カツオ「いいなぁ！うちなんて旅行の予定なんて全くないからね！」

カツオ「それで花沢さん、ボクにいったい何の用なの？」

花沢「ウフッ……あのね、しばらく磯野クンの声を聞いてないからさみしくって……」

カツオ「えっ？」

花沢「ハァ～♥……遠距離恋愛中の恋人たちってきっとこういう気持ちなのねぇ゛……♥」

カツオ「は……花沢さん……」ｿﾞｸｯ

花沢「じゃ～ねぇ～磯野クゥン！おみやげ楽しみにしててね！ウフッ♥」



No.12345『わが家の旅行は潮干狩り』

ワカメ「お兄ちゃん、花沢さんいったい何の用だったの？」

カツオ「い、いや……大した用事じゃないよ……」

ワカメ「ねぇお姉ちゃん！花沢さんいま京都にいるんですって！」

サザエ「あら！いいわね～！」

カツオ「姉さん、うちはどこかに行かないの？」

サザエ「うーん……父さんとマスオさんの都合が合わないし、ちょっと厳しいのよねぇ……」

ワカメ「え～……」

カツオ「あ～あ、夏休みだっていうのに退屈でしょうがないよ……」

サザエ「うるさいわねぇ！そんなに退屈だったら外で遊んでくればいいじゃない！」

カツオ「うん……それじゃあ中島のところにでも行ってくるよ」

ｶﾞﾗｯ

中島「こんにちはーーっ！」

サザエ「あら、あの声は中島くんだわ」

カツオ「さっすが中島だ！いいところに来てくれた！」

カツオ「よう中島！！よく来たな！！」

中島「よう磯野！野球やろうぜ！」

カツオ「いいぞ！！やろう！！」

～～

カツオ「なんだぁ、西原んちも橋本んちも留守かぁ……」

中島「夏休みだし、やっぱり家族で出かけてるのかなぁ……これじゃ野球はできそうにないなぁ磯野……」

カツオ「作戦変更だ！ふたりでプールにでも行こうぜ中島！」

中島「うん！」

～～市民プール～～

中島「み、みろよ磯野……この人の多さを……」

カツオ「うーん、よわったなぁ……これじゃとても泳げないや……」

中島「どこにも行かないひとたちがここに集まってきてるみたいだね……」

中島「どうする、磯野……？」

カツオ「中島、あきらめて帰ろう……」

中島「……うん……」

～～磯野家～～

カツオ「まったく、あの混雑っぷりにはあきれたよ……」

サザエ「ウフフ、それでもう帰ってきたわけね」

カツオ「花沢さんだけじゃないよ、橋本や西原たちも家族でどこかに出かけてるみたいなんだ」

ワカメ「いいなぁ～……」

ワカメ「お姉ちゃん、うちもどこかに行こうよ～！」

タラオ「いきたいで～す！」

サザエ「そうねぇ……父さんとマスオさんにもう一度聞いてみなさいよ」

【夕食】

カツオ「えっ！？お父さん、それ本当！？」

波平「うむ。泊まりがけの旅行は無理だが、日帰りだったら行けんこともない」

カツオ「やったぁーー！！」

タラオ「わーーい！！やったでーーす！！」

カツオ「よ～し！さっそくどこに行くか決めよう！」

ワカメ「わたし、潮干狩りがいい！」

サザエ「あら！いいわねぇ！」

カツオ「じゃあ、潮干狩りに決まりだね！！」

【潮干狩り前日】

カツオ「先生！ワカメの具合は……！？」

ワカメ「な～に、鼻風邪です。ひと晩寝れば治っちゃう！」

カツオ「アァ～！よかったぁ～……！」

医者「じつにうるわしい兄妹愛ですなぁ」

サザエ「い～え、あした家じゅうで潮干狩りにいくんですの」

医者「えーーっ！？」

【当日の朝】

マスオ「ワカメちゃん、本当にもう具合はすっかりいいのかい？」

ワカメ「うん！もう大丈夫よ！」

カツオ「あ～よかった、一時はどうなるかと思ったよ！」

サザエ「さあ！！それじゃあ出発するわよ！！みんな、準備はいいわね！！」

一同「ハーーイッ！！！！」

空き巣「むっ、いまの声は……」

空き巣（どうやら出掛けるらしい……次はこの家に入ってやるか）

～～

サザエ「わすれものわすれもの！！」

～～

波平「いかん！！カメラを忘れた！！」

～～

フネ「台所の戸締まりやったかしらねぇ？」

空き巣「チェッ、よく帰ってくる家だなぁ……やめた！！」

～～砂浜～～

カツオ「よ～し！いっぱい採るぞ～！」

ワカメ「お兄ちゃん、どっちがいっぱい採れるか競争しない？」

波平「おっ、張りきっとるなぁ」

～～

カツオ「潮干狩りにきたからって貝を掘るばかりじゃつまらないや」

カツオ「せっかく海に来たんだから他にもいろいろ楽しまなきゃね！」

波平「あきれたやつだ、もう飽きたのか……」

カツオ「ボクは日本人でイソノカツオという小学生です……っと」

カツオ「この手紙をアキビンに入れて流せば……え～いっ！」

女の子「いたいっ！」ｺﾞﾂﾝ

カツオ「あ～っ！手もとがくるった！」

～～

カツオ「ごめんね、ごめんよ」

女の子「エヘヘ……もういいのよ」

サザエ「ウフフ、さっそく友だちができたらしいわ」

～～磯野家～～

花沢「こんにちわぁ゛ーーっ！！」ｶﾞﾗｯ

ワカメ「あっ、花沢さんだわ！」

カツオ「やあ花沢さん、どうだった京都旅行は？」

花沢「とっても良かったわぁ゛！」

花沢「はい！これ！京都のおみやげよ！」

カツオ「ありがとう……ん？これは……お守り？」

花沢「そう！名前は忘れちゃったけど、とにかく有名な神社で買ってきたの！」

カツオ「ま……まさか、縁結びのお守りじゃ……！？」

花沢「アハハ！！違うわよ！！いまさらそんなご利益いるわけないじゃない！！」

カツオ「うっ……い、いまさらって……」

ワカメ「フフフ……」

カツオ「わ、笑いごとじゃないぞワカメェ……」

花沢「あ～らぁ゛！！なに照れてんのよぉ゛磯野クン！！」ﾊﾞﾝ！

カツオ「あいたっ……！！」

花沢「ところで、磯野クンちはどこか行ったのぉ゛？」

ワカメ「うん！きのう潮干狩りに行ったのよ！」

花沢「へぇ～っ！いいじゃな～い！」

カツオ「いやあ……でも花沢さんちに比べたら大したことないよ」

花沢「あ゛たしも磯野クンたちといっしょに行きたかったわぁ゛～！」

花沢「家族で旅行にいくのもいいけど、磯野クンのそばにいるほうがず～っと幸せだものねぇ゛～♥」

カツオ「は……花沢さん……」

ワカメ「そうだ！こんど行くときは花沢さんも誘ってあげるわね！」

カツオ「お、おいワカメ……」

花沢「あらぁ゛～！ありがとぉワカメちゃん！うれしいわぁ～♥！」

花沢「じゃあ……うちもこんど家族旅行にいくとき磯野クンをつれてってあげるわね！！」

カツオ「えっ？」

花沢「エンリョすることないのよ！考えてみれば磯野クンはもう家族も同然なんだからぁ゛……♥」

カツオ「は、花沢さん！！ボクちょっと用事があるから！！」

花沢「あ、あら……ちょっとぉ！？い、磯野クゥ～ン！？」

【後日】

サザエ「あ～あ……潮干狩りも楽しかったけど、やっぱり旅行のほうがいいわよねぇ……」

ワカメ「お姉ちゃん！三丁目のおばちゃんが大きなかばんに荷物をつめてたわ！」

サザエ「まあ！どこに行くのかしらね！」

サザエ「海かしら、それとも山かしら？」

サザエ「気になるわぁ……よーし！ちょっと聞いてこようかしら！」

～～

男性「たのむ、オレがわるかった……」

女性「いいえ！あたくし、里にかえらせていただきます！」

サザエ「ンまぁ！！」

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