女騎士「これが最後の一撃だ」(70)
そう言って私は魔王へのトドメを盛大に外した。
~都内、大衆居酒屋にて~
勇者「では、魔王討伐を祝して、かんぱーい」
一同「かんぱーい」
カツン カツン
グビッ グビッ
戦士「いやぁ、長かったなぁ」
魔法使い「しかし、私達はやり遂げた」
勇者「みんな生きて帰ってこれたのは、奇跡だよ。本当によかった…よかったよ…」
ウルッ
戦士「おいおい、今日はめでたい日だぜ。泣くより笑おうぜ」
魔「そうだぞ勇者、これからが大変なんだ。私達がやらなければならない事は山ほどある」
戦士「おおよ、でも今日はそんな事忘れて、騒ごうぜ」
勇者「魔法使い…戦士…ありがとう」
戦士「だからよ、女騎士も部屋の隅で三角座りなんかしてないで飲めよ!」
女騎士「…」
ショボーン
戦士「まったく…トドメを外したくらいで落ち込むなよ」
女騎士「…」
エダマメ モチュモチュ
女騎士「…」
勇者「元気だしてよ女騎士。君の一撃がむしろフェイントになって、俺の斬撃が魔王に当たった訳だし」
魔「ま、結果オーライね」
戦士「そういうこった、だから枝豆ばっか食べてないで飲めよ!」
女騎士「…」
ピンポーン
サッ
店員「はいご注文ですね」
女騎士「せせり三本、塩で」
店員「はい喜んでアッヒィ!」
魔(ここの店員の口癖、癖がすごい)
戦士「だーかーら、酒を頼めって!お前アルコール大好きだろ!」
女騎士「いい…今日は、お酒、飲まない…」
ショボーン
戦士「ったく、面倒くさい奴だ。ほっといて俺はジャンジャン飲むぜ」
ピンポーン
サッ
店員「はいご注文ですね」
戦士「ハイボールおかわりね」
店員「はい喜んでアッヒィ!」
・ ・ ・ ・ ・
~一時間後~
戦士「うぉぉ~、だからよぉ~俺は感動してんだよぉ~」
ダバー
魔(こいつ泣き上戸なのよね、ウザイわ…)
勇者(普段は気さくで仲間思いなんだけどね…酔うと苦手かな)
戦士「魔王だってよぉ、本当は世界の事を憂いていたんだ…あいつはよぉ、俺達みたいな仲間に出会えなかった勇者ともいえるんだよぉ~」
女騎士「…」
セセリ モチュモチュ
戦士「うぉぉ~、俺ぁ、俺ぁよ、なぜだか涙が止まらないんだぁ~よぉ~」
ダバー
女騎士「けっ、暑苦しい野郎だぜ…反吐がでらぁ」
ペッ
ピチャ
女騎士が吐き捨てたツバは
戦士の鼻先に会心の一撃【クリティカル】をかました。
戦士「あぁ…?」
ツゥン
戦士「くさっ!」
女騎士「女騎士のツバは強酸性…知らなかったのか?」
ニヤッ
魔「ぶはは!魔王への一撃は外すのに、戦士にはクリティカルヒットするとか、えらい皮肉な話やな!」
勇者「ちょ、魔法使い…笑いすぎだよ」
魔「ぶはは!」
ブッ
魔「あっ、笑いすぎて屁ぇ出てもた」
勇者(魔法使いは酔うと関西弁の下品なババアになる…てか俺の仲間酒癖悪すぎ)
女騎士「てめェ!」
ガタッ
魔「なんや?」
女騎士「なんやとはなんや」
魔「お前こそなんや」
女騎士「なんやとちゃうわ」
魔「なんなんやゆーとるんや」
女騎士「なんやぁ!?」
魔「なんやぁ!?」
ダダッ
女騎士「このアマ、ぶっ〇してやる!」
魔「やってみさらせボケぇ!」
女騎士「後でわめくなよ糞っだらぁぁぁ!」
ブゥン
バキィ
魔「ぐっ、っだらぁ…」
フラッ
ブゥン
バキィ
女騎士「ぐぶっっっ!」
魔「もう一丁!」
ブゥン
バキィ
女騎士「なぐっ…んっのアマぁぁぁぁぁ!」
バカスカ
バカスカ
戦士「おろろ~ん、やめろよ二人とも。仲間だろぉ~」
ダバー
勇者(仲間、ね…)
ガサゴソ
シュッ ボゥー
タバコ スパー
勇者「ふぅ…」
勇者(俺達が…本当に…心から仲間だと胸を張って言えたなら…どれだけよかったか…)
スパー
勇者(俺達は魔法により契約を刻まれた、偽りの仲間…それを破れば背中に刻まれた契約の印章が心臓に食らいつき絶命する…国王がかけた、呪いといえる魔法だ)
スパー
勇者(真相は、俺と国王しか知らない。ほかの奴らは忘却の魔法で忘れている)
勇者(酷い話だ…結局まがいものの絆が、俺達を強くした訳である)
勇者(死に際に魔王は笑っていた…あるいは俺達にかけられた魔王に気付いていたのかも知れない)
勇者「…」
ピンポーン
サッ
店員「はいご注文ですね」
勇者「梅酒、ロックで」
店員「はい喜んでアッヒィ!」
ビクンビクン
店員「何度もご注文…ありがとうござひましゅるのぉぉぉぉぉ!」
ビクンビクン
チョロ…
チョロロロロロ
勇者(注文のしすぎで失禁したか…この店特有のシステムとはいえ、不愉快だな)
>>15
× 俺達にかけられた魔王
○ 俺達にかけられた魔法
まぁ似たようなもんか
・ ・ ・ ・ ・
~そんなこんなで~
店員「では締めの雑炊セットになりまーすアッヒィ!」
雑炊。
それは散々、皆が箸でつつき尽くした鍋の残り汁に
飯と卵を投入して作る
ぐちゅぐちゅの食べ物である。
グツグツ
カチャカチャ
魔「ほな、火ぃ止めてー。卵入れるで」
カチャカチャ ファサー
チャッチャ
魔「ネギと海苔散らして、できたでー」
戦士「よーし、食べるぜぇ~」
女騎士「ウェーイ」
勇者「ウェーイ」
勇者「ふぅ、ふぅ」
モチュモチュ
戦士「あちあち」
モチュモチュ
魔「いい出汁でてるわー、やっぱ雑炊はええなぁ」
ズズー
女騎士「うまうま」
・ ・ ・ ・ ・
勇者「もう注文ないかー」
戦士「おう、存分に」
女騎士「もう、食ったさ」
魔「ハラぁ、いっぱいだぁ」
戦士「確かに腹いっぱい、おっぱい!」
ガシッ
女騎士「あんっ」
戦士「…」
モミモミ…
女騎士「っ…んくっ…」
モミモミ
モミモミ
モミモミ
ミニモニ。
勇者「…」
チラッ
魔「?」
勇者(この流れなら、俺だって…おっぱいを揉めるに違いない!)
ニジリニジリ
魔「?」
勇者「…」
魔「勇者、なんか近づいてきてない?なんなん?」
勇者「…」
勇者(ここでうかつに反応しては駄目だ…あえて無視して近づく…そして、手が届く距離まで…!)
ニジリニジリ
魔「ちょ、ほんまなんなん、怖いやん…」
勇者(ひるむな…全ては乳の為…行くっ…!行けっ…!俺の…)
ヒュバッ
勇者(黄金の右手【ゴールデンハンド】!)
ムニュ
―――――
その時不思議な事が起こった。
勇者は確かに魔法使いの乳を揉んだ筈だった。
だがそれは
乳では、なかった。
それは
戦士の股間だった。
戦士「アヒィ」
勇者「!?」
戦士「勇者よ…それは私のおいなりさんだ」
勇者「ば、馬鹿な…何故そこにおいなりさんがあるゥゥゥ!?」
戦士「ンフフフフ…これぞ戦士忍法、性感帯入れ替えの術!」
勇者「戦士忍法…だと!?」
戦士「そうだ、俺と魔法使いの性感帯を入れ替えておいたのさ!」
バーババー バンバン
(スパイダーマンのあれのBGM)
勇者「くそっ、せっかく魔法使いの乳が揉めると思ったのに…くそったれ!」
モミモミ
戦士「んっ…」
勇者「!?」
勇者(オラおでれぇたぞ…戦士のおいなりさんっちゅうのは、まるで女の乳みてぇだぞ、クリリン!)
モミモミ
戦士「っ…んくっ…」
ハァハァ
勇者(なんだかオラ、モミモミしだしたぞ!)
モミモミ
モミモミ
モモモモモモモモモモモモモモモモモモモモモミモミ
戦士「やっ…だめっ…はーん、すこすこ!」
ドビュッシー
勇者「うっひゃあー!ビルスさま―――――!」
ドビュッシー
・ ・ ・ ・ ・
こうして勇者と戦士の二人は同時に果てて
なんやかんやあって
幸せなキスをして結婚しましたとさ。
ふたりぐらし、ふたりぐらし。
【完】
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません