長門「……よし、これで全員がそろったな」
長門「これより、作戦の概要を説明する」
長門「大本営は先刻、今次の沖ノ島沖における複数の民間船舶撃沈事件が、全て深海棲艦によるものだと断定した」
長門「当方の北方海域への戦力集中を見越した、極めて戦略的な駒の進め方だ……見事にしてやられたよ」
長門「だが、我々とてこれを黙って見過ごすわけにはいかない」
長門「我が第一艦隊が先陣を切り、沖ノ島沖の戦闘哨戒を敢行する」
提督(なんてこった……)
提督(スカートが破けて……)
提督(前からカワイイくまさんがコンニチワしているぜ……ッ)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1465376734
長門「沖ノ島沖方面の偵察隊からもたらされた、最新の情報に基づき」
長門「本作戦の編成においては旗艦を私が務め、随伴艦として……」
熊野「……」
鈴谷「……ふわぁ」
古鷹「……」
赤城「……」
加賀「……」
シーン……
提督(幸い、他の皆はまだ誰も気が付いていないようだが……)
提督(どうする?)
提督(彼女の尊厳を傷付けることなく、いち早くスカートのことを知らせるには……)
加賀(…………)
加賀(…………)ジーッ
加賀(……くまさんパンツだわ……)
鈴谷(……あぁ~、ジメジメするぅ……)
鈴谷(こうも毎晩寝苦しい空気だと、寝不足も致し方ないよねぇ)
鈴谷(クーラーの解禁が待ち遠しいよー……)
鈴谷(……ウン、こうなったら作戦頑張っちゃおっか)
鈴谷(そうすれば、提督に鈴谷のお願い聞いて……ん?)
鈴谷(…………ブッ)
鈴谷(長門wwwwwさんwwwwww)
古鷹(民間人が狙われた……)
古鷹(戦うことのできない人々を巻き込むなんて、許せない……)
古鷹(古鷹、この作戦……絶対に負けません!)グッ
古鷹(そのためにも、長門さんの作戦をしっかり聞いて……え?)
古鷹(……あ、あれは……)
古鷹(い、言ってあげた方が良いのかな……)ゴクリ
古鷹(でも、万が一皆に聞こえちゃったりしたら、それはかえって……)
古鷹(……作戦には関係ないことだわ、集中集中……っ)ブンブンッ
赤城(沖ノ島沖……ですか……)
赤城(私の記憶が正しければ、あの海域に出没する深海棲艦はいずれも規模の大きい艦隊ではなかったはず……)
赤城(しかし、こちらの編成はそれを鑑みると、まさに過剰とも云える戦力です)
赤城(近年でだいぶん、事情が変わったのかもしれませんね)
赤城(私も慢心することなく望み……)
赤城(…………!)
赤城(……ど、どうしましょう……)
熊野(とても神妙な空気ですわ……)
熊野(仕方ありませんわね、長らくわたくしたちが優勢をとっていたのですもの)
熊野(その虚を付かれる形となったのですから、大本営の方々も相当お焦りになっていらっしゃることでしょうね)
熊野(これはエステのキャンセルも致し方ありませ…………あっ)
熊野(……ス……スカートが……!?)
熊野(は……破廉恥ですわっ)カァー…
熊野(すぐに、すぐに知らせないと……!)
熊野「……っ」ソワソワ
提督「!」
提督(熊野がそわそわし始めたぞ……)
提督(まさか、気付いたのか?)
熊野「……!」グッ
提督(こ、行動に移す気か!?)
提督(まずいぞ、こんな……みんなの前で知らせたりなんかしたら……!)
提督(やめろっ、それは悪手だ熊野!)
熊野「……あ、あの……」
長門「熊野ッ!」クワッ
熊野「ひぁいっ!」ビクッ
長門「質疑の機会は後ほど設ける」
長門「今は黙って、作戦の概要に耳を傾けて欲しいものだな」
熊野「も、申し訳ありませんですわ……」シュン
鈴谷「プッ……」
長門「鈴谷、お前もだ」
鈴谷「は、はぁいっ」ププッ
提督(ほっ……)
提督(くまさんパンツなんて、みんなにバレたら本人が一番の黒歴史もんだろ……)
提督(だが幸い、まだ熊野しか気が付いていないらしい)
提督(可及速やかに、どげんかせんといけんばい)
長門「……作戦の第一段階は以上だ」
「「はいっ」」
長門「提督からも、何か一言を頼みたい」
提督「……」
提督「最終的に会敵すると思しき主力艦隊との戦闘に備え、万全の状態で臨まれたし」キリッ
長門「……だ、そうだ」
「「はいっ」」
提督(……はっ、今のタイミングで何か手は打てただろ!)
提督(もう、私の馬鹿ぁん!)
加賀(……この歳にもなってくまさんパンツだなんて)
加賀(彼女、鎮守府所属の主力艦隊一員としての自覚は無いのかしら)
加賀(実に呆れました……少しは赤城さんを見習ってほしいものです)
加賀(こんなこと、万が一敵の深海棲艦に見られでもしたら……)
加賀(『ククク……ソレガ人間ドモノ、今時ノ“とれんど”ナノカ?』)
加賀(などと罵られて、私たちの誇りをも傷つける結果に……)
加賀(……あれ?)
加賀(でも……おかしいわ)
鈴谷(お話、まだ続くのかぁー……)フワァ
鈴谷(……)チラッ
鈴谷(どうしても目に入る……w)プッ
鈴谷(なんか……もう……www)フルフル
鈴谷(wwwwwwウケルwwwwwww)プルプル
古鷹(序盤はやはり、水雷戦隊と遭遇する可能性が高い……)
古鷹(ということは、特に気を付けるべきなのは後半海域ということですね)
古鷹(しかし、いくら敵が軽巡以下の編成とはいえ)
古鷹(こちらの被るくまさんパンツが、後々になって響くこ……)
古鷹「!」
古鷹(古鷹っ、駄目!)ブンブンッ
古鷹(今は関係のないことだから忘れなきゃ……重巡としてッ!)
赤城(そんな……私としたことが……)
赤城(すっかり失念してしまっていた……!)
赤城(……どうすればいいの……この作戦の当日は……)ガタガタ
赤城(新しくできる家系ラーメンのお店の、オープン日ではありませんか!)
熊野(うぅ……怒られてしまいましたわ……)シュン
熊野(でも、このままだと……わたくし以上に恥をかくのは……)
熊野(……仕方がありませんわね)グッ
熊野(長門さんの言う、質疑の時間を使うのはナンセンス……)
熊野(そうすれば、すぐさま皆にバレてしまいますわ)
熊野(ひとまず様子を見て、皆の隙をつく形で指摘をしましょう)
熊野(……そう、実行のタイミングは、あくまで隙を見て!)
提督(いや……本当にどうしよう……)
提督(なんにも考えが浮かばん……)
提督(どう転んでも、視線が一堂に飛び交うこの場で無事に伝えることなんて……)
提督(……というか、待てよ!)
提督(そもそも、男である私がレディにパンツのことを伝えるなんて……)
提督(本当はデリカシーに欠ける行為だとは思わんかね諸君)
提督(もしこのことで訴えられなんかしたら私、どうなんのかな……)
長門「……作戦の第二段階は以上だ」
長門「提督からも、またなにか一言を頼みたい」
提督「憲兵さん来ちゃうかなぁ」
長門「?」
提督「……」ハッ
提督「最終的に会敵すると思しき主力艦隊との戦闘に備え、万全の状態で臨まれたし」
長門「……だ、そうだ」
「「は、はいっ」」
すみません、一旦離れます
すぐもどります
ブーン系の「演奏中はお静かに」を思い出す、作者は是非見て欲しい。ほぼ同じテーマだから
>>22
……(無言の肯定)
どうしましょう、結構同じ感じなのですが……内容変えたほうがいいですかね
熊野「!」
熊野(作戦室の空気が変わりましたわ……!)
熊野(行動に移すなら、今!)キラーン
熊野「……っ!」パンッパンッ
長門「ん……?」
長門(なんだ熊野の奴、自分のスカートを叩いたりなんかして……)
長門(そういえば、さっきも何かを言いたげだったな……)
長門(……まさか!)
長門「どうしても我慢できぬのなら、仕方あるまい」
長門「トイレに行ってもいいぞ」
長門「この後の概要は、鈴谷にでも聞くが良い」
熊野「」
熊野「……」トボトボ…
バタンッ
長門「……それでは、引き続き概要の説明を」
鈴谷「……www」フルフル…
加賀(そもそものこと……深海棲艦がくまさんパンツなんて知っているのかしら?)
加賀(いえ、知るはずがないわ……なぜなら、彼女達のテリトリーは海……)
加賀(北極ならシロクマさんが居ますが……普通のくまさんなんて見たことがないはずだから)
加賀(それならまず、笑われることは無い……?)
加賀(……!)
加賀(それだけじゃないわ……!)
鈴谷(……だめwww)
鈴谷(作戦が全然頭に入らないwww)
鈴谷(熊野ゴメンwww)
鈴谷(鈴谷、もう視線の先の長門さんのことしか考えらんないwwwww)
古鷹(うぅ、頭の中を整理しなきゃっ)
古鷹(えぇと……海域の序盤ではくまさんパンツを早急に下してっ)
古鷹(中盤もくまさんのパンツを迅速にく……抜け、て!)
古鷹(くまさんパンツは戦艦との会敵もくまさ……)
古鷹(……だめっ!)ブンブンッ
古鷹(どうしよう……くまさんパンツが頭から離れないよ……!)オロオロ
赤城(本当にまずいわ……これはとても由々しき事態です!)
赤城(オープン初日は先着限定で、ラーメン一杯無料のキャンペーンが催されるのに!)
赤城(……もうかれこれ一か月も前からマークしていたというのに……今さら諦めなきゃいけないなんて……)
赤城(……で、でも……!)
赤城(この作戦が成功しないと……南に住む人々の平穏が……!)
赤城(……あゝ……あの濃厚スープに白米を……入れたい……!)ポロ…ポロ…
提督(熊野……お前の勇気、二度と忘れん……)
提督(安らかに眠れ……)グッ
長門「……作戦の第三段階は以上だ」
長門「提督からも、もう一度一言を頼みたい」
提督「……」
提督「最終的に会敵すると思しき主力艦隊との戦闘に備え、万全の状態で臨まれたし」
長門「……だ、そうだ」
「「……あ、はい」」
長門「……次が、最後の説明だ」
長門「皆、心して聞くように」
加賀(……あのくまさん、よく見るととても穏やかな可愛らしい顔をしているわ)
加賀(どう考えたって、敵意を示すものではない……)
加賀(それに、あれをわざわざ前に向けている……)
加賀(そこから導き出される答え、それは……)ピキュリーン
加賀(……“敵の油断を誘うための作戦”……!)
加賀(い、いえ……ありえないわ)ブンブン
加賀(だって、それなら事前に私たちに…………はっ!)
加賀(まさか、敵を騙すにはまず味方から……ということなの……?)
加賀(……負けたわ)フッ
鈴谷(………………)
鈴谷(………………)チラッ
鈴谷(……やっぱりw)プッ
鈴谷(だwwwwwwめwwwwwww)フルフルフル
鈴谷(もうwwwwwww限界wwwwwww)プルプルプル
古鷹(敵よりもまず……頭の中のくまさんパンツをなんとかしないと……!)
古鷹(でも、一体どうすれば……)オロオロ
古鷹(……!)
古鷹(そうよ……そうだわ……っ)
古鷹(いっそのこと……くまさんパンツを私も履けば……!)
赤城(硬めの太麺……スープは濃いめ……!)
赤城(チャーシューよりも、大切なのは海苔のトッピング……!)
赤城(これはケチらず、五枚は欲しい……!)
赤城(肉厚の海苔が豚骨醤油と鶏ガラが合わさった、極上の一口に……!)
赤城(あゝ……諦めたく……ありま……せん……)ポロ…ポロ…
提督(……『皆も、くまさんに気をつけろー』……違うな)
提督(『戦闘中にスカートや衣類が破けることもあるだろうから気をつけろ』……これも違う)
提督(どれも直接的すぎて、かえって怪しまれてしまう……)
提督(むむむ……実に参ったな……)
長門「……以上で、作戦の全体概要の説明を終わる」
長門「提督からも、最後になにか一言を頼みたい」
提督「……えっ」
提督「……最終的に会敵すると思しき主力艦隊との戦闘に備え……万全の状態で臨まれ……たし」
長門「……だ、そうだ」
「「……」」
提督(結局最後まで……何もできなかった……!)ガクッ
提督(許せ、熊野……私はお前の犠牲を無駄にした……!)ポロ…ポロ…
長門「では、最後に……」
提督(……ん?待てよ、よくよく考えたら……)
提督(このまま何事も無く無事に終われれば、それで万々歳なのでは……?)
長門「本作戦について、質疑の時間を設ける」
提督(……そうだよ、このまま解散できればそれで解決じゃないか!)
提督(なぁんだ!最後の最後まで悩んでいた私がバカみたいではないかっ)ハハッ
長門「何か意見のある者、挙手してくれ」
サッ
加賀「……」ニコッ
鈴谷「……っ」プルプルッ
古鷹「……」ハァハァ
赤城「……グスッ」ポロ…ポロ…
長門「……全員か……よかろう」
長門「では、誰から……」
加賀「くまさんパンツは一体、どこで購入すれ……」
古鷹「くまさんパンツは一体、どこで購入すれ……」
加賀「!」
古鷹「!」
赤城「作戦の……決行日……変こ……(消え入りそうな声)」ポロ…ポロ…
鈴谷「なwwww」
鈴谷「長門さん――ッwwwww!!」プクスッ
提督「!?」ビクッ
長門「では……鈴谷」
鈴谷「あのさーwwwwwww」
提督「だめだ、鈴谷ッおま……!」
鈴谷「お口にwwwミートソース付いてるよっwwwwww」
長門「む……本当だ」フキフキ
長門「いやはやお恥ずかしい限りだ……」
長門「……ん?」
長門「鈴谷お前、スカー……はっ」
鈴谷「wwwwww…………」
鈴谷「…………?」
鈴谷「えっ」
提督「あわわ……」オロオロ
鈴谷「……破けてる……」
鈴谷「……見ら……れた……?」
鈴谷「……うぅ……」カァーッ
鈴谷「……あっ……あぁ……!」ポロ…ポロ…
提督「!」ハッ
長門「!」オロオロ
バッ
鈴谷「……?」グスッ
提督「うおーなんということだー」
提督「わたしのてからいきなり“きょくじつき”がとびだし」
提督「すずやのからだをつつみこんでしまったー」
提督「これはいかん、このこをべつのへやまでつれていかねばー」
提督「ながとーあとはたのんだぞー」
長門「あ、あぁ……」シュン
鈴谷「ぐすっ……えぐっ……!」ポロ…ポロ…
バタン!
長門「……」オロオロ
ガバッ
長門「……?」チラッ
赤城「長門さん……どうかお願いです……!」ポロ…ポロ…
赤城「せめて……せめて一日だけでも……前日か後日にしていただけ……」グスッ
長門「……」
加賀「古鷹さん、もしや貴女も……」
古鷹「そういう加賀さんも、私と同じ考えだったのですか?」
古鷹「えへへ……なんだか嬉しいっ」ニコッ
加賀「えぇ……流石です、古鷹さん」フフッ
加賀「よければ、今度一緒に買いにでも……」
長門「……」ボーッ
プルルルルルルッ
長門「……?」
ガチャッ
長門「はい、こちら○○鎮守府……」
長門「……えっ、沖ノ島沖哨戒作戦は、佐世保の艦隊が行うこととなった?」
長門「よって、当艦隊は待機?」
長門「……了解、提督にもそうお伝え致します……はい……」
ガチャッ
長門「……ははっ」
鈴谷「えぐっ……ぐすっ……」ポロ…ポロ…
提督「……気にするなよ」
提督「他の誰も、君の失態なんか見ちゃなんかいないさ」ナデナデ
鈴谷「……嘘」グスッ
鈴谷「あれだけ静かだった作戦室で……不真面目にやってたの……鈴谷だけ」ポロ…ポロ…
鈴谷「……だからみんな、くまのパンツなんかはいてる鈴谷のこと……」
鈴谷「ぜったいキモいって思った……」グスッ
提督「……」
提督「……キモくなんかないよ」
提督「女の子らしくて、とても愛嬌のある下着じゃあないか」
鈴谷「え……」
鈴谷「……ほんと……?」
提督「あぁっ」
提督「それに、今だからこそ言うけど……」
提督「熊野だって、君のことをすごく心配していたんだぜ」
鈴谷「え……くまのが……?」グスッ
提督「あぁ、そうだよ」
提督「とても良い妹じゃないか……そう思わないか?」
鈴谷「……」コクリ
提督「ん、よしよし」ナデナデ
鈴谷「……」ゴシゴシッ
提督「……立てるか?」
鈴谷「……ウン」スクッ
提督「よーし、偉いぞっ」
提督「戻ろう、みんなのところへ……!」
鈴谷「……ウン」
鈴谷「……提督」ドキドキ
鈴谷「……さんきゅっ」ボソッ
――後日
イラッシッッセー!
長門「これが家系……美味いな」フフッ
赤城「えぇっ」ニコッ
――――――――fin―――――――――
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
なんか余計な作品を提示したみたいですまんかった、パクりとか思ってない。ただ名作だし見てもらいたかったんだ。あと出来ればドクオみたいな変態枠が欲しかった。
>>60
いえいえ!こちらこそ、誤解を招くレスをしてしまい申し訳ありません……
とても楽しい作品を教えて頂き、ありがとうございました
このSSまとめへのコメント
ラストのどんでん返しは吹いたw
騙されたー!