁ。思わず笑っちまったん

だ。わりい」

「なんかムカつく!」

「まぁ見てろよ。俺が本物ってやつを教えてやる」

「そこまで言うからには、たいそうなものができるんでしょうね。楽しみだわ」

雪ノ下が完全に冷たい目をしていた。

「ああ、十分後にここにきてくれ。格の違いを教えてやるよ」

そして十分後、彼女たちが戻ってきた。

「ほら、由比ヶ浜。食ってみろ」

「ええ?あんだけ言ってたわりにはしょぼくない?形も悪いし色も変だし……」

「ま、そう言うなって」

「そこまで言うなら……」

由比ヶ浜は恐る恐るという感じでクッキーを口に運ぶ。雪ノ下もそれに倣う。

すると、雪ノ下の表情が変わった。どうやら彼女は察したようだ。

「別にあんまりおいしくないし、焦げててジャリってする!はっきり言っておいしくな

い!」

「そっ…か、おいしくないか。わりい、捨てるわ」

「え!?べ、別に捨てなくても」

その言葉を無視して、俺はクッキーを持ってゴミ箱の方に向かう。

「待ってったら!」

由比ヶ浜が俺からクッキーをひったくる。

「捨てなくてもいいでしょ!言うほどまずくないし……」

「そうか?なら、満足してくれたか?」

「うん」

「ま、お前が作った奴なんだがな」


「……へ?」

「比企谷君。説明してくれる?」

「男ってのはな……お前らが思ってる以上に単純なんだよ。自分のために女の子が頑張っ

てお菓子を作ってくれた、それだけで舞い上がっちまうもんさ。だから、手作りの部分を残しとか

ないと意味がない。雪ノ下が作ったような完璧な奴より、少しくらい汚くても、気持ちがこ

もってるってわかる物の方が、もらう側としてはうれしいもんだぜ?」

「今までは、目的と手段を取り違えてたってことね」

「そういうこった。だから、あんまりうまくなくてときどきジャリってするクッキーでも、

それでいいんだよ」

「~~っ!うっさい!ヒッキー腹立つ!もう帰る!」

由比ヶ浜が鞄を手に持つ。

「由比ヶ浜さん、依頼の方はどうするの?」

「あ、ごめん。それはもういいや。ありがとね、雪ノ下さん」

「またね。ばいばい」

そう言って由比ヶ浜は去って行った。

「……あれでよかったのかしら?自分ができるところまで、力を伸ばすべきだと私は思う

けど」

「それは違うだろ。あいつの目的は、うまいクッキーを作ることじゃなくて、相手に喜んで

もらうことだったからな。ならこれでいいんだよ」

「そうかしらね」

「ああ、そうさ」

そう言って、俺は笑った。

「やっはろー!」

俺と雪ノ下が奉仕部の部室で読書をしていると、明るい声とともにドアが開いた。

由比ヶ浜結衣だ。

「……何か?」

「あれ?あんまり歓迎されてない?ひょっとして雪ノ下さん、あたしのこと嫌い?」

すると、雪ノ下が顎に手を当てて、少し考えてから言う。

「……別に嫌いではないけれど、決して好きではないわね。少し苦手、といったところかし

ら」

「それ、嫌いと同じだからね!この正直者めっ!」

由比ヶ浜は雪ノ下戸の胸をぽかぽかと叩く。

「で、何か用かしら?」

「うん、こないだのお礼って言うの?クッキー作ってきたんだー!」

「え?」

雪下は怪訝な声を挙げる。

しかし由比ヶ浜は気にしている様子はない。

「いやー、料理って意外と楽しいね!今度お弁当とか作ろうかな!あ、それでさ。ゆきのん

も一緒にお弁当食べようよ!」

「私はお弁当は一人で食べることにしているから。後、ゆきのんって呼ぶのやめてもらえ

る?」

「ええ、さびしくない?ゆきのん、どこで食べてるの?」

「ねぇ、話聞いてた?」

「それでさ。暇なときはあたしも部活手伝うね!あ、気にしないで!これもお礼だから!」

「……話、聞いてる?」

由比ヶ浜の連続攻撃に雪ノ下が困惑している。

と、その時だ。頭を裂くような高音が俺を襲った。

そして、奉仕部の窓からモンスターが飛び出してきて、雪ノ下を襲った。

「ゆきのんあぶない!」

由比ヶ浜が雪ノ下を突き飛ばす。

攻撃をかわされたモンスターは、鏡の世界に戻っていく。

「大丈夫!?ゆきのん!……待っててね、すぐ戻るから」

そう言って由比ヶ浜は、ポケットから赤いバックルを取り出す。

こいつ、まさか!

「ゆきのんを危険な目に合わせるなんて、絶対許さないんだから!」

そう言ってバックルを前に突き出す。

「変身!」

由比ヶ浜の姿が変わっていく。それは、昨日雪ノ下と交戦したライダーだった。

由比ヶ浜が、鏡の世界に入っていく。

「驚いたわね……。こうしている、場合でもないわね。変身!」

雪ノ下が、仮面ライダーナイトに変身する。

こいつ、また戦うつもりか……?

とにかく、俺も黙って見てるわけにはいかないか。

「変身!」

俺達も、鏡の世界へと向かう。

由比ヶ浜と戦っているのは、猿のモンスター。少し押されているようだった。

「Sword Vent」

雪ノ下が槍を持ち、走っていく。

そしてそのまま、モンスターを切りつける。

「あ!昨日の!あたしは戦う気なんてっ!」

「わかっているわ。由比ヶ浜さん」

「ほえ?どうして私のこと……」

「仮面ライダーナイト。雪ノ下雪乃よ」

「ゆ、ゆきのん!?あ、昨日はごめんね」

「いいわ。私の方から攻撃したのだし。とにかく今は、こいつを倒しましょう」

どうやら、雪ノ下に争うつもりはないらしい。ひとまず安心だな。

「Strike Vent」

龍の頭の形をした、火器を右手に装着する。

「お前ら!どいてろ!」

「あれは、昨日ゆきのんと一緒にいた……。もしかして、ヒッキー!?」

「そう、仮面ライダー龍騎。比企谷八幡」

「そうだったんだ……」

「おい!さっさとどけって!」

「あ、ごめんごめん」

二人はさっと左右に飛ぶ。

「でいやぁぁぁっ!」

全力の一撃。巨大な炎がサルを飲み込む。

「ぐぎゃぁぁっっ!」

猿が爆発し、光の球が生まれる。モンスターのエネルギーだ。

俺の契約モンスタードラグレッダーが球を飲み込もうと向かっていく。

「待ちなさい!」

雪ノ下が、手にしていた剣をドラグレッダーに投げつける。回避のために横にどいたすきに、

雪ノ下の契約モンスターダークウイングがエネルギーを吸収した。

「この野郎……なんのつもりだよ!」

「あなたが余計なことをしていなくても倒せていた。横どりはさせないわ」

「それを言うならあれは由比ヶ浜の物だろうが……」

雪ノ下雪乃。案外がめつい奴だった。

「ま、まぁまぁまぁ。とりあえず、戻ろうよ」

由比ヶ浜の言葉に従い、俺達は部室へと戻る。

「しかし、驚いたな。由比ヶ浜がライダーなんて……」

「そうね。基本的にライダーは、どうしてもかなえたいと思う人間がなるはずだけど……。

あなたにも、願いがあるの?」

「ううん、これはもともとあたしのじゃなかったの。あたしの、いとこの物だよ。その子は

ね、こんな戦い馬鹿げてるって言って、モンスターと契約しなかったの。そうしているうち

にモンスターに襲われて……死んじゃった」

「……そう」

「うん、だから私がこれを受け継いで、ライダーバトルを止めるんだ!」

「でも、他のライダーはあなたたちのようには考えていないと思うわ」

「うん、そうだと思う。それでも、止めたい。って……え?達って?」

「そこにいる比企谷君も、ライダーバトルを止めようとしてる」

ため息をついて、雪ノ下は続ける。

「あなたたち、わかってる?他のライダーは、あなたたちを殺す気で来るのよ?」

「わかってるさ。最後になったら、お前も俺と戦おうとするんだろう。それでも、止めたい。

そうだな、それが正しいとかじゃなくて。ライダーとしての俺の望みが、それなんだ」

「……フフ、なら、私には止められないわね」

「そういうこった」

「えへへ、これからよろしくね!ゆきのん!」

そう言って由比ヶ浜は雪ノ下に抱きついた。

「ねぇ、ちょっと、暑苦しいのだけど……」

んじゃ、俺は帰るとするか。ドアに手をかけた、その時。何かが飛んできた。

「ヒッキーもありがとね!お礼の気持ち!」

それは、黒々としたクッキーだった。ま、くれるっつーならもらってやるか。

俺は廊下でクッキーを口にした。

「……にが。でもまぁ……ちったぁましになったんじゃねーの」

俺はひとりごちた。

「ふう……」

今日も長かった。授業が終わっても部活しないといけないとか地獄すぎる。

我ながらよくやっていると思う。

しかし!明日は土曜日!待ちに待った休日である。自然と家へ帰る足取りも軽くなる。

と、聞きなれた耳鳴りが。

ハァ……。休みの前にもう一仕事入ってしまった。冗談じゃないぜ、ったく。

「キャァァッッ!」

声のした方に駆け付けると、蟹のモンスターに、一人の女性が首を絞められている。

「オラァッッ!」

蟹に向かってとび蹴りを放つ。その衝撃でカニはとらえていた女性を放した。

「早く逃げろ!」

俺に言われて女性は逃げだした。モンスターは鏡の中へと戻っていく。

「変身!」

本当に、冗談じゃねーよな。こんなの。

憂鬱な気分で、俺は戦場へと向かう。

「ガァァァッッ!」

蟹のモンスターが、両手のハサミを使って攻撃を仕掛けてくる。

「Sword Vent」

「デヤッッ!!」

なかなかダメージを与えられず、もどかしい思いをしていると、

「ブロロロロロロロ……」

車の音が聞こえた。 ライドシューターの走る音だ。

ライドシューターとは、俺達ライダーが鏡の世界へと向かう時に使う車のことである。

「来てくれたか……」

雪ノ下か由比ヶ浜か。どちらにしたって助かる。

「キィィィィッッ!」

俺と蟹の間で車が止まる。

そしてその中から出てきたのは……。

「え?」

蟹のモンスターと同じ黄土色をした不気味なライダー。右手には、カニのハサミを持っている。

「……やべぇな」

十中八九、このモンスターと契約しているライダーだ。

ていうかこいつ、モンスターに人間を襲わせてたのか!

「タァァッッ!」

ライダーが、その手に持ったハサミで攻撃を仕掛けてくる。

「オラッッ!」

俺もドラグセイバーで応戦する。

「グゴォォォッッ!」

背後からモンスターの方が攻撃を仕掛ける。

「ウアッッ!」

「ちっくしょ……」

「Advent」

俺も契約モンスターを呼び出す。

「いけっ!」

ドラグレッダーが空から巨大な炎を吐き出す。

「グッッ……」

ライダーとモンスターがともに吹き飛ぶ。

「Strike Vent」

さらに俺が炎で追い打ちをかけると、ライダーは鏡から戦線離脱した。

モンスターの方もどこかへ逃げていった。

「ふぅ……」

まだ体の節々が痛む。冗談じゃないぜ、明日はせっかくの休みなのに台無しにされた気分だ。

……あいつ、モンスターに人を襲わせてたな。早く何とかしねェと、取り返しのつかないこ

とになる。

乙です

いろいろと考えることにして、俺はサイゼリアに入る。考え事ならここですると中学時代か

ら決めている。

飯を食いながら考える。もちろん小町へ飯はいらないという旨の連絡もした。

「デート?」とか聞いてきたがそんなはずがないのである。毎度毎度あいつはそんなことを

聞いてくるが、もはや嫌がらせかと疑うレベル。

……小町に限ってそんなことはないよな?無いと信じたい。

と、その時だ。

「あれ?比企谷じゃん。レアキャラはっけーん!」

声をかけられ振り返ると、

「……お前……は」

折本かおりが、そこにいた。

「好きです、付き合ってください」

「友達じゃ、だめかなぁ?」

ふと、思い出がよみがえる。放課後の教室。俺が告白した女の子は、気まずそうな顔を浮か

べる。

ちなみにその翌日には、クラス全員がその出来事を知っていて、俺は泣きそうになった。

中学時代の数あるトラウマの中でも屈指の一つである。

振られるだけならまだいいのだ。だが、好きだった女の子が、そのことを他人に言いふらす。

これはかなり、来るものがある。

俺が女子を信用できなくなった一番の要因になった出来事かもしれない。

そして、その女子の名こそが、折本かおりである。

そんな折本が、今俺の目の前にいる。

何故俺に声をかけたのか。その魂胆がわからない。ただの気まぐれ?ただ、そこにいたから

か?

どちらにしても、俺にとっては迷惑でしかない。

「よいしょっと」

言って、折本は俺の前の席に座る。

は?なんなのこいつ。

「……ンだよ。なんかようか」

「いや、別に用ってわけでもないんだけどさ。なんか懐かしいなーと思って」

懐かしい……か、彼女の発言にはっきりと不快感を覚える。

「ほら、比企谷って総武高行ったじゃん?あそこってうちの中学からあんまり行った人い

ないよね?」

「ほら」の意味が全く分からん。

それに、そりゃあそうだろう。同じ中学の奴がいるとこには行きたくなかったんだから。

「……ああ、そうだな」

「おーい、かおりー!」

店の入り口から、周りの迷惑を考えないような大声が聞こえる。

「あ、おーい」

折本がそういうと、俺達のいる席に一人の女子と二人の男子が寄ってきた。

男の一人には、見覚えがある。確か、俺の中学でバスケ部のキャプテンをやってたやつだ。

永山、だったか。

「あれ?比企谷じゃね?うけるわー!」

何が面白いんだ?俺の存在がかよ。

「え?これが噂のキモ谷君?うっわー、わかるー」

……。何故初対面の女子からキモイといわれなあかんのだ。こいつら、高校でも俺を笑い物

にしていたのか。

「ははっ、そういえばさ、比企谷って中学ん時、かおりに告ったよなー。あれ笑ったわー!

ちょっと優しくされただけで勘違いするとか、脳内めでたすぎンだろ」

「……昔のことだ。自分でも馬鹿だったと思うよ」

本当に馬鹿だった。こんな奴に好意を抱いたなんてな。

「あれ、クラス中の奴らが知ってただろ?ごめんなー、あれ俺が言ったんだわ。あん時から

おれたち付き合っててなー。面白半分でさー。でもま、自分の彼女が告白されたってんだか

ら穏やかじゃねーよな。まぁ比企谷にはとられるなんて思わなかったけどー」

ぎゃはは、と品のない笑い声をあげる。

「そうか」

右手で契約モンスター、ドラグレッダーのカードを強く握りしめる。意思をしっかり持って

いないと、今すぐにでもこいつらを襲わせそうになる。

「しっかし比企谷お前……うおっ!?」

鏡の中から突如出てきた何かに、永山が吹き飛ばされる。

蝙蝠のモンスター……あれは、雪ノ下の、モンスターだ。

永山はその衝撃で体を思い切りテーブルに体をぶつけた。

窓の外を見ると、雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣が、こちらを見つめていた。

……あいつらには、見られたくなかったな。

こんなところを。昔の俺の、残像を。

茫然としている俺を置いて、彼女たちは店の中に入ってきた。

「うわ、何あの二人。すごく綺麗」

折本の連れの女子が感嘆の声を挙げる。

モンスターのことは、錯覚だとでも思っているのだろうか。

永山は体をはたいて立ち上がっていた。

彼も雪ノ下達に見とれている。

そのことが、ひどく不快に思えた。

「んだよ。何か用か」

すぐ近くまで来た雪ノ下に、目線を合わせないままに言う。

「いえ、少し言いたいことがあってね」

「え?この子達、比企谷の知り合い?」

永山が素っ頓狂な声を挙げる。

「あ、どうも。俺、永山っていうんだ。比企谷の、友達です。えっと、バスケ部で、キャプ

テンやってるんだ」

汚い笑みを浮かべて、さりげなく雪ノ下の肩に手を置こうとするのを、彼女はパシリとはじ

く。

「あなたの名前なんてどうでもいいわ。覚えるつもりもないし、これから会うこともないでしょうしね。

それと、彼をあまり馬鹿にしないことね。友達は少なくても、あなたのようなクズを味方に

する人ではないわ」

永山の笑顔が崩れる。

「それと、随分彼に言っていたみたいだけど……彼は、あなた達が見下していいような人じ

ゃない。ねぇ、あなた」

雪ノ下が折本へと話す対称を変える。

「自分に思いを寄せてくれた人を貶めるなんて、恥ずかしくはないの?でもまぁ、報いは受

けているようね。こんなクズを恋人にしているんだもの。これ以上にない辱めだと思うわ。

ご愁傷さま。見る目がなかったのね。彼を選んでいれば、もっとましだったはずなのに。で

ももう遅いわよね、今の彼は、本物を見分けることができるもの、あなたのような人を選ぶ

はずがないわ」

「てんめぇぇぇっっ!!」

散々にこきおろされた永山が雪ノ下に殴りかかる。

「キィィィィッッッ!!」

再び現れた蝙蝠のモンスターが、主人への攻撃を止める。

「な、何だ今の!ば、化け物だ!化け物が出たぞぉ!」

周りにいた客が騒ぎ出し、どたばたと店から去っていく。

あとには、俺達だけが残った。

「な、何なんだよお前ら。意味わかんねぇよ」

すると、今まで黙っていた由比ヶ浜が口を開いた。

「ねぇ、あなたたちは知らないと思うけど、ヒッキーはね、とってもすごい人なんだよ。自

分が傷ついても、人を救っちゃうような、そんな人。普段はそっけない態度をとって、周り

に興味なさそうにしてても、一度も会ったことないような人を、命をかけて守ってくれるよ

うな、そんな人」

違う。俺は、お前らにかばってもらえるような、そんな立派な奴じゃないんだよ。

ん……?命をかけて守る?そんなこと、後にも先にも一度だけだ。でも、それをこいつが知

ってるわけないし……。

まぁ、今はそんなのは些細なことか。

「なんなのよあんたたち!突然現れて好き勝手言っちゃってさぁ!」

折本が激昂する。

そして、ポケットからカードを取り出す。

蟹の、カード。

人を襲わせてたライダーは、こいつだったのか。

窓から蟹のモンスターが出現する。

由比ヶ浜に襲いかかるのを、ダークウイングが止める。

「なんだ、ほんとに……。かおり、お前も、化け物なのか?」

永山はそう言い残すと、そそくさとその場を去って行った。残りの二人も同様だ。

「……あんたらのせいで、全部台無しじゃないっっ!」

「それは、あなたの自業自得でしょう」

「うるさいうるさい!あんたは、私が倒す!」

デッキを、かざす。

「変身!」

「……いいわ、消してあげる。変身!」

二人が、鏡の世界へと向かう。

折本に誤算があったとすれば、この場にいたライダーが、雪ノ下一人ではないということだ

ろう。

「ヒッキー、少しだけ、待っててね。……変身!」

俺にやさしく微笑みかけて、由比ヶ浜も変身する。

俺は一人、取り残された。

「……。はぁ」

しばらく俺は、茫然とし、なんとなくぼうっと鏡の中を見ていた。

折本は、雪ノ下一人にも押されていたが、由比ヶ浜が加勢してからは、もうまともな勝負になっていなかった。

「ああああっっ!」

二人とも、折本の叫びを聞いても、攻撃の手を緩めることはなかった。

それだけ怒っていたのだろう。

そうしたのが俺のせいだと思うと、何とも言えない気分になる。

どうして彼女たちは、出会ったばかりの俺の為にここまでしてくれるのだろう。

きっと、どうしようもなく優しいんだろう。

折本が中学時代に俺にした偽りの、計算された汚い優しさではなく、本物の優しさ。

ならば……、だからこそ、彼女たちの手を汚させてはいけないだろう。

「……変身!!!」

過去と決別する時が、きっと今なんだ。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom