戦士「よぉ勇者！昼間から酒場で呑んだくれるなんて、お前にしては珍しいな」

勇者「はは、王様からマジキチな注文を受けてね……」

勇者「コンドームを買ってこいと。今度娘とヤるからって」

戦士「コンドームを！？　あの厳格そうな王様がそう仰ったのか？」

勇者「うん、チンパンジーみたいに鼻の下伸ばして叫んでたよ」

戦士「ホルモンの為せる業か……感慨深いな」

勇者「僕達童貞にとってソレを買うのがどれだけの苦痛か君はよく分かっているだろう」

戦士「あ、ごめん。俺昨日童貞卒業したわ」

勇者「え？」

戦士「僧侶がクレクレせがんで来たからな。仕方ないよな」

勇者「」ｽﾞｯｷﾞｬｧｧｧﾝ

戦士「しっかし王様も羨ましいな、娘さん確か15歳だろ？」

勇者「」

戦士「いつまで白目剥いてんだよ。ほら、これでも飲んでしっかりしろ」

勇者「ありがとう」ｺﾞｷｭｯｺﾞｷｭｯ

勇者「……ぷはぁ！　にっがいなぁ、何これ？」

戦士「馬の精液」

勇者「」ｽﾞｯｷﾞｬｧｧｧﾝ

戦士「どうだ、元気出たろ？」

勇者「出るわけ無い！　殺す気か！」ﾊﾟｺｰﾝ

勇者「ミルクでも飲んで口直ししよう」ｺﾞｷｭｯｺﾞｷｭｯ

戦士「あ、それ俺の精液な」ﾄﾞﾔｧ

勇者「ぶへぇっ！！」

戦士「はっはっは、真のMADE IN OREとはまさにこの事よ！」

勇者「人に何て物飲ませるんだ……」ｺﾞﾎｯ

勇者「てか、どうして日頃から精子を携帯しているのさ」

戦士「ここだけの話だがな、たまーに居るんだよ」

戦士「精子飲んでみたいっていう酔狂な奴が」

勇者「は、はぁ」

戦士「……うーん、この話はやめだやめ！　場の空気が一瞬凍りついたしな」　

戦士「で、問題は如何にしてコンドームを入手するかなんだよ」

勇者「中学の頃は、先輩からよく貰ってたけど、もう捨てたしなぁ」

戦士「Amazonで購入するか？」

勇者「戦士はクレカ持ってるのかい？」

戦士「いや無いが」

勇者「じゃあダメだよ、薬局まで買いに行かないと」

戦士「薬局？　考えてもみろよ、国を代表する勇者様がコンドームを買いに来る姿を」

勇者「……堂々としていれば？」

勇者「オドオドするから行けないんだ。胸を張って、終始威風堂々としていれば大丈夫」

戦士「それだと逆にキモくね？　『引力によって知らず知らずの間にカゴの中に入っていました』の方が自然だろ」

戦士「ではこのオムツを……え？　コンドーム？　いえいえ、これはオムツですよ！」

戦士「……なっ名案だろ？」ﾆｺｯ

勇者「いやいや無理があるでしょ、オムツは！」

戦士「お前女みたいな顔だし、服装さえ何とかすればイケるイケる」

戦士「……そうか、もしやお前ボクっ娘だな！」

勇者「はぁ？　先程僕は童貞であるとカミングアウトしたばかりじゃないか」

戦士「ある種の演出だろ？」ﾆﾔﾆﾔ

勇者「ち、違うよ！　ボクは女なんかじゃないし！」

戦士「勇者の事を考えてると、ピル購入ルートも検討すべきだな」

勇者「ピル？」

戦士「分かりやすく言えば飲むコンドームだな」

戦士「お前が女装してさりげなくピルをレジに出せば万事OK」

勇者「ふむふむ……」

勇者「ってそれじゃ駄目だよ、王様はコンドームをご所望なんだよー！」ﾎﾟｶﾎﾟｶ

僧侶「あら……勇者さんに戦士さん、昼間からお酒だなんて」

戦士「ややっ！ 誰かと思えば僧侶か、こっち来いよ」

僧侶「ふふ、お隣失礼しますね」

僧侶「戦士さん……今夜……一発どうです」ﾋｿﾋｿ

戦士「良いねぇww」

勇者（ぐぬぬ……穢れた僧侶め）

勇者（聖職者が酒場に居ること自体マズいのに）

僧侶「……んくっ……んくっ」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ

勇者（ぎゃーっ！）

戦士「ポーランド産のウォッカを一気飲み……！ 此奴、やりおるな」

勇者（やりおるなじゃないよ、酔っ払い僧侶とかどう考えても異常でしょ！ 止めろよ！）

僧侶「うふん……」

戦士「おーイイねぇ、牝のフェロモンプンプン」

僧侶「戦士さぁ～ん」ｷﾞｭ

戦士「バカ、どこ握ってんだ！ うひひ♪」

勇者（もう破門されてもおかしく無いレベル。聖職者失格だな）

戦士「てな訳で俺らも避妊用具が必要になった」

戦士「僧侶、勇者は王様からコンドーム調達の命を受けているんだ」

僧侶「まぁそうでしたの。同じ志を持つ者同士、仲良くしましょ」

戦士「話は変わるが、勇者」

戦士「魔犬ケルベロスとの戦闘を覚えてるか？」

勇者「うん、君達の助力が無ければ敗北を喫していたね」