モバP「なっちゃんと恋人ごっこ」 (35)
1作目 モバP「なっちゃんという同級生」(モバP「なっちゃんという同級生」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434111292/))
2作目 モバP「なっちゃんという担当アイドル」(モバP「なっちゃんという担当アイドル」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434292580/))
3作目 モバP「ナナ先生のメルヘンデビュー」(モバP「ナナ先生のメルヘンデビュー」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434535556/))
の、続きです。少なくとも1作目を読まないと登場人物の関係がよくわからないかもしれません。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434708764
ある日の事務所
茄子「P君P君」
P「なに」
茄子「暇です」
P「暇なのか」
P「今日は休みなんだから、わざわざ事務所に来てまでつまらなそうな顔しなくていいんだぞ。暇なら帰ればいい」
茄子「家に帰るともっと暇です」
P「そっかー」
茄子「………」
茄子「面白いこと、ないですかね~」ダラー
P「ゲームでもやるか?」
茄子「最近事務所でやってばかりだったので、ちょっと飽きちゃいました」ダラダラ
P「ふむ」
茄子「このままだと私、面白いことを求めさまようゾンビになってしまいそうです」
茄子「面白いことはいねーがーって」
P「それゾンビじゃなくてなまはげじゃん」
茄子「じゃあ面白いことを求めさまようなまはげですね」
P「長いな」
茄子「略して『おまはげ』とかどうでしょう」
P「地方妖怪にそんなのいそうだな」
茄子「ですね~」
P「………」
茄子「………」
P「絶望的なまでに中身がないな、この会話」
茄子「ですね~」
茄子「うーん。暇です」イジイジ
P「なっちゃん。やることないからって俺の髪で遊ぶのはやめなさい」
茄子「はーい。……テレビでもつけましょうか」ポチッ
『先輩! 私、ずっと前からあなたのことが好きだったんです!』
『……僕もだよ。おいで、君のことを抱きしめたいんだ』
茄子「青春恋愛もののドラマみたいですね」
P「もうクライマックスっぽいな」
茄子「………あっ」
茄子「そうです。P君、恋人ごっこしませんか?」
P「恋人ごっこ?」
P「アイドルがそんなことやっていいのか?」
茄子「演技なら大丈夫じゃないですか? ドラマの撮影と同じですよ」
茄子「このドラマの主演の子も、アイドルですし」
P「ううむ……まあ、確かに似たようなものか」
茄子「やってみましょうよ。なんだか楽しそうです♪」
P「そうだな。とりあえず、ちょっとやってみるか」
凛「寒っ……最近急に冷えるようになったなぁ」
凛「事務所の中、あったかいといいんだけど」
凛「おはようございます」ガチャ
P「よい体つきをしておるのう、娘……」
茄子「ああ、お許しください。なにとぞ情けを……」
P「ふはは、よいではないか、よいではないか」
茄子「いやん、およしになって~!」
P「ククク、大声を出したところで助けなど来んぞ。そらっ」バッ
茄子「あ~れ~、お代官様~♪」
凛「……なんの遊び?」
P「恋人ごっこ」
凛「どこが?」
凛「なるほど。つまり暇だからドラマに影響されて恋人ごっこを始めたけど、気づけば何かが違う方向に進んでいた、と」
茄子「そもそも、P君が酒乱のDV夫の設定で始めたのが問題です。あれで流れがおかしくなりました」
茄子「『おらっ! おらっ! お前は俺の言いなりになっていればいいんだ!』と迫真の演技でした」
凛「プロデューサー……ストレスが溜まってるなら、いつでも相談に乗るよ?」
P「別にそんなんじゃないから、憐みの目をこっちに向けるな」
P「というか、なっちゃんだってノリノリだったろ」
P「『やめて! シシトウが見てる前で暴れないで!』って」
P「シシトウってなにかと思ったら息子のことだったわ。勝手に子持ちの設定追加されてた」
凛「なんで息子の名前にシシトウ?」
茄子「シシトウはナス科の野菜なんですよ♪」
凛「なるほど」
茄子「獅子闘、みたいな感じにしたら、今時の名前みたいになりませんか?」
P「少なくとも俺が子どもだったらそんな名前は嫌だ。書き順多いし」
凛「で、その後なんやかんやでお代官様ごっこが始まっていたと」
P「悪ノリに悪ノリが重なった結果だな」
凛「……全然駄目じゃん」
茄子「私達二人だと、どうもすぐに脱線が起きちゃうんですよね~」
P「あ、そうだ。なら、凛に手本を見せてもらうか」
凛「え?」
P「呆れた顔で駄目だしできるってことは、俺達よりは恋人ごっこが上手いんだろう?」
P「それとも、高1のうぶな女の子にはちと厳しいか?」ニヤリ
凛「ひょっとして、挑発してる?」
P「少しだけ」
凛「……ふーん。まあ、いいけど」
凛「………」
茄子「……凛ちゃん?」
P「どうした。急にうつむいて黙りこん――」
凛「先輩……っ!」
凛「私、不器用だけど……先輩への気持ちは、本物だから」
凛「だから……ちゃんと、受け止めてね?」ニコッ
P「………」
P「結婚するわ」
茄子「P君ちょろいですね」ジトー
凛「ドラマの真似、しただけなんだけど……」
菜々「うー、寒い寒い」
菜々「事務所は暖房効いてるといいなあ」
菜々「おはようございまーす!」ガチャ
凛「あんなに強気だったくせに、ちょっといじめてやったら軽いもんだね」
茄子「うふふ、次はどこを責めてあげましょうか? ここ? ここ? それとも……ここかしら」
P「ひいっ、やめてくれ! それ以上されたら、身体が壊れてしまう!」
凛「二股かけて私達を弄んだ報いだよ」
茄子「このくらい、当然ですよねぇ……ふふっ、あはははは!」
菜々「なんですか、これ?」
凛「恋人ごっこ」
菜々「どこが?」
菜々「なるほど。最初は3人で交代しながら恋人ごっこをしていたけど、途中で面倒になったから全員参加で演技し始めて」
菜々「その結果あのような場面になったというわけですね」
P「普通は恋人二人がかわいらしく男を取り合うっていうのが定番じゃないのか?」
茄子「それはよっぽど男性に魅力がある場合に限りますね~」
凛「二股男には制裁だよ、制裁」
P「怖い。ナナ先生助けて」
菜々「この場合は男の人が悪いので、仕方ないかと……あ、こらっ、また先生って呼びましたね!」
P「しまった、つい」
P「今のは恩師にすがる元生徒という設定で許してくれ」
菜々「んもう……」
すみません30分ほど書き溜めのため中断します
P「人数増えたことだし、配役を振り直すか」
凛「配役? 二股男を三股男に変えるだけでいいんじゃないの」
P「俺はどんなド畜生を演じることになるんだ……」
菜々「ごっこ遊びですか。懐かしいですねぇ。たまには童心に戻るのも悪くないです」
茄子「では、こんな感じで役を振りましょう」
茄子「妻役が私」
茄子「隣に引っ越してきた美女役が菜々ちゃん」
茄子「そして凛ちゃんが夫です」
P「あれ、俺は?」
茄子「P君はシシトウ役です♪」
P「その名前気に入ったの?」
菜々「はじめまして! 今日から隣に住むことになったナナです! よろしくお願いします」
菜々「これ、つまらないものですけど」
凛「どうも、ご丁寧に」
茄子「ありがとうございます♪よかったら、少しあがっていきませんか」
菜々「それでは、お言葉に甘えて」
菜々「わあ、かわいい赤ちゃんですね!」
凛「シシトウっていうんです」
茄子「私達の自慢の息子です。ね、シシトウちゃん♪」
P「ばぶーばぶー」
菜々「ぶふっ! ……か、かわいい赤ちゃんですね」プルプル
凛「そ、そうでしょう……ぷっ」
P「……ばーぶ」
菜々「ふ、ふふっ……な、なんだかシシトウくん、怒ってませんか」プルプル
凛「み、みたいですね。なにか、ふっ、気にさわるようなことでも、ぷふっ」
P「おい笑うな」
茄子「あらあら。駄目ですよP君。赤ちゃんは設定上しゃべれませんよ?」
P「俺の演技に文句つける前に、あそこで爆笑している二人の演技にも文句を言うべきだと思う」
P「腹抱えて笑ってるやつと床叩きながら笑い泣きしてるやつ」
茄子「P君が赤ちゃんをやると話が進まないようなので、配役を変えましょう」
茄子「夫がP君。妻が凛ちゃん。シシトウが菜々ちゃん」
茄子「で、私がP君を追いかけてきた幸運の女神(元カノ)役で」
P「あれ? さっきとなんか違わない?」
茄子「幸運の女神は天に愛されており、いかなる困難な状況からでも欲しいものを手に入れることができます」
茄子「ああ、愛しの彼。必ず私が幸せにしてあげます」
茄子「ただし、方法は問いませんが……フフフ♪」
凛「悪寒がする」
菜々「シシトウちゃんは無事に済むんでしょうか……」
茄子「チャララララン♪チャララララン♪」
P「世にも奇妙な物語風にもっていくのやめろ」
その後も恋人ごっこという名の何かが続き
ちひろ(妻役)「あなた。今週は用途不明の出費が548円存在しますが」
P(夫役)「えっ? おかしいな、ちゃんと全部家計簿に計上したはずだが……」
ちひろ「本当に? うっかり昼休みに買い物した分をメモし忘れたとか」
P「あっ」
ちひろ「ハア……何度ミスをすれば学習するんですか。馬鹿ですかあなたは」
P「そんなこと言われても……いいじゃないか。500円くらい」
ちひろ「駄目です。金は天下の回りものなんです。1円たりとも我が家の金の流れを見失ってはいけないのです!」
ちひろ「……って、私さすがにこんなキャラじゃないですよ!」
P「え、そうなんですか?」
ちひろ「事務所の金銭に関しては仕事ですからきちんと把握しますけど、家庭でまで同じノリは持ち込みませんよ!」プンプン
凛「おかえり、あなた」
P「ただいま」
凛「今日もお仕事お疲れ様」
凛「ご飯にする? お風呂にする?」
P「お風呂」
凛「わかった。綺麗に掃除しておいたから、きっと気持ちいいよ」
P「おお、それは楽しみだ」
P「ええ嫁さんやこれは……」
凛「そう? 別に普通だと思うけど」
P「普通って大事なんだよ」
P「ただいまー」
菜々「おかえりなさい、キャハっ!」
菜々「ご飯にします? お風呂にします?」
菜々「それとも、ナナにしちゃいます?」
菜々「なんて、冗談ですよっ。ウサミンジョークですっ!」
P「………」
P「仕事終わりにこのノリは疲れる」
菜々「がーん!」ガーン
P「はあ、遊び疲れた」
茄子「皆さん熱い演技でしたね~」
凛「まあ、そのうちドラマの撮影とかあるかもしれないし。練習にはなったかな」
菜々「久しぶりにおままごとをやった気分です」
ちひろ「というか、なぜ私まで……」
P「よし、じゃあそろそろ終わりに」
凛「……あれ。ちょっと待って」
P「どうした、凛?」
凛「今気づいたんだけど……茄子さんだけ、まともにプロデューサーと夫婦演じてないよね」
茄子「え?」
凛「最初に二人で遊んでた時は、変な設定つけてたみたいだし」
菜々「そういえばそうですね」
ちひろ「ひとりだけやらないのも中途半端ですね」
P「ふむ。じゃあなっちゃん、最後にやってみるか」
茄子「………」
P「なっちゃん?」
茄子「……あ、はい。では、演じてみましょうか」
凛「はい。スタート」
P「ただいまー」
茄子「……お、おかえりなさいませ」
P「お、おう……わざわざ正座で出迎えなくても」
茄子「い、いえっ。これくらい、つ、妻としての務めですゆえ……」
P「(なんだこの堅苦しい言葉遣いは)」
茄子「お食事か、それともご入浴か……」
P「ああ、じゃあお風呂で」
茄子「お食事ですね!」
P「いや違うけど」
茄子「あ、あなたのために一生懸命作ったにょ!」
P「『にょ』って、どういう噛み方したらそんな言葉が出てくるんだ……」
凛「……あのさ、これって」
菜々「茄子さん、ものすごく緊張してますね」
ちひろ「いったいどうして……」
茄子「だ、だって……普段P君とは仲の良い友達ですし。いざ真っ当な恋愛を演じろ、なんて言われると、その」
茄子「なんだか、予想以上に照れくさくて……ですね」イジイジ
茄子「………ごにょごにょ」モジモジ
P「………」
P「(あれ。なんだこのかわいい生き物)」
凛「………」
菜々「………」
ちひろ「………」
3人「純情乙女(です)かっ!」
おしまい
あんまりなっちゃんと恋人ごっこしていませんがこれで終わりです
お付き合いいただきありがとうございます
書いてる途中に思うことですが、常識人枠って大事ですね(このSSだと凛)
しかしそんな彼女に同年代の仲間がいないのは少しかわいそうなので、次回は新キャラ追加するかもしれません
このSSまとめへのコメント
ここの凛は渋谷凛です。