真美「それでさ、兄ちゃんがね」 亜美「ふむふむ」 (126)
真美「よく頑張ったねって、頭撫でてくれてさ」
亜美「うんうん」
真美「その……なんていうか」
亜美「嬉しかったんだ?」
真美「ちょ、そんなわけないっしょー! た、ただ優しいとこあるんだなって思って」
亜美「全く、真美は相変わらず兄ちゃんにお熱ですなー」
真美「だ、だから違うってば!」
P「真美ー、そろそろ仕事の時間だぞ」
亜美「ほらほら、真美の未来の旦那様が呼んでますぞ」
真美「もー……いってきます」
亜美「ほいほい、いてらー」
バタン
亜美「…………」
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ガチャ
伊織「おはようございまーす」
伊織「って、あら? 亜美一人?」
亜美「…………」
伊織「せっかくこの伊織ちゃんが、貴重なオフを潰してまで事務所に顔出しにきたってのに……失礼しちゃうわね」
亜美「…………」
伊織「ねえ亜美、他の皆は? 仕事?」
亜美「…………」
伊織「ちょっと、そんなとこで黙りこくってないで私の話を……」
亜美「」ブワッ
伊織「!?」
亜美「ぐす……うええ……っ」
伊織「ちょ、ちょっと! いきなりどうしたのよ! 私が泣かせちゃったみたいじゃない!」
亜美「うう……うえっぐ……」
伊織「ね、ねえ大丈夫? お腹でも痛いの?」
亜美「ふぐ……えっぐ……!!」
伊織「だ、大丈夫だから。このスーパーアイドルの私がついてるんだから」
伊織「だから、ね? 泣きやんで……」
亜美「う゛ええええええええん!!!」
伊織「なんでよ!」
伊織「それで? あんたがさっき急に泣き出したのは何なの?」
亜美「いおりん、暑くない……?」ギュ
伊織「別に平気よ。むしろ冷房が効きすぎて寒いぐらいだわ」
亜美「今事務所のエアコン壊れてるの知らないの?」
伊織「いいからさっさと話しなさい!」
亜美「えぐ……っ!」
伊織「ご、ごめんね? ほ、ほら、怖くないわよ?」ナデナデ
亜美「うう、ありがとう」グス
伊織(私はたまの休日に一体何をやっているのかしら)
亜美「あのね、最近兄ちゃんと真美の仲が良くて」
伊織「うんうん」
亜美「亜美もね、よく真美からその話聞いたりするんだけど」
伊織「ふんふん」
亜美「なんだか何回も話し聞いてるうちに、真美が兄ちゃんに取られちゃう気がして……」
伊織「へえ、ふーん、なるほどねえ」
亜美「凄い不安だったんだ……っていおりん、なんでちょっと安心してるの?」
伊織「逆じゃないのがあんたらしいわよね」
亜美「逆って?」
伊織「お箸を持たない手の方のことよ」
伊織「要するに、二人の仲に嫉妬しちゃったってことでしょ」
亜美「そうだね」
伊織「そんなの、いつかは来る問題じゃない」
伊織「真美だって、大人になれば男の人と恋愛の一つや二つするでしょうし」
亜美「わ、わかってるんだけど……その」
伊織「もう、うじうじしちゃってらしくないわね」
伊織「あんたも私と同じ竜宮のメンバーなんだからシャキッとしなさい」
亜美「う、うん……わかった」
伊織「………」
ギュ
亜美「ふえ? いおりん?」
伊織「寂しいなら寂しいって正直に言いなさいよ……」
亜美「け、けどさっきはシャンとしろって」
伊織「何? あんた、この伊織ちゃんに文句あんの?」
亜美「い、いや、そんなことはないんだけど……」
伊織「………」
亜美「………」
伊織「………寂しくなったら、私の所に来ればいいじゃない」
亜美「!」
伊織「真美がいないからって何よ……私達だって同じ事務所の仲間なんだからね」
伊織「そんな顔するぐらいなら、もっと周りを頼りなさいよ」
伊織「あんたって本当……」
ギュウ
伊織「年相応に馬鹿なんだから……」
亜美「………」
伊織「亜美?」
亜美「」キュン
伊織「というわけで、最近亜美が私にべったりでね」
やよい「あはは、亜美も意外と甘えん坊だなあ」
伊織「全く、良い迷惑よ。別に私にだけ甘えろって言う意味じゃなかったのに……」
やよい「けど、伊織ちゃんも亜美に頼られて凄く嬉しそうに見えるけど」
伊織「べべ、別に嬉しそうになんてしてないわよ!」
亜美「いおりーん! 一緒に仕事行くYO-!」
伊織「はいはい……ってあんた! 人前ではあんまり抱きつかないようにって言ったでしょ!」
亜美「いおりんが可愛いのがいけないんだもーん」
伊織「んもう……ごめんねやよい、私達そろそろ行ってくるから」
やよい「うん、気をつけてね!」
亜美「やよいっちもまったねーん!」
バタン
やよい「…………」
ガチャ
春香「ふう……早く事務所のエレベーター直らないかなあ」
春香「あ、やよい! おっはよーう!」
やよい「…………」
春香「あれれ?」
やよい「…………」
春香「おーい、皆の大好きな春香さんですよー」
やよい「…………」
春香「うっうー。今日のやよいさんはつれないですー」
やよい「…………」
春香(頭のリボン付け忘れたかな……)
やよい「」ブワッ
春香「!?」
やよい「うわああああん! 春香さああん!!」
春香「や、やよいいいい!?」
春香「それで、伊織をとった亜美に嫉妬しちゃったと」
やよい「うう……これじゃ私、悪い子ですよね」
春香「そ、そんなことないよ! やよいで悪人だっていうんなら、私なんか何度か警察のお世話になっててもおかしくないレベルの極悪人だよ!」
やよい「春香さんはそんな悪い人じゃないです!」
やよい「すっごくいい人です! 聖人です!」
春香「や、やよい?」
やよい「それにバラエティの仕事でよくあざといって言われてますけど、春香さんは別に転びたくて転んでるわけじゃないんです!」
やよい「春香さんは何事に対しても凄く一生懸命で、結果が出なくとも頑張って頑張って苦労して……」
やよい「その中で皆への気配りも忘れない、素敵な素敵な女の子なんです!」
やよい「だからそんな春香さんが自分の事悪人なんて言っちゃ……! あれ、春香さん?」
春香「やよい愛してるー!!」ダキ
やよい「はわっ」ギュウ
やよい「えへへ……もう、春香さんは可愛いなあ」ナデナデ
春香「まあ、私はそんなに心配する必要はないと思うなあ」
春香「なんせあの伊織が、やよいをほったらかしにするなんて考えられないし」
やよい「そ、そうだったらいいなとは思ってます……けど」
春香「けど?」
やよい「伊織ちゃんも、すっごく優しい子だから……」
春香(この間プロデューサーさん足蹴にしてたけど)
やよい「頼られたらどんな子にも優しくしちゃうんだなあ、って考えたら、なんだか今までみたいに仲良くするのが怖くて……」
春香「…………」
春香(なんか付き合ってる彼氏の愚痴を言う年頃の女の子みたい)
春香「やよい、こっちおいで」
やよい「あ、はい……はぐ」ギュ
春香「あはは、やよいは暖かいね」
やよい「は、春香さん?」
春香「ねえ、やよいは765プロの皆の事好き?」
やよい「はい! 大好きです!」
春香「そっか。やよいはずるいなあ」
やよい「ずるい?」
春香「そう。こんなにいい子が真っ直ぐに大好き、なんて言ってきたらこっちも大好きになっちゃうもの。反則もいいところだよ」
やよい「わ、私悪い子じゃないんですか?」
春香「もちろん」
春香「伊織もね、ただ優しいからやよいに優しくしてるんじゃなくて、やよいの事が大好きだからあんなに優しいんだと思うよ」
やよい「春香さん……」
春香「それにさ、ほら」
やよい「?」
春香「伊織だけじゃなくてもっと皆にも頼っていいっていうか……」
春香「私達家族みたいなものなんだからさ!」
やよい「!」
春香「私だって伊織に負けないぐらいやよいの事大好きだし! それに……」
やよい「春香さん」
春香「うん?」
やよい「一つだけ私のお願い聞いてもらってもいいですか?」
春香「うん、何でも言って!」
やよい「えへへ、じゃ、じゃあ……」
ギュ
やよい「は、春香お姉ちゃん……」
春香「へ?」
やよい「さ、さっき私達は家族だって言ってましたよね?」
やよい「なら、私は春香さんの妹になりたいかなーって……」ギュ
春香「」ポカーン
やよい「あ、あの」
やよい「やっぱり、私みたいな妹じゃ駄目ですか……?」
春香「」キュン
貴音「ふむ。たまには一人、かふぇてりあ成るもので時間を潰すのも良き事ですね」
貴音「このかぷちーの、という飲み物も真美味……む?」
千早「」シャカシャカ
貴音(あれは、如月千早……彼女もこのお店で一時の休息を得ていたのですね)
貴音(どうやら、へっどふぉんで音楽を聴きながら、何か雑誌を見ているようですが……どれ)
貴音(一言、声を掛けてみましょうか)
貴音「ちは……」
千早「」シャカシャカ
貴音(おや? 真面目な千早にしては音漏れが激しい……クラシックか何かでしょうか)
ヘッドフォン<千早ちゃーん、一緒にお菓子食べよー
ヘッドフォン<千早ちゃーん、今日私の家に泊まりにおいでよー
ヘッドフォン<千早ちゃ(ry
貴音「」
貴音(な、何を臆しているのです、四条貴音)
貴音(今のはただの幻聴……! 弱き己の生み出した、如月千早に対する行き過ぎたいめえじに過ぎないのです……!)
貴音(幾多の苦楽を共にしてきた友に対して恐怖を覚えるなど、笑止!)
貴音(私は四条家の跡取り娘……この程度の事で心を揺れ動かされては……っ!)
千早「あら、四条さん」クル
雑誌『コミュ力の足りない貴女に! 友達の好感度を上げる方法百選』
雑誌『コラム1~友人はお金で釣れる~』
貴音「」
貴音「全く、貴女という人は一体何を考えているのです」
千早「………」
貴音「たまたま、人気の少ない時間帯だからよかったものの……」
千早「………」
貴音「ファンの不信感を煽るだけでなく、下手をしたら悪徳記者にたちの悪いすくぅぷとして取り上げられてもおかしくなかったのですよ」
千早「………」
貴音「このへっどふぉんは私がしばらく預かります」
千早「!」
貴音「なので、千早も一度頭を冷やして……」
千早「とらないで……」
貴音「は?」
千早「春香を、これ以上私の遠くへ持っていかないでぇ……っ!」ポロポロ
貴音「………」
貴音(765プロに移籍した私の判断は、間違っていたのでしょうか)
千早「最近、高槻さんと春香の仲が良くって」
貴音「あの二人は以前から良き関係を築けていたと思いますが」
千早「それにしたってあんなにベタベタ仲良くしてるのはおかしいって思うんです」
貴音「ほう」
千早「春香は毎日のように高槻さんに手作りのお菓子を……」
貴音「ふむ」
千早「高槻さんも、何かある度に春香の事をお姉ちゃんと……お姉ちゃんとっ……!」
貴音(天海春香の時より悔しそうに見えるのは、きっと私の気のせいなんでしょうね)
千早「正直、最初は私春香のことそんなに好きじゃなかったんです」
貴音「それは、何故でしょうか」
千早「本人には決してその気はないんでしょうけど、いつも私の邪魔をしてきたんです」
千早「私が一人、歌詞カードを読んでいるときも、音楽を聞いているときも」
千早「一生懸命レッスンに集中している時も、オーディションを受ける前も……」
千早「オーディションに落ちて落ち込んでる時も、私が一人で悩んでるときも……」
千早「そう、いつも、いつも……」グス
貴音「………」
千早「四条さんは……寂しくないんですか?」
貴音「寂しくない、とは?」
千早「前に雑誌で読みました。四条さんは凄く遠いところから上京してきていると」
千早「慣れしんだ地元を離れるのは、四条さんにとっても少なからず悲しいことだったはずです」
貴音「………」
千早「高校もアイドルに専念するために中退して、お世話になった961プロも辞め……」
千早「765プロに移籍してきたと思ったら、我那覇さんと毎日近くのラーメン屋を巡り……」
千早「人の目を盗んでは、一人珍しいお店に入りこんで店員さんやプロデューサー達に迷惑を掛け続ける日々」
千早「一体何を考えているんですか! いい大人にもなって何故こんな子供のようなことを!」
貴音(母親に叱られる子の心境とは、こういうことを言うのでしょうね)
貴音「そうですね、やはり当時は寂しかったのかもしれません」
千早「なら、私の気持ちだって……」
貴音「しかし私は、決して離れ離れになった、とは思っていないのです」
千早「え?」
貴音「自身のアイドルとしての輝きが届くよう、古都の事を想い、歌い続けること……」
貴音「それは古都の皆と、常に共に在る事だと私は思うのです」
千早「そ、そんなの……四条さんが一方的に想い続けてるだけで、故郷の人たちからしてみればどうでもいいことかもしれないじゃないですか」
貴音「ふふっ、そうかもしれませんね」
貴音「もし仮にそうだとしても、これから寂しさを感じることは少ないでしょう」
ギュ
千早「あ、手を……」
貴音「貴女もよく知っているはずです」
貴音「ここのぷろだくしょんは、一人ぼっちで居ることの方が難しいのですから」
千早「………」
貴音「さて、そろそろ私は御暇すると致しましょうか」
貴音「千早の貴重な休日をこれ以上邪魔するわけにはいけませんし」
千早「待ってください」
貴音「む?」
千早「四条さんがこんな都会を一人で散策するなんて自殺行為です」
千早「また皆に迷惑をかける気なんですか」
貴音「ふむ……では私はどうしたら」
千早「だ、だから、その……ふ、二人ですっ!」
貴音「?」
千早「は、春香の受け売りでいいなら……」
千早「この辺りの美味しいラーメン屋、しばらく私が案内してあげましょうか……?」
貴音「」ガタッ
響「おーい、貴音ぇー。今日一緒に帰らないかー?」
貴音「すみません響。今日はこれから私用が……」
響「むー、そっか。じゃあ仕方ないな」
貴音「申し訳ありません。それでは、失礼……」
響「気をつけてなー」
<今日はとんこつのお店に案内したいと思うのですが
<是非っ!
響「おーい、春香ー。今日あそこのスイーツのお店寄って帰らないかー?」
春香「ゴメーン。今日はちょっと用事が……」
響「そ、そっか。じゃあ仕方ないな」
春香「この埋め合わせはいつか必ずするから! また今度ね!」
響「おう、またな!」
<えへへ、春香おねーちゃん! 今日もお仕事お疲れ様ー!
<もう、やよいは可愛いなあ
響「………」
響「なんだか最近の皆はそっけないぞ」テクテク
響「貴音も前に比べて遊ぶ回数が減ってきた気がするし」
響「へへーん! でも完璧な自分には問題ないさー!」
響「他に遊ぶ人なんかいくらでも……ってあれ」
響(そういえば自分、上京してきてから貴音ぐらいとしかまともに遊んでないような)
響「い、いや! それはしょうがないことさー!」
響「皆、忙しい時期なんだもんな! うんうん、それくらい自分、頭いいからわかってるぞ!」
響「昔は961プロの命令で友達作るの避けてただけだし! 別に今は友達が少ないってわけじゃないぞ!」
響「それにこないだ、美希と服買いに行く約束もしたし! 当日仕事でドタキャンされたけど」
響「学校の友達からもよく遊び誘われたりするし! 予定が合わなくて一度も行った事はないんだけど」
響「仕事だって充実してるぞ! 765プロに来てから無茶振りな仕事が増えた気がするけど」
響「……あれ」
響(最近の春香達も、よく用事があるって自分の誘い断ったりするし)
響(もしかして自分……皆から嫌われてる……?)
真「それでたまたま、近くにあった僕の家に泣きついてきたってわけか」
響「ひぐ……えっぐ……っ!」
真「そんなことあるわけないのに……」
響「ぐす……け、けど……もし本当に皆に嫌われてたらって思うと怖くて……」
真「その割には僕の家にさほど抵抗なくきてたみたいだけど」
響「ま、真は馬鹿そうだから……そういうのあんまり気にしなさそうだなって」グス
真「それ、急な客人を苦労してもてなしてる僕に失礼じゃないかい」
真「まあ、そう不安がることはないと思うな」
響「うう……そうかなあ」
真「きっと765プロ総出で響相手にサプライズでも仕組んでるんだよ」
真「ほら、春香の誕生日の時もやったろう? 今度は皆ででっかいケーキでも仕込んでるんじゃないかな」
響「そ、そうだったのか!?」パアア
真「はは、そんなわけないだろ」
響「」ゲシゲシ
真「痛っ! 何で殴るんだよ!」
真「響も心配性だなあ」
響「真は能天気すぎるんだぞ」
真「遊んでないって言ったって、この間765プロの皆で慰安旅行に行ったじゃないか」
響「その日、自分だけ熱で寝込んじゃってたから行ってない……」
真「あ、あれ?」
真「じゃあ今週のスイーツ食べ放題のお店は……」
響「もうすぐグラビアの撮影があるから、プロデューサーが行くなって……」
真「そ、それなら来週のカラオケ大会は……」
響「大きな仕事入っちゃったから行けない……」
真「じゃ、じゃあ! この間のロケの打ち上げは……!」
響「そんなのあったか……?」
真「あるわけないだろ」
響「自分……やっぱり避けられてるんだ」
響「今年に入ってからまだ、皆とまともに遊べてない……っ!」ジワ
真(神様……っ! 響に一体何の恨みがあるって言うんだ……!)
真「響」
響「ふえ?」
真「今日は僕の家に泊まっていきなよ」
響「うええ? さ、流石にそこまでお世話になるのはまずいぞ……まだペットに餌もやってないし」
真「それなら僕が響の家に泊まりに行こう」
響「え?」
真「今日だけじゃない。響さえよければ、望むだけ僕は響の側にいよう」
響「い、いきなりどうして……」
真「放っておけないだろう……!」ガッ
響(ほ、放っておけないほど深刻に嫌われてるって事か……?)
真「響は嫌われてなんかない!」
真「ただほんの少し! ほんの少しだけ運がなかっただけなんだ……!」
響「あ、あの……真、近い……」
真「僕が証明してやるさ!」
真「765プロは、僕は響のことが本当に大好きなんだって!」
響「!」
真「今度一緒にテレビに出演する機会があったら二人でいっぱい話そう!」
真「それで、僕と響の仲の良さを他の皆にも知らしめてやるんだ!」
響「………」
真「公式のブログにも、これでもかってぐらい僕が響が大好きだってことをアピールしてやるさ!」
真「もしそれで僕の女の子のファンが減ってもいい! どの女の子より今僕は響の笑顔が欲しいんだ!」
真「だから響、君はもっと自分に自信を持って……っ!」
響「」ポロポロ
真「!?」
響「ぐす………ふええっ」ボロボロ
真「え? え?」
響「うえっ……ふぐっ」グス
真「ひ、響? どうしたの?」
響「すん……すん」ゴシゴシ
真「な、何か気に障るようなことを言ったなら謝るよ。だから……」
響「……にふぇでーびる」
真「へ?」
響「にふぇでーびる!」
真「あの、それどういう……」
響「もう、わっかんないのか? 真は相変わらず馬鹿だなあ」ズズ
真「な、なんだよ! せっかく僕が気を遣って……」
響「ありがとう、って意味だぞ」ニコッ
真「………」
響「真?」
真「……ど」
響「ど?」
真「……どういたしまして」キュン
律子「すいません、美希と雪歩って今日事務所来てます?」
小鳥「ああ、あの二人ならさっき事務所の外に……」
律子「もう……今度のライブについて打ち合わせしたいのに、一体何をしてるのかしら」
小鳥「また真ちゃんを巡って口論でもしてるんじゃないでしょうか」
律子「まさか。喧嘩はおろか、外に出てまで真剣に口論する程うちのアイドル達は仲悪くないですよ」
小鳥「ふふ、そうですね」
ガチャ
小鳥「あ、帰ってきたみたいですよ」
律子「ちょっとあんた達、今まで一体何処行って……」
美希「うぐ……え゛っぐ」ボロボロ
雪歩「すん……ふえええ」ボロボロ
律子「」
小鳥「」
律子「はあ? 響が真を寝取った?」
美希「これは765プロの治安に関する由々しき問題なの!」
雪歩「このままだと事務所の風紀が乱れちゃいますぅ!」
律子「はあ……あんた達。真は女の子なのよ」
律子「いくら仕草や佇まいが男子の数倍雄雄しかったとしても、そこまで男扱いされたら真も可哀想でしょ」
美希「けど……!」
小鳥(これ、律子さんも大概よね)
律子「馬鹿な事言ってないで早く打ち合わせ始めるわよ」
美希「酷い! 傷心のミキ達の事も考えて、今日は休みにした方がいいって思うな!」
律子「このゆとりは……」
雪歩「私達真剣に真ちゃんの事考えてたのに、それを馬鹿な事だなんて……っ」
律子「あなたがこれから真剣に考えなければいけないのは異性と同性の見分け方についてよ」
律子「はいはい。この話はまた今度ね」
美希「律子のオニ! 悪魔!」
雪歩「え、えーと……め、メガネ!」
美希「しましま!」
雪歩「ローソン!」
律子「」ピキ
小鳥(ファミチキください)
美希「あれから色々あって雪歩の家に遊びに来ることになったんだけど」
雪歩「あ、遊びじゃないよ? 今度のライブの打ち合わせだよ?」
美希「そんなことより今は真クンなの! 今日は一日中今後のミキ達について雪歩と語り合うのー!」
雪歩「そ、そうだね! 今日は夜まで飲み明かそう! 飲まないけど!」
美希「あ、どうせならミキ、雪歩の淹れてくれたお茶が飲みたいな」
雪歩「うん、いーよ! 今淹れてくるから待っててね!」
パタタタ
美希「一人になったらなんだかお腹空いてきたの」グー
美希「けどそんなの問題ないの! ミキにはおやつ用に作ってきたこのおにぎりがあれば……」ガサゴソ
パタ
美希「あれ? 机からなんか落ちてきたの」
美希「何これ、雪歩の手帳?」
ガチャ
雪歩「おまたせー!」
雪歩「ごめん、久しぶりのお客さんだからちょっと手間掛けて作っちゃって……」
美希「寄るななの」
雪歩「へ?」
美希「ミキは今、ゼウスとの契りを交わして生まれたエンジェルの守り手……」
美希「堕天使ルシフェルの隠し子である貴女に勝ち目はないの」
雪歩「み、美希ちゃん? い、一体何読んでるの?」
美希「哀しいの……私達は住む世界が一緒ならきっと友達になれた」
美希「そう、貴女が十年前、あのマンホールの穴を塞ぎさえしなければ……」
雪歩「ちょ、ちょっと待って……」
美希「もう貴女の言い訳は聞き飽きたの!」
美希「くらえ! 世界に届け、ミキのグローバル・マイ・ウ゛ォイス!!」テチョウガンミ
雪歩「やめてええええええええええ!!」
雪歩「くすん……酷いよう、美希ちゃん。私の詩集、まだ誰にも見せた事なかったのに……」
美希「ミキ的には、『私は風邪になりたい』っていうタイトルの詩も中々良かったと思うな」
美希「冒頭から既に病弱な彼氏を想い、病を患おうとする儚い彼女の心情が読み取れたの」
雪歩「それただの誤字だから無駄に好意的な解釈の仕方はやめて! ていうかそんな話じゃなかったよね!?」
美希「あっはっは! けどさっきのは流石にねーの! 詩じゃねーの、バリバリ長編の物語だったのー!」
雪歩(こ、この子は……)
美希「あはは、こんなに笑ったのは久しぶりなの」
美希「ねえ雪歩、ミキトイレ借りてもいいかな?」
雪歩「えっと、出てすぐ右の突き当たりのところに……」
美希「うん、ありがとうなの!」ガチャ
雪歩「いってらっしゃい……」バタン
雪歩「もう……せっかく淹れたお茶が冷めちゃうよ」
雪歩「何か仕返し出来ないかな……ちょっとしたイタズラ的な感じで」
ポロ
雪歩「あれ? 美希ちゃんのバックから何かポーチみたいなのが」
雪歩「何これ、おにぎり?」
美希「ただいまなのー!」
雪歩「おかえり美希ちゃん。待ってたよ」
美希「む? 良い匂いがするの」クンクン
雪歩「えへへ、お腹空いてるだろうと思って美希ちゃんの為にお茶漬け作ってみたんだ」
美希「さっすが雪歩! 気が利くの!」
美希「じゃあ早速、いただきますなの!」
雪歩「熱いから気をつけてね」
美希「はふ、はふ」モグモグ
雪歩「………」ニヤリ
美希「うん、すっごく美味しいの! 流石雪歩の作ってくれたお茶ってカンジ!」
雪歩「美希ちゃんに喜んでもらえて本当によかったあ」
美希「じゃあ雪歩にも特別にミキの作ってきたおにぎりを……うっ!?」ガク
雪歩「どうしたの、美希ちゃん?」クス
美希「こ、このお茶漬け……ミキのおにぎりセンサーが拒絶反応を起こしてるの」
雪歩「あれ、口に合わなかった?」
美希「確かに味に問題はない……けれど、このお米達からは強い後悔の念を感じるの」
美希「雪歩! 何処でこのお米達を見つけてきたの!」
雪歩「ふふ、美希ちゃんって意外と鈍いんだなあ」
美希「なんだとなの……?」
雪歩「お茶漬けに哀れに浮かんでるそれをよく見てみなよ」
美希「お茶漬けに浮かんでる……? はっ!」
雪歩「ようやく気づいたの?」クスクス
美希「これは……ミキが今日の朝握ってきた、混ぜ込みわかめおにぎりの、わかめ……?」
雪歩「美希ちゃんも薄情だなあ。ついさっきまで側にいたおにぎりのこと忘れちゃうなんて」
美希「あ……あ……」ガクガク
雪歩「惨めだったなあ。あのおにぎり、お茶が注がれた後も未練たらしく三角のまま固まっててさ」
美希「いや……いやっ!」
雪歩「あんまりにも滑稽だったから私がスプーンで突いて崩してあげたよ。あっけなかったね、数分前まではあんなに綺麗な形のままラップに包まれていたのに」
美希「もう……もう止めてほしいの!」
雪歩「さっき美希ちゃんがお茶漬けを食べた後の感想……美味しかった、だっけ?」
雪歩「あはは! それを聞いたわかめおにぎりは、一体どんな気持ちで美希ちゃんの胃袋に運ばれて行ったんだろうね!!」
美希「いやああああああああ!!」
雪歩「み、美希ちゃん、ごめんね? まさかそこまで本気で落ち込むと思わなくて……」
美希「ぐすん……ふえええ」ポロポロ
雪歩「ほ、ほーら雪歩だよー? スコップの似合う普通の女の子だよー」
美希「すん……嘘なの。本物の雪歩はあんな怖い演技したりしないの」
雪歩(ああいうドラマの役に憧れて一人練習してただなんて言えない)
美希「ねえ……雪歩はやっぱり、ミキのこと嫌いなの?」
雪歩「え? そんなことは」
美希「……もういいの。ミキ、お家に帰る」
雪歩「へ?」
美希「もういい! 真クンを毎日卑猥な目で見てるエッチな雪歩なんてどっか行っちゃえばいいのー!」ダッ
雪歩「ちょ、美希ちゃん手帳だけじゃなくてパソコンの中身も見たのおお!? お願い、あの小説のことは忘れてー!」
美希「言われなくともそのつもりなの! それとミキ、受けとか攻めとかよくわかんないけど真クンはもっと男らしく行った方がいいって思うな!」
雪歩「貴重なアドバイスありがとう! あと忘れる気さらさらないよね知ってた!」
雪歩「美希ちゃん待って、帰らないでー!」
雪歩「はあ、はあ……」
雪歩「美希ちゃん、あれで身体能力も高いとか反則だよう」
雪歩「結局、あの後凄い急ぎ足で帰っちゃったけど……」
雪歩「もう、急にどうしちゃったのかなあ。せっかく久しぶりに二人っきりで話せると思ったのに」
雪歩「…………」
雪歩(あれ? そういえば私達、二人っきりで遊んだのって今日が初めて?)
雪歩(今までは大人数で遊んだことはあっても、こんな風に二人で話す機会なんてなかったし……)
雪歩(ううん、あったとしても真ちゃんをどっちが取るか熱く議論してたぐらい)
雪歩(もしかして私、美希ちゃんにあまり良い印象を持たれてないんじゃ……)
雪歩「そ、それぐらいしょうがないよ! だって恋愛に障害は付きものだもん!」
雪歩「女の子ってそういうの多いってよく聞くし! 好きな女の子を取り合って疎遠になるなんて普通だよね、普通!」
雪歩「あはは……」
雪歩「……………」
雪歩「……今度のライブ、気まずいなあ」
パサ
雪歩「あれ、私の知らない手帳?」
雪歩「………」ピラッ
雪歩「え、これ……」
黒井「」テクテク
黒井「今月も赤字か……」
黒井「ふうむ、最近我が社の業績が落ち気味とは」
黒井「ジュピターも解散し、駒も少なくなって来ている今こそ有望な新人を発掘せねばならんというのに」
黒井「く……これも憎き765プロの連中が、我那覇響と四条貴音を引き抜かなければこんなことには……」
黒井「いかんいかん。セレブな私がこんな弱者の考え方をしてしまっては」
黒井「こんな時には優雅に缶コーヒーでも飲んで心を静めよう。本当は喫茶店にでも寄りたいのだが、強者の私は決して金を無駄遣いするような真似はせんからな」ズズ
美希「」テクテク
黒井「む?」
美希「」テクテク
黒井「あれは……765プロの星井美希、だったか」
黒井「ふん。仮にも有名アイドルが一人で堂々夜の街を出歩くなど、うちのプロダクションでもせんことだな」
美希「………」
黒井(む? あのおにぎり娘にしては表情が暗いな)
黒井(そういえば最近、事務所仲間との恋仲が上手く行っていない、という話を三流ゴシップの記事に取り上げられていたが)
美希「……ふう」テクテク
黒井(………)
黒井(我がプロダクションで働くにはビジュアルも人気も特に問題はない)
黒井(交渉してみる価値はある、か?)
美希「はあ……早く覚醒したいの」
黒井(頭の方に難はあるようだが)
美希「あれ、携帯の充電も切れちゃってたの」
美希「ミキ、これからどうしようかな……」
黒井「ウィ。そこのアイドル」
美希「ん? ミキの事?」
黒井「少し話があるんだが」
美希「や。今日はもう疲れたからお家に帰るの」
黒井「まあそう言うな。君にとっても悪い話ではない」
黒井「実は私、こういうものでね」つ名刺
美希(漢字いっぱいでよくわかんねーの)
黒井「単刀直入に言おう。うちのプロダクションで働いてみないか?」
美希「おじさん、スカウトの人?」
黒井「スカウトとは少し違うが……まあ似たようなものだと思ってくれて構わない」
黒井「実は前々から君に可能性を感じていてね。ぜひ前向きに検討してほしい」
美希「そんなこと言われてもミキ、もう765プロでアイドルやってるし……」
黒井「そういわずに。ちょっとぐらい我が社への移籍を考えてみてもいいんじゃないかね?」
美希(なんかこの人怪しいの……)
美希(名刺もうさんくさいし、顔も真っ黒でよくわかんないし)
美希「はっ!」ティン
黒井「?」
美希(聞いたことあるの……スカウトマンを装い、ナンパもののエッチな映像を撮る会社があるって)
美希(もしかして、これが……?)
美希「…………」
黒井(む? この反応、意外と脈はあるのか?)
黒井(ふむ、私の人を見る目も捨てたものではないな。もう一押しか……)
黒井「どうだ? 考えてくれる気になったかね?」
美希「き」
黒井「き?」
美希「きゃあああああ!! この人変態なの、犯されるのー!!」
黒井「」
黒井「ちょ、ちょっと君、落ち着きたまえ」
美希「いやっ、こないでほしいの! そんな全身真っ黒なチャラおじさんにミキの純情を捧げるほどミキは安くないのー!」
黒井(く……何故だ。ただ星井美希を961プロに引き抜こうとしてただけなのに何故このような誤解が……?)
黒井(周りの人も少なくない。このままでは我が社の評判が落ちるだけではなく、この黒井の威厳に関わる……!)
黒井「ま、待ってくれ! 私の話をちゃんと聞いてくれ!」
美希「いやなの!」
黒井「じゃ、じゃあ先っぽだけ! 話の先っぽだけでいいから!」
美希「先じゃ絶対済まないの!」
黒井「すぐ終わる! 本当に時間は全然取らせないから!」ガシ
美希「いやあああ! 誰か……誰か助けてー!」
雪歩「雪歩アタック!」スコップゴン
黒井「へぶし!」バタン
美希「!?」
雪歩「美希ちゃん、平気!?」
美希「ゆ、雪歩? どうして……」
雪歩「どうしても何もじゃないよ! 私すっごい心配したんだもん!」
雪歩「美希ちゃんのケータイにも繋がらないし、家に電話したらまだ帰ってきてないっていうし!」
美希「そ、それはその……悪かったって言うか」
美希「それより雪歩、さっき勝手に家を飛び出していったこと怒ってないの……?」
雪歩「怒ってるよ! 激おこだよ、ぷんぷん雪歩だよ!」
雪歩「美希ちゃんの馬鹿! おたんこなす!」
美希「ご、ごめんなさいなの」
雪歩「このゆとり! おにぎり女!」
美希「申し訳ないの」
雪歩「金髪けむ」
美希「ちょっと言い過ぎだと思うな」ツネー
雪歩「ごめんなふぁい」
雪歩「もう、ひどいよう美希ちゃん」
美希「初対面の男の人をいきなりスコップで殴りつける人には言われたくないの」
美希「あーあ、もう完全にのびちゃって……」
美希(…………)
美希(って、あれ。雪歩が男の人を……?)
雪歩「美希ちゃん、どうしたの?」
美希「ふぇ!? べ、べつになんでもないの!」
雪歩「そうだ。美希ちゃんに渡したいものあったんだ」ピラ
美希「え、これって……」
雪歩「今度のライブのセットリストだよ」
雪歩「プロデューサーさん達がもう曲順決めちゃってたらしくてさ。言うの忘れちゃってたんだ」
雪歩「ごめんね、せっかく一生懸命今度のライブについて考えてくれてたのに……」
美希「み、ミキ特に何もしてなかったって思うんだけど」
雪歩「何言ってるの美希ちゃん」
美希「?」
雪歩「美希ちゃんが忘れていったこの手帳に、今度のライブについての注意点やデュオ曲の候補とかびっしり書いてあるじゃない」ヒョイ
美希「」
雪歩「いくら美希ちゃんでも、今日の打ち合わせをほっぽかしちゃうのはおかしいと思ったんだあ」
雪歩「あんなに余裕があったのは、もう打ち合わせなんかしなくても問題ないくらい私とのライブを楽しみにしてたって事だったんだね!」
美希「ち、違うの! そ、そこに書いてあるのはその、その日のテンションというか特に意味はないというか」
雪歩「じゃあ私とのライブはそこまで楽しみじゃなかったって事なのかな?」
美希「あ、当たり前なの」
雪歩「けどこのページの最後に、今日の日付と一緒に『この機会に雪歩と仲良くなr」
美希「きゃーーー!! きゃーーー!!」
雪歩(人の秘密を暴露する瞬間ってどうしてこんなにわくわくするんだろうなあ)
美希「うう……さっきのお茶漬けといい、雪歩って本当はSなの……?」
雪歩「あはは、ごめんごめん。実はちょっとだけ嬉しかったんだ」
美希「え?」
雪歩「私も、美希ちゃんともっと仲良くなりたいって本当はずっと前から思ってたんだ」
雪歩「けど美希ちゃんと私じゃ、いろんな所が違いすぎてアイドルとしても女の子としても恐れ多かったって言うか……」
美希「雪歩は相変わらず臆病なの」
雪歩「ふふ、そうだね。だけどこんな臆病な私を変えてくれたのは美希ちゃんだったじゃない」
美希「? ミキ何にもしてないよ?」
雪歩「美希ちゃん」
美希「なーに?」
雪歩「私ね、美希ちゃんの事好きだよ」
美希「………」
美希「ふぇ?」ボン
雪歩「私、初めてだったんだ。他の女の子とあんな大声で話したり悪口言ったりしたの」
雪歩「ふふっ変だよね。美希ちゃんに詩の事笑われた時も不思議と嫌な気分にはならなかったの」
雪歩「ううん、むしろ気分爽快! って感じ?」
美希「え……あの、えっと……」
雪歩「美希ちゃんの言う通りだったんだ」
雪歩「私は臆病過ぎて、その臆病な私を見て周りの人も気を遣って、その私に気を遣ってる人たちを見て私が気を遣って……」
雪歩「けどそんなちんちくりんな私を美希ちゃんは素直な気持ちで、誰よりも正直な目で見てくれた」
雪歩「だから、そのままの私で良いんだって思ったの。自分の気持ちに蓋をしなくても、変わらない態度で接してくれる友達が居るんだって」
美希「………」
雪歩「嬉しかったなあ……あんなに誰かに物怖じせず大声で喋った事、今までなかったもん」
雪歩「その、だからね?」
美希「………」
雪歩「これからも変わらず、友達で居てくれると嬉しいなーって言うか……」
美希「………」
雪歩「み、美希ちゃん?」
美希「………」
雪歩「は、恥ずかしいんだから何か答えてよう……」
美希「ぷ」
雪歩「?」
美希「あっはっは! 急に真面目な話しておっかしいのー!!」
雪歩「」
美希「ていうか、詩の事馬鹿にされて嬉しいって……雪歩はやっぱりMな人なの?」
雪歩「ち、違うよ! パソコンの中の私はいつも攻め専門だもん!」
美希「何言ってるかよくわかんないけど、未だに顔面蒼白でスコップ握り締めてる人に言われたって説得力無いって思うな」
雪歩「え!? そそそそんなことないよう!」
美希「そんなに男の人殴るの怖かったなら逃げちゃえばよかったのに」
雪歩「うう……だって……」
美希「もう、どうせならもう少し格好良く決めて欲しかったの」
テノヒラギュ
雪歩「え?」
美希「ほら。帰るよ、ハニー」
雪歩「え? え?」
雪歩「み、美希ちゃん? 今なんて」
美希「あ、閃いたの!」
雪歩「え?」
美希「今度のライブ曲、ちょっと中二病? っぽい路線で行ってみたらどうかな!」
美希「ほら、雪歩の詩集の内容を晒しあげてくって感じで! たまにだけどミキ的に好きな所あったし!」
雪歩「ええ!? そんなの無理だよう!」
美希「ええー、良いアイディアだと思うんだけどな」
雪歩「もう、美希ちゃんはまたそうやって私の詩集馬鹿にして。……た、確かに内容はちょっと痛いかもだけど」
美希「じゃあ雪歩は何か良いアイディアあるの?」
雪歩「え、私? そ、そうだなあ……ていうか美希ちゃん、なんでさっきから私の手握ってるの?」
美希「んー? 特に気にしなくていいって思うな」
ガヤガヤ
パサッ
詩集『この手、貴方に触れるためにある By Yukiho』
雪歩「み、美希ちゃん? 今なんて」
美希「あ、閃いたの!」
雪歩「え?」
美希「今度のライブ曲、ちょっと中二病? っぽい路線で行ってみたらどうかな!」
美希「ほら、雪歩の詩集の内容を晒しあげてくって感じで! たまにだけどミキ的に好きな所あったし!」
雪歩「ええ!? そんなの無理だよう!」
美希「ええー、良いアイディアだと思うんだけどな」
雪歩「もう、美希ちゃんはまたそうやって私の詩集馬鹿にして。……た、確かに内容はちょっと痛いかもだけど」
美希「じゃあ雪歩は何か良いアイディアあるの?」
雪歩「え、私? そ、そうだなあ……ていうか美希ちゃん、なんでさっきから私の手握ってるの?」
美希「んー? 特に気にしなくていいって思うな」
ガヤガヤ
パサッ
詩集『この手、貴方に触れるためにある By Yukiho』
律子「最近美希達事務所に顔出しに来ませんね」
P「いいことじゃないか。それぐらい今度のライブに本気で打ち込んでるって事だろ?」
律子「そうだといいんですけど」
P「しかし、こう事務所に雪歩が居ないと雪歩の淹れてくれたお茶が恋しくなるな」
律子「たまには私が淹れてあげましょうか?」
P「いいのか?」
律子「それぐらい平気ですよ」
律子「ってあら。お茶っ葉切らしてるわ」
あずさ「じゃあ私が近くのスーパーで買って来ますー」
律子「ああ、お願いします」
バタン
律子「しまった!」
P「律子! お前何てことを!」
律子「迂闊でした……! まさかあずささんが今日事務所に来ていただなんて……っ!」
P「無理もないか……あの人、動きこそ早くないのに気がついたらもう律子の背後に回りこんでたからな」
P「まずいぞ、今夜竜宮小町でのテレビの収録があるっていうのに」
P「下手をしたら今後一週間のスケジュールを見直さなければいけないハメになる……!」
律子「この間事務所の下のコンビニに買い物お願いしたら、何故か響の実家に二泊三日で泊まって帰ってきた強者ですからね」
P「沖縄で買いたいものでもあったんじゃないか」
律子「ちんすこう美味しかったです」
P「くっ、とにかく一刻も早く見つけ出さなくては!」
P「律子、あずささんに一度電話を!」
律子「はい!」ピポパ
律子「あっ、あずささん! 今何処に……!」
あずさ『ええっと……駅の看板を見る限り、群馬の何処かだとは思うんですけど』
律子「あずささん今群馬だそうです!」
P「くそっ、既に県外だったか!」
小鳥(こんな会話が成立する辺り、二人ともあずささんに毒されてきたわね)
P「というわけで、小鳥さんに後を任せて律子と二人であずささんの捜索に打って出たわけだが」
律子「一応あずささんにはあまり遠くをふらつかないよう釘を刺しておいたんですけど」
P「そんな言葉の抑止力程度であのテレポーターを捕まえられるとは思えないんだが」
律子「土地の名前を聞いたら、幸い交通手段がほとんどないような田舎町だったんで今回に関しては期待していいと思いますよ」
律子「流石のあずささんも、数時間であの山の中から他県に出るのは不可能でしょう」
P「そうか、それならまだ今夜の収録に間に合う可能性は……!」
律子「着きましたよ、群馬です!」キキッ
P「よし! 律子、あずささんにもう一度電話を!」
律子「はい!」ピポパ
律子「あずささん、着きましたよ! 今どの辺りに……」
あずさ『ごめんなさい、気がついたら知らない土地に着いてしまって……』
P「なめるな、予想通りだ!」
律子「大丈夫ですあずささん! そこ群馬の何処だかわかりますか?」
あずさ『あの、とりあえずシドニーまでは戻ってきたんですけど』
律子「群馬にそんな土地ねえよ」
P「弱ったな……久方ぶりの国外か」
律子「迷子になること前提で常にパスポート常備してるその用意周到さが腹立ちますよ」
P「マズイぞ……今のあずささんなら、大量のオーケストラの演奏陣に囲まれて『隣に』を熱唱しかけない……!」
律子「ラストを英語で見事に歌い上げる姿が目に浮かびますね」
P「電話はもう繋がらないんだったか」
律子「はい。おそらくいつものナビのアプリを起動している最中に、携帯の充電が切れてしまったのではないかと」
P「今の携帯会社に、未だ科学でも解明されてないあずささんの方向音痴を直すスペックを求めるのは酷か……」
律子「捜索は振り出しですね」
P「いや、俺はまだ諦めないぞ」
P「俺達の方から頻繁に色々な土地を行き来していれば、そのうち偶然あずささんにエンカウント出来るかもしれん」
律子「あずささんは幻のポケモンか何かなんですかね」
P「善は急げだ。行くぞ律子!」
律子「はいはい。私達もよく付き合いますよね」
P「ああ、本当にな」
チュンチュン
P「あずささんの捜索が始まってからもう三日か」シャカシャカ
律子「この生活も段々慣れてきましたね」シャカシャカ
P「北海道って夏でも朝肌寒かったりするんだな。俺ちょっと感動したよ」シャカシャカ
律子「まあここ山の近くのホテルですしね。あ、そこのコップ取って下さい」
P「はいよ」
律子「ありがとうございます」
P「律子ってやっぱりメガネ無い方が可愛いんじゃないか?」シャカシャカ
律子「何馬鹿言ってんですか、もう」シャカシャカ
P「すいません。こう、おっとりした感じの女の人見かけませんでしたか?」
P「胸に風船詰めてるような格好してるんですけど」
モブじい「いや、見とらんよ」
P「そうですか……」
律子「ただ今戻りました」
P「おう、律子。そっちはどうだった?」
律子「おじいちゃんにナンパされました」
P「はは、相変わらずだな。いっそそっち路線でまたアイドルデビューしてみるか?」
律子「プロデューサーがプロデュースしてくれるならちょっと考えてみましょうか」
P「おいおい、これ以上俺の仕事増やすのは勘弁してくれよ」
律子「ふふっ」
P「ここも手がかりなしか……」
律子「事務所長い事空けてますけど大丈夫ですかね」
P「小鳥さんと社長が頑張ってくれてるらしいから平気だろ」
律子「昨日小鳥さんから死にそうな声で、一言あとどのくらいですかって言う留守電入ってきてたんですけど」
P「そうか……早いとこケリをつけないとな」
P「事務所の皆の期待に応えられるよう、俺達も頑張ろう!」
律子「はい!」
P「それにしてもこのタレかつ丼美味いな」モグモグ
律子「ぐるなびで色んなお店吟味したかいがありましたね」モグモグ
P「夏祭りのせいでこの辺の道混んでるな」
律子「案外あずささんもこのお祭りに参加してるかもしれませんよ」
P「ああ。あの人あれで意外と子供っぽい所あるからな」
律子「そういえばあずささんの子供の頃の話ってあまり聞きませんよね」
P「親御さん曰く手のつけられないような子供だったらしいぞ。迷子的な意味で」
律子「スーパーの迷子センターとかでニコニコ両親を出迎えるあずささんを想像したら、それはそれで微笑ましい光景だとは思いますけどね」
P「律子。さっきの花火の写真後で貰っていいか?」
律子「いいですよ。はい」ピローン
P「サンキュ。ってこれ、こないだ大阪城をバックにして通行人に撮ってもらった俺と律子のツーショットじゃないか」
律子「あれれ? おかしいな」
P「おいおい。せっかくの夏の思い出なんだから大切にしてくれよ」
律子「あ、これ! 私が今日射的でシャルルっぽい人形取った時の!」
P「おお、よく撮れてるな」
―あずさ邸前―
P「捜索を始めてから一週間……」
律子「ようやく地元に帰ってきましたね」
P「そろそろ潮時か」
律子「ええ。流石にこれ以上は……」
コンコン
ガチャ
P「付き合いきれませんよ、あずささん」
あずさ「あらあら。いらっしゃい」
あずさ「お久しぶりですね」
律子「そう、ですね」
あずさ「お二人は何時頃から気づいてたんですか?」
P「最初に群馬まで迷ったと聞いたときは普通に信じてたんですけどね。割と日常茶飯事でしたし」
P「しかしあずささん。コンパスも狂うあの群馬の田舎町から国外へ出るのは、いくら貴女の力を持ってしても難しすぎるんですよ」
あずさ「それだけのことで、私が迷子になったと嘘をついていると?」
律子「いえ、確信を持ったのは二回目の電話の時です。実は電話越しにあずささんのご両親の声が聞こえてきたんですよ」
律子「生きてるうちに生身の娘と遭遇出来るとは思えなかった、とあずささんの父が涙声で叫んでいたのが印象的でした」
あずさ「そう……ですか」
あずさ「ふふ。流石は私のプロデューサーさん達ですね」
P「さあ、教えてくださいあずささん」
P「貴女ほどの大人な人間が、何故こんな長期間迷子になったなどと嘘をついたのか」
あずさ「…………」
律子「別に怒ってるわけじゃありません。ただ、あずささんなりに思うところがあるんならその理由を……」
あずさ「仕方、なかったんです」
P「?」
律子「仕方なかった、とは?」
あずさ「このままこの事務所で仕事を続けていく勇気が、私には持てませんでした」
律子「それは、どういう……」
あずさ「だって」
ポロポロ
P・律子「!?」
あずさ「じむじょのびんな、わだしのごどなばまはずれにずるんですもの……!」ポロポロ
P「」
律子「」
P「あの、あずささんの言ってる意味がよく……」
あずさ「だって……だって!」
律子「あ、あのあずささん。とりあえず鼻水拭いて」
あずさ「あ……ありがとうございます」チーン
P(キャラ崩壊ってレベルじゃねえぞこれ)
あずさ「お、お見苦しいところをお見せしました……」グス
律子「だ、大丈夫ですよ」
P「それで、さっきの仲間はずれというのは一体……」
あずさ「あの……あくまでわたしの気のせいかもしれないんですけど、なんだかこの数日皆に興味関心を持たれていない気がして」
律子「関心を持たれていない?」
あずさ「いえ、何て言ったらいいのかしら。話しかけてみてもなんだか全く相手にされてない感じで……」
P(うちのアイドルがこの聖母相手にそんな酷い仕打ちを……?)
律子(何故かしら。話の内容はまったく違うのに、似たような相談を最近何処かの二人組にされた気がするわ)
あずさ「最初に私に対する対応がそそっかしくなって来たのは、竜宮小町の亜美ちゃんと伊織ちゃんでした」
あずさ「それから日が経つ毎に、他の765プロの皆も私への反応が変わってきて……もしかしたらと疑ってしまったんです」
P「それで竜宮で仕事をするのが怖くて、思わず逃げ出してしまったと」
あずさ「はい……」
律子(この話が本当なら、あずささんを仲間外れにしてる主犯は私のユニットの中に……? まさか)
P「おい律子」コソコソ
律子「なんでしょう」コソコソ
P「お前、こんなにも苦しんでるあずささんを見てなんとも思わないのか」
律子「何自然に私のこと疑ってるんですか」
律子「けど正直、うちのアイドル達がそんな事するようには思えないんですよね」コソコソ
P「まあ、どちらかと言えばなんかくだらない事企んでるほうが多いしな」コソコソ
律子「そういえば春香の誕生日の時も似たようなことありましたね」
P「ああ、結局皆のドッキリだったって奴か。おそらく今回もそれに近い何かが起こってるんだと思うんだが……」
律子「もしそうなら、ここでネタばらししちゃうのも可哀想ですしね」
P「よし。ここはナイーブなあずささんの心を傷つけず、かつドッキリだとは悟られないよう上手くあずささんの不安を二人で取り除いてあげるんだ」
律子「了解です」
あずさ「あ、あのう……」
P「はい、なんですかあずささん」クル
あずさ「やっぱり、軽蔑してますよね。こんな、周りの皆とコミュニケーションが取れないぐらいでお仕事をサボるアイドルなんて……」
P「はは、まさか。あずささんは悪くないですよ」
P「ただ歳のせいで若いアイドル達の話題に付いていけなくなっただけです」
律子「そうそう」
あずさ「」
あずさ「え? え?」
P「そりゃ亜美と伊織も話題提供するのに苦労しますよ」
律子「今が旬の中学生と元短大生ですからね。大人なあずささんと話が合わないのも頷けます」
あずさ「え、あの……え?」
P「他の皆も薄々皆と同じようなこと思ってたんじゃないですか?」
律子「ええ、なので安心してくださいあずささん。亜美と伊織に非は元々ありませんよ」
P「皆自発的に始めたことですしね。いやあ、周りより大人になるって大変ですねあずささん!」
あずさ「………!」ジワ
P「おい律子」コソコソ
律子「なんでしょう」コソコソ
P「俺達なんか悪いこと言ったか?」
律子「やはり歳のことを持ち出したのが良くなかったんでしょうか」
あずさ「やっぱり……私は根っからの方向音痴な体質なんでしょうね」
律子「え?」
あずさ「たまに思うんです。なんでもっと早くアイドルとしての道を歩まなかったのかなって」
あずさ「お二人の言う通りです。皆より多く色んな経験を、色んな景色を見てきたのに……」
あずさ「未だに私は、この先何処へ向かって進んだらいいかわからない……!」
P「………」
あずさ「うう……」グス
P「あずささん」
あずさ「なんですか……?」
P「手を、出してください」
あずさ「え?」
スッ
P「大丈夫です。この先、あずささんが道に迷ったら」
P「僕が、貴女の手を引きます」
ギュ
P「だから、必要以上に不安がることなんてないんです」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん……」
律子「全く。暇さえあれば迷子の連絡をするような人が一体何を言ってるんですか」
律子「何処へ進んだらいいなんて難しいこと、あずささんが考える必要なんてありませんよ」
ギュ
律子「貴女の進むべき道は、私が示します」
律子「今のあずささんのプロデューサーは、私なんですから」
あずさ「律子さん……」
あずさ「……ふ、ふふふ」
律子「あずささん?」
あずさ「お二人とも、お上手なんですね」
あずさ「なんだか私、子供の頃に戻ったような気がして今とても嬉しいんです」
P「子供、ですか」
あずさ「ええ。こう言ってはなんだけど、事務所のアイドルの中では私が一番お姉さんだったから……」
あずさ「こうやって誰かに親みたいに諭されたこと、今までほとんどなかったんです」
あずさ「それこそ両親にも、ですよ? ふふ、変な話ですよね」
P(親馬鹿っぽかったからなあ、あずささんのご両親)
あずさ「私のような子供をあやしてくれたプロデューサーさん達は……」
あずさ「差し詰めご近所のおせっかい焼きな夫婦、とでも言った所でしょうか」フフ
P「え」
律子「え」
あずさ「あらあら、もうこんな時間」
あずさ「そろそろ私も家に帰らないとですね」
P「え?」
あずさ「何を驚いているんですか?」
あずさ「今の私の家は、765プロ以外にありませんよ」
P「いえ、そうでなく迷子の方の心配を……」
あずさ「ご心配なさらず。実は私、事務所への道のりはほとんど迷ったことないんです」
P「え、そうなの?」コソコソ
律子「さあ。もしかしたら記憶の方が迷子になってるんじゃないですかね」コソコソ
あずさ「それにもし迷子になってしまったとしても……」
あずさ「今の私には、優秀なプロデューサーさんが二人も付いてますから」ニコッ
P「行っちまったな、あずささん」
律子「まあどうせ、あと数十分後には迷子のお知らせが来るんでしょうがね」
P「それにしても俺達の事を夫婦呼ばわりとはなあ」
律子「ええ。驚きましたね」
P「律子みたいな美人さんと俺じゃ釣り合う訳ないし」
律子「プロデューサーみたいな優しいおせっかい焼きと私とじゃ、それこそ釣り合いませんよ」
P「………」
律子「………」
P「なあ律子」
律子「なんでしょう」
P「こ、今度また二人で旅行でも行かないか」
律子「い、いいですよ」
小鳥「それで?」
小鳥「この一週間死に物狂いで頑張ってきたお姉さんに何か言うことは?」
P・律子「婚前旅行楽しかったです」
小鳥「ふざけんな!」ピヨオ
P「ていうことがあったんだけど」
真美「わお。ピヨちゃんお気の毒だね」
P「あずささんもよかったな。あの後結局迷子になりはしたけど、皆との仲も良好みたいだし」
真美「あの日上目遣いで皆との輪に入ろうとするあずさお姉ちゃんの姿には、胸にキュンと来るものがあったよ……」
P「はは。本当に友達を作ろうとしてる小さな子供みたいだな」
真美「けどなんであずさお姉ちゃん、皆に仲間外れにされてるー! って思い込んじゃったんだろね?」
P「さあ。結局お前ら、ドッキリとか何にも企んでるつもりなかったんだろ?」
真美「ウイ」
P「ふうむ。不思議な事もあるもんだなあ」
律子「プロデューサー、ちょっといいですかー?」
P「おう、今行く」
P「悪いな真美。話の続きはまた今度な」
真美「ううん、大丈夫」
真美「兄ちゃん、いってらっしゃい!」
バタン
真美「………」
ガチャ
亜美「双海亜美、ど派手にシュシュッと参上ー!」
真美「………」
亜美「ってあれ、真美久しぶりー! いやー、仕事のせいで最近家でも中々顔合わせられなかったから心配してたよー!」
真美「………」
亜美「おや?」
真美「………」
亜美「真美君真美君。久しぶりに会った妹に対してその反応は冷たすぎるんではないかね?」
真美「………」
亜美「え、ええと、真美? 亜美なんか悪いことしたかな……」
真美「」ブワッ
亜美「!?」
真美「うわあああああん! 兄ちゃんのばかあああああ!!」
亜美「真美ー!?」
おしまい
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