※2年生時の秋という設定です。忍とカレンのデート回より前です。
※原作でもちらりと名前が出ただけの田辺先生という人が登場します。数学の教員という設定です。
――――――――
―――ある日の、朝の事。
カレン「オハヨウ………ゴジャイマース」
アリス「おはよう、カレン!
あれ、どうしたの?なんだか元気が無いね」
カレン「ソウデショウカ………」
アリス「明らかに元気が無いよ!
どうしたの、一体!?
こんなに元気が無さそうなカレン、見た事無いよ……!」
カレン「実ハ………
………こないだの、数学のテストで、80点を取れたら………
新しいネックレス買ってくれるって、ママと約束をしたデス」
アリス「あ、そういえば言ってたね~。
あっ、でもカレンは……… 確か78点で………」
カレン「そうなのデス。それで………ママと、喧嘩してしまって………」
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――――――
―――今朝の話(英語で話してると思って下サイ)
カレンマム『そういえば、この間のテストはどうだった?
良い点を取れていたら、ご褒美をあげる予定だったけれど』
カレン『ハッ………エート、ソノ………』
カレンマム『………目標には達さなかったのね』
カレン『イ、イエ!80点!!デス!!!』
カレンマム『えっ、本当!!?』
カレン『あ………ハイ』
カレンマム『………な~んだ、それならそうと言いなさいよ~。
分かったわ、カレンに、約束通りご褒美を買ってあげましょう』
カレン『ワーイ!!!』
カレンマム『でも一応………
そのテストを、見せてもらえるかしら?』
カレン『!!!!!』
カレンマム『どうしたの?』
カレン『あ~、え~っと………
て、テストは無くしちゃったデス!』
カレンマム『ええっ!?どういう事………?
……… ………』
カレン『わ、我ながら、ウッカリデス!
ママにも、見せてあげたかったのに~………』
カレンマム『さては、嘘をついているわね』
カレン『!!?イエ!決して………!!』
カレンマム『じゃあ見せなさい!
………そこに置いてあるバッグを、調べさせてもらうわ』
カレン『!!! わ、だ、駄目デスー!!!』
カレンマム『………!78点………80点無いじゃない!!』
カレン『え、えーっと、80のような物デス』
カレンマム『でも実際には78点よ』
カレン『で、でも!!!
私は、頑張って勉強をして、前よりすごく大幅に点数が上がったんデス!!
だ、だからその、ネックレスを』
カレンマム『………駄目よ』
カレン『What!?』
カレンマム『駄目。今回はご褒美はお預けにするわ』
カレン『な、何故デス!?
たったの2点じゃないデスカー!!!
前よりすごーく高得点デスヨ!!』
カレンマム『点数の問題じゃないの!ご褒美はお預けです!いいわね!!』
カレン『なっ………!!!
そんなっ…2点ぐらいでケチらなくても~!!!』
カレンマム『―――!』
カレン『お、お願いしマス!
私はこのご褒美の為に、懸命に勉強を重ねたのデス!その結果デス、どうか』
カレンマム『駄目ったら駄目』
カレン『………っ!
ネックレスの一つくらい、良いじゃないデスカー!!
ママは、ケチ臭いバカヤローデス!!!』
カレンマム『………なんですって?』
カレン『………!』(こ、怖い………ケド………)
カレンマム『カレン、言葉遣いには気をつけなさい』
カレン『わ、私の頑張りを、認めてくれたって良いじゃないデスカー!!!』
カレンマム『カレン、私はあなたの頑張りを認めていない訳ではないわ』
カレン『認めてないじゃないデスカ!!
もうママなんて知らないデス!!!バカー!!!!!』
カレンマム『待ちなさい!!!』
――――――――
アリス「それはカレンが悪いよ………」
カレン「うぅっ………でも私だって、私だって………」
アリス「カレン。あなたのマムは、カレンが78点だったから、
ネックレスを買わなかったんじゃないと思うよ」
カレン「エ………?」
アリス「カレンの頑張りは、きっとマムに伝わっているよ。でも………」
キーンコーン
アリス「あっ、授業始まっちゃう!!ごめん、カレン、後で話そうか!!」
カレン「あっ、アリス……… ………Alice………」
―――A組
香奈「はぁ、一限目から家庭科か~」
穂乃花「香奈ちゃんは久世橋先生ちょっと苦手だよね」
香奈「そう~、良い先生だってのは分かるんだけどさ~、
厳しいし、私は成績微妙だからよく睨まれちゃうんだよね~。
しかも今日はテスト返しじゃん、つらー」
穂乃花「ふふ。
でもカレンちゃんは、よく睨まれてるけど、仲良さそうだよね!羨ましいなー」
カレン「………ハイ………」
穂乃花「……カレンちゃん?元気ないね」
香奈「仲良さそうって返しじゃないぞー」
穂乃花「えーっ、でもいつもは………」
カレン「………」
久世橋「はい、静かに!授業を始めます!!」
――――――――
―――授業終わり
久世橋「―――今日は以上です。
あと、九条さん。お昼休みになったら被服室に来なさい」
カレン「!!!」ビクッ
穂乃花「ありゃりゃ………また呼ばれちゃったね」
香奈「ほんと常習犯だなーカレン。
よくやるよね、あの久世橋先生相手にー………私ですら家庭は真面目に受けてるのに」
綾「ちょっと、カレン!久世橋先生、かなり怒ってるわよ!そろそろ真面目に提出物を出さないと………」
忍「待って下さい。綾ちゃん」
綾「?」
忍「カレン………どうかしたのですか?様子がおかしいですよ」
カレン「………」
綾「………確かに、いつものカレンと違って、笑い飛ばしもしないわね」
穂乃花「どうしたの、カレンちゃん。今日、ホントに元気が無いよ………」
カレン「………行きたくないデス」
香奈「つっても、呼ばれちゃったら行くしかないだろー」
穂乃花「そうそう、それに今日の午後は、全校生徒のマラソン大会があるよ。
先生たちは皆その様子を見に外に出て来るから、逃げられないんじゃないかな」
綾「ハッ!!!マラソン大会!!!!!」
香奈「嫌な事思い出させるなよー」
綾「なんでそんな物がこの世に存在するの………?人生に必要無いじゃない………」
香奈「そこまで言う…?」
穂乃花「あ、でもなんか、今朝ニュースでやってたけど、この辺に不審者が出たらしいね」
綾「それよ!!
それを先生に伝えれば、きっとマラソン大会も中止になるわ!!!」
香奈「中止にはならんだろ、流石に」
綾「生徒の身の安全が第一のはずよ!そうよ!!私、先生に掛け合ってみるわ!!!」
香奈「小路さんなんか普段より行動力上がってない!?」
忍「そうだ、カレンがこんなに落ち込んでいるのは、マラソン大会があったからなのですか?」
カレン「………」フルフル
綾(………首を振るだけで、返事もしない………相当まいっているようね)
綾「どうしたの?カレン。何かあったなら、相談して欲しいわ」
忍「そうです、私達がついていますよ!!
もし何か、カレンのような金髪少女を泣かせる人が居たならば、
我々金髪同盟が、全力でその相手に、制裁を下します!!!」
穂乃花「ええっ、私まで…?
それに、もし久世橋先生が原因だったらどうするの?」
忍「は……っ………
く、久世橋先生と言えど……… 言えど……………
かっ、烏丸先生にだきしめの刑に処してもらいます!!」
穂乃花「可愛い制裁だね………
………でも本当に、元気が無いね。何か、あった?」
カレン「大丈夫………デス」
忍「本当ですか…?私にはそうは見えません」
カレン「いいんデス!私は………大丈夫デスカラ」
香奈「………まぁ、カレンのような元気な子でも、
たまにはそっとしといて欲しい時ってのが、あるんじゃないの」
穂乃花「そうなのかな……… ………」
綾「………そうだ、アリスを呼びましょう!
アリスだったら、きっと相談に乗りやすいはずよ!」
忍「あっ、でももう授業が始まっちゃいます!」
綾「だったら次の休み時間に………」
忍「あっ、でもC組は次の休み時間からお昼まで、家庭の調理実習なので………」
綾「そうなの!? ……………大丈夫かしら、カレン」
――――――――
―――お昼休み、被服室
久世橋「来ましたね?九条さん。」
カレン「………」
久世橋「分かっているとは思いますが、この前の実習の後の提出プリントが未提出です!
それだけではなく、その前の回の物も……!
どうしてあなたはそう、提出物を出さないのですか!!」
カレン「………」
久世橋「それに、その結果がはっきりと、テストにも出ていました!
20点とは何ですか!もう少し真面目に勉強を………」
カレン「その、この前のテストは…ちょっと事情が………」
久世橋「事情って何ですか!
毎回提出物を出していないのですから、必然です!!
来年には受験生になるのですよ!あなたはもう少し努力という事を覚えて………」
カレン「私だって努力してるデス!!!」ガタンッ
久世橋「!!?」
カレン「でも………デモッ、皆、分かってくれない………
………みんな私が悪いって言う………
もう……… もう……………!!!」
久世橋「くっ、九条さん?泣いてるの……?」
カレン「ぐすっ、ふ、ふえぇ………っ」
久世橋「!!!!!」(お、怒りすぎたかしら!!?)
カレン「………」
久世橋「く、九条さん!!
ご、ごめんなさい、私はその、貴女が駄目な生徒だと言っている訳ではなくてですね?
その、あなたは―――」
カレン「もういいデス!!
提出物は次回、必ず持って来マス!!
スミマセンデシタっ!!!」ダッ
久世橋「あ………っ………」
―――職員室
烏丸「今日は全校生徒マラソン大会ですね~♪
私も応援しなくちゃって、張り切ってジャージにしちゃいました♪」
田辺「いや、烏丸先生、いつもジャージですよね………」
烏丸「いえ!今日のジャージは、ちょっと特別仕様なんですよ~!
今日はC組の応援の為に……… あら~?」
久世橋「わ………私は………私は、なんて事を………」
烏丸「久世橋先生!?どうしたんですか~!!?」
久世橋「………烏丸先生………
その、私、九条さんを………ついキツく怒りすぎてしまって………」
烏丸「あらあら~」
久世橋「く、九条さんに………泣いて逃げられてしまって………」
烏丸「あの九条さんが?何かあったのかしら~」
久世橋「この前のテストが、いつも以上に悪かったから………
ちょっと注意をしようと呼んだら、叱りすぎたみたいで………」
烏丸「そうなのですか~………」
田辺「九条さんといえば………
あの子、今回数学の点数がすごく伸びたんですよ」
久世橋「えっ……!?」
田辺「いつも数学は赤点ぎりぎりだったのに、今回だけ80点に達しそうなくらいに伸びて」
烏丸「そういえば田辺先生、A組の数学担当でしたね~」
田辺「細かいミスで減点されて、やや惜しい結果になりましたが…
計算ミスさえなければ、90点はありましたよ。
今回は相当勉強を重ねたんだろうなって、伝わってきました」
烏丸「すごいですね!
……じゃあ、前回のテストは、数学に集中しすぎて、
家庭科まで気が回らなかったって所だったのかしらね~」
久世橋「………!!あぁっ、事情って、もしかして………
そんな事も知らずに、私は九条さん自身を否定するような事を………!!!」
田辺「ま、まぁでも、自分の科目のテストで、悪い点を取られたら、
そりゃぁ怒りたくなるものだと思いますし、久世橋先生が悪いという訳でもないと思いますが………」
キーンコーン
烏丸「あ、そろそろ外に、マラソン大会の応援をしに出ましょうか~!」
田辺「そうですね………久世橋先生も、気を落とさないでください」
久世橋「……………」
―――校庭
綾「死ぬ………
どうして?どうして町中を走る必要があるの?
1000mでも死んじゃいそうなのに、4kmなんて走る必要があるの………?」
陽子「私はこういう風にガッツリ走るのって、たまにしか出来ないから好きだなー!」
綾「頭………おかしいんじゃないの!?」
陽子「そんなマジな顔で言われても………」
忍「アリス!頑張りましょう!掛け声は『ふわふわ!』ですよ!!」
アリス「う、うん………辛くなったら、使ってみるね………」
忍「あ、あと。
今日、カレンの様子がおかしいのですよ。
アリス、この大会の後に、相談に乗ってあげてくれませんか?」
アリス「あっ、そういえば、今朝……!!
ま、まだ落ち込んでたの?カレン」
忍「はい、元気が無くて。
私達が相談に乗ろうとしても、静かに否定されてしまうのです」
アリス「じゅ、重症だ………!どうしようっ、今からでも………」
忍「でももう、マラソン大会が始まってしまいそうです」
アリス「う~~~………後で絶対相談に乗ってあげなくちゃ………」
香奈「今年のマラソン大会、町中まで走る事になるし、ルート複雑だからちゃんと覚えておかないとな」
穂乃花「そうだね………香奈ちゃん、頑張ろうね!上位に入ったら、表彰してもらえるよ!」
香奈「まぁぼちぼちかなー」
穂乃花「えーっ。香奈ちゃん、本気出せば絶対上位に食い込めるのにー」
香奈「そうかな?」
穂乃花「そうだよー。いつも体力テストで上位取ってるでしょ?」
香奈「持久力は無いんだよ、私は」
穂乃花「………面倒くさいから?」
香奈「それが半分」
穂乃花「もう半分は……… ………目立ちたくないから?」
香奈「そ!分かってんじゃん、さすが友人」
穂乃花「も~………私だって下手なりに頑張ってるのに!
………あれっ、カレンちゃんは………?」
香奈「ん、いるよ。あそこ」
穂乃花「………すごい暗い雰囲気………久世橋先生に怒られたのかな」
香奈「………穂乃花、後で励ましに、近所のクレープ屋さんにでも誘ってあげれば?」
穂乃花「ええっ!? そ、そんな~………私から誘うなんて、恐れ多い………」
香奈「逆に二人で話すチャンスかもしんないよー?
今日、なんか大宮さん達でさえ触れられないほど元気無かったみたいだし」
穂乃花「ちゃ、チャンスって!
もう、カレンちゃんは真剣に悩んでるんだよ!!!」
香奈「ははは、でも穂乃花に誘われたらきっと喜ぶよ」
穂乃花「そうかな………」
香奈「私だったら喜ぶね。奢りだ!って」
穂乃花「喜ぶ所そこ!? も~!」
香奈「はははっ………あ、そろそろ始まるね。」
穂乃花(………カレンちゃん、大丈夫かな………)
『位置について! よーい……… はじめ!!!』パンッッ
――――――――
―――――
烏丸「がんばれポール~♪ ふわふわ♪」
久世橋「………」
烏丸「………久世橋先生、大丈夫ですか?」
久世橋「え、ええっ!
わ、私も、落ち込んでばかりいては、生徒達に示しがつきませんから!」
烏丸「そう………?無理はしちゃ駄目ですよ~」
久世橋「はいっ!」
田辺「………不審者が現れなければ良いんですけどねえ」
烏丸「えっ、不審者!?」
田辺「はい、昨日この辺で見かけられたようですよ」
久世橋(!?)
烏丸「そ、そんな………!
教え子達が、そんな魔の手に捕まったらどうしよう………」
田辺「あっ、いえいえ!冗談ですよ…!
今は真っ昼間ですし、それに、複数の体育の教官が、マラソンのルートを見張っていますから!」
烏丸「も、もう………びっくりさせないで下さい………」
田辺「あぁ、すみません………」
久世橋(……………)
――――――――
―――――
陽子「ふぅ、ふぅっ。
こうやってがっつり走るのも、たまには良いけど………
………ふー、流石に、疲れてくるなぁ。ちょっと休憩するか………?」
香奈「………」
陽子(あれ?あの子、なんか見た事あるな。誰だっけ)
香奈「………」
陽子(………すげー、息一つ切らさずにあの速度………
………っし!私も、負けてられないな!!!)ダッ
香奈「………!」
香奈(猪熊さん………だっけ?カレンのグループによくいる………
………穂乃花が期待するもんだから、今回は割と気合入れて走ってるのに………
もうこんな前に居るんだ、すごい…!
………負けてられない!)ダッ
穂乃花「はぁ、ふぅ………待ってよ~………
香奈ちゃん、全然見えなくなっちゃった………
でも、見えなくなったって事は、いつもより、やる気を出しているのかな?
………私も、頑張らなくっちゃ!」
――――――――
―――――
綾「はぁ………はぁ………
ここを左、よね………
………ルートは複雑だし、長いし………
はあぁっ……… つ、辛いわ………
陽子はとっくに先に行っちゃったし………
………うぅ~………」
忍「ふわっふわ~♪ ふわっふわ~♪」
綾「あ………し、しのに追いつかれる………
うぅっ、しのってば、息一つ切らさずに………」
忍「あ、綾ちゃん!こんにちは~♪」
綾「ま、待ってぇ、しの………
わ、私、疲れすぎて、一緒に走る、同志が要るの………」
忍「大丈夫ですか?綾ちゃん。まだ半分はありますけれど」
綾「うぐっ………無理……… ほんと無理………」
忍「すみません、私、ペースを崩せなくって、
この速度より速める事も遅める事もできないのです………
後でまた会いましょう!」
綾「うぅ~!! 裏切り者ぉ~………」
アリス「ぜぇーっ、はぁーっ」
綾「あ………アリス!!!」
アリス「あ、アヤ………?その輝かしい目は一体………」
綾「こんな大会なんて無意味よね!一緒に走りましょう!!むしろ歩きましょう!!!」
アリス「う、うん………?」
――――――――
―――――
カレン「ハァ、フゥ………
………疲れた、デス………
えーっと………次はコッチ………?
アレ………? ココ、ドコ………???」
――――――――
―――校庭
烏丸「あっ、少しずつ生徒達が帰って来ましたよ!」
久世橋「ほっ」
陽子「はぁ………っ、はぁ………!走り切った~!!!
………ちぇっ、ギリギリ女子上位に入らずかー!」
香奈「はぁ……… ………やるじゃん」
陽子「あっはは、ほぼ同時だったなー!どっちが先にゴールしたんだろう?」
香奈「私だよ」
陽子「な、何その自信ありげな言い方ー!私かもしんないじゃん!!!」
穂乃花「ふぅ………っ、はぁ………!」
香奈「お、穂乃花。おつかれー」
穂乃花「はぁ、はぁ………香奈、ちゃん、速いよぉ………ふぅーっ………」
香奈「走る前には本気出してって言ってたじゃん」
穂乃花「………っ、うん」
香奈「てか、穂乃花、あのペースについて来たの?
かなりだよね………いつも走るの得意じゃないじゃん、あんた」
穂乃花「で、でも、香奈ちゃんの、背中を、追いかけるのが、好きなの!」
香奈「何だその趣味………じゃあ次はもっと速く走るわ」
穂乃花「そ、そんな殺生なあぁ~~~」
香奈「よしよし、お疲れ、ゆっくり休め」
陽子「あー、よく見ると思ったら穂乃花の友達かぁ。
………そういや、他のみんなは大丈夫かな?」
――――――――
――――その後
烏丸「えーっと………C組のみなさん、全員いますね?はい、OKです!
みなさん、お疲れさまでした~。今日はこれでおしまいです♪
帰る人は、気を付けて帰るように~!」
陽子「ふーっ、疲れたなー」
アリス「ハァ゛………ハァ゛………」
陽子「おいおい、アリス大丈夫かー?」
アリス「フゥ゛………大丈夫………」
陽子「本来ついちゃいけないとこに濁点がついてるぞー」
忍「ふぅー。お疲れさまです、綾ちゃん♪」
綾「」(死んでる)
穂乃花「疲れたねぇー………でも、今日はこれでおしまいだよ!」
香奈「テニス部はどうしたよテニス部は」
穂乃花「うぅっ、運動部は辛いよ………」
忍「………あれ?」
久世橋「はい、全員揃いましたか……? ん?誰か足りないような」
忍「先生! カレンがいません!!」
穂乃花「!!?」
香奈「まさか、道に迷ったのかな?カレンらしい………」
綾「」(死んでる)
久世橋「………!!!!」ガクガクガクガク
忍「ど、どうしましょうっ、警察に連絡を!!!」
香奈「落ち着きなよ!?
か、カレンの事だし、どっかで道草食ってるだけかもしんないじゃん」
久世橋「………み、みなさん、今日はこれで解散です!
九条さんは、こちらで捜索しますので、
皆さんは、ここで各自解散するように!それではっ!!!」ダッ
忍「く、久世橋先生?」
久世橋(なんだか、嫌な予感がする―――!)
―――――
『えっ、不審者!?』
『はい、昨日この辺で見かけられたようですよ』
―――――
久世橋(………九条さんっ!!!)
アリス「あれっ、久世橋先生?
なんだか、すごい勢いで走っていったけど………」
穂乃花「アリスちゃん………」
アリス「あっ、ホノカ!どうかしたの?」
穂乃花「か、カレンちゃんが、いなくなっちゃったの!!!」
アリス「えっ………ええええーっ!!?」
陽子「マジでか!?」
アリス「―――カレンっ!!!」ダッ
陽子「あ、おい、アリス!!!………まだ、走れそうじゃん」
忍「穂乃花ちゃん………私達も行きましょう!」
穂乃花「ま、待って、アリスちゃんも、忍ちゃんも………」
香奈「そ、そうだよ!
先生が捜索するって言ってたじゃん!
私達まで変な所を探したりしたら、それこそ危ないかも………」
忍「………そうかもしれません。でも」
穂乃花「アリスちゃーんっ!待って!!!………だめだっ、聞こえてない!」
忍「私は知っています。
アリスは………カレンの事が大好きなんです。
カレンの事を誰よりも心配しているのは、アリス………
だから、私達が言った所で、アリスは止まらないと思います」
穂乃花「ご、ごめん………私が、変な事伝えちゃったせいで………」
香奈「じゃあどうするのさっ!」
忍「アリスを一人にしてはいけません。私達も、追いかけましょう。
それに、私達にもカレンを探す為に、出来る事があるかもしれません。
カレンの動きには、普段から近くにいる私達の方が詳しいです。
もし休憩しているだけだとすれば、どこかのお店に入っている可能性がある。
カレンが行きそうなお店を探して―――聞き込み調査をしましょう!」
陽子「い、いつになくしのが頼りになる………流石、金髪が絡むとすごいな………」
忍「あっ、陽子ちゃんは、あちらの方をお願いします!」
陽子「あちら?」
綾「」(死んでる)
陽子「あー………分かった。
しの、穂乃花、香奈ー、気を付けてなー。カレンならきっと大丈夫だからー」
忍「分かりました!行きましょうっ、穂乃花ちゃん!!」
穂乃花「うん!!!」
香奈「えっ、私も行くの………?」
陽子「綾ー、大丈夫かー?」
綾「よ、陽子………ごめんなさい、心配をかけて」
陽子「はは、辛かったなー。よく頑張ったな、綾」ナデナデ
綾「なっ!!! な、何してるのよっ!!!」
陽子「? 撫でただけだけど………
それより、帰るか? 疲れたなら荷物くらい持つぞ」
綾「け、結構よ!!!」
陽子「何か知んないけど、こっちはあっさり元気出たみたいで良かったー」
――――――――
―――町中
カレン「ここはドコデショウ………
いつもこんな所に出て来ないし、完全に迷ってしまいマシタ………
ケータイも置いて来たバッグの中デス、うーん、どうしまショウ………」
カレン「………もうそろそろマラソン大会も終わった頃デス………お腹空きマシタ………」ぐぅ~
カレン「……… ………まぁ、良いデス!
たまには町を散策するのも、悪くありマセン!!
………それに………
………帰りたく、無いデス………」
―――――――――
―――――
穂乃花「それにしてもアリスちゃん、
相当、カレンちゃんを心配しているんだね」
忍「はい。昔からの親友ですし。
昔は、カレンは泣きながらアリスの後ろを着いて来たらしいですよ」
穂乃花「そうなんだ………あのカレンちゃんにもそんな時期が………」
忍「そんな時期を知っていたからこそ、
カレンが一人で居なくなったこの出来事に不安を感じるのかもしれません」
穂乃花「………」
忍「―――それでは、急ぎましょう!
アリスやカレンを一人にしていては、それこそ不審者の魔の手にかかってしまうかもしれません!」
穂乃花「あっ、そうだ!!
私、カレンちゃんの連絡先を知ってるんだったよ!!」
忍「………いえ、カレンも、鞄を学校に置いて来ている可能性が高いです。
電話やメールでは、今カレンがどこにいるのかは、分からないでしょう」
穂乃花「そっかー………」
香奈「………どうでもいいけどさ、私達も迷わないようにしないとヤバくね?」
穂乃花「大丈夫、私はこの辺りに住んでるから、この辺の事なら大体分かるんだ」
忍「流石は穂乃花ちゃん!頼りになります~!」
穂乃花「ところで、カレンちゃんが行きそうな所ってどこ?
忍ちゃんは詳しいって言ってたけど」
忍「………穂乃花ちゃんは?」
穂乃花「えっ、そんな、私カレンちゃんとデートなんて………1回くらいしか………」
忍「カレンと二人きりでデート!!?なんて羨ましい!!!」
穂乃花「えぇっ、あ、あれはそのぉ、なりゆきで………忍ちゃんは行った事ないの?」
忍「無いです!!!穂乃花ちゃんっ、抜け駆けですか!?」
香奈「ああっ、金髪同盟は今どうでもいいから!穂乃花、その場所ってどこ!?」
穂乃花「え、えーっと、あそこのデパートでお買い物を………」
香奈「とりあえずそこに行ってみよう!!」
――――――――
―――――
久世橋「………っ………そうですか。ありがとうございます!」
――― 一方、久世橋先生は、
自転車で町内を回りながら、道行く人々に金髪少女の行方を聞いて回っていた。
久世橋「未だ、情報は得られない………
この辺りは、マラソンのルートとそう離れていないはずなのに………
………ここまで見た人が居ないとなると、九条さんはもっと早くにルートを逸れていた………?」
久世橋「………」
久世橋(どうしてだろう………どうしてこんなに心配なの?
いえ、いなくなった生徒を探すのは、教師として当然の事………
………それにしても………どうしてこんなに、私は焦っているの?
今まで、こんなに勢いで行動したことなんて、無かったような………)
ふと、久世橋は自転車を止めた。
久世橋(確かに不審者は心配だけど………
今は昼だし、そうそう危険な目に遭っているとも限らない………
………九条さんが居なくなっただけなのに………何?
こんなに、心が落ち着かない……………
冷静になってみれば、先ほどマラソン大会が終わったばかり………
生徒は帰ったけど、私はまだこの後に職員会議も残っている……… ………
やっぱり、捜索は他の先生に任せて、私にもやる事が………)
……一度、学校に戻ろうとしたが、
頭の中に、最後に見たカレンの表情を思い浮かべ、彼女は思いとどまった。
久世橋(………そうだ。私は………九条さんに、謝らないと。
九条さんがいなくなったのは………
私が、酷い事を言ったせいかもしれない………
………でも……… ………いや!探さないとだめだ………!!
これは教師としてのっ、いえ………
一人の人間としての、義務です!!!)
彼女は、自転車を勢い良く走らせた。
久世橋「すみません、この辺りで、金髪の女子高生を見ませんでしたか!?
私の教え子なんです!」
通行人「ん?金髪………
それっぽい子が、そこの曲がり角を曲がって歩いて行くのを見たよ」
久世橋「―――! 本当ですか!? ありがとうございます!!!
………九条さんっ、待っていて!!!」
――――――――
―――職員室
田辺「あれ?そろそろ職員会議なのに………久世橋先生が居ませんね」
烏丸「あー………
えーっと、今日のマラソン大会中、九条さんがいなくなった、なんて話が出てて」
田辺「ええっ!?」
烏丸「今日の職員会議に参加しない先生達の中でも、
数人捜索に向かっているようなんですが………」
田辺「えっ、久世橋先生もそちらに?」
烏丸「そうみたいです………」
田辺「え、でも久世橋先生は今日の会議に参加しますよね?
他の教員が捜索しているというのに、どうして久世橋先生まで………」
烏丸「………九条さんは、先生にとって、特別な存在ですから………」
田辺「そうなんですか?」
烏丸「はい。いつも叱っているように見えますけど、
それでも笑顔を振り撒いて、接してくれる九条さんに………
教えられた部分、救われた部分も多いのだと思います。
そんな子だから、放っておけなかったんでしょうね………
すみません、私が気付いた時には、もう久世橋先生は居なくて」
田辺「あ、いえ………でも、今日の職員会議は、どうするんでしょうね」
烏丸「………私が、会議の前に、掛け合ってみます」
田辺「えっ!?」
烏丸「久世橋先生は、教師としてすべき事をしているのですから。
私が議長を説得して、今日は不在が許されるように、頼み込んでみます」
田辺「うーん………そんな事が出来るのかなあ」
烏丸「なんとかします。
………だから。
久世橋先生、心配は要りませんよ~♪」
一回ここまでとします
そんなに長いssでもないので次の投下で終わると思います
致命的なミスを発見しました………
>>18にて、この後にテニス部があると穂乃花と香奈が嘆いていますが、この描写は無かった事にしてください
この日はテニス部お休みって事で
―――――――――
―――――
アリス「すみませんっ、この辺りで、金髪の高校生を見ませんでしたか!?」
通行人「い、いや………見てないけど………」
アリス「そうですか、ありがとうございます!!」
通行人(小学生の子かな?お姉ちゃんを探しているのかな………)
アリス「………カレン………一体どこにいるの?
それに……………どうしよう、私まで迷っちゃったかもしれない………
カレン………!!!」
久世橋「!? カータレットさん!!!」
アリス「あっ!?く、クゼハシ先生!?」
久世橋「そうかっ、さっきの人はカータレットさんの事を言っていたのですね!
でもどうしてこんな場所に?」
アリス「わ、私は………カレンがいなくなったって聞いて………
居ても立ってもいられなくなって………」
久世橋「………!」
アリス「クゼハシ先生もそうだったんですね」
久世橋「あっ……… ………そ、そんな事はありません!
その、同じクラスの生徒が居なくなったとなれば、探すのは、義務ですからね!
それより、カータレットさんは何か、手がかりが掴めましたか!?」
アリス「いえ、何も………」
久世橋「そうですか………
この辺りまで人に聞きつつ来ても、手がかりがない………
もっと前に、ルートを逸れていた可能性がありますね」
アリス「………カレン………」
久世橋「でもカータレットさんといえど、一人での行動は危ないです!
一緒に探しましょう、良いですね?」
アリス「………はいっ!!」
――――――――
―――――
―――
カレン「いつもと違う風景………あっ、公園がありマス!
へぇ~、この辺りにこーんな場所があったのデスネ。
こうして歩いてみるのも、たまには悪くないかもデス!」
カレン「………あー、でも、
そろそろ学校に戻らないと、心配をかけてしまいそうデス………
うーん、でもどうやって戻りマショウ?
見た事無い場所デス……… とりあえず近くの人に聞いて……… ………」
―――――
『どうしてあなたはそう、提出物を出さないのですか!!』
『20点とは何ですか!もう少し真面目に勉強を………』
『あなたはもう少し、努力という事を覚えて………』
―――――
カレン「………やめ、やめデス!
学校に戻ったって………また叱られマス………
『九条サン!どこをほっつき歩いていたの!真面目にマラソン大会に取り組みナサイ!』
………って………」
カレン「………それに、この辺りは見た事がない風景が並んでマス。
ちょっとブラブラしてみるのも、良いかもデスネ」
――――――――
―――デパート
忍「………うーん、情報が得られませんね」
香奈「ていうかさあ、今体操服なんだけど、
それでこんな所来る私達の方が怪しまれないかな」
穂乃花「そ、そうだよ~忍ちゃん、とりあえずここは………」
忍「いえ、カレンならば………
お金持ちなので、体操服のどこかにお金が入っている可能性はあります。
だとすると、このデパートに居る可能性も、0とは言い切れない。
とりあえず迷子センターに向かって放送を流してもらいましょう」
穂乃花「そ、それ、もしここにカレンちゃんが居なかったら恥ずかしいだけなんじゃないかな………」
忍「万が一の可能性を考えて、やれるだけのことは全てやっておきたいのです!」
香奈(金髪同盟の創始者半端ねえな……… 金髪の為なら恥も外見も無いよ………)
――――――――
―――――
久世橋「………いませんね、九条さん」
アリス「はぁ、ふぅ……… ………ごめんなさい、先生、ちょっと」
久世橋「はい?どうかしましたか?」
アリス「トイレ行きたくなっちゃって………
そこの公園で、行ってもいいですか?」
久世橋「あっ!すみません、全く気付かなくって。
どうぞ!!私は外で待っていますので!」
アリス「ごめんなさい~」
久世橋は一旦自転車を置いて、公園のベンチに腰掛けた。
久世橋「………ふぅ。
私ってば、九条さんの事を考えるあまり、隣で歩いているカータレットさんの体調にも気づかず………
全く、駄目ね………」
「~♪ ~♪」
久世橋「ん? ………鼻歌?」
聞き覚えのある声がして、後ろを振り向いてみると………
カレン「~♪」
久世橋「―――!!!
く………九条さん…………!!!!」
公園の外側に、カレンが歩いている姿が見えた。
カレン「ン? ………!?」
久世橋「九条さーんっ!!!」
カレン「!!!クゼハシ先生ー!?
ど、どうしてここに………っ!!!
と、とりあえず逃げないと!!!」ダッ
久世橋「九条さんっ、待って下さい!!!」
カレン「う~っ、待たないデス!!
っ、でも、さっきまで走ってたから疲れが………」
久世橋「九条さんっ!!!」ガシッ
カレン「っ………先生………あ、あの………スミマセ」
ぎゅっ
カレン「!!?」
久世橋「九条さん………っ!!!無事で、本当に良かった!!!」
カレン「What!?」(だ………抱きしめられている!?な、ナゼ!!?)
久世橋「………本当に、心配していたんですよ!!!」
カレン「ア……… せ、先生………」
久世橋「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
カレン「え………あ………無いデス」
久世橋「そう、良かった………!」
カレンを抱きしめる久世橋の力が強まる。
カレン「あ………エーット………その………
………申し訳、ありませんデシタ………」
久世橋「………謝るのは私の方です!」
カレン「エッ!?!?」
久世橋「すみません、先ほどはつい、きつく叱ってしまって………
でも、田辺先生にお聞きしました。
今回、数学の点数が大幅に上がったそうですね、九条さん」
カレン「!!! ………あ、あー………気まぐれデス………
す、スミマセンッ、家庭の点数だけ、ワザと低くした訳じゃないのデス!!
お願いしますっ、ご慈悲ヲー!!」
久世橋「分かっていますよ」
カレン「……アレ?」
久世橋「一つの科目に集中して勉強し、まず結果を出すのは、とても良い事です。
………まあそりゃ、家庭科でも良い点を取って欲しかったですが………
でも、九条さんも陰ながら努力していたのですね。
私ってばそうとも知らずに、九条さん自身を否定するような事を………」
カレン「あ、あの………」
久世橋「九条さん、あなたは………
その、提出物は出して欲しいですけど、悪い子ではありません。
ちゃんと努力すれば、ちゃんと結果を出せる子です。
だから………えーっと………」
カレン「………どちら様デスカ?」
久世橋「久世橋朱里ですっ!!!」
カレン「だ、だって、こんなのクゼハシセンセーじゃないデス!!」
久世橋「貴女の中で私は一体どういう存在なのですか!?
………確かに九条さんには、まだ直すべき点が一杯ありますけど、
でも今回は………九条さんの心情を知らずに、いつもよりきつく叱って………
泣かせてしまった私にも、責任はあります。
で、ですから今のは全て本心ですよっ!?」
カレン「あ………ぁ………」
久世橋「な、何で怯えるんです!?」
カレン「ぐすっ、ふ、ふえぇ………っ」
久世橋「!!?!?!?!?」(まっ、また泣かせてしまったー!!!)
久世橋「く、くく九条さん!?
わ、私何か、またまずい叱り方をしていましたか!!?
え、えーっと………お願いだから泣き止んで………」ナデナデ
カレン「ち、違いマス……… ………嬉しくて………」
久世橋「!!!!!」キュンッッ
カレン「………わ、私………
苦手な数学を、今回は、本当に努力しマシタ………
でも80点には届かなくて、そのせいで、ママにも叱られて………
喧嘩をしてしまっていたのデス………」
久世橋「! そうだったのですか………」
カレン「………デモ、ゴメンナサイ………
やっぱり、悪いのは私デシタ………
私、マラソン大会で道に迷って………
帰ったら、叱られると思って、帰らなかったのデス………」
久世橋「九条さん………」
カレン「クゼハシセンセーがっ、ぐす、
こんなに、心配してくれたのに………っ!うっ………」
久世橋「! ………何も、気にしなくて良いのですよ。
それに、九条さんの身に何も無く、こうして見つかって、本当に良かったです」
カレン「うわああぁぁ~ん………」
久世橋(かっっ………可愛すぎる………!!!こっ、これが金髪の天使ですか!!?)
アリス「………良かったね、カレン」
カレン「!? Alice!?」
久世橋「あっ、カータレットさん!
すみませんっ、九条さんを見つけたもので、つい公園の外に………」
アリス「いえ、いいんです。
それよりも、ありがとうございます。カレンも、少し楽になったようですし」
カレン「あ、アリス………っ」ゴシゴシ
カレン「アリス、探しに来てくれたのデスカ?」
アリス「当たり前だよ……!
カレンが居なくなったって聞いて、本当に心配したんだから!!」
カレン「………アリス、ありがとう………」
アリス「ううん、大丈夫!
………カレン。カレンが努力していた事は、みんな知ってるんだよ。」
カレン「ハイ………クゼハシセンセーは知っていマシタ………」
久世橋「田辺先生から聞いてですけどね」
アリス「うん。
でもね、クゼハシ先生だけじゃないよ。
カレンのマムだって、きっと同じ気持ちだったと思う」
カレン「ママが………?でも今朝、ママは私を叱りマシタ………」
アリス「カレンのマムは、カレンの点数が、80点にならなかった事を叱ったんじゃないの。
カレンが、78点だったのに80点だと嘘をついて、ネックレスを買って貰おうとした事。
それに怒ったんじゃないかな?」
カレン「ウグ………」
アリス「せっかく努力して良い点を取れたのに、それに嘘をついて誤魔化そうとされた。
そんな事をされたら、誰だって怒るよ。
………カレンの成績が良くなって、カレンのマムは嬉しかったからこそ、
そこに嘘が混ざっちゃってた事に怒ったんだよ、きっと」
カレン「確かに………そうかもしれマセン………」
アリス「あと2点だったのに、ケチってご褒美をくれなかった訳じゃない。
カレンが嘘を吐いちゃったから、ご褒美をくれなかったんだよ。」
カレン「………」
アリス「カレン、何か目標を持って、それの為に努力する事は、本当に美しい事なんだよ。
だから、もしその結果が、目標に届かなくったって、誤魔化しちゃ駄目。
ご褒美がもらえないのは、残念かもしれないけど………
昔からハッキリした性格で、嘘もつかない、正直な子。それがカレンの良い所じゃない!
だから、ね?
カレンがマムと喧嘩して、落ち込んじゃったのも分かるけど………
嘘を吐いた事は、ちゃんと反省しないとダメだよ。分かった?」
カレン「………分かりマシタ………」
久世橋(すごいっ、カータレットさん………!
あの九条さんを、真正面から叱って、完全に従わせているなんて………!!
小さくて可愛いのに、指導力もあるのですね…!私も見習わなくちゃ………)
アリス「………なら、よろしい!
カレンも、十分反省してるみたいだし………
それに、クゼハシ先生の胸で泣いて、発散出来たみたいで、何よりだよ!」
久世橋「!!」
カレン「な………っ、ち、違いマス!泣いてなんかいマセン!!」
アリス「泣いてたよー、カレン。まだまだ子供なんだから」
カレン「違いマスー!!アリスの方が子供デス!!!」
アリス「子供みたいなうそは吐かないもーん」
カレン「~~~!!!アリスー!!!」
アリス「あははっ、私の方がお姉ちゃんだもんね!」
久世橋「………良かった、いつもの九条さんに戻ったようで………
………二人とも、帰りましょう!」
アリス「あっ、はーい!」
カレン「はい!帰りマス!!」
久世橋「元気が出たようですね、九条さん」
カレン「はい………反省しマシタ。
ドンマイ、デス! 私もう、嘘をつきマセン!!」
久世橋「そうですか。
九条さん、『提出物は次回、必ず持って来ます』と言っていましたよね?」
カレン「What!!!?!?」ビクッッ
久世橋「忘れたとは言わせませんよ?
もう嘘はつかないと言いましたよね? 必 ず ですよ?」
カレン「ヒイィッ、いつものクゼハシセンセーデス!!」
アリス「あはは、次は他の科目でも良い点を取らなくちゃね。
私もカレンに、勉強教えてあげるよー」
カレン「………いえ、結構デス」
アリス「えっ?」
カレン「次こそは私の力で………!良い点を取ると決めマシタ!!」
アリス「おぉ~、すごい成長だよ、カレン!!」
カレン「分からない所があったら、聞くくらいはするかもしれマセンが………」
アリス「大歓迎だよ!! それを聞いたら、きっとマムも喜ぶよ!!!」
久世橋(九条さん………!なんて良い子………!!
素晴らしいです、これならきっと、次回のテストは大丈夫ですね………)
――――――――
―――――
忍「うぅ、しばらく待っても、見つかりませんでしたね」
香奈「だから言ったのに………私達も帰らないとさ、色々まずいかもよ」
穂乃花「うぅん………アリスちゃんとカレンちゃんは本当に気がかりだけど………
でも、確かにちょっと早とちりしすぎた感は………」
久世橋「あら………大宮さん達?」
忍「!!?」
アリス「シノ!?」
カレン「ホノカに、カナもいるデス!!」
穂乃花「カレンちゃんっ!!!良かった~っ、見つかったんだね!!!」
久世橋「もしかして、あなた達も探していたのですか?」
忍「はい! でも見つかっていたのなら良かったです~」
香奈「私が着いて来た意味全くねー………」
穂乃花「カレンちゃん~~~!!!」
カレン「ホノカ! ご心配おかけしマシタ………もう大丈夫デス!!」ニコッ
穂乃花(なんて眩しい笑顔………!良かった、いつものカレンちゃんだよ~~~!!)
忍「あ、アリス………」
アリス「あっ、大丈夫だよ。カレンなら、もう完全に元に戻ったから」
忍「いえ、そうではなくてですね」
アリス「?」
忍「どうして一人で走って行ってしまったりしたんですか!?
私、すごく心配したんですよ!!!」
アリス「う………そ、そうだね、ごめん………
カレンが居なくなったと思ったら、居ても立っても居られなくなって………」
忍「私だって! アリスが居なくなってしまって………!
アリスが不審者に、お菓子で連れて行かれたらどうしようかと、心配で~~~!!!」
アリス「子供扱いしすぎだよっ!!!流石にお菓子は無いよ!!!」
忍「アリスうぅ~~~」ぎゅっ
アリス「うぅ、でも、何も言わずに来ちゃって………
シノを心配させちゃったのは事実だよね、ごめんね~シノ~~」ぎゅっ
久世橋「………あああっっっ!!!」
香奈「?」
久世橋「そ、そうだった、私も何も言わずに来ていたんだった………!!!
今頃職員会議が………!!!一刻も早く戻らないと、でした!!
すみませんっ、みなさん、私は自転車で先に学校に帰っています!!!
皆さん、みんなで一緒に、気を付けて下校するのですよ!!!」
香奈「………あ、はい」
久世橋「それではー!!!」
忍「アリス~~~!」
アリス「シノ~!!」
穂乃花「カレンちゃん………」
カレン「ホノカー!」ニコニコ
香奈「……………」ポツーン
香奈「………帰りますか………」
―――職員室
久世橋「はぁ………っ!!!
申し訳ありません………!遅れました!!!」
烏丸「あら、久世橋先生、意外と早かったのね~」
教頭「久世橋先生。居なくなった生徒は見つかりましたか?」
久世橋「え………?あ、はい………
今、大宮さん達と一緒にこちらに帰ってくる頃かと」
教頭「そうですか!それは何よりです。会議を続けましょう」
久世橋「え………っ………?」(何のお咎めも無し?いいんでしょうか、これで………)
烏丸(久世橋先生♪)
久世橋(………まさか!)
烏丸(ぐっじょぶ♪ですよ♪♪)
久世橋「~~~~~!!!!!」
烏丸(大体の事情は私が説明しておいたので、大丈夫です♪
さ、ここに座って下さい?)
久世橋(烏丸先生ええぇぇ~~~っ!!!)ペコペコ
田辺(流石だ………)
――――――――
―――――
穂乃花「あ、あの、か、かかカレンちゃん!!
今日、か、帰り、良かったらどこか寄らない!!?
く、クレープ屋さん、とか………!!」
カレン「本当デスカ!?
すごく嬉しいデス………でも………!
………やる事があるので、今日は帰りマス!」
穂乃花「!! ………そ、そうなんだ!ごめんね!」
カレン「いえ、嬉しかったデス!!また今度一緒に行きまショー!!」
穂乃花「あ、うん………ばいばい………」
香奈「………」
穂乃花「そうだよね………カレンちゃんにもカレンちゃんの、やる事が………」
香奈「あー!落ち込むなって!!!」
穂乃花「お、落ち込んでなんてないよ!
カレンちゃんに元気が戻っただけで!私は幸せ………!!!」
香奈「………」
穂乃花「………ちょっとだけ………行きたくなくも、無かったけど………」
香奈「………はぁ。行こう、穂乃花」
穂乃花「えっ?」
香奈「クレープ屋。奢るから。
………私が奢るなんて滅多に無いんだから、感謝してよ?」
穂乃花「香奈ちゃんんんんん~~~~~!!!!!」
―――カレン邸(以下英語)
カレン『………あ、あの、ただいま………』
カレンマム『………おかえり』
カレン『あ、あのっ、ママ!』
カレンマム『?』
カレン『今朝は、その……… 嘘をついてしまって!ゴメンナサイ!!!』
カレンマム『………』
カレン『わ、私、嘘をついてまでご褒美を得ようとしてしまいマシタ!
それに、ママに暴言まで吐いて、本当に反省していマス………
お、お叱りならいくらでも受けマス!
ママを………ママを裏切るような事をしてしまって………本当にっ………ごめん、なさ………』
カレンマム『カレン』
カレン『!!!』ビクッ
カレンマム『良かった。自分の間違いに気づいたのね。
私、カレンの点数が前よりも大きく上がって、とっても嬉しかったのよ。
だから、嘘なんかで誤魔化して欲しくなかった………』
カレン『ごっ、ゴメンナサイ!!どんな罰でも受けマス!!!』
カレンマム『罰なら、もう与えたわ』
カレン『………えっ?』
カレンマム『嘘をつくのは悪い子。
けれど………良くない事をした後に謝るのは、それ以上に良い子じゃないと、出来ない事なのよ。
あなたの顔を見たら分かるわ。
今日、あなたはとても悩んだでしょう?
帰ってくるのにも、きっとたくさんの勇気が要った事だと思う。
それが、私があなたに与えた罰よ』
カレン『ママ………』
カレンマム『カレン、今日は帰りたくないと思ったでしょ?
私はてっきり、また大宮さんの家に転がり込むのかと思ってたわ』
カレン『!! ………本当は、少し考えていマシタ………』
カレンマム『でもあなたは、それをしなかった。
真正面から、私に謝る為に、ちゃんと家に帰ってきた………
………良い子ね、カレン』
カレン『ママ………!!!』
カレンマム『さぁ、今日はマラソン大会だったのでしょう?
疲れたでしょう、カレン。おやつにしましょう!
あなたの為に、ミートパイを作っておいたのよ』
カレン『!!!本当デスカ!?
やったー!!!ママのミートパイ大―――好きデス!!!』
カレンマム『ふふ、あなたが帰って来なかったら、私とパパで食べていたわ』
カレン『帰ってきて良かったデース!!!』
カレンマム『勇気を出したカレンに、ご褒美よ』
カレン『………あの、ママ!』
カレンマム『?』
カレン『私、ご褒美のネックレスが欲しい為に、嘘を吐いてしまいマシタ。
だから、次こそ、今度は目標の点数を取った時に、ご褒美を下サイ!!』
カレンマム『カレン………!』
カレン『もしかしたら、次も目標に、達さないかもしれマセン。
でも、嘘は吐きマセン。いつか絶対、目標を達成してみせマス!!』
カレンマム『………あぁ、カレン、本当に良い子ね』ナデナデ
カレン『私、頑張りマス!ママを見返す為に!!!』
カレンマム『そんな事をしなくても、もう十分………
……… ………いえ、そうね。
確かにカレンは、今回ちょっと数学が良かっただけで、他はまだまだね。
私を納得させてくれたら、次はもっと豪華なご褒美をあげるわ!』
カレン『!!! それは、期待しちゃってOKデスネ?』
カレンマム『OKよ?』
カレン『頑張りマース!!』
――――――――
―――職員会議後
久世橋「本当に、本当にありがとうございましたっ………
何と、お礼を言えば良いか………」
烏丸「いえいえ、久世橋先生にはいつもお世話になってますから~。
それより、九条さんとは仲直りできたのかしら?」
久世橋「はい………!九条さんは、本当に良い子です。
改めて、よく分かりました」
烏丸「そう、良かったわぁ~」
久世橋「でも、何も言わずに飛び出してきちゃって………
烏丸先生に事情を説明させてしまったのが、本当に申し訳なく………」
烏丸「良いですって~」
久世橋「いえ! 何か、お詫びというか、お礼をしたいと………」
烏丸「そんなの、いいのに~………」ぐぅ~
久世橋「………あっ」
烏丸「あらやだ、私ったら」
久世橋「分かりました!
今日は烏丸先生に、特製のお料理を振る舞います!!!」
烏丸「ええ~っ!?本当!?最高のお礼だわ~!!!」
――――――――
―――――
カレンパパ『………良いのかい?
せっかくカレンの為に、今日買いに行ったネックレスなのに』
カレンマム『いいのよ。
………カレンは、私が思っていたよりも、良い子だったわ。
次のテストの時には、きっとそれを渡せるはず。
だから今は、カレンを信じて。それはしまっておきましょう』
カレンパパ『そうかい。それなら、そうしよう』
カレンマム『………パパにばかり甘えていると思ったけれど。
カレンも、ちゃんと成長していたのね』
カレンパパ『ええっ、なんだい、それは』
カレンマム『ふふ、次のご褒美は私が渡すんだからね?
カレンにおねだりされても、買ってあげちゃ駄目よ』
カレンパパ『うーん、善処するよ………』
カレンマム『駄 目 よ ?』
カレンパパ『はい、分かりました………』
――――――――
―――しばらくして………
忍「そういえば、この前の不審者、無事捕まったらしいですよ」
綾「本当!?良かったわ~」
忍「これでアリスが連れ去られる事もありませんね!安心です!」
カレン「………イエ―――イ!!!!」
穂乃花「わっ、びっくりした………!」
香奈「テスト返しの後だってのに大声で喜ぶなよぉ」
忍「カレンも嬉しいのですか?」
綾「違うわよ。 カレン、もしかして今回こそ………?」
カレン「やりマシター!!」
綾「88点!すごいじゃない!!私より良い………」
カレン「これでネックレスと、新しいバッグを買ってもらうデース♪♪」
綾「えっ、なんかご褒美増えてない………?」
カレン「これくらいのご褒美は貰わないと、割に合いマセーン!」
綾「ふふふ、でも良かったわね、カレン」
忍「良かったですね~」
綾「………しの。私も今度ご褒美に、
あなたに新しい問題集を買って、みっちり稽古をつけてあげようと思うの」
忍「ひええぇぇ~勘弁です~~~!!!」
綾「流石に見過ごせないわ!」
カレン「そうデスヨ!!シノ、11点は流石にヒドーイ!デス!!!」
忍「カレンっ、声が大きいです~!!」
綾「あまりにもひどすぎるわ!!!カレンを見習いなさい!!!
アリスにも言っておくんだから、逃げられると思わない事ね!!」
忍「ひいぃ~~~!!!」
穂乃花「カレンちゃん、すごーい……!私も頑張らないと!!」
香奈「ハァ、私もそろそろちゃんと勉強しないとなー………」
穂乃花「いつも輝いていたカレンちゃんが、勉強面でも輝くようになって。
金髪の輝きもますます増してるような気がするよ~」
カレン「エヘヘー!
勉強が出来るようになった私に、怖いモノなんて、何一つ無い!のデス!!!」エッヘン
久世橋「九 条 さ ん 。 ちょっと来なさい」
カレン「怖いモノキターーー!!?」
香奈「お約束展開………」
――――――――
久世橋「今回のテストの点数!!!
前より低い10点ってどういう事ですか!?」
カレン「え、エート、前回以上に事情が………」
久世橋「数学が更に良くなったのは、田辺先生からお聞きしました」
カレン「! ………なら、分かってくれマスよね!ちょっと、努力しすぎた結果で………」
久世橋「それとこれとは話が違います!!!
それに、前回の裁縫の課題の提出物が、まだ出ていません!!!」
カレン「つ、次に持って………」
久世橋「もう騙されませんよ!!!
九条さんっ、今日の放課後は課題が完成するまで、被服室に居残りしてもらいます!!!」
カレン「ヒイイイイッッッ!!?
そんな!!! 今日はご褒美の日なのデス!!!どうか見逃して………」
久世橋「駄目です!!今日という今日は、絶対に出すまで帰しませんからね!!!」
陽子「お~、まーたやってるやってる~」
アリス「カレン、正直に努力するようになったのはいいけど、
今度は要領よくやる方法を覚えないとだね!」
カレン「こ、今度は久世橋先生と喧嘩になってしまいマシタ!?
で、でもこりゃ無理デス!ママより強いデス~~~!!!」
久世橋「待ちなさいっ!九条さん!!!」
おしまい
書いてから不審者を出した事の無意味さに気づきましたが、
平和なきんモザ世界に不審者なんて居なかったんだ!という事で一つ
読んでくれた方、ありがとうございました
映画化も決定したしきんモザssもっと増えろ~~~
という事で〆とさせて頂きます
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