幼母「はい、チョコ渡しておいでー」男母「あらー、良かったわねぇ」(29)


幼母「はい、チョコ渡しておいでー」男母「あらー、良かったわねぇ」

おしゃななじみ「はいー」ニコニコ

おとこ「あいー」ガシッ

おしゃななじみ「………」ググッ…

おとこ「………」グググッ…

おしゃななじみ「ふんっ」ビシィッ

おとこ「あっ…」

おしゃななじみ「ふふーん」パクッ

おとこ「あーあ…」ジーッ

幼母「あらら…だめねぇ」クスクス

男母「チョコ、自分で食べたいわよねぇ」クスクス


おさななじみ「はいっ、おとこくん」ニコニコ

おとこ「くれるのー?」

おさななじみ「うんー、ママがおとこくんにあげておいでって」

おとこ「そうなんだー? でも、おさななじみちゃんもチョコすき?」

おさななじみ「だいすき」フンス

おとこ「…じゃあ、はんぶんあげるー」ヒョイ

おさななじみ「ありがとー」パクッ

おとこ「おいしいねー」

おさななじみ「あまいねー」


幼なじみ「はい、男くん」

男「えっ」

幼なじみ「いいから、はいっ」

男「ちょ、後にしろよっ」キョロキョロ

幼なじみ「そんなモタモタしてたら、よけいに見つかっちゃうよ」

男「チッ……わかったよ」パッ

幼なじみ「んじゃね、見つからないでよ!」タタッ

男「そんなんなら、家で渡せよ…バーカ」ボソッ


幼馴染「あっ…男」

男「おぅ」

幼馴染「はい、義理チョコ」

男「サンキュ、本命は先輩か?」

幼馴染「まーね、彼の手元には本命チョコだらけだけど」

男「いいじゃん、渡さなきゃ後悔するだろ」

幼馴染「あれ? 余裕ありますな? ははーん、さては…」

男「ばか、変な勘ぐり入れんな」

幼馴染「後輩ちゃんから本命、貰ったな?」

男「内緒だよ」ベー

幼馴染「それもう答えじゃない」ケラケラ


幼馴染「男…これ」

男「…ありがとう」

幼馴染「あのね」

男「うん」

幼馴染「……結構、頑張ったから」

男「そっか」

幼馴染「たぶん、女の子が見たら…気合い入ってるって判っちゃうから…ね」

男「…うん」

幼馴染「だから、あの…見せないように…見つからないように」

男「わかった」

幼馴染「……あのっ」

男「食べたら、感想のメール送るよ」

幼馴染「うん…」


幼馴染「これ…受け取って」

男「ありがとう」

幼馴染「それで…それでね…」

男「うん」

幼馴染「男、年末に……」

男「…聞いてたのか」

幼馴染「うん…だから、その…」

男「だから…じゃないよ」

幼馴染「え?」

男「それまでの事は関係無く、俺は…」

幼馴染「男…!」

男「今更って…言うなよ?」

幼馴染「言わない…よぅ…」


恋人「じゃーん!」

男「おお、すげーな」

恋人「でしょ? かなり眠い!」

男「そんなに遅くまで頑張ったのか」

恋人「ふふん…愛ですよ、愛」

男「いっただっきまーす…」

恋人「ノンノン」チッチッ…

男「?」

恋人「はい……あーんして?」

男「……お…おぅ…」


恋人「ごめん!」

男「何がよ?」

恋人「…ここのところ忙しくって……」

男「ああ、いいって…そんなん」

恋人「そんなんって言われるのも、ちょっと腹立つなぁ」

男「じゃ、どう言やいいんだ」

恋人「手作りが食べたかったなぁ! でも仕事が忙しいんだから、仕方が無いんだよ! …とか?」

男「それ、俺が言うと思う?」

恋人「思わなーい」

男「おお…でもやっぱ高級チョコ、美味いわ…」

恋人「一個! 一個頂戴っ!」


幼馴染《…あ、もしもし?》

男「おー、どしたよ?」

幼馴染《ん…今日、バレンタインじゃない?》

男「ああ、そっちの日付ももう変わったか?」

幼馴染《うん、さっきね。…なんか、男の顔を見ないバレンタインなんか、初めてだったから…ね》

男「声だけでも聞きたくなったとか?」

幼馴染《……そうだね》

男「…おいおい、何を感傷的な事を言ってんだよ。何のために俺達が…」

幼馴染《…うん……》

男「夢…だったんだろ? 俺、ここから…ずっと応援してるからさ」

幼馴染《……う…ん…》

男「…がんばれよ、幼馴染」


幼馴染「…なんか、私がご馳走になっていいのかな……」

男「いいんだよ、チョコくれたろ?」

幼馴染「でも、このお店…高そうだよ」

男「そんな事、心配すんな…失礼だな」

幼馴染「……ごめん」

男「とりあえず、乾杯だよ。…二年ぶりに一緒に過ごすバレンタインに」

幼馴染「うん…ごめんね、応援してもらったのに」

男「……俺は、それで良かったよ」

幼馴染「えっ?」

男「なんでこんな店、予約したと思ってんだ」

幼馴染「えっ?」

男「……俺の右ポケット…何が入ってると思ってんだよ」


婚約者「男、これ…」

男「ありがとう」

婚約者「感慨深いですねー」

男「お互い、独身最後のバレンタインってか」

婚約者「ホワイトデーには、もう夫婦だもんね…」

男「くすぐってえな」

婚約者「もっと遊びたかった?」

男「もう充分だよ」

婚約者「そんなに遊んだの?」

男「滅相もない」

婚約者「思い残す事は?」

男「………」

婚約者「無いって言おうよ」

男「無い…と思うよ」


妻「はい、今夜はチーズフォンデュの後でチョコフォンデュだよっ」

男「おお…どっちも食い慣れねえ」

妻「用意した私も、慣れてません」

男「これ、掻き混ぜなきゃいけねえの?」

妻「た、たぶん…」

男「食べてみるよ? 最初はパンをつけて…」パクッ

妻「あっ…そっちはチョコ用のラスクだよ!」

男「……甘いと思った…」

妻「じゃあ、代わりに温野菜にチョコつけてみる?」

男「まじ勘弁」

妻「はい、あーんっ」

男「ばか! 本当につけんな!」


妻《ごめんね…男、今日は一緒に過ごせなくて》

男「いいから、ゆっくり休めよ」

妻《うん…ありがとう》

男「おやすみ」

妻《おやすみ…男》

男「……なんだ? 切らないのか?」

妻《ふふっ…》

男「?」

妻《おやすみなさい……パパ…》

男「……まだ、ちょっとだけ早いよ。予定日はひと月後だろ」


ママ「はいっ、どうぞ…パパ」

男「ありがとう……ははっ、娘が狙ってんな」

ママ「ダメでしゅよー、チョコは刺激が強いから…もうちょっとね」

むしゅめ「あーうー」

男「よだれが、よだれが…」

ママ「あはは、バレンタインだからパパにキスしてあげたら?」

むしゅめ「あー」ヨチヨチ

男「ちょ、よだれ拭いてからっ」

むしゅめ「うー」ブッチュウゥゥ

男「うわー何をするー」

ママ「あはははっ」


ママ「パパ、嫉妬しちゃだめよ?」

男「うん?」

ママ「今日、バレンタインだったじゃない?」

男「ああ、そうだな」

ママ「だから、娘に…お隣の息子君にチョコを渡させようとしたの」

男「渡させ…ようとした?」

ママ「うん…『はい、チョコ渡しておいでー』って」

男「それで?」

ママ「向こうの母親さんも『あらー、良かったわねぇ』って言ってたんだけど」

男「うんうん」

ママ「あの娘ったら、渡さずに自分で食べちゃったんだ」

男「…あいつらしいな」

ママ「ふふっ、誰に似たんだろうね? …ほんと」



(おしまい)

短いけど、季節モノなので勘弁

あと、>>1の本文にうっかりスレタイ部分を再掲してしまった。無視して下され。

書き方が悪く悩ませてごめん…

格好悪い話だが、自分が意図してた流れを説明した方が良いだろうか


一応、書いてた時の意図は以下の通り。でも好きに受け取ってくれて構いません


>>5 男に彼女あり(Not幼)

>>6 男が年末頃に別れた事を幼は知っている、男が幼に告る(「今更って言うなよ」の台詞)、幼が恋人にジョブチェンジ

>>8 恋人(幼)の仕事が忙しくなる、後に海外へ(この時、男が身を引く形で別れる)、恋人から幼に再ジョブチェンジ

>>9 海外の幼から電話、夢に破れかけ?

>>10 幼帰国、プロポーズを経て婚約者に飛び級ジョブチェンジ


本当、ぼやかし過ぎた。深く反省…

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom