不意に立ちあがったと思えば、妙な節を付けて読み始める
図書室にいた数人の生徒がこちらに注目するのを感じつつ
男「……なんだそれ」
振り返ってみると、やはりというか、なんというか
図書少女「坂口安吾ですよ、今日の現国で習いましたよね?」
男「そうではなく、こう、なんだ」
いたずらっぽい目元、得意げに細められた目、肩までの飾り気のない黒髪
図書少女「どうぞ」
男「いきなり、なんなんだ」
指定のブレザーを羽織り、芝居がかったポーズを決めてこちらを見ている少女
図書少女「今日も、君に構って貰いに来たんです」
オレンジ色のカーテンを遮るその少女は
図書少女「さびしがりや、ですから」
立て逃げです
終わり
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