ゴキブリ「なに、本当か?」
男「共存するとは言ってないよ。ただ話を聞くだけだよ」
ゴキブリ「ありがとう、助かるよ」
男「うん」
ゴキブリ「私達ゴキブリは元々森に住んでいたんだ」
男「なら森に帰れよ」
ゴキブリ「話は終わってない」
男「すまん」
ゴキブリ「気にするな。まあ、森から君達人間の住処に移住したのは快適だからだ」
男「ほほう」
ゴキブリ「森とは違い外敵も君達が追い払ってくれるし餌も君達のおこぼれが貰える。なんなら君達の身体から抜けた毛なんかでも十分暮らせる。できれば、玉ねぎとかが欲しいけどね」
男「でも見た目がキモい」
ゴキブリ「君に言われるなんて相当だな」
男「あ?」
ゴキブリ「…こほん。話を戻そう。私達は蚊や蜂の様に君達襲わない。噛み付くかもしれないが生命の危機が迫った時だけだ。無闇やらたらに噛み付いたりはしない」
ゴキブリ「どうかな?無理に私達を駆除する必要はないと思うが」
男「いや、見た目がキモいんだって…」
ゴキブリ「…そればかりは仕方ないだろ…仕方ない。ならば部屋の隅やタンスの隙間などで暮らそう。そうすれば目につかないだろ?…いや、そもそも私達は夜行性だし余り見ないのではないか?」
男「今日だけで3匹殺した」
ゴキブリ「oh…」
男「だって、いろんなバイキン持ってそうで怖いし」
ゴキブリ「それこそ憤慨だ。私達は四六時中身繕いをしているから綺麗だぞ?」
男「そうなの?」
ゴキブリ「ああ。身なりは出来るだけ気をつけているからな」
男「…へー…」
ゴキブリ「…君達の目に入らないように生きていく。だから一緒に住まわせてくれないか…?」
男「……」
ゴキブリ「……」
男「…共存するメリットが」
ゴキブリ「食べかすや床に落ちた君達の老廃物を食べよう。なんなら歯垢や長すぎる鼻毛や中に溜まった鼻くそなども 「ごめん」 」
男「ほんとごめん」
ゴキブリ「…そうか。なに、仕方のないことだ。謝らないでくれ」
男「とりあえず、俺以外にも共存を求めてみたらどうだ?」
ゴキブリ「はっはっはっ、私達ゴキブリの話を聞いてくれる変人…もちろん、良い意味でだよ?なんて、いないさ。問答無用で殺されておしまいさ」
男「そうでもないぞ?」
ゴキブリ「…なに?」
男「いるじゃないか、画面の前に」
ゴキブリ「!!」
男「本当にゴキブリが嫌いなら最後までこのSSを読んだりしないよ。むしろ開いたりしない」
ゴキブリ「た、たしかに!」
男「逆に言えば最後までこのSSを読んだって事はゴキブリの事を好きか、嫌いじゃないかのどちらかだ。だからこのSSを読んだ人の所に行くといいよ。きっと話を聞いてくれる」
ゴキブリ「おぉ!たしかにその通りだ!」
男「善は急げ。今から読んだ人の家に家族を連れて行くといいよ」
ゴキブリ「ありがとう男…そうするよ!」
男「いえいえ」
ゴキブリ「では画面の前の皆さん、家族を連れて話し合いに向かわせてもらうよ。あ、ドアや窓を開けておく必要はないからね。手頃な隙間を見つけて中に入らせてもらうから」
ゴキブリ「できるなら、受け入れてくれると嬉しい」
カサ...カサカサ...カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ.....カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカ...
おわり
読んでいただきありがとうございました!
ふと気になったんですがティッシュに包まれた僕らの子種もゴキブリにとってはごちそうなんでしょうか?
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