1/24の彼女 (17)
日根倉左之助が住むボロアパートのチャイムが鳴ったのは深夜の2時を回った頃だった。
独りでやけ酒をした後だからかこんな時間に来る人間は怪しいのではないか、
なんて疑問が即座に浮かぶ脳みそではなかった。
音の方へ向かい立ち上がり狭い通路を千鳥足で抜けようとするが何回も小指を壁にぶつける。
しかし痛みすらあまり感じなかった。
上下ダボダボのスウェット姿でドアを開けると目の前にはスーツ姿の女性が立っていた。
目の焦点がうまく定まらない。
「えーっと・・・どちら様ですか?すいません今頭が割れるように痛くてできれば介抱していただけると助かるんですけど・・・
あっ勿論変な意味じゃなくて」酔うと話上戸になる俺を軽蔑するような目で彼女は見る。
「新手のセクハラですか?まぁどうでもいいですけど」そういうと淡々と彼女は話を進める。
「日根倉左之助の父親に相当する日根倉良助様が仕事で使われていたものをお届けに来たのと借金に関する内訳の書類等も入っております。
重ねてご確認いただくようお願いします。こちらの段ボールの中に入っておりますので。それから――――――」
外からドアに向けて吹く風がどこか心地よいからだろうか。
彼女の声が透き通ったように綺麗だったからだろうか。
……それとも日根倉良助という名前を久しぶりに聞いたからだろうか。
とにかくあれだけ俺の思考を鈍らせていたはずの酒は全身の穴から抜け去ってしまった。
徐々に頭が正常に働きだす。そして現実を受け止めなくてはならなくなる。
そうだ……俺の親父は借金を残してこの世から消えてしまったのだと。
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「聞いてますか?後から知らないって言われても責任は持てませんからね」
ぼーとアパートから見える川の方を眺めていた俺を彼女は指摘する。
「ああ、すいません。それで親父の入ってた……なんでしたっけ?仏教に代わる新しい宗派がどうとか」
「運命教ですね。人生の全ては生まれる前に決められており自分自身の選択や決断はシナリオ通りであるという思想を重んじる宗派です」
いかにもって感じのうさんくさい宗教だ。しかし親父はまんまとはめられてお金を吸い取られてしまった。
親父が残した遺書にはこう書いてあった。
「『私は決して自殺ではない。私が46歳で死ぬという事柄はもとより決まっていて私が抗おうとしたところでどうにもできることではない。だから私は自殺をするわけではないのだ。シナリオに従うだけだ』」と。
「こんな宗教に引っかかるなんて呆れてものも言えないというか恥ずかしいというか……あはは」
言ってみて思ったが前にいる彼女も運命教の一人だ。彼女もまた運命教を信じる一人なのだろう。だからしまった、と思った。
宗教を信じる人間の前で宗教を否定するのはタブーみたいなものじゃないのだろうかと、
彼女は激昂しておれにつっかかってくるんじゃないだろうかと高を括った。
しかし彼女の口から出てきた言葉は意外なものだった。
「私も彼は愚かだったと思いますよ」
俺は明らかに驚きの表情を彼女に向けてしまった。そのへんてこな顔を見て彼女は少しだけ、笑った。
「実の父親を貶されて、でも考えを肯定された人間ってそんな顔をするんですね」
「いや、顔を真っ赤にして運命教を熱く語られると思ったんでつい」
「宗教に入る人間が必ずしも騙されているとか悪い人間ってわけじゃないですよ。それこそ私みたいに」
全く笑えない冗談だが何故か少しだけ本音を言いあえている気がした。
「俺には借金を取り立てに来た悪い人にしか思えないですけどね」そう言うと彼女はわざとらしく咳払いをした。
「最後に一つ。決して復讐とか考えない方がいいと思います。運命教の一員の私が言っても何の説得にもならないでしょうが
運命教は確かに強大な力を持っています。だから―――」
自分で話しすぎたと思ったのか言葉がそこで止まった。
「すいませんやっぱり忘れてください」ではさようならと付け加えて彼女は目の前から去っていった。
運命教は力を持っている……そこだけが耳に残ったまま、
彼女の足元に置いてあった段ボールを回収してドアをゆっくり閉めた。
親父が残した借金は一生働いて返せるかといった額だった。
そのほとんどは運命教の授業料にあたるもので内訳を見ると授業料一回20万と書いてある。どんな尊い教えを受けるんだよ。
逆に一回いってみたいとすら思ってしまう。
しかし借金を唐突に背負わされて何故俺は思ったより楽観的なのだろうかと自分に問いてみる。
楽観的というかむしろおきてほしかったかのようなことに思えるほどだ。
それはきっと自分の人生のせいだろう。
24歳にしてろくな職に就かず、彼女もいない、心を分かり合える親友どころかうわべの友人すらいない。
好きなものも熱中出来る趣味も特には無かった。
唯一の楽しみといえば寂しさを紛らわすために付けたTVで笑ったり、
星が綺麗な日にベランダに出て煙草を吸いながらただずーと星を眺めていたり。
そんな何も持ってない自分が久しぶりに持てたもの。
それが一生経っても払えそうにない借金だったとしてもそれは俺の生きていく理由になる。
親父が抱えている借金を返していれば全うな人間もしくは苦労人のように扱ってくれる。
もしつらくなったら借金のせいだ!と自殺してしまえばいい。
それとも借金を抱えることも全ては運命によって決まっているから。
誰かが考えたシナリオ通りに動いているだけだから考えるだけ無駄だといっそのこと運命教に見習って悟りを開いてしまうか。
苦手なコーヒーを何故飲んでいたかといえば親父にコーヒーを飲むか聞くためだった。
「お父さんコーヒー飲む?」
「ああ頼む」そう言われ3分ほどでインスタントコーヒーを作る。
お父さんは甘いものが好きではないので砂糖は入れない。「はいお父さんの分」と言うと
「ありがとう」と返される。
親父との一日の会話はたったのこれだけだった。
でもこの時間があるかなにも話さない日が続くかではとてつもなく重要な違いに思っていた。
きっと俺は親父のことが割と嫌いじゃなかったんだろうな。
だからさっきあの女に復讐はしない方がいいと言われたとき違和感を感じてしまった。
俺は何故、運命教に復讐をしようと思わないのだろう。
復讐という大げさな表現を使わずともどうして怒りのようなものがこみ上げてこないのだろう。
宗教なんかに引っかかった親父を軽蔑しているからだろうか。
今は実感がないからだろうか。
いや味気ない人生を過ごしすぎて色の出る感情を忘れてしまったのかもしれないとその時は思った。
段ボールの中身を確認すると親父のものがいくつか入っていた。
きっと元々、親父の借金額は僕が一生をかけても到底払えないくらいに膨らんでいたのだろう。
借金額を少しでも減らそうとあらかた自分の周りにあるものを売ってしまった結果、
財産が段ボールひと箱に収まってしまったのだと推測した。
金になりそうなものはなく汚いシャーペンやら、親父が何度も読み返していた
『悪の葉』という純文学の分厚い本やらが段ボールに静在していた。
だから左隅で存在感を放つ『それ』を見た時、思わず手に取ってしまった。
『それ』は小さな箱だった。
中を開けると腕時計と折り畳まれたメモ用紙が入っている。
¥100,0000とばかげた値段のタグがつけてあることからきっと運命教に入っているときに買わされたものだろうと察しがついた。
もしこの腕時計が普通のみてくれをしていれば100万する腕時計は確かに存在するし
運命教のものではないかもしれないと判断することが出来たかもしれない。
しかしこの腕時計は腕時計の機能をなしていなかった。
皮のベルトに丸いケースが取り付けてある簡易なつくりで、アワーマークは一つもないから時間はわからない。
針も長針が一つついているだけだ。そんな奇妙なものが100万もするわけがない。
馬鹿馬鹿しく思いつつ一緒に何回も折られていた紙を広げると箇条書きでこう書いてあった。
段ボールの中身を確認すると親父のものがいくつか入っていた。
きっと元々、親父の借金額は僕が一生をかけても到底払えないくらいに膨らんでいたのだろう。
借金額を少しでも減らそうとあらかた自分の周りにあるものを売ってしまった結果、
財産が段ボールひと箱に収まってしまったのだと推測した。
金になりそうなものはなく汚いシャーペンやら、親父が何度も読み返していた
『悪の葉』という純文学の分厚い本やらが段ボールに静在していた。
だから左隅で存在感を放つ『それ』を見た時、思わず手に取ってしまった。
『それ』は小さな箱だった。
中を開けると腕時計と折り畳まれたメモ用紙が入っている。
¥100,0000とばかげた値段のタグがつけてあることからきっと運命教に入っているときに買わされたものだろうと察しがついた。
もしこの腕時計が普通のみてくれをしていれば100万する腕時計は確かに存在するし
運命教のものではないかもしれないと判断することが出来たかもしれない。
しかしこの腕時計は腕時計の機能をなしていなかった。
皮のベルトに丸いケースが取り付けてある簡易なつくりで、アワーマークは一つもないから時間はわからない。
針も長針が一つついているだけだ。そんな奇妙なものが100万もするわけがない。
馬鹿馬鹿しく思いつつ一緒に何回も折られていた紙を広げると箇条書きでこう書いてあった。
段ボールの中身を確認すると親父のものがいくつか入っていた。
きっと元々、親父の借金額は僕が一生をかけても到底払えないくらいに膨らんでいたのだろう。
借金額を少しでも減らそうとあらかた自分の周りにあるものを売ってしまった結果、
財産が段ボールひと箱に収まってしまったのだと推測した。
金になりそうなものはなく汚いシャーペンやら、親父が何度も読み返していた
『悪の葉』という純文学の分厚い本やらが段ボールに静在していた。
だから左隅で存在感を放つ『それ』を見た時、思わず手に取ってしまった。
『それ』は小さな箱だった。
中を開けると腕時計と折り畳まれたメモ用紙が入っている。
¥100,0000とばかげた値段のタグがつけてあることからきっと運命教に入っているときに買わされたものだろうと察しがついた。
もしこの腕時計が普通のみてくれをしていれば100万する腕時計は確かに存在するし
運命教のものではないかもしれないと判断することが出来たかもしれない。
しかしこの腕時計は腕時計の機能をなしていなかった。
皮のベルトに丸いケースが取り付けてある簡易なつくりで、アワーマークは一つもないから時間はわからない。
針も長針が一つついているだけだ。そんな奇妙なものが100万もするわけがない。
馬鹿馬鹿しく思いつつ一緒に何回も折られていた紙を広げると箇条書きでこう書いてあった。
・この腕時計は『ウィル』という。
・この時計は未来にワープすることが出来る
・長針一回転1時間つまり最低でも一時間はワープしなければならない
・一日3時間まで
・この腕時計は『ウィル』という。
・この時計は未来にワープすることが出来る
・長針一回転1時間つまり最低でも一時間はワープしなければならない
・一日3時間まで
それらの字は全て親父の字だった。
書道に通っていたのにもかかわらず何故かあまり達筆に見えないからか親父の字が特徴的だったことはよく覚えていた。
しかしまぁここまで見事に父親が騙された証明をいざ目にすると庇おうという気持ちすらいよいよなくなってくる。
腕時計の名前がウィルって、未来へワープって、今時小学生でも信じないんじゃないだろうか。
そういいつつ俺は『ウィル』を左腕に装着していた。それはささやかな運命教に対する抵抗みたいなものだった。
まるで煙草には中毒性が無いと主張する人間が実際に煙草を吸って確かめてみるように。
この腕時計には本当に特殊な力があると確信してしまったのは腕時計を外そうとした時だった。
腕時計のベルトに触れてみたはいいがつるつる滑ってしまう。
何度外そうと爪を立てても一向に外れる気配はない。
まるで4次元のものを触ろうとしているかのようだった。
箇条書きのところに
・一度つけると取り外せない
ってかいておけよ!と思ったがもう遅い。そこで俺は女性が去り際に言った言葉を思い出してしまう。
『運命教は強大な力を持っている』といううさんくさい言葉を。
頭でどれだけ否定しても肌で感じてしまったらどうしようもない。
もしかしたら本当にこの腕時計には未来へ飛ぶ力があるんじゃないか……?じっと腕時計を見つめる。
長針は6時の方角にぶらりとぶら下がっていて動きを見せようとはしない。俺は恐る恐る右手の人差し指を長針に近づけていった。
そして決意を固めた。ゆっくりと長針を回していく。
12時の方角を超えて1、2、3・・・一回転させて針が元の位置へ戻ってきたあたりで動かすのをやめた。
10秒ほど待つが何かが起こる気配はない。ふぅーと大きくため息を吐いた瞬間体の力が抜け目の前が暗闇に包まれた。
この腕時計には本当に特殊な力があると確信してしまったのは腕時計を外そうとした時だった。
腕時計のベルトに触れてみたはいいがつるつる滑ってしまう。
何度外そうと爪を立てても一向に外れる気配はない。
まるで4次元のものを触ろうとしているかのようだった。
箇条書きのところに
・一度つけると取り外せない
ってかいておけよ!と思ったがもう遅い。そこで俺は女性が去り際に言った言葉を思い出してしまう。
『運命教は強大な力を持っている』といううさんくさい言葉を。
頭でどれだけ否定しても肌で感じてしまったらどうしようもない。
もしかしたら本当にこの腕時計には未来へ飛ぶ力があるんじゃないか……?じっと腕時計を見つめる。
長針は6時の方角にぶらりとぶら下がっていて動きを見せようとはしない。俺は恐る恐る右手の人差し指を長針に近づけていった。
そして決意を固めた。ゆっくりと長針を回していく。
12時の方角を超えて1、2、3・・・一回転させて針が元の位置へ戻ってきたあたりで動かすのをやめた。
10秒ほど待つが何かが起こる気配はない。ふぅーと大きくため息を吐いた瞬間体の力が抜け目の前が暗闇に包まれた。
目を覚ましたとき、人間の目線は天井を向いているかベッドにうずくまっているかだろう。
だから目を開けた時、目線が立った時と同じであることにまず驚いた。
立ったまま睡眠をとったとすればそうなるのは自然なことだが生憎そんな器用なことが出来る人間などいない。
すぐさまポケットに入っているiPhoneを取り出し時刻を確認する。22:35。
正確な時間を確認していたわけではないが腕時計を使ってから約一時間であることは腹時計で理解できた。
机に置いたメモ用紙をもう一度確認する。
・この時計は未来へワープすることが出来る
決して寝ていたわけじゃない。何故なら段ボールが整理されているからだ。
いつのまにか意識が遠のいて、いつの間にか目を開けたら1時間経っていただけのはずなのに段ボールが片付いている。
疑う余地は無かった。もはや運命教のことなどどうでもよくなっていた。もしこれが本当なら凄い能力なのではないか?
徐々に自分の感情に色がついていくのを感じた。それはここ十年で1番の興奮だった。俺は飽きもせずひたすら腕時計『ウィル』を見つめていた。
俺は気付けば『ウィル』をつけたまま寝ていた。
というか外せないから仕方ないことだけどなにかをつけたまま寝るっていう経験は初めてだったのに違和感が無かったことに驚いた。
この腕時計は本当に俺の体の一部のようだった。
起きてまずしたことは、昨日俺を訪ねてきた女性に電話をかけることだった。
あの腕時計のことについて一つだけ聞きたいことがあった。
090-0000-0000 日柴喜
昨日の書類に書いてあった通りに番号をうつ。
もし出ないようなことがあれば運命教とやらはやはり詐欺なんだろうが2コール目で彼女は電話に応答した。
「日根倉さんですか。おおよそ腕時計に関しての質問でしょうが一応聞きます。どうしました?」お見通しだと言わんばかりに彼女は言った。
「まいったな、その通りだ。一つだけどうしても聞きたいことがある」はい、なんでもどうぞと言われた後、俺は昨日のことを思い出しながら話した。
「昨日腕時計で一時間ワープしたんだ。そしたら本当に一時間後に、行ってしまったんだ」拙い説明だが彼女は理解してくれた。
「ええそれがその腕時計の力ですから。設定した時間あなたは意識が無くなります。
例えば……そうですね。22時に『ウィル』を1時間後に設定すれば一瞬で23時にワープできることになりますね」淡々と彼女は言った。
それが科学的にどれだけ非現実的なことかも知らないような口ぶりで。
「もう『ウィル』の能力について疑ってはいないさ。俺が疑問に思っているのはそのワープしている間のことさ」
「ワープしている間?」
「昨日22時くらいから23時までワープした。そしたら散らかっていたはずの段ボールが片付いていたんだ。
つまり俺がワープしている間も確かに日根倉左之助は存在していたってことになる。
うまく言えないけど1時間後の未来へ行くって俺だけが1時間分ほかの人間より早い今を生きれることだと思ったんだよ。
それこそ他の人が止まって自分だけが動くような」そういうと彼女は電話越しに笑った声が聞こえた。
「日根倉さんって意外と本質を理解するのが遅いんですね」
「どういうことだ?」少し彼女の物言いにいらついたからか声が大きくなった。
「思い出してもみてください。運命教の考えはその人の思考や行動っていうのはいつも決まっていて、
それはつまり未来が決定しているということでもあるんです」いったん間をおいてから彼女は続けた。
「あなたが『ウィル』を使おうが段ボールは片付いていたし、使わなくても段ボールは片付いていたんです。
だから勘違いしないでくださいね。例えば日根倉さんが外を歩いているときに『ウィル』を1時間使ったとしましょう。
その間に事故にあっていたとしてもウィルを使っていなければ事故にあわなかったのに!と悔いるのは見当違いというものです。逆もしかりですね」
俺はなるほどと思った。
「だから比根倉さんが1時間未来へワープしている間も日根倉左之助がするはずだった行動を『ウィル』がしているだけですよ。
そして1時間『ウィル』が日根倉左之助をシナリオ通りに動かした後、あなたの意識が戻るだけです」
「だとしたらウィルを使うことに意味なんてないんじゃないのか?
それじゃあ俺の人生に空白の時間が増えていくだけでいってしまえば寿命を縮めているようなもんじゃないか」
「まぁ青春真っ盛りの高校生に渡しても使う人はまずいないでしょうね。彼らにとってはつまらない授業だって重要なスパイスです。
1分一秒が惜しいことでしょう。でも日根倉左之助さん、あなたはどうでしょう?
時間を早めてでも過ごしたくない時間の方が多いんじゃないですか?いっそのこと省略してしまいたいと思うような時間ばかりなんじゃないですか?
「いいじゃないですか。早めたところでウィルの力を使えばシナリオは変わらないのだから」最後を強調するように彼女は言う。
俺は彼女の言葉に圧倒されてしまっていた。
「こりゃ親父が騙されるのも納得だ」
「奥が深いでしょう?今なら一回20万円払っていただければ授業を受けることも可能ですが」
「いや遠慮しておくよ」電話越しに乾いた笑い声が聞こえる。俺は逃げるようにそれじゃあと言って一方的に電話を切った。
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