勇者「救いたければ手を汚せ」短編 (59)


忘れないように人物のまとめ、設定。

削った部分や、本編中に書けないような馬鹿馬鹿しい感じのやつ。

後は、主要人物以外を主役にした話などを書きます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1475602616


【勇者】

完全種の少年。東部生まれ、12歳。

母子家庭だが、父は生きている。

7才の頃、東都において、兄のように慕っていた剣士という男性を亡くす。


その後の4年間、剣聖の下で修業を重ねる。

変異型ゴーレムとの戦いに苦戦、今の体では魔神族に対抗出来ないと判断。

周囲の反対を押し切り(精霊の協力もあった)、魔導師に施術を依頼。

寿命は縮まったが施術は成功し、18歳前後の体格に成長した。

身体的には成長したが、精神的に、未だ幼い部分も多い。


人の想い、自身に対する印象、評価をなどを視認、任意で選ぶ力を持つ。

神聖術師によって多量の元素を浴び、更には将軍の所持する槍(元素供給)によって貫かれ死亡した(後に蘇生している)。

高濃度の元素を浴びたのが原因か、詳しい理由は不明だが、元素に耐性が付いた模様。

剣士が使用していた剣(二刀)を所持、魔導師の改良により、分離結合可能な剣となる。

中には変異型ゴーレムの核が封印されており、呼びかければ出現する。


王女の写真が入ったペンダントを所持している。

また、女児と年配女性からは好かれるが、同年代の女性に好意を寄せられたことはない(王女を除く)。


【盗賊】

南部生まれ、赤髪一族の青年、完全種。

勇者に救われた過去を持つ。

預言者によって選ばれた赤髪の王であり、幼少期から特別な訓練を受けていた。

基本的には素手だが、拳銃や暗器(袖口から飛び出す仕組みの刃)なども使う。


一族の意向により逃がされたが、それ以降、孤独な生活を強いられる。

当初はゴミ漁りをしていたようだが、次第に様々な凶悪犯罪に手を染めるようになる。

一度も捕まったことはなく前科はないが、盗賊の名は南部のみならず他国にも知れ渡っている。

そんな生活を数年続けたが、追われるのに疲れたとの理由から西部へと渡る。

西部を支配していた魔神族・降霊術師を、西部軍所属の特部隊長と共に討伐した。

この一件で、凶悪犯として怖れられる一方、西部の人々には西部の勇者として親しまれているようである。


北部騒乱の際は、囚われの勇者を救うべく監獄に侵入。その後、勇者と共に赤髪部隊と戦う(後に離脱)。

現在は、黒衣の頼みを受けたこともあり、異形種討伐隊の騎士(巫女)と共に行動している。


着用している衣服などは全て盗んだもので、そこそこ高額らしい。

娼婦の死に際に贈られた腕輪を装着ている。

古代文字で、あなたに救いがありますように、と彫られているらしい。


【魔女】

北部生まれ、年齢不明。魔術師 。

幼い頃、暴漢に家族を殺害され、自身も性的暴行を受けた過去を持つ。

事件直後、魔導師に発見され、引き取られる。

魔導師の下で魔術を学んでいた(武術剣術なども)が、過去の傷が癒えることはなく、現在も男性への恐怖は消えてはいない。


異形種出現後

西部を降霊術師から救った存在が盗賊だと知り、強い憎しみに取り憑かれてしまう。

自分を襲った暴漢と同じ【犯罪者】でありながら、人々に英雄視されているのが許せなかった為である。

増大する魔女の憎しみを危惧した魔導師により強制的に追い出されるが、神父(盗賊)に懺悔したことによって改心。

(目を向けるのは過去の陰惨な出来事ではなく、現在共に過ごす人物・魔導師であると気付いた)


神聖術師が魔導師の洞窟を襲撃した際に、魔導師の持つ全ての力、魔力を譲渡される。

魔導師が自身に施した陣(常時元素供給を可能にする刺青のような紋様)も受け継いだ。

北部騒乱の際、劣勢の勇者に加勢を試みるが、勇者に諭され、魔術師として人々の傷を癒すことを優先する。

その後も戦いには最後まで参加せず、戦の終わりと、勇者の無事を願っていた。


現在は、これまで個々で行動していた黒魔術師の組織化を目指して行動している。

黒魔術師とは医療術師のように医療に従事せず、戦闘用の魔術を扱う者達を差す。

隠れ住む者が多いことから、人々に危険視されるようになった。

それが魔術師狩りが起きた要因の一つとなってしまった。

加えて、彼等は一般人とは違い、正しい歴史を知っている。

今現在、魔神族が過去に存在していたと知る者は極僅かである。

>>>>

才能はあるが未熟、やや傲慢な気質。

口は非常に悪く、態度も悪い(男性にのみ)。

しかしながら、魔術師の信条(魔術とは我が身ではなく、他者を癒す為に生まれた)

を理解しており、力を求め堕ちた魔術師(召喚士)に誘われた際には即座に断っている。

>>>>

2時45分に手が触れる懐中時計(購入したのは勇者)を気に入っているらしい。


【精霊】

女性 年齢不詳の元素体

剣士と共に勇者と旅をしていた。
何時、何処で剣士と出逢ったのかは不明。


剣士亡き後、彼女が勇者を支えていた。

修業に明け暮れる中、苦悩する勇者の相談に乗っていたのも彼女である。

魔術の施された陣などには元素によって干渉出来るが、個人で魔術を使用出来ない。

古き時代では魔術師だったらしく、飽くなき探求の末、編み出した魔術と己の体を棄てたという。

魔術師時代は非常に傲慢な人物で、世界の全てが自分の物であると考えていたらしい。


北部騒乱の際、魔導師の遺体を器として復活を遂げ、勇者が囚われていることを盗賊に伝えた。

その後、監獄に囚われている魔術師全員から魔力を借り、神聖術師によって殺害される寸前であった王女を救う。

現代の歴史に影響を及ぼすのを良しとせず、戦いには参加しなかった。

例外として、現在の技術では開発不可能である魔導鎧なるものを製作している。

魔女と共に負傷者の傷を癒した後、魔導師の体と、魔術師達の魔力を全て返還した。

前スレ
勇者「救いたければ手を汚せ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1463238880/)

今書いてるやつ
勇者「救いたければ手を汚せ」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473263217/)

北王、西部現在、道化師の話とかは、こっちで書きます。

寝ます


ーーこの度はご協力ありがとうございます。
ーー早速ですが、勇者さんが姿を消したというのは事実ですか?

旅に出たのが失踪だと言うのなら、確かに姿を消したわ。

人間を見捨てただとか、義務を放棄しただとか、色々と言われているようだけど……


ーーええ、確かに……そんな声もありますね。


あなたはどう考えているのかしら。

私に何かを問うのなら、私の問いにも答えてちょうだい。


ーー私は、彼が失踪したとは思いません。


あらそう。

あなたの中で答えが出ているなら、それでいいじゃない。

今更私の声を文字にしても、勇者を擁護する記事だとしか思われないでしょう?


なのに何故、こんな場を設けたのかしら?


ーー世間では彼を批判する方もいますが、彼の真意を知りたい方もいます。
ーー何より、私が記事にするのは私の答えではありません。事実です。


ハァ、事実ね……

最近はどうしようもない記事が多いようだけれど、同業者としてどう見ているのかしら?


ーーどうしようもない記事、ですか。
ーーそうですね……

ーー北部の件もあってか、今や彼は最も注目される人物と言えます。
ーーですので、彼の記事を書けば売れるというのが現状です。

ーー中には憶測で彼の行動を判断し、想像を記事にする者さえいます。
ーー私は誤った認識を人々に植え付けるようなことはしたくない。


自分の記事なら誤った認識を改められると思っているの?

あなた、見かけによらず自信家なのね。自惚れとも言えるけれど。


ーー改めようとなどとは思っていません。
ーー私は一定の読者、賢い方に読んで貰えれば満足です。

ーー賢いと言うか……何が正しく、何が誤っているのか分かる方に、です。
ーー今、世間を賑わせている誤情報など、いずれは消えます。

ーー程なくして処罰の対象となるでしょう。
ーーでは、そろそろ再開しても宜しいですか?


ええ。確か、勇者が消えたのは事実か、だったわね。

先程言った通り、あの子は旅に出たわ。何処を旅するのかは知らない。


ーー何故、彼は旅に出たのですか?


その前に、一つ言っておくわ。

あの子は勇者と呼ばれているけれど、まだ十二歳の子供よ。

十二歳になった我が子を化け物の前に差し出せる? 戦えと言える?


人々の為、平和の為に戦えと言えるかしら。

自分の息子や娘が人を超えた力を持っていたとして、迷いなくそう言える?

戦いの度に傷だらけになる我が子が、英雄や救世主だと言われていることに、親は素直に喜べるかしら?

あなた達が言っているのは、そういうことなのよ?

……私に子供はいないから分からないけれど、誰よりも間近であの子を見てきたわ。

傷付き、悩み、涙する姿を。

……でも、それはあの子が決めた道、選択の結果に生じた出来事。

だから、私がとやかく言うこともない。

ただ、勇者に限らず、完全種や稀少種と呼ばれる彼等彼女等も、あなた達と変わらない。


皆、それぞれの人生がある。

如何に強大な力を持っていても、戦うか否か、それは彼、彼女の自由。

あの子は、戦う道を選んだわ。

強要強制されたわけじゃない、義務でも任務でもない、自分自身で決めたのよ。

今回の旅も、あの子が自分自身で決めたこと。


ーーでは、東王陛下は関係ないと?


ええ、巷では噂になっているようだけれど、東王陛下は一切関係ないわ。

勇者は自ら異形種討伐に参加しているだけで、軍に属しているわけではないのよ。

東部に身を置いていたのも修業の為であって、他に深い意味はない。


ーーしかし、東部の人々にとって、彼は東部の守護者と認識されています。
ーーだからこそ、彼の行動が波紋を呼んでいるのではないでしょうか。


ハァ…守護者ね。

……北部の件で分かるように、勇者の行動は東部に限ったことではないわ。

軍に属していないからこそ動ける場合もある。

勇者として、自分がどんな存在か明確にすべきだと思ったんじゃないかしら。

その答えが、旅に出ることだったんだと思うわ。


ーー勇者は東部のみを守護する存在ではないと?


まあ、人それぞれ様々な解釈があるから明言はしないでおくわ。

ただ、勇者は東部を見捨てたわけでも放棄したわけでもない。

やるべきことは何一つ変わらないわ。


ーー勇者だから、ですか?

ふふっ、そうね。

何処で何をしていても、あの子は勇者であろうとするでしょう。

時には目を背けたくなるような、醜いものを見ることになるでしょう。

きっと、つらいことの方が多いわ。

でも、それもあの子が選んだこと。結果は受け入れなければならない。

それが、苦痛を伴うことであっても……


ーー以前、言っていました。

ーー何があっても変わらないことがある。
ーー自分は、勇者だと……


そう。あの子、そんなことを……ふふっ…何だか少しだけ安心したわ。

……さて、質問は以上かしら? これから用事があるから、そろそろ帰りたいのだけど。


ーー最後に一つだけお願いします。
ーーあなたにとって、彼はどんな存在ですか?


……負けず嫌いで、あまり人の言うことを聞かない。時折過信することもある……

まあ、年相応かしら。子供らしい子供ね。

性根が真っ直ぐで不器用な、優しい子。

私が知る勇者は、そんな感じね。

没になったプロローグ


>>>>>

娼館主「みんな、今日もお疲れ様」


ーーはーい、お疲れ様でしたぁ
ーーせんぱーい、一緒に帰りましょうよ~

ーー何か食べてかない?
ーーおっ、いいね。じゃあさ、あそこに行こうよ。

ーーあんた達、太って客が減っても知らないよ。
ーーうっ、やめて下さいよ。


ワイワイ……ガチャ…パタンッ……


娼館主「ん~、疲れた疲れた」ノビー

道化師「……お疲れサマ」

娼館主「ん、ありがと。どう? 此処には慣れた?」

道化師「慣れるも何も、あくどい客のタマを蹴るだけの簡単な仕事だからね」

道化師「まっ、それで金貰えるんだから楽なもんだよ。ボクも楽しいしさ」ニコニコ


娼館主「……はぁ、程々にしときなよ?」

娼館主「大体、盗賊が罪を被んなきゃ、あんた死んでたんだからね?」

道化師「うるさいな、ボクは別に死んでも構わなかったんだ。アイツが勝手にしただけだろ」

道化師「姉さんを助けられなかったことは棚に上げて、好き放題言って消えやがって……」

娼館主「……盗賊のこと、まだ許せない?」

道化師「許すとか、許さないとか……そういうんじゃない。大体、何であんなに平気でいられるんだ」

道化師「降霊術師だか何だか知らないけど、自分の戦いに巻き込んで、姉さんを死なせたクセに……」

道化師「何で、あんな風にしていられるんだよ。いつも、へらへらしてさ。少しくらい

娼館主「あの子…姉さんの死を悲しんで欲しかった?」


道化師「…………」

娼館主「ふーっ、一つ言っておくけど、私は盗賊が薄情だと思ったことはないよ」

道化師「何でだよ!あんな薄情なヤツのどこが!!」

娼館主「ぎゃあぎゃあ喚くな、うっさいんだよ。人の話は最後まで聞きな」

道化師「…っ、分かったよ」

娼館主「それでいいの。あんたさ、悲しんでる面を見せられれば満足なわけ?」

娼館主「そんな男は腐るほどいるよ? そこら中にわんさか、それこそ掃いて捨てるほどにね」

娼館主「私らみたいな女の死を本気で悲しむ奴なんていやしない」

娼館主「嘘の感情なんてのは数日程度が限界…」

娼館主「大半の奴は1週間も経たないうちに、他の女に金払って腰振ってる」


娼館主「金の払いが良くて愛想が良くて紳士的でも、私らに対する感情なんて、所詮はそんなもんなの」

娼館主「貢ぎ物も、愛の言葉も、その場だけ。他の娼婦にも同じようなことしてんのさ」

娼館主「そういう男は、今までに数え切れないほど見てきた」

娼館主「……あんた、男から貰った物、いつまで身に付ける? あんたが娼婦なら、どうする?」

道化師「えっ…好きでもない男からの、しかも客からの貢ぎ物? いつもは嫌だな」

道化師「娼館以外で会う時とか、そういう時だけじゃないの? 違う?」

娼館主「ううん、それが当たり前。そんなもの、いつまでも身に付けてられない」

娼館主「でも、盗賊は今も身に付けてる」

娼館主「ほんの一時だけ、巫女ちゃんに預けたみたいだけどね」

道化師「そんなの当たり前じゃん。自分に惚れてる女からの贈り物なんだから」


娼館主「ふーっ、好きでもない男からの貢ぎ物なんて、いつまでも身に付けてられない」

娼館主「あんた、さっきそう言ったよね?」

道化師「言ったけど、それがなに?」

娼館主「好きでもない男が滅多刺しにされて、腕の中で息絶えて……」

娼館主「全身血塗れになった姿を見てんのに、そいつに貰った物を身に付けてられる?」

道化師「そんなの無理に決まっ……て…」

娼館主「私の言いたいこと、分かった?」

道化師「…………」

娼館主「盗賊は捨てなかった」

娼館主「手首には着けてた痕があったし、巫女ちゃんに預けた時以外に外したことはない、と思う……」

娼館主「何の根拠もない、ただの勘だけどね。まあ、どっちにしても、あんな男はそうはいない」


娼館主「まず、私なら絶対に無理」

娼館主「どんなに良い品だろうと、気味が悪くて迷わず捨てるか、質に入れる」

娼館主「いくら自分に心底惚れてた男だったとしても、そんなの持ってらんない」

道化師「で、でもっ、盗賊だって姉さんを…」

娼館主「仮に愛していたとして、自分なら出来るわけ?」

娼館主「血塗れの女に死に際に愛してるって言われたからって、後生大事に肌身離さず?」

道化師「……それは…」

娼館主「ふん…自分は出来もしないのに他人に理想を押し付けるんじゃないよ、小娘」


道化師「…ッ」

娼館主「いい? さっきも言ったけど、上っ面で悲しむなんてのは誰でも出来る」

娼館主「たとえ死んでいようが、惚れた女に泣き顔見せないのが男ってもんなんだよ」

娼館主「だから笑うの。それも、あの子の望むような、とびっきりの笑顔でね」

娼館主「惚れた女を失望させない。生きてる限り、理想の男であり続けるんだってさ……」

娼館主「まっ、これは店主から聞いたことだけどね。でもさ、どれだけ大変なことか分かる?」

道化師「……………」

娼館主「あの子が惚れた男は、あんたが考えてるような、あんたが見てきたような、屑な男じゃないよ」

娼館主「あんたも色々あったみたいだし、男が醜い生き物だと思うのは分かる」

娼館主「けど、そろそろ疑心で塞がった目を開けてもいいんじゃないの?」

娼館主「大好きな姉さんが本気の本気で、目を閉じる最期の最期まで愛した男なんだからさ」

娼館主「別に、許せだとかは言わない。ただ、あの子が愛した男を馬鹿にするのは止めて……」

娼館主「……あの子の友達として、それだけは止めて欲しい」


道化師「……あの、さ」

娼館主「?」

道化師「……姉さんは、どうだった? 最期の時、どんな顔してた?」

道化師「刺されたって聞いたし、あまり訊きたくなかったんだけど……教えてよ」

娼館主「笑ってた」

道化師「……えっ…」

娼館主「女って、あんなに綺麗な顔で笑えるのかと思ったよ。何て言うか人間を超えてたね、あの笑顔は」ウン

娼館主「……瞳はきらきら輝いて、盗賊の頬に添えた手は、赤ん坊を撫でるみたいに優しくてさ」

娼館主「これから死ぬっていうのに、盗賊を安心させるみたいに、ふっと微笑んで、満足そうな顔して……」

道化師「……盗賊は、姉さんを愛してた?」

娼館主「う~ん……多分、死の間際までは惚れてなかったと思う」


道化師「えっ、それは…どういうこと?」

娼館主「死に際に魅せた天使みたいな微笑で、盗賊の心をまんまと盗って逝ったの」

娼館主「道具もなく変装もせず、微笑み一つで大悪党の心を奪うなんてね。あの子は凄いよ…本当に」

道化師「……姉さんはボクの理想だった。綺麗で優しくて、賢かった」

道化師「盗賊と関わることが、どれだけ危険なことなのか。それくらい分かってたはずだ」

道化師「きっと、分かってても離れたくなかったんだろうな……」

娼館主「何とかして振り向かせたかったんじゃない? あの子、負けず嫌いだったしね」

道化師「…うん…そうかもね………グスッ…」

娼館主「……ねえ。さっきから、ずっと言いたかったんだけど…いい?」

道化師「…グスンッ…な、何だよ…」

娼館主「真面目な話をする時くらい、お面を外しなさいよ……」

道化師「あっ、素で忘れてた。でも、今はムリ」

娼館主「……ほら、これで拭きなさい。顎とお面の隙間から涙と鼻水が垂れてるから」


道化師「…………」フキフキ

娼館主「何で隙間から……そんな面倒なことしないで、外して拭きなさいよ」

道化師「…グスッ…嫌だね」

娼館主「はぁ…」

道化師「泣き顔を見せたくないんだ」

道化師「姉さんには笑ってて欲しい。それに、アイツに出来て、ボクに出来ないわけない」


『居場所が欲しくて、誰かに構って欲しくて駄々こねてるガキみてえなもんだ』

『こいつの罪は、俺が全部貰っていく。後のことは、お前に任せる』

『幸い、でっかい翼もあるし楽に逃げられる。時間は掛かるだろうけど、そいつのこと、よろしく頼むわ』


娼館主「(盗賊の言ってた通り、誰かに受け入れて欲しかったのか、それとも居場所が欲しかったのか……)」

娼館主「(それは分からないけど、時間が経てば、この子は変わる。きっと変われる)」

娼館主「(悪党には悪党が寄ってくる、か。私には、傷を負った者同士が惹かれ合うようにも思える)」チラッ

道化師「……ンー…グスッ…」フキフキ

娼館主「(その結果、この子は救われた。盗賊にも、そんな存在が……あっ…)」


『あたしね…あんたが…好き…愛し…てる……』ニコッ

『…っ、ああ、分かってる……』


娼館主「(……あぁ、そうか。そうだった。現れるわけないか。もう、いるんだから)」

>>1に書いていますが、削れてる部分を埋めたり、書けなかった人を書いていく感じになります。

北王と片脚の監視、近衛兵天国編、中隊長地獄編。

花屋親子と勇者と悪い魔女、懐中時計と王女様、双子の魔法使い、酒場の店主と治癒師。

四人の魔術師(麻雀)、魔導鎧/隊長の奪還。

ゆっくり書いていきます。

読んでる方、ありがとうございます。


【元素】

火、水、土、風 四つの属性があるとされる。

通常は無害であるが、元素濃度を極端に高めた場合、人体(魔神族や完全種を含む)に深刻な傷を与える。


【医療術に扱う場合】

四属性の間を行き来する『色に染まる前』の不定の元素を使用。

主に魔力濃度の調整、体内に流し込む魔力を薄める為に扱われる。


【魔術師の場合】

四属性から詠唱で一つを選び、自身の魔力に元素を付与することで、魔術を発動させることが出来る。

土や水は目視出来る為、魔術の基礎として比較的想像し易く、発現させ易い。

風は目視できない上に、水以上に流動性が高く不規則で、流れを捉えるのが難しく、操作は困難。

高位魔術師であれば、浮遊や加速などが可能になるが、動きの中で常に調整しなければならない。

火は『其処にある』『元からある』ものではない為、起点から想像しなければならない。

その為、発現させる場合は『発火』と、風による『燃焼の維持』をしなければならない。

扱いは困難だが威力は高いが重量がない。四属性の中で一番希薄である。


【異形種出現後の元素】

武器(槍や弓や銃)に陣を彫り込み、元素供給を施した物が数多く製造された。

但し、魔神族の体表面を突破貫通するのは容易ではなく、魔核を貫くのは至難の業である。


【?】

盗賊が登った南部の霊峰のように、極稀に、魔術が使えない程に元素濃度が薄い場所。


【その身が何に変わろうと】
【彼女の想いは変わらない】

精霊「さあ、目覚めなさい」

神聖術師「…ン…それは、私の体か」

神聖術師「なら、今の私は…魂の具現か? だが何故?」

神聖術師「魔術にも生にも未練はない。そう言ったはずだ。さっさと消してくれ」

精霊「最初はそう思っていたのだけれど、気が変わったの」

精霊「あなたの肉体…魂すらも私の物。あなたが手にした、勇者への恋心以外はね」

神聖術師「……何が言いたい」

精霊「死に際、未練はないと言っていたけど、勇者に未練はないのかしら?」


神聖術師「ある」

精霊「ふふっ、大変素直でよろしい」

精霊「あなたなら、そう答えると思っていたわ。私が、やり直させてあげる」

神聖術師「!!?」

精霊「どう? 話に乗る?」

神聖術師「断るわけがないだろう」

神聖術師「私は何をすればいい? いや、何でもする。何でも言ってくれ」

精霊「いえ、何もしなくていいわ。あなたは、勇者の傍に居ればいい」

神聖術師「……それは願ってもない話だが、条件があるんだろう?」

精霊「まあ、そうね。あなた、犬と猫どちらが好き?」


神聖術師「ねこだ」

精霊「あらそう。じゃあ、猫にするわ」カッ

ズズズ…

神聖術師「…………」チョコン

精霊「あら、可愛いらしい。それなら、きっと勇者も気に入るでしょう」

神聖術師「ちょっと待ってくれないか」

精霊「何かしら?」

精霊「勇者の傍に居られるのなら、何でもすると言ったじゃない」

精霊「まさか、不満だなんてことはないでしょうね。なら、今すぐ消すけど…」

神聖術師「違う。条件に不満はない、猫だろうと構わない」


精霊「なら何? 犬の方が良かった?」

神聖術師「いいや、そうじゃない。見た目に関して少々…」

精霊「……いいわ。早く言いなさい」

神聖術師「助かる。まず、毛色は白で統一してくれ」

神聖術師「それと、瞳の色は緑だ。尻尾は、やや長めに頼む」

神聖術師「後は、性交…交尾は出来ないようにしてくれ、発情した雄猫に襲われるのは避けたい」

精霊「……………」スッ

ズズズ…カッ!

白猫「ん、これで満足だ」

精霊「あなたって、本当に面倒な女ね」

白猫「姿が猫になろうと、容姿には妥協したくない。あなたもそうだろう?」

精霊「まあ、分からなくはないわね」

白猫「……私の体では不満か?」

精霊「体にも顔にも不満はないわ。これはこれで気に入ってる」


精霊「まあ、私には劣るけれど」

白猫「なら、元の顔に変えればいいじゃないか。あなたには造作もないだろう?」

精霊「それをしてしまうと、全てが昔に戻ってしまいそうで嫌なのよ」

白猫「狂える魔術師は自分を畏れる、か。勇者には過去を打ち明け

精霊「…………」カツンッ


ズズンッ! ビシビシ…


白猫「!!?」

精霊「この私と、立場が対等である」

精霊「などと勘違いしているのなら、痛みを与えなければならない」

精霊「過ちは、正さなければならない。罰しなければならない。分かるな」

白猫「ッ、口が過ぎた、済まない。許してくれ」


精霊「分かればいいのよ」

精霊「ハァ…要らぬ言葉で、私を刺激するのは止めて頂戴。とっても疲れるから」

白猫「(命拾いした。勇者と彼女の関係には、金輪際口出ししない方が良さそうだ)」

精霊「もう話すこともないし、そろそろ行ってもらうわ」

白猫「一つだけ聞かせてくれ。何故、私を?」

精霊「……条件が揃っていたからよ」

精霊「勇者に異常なまでの恋慕の情を抱き、自らの命すら捨てる覚悟のある者」

精霊「加えて、幾らかの繋がりも持たない者。要するに、使い勝手のいい命……」

精霊「どう考えても、あなたしかいないでしょう?」

白猫「私の愛を認めてくれていると、そう解釈してもいいのか?」

精霊「前にも言ったけれど、否定はしないってだけよ。認めるなんて言ってないわ」

精霊「それと、あなたが何を企もうと勝手だけど、やり直しは一度きり。次はない」


精霊「一応、忠告しておくわ」

白猫「……肝に銘じるよ」

精霊「あぁ、何もしなくていいとは言ったけど、孤独を紛らわせる努力はしなさい」

白猫「それは、命令か?」

精霊「命令なんかじゃないわ。個人的に、お願いしてるだけよ」

白猫「(……命令じゃないか)」

精霊「それに、あなただって距離を縮めたいでしょう?」

白猫「ああ、勿論だ」

精霊「なら、いつも傍に居なさい。勇者と同じ景色を見なさい」


白猫「(……妙な言い回しだ)」

白猫「(私を通して勇者を見るつもりなのか? やはり、他にも意図があるようだな)」

白猫「(この体にも、何やら様々な細工が施されているようだが……)」

精霊「解析するなら後にしなさい。それじゃ、飛ばすわよ?」

白猫「……ああ、やってくれ。機会をくれたこと、感謝するよ。ありがとう」

精霊「恨まれるならまだしも、礼を言われるようなことはしてないわよ」

白猫「私の素直な気持ちだ。感謝の言葉くらい受け取ってもいいだろう?」

精霊「煩い猫ね…さっさと行きなさい」スッ


バシュッ…シーン……


精霊「あの子、きちんと食べてるかしら。一人だと食生活が乱れるし……」ウーン

精霊「ハァ…こんな所を見られたら、勇者に笑われるわね。退屈凌ぎに編み物でもしようかしら」


【その身が何に変わろうと、彼女の想いは変わらない】


【続・魔女っ子☆三姉妹】


精霊「……ペルソナ」カッ


神聖術師「ペルソナッ!!」カッ


魔導師「ペル…ソナ…!!」カッ


魔女「………」

魔女「ペルソナァッ!!」カッ


本編中にもふざけたくなる寝ます。


【酒場の治癒師】

治癒師「ぷはぁ~っ、美味しいっ!!」ドンッ

店主「あまり飲み過ぎるなよ」

治癒師「大丈夫ですよぉ~」

治癒師「……あれ~? 前に来た時は賑やかだったのに、今日は人が少ないですねえ」

店主「お前が因縁を付けて暴れたからだ」

治癒師「あれは向こうが悪いんらッ!!」

店主「先に手を出したのはお前だ。医者が怪我人を出してどうする」

治癒師「生き遅れのババアとか言う奴が悪いんだ!まだギリギリ二十代なのにっ!!」バンバン

店主「揺れるから叩くな。酒瓶が倒れる」

治癒師「……あ~、そうでしらぁ、店主さんは結婚しないんれふか~?」


店主「縁がないからな」

治癒師「……私じゃ、駄目ですか」

店主「もっと若い奴がいるだろう」

治癒師「必要なのは若さじゃないでしょう。はぐらかさないで下さい」

店主「…………」

治癒師「病室で二人を…盗賊君と巫女ちゃんの寝顔を眺めていた貴方の顔はとても優しくて……」

治癒師「私はあの時から貴方を…貴方のことが……だから私…あなたの傍にいたい……」

店主「飲みすぎだ。お前には入院中に世話になった。風呂や厠の世話までな」

治癒師「私は医者としてじゃなく、女として貴方を支えたいんです…女として……」

治癒師「貴方と、盗賊君と、巫女ちゃんと、四人で暮らして…それで…へへっ…」ガクンッ


治癒師「…スー…スー…スー…」

店主「……面倒な女だ」

治癒師「…スー…スー…スー…」

店主「……悪くない女なんだが、結婚出来ない理由はこれだろうな」

治癒師「…またまたぁ…だらら精霊さんは…結婚出来らいんれすよぉ~」

店主「おい」

治癒師「ふぁい、なんれすら?」

店主「本気で家庭が欲しいなら、酒をやめろ」

治癒師「…はぁい…分かりますら……」ガクンッ

店主「二日酔いに利くものでも作っておくか……」


酒場の治癒師 終わり

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom