美希「ポッキーゲームってなあに?」 (27)


P「ふいー……一息入れるか」ポリポリ

美希「お疲れ様、ハニー!」ヒョコ

P「美希じゃないか。来てたのか」

美希「ハニーに会いに来たの!一本ちょうだい」

P「ほらよ」

美希「ありがと♪ あ、そだ。ハニーに聞きたいことあったの」

P「何だ?」

美希「『ポッキーゲーム』ってなあに?」

P「!?」ゲホッ

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美希「どしたの?」

P「い、いや……美希、ポッキーゲーム知らないのか?」

美希「うん」

P(こ、この反応……知っててとぼけてる訳じゃなさそうだ)

P(14歳ならもう知ってて当然かと思ったけど)

美希「ね。びっくりしてるってことは、ハニーは知ってるんだよね?」

P「まあ……そうだな」

美希「どんなゲームなの?ミキ、教えて欲しいな」

P「あー、えー、そのだな」


美希「何でそんな言い辛そうなの?」

P「いや。美希の歳なら、もう知ってるもんかと思ったからさ」

美希「……じゃあ、知ってなきゃおかしい事なんだ」

P(あ、やべ)

美希「ハニー、教えて!」

P「そんな喰いつくほどのことじゃ」

美希「覚えられることなら、何でも知っておきたいの!」

P(曇りの無い純粋な眼が辛い)


P「えっと、ポッキーがあるだろ?」

美希「うん」

P「それを片方の人がこうやって口に咥えます」

美希「うん、うん」

P「反対側から、もう片方の人が食べます」

美希「へー。……え」

P「ふたりで一本のポッキーを端から食べていくのが、ポッキーゲームだ」

美希「どこまで、食べるの?」

P「どこまでも。ポッキーがなくなるまで」

美希「でもそれ、そのまま食べてったら」

P「うん、くっつくな」

美希「……そ、そうなんだ」カァー

P(なんかイケナイ事を教えてしまった気がする)


美希「ハニーは、したことあるの?」

P「あるよ」

美希「……そうなんだ」

P「まあ、男相手だったけど」

美希「えぇ?!」

P「ちがうって!ポッキーゲームってのは、その。所謂パーティーゲームの一種なんだ」

美希「??」

P「みんなで集まってる時に何かの余興でやったり、罰ゲームだったり。そういうのでやることが多いんだ」

P「だからやってる本人よりも周りの人たちが楽しむゲームかな。やってる側は必死なんだけどなあ……」

美希「あ。じゃあハニーが男の人とやったのって」

P「大学生の時に飲み会の罰ゲームで、な。えらい目に遭った」

美希「そ、そうだよね!……よかったぁ」ホッ


美希「なら、あんまりいいゲームじゃないんだね」

P「『やらされてる』時は、な」

美希「どういうこと?」

P「好きでもない相手とやるのはそりゃ疲れるよ」

P「けど好きだったり、やってみたいって思える人とだったら、いいゲームになるんじゃないかな」

美希「それって……同じ宿題やるのでも、好きなのと苦手なのとの違いみたいなカンジ?」

P「はは、宿題かあ。感じ方は似てるかもしれないな」

P「だから悪いばかりのものでもないよ。漫画とかドラマとかでも、恋人やカップルがやるゲームとして良く使われてるし」

P「お互い顔近づけることで、また新しい発見もあるかも知れないし、な」

美希「……そうなんだ」


P「いずれにせよあんまり気軽にやるゲームではないかな。自分だけじゃなく相手がいてこそだし」

P「そのうち美希もやる時が来るかもしれないけど、その時は時と場合と相手を考えてやってくれよ」

美希「うん」

P「もう一本いるか?」

美希「ん、ありがと」

P「美味いけど一人で食べるにはちょっと量多いんだよなあ」ポリポリ

美希「―――」

P「どした?」


美希「ん」

P「え」

美希「―――んっ」

P「あのう、美希さん。ポッキー咥えて何していらっしゃるのですか」

美希「ね、ハニー。ミキとポッキーゲーム、してほしいな」

P「……へ」

美希「ちょっと恥ずかしいけど気になるから。どんな気持ちになるのか、どんなものが見えるのか」

P「気軽にやるゲームじゃないって今言ったばかりじゃないか」

美希「誰とでもやるわけじゃないもん!こんなの友達にも、パパにもママにもお姉ちゃんにも聞けないし」

美希「それにミキは、ハニーとならしてみたいって思うから」

P「そうはいっても」

美希「……ハニーは、ミキとじゃダメ?」

P「うぐ」


P(断り切れなかった……)

美希「えっと。どっちから食べればいいの?」

P「好きな方でいいよ。チョコついてる方でいいんじゃないか」

美希「う、うん」

P「焦ってやろうとしなくてもいいんだぞ」

美希「だいじょぶ。ミキ、やるからには本気で頑張るから!」

P(ポッキーゲームに本気ってあるんだろうか)

美希「じゃ、じゃあ。―――お願いします」サク

P「―――」

美希「……ハニー?」

P「よ、よし。分かった、やるぞ!!」


サク

美希「ひゃ」

P(うわっ……美希の顔、めっちゃ近い)

P(肌も綺麗だし、顔も整ってるし。目なんて見てたら吸い込まれそうだ)

P(髪も短くしたとき染め直したって聞いたけど、全然痛んでない)

P(首元見えるからかな。……なんか、良い匂いがする)


美希(うぅ……ハニーに見られてる)

美希(ライブやレッスンで目はよく合わせてるけど、こんなに近いのは初めてかも)

美希(ミキ、だいじょぶかな?変な顔、してないよね?)


美希(―――あ。ハニーの目、ちょっと赤い)

美希(そういえばミキが来た時も、お仕事してたみたいだったし)

美希(ミキが学校行ってる時も、お休みの時も。ハニーはミキのために頑張ってくれてるんだよね)

美希(頑張りやさんの目……ちょっと、好きかも)


P「」ジー

美希「」ジー


美希「ね、ハニー」

P「ん?」

美希「その。……あんまり見られてると、恥ずかしい」カー

P「あ。その、ごめん」

美希「えっと、それで……ずっとこのままなの?」

P「違うけど」

美希「?」

P(よ、よし。腹くくって、やるぞ!)

サク

美希「ふぁっ……!」

ポキ

P「あ」

美希「あ」

P「折れたな」

美希「うん」

P(た、助かったああああ)

美希(……何にもできないまま終わっちゃった)

P「折れちゃったし、今回は美希の負けだな」

美希「え。これ、勝ち負けあるの?」

P「先に顔を離したり、食べ折っちゃったりしたら負けなんだ」

美希「むー……」

P「まあ初めてだったらこんなもんだよ。始めてすぐ折れるなんてよくあることだしあんま気にすんなって」


美希「ハニー、もう一回やろ!」

P「!?」

美希「勝ち負けがあるなんて聞いてないもん!後から言うのはズルいって思うな」

P「何でちょっとムキになってるの?」

美希「なってないもん。次は、次こそはミキが勝つから!」

P(もう一回かあ)

美希(ハニーの顔ばっかり見ちゃって、びっくりして何にもできなかった)

美希(今度はちゃんとしなきゃ!)


美希「さっきはミキが食べてたから、今度はハニーの番なの」

P「わかった」

美希「それじゃあ、いくね」サク

P(こうやって来るのを待つのってなんか恥ずかしいな)

サクサク

P「うおっ!?」ポキ

美希「あ!」

P「……折れた」

美希「やたっ、今度はミキの勝ちなの!」

P(すっごいいい笑顔)


P「まさか美希の方から来るとはなあ、びっくりしたよ」

美希「それじゃもう一回ね」

P「えっまだやるの?」

美希「さっきので同点でしょ?次勝った方が勝ちなの」

P(なんか当初とは趣旨が変わってきてる気がする)

美希「今度はミキから食べるね。はい、どーぞ」

P(……あんまり長引かせちゃダメだな)


ポキ

美希「あー!今わざと折ったの!」

P(即見抜かれた)

美希「テキトーにやっちゃ、や!」


美希「今のなしね、はい!」

P「……あの、美希さん。コレ、ポッキーゲームだよ?」

美希「うん」

P「続けていいの?」

美希「だいじょぶ。だってハニーとだもん!」

P「」ブワッ

美希「え、え?どしたの?」

P「いや……思わず目から汗が」

美希「???」

P「分かった、美希。こうなったら俺もとことんやってやる!!」


ポキ

美希「あっ」

P「よっしゃ、俺の勝ち!」

美希「むー!次は負けないの!」


サクサク サクサク

P(あ、あと……)

美希(ちょっと……)

ペキ

P「あ、あー!」

美希「やたっ!!ミキの勝ちー!」

P「くっそ、もう一回だ!」


美希「はい、ハニー。あーん」

P「あーん」モグ

美希「じゃ、いくね」

P「はいスタート」モグモグモグ

美希「あ、あー!先に食べちゃダメなのー!!」


―――――――――


―――――――――


P「あ」

美希「どしたの?」

P「ポッキー無くなった」

美希「ホントだ」

P「ここまでにしておこうか。あんまり食べ過ぎてもな」

美希「はーい」

P「俺が12回で、美希が13回か」

美希「ふっふっふ……ミキの勝ちなの」

P「いやいやいや、奇数だから。まだ勝負ついてないだろ」

美希「ん。またやろうね!」


P「ほら、口のまわりチョコだらけになってるぞ」ゴシゴシ

美希「ん……ありがと。ハニーもチョコだら、け―――」

P「どした?」

美希(あれ?ポッキーゲームって……二人で一つのポッキー、食べるんだよね)

美希(ハニーが食べてるポッキーはミキが食べたポッキーで、ミキが食べたポッキーはハニーが食べたポッキーで)

美希(ライブやレッスンの時よりももっと近い距離で、ハニーの顔見て、ミキも見られて)

美希(ハニーの顔、ミキの顔にすごく近くて。顔も目も、口も近づいて―――)


美希「…………――――~~~~~!!!」カー

P「どうした?」

美希「あ、あの!ミキ、今日はもう帰るね!!」

P「ああ。気を付けてな」

美希「は、ハニーも早く帰って寝てね!」

P「あ、そうだ。何か掴めたもの、あったか?ほら、何が見えるか気になるって言ってたから」

美希「へ!?えーっと、あの、その……」

P「??」

美希「えっと……ハニーの頑張り屋さんの目、格好良かったの!じゃ、またね!」

P「え、あ、うん。またなー」

<バタン! パタパタパタ……


P「美希の奴、何あんな慌ててたんだろ……」カタ

P「―――」カタカタカタ

P「―――」カタカタカタ

P「………――――!!!!!」ガタッ


P「あれ……。俺、もしかして……えらい事してたんじゃ……?」カー



美希「もぉー!!ミキのバカバカ!」

美希「でもでも………ハニーもばかー!!!」



おしまい

以上でおしまいです。ここまでありがとうございました。
ポッキーゲームを知らない美希を書いてみたかった。

美希はこの手の話題にはあまり耐性が無いのと、あと負けず嫌いでもあるので
勝ち負けに拘ったらポッキーゲームでもこうなるんじゃないかなあと思います。
口のまわりチョコまみれの美希可愛い。

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