京太郎「俺が三年生?」恒子「ねぇねぇ、お姉さんの相方やってみない?」 (1000)

まず注意書き

・このスレは京太郎主人公の安価スレです

・いわゆる設定改変してるので上記の内容も含めて苦手な方は注意

・安価ですがバトルや成長要素はありません でも好感度はあるかも

・息抜き用のスレなので結構適当です




過去スレ

京太郎「俺が三年生?」久「私が幼馴染じゃ不満?」
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京太郎「俺が三年生?」照「私が幼馴染……二番目だけど」
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京太郎「俺が三年生?」咲「私だって幼馴染だもん……一応」
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京太郎「俺が三年生?」小蒔「初めては私です!」
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京太郎「俺が三年生?」由暉子「ゆきみだいふく、食べませんか?」
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京太郎「俺が三年生?」咏「婿養子とかいいんじゃね? 知らんけど」
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エピソードを時系列順にまとめたwiki
http://www62.atwiki.jp/kyo3nen/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1463239594

お久しぶりです
前スレ1000はその内気が向いたらで

それじゃ、もうちょっとしたら始めます

んじゃあ、そろそろスタートします



・三年、秋、星に願いを


優希「やっと終わったじぇー」

和「今日はいっぱい打ちましたね」

咲「秋の大会、私たちも出るんだよね?」

まこ「まぁ、出る出ないは自由じゃがの」


京太郎「おいーっす」


和「先輩、お疲れ様です」スッ

京太郎「お、おう……近いな」

優希「先輩は部活サボってどこ行ってたんだじぇ」

咲「そういえば部長もいなかったよね?」

まこ「来月には学祭に学生議会の入れ替わりもあるしの。ああ見えて忙しいわな」

京太郎「そして俺はその手伝いだよ……」

優希「よくよく考えたら部長も副部長もいないとか」

京太郎「もう次期部長に任せるってことだな」

まこ「ま、ほどほどに頑張っちゃるけぇ」



優希「そしてその次の部長は私だじぇ!」


咲「優希ちゃんが?」

京太郎「んー?」

まこ「和が安牌だと思うがの」

京太郎「だよなぁ」


和「でもゆーき、中学校では部長やってましたよ?」


京太郎「えっ」

まこ「えっ」

咲「えっ」

優希「なぜそんな顔をするのか」





京太郎「しかし、うちって優勝したんだよな?」

咲「うん、何回かインタビューも受けたし」

京太郎「しかし、部員が増えないのはなんでなんだろうな?」

咲「前にクラスの子が荷が重いって言ってたけど」

京太郎「なるほどな……去年と似たような感じか」

咲「そういえば、去年は部長が個人戦に出てたんだよね?」

京太郎「そうだよ。いいとこまで行って評価も上々だったのに部員は増えなかった……」

咲「えっと、どういうこと?」

京太郎「入りたいってやつはちらほら来たけど、久ちゃんが頑張りすぎてさ」


京太郎(そして今年は多分こいつだな)チラッ


咲「どうかしたの?」

京太郎「いや、お前もインハイは頑張ったなって思って」


京太郎(そして多分頑張りすぎたな)

京太郎(それで勝てたようなもんだからなんとも言えないけど)



咲「な、なに急に……」

京太郎「さてな。ほら、帰るぞ――」


淡「……」キョロキョロ


京太郎(なんであいつがここに……!)

京太郎(いや、落ち着け。別に俺が目的って決まったわけじゃないし)

京太郎(うん、そうだ。……でも一応、鉢合わせないようにしとくか)


京太郎「さて、今日はちょっと遠回りするか」グイッ

咲「わっ」


咲(と、遠回りってもしかして……)ドキドキ



京太郎「じゃ、寝るときはお腹冷やさないようになー」

咲「あ、うん……」


咲(本当に遠回りしただけだった……!)





京太郎「ただいまー」


「おかえり~、ご飯できてるわよー」

京太郎「ああ、ちょうど腹減ってた……」


京太郎(ローファー……女物?)

京太郎(まさか――)


淡「おっかえりー、キョータロー!」


京太郎「まさかとは思ったけど本当に来るとは……」

淡「来るのわかっちゃった? それって愛の力だね!」

京太郎「偶然の産物だ」

淡「ホント素直じゃないよねっ」


「まぁまぁ、せっかくだし一緒にご飯食べちゃいなさいよ。今日はあの人も遅いし」


京太郎「……そうするか」グゥ

淡「これってもしかして両親こーにんってやつ?」

京太郎「全然違うからな」

「あんたが認めるなら公認しちゃうわよー?」

京太郎「ちょっと黙ってて!?」





淡「んふー、おいしかったー」

京太郎「で、本日のご用向きは?」

淡「そんなの決まってるじゃん」

京太郎「察するに……家出か」

淡「あわっ!?」

京太郎「図星かよ」

淡「家出じゃないし! 寮出だし!」

京太郎「どっちも同じ意味だからな」

淡「うぅ……だって練習ばっかでつまんないんだもん」

京太郎「だからってお前な……」



淡「というわけで構ってよ」

京太郎「よし、とりあえずお前を東京に帰すとこからだな」

淡「おーぼーだ! 裏切り者ー!」

京太郎「多分色々迷惑かけてるだろうから観念しろ」

淡「それはそうだけど……」

京太郎「今夜は泊めてやるからまた明日だな」

淡「……はーい」

京太郎「まぁ、明日は休みだし、送り帰す前にちょっとだけ付き合ってやるよ」

淡「ホント!?」

京太郎「ほどほどに期待しとけ」

淡「うん! スッゴイ楽しみにしてる!」


京太郎「そういや、お前どうやって長野まで来たんだ?」

淡「新幹線だよ? お小遣いを財布にキープしてた淡ちゃんに死角はなかったね!」

京太郎「帰りの分は?」

淡「ない!」

京太郎「はい死角発見!」



『お風呂の準備できたわよー』


京太郎「まぁ、これは後でいいか。先に風呂入ってこいよ」

淡「あわっ、もしかして誘ってる?」

京太郎「誘ってない誘ってない。そもそも親がいるのにそういうことができるか」


『多少ギシギシしてても気にしないから大丈夫よー』


京太郎「あんたは会話に入ってこなくていいからっ」

淡「気にしないって」

京太郎「さっさと入ってこい。入んないなら俺が入るぞ」

淡「一緒に入るのは?」

京太郎「なし」





菫『そうか……すまない、迷惑をかけてしまって』

京太郎「いいって。こっちに来たのには驚いたけど、それだけだ」

菫『常々思うが、本当に懐が広いな』

京太郎「バケツの底が抜けてるだけだったりしてな」

菫『もしくは表面張力がすごい、とか』

京太郎「そりゃこっちの問題じゃないな」

菫『それもそうか』

京太郎「しかし、そっちじゃ大事になってないのか?」

菫『……なってないと思うのか?』

京太郎「うんまぁ……ファイト!」





淡「上がったよー。なにしてんの?」

京太郎「お前の寝床の用意」

淡「寝床ってリビングのソファー? キョータローの部屋がいいなぁ」

京太郎「わかった、いいぞ」

淡「あわっ、本当に!?」

京太郎「ああ、代わりに俺がこっちで寝るから」

淡「じゃあ私もこっちがいい!」

京太郎「狭いからダメだ。じゃあ、俺は風呂入ってくるから」

淡「どーぞ」

京太郎「……なんでついてくるんだ?」

淡「湯冷めしちゃったからもう一回入ろうかと」

京太郎「……」


京太郎(こいつめ……とことん頭の中がピンク色か!)

京太郎(どこぞの松実と違ってわざとあれこれやってくるなら、正直我慢できる自信ないぞ……)

京太郎(どうすっかな……そうだ)


京太郎「ちょっと風呂の前にアイス買いに行ってくる」

淡「ハーゲンダッツ!」

京太郎「りょーかい。じゃ、ちょっと待ってろよ」

淡「はーい」





京太郎「さて、とりあえずは……」プルルル


『はいもしもし、宮永です』


京太郎「咲か? ちょっと頼みたいことあるんだけど」

咲『京ちゃん!?』

京太郎「オレオレ詐欺じゃないから安心しろ」

咲『わ、わかってるよ、もう……』

京太郎「早速だけどさ、今日うちに泊まれるか?」

咲『え……えっ!?』

京太郎「無理なら別にいいけどさ」

咲『い、行くっ』

京太郎「なら今から迎えに行くから用意しとけ」

咲『うん、待ってるね』


京太郎「よし、これでもう安心だな」





咲「……」

淡「……」


京太郎「じゃ、俺は風呂入ってくるから」


「「ちょっと待って!」」


京太郎「なんだ? アイスなら冷凍庫に放り込んだぞ」

咲「そこじゃないよ! どうして淡ちゃんがいるの!?」

淡「そーだよ! 二人っきりじゃなくなっちゃったじゃん!」

京太郎「やっぱ俺とこいつだけじゃ色々問題ありそうだからさ」

咲「おばさんとおじさんは?」

京太郎「いるっちゃいるけど……」


「二人同時とは……やるな!」

「決められないから全部取っちゃおうってことね……やるじゃない!」


京太郎「やつらにストッパーを期待しちゃダメだ」

咲「……うん、そうだね」

淡「ぶーぶー!」





京太郎「んじゃ、布団はベッドの横に敷いといたから。仲良くしろよー」バタン


咲「……」

淡「……」ムスッ

咲「えっと、寝る?」

淡「サキはさ、ムカつかないの?」

咲「それは……そうだけど」


咲(期待させるだけ期待させといて……)

咲(泊まりに来いって絶対勘違いするよね!?)


淡「仕返ししなきゃって思うよね?」

咲「そう、なのかな?」

淡「そーだよ!」


淡「というわけでキョータローのとこ行ってくるねっ」


咲「ちょっと待った!」ガシッ

淡「あわっ」

咲「どうして京ちゃんのとこに行くのが仕返しすることになるのかな?」

淡「えー? むこーの思い通りにはならない! みたいな?」

咲「じゃあ私が行ってもいいってこと?」

淡「それはダメ」

咲「じゃあ淡ちゃんもダメだね」

淡「どーしてさ!」

咲「どうしても!」






咲「淡ちゃんはベッドと布団、どっちで寝る?」

淡「サキは?」

咲「どっちでもいいかな」

淡「じゃあベッド」

咲「なら私は布団だね」

淡「それよりも……」ゴソゴソ

咲「……なにしてるの?」

淡「えっちな本、サキも見る?」

サキ「え!?」

淡「この前はあんまり見られなかったし」

咲「か、勝手に漁っちゃダメだよ」

淡「気にならないの?」

咲「……京ちゃんが変な趣味持ってないか確認するだけなら」

淡「じゃ、決定だねっ」

咲「う、うん……」


淡「あれ? なくなってる」

咲「こっちは探した?」ゴソゴソ

淡「おかしいなー」ゴソゴソ



――ガタガタッ


京太郎「……まだ寝てないのかよ」

京太郎「まぁ、場所変えといたし多分大丈夫だろ」





淡「見つかんなーい!」

咲「どこかに隠しちゃったのかな?」

淡「テルにもっと詳しく聞いとくんだった」

咲「はぁ……もう寝よ」ゴソゴソ

淡「そーだね……」ゴソゴソ


淡「ん、キョータローのにおいだ」クンクン


咲「……」

淡「あわぁ、なんかいーかも」

咲「ね、ねえ? やっぱり交換しない?」

淡「ヤダー」

咲「ちょっとだけでいいから」

淡「ダメー」

咲「本当にちょっと、ちょっとだけだから!」グイグイ

淡「あわっ、引っ張らないでっ」



――ガタガタッ


京太郎「あいつら元気だなぁ」

京太郎「ガールズトークでも弾んでるのかね?」

京太郎「……ふわぁ」





京太郎「んー、おはよ……」

「あら、もう起きたの?」

京太郎「こんなとこに寝てりゃな」

「じゃあ朝御飯にするから、二人とも起こしてきたら?」

京太郎「父さんは?」

「そっちはお母さんの仕事♪」

京太郎「あー、はいはい」



京太郎「朝だぞー」コンコン

京太郎「……返事なし」

京太郎「しかたない、入るか」ガチャッ


咲「……」スピー

淡「……」クカー


京太郎「……なんでこいつら同じベッドで寝てんの?」





咲「私はもう帰るね」

京太郎「いきなり呼び出して悪かったな」

咲「……言うことはそれだけ?」

京太郎「んなこと言われてもな……ま、助かったよ」ポンポン

咲「んっ」


咲「そういえば淡ちゃんは?」

京太郎「食後の二度寝。人の家だってのにフリーダムだよな」

咲「変なことしちゃダメだよ?」

京太郎「お前は俺をなんだとなんだと思ってるんだ」

咲「……」ジトッ

京太郎「よし、送っていきがてらお前の誤解を解くとしよう」





淡「もう、どこいってたのさ!」

京太郎「咲の家」

淡「今日は私に付き合ってくれるって言ったのに!」

京太郎「お前が寝てるからだろ。ほら、出かけるぞ」

淡「ちょ、ちょっと待って! 今用意するからっ」



淡「それで、どこ行くの?」

京太郎「正直言うと決めてない」

淡「じゃ、適当にぶらぶらしよーよ」

京太郎「お前を東京に帰すことを考えるとそんなに時間もないし……」

淡「えー? そんなの気にしなくてもいいのに」

京太郎「むしろそれが一番大事だろうが」


京太郎「そうだな……星でも見に行くか?」


淡「星? まだお日様出てるよ?」

京太郎「まあ、本物の星じゃないんだけどな」





淡「プラネタリウム!」

京太郎「お前の名前的にいいかなって思ったんだけど」

淡「安直ー」

京太郎「まぁ、そこは認める」

淡「でも星かぁ……なんかロマンチックかも」

京太郎「どうだ?」

淡「うん、付き合ってあげる」

京太郎「このっ、えらそーに」

淡「照れなくってもいいのにー」

京太郎「……ていっ」ピシッ

淡「あわっ!?」


京太郎「今日は流星群がテーマらしいな」

淡「りゅーせいぐん……流れ星」

京太郎「ま、滅多に見られるもんじゃないしお得感はあるかもな」

淡「流れ星がいっぱいならお願いし放題じゃん!」

京太郎「つっても作り物――」

淡「ねねっ、早く入ろうよ!」グイグイ

京太郎「わかった、わかったから引っ張るな!」





淡(流れ星まだかなぁ……)

淡(……あっ、来た!)


淡「――」ブツブツ


京太郎「……」


『キョータローが私のことを好きでいてくれますように』


京太郎(隣で呟かれると聞こえちゃうんですけど)

京太郎(それにしても、好きでいて欲しい、か)


『キョータローは私のなんだからねっ』

『んふふー、素直じゃないよねっ、キョータローは』

『好きな子にはツレない態度とっちゃうんだよね。でも私には伝わってるから大丈夫だよ!』


京太郎(あの自信は案外不安の裏返しだったりしてな)

京太郎(……)

唐突にコンマ判定

高ければ高いほどいい感じです


直下



コンマ80以上 額にキスをする


京太郎「……淡」


京太郎(小声で呼びかけても返事はない)

京太郎(あのお願い事に完全に意識がいってるみたいだ)

京太郎(観客はまばらで、室内は薄暗い)


京太郎「淡」

淡「えっ?」


京太郎(今度は反応があった)

京太郎(無理やりこっちを向かせたから当然だが)


京太郎「……」

淡「……」



京太郎(まいったな、なにするかとか考えてなかった)

京太郎(でもこんな近くで見つめあった男女がすることって……)


京太郎「……んっ」

淡「あわっ」


京太郎(唇に向かいそうになるところを、すんでのところで軌道修正)

京太郎(ごまかすように額にキスをした)

京太郎(それがどんな意味を持つかはいまいち覚えていない)


淡「今のって……」

京太郎「ほら、まだ星が流れまくってるぞ」

淡「あ、うん……でも、もうお願いする必要ないかも」





淡「それじゃあね」

京太郎「ちゃんと帰ってきっちり怒られてこい」

淡「うぅ……せっかく忘れてたのにぃ」

京太郎「ま、運命だと思って諦めろ」

淡「うん……ありがと、昨日からずっと」

京太郎「ああいう無茶には慣れてるからな」

淡「じゃあこれからもちょくちょく来ちゃおうかなー」

京太郎「帰りの電車賃出してもらってる分際でなっ」グリグリ

淡「いたいいたいっ」


京太郎「気をつけろよ」

淡「はーい」

京太郎「それと、これ」

淡「ケータイ?」

京太郎「連絡先ぐらい交換しといてもいいんじゃないかってな」

淡「私の声が毎日聞きたいってこと?」

京太郎「いや、それは……まあ、週一ぐらいならな」

淡「もう、素直じゃないなぁ」ピッ



淡「んっ、交換かんりょー」

京太郎「よし、さっさと行け。もうすぐ時間だしな」

淡「そーだね。じゃ、はい」

京太郎「……なにやってんだ?」

淡「おわかれのちゅー。さっきもしてくれたよね?」

京太郎「あれはおでこな。口にするのとは全っ然意味違うから」

淡「えー? もう、しょうがないなぁ」グイッ

京太郎「っと」

淡「んっ、ほっぺた……? 口狙ったのに!」

京太郎「はいはい、残念だったな」

淡「もう……でも今日はこれで勘弁してあげようかな?」


淡「キョータロー、大好き! まったねー」


京太郎「あいつ、また大声であんなことを……」





京太郎(そして嵐が過ぎ去った翌日)

京太郎(穏やかな日曜の朝のはずだったんだけど……)


『おはよ~(*´∀`*)ノ』


京太郎(とかいうメールを筆頭に怒涛のラッシュ)

京太郎(昨日の夜はなにもなかったというのに)

京太郎(アドレスを渡したことを軽く後悔した矢先に――)


『大好きだよっ(*´>ω<))ω`●)ムギュ』


京太郎(このメールだ)


京太郎「まったくな……」


京太郎(なんとなく毒気が抜かれてしまった)

京太郎(こういうところがあいつの魅力なのかもしれない)


「あんた携帯見てなににやけてるのよ」ニヤニヤ

京太郎「に、にやけてないって!」



というわけで終了

安価取りたいけど人いますかね?

それじゃ、とりあえずなんらかの一覧です
基本的に上にいる人がエンディングに近いです


大星淡

福路美穂子
姉帯豊音
宮永照

ネリー・ヴィルサラーゼ
神代小蒔
松実玄
天江衣
竹井久

宮永咲
桧森誓子
真屋由暉子
原村和

瑞原はやり
三尋木咏
エイスリン・ウィッシュアート

滝見春
石戸霞
片岡優希
薄墨初美
清水谷竜華
園城寺怜
白水哩
龍門渕透華
小鍛冶健夜
染谷まこ
小走やえ
鶴田姫子
獅子原爽
妹尾佳織



本内成香
臼澤塞
上重漫
狩宿巴
弘世菫
辻垣内智葉
国広一
岩館揺杏
高鴨穏乃
東横桃子
蒲原智美
雀明華
鷺森灼
新子憧
津山睦月
部長
内木一太
ハギヨシ
メイド
松実宥
井上純
荒川憩
愛宕絹恵
小瀬川白望
熊倉トシ
佐々野いちご
針生えり
原村恵
加治木ゆみ
夢乃マホ
南浦聡
久保貴子
花田煌
郝慧宇
メガン・ダヴァン
野依理沙
赤坂郁乃
福世恒子
アレクサンドラ・ヴィントハイム
戒能良子

愛宕洋榎
鹿倉胡桃
江口セーラ
藤田靖子
池田華菜
末原恭子
沢村智紀
吉留未春
文堂星夏
深堀純代
南浦数絵
二条泉
赤土晴絵
真瀬由子
村吉みさき
渋谷尭深
亦野誠子

それじゃ、お好きなキャラをどうぞ

50分まで

ネリー2

はやり2
照2

小蒔
誓子
由暉子
豊音

桃子

ちょっと割ってきます

コンマ

ネリー:1-14
咏:15-21
はやり:22-35
照:36-49
玄:50-56
小蒔:57-63
誓子:64-70
由暉子:71-77
豊音:78-84
衣:84-91
桃子:92-00

ゾロ目:?


直下

由暉子で了解

今後は唐突にコンマ判定することもあるかと思います
何に関係してるかといえば明言してないほにゃららですけど
今回は一番いいのを出したので淡がトップになりました
次にユキでゾロ目を出せれば多分並びます

それじゃ、おやすみなさい

おハローとかいうブランチみたいな挨拶
今は思いっきり深夜ですけど

ともかくもう少ししたら始めます

んじゃ、始めます



・三年、秋、距離の縮め方


透華「北海道に行きますわ!」


京太郎「あ、うん。いってらっしゃい」

透華「あなたも来なさい」

京太郎「もしかしてと思ってたけど、やっぱりそのパターンか」

透華「じゃあこの後のパターンもわかっていますわね?」

京太郎「準備して即出発だろ?」

透華「わかっているならよろしい」

京太郎「今回の面子は?」

透華「ハギヨシとあなたですわ」

京太郎「よし、頑張るか!」


透華(この気合の入りよう……ふふ、ようやく執事としての自覚が芽生えてきたみたいですわね)

京太郎(ハギヨシさんと一緒だもんな……カッコ悪いところは見せられないってな)





京太郎「ということで北海道行ってくるわ」

純「あー、そういえばグループの系列のホテルがオープンするとか」

京太郎「ってことは挨拶だな」

純「でも、たしか泊りがけだぞ?」

京太郎「え、聞いてないんだけど」

純「まーた、あのお嬢様は」

京太郎「とは言っても、明日もこっち来る予定だったからな」

純「土日をバイトで潰すとは……オマエ部活とかいいの?」

京太郎「つっても消耗品とかは足りてるだろうしな……多分大丈夫じゃないか?」

純「アイツらのモチベーションの問題なんだけど」

京太郎「それなら俺が卒業した瞬間、まずいことにならないか?」

純「その可能性も大いにあるよなぁ」

京太郎「ははは、まさか」


純(ソレ、結構真実味あるよな)

純(オレらは有利になるかもしれないけど、そんなことで潰れられるのもな……)


純「是非、ケアはしといてくれ」

京太郎「お前も案外心配性だな」

純「杞憂で済めばいいとは思ってるよ」





透華「さあ、着きましたわ!」

京太郎「……」

透華「ふふふ、我がグループのホテルの威容に声も出ない様子」


京太郎(洞爺湖……こんなに早く来る機会があるとは……)


ハギヨシ「私は部屋に荷物を運びます」

透華「任せましたわ」

ハギヨシ「では……京太郎くん、お嬢様をお願いします」

京太郎「任されました」


京太郎「ということで俺が面倒見てやるぞ」

透華「……あなたの態度に言葉遣いは後々矯正するとして」

京太郎「あのさ、ずっと前にそのままでいいって言わなかったっけ?」

透華「それはあくまで他の誰もいない時ですわ」

京太郎「そうだっけ?」

透華「そうですわ!」

京太郎「そんな大声出すなって。周りの人驚いてるぞ」

透華「~~っ、とにかく! 今後のことも考えてこれからはビシビシいきますから覚悟しなさい!」

京太郎「今後のことって……」


京太郎(俺、アルバイトのはずだよな……?)





京太郎「あー、つっかれたー!」

ハギヨシ「ふふ、君にもいい勉強になったでしょう?」

京太郎「やっぱわざとですか……なんか姿見かけないと思ったら」

ハギヨシ「実はお嬢様に言い含められていましてね」

京太郎「なんとかなったからそれはそれでいいですけど……」

ハギヨシ「満足のいく働きだった、とのことです」

京太郎「……本当にそんなこと言ってました?」

ハギヨシ「ぶっちゃけると意訳ですね」

京太郎「意訳かー、うーん」


京太郎(龍門渕も素直じゃないとこあるからなー)

京太郎(まぁまぁとかそこそことか、そんな感じのことを言ったんだろうな)



ハギヨシ「明日は私が付きます。君はお土産でも見繕っていてください」

京太郎「という名目のフリータイムですか」

ハギヨシ「ハメを外しすぎなければ好きにしてもいいみたいですよ」

京太郎「ちょうど買い物もしておきたかったんですよね」

ハギヨシ「建前はありますから着替えないように」

京太郎「この格好で動き回れってことですかっ」


京太郎(目立つから滅多なことできないっての!)


ハギヨシ「と、言っておくことはこんなところですね」

京太郎「りょーかいです」

ハギヨシ「ところで、入浴する前にコレで一汗、どうでしょうか?」

京太郎「卓球ですか……いいですね!」





京太郎「いてて……筋肉痛だ」

京太郎「昨日はヒートアップしてしまったぜ……」

京太郎「しかし北海道土産か……井上には木刀でも買ってこうかな」

京太郎「沢村さんには……よくわかんないな」

京太郎「おチビには団子でも持ってくか」

京太郎「そんで、一には……そういやあいつ、明日誕生日か」

京太郎「……どうするかな」





揺杏「次の衣装、どんなのがいーかなー?」

揺杏「元からあるやつを改造するのもいいけど、なんかコンセプトというか、方向性が欲しいみたいな」

揺杏「あーあ、なんかおもしれーもん転がって……」


「……」スタスタ


揺杏(やっべ、なにあの人……燕尾服じゃん)

揺杏(このあたりにそういう店は多分ないし……じゃあ個人の趣味?)

揺杏(でもなんか堂々としてんだよなー。まさか本職の方だったりして)


「……どうするかな」


揺杏(へェ、考える姿も様になってるっていうか……イケメン執事じゃん)

揺杏(須賀のにーさんもああいうの結構似合いそ……あれ?)


「この前は上に着るものあげたっけな。じゃあ今度はインナーか? いやいやそれはさすがに」


揺杏(ん? んんん?)

揺杏(あの声、あの頭、あの顔……)

揺杏(もしかしなくても、ご本人?)



京太郎「無難に洞爺湖土産でごまかそうか……あれ、岩館?」

揺杏「ひ、久しぶり……ってほどでもないか」

京太郎「そうだな。八月の終わり頃はこっちにいたし」

揺杏「……えっと、今日はどうしてこっちに?」

京太郎「一応お仕事」

揺杏「えっ、まさか学生やりながら執事とかいう、どっかの漫画みたいなことやってんの?」

京太郎「俺はパチモンだけど、実際にそうしてる人たちもいるからな?」

揺杏「パチモン? コスプレってこと?」

京太郎「コスプレ言うな。アルバイト執事ってことだよ」

揺杏「アルバイト執事……なるほど、わっけわかんね」


揺杏(でも、なんか掻き立てられるようなものはあるよなー)

揺杏(こう、インスピレーション来てるというか)

揺杏(ここで隣にユキでもいればなんか思い浮かびそう――)


由暉子「……」テクテク


揺杏「ってユキいたー!」


由暉子「ひゃっ」ビクン





揺杏「はーい、とりあえず並んで立ってー」

揺杏「次は……にーさんが跪く感じで」

揺杏「そうそう、そのままユキの手を取っちゃってさ」

揺杏「見つめ合って! もっと顔近く!」

揺杏「そんでそのまま――」


京太郎「――ってなにさせようとしてやがる!」バッ

由暉子「あ……」

揺杏「あれま、バレちゃった?」

京太郎「タチ悪いイタズラだな……で、参考になったのか?」

揺杏「いー感じだね。お嬢様風のフリフリ衣装が思い浮かんだよ」

京太郎「それは俺も体を張ったかいがあるってもんだな」

揺杏「んじゃ、ちょっと手ぇつけてくるわ」


揺杏「ユキのことよろしくー」


京太郎「……頼まれちゃったぜ」

由暉子「よろしくお願いします」ペコッ

京太郎「こっちこそ。多分買い物に付き合わせちゃうからな」





京太郎「さて、次は木刀だな」

由暉子「洞爺湖の木刀ですか?」

京太郎「まあな。俺の部屋にも一本あるあれだ」


由暉子(今、私は執事さんと歩いています)

由暉子(正確にはアルバイト執事とのことです)

由暉子(でも、そんな違いが些細なものに感じるほどこの人はいつも通りで)

由暉子(むしろその格好が当然だと思えるくらい堂々としています)


京太郎「そういえば誕生日プレゼントってなにがいいと思う?」

由暉子「十月九日です」

京太郎「あ、ああ……」

由暉子「あっ……」カァァ

京太郎「俺の言い方が悪かった。来月か……ま、覚えとくよ」ポン



由暉子(頭の上に置かれた手は優しくて、顔の熱が胸に移動したような気がしました)

由暉子(その熱に任せて一歩踏み込んでみます)


由暉子「手、おっきいです」


由暉子(手を取って、頬に当ててみたり……とか)


京太郎「ほっぺたは柔らかいな」ムニッ

由暉子「んっ」

京太郎「さ、移動するか。せっかくだから色々見たいし」


由暉子(軽く流されてしまいました)

由暉子(余裕なのか、鈍いのか……)

由暉子(本当に手ごわいことこの上ないです)





京太郎「こんなもんか」ドッサリ

由暉子「買い込みましたね」

京太郎「よくよく考えたらうちの分もいるかと思ったんだよ」

由暉子「原村さんには何を買ったんですか?」

京太郎「ペンギンのキーホルダー。邪魔にはならないだろ、多分」

由暉子「……ちょっと羨ましいです」

京太郎「んー」


京太郎(やっぱり対抗意識持ってんな)

京太郎(張り合う相手がいるのはいいことだけど)


京太郎「じゃあペンギンのキーホルダー、いるか?」

由暉子「同じものはイヤです」

京太郎「マジか」

由暉子「マジです」


京太郎(よくよく考えりゃそれもそうか)

京太郎(ライバルと同じものもらってもって話だもんな)

京太郎(しかし、となるとどうすっかな……)


京太郎「よし、とりあえずなんか食べながら考えるか」





京太郎「ふぅ、ちょっと早いけど昼は済んだな」

由暉子「ごちそうさまでした」ペコッ

京太郎「しかし、結局決まらなかったか。なにがいいんだ?」

由暉子「なにがいいと思います?」

京太郎「答える気はなさそうだな……降参していいか?」

由暉子「一つ、私のお願い聞いてくれますか?」

京太郎「俺にできることならな」

由暉子「じゃあ、私が今食べたいものを当ててください」

京太郎「えっ、ここにきて?」


京太郎(食べたいもの食べたいもの……)

京太郎(食後だし、ガッツリしたものはないだろうし)

京太郎(ならデザート系か?)

京太郎(にしたって色々あるし……)



由暉子「……」ポヨン


京太郎「ゆきみだいふく……とか?」

由暉子「やっぱりエスパーなんですか?」

京太郎「いや、前にも何回か一緒に食べてたからさ」

由暉子「覚えてたんですか?」

京太郎「そりゃあな」


京太郎(そう、だから胸は関係ない。おもちもちもちゆきみだいふくでもおもちは関係ない)


由暉子「ゆきみだいふく、食べたいです」

京太郎「わかった。買いに行くか」

由暉子「はい」





由暉子「あーんしてください」

京太郎「いや、たしかに人目はあんまないけどさ」

由暉子「……食べてくれないんですか?」シュン

京太郎「食べる、食べるから」

由暉子「じゃあ、はい」

京太郎「……」パクッ

由暉子「おいしいですか?」

京太郎「ん、おいひぃ」

由暉子「よかったです♪」


京太郎(やっぱ俺って年下に甘いのか?)

京太郎(でも、こんな顔されたらな……)


由暉子「次、どうぞ」スッ

京太郎「待て、俺ばっか食べてもしかたないだろ」

由暉子「そうですね……お願いします」アーン

京太郎「俺が食べさせる番ってやつ?」

由暉子「お願いします」ニッコリ

京太郎「うっ……」



京太郎(やっぱり笑うとすっごくかわいいんだよ)

京太郎(これがあればファンなんてすぐできるだろうな)

京太郎(アイドルの強力な武器ってところか)

京太郎(そんじゃあ、応援の意味も込めて……)


京太郎「ほら」

由暉子「んっ」パクッ

京太郎「うまいか?」

由暉子「……甘い、です」


由暉子「もう一個、ほしいです」

京太郎「はいよー」



京太郎(食べさせられ、食べさせているうちにすぐに数は減っていって……)


由暉子「最後の一個ですね」

京太郎「食べてもいいぞ? 食いたかったんだろ?」

由暉子「でも、それじゃ不公平ですよね」

京太郎「九個入りだもんな……もう一人いたら話は違うんだろうけど」

由暉子「じゃあ一緒に食べます?」

京太郎「一緒に? ああ、半分に割って――」


由暉子「どうぞ……んっ」


京太郎「え、一緒に食べるってそういうパターン?」

由暉子「……」ジッ

京太郎「わかったよ……前もやったしな」

由暉子「――♪」





京太郎「――zzz」

由暉子「……」


由暉子(公園で休憩をとった矢先、眠ってしまいました)

由暉子(よほど疲れていたのでしょうか?)

由暉子(寝顔は……結構かわいいかもしれません)


京太郎「……おもち揉みてぇ」ムニャムニャ

由暉子「おもち?」


由暉子(しかも食べるではなく揉むとはどういうことなんでしょうか?)

由暉子(謎です。ミステリーです)

由暉子(でも、それよりも……)


京太郎「――zzz」

由暉子「……倒れてきてくれないかなぁ」



由暉子(密かに膝枕というものをやってみたかったりします)

由暉子(こっちに倒れ込んできてくれたらできるのに……)


京太郎「――zzz」グラッ

由暉子「――っ」

京太郎「……」スゥスゥ

由暉子「……」


由暉子(せっかく倒れそうになったのに、持ち直してしまいました……)

由暉子(ちょっとムカっときたので、今度はこっちから攻めてみることにします)


由暉子「よいしょっ」

京太郎「う~ん……zzz」


由暉子(こうやって膝の上に跨って向かい合っているのに、起きる気配はありません)

由暉子(だからもう少し近づいてみます)



由暉子「……」

京太郎「……」スゥスゥ


由暉子(さっきと同じくらい……それ以上に近いかもしれません)

由暉子(あとちょっと前に出れば……)


由暉子「んっ――」


由暉子(届いちゃい、ました)

由暉子(甘いです。さっき食べたゆきみだいふくの味かもしれません)


京太郎「……」スゥスゥ


由暉子(それなのに、この人は寝たままで)

由暉子(ホッとした半分、残念なのも事実で)


由暉子「胸板、かたいです」ツンツン


由暉子(もうちょっとだけ甘えてみることにします)

由暉子(今起きてしまったらどうなるんでしょうか?)

由暉子(また、年下の女の子が甘えてる、としか見てもらえないのでしょうか?)


唐突にコンマ判定
高ければ高いほどいい感じです

直下



コンマ20以下 何もなし



京太郎「ん~、スッキリした!」

由暉子「疲れてたんですか?」

京太郎「昨日、ちょっと頑張りすぎてな」


京太郎(お嬢様のお付きやら卓球やら)

京太郎(アルバイトしてる感はあんまりなかったけどな!)


京太郎「ほったらかしにして悪かったな」

由暉子「いえ、私も色々楽しんでましたから」

京太郎「……落書きはしてないよな」

由暉子「どうでしょうか?」

京太郎「……」サッ


京太郎(額に肉の字はなし、頬に渦巻きも髭もない)


京太郎「おいおい脅かすなよ」

由暉子「ふふ、ごめんなさい」

京太郎「まぁ、寝てる間待たせたからそれでチャラにしとく」





京太郎「そろそろ時間か……」

由暉子「もうお別れですか?」

京太郎「ここからまた長野に帰らなきゃいけないからな」

由暉子「……今度は私たちが長野に遊びに行きたいですね」

京太郎「いつでも来いよ。カツ丼が美味しい雀荘紹介するから」

由暉子「雀荘でカツ丼ですか?」

京太郎「ああ、しかもとあるプロの行きつけで、他のプロも何人か来たことがあるっていうな」

由暉子「隠れた名店ですね。なんかかっこいいです」

京太郎「行きつけになっても……って、北海道からじゃ遠いか」

由暉子「どこでもドアがほしいです。もしくは瞬間移動」

京太郎「ワープな……」


京太郎(なんかどこぞの神境でワープができるとか言ってたな)


京太郎「さて、最後になんかしてほしいことあるか? 付き合ってくれたお礼にさ」

由暉子「そうですね……なら、執事さんらしくエスコートしてください」

京太郎「かしこまりました……それではお嬢様、お手を」スッ

由暉子「はい」スッ





爽「成香とチカは家の用事……揺杏は忙しそうでユキとは連絡がつかない」

爽「だれも捕まらない休日はぶらぶら散歩に限るね!」

爽「……寂しくなんかないやい」

爽「あーあ、なんか面白いことないかなー」

爽「それともそろそろカムイ探しに行こうかな?」

爽「うーん、めんどいし今度でいいか」


『……今度は私たちが長野に遊びに行きたいですね』

『いつでも来いよ。カツ丼が美味しい雀荘紹介するから』


爽「あれって……ユキと須賀くん?」

爽「ふんふんほうほう、なるほどねぇ」

爽「どうりで連絡がつかないわけだ」

爽「しかし須賀くんのあの格好……コスプレ?」

爽「結構、様になってるけどね」

爽「……まぁ、邪魔するのも悪いしここは退散かな」


『かしこまりました……それではお嬢様、お手を』

『はい』


爽「……」パシャッ

爽「うん、いいショットだね」





由暉子「おはようございます」

揺杏「おっ、来た来た。早速これ着てもらいたいんだけど」

誓子「わっ、新作なんていつの間に」

揺杏「昨日一日で仕上げちゃった」

成香「ビックリです」


爽「ユキー、ちょっといい?」

由暉子「なんでしょうか?」

爽「いい絵が撮れたから御裾分けしようと思って」スッ

由暉子「これって……」

爽「名づけてお嬢様と執事ってとこ?」

由暉子「……あとで写真、もらえます?」

爽「画像データはいいの?」

由暉子「だって、その方が大切にできますから」

爽「わかった。どっかでプリントしてくる」

由暉子「お願いします」


揺杏「ユキー、はーやーくー」


由暉子「今行きます」


爽「さて、画像データは須賀くんに送っとこうかな」ピッ

爽「ん、反応が楽しみだ」



というわけで終了

安価取りたいけど人いますかね?

それじゃ、とりあえずなんらかの一覧です
基本的に上にいる人がエンディングに近いです


大星淡

福路美穂子
姉帯豊音
宮永照

ネリー・ヴィルサラーゼ
神代小蒔
真屋由暉子
松実玄
天江衣
竹井久

宮永咲
桧森誓子
原村和

瑞原はやり
三尋木咏
エイスリン・ウィッシュアート

滝見春
石戸霞
片岡優希
薄墨初美
清水谷竜華
龍門渕透華
園城寺怜
白水哩
小鍛冶健夜
染谷まこ
小走やえ
鶴田姫子
獅子原爽
妹尾佳織



本内成香
臼澤塞
上重漫
狩宿巴
弘世菫
辻垣内智葉
国広一
岩館揺杏
高鴨穏乃
東横桃子
蒲原智美
雀明華
鷺森灼
新子憧
津山睦月
部長
内木一太
ハギヨシ
メイド
松実宥
井上純
荒川憩
愛宕絹恵
小瀬川白望
熊倉トシ
佐々野いちご
針生えり
原村恵
加治木ゆみ
夢乃マホ
南浦聡
久保貴子
花田煌
郝慧宇
メガン・ダヴァン
野依理沙
赤坂郁乃
福世恒子
アレクサンドラ・ヴィントハイム
戒能良子

愛宕洋榎
鹿倉胡桃
江口セーラ
藤田靖子
池田華菜
末原恭子
沢村智紀
吉留未春
文堂星夏
深堀純代
南浦数絵
二条泉
赤土晴絵
真瀬由子
村吉みさき
渋谷尭深
亦野誠子

それじゃ、お好きなキャラどうぞ

52分まで

こんなに人がいたとは……

ちょっと割ってきます

コンマ判定

照:1-7
玄:8-14
穏乃:15-21
霞:22-28
豊音:29-35
小蒔:36-42
エイスリン:43-49
はやり:50-56
哩:57-63
竜華:64-70
咏:71-77
玄:78-84
ネリー:85-91
衣:92-98

ゾロ目:?


直下

ころたんで了解


んじゃ、お休みなさい

更新が週一になりつつある今日この頃
一応、対面座位に関しては周りに人がいないのを確認してからやっているということで

それはともかくとしてお好きなキャラをどうぞ
以下のキャラは選べません

美穂子・健夜・衣・マホ・久・怜・はやり・宥・白望・哩

姫子・やえ・灼・咏・憧・咲・和・桃子・豊音・ネリー・エイスリン


下1~下3でコンマ高いの一人

なんかエロい人(偏見)で了解
しばし時間をもらいます



塞→京太郎


塞「須賀くんについて? うーん、いきなり言われてもね」

塞「シロとなんか似てるよねっていうのが私らの共通の意見なんだけど」

塞「もしかしたら遠い親戚だったりして……エイスリンとははとこらしいけどね」

塞「でも、あれで今まで恋人いなかったっていうのは驚きかな?」

塞「……まぁ、私も思いっきり自爆しちゃったけどね」

塞「トヨネとも仲良いし、私ももうちょっと仲良くしたいかな、なんてね」

というわけで塞さん

引き続きお好きなキャラをどうぞ

美穂子・穏乃・豊音・竜華・佳織・憧・ネリー・霞・玄・一

咏・哩・和・宥・小蒔・理沙・照・淡・由暉子は不可


下1~下3でコンマが一番高いの一人

チカセンで了解
また時間もらいます



京太郎→誓子


京太郎「なんか色々申し訳ないことしてるよな」

京太郎「会うたびに謝ってる気がするよ」

京太郎「まぁ、そのうちのいくつかはどこかの誰かに嵌められた結果だけどな……!」

京太郎「しっかりものってイメージだけど、獅子原たちのストッパーってところか」

京太郎「……なんだろう、部長ってそういう立場の奴が多いような」

京太郎「それはともかくとして、中々に表情豊かだよな」

京太郎「落ち込んでたりいきなり怒ったり……笑ったりな」

京太郎「あの笑顔は正直綺麗だと思う」

というわけでチカセンでした

今日のところは退散します
明日明後日辺りには話が進むと思いたい……!

それじゃあ

昨日一昨日の更新ならず……!
眠気には勝てなかったよ……

というわけで今日はやります
具体的には風呂上がりに

湯上りほかほか
でも寝オチはしません

じゃ、始めます



・三年、秋、ころたんリサーチ


京太郎「うーむ、お金がない!」

久「もう、学祭前に不景気なこと言わないでよ」

京太郎「んなこと言ったってないもんはないんだよなぁ」

久「あんた例のバイトで稼いでなかったっけ? 夏も優希のタコス代、半分自腹だったんでしょ?」

京太郎「そうだよ、それに加えて今月の誕生日ラッシュ……去年もこの時期は金欠だったよ」

久「お小遣いは?」

京太郎「百円の飲み物を一日一本飲んでたら丁度なくなるぐらいには貰ってる」

久「つまり三千円ね」

京太郎「ザッツライト」


京太郎「というわけで今日はアルバイトに行ってくる」

久「えー? 手伝ってくれるんじゃないの?」

京太郎「もう手伝いまくったよ。あとは一太に丸投げしてくれ」

久「もうしてるわよ」

京太郎「……それもそうか」

久「あーあ、こんなことだったらあんたも議会に引き込んでおくんだった」

京太郎「おい、不穏なこと言うな」





京太郎「しかし、もういい加減進路決めなきゃいけないか」

京太郎「進学か就職か、それともフリーマンか……」

京太郎「どれにするかはともかくとして、今から勉強始めて間に合うのか?」

京太郎「……まぁ、なるようになる」


京太郎(言い方を変えれば、なるようにしかならないということだが)


和「先輩」


和「今からお帰りですか?」

京太郎「いや、龍門渕の屋敷でアルバイト」

和「アルバイト……執事でしたっけ?」

京太郎「アルバイトで執事って軽く意味不明だけどな。ちょっと懐が寂しいんだ」

和「……ゆーきには後できつく言っておきます」

京太郎「まぁ、ほどほどにな」



京太郎「それより進路だよ進路。どうすっかなぁ」

和「まだ決まってないんですか?」

京太郎「一応三つには絞った」

和「三つ、ですか」

京太郎「進学、就職、フリーマンの三つだ」

和「えっと、それはなんというか……」

京太郎「そうだ、超ざっくりしてるんだよ。進路というより方向だな」

和「大学なら父や母の伝手で紹介できますけれど」

京太郎「まだそこを悩む段階じゃないっていうのがな……」

和「やっぱり父としては大学は出て欲しいみたいです」

京太郎「恵さんが?」



京太郎(なんでやねん)

京太郎(いや、それほど心配してくれてるってことか?)


和「安心してください。進路はともかく、将来のことは私も同じですから」

京太郎「そうか、ありがとな」


和(将来……結婚一択ですよね!)

京太郎(こいつも将来について悩んでんのか……夢があるって聞いたような気がするけど)


京太郎「じゃ、部活にはまた今度顔出すよ」

和「はい、また明日」





衣「だからうちで執事をやればいいと思うよ」

京太郎「お前はまたそれか」グニグニ

衣「うにゅっ」

京太郎「大体今だってこうやって執事してるだろー? うりうり」

衣「は、はなせっ」バッ


衣「まったく、きょうたろーは!」

京太郎「んなこと言われてもなぁ」

衣「とにかく、ここに永久就職するべきだな、うん」

京太郎「それだと全く違う意味合いになるんですが」

衣「というわけで、今日は衣がきょうたろーの蒙を啓こう」



衣「さしあたっては、ぷれぜんというものをやってみようと思う」


京太郎「プレゼン?」

衣「そう、ぷれぜん。衣の佳所を知れば一緒に居たくなるはずだ」


京太郎(要するに自己アピールか)

京太郎(しかし、プレゼンって……)


衣「ところできょうたろー」

京太郎「ん?」

衣「衣の佳き所ってなんだと思う?」

京太郎「それを俺に聞いたらダメだろ……」





一「え? 衣の良い所?」

衣「うん、忌憚ない意見を求む」

京太郎「なんでも俺にプレゼンするためにリサーチしたいんだってさ」

一「それって君は一緒にいないほうがいいんじゃ……」

京太郎「気にするな。今は執事だから付きっきりだ」

一「はぁ」

衣「それで!」

一「あ、うん。ちょっと待ってね……」


一(良い所かぁ、正直いきなり聞かれても困るんだけど)

一(パッと思い浮かぶのは……麻雀かな?)

一(ボク的には軽いトラウマなんだけどね)



一「麻雀は? ほら、京太郎くんに教えたこともあるって言ってなかった?」

衣「おお、成程!」

京太郎「麻雀講座か……また懐かしい」

衣「きょうたろーは衣が育てた!」

京太郎「はいはい、ありがとうございます」

一「参考になったかな?」

衣「一、進言大義だ」

一「役に立ったならなによりだよ」

京太郎「邪魔して悪かったな。じゃ、次行くか」

一「仕事の邪魔はしちゃダメだよ?」

京太郎「ああ、隙を見計らって仕掛けるから大丈夫だ」

一「……人にものを聞きに行くようには聞こえないよね」





純「なに? 衣の良い所?」

衣「うん、忌憚ない意見を求む」

京太郎「なんでも俺にプレゼンするためにリサーチしたいんだってよ」

純「プレゼン……この前授業でやったっけ。覚えたての言葉を使ってみたいってやつと見た」

衣「う、うるさいっ! いいから答えるの!」


純(あ、図星ね)

京太郎(図星だな)


純「おチビの良い所ねぇ」

衣「ちっちゃいって言うな!」

純「わかったってば」



純(ん? でもちっちゃいのって悪いことばかりじゃないよな?)

純(オレじゃ入らないようなとこにも手が届くし)

純(言ったらさらに怒りそうだけど……)


純「やっぱ小さいとこじゃないか?」

衣「まだ言うか!」

純「いやいや、適材適所ってやつ。オレじゃ入れないようなとこにも入っていけるでしょ?」

衣「……かくれんぼにも有利ってこと?」

純「そういうこと」

衣「小さいことにそんな利点が……」ワナワナ


京太郎「まぁ、うまいこと丸め込んだな」

純「人聞き悪いこと言うなよなー、すっがくーん」

京太郎「ジュンジュンって呼ぶぞ」

純「ソレだけはマジ勘弁な」





智紀「……衣の良い所?」

衣「うん、忌憚ない意見を求む」

京太郎「なんでも俺にプレゼンするためにリサーチしたいんだって」

智紀「この朴念仁には言ってもわからないと思うけど」

京太郎「うっ」


京太郎(やっぱりなんか風当たりが強い……)

京太郎(嫌われるようなことしたっけ?)


京太郎「そんなこと言わずに協力してくれよ」

衣「智紀、おねがい」

智紀「……別に構わないけど」


智紀(良い所……なんだろう?)

智紀(最近起こったことで考えるなら……)



智紀「思いやりがあるところとか」

京太郎「ありきたりだけどその根拠は?」

智紀「この前、本のネタバレから守ってくれた」

衣「本のネタバレ? なんだっけ」

智紀「この前、狭い部屋を用意してもらった時のこと」

衣「おお、あの天岩戸か!」

京太郎「お前らなに面白そうなことやってるんだよ」

智紀「ネタバレを避ける身としては必死だった」

衣「うんうん、あの時は大変だった」

京太郎「ちょっ、気になるからやめてくんない?」


ここでコンマ判定

高ければ高いほどいい感じです

直下

なんでこんな時にゾロ目出しちゃうの……

残念ながらころたんの判定はまた別です

>>コンマゾロ目 杉乃歩→京太郎 惚れている



歩「こ、衣様の良い所ですか?」

衣「うん、忌憚ない意見を求む」

京太郎「なんでも俺にプレゼンするためにリサーチしたいんだってさ」

歩「そそそ、そんないきなり聞かれてもっ」

京太郎「とりあえず落ち着け。ほら深呼吸深呼吸」ポン

歩「ひゃいっ」


歩(あわわわわっ、須賀先輩の手が肩にっ)

歩(どうしよどうしよっ、ゴツゴツしてていかにも男の人って感じで)キュンキュン

歩(はうぅ……先輩かっこいいなぁ)


京太郎「おーい、杉乃?」

歩「あっ……か、彼氏ならいませんからっ」

京太郎「はい?」

歩「~~っ、忘れてくださいっ」カァァ

京太郎「あ、ああ……」



衣「で、早速だけど聞かせて」

歩「う~ん……」


歩(どうしよう、下手なこと言ったら怒られちゃいそうだし)

歩(でも、忌憚ないって言ってたし……)

歩(なら思い切って……!)


歩「み、みんなから可愛がられているところだと思いますっ」

衣「かわい、がられてる?」

京太郎「おおっと、まるで食卓に子供用の椅子が用意されていた時のような顔に」

歩「違います違います他意はないんです! ただみんなの人気者という意味でっ」

衣「人気者……」

歩「だ、ダメですか?」

衣「ん、参考になった。ありがとう」

歩「それなら良かったです……」ホッ

京太郎「お疲れさん。邪魔して悪かったな」

歩「そんなとんでもない! いい息抜きになりましたからっ」

京太郎「お仕事頑張れよ」

歩「せ、先輩もサボらないでくださいね」

京太郎「サボりじゃなくて自主休憩な」





メイド「衣様の良い所?」

衣「うん、忌憚のない意見を求む」

京太郎「なんでも俺にプレゼンするためにリサーチしたいらしくて」

メイド「なるほどねー、大体分かりました」

京太郎「先輩は他のやつよりここに長くいるし、いろいろ知ってるんじゃないかなって」

メイド「その通り、いろいろ知ってます。たとえば――」ススッ

衣「ちょっ」

メイド「衣様のほっぺがこーんなに柔らかいこととか!」スリスリ

衣「ひぅっ」ビクン

メイド「あーん、大人になったら失われるこの質感! お持ち帰りしーたーいー!」

衣「きょ、きょうたろ~」

京太郎「あの、そのへんでやめといた方が……」

メイド「はい、やめました」パッ



メイド(これ以上やるとハギヨシくん来ちゃいそうだしね)

メイド(本当に神出鬼没なんだから……)

メイド(彼、初めはもうちょっとからかいがいがあったのにね)


メイド「それでそれで、他に聞きたいこととかありません?」

衣「も、もういいから」

メイド「なーんだ、残念ですねぇ」

京太郎「じゃ、俺らは次行きます」

メイド「頑張ってくださいねー」フリフリ





ハギヨシ「ふむ、衣様の良い所……」

衣「うん、忌憚ない意見を求む」

京太郎「なんでも俺にプレゼンするためにリサーチしたいって」

ハギヨシ「それはまた……」


ハギヨシ(色々とツッコミどころはありますが、スルーしておきましょう)

ハギヨシ(良い所、賞賛すべき点)

ハギヨシ(いくつか思い浮かびますが、あえて言うのなら……)


ハギヨシ「衣様は、努力家ですね」

衣「努力家?」

ハギヨシ「サンドイッチやお団子、と言えばわかりますか?」

衣「わ、わかったからそれ以上言わないでっ」

京太郎「なんだなんだ、何の話?」

衣「きょうたろーには秘密!」

京太郎「なんだよケチくさいな」



京太郎(とか言いつつ、大体のことは察してたりする)

京太郎(サンドイッチに団子……どっちもハギヨシさんに教わったってところか)


京太郎「まぁ、たしかに頑張り屋かもな」ポン

衣「こ、衣は別にそんなんじゃっ」

京太郎「頑張ってる姿が恥ずかしいとか子供っぽいことは言うなよ?」

衣「そうだ、衣は頑張り屋だ!」

京太郎「またわかりやすい手の平返しを……」


ハギヨシ「それで、そろそろリサーチは十分なのでは?」

京太郎「そうですね……どうする?」

衣「うん、衣もそう思う」

ハギヨシ「次はプレゼンですね。機材などはどうなさいますか?」

衣「じゃあ衣の部屋に運んでおいて」

ハギヨシ「かしこまりました」

京太郎「……本当にやるのか、プレゼン」





透華「……暇ですわ」

透華「暇、つまりは平和……それはなによりですが」

透華「もっとこう、なにか目立てるイベントのようなものが……おや?」


一『え? 衣の良い所?』

衣『うん、忌憚ない意見を求む』

京太郎『なんでも俺にプレゼンするためにリサーチしたいんだってさ』


透華「プレゼン、リサーチ……」

透華「なるほど、事情は飲み込めましたわ」

透華「ふふ、衣の良い所を語るのなら私は外せませんわ!」

透華「さぁ、いつでもいらっしゃいな!」





衣「以上が衣の佳所だ!」

京太郎「あー、わかりやすかったぞ」

衣「むっ、衣の話は末梢か」

京太郎「あのな、一緒になってリサーチしてただろうが」

衣「たしかに……」


透華「どういうことですの!」バターン


京太郎「いきなりなんだよ」

衣「とーか、ノックしなきゃ、メッだぞ」

透華「そんなことより!」


透華「なぜ私のところへ聞きに来ないのかっ! 説明なさい!」ガシッ


京太郎「ちょっ、俺!?」

透華「こ~た~え~な~さ~い~!」ブンブン

京太郎「わかった、わかったから頭揺らすなっ」





透華「つまり、忙しいだろうと思って遠慮していたと」

京太郎「ああ、そういうことなんだ」

衣「え? そうだっけ――むぐっ」


京太郎「こらっ、余計なことは言うんじゃない」ヒソヒソ

衣「余計なこと?」ヒソヒソ

京太郎「思いっきり忘れてただなんて言ってみろ、一瞬で不機嫌になるぞ」ヒソヒソ

衣「とーかの雷が落ちる……」ブルッ

京太郎「だからここは遠慮してたって方向性で乗り切るんだよ」ヒソヒソ

衣「うん、わかった」ヒソヒソ


衣「そ、そうだよー、とーかに迷惑はかけられないと思ったんだー」

透華「……」



京太郎(清々しいまでの棒読み!)

京太郎(嘘をつくのは得意じゃないとは思ってたけど……絶対怪しまれてるよな、これ)

京太郎(くっ、ここまでか……?)


透華「まったく……」ハァ

京太郎「あー、ちょっと落ち着いて聞いてほしいんだけど――」


透華「水臭いにも程がありますわ!」


京太郎「え?」

透華「家族に配慮はあっても遠慮は不要! よろしくて?」

衣「う、うん」

透華「それに、あなたの美点を語るということにおいて私の右に出るものはいませんわ!」

衣「そ、そうなの?」

透華「当然! まずは私たちが初めて出会った日のことですが……」

京太郎「え、そこまでさかのぼんの?」

透華「安心なさい。わかりやすくまとめたショートバージョンですわ」

京太郎「かかる時間は?」

透華「ほんの五時間」


京太郎(アカン)



京太郎「そ、そっか……じゃあ俺はお茶とか用意するよ。念入りに、時間かけて……だから存分に話しててくれ」

衣「あっ、きょうたろーずるいっ」

透華「ふふっ、ぬかりはありませんわ……ハギヨシ!」


ハギヨシ「お呼びでしょうか?」スッ


透華「お茶の用意を、三人分」

ハギヨシ「かしこまりました」


京太郎(ぬかった!)

京太郎(お嬢様め、ハギヨシさんを召喚しやがった……!)

京太郎(いや、でもハギヨシさんなら、ハギヨシさんならきっと……)ジー


ハギヨシ「……」フルフル


京太郎(そんな、ハギヨシさん!)

ハギヨシ(京太郎くん、諦めも時には肝心ですよ)


ハギヨシ「それでは、少々お待ちください」


京太郎「は、ハギヨシさん……」

衣「きょうたろー、衣たちは根の国に旅立つときも一緒だ」

京太郎「この状況でそういうこと言うのはやめなさいっ」

透華「さあ、それでは始めますわよ?」





京太郎「お、終わった……」グッタリ

衣「うみゅ……」ウトウト

京太郎「こいつめ、途中から居眠りしやがって」


衣『……』ウツラウツラ

透華『あら? 疲れていますのね』

京太郎『だからここは一旦――』

透華『あなたに聞かせる分には何も問題はありませんわ』

京太郎『えぇ……』


京太郎「おかげで全部俺におっ被さってきたよ……」

京太郎「おい、起きろ。寝るなら部屋に行くぞー」ユサユサ


衣「ん……もう話終わったの?」


京太郎「そりゃ寝てたら一瞬だよなぁ」

衣「わっ、もうこんな時間」

京太郎「その通り。良い子は寝る時間だ」

衣「でもなんか眠気が……」

京太郎「さっきまでぐっすりだったもんな!」





衣「う~、本当に寝なきゃダメ?」

京太郎「夜更ししてると玉の肌が荒れるぞー」

衣「そしたら嫌いになる?」

京太郎「そんなわけないだろ」

衣「じゃあちゅーして」

京太郎「話がつながらないなぁ」

衣「恋人同士はおやすみのちゅーをすると聞いたよ?」

京太郎「恋人同士って前提が違うような」

衣「そっか、衣ときょうたろーは家族だもんね」

京太郎「おやすみのキスならしてやるからベッドに入れ」

衣「はーい」



衣「じゃあ、はい」

京太郎「んっ、おやすみ」チュッ

衣「むっ、またおでこ」

京太郎「口にするなんて言ってないからな」

衣「またそうやって……ずるい!」

京太郎「だからずるいのは年の功だってな」

衣「おかしい……ぷれぜんしたのに」

京太郎「ああ、あれな。今更だよな」

衣「だ、ダメだった?」ジワッ

京太郎「違う。あんなことしなくても全部知ってたってことだ」


京太郎(もうかれこれ二年以上の付き合いだしな)

京太郎(それに……)


京太郎「だって、お前は――」

唐突にコンマ判定

ラインは20で

直下



コンマ>20 家族


京太郎「――俺の家族だからな」


衣「家族……衣が?」

京太郎「そうだよ。世話の焼ける、背は小さいくせに態度はでかい家族だ」

衣「きょうたろー……」ギュッ

京太郎「だから良い所なんて知ってて当たり前なんだよ」

衣「うん、うん……衣もおんなじ」


衣「きょうたろーは、衣のこと怖がらない……避けたりもしない」

衣「意地悪なときもあるけど、いっぱい優しくしてくれる」

衣「抱きつくとお天道様みたいな匂いがするし、それからそれから――」


京太郎「わかってるよ、もう十分だ」ギュッ

衣「きょうたろーは勝手にいなくなったりしないよね?」

京太郎「もし傍にいなくても、心は一緒……みたいな?」

衣「うん、ずっと、寄り添って……」ウトウト


京太郎「……寝たか」

京太郎「こいつめ、恥ずかしいこと言わせやがって」

京太郎「でもまぁ、嘘を言ったつもりはないけどな」

京太郎「……おやすみ、衣」





京太郎「んー、ようやっと帰れる」ノビー


ハギヨシ「お疲れ様です」

京太郎「ひどいですよ。助けてくれると思ったのに」

ハギヨシ「私にもできることとできないことがありますからね」

京太郎「え、ハギヨシさんにできないことが?」

ハギヨシ「色々ありますよ。たとえばお嬢様たちに麻雀で勝つこと、ですね」

京太郎「ああ、なるほど」


ハギヨシ「衣様との仲は進展しましたか?」

京太郎「ちょっ、不意打ちでそういうこと聞いてくるのやめませんっ?」

ハギヨシ「こういう話は君ぐらいにしかできませんよ。友人は多くないもので」

京太郎「それ、喜んでいいんですかね?」

ハギヨシ「喜んではくれないのですか?」

京太郎「そりゃもう、光栄ですよ」



京太郎「じゃあ、もう遅いんで帰ります」

ハギヨシ「車で送りますよ」

京太郎「お、ラッキー」

ハギヨシ「代金は……そうですね、君の女性関係について聞かせてもらいましょうか」

京太郎「か、勘弁してください」

ハギヨシ「はは、冗談ですよ、冗談」



というわけで終了
さっきの判定で20以下だったらその場で濁して終わりです

さて、それじゃあ安価取りたいけど人います?

それじゃ、とりあえずなんらかの一覧です
基本的に上にいる人がエンディングに近いです


大星淡
天江衣


福路美穂子
姉帯豊音
宮永照


ネリー・ヴィルサラーゼ
神代小蒔
真屋由暉子
松実玄
竹井久


宮永咲
桧森誓子
原村和
杉乃歩


瑞原はやり
三尋木咏
エイスリン・ウィッシュアート


滝見春
石戸霞
片岡優希
薄墨初美
清水谷竜華
龍門渕透華
園城寺怜
白水哩
小鍛冶健夜
染谷まこ
小走やえ
鶴田姫子
獅子原爽
妹尾佳織


本内成香
臼澤塞
上重漫
狩宿巴
弘世菫
辻垣内智葉
国広一
岩館揺杏
高鴨穏乃
東横桃子
蒲原智美
雀明華
鷺森灼
新子憧
津山睦月
部長
内木一太
ハギヨシ
メイド
松実宥
井上純
荒川憩
愛宕絹恵
小瀬川白望
熊倉トシ
佐々野いちご
針生えり
原村恵
加治木ゆみ
夢乃マホ
南浦聡
久保貴子
花田煌
郝慧宇
メガン・ダヴァン
野依理沙
赤坂郁乃
福世恒子
アレクサンドラ・ヴィントハイム
戒能良子


愛宕洋榎
鹿倉胡桃
江口セーラ
藤田靖子
池田華菜
末原恭子
沢村智紀
吉留未春
文堂星夏
深堀純代
南浦数絵
二条泉
赤土晴絵
真瀬由子
村吉みさき
渋谷尭深
亦野誠子

気づいてる人もいると思いますけど
三年編のエピローグ後のエピソードは基本的に時系列順で進行してます
キャラによっては特定の時期にボーナスもあります

という役に立つのかよくわからない情報を公開したところで

お好きなキャラをどうぞ

51分まで

締切

んじゃ、割ってきます

コンマ

照:1-12
咏:13-20
ネリー:21-28
玄:29-36
哩:37-44
穏乃:45-52
小蒔:53-60
桃子:61-68
エイスリン:69-76
竜華:77-84
由暉子:85-92
豊音:93-00

ゾロ目:?


直下

それじゃあ竜華さんということで

眠いのでおやすみなさい



・三年、if、魔物に愛された男.ver2


「――きて……ちゃん」ユサユサ


京太郎「んん……」


「――起きて、京ちゃん」ユサユサ


京太郎「んぁ……咲?」

咲「おはよ、京ちゃん」

京太郎「……なんで?」

咲「なんでって、毎朝のことだよね」

京太郎「……そうだっけ?」


京太郎(毎朝のこと?)

京太郎(あれ……いつもは目覚ましか母さんに起こされてたような)



咲「じゃあ、はい。いつもの」

京太郎「い、いつもの?」

咲「うん……したいって言ったの京ちゃんだよ?」

京太郎「したいって、なにを?」

咲「だから、おはようのキス! もう、言わせないでよ……」


京太郎(どうしよう、全く身に覚えがない)

京太郎(これじゃまるで恋人同士……)

京太郎(俺の記憶が混乱してるのか?)

京太郎(こいつが嘘ついてたら絶対ボロ出すし……)


咲「あ、でも舌入れたらダメだよ? 学校行けなくなっちゃうし」

京太郎「し、舌だって?」

咲「そ、そんなにしたいんだったら、いいけど……」モジモジ

京太郎「きょ、今日は体調悪いからっ」

咲「あ、どこ行くの!?」





京太郎「な、なんだったんだ?」

京太郎「咲のやつ、悪い物でも食ったのかよ」

京太郎「寝間着のまま外に飛び出してきちゃったけど……」


「京太郎ー!」ダダダダ


穏乃「はぁ、はぁ……ひ、久しぶり」

京太郎「あ、ああ……珍しいな、お前が息切らしてるなんて」

穏乃「さすがにここめで走ってきたら疲れちゃった」

京太郎「走ってきた? 奈良から?」

穏乃「そだよ」


京太郎(いくらなんでもそれは嘘だろと言いたいけど……)

京太郎(こいつ、あんまり嘘とか言いそうになからな)



京太郎「それはともかくとして、和にでも会いに来たのか?」

穏乃「違うよ。京太郎に会いに来たんだ」

京太郎「俺?」

穏乃「なんだか朝起きたら急に会いたくなって」

京太郎「走ってきたと」

穏乃「正解!」フラッ

京太郎「っと、結構きてるんじゃないか」ガシッ

穏乃「えへへ、あんなに走ったの初めてかも」

京太郎「汗もすごいな……じっとしてろ」

穏乃「んっ、服汚れちゃうよ?」

京太郎「どうせすぐ着替えるよ。気にすんな」


京太郎「よし、こんなもんか」

穏乃「スッキリしたー! じゃ、帰ろっかな」

京太郎「忙しいやつだな」

穏乃「なんかもう満足しちゃった。まったねー!」





京太郎「さて、俺も家に……は戻れないか」

京太郎「この格好でうろつくのにも抵抗あるんだけどな……」


「あ、見つけました」


京太郎「あれ、小蒔? どうしてここに」

小蒔「もう、探したんですよ? 起きたらお布団の中からいなくなってますし」

京太郎「悪い悪い……って、あれ?」

小蒔「さぁ、帰りましょうか」


小蒔「――あなた」



京太郎「あ、あなた?」

小蒔「? どうかしたんですか?」

京太郎「不思議そうな顔すんなよ、俺がおかしいみたいじゃないかっ」

小蒔「実際おかしなこと言ってます。だって、私たち夫婦の契を交わしました」

京太郎「夫婦の契!?」

小蒔「はい、初めてはホテルのベッドで……」ポッ


京太郎(身に覚えがないパート2!)

京太郎(こいつもかよ!)

京太郎(捕まったらヤバそうな雰囲気しかしねー!)


京太郎「じゃ、じゃあ俺ちょっと用事があるから……」

小蒔「……女の人、ですか?」

京太郎「いや――」



小蒔「霞ちゃんや春たちだったらまだ許せます」

小蒔「でも、それ以外の女性だったら私――」


小蒔「――その方が羨ましくて妬ましくて……なにするかわかりませんよ?」ニコッ


京太郎「え、なっ――足が……!」

小蒔「ふふ、わかってもらえたんですね」


京太郎(なんだこれ、何かに押さえつけられてる!?)

京太郎(また過保護な神様か!)


――キキーッ!


衣「きょうたろー、こっち!」

京太郎「――っ、体が動く……!」

衣「早く!」

京太郎「くそっ」

小蒔「あ――」


バタンッ キキーッ!





京太郎「ふぅ、助かった……」

衣「大丈夫?」

京太郎「ああ、なんとかな……」

衣「うん、これも偏にハギヨシの運転技術のおかげだ」

京太郎「ともかく、ありがとな」ナデナデ

衣「えへへ、褒められた」

京太郎「一体二人ともどうしちまったんだかな」

衣「まったくだ! きょうたろーは衣の伴侶だというのに!」

京太郎「……あん?」


衣「だって、ずっと傍にいるって約束してくれた。家族になるって」

衣「衣のこと、泣かせないって」


京太郎(またこれかよ!)

京太郎(なんだこいつら、どっか別の世界から電波受信してるんじゃないだろうな!)

京太郎(くそ、車の中じゃ逃げ場がない……!)



衣「ともかくこれで安心だ」

衣「今は衣がいるし、ハギヨシもいる」

衣「このまま屋敷まで帰ろう」


京太郎(ヤバい、そこまでいったらもう出られない予感しかしない)

京太郎(どうにかして車を止めないと!)


京太郎「ぐっ、いたたたたたたっ!」

衣「きょ、きょうたろー?」

京太郎「腹が……今すぐトイレ行かないとヤバい!」

衣「なんだそんなことか。大丈夫、衣がちゃんと処理してあげるから!」



京太郎(全然大丈夫じゃねーっての!)

京太郎(汚物の処理とか愛が大きすぎだろ!)

京太郎(どうする、このままじゃ一生屋敷に軟禁……冗談じゃない!)


ハギヨシ「二人とも、捕まってください!」


キキーッ!


京太郎「あいたっ」

衣「あうっ」


「京太郎くん、早く降りて!」


京太郎「ありがたい!」

衣「きょうたろー、待って!」





京太郎「ここまで来たら大丈夫か?」

京太郎「……助かったよ」


豊音「いえいえ、困ったときはお互い様だよー」


豊音「私も京太郎くんのピンチにいてもたってもいられなかったから」

京太郎「そうか……ん?」


京太郎(俺のピンチに? どうやってそれを察した?)

京太郎(それに、なんの脈絡もなくここに来てるって、もしかして)

京太郎(……違うかもしれないし、確認だけはとっておくか)


京太郎「なあ、姉帯」

豊音「なに?」

京太郎「今日はいきなりどうしたんだ? こっち来るなら連絡くれよ」

豊音「ごめんね? 京太郎君にも秘密にしておきたかったから」

京太郎「なんだ、サプライズのつもりか?」

豊音「えへへ、実はね?」



豊音「京太郎くんを、連れて帰っちゃおうかなって」


京太郎「……やっぱりかー」


豊音「えっとね、京太郎くんを連れて帰って、結婚してね?」

豊音「それからそれから、今度はちゃんとベッドの上でして……子供作ったりとか」

豊音「そしたら私たちもお父さんやお母さんみたいになれると思うんだ」


京太郎「そ、そうか……」ダラダラ

豊音「きゃっ、言っちゃったよー!」

京太郎「じゃあ、ちょっと腹痛いからトイレ行ってくるよ」

豊音「うん、私はここで待ってるね?」

京太郎「それじゃ」タタッ





京太郎「危なかった……」

京太郎「あいつが素直なやつで助かった」

京太郎「まぁ、見つかったらなにされるかわからないけど」

京太郎「……考えないようにしよう」


「あ、キョウタロウだ」


京太郎「……ネリーか?」

ネリー「なんで距離取るのさ。失礼だよね」

京太郎「お前は正気……だよな?」

ネリー「何言ってるの?」

京太郎「いや、なんにもないならいいんだ」


京太郎(待て、例によってこいつもどうして長野に……)

京太郎(……まだ気は抜けないかもしれないな)



京太郎「それで、なんだってここにいるんだ?」

ネリー「なんでって、キョウタロウに会いに来たんだよ?」

京太郎「な、なんでだ?」

ネリー「キョウタロウってば、なんでなんでって言い過ぎ。いつでも甘えろって自分で言ったくせにさ」

京太郎「ということはいつもの?」

ネリー「うん、頭撫でてよ」


京太郎(良かった……こいつはいつも通りっぽい)

京太郎(そのためだけにこっちに来たっていうのはちょっと腑に落ちないけど)

京太郎(まぁ、頭撫でるだけなら危険もないだろ)



ネリー「でもさ、さっきから女の子に絡まれすぎじゃない?」

京太郎「そう言うなよ……俺だって戸惑ってるんだから」

ネリー「うん、だから手足を切り落としとこうかな」

京太郎「へ?」

ネリー「だってそうしたらずっと一緒にいられるし、他のやつらからも守りやすくなるし」

京太郎「……」ダラダラ

ネリー「あ、でも撫でてほしいから右腕だけは残しておくね。安心して」


京太郎(安心できる要素がどこにもない……!)


京太郎「ちょっと飲み物買ってくるけど、なんか飲みたいのあるか?」

ネリー「いいよ、一緒に行って選ぶから」

京太郎「……」ダラダラ

ネリー「どしたの?」

京太郎「用事思い出した! グッバイ!」ダッ

ネリー「あっ! 逃がさないよ!」





京太郎「や、やっと撒いた……」

京太郎「あいつめ、中々にすばしっこかったぜ」

京太郎「しかし、一体全体なにがどうなってるんだ……」


「あっ、キョータロー発見!」


京太郎「さて、これからどうするか……」

淡「むっ、どーして愛しの淡ちゃんを無視すんのさー!」

京太郎「うっせぇ、どうせお前もどっかおかしくなってんだろ? 人を拉致監禁しようとしたり手足を切り落とそうとしたりさ!」

淡「……キョータロー、大丈夫?」

京太郎「大丈夫だと信じたいな……」

淡「私に任せてっ、絶対元気出させてあげるんだから!」ゴソゴソ



京太郎「……で、何取り出してんだお前」

淡「ゴムだよ? 今日はいっぱいしようと思って」

京太郎「要するにお前もか! ある意味いつも通りだけどな!」

淡「今日は下着もスッゴイのにしてきたんだから! ……見たい?」

京太郎「……もう行っていいか?」

淡「ダメ! 今日こそは絶対まいったって言わせるんだから!」

京太郎「あ~もう! 見に覚えのない話をペラペラと!」

淡「あわっ!? キョータローが私をこんなにしたくせに!」

京太郎「だから覚えがないっての!」

淡「責任取れー!」

京太郎「ええいっ、付き合ってられるか!」ダッ

淡「あっ、どこ行くの!?」






京太郎「なんだってんだ、どいつもこいつも……」

京太郎「もうヘトヘトだ……喉渇いた。汗かきすぎたか?」


「あれ、お兄さんやないですかーぁ」


京太郎「――っ」

憩「? どうして身構えとるんですか?」

京太郎「お前、もしかして俺に会いに来た?」

憩「自意識過剰ですかーぁ?」

京太郎「いや、違うならいいんだ」


京太郎(そうだよな、こいつとはあんまり接点ないし)

京太郎(俺の考えすぎか……)



憩「見たところお疲れみたいですけど」

京太郎「ああ、ちょっと朝からハードで……」

憩「ふむ……飲み物、いりますかーぁ? 私の飲みかけでよければ」

京太郎「ん、もらう。正直喉カラカラでさ」チュー


京太郎(生き返るー)

京太郎(あーもう、こいつが天使に見えてきた)

京太郎(格好と相まって白衣の天使?)

京太郎(癒される……気が抜けて体の力が――)


京太郎「――あれ?」ガクッ

憩「薬、効いたみたいですねーぇ」

京太郎「く、薬?」

憩「心配はいらへんですよーぉ? ちょーっと力抜けるだけですから」

京太郎「ちょっ――」バタッ



憩「んしょ、お兄さん重いですねーぇ」

京太郎「な、んで、こんな……」

憩「えー? 決まっとるやないですかーぁ」


憩「お兄さんのこと、欲しくて欲しくてたまらないんですよーぅ」


憩「気にせずじっとしてていいですよーぉ? 優しく、優しくしますからーぁ」

京太郎「か、考え、なおせ……」

憩「お兄さん初めてですかーぁ? うちもですよーぉ」

京太郎「くっ……」


京太郎(万事休すか……!)

京太郎(意識が、遠くなって――)





京太郎「――はっ!」

京太郎「今のは……夢?」

京太郎「はは……だよな、現実のわけないだろ」

京太郎「もう朝かー、全然休んだ気がしないな」


「あ、起きてたの?」


照「はい、お水」

京太郎「ああ……ありがとう、照ちゃん」

照「うなされてたみたいだけど、大丈夫?」

京太郎「なんかすごい夢見てさ……てか、照ちゃんはなんでここに」

照「なんでって……ここ、私たちの家だよ?」

京太郎「家、俺たちの?」


「ママー、お腹空いたー!」


照「料理の途中だから下に降りてるね」

京太郎「あ、ああ……」

照「京ちゃん、大好き」チュッ


京太郎「家、子供……」

京太郎「はは、これも夢、だよな?」




つづくわけがない

というわけでひっそりと淡、ネリーついでに穏乃追加ヴァージョンでした
大部分は変わってないけど、前スレ1000はこれで許してたもれ

というわけでおやすみなさい

こんばんは
久しぶりに本編進めたいです
とりあえず風呂入ってくるので先に安価でも

清澄を除く長野勢から一人どうぞ

下5まででコンマが高い人

キャップで了解
んじゃ、始めますー



・三年、秋、幸せの受け渡し


竜華「……はぁ」


怜「幸せ一個もーらい」

竜華「なにそれ」

怜「ため息で逃げた幸せをもらいました、みたいな?」

竜華「……でもそれで怜の体、良くなるんやったらありかも」

怜「ちょっ、マジトーンで返すのやめて」


怜「それは置いといて、竜華の好きな人のことやけど」

竜華「――っ、す、好きな人!?」

怜「物憂げな表情にため息……恋煩いやん」

竜華「こ、恋煩い!?」

怜「反応がワンパターンやなぁ。もっとバリエーション増やさんと」

竜華「むぅ、じゃあ怜には気になる人はおらへんの?」

怜「それで、うちがいるゆーたらどうするん?」

竜華「……ショックやわぁ」ズーン



怜(これで、相手も同じっちゅーこと竜華が知ったらどうなるんやろなぁ)


怜「それはともかくとして」

竜華「え、結局どうなん?」

怜「はいはい流すでー」


怜「うちが思うに、待ってるだけじゃあかんねん」

竜華「……こっちから誘うってこと?」

怜「そやそや、もしくは押しかける」

竜華「で、でも……なんか予定あったら迷惑かもしれんし……」

怜「なんでそこで躊躇するねんっ」ビシッ

竜華「い、いたいっ」

怜「そもそも一年の時、須賀くん学祭に誘ったのだれやったけー?」

竜華「だ、だってその時は普通に友達やって思っとったから……」

怜「ふむふむ、竜華の好きな人は須賀くんと」

竜華「あっ――ち、ちがっ」カァァ

怜「素直に認めんと話進まないでー」

竜華「……はい、その通りです」

怜「よろしい」



怜(というか、なんであれでバレてへんて思うん?)


竜華「それで、どないしたらええかな?」

怜「せやから、こっちから仕掛ければええねんて」

竜華「で、でも――」

怜「でも禁止ー」

竜華「うぅ~」

怜「はよ決めんと、うちが須賀くんに電話しちゃうけど。竜華が会いたがっとるって」

竜華「行きます! 今度の休みに長野行くからぁ!」

怜「ん、決まりやな」

竜華「はぁ……どうなるんやろ」





京太郎「疲れた……」

優希「先輩はお疲れかー」

京太郎「お前は元気そうだな」

優希「これからタコスタイムが始まるとなると、いても立ってもいられないんだじぇ!」

京太郎「そうか、頑張れよ」ポン

優希「さぁ、私たちの戦いはこれからだじぇ!」

京太郎「さらりと俺を巻き込むんじゃない」

優希「?」

京太郎「不思議そうな顔するな」

優希「タコスを作る先輩がいないと始まらないのに?」

京太郎「やっぱりそういうつもりだったか」

優希「いやん、心が通じ合っちゃってる?」

京太郎「お前がわかりやすいって可能性もあるんじゃないか?」

優希「それでも私は諦めないんだじぇ!」

京太郎「アホか! たまには自分で作りなさい」

優希「あーん、先輩の意地悪!」



和「ゆーき?」


優希「じぇっ……の、のどちゃん?」

和「ちょっとお話があるんですけど、いいですよね?」ガシッ

優希「こ、これから先輩とタコスタイムという大事な用事が……」

和「もちろんそのことについてです。じっくりたっぷり話し合いましょうか」

優希「のどちゃん、早まっちゃ――」


優希「せ、せんぱーい!」ズルズル



京太郎「……仲良きことはいいことかな?」

まこ「なぜに疑問形」

京太郎「うおっ、いたのか」

まこ「来たばっかじゃ。あー、疲れた」

京太郎「もう学祭直前だもんな。追い込みか」

まこ「他人事じゃな」

京太郎「俺が忙しかったのはクラスの出し物じゃないからな……」

まこ「ふむ、議会のほうかい」

京太郎「さりげなく一太に押し付けてるのに山ほどやることが残ってるんだぜ? 軽い不思議体験だよ……」

まこ「副会長……哀れな」

京太郎「え、そこは俺がかわいそうな流れだろ」

まこ「どこをどう解釈したらそうなるんじゃ」

京太郎「よし、なら話題を変えよう。まこっちゃんのクラスは何やるんだ?」

まこ「また露骨な軌道修正を……」

京太郎「いいから答えた答えた!」

まこ「まったく……コスプレ喫茶じゃ」

京太郎「あー、そういうのか。ふざけて出した案が通っちゃったみたいな」



京太郎(実際、去年はうちがそうだった。誰だよメイド&執事喫茶やるって言い出したやつ)


まこ「その案、じつはわしのじゃけぇ」

京太郎「またまた冗談を……マジで?」

まこ「マジじゃ」

京太郎「え、ご乱心? 熱あるんだったら休んだほうがいいんじゃあ……」

まこ「うちの集客に使えんかと」

京太郎「あっ……」

まこ「反応がえかったら店でやったるけぇ……ん?」


「須賀京太郎! 須賀京太郎はどこなの!?」


京太郎「げっ」

まこ「呼ばれとるな」

京太郎「まだ追ってくるのかよ……悪い、俺は去るから適当にごまかしといてくれ」

まこ「あー、了解」

京太郎「じゃっ」ソソクサ



「見つけたぁっ……あれ、いない?」


まこ「随分騒がしいのぉ」

「彼はどこ? 隠しだてするならこっちにも考えがあるわよ」

まこ「ちょっと、うちの先輩がなにか?」

「私の魂の脚本が出来たのよ……だから迎えに来たの」

まこ「……は?」

「というわけで出しなさい、今すぐ出しなさい!」

まこ「せ、先輩ならクラスの方に顔を出すと……」

「協力に感謝するわ!」


「彼には絶対に演じてもらうわ……私の脚本を!」


まこ「……たしかありゃあ、演劇部の」

まこ「ふむ、うちの先輩も中々に大変そうじゃな」





久「それでこっちに戻ってきたってわけ?」

京太郎「まったく、まいっちゃうよなー」

一太「まいってるのはぼくの方だよ……」

京太郎「そう言うなって。もうあらかた終わってるんだろ?」

一太「まぁ、いいけどね……しかし、ここに戻って大丈夫なのかい?」

京太郎「一回探した場所だ。しばらく来ないだろ」

久「ちょっと楽観しすぎのような気がするけどね」

一太「というか君、今絶対フラグ立てたね」

京太郎「それよりもうすぐ帰るんだろ? だったら久しぶりに飯でも食いに行こーぜ」

一太「君のおごりだったら」

久「そうね、隗より始めよ。まずは言いだしっぺからってことで」

京太郎「……牛丼でいい?」

久「ダメ」

一太「却下だね」

京太郎「マジすか……」


「須賀京太郎、そこにいるのはわかってるわ!」



京太郎「……」

久「あら、見事にフラグ回収ね」

一太「だから言ったのに」

京太郎「やばいな、逃げ場がない……」

久「窓から飛び降りてみる?」

京太郎「さすがに三階からは厳しい」

一太「ちゃんと断ったらどうかな?」

京太郎「断ったよ……でも諦めてくれないんだよ」

久「むこうもしつこいわねぇ」

京太郎「他人事かっ」


「入るわよ! 答えは聞かないけど!」


京太郎(じゃあ勝手に入ってこいよ!)

京太郎(とか言ってる場合じゃない!)

京太郎(やばい、どうにかしないと)

京太郎(どこか、どこか隠れる場所は……)



京太郎「久ちゃん、ちょっとごめんな」

久「ちょっ」


「観念しなさい!」ガラッ


久「ま、また来たの?」

一太「やれやれ……」

「あなたたちだけ? 彼はどこ?」

久「戻ってきてないわよ」

「……本当に?」


京太郎(久ちゃんが職権乱用で持ち込んだこの議会長用のデスク……こんなところで役に立つとは)

京太郎(しかし目の前には久ちゃんの脚……机の下に潜り込んだからしかたないけどさ)

京太郎(……いい脚してるな、うん――いてっ)


久「こら、この状況で変な気起こすなっ」ヒソヒソ

京太郎「起こしてないからっ、それと痛いから蹴らないでっ」ヒソヒソ



ちょっと、まさか机の下に匿ってるなんてことは……」

久「な、ないから」

「……怪しいわね。検めさせてもらうわ」


京太郎(やばいやばいやばいっ)

京太郎(なにがやばいってこれ以上逃げ場がない……!)

京太郎(逆転の秘策は……あるわけないだろこんちくしょう!)

京太郎(どっ、どどど、どうするよ俺!? このままじゃ――)


――ガタンッ


京太郎「ぐぇっ」

一太「あちゃー」

久「どう? 人が入ってたら、こんなに深く椅子を入れられないんじゃない?」

「なるほど、たしかにその通り……邪魔したわ!」ピシャッ



久「ふぅ、なんとか切り抜けたわね……って、なんで私がこんな苦労しなきゃいけないのよ」

一太「誰のせいかは明白だけどね。大丈夫?」

京太郎「う、うるせぇこのロリペド野郎……」

一太「いや、ペドは……って違う! ロリでもペドでもない!」

久「認めたわね」

京太郎「認めたな」

一太「認めてない!」

久「それはそうとここに薄墨さんたちとの写真があるんだけど」

一太「よく撮れてるね……そ、それだけだよ」

京太郎「そういや俺も色々あるんだけど」


京太郎「ほら、衣に由暉子に高鴨に薄墨にネリーに三尋木プロ」


一太「……」プルプル

久「ちょっと、ツーショット多くない?」

京太郎「そうか?」

一太「ぶっ殺すぞこの野郎!」

京太郎「一太がキレた!?」





京太郎「ちくしょー、あえて高いもの選びやがって……」

「なに? 久ちゃんとデートでもしてたの?」

京太郎「違うから、一太と久ちゃんと飯食いに言ってただけだから」

「あら、残念ねぇ」

京太郎「思うんだけどさ、そんなに息子の恋愛事情が気になるわけ?」

「気になるに決まってるじゃない!」

京太郎「聞くまでもなかった……」


「それはそうと、もうすぐ学祭じゃないの?」

京太郎「だから連日遅くなってるんだよ……」

「一緒に回る人は?」

京太郎「いない」

「豊音ちゃんは? 神代の姫様は? この前来た淡ちゃんは?」

京太郎「いないったらいないんだよ!」

「寂しいわねぇ」

京太郎「忙しくて誰か誘う暇もなかったよ」

「じゃあお母さんが――」

京太郎「恥ずかしいから勘弁してください」

「ちょっ、それ地味に傷ついちゃうから……」


京太郎(学祭なぁ……一年の時は適当に済ませたけど)

京太郎(そういや、あの年は清水谷から誘われて遊びに行ったんだっけ)





久「さて、今日も始まったわね」

京太郎「そうだな」

久「というわけでよろしく頼むわ」

京太郎「久ちゃん、俺は思うんだ」

久「なによいきなり」

京太郎「準備で散々頑張ったから自由があってもいいんじゃないかってな」

久「内木くん、捕まえて!」

一太「えっ?」

京太郎「おさらばっ!」ガラッ

久「くっ、逃げられた……!」

一太「あー、これはぼくのせいか?」

久「そんなわけないわよ。七割ぐらいじゃない?」

一太「それ大半だよね!」


「会長どうします? 須賀くんのお茶がないと何人かのモチベーションが……」

「で、でも私たちで先輩捕まえるのはちょっと難しいと思うんですけど……」

久「うーん、なにか餌でも用意しとけばよかったかな」


美穂子「すみません、竹井さんは――」


久「餌、来た!」

美穂子「え?」





京太郎「追手は……来ないみたいだな」

京太郎「ふぅ……手伝いだけで学祭潰すのはさすがにな」

京太郎「さて、どこ行こうかなー」

京太郎「まこっちゃんのとこでも冷やかしに行くか、咲とか和のとこに顔出すか……」


「い、いきなり会いに行って迷惑やないかな?」

「せやからここまで来といてなに言うとんねんて」


京太郎「なーんか見覚えある声と後ろ姿」

京太郎「声かけてみるか? でも人違いだったらただのナンパだよな……」

京太郎「今の俺の身の上でそれはちょっと……いや、かなりまずい」

京太郎「とりあえずもうちょっと近づいて確認しよう、そうしよう」


「君たち、なんか予定とかある?」

「えっと……」

「なんやお兄さん、ナンパ?」

「ナンパじゃなくて客引き。うちの店の売上に貢献してくれよー」



京太郎「あ、キャッチに捕まった」

京太郎「でもこれではっきりしたな。遊びに来てたのか、あの二人」

京太郎「とりあえず助け出すか」


「ねぇねぇ、行こうよー。いっぱいサービスするからさー」

京太郎「おいこら、いかがわしい店の客引きに聞こえんぞ」

怜「あ、須賀くん」

竜華「え、須賀くん!?」

「あ、あんたがあの伝説の……」

京太郎「伝説?」

「すいませんっした! 先輩の彼女さんたちでしたか」

竜華「か、彼女……」

怜「その言い方やと複数人と付き合うとるみたいやな」

「それはもう――」

京太郎「おいお前、ちょっと顔貸せ」グイッ



京太郎「名前は?」

「一年の高久田誠っす。できればもてる秘訣なんかを教えてもらえると……」

京太郎「高久田な。よし、あとで覚えとけ」

誠「マジっすか……」


京太郎「お待たせ。とりあえず移動しようぜ」

竜華「う、うん」

怜「オーケーやで」


誠「早速両手に花……くぅ~、俺もあやかりたい!」





怜「久しぶりー」

竜華「うん、インハイのとき以来」

京太郎「遊びに来るなら言えよ。そしたら色々用意したのに」

竜華「そんな、気にせんでもええよ」

怜「そうそう、竜華はもう目的の一つ達したようなもんだしー」

竜華「こ、こらっ」

京太郎「まぁいいや、久ちゃんたちのところは……ほとぼりが冷めるまでダメだな」

竜華「喧嘩でもした?」

京太郎「いや、自由への脱走」

怜「なんや、サボりかいな」

京太郎「ちげーよ、俺はあくまで手伝いだから。散々準備手伝ったんだからもういいんだよ」

怜「とにもかくにも今はフリーなんやな。良かったやん、竜華」ポン

竜華「だ、だからっ」

京太郎「よし、せっかくだし俺が案内しよう。前に案内してもらったしな」





まこ「で、うちに来たと」

京太郎「グッドなアイディアだろ?」

まこ「まぁ、構わんがの」


怜「竜華、このチャイナドレス着てみーひん?」

竜華「ちょっとこれはスリットが深すぎるような……」

怜「そこがええんやん。すぐに太ももすりすりーってできるで」スリスリ

竜華「ちょっ、くすぐったいっ」


京太郎「……いいなー」

まこ「こら、本音本音」

京太郎「おっと」

まこ「それにしてもあの二人、たしか千里山の」

京太郎「遊びに来たらしくてさ。せっかくだし案内してる」

まこ「まーたあんたは他校の女子に粉かけて」

京太郎「かけてないかけてない」



怜「店員さーん、注文ええかな」

まこ「はいはい、なんでしょうか」


竜華「ふぅ……」

京太郎「お疲れだな」

竜華「あはは、怜に振り回されてる気がするわぁ」

京太郎「それで今日はこっちにか」

竜華「まぁ、それだけやないけどね」

京太郎「なんでもいいよ。ついででも会いに来てくれたんだったら嬉しいしさ」

竜華「え……う、嬉しかった?」

京太郎「メールとか電話もいいけど、やっぱり顔合わせたいじゃん」

竜華「うん、うちもそう思う」



怜「お二人さんは何頼む?」


竜華「えっと……」

京太郎「あー、俺は……」


美穂子「京太郎さん?」


京太郎「あれ、みほっちゃん?」

怜「……ふむ」

竜華「……」


竜華(みほっちゃん?)

竜華(たしか風越の福路美穂子……いかにも仲良さげやん)


京太郎「来てたのか。今日は久ちゃんに?」

美穂子「はい、それと京太郎さんにも……」

京太郎「そ、そっか」



怜(……あかんなぁ、これ)

怜(むこうが意識しとるのは見え見え、しかも須賀くんの方もちょっと……)

怜(まさかの強敵出現やん……どないしよ)


美穂子「あの、もしよかったらなんですけど……」


「須賀先輩、発見しました!」

「捕まえろ!」


京太郎「げっ」

美穂子「あら?」

京太郎「あのさ、もしかして久ちゃんと話した?」

美穂子「はい、京太郎さんを探してるなら人を貸すって……私は遠慮したんですけど」

京太郎「くそっ、そういうことか!」



京太郎(俺がみほっちゃんに会えば油断することを見越して……!)


京太郎「悪い、また今度な!」ダッ


「逃がすなっ!」


美穂子「あっ」

竜華「……」


怜「竜華、行ったれ!」


竜華「え、怜?」

怜「いいからはよっ」ゲシッ

竜華「わっ……っとと」

怜「うちはこの店でダラダラしとるから気にせんでなー」

竜華「……うん、ありがと」





竜華「はぁ、はぁ……追って来てない?」

京太郎「そうだな……てか、一緒になって逃げることなかったのに」

竜華「もう、案内してくれるって言ったやん」

京太郎「まぁ、そうだけどさ。園城寺、置いてきちゃったな」

竜華「うん……ちょっと心配かな」

京太郎「しかし、マークされてそうだから戻るのは危険か」


京太郎(まこっちゃんがいるから大丈夫だろうけどさ)


竜華「……」

京太郎「やっぱ戻るか?」

竜華「ううん……怜の好意に甘える」

京太郎「好意?」

竜華「な、なんでもない……行こ」ギュッ

京太郎「あ、ああ」





京太郎「ここならいいんじゃないか? 屋上」

竜華「休憩スペースと……ステージ?」

京太郎「なんかライブとかやるらしいな」

竜華「へぇ、演劇とかは?」

京太郎「うっ、頭が……」

竜華「え、大丈夫?」

京太郎「ただの黒歴史だから気にしないでくれ……いや、本当に」

竜華「そう?」


京太郎(まさかここで公演したりはしないよな?)

京太郎(あの脚本家が諦めたとは思えないんだよなぁ)


京太郎「まぁ、ちょっと休憩しようぜ。飲み物買ってくるよ。なにがいい?」

竜華「あ、それならうちも一緒に行く」

京太郎「わかった」

竜華「……」



怜『竜華のふとももはもちろん、胸も武器になるんやで?』

竜華『いきなりどしたん?』

怜『たとえばやけど、こうやってムギュって押し付けたら大抵はイチコロやねん』


竜華(前もしたことがあるって言うても、足痺れてたからやし)

竜華(でも、男の人は喜ぶって怜も……)


竜華「――えいっ」ムギュッ


京太郎「……清水谷?」

竜華「な、なぁに?」

京太郎「えっと、また足痺れたのか?」

竜華「そ、それは……ちょっと疲れたというか」

京太郎「なら休んでた方がいいと思うけど」

竜華「とにかく行こか。ほら、ジュースなくなるでっ」

京太郎「そ、そうか……」


竜華(うちの意気地なしぃ!)





竜華「……はぁ」

京太郎「幸せゲット」

竜華「ふふ、怜と同じこと言っとる」

京太郎「ネタ被りかよ……地味にショックだ」

竜華「そない気になるん?」

京太郎「それよりそっちのため息だ。退屈させてるのかって思っちゃっただろ」

竜華「あ……そ、そんなことない!」

京太郎「なら悩み事とか……そうだな、恋愛に関してとか?」

竜華「――っ」ギクッ

京太郎「なんてな。そんなことまでわかったらエスパーだよ、俺」

竜華「あ、あはは……」

京太郎「ま、話したくなったら話してくれよ。聞くだけなら俺でもできるからな」

竜華「じゃあ――」

唐突にコンマ判定

高ければ高いほどいい感じです


直下



コンマ81以上 竜華、結構勇気出す


竜華「す、須賀くんて、好きな娘はおらへんの?」


京太郎「好きな娘……」

竜華「も、もしだれもおらんかったら、その――」


「その機材、こっちに運んでー!」


竜華「あ、なんか始まるみたいやな」

京太郎「ふむ、あれは……げっ」


「彼を主役に迎えられなかったのは残念だったけど……気合入れていくわよ!」


竜華「あのセット……演劇」

京太郎「あわわわ……やばいってこれ」

竜華「え、どしたん?」

京太郎「俺の天敵の登場だ……」



京太郎(屋上のドアから逃げようとしたら確実に見つかる)

京太郎(かといってステージの方からは屋上のどこにでも目が届く)

京太郎(どうする……いや、待てよ?)


京太郎「こっちだ!」グイッ

竜華「ど、どこ行くん?」

京太郎「あそこ、登るぞ」


すまぬ、猛烈に眠いので寝落ちする前に落ちます……

福与アナが出るかどうかは安価とコンマしだい……
他にも出る可能性があるとしたらすこやんか他のプロ、アナウンサーが選ばれた場合ですかね
こっちの方は絶対とは言い切れませんけど

それじゃ、もうちょっとしたら昨日の続きから始めます

そんじゃあ、始めます




京太郎「ん、ここなら大丈夫そうだな」

竜華「たしかにここならむこうから見えへんな」

京太郎「貯水槽がこんなところで役に立つなんて……」

竜華「でもここって普通に立ち入り禁止やない?」

京太郎「非常事態だからいいんだ。悪いけどしばらく待機な」

竜華「ううん、ここも案外悪うないし」


竜華(他の誰もいない二人きりなとことか)


京太郎「ひやひやしたぜ……ふぅ」

竜華「ふふ、幸せもらい」

京太郎「あ、パクんな」

竜華「怜とネタ被りやん」

京太郎「ぐふっ」



竜華「じゃあ……はい、どうぞ」ポンポン


京太郎「えっと……膝枕?」

竜華「幸せもろたから、そのお返しってことで。他にすることもあらへんしな」

京太郎「……だな、じゃあ失礼して」

竜華「んっ……」


京太郎「やっぱいいな、これ」

竜華「そう?」

京太郎「園城寺がご執心なのもなんとなくわかる」

竜華「怜はなぁ……怠けとるだけだったりして」

京太郎「はは、そうかもな」


竜華「……」

京太郎「……」



竜華「ため息で幸せが逃げて、それをもらえば幸せが増える」

竜華「なら、もし……もしやけどね? キスしたらどないなるんかなーって」


京太郎「……清水谷、なんか発想がエロい」

竜華「え!?」

京太郎「だってそれ、ため息通り越して唾液の交換だろ。うん、エロい」

竜華「ちっ、ちがうからっ」カァァ

京太郎「一瞬だけ誘われてるかと思ったぞ、マジで」

竜華「それは、なんというか……」モジモジ


京太郎(え、なにその反応)

京太郎(これじゃまるで――)



竜華「もっかい聞くけど、須賀くんて好きな娘……恋人、おらへんの?」

京太郎「恋人ならいない、てかいたこともないけど――」

竜華「ならその……うちじゃダメ?」

京太郎「ちょっと待て、いきなりすぎて戸惑うから待ってくれ!」ガバッ

竜華「わっ」

京太郎「それはつまりあれか、俺のことが……」

竜華「うん……好き」

京太郎「マジか……」

竜華「やっぱ迷惑やった? それとも他に気になる子が……」

京太郎「ごめん、正直言うといっぱいいる」

竜華「むぅ、浮気者やん」

京太郎「それに関しては返す言葉もないけどさ……」

竜華「でも……んっ――」


竜華「これでうちのことも見てくれる?」



京太郎「……やりすぎだ」ギュッ

竜華「あんっ」

京太郎「そこまでされると抑え、きかなくなるだろ」

竜華「ふふ、怜が言ってたとおり。押せばいけるって……ね、もっかいキスせぇへん?」

京太郎「清水谷……」

竜華「ダメ、竜華って呼んで」

京太郎「りゅう、か……」


「そこでなにをしている!」


京太郎「――っ」ビクッ

竜華「――っ」ビクッ



「もう逃がさないぞ、覚悟しろ!」

「くっ、見つかったか……!」


京太郎「びっくりした……劇のセリフか」

竜華「あ、あぁ……」カァァ

京太郎「……大丈夫か?」

竜華「う、うちなにしとったんやろ……」

京太郎「あー、正気に戻ったみたいな?」

竜華「あれじゃ痴女やん……ごめん」

京太郎「まぁ、忘れた方がいいなら忘れとくけど」


京太郎(俺も思いっきり流されそうになったしな)

京太郎(いや、ホント危なかった)


竜華「……でも、嘘は言うとらんというか……」モジモジ

京太郎「そっか、わかったよ……なんつーか、ありがとう」





京太郎「お、もうすぐ演劇の方は終わりそうだな」

竜華「戻る?」

京太郎「時間も経ったし、もう大丈夫かもな」

竜華「怜、大丈夫かな?」

京太郎「俺の後輩を信じろ」

竜華「うん、そやな」


京太郎「ところでどうだった?」

竜華「なんの話?」

京太郎「キスしたらどうなるかって言ってたろ」

竜華「あ……あ、アホっ」カァァ





怜「うぅーん、これもなかなか……」スリスリ

美穂子「あ、あの、そろそろ開放してくれると……」

怜「ごほっ、ごほっ……」

美穂子「だ、大丈夫ですか?」

怜「すいません、こうしてると楽なんやけど、やっぱ迷惑ですよね……ごほっ」

美穂子「……わかりました、それであなたが楽になるなら」


まこ「どうみても演技……風越の元主将はどこまでお人好しなんじゃ……」


怜「竜華は不動の一位やけど、福路さんのも悪うないで」

美穂子「えっと、ありがとうございます?」


まこ「やれやれ、この茶番はいつまで続くんだかの」



というわけで終了

安価取りたいけど人いますかね?

それじゃ、とりあえずなんらかの一覧です
基本的に上にいる人がエンディングに近いです


大星淡
天江衣


福路美穂子
姉帯豊音
宮永照


ネリー・ヴィルサラーゼ
神代小蒔
真屋由暉子
松実玄
竹井久


宮永咲
桧森誓子
清水谷竜華
原村和
杉乃歩


瑞原はやり
三尋木咏
エイスリン・ウィッシュアート


滝見春
園城寺怜
石戸霞
片岡優希
薄墨初美
龍門渕透華
白水哩
小鍛冶健夜
染谷まこ
小走やえ
鶴田姫子
獅子原爽
妹尾佳織


本内成香
臼澤塞
上重漫
狩宿巴
弘世菫
辻垣内智葉
国広一
岩館揺杏
高鴨穏乃
東横桃子
蒲原智美
雀明華
鷺森灼
新子憧
津山睦月
部長
内木一太
ハギヨシ
メイド
松実宥
井上純
荒川憩
愛宕絹恵
小瀬川白望
熊倉トシ
佐々野いちご
針生えり
原村恵
加治木ゆみ
夢乃マホ
南浦聡
久保貴子
花田煌
郝慧宇
メガン・ダヴァン
野依理沙
赤坂郁乃
福世恒子
アレクサンドラ・ヴィントハイム
戒能良子
高久田誠


愛宕洋榎
鹿倉胡桃
江口セーラ
藤田靖子
池田華菜
末原恭子
沢村智紀
吉留未春
文堂星夏
深堀純代
南浦数絵
二条泉
赤土晴絵
真瀬由子
村吉みさき
渋谷尭深
亦野誠子

ちなみに最上位の二人はほとんどエンディング確定です

それじゃ、お好きなキャラをどうぞ


53分まで

締切
ちょっと割ってきます

コンマ


照:1-10
咏1:11-20
豊音:21-35
はやり:36-45
誓子:46-50
玄:51-55
穏乃:56-60
哩:61-65
小蒔:66-70
春:71-75
霞:76-80
桃子:81-85
佳織:86-90
エイスリン:91-95
ネリー:96-00

ゾロ目:?


直下

エイスリンで了解

それじゃ、ジョジョ見てから寝ます

昨日、一番最初の奴から読んでたのに気が付いたら追いついてた・・

>>446
この終わる見通しが立たないスレにようこそ

というのは冗談で何したら終わりとかは一応考えてます

それはともかくとしてお好きなキャラをどうぞ
以下のキャラは選べません

美穂子・健夜・衣・マホ・久・怜・はやり・宥・白望・哩

姫子・やえ・灼・咏・憧・咲・和・桃子・豊音・ネリー

エイスリン・塞


下1~下3でコンマ高いの一人

幼馴染強し……少し時間もらいます



照→京太郎 三年インハイ終了後


照「好き、大好き……」

照「でも正直、京ちゃんのまわりには障害が多すぎる」

照「竹井久とか竹井久とか竹井久とか……」

照「淡? 負ける要素が見当たらない。……一部分以外」

照「あ、そういえばさっき、一個だけ間違った」

照「大好きじゃなくて……愛してる」

というわけで照でした


引き続きお好きなキャラをどうぞ

美穂子・穏乃・豊音・竜華・佳織・憧・ネリー・霞・玄・一

咏・哩・和・宥・小蒔・理沙・照・淡・由暉子・誓子は不可


下1~下3でコンマが一番高いの一人

お、ゆみちんで決まりか? からの僅差ではやりんに決定という……

じゃあまた時間もらいます



京太郎→はやり


京太郎「はやりん? 永遠のアイドルだろ」

京太郎「キツいだのなんだのって言ってるやつはわかってないよな」

京太郎「胸? ち、違うし。そこしか見てないわけじゃないし」

京太郎「冗談抜きにすると、久ちゃんに会う前は心の支えだったしな……」

京太郎「にしても驚くぐらい男の影がないというか」

京太郎「いつまでも結婚しないでくれるのはファンとしても嬉しいけどさ」

京太郎「もしだれも貰わないなら俺が貰っちゃうぞー、なんてな」

京太郎「いや、でもはやりんは男より女の子の方が好きなのか? ……だったら結婚するわけないか」

これは京太郎の誤解がはやりんに対するブレーキになってますね

それはさておき、次の話のための安価を一つ
小瀬川白望、鹿倉胡桃、臼沢塞の中からひとりどうぞ

下5まででコンマ高いの一人

胡桃で了解

それじゃ、おやすみなさい

こんばんはー
もうちょっとしたら始めます

んじゃ、そろそろ始めます



・三年、秋、絵描きの彼女と秋の夜空と


「ねぇねぇ、どの子にするのよー」

「そうだそうだ、早く決めた方がいいぞー」

京太郎「……」

「あんまり待たせてると後が怖いわよー?」

「ははは、痴情のもつれで刺されたなんて笑えないからな」


京太郎「うるさいよあんたら!」


京太郎「そもそも駆け落ちしてくっついた人達がこっちの恋愛に口出すってどういうことよ!?」

「やぁねぇ、だから口出すんじゃない」

「そもそも口出すだけで他はなんにもしてないじゃないか」

京太郎「そ、そりゃそうだけどさ」

「それに俺たちが本気で介入したらすぐにゲームセットだぞ?」

京太郎「……具体的には?」

「そうねぇ……」

「そうだな……」



「今頃神境で子作りに励んでるんじゃない?」

「ニュージーランドに挨拶に行ってたりな」


京太郎「母さん達が誰推しかはなんとなくわかったけど……てか子作りって生々しいなっ」

「あ、でも子供出来たらおばあちゃんじゃなくてお姉さんって呼ばせてね」

「そうだな、俺もこの歳でおじいちゃんとは呼ばれたくないぞ」

京太郎「知らんわ」

「親の心子知らずとはこのことなのね……グスン」

京太郎「泣き真似いいから」

「まったく、少しは俺たちの話を……」プルルル


「おっと、俺の携帯だ。ちょっと話してくる」


京太郎「……疲れるなぁ」

「そう言わないの。独り立ちしたらもう言ってあげられないんだから」

京太郎「それはまぁ……」



京太郎(母さんは長らく親と絶縁状態だったんだっけ……)

京太郎(……いっつもあれこれ言ってくるけど、あながち間違ったことでもないしな)


「よし、決まりだ!」

京太郎「戻ってきていきなりなんだよ」

「いい機会だ、父さんの本気をちょっと見せてやろう」

京太郎「はぁ?」

「今度の休み、一緒に出かけるぞ。紅葉狩りだ」

京太郎「え、やだよ」

「とにかく行くぞ。話はそれからだ」

京太郎「聞く耳なしかよ」

「諦めたほうがいいんじゃない? だってこの人私を連れ出す時も……」ポッ

京太郎「ウザった……」


京太郎(にしてもさっきの電話だれからだよ)

京太郎(いきなり紅葉狩りとか言い出したことと関係あるんだろうけど)





塞「今度の休みに紅葉狩り?」

エイスリン「ウン、キノウデンワシタラサソワレタ」

豊音「そういえばエイスリンさんは日本の秋は初めてだっけ」

胡桃「誰と行くの?」

エイスリン「……キョータロ」テレテレ

豊音「わぁ、ちょー羨ましいよー!」

塞「デートってことかな? 楽しそうだね」


胡桃「何言ってんの二人とも、これは由々しき自体だよ!?」


塞「なにって……そんな目くじら立てることでもないと思うんだけど」

豊音「そうだよ、むしろ私が行きたいよー」

エイスリン「トヨネ、クル?」

豊音「お気持ちは嬉しいけど、その日は村の方に帰らなきゃだから」

エイスリン「ザンネン……」

胡桃「もう、みんな危機感足りなすぎ!」



エイスリン「?」キョトン

豊音「?」キョトン


胡桃「本気で不思議そうな顔しない!」

塞「胡桃は逆に気にしすぎ。親戚同士だしそれぐらいいいと思うけどなぁ」

胡桃「塞は楽観しすぎ!」


白望「お待たせ――なにこのダルそうな空気」


胡桃「どうもこうもないよっ」

塞「えーっと、エイスリンが今度須賀くんと紅葉狩りに行くらしくて」

白望「……別にいいんじゃないの?」

胡桃「良くないよっ」

塞「とまぁ、さっきからこの調子なわけだ」

白望「ダル……事情は大体わかったけど」


白望「とりあえず、そんな心配なら一緒に行けばいいんじゃない?」



胡桃「……ありかも」

塞「えっ、ありなんだ」

胡桃「私がエイちゃんを守ればいいんだよね!」

豊音「そんな、守るだなんて大げさだよー」

エイスリン「アブナイコト、ナイ」

胡桃「じゃあもし万が一……せ、迫られたらどうするの?」

エイスリン「ソレハ……」ポッ

胡桃「決めた! 絶対付いて行く!」


塞「話はまとまりそうだね」

白望「早く終わって欲しい……」グデッ


豊音「そういえば、シロって京太郎くんとなにかあったのかな?」



白望「いきなりなに?」

エイスリン「ソレ、キニナル!」

塞「そういえば、いつかじっくり話したいって言ってたような……」

白望「塞まで……ダル」

豊音「京太郎くん、シロのこと気にしてるみたいだから」

胡桃「まさか……シロを狙ってる?」

白望「それはさすがに考えすぎ」

塞「わかんないよ? 一目惚れってパターンもあるし」

豊音「一目惚れ……」

エイスリン「ムムッ……」

白望「え、何この空気」





京太郎「ふわぁ……」

「大きなあくびだな。昨日は興奮して寝られなかったか?」

京太郎「うっさいよ。ってかどこ向かってんのさ」

「それは会ってからのお楽しみだ」

京太郎「会ってからってことは、やっぱり相手がいるってことか」

「当たり前だろ。野郎二人で紅葉狩りとか誰が得するんだ」

京太郎「そこには同意するよ」

「まぁ、楽しみにしておけ」

京太郎「ここまで来たら逃げられないしな」

「そういうことだ。ほら、切符」

京太郎「……昨日の電話の相手はエイスリンか」

「察しがいいな」

京太郎「行き先みたら大体わかるっての」


京太郎(しかしなぁ……エイスリンか)

京太郎(前にキスされたんだよな、告白とかそういうのはなかったけど)



京太郎「外国じゃさ、キスって挨拶なんだっけ?」

「マウストゥマウスは違うぞ?」

京太郎「……」

「その様子だともうそこまで済ませたのか。案外早いな」

京太郎「あのさ、俺なんも言ってないんだけど」

「この場合の沈黙は肯定と見た」

京太郎「だからさ……」

「心配しなくても察しはつく」


「外国人のはとこに夏の東京で再会」

「親身になって接するも相手からの思わぬアプローチにドギマギ」

「それからろくな接触もなく今日に至り、どう接していいかいまいちわからないと」


「こんなとこか?」

京太郎「なんでそんなとこまで把握してんだよ!?」

「電話で聞いた話とお前の反応と俺の予想を混ぜ合わせた推理」

京太郎「……もう勘弁してください」





「さて、到着だ。集合時間まではまだ余裕があるな」

京太郎「案外先に来てたりして」

「ありえるな。お、噂をすれば」


エイスリン「――キョータロ!」タタタ


エイスリン「アイタカッタ!」

京太郎「ああ、俺も――」


胡桃「ブロック!」


京太郎「っと、なんだいきなり」

胡桃「エイちゃんに気安く触れない!」

京太郎「えぇ」

「えっと、君はエイスリンの友達かな?」

胡桃「あ、初めまして、鹿倉胡桃です」ペコッ



京太郎「鹿倉もついてきたのか?」

エイスリン「クルミ、ワタシマモルッテ」

京太郎「……俺がどう思われてるかはなんとなくわかったよ」


胡桃「そこ、距離近いよっ」


京太郎「……警戒されてんなぁ」

「礼儀正しいしいい子じゃないか」

京太郎「てかいいの? ついてきそうだけど」

「予想外だけど、部屋はもともと二つとってあるから問題はない」

京太郎「まぁ、ならいいけど」

「しかしこれじゃ、お前とエイスリンを同衾させるのは難しそうだな」

京太郎「今さらりととんでもないこと言わなかった?」

「気にするな! 温泉でバッタリとかいろいろ考えてあるから」

京太郎「むしろ不安しかないわ……」





「よし、ここいらでいいんじゃないか?」


京太郎「うお、秋真っ盛りだな」

エイスリン「Japanese maple……キレイ」

胡桃「わぁ……」

エイスリン「イコッ」グイグイ

京太郎「引っ張んなくても逃げないって」

胡桃「あっ、待って!」


「おー、若者は元気なもんだ」


胡桃「エイちゃんはこっち、須賀くんはこっち、私は真ん中で」

京太郎「バリケードか。ユルユルだけどな」ポンポン

エイスリン「ンッ」

胡桃「領空侵犯!」ピョンピョン


「案外楽しそうにやってるし、あの分だったら大丈夫だな……」

「さて、どうにか二人きりにする方法でも考えるか」





胡桃「見てみて、おっきな滝!」

エイスリン「Big waterfall!」

京太郎「紅葉に滝か……良い画だな」

エイスリン「チョットマッテテ……」ゴソゴソ


エイスリン「~~♪」カキカキ


胡桃「……邪魔しちゃダメだよ?」

京太郎「わかってるって」

胡桃「本当にダメだからね?」

京太郎「本当にわかってるよ」

胡桃「本当の本当にダメ――」

京太郎「ええい、しつこいぞっ」ワシャワシャ

胡桃「きゃっ」

京太郎「いい機会だから言っとくけど、お前が心配するようなことは多分起きないからな」

胡桃「信用できないよ」キッパリ

京太郎「……ぉう」



京太郎(この取り付く島もなさそうな感じ……)

京太郎(まずはこの思い込みをどうにかするとこからスタートか?)


エイスリン「ケンカ、ダメ」


胡桃「喧嘩じゃないから。私はちょっと須賀くんに注意してただけで――」

エイスリン「クルミ」ジッ

胡桃「わ、わかったよ……でも、まだ信用はしてないんだからねっ」ビシッ


エイスリン「……」シュン

京太郎「そんな顔すんな。そもそも俺の問題だろ」

エイスリン「デモ……」

京太郎「きっと心配で心配でたまらないだろ。ここまでついてくるぐらいだしな」

エイスリン「ウン、クルミイイコ」

京太郎「そうだな。俺もああいうやつは個人的に嫌いじゃないよ」





胡桃「はぁ……」

胡桃「エイちゃんに悪いことしちゃったかな」

胡桃「須賀くんが悪い人じゃないのもなんとなくわかるんだけど」

胡桃「……ちょっと女の子にだらしがないってところ以外は」


「こんなところで黄昏て、どうかしたのかな?」


胡桃「あ、須賀さん」

「おじさんでいいよ、同じ苗字が並んでても呼びづらいだろうしね。二人は一緒じゃないのかい?」

胡桃「多分むこうで一緒にいると思います」

「そうか」

胡桃「……すみません、急についていくなんて言い出して」

「かまわないよ。もともと部屋は二つとってあったしね」

胡桃「それに、宿泊料金も負担してもらって……自分で払うつもりで来たのに」

「子供は大人に遠慮するものじゃない、と言っても実際には難しいだろうけどね。お金のことなら気にすることはないさ」

胡桃「ありがとうございます」ペコッ

「それと、二人の邪魔かもって思ってるなら考えすぎだな。エイスリンはほら、友達思いだから」

胡桃「その、須賀くんには色々と言っちゃったんですけど」

「あいつなら心配いらないよ。むしろ君みたいな子は気に入ってるんじゃないかな?」

胡桃「き、気に入ってるって……」

「そろそろ合流しようか。面白いものを見つけたんだ」





京太郎「紅葉の天ぷら?」

「大阪や京都の方の名物なんだけどな」

京太郎「まぁ、ならここで見かけるのは珍しいかもな」


エイスリン「Like a handprint!」

胡桃「ん……サクサクしてる。案外美味しいかも」

エイスリン「Hmm……Slightly sweet?」


「好評だな。良かった良かった」

京太郎「食べれる葉っぱねぇ」

「なんでも一年も塩水に漬けてアク抜きしてるらしいぞ?」

京太郎「そこらへんのを拾って使ってるわけじゃないのか」


京太郎(そういや、桜の葉も食べれるって小蒔が言ってたな)

京太郎(人間、意外と色々いけるもんだな。まぁ、虫も食用にしてるくらいだし)



エイスリン「キョータロ、タベヨ?」

京太郎「ん、ああ」

エイスリン「アーン」

京太郎「ちょっ、それは……」


胡桃「……」ジー


京太郎(あれ? 見てるだけで何も言ってこない?)

京太郎(見られてるだけでもスッゴイ恥ずかしいけどなっ)


エイスリン「キョータロ?」

京太郎「わかったって……」パクッ

エイスリン「How does it taste?」

京太郎「そうだな……かりんとう?」

エイスリン「カリント?」

京太郎「日本のお菓子」

エイスリン「Oh……ナルホド」



「ヒューヒュー、熱いねぇ!」


京太郎「親父うっさいよ!」

エイスリン「……」テレテレ


胡桃(エイちゃん楽しそう)

胡桃(須賀くんのこと、本当に好きなんだ)

胡桃(……なんか寂しいかも)


京太郎「ほら、まだあるから食えよ」

胡桃「あ、ありがとう」

京太郎「さっきからおとなしいけど、どうかしたのか?」

胡桃「べつに、なんでもないからエイちゃんに構ってあげて」

京太郎「あー、もしかして自分が邪魔だとか思ってるのか?」

胡桃「エイちゃんそんなこと思ってないと思うけど……」

京太郎「まぁ、俺の方は散々な言われようだからな」

胡桃「うっ」

京太郎「気にすんな、とは言わないけど、俺は友達思いのやつは嫌いじゃないよ」

胡桃「……なにそれ」



胡桃(おじさんが言ってた通りだ……)


京太郎「お、これ形綺麗だな」

胡桃「えいっ」パクッ

京太郎「なんだ、沈んでたかと思えばいきなりアグレッシブな……」

胡桃「仲良くするのはいいけど、不純異性交遊はダメだから!」

京太郎「あ、はい」

胡桃「ダメだから!」

京太郎「なんで二回言った」

胡桃「大事だから!」





胡桃「お夕飯おいしかったー」

エイスリン「ゴチソウサマデシタ」

「箸の使い方がうまくなってたじゃないか」

エイスリン「ヒビショージン」

京太郎「日本語も結構うまくなってるしな」

エイスリン「ドリョクノタマモノ」

胡桃「それに、私たちっていう話し相手だっているんだから!」

京太郎「なるほどな、えらいぞ」ポンポン

胡桃「な、撫でないでっ」ピシッ

「……お前、本当に手が早いな」


京太郎「いや、違うだろ」

胡桃「違いますからっ」


「息ピッタリか」

エイスリン「ムム……」

胡桃「エ、エイちゃんお風呂行こ?」

京太郎「そうだな、サッパリしてこよーぜ」


(話題の逸らし方がまた露骨な……青い青い)





「いい湯だな」

京太郎「俺もそう思う」

「景色も綺麗だな」

京太郎「紅葉が風流だ」

「惜しむらくは男二人だということだな」

京太郎「まったくだよ」

「ここ、混浴あるだろ」

京太郎「そうだっけ?」

「ああ、お前とエイスリンを一緒に入れようと思ってたんだけどな」

京太郎「ちょっと待てや」

「まあ、めでたくご破算だ。残念だったか?」

京太郎「残念かそうじゃないかで言えばそうだけど、そういう問題じゃないから」

「ちなみに元々はお前らを一緒の部屋にしようとしてたんだよ」

京太郎「おい、保護者」

「避妊さえしとけば高校生の自由恋愛だ。止めるつもりはない」

京太郎「けしかけようとしてるのが問題なんだろうがっ」





京太郎「負けたー!」

「お前、運が絡むと弱いなぁ」

エイスリン「ワタシ、カッタ!」

胡桃「なんか麻雀みたいでわかりやすかったね」

「ラミーってゲームのバリエーションなんだけど、セブンブリッジは麻雀とたしかにルールが似てるな」

京太郎「くそ、悔しいな……」

エイスリン「Once again?」

京太郎「よし、リベンジだ!」



京太郎「か、勝てない……」

胡桃「今度は私が一番!」

エイスリン「セキハイ……」

「さすが、インハイ出場は伊達じゃないな」

京太郎「ぐふ……」

「さて、こいつもくたばりそうだし、そろそろ解散だな」

胡桃「もうこんな時間……夢中になっちゃった」

エイスリン「モドル?」

胡桃「そうだね。おやすみなさい」

エイスリン「Sleep well」

「おやすみ、朝食の時間には遅れずになー」

京太郎「お、おやすみ……」





エイスリン「……」モゾモゾ


エイスリン(なんだか、眠れない)

エイスリン(まだ興奮してるのかな?)

エイスリン(久しぶりに会えたから……)


エイスリン「……クルミ、オキテル?」

胡桃「……」スピー

エイスリン「……」ムクッ


エイスリン(えっと、スケッチブックは……)ゴソゴソ

エイスリン(今なら描けるかも……あった!)


エイスリン「チョット、オサンポイッテクルネ」





「……ふぅ、窓の外に追いやられてしまった」

「まったく、喫煙者は肩身が狭いな」スパー


エイスリン「……」テクテク


「ん? 夜の散歩か?」

「……まぁ、二人きりにしてやれなかったしな」


「京太郎ー」ガラッ


京太郎「なんだよ、鼻詰まるから外で吸ってくれって――」

「エイスリンが外にいるから相手してやれ」

京太郎「はぁ? なんだよいきなり」

「いいから行ってこい。悪い輩がいないとも限らないんだぞ?」

京太郎「……わかったよ」





エイスリン「……It's cloudy」

エイスリン「オツキサマ、ミエナイ」


京太郎「よう、夜の散歩か?」


エイスリン「……キョータロ?」

京太郎「そのスケッチブック、俺が買ったやつか。持ってきてたんだな」

エイスリン「カキカケ、アルカラ」

京太郎「描きかけね、どれ」

エイスリン「ア……」

京太郎「これ、もしかして俺とお前?」

エイスリン「ウ、ウン……」カァァ

京太郎「今みたいに二人で座ってるって感じか……背景が足りないのか?」

エイスリン「クモ、デテルカラ」

京太郎「星も月も見えないか」



京太郎(そういえば、こいつの能力ってたしか……)

京太郎(それが麻雀以外にも作用するかはわからないけどさ)


京太郎「晴れるんじゃないか?」

エイスリン「ホント?」

京太郎「とりあえず目を閉じてみろよ」

エイスリン「……」スッ


京太郎「思い浮かべるのは……そうだな、星空と月……今は新月よりの三日月ってとこか」

京太郎「星座はなんだったかな……ペガサスとかアンドロメダとか、ペルセウスとかか?」

京太郎「んでもって……」ギュッ


京太郎「今はこうして、絵と同じように手をつないでる」


エイスリン「……」トクン

京太郎「どうだ、思い描けたか?」

エイスリン「……ウン」



エイスリン(目を開けると、雲は消えて思い描いた夜空が広がっていた)

エイスリン(そして隣には彼がいて……)


エイスリン「――♪」サラサラ


エイスリン(一人ではあれほど苦戦していたのに、あっという間に描きあがってしまった)


エイスリン「……デキタ!」

京太郎「なるほど、紅葉も加えたか」

エイスリン「ドウ?」

京太郎「いいと思う。夜空なのに温かみがあるっていうか」

エイスリン「……」

ここで唐突にコンマ判定
高ければ高いほどいい感じです


直下

まさかの最低値……

コンマ20以下 再び手を握る



エイスリン(そう言って私の絵を見る彼の横顔)

エイスリン(見つめているだけで胸の奥が熱くなってきて)

エイスリン(その逃げ場を求めるかのように、彼の手を再び握る)


京太郎「エイスリン?」

エイスリン「キョータロ……」


エイスリン(手を握ったのは失敗だったかもしれない)

エイスリン(だって、今度は顔まで熱くなってしまって)

エイスリン(こっちに向けられた彼の瞳に吸い込まれるように、顔を近づけていく)

エイスリン(あと少し、あとほんのちょっとで――)



胡桃「あっ、不純異性交遊発見!」


エイスリン「――っ」ビクッ

京太郎「か、鹿倉か」

胡桃「もう、あれだけダメって言ったのに!」

京太郎「あのな? 俺たちは別にやましいことしてたわけじゃないから」

胡桃「エイちゃん本当?」

エイスリン「ウン」コクコク

胡桃「……ならいいけど」


胡桃「じゃ、戻ろっか」

京太郎「おう、気をつけてな」

エイスリン「……オヤスミ」

京太郎「エイスリン、さっきの絵、すごく良かった」

エイスリン「……ウン!」





「さて、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまったな」

京太郎「これ、姉帯たちに渡しといてくれ」

エイスリン「マカセテ!」

胡桃「お世話になりました」

「こちらこそ。エイスリンをこれからもよろしく頼むよ」

京太郎「頑張って育てよー」ポンポン

胡桃「だから撫でないでってばっ」

エイスリン「……キョータロ」

京太郎「なんだ?」

エイスリン「ンッ――」チュッ



エイスリン「マタネ」


胡桃「あ、あ、あ……」プルプル

京太郎「……い、今のは挨拶。挨拶だから!」

胡桃「マウストゥマウスで挨拶なんてあるかー!」

京太郎「んでもって矛先は俺かっ!」

エイスリン「――♪」


「やれやれ、若いっていいな」



というわけで終了

安価取る前にすっかり忘れてたものを落としていきます



・三年、六月十七日、料理の練習


揺杏「……で、うちに来たと思ったら料理の練習に付き合え?」

誓子「だって、揺杏の方が私よりできるし」

揺杏「チカセンだってできないわけじゃないでしょーに」

誓子「とにかく、もう少しできてもいいかなって」

揺杏「んー……ま、いいけどさ」


揺杏(もしかして今日が自分の誕生日だって忘れてない?)

揺杏(……まあ、いいタイミングかもねー)


誓子「というわけで、よろしくお願いします」

揺杏「じゃあ、とりあえず最初の一歩から」

誓子「うんうん」

揺杏「買い物へゴー。材料ないし」





誓子「こんなにドッサリ買い込んだのはいいんだけど……」

揺杏「いっぱい作ったほうが練習になるっしょ」

誓子「なんで私の家に?」

揺杏「だってさ、チカセンちの方が広いでしょ」

誓子「それはそうだけど」

揺杏「さっ、早速始めよ始めよ」





揺杏「よし、出来上がり~!」

誓子「な、なんかすっごい大変だったんだけど……」

揺杏「そりゃこれだけ作ればね」

誓子「ローストビーフ、パスタにサラダにフライドチキンにフルーツ盛り合わせ……おまけにケーキまで」

揺杏「そろそろみんな来るんじゃない? 連絡しといたし」

誓子「みんな?」


爽「おまたー」

成香「わ、いい匂いがします」

由暉子「お邪魔します」



誓子「えっと、どうしたの急に」

揺杏「せっかくの誕生日だし、お祝いするしかないっしょ」

誓子「誕生日……もしかして私の?」

揺杏「もちろん」

誓子「じゃあ私、自分でパーティの料理用意してたってことじゃない」

揺杏「いやー、ちょうどいいかなーって思ってさ」

誓子「もう……」


成香「いまいち事情がわかりません。どういうことなんでしょうか?」

爽「チカが揺杏と料理の練習でもしてたんじゃないかな?」

由暉子「料理の練習ですか。誓子先輩は十分に上手いと思うんですけど」

爽「それはあれでしょ。食べさせたい相手がいるってことだ」

由暉子「……そういうことですか」



由暉子「揺杏先輩、今度私にも料理教えてもらってもいいですか?」

揺杏「いいよー」

誓子「……まあ、そうなるよね」


爽「それより早く食べよう。お腹空いたー」

成香「爽さん、そんな慌てなくても……」グゥ

爽「んー? 今の音はなんだろうねー」

成香「あうぅ……」カァァ


揺杏「二人とも、火花散らしてないで食べようぜ」

誓子「そうね、お父さんたちももうすぐ帰ってくるだろうし」

由暉子「お料理、運びます」


誓子(でも、料理ではユキには負けられないかな)

誓子(まったく……男の子なのに料理上手ってどういうことよ)

誓子(いつかまいったって言わせてやるんだから)



というわけで忘れてたけどお誕生日おめでとう

さて、安価取りたいけど人いますかね?

それじゃ、一応何らかの表です
一番上のグループはほぼエンディングが確定
あとは数字が高い順にエンディングに近いです


大星淡
天江衣


福路美穂子
姉帯豊音
宮永照


ネリー・ヴィルサラーゼ
神代小蒔
真屋由暉子
松実玄
竹井久


宮永咲
桧森誓子
清水谷竜華
原村和
杉乃歩
エイスリン・ウィッシュアート


瑞原はやり
三尋木咏


滝見春
園城寺怜
石戸霞
片岡優希
薄墨初美
龍門渕透華
白水哩
小鍛冶健夜
染谷まこ
小走やえ
鶴田姫子
獅子原爽
妹尾佳織


本内成香
臼澤塞
上重漫
狩宿巴
弘世菫
辻垣内智葉
国広一
岩館揺杏
高鴨穏乃
東横桃子
蒲原智美
雀明華
鷺森灼
新子憧
津山睦月
部長
内木一太
ハギヨシ
メイド
松実宥
井上純
荒川憩
愛宕絹恵
小瀬川白望
熊倉トシ
佐々野いちご
針生えり
原村恵
加治木ゆみ
夢乃マホ
南浦聡
久保貴子
花田煌
郝慧宇
メガン・ダヴァン
野依理沙
赤坂郁乃
福世恒子
アレクサンドラ・ヴィントハイム
戒能良子
高久田誠
鹿倉胡桃


愛宕洋榎
江口セーラ
藤田靖子
池田華菜
末原恭子
沢村智紀
吉留未春
文堂星夏
深堀純代
南浦数絵
二条泉
赤土晴絵
真瀬由子
村吉みさき
渋谷尭深
亦野誠子

それじゃ、お好きなキャラ一人どうぞ

58分まで

締切

ちょっと割ってきます

コンマ判定

はやり:1-8
ネリー:9-22
誓子:23-30
桃子:31-38
小蒔:49-46
玄:47-54
哩:55-62
豊音:63-76
姫子:77-84
霞:85-92
咏:93-00

ゾロ目:?


直下

哩さんで了解
再び方言という壁が立ちふさがる……!

それじゃ、おやすみなさい

エンディングは今のとこ淡ところたんだけ見れます
見たい場合は安価で取って、どうぞ

表に書いてあるキャラは基本的に全員選べます
男キャラを選べば友情が深まります。だがホモはありません


それはともかくとしてお好きなキャラをどうぞ
以下のキャラは選べません

美穂子・健夜・衣・マホ・久・怜・はやり・宥・白望・哩

姫子・やえ・灼・咏・憧・咲・和・桃子・豊音・ネリー

エイスリン・塞 ・照


下1~下3でコンマ高いの一人

荒川ナースで了解
すこし時間もらいます



憩→京太郎


憩「えぇーっと、あのお兄さんのことですかーぁ?」

憩「正直言うと、イケメンさんですねーぇ。なんか雰囲気も不思議ですし」

憩「口がうまいとこもありますけど、それっぽく感じへんとことかいい感じやと思いますよーぉ?」

憩「本気で迫られたらどうなるかは正直わからないですけど……」

憩「まぁ、冗談を冗談で済ませとるうちはないですねーぇ」

憩「まとめると、面白い人ってことで」

荒川ナースでした


引き続きお好きなキャラをどうぞ

美穂子・穏乃・豊音・竜華・佳織・憧・ネリー・霞・玄・一

咏・哩・和・宥・小蒔・理沙・照・淡・由暉子・誓子・はやりは不可


下1~下3でコンマが一番高いの一人

ゾロ目なんでかじゅってことで

それじゃ、また時間もらいます



京太郎→ゆみ


京太郎「加治木? そうだな……あいつは恩人ってところか」

京太郎「極端な話だけど、あいつがいなかったら清澄には行ってなかったと思うし」

京太郎「ああやって誰かの手を引けるんだもんな。かっこいいはずだよ」

京太郎「鶴賀もそうやってあいつが引っ張ってきたんだろうな。部長は蒲原だったけども」

京太郎「ま、俺としては話しやすい相手の一人かな」

京太郎「常識的な対応してくれるやつは正直助かる」

というわけでかじゅでした
意外にキーパーソン

それじゃ、今日は失礼します
次は明日か明後日か
眠気に負けなきゃ多分明日です

ちわっす
今日はやります

したらば、もう少し後で

そんじゃ始めます
今日は寝ない……!



・三年、秋、空いた穴を埋めるもの


姫子「ふーん、週末に里帰りね」

煌「この前の三連休に行ければよかったんだけど、忙しくてどうも」

姫子「あはは、頑張れ新部長」

煌「もう、そんなこと言って自分だけ楽する気でしょ」

姫子「えー? むしろ先輩たちがかせしよると、こっちはやりづらいというか」

煌「そう、それ。それなんだよね……」

姫子「なんか困っとーと?」

煌「困ってるというか……その、白水元部長が」

姫子「ぶちょ、やなくて先輩が?」

煌「手伝ってくれるのはありがたいんだけど……気を使いすぎというか、過保護みたいな」

姫子「あー……」

煌「この前なんかちょっと昔の牌譜探してたら――」


哩『牌譜? そいやったら私が探しとく』



姫子「そんくらいならまだ問題はなかと思うけど?」

煌「それだけじゃないからね。練習のメニュー組んでる時なんか――」


哩『そいは……ああ、今度の練習の』

哩『ふむ、こっちはこん組み合わせの方がよかと思う……あ、ご、ごめん!』

哩『今は花田が部長……うん、わかっとる』

哩『そうだ、今お茶淹れてくっから待っとって!』


煌「ってお茶だけでなくケーキまで買ってきて」

姫子「花田こすか」

煌「ずるいじゃなくて……どう思う?」

姫子「どがん思うて……花田がばこすか」

煌「だからそれはもういいから」


姫子「多分、急に暇んなって戸惑っとーと思う。部屋でも時々ほけまくいやし」

煌「ほ、ほけま……なに?」

姫子「ほけまくい、ボーッとしてるってこと」

煌「なるほど、ぬっよりはわかりやすいかも」

姫子「そう?」

煌「そうなの」



煌「話戻すけど、白水先輩は大学はもう決まってるんだっけ?」

姫子「推薦でね」

煌「それなら受験勉強する必要もないってこと」

姫子「やけん、余計に時間ば持て余し気味みたい」

煌「先輩はそういうの苦手そうだしねぇ」

姫子「あはは、人のこつ言えんよ、花田も」

煌「だから私は今度実家に帰るってば」

姫子「実家って長野やったっけ?」

煌「久しぶりに中学時代の後輩たちと会う予定なんだよね」

姫子「里帰り、長野……うん」

煌「姫子?」

姫子「花田の里帰り、私たちもついてってよか?」





姫子「てなわけで長野行きましょう」

哩「いきなりなんね」

姫子「ぶちょ……やなくて先輩、最近は暇そうですし」

哩「私は受験勉強なかけん、他ん人より暇になるんはしょんなか」

姫子「江崎先輩とか、なんもかんも政治が悪いって」

哩「いや、政治がどがん関係しよる」

姫子「んー、受験て行政も関係あっと思いますけど」

哩「そいは置いといてよか?」

姫子「オッケーです」



哩「で、なんで長野」

姫子「花田が里帰りすって聞きまして」

哩「理由になってなかね」

姫子「先輩もいますし、よかかなーと」

哩「先輩……ああ、須賀くん」

姫子「泊まる場所は心配なかです。そいならって花田ん家に誘われました」

哩「花田、懐が深かね……」

姫子「行きましょうよぉ」

哩「んー」

姫子「もう暇で暇で花田に構いまくってるって聞きました」

哩「あ、あいはちゃんと花田が部長として問題なかか見よっただけで」

姫子「お茶淹れて、ケーキまで用意して?」

哩「うっ……」

姫子「そいなら気分転換でもどーですかって感じです」

哩「……ごめん、心配かけて」

姫子「今更やないですか。てなわけで行きましょうよぉ」

哩「わかった……あと姫子」

姫子「はい?」

哩「ありがとう」

姫子「それも今更です」

哩「ん、そうやね」





京太郎「今度こっち来るって?」

哩『うん、久しぶりやし顔出す』

京太郎「顔出すって……んなことしなくても付き合うけど」

哩『暇やと?』

京太郎「平たく言えばな」

哩『……竹井さんは?』

京太郎「やっと解放されるーってのびのびしてたよ。生徒会長だったからさ」

哩『部長やって生徒会長……』

京太郎「まぁ、麻雀部に人が来なさすぎて職権乱用目的でな」

哩『職権乱用!?』

京太郎「部活動紹介とかあるじゃん。あれも会長権限でだいぶ優遇してたな」

哩『部活動紹介……うっ、頭が……』

京太郎「どうかしたのか?」

哩『ちかっと古傷ばえぐられて』

京太郎「そ、そうか」



京太郎「にしても、お前が電話してくるなんて珍しいな」

哩『こっちから会いに行っけん、事前に連絡ばせんと』

京太郎「お前そういうとこマメだよな」

哩『常識やけん』

京太郎「まぁ、だからって連絡先を渡されたんだけどな。よくよく考えたら大胆だな」

哩『――っ、そいは気にせんでもよかとね!』

京太郎「うおっ、いきなり大声出すなよ」

哩『あ、ごめん』

京太郎「こっちも悪かったよ。ついからかってしまった」

哩『もう……』

京太郎「珍しいといえば、鶴田がおとなしいな」

哩『姫子が?』

京太郎「こういうときは電話かけてくるからな。まぁ、普段から結構かかってくるんだけど」

哩『……』

京太郎「あいつっていつもあんなやかましいのか?」

哩『え、あ……な、なに?』

京太郎「鶴田が普段からやかましいのかって」

哩『特にそがん風には』

京太郎「なるほど、わざとかあいつめ」

哩『……そいぎ、また週末に』

京太郎「ああ、待ってるよ」



京太郎「なんだろうな、あの反応」

京太郎「……もしかするとお叱りを受けた鶴田から電話が――」プルルル


『鶴田姫子』


京太郎「って言ったそばから……もしもし」

姫子『あ、先輩ですか?』

京太郎「人生の先輩だな」

姫子『あの、なんば言いよるとですか?』

京太郎「まぁ、聞き流せ」

姫子『あ、私の声が聞けて嬉しゅーして?』

京太郎「寝言は寝て言え」

姫子『またまたぁ、わざわざ誕生日に会いにきたじゃないですかぁ』

京太郎「あれはもののついでだ。勘違いすんな」

姫子『俗に言われよるところのツンデレですね』

京太郎「寝言は寝て言え」

姫子『そい、二回目やないですか』





姫子『ふんふん、ぶちょ……やなくて先輩が?』

京太郎「まぁそういうことなんだけど……先輩先輩言われるとだんだん混乱してくるんだけど」

姫子『もう、名前で呼んで欲しいなら素直に言えばよかと思いますよ?』

京太郎「言外に含んですらいないメッセージを受け取るのはやめなさい」


京太郎「とりあえず呼び方は今まで通りでいい。本題に戻すぞ」

姫子『んー、特に心配はいらんですよ?』

京太郎「そうなのか? 俺のせいで怒られてたらさすがに申し訳なくなるからな」

姫子『先輩はにぶちんやけん、私がわかりやすく例えてあげます』

京太郎「いまいち納得いかないな……」


姫子『つまりですね? 犬ばすいとー人がいます』

姫子『でも撫でるのはちゃーがつかって、尻込みしてるわけです』

姫子『ばってん、そがなこつお構いなしに撫でよる人ば見っと、どがん思いますかね?』


姫子『まぁ、私が言えるんはこがんとこですね』

京太郎「うーん……んなこと気にしないで好きにかけてこればいいのに」

姫子『え、今のでわかりました?』

京太郎「わかりやすく例えるっつったのはお前だろうが」

姫子『ですけど、やっぱ予想外です』

京太郎「よし、俺が馬鹿にされてるのはよーくわかった」





優希「ビッグニュースだじぇ!」

咲「ど、どうしたのいきなり?」

優希「実は今度の週末に――」


京太郎「新道寺の花田がこっち来るんだろ?」

優希「じぇ!?」

久「こっち着くのは金曜の夜だったかしら?」

優希「じぇじぇ!?」

まこ「同じく新道寺の鶴田と白水も来るらしいのぅ」

優希「じぇじぇじぇ!?」



優希「せ、先輩たちはもしや……エスパー?」

和「なにを言っているんですか」

咲「でも、どうしてそんなに知ってるのかは気になるよね」

和「単純に考えれば、知り合いだとか」

久「その通りよ。去年いろいろ縁があったもんでね」

京太郎「そうそう、冬に福岡に遊びに行ったりとかな」

まこ「行き先をダーツやらくじ引きで決めるのは問題ありじゃと思うがの」

優希「なんだか楽しそうだじぇ、私もやりたい!」

久「そういうのは現部長のまこに言いなさい」

優希「どうかお願いします!」

まこ「あほう、ダメじゃダメ」

優希「そんなっ!」



咲「話だけ聞くと、相当色々やってそうだよね、京ちゃんは」

京太郎「なんだ、含みがある言い方だな」

咲「どうせ行く先々で色んな女の子に声かけてたんでしょ?」

京太郎「あのな? 最近の高校麻雀に限った話じゃ、女子の方がレベルが高いんだよ」

咲「だから女子高ばかり狙ってたんだ、ふーん」

京太郎「狙うとか人聞き悪いなぁ」


和「それにしても、先輩たちにとって、インターハイは知り合いばかりだったんですね」

久「そうねぇ、二回戦以降は知ってるとことしか当たらなかったし」

和「阿知賀のみんなとも知り合いだったみたいですし」

久「あ、また合宿するんだったらあそこがいいんじゃない? 宿の調達も楽だしね」

和「いいと思います。今度染谷部長に提案してみます」

久「私もついてっちゃおうかなぁ、暇だし」

和「竹井先輩はもう推薦が決まったんでしたか」

久「そ、議会長やってたかいがあったってところね」



優希「どうでしょう的な旅はともかく、花田先輩の家に突撃だじぇ!」

京太郎「行くのはいいけど、何人で押しかける気だ?」

優希「えっと、ムロマホも来るって言ってたっけ?」

和「咲さんもどうですか?」

咲「いいの? 私、全然交流なかったし」

和「私の尊敬する先輩を知ってもらいたいんです」

咲「……うん、わかったよ」

優希「というわけで先輩たちも含めたら八人だじぇ」

京太郎「押しかけるにしては多すぎだな……ま、俺は別のタイミングで顔見せに行くよ」

久「そうね、私も同意見」

まこ「わしも同じく」

優希「むぅ、先輩たちはノリが悪いんだじぇ」

京太郎「そう言うなって。頼んだぞ、副部長」

優希「はーい」



久「今更ながら、優希が副部長っておかしな感じね」

まこ「本人の立候補に加えて和の推薦じゃ」

久「意外と面倒だから押し付けたってパターンだったり」

まこ「それはないじゃろ、性格的に」

久「まったくもってその通りね」

まこ「まさか咲にやらせるわけにはいかんしのぉ」

久「残念ながら反論の余地はないわね……」

まこ「ま、優希も芯が強ぅなったけぇ」

久「そうね。見守ってあげて、部長」

まこ「任された」





姫子「んー、きゃーなえたー」

哩「花田、すまんね」

煌「いえいえ、こうしてお泊まり会……すばらです!」

姫子「持ちネタよかけん、アイスなかと?」

哩「こら、姫子」

姫子「別によかとですよ。花田も私相手だと遠慮ないですし」

煌「はいはい、アイスなら後で持ってくるから」

哩「重ね重ねすまんね」

煌「いえいえ、アイスを食べながらの語らい……すばらです!」


煌「明日は午後から高遠原の後輩たちが来るんですけど、お二人は?」

哩「須賀くんたちとお昼ば食べる予定やな」

姫子「花田も来る?」

煌「そうだなぁ……お昼ならご一緒できそうかな?」

姫子「決まりやね」





京太郎「よう、久しぶり」

久「元気だった?」

哩「そっちこそ」

姫子「染谷はおらんとですか?」

京太郎「まこっちゃん少し遅れるってよ」

久「で、そっちの子が例の花田さん?」


煌「花田煌です。こうしてここで出会えたこと……なんとすばらなことでしょうか」



久「すばら?」

京太郎「持ちネタだ、気にすんな」

久「ふーん、結構面白そうな子ね」

煌「今日はお昼にご一緒してもいいでしょうか?」

京太郎「そんなかしこまらなくてもいいだろ。話はきいてるしさ」

久「そうそう、優希と和の先輩なら他人じゃないしね」

姫子「花田、気ぃ使いすぎ」

煌「そうかな?」

哩「そうやね、姫子ほど砕けろとは言わんけども」

姫子「私、そがんフランクですかね?」

京太郎「俺に対しては遠慮や配慮って言葉を忘れてる節が見受けられるな」

姫子「えー? 嬉しいくせにぃ」グリグリ

京太郎「な? 見ての通りだ」

哩「まったく……」

久「随分なつかれてるわね」

京太郎「からかわれてるの間違いじゃないか?」

久「ま、そこはノーコメントで。藪はつつきたくないし」





京太郎「ほい、これで全部か?」

久「えっと、これとこれは私ので……」

姫子「こっちは私たちのですね」

哩「ん、ありがと」

京太郎「まこっちゃんたちは……」


まこ「ふむ、人数が多いと大変そうじゃな」

煌「多いなりにシステム化されてる部分もありますから、なにからなにまで自分でやるというわけじゃないんですけど」


京太郎「なんか意気投合してんな」

久「二人とも新部長だし、話題には事欠かないんじゃない?」

京太郎「元部長同士はなんかないのか?」

久「そうねぇ」

哩「そうやね」



久「まこなら大丈夫じゃない? って感じだけど」

哩「やっぱ引き継ぎからそがん時間も経ってなか、心配やね」


京太郎「この意識の差……」

姫子「部の規模の問題もあっと思いますね」

京太郎「久ちゃんはわりと普段からまこっちゃんに任せっきりってのもあったからな」

姫子「哩先輩は心配性……てよりも責任感強か人ですし」

久「心配するのはいいけど、疲れない?」

哩「そいは……」

京太郎「ま、息抜きのために来たんだし、とりあえずバーガー食って落ち着こうぜ」

姫子「ですね」





哩「……」


哩(こい、どがんしよう)

哩(ハンバーガーば食べるには口ばおっきく開く必要がある)

哩(やけん、正面には須賀くんが座っとる)

哩(さ、さすがにそいは……ちゃーがつかっというか)

哩(下や横向いてたら不自然……誰かと席ば交換すっにも理由がなか)

哩(……どがんしよう)



京太郎「食わないのか?」

哩「た、食べるよ?」

京太郎「ふむ……口内炎で口を開けられないとか?」

哩「いや、そがなこつは……」

京太郎「そうだな、なら食べてるのを見られるのが恥ずかしいとか」

哩「――っ」

京太郎「あ、当たったのかよ……」

姫子「もう、先輩デリカシーなさすぎ」

久「こいつにそんなの期待してもしょうがないけどね」

京太郎「当てずっぽうで言っただけだってば……」

姫子「ダメです。罰として食べさせてあげてください」

京太郎「はぁ?」

哩「ひ、ひひひっ、姫子っ!?」

姫子「さぁさぁ、早く早く」

京太郎「まぁ、やれっつーんならやってもいいけどさ」

哩「ちょっ」


哩(な、なんか……なんかこん状況ば切り抜ける方法はっ)

哩(……そうだっ)





哩「……」カァァ

京太郎「あー……」


久「なにやってんだか……」ハァ

姫子「ここまで大胆に攻めるとは……」


京太郎「……うまいか?」

哩「……味、いっちょんわからん」

京太郎「たしかにこれじゃ食べてるとこは見えないけどな……」


京太郎(だからってまさか上に座ってくるとは……正直予想外だった)

京太郎(……柔らかい)


姫子「むぅ」

久「自分でけしかけたくせにむくれない」

姫子「そうですけど……」

久「まあ、人間追い詰められると思いもよらない方へ舵を切るのよね」

姫子「完璧予想外でした」



京太郎「あっ、携帯に電話かかってきた」プルルル

哩「んんっ」ビビクン

京太郎「おまっ、変な反応すんなって」

哩「ま、まいるよ……」

京太郎「持ちネタはいいから」


煌「なにやら楽しそうなことをやっていますね。すばらっ」

まこ「……はぁ、人の目っちゅうのを忘れとらんかの?」





煌「では、私はこれで」

まこ「わしも家の手伝いに戻るかの」

姫子「そいぎー」フリフリ

京太郎「花田、また今度な」

久「今度は優希たちにいっぱい振り回されてきてね」

煌「はい、久しぶりなので楽しみですね」スバラッ

まこ「しかし……あっちは大丈夫かの?」


哩「……」フラフラ


京太郎「……さぁ?」

煌「先輩のあんな姿も珍しいですねぇ」

久「とりあえずこの後は休憩取りましょうか」

姫子「ですね」

まこ「そのほうがええじゃろうな」





哩「ふぅ……」

哩「まったく、とんだ醜態やね」

哩「穴があったら入りたい……」

哩「……もうぬっか」ゴロン


京太郎「またそれか」


哩「す、須賀くん!?」ガバッ

京太郎「まぁ落ち着け」

哩「う、うん……」

京太郎「飲み物でも飲んでさ」

哩「……ありがと」



哩「二人は?」

京太郎「しばらく一人でそっとしておこうって方針だったんだけどな、トイレ行くって抜け駆けしてきた」

哩「そう……」

京太郎「話し相手は俺じゃなくても務まるけど、さっきは悪いことしたしな」

哩「あいは私の自爆やけん。気にせんでもよかよ」

京太郎「じゃあお礼だな」

哩「お礼?」

京太郎「さっきの、役得だったから」

哩「あ……」カァァ


哩「か、帰るっ」スクッ


京太郎「まぁまぁ座れって」グイッ

哩「あうっ」





京太郎「こうしてるとさ、去年のインハイ思い出すな」

哩「あん時もベンチ座って、飲み物飲んで……やっけ?」

京太郎「そうだな。こんなに付き合いが続くとは思ってなかったけど」

哩「そこは同意見やね。ばってん、まさかいきなり訪ねてくっとは」

京太郎「だから悪かったって。ちゃんと伝えなかった鶴田も悪い」

哩「責任転嫁? 感心せんね」

京太郎「お前な、散々買い物付き合わされたあげくラーメン奢らされたんだぞ?」

哩「姫子……すまんね、後で言っとく」

京太郎「ははっ、思いっきり保護者みたいな言い方だな」


京太郎「いや、でも……だからか」



哩「どがんした?」

京太郎「お前さ、もしかして寂しかったりするのか?」

哩「……」


京太郎「うちの母親もさ、もう一人でできるって言ってもしばらくはベタベタしてきたんだよ」

京太郎「今考えると、あれって寂しかったのかって思うんだよな」

京太郎「なんとなくだけどさ、今のお前と同じなんじゃないかなって」


哩「とぜんなか……言われてみっとそがん気がすんね」

哩「ずっと、胸に穴が空いとる……」

哩「やけん、穴ば埋められん。どがんしたらよかとね」


京太郎「……」

唐突にコンマ判定
高ければ高いほどいい感じです

ごめん、直下って書き忘れたからここまでで一番いいの採用します

ゾロ目 マイル・シローズ、甘える


京太郎「それでいいんだよ」

京太郎「寂しいなら寂しい、何かが欲しいなら何かが欲しいって言えばさ」

京太郎「結局さ、言わなくてもなんでも分かるってのは怠慢だよな」

京太郎「ま、俺が偉そうに言えるわけじゃないけどさ」


京太郎(言いたいことも言わないで、聞くべきことを聞かないで痛い目にあったからな)


京太郎「根本的な解決なんてそれこそ時間がって話だけど、今日はどうだった?」

哩「……そうやね、たしかに言う通り」

京太郎「そういうことだ。求めれば与えてくれるやつの心当たりぐらいはあるだろ」

哩「須賀くんは、応えてくれる?」

京太郎「当たり前だろ。ちょうどずっと背負ってたものがなくなっててさ、ちょっとの間でいいんならいくらでも言え」

哩「じゃあ――」ポスッ


哩「抱きしめて……」

京太郎「おう」ギュッ

哩「撫でて」

京太郎「はいよ」

哩「名前、呼んで」

京太郎「哩……これでいいか?」

哩「あと……顔、隠させて」

京太郎「わかったよ」

哩「ありがと……」ギュッ





姫子「あ、先輩どんだけトイレ長いんですか」

京太郎「どうも腹の調子が悪くてさ。ほら、飲み物買ってきたから」

姫子「じゃあ許します」

久「ところで、あんたなんで上脱いでるの?」

京太郎「ちょっと暑くてな……さっき水に落としちゃったし」

久「ふーん……ま、いいけどね」


哩「ごめん、待たせた」


姫子「大丈夫ですか?」

哩「うん、もう大丈夫」

久「目、赤いけど」

哩「欠伸のしすぎやね」

久「……ま、いいけどね」



京太郎「よし、じゃあ移動するか。時間は有限だしな」

哩「そうやね……うわっ」グラッ

京太郎「っと、大丈夫か?」

哩「ありがと、きょうた……んんっ、須賀くん」


姫子「ん? あれ?」

久「……はぁ」

姫子「あの、先輩なんかしました?」

京太郎「俺はトイレ行ってただけだから。まい……白水はそっとしておこうって言ったろ」

姫子「あれ……やっぱりなんか変!」

京太郎「はいはい、いいから行くぞ」

姫子「むぅ……」


久「……目を離しすぎたわね」



というわけで終了
ゾロ目取ったから最後までやらせようかと思いましたけど思いとどまりました

それじゃあ安価取りたいですけど人いますかね?

それじゃ、一応何らかの表です
一番上のグループはほぼエンディングが確定
あとは数字が高い順にエンディングに近いです


大星淡
天江衣


福路美穂子
姉帯豊音
宮永照


ネリー・ヴィルサラーゼ
神代小蒔
真屋由暉子
白水哩
松実玄
竹井久


宮永咲
桧森誓子
清水谷竜華
原村和
杉乃歩
エイスリン・ウィッシュアート


瑞原はやり
三尋木咏


滝見春
園城寺怜
石戸霞
片岡優希
薄墨初美
鶴田姫子
龍門渕透華
小鍛冶健夜
染谷まこ
小走やえ
獅子原爽
妹尾佳織


本内成香
臼澤塞
上重漫
狩宿巴
弘世菫
辻垣内智葉
国広一
岩館揺杏
高鴨穏乃
東横桃子
蒲原智美
雀明華
鷺森灼
新子憧
津山睦月
花田煌
部長
内木一太
ハギヨシ
メイド
松実宥
井上純
荒川憩
愛宕絹恵
小瀬川白望
熊倉トシ
佐々野いちご
針生えり
原村恵
加治木ゆみ
夢乃マホ
南浦聡
久保貴子
郝慧宇
メガン・ダヴァン
野依理沙
赤坂郁乃
福世恒子
アレクサンドラ・ヴィントハイム
戒能良子
高久田誠
鹿倉胡桃


愛宕洋榎
江口セーラ
藤田靖子
池田華菜
末原恭子
沢村智紀
吉留未春
文堂星夏
深堀純代
南浦数絵
二条泉
赤土晴絵
真瀬由子
村吉みさき
渋谷尭深
亦野誠子

それじゃ、お好きなキャラをどうぞ

21分まで

ネリー2
豊音3
小蒔2


咏3
桃子
はやり


じゃあ割ってきます

コンマ判定


ネリー:1-12
豊音:13-30
小蒔:31-42
玄:43-50
照:51-58
咏:59-76
桃子:77-84
はやり:85-92
咲:93-00

ゾロ目:?


直下

三尋木プロで了解

したらば、眠ります



・二年、if、冬の二等辺三角形


照「京ちゃん、今度の休みは?」

京太郎「うちの学校で練習試合。まぁ、昼には終わるんじゃないか?」

照「わかった。迎えに行くから一緒にご飯食べよ?」

京太郎「迷子になんなよ?」

照「大丈夫、いざとなったら菫がいる」

京太郎「弘世になら安心して任せられるな」

照「一人でも大丈夫だけど」

京太郎「いやー、怪しいな」

照「むっ」

京太郎「冗談だって」

照「じゃあキスして?」

京太郎「りょーかい」

照「あ、でも舌は入れちゃダメ。我慢できなくなるし」

京太郎「そう言われるとしたくなるんだよなぁ」





京太郎「終わり終わりーっと」


「須賀、お疲れ」

京太郎「先輩こそ」

「いやー、これで来年も安泰だな」

京太郎「任せてくださいよ、今度こそ優勝取りますから」

「頼むぞ、エース」

京太郎「了解っす……じゃ、俺はそろそろ」

「なんだ、いつものコレか?」

京太郎「昼一緒に食べる約束してて」

「このリア充が……しかも相手はあの宮永照だしな」

京太郎「はは、そういうことなんで」

「よし、じゃあ爆発してこい!」バシンッ

京太郎「いって!」





京太郎「いててて、思いっきり叩かれたな」

京太郎「照ちゃんは……まだ来てないか」

京太郎「まぁ、思ったよりも早く終わったしな」

京太郎「少し待ってるか……お、雪か。東京じゃ珍しいな」


「えっと、たしかこの学校のはず……」


京太郎「外人さんか? こりゃまた珍しい」

京太郎「道にでも迷ったのかね」

京太郎「……ま、いい暇つぶしにはなるか」




京太郎「あー、メイアイヘルプユー?」

「……c'est incroyable」ボソッ

京太郎「あれ、発音悪かったかな?」

「日本語で大丈夫ですよ?」

京太郎「それは助かる。うちの学校になんか用?」

「実はハンドボールの試合を見学しようと」

京太郎「それならもう終わったぞ」

「そうなんですか?」

京太郎「残念ながら」

「そうですか……」

京太郎「わざわざ来てもらったのに悪いな」

「でも、目的の一つは達成できたので」

京太郎「目的の一つ?」

「はい。須賀京太郎さん、よければ少しお話しませんか?」





京太郎「えっと、雀さんだっけ?」

明華「明華で構いませんよ?」

京太郎「じゃあ明華さんはその……俺のファンなんだって?」

明華「それはもう、かなり」

京太郎「か、かなりか……」


京太郎(フランス出身だって言ってたな)

京太郎(むこうじゃハンドってけっこうメジャーなんだっけか)

京太郎(にしてもファンか……なんかむずがゆいな)


京太郎「なんにしても、応援に来てくれたんだったらありがとな」

明華「せっかく日本に来たので、いい機会だと思いまして」

京太郎「フランスから来たんだっけ?」

明華「春からはこっちのリセ……高校に通う予定です」

京太郎「ということは留学生か」

明華「連絡先交換しませんか? お近づきの印に」

京太郎「ああ、今携帯出すからちょっと待って――」



照「京ちゃん」


京太郎「照ちゃんか」

照「その子、だれ?」

京太郎「雀明華さん。はは、ファンだなんて言われたの初めてだよ」

明華「初めまして」ペコッ

照「こちらこそ初めまして。京ちゃんの恋人の宮永照です」ペコッ

明華「……恋人……宮永照……あなたが」

照「それじゃあ、私たちはお昼食べに行きますから」

京太郎「ちょっと待ってくれ、連絡先の交換がまだ――」

照「いらないよね?」

京太郎「いや、でもせっかくのファンだし――」

照「いらないよね?」

京太郎「……もしかして機嫌悪い?」

照「そう? お腹空いてるせいかも」

京太郎「わかったよ……悪いな、俺たちこれから昼だから」

明華「わかりました、そういうことならしかたないですね」



明華「では、私もご一緒させてもらいますね」


照「ダメ、ついてこないで」

明華「なら、たまたま同じお店の同じテーブルになる……というのはどうでしょうか?」

照「ダメ、ありえない」

明華「決まりですね」

照「勝手に決めないで」

京太郎「あー……」


京太郎(この時、こじれそうな気配に辟易したのは確かだ)

京太郎(恋人である照ちゃんを蔑ろにはできない、かと言って俺のファンだと言ってくれた子を無碍に扱うこともできない)

京太郎(結論から言えば、俺が日和ったことで状況はややこしい方へ向かっていくことになる)


明華「ところで、略奪愛ってどう思います?」

照「……どう言う意味?」

明華「さぁ、世間話でしょうか?」



とかいうifのif

話としては『もしもの未来、ある日の朝』の後になります

じゃ、今日はこれで
更新は多分明日です

こんばんはー
始める前に安価

風越、鶴賀、龍門渕から一つどうぞ

下5まで


そんでもうちょっとしたら始めます

さっぱりしたところでコンマ判定

龍門渕:コンマ末尾が1-6
風越:コンマ末尾が7-8
鶴賀:コンマ末尾が9-0


直下

龍門渕で

それじゃ、始めます



・三年、秋、仮装麻雀大会


咏「あー、つっまんねー」

えり「何言ってるんですか、打ち合わせ進めますよ」

咏「ん~、アドリブでいいんじゃね?」

えり「真面目にやってください!」

咏「えりちゃんさぁ、そんなカッカしてると疲れない?」

えり「誰のせいだと?」ピキピキ

咏「小じわ増えちゃうぜぃ?」

えり「黙りなさい!」ギリギリ

咏「いひゃいいひゃい!」



咏「まったく……福与アナを少しは見習ってほしいねぃ」ヒリヒリ

えり「彼女とあなたを組ませたら色々と終わりでしょうに」

咏「この組み合わせがいいってこと?」

えり「遺憾ながら」

咏「またまた照れちゃって」

えり「はいはい、それより仕事の話ですけど」

咏「打ち合わせなら十分したっしょ」

えり「それはまた後です。これ、どうですか?」ペラッ

咏「なになに……ハロウィン麻雀大会? ああ、あの仮装してやるやつ」

えり「チームの方にも何件かオファーが来てるみたいですね」

咏「今すぐやれるんなら万々歳なんだけどねぃ……これ月末じゃん」

えり「今すぐなにかといっても難しいですよ。この時間だって仕事の合間なんですから」

咏「というかさ、えりちゃん最近マネージャーじみてきてね? 知らんけど」

えり「こうして組まされることが多ければそうもなるでしょう……お互いの性格をふまえても」

咏「うふっは! そりゃそうだ!」ケラケラ

えり「笑い事じゃないですよ!」



えり「それで、ハロウィンの件はどうします?」

咏「試合もないし、出ても構わないけどねぃ……ん?」ペラッ

えり「返事は最低でも明後日までに――」


咏「出るよ」


えり「――してほしいと……出るんですか?」

咏「どこのに出るかはこっちで好きなの選んでいいんでしょ?」

えり「そうですね、リストに載っているのなら」

咏「じゃあ決まりだねぃ、長野のにする」

えり「長野ですか……今は紅葉のシーズンですね」

咏「ひっさしぶりだな~、ハメはずしていい?」

えり「いいわけないでしょう」





京太郎「……はぁ~」


「大きなため息ねぇ。神代の姫様と喧嘩でもしたの?」

京太郎「なんでそうなるんだよ……全然違うって」

「ならなに、恋の悩み? 相談乗るわよ?」

京太郎「あんたも大概頭の中ピンク色だなっ」

「いいからお母さんに話しちゃいなさいよ」

京太郎「……チケット外れた」

「チケット?」

京太郎「はやりんのハロウィンライブの」

「ああ、はやりんね。あんた昔っから好きよねぇ」

京太郎「いいだろ、別に」

「チケットなら本人に頼んでみればいいじゃない。一緒にテレビに映ってたんだし」

京太郎「むこうが誘ってくれるならともかく、自分で頼むのはなんか違うだろ」

「変なとこで律儀ねぇ」

京太郎「律儀っつーか常識だと思うけど」プルルル

「電話ね、あんたのじゃない?」

京太郎「ん、そうみたいだ」



『三尋木咏』


京太郎「……」

「なになに? 女の子?」

京太郎「いや……女の子ではないな」

「じゃあ内木くん? あんた男友達少ないんだから大事にしなさいよ?」

京太郎「はいはい、わかってるって」ピッ

「切っちゃっていいの?」

京太郎「うんまぁ、嫌な予感がするもんだから」プルルル

「またかかってきたわね」

京太郎「……」

「出ないの?」

京太郎「しょうがない……ちょっと話してくる」





咏『いきなり切るとか常識なくね?』

京太郎「そこはいつも通り知らんけどで流してください」

咏『ま、いっけどね~。というわけであなたの咏さんだぜー』

京太郎「それで、用件は?」

咏『あらま、ドライだねぃ』

京太郎「ドライかどうかはともかく、少し警戒はしてる。この前もひどい目にあったし」

咏『あっはっは、酔っ払い二人の相手ごくろーさまっ』

京太郎「あんたが酒強いのはわかったけどさ……」

咏『酒は飲んでも飲まれるなってね』



京太郎「で、用件は?」

咏『ハロウィン麻雀大会って知ってる?』

京太郎「仮装してやるやつか? 今度に日曜だっけ」

咏『長野でやるやつにあたし出るから、お兄さんも出ること。おっけー?』

京太郎「え、やだよ」

咏『即決で断るとか失礼じゃね?』

京太郎「今更あんた相手に失礼もなにもないだろ」

咏『ふーん、ま、いっけど……ところで保留にしてたの、取り立てちゃってもいいかね?』

京太郎「保留……なんだっけ?」

咏『サインの件。タダとは言ってないっしょ』

京太郎「……ああ、あれか」

咏『てわけで、拒否権はないぜぃ』

京太郎「マジか……」

咏『ダメ押しに野依さんと朝食中の写真が……』

京太郎「よし、出るぞー!」

咏『うふっは! 決まりだねっ』



京太郎「なんてこった、こんなことになるなんて……」

京太郎「ハロウィンとか……照ちゃんにお菓子せびられた覚えしかないんだけど」

京太郎「……どうすっかなぁ」


「なになに? 電話終わったの?」ヒョコッ

京太郎「うわっ、勝手に部屋に入ってくるなよ」

「またお母さんが知らない子?」

京太郎「……年上の社会人」

「へぇ、珍しい。あんたってどっちかって言うと年下に好かれるようなタイプだと思ってたのに」

京太郎「好かれるとかそういう問題じゃないと思うけどな……ところでさ」

「なぁに?」

京太郎「ハロウィンの仮装、なにがいいと思う?」




咏『んじゃ、お兄さんの仮装、楽しみにしてるぜぃ』プツッ


京太郎「なんてこった、こんなことになるなんて……」

京太郎「ハロウィンとか……照ちゃんにお菓子せびられた覚えしかないんだけど」

京太郎「……どうすっかなぁ」


「なになに? 電話終わったの?」ヒョコッ

京太郎「うわっ、勝手に部屋に入ってくるなよ」

「またお母さんが知らない子?」

京太郎「……年上の社会人」

「へぇ、珍しい。あんたってどっちかって言うと年下に好かれるようなタイプだと思ってたのに」

京太郎「好かれるとかそういう問題じゃないと思うけどな……ところでさ」

「なぁに?」

京太郎「ハロウィンの仮装、なにがいいと思う?」





京太郎「仮面にマントにスーツ……いや、なんか違うな」


久「何悩んでんの?」

京太郎「ああ、ちょっと仮装について」

久「仮装? そういえばもうすぐハロウィンね。なんかやるの?」

京太郎「ハロウィン麻雀大会ってあるだろ。あれに出ることになってさ」

久「また珍しい。優勝賞品はお菓子だし、瑞原プロが来るってわけでもなさそうだし」

京太郎「色々あるんだよ……久ちゃんも出ない?」

久「パス、用事あるし」

京太郎「そっかぁ」

久「まこ誘えば……って修学旅行中か」

京太郎「一年生たちは三人で出かけるんだってよ……仲良いよな」

久「内木くんは?」

京太郎「あいつなんかずっと様子がおかしくてさ、包帯が……とかつぶやいてたけど」

久「病気とか怪我かしら?」

京太郎「まぁ、ある意味年中病気みたいなもんだけど」

久「ならあんただって病気みたいなものでしょ」

京太郎「なんだよ、俺は大きい方が好きだってば。はやりんみたいな」

久「それがそうだって言ってんの!」





京太郎「で、どうしたらいいと思う?」

揺杏『にーさんさぁ、いきなり言われても困るんだけど』

京太郎「そういうのに詳しそうだからさ」

揺杏『ま、否定はしないよ。衣装作るのに色々見てるのもたしかだし』

京太郎「何か意見だけでももらえたらすっごい助かるんだよ」

揺杏『意見ねぇ……それはいいけど、人にお願いするんだったらそれなりの態度ってもんがあるっしょ』

京太郎「まぁ、そうなるよな」

揺杏『やっりぃ。じゃあさ、にーさんの全身写ってる写真、撮って送ってよ』

京太郎「俺の写真を? まさかお前、それで夜な夜な……」

揺杏『うっわセクハラ……マジぱねぇ』

京太郎「冗談冗談」



揺杏『マジレスすると、それ使って衣装とか考えるから』

京太郎「俺のを?」

揺杏『イメージトレーニングみたいなもん。いつもユキのばっか考えてるのもあれだし』

京太郎「なるほどな。送っとくから意見も早めに頼む」

揺杏『それだったら今すぐにでも』

京太郎「是非聞かせてくれ」

揺杏『そうだね……悪魔で執事みたいな?』

京太郎「あくまで執事?」

揺杏『この前こっち来た時、燕尾服着てたっしょ。それでどうかなーって思って』

京太郎「執事か……たしかにそれだったらやりやすいかも」

揺杏『にーさんとは結構キャラ違うけど、格好真似るだけなら十分じゃん?』

京太郎「キャラってコスプレかよ。ちなみにどんなやつなんだ?」

揺杏『まー、一言で言えば完全無欠?』

京太郎「完璧超人か……」



京太郎(それだったらハギヨシさんが最適な気がするけども)


京太郎「ありがとな。お礼に追加でセクシーショットも送っとく」

揺杏『キモイからやめて』

京太郎「ちょっ、そのマジレスは心に刺さるっ」



『揺杏は京太郎の写真(非セクシーショット)を手に入れた!』





京太郎「こんなもんか……どう思う?」

「……ふーん」

京太郎「あのさ……まだ拗ねてんの?」

「拗ねてないですよーだ。お母さんの意見なんてどうでもいいんだもんね」

京太郎「思いっきり拗ねてるじゃん……意見は聞いただろ」

「全っ然反映されてないじゃない!」

京太郎「だってさ、あれを再現とか無理でしょ。なんだよ触手って」

「クリーチャー枠?」

京太郎「せめて人型が良かったよ……」


京太郎「じゃ、そろそろ出るから」

「いってらっしゃい負けて泣いてらっしゃい」プイッ

京太郎「おいアラフォー」

「ぐふっ」

京太郎「行ってくる」

「こうして息子は巣立っていくのね……」ヨヨヨ

京太郎「いや、何の話だよ」





京太郎「さて、ここだよな?」

京太郎「さすがに人が多い……」

京太郎「お菓子目的でこんな人が集まるとは思えないけど……」


「これで優勝してチビ達のおやつゲットだし!」


京太郎「なんだか」


「わはは、ゆみちんの機嫌のためにもここは優勝するしかないなー」


京太郎「知ってるやつが」


「よろしくて? 賞品は二の次、重要なのはいかにして目立つか……この一点ですわ!」


京太郎「いそうな気が……」プルルル



『三尋木咏』


京太郎「もしもし」

咏『約束通り来たみたいだねぃ、感心感心』

京太郎「こういうのは半強制って言うんだよ」

咏『わっかんねー、なんのことだかさっぱりわっかんねー』

京太郎「はぁ……てかよくいるってわかったな」

咏『当然っしょ。後ろにいるし』

京太郎「は?」


咏「ども~、あなたの咏さんだぜっ」



京太郎「ふむ……」サワサワ

咏「いきなり耳触るとか」

京太郎「どうせ偽物だろ、この猫耳」

咏「まぁねぃ、猫又ってやつだ」

京太郎「それで尻尾が二本か」

咏「どう、似合う?」フリフリ

京太郎「とても大人には見えないくらい似合ってる」

咏「なーんか馬鹿にされた気がすんだけど」グリグリ

京太郎「痛いから、それ地味に痛いから」


えり「三尋木プロ、あれだけ勝手に出歩かないようにと……!」



えり「あれ……あなたは」

京太郎「どうも、お久しぶりです」

えり「え、ええ……この前は迷惑をかけてしまってすみません」

京太郎「いやいや、針生さんって親しみやすい人なんだなって思いましたよ」

えり「自分でもなにをしたかとかははっきりとは覚えていないんですけど……」

京太郎「それよりその格好、婦警さんですか?」

えり「こういう企画なのは分かっていましたけど、まさか私まで仮装することになるなんて……」

京太郎「いやぁ、正直に似合ってますって。針生さん真面目な人だから本物に見えるぐらいだし」

えり「ふふ、褒め言葉として受け取っておきますね」

京太郎「受け取っちゃってください」

えり「それじゃあ戻りましょうか」

咏「えー? まだ時間はあるっしょ」

えり「あなたは目を離したらどこ行くかわかりませんからね」

京太郎「まぁ、俺が責任もって戻らせますから」

えり「わかりました、お願いしますね」

咏「あっれー? あたしよりこいつの方が信用されてるっておかしくね?」





京太郎「いやぁ、眼福だった。針生さん綺麗だもんなぁ」

咏「……ていっ」ゲシッ

京太郎「いって! なにすんだよっ」

咏「さぁ、足が滑ったんじゃね? 知らんけど」

京太郎「そこは知っとけっ」


咏「さて、今日ここに呼んだ用件だけど」

京太郎「やっと本題か」

咏「適当にからかって遊ぼうと思ってたけど、やっぱやめた」

京太郎「なんかもうすでに色々と聞き捨てならないんだけど」

咏「まぁまぁ、お兄さんにとっても悪い話じゃないと思うぜぃ?」

京太郎「……内容は?」

咏「あたしが言う条件を達成できたら、あの写真のデータはそっちに渡す」

京太郎「条件?」

咏「ま、大したことはないから安心してもいいんじゃね? 知らんけど」



咏「ズバリ、この大会で優勝すること」


咏「いやぁ、楽勝っしょ」

京太郎「誰基準でもの言ってんだ!?」

咏「ちなみに優勝できなかったら今日はあたしの言いなりってことで」

京太郎「拒否権は?」

咏「さぁて、写真の行方が気にならないんだったらいいんじゃね?」

京太郎「くっそ、優勝すりゃいいんだろっ」

咏「頑張れ頑張れ~」





京太郎「優勝とか……俺の麻雀の勝率見て言ってんだろうな……!」


一「あれ、京太郎くん?」

京太郎「一か。お前も大会に?」

一「ううん、ぼくたちは立ち寄っただけなんだけどね」

京太郎「ぼくたち?」

一「透華がエントリーしに行くって……」

京太郎「なるほどな……どうりで普段着なわけだ」

一「君もある意味普段着だね」

京太郎「これか? 着やすくって助かってるよ」

一「無難なとこに落ち着いたって感じだけどね」

京太郎「そういや仮装はどうすんだ? してないとエントリーできないけど」

一「それならハギヨシさんが」

京太郎「大体わかった」





咏『んじゃ、適当に頑張って優勝しちゃったらいいんじゃね?』

えり『ハロウィン麻雀大会、開催です』


京太郎「始まっちまったか」

一「始まっちゃったね」

京太郎「こうなりゃ腹をくくるしかない……にしても」


「うーたーたーん!!」


京太郎「あそこで叫んでるミイラ男……あの声にあのメガネ」

一「知り合い?」

京太郎「いや、俺の勝手な推測で混乱させたくない」

一「ねぇ、それ余計気になるんだけど」


えり『それでは、割り当てられたアルファベットと同じ卓へ移動してください』


京太郎「俺は……Bの卓か。他の面子は……」



一太「……」

京太郎「……」

一太「な、なんで君がここに……」


一「やっぱり知り合い?」

京太郎「知らない知らない、俺にミイラの知り合いなんていない」


一太「ま、まさか君も優勝して商品を受け取る時、うたたんから手渡しされることを知って……!」

京太郎「ふざけんなぶん殴るぞこの野郎!?」

一「試合始まるよ?」





京太郎「ふぅ、どうにか勝ち残ったぜ……」

一太「ああ、でも次の卓は一人しか勝ち残れない……手加減はしないよ?」

京太郎「それはこっちのセリフだろ」

一太「同じ目標を持つ者同士、正々堂々とやろう」

京太郎「だからちげーっつってるだろうが」



京太郎「つ、ツモ……500・1000」

一太「そんな、まさか……!」

京太郎「ギリギリ俺の一位抜けだ」

一太「くっ……ならせめて、せめて!」


一太「うたたんの写真を撮ってきてくれぇっ」


京太郎「お前さ、なんかだんだんなりふり構わなくなってきてないか?」





京太郎「いよいよ決勝……」

京太郎「どうにかこうにか勝ち上がって来れたけど……正直、運を使い果たしたような気がするな」

京太郎「まぁ、相手がたいしたことなかったってのもあるけど」

京太郎「でも決勝は決勝だ。あと一回勝てば――」


華菜「よーし、サクッと勝ってお菓子をゲットだし!」

智美「わはは、ユミちんに許してもらうためにもうひと頑張りだなー」

透華「この決勝という舞台……目立つのにこの上ない場ですわ!」


京太郎「……」


華菜「なんだ、お前も出てたのかよー」

智美「須賀くんにはお世話になってるけど、今回ばかりは引けないぞー」

透華「あなたと打つのは久しぶりですわね……よろしい、かかってらっしゃいな」


京太郎(アカン、無理ゲーだこれ)





咏「あっはっは、いやぁ、惜しかった惜しかった」

京太郎「うるせぇ、こうなるのわかってたくせによ」

咏「お兄さんが本当になりふり構ってなかったら、なんとかなってたんじゃね? 知らんけど」

京太郎「……」


京太郎「あーもう! 煮るなり焼くなり好きにしろ!」


咏「言われなくってもそうするっての」

京太郎「ウボァー」

咏「いや、さすがに命まではとらないって」

京太郎「じゃあなにすんだよ」

咏「んー、じゃあとりあえず四つん這いになって」

京太郎「四つん這い!? 何させる気だよっ」

咏「写真写真」

京太郎「くっ……これでいいかよ」

咏「よいしょっと……案外座り心地いいんじゃね?」

京太郎「な、なんて屈辱だ……!」



えり「三尋木プロ? この後の予定は――」


咏「あっ」

京太郎「……」

えり「……」

咏「よし、転身して前進」

京太郎「要するに逃げるってことな!」

咏「ほらほら、あさっぷあさっぷ」

京太郎「ちくしょー!」


えり「な、なにか見てはいけないものを見てしまったような……」





京太郎「はぁ、はぁ……」

咏「お疲れさん、中々の乗り心地だったぜぃ」

京太郎「いいご身分だなっ」

咏「よっと……さて、次はなにさせっかねぃ」

京太郎「そうだよな、まだあるんだよな……」

咏「そんな気落ちしなくっても悪いようにはしないっての」

京太郎「いや、もう腹くくった。なんでも言ってくれ」

咏「おっ、いい度胸じゃん。じゃあ次は――」





京太郎「……」トン

咏「はい当たり。ロン、12000」


京太郎「……」トン

咏「通んない通んない。ロン、16000」


京太郎「……」トン

咏「あらま、おっしいねぃ。ロン、24000」



京太郎「なに? 俺の精神を削る算段?」

咏「人がせっかく見てやってんのに、随分な言い草だねぃ」グリグリ

京太郎「あー、ありがたき幸せですー」

咏「棒読み厳禁なー」グリグリ

京太郎「あざっす!」



咏「とは言っても、基本は出来ちゃってる感じなのがつっまんねーの」

京太郎「随分な言い草だなっ」

咏「それでも中々勝てないってなると、最早持って生まれたもんの差だね」

京太郎「それもう自覚してるから……」

咏「それならそれでやりようってのはあるけどさっ」


咏「今からそこらへんレクチャーしてやるかねぃ」


京太郎「本当に指導する気なのか」

咏「自分の能力を使うってんなら話は別だぜぃ?」

京太郎「それは……」

咏「ま、そーゆーこと」

京太郎「わかったよ、よろしくお願いします」

咏「よろしい」





京太郎「」プシュー

咏「さて、こんなとこかね?」

京太郎「し、死ぬかと思った……」

咏「ま、ネト麻なり生打ちなりで復習はしといたほうがいいんじゃね?」

京太郎「今日はもういいや……」

咏「ところが最後にもう一回」

京太郎「まだやるのかよ……」

咏「今日一日の試験としてあたしから直撃取ってみ」

京太郎「……トライできる回数は?」

咏「半荘中に一回でも達成できたら合格。箱割れしても続行。簡単じゃね?」

京太郎「わかった、やってやるよ……!」


唐突にコンマ判定
高ければ高いほどいい感じです


直下

コンマ81以上 まさかの逆転勝利


京太郎「ロン、16000! 逆転だ!」

咏「……まさか」

京太郎「これで半荘終了だよな? 俺の勝ちだよな!?」

咏「……」グリグリ

京太郎「ちょっ、無言でグリグリはやめろって」

咏「じゃあもう一回行っとこうか」

京太郎「はぁ? 最後って言ったろ」

咏「いいから」ビシビシ

京太郎「あーもう、わかったから叩くなっ」





京太郎「」チーン

咏「快勝!」ケラケラ


咏「じゃあ次行こっか」

京太郎「……今度はなんでございましょうかねぇ?」

咏「お兄さんの家」

京太郎「は?」

咏「だから、お兄さんの家だっての」





咏「へー、ここがお兄さんの部屋かい」

京太郎「そんな珍しいものなんてないからな」


京太郎(てか母さんたちが出かけてくれてて助かった……)

京太郎(いたら絶対騒がしくなってたからな)


咏「んーっと」ゴソゴソ

京太郎「ってなに人の部屋漁っちゃってんの!?」

咏「元々探し物しに来たようなもんだしねぃ……あった!」

京太郎「なに探して……ああ、それか」

咏「まったく、人がせっかく送ってやったのに、これ着ないで燕尾服着てくるとか」

京太郎「いや、そんな立派な着物を着る機会がないだろ」

咏「わっかんねー、あたしは普通に着てるしねぃ」

京太郎「あんたと一緒にすんな」

咏「せっかくだから着替えちゃおうぜぃ」

京太郎「俺は着付けなんてわかんないからな」

咏「ま、そこらへんもレクチャーしてやるかね」

京太郎「……ということはまさか」

咏「さ、まずは服を脱いでもらおっかねぃ」

京太郎「……拒否権は?」

咏「あるわけないんじゃね?」





咏「ほーほー、良いんじゃね? これ」

京太郎「この着物送ってきたあんたが言っても自画自賛にしかならないよな」

咏「それは事実だししかたないっしょ」

京太郎「さいですか」


咏「さて、じゃあ最後に一つ」

京太郎「最後?」

咏「もうすぐ火が落ちるしねぃ、帰る時間が近づいてきたってわけ」

京太郎「あ、日帰りか」

咏「ホントは温泉でも入ってゆっくりしたかったんだけどさ」

京太郎「まぁ、しゃあないな。それで、最後にどこ行くんだ?」

咏「写真館」





京太郎(そんなこんなで数日後、俺の家にある写真が届いた)

京太郎(なんの写真かは言わずもがな、そこには高そうな着物を着た男女が写っていた)

京太郎(その一方は俺で、もう一方はあのこどなで)


京太郎「こんな立派な写真、送ってこなくってもいいのにな……ん?」


京太郎(写真と一緒に入っていたメッセージカード)

京太郎(そこに貼り付けられていたSDカードには、例の写真のデータが入っていた)


『ま、楽しませてもらったお礼ってことで』


京太郎(ということらしい)

京太郎(予想外のさらに予想外な贈り物に戸惑いを覚えなかったわけじゃない)

京太郎(それでも――)


京太郎「まぁ、楽しかったのはその通りだよな」


京太郎(写真に写った子供のような大人の笑顔は、悪くないものだと思う)





咏「う~ん」


えり「どうしたんですか?」

咏「ちょっとねぃ」

えり「気になりますね。あなたがそうやって、あからさまに悩んでいるというのも珍しいですし」

咏「人生の重大事というか、そんな感じ」

えり「ただ事ではないみたいですね……私で良ければ相談に乗りますよ?」

咏「じゃあさ――」


咏「婿養子に欲しいやついるんだけど、その気にさせるにはどうしたらいいと思う?」



というわけで終了

安価取りたいけど、人いますかね?

それじゃ、一応何らかの表です
一番上のグループはほぼエンディングが確定
あとは数字が高い順にエンディングに近いです
同じ数字でも上の方がエンディングに近いです


ED確定
大星淡
天江衣


福路美穂子
姉帯豊音
宮永照


ネリー・ヴィルサラーゼ
神代小蒔
真屋由暉子
白水哩
松実玄
竹井久
三尋木咏


宮永咲
桧森誓子
清水谷竜華
原村和
杉乃歩
エイスリン・ウィッシュアート


瑞原はやり


滝見春
園城寺怜
石戸霞
片岡優希
薄墨初美
鶴田姫子
龍門渕透華
小鍛冶健夜
染谷まこ
小走やえ
獅子原爽
妹尾佳織
国広一


本内成香
臼澤塞
上重漫
岩館揺杏
狩宿巴
弘世菫
辻垣内智葉
高鴨穏乃
東横桃子
蒲原智美
雀明華
鷺森灼
新子憧
津山睦月
花田煌
針生えり
部長
内木一太
ハギヨシ
メイド
松実宥
井上純
荒川憩
愛宕絹恵
小瀬川白望
熊倉トシ
佐々野いちご
原村恵
加治木ゆみ
夢乃マホ
南浦聡
久保貴子
郝慧宇
メガン・ダヴァン
野依理沙
赤坂郁乃
福世恒子
アレクサンドラ・ヴィントハイム
戒能良子
高久田誠
鹿倉胡桃


愛宕洋榎
江口セーラ
藤田靖子
池田華菜
末原恭子
沢村智紀
吉留未春
文堂星夏
深堀純代
南浦数絵
二条泉
赤土晴絵
真瀬由子
村吉みさき
渋谷尭深
亦野誠子

それじゃ、お好きなキャラをどうぞ

29分まで

ネリー2
玄2
豊音3
小蒔
はやり

由暉子
桃子
和2
誓子

ちょっと割ってきます

コンマ判定

ネリー:1-13
玄:14-26
豊音:27-45
小蒔:46-52
はやり:53-59
照:60-66
由暉子:67-73
桃子:74-80
和:81-93
誓子:94-00

ゾロ目:?


直下

クロチャーで了解

んじゃ、おやすみなさい

エンディングは何らかの数値をマックスにすれば条件達成です
特殊エンドは今のとこ条件を満たしてるのはありません

あと、久と照は誰エンドでもない時に関わってきます
その時は二人の何らかの数値が展開に関係しています


それはともかくとしてお好きなキャラをどうぞ
以下のキャラは選べません

美穂子・健夜・衣・マホ・久・怜・はやり・宥・白望・姫子

やえ・灼・憧・咲・和・桃子・豊音・ネリー・エイスリン・塞・照・憩


下1~下3でコンマ高いの一人

淡一色とかいう新しい役ができそうな

んじゃ、ちょっと時間もらいます



淡「ふっふーん、バッチリ両思いだもんねっ」

淡「そんなの火を見るより明らかってやつだよねー」

淡「でもキョータローってば奥手だから……絶対その気にさせるけど!」

淡「とりあえず……好き好き好き、だーいすきっ!」

淡「えへへ、一言で言ったらこんな感じ」

淡「一言じゃない? そーゆー細かいことはどーでもいーの!」

というわけで淡でした


引き続きお好きなキャラをどうぞ

美穂子・穏乃・豊音・竜華・佳織・憧・ネリー・霞・玄・一

咏・哩・和・宥・小蒔・理沙・照・淡・由暉子・誓子

はやり・ゆみは不可


下1~下3でコンマが一番高いの一人

ころたんで了解

また時間もらいます



京太郎→衣


京太郎「あいつ、寂しがり屋だよな」

京太郎「そのくせ近づこうとしたらやたらハードなことを要求されるっていう」

京太郎「ってのが出会ったばかりの頃の印象かな」

京太郎「最近はちゃんと他のやつとも仲良く出来てるし、俺としても嬉しい限りだ」

京太郎「きっと俺だけじゃなくて、龍門渕たちや咲もいい影響を与えたんだろうな」

京太郎「……とか、ついつい保護者目線になっちゃうんだよなぁ」

京太郎「それを察知したら微妙に機嫌悪くなるし……」

京太郎「ま、家族って言ったことに関しては間違いはないけどな」

というわけでころたんでした

エンディングに関しては条件を満たさない限りどうあがいても見られないので注意
逆に、条件を満たしたのは極力書く方向です

それじゃ、失礼します
眠気に負けなければ明日更新します

こんばんはー
風呂入ったらやります

んじゃ、そろそろ始めます



・三年、秋、旅館の娘と将来の就職先


京太郎「んー、最近暇だな」

久「それ、部活への顔出しが絶対じゃなくなったからじゃない?」

京太郎「そうだよなぁ……しかし、みんな忙しないよな」

久「だんだん受験シーズンが近づいてるからでしょ」

京太郎「このクラスで暇そうにしてるのなんて、推薦決まってる久ちゃんと一太ぐらいのもんだ」

久「サラッと自分抜かないの、この暇人」

京太郎「でも俺、進学するって決めてるわけじゃないからな」

久「……まだ進路決めてなかったわけ」

京太郎「進学か就職かフリーマンくらいにはしぼってるぞ」

久「それは進路じゃなくて方向って言うの」

京太郎「まったくだ」



久「でもね、受験するにしたって大分スタート出遅れてるわよ?」

京太郎「もう十一月だしなぁ」

久「一応出願はしたんでしょ?」

京太郎「迷ってるならとりあえず出しとけって」

久「それは先生呆れてたでしょうね」

京太郎「めっちゃため息深かったな」

久「わかった、なら私が決める」


久「あんた、とりあえず私と同じとこ受けなさいよ」



京太郎「久ちゃんと同じとこ? 学力的に厳しいような……」

久「だったら勉強して……はい」ドサッ

京太郎「こ、この重量感あふれるブツは……!」

久「問題集。一応買ってみたけど、私は推薦で通っちゃったしね」

京太郎「……俺の成績知ってるよな?」

久「テスト前にちょっと勉強しただけで平均点越すんだから楽勝楽勝」

京太郎「そのテスト前のちょっとは一夜漬けって言うんだけどな……」

久「とにかく、選択肢は多いにこしたことないでしょ?」

京太郎「……正論だな」

久「暇な時は私も教えるから」

京太郎「教えてくれるってか……」


京太郎(みほっちゃんだったら優しく教えてくれそうだな……)


久「……なんだか思いっきり不快なこと考えてない?」

京太郎「滅相もない! それで、この後は?」

久「美穂子と約束があるからまた今度ね。それともあんたも来る?」

京太郎「……いや、とりあえずペラペラめくってる」





京太郎「う~ん……」

和「先輩?」

京太郎「ん、和か」

和「悩み事なら相談に乗りますよ?」

京太郎「いや、こればっかりはなぁ」パサッ

和「問題集……定期テストにはまだ早いと思いますけど」

京太郎「そりゃあ試験勉強じゃないからなぁ。受験勉強ってやつだ」

和「進学してくれるんですか?」

京太郎「まだ決めてないけど、選択肢は多いほうがいいだろ?」

和「それは、たしかに」

京太郎「いざ受験しようって時に学力足りないんじゃ話にならないからな」

和「頑張ってください、将来のためですから」

京太郎「ああ、そうだな」



咲「あ、二人ともいたんだ」


京太郎「悪いな、部室借りてる」

咲「借りてるって……勉強してるの?」

京太郎「こう見えて受験生らしいからな」

咲「……槍でも降るのかな?」

京太郎「どう言う意味だこのっ」グリグリ

咲「いたっ、やめてよもー」


優希「おらー、副部長様の到着だじぇ!」


優希「って、なんか見慣れないものが」

京太郎「お前なら俺の気持ちがわかるはずだ……ほらっ」バッ

優希「ぐあっ、頭が割れそうだじぇっ」

京太郎「そうだろうそうだろう」ウンウン

優希「そんなのポイしてまずはタコス」

京太郎「それは自分で買いにいけ」

優希「そんなっ」



京太郎「あと来てないのはまこっちゃんだけか」

和「竹井先輩は今日は来ないんですか?」

京太郎「みほっちゃんと約束だってさ。まったく、暇そうでいいご身分だよな」

咲「昨日までは京ちゃんもそのいいご身分だったと思うんだけど」

京太郎「悲しいよな、立場が変わると見えるものも変わるってのは」

優希「つまりどういうことなんだじぇ?」

京太郎「正直、勉強したくない」

咲「やっぱり……」


まこ「なんじゃ、もう揃っとったか」


京太郎「おう、お邪魔してる」

まこ「まぁ、別に今更じゃがの……ん?」

京太郎「これか? まぁ、受験勉強ってやつ」

まこ「……どれ」ピトッ

京太郎「なんだ、人のおでこに手を当てて」

まこ「ふむ、熱はないと」

京太郎「軽く失礼だな」





京太郎「……」カリカリ


まこ「さて、今後の予定じゃが」

優希「予定もなにも、いっつも揃った面子で打ってるだけだじぇ」

咲「部活内容のバリエーションが少ないのも、やっぱり人が足りないからかな?」

和「清澄って優勝したんですよね?」

まこ「い、痛いところを……」


京太郎「……」カリカリ


まこ「とにかく、前々から予定しとった合宿じゃ」

優希「おお、奈良で大仏で鹿せんべい!」

咲「そういえばまこ先輩は向こうに行って帰ってきたばっかりなんじゃ……」

まこ「まぁ、奈良には寄っとらんけぇ、ギリセーフじゃな」

和「ありがとうございます、私の案を取り入れてくださって」



京太郎「……」カリカリ


咲「阿知賀の人たちって、みんな和ちゃんのお友達なんだっけ?」

和「みんなというわけではないですよ。でも先輩たちは知り合いだったんですよね?」

まこ「そうじゃな、麻雀したりボウリングしたりの」

優希「ボウリング!」

咲「えぇ、合宿に行ったんじゃ……」

京太郎「そりゃ遊ぶだろ、なぁ?」

優希「最高スコアを叩き出すじぇ!」

まこ「こら、勉強はどうした」

京太郎「休憩」

まこ「早すぎじゃ」

咲「まだ三十分も経ってないよね」

和「お茶、ご用意しましょうか?」

京太郎「ああ、悪いな」

咲「和ちゃん、甘やかしたらダメだよ!」

優希「お茶のついでにタコスもお願いするじぇ」

和「それは自分で用意してください」

まこ「あー、話進めてもええかの?」





まこ「――というわけじゃ。土曜の朝に出発するけぇ、遅れんように」

優希「咲ちゃんは特に」

咲「遅れないよっ」

和「迎えに行きましょうか?」

咲「だから大丈夫だってば!」

京太郎「こいつの寝起きと迷子に関してはなぁ……まぁ、フォローしてやってくれ」

咲「もう、みんなして!」

優希「先輩、もしかしてついてこない気かー?」

京太郎「俺は引退した身だからな、部費でついてくってわけにもいかないだろ」

優希「むむ……タコスのお供が」

京太郎「俺はお供扱いか、このっ」グリグリ

優希「うあー」



咲「そっか、竹井先輩も京ちゃんもいないんだ」

和「少し寂しいですけど、仕方ないですよね」

まこ「もっと部員が増えれば違うとは思うがのぉ……」

咲「というか、このまま増えなかったら来年団体戦に出れなくなるんじゃ……」

優希「来年はきっとムロが来るから人数的には問題ないじぇ」

咲「室橋さんだっけ、高遠原の後輩さんなんだよね?」

優希「そして再来年はマホが来るからあと二年は大丈夫だなー」

京太郎「そりゃまたすごいのが入ってくるな」

優希「ふふふ、来年の今頃は私が部長なんだじぇ」

京太郎「和、咲、よろしく頼む」

和「ゆーきに好き放題させてたら大変ですからね」

咲「部費でタコスを買いそうだよね」

優希「この扱いはあんまりだじぇ!」

まこ「まぁ、残当じゃな」





玄『え、じゃあ京太郎くん来ないの!?』


京太郎「――っ、いきなり大声出すなよ」

玄『ご、ごめん……その、本当なの?』

京太郎「まぁ、引退したし、いつまでも張り付いてるわけにはいかないだろ」

玄『そ、そんなぁ』

京太郎「お前好みの和がそっち行くだろ」

玄『それは楽しみだけど、そうじゃなくて……』

京太郎「わかってるって、おもち談義できなくなるもんな」

玄『そうだけど……あ、そうだっ』



玄『アルバイトさん、募集中なのです!』


玄『最近ちょっと人手足りないから手伝ってくれたらなーって』

京太郎「思いっきり思いつきのように聞こえるんだけど」

玄『そそそっ、そんなことないよ!』

京太郎「ま、いいよ。そういうことなら手伝う」

玄『ふぇ? 来てくれるの?』

京太郎「なんだかんだで良くしてもらってたしな」

玄『うん、ありがとうね』

京太郎「こっちにも目を背けたい現実があるしな……」


京太郎(勉強とか勉強とか勉強とか)


玄『なにかお困りごとかな?』

京太郎「大したことじゃないから気にすんな」

玄『じゃあ楽しみにしてて、いっぱいサービスするから!』

京太郎「こら、アルバイトにサービスしてどうすんだ」





玄「京太郎くん来てくれるって!」


穏乃「へぇ」

憧「ふーん」

灼「そ」

宥「あったかぁい」ホワホワ


玄「みんな反応薄いよっ」

憧「だってあんなにあたふたする姿見てたらねぇ」

灼「逆に落ち着く」

穏乃「ご飯食べたあとだからちょっと眠いかも……」ウトウト

宥「楽しみだねぇ」

玄「うぅ、味方はお姉ちゃんだけだよ……」スリスリ

宥「よしよし」ナデナデ



憧「でも、来てもらうだけでいいわけ?」

玄「えっと、とりあえず一緒に居られたらなーって」

憧「それで、今までなにか進展は?」

玄「……あんまり」ショボン

憧「やっぱり……」ハァ


憧「じゃ、作戦練りますか」


玄「さ、作戦?」

憧「そ、私たちでサポートしてあげるわよ」

宥「うん、クロちゃんのためだもんね」

灼「いい加減、あたふたされるのもうっとおしいし」

穏乃「……zzz」スピー

玄「み、みんな……」



憧「アルバイトとして来るんだっけ?」

玄「うん、とっさの思いつきだったけど、お父さんも許してくれたし」

灼「玄にしては機転利いてる」

憧「じゃあ、仕事教えるって名目で一緒にいられるってことね?」

玄「なるほど、その手が……!」

憧「いやいや、このくらい思いついてよ……」

宥「事務仕事だったら私も手伝えるんだけど……」

憧「さすがにアルバイトにはやらせないと思う」

灼「そもそもの話だけど」

玄「なに?」


灼「玄、あの人とどこまで行きたいの?」



灼「手をつなぎたいとか、キスしたいとか」

憧「たしかにそれは重要かも」

玄「それは……い、いけるとこまで?」

憧「つまり……え、えっちするまでってこと?」

玄「ふぇっ!?」ボンッ

憧「だ、だって、いけるとこまでってそういうことじゃん」

宥「わぁ、いいなぁ」

玄「ちょ、ちょっと待ってよ! それはさすがに急ぎすぎというか……」

灼「でも、しょっちゅう会えるってわけじゃない」

憧「だから行けるとこまでっていうのは間違いじゃないと思うけど」

玄「それは、そうだけど……」

宥「クロちゃん、大事なことだし、ちゃんと決めといた方がいいと思う」

玄「私は……おもちって言ってもらえたけど、自分ではそうは思えないから……」

宥「つまり?」



玄「京太郎くんに胸を揉んでもらいたいのですっ」


憧「……」

宥「ふふっ」

灼「……淫乱」

玄「ち、違うよぉ! えと、これはえっちな意味じゃなくて――」

憧「あー、はいはい。要するに行けるとこまでってことね」

灼「じゃ、そういう方向で」

憧「灼さん乗り気?」

灼「さっさと終わらせたいだけ」

宥「頑張ろうね、クロちゃん!」

玄「だから違うんだってばぁ……」


穏乃「うゅ……うるさーい」





優希「到着!」

和「なんとかたどり着けましたね……」

咲「ご、ごめん」

優希「集合時間には間に合ったのに、こっちではぐれるとは何事だじぇ」

咲「だからごめんってばぁ!」

まこ「こがぁなとこで先輩不在の重みを感じるとは……」


憧「あ、いたいた」


和「憧、久しぶりですね」

憧「和もね」

穏乃「のーどーかっ」ヒシッ

和「きゃっ」

優希「いきなりのどっぱいに突撃とは失礼な!」



灼「さわがし……」

まこ「すまんのぉ、うちの副部長が」

灼「それはお互い様だから」

宥「今日はよろしくお願いします」ペコッ

まこ「……相変わらずの厚着」

宥「はい?」

まこ「こちらこそよろしく」


咲「温泉……ちょっと入りたいかも」

憧「それ賛成。最近寒いしねー」

宥「本当にね……」ブルブル


咲(この人、すごい着膨れしてる……)



まこ「さ、なら風呂に入りがてら交流といくかの」

和「そういえば、玄さんはいないんですか?」

憧「あー、玄はちょっと手が離せなくて」

穏乃「そうなの?」

憧「そうなの。手が空いたらこっちに来るから」

和「わかりました……なんだかいつもより人数が少なくて」

穏乃「そういえばそうだね。京太郎もいないみたいだし」

和「先輩は……今頃頑張ってるはずですから」ポッ

憧「……まさか」

和「はい?」

憧「えっと、ちょっと電話かけてくるね」





京太郎「さて、もう何度目だかな……松実の旅館」

京太郎「思えば一人で来るのは初めてだけど」

京太郎「とりあえずは……どこいきゃいいんだ?」


玄「あ、もう着いてたんだ」


玄「久しぶりだね」

京太郎「ああ、この土日の間だけお世話になる」

玄「こちらこそ、よろしくお願いします」

京太郎「うちの連中は? 俺も行くって言ってなかったし、顔見ておきたいんだけど」

玄「えーっと……」


憧『玄、清澄の人達とあの人、会わせないほうがいいかも。特に和とは』

玄『なんで?』

憧『なんというか、嫌な予感がする』

玄『うーん、憧ちゃんがそう言うなら』




京太郎「さて、もう何度目だかな……松実の旅館」

京太郎「思えば一人で来るのは初めてだけど」

京太郎「とりあえずは……どこいきゃいいんだ?」


玄「あ、もう着いてたんだ」


玄「久しぶりだね」

京太郎「ああ、この土日の間だけお世話になる」

玄「こちらこそ、よろしくお願いします」

京太郎「うちの連中は? 俺も行くって言ってなかったし、顔見ておきたいんだけど」

玄「えーっと……」


憧『玄、清澄の人達とあの人、会わせないほうがいいかも。特に和とは』

玄『なんで?』

憧『なんというか、嫌な予感がする』

玄『うーん、憧ちゃんがそう言うなら』


玄「ちょっと、今練習してるから邪魔しない方がいいんじゃないかな?」

京太郎「そうか、ならそれは後回しだな」

玄「う、うん……じゃあ、案内するね」





京太郎「……こんなもんか?」

京太郎「燕尾服じゃないとやっぱり違和感あんなぁ」


玄『着替え終わったー?』


京太郎「おう、一応変なとこないか確認してくれ」


玄「了解なのです」ガラッ


京太郎「どうよ?」

玄「うーん……」


灼『とりあえず胸押し付けとけばその気になると思……』

憧『単純だけど効果的じゃない?』

宥『おしくらまんじゅうあったかーい』

玄『でも、それだとどうしても不自然になるんじゃ……』

憧『それなら――』



玄「ちょっと直してもいい?」

京太郎「マジか、じゃあ頼む」

玄「そ、それじゃあ……」ムニュッ

京太郎「……」


京太郎(思いっきり当たってんですけど……)

京太郎(またいつもの天然なのか?)


玄「んしょ、ここをこうして……」ムニュムニュ

京太郎「……」

玄「で、できあがり!」

京太郎「あ、ああ……悪いな」

玄「じゃ、行こ?」ギュッ



憧『手を握るなんてのは?』

灼『いくらなんでも子供っぽい』

宥『あったかそうでいいかもぉ』

憧『だ、男子の手を握るとかすっごくハードル高いんだから効果的に決まってるわよ!』


玄(京太郎くんの手、なんかお父さんみたい)


京太郎「行かないのか?」

玄「え、あ……う、うん、そうだね」


玄(せっかくみんなが協力してくれてるんだもん)

玄(よぉし、頑張っちゃうよ!)





京太郎「よいしょっと……ここはこれでいいのか?」ドサッ

玄「うん。京太郎くん、すごいね」

京太郎「まぁ、力仕事は男の方が有利だしな」

玄「それだけじゃなくて、他のことも教えたらすぐできるようになっちゃったし」

京太郎「なんだかんだで下地はあるからな」

玄「下地?」

京太郎「龍門渕ってとこでバイトしてるんだ」

玄「え、龍門渕さんのところで?」

京太郎「知ってるのか……って、練習試合してたんだっけ」

玄「うん。ね、どんなことしてたの?」

京太郎「掃除とか洗濯とか、お茶淹れたりとか……たまに料理?」

玄「家政婦さん?」

京太郎「執事」

玄「たしかにいたね、執事さん。萩原さんだったかなぁ?」

京太郎「その人、俺の師匠なんだよ」

玄「なんだかすごい人だったよ」

京太郎「そう、あの人マジすごいんだよ」グゥ



玄「あ、お腹減っちゃった?」

京太郎「まぁ、もういい時間じゃないか?」

玄「だね。お夕飯、持ってくるからちょっと待っててね」タタタ


京太郎(……なんだろうな、普通に会話してるだけなんだけど)

京太郎(なんか、すごくかわいく見えてきた)

京太郎(そもそも見た目とかは好みなんだよなぁ。言動がちょっとあれなだけで)


玄「お待たせっ」

京太郎「お、来た来た」

玄「うちの板前さんの自信作なのです!」

京太郎「じゃあ早速……ん?」


京太郎「俺の箸、ないんだけど」



玄「ほ、本当?」

京太郎「ああ、持ってき忘れたのか?」

玄「そうみたい……ごめんね」

京太郎「そんな謝るほどのことじゃないだろ」

玄「うん……じゃあ」

京太郎「箸をもう一膳持って――」


玄「わ、私が食べさせてあげるね」


宥『あーんってするの、とってもあったかそう』

灼『それこそハードル高いと思……』

憧『ベタだけどいいんじゃない?』

灼『さっきは手をつなぐ程度で動揺してなかった?』

憧『わ、私がやるわけじゃないし』



玄「はい、あーん」

京太郎「ってちょっと待て!」

玄「な、なに?」

京太郎「あのな? 俺は普通に箸を持ってこればいいと思うんだよ」

玄「えっと、その……そう、これはお詫びだよ!」

京太郎「お詫び?」

玄「お箸忘れてきちゃったから、そのお詫び」

京太郎「いや、それならもっと別のことで……」

玄「うぅ……」ジワッ


京太郎(おいおい、それは反則だろ……)


京太郎「……わかったよ、食べさせてくれ」

玄「え……いいの?」

京太郎「早くしろって。腹減って死にそうだ」

玄「うん……おまかせあれ!」


京太郎(不安だ……)





京太郎「……ごちそうさまでした」

玄「お粗末さまでした♪」

京太郎「思いのほかなんもなかったな」

玄「?」

京太郎「いや、もしかしたら味噌汁ぶっかけられるんじゃないかと警戒してたんだ」

玄「そ、そんなことしないよぉ!」

京太郎「まぁ、わざとはしないだろうな」


京太郎「この後は?」

玄「片付けとか手伝ってもらおうかな」

京太郎「よしきた」

玄「終わったらお風呂でお背中流しちゃうよ」

京太郎「いや待て」

玄「?」

京太郎「そこで不思議そうな顔すんな!」





京太郎「ふぅ……それなりに汗かいたな」

京太郎「もうすぐ終わりっぽいし、気持ちよく風呂に入れそうだ」

京太郎「寝る前にまこっちゃんたちのとこに顔出そうかな」


「おや、君は……」


京太郎「どうも、お疲れ様です」

「ご苦労様、須賀京太郎くんだったか」

京太郎「あれ、どうして……」

「娘達が世話になっているね」


京太郎(この人があの二人の父親……)



「実は前々から君のことは聞かされていてね、私も気になっていたんだよ」

京太郎「えっと、どんなこと言ってました?」

「それを言ったら玄に怒られてしまうよ。悪いことではなかったとだけ言っておこうかな」

京太郎「そうですか……」


京太郎(色々親には言えないようなこともやらかしてるからなぁ)

京太郎(まぁ、でもこのぶんだったら――)


「ところで、背中を流してもらったんだって?」

京太郎「――っ、な、なんの話ですかね?」

「妻に先立たれて以来、あの二人を私なりに愛情込めて育ててきたつもりだ」

京太郎「た、大変立派なことだと思いますっ」

「その娘たちに悪い虫がついた……となったら?」

京太郎「それは……」ダラダラ



「と、考えていたんだがね」


「どうやらその心配はなさそうだ」

京太郎「え?」

「今日一日、君の働きをそれとなく見させてもらったよ」

京太郎「は、はぁ」

「今は高校三年生だったね……どこか大学に?」

京太郎「それは……今更ながら未定です」

「そうか……なら、君さえよければここで働いてくれても構わないよ」

京太郎「え……え?」

「娘二人はここを継いでくれると言ってくれているがね、やっぱり傍で支えてくれる男手もあった方がいいと思うんだよ」

京太郎「それを俺にってことですか?」

「もちろん強要しているわけじゃないよ。あの子達なら二人だけでもやっていけると思うしね」

京太郎「……」

「ただの父親の戯言と聞き流してもらっても構わない。でも、少しでも気になるのなら考えてみてくれないか?」

京太郎「俺は……」

「いや、悩ませてしまってすまんね。数ある道の一つとだけ思っていてくれたらいいよ」

京太郎「そう、ですね。高校を出るまで考えてみようと思います」

「ありがとう」



玄「京太郎くーん、ちょっとこっち手伝って……お父さん?」


「玄か、京太郎くんと仲良くな」

玄「えと……う、うん」

「それじゃあ、私は失礼しよう」


玄「……何か話してたの?」

京太郎「なんだろうな……進路相談とか?」





京太郎「それじゃあ、この部屋の風呂借りるな」

玄「本当にお背中流さなくていいの?」

京太郎「お前、それで何回恥ずかしい思いしたか忘れたのか?」

玄「そ、それは……でも、今日は頑張ってくれたから」

京太郎「そういうことなら気にすんな、バイト代もらうんだし」

玄「そうじゃなくて、私がなにかしてあげたいのに……」シュン

京太郎「……わかった。なら、今着てるの洗濯しといてくれ。明日も使うんだろ?」

玄「……そんなことでいいの?」

京太郎「なにかしたいって言ったのはお前だろ。じゃ、籠の中に入れとくから頼むな」

玄「うん」





玄「――なんて引き受けちゃったけど……」


憧『これで最後になるけど……決着は土曜の夜よ』

憧『もうそこで……き、既成事実でもなんでも作っちゃえばいいんじゃない?』

憧『多分、そこ逃したらしばらく機会ないと思うし』


玄「って言われてたのになぁ……」

玄「既成事実……お風呂がダメならもう夜這い……」

玄「~~っ」カァァ

玄「む、無理だよぉ……」

玄「はぁ……洗濯してこよ」

玄「これ、京太郎くんが着てたんだよね……」

玄「なんだろう……この匂い」クンクン

玄「なんか、やめられないよぉ……んんっ」ピクン



玄(胸の先が、擦れて……)

玄(私、やっぱりえっちな子なのかなぁ?)


玄「ん……京太郎くん」モミモミ

玄「京太郎くん、京太郎くん……!」モミモミ


京太郎「危ない危ない、俺としたことが忘れ物を――」


玄「……」

京太郎「……」

唐突にコンマ判定

高ければ高いほどいい感じです


直下

コンマ20以上 クロチャー、Mの目覚め


玄「――○△□×っ!!」

京太郎「叫びたいのはこっちだよ!」

玄「これはそのあの……む、胸を揉んだら大きくなるって聞いて!」

京太郎「痴女かお前はっ!!」


京太郎「あーもう……ちょっと待ってろ。すぐ出るから」

玄「う、うん……」

京太郎「ちなみに説教だからな」

玄「え……」

京太郎「……なんでちょっと嬉しそうな顔してんだよ」





和「先輩、どうしてここに……」

京太郎「人手が足りないから手伝ってくれって頼まれてな」

優希「来てるんなら連絡ぐらいほしかったじぇ」

咲「うん、今回は優希ちゃんに賛成」

まこ「たまにはまともなことを言うのぅ」

優希「この扱いの悪さはいかがなものか」

京太郎「悪いな、なんだかんだで忙しくてさ」

咲「そういえばすごいクマ……」

まこ「よっぽどハードだったんかい」

京太郎「ま、まあな……」


京太郎(まさかずっと説教してたからだとは言えないな……)





憧「玄ー、どうだった?」

玄「それは……ふわぁ」

憧「寝不足……これはもしかするともしかしちゃった?」

玄「ううん、ダメだったのです……」

憧「あちゃー……ま、結構強引な手だったしね」

玄「でも……」


玄「叱られるのって、いいかも……」ポッ


憧「え……」

玄「和ちゃんたちのところに行ってくるね」

憧「う、うん……私も後で行く」

玄「じゃあ、お先」


憧「……一体なにがあったのよ」



というわけで終了
コンマがクロチャーをMにした……

松実妹はもう一回選ばれたらエンディング確定です


さて、安価取りたいんですけど、人いますかね?

それじゃ、一応何らかの表です
一番上のグループはほぼエンディングが確定
あとは数字が高い順にエンディングに近いです
同じ数字でも上の方がエンディングに近いです


ED確定
大星淡
天江衣


福路美穂子
姉帯豊音
宮永照


松実玄
ネリー・ヴィルサラーゼ
神代小蒔
真屋由暉子
白水哩
竹井久
三尋木咏


宮永咲
桧森誓子
清水谷竜華
原村和
杉乃歩
エイスリン・ウィッシュアート


瑞原はやり


滝見春
園城寺怜
石戸霞
片岡優希
薄墨初美
鶴田姫子
龍門渕透華
小鍛冶健夜
染谷まこ
小走やえ
獅子原爽
妹尾佳織
国広一


本内成香
臼澤塞
上重漫
岩館揺杏
狩宿巴
弘世菫
辻垣内智葉
高鴨穏乃
東横桃子
蒲原智美
雀明華
鷺森灼
新子憧
津山睦月
花田煌
針生えり
部長
内木一太
ハギヨシ
メイド
松実宥
井上純
荒川憩
愛宕絹恵
小瀬川白望
熊倉トシ
佐々野いちご
原村恵
加治木ゆみ
夢乃マホ
南浦聡
久保貴子
郝慧宇
メガン・ダヴァン
野依理沙
赤坂郁乃
福世恒子
アレクサンドラ・ヴィントハイム
戒能良子
高久田誠
鹿倉胡桃


愛宕洋榎
江口セーラ
藤田靖子
池田華菜
末原恭子
沢村智紀
吉留未春
文堂星夏
深堀純代
南浦数絵
二条泉
赤土晴絵
真瀬由子
村吉みさき
渋谷尭深
亦野誠子

それじゃ、お好きなキャラをどうぞ
43分まで

締切

ちょっと割ってきます

コンマ

照:1-7
小蒔:8-14
はやり:15-27
桃子:28-34
豊音:35-52
ネリー:53-65
咏:66-72
春:73-79
久:80-86
和:87-93
美穂子:94-00

ゾロ目:?


直下

あと一回でエンディング確定なのにクロチャーは8じゃなくて7なのか

春で了解

>>914
キャラによっては上昇に補正がかかってるからその関係ですね
ちなみに8の人たちは選ばれればエンディング確定です

それじゃ、今更ながら寝ます



・三年、七月十六日、男にとっては天獄でも女にとっては地獄


霞「インターハイまで半月……頑張らなきゃね」

霞「今年は小蒔ちゃんだけに負担がかからないようにしないと」

霞「間違っても去年のようなことには……」


初美「なに難しい顔してるですか」


初美「みんな待ってるのですよ」

霞「あれ、今日ってなにかあったかしら?」

初美「もしかして忘れてるですか? ダメダメですねー」

霞「えっと……本当に思い出せないわ」

初美「認知症ですか? 早すぎるのですよ」

霞「この前つまみ食いしたことはちゃんと覚えてるのよ?」ニコッ

初美「ひっ……そ、それはともかくですね!」

霞「この際だからきっちりお話ししましょうか」ガシッ

初美「ちょっ、まっ――」





初美「た、ただいま戻ったのですよ……ううっ」グスッ


小蒔「あれ、初美ちゃん大丈夫ですか?」

巴「な、なにがあったかは大体目に見えるけど」

春「どうせ自業自得」

初美「次は覚えてろなのですよ!」


霞「覚えてろって、なんのことかしら?」


初美「ひっ、霞ちゃん……」ブルブル

小蒔「やっと来ました」

霞「ごめんなさいね、待たせてしまって」

巴「いいんですよ、今日の主役は霞さんだし」

霞「私が?」

春「ケーキも用意した。黒糖がアクセント」

霞「ケーキ……そうだったわ、自分の誕生日を忘れるなんて」

初美「今年で28ですかね?」ボソッ

霞「もうワンラウンドいっとく?」

初美「な、なにも言ってないのですよ!」



小蒔「ともかく、お誕生日おめでとうございます、霞ちゃん!」

巴「おめでとうございます」

春「おめでとう」

初美「うう……おめでとうなのですよ」

霞「ありがとう、みんな」

小蒔「プレゼントはこっちですよ」ガラッ

霞「……ま、マッサージチェア?」

小蒔「はい、みんなで一緒に買いました!」

巴「霞さんは肩が凝るだろうってはっちゃんが」

春「胸が無駄に大きいってはっちゃんが」

初美「全部私の仕業みたいな言い方はやめるのですよっ」

霞「……」

初美「か、霞ちゃん、ここは落ちついて――」



霞「ありがとうね」ムギュッ


霞「本当に嬉しいわ、初美ちゃん」

初美「むぐぐっ(これはなんの当てつけですかっ)」


小蒔「さ、食べましょうか。お腹ペコペコです」

春「ケーキが楽しみ」ワクワク

巴「その前にはっちゃん助けないと……あのままにしといたら窒息しそうだし」


初美「」クタッ

霞「あら?」


巴「時すでに遅し……」



というわけで誕生日おめでとう

明日はやります、多分、きっと眠気に負けなければ……!

それじゃ、失礼します

昨日眠気に勝てなかったので、今日やります

じゃ、もうちょっとしたら

そんじゃ、始めます



・三年、秋、欲張り娘にご褒美を


初美「秋ですねー」

巴「もうすぐ冬だけどね」

初美「冬とは言っても、ここらはあんまり雪が降らないのですよ」

巴「そのかわり、降ったら大変なんだけどね……」

初美「この前はまさかの大雪でしたねー」


霞「あら、二人ともこんなところにいたのね」


初美「おやつですかー?」

霞「残念、はずれね」

初美「ちぇっ、おっぱいおばけはけちくさいのですよ」ボソッ

霞「……初美ちゃん?」ピキッ

初美「な、なにも言ってないのですよー」

巴「と、ところでなにかあったんですか?」

霞「そろそろコタツを出そうと思って。二人も手伝ってくれるかしら?」

初美「おコタ!」

巴「もうずいぶん寒くなってきましたからね」

霞「小蒔ちゃんも寒そうにしてるし、そろそろ出してもいい時期だと思ってね」

初美「ちゃっちゃと用意して丸くなるのですよ!」

霞「丸くなる前にお話、いいかしら?」

初美「あうっ」





巴「ふぅ、設置完了だね」

初美「ひ、酷い目にあったのですよ……」

巴「あはは……」

初美「もうコタツで丸くなって忘れるのですよ」

巴「風邪はひかないようにね?」

初美「そのぐらい平気平気」

巴「とは言っても、はっちゃんとはるるはコタツから動かないからなぁ」

初美「そういえば!」

巴「え、どうかした?」

初美「今日ははるるの姿が見えないなーって」

巴「それなら戒能さんのところに遊びに行くって」

初美「なるほどなるほど、最近暇ですからねー」

巴「フットワーク軽いよね」

初美「むしろ私たちは腰が重たすぎだと思うのですよ。だから出会いもないし」

巴「そ、それは……ね?」

初美「考えない方向で」



霞「二人とも、お疲れ様」


初美「も、もうお説教はこりごりなのですよ……!」

霞「人聞き悪いわね……せっかくおやつ持ってきたのに」

初美「霞ちゃん大好きですっ」

巴「はっちゃん……」


小蒔「あ、コタツです!」


小蒔「緊急避難ですっ」ササッ

初美「あ、まだスイッチは入れてないのですよ」

小蒔「あ、あたたかくないですっ!」

巴「ふふ、じゃあお茶淹れてきますね」





春「今日も黒糖がおいしい」ポリポリ

良子「あなたは外に出てもそれですか……」

春「?」

良子「まぁ、食べる場所によっていきなり味が変わるのもおかしな話ですが」

春「実はそうでもなかったり」

良子「そうなのですか?」

春「前にサウナで食べてたら見事に溶けた」

良子「それは味以前の問題では?」


春「姉さん、明日は?」

良子「朝にあなたを送り届けた後、仕事に向かいますが」

春「忙しいね」

良子「昼過ぎに長野で撮影がありますから……せっかくのサンデイなのに」

春「ふーん、長野……」

良子「二か月ぶりですか、長野は」

春「その時も仕事で?」

良子「あなたの代わりに姫様について行った時ですよ」

春「あ、そうだった」



春(外せない用事のおかげで……)

春(しょうがないけど、ちょっと残念だった)

春(あの人にも会えなかったし)


良子「ふむ、黒糖はボッシュートしましょうか」

春「姉さんの人でなし!」

良子「ジョークですよ、三分の二くらい」

春「三分の一は本気ってこと?」

良子「ええまあ、少しムカッと来たので」

春「やっぱり人でなし!」

良子「黙りなさい、この黒糖ジャンキーが」





春「決めた、長野についてく」

良子「ホワイ? 話が飛んでいませんか?」

春「飛んでない。私の中では地続き」

良子「やれやれ……まあ、邪魔をしないのならオーケイです」

春「さすが、話が分かる」

良子「そのかわり、少し黒糖にリミットをかけましょう」

春「!!??」

良子「食べすぎですね、少し体形が変わったのでは?」プニッ

春「うっ……食欲の秋ともいうし」

良子「そしてスポーツの秋……簡単な運動でもいいから少しは動くこと、オーケイ?」

春「くっ……お、おーけー」ギリギリ

良子「グッドです」





小蒔「はふぅ……もう抜けられません」

初美「右……じゃなくて正面に同じくー」

霞「二人とも、すっかりコタツの虜になっちゃって」

巴「気持ちはわかりますけどね」

小蒔「まだ冬になってないのに……先が思いやられます」

霞「そういうことはコタツから出てから言わないとね」

小蒔「えへへ……」

初美「じゃあこの場にいる全員資格なしなのですよ」

巴「うっ、言い返せない……」

霞「そうね……」

小蒔「ん~……あっ、大変です!」



小蒔「みかんが……みかんがありません!」


巴「みかんが……」

初美「そんなバカな……」

霞「これは……誰かが取ってくるしか」

小蒔「寒いので出たくないです……」

初美「正面に同じく」

巴「私はさっきお菓子の補充したし……」

霞「お茶のおかわり用意したのは私ね」

初美「むむっ、よく見ると霞ちゃん、一番みかんの皮が多いような」

霞「……そうかしら?」

小蒔「巴ちゃんもお菓子の袋が多いような……」

巴「ごめんなさい、ちょっと食べすぎちゃったかも」



初美「こうなったらもう、勝負して決めるしかないのですよ!」


巴「勝負? じゃんけんとか?」

初美「私たちは一応麻雀部なのですよ?」

霞「ふんふむ……おもしろそうね」

小蒔「つまり、ラス引いた人がみかんを?」

初美「それにお菓子とお茶の用意も加えちゃいましょう」

巴「三つもやるとなれば、それなりの時間コタツから離れなきゃいけませんね」

霞「負けられないわ……」

小蒔「頑張ります!」


霞「じゃあ、私は自動卓から麻雀牌を」スクッ

初美「なら私はマットを持ってくるのですよ」スクッ

巴「私は……コタツの上を片付けますね」スクッ



霞「……」

初美「……」

巴「……」


「「「寒いっ!」」」


霞「そ、想像以上だわ……」ゴソゴソ

初美「かくも現実は厳しいのですよー」ゴソゴソ

巴「お、温度差で……」ゴソゴソ


小蒔「もうじゃんけんで決めちゃいましょうか」





小蒔「はふぅ……もう抜けられません」

初美「さっき同じことを聞いた気がしますねー」

小蒔「今度は眠くなってきました……」ウトウト

巴「そういえばはるる、明日帰り遅くなるって言ってたね」

霞「よっぽど戒能さんと会えて嬉しかったのかしら?」

巴「それについてなんですけど……」

霞「なに?」

初美「問題ありですか?」

巴「ちょっと二人とも、耳貸してもらってもいいですか?」



初美(で、なんなのですか?)

巴(戒能さんの仕事先について行ったみたいで)

霞(迷惑かけてなければいいけれど……)

巴(問題はそれだけじゃなくて)

初美(というかそれだけだったらたいした問題じゃないのですよ)

巴(行き先が……その、長野みたいで)

霞(長野? ……まさか)

巴(そのまさかだと思うんです)

初美(ふむふむ……つまり抜け駆けですねー)

巴(これ、姫様には言わない方がいいですよね?)

霞(そうね……記憶が戻ったとはいえ、不必要に揺さぶるのはどうかと思うし)

初美(了解なのですよ)

霞(あと、春ちゃんにはちょっとお話を聞かないとね)

初美(こわっ)


小蒔「zzz……京太郎さまぁ」





京太郎「ふわぁ……」

京太郎「朝……というより昼か」

京太郎「寝すぎたかな……でも、久しぶりにゆっくり寝た気がするな」

京太郎「最近はなぜか土日が忙しいからなぁ」

京太郎「ま、今日は何もないしのんびり――」


春「おはよう」ガチャッ


京太郎「……」

春「どうしたの?」

京太郎「……」

春「私に会えて嬉しいとか?」

京太郎「……いや、思いっきり自分でフラグ立ててたことに今更ながら気づいた」

春「?」

京太郎「とりあえず着替えるから出てってくれ」

春「見学希望」

京太郎「見学希望ってな……まぁ、減るもんじゃないしいいけど」





良子「グッモーニン、には少し遅すぎますね」

京太郎「戒能さん? どうしてまた」

良子「セルフィッシュな従姉妹の付き合いですよ」

京太郎「従姉妹……もしかしてこいつの?」

良子「イグザクトリィ」


春「……すごかった」カァァ


良子「ところで、春になにかしましたか?」

京太郎「のーうぇい、むしろされました」

良子「ふむ……まあ、それは置いときましょう」

京太郎「うちの親、どこいったか知りません?」

良子「出かけましたよ」

京太郎「……そうだった、そういえばそんなこと言ってたな」



京太郎(というか一声かけてってくれればいいのに)

京太郎(……腹減った)グゥ


春「お腹すいたの?」

京太郎「ご飯とか残ってないかな……」ガチャッ


『女の子の手料理って最高じゃない? きゃっ♪』


京太郎「……」グシャッ

春「炊飯器に何かあった?」

京太郎「いや、なにもなかった……なにも」


京太郎(きゃっ、じゃねーよ。あのアラフォーめ)


春「……」

京太郎「そういやお前、今日はあれ食べてないな」

春「こ、黒糖は……」プルプル

京太郎「え、なんかあったのかよ」

春「黒糖は、あの悪魔に……!」グスッ

良子「だれがデビルですか」





京太郎「まあ。動かずに食べてりゃそうなるよな」

春「言わないでって言ったのに……」ムスッ

良子「人をデビル呼ばわりしておいて何を言いますか」


京太郎(照ちゃんにもお菓子をひかえさせようとしたことがあったっけ)

京太郎(……ものすごい徒労だったけど)


京太郎「でもまぁ、お前が黒糖食ってる姿が見られないのも寂しいしな」

春「……ぁう、不意打ち」

良子「……ふむ」

京太郎「そういうことなら俺も協力しよう」

春「一緒に黒糖を取り返して――」


京太郎「とりあえずちょっと走ってみるか?」


春「……」

良子「ナイスアイディアです」

京太郎「なんにしてもまずは飯だな。俺が動けない」

春「……もうどうにでもなーれ」





京太郎「さて、なに作ろうかな」

良子「作る? 買ってくるのではないのですか?」

京太郎「材料あるし、わざわざ買いに行くのも面倒ですし」

良子「なるほど……ハイスクールボーイに対して少々偏見があったようです」

京太郎「戒能さんはなんでもできそうですよね。まぁ、勝手なイメージなんですけど」

良子「それは……」


春「姉さんは料理ができない」


良子「春?」

春「これは事実。黒糖の恨みなんてこもってない」プイッ

良子「……たしかにあまりクッキングはしませんが、それは忙しいだけでできないというわけでは……」

春「口では何とでも言えるよね」

良子「……」ピキッ



京太郎(なんか妙な流れになってきた……)

京太郎(でもこういうとこで口出すと、確実に飛び火するんだよなぁ)


良子「いいでしょう、私のスキルを見せてあげましょう……!」

春「できるの?」

良子「ちょうどいいタイミングです。クッキングバトルといきましょうか」

春「わかった。なら審査員は私が」

京太郎「えっ、俺も作る側なのかよ。おかしくない?」

良子「決まりですね……負けませんよ?」


京太郎(口出さなくても飛び火した……!)


コンマ判定 料理勝負の結果


1-25 戒能プロ、惨敗
26-50 戒能プロ、敗北
51-75 戒能プロ、惜敗
76-00 戒能プロ、引き分け

ゾロ目 戒能プロ、勝利


直下

コンマ61 戒能プロ、惜敗



京太郎「おし、できた」

良子「フィニッシュ、出来上がりです」


春「うん、どっちも見た目と匂いは合格」

京太郎「お前の上から目線は気になるけど、早く食ったらどうだ? ってか俺が食いたいわ」

良子「春、まずは私のディッシュから」

春「いただきます」パクッ


春(……思った以上に美味しい)

春(悔しいけど、このパスタに限っては多分私と同じくらい)

春(姉さんめ、いつの間にこんなに腕を……)


良子(今日のパスタは……まさにミラクルと言ってもいい)

良子(一年に……いえ、数年に一度の出来。それが負けるはずありませんね)フフン



春「じゃあ、今度はこっちを……」パクッ

春「……」モグモグ


春(この出来は姉さんのパスタと同じくらい……でも)

春(なんだか、気になる味が……)


春「……もしかして黒糖?」

京太郎「当たり、肉のタレに使ってみた」

春「こっちの勝ち」

良子「なっ、まさか好物で攻めてくるなんて……!」

京太郎「まあ、料理に使う分なら大丈夫ですよね?」

良子「くっ、私は思いつきもしなかったというのに……」


良子「……いいでしょう、負けを認めます」





良子「では、夕方に迎えに来るのでそれまで春をおねがいします……」


京太郎「……なんか目に見えて落ち込んでたな」

春「意地はるから」

京太郎「お前が挑発したせいだろ」コツン

春「黒糖の恨みは深い」

京太郎「やっぱりそれじゃねえか」

春「でも、邪魔者はいなくなったから――」


京太郎「よし、走りに行くか」


春「……」

京太郎「そんな顔すんな。俺がばっちり付き合ってやるから」

春「……あとでご褒美くれるなら」





春「このジャージ……」

京太郎「シューズも母さんのだけど、きついか?」

春「ううん……あ、胸はちょっときついかも」

京太郎「そ、そうか……」

春「たしかめてみる?」

京太郎「たしかめねーよ」

春「残念」

京太郎「てか年上をからかおうとするんじゃない」

春「私の復讐はまだ終わってないから」

京太郎「まだ覚えてたのか……」


京太郎(となると、さっき言ってたご褒美の意図も見えてくるな……)

京太郎(いっそ、そんなことも考えられないくらい疲れさせてみるか?)


京太郎「そろそろ出るぞー」

春「んしょ……準備完了」





京太郎「よし、ここらで休憩にするか」


春「も、もうダメ……」ヨロヨロ

京太郎「思ったよりへばらなかったな」

春「明日は、きっと、全身筋肉痛……」

京太郎「今夜は気持ちよく眠れるんじゃないか?」

春「この、鬼畜……!」

京太郎「まぁ、しゃべれるだけの元気があれば十分だな」

春「うぅ……黒糖が足りない……」

京太郎「はいはい、飲み物買ってくるからちょっと待ってろよ」





京太郎「おーい、生きてるかー?」

春「死んでる……死因は黒糖分欠乏症」

京太郎「休んで回復したみたいだな。ほら、飲め」

春「……なんか手慣れてる」

京太郎「昔はお菓子ばっか食ってる奴の相手してたし、最近まではタコス娘の相手だからな」

春「そうやって手篭めにしてきたの?」

京太郎「そうそう……ってちげーわ」

春「私もするの?」

京太郎「飲み物取り上げるぞこの野郎」

春「……いただきます」


京太郎「ところで、お前にはいいものを用意してるんだよな」

春「いいもの?」

京太郎「やる気を出させる上で重要なのはモチベーションだからな」ゴソゴソ



京太郎「これ、ついでに買ってきたんだけど――」


春「こ、黒糖っ」ガバッ

京太郎「おっと」ヒョイ

春「なんで避けるの!?」

京太郎「そりゃ避けるだろ。大体これは帰ってからだ」

春「うぅ……じゃあご褒美の先払いは?」

京太郎「いや、ダメだろ」

春「本当にダメ?」

京太郎「ダメだ」

春「本当の本当にダメ?」

京太郎「ダメ」

春「ほ、本当の本当の本当に?」ウルウル

京太郎「……」


京太郎「わかったよ……ただし、量は俺が決めるからな」

春「やった」パァァ





春「あーん」

京太郎「……いや待て、これはおかしいだろ」

春「早く食べさせて。口開けてると疲れるから」

京太郎「自分で食べなさい」

春「そうしたら多分一瞬でなくなっちゃう。ほら、早くして」

京太郎「なんか納得いかないが……」スッ

春「あむっ……」パクッ


春「~~っ、幸せ……」フニャッ


京太郎「……」


京太郎(うまそうに食うなぁ)


春「次、早く」ソワソワ

京太郎「わかったわかった」





京太郎「終わり、終わりだ終わり」

春「えっ」

京太郎「これ以上はまた後でだな」


京太郎(ついつい予定より多く食わせちゃったしな)

京太郎(こいつがあんなに美味しそうに食べるもんだから……)


春「……ケチ」

京太郎「ケチで結構。もう少ししたら行くぞ」

春「……」ジー

京太郎「聞いてんのか?」

春「……あむっ」パクッ

京太郎「はぁ!?」

春「んっ……」ピチャピチャ

京太郎「ちょっ、お前なにしてんの!?」スポッ

春「ああっ」


京太郎「お前はあれか、いきなり人の指を舐める変態なのか?」

春「……指に黒糖が残ってたから」

京太郎「ああ、変態じゃなくてジャンキーか……」





春「はぁ、はぁ……やっと、帰ってきた……」

京太郎「お疲れ、頑張ったな」

春「それよりも、黒糖、早くっ……」

京太郎「もはや執念だな……」



春「生き返る……」ポリポリ

京太郎「今日ほどじゃなくても少しは動いとけ。歩くだけでもいいから」

春「ん」ポリポリ

京太郎「見事に生返事……まったく」


春「……はい」

京太郎「くれるのか?」

春「今日はお世話になったから」

京太郎「そうか……ま、そういうことなら素直に受け取っておくよ」スッ

春「ダメ」ヒョイ

京太郎「いや、くれるんじゃないのか?」

春「私が食べさせる」

京太郎「またそれか」

春「今は誰も見てないし」

京太郎「そういう問題じゃないんだけど……」

春「……ダメ?」

京太郎「……」

唐突にコンマ判定

高ければ高いほどいい感じです


直下

コンマ41以上 了承されるも口移しならず


京太郎「わかった。たしかに今は誰もいないしな」

春「……まさかいいって言われるとは思わなかった」

京太郎「ならやめとくか?」

春「ううん、やる」


春「口、開けて?」スッ


京太郎「んっ」パクッ


春(本当に食べてくれた……)

春(嬉しい……嬉しいな)


春「じゃあ次は口で――」

京太郎「アホ、調子に乗んな」コツン

春「あうっ」





良子「では、私たちはこれで」

京太郎「気をつけて。お前も戒能さんに迷惑かけんなよ」

春「私には黒糖を与えておけば基本安全」

良子「それを自分で言いますか」


良子「しかし……今日のことは忘れません。あなたも覚えておいてください」


京太郎「えっと……は、い?」

良子「次に会うときはリベンジを果たします、必ず」

春「……」

良子「それでは、ご両親によろしく伝えておいてください」

春「さよなら」


京太郎「リベンジって……まさか料理のことか?」

京太郎「……従姉妹だからなんか似たようなとこにこだわるってことなのか」

京太郎「まあ、綺麗な年上の女の人とお近づきになれると考えれば……」

京太郎「って、こんなこと言ってたらだれかにぶっ殺されそうだな」





春「……姉さん」

良子「なんですか?」

春「あんまりあの人に深入りしちゃ、ダメ」

良子「姫様やあなたの気持ちはわかっているつもりですよ。私も麻雀生命を捨てようとは思いませんしね」

春「……ならいいんだけど」


春(あの人が姫様を選ぶなら、私は傍にいられる)

春(でも、それが他の人なら……)

春(やめた、考えないようにする)


春「……姫様とは、キスしたんだよね」ボソッ


春(私も同じ……ううん、もっとそれ以上……)

春(でもそれだと姫様に悪いし……)


良子「何か言いましたか?」

春「黒糖が食べたい」

良子「それは向こうに着いてからですね」


春(けど、やっぱり――)


春「もっと、欲しいかも」



というわけで終了

次スレタイをコンマで決めます

1-16 淡
17-32 衣
33-48 竜華
49-64 エイスリン
65-80 哩
81-00 春


直下

次スレ見参

京太郎「俺が三年生?」エイスリン「ツキ、キレイ……」
京太郎「俺が三年生?」エイスリン「ツキ、キレイ……」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1468777208/)

安価とかは向こうでやります
こっちは埋めちゃってください
1000についてはいつも通りってことで

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