男「禁断の書」(38)

ガタン

ゴトン

「まもなく終点でございます」

幼女「すーすー」

男「幼女、もう着くぞ。起きろ」

幼女「うーん・・・あと10分・・・」

男「それ言うの何回目だよ。もう2時間も寝てるぞ」

「終点でございます。本日もご利用ありがとうございました」

男「ほら、立て」

幼女「ふあぁ・・・」

男「雨、もう止んだんだな」

幼女「あっ、水たまりだ」バシャ

男「こら、幼女!」

幼女「ふぇ?」

男「何でお前は水たまりを見つけるたびに飛び込むんだ。足が泥だらけじゃないか」

幼女「男・・・」

男「何だ?おしっこか?」

幼女「喉渇いた」

男「ん。そういえば俺も」

幼女「ジュース買ってよ」

男「そうだな」

男「旨い!」

幼女「これ、お茶じゃん」

男「喉が渇いたときはお茶が一番だろ」

幼女「ジュース飲みたかった」

男「また今度買ってやるから」

幼女「あ。絶対買ってくれないな」

男「さてと、そろそろ行こうか」

幼女「ね、ね、ジュースがダメならアイスでもいいんだよ」

男「アイスなら多分、買ってあると思う」

幼女「そうかな」

男「幼女、走るな。転ぶぞ」

幼女「男、遅いよー」ガラッ

男「あっ・・・」

幼女「お邪魔しまーす」

男「おい、ちゃんと手洗ってからアイス食えよ」

男「おっ、あそこにいるのは・・・」

男「婆ちゃん!」

男祖母「あら、男じゃない」

男「ただいま」

男祖母「お帰り。幼女ちゃんは?」

男「幼女なら、もう家の中に」

男祖母「そう」

男祖母「男、あんた、ちゃんと働いてるの?」

男「それいつも聞くよな。ああ。働いてるよ」

男祖母「彼女はできた?」

男「それも毎回聞いてくるよな。いや、全然できないよ」

男祖母「そう。じゃあ特に変わりなく?」

男「ああ」

幼女「どこだ、アイスどこだ」ガサゴソ

幼女「あった!」シャリシャリ

男「泥棒確保」ガシ

幼女「泥棒じゃないもん」

男「いきなり人の家に上がりこんで冷蔵庫漁ってんだから泥棒と変わらないだろ」

男祖母「幼女ちゃん、いらっしゃい」

幼女「あっ、婆ちゃん」

男祖母「また背が伸びたんじゃない?ちょっとそこに立って」

幼女「はい」

男祖母「ほら、前に来た時より4cmも伸びてる!幼女ちゃん大きくなったわねー」

男「見た目はな」

幼女「ん?何か言った」

男祖母「さあ、私は散歩に行くけど一緒に行く?」

幼女「行くー」

男「えー・・・俺は家でゴロゴロしたいんだけど・・・」

幼女「行こうよ」グイ

男「ちょっ!どこ引っ張ってんだ!」

男祖母「運動不足なんでしょ?」

幼女「スタンダップ!」

男「分かったからその手を離せ!」

幼女「えー、でも硬くなってるよ」

男祖母(こいつ・・・ロリコンか!?)

男「どこまで行くんだ?」

男祖母「ちょっとそこまで」

男「俺、あんまり歩けないからな。1時間で帰れるところにしろよ」

男祖母「1時間じゃ帰れないよ」

男「じゃあ俺はここd」

ガシ

幼女「行くよ」グイグイ

男「だからそこを掴むな!」

男祖母「歩いていれば1時間も2時間もあっという間だよ」

男「婆ちゃん、普段何十キロ散歩してんだよ!」

幼女「男ー、疲れた。抱っこして」

男「何だよ。お前が行きたいって言ったんだろ」

幼女「そんな事言ったって。疲れたよ」グイ

男「手つないだまま、いきなりしゃがむな!腕が・・・」

幼女「もう歩けなーい」

男祖母「じゃあそこの駄菓子屋でアイスでも買って食べようか」

男「やったーアイスだ!」

幼女「幼女もー!」

男祖母「お金あげるから好きなの買っておいで」

男、幼女「はーい!」

幼女「どれにしようかな・・・」

男「お前さっき食ってなかったか?」

幼女「んと、さっき食べたのがソーダ味だったから今度はコーラ味にしようっと」

男「ったく、そんなにアイスばっか食うと腹壊すぞ」

幼女「後でお風呂入るから大丈夫」

男「好きにしろ」

幼女「じゃあ、これください」

店主「はい、百円です」

幼女「はい」

男「これください」

幼女「割り込みすんな!」

店主「はいはい、順番ね」

男「別に一緒に来てるんだからいいじゃない」

幼女「うまうま」シャリシャリ

男「そっちも旨そうだな」

幼女「あげないよ!」

男「俺はチョコアイス買ったんだ、ほれ」キラキラ

幼女「あー!そんなのあったんだ!」

男「あげないからな」

幼女「むぅ」

男祖母「私の未開封のチョコアイスあげようか」

幼女「じゃあ取替えっこしよう」

男「じゃあ婆ちゃん、そのコーラアイス俺にくれよ」

幼女「旨かったー!」

男「後で下痢ピーピーだな」

男祖母「ちょっと待って、今食べ終わるから」

男「急がなくてもいいよ。気管に入るぞ」

男祖母「食べ終わり!ごちそうさまでした」

男祖母「ああああああああああ!」

男「!?」ビクッ

男祖母「あああああああたった!」

男祖母「店主さん、もう一本くださーい!」

男「さすがに2本目はやめといたほうが・・・」

男祖母「はあ、はあ、バニラアイスゲット」シャウシャウ

男「ただいま」

幼女「誰もいないよ?」

男「でも、ここは俺が生まれ育った家だから」

男祖母「そうそう、納屋を掃除してたらアルバムが見つかったの。見ない?」

男「それって俺のか?」

幼女「見たい!」

男祖母「ほら、そこに出してあるよ」

幼女「これ?」

男「子供の頃の写真なんて俺も初めて見るよ」

1987年4月24日、男誕生。2,800g

幼女「どこで生まれたの?」

男「まさか山や海では生まれてないだろ。病院だ」

1994年4月4日、男、小学校入学。

男「この頃はデブだったんだなー」

幼女「ダイエットしたの?」

男「好きな女の子がいてな。彼女に好かれたくて痩せたんだが・・・」

男「その子は転校してしまったんだ・・・」

幼女「逃げられたんだね・・・」

男「1冊目はこれで終わりか」パタン

幼女「次は、これ何て読むの」

男「祖母の丸秘アルバム。えっ、婆ちゃんの?」

幼女「丸秘って秘密ってことだよね」

男「気になるな・・・」

幼女「覗いちゃう?」

男「覗いちゃおうか」パラ

1960年11月9日、祖母&祖父結婚♥

男「祖父って・・・」

幼女「ソフトクリーム」

男「俺には爺ちゃんがいたのか!」

男祖母「あああああああそのアルバムは見ちゃダメえええええ!」バッ

幼女「男には爺ちゃんがいたんだって」

男祖母「え?ああ、そうそう」

男「俺、全く記憶にないんだけど」

男祖母「男が1歳の時にあの世へ行ったからね」

男「そうだったのか・・・」

男「いやぁ、おかしいと思ったんだよ。世のお爺様方が着ているような服が何着もあったから」

男祖母「焼きそびれてそのままだったのよ」

男「ところで爺ちゃんが死んだのはあれか、病気か?」

男祖母「それが分からなくて・・・」

男「じゃあ老衰か」

男祖母「でも、急に苦しみ出して倒れたのよ」

男「病気でもなく?」

男祖母「ただ・・・祖父が倒れる少し前から村では不幸が度重なっていたわ」

男「そうなのか・・・」

男祖母「あら、もうこんな時間!夕飯作らないと」

男祖母「男、あんたも手伝って」

幼女「幼女は?」

男「TVでも見て待ってろ」

幼女「はーい」

男祖母「人参、厚切りすぎるんじゃない?」

男「そうかな。俺はいつもこのぐらいに切ってるけど」

男祖母「ふーん。・・・ああああああああ!」

男「さっきからいきなり大声出すのやめろよ」

男祖母「玉ねぎが目に染みるぅ・・・」

男「婆ちゃんも向こうで休んでろよ。体悪くするぞ」

男祖母「体が悪いといえばさっきからお腹が痛くて・・・」

男「特大アイスを2本も食ったらそりゃあそうなるわな」

幼女「TVつまんないなー」ポチポチ

男「何で幼女は平気なんだ?」

男「できたぞ」

男祖母「ふぅ・・・やっと腹痛が治まってきた」

幼女「・・・」

男祖母「幼女ちゃんも、ご飯だよ」

幼女「今TV見てるから・・・」

男「・・・」ソロソロ

ポチ

幼女「あー!チャンネル変えるな!」

男「ご飯だぞ」

幼女「リモコン返してよ!返して!」バッ

幼女「ああー!もう終わっちゃったよ!」

男「とっとと飯食え」

幼女「ひどいよ」

幼女「これ本当に男が作ったの?旨い!」

男祖母「お湯も沸かせなかった男がこんな物を作れるようになるなんて」

幼女「あのね、いつもは変なニオイがする料理ばかり作ってるんだよ」

男「言ったな。もうお前には飯は作らないぞ」

幼女「じょーだんだってば」

男祖母「特にサラダなんかおいしいわ」

男「おい。それは野菜を切っただけだろ」

幼女「サラダ一番おいしいよね」

男「舌切るぞテメー」

男祖母「ああ!忘れてたわ」

男祖母「男、もうすぐ29歳?の誕生日よね」

男「そうだったな。俺もすっかり忘れてた」

男祖母「実はお酒を買ってあるの」

男「へえ、それは嬉しいな」

男祖母「今、納屋から取ってくるわね、よいしょっと」

男「無理すんなって。俺が取りに行くよ」

男祖母「そう?悪いわね」

-納屋-

男「よくここに忍び込んでオナニーしてたな」ガラッ

男「うおっ、これはお宝がありそうだな」

男「おっ!あの箱は何だ?」

開けるなキケン!

男「そういえばこんな宝箱を持っていた記憶があるぞ」

男「持って行って後で開けるか」

男「何を入れたんだっけかなー」

男「ただいま」

男祖母「あら男、早かったわね。」

男「いやーホコリまみれになっちまったよ」

男祖母「その汚い箱は何?」

男「俺が昔持ってた宝箱だよ」

男祖母「ああ、キケン開けるなって箱が何個もあったわ」

男「後で開けてみよう」

幼女「幼女も見たい」

男「ご飯食べたらな」

男祖母「さあさ、今お酒開けるわね」

一同「ごちそうさまでした!」

男「婆ちゃん、片付けは一人で大丈夫か?」

男祖母「うん、大丈夫よ。お風呂入って来なさい」

男「それじゃあ、お先に。幼女、風呂入るぞ」

幼女「うん」

スタスタスタ

男祖母「うっ、また腹痛が・・・」

男祖母「う~WCWC・・・」

幼女「もう100数えたよ」

男「ではここで問題です。とても小さいのに家に入りきらないものは?」

幼女「何だろう」

男「ヒントは取れば取るほど増えるものです」

幼女「難しいな」

男「残り30秒」

幼女「小さくて取れば取るほど増える…」

男「時間切れ!答えは星でした」

幼女「何で?」

男「何でも」

男「第二問!赤いのに赤くないと主張している生き物は?」

幼女「男…もう出たい」

男「髪乾かすからここに座れ」

幼女「あい」ドスッ

男「はぁ、本当に柔らかいな。ヤバいよ。固くなってるよ。しかしここは力を抜いて…」

幼女「何が固くなってるの?」

男「いや、何でもないよ」

幼女「早く乾かして」

男「はいよ。ブオオオオオ…」

幼女「口で言ってるだけじゃん!」

男「ブフォォォ…」

幼女「息で乾くか!」

幼女「髪も乾いたしアイスでも食べるかの」

男「食べ過ぎではありませんか」

幼女「だって、全然腹が壊れないんじゃぞ」

男「腹がこわれなくても糖分のとりすぎですよ」

幼女「そうかの」

男「そんな物よりもスルメをお食べになったらいかがですか」

幼女「ふむ。ではスルメを頂こう」

男「はいどうぞ」

幼女「ワシは腕が動かせなくなってしまった。くわえさせてくれ」

男「では口移ししましょう」ンー

男「じゃあ俺は箱を開けよう」

幼女「見せて見せて」

男「今開けるから待ってろ」

男「ぎぎ…結構フタが固いな…」

幼女「開けてあげる」

男「俺が開けられないのに幼女の力で開くわけない」

幼女「貸して!」バッ

幼女「開いた!」パカ

男「それは俺が半分開けておいたからだ」

幼女「何だこれ?本がはいってる」

男「…これは俺のポエムノートかも知れない」

幼女「見たい!」

男「ダメだ!これを人に見せるのは恥ずかしい///」

幼女「見せてってば!」バッ

男「わーっ!読むな!」

幼女「どれどれ…ん?」

幼女「変なマークが書いてある」ポン

カッ

男「何だこの光は!」

フッ

幼女「消えちゃった」

男「まさかこれは特別な力を秘めた本なんじゃ…」

幼女「あっ、マークが無くなって文字が出てきた」

人差し指に唾をつけて前に突き出すと能力が発動する

幼女「指に唾をつけて…えいっ」

ドォォン

男「ば、爆風が!」

幼女「すごいすごい!TVも冷蔵庫も吹き飛ばせる!」ドォォンドォン

男祖母「ああああああ!?」

幼女「婆ちゃん!すごい能力手に入れたよ!」

男祖母「それは禁断の書!絶対に開けるなと言われていたのに!」

幼女「ほら!TVが大爆発!」ドカーン

男祖母「もう…もう終わりだ…」

男「TVぐらいまた買ってやるよ」

男祖母「TVだけじゃない!その能力を解放したことによってこの村が滅亡の危機を迎えている!」

男祖母「昔、ある者が禁断の印象に触れたことによって村が滅びそうになったことがあったの」

男祖母「その時は能力が発動している2年間何とか村は滅びなかったけど」

男祖母「禁断の書の能力は本を開かなければ開かないほど強力になっていくの」

男祖母「今あなたたちが触れた本は10年もの間開かれていなかった…つまり20年間は村は不幸に陥り続けるということ」

男「そんな危ない物ならすぐに捨てればよかったんだ」

男祖母「破いたり燃やしたりするたびに禁断の書は蘇ったわ」

男「それなら本をガムテープでぐるぐる巻きにして箱に戻せば…」

男祖母「印象が消えてしまったらもう元には戻せない!」

男祖母「幼女ちゃん」

幼女「ふぇ?」

男祖母「本を使ったことは絶対に人には言ったらダメだからね。殺されるよ」

男「でもどうして俺にそのことを話してくれなかったんだ」

男祖母「あら、言わなかったかしら」

男「初耳だ」

幼女「ごめんなさい…」

男祖母「先に話さなかった私が悪いの。幼女ちゃんに罪はないわ」

男「そうだよ。言わなきゃバレないって」

幼女「…」

男祖母「とにかく、今日は遅いからもう寝ましょう」

男「そうだな!よし幼女、布団敷くぞ!」

幼女「うん…」

-夜中-

幼女「…うーん…」

幼女「おしっこ…」スタスタ

「ごめんください」

幼女「え?」

「ごめんください」ドンドンドン

幼女「?」ガララ

1「こんばんは。禁断の書はお持ちですか?」

幼女「持ってないよ」

1「実は私、禁断の書封印ケースを販売している者でして」

1「このケースの中に禁断の書を入れると、その能力を封印し、村の不幸状態を回復させることができるのです」

1「万が一禁断の能力が解放されてしまった時のためにいかがですか」

幼女「でもそんなのいらない!」

1「でもというのは、どういう意味合いで?」

幼女「何でもない!能力なんて解放してないよ!」

2「おい。聞いてもいないのに答えるということは…お前、やりやがったな」
幼女「あっ」

1「テメェ…」

2「来い!」グイ

幼女「えっ!?ちょっ…」

1「そいつの口を塞げ!」

2「イエッサ」

1「お前のせいで俺の家族全員が熱を出したんだ!」ドゴッ

幼女「痛っ!」

2「黙れ!」バキッ

1「死ね!くたばれ!」ドカッドカッ

2「1、こいつ本当に死んでないか?」

幼女(…)

1「やっベ、逃げるぞ!」

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