勇者「魔王の復活?」(735)



勇者(それが例え嘘だとしても……)

勇者(王にそう言われてしまえば、旅立たない訳にも行かない)


勇者(そしてやはりと言うべきか)

勇者(数ヶ月は旅を続けたが、起きるのは野生化した魔物による小さな被害のみ……)


勇者(私はただひたすら、それだけを解決して回っていた)



   海岸沿いの洞窟


勇者「……」タッ タッ

勇者(今もこうして、町の以来で海賊のアジトだと言われた場所に来ては居るが)


勇者「勇者なのか、ただの便利屋なのか……」タッ タッ

勇者「むっ!?」


髭海賊「ヒャッハー、今日もたんまり稼いだぜ!!」ジャラ

禿海賊「お頭もこれだけ持ってけば喜びなさるはず!!」ジャラ


勇者「先に見えるのは……」

勇者「アレが、海賊か?」



勇者「フッ!!」ダッ

勇者「……」スタッ


髭海賊「ひぃっ!?」ビクッ

禿海賊「なんだぁコイツは? 急に俺達の前へ出て来やがって!!」


勇者「お前達が引きずっている袋は、随分と重そうだな?」

髭海賊「あったりめぇよ!! どれだけの金貨が詰まってると思ってんだ」



勇者「……」

勇者「置いて行け……」


禿海賊「はっ? 頭が沸いてんのかオメェ?」

髭海賊「今日は気分が良いんだ、見逃してやるからこの洞窟から去りやがれ!!」


勇者「もう二度は言わぬ……」

勇者「置いて行け」スッ



髭海賊「ぐっ」

禿海賊「どうする? コイツ強そうだぜ?」チラッ


勇者「……」

髭海賊「ガメつい奴だなテメェ……」


髭海賊「わかったよ、半分やりゃあ良いんだろ!?」

勇者「全部だ。袋ごと、全て置いて行け」



禿海賊「なんだとぉ~!?」ギリッ

髭海賊「下手に出てりゃ調子に乗りやがってぇぇっ!!」


髭海賊「行くぞ禿!!」チラッ

禿海賊「よし来たっ!!」コクリ


髭海賊「俺達の超絶コンビネーションを見せてやるぜぇ!!」バッ

禿海賊「喰らえいっ、海賊人間砲弾ッ!!」バッ


勇者「……」

勇者「ほぉぉっ……」



「待ちなっ!!!」


髭海賊「えっ!!?」ピタァッ

禿海賊「こっ、この声はっ!?」ピタァッ


勇者「むっ……」

髭海賊「ヒヒッ、終わりだぜオメェ?」


禿海賊「この方は、俺達のお頭……」

禿海賊「戦士様よっ!!」


戦士「……」ザッ


,



髭海賊「見ろっ!! 戦士様の佇まいを!!」

禿海賊「全身を覆う分厚い鉄の甲冑!! 例え大砲だろうと通さねぇ!!」


戦士「……」ガシャン ガシャン

戦士「……」タッ


勇者「お前がここの海賊を率いているのか?」

戦士「だと言ったら、どうすんだ?」ニヤッ



勇者「海賊を解散し、奪った物を人々に返すのだ」

戦士「……」


戦士「へへっ」

戦士「こっちにも目的が有ってね……それはできねぇな」


勇者「……」

戦士「……」


勇者「どうしても、引かぬか?」

戦士「だから、引けねぇっつったら……どうなんだよ?」



勇者「構えなさい……」

戦士「あん?」


勇者「お前が引くと言うまで」

勇者「何度でも叩きのめしてやろう!!」スッ


戦士「チッ、バカがっ!!」ジャキン ジャキン

戦士「オレは、ハヤブサの剣の二刀流。てめぇも剣を抜きやがれ!!」スッ


勇者「……」

勇者「このままでいい……」



戦士「フッ」

戦士「おいおいおいおい……」


戦士「オレの装備が見えてんのか?」

戦士「頭の天辺から足の爪先まで全てを覆う甲冑に、ハヤブサの剣……」


戦士「それでもっ、てめぇは剣を抜かねぇっつーのか!?」ギリッ

勇者「……」


勇者「私は……女子供に剣を抜いたりはしない」

戦士「ッ!!?」ビクッ



髭海賊「こんなに男らしい戦士様を前にぃ、何ぬかしてんだぁっ!?」

禿海賊「女の色気なんか微塵も感じるか? 戦士様こそ男の中の男よぉ!!」


戦士「……」

勇者「……」

戦士「髭!! 禿!!」


髭海賊「へいっ!!」

禿海賊「なんでしょうお頭?」



戦士「オレにブッ飛ばされんのと、船の甲板にブラシ掛けんの……」

戦士「どっちがいい? 選びなっ」


髭海賊「えっ?」

禿海賊「どうしたんです突然!?」


戦士「……」

戦士「え、ら、べ!!」


髭海賊「じゃ、じゃあ……」チラッ

禿海賊「ブラシ掛けで」チラッ



戦士「ならさっさと行け!!」

戦士「後一時間で水の神殿に出るぞ!!」


髭海賊「が、がんばりますぅ!!」ダダッ

禿海賊「しばらくお待ちをッ!!」ダダッ


戦士「……」

戦士「ふふっ」


戦士「さて、ここからが本題だが」

勇者「……」



戦士「これからオレらは、水の神殿へ向かう」

勇者「水の神殿?」


戦士「ああ、世界を守護すると言われている巨大なクリスタルが奉って有る場所だ」

戦士「そこへ、アンタにも着いて来て貰いたい」


勇者「……」

勇者「理由を、教えてくれるか?」



戦士「アンタは……」

戦士「オレらが罪の無い人々から金を巻き上げてる!!」


戦士「って、思ってんだろどうせ?」

戦士「だから、着いて来ればそれは違うと証明してやる」


戦士「……」

勇者「……」


戦士「着いて、来るか?」

勇者「うむ。真実はこの目で見届けよう……」コクリ



 海へと繋がる洞窟の奥 海賊船の甲板上



戦士「準備はできたかオメェラ!!」

海賊達「おーーーーーっ!!」


髭海賊「お頭っ!?」ダッ

禿海賊「そっ、そいつも乗せるんですかい?」


勇者「……」

戦士「そうだ……コイツも神殿まで連れて行く」



戦士「オレが決めたんだ」

戦士「文句、無いだろ?」


髭海賊「まぁ」チラッ

禿海賊「お頭がそう言うなら」チラッ


勇者「……」タッ

勇者「……」キョロキョロ



戦士「なんだ、落ち着かないな?」

戦士「船は初めてかい?」


勇者「いや……」

勇者「これから出航するのに、誰も帆を張ろうとしないのでな」


戦士「……」

戦士「この辺の海は、風が無いんだ」


戦士「だから、帆なんか張ったって意味がねぇのさ……」

勇者「風も無く、ではどうやって船を進める?」



戦士「やっぱ」

戦士「そう」


戦士「思うよな?」ニヤリ

勇者「……」


戦士「オレには友が居る」

勇者「友?」


戦士「ああ、見せてやるぜオレの友を!!」

戦士「出て来い、カイドラッ!!!」ピューーイッ



カイドラ「グラァァァウッ!!」ザッパァーッ


勇者「おお……」

戦士「へへっ」


戦士「この水面から出て来た奴がカイドラ」

戦士「海竜の子供でな、オレの友だ」


戦士「カイドラ!! 神殿まで船を引っ張ってくれ!!」

カイドラ「ボギャアアアアア!!」ブクブクブク





 ゴゴォォォッ!!



戦士「そらっ、船が動いたぜ? 早いからしっかり手すりに掴まってな!!」

勇者「うむ、心得た」


戦士「行くぞヤローどもォッ、出航だっ!!!」バッ

海賊達「おーーーーーっ!!!」




   数十分後 船の前部先端



戦士「そら、見えて来たぜ?」

戦士「あの島にデケェ建物が在るのが分かるか?」


勇者「うむ。この方向からだと、上陸してすぐの位置だな」コクリ

戦士「ああ、あれが巨大なクリスタルが奉られている神殿の一つ……水の神殿」



勇者「だが……」

戦士「おう、それを説明するよ」


戦士「神殿を取り囲むように作られた」

戦士「あの、『檻』は何だ……って、言いてぇんだろ?」


勇者「……」

戦士「デケェ建物を、これまたデケェ特殊金属の棒を地面に刺して、囲む」



戦士「アレはそのまんま、檻なのさ」

戦士「神殿にはクリスタルが在ると同時に、火を吐く獅子の化け物が居る」


戦士「そいつの力を弱め、神殿に閉じ込めてるのが、あの特殊金属の檻って訳さ」

勇者「なるほど……そう言う事か」


戦士「火を吐く獅子の化け物。こっちの地方の言葉で、イノガシラゴロウ」

戦士「ゴロウは、御狼……だな」



勇者「その御狼は……」

戦士「人を喰う。しかもかなりの食欲旺盛で、オマケにつえぇと来てる」


戦士「となりゃあ、檻で隔離するしかねぇ」

戦士「だが、檻は定期的な交換が必要。それも莫大な金が掛かる……」


戦士「この海賊団の意味、理解できたかい?」

勇者「……」


勇者「分からんな……」

勇者「何故、人々から巻き上げる行為で金を集める?」



戦士「はっ……」

戦士「国はこの怪物を軽視して軍を送らねぇし」


戦士「じゃあ近くに済む有志達を集めてったって、金が足りねぇ」

戦士「そしたらよ、奪うしかないよな?」


戦士「理不尽な税金を掛けられてる弱い市民から……じゃなく」

戦士「違法な手段でブクブクと私腹を肥やしてる……王族や貴族からよ!!」



戦士「どうだっ!?」

戦士「オレらは間違ってるか?」


勇者「今、その答えを言うのは止そう」

戦士「はいぃ?」


戦士「オレに語るだけ語らせといて、なんだそ……」

海賊「お頭ぁっ!! 着航に入ります!!」




戦士「おっ!?」クルッ

戦士「よしっ、オールを動かせ!! 横付けするぞ!!」


戦士「カイドラァァッ!! カイドラはスピードを落としつつ船から離れろっ!!」ピューーイッ

カイドラ「ギャアアアァァス!!」ザッパァーッ



  巨大な離島 水の神殿前 停船所



痔海賊「お勤めご苦労様です、お頭!!」バッ


戦士「うんっ、状況は?」スタッ

痔海賊「そっ、それが……」


戦士「なんだ、何か有ったのか?」

痔海賊「あちらを……」スッ



戦士「んっ、人だかり? 行ってみるか」

戦士「アンタも着いて来な!!」ダッ


勇者「……」コクリ

勇者「ここは、なんと邪気に満ちた場所だ」ダッ



戦士「おうオメェラ、どけっ、道を開けなっ!!」タッタッタ

幼女「ふぇぇっ、おかしらなんだよぉっ……」




 ガヤガヤッ

戦士「ッ!!?」ザッ

戦士「コイツは……」


食べられ海賊「あっ、お頭!? ご苦労様です!!」バッ

戦士「挨拶はいい、説明しなっ」


食べられ海賊「檻の前にですね、今朝がた、急にこのガキが現れて……」

勇者「……」



謎の少女「私はガキでは無い。訂正を所望する」

食べられ海賊「だったら、黙ってねぇで教えろって」


謎の少女「……」

謎の少女「私の名は『商人』。訳有ってここへ来た」


戦士「商人、なぁ……」

戦士「で、来た理由は?」


商人「それは言えない」フルフル

戦士「なっ!? このっ!!」



勇者「待ちなさい」ガシッ

戦士「あ、んだよっ? チッ……分かったから離せ」バッ


商人「……」

商人「貴方は優しい」


商人「ので」

商人「来た理由は言えないけど、これからする事は教える」


商人「ここで勇者と言う人物を待ち、共に協力して中のモンスターを倒す」

商人「そして、クリスタルを必ず守る」



勇者「っ……」

勇者「勇者は、私だが?」


戦士「えっ!?」クルッ

商人「……」


商人「貴方が、勇者?」

商人「ずいぶん痩せてる。弱っちそう」ペタペタ


勇者「ふっ……確かに」

勇者「私は、それほど強い人間では無い」ニコリ



商人「……」

商人「……」


商人「やっぱり強そう」

商人「さぁ、二人で協力して中のモンスターを倒す」グイグイ


勇者「謎は残るが」

勇者「人を喰らうと言う怪物……倒さねばなるまい」ザッ




戦士「あ」

戦士「行っちまった……何なんだよアイツら?」


髭海賊「お、お頭っ!!」

禿海賊「お頭、俺達は行かなくて良いんですかい!?」


戦士「そっ、そうだな!!」

戦士「勝手に話が進んでたから、取り残されちまったよ」



戦士「よしっ!! 髭、禿、痔、幼女、食べられは、オレに着いて来い!!」


戦士「他の奴はここで待機!! 二時間してオレらが出て来なかったら、船で全員逃げろ!!」バッ

戦士「そしてオレが選んだお前らは、海賊団の精鋭だ……」


戦士「だが、もしこの中の誰かが喰われたとしても、例えオレが喰われても、助けるなっ」

戦士「助ける暇が有るんなら、怪物に一撃でも多く叩き込め!!」



戦士「……」

戦士「わかったな?」


髭海賊「わかりやした」コクリ

禿海賊「必ずや怪物を倒しやしょう!!」コクリ

幼女「はい」


痔海賊「ははっ、俺達は餌……かよ」

食べられ海賊「いったい、誰が怪物に食べられるんだ……」ゴクリ




   水の神殿 内部



 ザァーッ

商人「擬似的な滝を作るオブジェクトが沢山在る」キョロキョロ


商人「実に興味深い」

勇者「……」タッタッ


勇者(常に新たな水が流れるように、そこかしこに水路が作られている)

勇者(果たして……これは何を意味しているのか)


戦士「テメェラ、ちょっと待てぇっ!!」カシャンカシャン

幼女「ふぇぇっ、またないとじごくをみせるんだよぉっ」トテトテ



商人「……」

商人「来なくて良いのに」ボソッ


勇者「来たのか?」

戦士「当たり前だろ? 今まで誰が守ってたと思ってんだ!?」カシャンカシャン


戦士「ったく……じゃあ説明するぜ?」

戦士「このまま進むと、大広間が二つ在る」


髭海賊「最初は御狼の居る広間……」

禿海賊「そしてその奥に、クリスタルが奉られてる広間だ」



戦士「御狼は、必ず最初の広間で倒す!!」

戦士「奥の広間に逃げられて、何かの拍子にクリスタルが砕けた……とかなったら意味がねぇからな」


勇者「承知した」コクリ

商人「……」


戦士「それと、アンタらにも言っとくが、この中の誰が犠牲になろうと、御狼の討伐を優先してくれ」

戦士「檻だっていつまで効いてるかわからねぇ、だから絶対にここで倒す!! いいなっ!?」グッ



食べられ海賊「……」

食べられ海賊「男を、見せる時が来たようだな……」グッ


痔海賊「食べられっ?」

食べられ海賊「お頭っ!! 最初に俺を御狼と戦わせてくだせぇ!!」ザッ


戦士「ッ!?」

戦士「食べられ……お前、まさか?」


食べられ海賊「へっ、勘違いしないでくださいよお頭?」

食べられ海賊「俺の兄貴は御狼に喰われた……その仇を討ちたいんでさぁ」ニヤリ



食べられ海賊「それに、俺の投擲術はお頭だって知ってるはずですぜ?」

食べられ海賊「頼んますお頭ッ!! 俺を最初に!!」ペコリ


髭海賊「食べられ……」

禿海賊「食べられ……」


幼女「たべられは、たべられないよね?」

食べられ海賊「ふっ」ニコリ


食べられ海賊「俺は、あんな化け物に食べられねぇよ幼女ちゃん」ナデナデ

幼女「うんっ!!」ニコニコ



食べられ海賊「まぁ、倒しちまうと思いますがね」

食べられ海賊「倒しちまうと思いますが……万が一の時は、代わりに御狼をお願いしやすお頭っ!!」ペコリ


戦士「食べられ……お前そこまでっ」グッ

戦士「……」


戦士「分かった。先陣は任せるぞ? ブッ殺して来い食べられっ!!」

食べられ海賊「へっ、へいぃっ!!」



食べられ海賊「食べられ、行きまーす!!」ダッ


戦士「……」

戦士「行っちまったか……」


髭海賊「お頭、どうするんで?」

戦士「ああ。五分……いや、三分経ったら、オレ達も突っ込む」


禿海賊「アイアイサー!!」バッ

痔海賊「アイアイサー!!」バッ



勇者「……」

商人「勇者は、どうするの?」


勇者「愚問だな」

勇者「救える命を見捨てて、何が勇者か!?」


勇者「すぐに向かう。着いて来るならば来なさい」ザッ

商人「一緒に着いてイク」タタッ


戦士「ッ!?」

戦士「おいっ、ちょっ、待てよっ!!!」




  水の神殿 最初の広間



食べられ海賊「ッ……」ザッ

食べられ海賊(バカでけぇライオン!? そうとしか言えねぇ)


食べられ海賊(アイツが……)

食べられ海賊(御狼ッ!!!)ゴクリ



御狼「グオォォッ、グオォォッ……」スヤスヤ

食べられ海賊(だが、眠ってやがるぜ)

食べられ海賊(チャンスだっ!!)ジャキ



食べられ海賊「兄貴の仇だ……」

食べられ海賊「御狼ッ、死ねぇぇぇっ!!」ダンッ



御狼「グオォォッ、グオォォッ……」スヤスヤ



御狼(俺が犬だったら、今ちぎれんばかりに尻尾を振っているところだ)

御狼(俺は焦っているのか……いかんいかん)


御狼(こちらの寝たフリに気付かず、せっかく相手から飛び込んで来てくれるって言うじゃあないか……)

御狼(落ち着け、俺は腹が減っているだけなんだ…)



食べられ海賊「鉞殺界平等術悶絶究極最大最強最終超必殺秘奥義ッ、一刃擲刺刺死嚥翔殺円陣ッ!!!」バッ


御狼「グオォォッ、グオォォッ……」スヤスヤ

御狼「……」


御狼「ガウゥッ!!」バッ

食べられ海賊「何ッ!? コイツ、起きて!!?」


御狼「ソゥイュゥノモアルノカァ!!」ガシィッ

食べられ海賊「ぐわぁぁぁぁぁっ!!?」メキメキッ



食べられ海賊「コイツ、俺の腕にアームロックをッ!!?」


御狼(どうやら、彼の鋭い攻撃が、俺の少年時代の血を呼び覚ましたらしい……)

御狼(攻撃を辛うじて避けた俺は、そのまま彼の腕を取ると関節をガッチリと決めていた)



御狼「デバナヲクジカレタァッ!!」ググッ

食べられ海賊「なっ、なんて恐ろしい咆哮なんだっ……まるで、悪魔の雄叫び!!」メキメキッ



御狼「グワアァウッ!!」ガッパァッ

食べられ海賊「ダメだ動けねぇっ、食べられるっ!?」グッ



勇者「ハイヤァァァァッ!!」ドゴォッ



御狼「グギャッ!?」メキッ

御狼「グギャギャッ!?」メリメリメリッ


御狼「アンギャアァァァッ!!!」ズサァァッ

御狼「アゥン……」ドサッ




勇者「ほぉぉぉっ……」スッ

御狼「グッ、グルゥッ」ヨロヨロッ


戦士「食べられっ、大丈夫か?」カシャン カシャン

幼女「ふぇぇっ、だいじょうぶなの~っ」タタタッ


食べられ海賊「お、お頭!? 何で……」

食べられ海賊「それに皆もっ!?」キョロキョロ



禿海賊「止血する所は無いようだな」

髭海賊「立てるか?」スッ


食べられ海賊「ああ、痺れが残るが何とか……」ガシッ

痔海賊「アイツに感謝しろよ食べられ?」ニコリ


食べられ海賊「え……アイツ?」

戦士「……」


戦士「御狼と一人で対峙してるアイツ……」

戦士「勇者に、だよ!!」グッ



勇者「……」ジリッ

御狼「ウゥッ……」


御狼「キャインキャイン!!」ダッ

勇者「むっ!?」


戦士「御狼がっ!?」

商人「奥の広間に逃げた……」



勇者「ぐっ……追うぞっ!! 走れ商人!!」ダッ

商人「追う……」ダッ


戦士「……」

戦士「ちっ」


戦士「なんで、いつもいつも悪い方に悪い方にってよぉっ……」グッ

戦士「オレ達も追うぞっ!! 全員着いて来い!!」




「そうは、いかんなぁ……」



戦士「ッ!?」

戦士「誰だっ!!?」クルッ


髭海賊「おかしっ、ら……」ドサァッ

禿海賊「すい、やせん……」ドサァッ


ジャンク「貴様ら海賊は、この毒のスカルミリョーネ様の右腕、ジャンクマンによって倒されるのだ!!」ザッ

戦士「ジャンクマン、だとっ!!?」




痔海賊「ケツ、が……」ドサァッ

幼女「ふぇぇっ、る、ワカ、メ」ドサァッ


戦士「お前らっ!?」

食べられ海賊「食べられなくて、よかっ、た……」ドサァッ


ジャンク「さぁ、次は貴様の番だ」ガキン

ジャンク「この両腕のスパイクアームから繰り出すジャンククラッシュで、他の奴らのように破壊してやるぞ?」ニヤリ



戦士「ッ……」ギリッ

戦士「テメェ、よくもオレの仲間をっ!!」


ジャンク「心配するな。貴様もジャンククラッシュの餌食にしてやる」

ジャンク「その鎧ごと、体を粉々にしてやるぜ!!」スッ


戦士「オレを粉々に?」

戦士「やってみろよ……」スッ



ジャンク「ならっ、お望み通りにしてやる!!」バッ

ジャンク「ジャンククラァァァシュッ!!」ブォン


戦士「……」

戦士「はやッ!!?」



 バキバキッ、バキィィィン!!



ジャンク「ヒャッハー!! 口ほどにもねぇ!! バラバラにしてやったぜ!!」ニタリ




 バラバラバラッ

ジャンク「……」

ジャンク「いや違うっ!? これはっ!?」ガタッ


戦士「ふっ」スタッ

戦士「甘いなジャンクマン、お前が壊したのは甲冑だけだ」ニヤリ


ジャンク「ッ!?」

ジャンク「貴様ァァァァッ!!」クルッ



戦士「遅せぇっ!!」ガシィッ

ジャンク「コイツ!? 俺の体を持ち上げっ……」



戦士「タワーブリッジッ!!」ググッ

ジャンク「うぎゃあぁぁぁぁっ!!」メキメキメキッ


戦士「ふんっ!!」ブォン

ジャンク「ぐえぇっ……」ドサッ



戦士「待っててやる、早く立ちな」クイッ

ジャンク「うぅっ……」フラフラ


ジャンク「……」

ジャンク「お前はッ!!?」ビクッ


ジャンク「甲冑に身を包んでいたから分からなかったが、知っているぞお前を!!」

戦士「ふぅん」



ジャンク「前魔王ザガートを倒したと言われる勇者の末裔……」

ジャンク「長い青髪と胸元のタトゥー、そして露出度の高い変態ビキニアーマー!!」


ジャンク「間違いない!!」

ジャンク「お前はアバロン国の双子姉妹、その姉……戦士!!!」


戦士「はいはい」

戦士「長々と説明ありがとよ……」スッ



ジャンク「……」

ジャンク「フッ、だがちょうどいい」


ジャンク「貴様らを殺す事も任の一つだ、ここで殺してやるぜ戦士!!」

ジャンク「最後まで抵抗した……あの海竜のようになぁ!!!」ニヤリ


戦士「ッ!!?」ビクッ

戦士「お前……まさか、カイドラ、を?」



ジャンク「ミンチにしてサメの餌にしてやったわ!!」

戦士「ぎっ……絶対に、許さねぇ」ギリッ


ジャンク「貴様も同じにしてやるっ!!」

ジャンク「死ねい!! ジャンククラァァァシュッ!!」バッ


戦士「カイドラ……オレに、力を貸してくれっ」

戦士「はぁぁぁぁぁっ!!」ゴゴゴゴゴゴッ



戦士「水のぉぉぉぉぉぉっ……」ググッ

ジャンク「何だッ!? 神殿中の水が集まって、形を変えて行くっ!!?」


戦士「リュゥゥゥゥゥゥウウ!!」バッ

カイドラ『グラァァァァウ!!』



 ズドォォォォォォォォォォッ!!!



ジャンク「水の、竜……だとっ!!」ビクッ

ジャンク「ぐひゃああああああああ!!?」ザッバァーッ



ジャンク「……」ドサァッ

戦士「……」


戦士「覚悟をしてたとは言え」

戦士「みんなっ、すまねぇ!!」グッ


戦士「……」

戦士「そっ、そうだ、勇者はどうなった!?」




   水の神殿 奥の広間



御狼「ガルルゥッ!!」

商人「追い詰めたっ」ザッ


勇者「……」ザッ

勇者「ここで決めるぞ」



御狼「オォォォッ……」


勇者「んっ?」

商人「勇者、アイツは何かを溜めてるっ」


御狼「……」ニヤリ

御狼「おおぉぉぉォォン!!!」ゴパァッ



 ゴォォォォォォォォォッ!!



勇者「くっ!?」バッ

商人「口から、火を吐いた!?」バッ



御狼「おぉォン!!」ボォォッ

御狼「おぉォン!!」ボォォッ


御狼(あちちちちっ、これは熱いぞ!! でも、火を吐くのが止まらない!!)

御狼(おぉォン!! 俺はまるで、火力発電所だ!!)


商人「勇者、どうするの?」

勇者「どうする……か?」スッ


勇者「どうするもこうするも無い……」

勇者「懐に飛び込むだけだっ!!」



商人「ッ!?」

商人「せめて補助……フバーハ!!」ポワワッ


御狼「グラァァァァウ!!」バッ

勇者「むっ……掛かって来るか、餓えた獅子よ」


勇者「ならば、迎え迎え撃とう!!」

勇者「ほぉぉぉっ……」ググッ



御狼「グルアァァッ!!」

勇者「……」


勇者「……」

勇者「ッ……」カッ



勇者「ぅわぁたぁぁっ!!」シュッ

御狼「グギャアッ!!?」ズドンッ


御狼「ギ、ガガッ……」メリメリメリッ

勇者「響心ッ、断絶拳ッ!!」



勇者「外部から心拍を停止させる拳を放った」


御狼「……」ドサァッ

勇者「痛みは感じぬ」


御狼「……」

勇者「このまま、静かに逝くがいい」


商人「っ……」

商人「凄い。とても、強い」



戦士「勇者ぁぁぁぁぁぁっ!!」タッ タッ

勇者「んっ?」


商人「火ならすぐに消える、心配ない」クルッ

戦士「ちげぇ、火じゃなく水だっ、水はどうなってる!?」


商人「……」

商人「貴女だれ?」



戦士「あっ? 戦士だよっ、甲冑をブッ壊された戦士だ!!」

戦士「それより水はっ……」キョロキョロ


戦士「……」

戦士「あぁっ……」ガクン


商人「戦士は、女」

勇者「どうしたのだ戦士?」



戦士「回り、見てくれ……」

戦士「神殿に通ってる水路の水が、濁って来たんだ」


商人「濁ったと言うレベルでは無い。水が紫色」キョロキョロ

商人「さっき見た時は透明だったはず」


勇者「……」

勇者「これはっ……」




 ピシッ、ビキビキッ!!



勇者「ッ!?」クルッ

商人「ッ!?」


戦士「くっ、クリスタルがっ!?」



 バキィィィィィィィィィン!!



戦士「粉々に……」

戦士「割れ、た……」



勇者「どう言う事だ!?」

勇者「クリスタルへの攻撃や衝撃は、無かった筈だが……」


商人「それは確か」コクリ

商人「御狼は暴れる間も与えられず、勇者に瞬殺された」


戦士「……」グッ

戦士「テメェらが御狼を追って奥の広間へ行った後、謎の敵が現れてさ」


戦士「多分、なんらかの方法でソイツがやったんだよ」

戦士「毒のスカルミリョーネ、だかの部下とか言ってたしな……」



勇者「……」

商人「……」


戦士「で」

戦士「だ」


戦士「どっちか、ルーラは使えるか?」

戦士「キメラのつばさでもいいぜ?」


勇者「生憎と、修得していないな」

商人「キメラのつばさ? アイテム? 持ってない」フルフル



戦士「じゃあ仕方ねぇ、ここは離島だしな」

戦士「オレのキメラのつばさで、アバロン国までは連れてってやるよ……後は好きにしなっ」


勇者「船は……」

戦士「……」


勇者「動かぬのか?」

戦士「ああ。二度と動かねぇ」グッ



戦士「その前に……」

戦士「重りを着けて、死体を海へ沈める」


戦士「手伝って、くれっかな?」

勇者「……」コクッ


勇者「出来る限り手伝おう、何なりと言いなさい」ニコリ

商人「勇者が手伝うなら、私も手伝う」コクッ


戦士「へへっ」

戦士「二人ともありがとよっ」ニコリ


 水の神殿 クリスタル崩壊

  ↓

 大国 アバロンへ

,




 大国アバロンの近く ウォッチマンの巣入り口



皇帝「重剣士、ランサー、アチャ子、武道家……」

皇帝「これから我々は、インペリアルクロスと言う陣形を組んで戦う!!」


皇帝「先頭に重剣士」

重剣士「ジャッジ!!」ビシッ


皇帝「その後ろに俺が付く」

皇帝「そして……」



皇帝「俺の右翼にランサー」

ランサー「ジャッジ!!」ビシッ


皇帝「俺の左翼にアチャ子」

アチャ子「ジャッジメントですの!!」ビシッ


皇帝「最後、俺の後ろに……」

皇帝「武道家」


武道家「……」

皇帝「返事は?」



武道家「……」グッ

武道家「ジャッジ!!」ビシッ


皇帝「よし。この十字の陣形……インペリアルクロスで最後まで行く」

皇帝「だが……重剣士、ランサー、アチャ子、お前達は武道家の身を守るのが最優先事項だ」


皇帝「いいな? 武道家は絶対に守れ」

重剣士「ジャッジ!!」


ランサー「ジャッジ!!」

アチャ子「ジャッジ!!」



武道家「……」

武道家「っ……」


武道家「待ってよ父さんっ!!」

皇帝「武道家……俺の事は皇帝と呼べ」


皇帝「そう、教えていたな?」

武道家「ぐっ」


武道家「皇帝……」

武道家「ボクは、こんな過保護に守って貰わなくてもっ、戦えます!!」



武道家「それに、ボクの力を試してくれると言ったでは有りませんか!?」

武道家「こんな後方に居ては戦えません!!」


皇帝「……」

皇帝「俺はな武道家?」


皇帝「他の部下や民への威厳の為に、お前をここへ連れて来たに過ぎない」

皇帝「王族の人間は皆、勇敢だと……知らしめる為だけにお前を連れて来たのだ」



皇帝「よって、ここを制圧したらお前のごっこ遊びも終わり」

皇帝「姫としての公務だけに集中して貰う」


武道家「っ……」

武道家「そんなだから、戦士は出て行っちゃったんだよ」ボソッ


皇帝「お前は、姉と違って俺を裏切らないよな?」

皇帝「なぁ、武道家?」


武道家「……」

武道家「ジャッジ……」



皇帝「よしっ、では行くぞっ!!」ダッ

武道家「……」


重剣士「……」タタッ

重剣士「姫……」ボソッ


武道家「なに?」

重剣士「ランサーとアチャ子との三人で、何とか姫のアピールする場を作ります」


重剣士「そして、貴女の力を皇帝に見せるのです」

重剣士「皇帝はまだ、貴女を赤子と同じだと思っていらっしゃる」


重剣士「成長した貴女の事は、皆が知っております。ですから、是非その力を皇帝に……」ニコリ

武道家「う、うん!! ボクがんばるよっ」コクッ



 大国アバロン 城下町の中央広場



亀男「ギョロロロロロッ♪」ザッ

亀男「貴様では、この亀のカイナッツォ様の相手にはならねぇ!!」


亀男「人間どもに剣聖と呼ばれている、アバロン皇帝の長男……」

亀男「どんな者かと思ったが、所詮は人間……恐れるに足らず、だ」ニヤリ


長男「ぐっ、あの甲羅さえ何とかなればっ!!」ジャキ

次男「兄貴ッ、民の避難は完了したよ!!」タッ タッ



長男「……」

長男「そうか」グッ


長男「なら、お前も逃げろっ!!」

次男「いやだっ、僕も攻撃魔法でアシストするよ!!」


亀男「ギョロロロロロッ♪」

長男「アイツに……攻撃魔法は効かぬようだ」


長男「引け次男、引く事も勇気だ!! 戦いは俺に任せろ!!」

次男「くっ……」ギリッ



次男「分かった」コクリ

次男「必ず戻って来て!!」ダッ


長男「……」

長男「時期皇帝は、お前だ次男」ニコリ


長男「こんな戦うしか能の無い俺では無く、人々に愛され、知略に優れた、次男こそが時期皇帝に相応しい」

亀男「どうしたぁ? 俺に殺されるか、貴様の妹達を差し出すか、選べっ!!」



長男「そのどちらでも無い……」

長男「この大剣クロスクレイモアで、お前を斬り伏せるッ!!」スッ


亀男「頭の悪い奴よ……」ニヤリ

亀男「物理攻撃は俺の甲羅に弾かれ」


亀男「魔法攻撃は俺の左手、幻想破壊(イマジンキラー)によって無効化されると……」

亀男「このカイナッツォ様には勝てぬとぉっ、まだ分からんかこのビチグソがぁっ!!!」



長男「破って見せるさ……」

長男「この俺がっ、完成させた剣技でなぁ!!」バッ


亀男「無駄な足掻きを……」ニヤリ

長男「喰らえカイナッツォ!!」


長男「巻き打ち!!」ブォン

亀男「無駄だッ!!」ガキィン



長男「チィッ……」スタッ

長男「それならこの最強剣技、流し斬りを受けてみろっ!!」バッ


長男「流し斬りぃっ!!」ブォン

亀男「無駄無駄ァッ!!」ガキィン


長男「ならば今一度だ」

長男「流し斬りぃっ!!」ブォン

ヤメ


亀男「フッ……」ガキィィン

長男「バカなっ!? 大剣が折れるなんて!!」バキンッ


亀男「オリハルコンの甲羅……」ザッ

亀男「ラファエロの右腕」


亀男「ミケランジェロの左足」

亀男「ドナテルロの右足」



亀男「そして」

亀男「左手の幻想破壊(イマジンキラー)」


亀男「究極の合成亀男カイナッツォに……」

亀男「流し斬りなどと言う、そのような児戯は通用しない!!」ニヤリ


長男「ぐっ、くぅっ!?」ジリッ

長男「まだだっ、まだ体術が有る!!」バッ



亀男「そろそろ、こちらも攻撃させて貰うぞっ!!」バッ

亀男「喰らえいッ、スプリンター先生直伝っ……」


長男「カポエラキック!!」シュッ

亀男「亀甲羅回転アタァァァク!!!」グルグルグルッ


長男「ッ!!?」

長男「ぐわあああああああっ!!」ドゴォォッ


長男「うぅっ……」ドサァッ

亀男「フフッ、他愛ない」スタッ



次男「兄貴っ!?」タッタッタ

長男「次男……なぜ来た?」


亀男「そいつは直に死ぬ。盛大に葬儀でもしてやるんだなぁ!!」

亀男「皇帝にも伝えて置けっ、この国を救いたくば……皇帝の娘、双子の姉妹を風の塔へ連れて来いと!!」


亀男「七日、時間をくれてやる」

亀男「父と娘の、最後の思い出づくりでもしておけぃ!!」



長男「ゲホッ!!」ダラダラ

次男「口から血が!? 喋っちゃダメだよ!!」


亀男「そいつも、中々の剣の使い手だった」

亀男「だが、まだ若い」ニヤリ


長男「流し斬りがっ……」

長男「流し斬りが完全にはいった……」


長男「の、にっ……」ガクッ

次男「ッ!!?」ギュッ

あれ?何か前にも読んだような?

>>105

一年ぐらい前に立てたけど、落ちたので立て直しッス




 数時間後 アバロン白 長男寝室



 バダンッ

皇帝「長男ッ!!」ダッ

武道家「長男あにぃ!!」ダッ


次男「父さん、武道家……戻って、来たんだね?」

皇帝「当たり前だろ、あんな伝令が入れば!? 途中で切り上げ、急ぎ戻って来た」




武道家「長男あにぃ、ウソだよね……長男あにぃぃぃぃっ!!」ギュゥッ

長男「……」


次男「穏やかな顔してるだろ武道家?」

次男「でも、死んでるんだぜコレ?」


武道家「うわぁぁぁぁぁぁん!!」ポロポロッ

皇帝「……」グッ



皇帝「次男、少し話が有る。部屋を出なさい」

次男「っ……ジャッジ!!」



 バダンッ

皇帝「……」タッ タッ

次男「……」タッ タッ


皇帝「ここまで来れば良いか」

次男「なんでしょう皇帝?」



皇帝「伝令から聞いた話では、カイナッツォとか言う化け物は俺の娘達を……」

皇帝「戦士と武道家の姉妹を寄越せと、そう言って来たんだな?」


次男「その通りです」コクリ

次男「間違いなく、意志(レイアース)の力を持つと気付いている様子でした」


皇帝「……」

皇帝「まだ本人達は、その力を自覚していない」



皇帝「しかし、目覚めの時は近い」

皇帝「その力を利用したいのか、それともその力は邪魔だと殺すのか……」


皇帝「どちらにしてもっ」

皇帝「俺の可愛い娘を、渡す訳にはいかん!! それも、長男を殺した奴にはッ!!」ギリッ


次男「父さん……」

皇帝「重剣士、ランサー、アチャ子、出でませい!!」パチンッ



重剣士「はっ!!」スタッ

ランサー「ここにっ!!」スタッ

アチャ子「登場ですわ!!」スタッ


皇帝「うむっ」

皇帝「お前達は、俺が最も信頼を置く部下……」


皇帝「だが、だからこそ問いたい」

皇帝「これから俺は風の塔に向かう!! お前達は……」



重剣士「皇帝陛下!!」

重剣士「我ら三名は、子供の頃に他国のスラム街で拾われ、貴方に育てられた身です」ニコリ


ランサー「間違った事を成そうとするなら、こちらから進言いたしますが」ニコリ

アチャ子「そうではないのなら、いつものように命令下さいませ」ニコリ


皇帝「ッ!?」

皇帝「お前達……」グッ



皇帝「これより風の塔へ向かい、長男の仇、カイナッツォを討つ!!」

皇帝「重剣士!! ランサー!! アチャ子!! 我が忠実なる仲間達よ……着いて参れ!!」バッ


重剣士「ジャッジ!!」ビシッ

ランサー「ジャッジ!!」ビシッ


アチャ子「ジャッジメントですの!!」ビシッ

次男「えっ……」



次男「お待ちください!! 皇帝にもしもの事があったらこのアバロンは!!」

皇帝「……」


皇帝「次男よ……」ニコリ

皇帝「俺は、行動を感情に任せ過ぎている」


皇帝「長男にしても、娘の二人にしてもそうだ」

皇帝「剣の腕は立つだろう、力は有るだろう」



皇帝「しかし、それだけだ」

皇帝「俺には元々、皇帝としての器は無い」


皇帝「従わせるのでは無く、民から愛され、慕われる……」

皇帝「次男、お前のような者が相応しい」ニコリ


皇帝「俺に何かが有ったら、このアバロンを頼むぞ次男!!」ポンッ

次男「父さん……」グッ


次男「ジャッジ!! 行ってらっしゃいませ皇帝陛下!!」ビシッ

皇帝「うむっ。戦果を期待しておれ」ニコリ



皇帝「……」

皇帝「では、出発だ!! ハイヤードラゴンで、一気に塔の最上階へ乗り込むぞ!!」ダッ



重剣士 ランサー アチャ子

「「「ジャッジ!!!」」」ダッ



次男「父さん……」

次男「どうか、どうかご無事でっ」




 大国アバロン 城下町の入り口手前



 ギュワーン

戦士「っと、到着」スタッ

戦士「わりぃが、すぐに妹の所へ行かせて貰うぜ?」


勇者「了解した……」スタッ

商人「アバロン、千年以上の歴史を持つ巨大国」スタッ



戦士「アンタらは、まぁ……」

戦士「ここでお別れだな」


戦士「何か目的が有って旅をしてたんだろ?」

戦士「がんばれよ勇者っ♪」ニコリ


勇者「……」コクリ

商人「勇者、次の目的地だけど」


勇者「いや……我々もここで別れよう」

勇者「私は、誰かを連れて旅するつもりは無い」




「待てっ!! お前が行ってどうなるんだ!?」

「離して!! 帰って来るのを、ただ待つなんて出来ないよ!!」



勇者「むっ?」

戦士「なんだ? 入り口の所からデカイ声が……って、アレは!?」



次男「父さんは、お前を守ろうとしているんだぞ!?」キッ

武道家「自分の身ぐらい、自分で守れるよっ!! なんだよ皆してっ」キッ



戦士「おい、次男!! 武道家!! どうしたんだよ、街の中で騒ぐなんて……」タッタッ

戦士「二人とも、らしくねぇぞ?」


次男「戦士ッ!?」ビクッ

武道家「……」


武道家「今さら、何しに戻って来たのさ……」ボソッ

戦士「あっ?」



武道家「姫の立場から、勝手に逃げ出したクセにっ!!」キッ

戦士「オレは逃げたんじゃねぇ、何も出来ない王族の立場を捨ててやったんだよ!!」キッ


次男「ケンカは止めろ二人とも!!」

次男「回りを見ろっ、民が見ているんだぞ!?」


武道家「……」

戦士「……」


武道家「ふんっ」プイッ

戦士「チッ」プイッ



戦士「……」

戦士「武道家……」


武道家「……」

武道家「なに?」


戦士「お前、命を狙われてっから……気を付けろよ?」

次男「ッ!?」


武道家「ッ!?」

武道家「なんで? なんで、その事を知ってるの?」



戦士「オレら双子を殺そうとしてるっつぅ、スカルミリョーネの部下と戦ったからだよ」

武道家「スカル、ミリョーネ?」


戦士「オレはな武道家?」

戦士「お前にも、アバロンを出ろって言いに来たのさ」


戦士「そうしねぇとその内、アバロンに刺客とか送り込まれかねねぇからな」

武道家「……」


次男「……」

次男「来たよ戦士。さっき、来た」



次男「亀男カイナッツォに兄貴は殺され……」

次男「父さんは、仇を討ちにハイヤードラゴンで風の塔へ向かったよ」


戦士「ッ!!?」

戦士「アニキほどの剣の達人が……嘘、だろ?」


勇者「……」

商人「勇者」クイクイ


勇者「どうした?」

商人「私が成すべき事には、どうしても勇者が必要」



商人「勇者が仲間を必要としていないのなら、貴方に教えを請う弟子の立場で良い」

商人「どうか、私を連れて行って欲しい」ペコリ


勇者「……」

勇者「私は、とある出来事を経て以来、仲間を取らぬようにしていた……」


勇者「だが、弟子だと言うのなら取ろう。よろしく頼む」ニコリ

商人「こちらこそ、宜しく師匠」ニコリ



商人「早速、一つお願いがある」

勇者「言ってみなさい」


商人「風の塔へ向かって欲しい」

商人「そこに在る、風のクリスタルの状況を知りたい」


勇者「……」

勇者「よかろう。ではまず、この近くのヨヨと言う町へ行こう」


勇者「そこに住む青年から、飛竜サラマンダーを借りて風の塔へ飛ぶ」

商人「……」コクリ



武道家「ッ!?」クルッ

武道家「ちょっ、ちょっと待ってそこの人!!」タタッ


勇者「私か?」

武道家「そうそう!!」タッ


武道家「飛竜を使えるなら、ボクも連れてってよ!!」

武道家「城に配備されてるのは、全て使われてて居ないんだ」


武道家「ねっ? お願いっ!!」ペコリ

勇者「……」



勇者「断る」

武道家「ありがとう連れてってくれる……」


武道家「……」

武道家「って、えっ!? 断るのっ!!」ビクッ


勇者「弱き者……」

勇者「国の民が殺されたと言うのならば、協力もしよう」


勇者「しかし、散ったのは強者……」

勇者「きちんと民を守り、立派に責を果たした」



武道家「……」

勇者「個人的な怨恨晴らしを止める気は無いが、やるのなら己の力のみで果たすのだ」


勇者「それに、風の塔には私と弟子が行く」

勇者「そこで出会った時に、更なる害をもたらすと判断できれば、私がカイナッツォとやらを打ち倒す」


武道家「っ……」グッ

武道家「こっちは家族が殺されたんだ!! ボクの手で、ボクの手で復讐したいんだよっ!!」



勇者「……」

勇者「死んだらどうする?」


武道家「……」

武道家「えっ……」


武道家「ボっ、ボクは負けないよ!!」

戦士「武道家……」


勇者「カイナッツォに殺された者と、お前と、どちらが強いのだ?」

武道家「っ……」ピタッ



次男「武道家……その者の言う通りだ。ここは堪えろ!!」

次男「贔屓目に見ても、お前は兄貴より弱い。まず返り討ちにされるぞっ」


次男「だがっ、潜在能力なら兄貴を超えている」

次男「このまま訓練を続けていればいづれ……」


武道家「……」

武道家「いづれって、いつさ?」ボソッ



戦士「やれやれ」

戦士「……」ポンッ


武道家「……」

武道家「なに戦士?」クルッ


戦士「すぅぅっ……」

戦士「勇者ぁぁぁぁッ!!」



勇者「……」

勇者「なんだ?」


次男「ッ!?」

武道家「ッ!?」ビクッ


次男「この方が……勇者?」

武道家「勇者っ……」グッ



武道家「勇者ッ!! 貴方ならカイナッツォに勝てるのか!?」

勇者「恐らく……な」


武道家「それならっ、ボクが貴方に勝てたら、一緒に連れてって!!」スッ

戦士「と、ここでオレも混ざるぜ? その為にけしかけたんだしな」スッ


武道家「戦士? 一人で充分だよあんなヒョロヒョロ!!」

戦士「バカ、ここで負けたら終わりだろうが!?」



勇者「……」

勇者「私は、その勝負を受ける気など無い」


武道家「へぇっ!?」

戦士「ちょっ、普通は受ける流れだろっ!!」


勇者「この身は普通などとうに捨てた……分からぬ」

勇者「しかし、納得は行った……お前たちは、良くも悪くも王族らしいとな」



勇者「行こう商人……急がねば日が暮れる」タッ

商人「……」トテテッ


戦士「まっ」

戦士「だから、待てよコノヤロウ!!」


戦士「オレだって武道家と同じだ、カイナッツォって奴をブッ殺してぇんだよ!!」ギリッ

戦士「これはアバロンの姫としての命令だ、オレを……連れて行け勇者!!」



勇者「……」

勇者「次男よ」


次男「あっ……」

次男「な、なんでしょう勇者?」


勇者「この者達と戦っても、構わぬだろうか?」

次男「ッ……」


次男「……」

次男「はいっ、この愚かな双子の姉妹に、お灸を据えてやってください!!」



勇者「商人……」

商人「なに師匠?」


勇者「……」ボソッ

商人「分かった」コクリ


勇者「では……」

勇者「武道家!! 戦士!! お前達と戦おう!!」


戦士「おっ?」

武道家「よしっ!!」グッ



勇者「この私の弟子、商人に……」

勇者「指一本でも触れれたら、お前達の勝ちだ」


商人「貴女たちは、師匠が出るまでも無い」

商人「私で充分……」クイッ


戦士「は? なんだそりゃ?」

戦士「けどっ!!」スッ


武道家「ボクらを……」

武道家「甘く見ないでよねっ!!」スッ



戦士「行くぜ武道家?」チラッ

武道家「うんっ!!」コクッ


勇者「……」

商人「……」スッ


武道家「炎のぉっ……」ググッ

武道家「矢ぁぁァァァッ!!!」バッ




 ドゴォォォォォォォォッ!!



 モクモク モクモク

戦士「へへっ、地面は焦がしたけど、これが煙幕代わりだ」

戦士「そっちはオレの姿が分かんねぇだろうが、オレはそっちの姿が丸分かりだぜ!!」


商人「ッ!?」キョロキョロ

商人「……」オロオロ


戦士「……」

戦士「みぃ~~っけ」ニヤァ



戦士「んじゃま、軽ぅく」タッ

戦士「タッチして終わ……」


勇者「フンッ!!」シュッ

戦士「ッぐ!? があぁっ!!?」ドゴォッ


戦士「うえぇっ、ガハッ、ゲホッ!!」フラフラッ

戦士「あ゙、あ゙っ……うぅっ」ドサァッ



武道家「えっ、戦士ッ!?」

武道家「いったいどうなって……」


勇者「……」スタッ

武道家「ッ!!?」クルッ


勇者「ハァッ!!」シュッ

武道家「ふん゙ん゙ッ!?」ドゴォッ


武道家「ぐえ……ぇぇっ、うぐっ」フラフラ

武道家「ゲホッ、ゲホッ、うあ゙あ゙っ……」ドサァッ



勇者「……」

勇者「私が手を出さないとは、一言も言っていない」


次男「勇者!? 幾ら何でもこれではっ」

商人「腹パン腹パン♪ 師匠は鬼畜♪」


戦士「ざっけん、な……」ピクピク

武道家「ずる、いぃっ……」ピクピク



勇者「ふざけてなどいない……」

勇者「今のが命のやり取りをする実践だったとしても、お前達はズルいと言って駄々をこねるのか?」


戦士「ふぅっ、ふぅっ……」

武道家「ふぅっ、ふぅっ……」


勇者「今のは、私が手加減したから生きているが」

勇者「私の攻撃が拳では無く、剣だったらどうなっていた?」



戦士「……」

武道家「……」


勇者「もしここでお前たちを連れて行ったら、今と同じ事が起きていただろう」

勇者「例えば行動を共にしていて、分かれ道が現れた時、私が右だと言えば右に行けるか?」


勇者「もしくは、理由を組み立てて私に左へ行くべきだと説き伏せられるか?」

勇者「私の言う事を聞きたくない……そんな反発心から別行動をされたのでは、話にならない」



次男「勇者、僕がこんな事を言うのも何だが、妹達が必ず反発するとは……」

勇者「……」


勇者「それでも、私に着いて来たいのなら……」

勇者「王族を捨てなさい」


次男「ゆ、勇者!?」

商人「まぁまぁ」グイッ



勇者「戦士も、武道家も、見下ろすだけ。上からしか物事を見れていない……」

勇者「ちょうど今、地面に寝そべっているのだ。そこから……上を、空を見上げてみなさい」ニコリ


戦士「……」

武道家「……」


戦士「下から……」ゴロン

武道家「見上げる……」ゴロン



勇者「……」

勇者「それが、王族を見る民の目線だ」


勇者「民からすれば、王族は空のように大きい……」

勇者「だが逆に、空からすれば民は小さい」


勇者「その小さな民の言葉を、空に居たまま聞けるか?」

勇者「民が何を言ってるんだと、聞き流さないか?」



戦士「……」

武道家「……」


次男「……」

商人「……」


勇者「視野を広げなさい。見下ろすばかりで無く、たまには下から見上げ、同じ目線に立って民を見渡しなさい」

勇者「そうすれば、お前たちはまだまだ強くなれる……」ニコリ



勇者「今の段階ではまだそちらの……」

次男「あっ、次男です」ペコリ


勇者「……」ペコリ

勇者「次男の方が、私には強く見える」


勇者「貴方は、民の為に何を?」

次男「い、一応……定期的に農作業を手伝い、民の話を聞いて、更に効率の良い方法などを話し合っていますが」



勇者「民の目線を知る者は強い」

勇者「将来、必ずや良き王になられるでしょう」


次男「そんなっ……ははっ」

次男「まだまだ、先の話しですよ」ポリポリ


勇者「……」

勇者「姫達には失礼を働きました。では、これにて」ペコリ



勇者「行くぞ商人?」

商人「はい師匠」タタッ


戦士「ぐっ……」ポロポロ

武道家「うぅっ……」ポロポロ


次男「……」

次男「戦士、武道家……」グッ



次男「待ってくれ……」ボソッ

次男「待てっ、勇者ッ!!」


勇者「むっ……」

勇者「なんだろうか?」クルッ


次男「見えるか勇者?」

次男「遠巻きにだが、この光景をアバロンの民達が見ている!!」


次男「その前で王族の姫を、しかも二人も這いつくばらせた」

次男「更に!! お灸をとは言ったが、これはやり過ぎ!!」



次男「今は皇帝も長男も居ない。実質のトップは僕……アバロンで起こった事の判断は僕に任されている!!」

武道家「次男あにぃ、なに、を……」


次男「勇者よ? 僕の裁量で君には王族への侮辱罪と暴行罪を適応しよう」

勇者「……」


次男「助かりたければ……」

次男「助かりたければっ!!」



次男「勇者ぁぁぁぁっ!!」バッ

勇者「ッ!?」


商人「どげざ、した……」

次男「頼む勇者!! 妹達もっ、弟子として連れて行ってやってくれっ!!」


戦士「ア、ニキ……なに、やって」

次男「可愛い妹達が這いつくばっているのに、僕が立ったままでいる訳にはいかないだろ?」ニコリ



商人「師匠、弟子は私だけで良い。早く出発するべき」グイグイ

商人「それに、女はダメ」グイグイ


勇者「……」

勇者「二人が、私の弟子になる気があるのなら……」


勇者「その願い、喜んで聞き入れよう」

商人「しっ、しょぉっ……ダ、メ」グイーッ



次男「戦士、武道家、アバロンは僕に任せろ」

次男「行って来い、妹達!!」


戦士「くっ……」ヨロヨロ

武道家「んっ……」タッ タッ


勇者「……」

勇者「どうする?」



戦士「はぁっ、はぁっ……」タッ

武道家「ふぅっ、ふぅっ……」タッ


戦士「……」

武道家「……」


戦士「オレを」

武道家「ボクを」



戦士 武道家

「「弟子にしてください!!」」ペコリ


,



   大国アバロン 出発

    湖の町ヨヨ へ


,




 湖の町ヨヨ ビュー宅の前



商人「師匠、裏庭にサラマンダーは居なかった」タタッ

勇者「扉をノックしても出んと言う事は、やはり留守か……」


戦士「はぁ? どうすんだよ勇……あー、っと、師匠?」

武道家「やっぱり、数日かけて歩くしか無いのかな?」ガクッ




「勇者か?」



勇者「んっ?」クルッ

勇者「ッ!?」


勇者「……」

勇者「ふっ」ニコリ



戦士「えっ?」

武道家「だれだれっ?」


勇者「随分と体調が回復したと見える」

勇者「久し振りだな、兄さん……」


兄「グハハハハハハッ!!」

兄「数年振りの再開か……弟よ」ニコリ



兄「この家の前に居ると言う事は、青年に用が有るのか?」

勇者「ああ、だが……」


兄「女と教会巡りを見に行った、明日にならんと戻らんぞ?」

勇者「……」


勇者「明日か、では宿を……」

兄「この兄の家に泊まって行けい勇者」


勇者「しかし」

兄「いつまでも避けては居られぬぞ? 老師は、何もお前を怒っておらん……」



兄「娘の事は事故だ。誰にも防ぎようが無かった……」

勇者「……」


勇者「私の弟子を含めて四人だが、まだ部屋は空いているだろうか?」

兄「フッ」


兄「安心しろ。部屋数だけは無駄に有るからな、今でも道場の生徒を泊めておる」ニコリ

勇者「それでは、久し振りに、飲み交わすとしよう」ニコリ




   風の塔 最上階



皇帝「ライトボール!!」ピカァッ


亀男「ククッ、幻想破壊(イマジンキラー)」スッ

亀男「魔法だろが、特殊能力だろうがっ……」


亀男「その幻想をぶち殺すッ!!」プシュゥッ

皇帝「バカなっ!? 俺の天魔法ライトボールが……掻き消された!!」ガタッ



皇帝「ぐっ……」チラッ

アチャ子「うぅっ」ドサァッ


ランサー「っ……」

重剣士「……」


亀男「安心しろっ、お前らは人質だ。すぐには殺さん」ニヤリ

皇帝(この敵に、斬激は有効では無い……)



皇帝(ならば、背中に隠し持っているミスリルメイスの打撃でっ!!)スッ

亀男「んっ?」


皇帝「その甲羅を叩き割ってやるぞカイナッツォ!!」ダッ

皇帝「秘技ッ、亀の甲羅割りぃぃっ!!」ブォン



亀男「無駄だ」スッ

亀男「このカイナッツォに」


亀男「弱点は」

亀男「無いっ……」ニヤァ



亀男「サイバー、アップ!!」ゴゴゴゴゴッ

皇帝(まだ力が上昇すると言うのかっ!?)


亀男「亀甲ッ、シィィィィルド!!」バッ

皇帝「なにぃっ!!?」ガキィィン


皇帝「ぐおおおおおおおおお!!」ズサァァッ

亀男「クククッ……」


亀男「俺の甲羅は二段構え」

亀男「背後を守るオリハルコンの甲羅に、前面を守る魔力の壁、亀甲シールド」



亀男「最強の防御を持つこの俺に……」

亀男「勝てる人間など居ないのだぁっ!!」


皇帝「っ……」フラフラッ

皇帝(まさかここまで、ここまで力の差が有るとはっ!!?)


亀男「……」タッ タッ

亀男「殺しはしないが、暴れられるのも面倒だ。片腕は折らせて貰うぞ?」




 湖の町ヨヨ 闘技道場



 ガラッ

兄「みんな揃っておるか?」

少女生徒「あっ、先生!!」ペコリ


男生徒「今日は14名です!!」ペコリ

幼生徒「ふぇぇっ、先生こんにちは~っ」タタッ


勇者「なんとっ……」

兄「フフッ……俺はここで、護身術や武道を教えている」



勇者「回復したように見えたが……まさか?」

兄「うむ」コクリ


兄「食う為にこうやって講師の真似事をしてるに過ぎん。日常生活をおくれるようになったのは、つい最近なのだ」

兄「以前の力は、もう戻らぬ……病に効くと言うヨヨの水を浴び、飲み、ようやく数年でここまで回復した」


勇者「そうか……」

兄「それに、これで良かったのかも知れぬ」



兄「病に掛からねば……己の野望を突き進んでいただろう」

兄「天を握ると言う、たった一人しか叶わぬ男の野望をな」グッ


勇者「私も、そうだったなら、勇者として兄さんと闘わなくてはならなかった……」

兄「……」


兄「弟よ、お前はまだ国の犬をやっておるのか?」

兄「居るかどうかも分からない魔王を探させられ、その名目で各地の便利屋扱い……虚しくはならぬか?」


勇者「……」

勇者「実を言うと、そうだった」


勇者「だが、魔王復活の可能性を見付けてしまったのだ」

勇者「その答えを知るまで……私は、勇者で居ようと思う」


兄「……」

兄「いつまでも、自己犠牲の過ぎる奴よ」


兄「今晩は、その土産話でもして貰おうか?」ニコリ

勇者「ふっ……長くなるぞ?」ニコリ




 湖の町ヨヨ 回復の湖 入浴所



戦士「ふぅーっ、冷たくて、気持ちいいな……」チャプチャプ

武道家「でも、お腹にちょっと染みるね?」


戦士「まぁ、な」

商人「……」チャプン



戦士「アザにはなってねぇけどよ」サスサス

武道家「あははっ……ボク、ノドの近くまで込み上げてたのを、無理やり飲んだよ」サスサス


戦士「オレも……多分、誰も見てなかったら、余裕でリバースしてたぜ」

商人「……」チャプチャプ


商人「貴女達は」

商人「なぜ弟子になったの?」



武道家「えっ?」

戦士「……」


戦士「別に、好きでなったんじゃねぇよ」

戦士「勇者に着いて行きゃ、早くカイナッツォと戦えるって思っただけさ……」


武道家「ボクも、そうかな」

武道家「他の誰でもない、自分の手で仇を討ちたい!!」グッ



商人「……」チャポン

商人「そう。よかった……」


商人「それなら、カイナッツォを倒したら貴女達とはお別れ」

商人「お城のお姫様として国の為に頑張ってちょんまげ」ペコリ


戦士「あ」

武道家「あ」



戦士「そっ、そう言や、何か命を狙われてるっぽいんだよなオレ達……」

武道家「うんうん、城に居たら皆に迷惑を掛けちゃうよ!!」


商人「……」

商人「そう。お城の皆と何とかしてちょんまげ」チャププ


戦士「オレ達を狙ってる奴らを倒すまでは、城に戻りたくねぇなーって」

武道家「ししょーに、商人からもお願いして欲しいなーって」



商人「貴女達がどれだけ強いか分からないけれど、師匠は魔王を倒す旅をしている」

商人「さっき見たのが貴女達の力なら、凄く弱い。足手まとい」


戦士「ぐっ……言い返せねぇ」

武道家「あははっ、情けない所、見せちゃったしね」


商人「だから……」

商人「着いて来たいなら、貴女達の本当の実力を見せるべき」



戦士「実力を見せるったって……」チラッ

武道家「ししょーと、戦えばいいの?」


商人「……」

商人「ちがう」フルフル


商人「カイナッツォは今、風の塔を住みかとしている」

商人「そして、三人の部下もいる……」



戦士「三人の」

武道家「部下?」


商人「そう、亀の部下……」コクリ


商人「暗黒武術の使い手、白虎!!」

商人「雷神拳を極めし者、朱雀!!」

商人「画面端で固める男、邪メハラ!!」


商人「恐らくカイナッツォの前に、私たちが戦う事になる相手」



商人「この中の誰でも良い。師匠の前で倒して見せて……」

商人「彼らは強い。それを倒したなら、師匠も不安なく共に旅を続けてくれるはず」


戦士「……」

武道家「……」


戦士「まぁ、やるしか……」チラッ

武道家「ないよねっ?」コクッ



戦士「で、一つ質問いいか?」

商人「なに、ちょんまげ姉」


武道家「あっ、さっきから言ってるちょんまげって……語尾じゃなくて、ボクらの事なんだ?」

戦士「えーっと……たぶん戦う人だから武士で、王族だから殿で、ちょんまげ、って事か?」


戦士「遠すぎてわかんねって……」

商人「……」ブクブク



商人「……」

商人「質問、早くして」


戦士「おっ、おうっ!!」

戦士「……」


戦士「アレ? なんだっけ……っと、思い出した!!」

戦士「聞きたいのはカイナッツォの事だよ!!」


戦士「なんでオメェは、カイナッツォの部下まで詳しく知ってんだ!?」

武道家「そう言えば、そうだよねっ」ポンッ



商人「……」

商人「知りたい?」


戦士「ああっ、勿論だろっ」コクリ

武道家「知りたい知りたい♪」コクコク


商人「……」

商人「本当に知りたい?」


戦士「もったい付けねーで教えろって!!」

武道家「早く早くぅっ!!」ワクワク



商人「……」

商人「どうしても?」


戦士「うんうん!!」コクコク

武道家「し、り、た、い、よー!!」コクコク


商人「……」

商人「……」




商人「だぁぁめ」ニヤリ

商人「まだ教えられない……」



戦士「うぜぇぇぇっ!!」バシャバシャ

武道家「むきぃぃぃっ!!」バシャバシャ


商人「……」

商人「先に上がるから」ザバァッ



商人「……」クルッ

商人「知りたいなら、貴女達の本当の力を、私にも見せて」




 夜 湖の町リーザ 兄が暮らす家



兄「お前の弟子達はどうした?」

勇者「夕飯を食べた後、三人仲良く眠りに着いたようだ」


兄「フッ、まだガキか?」

勇者「どうやら、そのようだな……」ニコリ



兄「酒は、地酒だが構わんか?」コトッ

勇者「うむ、頂こう」


兄「肴はお前の話だ……酒はこの兄が注いでやろう」トクトクトクッ

勇者「いや、兄さんの分は私に次がせてくれ」スッ


勇者「久し振りに酌み交わす酒……」トクトクトクッ

兄「どちらが上も無し」ニコリ



勇者「そう言えば、老師の姿が見えないが」

兄「勇者が来た事は伝えたが、最近は地下の研究所に籠りっきりだな。あのジジイだ、何か良からぬ事を……」



「ワシの研究をくだらぬと申すか、兄よ?」タッ



勇者「ッ!?」

兄「噂をすれば、来たか……」ニヤリ


勇者「……」

勇者「お久しゅうございます、老師!!」ペコリ



老師「……」

老師「久し振りじゃな、勇者」ニコリ


老師「それでは」スッ

老師「ワシにも、土産話を聞かせて貰おうかのぉ」コトッ


勇者「老師、私が注ぎましょう」トクトクトクッ

老師「おっ、すまんな。ちょびっとで良いぞ?」



勇者「……」

勇者「……」ゴクゴクッ


勇者「私が世界を転々としていた話など、恐らくツマらないだろう」

勇者「よって……」ゴソゴソ


勇者「つい最近だが」

勇者「このクリスタルについて、話そうと思う」ゴトッ



老師「ッ!?」

兄「これは……」


勇者「この世界を守護すると言う、クリスタルの一つ……」

勇者「水のクリスタル、その破片」


兄「破片……か?」

勇者「うむ。クリスタル自体は、何者かにより砕かれたのだ」



兄「触れても構わぬか?」

勇者「……」コクリ


兄「これが……」スッ

兄「クリスタル……」



 ピカァァァッ

兄「ぬぅっ!?」

老師「兄が触れた瞬間に、クリスタルが光輝いたぞ!!」ガタッ



兄「……」

兄「これはッ!?」ガタッ


勇者「どうした兄さん?」

兄「……」


兄「クリスタルは、ここに置く……」ゴトッ

兄「少し、夜風に当たって来る」タッ



老師「……」

老師「ふむっ」スッ


老師「……」

老師「ワシが触れても、どうにも光らぬようだな」


老師(クリスタルが兄を選んだのか……)

老師(それとも、兄がクリスタルの力を……)



老師(どちらにしても、これは重大なヒントになりそうじゃな)

老師(ワシの研究……『進化の光』の完成も近い)ニヤリ


老師「のう、勇者?」

勇者「なんでしょう?」


老師「このクリスタルを、ワシに預けてはくれぬか?」

老師「ずっととは言わん、今日だけ……今晩だけで良い。明日には必ず返す」



勇者「……」

老師「ワシは将来の為、医学の研究をしておる」


老師「もしかすると、このクリスタルの力は、大きな役割を果たすかも知れんのじゃ……」

老師「お前を責めるつもりは無いが、孫娘も医学がもう少し進歩していれば助かったはず!!」


老師「頼む勇者、どうか一晩!!」ペコリ

勇者「顔をお上げください老師……」



勇者「私腹を肥やそうと言う訳では無いのでしょう?」

老師「当然じゃ、この歳、この老体で私腹を肥やしてどうする?」


勇者「……」

勇者「ならば一晩と言わず、研究が終わるまでお預けします。どうかお役立てください」ニコリ


老師「おおっ……勇者!! すまぬっ、すまぬぅっ!!」ペコッ

老師(……)ニヤリ




 湖の町ヨヨ 闘技道場



 シーン

兄「……」

兄「……」スッ


兄「ハァッ!!」シュッ

兄「ぬんっ!!」シュッ


兄「フッ!!」ピタァッ

兄「……」



兄「ふむ」ニギニギ

兄(全快、とは言わぬが……八割方は回復しておる)


兄(間違い無くこれは、クリスタルの力によるものだろう)

兄(クリスタルに治癒の力が有ったのか……)


兄「それとも」

兄(クリスタルの力を、俺が吸収したのか……)



兄「ククッ」

兄(どちらにせよ……)


兄「ガァッハッハッハッハァッ!!」

兄(これは、神からの啓示だ)



兄「この俺の伝説は、今日から始まる!!」グッ

兄「まさか……再び、最強の二文字を目指す事になろうとはな」ニヤリ




  深夜 太陽の国 街の路地裏



少女「はぁっ、はぁっ、はぁっ!!」タッタッタッ

少女「きゃっ!?」ドサァッ


少女「っ……」

少女「うぅっ……来ないでぇっ」


蜘蛛男「フシュルー!!」タッ

蜘蛛男「どうした、追い駆けっこは、もうおしまいか?」ニヤリ



蜘蛛男「俺の消化糸で、お前もドロドロに溶かしてやるぞっ……」

蜘蛛男「お前の父親のようになぁっ!!」



少女「ひっ!!?」ズリズリ

少女「たっ、たすけてぇっ!! 誰かぁぁぁぁっ!!」



蜘蛛男「けけっ」

蜘蛛男「泣いたって、叫んだって、誰も来やしねぇよ!!」





「待てぇい!!!」




少女「ッ!!?」


蜘蛛男「んっ!?」キョロキョロ

蜘蛛男「こ、この声は……あそこの建物の上か!?」



「どんな夜にも、必ず終わりは来る」


「闇が解け、朝日が世界に満つる時……」


「人、それを黎明と言う!!」




蜘蛛男「誰だッ!?」




RX「俺は太陽の皇子……」

RX「ブレイダー、ブラックッ!! RX!!」


RX「この光射す世界に、貴様ら悪党……住まう場所無し!!」

RX「とうっ!!!」バッ



蜘蛛男「全身を覆う、黒曜石のフォルムスーツ……」

蜘蛛男「我らゴルドラン帝国に仇なす裏切り者、お前がRXかっ!?」ザッ


RX「裏切る? 仲間になった覚えは無いな」スタッ

RX「さぁ、ここは俺に任せて、早く逃げるんだ少女!!」スッ



少女「はっ、はいっ!!」

少女「ありがとうRX!!」タッ タッ



蜘蛛男「フッフッフッ……」

蜘蛛男「シャドー様から、お前を見付けたら殺すように言われている」スッ


蜘蛛男「この怪人蜘蛛男が、お前の息の根を止めてやるぞRX!!」ダッ

蜘蛛男「スパイダーネットを喰らえっ、フシュルゥゥゥッ!!」ブワァァッ



RX「かつては運命を共にした戦友……そして今は、人々を恐怖させる悪の化身」

RX「せめて華と散れ、シャドーッ!!!」



RX「ボルティックブレード!!」ジャキン

RX「フンッ!!」ズバァァッ



蜘蛛男「ッ!!?」

蜘蛛男「俺のスパイダーネットを切り裂きやがった!!」ビクッ



蜘蛛男「くそっ、一時退却だっ!!」ダッ

RX「に゙が゙ざん゙!!!」ダンッ




 その時 不思議な事が起こった!!

 RXの体が金色に光り輝き 
 稲妻のような速さで 怪人蜘蛛男の前へ回り込んだのである!!



RX「俺は怒りの戦士、ブレイダーRX・ライトニング!!」ザッ

蜘蛛男「なにっ!? ブレイダーが変身した!?」ビクッ


,



RX「これで終わりだ蜘蛛男!!」バッ

RX「RX!! 稲妻、反転!! キィィィック!!」バチバチッ


蜘蛛男「うごっ!!?」ドゴォッ

蜘蛛男「グエエエェェェッ!!!」ズザァァッ


RX「……」スタッ

蜘蛛男「……」



蜘蛛男「……」グッ

蜘蛛男「ううっ……」フラフラ


RX「……」

蜘蛛男「ゴルドラン帝国……」



蜘蛛男「バンザーイ!!!」バターン




 ドゴォォォォォォォォォン!!!




RX「成敗ッ!!」




RX「……」

RX「太陽のルビーと月のサファイア、早く一つに集めなければ大変な事になる」


RX「シャドー……」

RX「お前はそれを、分かっているのか?」グッ

ここまで前回スレ落ちした分のコピペ




 翌日 湖の町ヨヨ 青年宅の前



勇者「では、この火竜サラマンダーを……」

サラマンダー「ハッヤァァァァァァイ゙!!」バッサバッサ



勇者「預けて貰えるのだな青年よ?」

青年「ええ。これで、『オルレス』での貸りがやっと返せますよ」ニコリ


戦士「おお……城のハイヤードラゴンより何倍もデケェな」

武道家「これなら、みんな背中に乗って行けるね♪」




ザッ

兄「待てぃ、勇者!!」

勇者「っ!?」クルッ


勇者「……」

勇者「兄さん……」


兄「風の塔とやらには、この兄も共に行こう」

勇者「しかし、貴方は体が……」



兄「今日は調子が良いのだ、心配は無用」ニヤリ

勇者「……」


商人「師匠師匠」グイグイ

勇者「ん、なんだ商人?」


商人「師匠の兄も強いのなら、一緒に連れて行くべき」

勇者「……」


勇者「うむ……」

勇者「そう、だな」



勇者「力を、貸してくれるか?」スッ

兄「喜んで力になろう」ガシッ


武道家「ししょー!! 先に乗ってるよっ」ヒョイッ

戦士「オレもっ」ヒョイッ


サラマンダー「ハッヤァァァァァァイ゙!!」バッサバッサ

商人「……」ヒョイッ



商人「戦士、武道家、ちゃんと憶えてる?」

戦士「あん? あー、忘れてねーよ」


戦士「暗黒武術の使い手、白虎」

武道家「雷神拳を極めし者、朱雀」

商人「すぐに画面端で固める男、邪メハラ」


武道家「ボクらが戦って強さを証明する……でしょ?」

商人「そう」コクリ



勇者「では……行くか?」

兄「うむ。慣れている俺が、先頭で火竜の手綱を取ろう」コクリ


勇者「ならば私は、最後尾で背後からの敵襲に備えるとしよう」ヒョイッ

兄「可能性は低いだろうが、何事も用心するに越した事は無いからな」



サラマンダー「ハッヤァァァァァァイ゙!!」バッサバッサ

兄「はいやぁぁぁぁっ!! 行くぞ火竜号ッ、目指すは風の塔だ!!」ヒョイッ



  湖の町ヨヨ 出発

   ↓

  打倒カイナッツォ 風の塔へ


,




 風の塔近く 広い草原



朱雀「暗黒雷光破ッ!!」バシュゥッ

ポッポ「うわっ、やられたぁっ!!」ドサァッ


朱雀「……」

朱雀「ちっ、この辺のザコ共では準備運動にもならんな」


白虎「そう言うなよ朱雀」ザッ

白虎「だからカイナッツォ様は、近々来る侵入者を、俺達に任せるとおっしゃってくれたじゃないか?」



朱雀「歯応えの有る奴らだと良いがな……」

白虎「確かにそうだ」ニヤリ

白虎「姫姉妹以外は殺しても構わないって話だが……」チラッ

白虎「おい邪メハラ!! しくじって負けたりすんじゃねぇぞ?」ニヤニヤ


邪メハラ「……」

邪メハラ「(負ける要素は)無い」



 数時間後 風の塔 最上階



亀男「もうそろそろ、ここにアバロンの兵が大軍で来る頃じゃないか?」

亀男「なぁ、皇帝?」ニヤリ


皇帝「……」

皇帝「うぅっ……」ゴロン


亀男「ちっ、つまらん。痛め付け過ぎたか?」

亀男「しかしまぁ、生きてさえいりゃあ取引材料にはなる」



亀男(双子の姉妹……どれほどのものか見てみたかったが、現れる頃には虫の息か?)

亀男(なんせここへ来るには塔の各階を守る三名の番人、血の気の多い奴らを倒さねばならないのだからな)ニヤリ


亀男「暗黒武術の使い手、白虎」

亀男「雷神拳を極めし者、朱雀」


亀男「すぐに画面端で固めて決める男、邪メハラ」

亀男「我が部下ながら、恐ろしい奴らよ……」



 バッサバッサ


亀男「んっ……何だこの音は?」

亀男「皇帝達が乗ってきたハイヤードラゴンは、檻に入っているはずだ」キョロキョロ


亀男「……」

亀男「まさかっ!?」ビクッ




 ドゴォォォォォォン!!




勇者「ハイヤァァァァァッ!!」バゴォッ

亀男「やはりっ、貴様らもブチ壁を壊して侵入して来たか!? 普通は一階から上って来るだろうが!!」クルッ



勇者「……」スタッ

サラマンダー「ハッヤァァァァァァイ゙!!」バッサバッサ


戦士「おやじぃぃぃっ!!」

武道家「父さんっ!!」


商人「勇者、見事なショートカット」スタッ

兄「ふっ」スタッ



皇帝「うぅっ……戦士、武道家」ジャラッ

皇帝「今すぐ、逃げ、ろ……コイツはまだ、お前達が勝てる相手では、ない」


戦士「鎖に繋がれてんのかっ?」スタッ

武道家「でも生きてるっ!!」スタッ


亀男「ほぉ……」

亀男「貴様らがアバロンの双子姉妹か?」ニヤリ



戦士「あん?」ギロッ

戦士「ああ、聞いてるよ亀ヤロウ!! うちの城下で、ずいぶんと暴れたらしいじゃねぇか!?」ザッ


武道家「許さない……」ギロッ

武道家「家族の仇は、ボクが取るっ!!」


戦士「オレ達が戦う!! 問題ないだろ師匠!?」

武道家「ないよねっ!?」



勇者「……」

勇者「よかろう。やってみなさい」


戦士「おっしゃあぁっ!!」グッ

武道家「やぁぁぁってやろうじゃん!!」グッ


兄「……」

兄「浮わついておるな」



兄「良いのか勇者? アレでは……」

勇者「良いのだ。自分で知らねばならぬ。自分達が、どれほどなのか、と」コクリ


亀男「……」

亀男「いいぜ双子姉妹っ」ニヤリ


亀男「テメェらがこのカイナッツォを倒すってならっ!!」

亀男「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!!」スッ



戦士「すっとろい亀なんざ、この……」スッ

戦士「ハヤブサの剣の二刀流にゃ、付いて来れねーだろ?」ジャキン ジャキン


戦士「合わせろよ武道家?」

武道家「はっ? 戦士がボクに合わせて」スッ


武道家「行くよっ?」

戦士「ちっ……」」



武道家「炎のぉっ……」ググッ

武道家「矢ぁぁァァァッ!!!」バッ



 ボォォォォウッ

亀男「……」

亀男「ふっ」ニヤリ


商人「避けない?」

勇者「あのままでは、直撃するが……」



亀男「無駄だ、この亀条さんに魔法など通用せん……」スッ

亀男「幻想破壊(イマジンキラー)ッ!!」バシュゥゥッ


武道家「っ!?」ビクッ

武道家「ボクの魔法を、掻き消した!?」


戦士「まだだっ」バッ

戦士「背中がガラ空きだぜ大将!!」ブォン



亀男「……」

戦士「油断してんじゃ、ね……」バキィィンッ


戦士「ッ!!?」ビクッ

亀男「これは油断ではない。余裕だ」ニヤリ



戦士「ぐっ、嘘だろッ!?」

戦士「伝説の鍛冶屋、ロン・ベルクが造った剣なんだぞ!? 何で折れんだよっ!!」



武道家「バカっ、戦士さがって!!」

戦士「ぐっ」バッ


戦士「くっそ、こうなりゃ魔法しかねぇな」スタッ

武道家「魔法も効かないよっ、さっきの見たでしょ?」


戦士「前と後ろから挟もう。防げるのはあの片腕だろ? 二人同時に撃てば、どっちかは当たっさ」グッ

武道家「それしか、ないもんね……」グッ



亀男「……」

亀男「フゥゥッ……こんなものか?」


戦士「あ?」

武道家「え?」


亀男「先ほどは魔法を幻想破壊で掻き消したが、ハッキリ言おう」

亀男「あの程度の魔法など、掻き消すまでも無かったのだ」



亀男「あの御方が気にする双子姉妹……その力を試してみたかったが、もういい」

亀男「貴様らの父親と共に、死んで貰おう!!」スッ


戦士「んだとコノヤロウ!!」

武道家「ボク達の力、舐めないでよねっ!!」



兄「……」

兄「ここまでだな」



商人「師匠?」

勇者「うむ……」コクリ


勇者「戦士、武道家、下がりなさい」

勇者「後は私がやろう」ザッ


戦士「はぁっ!? 冗談じゃねぇ!!」クルッ

武道家「ここからが本当の勝負だよっ!!」クルッ



勇者「戦士、武道家……」

勇者「下がりなさい。見る事もまた戦いだ」ニコリ


戦士「うっ……でも、よぉっ」ポロポロ

武道家「こんなのって、ない……」ポロポロ


商人「憎い相手に歯が立たず」

兄「泣くほど悔しいか……」



兄「……」タッ

兄「勇者よ」ポンッ


勇者「……」

勇者「なんだ?」クルッ


兄「お前は弟子達と共に、囚われている者を解放しておけい」

兄「ソイツの相手は……この兄がしよう」ザッ



勇者「……」

兄「……」


勇者「すまない、恩に着る」ペコリ

兄「気にするな勇者、これも兄の勤めよ」ニコリ


亀男「なんだぁ? どうやら体だけはデカイようだが、それではこのカイナッツォ様には勝てんぞ?」

兄(ククッ……水のクリスタルで回復した体を試すには、良い練習台だ)ニヤリ



戦士「……」

武道家「……」


勇者「お前達の仲間も、先に来ているんだったな?」

勇者「探して解放する、着いて来なさい!!」ダッ


戦士「くっそぉ!!」ダッ

武道家「ボクがこんなに、弱かったなんて!!」ダッ



兄「……」

兄「お前は、ここで俺を見て居るのか?」


商人「……」

商人「興味深い。でも、ヤメておく。じゃ、頑張って」タタッ





皇帝「っ……」ジャラッ

商人「鎖を外すから、動いちゃダメ」カチャカチャ



亀男「……」

兄「……」


亀男「この幻想破壊と甲羅が有る限り、俺に敗北は無い!!」

亀男「防御こそ最大の攻撃なのだっ!!」


兄「そうか……」

兄「その幻想破壊とうのは、どんな魔法も効かぬのか?」タッ タッ



亀男「効かん!!」

亀男「それが自然の力を利用した、雷や炎でもだ!!」


兄「そうか……」タッ タッ

兄「では、これならどうだ?」ザッ


亀男「これ?」

兄「フンッ!!」ガシッ



亀男「っ!?」

亀男「コイツ、俺の腕をッ!?」


兄「このまま力にモノを言わせ、貴様の腕をネジ切ろうとしても……」ググッ

兄「貴様には効かぬのか?」ニヤリ


亀男「勿論、効か……」

亀男「イテテテテッ!? ちょっ、ほんとシャレにならないからヤメて!! 腕を放してぇぇっ!!」ジタバタ



兄「フフッ……」グググッ

亀男「た、たしゅけ……」ジタバタ


兄「助けて欲しいか?」

亀男「助けてくれるんですか!?」


兄「……」ニコリ

亀男「……」


兄「そぉぉぉぉぉれい!!」ブチブチィッ

亀男「あんぎゃあああ!! 不幸だぁぁぁぁっ!!」ゴロゴロ



兄「さぁ、次なる技を見せてみい!!」

兄「まさか、コレだけではあるまい?」ポイッ


亀男「ぐっ、ぐぬぬっ……」

亀男「この俺は四天王なんだぞ!? カイナッツォ様だぞ!!」


兄「……」

亀男「こんな所で負ける訳には……いかん!!」ザッ



 シュン

「待ってカイナッツォさん……」スタッ



亀男「んっ?」クルッ

亀男「おおっ!! 来てくれたか!?」



毒女「四天王が一人、毒のスカルミリョーネ」

風女「なによっ!! 同じくバルバリシアよっ!!」スタッ


ヒナ「ひなだおっ!!」スタッ

毒女「私たち四天王の三人も、この戦いに協力しますっ」



兄「……」

亀男「四天王、全員集合って訳だ!!」


亀男「どうした? 恐怖で声も出ないかァ!?」ニヤリ
兄「フッ」


兄「この兄と戦うか……そうは見えんな」

亀男「なにぃっ?」



兄「毒のスカルミリョーネと言ったか?」

毒女「……」


兄「貴様、転移魔法の準備を整えているな?」

毒女「っ!?」ビクッ


兄「隙を見付け、負傷した仲間を連れ帰るつもりだったのだろうが……」

兄「諦めるのだな」ニヤリ



亀男「そ、それは本当かスカルミリョーネ!?」ガシッ

毒女「本当です……魔王様が貴方の劣性を感じ取り、救出するように私たちを送ったの」


亀男「だが……こっちは四人だぜ? 四天王が揃ってんだぜ?」

毒女「魔王様は、危険だから戦うなと言ってたわ」


兄「……」

亀男「な、なんてこった……」ガクッ



兄「ククッ」

兄「ガァッハッハッハッハァッ!!」


兄「ならば、選ぶがいい。貴様らに残された道は二つ」ニィッ

兄「一つは、転移魔法を使う間も無く殺されるか……」


毒女「くっ!?」ゴクリ

兄「もう一つは……」



兄「……」

兄「俺を、魔王の元へ連れて行けい!!」


亀男「なんだとッ!?」ビクッ

風女「はぁっ!? 正気なの!?」


毒女「魔王様に、殺されるのにですか?」

兄「魔王に殺されるので有れば、それはこの俺がその程度だと言う事だ」



商人「……」タタッ

商人「兄、勇者を裏切るの?」


兄「フッ」

兄「勇者の代わりに、この兄が魔王を倒してやると言うのだ」


商人「……」

商人「そう。なら問題ない」タタッ



亀男「テメェの目的はなんだ!?」

兄「魔王を倒すと言った筈だが?」


風女「ただの人間が、魔王シャブラニグドゥ様に勝てるはず無いでしょ!?」

亀男「真の目的を言えっ!!」


兄「……」

兄「面倒だな。そこの転移魔法が使える女以外は皆……殺してしまうか?」ニヤリ



風女「なによアンタ、やる気っ!?」

ヒナ「おいたんこわいぉ……」ブルブル


兄「だから選ばせてやるのだ」

兄「ここで死ぬか、生きるかをな?」スッ


毒女「っ……」

毒女「わかりました。魔王様の元へお連れします」



亀男「おいっ、本気か!?」

毒女「はい……今、魔王様から」コクリ


兄「フッ」

兄「早くせい!! この兄を魔王の元へ」



 ザッ

皇帝「待てっ!! カイナッツォ、貴様だけは許さん!!」フラフラ

商人「まだ立っちゃダメ。ポーションだけじゃ、その傷は回復し切れてない」



皇帝「許さぬ、許さぬっ!!」

皇帝「カイナッツォォォォォッ!!」ダッ


亀男「ちっ、死に損ないがぁ」

皇帝「魁阿波論二号生究極最大最終最強悶絶秘奥義ッ、一文字斬岩剣ッッ!!!」ブォン


兄「……」スッ

亀男「おいっ!? 邪魔だ、俺の前に立つんじゃねぇ!!」



兄「フハァッ!!」

兄「響心、断殺拳ッ!!」シュッ


皇帝「んごぉぉぉっ!!?」ドゴォッ

皇帝「な、なぜ……おれ、を?」メキメキッ


兄「外部から心拍を停止させる拳を放った」

兄「凄まじい激痛に苛まれながら」


皇帝「うあ゙ぁっ……」ドサァッ

兄「このまま、苦しんで逝くがいい」ニヤリ



亀男「なっ……」

毒女「……」


風女「……」

ヒナ「ふわぁぁぁん!!」ポロポロ


商人「どう、して?」

兄「愚か者が、復讐などに心奪われおって」



商人「そう」

商人「なら、貴方を危険人物と判断し……」


商人「ここで排除する!!」キッ

兄「……」


兄「今のを見ても、来ると言うのか?」

兄「死ぬぞ?」ニヤリ



商人「……」

商人「貴方に、これが見える?」チラッ


兄「ベルトか? 変わった形をしておるが……」

兄「それがどうした?」


商人「これは、ディケイベルトと言う」

商人「そして私は、多時空間旅行者!! 数々の世界を渡り歩き、渡り歩いた世界の勇者の力を扱う事ができる!!」



兄「だから、それがどうした?」

商人「だから、だから……」


商人「だからっ、貴方を倒す」スッ

商人「変身。ロコモライド」ジャコッ


 ライドゥ マママママママイトガイン


商人「……」ピカァァッ

兄「ぬっ……」



商人「……」シュゥゥッ

亀男「なんだアイツ!? 一瞬の内に白銀の鎧をっ!?」


商人「まいと、がーーいん!!」ガキンッ

兄「ほぉっ……」ニヤリ



 ここで 商人の変身プロセスをもう一度見てみよう!


商人「変、身!!」バッ


 商人が変身に使用する時間は 僅か0.05秒に過ぎない!!

 その時間で 商人は他世界の勇者の力を呼び寄せ 自分の体へと身に付けるのだ!!



商人「やはり、危険人物……ここへ誘うように進言して正解だった」

商人「貴方から溢れ出るその邪悪、とてつもない……」


兄「フッ」

兄「鎧を纏った程度で、良くぞそこまで吠える」ニヤリ


商人「貴方は将来、必ず勇者の敵になるっ、だから……斬る」ゴゴゴゴゴッ

商人「動ッ、輪ッ、剣ッ!!」ジャキン



兄「では……」

兄「来い」スッ


商人「……」スッ

商人「縦ッ、一文字斬りぃぃっ!!」バッ




毒女「今ですっ」

毒女「転移魔法、バイルーラ!!」キュィィィン


兄「なにッ!?」

商人「っ!?」



毒女「……」シュン

風女「……」シュン


ヒナ「ふえ」シュン

亀男「……」シュン


商人「くっ」スタッ

商人「みんな、消えた……」キョロキョロ





 魔王城 王座の間



 ギュワーン

毒女「……」スタッ

風女「……」スタッ


ヒナ「ぇっ」スタッ

亀男「……」スタッ


兄「……」スタッ

兄「貴様、邪魔をしおって」ギロッ



毒女「貴方の願いを尊重しただけです」

毒女「それよりも、魔王様の前ですよ? 背中を向けるのをヤメ、膝を着いて下さい」


兄「魔王?」クルッ

兄「おおっ……」


魔王「……」

魔王「ワシが、魔王シャブラニグドゥじゃ」ニヤリ



魔王「人間よ……何でも、ワシを倒すと息巻いているようじゃの?」

魔王「それとも、本来は部下になりたいが、仲間の手前だから倒すと言ったか?」


兄「……」

兄「間違いない」グッ


兄「ここで貴様を倒し、俺が新たな魔王となろう!!」

魔王「なんじゃとっ!?」



兄「……」

魔王「……」


魔王「仮に勝てたとて、新たな魔王になり何を目指す? 世界征服か?」

兄「フッ、俺が目指すのは世界征服などでは無い」


魔王「ならば、何を目指す?」

兄「天……」ニヤリ



魔王「天だとっ!? そんな事は、神が許さぬぞ!!」

兄「魔王のクセに神を恐れるか……だとしたら、その神をも倒すまでよ!!」


魔王「……」

兄「……」


魔王「考えは、変わらぬか?」ギリッ

兄「変わらぬッ!!」ニヤリ



魔王「そうか……余りにも危険な思想だ」

魔王「その拳、ここで封じねばならぬっ!!」ガタッ


兄「クッ……」

兄「グハハハハハハハハッ!!」


兄「誰も俺の野望を止める事はできぬっ!!」スッ

魔王「野望と共に、朽ち果てよ!!」スッ



毒女「魔王様っ!?」

亀男「我々もお手伝いを!!」


魔王「……」

魔王「不要だ。この魔王シャブラニグドゥの戦いを、目に焼き付けておけ!!」


風女「しかしっ!!」

ヒナ「ちかちっ」



兄「貴様らでは、盾にもならぬと言う事だ」ニヤリ

亀男「何だとテメェ!!」キッ


魔王「下がれ四天王よ」

魔王「こやつは、ワシが倒す!!」ゴゴゴゴゴッ


兄「フフッ、笑わせおる……では」

兄「塵と消えよっ、シャブラニグドゥ!!」バッ



  風の塔 最上階



皇帝「はぁっ、はぁっ……」

重剣士「皇帝ッ!!」


ランサー「皇帝ッ!!」

アチャ子「お気を確かに!!」


武道家「父さん!!」

戦士「オヤジっ!!」



勇者「兄が、やったのか?」

商人「……」コクリ


商人「勇者が水の神殿で使った技に似ていた」

勇者「なんと惨い事を……命まで奪う必要が、どこに有ると言うのだ!!」グッ



皇帝「重剣士、ランサー、アチャ子……」ブルブル

皇帝「これからは、次男を支えてやってくれ」



重剣士「……」

ランサー「……」

アチャ子「……」


重剣士 ランサー アチャ子
「「「ジャッジ!!!」」」


皇帝「……」

皇帝「ふっ」ニコリ



皇帝「そして……戦士、武道家」

皇帝「……」


皇帝「お前達は……」

皇帝「本当の子供では無い」


戦士「ッ!?」ビクッ

武道家「っ!?」ビクッ



皇帝「占いにより、見付け、育てたのだ……」

皇帝「もし、お前たちが自分の出生を知りたいと言うのなら」


皇帝「戦士は盧山(ろざん)の大瀑布」

戦士「盧山……」


皇帝「武道家はデスクィーン島の火山」

武道家「デスクィーン島……」



皇帝「しかし、しかしな……」

皇帝「何が有ろうと、俺はお前たちを、本当の子供のように……」


皇帝「あい、して」

皇帝「い、た……」ガクッ



武道家「ひっ!? いやぁぁぁぁぁぁっ!!!」ポロポロ

戦士「オヤジぃぃぃぃぃぃっ!!!」ポロポロ



勇者「私が残っていれば……」

商人「勇者」クイクイ


勇者「んっ、どうした?」

商人「恐らく兄は、魔王の手下へなりに行った。次に会う時は敵だと思う」


勇者「……」

勇者「確かに、次の出会いでは敵同士だろうが、兄は誰かの下へ着く人では無い」



勇者「……」

勇者「昔の兄は、誰よりも上を目指す人だった」


商人「……」

勇者「だが、それ故に危うい!!」


勇者「魔王の下へ着くのならまだ良い。魔王に殺されてしまうのも意図仕方ない」

勇者「それよりも最悪なのは……」グッ




  魔王城 王座の間



 ゴロゴロッ ビカァーッ


兄「……」

魔王「……」


兄「林原、重破斬」

兄「確かに、入ったぞ?」ニヤリ


魔王「何と言う」フラフラ

魔王「剛拳よ……」ドサァッ



亀男「魔王様ッ!?」

毒女「魔王サマぁぁぁぁっ!!」


兄「ガァッハッハッハッハァッ!!」

兄「……」


兄「たった今から」

魔王「この兄が魔王となる!!」



風女「あんたなんかっ、絶対に認めない!!」キッ

ヒナ「おいたんっ!!」


魔王「……」

魔王「では、お前たちにも道をやろう」


魔王「俺に支えるか、ここから去るか、それとも……」

魔王「俺に挑み、殺されるか、だ」ニヤリ



亀男「……」グッ

毒女「……」


風女「……」

ヒナ「……」


魔王「さぁ、選べい!!」

魔王「己が人生をっ!!」




 数日後 大国アバロン 

 王族の墓地 皇帝墓場前



武道家「……」

戦士「安らかに、眠ってくれオヤジ」


次男「長男に続き、皇帝までもが……」

次男「今でも信じられないよ」


戦士「……」

戦士「なぁ、師匠?」クルッ



勇者「……」

勇者「なんだ?」


戦士「あの、さ」

戦士「しばらく弟子をヤメたいんだけど、いいか?」


勇者「……」

戦士「自分の産まれた場所……見てみたいんだ。それに今のオレじゃあ、師匠の役に立てねぇ」



武道家「あ、あのっ、ボクも」クルッ

武道家「ボクも、ボクの産まれた場所を……見てみたい」


勇者「……」

勇者「そうか」


武道家「次に会う時は、今よりずっとずっと強くなってるよ!!」

戦士「だから、頼む師匠!!」ペコリ



勇者「……」

勇者「何を遠慮する? 行きなさい」ニコリ


勇者「自分を知り、突き詰める事こそ最大の鍛練」

勇者「それまで私は、火と地のクリスタルを調べ、国の王へ報告するとしよう」


武道家「あっ、ありがとうございますっ!!」ペコリ

戦士「じゃあ、一年だ……一年時間をくれ!!」



勇者「では、一年後……」

勇者「このアバロンで会おう」


武道家「うんっ♪」コクリ

戦士「おうっ!!」


勇者「商人よ、お前はどうする?」

商人「……」



商人「水に続き、風のクリスタルも破壊されていた……」

商人「それが何を意味しているかは知っている」


商人「けれど……『あの敵』には、今の力だけでは戦えない」グッ

商人「ので」


商人「私も更なる力を集めて来たい」

商人「一年後、再び貴方の力になる」



勇者「心得た……」ニコリ

勇者「では弟子達よ、しばしの別れだ」


勇者「一年後!!」

勇者「再び私に力を貸してくれ!!」



戦士 武道家 商人
「「「はいっ!!!」」」


,






勇者「魔王の復活?」



おわり





 第二部


勇者「勝ち続ける…。灰になるまで!!」




はじまり




 シルバーシティ 酒場



戦士「なぁ、アンタか? 情報屋ってのは?」

情報屋「フフッ、ええ……そうですが?」


戦士「この街に、元巨人の人間が住んでるって聞いたんだけど、そいつの居所を教えてくれねーかな?」

情報屋「知ってますよ……今は小さくなって普通の人間として暮らしてますがね」


情報屋「ああ、どうぞ、お座りください」スッ

戦士「おう。んで、情報料は幾らだ? 手持ちで十万ゴールドぐらいならあんだけど?」ガタッ



情報屋「……」

情報屋「十万ゴールド?」ジィーッ


戦士「あ?」

戦士「何だよ、足りねぇってか? 人の顔をジロジロ見やがって」


情報屋「そうですね……」

情報屋「ギャンブル、しませんか?」



戦士「はっ、ギャンブルだぁ?」

情報屋「すみませんねぇ……どうも、スリルとギャンブルが、何よりも好きでして」ニヤリ


戦士「……」

戦士「言ってみろよ」


情報屋「今からギャンブルを行い、貴女が私から十万ゴールド分を勝てれば、欲している情報を提供しましょう」

戦士「ちっ……面倒だな。つまり、勝負しないと教えねーってか?」



戦士「で」

情報屋「で、とは?」


戦士「しらばっくれんな!!」キッ

戦士「アンタ、ギャンブルが好きだと言いながら、金に執着がねぇ」


戦士「本当は、何が望みだ?」

情報屋「……」



情報屋「私が好きなのは、ギャンブル、スリル……そして」

情報屋「いい女にも、目が無くてね」ニヤリ


戦士「……」

戦士「ほー」


情報屋「ですから十万ゴールド分、貴女が負けたなら……」

情報屋「今夜一晩、付き合って頂きたい」



戦士「オレを抱きたいってか?」

情報屋「はい、抱きたいですね」


戦士「……」

戦士「まっ、取り敢えず条件とルールを言えよ」



情報屋「勝負はポーカー。決着はどちらかが十万ゴールド勝つまで」

情報屋「つまり、貴女が情報を得るか、こちらが貴女を抱くか……どうですか?」



戦士「……」

戦士「種目は?」


情報屋「麻雀、バカラ、花札、UNO、ポーカー、ブラックジャック、ダイストス」

情報屋「後ろのテーブルの箱に、様々な物を用意していますが……」


情報屋「ふむ。貴女はお急ぎのようだ」

情報屋「で有れば、麻雀や花札は論外でしょう……かと言ってダイスでは、余りに運否天賦過ぎる」



情報屋「ここは一つ……」

情報屋「ポーカーなどは、どうでしょう?」


戦士「……」

戦士「ポーカーか」


戦士「いいぜ、用意しな」

情報屋「素晴らしい!!」ニヤリ



情報屋「ではジョーカーを抜いた、このカードセットで……」コトッ

戦士「ちょい待ち!!」


情報屋「なんでしょうか? このトランプに不正なんか……」

戦士「いやいや、そのトランプを使うのは構わねぇが、こっちからも条件が有る」


情報屋「……」

情報屋「条件?」



戦士「ルールは子のみの二人用ポーカー。コール、レイズ、ドロップは変更無し」

戦士「勝負ごとの場代は一万ゴールド」


情報屋「……」

情報屋「まぁ、条件と言う程の事ではないですね」


戦士「こっからさ……」

戦士「まず、賭け金は青天井(上限無し)」



戦士「そして、オレが情報を得るか、お前がオレを抱くか……」

戦士「さっきのじゃまるで、ギャンブルの最中に賭けた金はお互いに払い戻す……そう言ってるように聞こえたぜ?」


情報屋「……」

情報屋「それはすみませんでした」


戦士「だから、どっちが勝とうと……つまり俺が勝った場合は、情報と、お前が勝負に賭けた金、両方貰う」

情報屋「ではこちらが勝った場合は、貴女の体と、勝負に賭けた金、両方貰える……そう言う事ですか?」



戦士「ああ、そうだ」

情報屋「……」


情報屋(バカがっ!!)

情報屋(俺は誰よりも金の匂いに敏感な男!!)


情報屋(手持ちで十万ゴールド……その嘘も俺は見抜いているぜ!!)

情報屋(中を見せちゃいないが、この女が足元に置いた布袋、大きさから言って恐らく300……いや、400か、500万ゴールドは札束で入っている!!)



戦士「どうすんだ、それで勝負できんのかよ?」

情報屋「分かりました。受けましょう・・っ、寛大な心で・・っ!」


情報屋「但し、こちらからも追加で二つ。コール、レイズ、ドロップの宣言は五分以内に」

情報屋「時間を過ぎれば、無条件で相手の勝利」


戦士「……」

情報屋「もう一つ、勝負に使う金は現金のみ。借用書なんぞの紙切れは一切通用しない!!」バンッ



戦士「いいぜ、オッケーだ」

情報屋「グッド……」ニヤリ


戦士「あっ、カードシャッフルぐらいはさせてくれよ? そっちの用意したトランプを使うんだからさ」

情報屋「良いですとも。ではシャッフルしたら、カードをテーブルの中央に置いてください。順番に上から取って行きましょう」


情報屋「後は、大丈夫ですか?」

戦士「ああ、始めようかっ!!」グッ



情報屋「では、シャッフルをどうぞ」スッ

戦士「おう」パシッ


戦士「じゃあ、適当にシャッフルして……っと」カシャカシャ

情報屋「……」


情報屋(上手い!! 自然な動きで役を積み込んでいる!?)

情報屋(成る程、これが強気な訳か? しかし、俺の目は誤魔化せん!!)



情報屋(シャッフルする直前にチラッと見たようだが、それだけで配列を覚えたか)

戦士「……」カシャカシャ


戦士「こんなもんかな?」

戦士「んじゃ、テーブルの中央に置くぜ?」コトッ


情報屋(上から、一枚目、三枚目、五枚目、七枚目、九枚目、これで、ロイヤルストレートフラッシュ!!)

戦士「オレから順番に、一枚ずつ引いてくって事でいいよな?」スッ



情報屋「待ってください!!」パシッ

戦士「っ!?」ビクッ


情報屋「こちらから引きます」スッ

戦士「お、おいっ!?」


情報屋「どうしました? 切ったのは貴女だ。イカサマなど無ければ、どちらから引いても同じのはず」ニヤリ

戦士「ちっ……クソが」スッ



情報屋「……」

戦士「……」


情報屋(ハートのロイヤルストレートフラッシュ……妥協無しの、見事なイカサマだ)

情報屋(相手が、この俺でなければなっ!!)


情報屋(最初の内は勝たせ、少しは喜ばせてやろうかとも思ったが)

情報屋(油断は無しだ!! お前と、お前の金……全て頂く!!)



情報屋「チェンジは?」

戦士「しねぇよ」


情報屋「……」

情報屋(こいつの上限は、最大に見積もっても500万)


情報屋(だがこっちは……)

情報屋「おい、持って来い!!」パンパン



黒服「はっ!!」タッタッ

戦士「ん?」


黒服「カバンです。どうぞ」ゴトッ

情報屋「すまんな、下がっていいぞ」


戦士「……」

情報屋「何か? 突然に殴りかかって来て金を奪おうとする輩も居るのでね、この店で全財産を預かって貰っているのだよ」



情報屋「まずは場代の一万ゴールド」スッ

戦士「ああ、オレも一万……」スッ



戦士「そして」

戦士「積もう、九万ゴールド!!」ドンッ


情報屋「っ!!?」ビクッ

情報屋「な、なに……レイズ、だとっ!?」



戦士「……」

戦士「どうした?」


情報屋「いや……」

情報屋(コイツ、本当の馬鹿か? 俺のカードが最強の役だと言う事は、積み込んだお前が誰よりも知っているはずだろ!?)


情報屋「受けよう」

情報屋「九万ゴールド積み、更に十万ゴールド!!」ドンッ



戦士「ちっ」

戦士「仕方ねぇなぁ……」ゴソゴソ


情報屋「……」

情報屋(やはり、袋の中に金が入っていたか)ニヤリ


戦士「んじゃ」

戦士「受けよう。十万積んで、更に……百万ゴールド!!」ドンッ



情報屋「っ……」グッ

情報屋「受けよう。百万積んで、更に二百万ゴールド!!」ドンッ


戦士「……」

戦士「受けよう。二百万積んで、更に二百万ゴールド!!」ドンッ



情報屋(俺の見立てでは、これで袋の中は空だが……俺は後、楽に一億四千万は有る。この勝負は動かんよ)

情報屋「受けよう。二百万積んで、更に二百万ゴールド!!」ドンッ



戦士「アレっ?」ガサゴソ

戦士「もう、ねぇや……」


情報屋「……」

情報屋「ふっ」


情報屋(一瞬焦ったが、これで終わり)

情報屋(この金も、こちらの物だ!!)ニヤリ



戦士「……」

情報屋「……」



戦士「ってさ」

情報屋「ん?」



戦士「思うじゃん?」ニヤリ

情報屋「何をっ!!?」



戦士「お~~~い!!」

戦士「追加頼む~~っ!!」パンパン



 カランコロンカラーン

武道家「やっとボクの出番だね」タッタッ

武道家「はい、カバン」ドサッ


戦士「おう、すまねぇな」

情報屋(店の外に、仲間を待機させていただとぉっ!!?)ビクッ



戦士「……」

戦士「受けるぜ?」


戦士「二百万積んで、その上……」

戦士「一億ゴールド!!」ドンッ


情報屋「かはァッ!?」

情報屋「な、何を無茶苦茶やっとるんだっ!!」ガタッ



戦士「まぁまぁ、落ち着いて座れよ」

戦士「で、どーすんだ?」ニヤリ


情報屋「……」

情報屋「くっ、ぐぅっ……」プルプル



情報屋「積もう、一億ゴールド!!」ドンッ

情報屋「これでコール!! 勝負だ!!」バッ



戦士「……」

武道家「……」


情報屋「どうした!? コールだよコール!!」

情報屋「カードで勝負だっ!!」


戦士「……」

戦士「おいおい……大金を賭け過ぎてボケたか?」



戦士「コールだ、とか」

戦士「カードで勝負、とか」


戦士「そんなのは、そっちの都合だろ?」

戦士「オレは知ったこっちゃない」


情報屋「……」

情報屋「な、にっ!?」



戦士「お前は青天井で勝負を受けた……」

戦士「これじゃな? 金を積まれた分、積み返せなけりゃ、必然的に降りた事になる」


戦士「天井を決めていない以上、それは当然のルール!!」

情報「ぎっ……」ギュッ


戦士「お~~~い!!」

戦士「追加~~っ!!」パンパン



カランコロンカラーン

商人「カバン持ち2号登場」ヒョコッ

商人「はい」ドサッ



戦士「だから」

戦士「積もう、その上……」


戦士「二億ゴールド!!!」ドンッ

情報屋「ふっ、ふざけるなぁぁぁぁああ!!!」


戦士「降りるのかい?」

情報「降りるのかい? じゃ、ない!! これでは、ただ大金を持ってる方が勝ちになるだろ!!?」



戦士「……」

戦士「はぁっ……」


戦士「青天井のポーカーってのは、そう言うゲームなんだからしょうがない」

戦士「それより、早く金を積まないと……五分、経っちまうぜ?」


情報屋「それ、は……」プルプル

戦士「アンタは顔が利くみたいだから、こんぐらいなら金を集められるだろうが、五分でってなったらそうは行かない」



武道家「……」

商人「……」


戦士「お前の負けだよ」

戦士「情報屋!!」ビシッ



情報屋「くっ……」ポロポロ

情報屋「くぅ~~~っ!!」ポロポロポロポロ



戦士「……」

戦士「アンタが女を喰い漁ってるって悪評……立ち過ぎだぜ?」


戦士「情報屋が、自分の情報バラ蒔かれてどうするよ?」

戦士「まっ、それで事前に金の準備とか、対策できたんだけどな」


情報屋「……」グスッ

情報屋「そ、そうだ!! こんな大金を、どうやって準備したんだ!?」



戦士「……」チョイチョイ

武道家「ん、なに?」トテトテ

戦士「よっ、と」グイッ

武道家「わわっ」ボフッ


戦士「オレら二人の顔を並べて見ても、まだわかんねーか?」

情報屋「っ……いや、全く」



戦士「……」

戦士「まっ、わかんねーから、オレを抱きたいなんて言えたんだな」


武道家「それより戦士?」

戦士「おっ? あ、ああ……」


戦士「約束だ」

戦士「元巨人の居場所、教えて貰おうか!!」バンッ




  シルバーシティ カルライェガ区

  元巨人の家



武道家「すみませ~~ん」

武道家「誰かいませんかぁっ?」ドンドン


商人「……」

商人「何度ノックしても返事が無い」


戦士「出かけていない、か」

戦士「さすがに、嘘を教えられたってのは無いと思うけどなぁ……」




 ガチャッ

女性「……」

商人「出てきた」


女性「煩い、しつこい。迷惑だから、中に入って……」

武道家「あ、ごめんなさい」ペコリ


戦士「うっ……すまん」ペコリ

商人「中はまずまず綺麗」タタタッ




  元巨人の家 リビング


女性「座って。それで、用は何?」

戦士「巨人の秘薬、『ちいさくなーれ』を譲って欲しいんだ」


女性「っ!?」ビクッ

女性「『ちいさくなーれ』を?」


武道家「ボク達には、どうしてもそれが必要なんです!!」ペコリ

戦士「頼む!! 金なら出すからよっ」ペコリ



女性「……」

女性「お金はいらない」


女性「その代わり、何に使うのか話して」

女性「理由次第で渡すかどうか決める」


戦士「……」チラッ

武道家「……」コクリ



武道家「ボク達は、復活した魔王を倒す為に旅をしてるんだ」

戦士「そんでまぁ、色々あってさ、人……ってか、アンドロイド? のさ、体内に居る悪い奴も倒さなきゃなんねぇのよ」


武道家「ボク達が人の中に入るには、凄く小さくなるしか……『ちいさくなーれ』を使うしかないんです!!」

戦士「だからっ、頼むマジでっ!!」ペコリ


女性「……」

女性「理由は分かった」



女性「でも」

女性「にわかには」


女性「信じられない」

女性「ので」


女性「体内に居ると言う奴を倒すまで、私も着いて行く」

女性「それが、『ちいさくなーれ』を渡す条件」



商人「……」ジィーッ

女性「なに?」


商人「その喋り方ヤメて」

女性「それは無理」


商人「ヤメて」

女性「無理だと言っている」



女性「それで、どうするの?」

女性「私はどっちでも構わない」


戦士「……」チラッ

武道家「……」コクリ


戦士「それは、いいんだけどさ……」

戦士「かなり危険だし、ずっとアンタの事を守りながらは戦えないぜ?」

ねる



女性「心配ない」

女性「私は結婚する前、剣兵をしていた」


女性「ので」

女性「自分の身は自分で守れる」



戦士「う~~ん」チラッ

武道家「まぁ、そう言う事なら、良いかなぁ?」コクリ



女性「……」

女性「よかった」ニコリ


女性「それと私の事は、女剣士と呼んで」

女剣士「よろしくお願い」ペコリ


戦士「ああ、よろしく女剣士!!」ニコリ

武道家「短い間だけど、よろしくねっ」ニコリ

商人「……」ギリギリ



戦士「あっ、結婚したっつったけど、旦那は?」

女剣士「……」


武道家「ちょっと、戦士!?」

戦士「えっ、あっ、すまね……」


女剣士「別に、死んだ訳では無い」

女剣士「私の性欲に勝てないと、しばらく別居してるだけ」



武道家「あ」

戦士「そっスか」


女剣士「そう」コクリ

女剣士「だからストレスが溜まってる。暴れたい」ニヤリ


女剣士「それで、どこへ向かうの?」

女剣士「近くなら軽装備で行く」



戦士「カイの神殿、って所さ」

武道家「距離的には遠いけど、キメラのつばさですぐに着くよっ」


女剣士「……」

女剣士「分かった。では非常食などは持たず、武器だけで向かう」


戦士「ついでに言うと、そこにHMX-12って名前の、人か、ロボットか……うーん」

武道家「とにかく、その神殿に変わった生命体が居て、その体内に入るんだ」



商人「そして」

商人「デビル将軍が率いる、デビル超人軍団を倒す」


女剣士「……」

女剣士「デビル将軍は、そのアンドロイドの体内に居るの?」


商人「……」コクリ

商人「どうしても、倒さなくてはならない相手!!」グッ



戦士「……」グッ

武道家「じゃあ、しゅっぱ~~~つ!!!」ザッ



 ドンドンドンッ!!

女剣士「ん、誰?」クルッ

男剣士「すまねぇ女剣士!! 頭が冷えたよ!!」ガラッ


商人「……」

商人「旦那?」



女剣士「……」

男剣士「お前がちょっとぐらい性欲が強いからって、逃げ出してゴメン!!」ペコリ


女剣士「嬉しい……」タッ

女剣士「よく、戻って来てくれた」ギュゥゥッ




戦士「……」

武道家「あのぉ……」



男剣士「この人達は?」

女剣士「ああ、そうだった」


女剣士「確か、この引き出しの奥に……」ゴソゴソ

女剣士「あった。体内へ入る前に、これを飲んでっ」ポイッ



戦士「えっ? あ、おおっ」パシッ

女剣士「その袋に入ってる錠剤が、『ちいさくなーれ』。一粒飲めば身に付けてる物ごと小さくなって、もう一粒飲めば元に戻る」



戦士「それはまぁ有難いし、便利なんだけどさ……」

武道家「女剣士さんは、来ないの?」



女剣士「男剣士が戻って来た」

女剣士「ので、私は行かない」


男剣士「おい、さっきから何の話だ?」

女剣士「何でもない。貴方は私の事だけ考えて……」ギュゥゥッ



戦士「あ」

武道家「っそ」


商人「……」

商人「死ねばいいのに」ギリギリ



戦士「じゃあ、貰ってくぜ?」

武道家「あはは……当初の予定通り、ボク達だけで行こっか?」




 シルバーシティ 出発

  ↓

 カイの神殿 HMX-12の体内へ


,




  カイの神殿



 ギュワーン

戦士「よっ」スタッ

武道家「はっ」スタッ

商人「とっ」スタッ



神官「あっ」

神官「みなさん、お帰りなさい」ニコリ



神官「例の物は手に入りましたか?」

戦士「おう、バッチリ♪」フリフリ


神官「ふぅっ……よかった」

神官「では、探し人の方は?」


武道家「んーっと……」

商人「そっちはまだ」



神官「そうですか……」

神官「貴女達に、秘宝の導きが在らん事を」グッ


戦士「へへっ、ありがとよっ」ニコリ

商人「それより、HMX-12は?」


神官「あ、はいっ!! 奥の台座で、横になっていますよ」

神官「どうぞ、こちらです」タッ




  カイの神殿 奥間



HMX-12「はわわ……」

HMX-12「はわわ……ヒロ、ユキ、サァン」グゥグゥ



武道家「ねぇ、何か言ってるよ?」

神官「寝言では無いでしょうか?」


戦士「へぇ~っ、アンドロイド? でも、夢は見んだなぁ」

神官「ふふっ、ええ……本当に、人間らしいですね」



神官「……」

商人「……」


戦士「……」

武道家「……」



神官「それでは」

神官「行ってらっしゃいませ」ペコリ



神官「私はここで邪魔が入らぬように……オンベンシヤマンダラソワカッ!!」バチバチィッ

神官「こうやって結界を張り、HMX-12を守っておりますゆえ」キュイィィン


神官「HMX-12の中は、デビル将軍のせいで異空間となっております」

神官「想像できません。お気を付けください!!」



戦士「ああ、わぁってるよ」

武道家「それじゃ、行って来ます!!」ニコリ



戦士「ほれっ、一粒ずつ飲め」ポイッ

戦士「小さくなったら、HMX-12の口から入るぞ」


武道家「うへぇ……口からかぁ」パシッ

商人「他の穴よりマシ」パシッ


戦士「あ、それと神官? 一粒置いてくから……」

神官「ええっ、わかっております」ニコリ




 HMX-12の体内 超人バトルリング




 ゴロゴロッ ビカァーッ!!

阿修羅「デビル将軍!! この異空間に侵入者が来たと忍者から報告が」

将軍「フッフッフッ」


将軍「慌てるな阿修羅よ」

将軍「部下共には研究を続けさせろ」


将軍「侵入者は俺と、阿修羅、忍者で迎え打つ!!」バッ

阿修羅「はっ!!」




 HMX-12の体内 異空間の塔の前



戦士「ほー」キョロキョロ

戦士「食道を滑り落ちて胃袋に入っちまう……と思ったが」


武道家「本当に、体内が異空間に繋がってたんだね?」キョロキョロ

武道家「あははっ、でも、安心したよ」


商人「……」キョロキョロ

商人「この塔に、きっとデビル将軍が居る」




 ガシャン ガシャン

さまよう鎧「まていっ!!」ザッ

キラー鎧「この塔に入りたくば、我らヘルブラザーズを倒す事だなっ!!」ガシャン


武道家「……」

さまよう鎧「そしてっ、来い、死霊軍団よ!!」ピューイッ



デス鴉「カァッーー!!」バッサバッサ

ゾンビ犬「ワオォォォウ!!」タタタッ

腐った死体「アー……」ズルズル



戦士「……」

商人「……」


さまよう鎧「どうした、声も出ないかぁ!?」

キラー鎧「ゲヘヘッ、神に祈る時間ぐらいは待ってやるぜぇ!!」ニヤリ


武道家「……」

武道家「悪いけど、神仏は信じないたちなんだ」ニヤリ



さまよう鎧「なんだぁ? 気でも狂ったかぁ?」

キラー鎧「フフッ、この絶体絶命の状況……気も狂うだろう」



武道家「何百、何千」スッ

武道家「何万、何億匹来ようとも……」


武道家「燃やし尽くすだけだよっ!!」

武道家「この、鳳凰の羽ばたきで!!」ゴゴゴゴゴッ



戦士「やべっ、武道家の後ろへ下がるぞ商人!!」タッ

商人「了解」タッ


さまよう鎧「オラーッ!!」ダッ

キラー鎧「やれっ、死霊軍団よ!!」バッ



武道家「……」スゥッ

武道家「ハァッ!!」カッ



武道家「鳳翼……」

武道家「天ッ、翔ォッ!!!」バッ




 ドゴォォォォォォォォオ!!!




デス鴉「カァッーー!!」ボォォウ

ゾンビ犬「ワオォォォウ!!」ボォォウ

腐った死体「アー……」ボォォウ



 パラパラッ

武道家「……」

武道家「ふっ」ニヤリ



さまよう鎧「ば、バカなっ!?」ガタッ

キラー鎧「死霊軍団が一瞬で燃え尽きただとっ!?」ガタッ



戦士「ひゅーっ、やるじゃん♪」

商人(武道家……以前とは、比べ物にならないぐらい強くなった)



商人(でも……)

商人(あの時のプレッシャーに比べたら、まだまだ足りない)



さまよう鎧「くそっ、こうなったら……」ジャキン

キラー鎧「我らの超絶コンビネーションを喰らえっ!!」ジャキン


さまよう鎧「死死損損地獄殺法究極最終最大最強悶絶猛烈秘滅奥義ッ!!」バッ

キラー鎧「断固断裂断崖断翔激昂烈風斬!!」バッ



武道家「笑止だよ」

武道家「何度でも、倒してあげるっ!!」スッ


武道家「鳳翼……」

武道家「天ッ、翔ォッ!!!」バッ




 ドゴォォォォォォォォオ!!!




さまよう鎧「ッ!? うぎゃあぁぁぁぁぁっ!!?」ボォォウ

キラー鎧「このキラーがっ、このキラー鎧がァッ!!?」ボォォウ



 パラパラッ

武道家「……」

武道家「さっ、行こう二人共っ!!」ダッ


商人「……」コクリ

戦士「おっしゃ!!」ダッ




 ヘルブラザーズ撃破!!

 異空間の塔 内部へ!!




  異空間の塔 一階



戦士「オラァッ、次の敵さん出て来やがれ!!」ザッ

武道家「悪いけど、すぐに通らせてもらうよっ!!」



 ザッ

独眼鉄「ほぉ、あんな門兵を倒したぐれぇで、随分と調子に乗るじゃねぇか!!」

ディーノ「我々を倒す? 私はその手の冗談を好まない」ザッ



商人「……」

商人「冗談なんかじゃない」


ディーノ「ほぉ……ならば受けられますか?」

ディーノ「驚羅大四凶殺をっ!!!」ドンッ



商人「ッ!!?」ビクッ

商人「驚羅、大四、凶殺……」




ピカチュウ「おいおいディーノ? たかが人間が、驚羅大四凶殺を受ける訳ないでチュウ」ザッ

フシギダネ「フフッ……早く血を吸いたいと、俺のツルの鞭が哭いているダネ」ザッ


独眼鉄「おおっ、来たか、ピカチュウ、フシギダネ!!」

ディーノ「で……どうするのです? そちらさん方?」



武道家「くっ……」グッ

戦士「上等じゃねぇか!! 受けるぜ、驚羅大四凶殺をよぉ!!」



ディーノ「……」ニヤリ

独眼鉄「フフッ、久し振りに楽しめそうだぜ」ニヤリ



ピカチュウ「では、これより驚羅大四凶殺を執り行うチュウ!!」バッ

フシギダネ「この階のフロアをチェンジするダネ!! お前らは入り口まで下がるダネ!!」カチッ



戦士「あん? なんだぁ?」

武道家「戦士、早く下がろう!!」タッ



戦士「ちっ」タッ

商人「……」タッ



 ゴゴゴゴゴゴゴッ!!



武道家「これっ!?」

戦士「なんだっ、床が割れて……下から何かが競り上がって来る!?」ビクッ


独眼鉄「驚羅大四凶殺とは、ランダムで現れる死を賭けた闘技場……」

ディーノ「そこで一対一の試合を行い、勝敗を決める由緒正しき決闘方法」



ピカチュウ「第一のフィールドは……」

フシギダネ「血の池地獄ダネッ!!」



 ボコボコッ、ボコボコッ!!



戦士「っ……」タラァッ

武道家「ウソ、でしょ……」


独眼鉄「ほぉ、最初からコイツが出るとはな」ニヤリ

ディーノ「血の池地獄は、五メートル×五メートルの極狭い足場で両者が戦い、そこから落ちれば数千度のマグマへ真っ逆さまと言う無慈悲なフィールド!!」



ピカチュウ「よし、最初は俺が行くチュウ!!」

ディーノ「お待ちなさい」ポンッ


ピカチュウ「男爵ディーノ!?」クルッ

ディーノ「物事には、順序と言うものが有ります……」


ディーノ「最初はッ!!」バッ

ディーノ「このディーノがお相手しましょう!!」スタッ



ディーノ「それで、そちらは誰が出てくるのですか?」

戦士「くっ……」グッ


武道家「……」

商人「……」



戦士「オレが受けるっつったんだ!!」バッ

戦士「最初はオレが相手してやるぜっ!!」スタッ



商人「……」

商人「ディーノ」


商人「……」

商人「あ、思い出した」ピコーン


武道家「えっ、なに?」

商人「ディーノと言えば、その余りにも無慈悲な戦い方から、地獄の魔術師(ヘルズマジシャン)と呼ばれた奴……」



武道家「無慈悲……」ブルッ

武道家「ヘルズマジシャン!?」


武道家「そんなっ」

武道家「じゃあ、戦士はっ!!?」



戦士「……」スッ

ディーノ「……」スッ



戦士「先手必勝!!」

戦士「イオラッ!!」バッ


ディーノ「ククッ……」ニヤリ

ディーノ「地獄の帽子(ヘルズハット)!!」キュィィン



戦士「っ!!?」ビクッ

戦士「オレの魔法が、奴のシルクハットに吸い込まれた!?」



ディーノ「そしてっ!!」バッ

ディーノ「地獄のトランプ(ヘルズカッター)!!」ブォン


商人「危ないっ!!」

武道家「避けて戦士ぃぃっ!!」



戦士「ぐぅっ、早っ……」

戦士「ぐあああああああああ!!?」ズバァァッ




戦士「武道家、商人……」フラフラッ

戦士「すま、ねぇっ」ガラッ



 ボチャン!!

ディーノ「マグマの中へ落ちましたか……」

武道家「戦士ぃぃぃぃぃっ!!!」



フシギダネ「……」

フシギダネ「死亡確認ッ!!!」カッ



商人「っ……」ワナワナ

商人「許せないっ!!」バッ



商人「男爵ディーノ、覚悟!!」スタッ

ディーノ「……」


ディーノ「フィールドを変える前に、新たな者が来るのはルール違反」

ディーノ「ルール違反には……」スッ



ディーノ「死、有るのみ!!」

ディーノ「地獄のトランプ(ヘルズカッター)!!」ブォン


商人「くっ」ビクッ

商人「あ゙あ゙ああああああああ!!?」ズバァァッ



商人「……」

商人「武道家……」フラフラッ



武道家「商人?」

商人「ごめん、なさい……」ガラッ



 ボチャン!!

武道家「商人ぃぃぃぃぃん!!!」

ディーノ「他愛ないですねぇ」ニヤリ



フシギダネ「……」

フシギダネ「死亡確認ッッ!!!」キリッ



ピカチュウ「これで、後はお前だけでチュウ!!」ニヤリ

独眼鉄「夢なら覚めて欲しいと願っているんじゃないか?」ニヤリ



武道家「……」ギリッ

ディーノ「しかし残念ながら、これは夢では有りませんよ?」ニヤリ



武道家「そうだね」

武道家「これは、夢じゃない……」



武道家「……」タッ

武道家「……」タッ タッ


ディーノ「……」

ディーノ「それ以上進むと、貴女もマグマに落ちますよ?」


武道家「……」

武道家「……」タッ



ディーノ「ッ!!?」ビクッ

ディーノ「お、落ちない!? 空中を歩いている!?」


独眼鉄「なんだ、俺は夢を見ているのか!?」

ピカチュウ「信じられんでピカァ!!」



武道家「……」タッ

武道家「……」ザッ




武道家「ここまで……」

武道家「お前たちが見ていたものは、幻に過ぎない」ニヤリ


独眼鉄「幻だとぉッ!? 仲間をヤラれて頭が可笑しくなったか!?」

ディーノ「ククッ……貴女は、この魔術師の私に、トリックで勝負を挑むと言うのかね!?」



武道家「そして……」

武道家「次に見るのが、現実だっ!!」スッ



武道家「鳳凰の鍵爪……」

武道家「フェニックス、幻魔拳ッ!!!」グニャァッ



ディーノ「ッ!?」

ディーノ「……」


ディーノ「んっ?」

ディーノ「な、なんだ、何でも無いじゃ……はうっ!?」ビクッ



商人「……」

戦士「ようっ」ニヤリ

面白いのにコメがすくないな

>>413
書いてる方も、25以上じゃないと、殆どネタ分かんないだろぉなーと思いながら書いてるよ



ディーノ「馬鹿なァッ!?」

ディーノ「お前たちは、この私が倒したはず……マグマに落ちたはずだぁっ!!」ガタッ


武道家「それも幻覚だよ」

武道家「ボクは、出会った瞬間に幻魔拳を放っていたからね」ニコリ



ピカチュウ「ぐぅっ……ならっ、改めてブッ殺すだけでチュウ!! 電光石火ッ、多重影分身ンンンン!!!」バッ

フシギダネ「イヤアアアアアアアア!! 棘殺怒流鞭ッ、華厳裂斬肢ィィィッ!!!」バッ



武道家「……」スッ

武道家「鳳翼、天ッ、翔ォッ!!!」バッ




 ドゴォォォォォォォォオ!!!




ピカチュウ「サトシィィィィィィッ!!!」ボォォウ

フシギダネ「ダネェェェェェェッ!!!」ボォォウ



 パラパラッ

武道家「ここ……」

武道家「通ってもいいかな?」


ディーノ「うぐっ!?」

独眼鉄「ど、どうするディーノ?」チラッ


ディーノ「仕方ありません……先に進みなさい」

ディーノ「ですが、次の階で待ち受ける『あのお方』と戦うなら、文字通り地獄を見る事になりますよっ?」ニヤリ



商人「……」

商人「じゃ、行く」タッ


戦士「へっ」

戦士「望むところだぜ!!」タッ




 残虐ポケモン
  ピカチュウ&フシギダネ 撃破!!


 異空間の塔 二階へ!!




  異空間の塔 二階




バラモス腐「グオオオオオオオオッ!!」ブォン

焔「くっ……まさか屍だったバラモスが、ゾンビ化して甦るなんて!!」


焔「暴れるのをヤメなさいバラモスゾンビ!! 貴方はもう死んでるの、動いちゃイケないのよ!!」バッ

バラモス腐「ユウシャアアアアアアア!!!」ブォン




戦士「おいおい……」ザッ

武道家「もう誰か戦ってるね?」



商人「女の子、と化け物……」

商人「どっちを手伝うの? それとも、無視して先に行く?」


武道家「もちろん、手伝うよっ」ニコリ

戦士「そして、加勢する時の鉄則は押されてれる方を助ける事!!」ニコリ



商人「つまり……」

商人「女の子を、手伝う」



戦士「お~~い」フリフリ

武道家「ボク達も手伝う~っ?」フリフリ


焔「えっ!?」クルッ

焔「無理よ、コイツは太古の勇者への怨みに取り付かれた屍……物理も魔法も効かないわ!!」タッ


武道家「ふぅん……」

武道家「でも、アンデッドでしょ? 炎は、効くんじゃないかな?」スッ



ほむら「何をっ!?」

武道家「鳳翼、天ッ、翔ォッ!!!」バッ




 ドゴォォォォォォォォオ!!!




 パラパラッ

武道家「……」

武道家「ほらっ、やっぱり効い……」



バラモス腐「ユウシャアアアアアアア!!!」ドシンッ ドシンッ

武道家「あれっ、効いてない……」




バラモス腐「ユルサナァァァァァァイ!!!」ブォン

焔「炎が効くなら、とっくに火炎放射器で対処してるわよっ!!」サッ


戦士「っと、危ねっ!!」タッ

武道家「もう、面倒だなぁ!!」タッ



焔「効くのは聖なる力……それ以外では、例えダメージを与えても再生してしまう!!」スタッ

商人「……」



戦士「倒せるのは聖なる力……って、伝説の聖剣とかか?」

武道家「もしくは勇者……ししょーだね」



商人「……」

商人「ふぅっ」


商人「仕方ない」

商人「ここは、私の出番」ザッ



商人「戦士、武道家、女の人……」

商人「邪魔だから後ろに下がってて、私がやる!!」


戦士「邪魔って……オメェなぁ」

武道家「はいはい、商人の後ろに下がるよ戦士」タッ



バラモス腐「ユウシャアアアアアアア!!!」ドシンッ ドシンッ

焔「っ……それじゃあ、頼むわ」タッ



商人「……」スッ

商人「変身。アバンライド」ジャコッ



 ライドゥ ダダダダダダダイ


商人「……」ピカァァッ

戦士「おわっ!? なんだぁ!?」ビクッ



商人「……」シュゥゥッ

武道家「っ!? 商人が変わっ……てない」


戦士「おいおい、何に変身したっつーんだよオメェは?」

焔「いえ、額に紋章のようなものが浮かび上がってるわ」



商人「光の闘気と、竜闘気……その両方を合わせ持つ」

商人「異世界の勇者の力!!」カッ



幼女「……」

幼女「もう」


幼女「いい」

幼女「かなぁ」


幼女「残りふたつ、一気に入れちゃうね?」ヂュブッ

女「あっ、あっ……」クテン

>>430は無しで。
投下する方を間違えたん……




バラモス腐「グオオオオオオオオッ!!!」ドシンッ

商人「今の私なら、バラモスゾンビでも浄化できる」



商人「戦士、貴女の剣を貸して」

戦士「あ? 鋼鉄の剣でいいんなら……ほらよっ」ポイッ


商人「充分。ありがと」ガシッ

商人「これでまずは、外壁を剥がす!!」



商人「……」ジャキッ

バラモス腐「グルルゥッ……」


商人「……」

バラモス腐「……」



商人「アバン流刀殺法、奥義……」ダッ

バラモス腐「グオオオオオオオオッ!!!」ブォン



商人「アバン、ストラッシュ!!」ズバァッ

バラモス腐「ッッ!!?」ビクッ


バラモス腐「コレハ、ユウシャ……」

バラモス腐「ユウシャアアアアアアア!!?」ザシュゥゥッ



バラモス腐「ア゙ア゙アアアアアアア!!!」ドサァッ

焔「っ!? まさかっ……」


武道家「アイツが倒れたよっ」

戦士「すげぇ……胸の所の、腐ってる肉と骨が砕け落ちてんな」



商人「……」スタッ

商人「まだっ!! 今のは、まとっていた闇の衣を破壊したに過ぎない」


武道家「闇の衣?」

焔「……」



商人「だから」スッ

商人「この技で、トドメを刺す!!」ゴゴゴゴゴッ



商人「左手に宿す光の闘気と」

商人「右手に宿す竜闘気をあわせて放つ、必殺技」キュイィィン



商人「冥道をさ迷う朽ちた魔王よ……渇かず、飢えず、無に還れ」

商人「ドルオーラッ!!!」バッ




 ドゴォォォォォォォッ!!!




バラモス腐「ユウ、シャ」ズルズル

バラモス腐「コレデ、ユケル……」



焔「……」

商人「……」



バラモス「永遠の敵、勇者よ……死の世界から、無理やり蘇生されたワシを助けてくれて、ありがとう」ニコリ

バラモス「殺してくれて、ありがとう……やっと、静かに眠れる」サラサラサラッ



武道家「……」

戦士「化け物が、消えた……」



商人「やっぱり」

商人「これでハッキリした」


戦士「は?」

武道家「ハッキリしたって、何が?」


商人「下の階の奴らが言ってた『あのお方』は、倒したバラモスじゃない……」

商人「つまり」



商人「……」チラッ

焔「っ……」ビクッ


焔「ち、ちょっと待って貰えないかしら!?」アタフタ

焔「私は別にそんなのじゃ……」



焔「そんなの」

焔「そん、な」


焔「……」

焔「フッ」ニヤリ



焔「そんなのっ」

焔「今更よね……」


焔「私は、悟りの焔」

焔「この階の番人をしているわ」



戦士「さとりのほむら、だぁ?」

商人「なぜ、死者を生き返したの?」



焔「……」

焔「実験よ。反魂の術のね」


焔「でもまさか、ゾンビとして甦るなんて思わなかった」

焔「ついでに言うと、貴女達が来なければ、私はバラモスゾンビに殺られていたわ」


焔「だから感謝してるのよ?」

焔「これでもね」ニコリ



商人「信じられない」

焔「……」


戦士「……」

武道家「……」



焔「ワン、セコンド」ジャコッ

武道家「えっ!? な、なんでボクに銃を向けるの?」ビクッ



焔「だって貴女、私を掴まえて動きを封じようとするつもりだったでしょ?」

武道家「っ!?」ビクッ


武道家「なんで……」

武道家「わかったの?」



焔「私は悟り。悟りの焔」

焔「未来を知る力を持っているわ……」



焔「ワンセコンドなら、一秒先の未来……」

焔「まぁ、こうやって相手の攻撃を避けたり、武器を構えて牽制したりするのが精一杯だけど」



戦士「……」

焔「ツー、セコンド」バキューン


戦士「おわっ!?」サッ

戦士「何すんだよ、あぶねぇだろうが!!」



焔「大丈夫よ。今のは外して撃ったから」

焔「それに撃たなかったら、貴女……私の手から銃を叩き落とそうとしたんじゃない?」


戦士「っ!?」ビクッ

戦士「やっぱ、ウソじゃないのかよ……」


焔「今のは、二秒先を見るツーセコンド」

焔「二秒なら、牽制じゃない。攻撃、できるわ……今回は外したけれどね」



商人「……」

焔「……」


焔「これが、私の力」

焔「私の力をバラしたのだから、少しは信用してくれるかしら?」


商人「信じられない」

焔「……」



焔「ふぅっ……」

焔「なら、こうしましょう」パチン


商人「どうしましょう?」

焔「このまま、先へ通らせてあげるわ」ニコリ


商人「先へ?」

焔「ええ、一つ、条件は付けるけれど」



商人「……」

焔「簡単な事よ……」


焔「デビル将軍は、私に殺させて欲しい」

商人「続けて」


焔「どうやら、悪魔には悪魔の攻撃が効きづらいみたいでね……相性悪いのよアイツとは」

焔「だから、ギリギリまで弱らせた後は、トドメだけ私にくれないかしら?」



戦士「……」

戦士「お前は、デビル将軍の仲間じゃないのかよ?」


焔「そうね」

焔「スパイ、獅子身中の虫、裏切り、叛逆者……何とでも言ってちょうだい」



焔「とにかく、デビル将軍のトドメだけは私が……」

商人「信じられない」



焔「……」

商人「信じられない」


焔「貴女……」キッ

商人「……」



戦士「つーかよぉ? アンタの話……裏が有りそうだし、こっちには大してメリットもねぇよな?」

戦士「ぜ~んぶ突っぱねて、ここでテメェをブッ倒して先へ進んでも良いんだぜ?」



焔「……」

焔「バカね」


戦士「バ、バカじゃねーし!!」

戦士「バカって、言った方がバカなんだよっ!!」



焔「何の為に、さっき私が悟りの力を見せたと思っているのかしら?」

戦士「あ?」



焔「悟りの力が有ると言っても」

焔「恐らく身体能力は貴女達より低いし、ましてや三対一。私が負けるわ……」


商人「……」

戦士「へっ、わかってんじゃねぇか♪」


焔「それでも、悟りの力が有るのよ」

焔「負けるとしても、それは貴女達全員に対するフォローが間に合わないからで、誰か一人なら道連れにできる!!」



武道家「たかが一円、されど一円って事?」

焔「……」チラッ



焔「断言するわ……」ニヤリ

焔「ここで私と戦うのなら、誰か一人は必ず死を迎える事になる」



商人「そう……」

戦士「ちっ」



焔「さぁ、聞かせてもらいましょうか?」

焔「お利口さんなのか、それともお馬鹿さんなのかをね」



戦士「……」チラッ

武道家「……」チラッ


商人「……」

商人「任せる」



焔「決まったかしら?」

武道家「うん」コクリ


戦士「へへっ……」

戦士「オレはバカだからさ?」



戦士「やっぱ」

戦士「お前をブッ飛ばす事にするわ」ニコリ



焔「……」

焔「はっ?」


焔「ウソ……」

焔「嘘よっ!!」ガクッ



戦士「嘘だと思うんなら、悟りの力ってので見てみろよ」

戦士「得意なんだろ? 覗きが……」



焔「戦えば、仲間の誰かが死ぬのよ!?」

焔「それでも戦うと言うの貴女は!!」



武道家「……」

商人「……」


戦士「お前さ……」

戦士「表情が弛すぎだぜ?」



焔「っ……」キッ

戦士「確かに、道連れには出来るのかも知んねぇけどよ……」


戦士「道連れって事は、お前も命を賭けてんだろ? お前も死ぬんだろ? それぐらいギリギリの行動なんだろ?」

戦士「それなのに何で、余裕タップリに笑えてたんだよオメェは?」



焔「……」

戦士「道連れは脅しで、本当は初めから戦う気なんて有りませんでした……って、バレバレだぜ?」



武道家「まだやらなきゃイケない事が有る……」

武道家「それなのに、命なんて捨てれないよねっ?」ニコリ


商人「こうなったら、貴女の取る行動は一つ」

商人「尻尾を巻いて……」スッ




焔「ぐっ……」ギリッ

焔「必ず、後悔するわよ?」



焔「持ってて良かった、煙だまってね!!」スッ

焔「スモークボール!!」パァン



 モクモクモクッ

商人「っ!?」

戦士「うわっぷ!!」


武道家「うぅっ……げほっ、こほっ!!」

武道家「目に染みるよコレぇ!?」



商人「……」キョロキョロ

商人「逃げられた」


戦士「そっか」

武道家「じゃあ、しょーがないね」ゴシゴシ



商人「……」

商人「どうして、戦う方を選んだの?」



戦士「あん?」

武道家「だって、ねぇ?」チラッ


戦士「ああっ」コクリ

戦士「だって商人、アイツの事を、信じられない……って何回も言ったろ?」



武道家「だからだよっ」ニコリ

商人「……」



商人「……」

商人「そう」ボソッ


武道家「あははっ……アバロンの家系は、どうやら次男以外は戦いしか得意じゃないみたいでさぁ~っ」

戦士「はっはっはっ。頭で考えるより手が出るタイプだしな!!」




戦士「そんなオレらよりは、商人の方が色々と考えて……正しい判断してくれんだろ?」ニコリ

武道家「だから、戦士と話して決めたんだ……ししょーが見付かるまで、迷った時は商人に従おうって!!」ニコリ



商人「……」

商人「そう」ボソッ


武道家「……」ワクワク

戦士「で?」ワクワク


商人「で?」

戦士「どんな理由で、アイツに信じられないって言ったんだ?」



商人「……」

商人「知りたい?」


戦士「おうっ!!」

武道家「知りたい!!」



商人「……」

商人「どうしても?」


戦士「おうおうっ!!」

武道家「はっ、やっ、くっ!!」



商人「駄目」

商人「早く先へ進む」ダッ


戦士「おいぃっ!!」ダッ

武道家「ちょ、ちょっと待ってよぉっ!!」ダッ




 死霊
  バラモスゾンビ 撃破!!

 謎の少女
   悟りの焔 撃退!!


 異次元の塔 三階へ




  異次元の塔 三階




忍者「ほぉ……」

忍者「ではオヌシ達は、拙者らを裏切ると申すのでごさるな?」


いっかく兎「うるせぇ!! デビル将軍の下で働くなんて、もううんざりなんだよ!!」ピョンピョン

おおガラス「ずっと研究室に閉じ込めやがって……俺たちは誰にも束縛されない。大自然に帰るんだ!!」バッサバッサ



阿修羅「……」

阿修羅「では、帰らせてやろう」



いっかく兎「なにっ!?」ピョーン

おおガラス「ほ、ほんとうカァー!?」バサバサッ


阿修羅「うむ……」チラッ

忍者「本当でござる」コクリ



阿修羅「人呼んで、金剛六臂の阿修羅!!」スッ

忍者「同じく。人呼んで、百綜手の忍者!!」スッ


阿修羅「この場で、貴様ら裏切り者の息の根を止め」ニヤリ

忍者「肥料にして、大自然へバラ蒔いてやるでござる」ニヤリ



いっかく兎「ふざけやがってぇ!!」プルプル

おおガラス「いっかく!! ここはフュージョンするカァ!!」バッサバッサ


いっかく兎「よし来た!! フュー……」

おおガラス「ジョン!! カァー!!!」ピカァァッ



阿修羅「……」

忍者「……」



動く石像「ふっ……」スタッ

動く石像「動く石像……爆、誕ッ!!」ゴゴゴゴゴッ



動く石像「阿修羅、まずはお前だ!!」ダッ

動く石像「ヌンッ!!」ガシィッ


阿修羅「むっ!?」

動く石像「そぉぉりゃああ!!」ブォン



忍者「なんとっ」

忍者「重量300kは有る阿修羅を、軽々と上空へ放り投げるとは……」




動く石像「これでっ……」ダンッ

動く石像「トドメだァッ!!」ガシィッ


阿修羅「おおっ……」

忍者「空中で掴んだ、あの体勢は!!」



動く石像「必殺!!」カッ

動く石像「石像バスター!!!」ゴォッ



阿修羅「……」

阿修羅「甘いわぁっ!!」バッ


動く石像「何ぃッ!!?」グラァッ

阿修羅「ガハハハハハハッ!!」グルン



忍者「技を解き、逆に掴み返したでござるか」

忍者「そしてアレは正しく……数字の9を6に返すが如しの!!」



阿修羅「リベンジ!!」ゴォッ

阿修羅「阿修羅バスター!!!」ドゴォォン



動く石像「ぐええええええッ!!?」メキメキメキッ

阿修羅「フンッ……」ブォン



動く石像「うぅっ……」ドサァッ

動く石像「フュージョンしても、勝てぬ、とは……」ガクッ



阿修羅「さて、ゴミを片付けるか」

忍者「うむ。そうでござるな」


忍者「……」

忍者「いや、待て阿修羅!!」


阿修羅「あ? どうした忍者?」

忍者「ここへ、上って来る足音がするでござるよ……」




 タッタッタッ

商人「着いた」ザッ

戦士「なんで螺旋階段なんだよ!? 無駄に疲れる構造しやがって!!」ザッ



阿修羅「むっ……」

忍者「焔では、ない?」



武道家「貴方達が次の相手?」ザッ

武道家「ちゃっちゃと倒しちゃうよ~っ♪」



阿修羅「侵入者……」

忍者「ここまで来たでござるか」


阿修羅「だがっ!!」スッ

忍者「我らを倒すとは、笑えん冗談でござる!!」スッ



武道家「倒してみせるよ……」スッ

武道家「この、鳳凰の羽ばたきで!!」ゴゴゴゴゴッ



忍者「……」

忍者「鳳凰の羽ばたき? まるで微風(そよかぜ)でござるな」ニヤリ


武道家「……」

武道家「戦士、商人、コイツはボクが戦うよ?」


戦士「ああ、好きにしなっ」

商人「どうぞどうぞ」



武道家「炎のぉっ……」ググッ

武道家「矢ァァァァッ!!」バッ



 ボォォォッ

忍者「ふっ、どこを狙っている?」

忍者「ただ床を焦がしただけでござるよ?」


武道家「……」

武道家「そうだよ……ボクとお前の真ん中の位置、そこを焦がしただけ」



武道家「そしてソコが」

武道家「デッドラインだ!!」


忍者「……」

忍者「なに?」


武道家「鳳凰の炎は、近付けば近付くほど、爆発的にその激しさを増す……」

武道家「つまり、そこを越えてボクの技を受けたなら、一撃だよ?」ニヤリ



忍者「……」

忍者「面白い、では近付いてやるでござるよ」ニヤリ


忍者「どぉれ……」タッ タッ

忍者「……」タッ タッ


忍者「デッドラインとやらを踏み越えたぞ?」ザッ

忍者「さぁ……その、一撃とやらの技を見せてみるでござる!!」



武道家「……」

武道家「行くよっ!!」ダッ


武道家「ハァッ!!」シュッ

忍者「っ!?」ドスッ



忍者「……」

忍者「何でござるか、その貧弱な拳は?」ニヤリ


武道家「えっ!? 効いてない!?」ビクッ

忍者「痛くも痒くも無いでござる!!」



忍者「パンチとは……」グッ

忍者「こう打つんでござるよぉっ!!」シュッ


武道家「ッ!!?」ドスッ

武道家「ぐっ、うあっ……」メキメキメキッ



武道家「があ゙ああああああああ!!!」ズサァァッ

武道家「うぅっ……」ドサァッ



商人「武道家!!?」

戦士「ちょっ、しっかりしろオイ!!!」



武道家「……」グッ

武道家「まだ、だいじょーぶ……」フラフラ


忍者「ほぉ、立ち上がったでござるか?」

忍者「しかし、これでジエンドでござるっ!!」ジャキッ



戦士「アイツ!? 無数の刃物を!!」ビクッ

忍者「曼陀羅忍術秘技……」



忍者「貫殺、飛苦無ッ!!」バッ

忍者「デヤァァァァァァッ!!!」ブォン


武道家「ッ!!?」ビクッ

武道家「ダメっ、避け切れな……」



武道家「かひゅっ!!?」ドスドスドスッ

武道家「……」



武道家「あ……」フラフラ

武道家「……」ドサァッ


忍者「……」

忍者「ふっ、他愛ない」ニヤリ



忍者「では、拙者が不死鳥を火葬してやろう……」スゥゥッ

忍者「燃え尽きよ!! 焦熱地獄の術!!」ゴォォッ



武道家「……」

武道家「……」ボォォウ



戦士「あ、ああっ……」ガクン

商人「っ……」ポロポロ



忍者「くくっ……」ニヤリ

忍者「残りは二人。どちらから死にたい?」


忍者「……」

忍者「いやはや、そうでござった!!」ペシッ


忍者「阿修羅の分も、残さないと駄目でござるな……」

忍者「なぁ、阿修羅? 残り二人、どっちとたたかいたいでござるか?」クルッ



阿修羅「……」

忍者「阿修羅?」


阿修羅「……」

阿修羅「忍者よ」



忍者「どうしたでござるか?」

阿修羅「お前は……」



阿修羅「さっきから、誰と戦っているッ!!?」カッ

忍者「はっ?」



忍者「ははっ、どうしたでござるか阿修羅?」

忍者「誰とって、そこで倒れている……」スッ



武道家「……」

武道家「……」グッ



武道家「フフッ、アハハッ……」フラフラッ

武道家「アァッハッハッハッ!!!」ザッ



忍者「ッッ!!?」ビクッ

忍者「貴様はっ、貴様は死んだ筈でござる!! なぜ立ち上がれるでござるかッ!?」



武道家「不死鳥は、何度でも甦る」ニヤリ

忍者「っ……」ギリッ


武道家「でも、今回はそれ以前の問題だよ……」

武道家「言ったでしょ? デッドラインを越えたら、一撃だって?」



忍者「……」

忍者「はっ!? まさか、あの貧弱な拳が!!?」



武道家「そう……ここまで見ていたものは、幻に過ぎない」

武道家「そして次に見るのが、現実だっ!!」スッ



武道家「誰が燃え尽き、誰が倒れているのか、知れ」

武道家「フェニックス、幻魔拳ッ!!!」グニャァッ




忍者「ぐうぅっ……」フラフラ

忍者「……」



忍者「……」

忍者「なるほど」ニヤリ



忍者「燃え尽きていたのは……」ボォォウ

忍者「拙者で、ござった、か」ドサァッ




阿修羅「ッ!?」

阿修羅「忍者ァァァァァッ!!」



阿修羅「くっ、おのれぇぇっ!!!」ギリッ

阿修羅「しかし、俺は体の80%をサイボーグにしている……」


阿修羅「この俺に、幻覚は通用せんぞ?」スッ

武道家「……」スッ



商人「……」

商人「待って武道家、貴女では相性が悪い」ポンッ



商人「私が代わる」

武道家「ボク、まだやれるよ?」


商人「……」

武道家「……」



商人「貴女はここに着いてから、考えなしに技を使い過ぎた」

商人「疲労が目に見える、少し休んでて」



武道家「……」

商人「……」


武道家「そっ、か……」フニャ

武道家「うん。じゃあ疲れたから、商人にお願いしていい?」


商人「……」

商人「任せて」ニコリ



武道家「戦士ぃ~っ」トテテッ

戦士「ん、どしたん?」


武道家「えへへぇっ、疲れたからオンブしてぇ♪」ギュゥゥッ

戦士「おわっ!? なんだなんだ、おい? なに甘ったれになってんだよ?」



武道家「お、ん、ぶっ!! オ、ン、ブっ!!」ペチペチ

戦士「あーっ!! うっせぇし、ウゼェなぁ……わぁったよ妹様、おぶってやっから一回離れろ」



商人「……」チラッ

商人「ふふっ……」ニコリ



阿修羅「それで」

阿修羅「この阿修羅と戦うのは、貴様で良いのか?」


商人「そう」コクリ

商人「時間も勿体無いので、すぐに片付ける」スッ



阿修羅「片付ける? 片付けると言ったのか? 金剛六臂と呼ばれる、この阿修羅を!!」

商人「……」コクリ


商人「ハッキリ、そう言った」ニヤリ

商人「変身。紫電ライド」ジャコッ




 ライドゥ シシシシシシシデンショウ




商人「……」ピカァァッ

阿修羅「ぬうっ!?」



商人「……」シュゥゥッ

戦士「おっ、今度は黒いコートを着てるぜ!!」


阿修羅「それが」

阿修羅「変身したから、どうだと言うんだ?」



商人「……」

商人「貴方のようなのと戦う為、対サイボーグに特化した……人呼んで、紫電掌!!」スッ



商人「命が惜しければ……」

商人「この両手に触れない方がいい」バチッバチッ



阿修羅「たわけが」

阿修羅「……」



阿修羅「カアァァッ!!」ダッ

商人「シィッ!!」ダッ



阿修羅「生物を超越した、この拳のスピードを見よ!!」グッ

阿修羅「仁王金剛連拳ッ!! どりゃああぁぁぁぁアア!!!」ドドドドドドドッ



商人「……」

商人「いち」パシッ


商人「にの」パシッ

商人「さん!!」ガシィッ



商人「掴まえた……」ニヤリ

阿修羅「コイツ!? 俺の腕をッ!!?」ビクッ



商人「必殺」

商人「紫電掌ッ!!!」バチバチィィッ



阿修羅「ぐお゙オオオオオオオ!!!」ビリビリビリッ

阿修羅「グッ……」プスプス



阿修羅「……」

阿修羅「なんと、いう……」ドサァッ



商人「……」シュゥゥッ

商人「ふぅ。少し、疲れた」フラッ


戦士「……」

戦士「スゲェな商人、もしかして……師匠より強いんじゃね?」


商人「……」チラッ

商人「かも、知れない」



商人「けど」

商人「その可能性は、限り無く低い」


武道家「すぅー、すぅー。むにゃむにゃ……」コックリコックリ

戦士「あ? どうして、そう思うんだよ?」



商人「私は……」

商人「以前、勇者の兄と対峙した事がある」グッ



戦士「……」

戦士「ああ……」グッ


商人「とてもじゃないけど、勝てる気がしなかった」

商人「私一人だったら、靴を舐めて命乞いしてでも逃げようとしてた」



商人「……」

商人「そんな奴と、師匠は恐らく互角」



商人「だと思う。だから、可能性は低い」

戦士「そっ、か……」


戦士「まっ、考えても仕方ねぇ。先へ進もうぜ!!」

商人「……」コクリ





 デビル超人
  忍者&阿修羅 撃破!!



 異次元の塔 四階へ!!




  異次元の塔 四階



デビル「……」

デビル「阿修羅もやられたか」


デビル「どうやら……」

デビル「このデビル将軍が、久し振りに本気を出せる相手のようだな」ニヤリ




 タッタッタッ

商人「……」ザッ

戦士「おらぁッ、到着だこのヤロー!!」ザッ



デビル「フッフッフッ……ここまで来た事は褒めてやろう」

デビル「しかし、『小宇宙強度(コスモきょうど)』が1500万パワーのこのデビル将軍に勝つ事は、誰で在ろうと絶対に不可能なのだ!!!」



商人「……」

戦士「商人」


戦士「武道家を頼む」パッ

武道家「わぎゃっ!?」ドサッ



武道家「うぅっ……商人おんぶしてぇ」

商人「眠いの? 背負えないから、膝枕でいい?」


武道家「それでいーから、お願いぃ……」ズルズル

商人「……」


商人「それじゃ」スッ

商人「私の膝に、頭を乗せて」ポンポンッ



戦士「ふっ」ニコリ

戦士「……」


戦士「……」チラッ

戦士「さて、ヤるかい?」



デビル「フフッ」ピピッ

デビル「貴様の小宇宙強度は97万か……話にならんな」ピーッピーッ




武道家「すぅー、すぅーっ」

デビル「後ろで寝ているのが、500万パワー」ピーッピーッ


商人「……」ナデナデ

デビル「座っているのが……たったの60万パワー!?」ピーッピーッ



戦士「それが、どうしたよ?」

デビル「馬鹿め!! 全員で掛かって来ようとも、俺には勝てぬと言う事だ!!!」ニヤリ



戦士「ああ」E鋼鉄の剣

戦士「そうかい!!」ジャキン


デビル「そうだ」

デビル「デビルソード!!」ジャキン



戦士「……」ジリッ

デビル「……」



デビル「喰らえいッ!!」バッ

デビル「地獄のメリーゴーランド!!」ブォォン


戦士「ッ!?」

戦士「チィィィィッ!!」ガキィィン


デビル「フッフッフッ……」

デビル「どうにか防いだようだが、貴様とは何もかもが違う!! 時間の問題だ」ガキィッ



戦士「ぐぐっ……」

戦士「ハァッ!!」ブォン


デビル「フッ」バッ

デビル「これほどまでに弱き者か? 女と言う種別は特に」スタッ



戦士「てっ、めぇっ!!」キッ

戦士「女は関係ねぇだろ、女はッ!!」



デビル「その剣に彫られた家紋……どこかで見覚えが有ると思ったが、あの大国アバロンの王族だったか?」

戦士「ウルセェッ!!!」ブォン




デビル「知っているぞ? 戦うしか能の無い王のくせい、戦いで死んだらしいな?」ガキィィン

デビル「前王がそれでは、アバロンも長くは有るまい?」ニヤリ



デビル「貴様も死ねぃッ!! ショーグンクロー!!!」ガシィッ

戦士「……」



デビル「グハハハハハッ!!」ダンッ

デビル「地獄の超特急!!!」ブォン



戦士「がはァッ!!?」ドゴォォン

戦士「っ……」ドサァッ



デビル「……」

デビル「さて、次の相手は……」ザッ



戦士「……」

戦士「待てよ……」フラッ



デビル「ぬっ!? まだ生きていたか」

戦士「オレの何を馬鹿にされたっていい……だがなっ!!」キッ



戦士「オヤジの文句は」

戦士「オヤジの文句はぁァッ!!!」ザッ


戦士「オヤジの文句はッ」

戦士「オレに言えッッ!!!」ビシッ



デビル「……」

デビル「フッ、死に損ないが」


デビル「むっ?」ピピッ

デビル「何だとッ!!?」ピーッピーッ



戦士「……」

戦士「師父よ。この戦士、貴方との戒めを破る事を御許し下さい……」ゴゴゴゴゴッ



デビル(馬鹿なッ!? さっきまで100万パワーにさえ満たなかった奴が)ガタッ

デビル(一瞬にして2000万パワーを越えただとっ!!?)


戦士「デビル将軍……」

戦士「お前は、この戦士の逆鱗に触れたんだ!!」カッ



デビル「まさかコレは……」

デビル「ビッグバン!?」ジリッ



デビル「だとてっ、最早、引けん」

デビル「死ねぇぇぇぇぇい!!」バッ


戦士「この戦士が放つ、最大の奥義を受けろ!!」スッ

戦士「廬山ッ、昇ッ、龍ッ、覇ァァッ!!!」バッ




 ズドォォォォォォォッ!!!




デビル「ぐぅっ、やはりっ、ビッグ……」

デビル「グオオオオオオオオオ!!?」ドゴォォン




 パラパラパラッ

戦士「……」

デビル「……」



デビル「……」

デビル「ぐはぁぁっ!?」ボタボタッ



デビル「ぬぅぅ……」ガクンッ

戦士「もう、終わりだな」



デビル「……」

デビル「確かに、終わりだ……」


デビル「サービスタイムはな?」ザッ

戦士「はっ?」



デビル「もしかして貴様、このデビル将軍に勝てるとでも思ったか?」ニヤリ

戦士「っ……」ジリッ



武道家「ッ!?」パチッ

武道家「ボクも加勢するよ戦士!!」スタッ


商人「……」

商人「私も加勢する」スッ



戦士「ああ、悪りぃけど、頼むわ……」スッ

戦士(どうしてだ? それほど強いとも感じないのに、勝てる気がしねぇ……)



戦士(目で見る限りはボロボロなんだから、ダメージは与えてる筈だ)

戦士(きっと、何か秘密が……)




デビル「さて、しかしいやはや、ダメージを受け過ぎた。この体も限界だな」

デビル「次は……」スッ


戦士「……」

デビル「貴様の体を頂こう」ニヤリ



戦士「何を訳分かんねぇ事ヌかしてやがるっ!!」キッ

デビル「……」



デビル「俺は実体を持たない。体が古くなれば捨て」

商人「……」



デビル「他の者に憑依して乗っ取り、新たなデビル将軍となるのだ!!」

武道家「……」ギリッ



デビル「フッフッフッ……」

デビル「このデビル将軍の仮面を見よっ!!」ピカァァッ




戦士「ちぃっ」

戦士「ザッ、けんなぁぁぁっ!!」バッ


武道家「ハァッ!!」バッ

商人「続くっ!!」バッ



デビル「その体、貰った!!」バッ

デビル「ボディ、チェ……」




焔「この時を、待っていたわ!!」

焔「スリーセコンド!!!」バキュ-ン



デビル「何ッ!?」ピシッ

デビル「お、おお!?」ガクンッ



焔「……」スタッ

焔「……」チラッ



戦士「っと!?」ザッ

商人「焔……」



焔「デビル将軍は実体を持たない。それ故に倒す事は不可能」

焔「でも、この世に存在する為には体が必要なの」


焔「だから誰かの体を乗っ取り、寄生する……」

焔「寄生虫よコイツは!!」キッ



デビル「ぐっ……」

デビル「裏切るのか焔よ?」フラフラッ


焔「フッ」

焔「仮面にヒビが入ったくらいで、随分と弱気じゃないデビル将軍?」ニヤリ



デビル「……」

焔「コイツは実体を持たない。でも、本体は、有る」



武道家「そっか……」

武道家「本体は、あの仮面!!」


焔「そうよ」

焔「今の体がピンチに、もしくは古くなった時に、新たな体へ乗り移る……その瞬間」


焔「その瞬間にだけ、本体の仮面が現れる……どう? 私の推理は、外れてるかしらデビル将軍?」

デビル「く、ぐぅっ……おのれぇぇぇぇぇっ!!!」



武道家「よしっ!! じゃあ、あの仮面を叩き割っちゃうよ!!」バッ

焔「ッ!?」


焔「待ちなさい!!」バキューン

武道家「わっ!?」サッ



武道家「っと、危ないなぁ……何するんだよっ!!」スタッ

焔「それはこっちのセリフよ!! 私の努力を無駄にする気なの!?」



戦士「あん?」

商人「トドメ……」


戦士「ああ。そう言えばオメェ、トドメは時分が刺すとかなんとか」

武道家「あ、そうだったね」


焔「……」

焔「もう、ここまで来れば手助け不用。邪魔をするなら……殺すわよ?」キッ



戦士「……」

戦士「好きにしな」




焔「そっ」タッ

焔「じゃあ、デビル、将軍?」ニヤリ


デビル「ッ!?」ビクッ

デビル「ま、待てっ!! お前の望みはなんだ!? どうして配下になったりした!!?」

おやすみ



焔「……」

焔「はっ」


焔「決まってるじゃない?」タッ

焔「今、貴方が取り付いてるその体から、仮面をひっぺがす為よっ!!」



デビル「たったそれだけの為にか!?」

焔「たったそれだけ?」ピクッ



焔「そうね……」

焔「たったそれだけの為に、私は神だって殺してみせるわ」


デビル「……」

デビル「お前は、一体……何者なのだ?」


焔「何者?」

焔「ふふっ、それじゃあ……悪魔。そう呼んでちょうだい」



デビル「……」

焔「……」


焔「回復の時間稼ぎなんて無駄よ?」スッ

デビル「くっ……」ジリッ



焔「だから、いい加減……」ガシッ

デビル「ヤメろっ、ヤメろぉぉぉぉっ!!」



焔「その体から、消え失せなさいデビル将軍!!」バキンッ

商人「っ……」


戦士「仮面をっ!?」

武道家「剥ぎ、取っちゃった……」



焔「フフフフフフッ」

焔「ハハハハハハッ、ハァッハッハッハッハァッ!!!」



焔「はぁ~~あ♪」

焔「……」


焔「最後に、言い残したい事は有るかしらデビル将軍?」ジャコッ

デビル「た、助けてくれ!! そうだ、二人で組もう!! このデビル将軍と組めば、他に敵は……」



焔「……」

焔「そうね」ニコリ



デビル「おっ」

デビル「そうだろう!? そうなのだ!! ここで手を組み……」


焔「……」

焔「ふ」



焔「ティロ」

焔「フィナーレ」バキューン



デビル「……」パリィィン

デビル「……」バラバラバラッ



焔「……」

焔「これで、戻るはずっ!!」チラッ



旧ボディ「……」ピカァァッ

少女「……」シュゥゥッ



少女「……」

焔「あ、ああ。やっと、やっと……」ポロポロ


焔「やっと」

焔「私の元に……」タッ



戦士「よっ、と」ザッ

焔「……」



焔「そこを」

焔「どいてくれるかしら?」キッ


戦士「いやー、アンタこのままだと、スッと消えそうだったからな」

戦士「その前に聞きたい事があんだ。答えて……くれんだろ?」ニッ



焔「……」チラッ

少女「……」


焔「……」

焔「それで、何が聞きたいの?」



戦士「……」

戦士「なんで、アンドロイドの体内に異空間なんか作ったんだ?」


焔「……」

焔「ここで、天の力……その研究を部下達にさせているわ。今も研究室にたくさん居るはずよ?」


焔「そして、なぜ体内でって話だけれど」

焔「そうね……まぁ、一言で述べるなら」



焔「隠れていた……」

戦士「隠れる?」


焔「そうよ。天の力を欲するのはデビル将軍一人じゃない。もう一人の、天の力を欲する者から、逃げ隠れていたのよ」

焔「天の力は一つ。一人しか、手に入れられないのだから……」



戦士「……」

焔「天の力を欲している事がバレれば、そのもう一人に殺されてしまう」



焔「だから、デビル将軍の寄生能力で体内に異空間を作り、対象を転々としながら、誰にもバレないように研究を進めていた」

焔「結局は、こうやってバレてしまったのだけれどね」


焔「でも、異空間を作られた方は昏睡状態になり、徐々に弱って行くと言う目立った共通点は有ったから、時間の問題だったと思うわ」

戦士「ほぉ、なるほど、なー」



焔「理解、出来てるの?」

戦士「他の二人が理解出来てれば良いんだよ」



戦士「なぁ、二人共?」チラッ

武道家「……」


武道家「?」

武道家「ん?」



戦士「……」

焔「……」


商人「大丈夫」

商人「任せて」



戦士「ほ、ほらなっ!?」

焔「……」


焔「まっ、良いけど」タッ タッ

焔「これでもう、聞く事も無いわね?」タッ


戦士「……」

戦士「ああ、そうだな」



焔「……」

少女「……」


焔「……」ニコリ

焔「もう、離さない」スッ



焔「ずっと!!」ギュッ

少女「……」



戦士「あの、さ……」

焔「愛よ」


戦士「……」

戦士「そっ、スか」


戦士「まぁ、他人の色恋にゴチャゴチャ言う気は無いさ」

焔「それより、用件が済んだのなら、早く元の場所へ戻った方が良いわ」




 ドゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!



商人「っ!?」キョロキョロ

武道家「えっ、地震!?」キョロキョロ


焔「……」

焔「違うわ」



焔「デビル将軍の力が無くなったから、この塔は元々の場所へ戻るのよ」

焔「だから、この塔自体や、この塔の中に居た人物達も、ここから消える」



戦士「ん?」

戦士「じゃあ、後から来たオレ達は?」


焔「さぁね」

焔「だいたい、貴女達はどうやってここへ来たのかしら?」


戦士「……」

武道家「……」




 ドゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!



焔「だったら、ここが消えたら……」

焔「やって来たその場所に移るんじゃないかしら?」スゥゥッ


商人「……」

商人「ん?」ゴシゴシ


武道家「あ、商人? ボクも焔が消えてくように見えてるよ?」

商人「そう」



少女「……」スゥゥッ

焔「それじゃ、これでお別れね」


焔「さよなら」

焔「……」スゥゥッ



戦士「……」

戦士「消えた、か」



武道家「床とか壁も、透けてってるんだけど……」

商人「床や壁と言うより、塔そのもの」


戦士「……」

戦士「んー?」


商人「何してるの? 早く浮遊魔法掛けて!!」アセアセ

武道家「レビテトでいいの? でもなんで?」



戦士「そーだぜ、なに焦っちゃってんの?」ニヤニヤ

商人「バカ!! 私達はどこを通って来たの!?」


武道家「あ」

戦士「あ」


武道家「えーっと、えぇ~っと!!」アタフタ

武道家「レビテト!!!」



戦士「おわっ!?」フワッ

商人「間に合った……」フワッ




 ドゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!




武道家「……」

武道家「……」キョロキョロ


武道家「変わった、ね」

戦士「うっわ、マジ胃袋じゃんか……胃液は無いけど、落ちてたら腸まで行ってたぜコレ?」ブルブル




  カイの神殿



神官「マジョアンコカマンベール、ムショシケイパルミジャーノ」バチバチィッ

神官「……」


神官「あっ」スッ

神官「お帰りなさいみなさん!!」ニコリ


武道家「たっだいまぁ!!」スタッ

商人「ただいま」スタッ



戦士「ほいなっ、と」スタッ

戦士「ん……」キョロキョロ


戦士「……」

戦士「やっぱ、来てねぇか」


神官「……」

神官「はい、誰も、来られませんでしたよ」



HMX-12「はわわ……」

HMX-12「はうわっ!?」ガクガクッ


武道家「あっ」

神官「どうやら、目が覚めるみたいですよ?」




HMX-12「はわわわわわわわっ」

HMX-12「綺麗な水ですからあああああああ!!」ガバッ


HMX-12「……」

HMX-12「あれっ?」キョロキョロ



戦士「……」

武道家「……」


商人「……」

神官「……」


戦士「ほんっと、コイツが分かんのかよ?」

神官「ええっ、そのはずですが……期待しましょう?」





  太陽の国 城の中庭




 ピカァーッ ゴロゴロゴロッ


シャドー「すまん、RX……俺が、もっと早くお前を信じていれば」

RX「しっかりするんだシャドー!!」


シャドー「……」

シャドー「本当に、すまん……」ガクッ



RX「ッ!!?」ビクッ

RX「シャドー!? シャドォォォォォオオ!!!」



魔王「……」

魔王「別れは済んだか? 何、心配するな……直ぐにあの世で会える」ニヤリ



RX「ぐっ!?」キッ

RX「魔王!! 貴様は、ゆ゙る゙ざん゙!!!」ザッ



魔王「グハハハハハハッ!!」

魔王「諦めて、太陽のルビーと月のサファイアを渡せい!! そうすれば、命だけは助けてやろう」



RX「……」スッ

RX「天の力を手に入れて、なんとする!?」



魔王「知れた事……」

魔王「しかし、お前ごときに語る舌は持たぬ」スッ



RX「ならばっ!!」

RX「その野望、ここで打ち砕く!!」バッ



RX「とうっ!!」ダンッ

魔王「むっ……」



RX「アーエーッ、雷電ッ、ケェッ!!!」バチバチィッ

魔王「……」



魔王「ぬるいわっ!!」ニヤリ

魔王「冥王、天壊破ァッ!!!」バッ




  タイクーン城 地下牢



勇者「……」

勇者「……」ジャラッ


牢屋番「おいっ、今日もだんまりかぁっ!?」

勇者「……」


牢兵「よせっ、処刑の日も近いんだぜ? 言葉なんか出ないだろ?」ニヤリ

牢屋番「ははっ、ちげぇねぇ!!」ニヤリ



牢兵「だが、配給された飯ぐらいは食え」

牢兵「お前は公開処刑で死ぬのだ、その前に餓死されては堪らん」


勇者「……」

牢屋番「くっ……」


牢屋番「やはり我慢ならねぇ!!」ガチャッ

牢屋番「スカシやがって、一発ぶん殴ってやる!!」ズカズカ



牢兵「なっ!? ヤメろ牢屋番!!」ビクッ

牢兵「罪人の牢へ入るのはご法度だぞ!?」


牢屋番「なぁに、おめぇさえ黙っときゃ、バレやしねぇよ」ニヤリ

牢屋番「それに、すぐ出るさ……」


勇者「……」

牢屋番「コイツをブッ飛ばしたらなぁ!!」



牢屋番「……」スッ

勇者「……」


牢屋番「キャオラッ!!」シュッ

勇者「っ……」ドゴッ



勇者「……」

勇者「気は済んだか?」



牢屋番「うぐっ!?」

牢屋番「そのっ、スカシた顔をヤメろってんだよ!!」キッ


牢兵「戻れ牢屋番!! それ以上やるなら、報告せねばならない!!」

牢屋番「うるせぇ!!」


勇者「……」

牢屋番「構うもんか……ここでブッ殺してやる!!」ジャキッ



勇者「武器を向けられたのなら、私とて無抵抗と言う訳には行かない」

勇者「考え直すのだ。まだ間に合う……」


牢兵「牢屋番!! 戻れぇぇっ!!」

牢屋番「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ!!」



牢屋番「どいつもこいつも……」

牢屋番「うるせぇってんだよぉ!!!」ブォン



勇者「くっ……」

勇者「仕方有るまい!!」バキンッ


牢兵「ッ!?」ビクッ

牢兵「手錠を引き千切っただと!!?」



勇者「フンッ!!」シュッ

牢屋番「げひゃっ!?」ドスッ



勇者「……」

牢兵「っ……」ゴクリッ


牢屋番「……」

牢屋番「あ、あのっ」プルプルッ


牢屋番「間違いで無ければ、わたくしのコメカミに、あなたの人差し指が突き刺さっていると思うのですが?」

勇者「……」



勇者「……」

勇者「正解だ」ニコリ


牢屋番「せっ、正解だ、じゃねぇ!!」

牢屋番「早く指を抜きやがれぇっ!!!」



勇者「この指を抜けば、お前は死んでしまうのだが……」

勇者「本人がそう言うので有れば抜こうか」スッ



牢屋番「ふぇっ!?」ビクッ

牢屋番「ま、待てっ!! 指を抜かないでぇっ!!」ガシィッ


勇者「……」

勇者「抜かないで欲しいか?」


牢屋番「はいぃぃっ」コクコク

牢屋番「抜かないでください!!」



勇者「……」

牢屋番「……」



勇者「……」

牢屋番「……」ゴクリッ



勇者「……」

牢屋番「……」




勇者「ふっ……」ニコリ

牢屋番「あっ」パァッ



勇者「……」

勇者「駄目だ」ズボッ



牢屋番「えええぇっ!?」ビクッ

牢兵「えええぇっ!?」ビクッ



牢屋番「あがっ!?」

牢屋番「ひぎっ!?」


牢屋番「はうっ!?」ガクッ

牢屋番「はうあっ!?」ガクガクッ



牢屋番「あびゃいぃぃっ!!?」ドサァッ

勇者「……」



牢兵「……」

牢兵「牢屋番は違反を犯した。よって、それに対する罪はお前に無い」


勇者「……」

勇者「そうか」



牢兵「まぁ元々、最高刑の公開処刑だがな」

勇者「そうか」



牢兵「……」

勇者「……」


牢兵「お前は、死ぬのが怖くないのか?」

勇者「怖いさ……」


勇者「だが」

勇者「死より恐ろしいモノも有る」



牢兵「それは何か、と」

牢兵「聞いてもいいか?」


勇者「……」コクリ

勇者「それは魔物でも、魔王でも無い」


勇者「人間の」

勇者「心だ……」




武道家「でもっ」

武道家「何より暖かいのも、人間の心だよっ!!」ザッ


勇者「ッ!!?」

牢兵「なっ、なんだ貴様!!?」ビクッ


戦士「へへっ」ザッ

牢兵「城の兵は? どうやってここまで!?」



商人「……」ザッ

商人「ラリホー」ポワワッ


牢兵「……」

牢兵「ぐぅぅっ、ぐぅぅっ……」ドサァッ



戦士「よっ、久し振りだな師匠!!」

武道家「迎えに来たよっ!!」



勇者「……」

勇者「帰りなさい。それにもう、私は師で在る資格を失った」



戦士「はぁっ!? おいおい、なに言ってんだよ師匠?」

武道家「そうだよっ、早くしないと魔王が……」



勇者「勇者の使命は果たせぬ」

勇者「私は、この世界に絶望したのだ……」



勇者「こんな廃れた思いで……」

勇者「いったい、誰を助けられると言うのか!?」グッ



戦士「……」

武道家「……」


戦士「それならっ……」

武道家「引きずってでも連れて行くよ!!」



戦士「頂国アバロンが長女、戦士ッ!!」スッ

武道家「同じく次女、武道家ッ!!」スッ


戦士 武道家
「「参るッ!!!」」




勇者「よかろう……」

勇者「私を牢屋の外まで出す事が出来たなら、お前たちの願いを聞こう」スッ



戦士「言ったな?」

武道家「約束だよ?」


戦士「……」チラッ

武道家「……」コクリ



戦士「うおおおおおおおお!!」ゴゴゴゴゴッ

武道家「はああああああああ!!」ゴゴゴゴゴッ



勇者「ぬっ!?」

勇者(以前とは、比較にならぬほど力を付けたようだな……)



戦士「……」

武道家「……」


商人「……」

商人「どうしたの?」




戦士「いやさ、師匠を牢屋から出すんだから、オレ達が牢に入って戦うんだろ?」

武道家「それは、ちょっと狭いかなーって……」



勇者「……」

商人「……」



商人「こちらは二人。常に攻めて行ける」

商人「狭い場所で戦った方が、師匠の回避するスペースが少なくて有利」



戦士「でもさぁ……」

武道家「やっぱり狭いと、コッチもやりヅラいって言うか」


商人「……」イラッ

商人「いいから、いけ」



戦士「ああもう、わあったよ!!」タッ

武道家「やってやろうじゃん!!」タッ



戦士「……」

武道家「……」


勇者「……」

勇者「来なさい」クイッ



戦士「廬山ッ!!!」ググッ

武道家「鳳翼ッ!!!」ググッ



戦士「昇ッ、龍ッ、覇ァァッ!!!」バッ

武道家「天ッ、翔ォッ!!!」バッ




 ドゴォォォォォォォォオ!!!




 パラパラッ モクモクモクッ

武道家「……」

戦士「壁に風穴を空けちまったな?」


戦士「でも、安心して良いぜ師匠? 手加減してやったからよ」

武道家「うん。だから命に別状は無いはずだよっ」



勇者「……」スゥゥッ

勇者「だろうな……」ザッ


戦士「いっ!?」ビクッ

武道家「あれっ、倒れてない!?」ビクッ



勇者「今のが手加減したもので無ければ……」

勇者「遅くてアクビが出る」ニコリ



戦士「ちっ……」

戦士「なら、メガシャキな攻撃してやろうじゃねぇか!!」


戦士「廬山ッ、百龍撃!!」スッ

戦士「オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!」ドドドドドッ



商人「早いっ……」

武道家「行けぇ戦士ぃっ!!」グッ



勇者「……」

勇者「フンッ!!」ガシィッ



商人「うそっ」ビクッ

武道家「でしょ……」


戦士「初めて、見せる技だぜ!?」プルプル

戦士「それなのに見切んのか……」



勇者「……」

戦士「オレの腕を掴めんのかよ師匠!!?」ググッ



勇者「……」

戦士「ぐぎぎっ……」グググッ



勇者「フッ!!」シュッ

戦士「かひゅっ!?」ドゴォッ


戦士「う、あっ……」フラフラッ

戦士「……」ドサァッ



武道家「……」

武道家「くっ!!」グッ


武道家「燃えろッ、不死鳥の炎……」

武道家「セルフバーニィング!!」ゴゴゴゴゴッ



勇者「……」

武道家「ボクに近付けば近付くほど、爆発的にフェニックスの炎は怒り狂う……」



武道家「ししょー」

武道家「貴方の拳は、ボクに届きません」ニコリ


武道家「いえ、届いたとしても……引き換えに、その拳は焼けただれますよ?」

勇者「……」



武道家「そう、この技に弱点は無いんです」

武道家「ししょーは、ボクの攻撃から逃げ続けるしか無い」スッ




勇者「弱点は無いか?」

武道家「そうだよっ!!」


勇者「弱点は無い……そう考えた時は、終わる時だ」

武道家「えっ?」



勇者「思いもしない、想像を上回る……常にそれを想定し、技術の向上を怠るな」

武道家「きっ……ならっ、この技を破ってみてよ!!?」



勇者「……」

勇者「よかろう」



武道家「……」

武道家(ボクの体より30センチは獄炎。格闘術じゃ攻略できない)


武道家(かと言って魔法を使っても、メラ系なら呑み込むし、ヒャド系ならボクへ届く前に溶かし切る!!)

武道家(この技に、弱点は、無い……)ニヤリ



勇者「では、最も分かり易い方法を取ろう」チラッ

戦士「……」


勇者「フッ」グイッ

勇者「……」ガシッ



武道家「ッ!!?」ビクッ

勇者「例えばこうして……」タッ


武道家「ひ、卑怯だよっ、戦士を盾にするなんて!!」ジリッ

商人(上手い。あれでは、最初に炎へ触れるのは師匠では無く戦士)




勇者「……」タッ

武道家「近付かないで!! 見損なったよ、そんな手を使うなんて!!」ジリッ



勇者「……」

勇者「私の、勘違いだったようだな」パッ


戦士「ぐえっ」ドサッ

戦士「いつつっ……」フラフラッ



武道家「勘違い?」

勇者「強くなった……そう感じたが」


勇者「以前と、何も変わっていない」

武道家「なっ!?」ビクッ



勇者「……」

勇者「つ、強くなったよ!! ボクや戦士は、新しい技だってたくさん修得したんだ!!」



勇者「……」

勇者「戦士、武道家……」


戦士「んだよ?」

武道家「なに?」


勇者「国へ戻りなさい」

勇者「お前たちは、戦いに向いていない」



勇者「しかし」

勇者「国で次男をサポートし、姫として民に幸せを与える事は……」


戦士「ざっ、けんなっ!! 何も解決してねぇのに、まだ戻れるかよっ!!」

武道家「それに、今は変わってなくても、これからもっと強くなる!!」グッ



商人「戦士、武道家……」

商人「師匠が試したかったを、二人は理解していない」


× 商人「師匠が試したかったを、二人は理解していない」
○ 商人「師匠が試したかった事を、二人は理解していない」



戦士「あん?」ピクッ

武道家「なにさ、試したかった事って?」


勇者「……」

商人「師匠は、『牢屋から出してみろ』と言った」


戦士「だぁ、かぁ、らぁ!! 師匠をブッ倒して、引きずり出そうってんだろ?」

武道家「そうだよっ!! 二人がかりなら……さっきみたいに卑怯な手を使われなきゃ、負けないよ!!」



勇者「……」

商人「……」


商人「師匠、ご覧の通り」

商人「二人は、アバウトで腹パンKOされた時から、何も学んでいない……」



商人「でもっ!!」

商人「これは師匠の責任。一年以上も師が居なくては、弟子が育たないのは当たり前」



戦士「おい商人!! さっきから、自分は知ってます的な事をぬかしてっけどよぉ」キッ

武道家「商人は、ししょーを牢屋から出せるの? 塔の中じゃ、勝てないって言ってたじゃないか!?」キッ



商人「……」

商人「確かに、戦って勝つのは厳しい」


商人「でも」

商人「牢屋から出すだけなら、わけない!!」



戦士「ちっ、おい武道家、一回出ようぜ?」タッ

武道家「うん」


商人「……」ジィーッ

武道家「どうしたの? 中に入らなきゃ、戦えないよ?」



商人「このままでいい」

商人「外から師匠を出す」



戦士「あ、分かった!! 転移魔法とか使えんだろ!? それで師匠をっ」ポンッ

商人「使わない」



商人「何も、使わない」

商人「ねぇ、師匠?」


勇者「……」

勇者「なんだ?」



商人「今から一分以内に、師匠が牢から出てこなければ……」

商人「私は、この国の民を殺す」


戦士「はあっ!?」ビクッ

武道家「ちょっ、なに言ってるんだよ商人!?」ビクッ


商人「嘘は付かない。子供から狙って殺す」

商人「それでも出てこなければ、一分ごとに一人ずつ殺す。出て来るまで何人でも殺す」



戦士「そんなんするなら、オレが止めるぜ!!」

武道家「絶対にオカシイよ!!」



勇者「……」

商人「カウントを始める」


勇者「いや、参った……」

勇者「牢からは出よう」タッ



戦士「はっ? そんなあっさり?」

武道家「ウソっ……」キョトン



商人「らくちんぽん。ぶいっ」

勇者「……」


商人「これで分かったはず。戦士と武道家は、強いが故に、どんな敵とも真正面から戦おうとする」

商人「そして、死ぬ。城へ戻れと言っても、きっと二人で旅を続けて、死ぬ……」



勇者「……」

商人「師匠、貴方がこの二人を導くしかない」


戦士「……」

武道家「……」


商人「そして、私にも師匠が必要」

商人「私も、導いて欲しい」



勇者「戦士、武道家、商人……」

勇者「私はこの一年で修羅に落ち、普通を捨てた男だ」


勇者「弟子を続けるので有れば、お前達にも普通を捨てさせる事になる……」

勇者「それでも良いのか?」



戦士「……」チラッ

武道家「……」コクリ



戦士「普通の人生が恋しかったら、わざわざ師匠を探したりしねぇって」ニカッ

武道家「そうそっ♪ どんな理由で牢屋に入れられてたとしても、ボク達はししょーの味方をするよっ!!」ニコリ


商人「同上」

商人「後は、師匠が決断して。この一年、師匠が何をしていても受け入れる覚悟は有る」



勇者「……」

勇者「そうか、ならば言って置こう……」



勇者「我々の迎えるべき結末は、二つしか無い」

勇者「圧倒的、壊滅的な敗北を喫し破れ去るか……」


戦士「……」グッ

武道家「……」


商人「……」

勇者「あるいは……」





勇者「勝ち続ける…。灰になるまで!!」




おわり





 第三部


勇者「これが、生きとし生きる全ての者達の…魂の叫びだ!!」




はじまり





  新魔王城 玉座の間




 ゴロゴロッ ビカァーッ

魔王「……」

魔王「雁首を揃えおって、どうした?」



亀男「四天王が一人、水のカイナッツォ」ザッ

毒女「同じく、毒のスカルミリョーネ」


風女「同じく、風のバルバリシア」

ヒナ「ひなだおっ」



火男「そして……裏四天王が一人、火のルビカンテ」

雷男「同じく、雷のオムザック」


地女「同じく、地のウラヌス」

うさぎ「同じく、月のうさぎ」



亀男「我ら四天王と、裏四天王」

火男「我ら八卦衆が、魔王様……貴方に進言致します!!」



魔王「ほぉ……この魔王に意見が有るか」

魔王「言うてみい」



火男「……」チラッ

亀男「……」コクリ


火男「……」

火男「魔王様、魔王様は、我ら魔族の復興の為に、世界を支配するのですよね?」



魔王「フッ、前魔王はどうだったか分からぬが、俺は元人間だぞ?」

魔王「そんな事は知らん。やりたければ勝手にせい」ニヤリ


火男「なっ!?」ビクッ

火男「ではっ、我々や魔族の兵達は、何の為に命を賭けて戦えば良いのですか!?」


魔王「世界中にこの魔王の力を知らしめ、恐怖によって支配する為だ」グッ

魔王「貴様らは、その駒に過ぎぬ……」



火男「……」

火男「恐怖で支配すると言うのは、我々魔族の民もでございましょうか?」


魔王「頂点は常に唯一。当然の事」

魔王「人間も、妖魔も、魔族も、天の力を得たこの魔王に、等しくひれ伏すのだ!!」



火男「……」

火男「そうでございますか……」



火男「魔王様……」

火男「いや、魔王!! 我ら八卦衆は、たった今より反旗を翻す!!」バッ


魔王「……」

魔王「ほぉ……」スタッ



魔王「八卦の愚か者供が、死に急ぐか?」ニヤリ

魔王「面白い、命を賭した拳……見せてみよ!!」



風女「魔王ッ!! 八卦衆一の速さを誇る私が相手になるわ」ザッ

風女「風!!」



魔王「まとめて来れば良いものを……」

風女「風よ、吹き荒れろ!!」ブォォォッ


亀男「竜巻が魔王を包み込んだ!?」

毒女「あの風に教われたら、例え魔王でも切り刻まれるでしょう」



魔王「ぬっ……」

風女「受けてみなさい魔王」スッ


風女「風のバルバリシア最大の奥義!!」

風女「デェェッド!! ロン!! フゥゥン!!」バッ




 ドゴォォォォォォォォオ!!!




風女「……」

火男「やったか!?」



 パラパラッ

魔王「……」

魔王「それでしまいか?」ニヤリ


風女「うぐっ!?」

風女「なら、この高速飛行戦闘術で!!」ビュンッ


魔王「……」

風女「どう? 残像しか見えないでしょう?」ビュンビュンッ



魔王「グハハハハハッ!!」

魔王「弱い者ほど、五月蝿く飛び回りたがる」ニィッ


風女「くっ、死になさい魔王!!」

風女「ちぇいやぁぁぁぁっ!!」シュッ



魔王「……」

魔王「ぬぅん!!」ガシィッ



風女「えっ、嘘ッ!?」ビクッ

魔王「くだらん……」ブォン



風女「きゃっ!!」ドサァッ

風女「う、うぅっ……」グッ


魔王「二度は言わぬ」

魔王「まとめて掛かって来い!!」クイッ



火男「ぬぅっ……」

亀男「一斉にやるぞ皆!! それしか勝ち目はねぇ!!」


魔王「天の魔王の前に……」

魔王「何匹群がろうと無駄な事!!」ニヤリ



雷男「……」

雷男「天の力を手に入れて、意気がっているようだが魔王?」


雷男「この俺の力は、天より降り注ぐ雷!!」

雷男「即ちッ、お前と互角だァッ!!」スッ



魔王「……」

魔王「天と雷が互角? 愚かなッ!!」スッ



雷男「雷!!」カッ

雷男「必殺、プロトンサンダー!!」バチバチィッ


魔王「ふはぁっ」ニヤリ

魔王「帝王、宿命拳!!」バッ



雷男「ぐほぉぉあッ!!?」ドゴォッ

雷男「あ……」ドサァッ



火男「火!!」カッ

亀男「水!!」カッ

地女「地!!」カッ

うさぎ「月!!」カッ



魔王「……」クルッ

魔王「フッ」



火男「プラズマ光弾、マグラッシュ!!」

亀男「メガサーチャー、ビィーム!!」

地女「ワールドォ、シェイキン!!」

うさぎ「ムーンティアラ、アクション!!」





 ドゴォォォォォォォォオ!!!




 パラパラッ モクモクモクッ

火男「……」

亀男「今度こそやったか?」


地女「あっ、ああ!!」ジリッ

うさぎ「そんなっ!?」ガクブル



魔王「……」ザッ

魔王「地の響きも、月の光も、天までは届かん!!」ニヤリ



ヒナ「……」

ヒナ「使わなければなるまいか……この核弾頭をッ!!」ガシャン


ヒナ「山!!」カッ

ヒナ「うわぇぁぁぁぁあア!! お前と心中する事もいとわぬぞ、魔王!!」バッ



魔王「天!!」カッ

魔王「ガハハハハハハッ!!」


魔王「纏めて葬ってくれるわ」

魔王「天将ッ、奔烈ゥッ!!!」バッ





 妖魔の国 ルッカシティ 裏路地




アセルス「はぁっ、はぁっ、はぁっ!!」

アセルス「ぐぅっ……」フラフラッ


アセルス「白薔薇……どうにかして助けださないと」

アセルス「その前に、まずはっ!!」キッ



ゴブリン「ヒャッハー!! 見付けたぜアセルスぅっ」ザッ

オーク「フヒヒッ、み、見付けたんだなぁ」ザッ



アセルス「……」

アセルス「貴方達、二人だけ?」


ゴブリン「あん? 見りゃわかんだろーが?」

オーク「は、はやく、こっちに来るんだなぁ」



アセルス「なら、何とかなるか……」

アセルス「我が血よ、肉よ、魔と混じりて人を捨てよ!!」スッ



アセルス「半妖転身ッ!!」ピカァッ

妖アセルス「こおおおおおおおオオ……」プシュゥゥッ



ゴブリン「コイツ、死に損ないのクセに、俺達とやる気か!?」ビクッ

オーク「む、無駄な抵抗は止めるんだな」



妖アセルス「ククッ、アハハハハハッ!! こうなった私は、優しくないぞ?」ニヤリ

妖アセルス「出でよっ……妖剣、幻魔ッ!!」ジャキン

死天王が出ると思った

>>646
四天王VS死天王とかは考えたよっ! やめたけど…



ゴブリン「ちっ、だが……貴様の生死は問われてねぇ。ブッ殺してから持ち帰ってやんよぉ」ニヤリ

オーク「フヒヒッ」



妖アセルス「……」

ゴブリン「吾武輪戦斧術究極活殺自在最大最終最強強襲激震烈戰悶絶丸秘奥義!!! 超超超超超音速ナブラァァッ!!!」バッ



ゴブリン「死ねおやぁぁぁぁッ!!」ブォン

妖アセルス「無駄なんだよ……無駄無駄無駄ァッ!!」ガキィィン



ゴブリン「コイツっ、俺の奥義を!?」ガキガキッ

妖アセルス「ふぅん、良い技じゃないか?」


妖アセルス「その技……貰おう」ニヤリ

妖アセルス「妖魔の足具!!」シュッ


ゴブリン「ぐへぇあ!?」ドゴォッ

ゴブリン「うおおおおおお!!?」ズザァァッ



ゴブリン「くっ、蹴りを一発喰らっちまったか……」

ゴブリン「だが、ダメージには至らず、だ」ニヤリ


オーク「フヒヒッ……」

オーク「フヒィッ!? おいゴブリン、自分の手足を見ろぉっ!!」ビクッ



ゴブリン「あん? 俺の手足が何だって……」チラッ

ゴブリン「なんじゃこりゃああああああアア!!?」



ゴブリン「お、俺の体がっ、消えて行くぅぅぅっ!!?」シュゥゥゥッ

ゴブリン「たっ、たしゅけっ……」


オーク「ゴブリィィィン!!」

ゴブリン「オー、クぅっ……」プシュン



妖アセルス「……」

妖アセルス「ごちそうさまっ」ニコリ



オーク「貴様ァァッ、よくもゴブリンをッ!!」キッ

妖アセルス「ああっ……その視線、気持ちいいね」ゾクゾクッ



オーク「俺の長槍で、串刺しにしてやるぜ!!」

妖アセルス「ふふっ……」


妖アセルス「妖魔からは半人と馬鹿にされ、人からは半妖と蔑まされ」スッ

妖アセルス「一時は、妖魔の王オルロワージュを憎みもしたが……」



妖アセルス「手に入れるぞ私は? 妖魔の人生も、人の人生も」

妖アセルス「妖魔の白薔薇も、人間のジーナもっ!!」


妖アセルス「私の夢、私の野望、誰にも邪魔させるものかっ!!」

オーク「その野望、今こそ潰える時だ!! 死ねいアセルスゥッ!!!」バッ



妖アセルス「フッ……」

妖アセルス「妖魔の足具、解放!! ゴブリン!!」カッ



オーク「ソイやっ!!」ブォン

オーク「秘技、千峰塵ッッ!! ウリャリャリャリャリャァッ!!!」ドドドドドッ



妖アセルス「無駄無駄ァッ」シュン

妖アセルス「幻魔、高速ナブラッ!!!」ジャキン



オーク「ブヒイイイイイイイ!!?」ズバァァァッ

オーク「フヒヒッ……」フラフラッ


オーク「……」

オーク「まさ、か」ドサァッ



妖アセルス「……」

アセルス「ぐぅっ!?」ガクッ


アセルス「はぁっ、はぁっ……ダメだ、どこかで休まないとっ」フラフラッ

アセルス「……」


アセルス「白薔薇、ジーナ……」タッ タッ

アセルス「私がオルロワージュを倒して、必ずっ!!」グッ





 妖魔の国 ルッカシティ 入り口門前




ハーピー「ハラヒレハラホレェ~♪」パタパタ

ウィッチ「うるさいわよ貴女!!」


ハーピー「だって、見回りと言っても暇だしぃ?」パタパタ

ウィッチ「だからって歌うなアホ!!」



ハーピー「……」パタパタ

ハーピー「ん、あれれ? 向こうから来るのは……」




勇者「……」ザッ

勇者「久し振りだな」ニコリ


ハーピー「勇者さまぁ♪」パタパタッ

ウィッチ「お、お久し振りです勇者様!!」タタッ


勇者「……」

勇者「どうやら、ケガは治ったようだな」



ウィッチ「勇者様こそっ、ケジメを着けると言い残して消えられた時は心配しましたが……」

ウィッチ「こうやって無事なお姿が見れて、嬉しく思います」ニコリ


ハーピー「城に戻ったんでしょ?」

ハーピー「タイクーン王のランスは、鬼畜で有名だから……でも、無事でよかったぁ」ニコリ



勇者「痩せてしまったが、まだ生きている」ニコリ

ハーピー「あ、それで今日は、何かご用が有って来られたんですかぁ?」パタパタ



ウィッチ「あちらの方々が、関係するのでしょうか?」チラッ

ハーピー「うぇっ、人間くさいですぅ」パタパタ



商人「……」

戦士「……」

武道家「……」



勇者「いや、あの者達は私の弟子だ」

勇者「私の要件とは余り関係ない」



ウィッチ「あのっ、それで要件と言うのは?」

勇者「……」


勇者「短ければ十日、長くても二十日ほどだと思うのだが……」

勇者「それまで、我々をこの街で匿(かくま)って欲しいのだ」ペコリ



ウィッチ「あ、頭をお上げください勇者様!!」ビクッ

ウィッチ「私が個人でで有れば構いませんが、街でとなればオルロワージュ様にお聞きせねばなりません」



ウィッチ「それでも、宜しいでしょうか?」

勇者「ああ、それで構わぬ」


ウィッチ「かしこまりました」コクリ

ウィッチ「では、ハーピー? 念の水晶でオルロワージュ様に連絡をっ」


ハーピー「はいなぁ!! 伝えて念の水晶ぉ!!」ピカァァッ

ハーピー「オルロワージュ様ぁ、聞こえますかぁ?」パタパタ



オルロ「……」ツーッツーッ

オルロ「なんだハーピーか? どうした?」


ハーピー「あのぉ、勇者様がルッカシティの入り口にいらっしゃいましてぇ……」

オルロ「なにっ、勇者が!?」



ハーピー「それでですねぇ……」

オルロ「……」


ハーピー「もしもーし? アレっ、通信が切れちゃったのかなぁ?」

オルロ「……」ツーッツーッ



ハーピー「うぅむ……」パタパタ

ウィッチ「ちょっと!? オルロワージュ様は!?」



オルロ「……」シュイン

オルロ「ここだウィッチ」スタッ


ウィッチ「オルロワージュ様!!」クルッ

ハーピー「ハラヒレハラホレェ♪」



オルロ「……」

勇者「……」


オルロ「勇者よ、よくぞ無事で戻って来てくれた」ニコリ

オルロ「このオルロワージュ……お前が脱獄したとの話を聞かなかったら、処刑日に救出へ向かうところだったぞ?」



勇者「心配を掛けた」ペコリ

勇者「天命に従おうとも思ったが……どうやら、こんな私でもまだやるべき事が残っていたらしくてな」



勇者「それで……」スッ

勇者「一国の王オルロワージュ様に、お願いが有りますれば」ペタッ


オルロ「地面に膝を着き、何の真似だ?」

勇者「私から誠意を示すには、これしか……」



オルロ「土下座など止めろ勇者!!」

オルロ「頼むから、立ってくれ……そんな事をせずとも、願いなら幾らでも聞く!!」



勇者「しかし……」

勇者「形だけでも表さねば、部下に示しも着かぬでしょう」


ハーピー「……」パタパタ

ウィッチ「勇者様……」グッ



オルロ「ならば命じよう勇者よ」

オルロ「お前はここに居る間、このオルロワージュと対等に立ち振舞え!!」



勇者「っ!?」

オルロ「お前を、再び朋友(ポンヨウ)と呼ばせてはくれまいか」


勇者「……」スタッ

勇者「心得た。待たせたな朋友」ニコリ



オルロ「フッ……」ニコリ

オルロ「そしてお前だったら、朋友の願いを、その内容を聞いてから受けるか断るか決めるか?」



勇者「……」

オルロ「そう言う事だ」ニコリ


オルロ「話は、城の客間でゆっくりと聞こう」

勇者「恩に着る」ペコリ


オルロ「しかし……」チラッ

オルロ「そちらの人間供には、フードを被せるか、モシャスを掛けた方が良いな」



武道家「へ?」

商人「なぜ?」


オルロ「この俺が……殺したくなる」

戦士「っ!?」ゾクッ



勇者「あの者達は私の弟子だ。手荒な真似は……」

オルロ「フッ、わかっている。お前の弟子だと言うのなら、命を賭けて守ろう」





 ルッカシティ オルロワージュの城 客間




 バァン

オルロ「戻ったぞ白薔薇、持て成しの準備は出来ているか?」ザッ

白薔薇「おかえりなさいませオルロワージュ様。最高級の茶と菓子をテーブルに用意してございます」ペコリ


白薔薇「そして……」チラッ

白薔薇「おかえりなさいませ勇者様っ」ニコリ


勇者「……」

勇者「ああ、ただいま」ニコリ

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白薔薇「ですが、そちらの……」チラッ

メイド「汚ならしい……人間がっ」チラッ



戦士「あぁん? なんだぁ、どいつもコイツもよぉ」

武道家「駄目だよ戦士!!」グイッ


戦士「ふぅっ……」

戦士「大丈夫だよ。静かにしてるさ」




オルロ「白薔薇、メイド。この者達は勇者の弟子だ。一級の客人として丁重に扱え」

メイド「弟子、ですか?」



勇者「……」コクリ

メイド「……」


メイド「御意に」ペコリ

白薔薇「御意に」ペコリ



オルロ「……」

オルロ「さて、適当に腰かけてくれ」


オルロ「お前の話、聞かせて貰おう」

勇者「うむ」コクリ



戦士「……」

戦士「なぁ師匠、オレらとしては、その前から説明して貰いたいんだけど?」



商人「つまり」

武道家「なんでししょーは、妖魔の王と仲がいいんですか?」


勇者「……」

勇者「そうだな。先にそちらを話さねばなるまいか」


勇者「オルロワージュ、少し時間をくれ」

オルロ「ふっ、構わんよ」



勇者「……」

勇者「一言で述べるなら、悪党のおもりが嫌になった……と言う処か」


戦士「悪党って?」

武道家「魔族の事じゃないよね?」


勇者「それは、人間だ……」

勇者「無論、全うな人々の方が断然に多いのは知っているが、立場が上になればなるほど、偉くなればなるほど、人は腐敗し、腐っている」グッ



勇者「お前たちの祖国アバロンなど、例外中の例外。人間の世界で唯一の良国と言っていい」

勇者「他はどこも同じだ……民達は多大な税金から飢えと病に倒れ、抗う術さえ失われている」


勇者「悪党を更に大きな悪党が雇い、悪党が幅を利かせ、悪党しか潤わない世界!!」

勇者「その悪党どもが、土地を奪い合う小競り合いを続けるだけの世界!!」



勇者「魔王は復活した。しかし、それよりも人間は戦争がしたいのだ」

勇者「魔族に民が襲われても、兵は戦争へ向かわせる。傷付いた民を守る者は、誰もいない……」



オルロ「……」

勇者「そんな世界を変えようとするのなら、それはもう劇薬が必要……生半可な事ではダメだ」


商人「何を、成そうとしてるの?」

勇者「……」



勇者「悪党を、更に大きな悪党が支配する縮図なら……」

勇者「いっそ駆け上がる、巨悪にッ!!」




白薔薇「……」

勇者「魔王のように恐怖による支配では無く、裏から……」



戦士「ちょっ、ちょっと待てよ師匠!!」ガタッ

戦士「どんな屁理屈を並べたってよぉっ」


武道家「支配する……って、それって、魔王と同じじゃないか!?」

武道家「そんなの、絶対にオカシイよっ!!」ガタッ



商人「悪になるの?」

勇者「そうだ……私は人間の世界を、私のやり方で一つにする」


戦士「ちっ、思想が宗教と同じだぜ師匠?」キッ

武道家「上手く、行く訳ない!!」



勇者「ならば……」

勇者「お前たちが私を討て」



戦士「ッ!?」ビクッ

武道家「っ!?」


商人「……」

勇者「……」


勇者「魔王を倒すまでは、旅を共にし、鍛え上げよう」

勇者「だが、そこから先……もしも私のやり方が許せないので有れば」



戦士「……」

武道家「……」


商人「……」

勇者「今なら、まだ引き返せるぞ?」



戦士「いんや……」フルフル

戦士「その時が来たら、アンタをブッ倒すぜ!!」


武道家「ボクも……」

武道家「やっぱりししょーが間違えてると思うから、その時が来たら……討ちます!!」グッ



勇者「そうか」ニコリ

勇者「商人、お前はどうするのだ?」


商人「……」

商人「今は、何も言えない」


商人「でも」

商人「魔王を倒すまでは弟子で居させて欲しい。お願いします」ペコリ



勇者「よかろう。それまで、しっかりと考えをまとめて置きなさい」ニコリ

商人「うん」


勇者「……」

勇者「すまんなオルロワージュ。時間を取った」チラッ


オルロ「気にするなよ勇者」ニコリ

オルロ「では、ここからは俺が話を引き継ごう」



オルロ「妖魔の国は、古来より戦を好まなくてな……」

オルロ「魔族同士が争おうが、人間同士が争おうが、魔族と人間が争おうが、常に中立の立場を取って来た」


オルロ「土地は広げず。戦争もけしかけず。戦いなどは自衛する時しか行わない」

オルロ「何度攻められようとも、反撃も追撃もせず、撃退するのみ。それが妖魔のスタンスだった……」



白薔薇「はい。ですが、一年前の事」

白薔薇「タイクーンの王、鬼畜王ランスが、この国へ攻めいって来ました」



オルロ「無論、迎撃の為に兵を向かわせた」

オルロ「まず言うまでも無いが、幾ら訓練されていようとも、人間の兵は妖魔の兵に勝てぬ」


勇者「……」

オルロ「が、我が兵は押されていた。個人の能力では圧倒しているのに、だ」


戦士「……」

武道家「どうして?」



オルロ「相手が兵で在れば、負けはしない……しかし」

勇者「ランスは、力無き民を……それも、子供を前線に送り出して戦わせていたのだ!!」


武道家「ひどいっ」

戦士「ん、でもよぉ? それなら、もっと楽に勝てんじゃないのか?」



勇者「まだ右左も分からぬ子供を、お前は殺せと言われてすぐに殺せるか?」

戦士「うっ……」



オルロ「子供を見て我々は慌て、その隙を突いて兵は攻めて来る」

オルロ「そして……」


白薔薇「子供達には遠隔式の爆弾を持たせ、妖魔が集まっている場所で、自爆」

白薔薇「いえ、爆殺されるのです!!」グッ


勇者「兵とてそうだ。妻や恋人を人質に取られて脅されたならば」

勇者「例えやっている事を外道と認識していようと、誰が逆らえようか?」



戦士「……」

武道家「……」


勇者「ならば、どうする?」

商人「どうする?」


勇者「それでも子供を、兵を、人間を!!」

勇者「ほんの一時でも、助けたいと思ったのなら……」



戦士「うぅ~ん……」

武道家「わかんなぃよぉ」


商人「……」

商人「人間の兵に、引き上げて貰う?」



戦士「はぁ? なに意味わかんねぇ事……」

勇者「そうだ商人。兵に引き上げて貰うのが望ましい」コクリ


戦士「っ!?」ビクッ

武道家「ぼ、ボクもそう思うよっ!!」



オルロ「だが、あの鬼畜王……兵達に何が起ころうと、引き上げさせたりはせぬ」

オルロ「安全な城の中で、自らが戦場に立つ事は決して無い」


商人「……」

戦士「んじゃあ、どうやって?」


勇者「事故だ」

武道家「事故?」



勇者「事故、アクシデント、言い方はどうでも良いが」

勇者「安全な城の中に居る筈の王に、何かしらの事故が起きたらどうだ?」



戦士「あー」

武道家「うん、それなら」コクリ



勇者「自分の事しか考えぬ王だ。在住の兵だけで対応できぬとなれば、攻めさせている兵を引き上げさせる……」

勇者「そう読むのは容易い」



オルロ「そして、実際に王は引き上げさせた」

白薔薇「我々は、勇者様に助けていただいたのです」


武道家「えっ、なんでソコで、ししょーが出て来るの?」

勇者「……」



勇者「私が……」

勇者「王の右腕を切り落とした」





 ルッカシティより数キロの距離 アセルスの隠れ家



 バタンッ

アセルス「ただいまジーナ」ニコリ

ジーナ「お帰りなさいアセルス」ニコリ


ジーナ「今日はトマトベースのポトフを作ってみたのっ」

ジーナ「自信作だから、食べてみて♪」コトッ


アセルス「あはっ、美味しそうなスープ♪」

アセルス「じゃあ、いただいまぁす!!」ソクッ



ジーナ「ふふっ」

アセルス「うん。匂いも……」クンクン


アセルス「……」

アセルス「……」カチャッ


ジーナ「どうしたのアセルス、スプーンを置いて?」

ジーナ「冷めちゃうわよ?」



アセルス「ジーナ……」

アセルス「なぜ?」ポロポロッ


ジーナ「アセルス?」

アセルス「なぜ、なぜっ!!」ポロポロッ



アセルス「何故ッ、毒を盛ったんだ!!」

アセルス「どうしてっ、私を殺そうとするんだよジーナァッ!!?」バンッ



ジーナ「……」

ジーナ「安心してアセルス」


ジーナ「貴女が死んだら、すぐに私も後を追うから……」

アセルス「答えになってない!!」



ジーナ「……」

ジーナ「ねぇ……私の事、愛してくれてる?」



アセルス「もちろんだよっ!!」

アセルス「誰よりも、ジーナを愛してる!!」



ジーナ「私もよアセルス」

ジーナ「貴女が居れば、他に誰も要らない……けど」


ジーナ「貴女は、私だけを愛してはくれない」ニコリ

アセルス「ッ!!?」ビクッ




ジーナ「ねぇ、どこへ行っていたのアセルス?」

アセルス「……」


アセルス「そ、それはっ……」

アセルス「オルロワージュの所だよ!!」


アセルス「ジーナも知ってるだろ?」

アセルス「私はアイツのせいで半妖になってしまったんだから」



ジーナ「……」

アセルス「……」


ジーナ「白薔薇……」ボソッ

アセルス「ふぇっ!?」



ジーナ「妖魔の白薔薇さん、綺麗よね?」

アセルス「そ、そっかなぁ……私はジーナの方が綺麗だと思うけど」



ジーナ「アセルス、貴女、変わったわ」

アセルス「それは、だからっ、オルロワージュのせいで半妖に……」


ジーナ「ううん」

ジーナ「本当は人間に戻れたのに、望んで今の状態で居るんでしょ?」



アセルス「っ!?」ビクッ

アセルス「誰、が……」ギリッ



ジーナ「オルロワージュ様が来たわ」

ジーナ「来て、私に頭を下げた」


アセルス「ちっ……」

アセルス「アイツっ!!」グッ


ジーナ「半妖として生きるなら支援するし、人に戻るなら協力するけど」

ジーナ「本人はどっちも望んでいないみたいだ、ってね」



ジーナ「それと、流石にもう庇う事はできない……次に妖魔達へ何かしたら、敵として処理する」

ジーナ「そう、言ってた」


アセルス「……」

ジーナ「白薔薇さんを、奪いに行ったのよね?」



ジーナ「私だけじゃ、ダメ? 満足できない?」

ジーナ「選んでアセルス!! まだ白薔薇さんを追うなら、私は貴女から離れるわ!!」



アセルス「待ってよ!!」

アセルス「そっ、そんなのズルいよジーナ!!」


ジーナ「……」

ジーナ「ズルい?」



ジーナ「やっぱり、貴女とは別れる」

ジーナ「さよならアセルス。本当に、愛していたわ」クルッ




アセルス「待ってよジーナ!!」

ジーナ「……」タッ


アセルス「あっ、あっ、あ」

アセルス「……」




妖アセルス「この私が」

妖アセルス「待てと言ってるんだよジーナ!!」ガシッ



ジーナ「ッ!?」ビクッ

妖アセルス「私から離れるなんて、そんなの絶対に許さない!!」


ジーナ「……」

ジーナ「やっぱり……貴女はもう、妖魔になってるわ」



妖アセルス「……」

妖アセルス「だから、別れるって言うの?」



ジーナ「ううん」フルフル

妖アセルス「じゃあ、なんでっ!?」


ジーナ「アセルスが妖魔になっちゃっても良いの……」

ジーナ「私だけを愛してくれるなら」



ジーナ「でも、無理だよね?」

妖アセルス「……」



ジーナ「もう、疲れたから」

ジーナ「だから、お別れ」ニコリ


妖アセルス「……」

妖アセルス「それでも、駄目だ」



妖アセルス「例えどんな形になっても、その心を砕いてもっ、ジーナ!!」

妖アセルス「君を放しはしない!!」スッ



ジーナ「アセルス?」

妖アセルス「ヴァーミリオンサンズ!!!」バッ





  新魔王城 玉座



魔王「それで……」

魔王「残っている者はどれぐらいになる?」



毒女「……」

毒女「約、半分程に」


魔王「半分か」

魔王「思ったよりは残ったな」ニヤリ



老師「それで、どうするのだ魔王よ?」

魔王「知れた事……俺は蟻の反逆とて許さぬ」



魔王「影で怯え暮らすなら、それで良し……」

魔王「だが、一足でもこの領土に踏み込んだ者は、見つけしだい殺す!!」グッ


毒女「……」

毒女「では、そのように部下へは通達致します」ペコリ


老師「……」

老師(コヤツ、もしかして……)



魔王「どうした老師よ?」

魔王「言いたい事が有るなら言え」


老師(何を馬鹿な!! コヤツに限ってまさか……)

老師「いや、逃げ出した者は、追ってでも殺せと命ずると思ってな」



魔王「フッ」

魔王「そこに無駄な兵力を使う事も有るまい?」


老師「……」

老師「そうだな」



老師(今は研究を続けられているから良いが……)

老師(魔王よ? 貴様が思ったような働きをせねば、その力を貰うぞ?)


魔王「……」

魔王「さて、では魔王らしく行動するか」ガタッ



老師「どこへ向かう魔王?」

魔王「恐怖をくれてやるのだ、この魔王が直々にな」ニヤリ





  ルッカシティ 奴隷市場の王の屋敷 地下牢



 ガチャッ

奴隷王「ククッ」

奴隷王「さぁて、今日は」キョロキョロ


少女奴隷「っ……」プルプル

幼女奴隷「ふぇぇっ……」プルプル



奴隷王「……」

奴隷王「よし、決めたぞ!!」ニヤリ



奴隷王「それは……」

奴隷王「お前だ、むくろっ!!」ビシッ


むくろ「……」

むくろ「イヤです」ボソッ



奴隷王「なんだとぉっ!?」ヅカヅカッ

むくろ「っ!?」ビクッ


奴隷王「お前に拒否する権利なんて、ねぇんだよ!! 立てっ!!」ガシッ

むくろ「あうぅっ……」



奴隷王「外見しか取り柄の無いお前を、この俺が可愛がってやるんだ」

奴隷王「感謝するんだなっ」ニヤリ


奴隷王「さぁ、来い!!」グイッ

むくろ「ヤだぁぁぁぁっ!!」ズルズル



奴隷王「おい、他の奴隷が逃げんように、しっかりと鍵を掛けて置けよ?」

手下「はっ!!」



手下「……」ガチャッ

手下(凄い奴だ。妖魔で在るにも関わらず、人間を玩具にするとは)



手下(オルロワージュ様に見付かれば、必ず殺されるぞ?)

手下(それとも、見付かっても何とかなる秘密でも有るのか?)


手下(ともかく……)

手下「……」チラッ



熟女奴隷「っ……」プルプル

老女奴隷「なむあみだぶつ……」プルプル



手下「もう少し辛抱だ、我慢しろ」

少女奴隷「えっ?」


手下「奴の気分次第で何度かは弄ばれるだろうが、必ず助けは来る」

手下「だから、自殺しようなんて考えるなよ?」



手下「与えられる食事をきちんと食べて、体力を留めて置くんだ」

幼女奴隷「ふぇぇっ……」



手下(そろそろ奴隷王の信頼を得られた頃……)

手下(管理室に入った所を見られても、怪しまれない筈だ)


熟女奴隷「私たちは、助かるのでしょうか?」

手下「ああ、助ける。今は待て!!」


手下(奴隷市場なんて狂った事は、早々に無くさねばならん)

手下(後は、俺たち次第か……)





 ルッカシティ 飲食店前



子妖「ぐあっ!?」ドサァッ

店員「おい、ガキぃ……食い逃げをするとはいい度胸だな!!」


子妖「ぐっ、知るかっ」フラフラッ

子妖「代金はテーブルに置いて来たはずだ!!」


店員「ああん?」

店員「全然っ、足りてねぇんだよ!!」



子妖「野菜炒めは900マッカだろ!?」

店員「お前はサラダも頼んだ!! その代金が払わてねぇ!!」


子妖「ぐっ……」

子妖「俺は、サラダなんて頼んじゃいない」ザッ



店員「現に、お前が座っていた席に、サラダが置かれてるじゃねぇか?」

店員「ああん!?」



子妖「……」

子妖「俺は、頼んで、いないっ!!」キッ


店員「コイツっ!?」

店員「もう許さん!! ブン殴って牢屋へ送ってやる!!」グッ



子妖「許さん……だと?」

子妖「それは、こっちのセリフだ!!」ゴゴゴゴゴッ



店員「ほぉ……バトルオーラを修得している、この店員と戦うつもりか?」ニヤリ

子妖「フッ……チョコレートのように溶かされたくなかったら、さっさと頭を下げるんだな」ニヤリ



店員「……」

子妖「……」




武道家「店員さ~~ん!!」ポンポンッ

店員「何ですかお客さん? 今は立て込んでましてね?」クルッ



商人「注文したサラダがまだ届かない」チンチン

戦士「もしかしてさ……バイトが間違って、別のテーブルに置いたんじゃないのか?」


店員「うぐっ!?」

店員「……」


子妖「……」

子妖「おい、どうするんだ?」



店員「……」

店員「失礼な事を述べてしまい、すみませんでした」ペコリ


子妖「……」

子妖「フンッ、当然だ」




店員「お詫びに、料理の代金はお返し……」

子妖「何を言っている?」



子妖「食い逃げの犯人に仕立て上げられた分は、それでもいい」

店員「……」


子妖「だが……」

子妖「殴られた分はやり返さないと気がすまない」ゴゴゴゴゴッ


店員「……」

店員「それで収まるのなら、俺を殴れ……」



子妖「さすが大人。良い心掛けだ」ニヤリ

子妖「自分のケツは、自分で拭かないとな?」



戦士「武道家?」チラッ

武道家「うんっ!!」コクリ



子妖「煉獄の炎、味わってみるか?」スッ

店員「ッ!?」ビクッ



戦士「その辺にしとけよボウズ?」ガシッ

武道家「謝って貰ったんだし、反省もしてるんだから、もう許してあげなよ、ねっ?」


子妖「……」

子妖「でしゃばりやがって、なんだ貴様らは?」ギロッ


戦士「えっ、と……エ、エルフ戦士だよっ!!」アセアセ

武道家「そうだよっ、ほら……耳が長いでしょ?」ピクンピクン



子妖「そうか? それにしてはずいぶん……」クンクン

子妖「人間の臭いがするようだが?」


武道家「え゙っ」ドキッ

戦士「に、にっ、にっ、人間じゃねーし!!」アタフタ



子妖「フン、どうだかな」

商人「……」ガタッ


商人「それは、私たちエルフに対しての侮辱」

商人「とても許せない」タッ



商人「シバく……」

商人「着いて来て」クイックイッ


子妖「……」

子妖「上等だっ!!」ダッ



戦士「おっ、おい、待てよ!!」

武道家「あ、お金はここに置いて行きますっ」ジャラッ



商人「……」タッ タッ

子妖「……」タッ タッ


商人「……」

子妖「チッ」



商人「……」

子妖「おいっ!!」


商人「……」

子妖「止まれっ、どこまで行く気だ!?」ガシッ



商人「……」

商人「この辺り、で良い」パシッ


子妖「……」

子妖「それじゃあ、戦おうか?」ニヤリ



商人「?」

商人「なぜ?」



子妖「あ?」

商人「……」


子妖「くっ、そう言う事か……」

商人「礼はいらない」ニコリ


子妖「確かに、あの場でアイツを消し炭にしちまってたら、俺自身もヤバかったかもな」

子妖「子供でも、さすがに殺生は罪に問われて牢獄に入れられるはず」


×子妖「子供でも、さすがに殺生は罪に問われて牢獄に入れられるはず」
○商人「子供でも、さすがに殺生は罪に問われて牢獄に入れられるはず」



商人「それに、私の感では……」

商人「貴方は、あの店員に勝てなかった」


子妖「なっ!? テメェ……」

子妖「殺されたいかッ!!」キッ


商人「……」

商人「それ。それが駄目」

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