モバP「なっちゃんと梅雨」 (27)
ザーザー
茄子「今日も雨ですねー」
凛「梅雨だからね」
光「雨だと、外で遊べないのがいやだなあ」
菜々「ナナは、髪が湿っぽくなるのが嫌ですねえ」
茄子「髪は女の子の命ですからね」
菜々「そう、女の子の命なんです!」
菜々「女の子のっ!」
凛「なんでそこ強調するの」
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光「髪かあ。今日は朝急いでたから、ちょっとぼさぼさかも」
茄子「たしかに、いつものくせっ毛以外にもぴょこぴょこはねてます」
菜々「光ちゃん、こっち。直してあげますよ」
光「いいの? ありがとう」
菜々「いえいえ、このくらいは」ニコ
茄子「………」
茄子(本人に言ったら微妙な顔させちゃうかもしれないけど。やっぱり安部先生は大人だなぁ)
茄子(私も、いつかはあんなふうに……)
想像の中の茄子『ナースミン、キャハッ☆』
茄子「いやいや、そっちはそんなふうにならなくていいですから」
凛「茄子さん? どうしたの、ぶつぶつ言ってるけど」
茄子「い、いえいえっ! ナスじゃなくてカコですよ!」
凛「知ってるけど……」
凛「私も、毎日雨だと気分が沈んでくるのはあるかも。そこはちょっと好きじゃないかな」
菜々「ブルーな気分になりがちですよね」
光「そういう時こそ落ち込んじゃダメだ! 辛い時でも前を向くのがヒーローだから!」
凛「あ、髪直ってる」
光「ありがとう菜々さん! なんだか力が湧いてきた!」
茄子「髪型をばっちり決めるとやる気が出るの、よくわかります♪」
凛「私達、そんなに髪型をいじってるほうじゃないけどね。菜々さんがポニーテールにしてるくらいだし」
光「とにかく、梅雨のじめじめに負けないように頑張ろうっ」
茄子「梅雨に負けるなキャンペーンですね♪ なにかP君からもらえませんかね?」
凛「梅雨に入っただけでプレゼントくれるわけないと思うけど」
菜々「そんな人がいたら、相当のお人よしですねー。一生ついて行っちゃうかも」
茄子「いやいやー、わかりませんよ? P君はなんだかんだで期待を裏切らない男ですから」
茄子「今は営業に出てますけど、きっとお土産に、駅前のお店でケーキを買ってきてくれるはずです♪」
凛「駅前の店って、結構値段高くなかった? さすがにそれを買っては」
茄子「信じないんですか?」
茄子「この『私』が言うんですよ?」ゴゴゴ
凛「な、なんかすごい威圧感」
菜々「幸運の女神が言うと説得力あります」
光「悪の組織の首領みたいだ……」
あ、忘れてた
1作目 モバP「なっちゃんという同級生」(モバP「なっちゃんという同級生」 - SSまとめ速報
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2作目 モバP「なっちゃんという担当アイドル」(モバP「なっちゃんという担当アイドル」 - SSまとめ速報
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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458315705/))
の、続きです
※結局、Pが買ってきたのは袋入りのキャンディーでした
茄子「予想が外れたので、P君に飴玉をあーんしてもらうことで我慢します♪」
P「わけがわからん」ホイ
茄子「はむはむ♪」
凛「予想が外れたら外れたで、無理やり幸運な展開に持っていったね」
菜々「本当、強い子になりました……」ホロリ
凛「感動するところなの?」
光「もぐもぐ♪」
別の日
ザーザー
茄子「P君P君」
P「なに」
茄子「暇です」
P「そうか」
茄子「ちゅーしていいですか?」
P「ダメ」
茄子「むむ、相変わらずそこの一線は守ってきますね」
P「なっちゃんだって同じだろう。冗談ばかりで、本気でキスを迫ってきたことは今まで一度もないし」
茄子「ふふ、まあそうなんですけど」エヘヘ
茄子「でも、たまにはハメを外したくなる時だってあるんですよ?」
P「ほう」
茄子「というわけで、ごっこ遊びしましょう♪」
P「ごっこ遊び? この前やった『恋人ごっこ』みたいなやつか」
茄子「はい♪」
P「まあ、少しくらいならいいぞ。俺も一息いれようと思ってたところだし」
P「それで、今日はなにごっこをやるんだ?」
茄子「友情ごっこ」
P「すっげえシビアなごっこ遊びになりそうだ」
茄子「というのは冗談で、本当にやりたいのは――」
凛「はあ、今日も結構濡れちゃったな……服」
凛「雨が本降りだと、傘だけじゃカバーしきれないんだよね……」
凛「おはようございます」ガチャ
P「なっちゃんは今日もかわいいな」
茄子「もう、P君たら。照れちゃいます♪」
P「俺は事実を言ってるだけだよ」
茄子「んもう♡ そういうP君も、かっこいいですよ?」
P「昔はもうちょっとイケメンがいいとか言ってなかったか」
茄子「恋をすると、女の子は変わってしまうんですよ。今はあなたの顔にめろめろです♪」ホッペツンツン
P「ははは、照れるなあ」
P「今日のなっちゃんは猫みたいに甘えん坊だ」
茄子「ネコじゃなくてカコですよ~」
いちゃいちゃ らぶらぶ
凛「………」
凛「……なにこれ。いつもより砂糖5割増し?」
光「バカップル? ごっこらしいよ」
凛「子どもがいる前で何してるんだか……」ハア
光「あとでヒーローごっこもやってくれるらしいから、アタシは別に大丈夫だけど」
凛「けど?」
菜々「ううう……バカップルの甘さ、胃に重いい」
光「菜々さんが大ダメージで」
凛「子どもより大人に効果抜群だった」
菜々「ナナはアイドル、ファンのみんなが支えてくれます……」ブツブツ
茄子「P君P君」
P「ん?」
茄子「私が今、何を考えているかわかりますか?」
P「んー……」
P「俺と同じこと」
茄子「……ふふ、正解です♪」
P「なっちゃん……」
茄子「P君……」トロン
菜々「ウサミンウサミングルコサミン……ウサミンウサミンプロビタミン……うっ」
凛「ふたりともストップ! 菜々さんがこれ以上耐えられそうにないから!」
光「よくわからないけど、バカップルってすごい技なんだな……」
その後
光「罪のない人々を苦しめたこと……許さないぞ、カコ!」
茄子「許さない? 理解できませんね。私はただ、全人類が幸福になれる未来へ舵をとっているだけなのに」
光「その未来のために、今生きている人たちをないがしろにしていいことにはならない!」
茄子「……平行線、ですね。あなたと私の意志は、決して交わることはないでしょう」
光「カコ……アタシはここで、お前を止める!」
茄子「止める……随分と大きな口を叩くのですね」
茄子「『奇跡』に愛された私に、ただのヒーローであるあなたが勝てるはずがない」キッ
光「……いや、そうでもないさっ!」
茄子「なんですって?」
光「ヒーローっていうのは、いつも『奇跡』を生み出す存在だ! だから、アタシは負けない!」
茄子「……いいでしょう。叩き潰してあげます」
光「いくぞ! うおおおおっ!!」
凛「かつてともに見た夢は遥か彼方。一方は絶望の果てに闇に堕ち、一方は愚直なまでに前へ進み続ける」
凛「崩れゆく舞台。苦しみもがく人々。カコの計画は最終段階へ」
凛「立ちはだかるヒカルは、かつての友を止めることができるのか」
凛「次回『過去と未来、光と闇』。こうご期待」
凛「……こんな感じでいいの?」
光「いい! すっごくいい!」キラキラ
光「次回予告のナレーションまでついたら、さらに燃えてきた!」
茄子「ふふ。やってみると結構楽しいですね、ヒーローごっこ」
凛「茄子さん、相変わらず冷たい演技がうまいよね」
茄子「これでも昔は、氷の女王としてぶいぶい言わせていましたから♪」
光「ねえねえ、もうちょっと続きやろう! ね!」
茄子「はいはい、いいですよー。面白いので♪」
光「やった!」
光「ナレーションもよろしくっ」
凛「二人の演技を見てアドリブで考えるの、なかなか骨が折れるんだけど……まあ、いいか」フフ
菜々「楽しそうですね。みんな」
P「そうだなあ」カタカタ
菜々「Pくんは、パソコンと格闘中ですか」
P「さっきまでなっちゃんと遊んでたから、やる気は十二分にある」
菜々「……そうですか」
P「どうしたの、先生みたいな優しい視線向けて」
菜々「うーん、そうですね。今はちょっと、アイドルから先生に戻っているのかも」
P「ナナ先生に?」
菜々「はい。教え子の成長を感じていたところです」
菜々「前から思っていましたけど。Pくん、大人になりましたよ」
P「それ、なっちゃんにも言われた」
菜々「あ、やっぱり」
菜々「昔のPくんは怠け者でしたから。遊んだら遊んだ分だけ、そっちに意識が向いて勉強しなくなるタイプだったし」
菜々「その点、今はオンオフついてるから立派です」
P「社畜根性がついてしまっただけじゃ」
菜々「もう、そんなこと言うんじゃありません」
菜々「ちゃんと4人のアイドルをプロデュースできてるんですから、もっと自分に自信を持つこと!」
P「おお、久しぶりにナナ先生の先生っぽい言葉が聞けた」
P「ありがとう」
菜々「またすぐにアイドルナナに戻りますけどね。ふふっ」
菜々「茄子さんのほうも、初めて会った時に比べたら変わりましたね」
P「本当、元気になったよなあ。たまにゲスいこと言うようにもなったけど」
菜々「それは、高校時代から一緒にいる誰かさんの影響じゃ?」
P「さてさて誰のことだろうか」
菜々「………」
菜々「みんな、楽しそうですよね」
P「うん? まあ、そうだな。しんどいこともあるけど、基本的には笑顔の絶えない職場だから。いろいろと」
菜々「いい場所ですね、それは」
P「面白いのが一番だからな」
菜々(そういうところが、茄子さんに影響を与えたんでしょうね)
P「ナナ先生も、楽しんでくれてる?」
菜々「もちろん」
P「そっか。それ聞いて安心した」
菜々「アイドルナナは、みんなと一緒にガンガン走っていきますよ!」
菜々「それと……『ナナ先生』も、こっそりみんなを見守っていますからね」
P「おお、それは怖いな。サボってたら怒られそうだ」
菜々「がんばってくださいね♪」
P「はーい」
菜々「あと。バカップルごっこは胃に穴が開きそうになるからNGです」
P「あ、はい」
その後
P「うーん。このへんに置くかな。邪魔にならないし」
茄子「P君? なにして……あっ。それ、七夕の笹ですか?」
P「当たり。もうすぐだから、そろそろ出しておこうかと思って」
茄子「いいですねー。たーなーばーたーさーらさらー♪」
P「こういう季節を感じさせるものを置いておくと、みんな喜ぶからな」
茄子「もちろん短冊もあるんですよね」
P「そりゃそうさ。ほら」
茄子「用意がいいですねえ」
P「まだ早いから、書くのはもう少し経ってからだけどな」
茄子「わかってます♪」
茄子「ところで、P君は何をお願いするつもりなんですか?」
P「サマージャンボで3億円」
茄子「うっわあ」
P「俗にまみれた願いで何が悪い。誰だって思ってるはずだ」
茄子「まあ、それはそうかもしれませんけどね」
P「そういうなっちゃんはどうなんだ? 願い事、決まってたりするの?」
茄子「私ですか? 私は……」
P「宝くじ?」
茄子「P君と一緒にしないでください」ジトーー
茄子「そうですね……私は、今の日々が続いてくれることですかね」
P「些細なようで難しい願い事だ」
茄子「わかっていますよ。だからお願いするんです」
茄子「なにも変わらないなんてことはありえないけれど……たくさんのものが変わっていく中で、大事なものだけは変わってほしくないかなあって」
茄子「月並みですけど、そう思います」
茄子「私にとっては、宝くじが当たることよりも、P君やみんなに出会えたことのほうが幸運ですから」
P「なっちゃん、たまに平気な顔してすごいこと言うよなあ」
茄子「ふふ。これでも照れてるんですよ?」
茄子「考えてみるとですね」
P「うん」
茄子「P君が最初にプロデュースしたアイドルは凛ちゃんですけど。その前から、プロデュース自体はやっていたのかもしれません」
P「誰を?」
茄子「言わなくてもわかりません?」
P「……なっちゃんをプロデュースしてたってこと?」
茄子「当たり♪」
茄子「昔はあれこれ面倒な人間だったのに、今ではすっかり単細胞なP君色に染められちゃいました」
P「さらっと毒を混ぜてくるよね」
茄子「そこのところもP君の影響を」
P「なんでも俺のせいにすれば許されるわけじゃないからな」
茄子「あ、ばれました?」
P「ったく」
茄子「でも、P君色に染められたのは本当ですよ?」
茄子「あなたがいなければ、きっと今の私はなかったと思うから」ニコッ
P「………」
P「まあ、うれしい……のかな。それは」
茄子「あー、照れてます?」
P「べつに」
茄子「照れてる~♪ 写メ撮って拡散ですね♪」
P「携帯没収!」
茄子「あっ! もう、返してくださいよ~」ピョンピョン
P「ほらほら、ここまで手が届かないだろー」
茄子「背の高さを使うのはずるいですよー!」
茄子「やっと返してもらえました」
P「なっちゃんを十分弄ったから満足した」
茄子「………」
茄子「P君」
P「なんだ。怒ったのか?」
茄子「いーえ」
茄子「これからも、そういうP君でいてくださいね。約束です」
P「………」
P「ああ。わかった」
茄子「はい、よろしい♪」
茄子「まあ、それはそれとして。最近出費がかさんでいるから、今度サマージャンボ買いましょうか」
P「おい。さっき俺が宝くじの話してたら引いてなかったか」
茄子「だって私、わざわざ七夕に願わなくても当てる自信ありますし」ニヤニヤ
P「うっわあ、こいつめちゃくちゃゲスい顔してるよ」
茄子「当たったら、みんなで旅行でもいきましょうか♪」
P「あ、それは賛成」
茄子「どこ行きます? 草津? 草津? 草津?」
P「どんだけ草津行きたいんだよ」
茄子「いろんなところに行って、たくさん想い出を作りましょうね」ニコニコ
P「……ま、楽しそうだからいいか」
茄子「面白いこと、めいっぱい楽しみましょう♪」
P「楽しむか!」
菜々「………」ニコニコ
凛「菜々さん。またうちの担任と同じような顔になってる」
菜々「はっ! き、気をつけますっ!」
光「?」
おしまい
おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
今後も不定期にちょろちょろ書いていくと思います
茄子さんと菜々さんと凛と光と一緒に旅行に行きたい
他の過去作もよければどうぞ
モバP「愛媛では水道からみかんジュース出るって本当なのか?」
的場梨沙「父の日のプレゼントはアタシ!」
モバP「雪美と梨沙と、それから千秋」
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