京太郎「俺が三年生?」マホ「お兄さんと一緒です!」 (1000)

まず注意書き

・このスレは京太郎主人公の安価スレです

・いわゆる設定改変してるので上記の内容も含めて苦手な方は注意

・安価ですがバトルや成長要素はありません でも好感度はあるかも

・息抜き用のスレなので結構適当です




過去スレ

京太郎「俺が三年生?」久「私が幼馴染じゃ不満?」
京太郎「俺が三年生?」久「私が幼馴染じゃ不満?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1421331009/)

京太郎「俺が三年生?」照「私が幼馴染……二番目だけど」
京太郎「俺が三年生?」照「私が幼馴染……二番目だけど」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424967959/)

京太郎「俺が三年生?」咲「私だって幼馴染だもん……一応」
京太郎「俺が三年生?」咲「私だって幼馴染だもん……一応」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」小蒔「初めては私です!」
京太郎「俺が三年生?」小蒔「初めては私です!」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」由暉子「ゆきみだいふく、食べませんか?」
京太郎「俺が三年生?」由暉子「ゆきみだいふく、食べませんか?」 - SSまとめ速報
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京太郎「俺が三年生?」咏「婿養子とかいいんじゃね? 知らんけど」
京太郎「俺が三年生?」咏「婿養子とかいいんじゃね? 知らんけど」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439383761/)


エピソードを時系列順にまとめたwiki
http://www62.atwiki.jp/kyo3nen/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1444502844

選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
そのころの阿知賀編

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・三年、夏、ストーカーズ

2・三年、夏、プライスレスなもの

3・三年、夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)

4・そのころの阿知賀編その2



>>+2

4で了解

8時起きなのでいい加減おやすみなさい
こんな遅くまでありがとうございました

こんばんはー

昨日やろうと思ってたらうっかりぐっすり今日にずれ込みました

というわけで風呂から上がったらちょっとやります

ほかほかで眠くならないうちに始めます



・そのころの阿知賀編その2


京太郎「終わり終わりー」

一「あ、お疲れ様。晩御飯どうするの?」

京太郎「んー、今日は帰って食うよ」

一「今日はって、ここに来たの結構久しぶりじゃない?」

京太郎「まぁ、色々忙しかったからな……」

一「部活の方? ただ一人の男子部員だって聞いたけど、普段なにしてるのかな?」

京太郎「雑用」

一「え?」

京太郎「雑用だよ雑用。正直ここでやってることの劣化版」

一「あはは……そうなんだ」



京太郎「忙しいといえばさ、明日誰か来るのか?」

一「うん、そうだけど……よくわかったね」

京太郎「いつもよりなんか綺麗にしてるしさ」

一「普段通りにしてれば問題ないと思うんだけど、透華がね」

京太郎「まぁ、言いそうだよな」


一「そういえば明日はこっち来るの?」

京太郎「多分無理じゃないか?」

一「ふーん、残念。お客様は可愛い女の子なのにね」

京太郎「可愛い女の子か……それだったら周りにちらほらいるからなー、お前とか」

一「はいはい、そういう冗談はいいから」

京太郎「いやいや、冗談じゃないって」

一「……はぁ、他の人にもそういうこと軽々しく言ってるでしょ」

京太郎「やっぱダメ?」

一「ボクにはいいけどね。なんか慣れちゃったし」





穏乃「おー、でっかい屋敷!」


憧「ちょっと、恥ずかしいからあまり騒がないでよ」

穏乃「でも隠れんぼとか楽しそうだよ?」

憧「そんなことやってる暇なんてないわよ」

穏乃「それもそっか」


玄「ここが龍門渕……」

灼「長野県大会で準優勝の高校」

宥「早く中に入りたい……」ブルブル

玄「そういえば、優勝校ってどこなのかな?」

灼「たしか清澄」

玄「清澄かぁ……なんか聞いたことあるような」



「そろそろ行くよー」


玄「あ、はーい」

灼「ほら、宥さん」

宥「う、うん」


憧「しず、私たちも行くわよ」

穏乃「和ってどこの高校だったっけ?」

憧「清澄よ、清澄。県代表校の」

穏乃「清澄清澄清澄……よし、覚えた! あ、念の為に手にメモしとこ」カキカキ

憧「……ずっと手を洗わないつもりだったら近づかないでね」





ハギヨシ「それでは、こちらへ」


穏乃「おー、中も豪華!」

憧「だから騒がないでってば」

灼「今日はお招きいただき、ありがとうございます」


透華「ようこそ――」

純「いいっていいって、気にしなくてもさ」

透華「純! 私の言葉を遮ってどうしますの!」

純「まあまあ、堅いこと言うなって」

透華「ムッキー!」

一「お、お客様の前だから」


穏乃「なんか楽しそうなとこだね」

憧「私はちょっと不安になってきた」

ハギヨシ「こちらをどうぞ」

宥「わぁ、あったかーい」

玄「むむー……」キョロキョロ



玄「――っ、そこのあなた!」


智紀「……私?」

玄「中々のおもちをおもちなのですね。是非、一緒に対局を……対面で!」

智紀「は、はぁ……」


衣「おお、稀人来るか!」


穏乃「……この小さい子は?」

衣「むっ」

玄「おもち力はたったの5……ふっ」

衣「……」ピキッ


衣「とーか、こいつら鏖殺していい?」

透華「せめて半殺しにしてあげなさいな」

一「止めはしないんだ」


灼「また面倒な予感……」

「いやー、若者同士のぶつかり合いはいいなー!」





穏乃「」

玄「」


憧「もうへとへと……」

灼「あの二人ほどじゃないと思……」

宥「ホットココア飲みたい……」プルプル

ハギヨシ「こちらに」

宥「あ、ありがとうございます」


穏乃「か、勝てない」

玄「あ、あのおもちを堪能するまでは……」


衣「中々に面白い打ち手たちだ」

透華「お気に召しまして?」

衣「うん、無聊の慰め程度には」


穏乃「うおー! リベンジだっ」

衣「まだやるか!」

玄「お、おもち……」

智紀「ちょっ、近寄らないで」





「帰るよー」


灼「やっと終わった……」

宥「いっぱい打ったね」

灼「その水筒は?」

宥「執事さんにココアもらったの。帰りに飲めるようにって」ホクホク

灼「あぁ、そう」


玄「長野ともお別れかぁ……」

穏乃「どしたの? 玄さん」

玄「ちょっと名残惜しいかなって」

穏乃「?」

憧「あー、もしかして」

穏乃「なになに?」

憧「ほら、クロが好きだって人、長野の高校でしょ?」


穏乃「あ、わかった! 京太郎のことだ!」



玄「ち、違うよぉ」ワタワタ

穏乃「違うんですか?」

憧「大丈夫よ、あれは照れ隠しみたいなものだから」

玄「違うんだってばぁ!」


憧「私としてはどこがいいのかよくわからないんだけどね」

穏乃「どして? 京太郎はいいやつだよ」

憧「あのねぇ、いきなり下の名前で呼んで、肩を触ってくるようなやつよ? 多少警戒したっておかしくないでしょ」

穏乃「えー? でも憧が読んでる漫画に出てくる男の人って、そんな人ばっかじゃん」

憧「ま、漫画と現実は別!」


玄「あうぅ……」カァァ


灼「見事にゆでダコ状態」

宥「クロちゃん真っ赤。あったかそう……」


「ほらー、早く乗りなー」


灼「はーい」





京太郎「うぃーっす」

一「あれ? 今日は来れないんじゃなかったの?」

京太郎「せっかくだしちょっと顔出しとこうかなって」

一「でも残念だったね。ついさっき帰っちゃったよ?」

京太郎「マジ? さっきのワンボックスカーかなぁ」

一「ちなみに可愛い子ばっかだったよ?」

京太郎「べ、別にそれ目当てじゃないしー」

一「さらに言うと胸が大きな子が二人ほど」

京太郎「マジかっ」ガタッ

一「……随分食いつきいいんだね。後輩さんの前でもこうなの?」

京太郎「それぐらいの分別はあるって」

一「ふーん」


一(それって、気を許してくれてるってことだよね)


京太郎「どうした? 嬉しそうな顔して」

一「んーん、なんでも」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・三年、夏、ストーカーズ

2・三年、夏、プライスレスなもの

3・三年、夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)



>>+2

2で了解ー

名無しの人は某阿知賀のレジェンドです
基本的に京太郎が名前も顔も知らない人は表示されないことになってるので
最初はそうじゃなかった気もしますが、1スレ目が終わる頃にはそうなってます

それじゃ、たまには早くおやすみなさい

こんばんはー

中々久しぶりですがやろうと思います

それじゃ、もう少ししたら始めます

そんじゃ、始めますー



・三年、夏、プライスレスなもの


京太郎「あー、もう勉強したくない……」

久「受験生の本音よね、それ」

京太郎「俺、進学するかどうかも怪しいんだけどな」

久「さしあたっては目前の定期テストのためね」

京太郎「この世からテストなんて消えてしまえばいいのに……」

久「でも、なんだかんだでいつも平均点くらいはキープしてるじゃない」

京太郎「それはなぁ……栄養ドリンクとコーヒーのおかげだし」

久「ようするに一夜漬けね」

京太郎「テスト終了後にはゾンビが出来上がります」

久「むしろテスト終わったからってはしゃいでるでしょ」

京太郎「じゃあきっと哲学的ゾンビなんだ」

久「はいはい、夏休みが補習で潰れないように頑張ってちょうだい」

京太郎「はい部長からのプレッシャー追加です」

久「それじゃ、先に部室行ってるから」

京太郎「じゃあ俺はおとなしくスイーパーやってる」

久「ちょっとかっこよく言ったって、ただの掃除当番でしょ」

京太郎「まったくもってその通りだ」



京太郎「ふぅ……なぁ、一太」

一太「悪いけど、勉強を教えろっていうのなら難しいよ?」

京太郎「お前の勉強に関する知識だけ俺にくれよ」

一太「予想外の上に無茶ぶりだな!」

京太郎「あ、ロリ方面は別にいいです」

一太「頼まれたってやらないよっ!」





一太「よし、掃除終わりだね」

京太郎「終わりか、じゃあ早速とんずらさせてもらうわ」

一太「そのまま麻雀部に?」

京太郎「まあな、お前も遊びに来る?」

一太「いや、今日はちょっと用事があるから」

京太郎「学生議会か? いや、それだったら久ちゃんも遅れるか」

一太「そういうこと」

京太郎「小学校に行って不審者と間違われるなよ」

一太「どんな心配だよ……大丈夫、行くのは中学校だから」

京太郎「そ、そうか……」

一太「ぼ、母校を訪ねるのは悪いことじゃないだろ」

京太郎「うん、まぁ……じゃあな」

一太「ちょっと待て、誤解はしないでくれよ?」

京太郎「大丈夫大丈夫、正しく誤解……もとい理解したから」

一太「一から説明するからちょっと待て。大体ぼくが母校を訪うのはだな……」

京太郎「ああ、いいって、よくわかったから」ソソクサ

一太「待てっ、話を聞いてくれ!」

京太郎「それじゃあっ」ダッ





京太郎「ふぅ、危ないところだった……」

京太郎「あれはあいつの唯一の欠点だよな」

京太郎「でもおもち好きと同じって考えれば……」

京太郎「……いや、考えるのはよそう」プルルル

京太郎「ん? この番号は……」ピッ


『あら、通じないわ。こういう時はどのボタンを押したら……』


京太郎「みほっちゃん、とりあえずそのままでいいから」

美穂子『えっ、あ……つ、通じてたんですか』

京太郎「珍しいな、携帯で連絡なんて」

美穂子『はい、後輩に手伝ってもらったんですけど』

京太郎「そ、そうか」


京太郎(機械が苦手なのは相変わらずか……)



京太郎「んで、今日はどうした? 俺の声が聞きたくなったとか?」

美穂子『そ、それは……少し手伝ってもらいたい事があって』

京太郎「よし、任せろ」

美穂子『そうですよね、こんないきなり……はい?』

京太郎「だから任せろって」

美穂子『そんな即決で……』

京太郎「そりゃ、みほっちゃんのお願いだしな。後の見返りも含めて」

美穂子『えっと……あまりえっちなことじゃなければ』

京太郎「あまりってどのぐらい?」

美穂子『その、ほっぺたにキスぐらいだったら……』

京太郎「それ以上は?」

美穂子『そういう関係になってからじゃないと……』


京太郎(ご褒美云々は冗談としても、テストのあとの息抜きとしては十分すぎるな)


京太郎「よし、じゃあ頑張るか」

美穂子『は、はい』


京太郎「それで、今日の用件は?」

美穂子『実は、次の休みの日なんですけど、買い物に付き合ってほしくて――』





一「それじゃ、ボクは部屋に戻るね」

純「おつかれー。そういや国広くん、明日休みなんだっけ?」

一「うん、珍しく休日に休みなんだ」

純「休日が休みじゃないとか、オレらって本当に学生だっけ?」

一「まぁ、色々と普通じゃないから仕方ないよ」

純「それもそうか。どっか出かけたりしないの?」

一「うーん、どうしようかな」

純「いいじゃんいいじゃん、ついでに限定のスイーツ買ってきてくれよ」

一「なるほど、それが目的なんだ」

純「半分くらいは」

一「それってけっこう大きくない?」

純「えー、いいじゃん。休みじゃないオレらの願いを聞いてくれたって」

一「勝手に他の人巻き込んでない? 別にいいけどさ」

純「さっすが国広くん。話がわかる」

一「天気も良さそうだし、お出かけ日和だよね」

純「ちなみにこの時期の天気がいいは曇りのことなんだぜ」

一「まぁ、快晴だったら正直外出なんてしたくないよね」





美穂子「おはようございます」

京太郎「おはよう、つってももうそろ昼だけどな」

美穂子「プレゼントはお昼のあとですね」

京太郎「どこ入る? 今日の資金は潤沢だから遠慮はいらないぜ」

美穂子「えっと。それじゃあ――」


一「あれ、須賀くんと――風越の」


京太郎「お、珍しいな」

美穂子「えっと、たしか龍門渕の……国広さん?」

一「はい……福路さん、ですよね」


一(この二人、仲が良いのはなんとなく知ってたけど……)



京太郎「こいつとはバイトの同僚みたいなもんでさ」

美穂子「えっと、なんのバイトでしたっけ?」

京太郎「執事さん。みほっちゃんには言わなかったっけ?」

美穂子「京太郎さんが、執事……?」


一(みほっちゃんに京太郎さん……)

一(本当に親しげって感じ……お互いに)

一(ボクは名前で呼ばれたこと、ないんだけどね)


一「……ねぇ、これからお昼なのかな?」

京太郎「ん、まあな」

一「じゃあボクも一緒していい?」





京太郎「えっと、二人とも決まったか?」

美穂子「じゃあこのパスタで」

一「ボクはこのドリアで」

京太郎「俺は……お、このハンバーグ中々ボリュームありそうだな。これで」

「以上でよろしいでしょうか?」

京太郎「あ、あとドリンクバー三人分お願いします」

「かしこまりました。少々お待ちください」


美穂子「……」

一「……」

京太郎「どうした、二人して黙り込んで」

美穂子「いえ……」

一「別に……」

京太郎「そうか?」



京太郎(まあ、俺とは仲が良くても、お互いにあまり話したことはなさそうだからな)

京太郎(せっかくだし、席外してみるか)

京太郎(ガールズトークも盛り上がるかもしれないしな)


京太郎「じゃあ、俺は飲み物取ってくるよ」

美穂子「変なものは混ぜないでくださいね?」

一「ボクも実験台はやだよ」

京太郎「……いきなりのシンクロ攻撃はやめてくんない?」

一「だって、いかにもそういうことしそうだし」

美穂子「実際、前科がありますよね?」

京太郎「……はい」





一「……あの」

美穂子「はい?」

一「須賀くんと福路さんって、どういう接点があったんですか?」

美穂子「接点、ですか?」

一「中学は違うんですよね? それだったらどこで知り合ったとか色々不思議で」


一(女の子と知り合うなんて、須賀くんの特技みたいなものだけど)


美穂子「えっと、ちょっと一言では言い表せられないんだけど――」





一「――大体わかりました」


一(二年前の春……ボクより先に出会ってたんだ)

一(それにこの人、見た目も性格も須賀くんの好みっぽいし)

一(一回だけナンパみたいなことをしたことがあるって言ってたけど、もしかして……)


一「……ちょっと、面白くないかな」ボソッ

美穂子「はい?」

一「ああ、なんでもないです……カバンにつけてるキーホルダーってカピバラですよね? かわいいなぁ」

美穂子「そう思うかしら? 実はこれ、去年の九月に誕生日プレゼントとして貰ったの」

一「そ、そうですか」


一(あのキーホルダー、須賀くんも同じの持ってたな)

一(もしかしなくても貰った相手って……)



一「じ、実はボクも九月が誕生日で」

美穂子「あら、私は二十四日なの。あなたは?」

一「二十一日です」

美穂子「ふふ、私たち誕生日が近いのね」

一「それで、須賀くんから服をプレゼントしてもらったり……ちょっと高くて悪いかなって思ったんですけど」

美穂子「そう、なの」


美穂子(そういえばあの時、お金がないって言ってたような)

美穂子(その理由ってもしかして……)


京太郎「お待たせー。ちょっと熱中しちゃって時間かかっちゃったぜ」


美穂子「……」

一「……」

京太郎「どしたの、二人とも」





京太郎「誕生日? あー、そういや二人は近かったよな」

美穂子「はい……」

一「そうみたい、だね」


京太郎(なんだなんだ? 俺がいない間になんかあったのか?)

京太郎(普段から仲が悪いってことではないよな)

京太郎(てか、この二人が話してるとこ見たことないし)

京太郎(……隣同士にしとくのはやめたほうがいいか?)


京太郎「あのさ、席変える? なんかその、あれだし」

一「うん、そうだね」

美穂子「その方が、いいかもしれませんね」





一「なにか問題あるかな?」

美穂子「すみません、私のわがままで」

京太郎「いや、いいんだけどよ……」


京太郎(だからって二人とも俺の側に来ることはないよな!)

京太郎(両手に花な状況に見えるかもしれないけど、ただただ狭いわ!)

京太郎(料理持ってきたウェイトレスさんにも変な目で見られたし)

京太郎(クーラー効いてなかったら地獄だぞ、この状況)


京太郎「料理も来たし、食べようぜ」

一「じゃあお箸貸して?」

京太郎「いや、なんでだよ」

一「このままじゃ食べにくいと思うからさ、ボクが手伝ってあげようかなと」


一「ほら、口開けなよ」



京太郎(国広っ! いつもの服装以外は常識人なお前はどこに行った!?)

京太郎(赤くなってるのわかってるから! てか恥ずかしいならやるんじゃない!)


美穂子「えっと、じゃあ私もお手伝いしますね……はい、あーん」


京太郎(こっちもか!)

京太郎(しかも天然でやってそうなぶん、タチ悪いぞこれ!)


一「福路さんは自分の食事に集中してていいんじゃないかな?」

美穂子「国広さんこそ、構わないで食べてていいのよ?」

京太郎「……」


京太郎(なんで二人して張り合ってるんだよ……)

京太郎(なんかよっぽど気に入らないことでもあったのか?)


一「須賀くん、ほら」

美穂子「京太郎さん」


京太郎(……早く終われ)





京太郎「よし、じゃあ今日の本題に入るとしよう」

一「本題?」

京太郎「ああ、実は今度知り合いの三つ子の誕生日があるんだ。な、みほっちゃん」

美穂子「はい、それで一緒にプレゼントを考えてもらおうと思ったんですけど」チラッ

一「ふーん」


一(理由の半分って感じだね)

一(もう半分は……言うまでもないか)


京太郎「任せとけ。長野のお兄ちゃんを自称してる俺に不可能はほとんどない」

一「自称なんだ」

美穂子「ふふ、頼りにしてます」

京太郎「おう」

一「……ボクも手伝ってあげようか?」

美穂子「えっと、それは……」

京太郎「いいな、そいつは頼もしい」

美穂子「えっ」

京太郎「心配すんな、こいつにはたしかな実績がある。俺が保証する」

美穂子「……わかりました」

一「決まりだね」




美穂子「今日はありがとうございました」

京太郎「いいって、みほっちゃんのためならさ」

一「……」ツンツン

京太郎「うおっ、脇腹をつつくのはやめろっ」

一「知らなーい」

京太郎「まったく……」

美穂子「国広さんも今日はありがとうございました」

一「ボク、邪魔じゃなかった?」

美穂子「そんなことないわ。あなたのアドバイス、とっても助かったもの」

一「そ、そう」


一(参ったな……これじゃ毒気が抜かれちゃうよ)


京太郎「プレゼントは手作りケーキ……値段よりも気持ちが大事って感じだな」

美穂子「喜んでもらえるかしら?」



京太郎「ま、気持ちがこもったプレゼントはプライスレスってな」


一「……」

美穂子「……」

京太郎「あれ、クサすぎた?」

一「んーん、ちょっとバカらしくなっちゃって」

美穂子「私も、少し意地を張りすぎてたみたい」

京太郎「なんだ、二人とも仲直りしたのか」


京太郎「じゃあ、仲直り記念にこれをどうぞ」


一「これ……」

美穂子「カップケーキ?」

京太郎「一個320円。でも俺の気持ちでプライスレス」

一「ぷっ、なにそれ」

美穂子「京太郎さんの気持ち、いただきますね」

京太郎「よし、じゃあ帰るか。いい時間だし」





美穂子「それじゃあ、私はこれで」


京太郎「あとはお前を送ってフィニッシュだな」

一「別にいいって言ってるのに」

京太郎「遠慮すんな。お前はみほっちゃんと違って歩きなんだから」

一「だからいいって言ってるの」

京太郎「はいはい、さっさと行くぞ」



一「ところでさ」

京太郎「ん?」

一「ボクたちって、知り合ってから二年くらい経つんだよね?」

京太郎「だな。思えば結構長いな」

一「一緒に働くことも少なくないし」

京太郎「そうだな」

一「……」

京太郎「国広?」

一「それ、ちょっと他人行儀すぎるよね」

京太郎「は?」

一「だから、二年も付き合いがあって一緒に仕事もしてるのに、その呼び方だと距離を感じるって意味」

京太郎「それもそう、なのか?」

一「そうなの」


京太郎(つっても、そういうのってなんとなくで変わるもんだと思うんだけど)

京太郎(大体その理屈だと他のやつも当てはまるし)

京太郎(……まぁ、いいか)



京太郎「わかったよ。えっと、お前の名前は……」

一「忘れたの?」ジトッ

京太郎「んなわけないだろ……一、でいいんだよな?」

一「怪しいなぁ」

京太郎「微塵も怪しくないから……じゃ、次はお前の番だな」

一「え?」

京太郎「あのな、俺だけに変えさせる気か?」

一「そ、そうだね……うん、わかってたよ」


一「京太郎、くん?」


一(――っ、思ったより恥ずかしいっ)


京太郎「おお、よく覚えてたな」

一「ば、馬鹿にしてるの?」

京太郎「冗談冗談。帰るぞー」

一「あ、待ってよ」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・三年、夏、ストーカーズ

2・三年、夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)



>>+2

1で了解ー

にしても前スレ1000……
下手したらのどっち病んじゃう

それじゃあ、おやすみなさい

こんばんはー

もう少ししたら始めます

んじゃ、始めますー



・三年、夏、ストーカーズ


京太郎「うーむ」

和「どうかしたんですか?」

京太郎「どうも最近、誰かに見られてるような気がして」

和「えっ」


和(も、もしかして目で追ってるのに気づいてくれたんでしょうかっ)


和「せ、先輩――」

京太郎「とりあえずそこの二人、出てきなさい」


優希「じぇっ」ガタッ

咲「わっ」ガタッ


和「ふ、二人とも何してるんですか!?」

優希「のどちゃんに怪しい動きがないか監視中だじぇ」

咲「わ、私は京ちゃんが変なことしないように」

京太郎「片付けしてる最中になにが起こるっていうんだよ……」



和「と、とにかく! 先輩の言ってる視線は二人のことじゃないんですか?」


京太郎「……お前ら、放課後に俺のことつけたりしてるか?」

優希「隠れるぐらいなら直接ねだるじぇ、タコスを」

咲「私は……そんなことする理由がないし」

京太郎「じゃあ違うな」

和「そうなんですか?」

京太郎「まあ、視線を感じるのは大体放課後だからな」

優希「視線を感じるとは……もしや忍者か!?」

京太郎「なんで忍者をチョイスしたかはともかくとして、感じるものは感じるんだからしょうがない」

咲「もしかして、ストーカー?」

京太郎「ストーカー、ねぇ」


京太郎(そういや、一年前も似たようなことがあったな)



京太郎「覚えがない、わけでもないんだよな」

優希「わお、まさかの自覚アリ。モテモテか」

和「……」


京太郎(ま、そんな色っぽいものじゃないよな、あれは)


京太郎「そろそろ出るぞ」

優希「はーい」

咲「あ、待ってよ」

和「先輩、今日の帰りはご一緒してもいいですか?」

京太郎「悪い、ちょっと用事があるから一人で帰るよ」


優希「残念、今日は三人仲良く帰るじぇ」

咲「うん、そうしようよ」

和「そうですね……将来を誓い合っていても、プライベートは大切ですし」

咲「えっ」

優希「じぇっ」


京太郎「お前らー、鍵閉めるぞー」





京太郎「さて、街に出てみたわけだが……」


華菜「……」ジー


京太郎「……いるな。窓に映ってるのが見え見えだよ」

京太郎「暇人か、暇人なのかあいつは」

京太郎「どうするかな……正直、相手するのはめんどいし」

京太郎「かといって放置してるとなにしてくるかわからないし」

京太郎「……撒くか?」

京太郎「いや、そうしたところで根本的な解決にはならないんだよな」

京太郎「よし、やっぱ捕まえるか」





華菜「しめしめ、見られてるのにも気づかずのうのうと」

華菜「華菜ちゃんは学んだんだし、やつには正攻法で攻めても不利だと」

華菜「ならば、弱点を攻めるしかないっ」

華菜「さぁ、今日こそ暴いてやるぞー!」


桃子「……なんすかね、あれ」

桃子「ストーカーってやつっすか?」

桃子「猫耳さんが金髪さんを……」

桃子「そんなに仲は良くなかった気がするんすけど」

桃子「うーん、なんか面白そうだからご一緒しちゃうっすかね」


桃子「もしー、猫耳さーん」トントン



華菜「うわっ、びっくりした!」

桃子「どもっす」

華菜「お前……たしか鶴賀の影薄いやつ!」

桃子「その覚え方はどうなんすかねぇ」

華菜「そっちこそ猫耳さんってなんなんだよ!」

桃子「なんか猫っぽいからそれでいいんじゃないすかね?」

華菜「良くない!」


京太郎「お前らさ、隠れるならもっと静かにしとけよな」



華菜「なっ」

桃子「あ、おひさっす」

華菜「バカな! 華菜ちゃんの完璧な尾行が……!」

京太郎「穴だらけの間違いなんだな、これが」

華菜「くっそー、今日はこれぐらいにしといてやるし!」ダッ

京太郎「拾い食いして腹壊すなよー」

華菜「するかっ、バーカバーカ!」


桃子「逃げたっすね」

京太郎「で、お前も俺のファンの一人なのか?」

桃子「ファンクラブの会員になったら、なんか特典つくっすか?」

京太郎「あるわけないだろうが」





華菜「今日は失敗したけど、明日こそは……!」

華菜「あいつめ……キャプテンの裸を覗いた上に、この前は言葉巧みに遊びに誘って!」

華菜「見てろよ、今にけちょんけちょんにしてやるし!」


「おねえちゃんがもえてる」

「もえたらいえがかじになっちゃうよ」

「だいじょーぶ、このバケツにおみずをよういした」

「それよりおなかすいた」グゥ

「わたしも」グゥ

「いかどーぶん」グゥ


「「「……ごはんまだかなぁ」」」




華菜「むー」ジー

桃子「どもー」

華菜「うわっ! び、びっくりさせんなよっ」

桃子「申し訳っす」


桃子「それで、今日もっすか」

華菜「それはこっちのセリフだし」

桃子「まーまー、せっかくだしご一緒にどうっすか?」

華菜「やだよ、邪魔になりそうだし」

桃子「あ、行っちゃうっすよ」

華菜「あーもう、あんまり騒ぐなよ」

桃子「騒いでるのは主にそっちだと思うんすけど」

華菜「いいから行くぞっ」





桃子「ふぅ、ぎりぎりっすね」

華菜「お前すごいじゃん。見つかりそうになっても見つかんなかったのは初めてだよ」

桃子「とりあえず鏡とかに映るのを避けてるだけなんすけどね」

華菜「ふっふっふ、これでやつの弱点も見放題というものだし」

桃子「あ、それはちょっと興味あるっす」

華菜「だろー?」



ゆみ「須賀じゃないか。こんなところで奇遇だな」

京太郎「俺よりそっちがこっちに来ることのほうが珍しいんじゃないか?」

ゆみ「ふっ、それもそうだな」

京太郎「今日はショッピングか?」

ゆみ「ああ、モモを誘おうと思ったんだが、今日は捕まらなかった」

京太郎「じゃあせっかくだし一緒に行こうぜ。一人よりはマシだろ」

ゆみ「わかった。同道させてもらおう」





京太郎「またいるな……けど」チラッ

京太郎「今回ははっきり姿が確認できないか」

京太郎「さすがに学習したか?」

京太郎「めんどくさいな……今日は買い物もあるし放置だな」



桃子「ふぅ、ぎりぎりっすね」

華菜「お前すごいじゃん。見つかりそうになっても見つかんなかったのは初めてだよ」

桃子「とりあえず鏡とかに映るのを避けてるだけなんすけどね」

華菜「ふっふっふ、これでやつの弱点も見放題というものだし」

桃子「あ、それはちょっと興味あるっす」

華菜「だろー?」





ゆみ「須賀じゃないか。こんなところで奇遇だな」

京太郎「俺よりそっちがこっちに来ることのほうが珍しいんじゃないか?」

ゆみ「ふっ、それもそうだな」

京太郎「今日はショッピングか?」

ゆみ「ああ、モモを誘おうと思ったんだが、今日は捕まらなかった」

京太郎「じゃあせっかくだし一緒に行こうぜ。一人よりはマシだろ」

ゆみ「わかった。同道させてもらおう」



桃子「加治木先輩!」

華菜「ちょっ、騒ぐなよー」

桃子「わ、私も加わっちゃダメっすかねっ」

華菜「ダメに決まってるだろっ」

桃子「あーん、そんなぁ」





ゆみ「ん?」

京太郎「ああ、気にすんな。ただのストーカーだ」

ゆみ「君がそういうスタンスならそれで構わないが……大丈夫なのか?」

京太郎「相手が相手だし、深刻なことにはならないだろ」

ゆみ「そうか」

京太郎「いちいち相手するのも疲れるんだよ」

ゆみ「それにしても、君はつくづく罪作りだな」

京太郎「いや、そういう手合いじゃないんだよ」



華菜「そういえば、団体戦の時は世話になったなぁ」

桃子「先輩はかっこよかったっすよねっ」

華菜「いやいや、そこは華菜ちゃんに軍配が上がるだろ」

桃子「私としては譲れないっすね」

華菜「頑固なやつめ……にしても、ああやって一緒に歩いてると、あの二人は中々お似合いっぽく見えるなー」

桃子「そ、そうっすかね?」

華菜「あいつもうちのキャプテンにちょっかい出さずにいれば無事にすむものを……」

桃子「向こうからアプローチされてる可能性もあるっすよ?」

華菜「それはっ、たぶらかされてるだけっ」





貴子「おー、清澄の須賀に鶴賀の加治木か」


京太郎「あ、久保さん。合宿ではどうも」

ゆみ「その節はご指導いただき、ありがとうございました」

貴子「そこらへんは年長者の義務ってやつだと私は思ってる」

京太郎「なんつーか、よく鬼コーチだって話は聞くけど、久保さんって後輩思いっていうか……案外優しいな」

貴子「あーん? ナマ言ってんじゃねーよ」グリグリ

京太郎「痛い痛いっ、テンプル痛いっ」

ゆみ「……君は誰とでも仲良くできるんだな」

京太郎「昔運動部だったし、こういうノリには慣れて――いたたたっ」

貴子「よし、せっかくだし飯でも奢ってやるよ」

京太郎「マジすか? 是非、って言いたいけど、加治木は?」

ゆみ「私は……相伴にあずかります」

貴子「決まりだな、じゃあついてこい」





華菜「あわわわわわっ」ガタガタ

桃子「あれってたしか風越の」

華菜「う、噂もしてないのに鬼がっ」

桃子「噂をしてさすのは影っすよ」

華菜「ててて、撤退、撤退だし!」タタッ

桃子「ああっ」


桃子「……私も帰るっすかね」





貴子「ん?」

ゆみ「どうかしましたか?」

貴子「ああ、多分気のせいだな。そんなに暇だったらみっちりしごいてやるところだけどな」

ゆみ「はい?」

京太郎「あー……」


京太郎(多分気のせいじゃないんだよな)

京太郎(まぁ、そんな義理はないけど黙っててやろう)


貴子「それよりお前ら、食べたいものとかあんのか?」

京太郎「俺はなんでもいいですけど」

ゆみ「私もこれといっては」

貴子「なんだぁ? 最近のガキは主体性がないってのか?」

京太郎「うっ、たしかになんでもいいは多くの主婦を困らせる一言」

ゆみ「ふむ、それでは……」



ゆみ「ケーキ、とか」


京太郎「……なるほど」

ゆみ「なぜそんな顔をする」

京太郎「いや、いいんじゃないか? 俺も甘いもの大好き」

ゆみ「た、食べたいと思ったんだから仕方ないだろう?」

京太郎「だからいいって言ってるだろ」

ゆみ「いいや君は心の中で、似合わねー、とか思っているに違いない」

京太郎「おいおい、被害妄想混じってきてんな」


貴子「お前ら、じゃれてねーでサテン行くぞ、サテン」


京太郎「……」

ゆみ「……」


京太郎(サテンなんて言ってる人初めて見た)

ゆみ(おそらくなんだが、それは死語の類では……)





華菜「今日こそはやつの弱点を暴いてやるし!」

桃子「今日も今日とて懲りないっすねぇ」

華菜「なんだよ、お前だって結局来てるじゃないか」

桃子「それはあれっすね、私も色々興味があるんすよ」

華菜「まぁ、邪魔だけはすんなよな」


桃子(昨日、尾行の手助けされてたのは誰なんすかねぇ)ジトッ


華菜「わかったかー?」

桃子「はーい」

華菜「それで、目標は――」


京太郎「残念、ゲームオーバーだ」



華菜「い、いつの間にっ」

京太郎「こうも連日続いてりゃ、分かるに決まってんだろ」

桃子「金髪さんは隠れんぼも得意っぽいっすからね」

華菜「お前はなに落ち着いてるんだよっ」

桃子「いやぁ、よくよく考えたら私は見つかっても困ることがあんまりないというか」

京太郎「よし、後で加治木に連絡だな」

桃子「あうっ」


華菜「形勢が不利なら出直して――」タタッ


京太郎「だからゲームオーバーだって言ってるだろうが」ガシッ


華菜「ぐぇっ、襟が伸びちゃうだろ!」

桃子「まぁまぁ、ここはおとなしく捕まるのが吉っすよ」

華菜「う、裏切り者ー!」

桃子「先輩のお叱りを避けるためには仕方ないんすよ……」

華菜「華菜ちゃんに味方はなしか!」

京太郎「さて、引っ捕えたことだし移動するか」

華菜「はーなーせー!」





京太郎「以上、説教終了。あ、もう正座は崩していいぞ」


華菜「くそぉ、こんなやつに……」プルプル

桃子「ま、巻き添えっす……」プルプル

京太郎「これに懲りたら俺へのストーカー行為は控えること、いいな?」


京太郎(とか俺が言ったら結構なブーメランだけど)

京太郎(まぁ、この際だし気にしないでおこう)

京太郎(今大事なのはそこじゃない)


華菜「コーチの名前を出されたら、華菜ちゃんとしては手も足も耳も尻尾も出なくて猫の手も借りられないんだし……」

京太郎「お前な、次期部長なんだろ? それがあんなことやってるってのはちょっとまずいんじゃないか?」

華菜「うっ、でも……」

京太郎「デモもストもない、と言いたいとこだけど、お前としては煮え切らない部分も多いだろうな」

華菜「あ、当たり前だろっ」

京太郎「だから、今回は俺が歩み寄ろう」



京太郎「ほら、これ」


華菜「……なんだよ、この包み」

京太郎「お前の妹たち、誕生日が近いんだろ? 渡しといてくれ」

華菜「はぁ? だれがお前からの贈り物なんか――」

京太郎「言っとくけどそれ、みほっちゃんも一緒に選んだやつだからな」

華菜「にゃっ!?」

京太郎「もちろん、受け取らないとか捨てるなんて言わないよな?」

華菜「~~っ、、わかったよ! 渡せばいいんだろ渡せば!」

京太郎「そういうことだ、頼んだぞ」

華菜「華菜ちゃんはもう帰るし!」

京太郎「途中で開けるんじゃないぞー」





華菜「とか言われて開けないわけないだろ」

華菜「なんでもホイホイ言いなりになる華菜ちゃんじゃないんだし」ゴソゴソ

華菜「えっと、クッキー? 手作りっぽいな、これ」

華菜「あと、この紙切れは……」


『おねえちゃんがあそんでくれるけん』


華菜「……そういえば、最近あんまりかまってやってなかったな」

華菜「ふぅ……よし、今度あいつらの好きなもの作ってやるかな」

華菜「別にこんな紙切れは関係ないけど、関係ないけど!」

華菜「……ほんと余計なことに気を回しやがってさー」


華菜「あーもう、むしゃくしゃするー!」





桃子「それで、なにあげたんすかね?」

京太郎「大したもんじゃないよ」

桃子「だったら別に言っちゃってもいいっすよね?」

京太郎「まあ、クッキーとあと……魔法のチケット?」

桃子「魔法のチケット? 夢の国の招待券とかっすか?」

京太郎「んな高いもの贈れるか。原価はほぼゼロだよ」

桃子「なんすかね……あ、肩たたき券とか」

京太郎「ま、似たようなものだな」


京太郎(俺の予想がドンピシャなら今頃毒気を抜かれてるはず)

京太郎(それで今後、俺に対する敵意が鈍れば万々歳だな)



桃子「ところで、私の誕生日も近いんすけど」

京太郎「なんだ、プレゼントの催促か?」

桃子「いやー、別に無理にとは言わないっすけどー、私も友達が少ないっすからー、そういうのに飢えてるというかー」チラッチラッ

京太郎「はいはい、露骨なアピールありがとう……お、加治木からメール返ってきた」

桃子「え、というかいつの間に送ったんすか」

京太郎「合間にちょっとな……どれどれ」


『モモもお前と遊べて嬉しいんだと思う。だから多少の粗相は許してやってくれないか?』



桃子「ってこれきっちり報告済みじゃないっすか!」

京太郎「うわっ、人の携帯を覗くんじゃない」

桃子「裏切り者ー、薄情者ー、鬼っ、悪魔っ、えーっと……イケメン!」

京太郎「褒めるのか貶すのかどっちかにしなさい」

桃子「むぅ……こうなったら意地でもなんか買ってもらうっすからね!」

京太郎「はいはい、じゃあ行くぞ」

桃子「え、今からっすか?」

京太郎「善は急げってな。それとも急がば回れってことで今度にするか? 急いては事を仕損じるらしいし」

桃子「今日、今日がいいっす!」

京太郎「素直でよろしい。で、なんか具体的な希望とかあるか?」

桃子「えーっと、うーん……」

京太郎「いや、ないなら無理にとは言わないけど」

桃子「じゃあ、あそこの高そうなフレンチで――」

京太郎「却下」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

てなわけで終了ー
特に選択肢もないので次回は

『三年、夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)』

になります

それじゃ、おやすみなさい



・小学五年、十月二十七日、憧憬


京太郎「おいーっす」

照「あ、京ちゃん。いらっしゃい」

京太郎「いきなり家に来いとか、なんかあんの?」

照「実は今日は咲の誕生日」

京太郎「あー、そっか」

照「それじゃ、私は咲を探しに行くから中で待ってて」

京太郎「ちょっとストップ」

照「なに?」

京太郎「俺の仕事を増やす気か」

照「大丈夫、私にはお姉ちゃんとしての責任が――」

京太郎「はいはい、わかったから家の中で待機なー」グイグイ

照「あっ」

京太郎「んじゃー、さくって見つけてくるから」





咲「……おねえちゃんの、バカ」


京太郎「お、いたいた」

咲「あ、おねえちゃんの……」

京太郎「帰るぞ、照ちゃんが迷子になる前に」

咲「……やだ」

京太郎「はあ? 今日は誕生日なんだろ?」

咲「だって、おねえちゃんにプリンたべられたんだもん……」グスッ

京太郎「……照ちゃん、なにやってんだよ」ハァ


京太郎「しょうがない、俺が新しいプリン買ってやるよ」


咲「ほ、ほんとに?」パァ

京太郎「ホントのホントだよ。まぁ、誕生日プレゼントってことで」

咲「やった!」





京太郎「連れてきたぞー」

照「あ、戻ってきた。もう少し遅かったら私が出るところだった」

京太郎「……間一髪間に合ったかー」

咲「おねえちゃんおねえちゃん」

照「咲、プリンの件はごめ――」


咲「えへへ、これかってもらったの!」



照「ぷ、プレミアムジャンボプリン……」ジュルリ

京太郎「照ちゃん、よだれふこうぜ」

照「咲ばかりずるいっ」

京太郎「いやいや、妹のプリン食べちゃったのはどこのだれだったっけ?」

照「むっ……いいもん、たかがプリンひとつぐらい」ムスッ

京太郎「そのプリン一つで喧嘩になったんだけどな……ほら、むくれてんなよ」

照「……むくれてない」

京太郎「わかったわかった。じゃあなんか一個だけ、なんでも頼み聞くから」

照「じゃあ、私にもプリン――」

京太郎「あ、金がかかるのは却下な」

照「なんでもじゃない……騙された」

京太郎「これ以上使ったらはやりんのCD買えなくなるんだよ」

照「……じゃあ今度、京ちゃんの家にお泊りしていい?」

京太郎「お泊まり会かー……楽しそうだな!」


咲「ふたりとも、なかよし」

咲「……いいなぁ」





京太郎「んじゃ、ごちそうさまでしたー」

照「もう帰っちゃうの?」

京太郎「もうって……外暗いからな」

照「一人は危険。私もついてく」

京太郎「いや、余計危険だからやめよーぜ。帰りに迷子になられても困るし」

照「むっ」

咲「あのっ」

京太郎「ん?」

咲「きょうはありがとうございました」ペッコリン

京太郎「いいって、気にすんな」ワシャワシャ

咲「……きょ――」


咲「きょう、ちゃん」



京太郎「呼んだか?」

咲「きょうちゃんきょうちゃん」

照「むっ、咲はダメ。別の呼び方にするといい」

咲「えー? じゃあ……おにいちゃん?」

京太郎「すっげー、なんかドキドキするな、それ」

照「……やっぱり京ちゃんでいい」

咲「えへへ、きょうちゃんきょうちゃん」ピトッ

照「でも、おさわりは許さない」グイッ

咲「あうっ」

照「ここは私のもの」ピトッ

咲「お、おねえちゃんずるいっ」グスッ

京太郎「なぁ、いい加減帰りたいんだけど」



というわけで咲ちゃん誕生日おめでとう

のどっちの思い込みの激しさは前スレ1000の影響です
まぁ、これはこれで話のネタになるんでいいんじゃないかと

それじゃ、失礼します

日曜の夜にこんばんは
もう少し暇が欲しい今日このごろです

それはともかくとして、お好きなキャラをどうぞ
登場済みのキャラに限ります
以下のキャラは不可

以下のキャラは『不可』です


照・玄・美穂子・小蒔・健夜・豊音・竜華・衣・マホ・久・怜・霞・誓子・はやり・揺杏・由暉子・宥・白望・哩・姫子・やえ・エイスリン・灼・爽・咏・憧


下5まででコンマ高いの一つ

成香で了解ー



成香→京太郎 二年編の三月ぐらい


成香「え、須賀さんですか?」

成香「ええっと、私なんかがいいんでしょうか?」

成香「年上の男の人です。転んだところを助けてもらいました」

成香「同年代の男の子はその、少し意地悪をしてくるというか……きっと私にも原因はあると思うんですけど」

成香「でも須賀さんはそんなことないというか、だからきっとチカちゃんもユキちゃんも……」

成香「あ! あの二人といえば恋の行方が気になります!」

成香「あの三角関係はどうなってしまうんでしょうか!?」


というわけでナルちゃんでした

ところで久しぶりにソートやったらこんな感じになりました

一位 小蒔
二位 竜華
三位 美穂子
四位 照
五位 一
六位 玄
七位 エイスリン
八位 淡
九位 誓子
十位 春


一部のキャラは書いてるうちにって感じですね


ちなみにトップスリーのおもち率が100
トップファイブが60
トップテンは50~60

うーんこれは……


それじゃ、日が変わる頃に帰ってきます

そんじゃ、ぼちぼち始めます



・三年、夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)


衣「ドライブに行きたい」

京太郎「なんだ、藪から棒に」

衣「とある本でアベックは休日にドライブに行くって書いてあったよ」

京太郎「アベックってな……」

衣「というわけでドライブに行こうよ」

京太郎「なにがというわけでだ。そもそも大きな問題が一つある」

衣「大きな問題……はっ! まさかドライブには身長制限が……!」

京太郎「んなわけあるか。チャイルドシートが存在してる時点でありえないだろ」

衣「こ、衣はチャイルドシートには座らないからっ」

京太郎「いらない心配はしなくてよろしい」

衣「行きたい行きたい行きたい!」

京太郎「子供かっ」

衣「子供じゃなくて衣!」

京太郎「落ち着け!」





京太郎「そもそも俺は免許持ってないぞ?」

衣「え、この前持ってるって言ってたのに」

京太郎「あれはバイクの免許だ」

衣「むっ、そうなんだ」

京太郎「車の免許は18からだしな」

衣「大人だけが持てる免許ということか……」

京太郎「いやまぁ、身分証明にもなるしな」

衣「衣も欲しい!」

京太郎「また来年な」





衣「じゃあドライブは無理なんだ……」ショボン

京太郎「あー、二人きりじゃなくていいなら手はあるんじゃないか?」

衣「ハギヨシに頼むとか?」

京太郎「そういうことだ。みんなで遊びに行くのも楽しいと思うぞ?」

衣「むぅ、それじゃ逢瀬にならない」

京太郎「つってもなぁ」


京太郎(バイクの後ろに乗っけてもいいけど、ちょっと心配だしなぁ)


京太郎「そう言わないでさ、たまにはいいんじゃないか?」

衣「……うん、そうだね」

京太郎「そうと決まればみんなに聞いてみるか」

衣「そうしよう」





一「え、ごめん。その日はちょっと」


純「今度の休みの日? ダメダメ、ファンの子と遊びに行くからさ」


智紀「普通に仕事」



衣「むむむむ……」

京太郎「協調性のない奴らめ」


透華「あら、どうかしましたの?」



京太郎「お、いいところに」

透華「はい?」

京太郎「次の休み、みんなでドライブに行こうと思ってさ」

透華「ドライブ? あなたが運転を?」

京太郎「いや、ハギヨシさんに頼もうと思ってるけど」

透華「なら無理ですわね」

京太郎「は? なんで」

透華「ハギヨシはその日、所用で屋敷を離れますの」

京太郎「え」

衣「え」


衣「ど、どうしよう」オロオロ

京太郎「落ち着け、俺が何とかするから」

衣「本当?」

京太郎「任せとけ」


京太郎「と、その前に……龍門渕」

透華「なにか?」

京太郎「今度の休み、暇か?」





京太郎「どうするかな……車ね」

京太郎「親父に頼むか?」

京太郎「……いや、ダメだな」

京太郎「個人的にうちの親たちに知り合いを紹介したくない」

京太郎「それは最後の手段として、どうする?」

京太郎「知り合いに免許持ってる奴は……」

京太郎「そうだ、たしか鶴賀って車で移動してたよな?」

京太郎「顧問の姿も見たことないし、あの中の誰かが運転してるってことだよな」

京太郎「免許持ちってことは三年の誰か……つまり、加治木か蒲原」

京太郎「まぁいいや、電話してみよ」プルルル


ゆみ『もしもし、須賀か?』



京太郎「お、感が鋭いな」

ゆみ『画面に名前が表示されてる』

京太郎「文明の利器は偉大だな」

ゆみ『褒めるところがおかしくないか?』

京太郎「それより、お前って免許持ってたっけ?」

ゆみ『車のか? 蒲原なら持っているが』

京太郎「そっか、じゃあ頼みがあるんだけど」





ゆみ『悪いことは言わない、やめておけ』

京太郎「なんか不都合なことでもあんの?」

ゆみ『不都合もなにも、あいつの運転は――』


『わはは、人の噂をしてなんだー?』


ゆみ『か、蒲原!?』

智美『車がどうとか運転がどうとか聞こえたぞ』

ゆみ『いや、なんでもないんだ。特にお前には関係ない、絶対にだ』


京太郎「そこに蒲原いるのか? だったら直接話がしたいんだけど」


智美『この声は……もしかして』

ゆみ『いや違う。違うから向こうへいくんだ』

智美『私に用があるみたいだし、電話かりるなー』

ゆみ『あ、ちょっ――』


智美『もしもし、須賀くんかー?』


京太郎「そうだけど、大丈夫か? なんか揉めてたみたいだし」

智美『大丈夫だから早く用件っ。ユミちんに追われてる……!』

京太郎「お前らなにやってるんだよ……」





智美『わはは、了解したぞ』

京太郎「おう、次の休みの日にな」

智美『集合場所には車で――ああっ』


ゆみ『やっと取り返した……』ハァハァ


京太郎「その、耳元で息を荒くされるとなんというか……くすぐったいんだけど」

ゆみ『そんなことより須賀、さっきの話は――』

京太郎「あ、やべっ」

ゆみ『……どうかしたのか?』

京太郎「電池切れそうだから切るな。じゃっ」

ゆみ『おい待て、話はまだ――』プツッ


京太郎「ふぅ……これでどうにかなりそうだな」

京太郎「龍門渕たちに連絡しとくか」

京太郎「……あ、バッテリー逝った」





衣「きょうたろー、遅い!」

京太郎「いや、まだ集合時間の20分前だから」

透華「私たちはもう準備万端ですわ」ドッサリ

京太郎「ああ、うん……なんか荷物多いな」

透華「備えあれば憂いなしといいますわ。あとこれはハギヨシがお昼にでもと」

京太郎「ランチボックス? あの人、今日は忙しいはずじゃなかったっけ?」

透華「この荷物を運んでくれたのも、他でもないハギヨシですわ」

京太郎「忙しいつってんのに何させてんだよ……」

衣「お弁当にはエビフライも入れてくれたって」

京太郎「エビフライかー、タルタルソース付きか?」

衣「勿論!」


佳織「お、おはようございますっ」



衣「むっ、鶴賀の強運持ちか」

透華「こ、個人戦ではお世話になりましたわね……」プルプル

京太郎「もしかして蒲原に声かけられた?」

佳織「遊びに行くからって、時間と集合場所を伝えられて」

京太郎「あいつめ、聞いてないぞ」

佳織「め、迷惑でした?」オロオロ

京太郎「そんなことないって。人数多い方が楽しそうだしな」

佳織「そ、そうですか」ホッ


衣「果たしてその強運が衣の支配を打ち破るか否か……」ブツブツ

透華「この前の雪辱を……」ブツブツ


佳織「……ええっと」

京太郎「不穏な空気を発してるやつらは気にしなくていいから」

佳織「はい、努力しますっ」





京太郎「さて、もうそろそろ時間だけど」

佳織「そういえばどこに行くんですか? ピクニックとか?」

京太郎「聞いてなかったのか?」

佳織「ただ遊びに行くとしか言われてなくて」

京太郎「あいつも適当だなー」


智美「わはは、おまたせー」プップー


佳織「え」

京太郎「お、来た来た」

智美「ごめんごめん、ユミちんに呼び出されてギリギリになった」

衣「おお、これが衣たちが乗る車駕か!」

透華「ふぅむ、これが庶民の車……」

衣「ちっちゃいね」

透華「まったくですわ」

智美「つべこべ言わず乗り込めー」

佳織「さ、智美ちゃん? 出かけるって、まさか車で――」

京太郎「ほら、早く乗っちゃおうぜ」

佳織「ひゃ、ひゃいっ」





衣「おー、これが助手席!」
 
智美「わはは、特等席だぞ」

衣「特等! その響きや良し!」


京太郎「あの二人、案外相性いいんじゃないか?」

透華「そんなことより狭いですわ。もう少し身を縮めなさい」

京太郎「後ろに乗れなくなったのはお前のせいだろ」

透華「いっそ荷物に埋もれたらいかが?」

京太郎「無茶言うな」


佳織(智美ちゃんが普通に運転してる……)

佳織(な、なにかあったのかな?)オロオロ

佳織(それに……)チラッ




京太郎「てか左ハンドルかー、かっこいいじゃん」

智美「だろー?」

衣「そんな珍しいかな?」

透華「さぁ? よくわかりませんわ」

京太郎「金持ち並みの感想どーも」


佳織(須賀くんが隣で、しかも距離が近い……)

佳織(ど、どうしよう、なにかお話したほうがいいのかなっ)



京太郎「妹尾さん、狭くない?」

佳織「だ、大丈夫ですっ」

京太郎「もし苦しくなったら遠慮しないで言ってくれ。横のわがままお嬢様を荷物の海に沈めるから」

透華「んなっ! あなた何様ですの!?」

京太郎「俺様」

透華「……教育のしなおしですわ!」

京太郎「おわっ、狭いのに暴れるな!」

佳織「わわっ」


智美「車揺れるからじゃれ合いは後でなー」


透華「まったく……続きは降りてから、いいですわね?」

京太郎「え、続きあんの?」

佳織「……」


佳織(やっぱり智美ちゃんがおかしい……!)





京太郎「見晴らしいいな、ここ」

智美「だろー? 前から目をつけてたんだ」

京太郎「うん、時間も時間だし、ここで昼もいいんじゃないか?」

智美「わはは、ナイスアイディア」

佳織「でもここ……」キョロキョロ

智美「なんだかおりん、この絶好のスポットに文句でも?」

佳織「座る場所、ないんじゃないかなって」

智美「おお、なるほど」ポン

京太郎「ああ、それなら――」


透華「ふふふ、備えあれば憂いなしとは正にこのこと……!」ゴトゴト


京太郎「あそこにキャンプ用品持ち込んだ奴がいるから」

佳織「あ、テーブルが」

智美「日除けのテントもあるなー」

京太郎「さすがに寝袋とかはいらないと思うんだけどな」



衣「えっと、これはこうして……わっ」


京太郎「テントは俺がやるからテーブルの方頼むな」

衣「うん」

京太郎「蒲原と妹尾さんはイス運んできてくれ」

智美「おーけー」

佳織「あ、わかりました」

京太郎「それと龍門渕は――」

透華「む、私に命令ですの?」

京太郎「違う違う。テーブル運ぶのご苦労……ほい、飲み物」

透華「……偉そうに」


智美「わはは、結構仕切り屋さんだな」

佳織「うん、そうだね……」ポー

智美「頼りになる男って感じかー……かおりん惚れちゃったり?」

佳織「ち、違いますっ」

智美「じゃあ私がアプローチでも」

佳織「ええっ!?」

智美「安心しろー、冗談冗談」ワハハー





京太郎「ごちそうさまでした」

衣「うむ、今日も美味であった!」

智美「やっぱりあの執事さんはただものじゃないなー」

透華「当然ですわ」

佳織「執事さんってすごいんですねぇ」

京太郎「多分、それが世間一般の執事だと思わないほうがいいかも」

智美「そもそも、世間一般に執事さんがいるかどうかも微妙だと思うぞー」

京太郎「それもそうか」


智美「そういえば、デザートがあるんだった」

佳織「智美ちゃんが持ってきtの?」

智美「ユミちんに持たされたんだ」


ゆみ『いいか? この箱の中にはいわゆるちょっとお高いスイーツが入ってる』

ゆみ『当然、少しでも乱暴に運転しようものなら無残な姿になるだろうな』

ゆみ『無事に食べたければ、なるべく車体を揺らさないように運転するんだ、いいな?』



智美「なんかやたら念を押されたけどな」

佳織「そうなの?」

智美「なに、大したことじゃないぞ」


衣「サトミ! これはケーキか?」

智美「私のおごりだ、遠慮なく食えー」

衣「とーか! デザート食べようよ」

透華「ふむ、これは中々」

佳織「あの、お屋敷ではよくこういうものを食べたりするんですか?」

透華「お茶の際に出てくるものは基本的に手作りですわ」

佳織「わぁ、思ったより家庭的なんですね」

透華「作るのはうちで雇ってるパティシエなので味は保証しますわ」

佳織「ぱ、パティシエ……」

京太郎「まぁ、比較にならないから気にしない方がいいぞ、色々と」





智美「わはは、カブトムシ発見」

衣「見せて見せて!」


京太郎「ふぅ、食休みだな。おいしかったな、さっきの」

佳織「そうですねぇ……はっ!」


佳織(龍門渕さんはお花をつみにいったし……もしかして二人きり?)

佳織(ど、どうしよう……)


『君のこと、よく知りたくてさ』


佳織(あ、あぷろーちされちゃったりするのかなっ)


京太郎「そういや、蒲原とは幼馴染なんだっけ?」

佳織「そ、そうですっ」

京太郎「昔からあんなやつなのか?」

佳織「なんか申し訳ないんですけど……はい」

京太郎「はは、面白いやつだよな。なんだかんだで加治木が一緒にいるのもわかるよ」

佳織「え?」



京太郎「加治木は頼りになるし……まぁ、俺も世話になったことあるんだけど」

京太郎「東横は結構人懐っこいよな。なんか構いたくなる」

京太郎「津山のやつにはスナック食いすぎると太るぞって言っといてくれ」


佳織「……あの!」

京太郎「ん?」

佳織「わ、私はどうでしょうかっ」

京太郎「え、妹尾さん?」

佳織「か、佳織です!」

京太郎「あ、ああ……佳織、さん?」

佳織「呼び捨てで構いません!」

京太郎「じゃあ佳織……でいいの?」

佳織「はい!」


京太郎(あれー? 俺なんかしたっけな?)

京太郎(……まさか合宿の時のアレが本気に取られたってことはないよな……?)



京太郎「君はなんていうか……普通だな」

佳織「普通、ですか?」

京太郎「普通の女の子で、普通にかわいいと思う」

佳織「か、かわっ」

京太郎「ま、あんまり話したことないし、仲良くしようぜ」

佳織「ひゃいっ」


透華「……じー」


京太郎「……戻ってたなら言えよ」

透華「お邪魔にならないように配慮したつもりですわ。気づかないぐらい夢中なようでしたから」

京太郎「含みがあるな」

透華「いーえ、なんでもありませんわ」





京太郎「荷物は積んだかー?」

衣「愚問だな、きょうたろー。カブトムシさんもほら」

京太郎「虫かご? そんなもんまであったのか」

透華「これも備えの一環ですわ」

京太郎「あー、はいはい」

衣「カエルさんの隣に引っ越す予定だよ」

京太郎「ちゃんと世話しろよ?」

衣「ん、当然だ」


佳織「あの、智美ちゃんがまだ」


京太郎「あれ、どこいったんだあいつ」

佳織「さっきトイレ行ってくるって言って、でも少し遅くて」

京太郎「仕方ないな、ちょろっと探しに行ってみるか」


智美「わはは、遅くなった」


佳織「あ、智美ちゃん」

京太郎「タイミングいいな。もうちょっとで探しに行くとこだった」

衣「サトミ、帰るぞ」

智美「あー、それなんだけど」

透華「なにか問題でも?」

智美「問題というかなんというか……まあ、とりあえず車で移動しよう」





京太郎「断れ」

智美「いやー、でもなんか意気投合しちゃって」

京太郎「走り屋と意気投合してどうするんだ!」

智美「だって峠の最速を謳われたら……なぁ?」

京太郎「なぁ? じゃない! 初心者マーク付けてる身で何言ってるんだ!」


衣「む、諍いか?」

透華「なにやら揉めてるのは確かですわね」

佳織「車の中からじゃよく聞こえないけど……大丈夫かなぁ?」


京太郎「もういい、俺が断ってくる」

智美「いや、それはどうだろうか」

京太郎「うるさい、問答無用だ。来い」

智美「ああっ」



京太郎「すいません、こいつのツレなんですけど」

「なんだ、嬢ちゃん男連れか」

智美「いやいや、それほどでも」

京太郎「お前は黙ってろ」

「俺の女に手を出すなってか? 熱いねー、兄ちゃんも」

京太郎「あんたも人の話を聞いてくれ」

「心配しなさんな。バトルが終われば無事帰してやるさ。ま、その時には俺の走りにメロメロかもしれないけどな」

京太郎「いや、だから聞けよおい」

智美「そういうことなんだ。最早避けられない運命なんだ」

京太郎「叩くぞこの野郎」

智美「わ、わはは……ごめん」


「おや? なにかあったのですか?」プップー


京太郎「その声は――」

「あんたはまさか……HAGI!」

京太郎「……は?」

智美「わはは、執事さんか」

ハギヨシ「久しぶりに来てみれば……なにか問題でも?」

「そんな滅相もない! あんたが出張る事態にはなってねーよ」

ハギヨシ「そうですか」



京太郎「……なんか知り合いっぽいんだけど」

智美「だなー」

「お前ら知らないのか? この人の伝説を……!」

ハギヨシ「よしてください。もう過去の話です」


京太郎(過去ったって、ハギヨシさんが免許取って二年は経ってないよな?)

京太郎(……深く考えるのはよそう)


「たく、嬢ちゃんも兄ちゃんも人が悪いぜ。この人の知り合いだったなんてよ」

京太郎「あー、そういうことなんで」

「バトルって雰囲気でもなくなっちまったな……まあいいや、俺は行くぜ。じゃあな」

智美「お気を付けてー」





ハギヨシ「さて、これからみなさんはお帰りに?」

智美「その通り」

京太郎「ハギヨシさんは用事は済んだんですか?」

ハギヨシ「ええ、これから帰るところです」

京太郎「あんな車使ってましたっけ?」

ハギヨシ「あれは完全に私個人の持ち物ですよ」

智美「わはは、速そうだなー」

ハギヨシ「よければご同道、いかがでしょうか?」

京太郎「まあ、せっかくだし」

智美「望むところだぞ」


京太郎(今にして思えば、この申し出を受け入れたことが後の地獄に直結しているのは疑いようもない)

京太郎(未来予知できるやつでもいれば、また違った結果もあったろうに)





透華「それでハギヨシが先導を?」

京太郎「せっかくだし、いいじゃないか」

透華「私になんの相談もなく決めて……」

京太郎「ま、いいじゃんいいじゃん」

佳織「うーん……」


佳織(執事さんが前を走ってくれるならきっと大丈夫だよね?)

佳織(行く時も安全運転だったし)


衣「あ、ハギヨシの車が動き出した」

智美「出発するぞー」





京太郎「うん、穏やかだな」

透華「まぁ、狭いことを除けば不満はありませんわ」

京太郎「お、いい眺め。見てみろよ」

佳織「わぁ」

衣「眺望絶佳! 素晴らしいな」


智美「……執事さん、運転上手いなー」


佳織「――っ、智美ちゃん?」

智美「大丈夫大丈夫、ユミちんから豆腐を崩さない運転を心がけるよう言われてる」

佳織「それならいいんだけど……」

京太郎「豆腐ね……って、ちょっと待て」

智美「なんだー?」

京太郎「ハギヨシさんの車と距離、近くないか? 後ろピッタリじゃないか」

智美「問題ない問題ない」

京太郎「おい、なんで右ウィンカー出した。こっちって右車線だよな?」

智美「ただの挨拶挨拶」

京太郎「おい、ハギヨシさんが加速したぞ。お前まさか――」



智美「わはは、いっくぞー」ギュルルル


京太郎「――のわっ」

透華「――ぬわっ」

佳織「――きゃっ」

衣「――わっ」


京太郎「豆腐を崩さない運転はどこいった!?」

智美「モーマンタイモーマンタイ」

佳織「智美ちゃん、やっぱり!」

透華「あいたたた……な、何が起こっていますの?」

衣「わーい! 快速快速!」キャッキャッ


京太郎(加治木が言ってたのって、まさかこれか!?)

京太郎(くそ、ちゃんと話を聞いておくんだった!)


智美「うーん、重い分不利かー……なら加速するしかないな」



京太郎「おまっ、スピード上げてカーブに突っ込む気か!?」

智美「ガードレールがあるから平気平気」ガリガリガリガリ

京太郎「後ろ思いっきり擦ってんですが!?」


透華「も、もうダメですわ……」シオシオ

京太郎「龍門渕ぃ! アンテナがしおれてるぞ!?」

透華「あ、アンテナってなんですの……?」

佳織「ご、ごめんなさい……私が止められなかったから」

京太郎「なんでそんな悲壮感漂ってんの!? 絶望にはまだ早いだろ!」


智美「わはは、並んだぞー」


ハギヨシ『……』ニヤッ


京太郎「いや、なに好戦的な笑顔浮かべちゃってんですかハギヨシさんっ!」

透華「」チーン

佳織「も、もうダメぇ……」グッタリ


衣「いけいけー!」

智美「加速するぞー」





京太郎(そのすぐ後、過負荷でエンスト、車は嫌な煙を上げて停止した)

京太郎(なにもない道の途中だったが、ハギヨシさんの手配でどうにか俺らは無事に帰ることができた)

京太郎(そうして何人かの心に傷を残しつつ、ドライブという名の決死行は終わりを告げた)

京太郎(今回得た教訓は、蒲原の車に乗るべからず)

京太郎(あと、ハギヨシさんを煽ってはいけない、ということだ)



京太郎「加治木、ごめん」

ゆみ「いや、止められなかった私にも責任はある。なんにしても無事でよかった」

京太郎「お前って本当いいやつだな!」ダキッ

ゆみ「こらっ、抱きつくんじゃない!」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

てなわけで終了
そんじゃ次回は

『三年、夏、一足先の出立・一番星』

です

それじゃおやすみなさい

こんばんはー

もうちょっとしたらやります

そんじゃ、ぼちぼち始めますー



・三年、夏、一足先の出立・一番星


京太郎「あっちー、ただいまー」


「あ、おかえりなさーい。あんた宛になにか届いてるわよ?」

京太郎「なにかってなんだよ」

「テーブルの上に置いてあるから自分で確認してね」

京太郎「はいはーい」

「ラブレターだったりして」

京太郎「郵便で送ってくるとかどんだけ奥手だよ」


京太郎「えっと、これかな?」


『京太郎くんへ♡』


京太郎「ハートマーク? 埼玉からだけど、知り合いなんていたっけ?」ベリベリ

京太郎「これは……!」





久「もう七月も終わりねー」

京太郎「そうだなー」

久「もうすぐ向こうに行かなきゃねー」

京太郎「そうだなー」

久「旅館の予約はバッチリなんでしょー?」

京太郎「そうだなー」

久「ちゃんと聞いてるー?」

京太郎「そうだなー」

久「空返事ってかんじねー」

京太郎「そうだなー」



久「しょうがないわねー……よいしょ」ダキッ

京太郎「……久ちゃん、暑い」

久「エアコン壊れてるんだから我慢」

京太郎「だからってくっつくことないだろ」

久「お望みならもっと熱くしてあげるわよ? ベッドの上で」

京太郎「……ゴムがないからパスで」

久「あら、あったらいいの? じゃあ今度から用意しとこうかな」


まこ「こら、部室でなにしとるんじゃ」


久「まだなにも。未遂よ」

まこ「やろうとしていたことは否定しないのかい……」

京太郎「まこっちゃん来たし、帰ろうぜ。早く涼みたい」

久「そうね」





京太郎「すーずーしーいー」

まこ「営業妨害じゃ、やめんか」

京太郎「大丈夫、顔見知りしかいないし」

まこ「はぁ……いつからこの店は麻雀部のたまり場になったんだかのぅ」

久「そんなの去年からじゃない」


「いやー、感慨深い。もう一年以上になるのか」

「今年もおじさんたち、応援しちゃうぞー」



久「はーい、ありがとねー」フリフリ

まこ「にしても、一年坊たちは買い物じゃったか?」

京太郎「東京に行くからって張り切ってたな」

まこ「一方わしらはなぜか学生議会の手伝いと」

久「終わったことは気にしない方向で」

京太郎「まぁ、一太に恩が売れたしいいけどよ」

まこ「哀れ副会長……」


京太郎「思えば向こうの部屋に荷物持ってちゃえば良かったな」

久「そうねぇ、でもまさかエアコンが壊れるなんて思わないじゃない」

まこ「午前で部活を打ち切って正解じゃったか」

京太郎「まこっちゃんがトイレに行かなければなー」

久「そうよー、私たちを蒸し焼きにしようって魂胆だったわけ?」

まこ「知らんわ」





久「もう充分涼んだし、そろそろ帰る?」

京太郎「だな」

まこ「帰れ帰れ」

京太郎「あ、そうだ」

久「忘れ物?」

京太郎「いや、東京行く日だけど……俺だけ一日早めていいか?」

久「は? なんで?」

京太郎「それはなんというか……」


まこ「一日早いとなると……瑞原プロのライブがあるらしいのぅ」


京太郎「……」ギクッ

久「……あんた」

京太郎「しょうがないだろ! たまたまチケット手に入っちゃったんだよ!」

久「今からでも転売できるかしら?」

京太郎「それを売るなんてとんでもない!」





久「……それで、ダメって言ったらどうするわけ?」

京太郎「申し訳ないと思いながら一足先に東京に行く」

久「じゃあ実質無意味じゃない……」ハァ

京太郎「久ちゃん、後生だから!」

久「ふぅ……まこ、どう思う?」

まこ「いかしてやればええじゃろ」

京太郎「信じてたぜまこっちゃん!」

まこ「ええい、やかましい!」

久「ま、それもそうね。いいわよ、別に」

京太郎「マジか?」

久「まぁ、いつも頑張ってもらってるご褒美みたいなものね」

京太郎「ひゃっほう!」


まこ「しかし、一年坊たちにはどう説明するんじゃ?」

久「適当に濁しておきましょ。モチベーション下げられても困るし」

まこ「しかし、瑞原プロのことになるとあれじゃのぉ」

久「病気よ病気。昔っから治る見込みなし」





京太郎「着いたぜ東京!」


京太郎「さーて、開場は夕方だし、どこで暇つぶすかな」

京太郎「まぁ、そこらへんうろつくか」

京太郎「そうだ、たまにはゲーセンでも行ってみるか?」

京太郎「格ゲーの腕、錆落とししとくか」





『YOU WIN!』


京太郎「もう10連勝か……ここまで来ると相手が心配になってくるな」


『あーもう! どーして勝てないのよー!』バンバン!


京太郎「あーあ、やっぱヒートアップしてる」

京太郎「……そろそろ退散するか?」


『もういい! 顔見て文句言ってやるんだから!』


京太郎「やばいやばい、早いとこ逃げないと――」ソソクサ


「そこのあんた! 待ちなさいよ!」ガシッ



京太郎「なんだなんだ、人違いじゃないのか?」

「え、そうなの?」

京太郎「そうそう。なんか知らないけど、さっきまで格ゲーやってたやつはあっち行ったけど」

「……本当に?」

京太郎「本当本当、ポチョムキンに誓ったっていい」

「むー、嘘だ!」

京太郎「なんでやねん」

「だってそこは普通ジャスティスに誓ってでしょ?」

京太郎「お前なぁ、そんな性能にばっか頼ってるから10連敗も……あ」

「やっぱり!」

京太郎「あー……」

「かーえーせー! 私のお金と時間をかーえーせー!」

京太郎「わかったわかった! ……とりあえずガリガリ君でどうだ?」

「じゃあガリガリ君リッチがいい」

京太郎「よりにもよって高いやつを……」





「ごちそーさまっ」

京太郎「これで気は済んだか?」

「んーん、こんなんじゃまだまだ心の傷は癒えないんだからねっ」

京太郎「はいはい、でも俺、用事あるから」

「えー? なによ、その用事って」

京太郎「まー、端的に言えば……暇つぶし?」

「やっぱり暇なんじゃん!」

京太郎「いや、でもお前の相手をしてる暇はない」

「なによ偉そうに……上から目線はやめてよね!」

京太郎「そりゃあ、背も歳も俺の方が上っぽいしな」

「むー、あんた何歳なのよ」

京太郎「高校三年の17歳」

「じゃあ私のほうが偉いじゃん! だって実力的には高校百年生だもん!」

京太郎「……で、実年齢は?」

「ピチピチの15歳」

京太郎「あー、はいはい」



京太郎(こいつはつまりあれか、アホの娘チーム所属か)


京太郎「大体わかったよ、お前のことは」

「ふふんっ、やっぱりわかっちゃう? きっと滲み出ちゃってるんだよね、色々」

京太郎「変な汁とか?」

「気持ち悪いこと言わないでよっ」


「白糸台高校のチーム虎姫、期待の新星とは私、大星淡ちゃんのことなのだ!」


京太郎「……虎姫?」

淡「そーそー、強いんだよ?」



京太郎(ってことは……白糸台のレギュラーってことじゃん)

京太郎(このアホそうなのが照ちゃんや弘瀬のチームメイトなのか)


淡「私に見とれちゃった? やっぱ可愛さって罪?」

京太郎「アホか」ピシッ

淡「いたっ、なにすんのよー!」

京太郎「お前がすごいのはわかったから、俺はもう行くぞ」

淡「ちょっ、なけなしのお金を失った可憐な女の子を置いていくつもり!?」

京太郎「あー、そういう攻められ方するとなぁ」

淡「あんたなんか面白そうだし、デートしてあげてもいいよ?」

京太郎「とりあえず上から目線やめようなー」グニグニ

淡「いひゃいいひゃいっ」





淡「ふっふっふ、クレーンゲームの実力を見せてあげるんだから」チャリン

京太郎「ガンバレー」

淡「こうして、こうして……いけっ」ポロッ

京太郎「こぼしたな」

淡「も、もう一回!」チャリン


淡「……そこっ」ポロッ


淡「う~……」チャリン

京太郎「ちょっとかわれ」

淡「あっ」


京太郎「横はこんぐらいで、縦は……いけるか?」ガタン


京太郎「どーよ?」

淡「ふんっ、私がずらしてあげたおかげじゃん」

京太郎「そうだな、えらいえらい」ワシャワシャ

淡「か、髪崩れちゃう!」

京太郎「悪い悪い。これやるよ、俺はいらないし」

淡「……仕方ないからもらってあげる」





淡「いっただきまーす」

京太郎「食え食え、俺の奢りだ」

淡「ん、おいしー! 他人の奢りだと思うと余計に!」

京太郎「まったく……ほら、付いてるぞ」ヒョイ

淡「あ……」

京太郎「悪い、いつもの癖で」

淡「べ、別に気にしてないしっ」


京太郎(そんな風には見えないけど、突っ込むのは野暮か)





京太郎「……なぁ」ギュウギュウ

淡「……なに?」ギュウギュウ


京太郎「たったひと駅だったら、電車使わなくてもよかったんじゃないか?」

淡「歩くの疲れたんだもん」

京太郎「ピーク時ほどではないんだろうけど、中々に混んでるな――」


――ガタンッ


京太郎「っと、大丈夫か?」

淡「あ、あわっ」


淡(か、壁ドン……)



淡「だ、大丈夫」ウツムキ

京太郎「そうか? お前なんか顔赤いし、ここ、ちょっと暑いから」

淡「平気だってば」

京太郎「いや、いいから顔見せろ」クイッ

淡「あわわっ!?」


淡(今度は顎クイ!?)

淡(近い近い、近いってば!)


淡「~~っ」ガブッ

京太郎「いって!」





淡「う~、納得いかない!」

京太郎「一応手加減したんだけどな」

淡「手加減してスコア130? 嘘でしょ!」

京太郎「だってお前、こっちは利き手封印してるんだぞ?」

淡「もうボールから指が抜けなくなってドラえもんみたいになっちゃえ!」

京太郎「いっつもボウリングのボールぶら下げてたら、すごく力つきそうだな」

淡「でしょ? まさにいっせきにちょーってやつだね」

京太郎「いや、どう考えてもデメリットの方が多いからな」

淡「とにかく! 罰ゲームとしておんぶをすること! もうへとへと!」

京太郎「どうして勝った俺が罰ゲームよ」

淡「とーにーかーく!」

京太郎「わかったから耳元で騒ぐな!」





淡「――♪」ムニュムニュ


京太郎「……」

淡「どったの? もしかして淡ちゃんの魅力に気がついちゃった?」

京太郎「いや、この格好目立つなって」

淡「私は恥ずかしくないから別にいーもん」

京太郎「羨ましいメンタルだ」


京太郎(あと、こいつ意外に胸でかい)


淡「んっふー」

京太郎「くすぐったいからやめろ」

淡「だってなんかいい匂いするんだもん」

京太郎「それはきっと汗のスメルだな」

淡「気持ち悪いこと言わないでっ」

京太郎「こんな気温でくっついてりゃどろどろになるわな」

淡「ふーんだ、どろどろになっちゃえばいいじゃん」

京太郎「条件はお前も全く変わらないからな」





京太郎「さて、スタート地点に戻ってきたわけだけど」

淡「うーん、まだ遊び足りないような……あ」

京太郎「ん?」

淡「ちょ、ちょっと隠れるから適当にごまかしといて!」タタッ

京太郎「は?」


「まったく、あいつはどこに行ったんだ……!」


京太郎「あれは……弘瀬?」

京太郎「誰か探してるのか?」

京太郎「……なるほど、大体わかった」


菫「――ん?」

京太郎「よう、お久しぶり」

菫「……須賀くん、か?」

京太郎「うん」





菫「そうか、今年は団体戦で、か」

京太郎「自分で言うのもなんだけど、うちのチームははっきり言って強いぞ」

菫「清澄か……そうだ、たしか照の妹がいるところだったな」

京太郎「そいつが大将なんだ」

菫「そっちも大将が一年か……まぁ、うちほど聞き分けがないわけじゃないんだろうが」


京太郎(もしかしなくても大星のことだろうな)

京太郎(……今なら聞ける、か?)


京太郎「なぁ、照ちゃ――そっちの宮永は元気か?」

菫「なんだ、知り合いだったのか?」

京太郎「中学が同じだったんだ」

菫「本当に奇妙なところでつながりがあるな……あいつはいつも通りポッキーばかり食べてるよ」

京太郎「……そうか」

菫「……ところで」



菫「あのことは誰にも言ってないだろうな?」


京太郎「……え?」

菫「しらばっくれるつもりか?」

京太郎「待て、ちょっと待て」


京太郎(あのことってどのことよ)

京太郎(てか、こいつとなんかあったっけ?)

京太郎(特にはなにもなかったような……あ)


京太郎「さぁ? 俺はネト麻とかやってないしな、SSSさん」

菫「くっ、私を脅すつもりか……!」

京太郎「だから、俺とお前の間には何もなかった……これでいいんだろ?」

菫「え、あ……そうしてくれると助かる」

京太郎「それより、誰か探してるんじゃなかったのか?」

菫「そうだった……じゃあ、もし金髪の生意気そうな女子を見かけたら知らせてくれ」

京太郎「了解」





京太郎「とは言ったけど、俺あいつの連絡先知らないんだよな」

京太郎「まあ、最悪久ちゃんに聞けばわかるけど」


淡「ねぇねぇ、スミレとは知り合いだったの?」ヒョコ


京太郎「お前、まだうろついてたのか」

淡「答えてよー」

京太郎「まぁ、二年ぐらい前に知り合ったんだ」

淡「ふーん、テルとも知り合いなの?」

京太郎「よくわかったな」

淡「そんな気がしただけ」

京太郎「まぁ、古馴染みだよ……とりあえずお前、もう戻ったほうがいいんじゃないか? なんか探されてるみたいだし」

淡「えー? 今戻ったら絶対大目玉だし」

京太郎「お前はなにをしでかしたんだ」

淡「別に大したことじゃないもん」


淡「でも、そこまで言うんだったら戻ろうかな?」



京太郎「案外聞き分けいいな」

淡「ね、名前なんていったっけ?」

京太郎「須賀京太郎」

淡「京太郎きょうたろう、キョータロー……うん」


淡「キョータローはさ」

京太郎「ん?」

淡「私のものになる気ってある?」

京太郎「は?」

淡「だーかーら、私のもの」

京太郎「いやいやいや、どこをどう跳躍飛躍してそんな言葉が飛び出したんだ!?」

淡「だって、キョータローといるとゾクゾクしてドキドキしてあったかくて……なんかもう色々なんだもん」

京太郎「だからって私のもの、はないだろ……」

淡「別に今すぐじゃなくてもいいけど、これだけは言っとくね」


淡「私をその気にさせたんだから、責任とってよ。絶対逃がさないから」



京太郎「……急に言葉が重いな」

淡「だから、これは予約ね……んっ――」

京太郎「――んっ」


淡「淡ちゃんの初めての味はどーだ!」

京太郎「どうもこうも……お前は馬鹿か!」

淡「日本のことわざにあるよ? バカって言ったほうがバカだって」

京太郎「そんなことわざはない!」

淡「あるもんっ」





淡「これからどうするの?」

京太郎「まだ時間余ってるしな……ま、適当だな」

淡「じゃあ私たちのところ来ない? 一緒に謝ろうよ」

京太郎「いや、俺が謝る理由がどこにもない」


京太郎(もし謝らなければいけないのならそれは――)


淡「いいからいいから、早くっ」グイッ

京太郎「おわっ」





『それで、淡は?』

『さっきメールが来たよ。もうすぐ戻るって』


淡「テルとスミレだね」

京太郎「……」

淡「ほら、行こうよ」

京太郎「……いや」


京太郎(照ちゃんの声が聞きたい、顔が見たい)

京太郎(でも、それ以上に怖いんだ)

京太郎(自分が何を言うのか、何を言われるのか)

京太郎(照ちゃん、どうして――)


京太郎「やっぱやめとく」

淡「えー? 知り合いが三人もいるんだから大丈夫だよ」

京太郎「そういう問題じゃないんだよ……じゃあな」

淡「あっ」


淡「……行っちゃった」





淡「ただいまー」


菫「淡! お前はまたミーティングをサボって……!」

淡「だって今更じゃん。それよりさ、テル?」

照「なに、あわ、い……まさか」クン

淡「うん、キョータローに会っちゃった」

照「そう……」

菫「あいつ……まさかお前を庇ってたのか?」

淡「そうみたい。私、愛されちゃってる?」

照「……」

淡「それでさ――」


淡「キョータローのこと、もらっちゃっていい?」


淡「別にテルのお下がりでもいいよ? そんなの関係ないもん」

照「……淡――」


照「――ふざけないで……!」ゴッ



淡「やだ、冗談だってば」


淡(半分はね)

淡(だってキョータロー、キスが初めてって感じじゃなかった)

淡(ちょっとだけ、かなり……結構気に入らないよね)


淡「ね、スミレ?」

菫「あ、ああ……」

照「……」

淡「――♪」


菫(私の場違い感はなんだ?)

菫(……なんか無性に帰りたくなってきた)





京太郎「……なんだかな」

京太郎「我ながら、妙な奴に気に入られるよな」

京太郎「それに……」


『――私が京ちゃんから離れてくなんてありえない」


京太郎「……やめよう」

京太郎「っと、そろそろ時間だな」

京太郎「せっかくだし、はやりんに癒してもらおう、そうしよう」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
夏、一足先の出立・一番星
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

というわけで終了です
淡は出番が遅い分、肉食系なのは確定的に明らか

というわけで次回は

『三年、夏、知り合いの多いインターハイ』です

明日か明後日、安価コンマ取りまくるかもしれません
それじゃ、おやすみなさい

嫉妬を克服した姫様だったら他の人お構いなしにいちゃつこうとするからきっと火に油

それはともかく、人います?

それじゃ、各校の中から登場済みのキャラをどうぞ

まずは永水

下1~下5

うーん、はるるは範囲外だけど三つなので採用

次は千里山で

下1~下5

うんまぁ、これは怜で

次、宮守

下1~下5

豊音強し

次、新道寺
つってもまいひめのどっちかですけど

下1~下5

見事なシマシマ具合
とりあえずマイル・シローズで

次、姫松

下1~下5

はるると同じ理屈で愛宕ネキで

次、有珠山

下1~下5

またまた同じ理屈でチカセン決定

じゃあ今度は智葉以外の臨海メンバーを一人

下1~下5

やだ、ネリコンばっか……
ともあれネリーで

安価で決定したキャラの出番は確定です
それ以外も出ないわけじゃないですけど

それじゃ、今日はこれで失礼します

阿知賀と白糸台は固定イベントです

個人戦のみの人はまた別枠です

今回は団体戦メインなので

まぁ、議論はほどほどに

仮に複数端末がいたとして、明確な対策は取れないですからね
そこらへんはみなさんの良心を信じるしかないです

それはともかく、もう少ししたらやります

そんじゃ、ぼちぼちやります



・三年、夏、知り合いの多いインターハイ


優希「到着!」

和「東京……去年以来ですね」

久「私とまこもそこらへんは同じねー」

まこ「まぁ、わしは応援しとっただけじゃけぇ」

咲「……」


咲(お姉ちゃん、お母さん……)


和「咲さん、頑張りましょう」

咲「……うん」

優希「私をハブるとは何事か!」

和「きゃっ」

久「ほんと、仲間はずれとかひどいじゃない」

咲「わっ」


まこ「暑苦しいことしとらんではよせんかい」





京太郎「お、来たか」


和「先輩っ」タタッ

京太郎「? どうかした?」

和「もう……寂しかったんですよ?」ギュッ

京太郎「あ、ああ」


京太郎(あれ、なんか距離近くない?)


まこ「注意せんでいいのかの?」

久「私が注意するとブーメランになる可能性もあるのよねぇ」

優希「むむむ、危険な香りがするじぇ」

咲「なによ、デレデレしちゃって」



京太郎「と、とりあえず部屋行こうぜ。ほら、先に鍵もらっといたから」


久「それじゃ、行きましょ。荷物置きたいしね」

まこ「そうじゃな」

優希「そろそろタコスの時間かー?」

京太郎「先に売ってる店見つけといたから、後で行ってみろ」

優希「同伴希望!」

京太郎「まこっちゃん、出番だ」

まこ「わしにふるな」

優希「うぅ、つれないじぇ」

京太郎「冗談だ。連れてってやるよ」

優希「せんぱーい!」ダキッ

京太郎「重いからおりなさい」





京太郎「んじゃ、俺はそろそろ部屋戻るな」


久「おやすみー」

まこ「夜更しせんようにな」

優希「明日もタコスよろしくだじぇ」

和「おやすみなさい」

咲「おや、すみ……」ウトウト


――パタン


久「さ、私たちも寝ますか」

優希「えー? もうちょっと遊んでもバチは当たらないじぇ」

まこ「明日寝坊したら元も子もないじゃろ」

和「そうですよ。明日は試合じゃないとはいえ大事な日なんですから」

優希「う~、咲ちゃんはどうなんだじぇ?」

咲「……」ウツラウツラ

久「聞くまでもないみたいね。じゃあ電気消すわよー」





優希「zzz……」クカー


和(あれだけ騒いでた割に、すぐに寝ちゃいましたね)

和(他のみんなももう寝たみたいですし……)

和(……行きましょう)

和(お父様、和は今日、悪い子になってしまいます)

和(先輩、待っていてください……!)ムクッ


和「……」ソロー


久「あら、どこか行くの?」

和「――っ」



和「ぶ、部長? 起きてたんですか?」

久「まぁね。で、トイレ?」

和「は、はい」

久「でも、トイレなら部屋の中でもいいと思うんだけど」

和「じ、実は眠れないので散歩に行こうかと」

久「じゃあ私も行こうかな。ちょうど眠れなかったし」

和「え、それは……」

久「ダメなの?」

和「あ……わかりました」

久「そ、じゃあ夜のデートとしゃれこみましょうか」


久(起きててよかった……この子、見かけによらず相当大胆じゃない)

和(そ、そんなぁ……)


まこ「ん……誰か出ていったのかの?」

まこ「ふわぁ……トイレ」





咲「ん、んん……」モゾモゾ

咲「お、おしっこしたい……」

咲「トイレ……あれ、だれか入ってる?」

咲「ど、どうしよう……漏れちゃう……!」

咲「そ、外のトイレに……」ガチャ



咲「ふぅ……間に合って良かったぁ」

咲「ん……」ウトウト

咲「部屋、戻ろ」





京太郎「zzz」


――コンコン


京太郎「――んん?」


『開けてよぉ』コンコン


京太郎「うるせぇな……」ガチャ

京太郎「開けたから勝手に入れー」

京太郎「ふわぁ……寝よ」





優希「んー、いい朝だじぇ」

まこ「ん、もう朝か……」

優希「おはようだじぇ」


久「……もう朝なの?」

和「……こんなはずじゃなかったのに」


優希「なんか眠そうだじぇ」

まこ「夜更しでもしとったんじゃろ」

優希「ずるいじぇっ」

まこ「まったく……ん?」


まこ「そういえば、咲は……?」


久「なに? いないの?」

優希「布団はもぬけの殻だじぇ。しかも体温は残ってないところを見ると……犯行は夜か!」

和「も、もしかして……」





京太郎「……」


咲「ん~」ギュー


京太郎「どうなってんの、これ?」

京太郎「こいつを部屋に入れた覚えは……あれって夢じゃなかったのか?」


久「そこまでよ!」ガラッ

和「先輩っ」


京太郎「な、なんだ!?」


久「やっぱり……!」

和「そんな……」



京太郎「待て、まずは話を聞け」

久「話もなにも、こうやって部屋に迎え入れてる時点でアウトでしょ」

京太郎「そもそもお前らはどうやって入ってきたっ?」

久「ドアにスリッパ挟まってたわよ」

京太郎「……そんなバカな」

和「先輩! 私に言ってくれればいつだって……!」

京太郎「落ち着け!」


咲「えへへ~、京ちゃぁん」スリスリ


京太郎「お前は起きろ!」





京太郎「あぁ、ひどい目あった……」


「大丈夫ですか?」


京太郎「あれ、ハギヨシさん?」

ハギヨシ「久しぶり、というほど間は空いてないですね」

京太郎「ということは龍門渕の面々も?」

ハギヨシ「ええ、こちらの方でホテルを取っています」


ハギヨシ「ところで、またなにかあったみたいですね」


京太郎「わかります?」

ハギヨシ「君のことだ。いつものことですね」

京太郎「手厳しいな……実はですね――」





優希「寝ぼけてたとは言え大胆だじぇ」

咲「うぅ、だって眠くてよくわからなかったんだもん……」

和「何事もなくてよかったです……」ホッ

優希「にしても、寝ぼけてると方向音痴が治るとはまた驚きだじぇ」

和「そうですね。外のトイレに行ったんですよね?」

咲「そう、だと思う」


まこ「ほれ、そろそろうちの部長の番じゃ」


『長野、清澄高校――!』


久『……』トテトテ



和「もしかして、緊張してます?」

まこ「団体戦は初じゃからの」

咲「なんか新鮮……」

優希「それにしても、なんか周りがざわついてるじぇ」

まこ「うちは無名じゃが、うちの部長は去年の入賞者じゃけぇ」


『――33番!』


和「直前の姫松と同じブロックですね」

優希「その姫松の時は歓声がすごかったじぇ。有名人か?」

まこ「インハイ上位の常連じゃ。うちとは扱いも反応も違うわな」


洋榎『――』

久『――』


咲「あれ、なんか話してますね」

まこ「去年、個人戦でかち合ったからの」



まこ(しかし……)


『4 新道寺女子』

『24 阿知賀女子』

『27 永水女子』

『29 宮守女子』

『49 有珠山』

『52 臨海女子』


まこ(なんともまぁ、知り合いの多そうな)


京太郎「あれ、抽選もう終わっちゃった?」

まこ「ちょうどさっき」

京太郎「まぁ、あとで見ればいいか。久ちゃん出迎えよーぜ」





京太郎「……そろそろ開会式終わったかな?」

京太郎「出場者しか入れないんだもんな……」


哩「あれ、須賀くん?」


京太郎「そういうお前は白水」

哩「清澄、出てきたんやね」

京太郎「久ちゃん、優勝狙うって燃えてるからさ」

哩「たしか別ブロック……当たるとしたら決勝」

京太郎「あ、そうなのか。俺、抽選見逃したからさ」

哩「なんばしよったん?」

京太郎「知り合いに会って盛り上がってさ」

哩「ふぅん」ジッ

京太郎「……何その目」

哩「その知り合い、女の子?」

京太郎「いや、違うけど」

哩「そ、そう?」ホッ



京太郎「そういや、鶴田は? 今日は姿が見えないな」

哩「なんね、そんセット商品みたいな扱い」

京太郎「どっちか貰ってもう片方ついてくるならお得かな」

哩「……そい、本気?」

京太郎「ま、同時に相手すると身がもたないかもな」

哩「ハッキリせんね」


「あ、部長。ここにいましたか」


哩「花田」

「みんな待ってますよ?」

哩「ん、わかった。そいぎ、また」

京太郎「おう」

「……あの、こちらの方は」

京太郎「清澄の須賀。白水たちとは……まぁ、友達だな」

「須賀……ああ!」



「姫子と部長が――もがっ」


哩「は、花田? 余計なことは言わんでもよかよ?」

「むー」コクコク

京太郎「……いきなりどうしたよ」

哩「なんでも」

「たしかにそういうことを軽々しく話すのはすばらくないですねぇ」

京太郎「すばらくない?」

「あ、申し遅れました」


「私は花田煌と申します」スバラッ



京太郎「ああ、よろしく」

煌「同じ長野出身だとか。すばらっ」

京太郎「あれ、そうなのか。てかよく知ってたな」

煌「それはもう、部長と姫子から――」

哩「はーなーだー?」

煌「――っと、喋りすぎるのはすばらくないみたいです」

京太郎「ところで、そのすばらってなに?」

煌「すばらはすばらですよ?」

京太郎「あぁ、はい」


京太郎(多分、素晴らしいかなんかの略だろ、うん)



哩「花田、そろそろ」

煌「あ、そうでしたね」

京太郎「そんじゃ、鶴田にもよろしくな」

哩「ん、わかった」

煌「また会いましょう」


京太郎「うーむ、また面白そうな奴がいたもんだ」

京太郎「でも普通にいい子って感じだったな」

京太郎「俺の周りに足りないのはああいうのだよな」

京太郎「てかあいつらが出てきたってことは、もう開会式は終わったんだよな?」

京太郎「じゃあそろそろ俺も戻るか……ってあれは」

寝落ち完了……
続きはまた後で

微妙な時間にこんばんは
日曜っていいね!

それじゃ、もうちょっとしたら昨日の続きやります

そんじゃ、ぼちぼちやります



誓子「……」テクテク


京太郎「またまた見知った顔か」

京太郎「せっかくだし、声をかけるのもいいけど……よし」


京太郎「……」ソロー

京太郎「なあ」トントン


誓子「ひゃっ、なに――」プニッ


京太郎「よし、成功」

誓子「……なに、してるの?」

京太郎「いや、普通に声かけてもつまらないかなって」

誓子「……」ジトッ

京太郎「うっ、そんな目で見るなよ……」

誓子「……」ジトッ

京太郎「……ごめんなさい」





誓子「ふーん、竹井さんがね」

京太郎「そっちはあのメンバーでいいのか?」

誓子「うん、みんないる」

京太郎「そうか……真屋も元気か?」

誓子「……うん」


誓子(一番にユキの心配なんだ……)

誓子(ちょっと、モヤってするなぁ)


京太郎「あいつ、なんかふわふわしてるからな。お前がボディガードにつけた理由もよくわかるよ」

誓子「あ、ああ……そんなこともあったね」

京太郎「お前もちょっと言っといたほうがいいぞ。もうちょっと警戒心持てって」

誓子「あのさ、自分だけが特別って思ったことない?」

京太郎「俺が特別? まぁ、妙な連中からは好かれてるとは思うけど」

誓子「みょ、妙な連中、ね」



誓子(どうしよう、そこに自分が含められた気がしてならないんだけど……!)


京太郎「どしたよ?」

誓子「なんでもありません」

京太郎「機嫌悪い?」

誓子「悪くありません」

京太郎「……ジュース飲まない?」

誓子「飲む」





京太郎「じゃあ、みんなによろしくな」

誓子「うん、そっちも竹井さんと染谷さんによろしくね」


京太郎「さて、いい加減戻らないとな」

京太郎「……てかお腹空いたなぁ」グゥ


春「そんなあなたに黒糖」ヌッ


京太郎「おわっ、どっから出てきたっ」

春「普通に向こうから」

京太郎「腹減りすぎて気づかなかったか……」

春「んっ」ズイッ

京太郎「あのさ、手渡してくれれば自分で食べるんだぞ?」

春「それはダメ」

京太郎「マジか」



春「それとも……あれ、したい?」


京太郎「あれ?」

春「口移し」

京太郎「……それをしたいって言ったらやるのか?」

春「そっちの誠意しだい」

京太郎「まったく……あんま年上をからかうな」ワシャワシャ

春「そっちが恥ずかしい思いをすれば万々歳」

京太郎「やっぱりそれが目的か」





春「姫さまが会いたがってる」ポリポリ

京太郎「知ってる。時々手紙来るし」

春「ちゃんと返事してるの?」ポリポリ

京太郎「簡単にだけどな。てか携帯持ってないのか?」

春「うん。それに持ってても結界の中じゃ使えないし」ポリポリ

京太郎「は?」

春「電波とかも遮断しちゃうから色々不便」ポリポリ

京太郎「……お前ら普段どうやって暮らしてんの?」

春「でもワープできるから移動には割と便利」ポリポリ

京太郎「うん、聞かなかったことにするわ」



京太郎「というか、俺にも食わせなさい」

春「食べさせられたいの?」

京太郎「背に腹は代えられないか……」グゥ

春「じゃあ、まずはそこのベンチに座って。このままじゃ食べさせにくい」

京太郎「はいはい」

春「目を閉じて。視界を遮断して味覚を鋭敏にする」

京太郎「はいはい?」

春「最後……そのまま動かないで」

京太郎「はいはい……って待てこら」

春「ふぁに?」

京太郎「顔、近いとは思わないか?」

春「ふぇつに」

京太郎「そんで、なんで口に黒糖咥えてんの?」

春「ひょれはね――」

京太郎「ええい、くわえながら喋るな」パッ

春「ああっ、黒糖が」

京太郎「いただきます」ポリポリ



春(あ、間接キス……)


春「……してやられた」

京太郎「そんなに食べさせたかったのか」

春「そうだけど、そうじゃない」

京太郎「どっちだよ……まあいいや。俺はもう行くぞ」

春「うん」

京太郎「じゃあな。おいしかったぞ」

春「私の唾液?」

京太郎「アホか」





京太郎「……」グギュルルル

京太郎「とはいえ、黒糖一個じゃ足りないのは目に見えてたんだよなぁ」

京太郎「一個食べたせいで余計腹の虫が暴れだしたし」

京太郎「それに、どこからかいい匂いが――」


洋榎「串カツうまー」


京太郎「……」グギュルルル

洋榎「なんや、けったいな音やなぁ」

京太郎「お前、たしか……愛宕姉」

洋榎「そういうあんたは……ガースー」

京太郎「その黒光りしてそうな呼び方はやめろ」

洋榎「そっちこそスライムA、スライムBみたいな呼び方はやめんかい」

京太郎「じゃあ、愛宕レッド」

洋榎「なんでやねん」ビシッ

京太郎「おっと」サッ

洋榎「なんで避けるねん」ビシッ

京太郎「ほっ」サッ



洋榎「……」

京太郎「……」


洋榎「なんでやねんっなんでやねんっなんでやねんっ」ビシッビシッビシッ

京太郎「よっほっはっ」サッサッサッ

洋榎「なんでやねん――と見せかけて回し蹴りっ」シュガッ

京太郎「甘いっ」サッ





洋榎「はぁ、はぁ……」

京太郎「い、意外にスタミナあるな……」

洋榎「もうかれこれ何発ツッコミを繰り出したことやら……」

京太郎「えっと……334ぐらい?」

洋榎「なんでや! 阪神関係ないやろ!」


京太郎「冗談はさて置き、疲れないか?」

洋榎「……無駄に体力消耗してもうたな」

京太郎「だろ? だからここは――」


怜「そこで癒し系美少女の登場やねん」


京太郎「いやー、お前けっこうやるじゃん」

洋榎「うちもまさかあないツッコミかわされるとは思わへんかったわ」


怜「ちょーい、お二人さーん」





京太郎「久しぶり」

洋榎「たしか千里山の……」


怜「そ、あなたの怜ちゃんやで」


怜「ね、ダーリン」ギュッ

京太郎「こら、くっつくんじゃない」

洋榎「なんや、浮気かいな」

京太郎「誰とも付き合ってないのに浮気になるとは」


洋榎「え」

怜「……」ピクッ


京太郎「なんで驚いてんの?」

洋榎「竹井と付き合っておらへんの?」

京太郎「まぁ、付き合ってはいない」

洋榎「なんや曖昧やなぁ」



怜「というわけで、今はうちのダーリン(仮)なんやで?」

洋榎「(仮)と言うたら、いつになったらガールフレンドは本物になるんやろなぁ」

怜「きっとあれやな、だから中々進展がないんやろな」

洋榎「せやなぁ」

怜「ところで、その串は暗殺用?」

洋榎「そーそー、仕事人みたいに……って違うわ! 普通に串カツや、串カツ」

怜「ほー、串カツ」

洋榎「この前タレ漬けるの失敗してもうて、ごっつ寂しい思いしたねん。二度漬け厳禁やねん」

怜「せやったら容器持ってタレかけたらええやん。ダバーって」

洋榎「――新しい!」


京太郎「お前ら、知り合いだったの?」

怜「ううん、特に」

洋榎「セーラと一緒にいるとこ見るぐらいやな」

京太郎「……これが関西人か」


怜「いえーい」パシ

洋榎「いえーい」パシ





洋榎「そんじゃー、竹井によろしくなー」


京太郎「ふぅ、なんか一気にエネルギー持ってかれたな」

怜「うちで良ければチャージさせたってもええよ?」

京太郎「チャージって、なにするんだよ」

怜「まず、須賀くんがうちを背負います」

京太郎「さらに疲れる気しかしないから却下」

怜「よよよ……病弱なうちを見捨てる気なんやな」

京太郎「エネルギーチャージの件はどこいった」

怜「おっぱい押し付けられたら元気になるんとちゃう?」

京太郎「もうちょっと増量してから出直せ」

怜「ふむ、大中小で言えば中ぐらいはあると思うんやけどな……触ってみる?」モミモミ

京太郎「え、いいの?」

怜「ほんまにダーリンになってくれるんやったら」

京太郎「そうきたか」



「あ、園城寺先輩、ここにいましたか」


怜「泉やん。どしたん?」

「どしたん? じゃないですよ! トイレ行きたいって言ったからついていったのにもう……」

京太郎「この学校側に喧嘩売るような改造制服のやつは後輩か?」

「うぇっ、お、男の人ですか?」

怜「うちのダーリン」

「ええっ!?」

京太郎「冗談だからな?」

怜「せやなぁ、本気に取られて竜華に漏らされたら大変やし」

「そ、そうですか……」


京太郎「須賀京太郎だ。よろしくな」

「二条泉です」



怜「じゃあ、うちは須賀くんとデートしてくるから」

泉「わかりました……って言うわけないでしょ! 戻りますよ」

怜「あーん」ズルズル

京太郎「うんまぁ、気をつけてな」

怜「竹井さんによろしくー」ズルズル


泉「竹井……?」ピタッ


泉「竹井久と同じ学校なんですか?」

京太郎「ああ、清澄高校麻雀部の副部長やってる」

泉「じゃああの原村とも同じってことやないですか!」

京太郎「あれ、知り合い?」

泉「インターミドルでちょっと……言っといてください、次は負けへんって」

怜「ほななー」


京太郎「ライバルってやつか……いいねー、そういうの」

京太郎「ちゃんと伝えといてやるか」





久「遅い」

京太郎「ごめん、知り合いに遭遇しまくってさ」

久「まぁ、私も何人かと話したけどね」

京太郎「だろ?」

久「それにしても遅い」

京太郎「うっ」


優希「もうお腹ペコペコだじぇ」

和「ゆーきはさっきタコスを食べてたでしょ?」

優希「タコスはタコス腹!」

まこ「ビール腹の仲間かい」

優希「それはさすがにやだじぇ!」



京太郎「ああ、はらむ――和」

和「なんでしょうか?」

京太郎「さっき二条ってやつに会って伝言頼まれた。次は負けないってよ」

和「二条? 誰でしょうか?」

京太郎「え、知り合いじゃないのか?」

和「はい、覚えもありませんし」

京太郎「ぉう、そうか……」


京太郎(こいつが単純に覚えてないだけか、向こうの一方的な執着か……)

京太郎(どっちにしても二条……哀れな)ホロリ


優希「それにしても咲ちゃん遅いじぇ」


久「え」

まこ「え」

和「え」



京太郎「……おい、まさかまた迷子か?」

優希「多分そうだじぇ。トイレ行くって言ってたし」

まこ「ついて行かなかったんかい……」

優希「近いしきっと大丈夫だと思ったんだけどなー」

和「ゆーきは楽観的すぎます」

優希「そこまで悲観される咲ちゃんも咲ちゃんだじぇ」


京太郎「しょうがない……行ってくる」

久「悪いけどお願い」





京太郎「よく知ってるとこでも迷子になるのに、こんなとこで単独行動とか……」

京太郎「えっと、トイレはここだから……ここからありえないって方に行けば――」


「あ、京太郎くんだー!」


京太郎「――むぐっ」

豊音「やっぱり来てたんだねっ」ギュー


豊音「あのねあのね、今年は私たちも頑張って来たんだよ?」

豊音「シロもエイスリンさんも胡桃も塞も!」

豊音「みんな竹井さんや京太郎くんに会えるって喜んでたんだよ?」


京太郎「」

豊音「京太郎くん?」

京太郎「」

豊音「京太郎くーん!」





豊音「ほんとごめんなさいだよー」

京太郎「いいって、なかばもう恒例だし」

豊音「そう言ってくれるとありがたいかな」

京太郎「にしても宮守がな……」

豊音「これも全部先生のおかげだよー」

京太郎「熊倉さんだっけ?」

豊音「うん、すっごく強いんだよ?」

京太郎「まぁ、ただものではない感じはしたけどな」


京太郎「エイスリン、元気か?」

豊音「あ、はとこさんだったんだよね。うん、日本語もけっこう話せるようになったんだよ?」

京太郎「そっか……で、小瀬川は?」

豊音「シロは相変わらずダルダルだよ?」

京太郎「まぁ、だろうな」

豊音「……シロとなにかあったのかな?」

京太郎「いや、特には」

豊音「も、もしかしてだけど……シロに一目惚れ、とかじゃないよね?」

京太郎「そんなんじゃないって」

豊音「良かったよー」ホッ





豊音「京太郎くん、お昼は?」

京太郎「あー、そうだった。探さないといけないんだった」

豊音「なにかなくしたの?」

京太郎「うちの一年が絶賛行方不明中」

豊音「た、大変だよー!」

京太郎「ああ、いつものことなんだけどさ」

豊音「大丈夫なのかな?」

京太郎「多分な」

豊音「うーん、でもそれじゃあんまり引き止めるのも悪いよね」

京太郎「まぁ、昼飯早いとこ食いたいし」グゥ

豊音「あ、もしかしてお邪魔しちゃったかな?」

京太郎「気にすんな。久しぶりに会えて嬉しいのはこっちも同じだから」

豊音「……ちょー嬉しいよー」グスッ

京太郎「んじゃ、また会おうぜ」



豊音「あ、ちょっと待って!」


豊音「京太郎くん、これ」

京太郎「……色紙?」

豊音「原村さんのサイン、お願いします」

京太郎「そういや冬に久ちゃんのサインももらってたな」

豊音「インハイに来たからには色んな人のサインをもらいまくるんだよー!」

京太郎「うんまぁ、頑張れよ」


京太郎(インハイの有名人と知り合いだって言ったら大変なことになりそうだな……)


豊音「またね、京太郎くん」

京太郎「おう」





咲「ここ、どこぉ」ゴウンゴウン


京太郎「やっと見つけた……」

咲「きょ、京ちゃん!」

京太郎「お前はどこに行くつもりだよ」

咲「だ、だって知らないとこなんだもん」

京太郎「知ってるところでも迷子になってるだろうが!」

咲「あれは寄り道してるだけ!」

京太郎「ああもう、どっかのだれかと同じ言い訳を……とりあえず出るぞ」グイッ

咲「ひ、引っ張らないで!」

京太郎「いいから黙ってついてこい」

咲「……強引」





京太郎「ちゃんといるか?」

咲「……ずっと手、握ってるでしょ」

京太郎「いつの間にかすり替わってるかもしれないからな」

咲「それ、軽いホラーだよ……」


「……」


咲「京ちゃん、あの子」

京太郎「ん? 幽霊でも見えたか?」

咲「違うよ、自販機の前にいる子!」

京太郎「ああ、あの子な。ジュースでも飲みたいのかね?」

咲「あの子、なんだかちょっと……」

京太郎「それとも迷子か? ならほっとくのもあれだし……」


京太郎「とりあえずお前はここを動くな。すぐ戻るから」


咲「あ、ちょっと」



京太郎「よう、迷子か?」

「……キミ、だれ?」

京太郎「別に怪しいものじゃないって」

「悪い人は大抵そう言うよね」

京太郎「それもそうか……じゃあ俺は怪しいものだ。安心しろ」

「通報していい?」

京太郎「それはやめろ」


「で、なんなのさ」

京太郎「いや、迷子なら届けようかなって」

「むっ、ネリーは子供じゃないよ? もうハイスクールに通ってるし」

京太郎「まぁ、迷子じゃないならいいんだけどさ」


京太郎(ネリー? よく見りゃこの子、外人か? 民族衣装っぽいの着てるし)



ネリー「でも、喉は乾いたかな?」

京太郎「何飲みたい? 奢ってやるよ。迷子と間違っちゃったしな」

ネリー「ホント? やった、言ってみるもんだね」

京太郎「調子のいいやつめ……ほら、どれだ」

ネリー「お金だけちょうだい。自分で買うよ」

京太郎「ほい」チャリン

ネリー「ありがと……それじゃ」ゴソゴソ

京太郎「ちょっと待て、どこ行く気だ?」

ネリー「どっか別の場所。ここで買うとは言ってないから詐欺にはならないよね?」

京太郎「やっぱ返せ、俺が買う」

ネリー「ネリーがもらったからこれはもうネリーのだもん」

京太郎「いいから返しなさい!」ガシッ

ネリー「やだってば!」


咲「京ちゃん、どうしたの?」



京太郎「このチビッ子が俺の金を持ち逃げしようとしてるんだよ!」

ネリー「だからネリーのだってば!」

京太郎「やっぱ迷子じゃないとか嘘だろ! 高校生ってのも怪しいしな!」

ネリー「メーヨキソンで訴えるよ!? 慰謝料もらうよ!?」

咲「えぇっ、ど、どうしよう……」アタフタ


「なにをやっているんだ、お前らは……」


京太郎「あ、辻垣内」

ネリー「あ、サトハ」


智葉「須賀、ネリーが迷惑をかけた」

ネリー「違うよ? ネリーは間違ったこと言ってないもん」

京太郎「どの口が言ってんだぁ?」グリグリ

ネリー「いたいいたいっ、しょーがいざい! ぼーこーざい!」

智葉「二人とも――」スッ


智葉「――斬るぞ?」


咲「ひっ」ゾクッ

京太郎「問題ない、俺たち仲良し」ガシッ

ネリー「うん、仲良し」ガシッ

智葉「とりあえずお金は返してやれ」ハァ





智葉「そうか、清澄が団体戦にな」

京太郎「今年は先鋒なんだって?」

智葉「ルールでそうなったからな」

ネリー「サトハはそんなの関係なく強いよ?」

京太郎「そこは俺も同意見」

咲「……」


咲(この人が去年の個人戦三位)

咲(お姉ちゃんと、宅を囲んだ人)


智葉「……チャンピオンの妹か」

咲「は、はい」

智葉「そう身構えないでくれ。去年はしてやられたが、それで君をどうこうするつもりはない」

咲「あの、お姉ちゃんは……」

智葉「圧倒的だった。どうすればあそこまで強くなれるのか……それに――」


智葉「あれは執念、執着、そういったものを感じさせたよ」



京太郎「……」

咲「京ちゃん?」

京太郎「ああ、大丈夫だ」

智葉「では、私たちはもう行くよ。ラーメンが食べたいとうるさいやつがいるんだ」

ネリー「ああ、メグが」

京太郎「ん、じゃあ久ちゃんによろしく言っとく」

智葉「頼む」


ネリー「サキって言ったっけ?」

咲「うん」

ネリー「大将なの?」

咲「そうだけど……」

ネリー「わかった。じゃあ、楽しみにしてるね」

咲「――っ」ゾクッ

ネリー「あと、ケチな人」

京太郎「……俺か?」



ネリー「いつまでそんな背負ってるの?」

京太郎「……」


智葉「ネリー、行くぞ」

ネリー「はーい」


京太郎「ふぅ……」

咲「京ちゃん、大丈夫?」

京太郎「ああ、俺たちも戻るか」





智葉「お前はいなくなったと思ったらなにをやっているんだ」

ネリー「喉渇いたけどちょうど手持ちがなかったんだよ」

智葉「だからといって他人に迷惑をかけるな」

ネリー「えー? あれはあくまであっちの自由意思だよ?」

智葉「まったく……」


ネリー「でも、キヨスミ……面白そうだね」


智葉「あの竹井のチームだ。一筋縄ではいかないだろうな」

ネリー「その人は知らないけど、面白いのが二人もいるんだもん」

智葉「二人?」

ネリー「うん、サキとあのケチな人」

智葉「須賀が、か」

ネリー「当たるとしたら準決勝……楽しみだね」




『そのころの阿知賀編その3』が解放されました

というわけで終了です

安価取りたいんですけど、人いますかね?

ギリ五人……

では永水、千里山、宮守、新道寺、姫松、有珠山、臨海の中からお好きなのひとつどうぞ

下1~下5

永水2
臨海2
宮守1

というわけでコンマ判定

永水:1-40
臨海:41-80
宮守:81-00

直下

62ってことで臨海ですね

続いてコンマ判定

奇数:プンスコ!
偶数:ノーウェイ

直下

のよりん来た

『三年、夏、クレプスキュール』が解放されました

選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
夏、一足先の出立・一番星
夏、知り合いの多いインターハイ
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

『三年、秋、天照大神』の解放条件を一部満たしています

三年編のインターハイを終わらせることで完全に解放されます


現在選択可能エピソード

1・三年、夏、クレプスキュール

2・三年、夏、そのころの阿知賀編その3


>>+2

2で了解


それはともかくとして、お好きなキャラをどうぞ
登場済みのキャラに限ります
以下のキャラは不可

以下のキャラは『不可』です


照・玄・美穂子・小蒔・健夜・豊音・竜華・衣・マホ・久・怜・霞・誓子・はやり・揺杏・由暉子・宥・白望・哩・姫子・やえ

エイスリン・灼・爽・咏・憧・成香


下5まででコンマ高いの一つ

咲ちゃん二回目

それじゃ、ちょっと失礼します



咲→京太郎 三年、初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月 以降


咲「京ちゃんのことですか?」

咲「前にも言ったと思うんですけど……」

咲「え? 呼び方が変わってる?」

咲「そ、それは、特に深い意味なんかないですけど」

咲「……昔みたいになりました。お姉ちゃんがいたころみたいに」

咲「……もしかしたらそれよりひどいかも」

咲「だって部活中、あれこれ言ってくるし……トイレ行くにも大丈夫かですよ!?」

咲「さすがに心配しすぎですよね!?」プンプン

咲「え、全く嬉しくはなかったのかって?」

咲「それは、えっと……」

咲「ほんの、少しだけなら」


というわけで失礼します

今日はポッキーの日! 

というのはあまり関係ないですけど、もうちょっとしたら始めます

そんじゃ、始めます



・そのころの阿知賀編その3


「それじゃー、お昼がてら休憩ねー」


穏乃「ねぇねぇ、何食べる? 何食べる?」

憧「無駄に元気よねぇ」

灼「眠……」フワァ

宥「な、なにかあったかいものを」プルプル

玄「むむっ、センサーに反応があるのです!」

憧「こっちも元気」

灼「騒がし……」


穏乃「玄さん、行きましょう!」

玄「了解だよ!」



憧「行っちゃった。私たちも移動する?」

灼「賛成」

宥「ホットココアあるかなぁ?」プルプル

憧「まぁ、あるとは思うけど」

宥「ほ、本当? 急がなきゃっ」タタタッ

憧「急がなくてもなくなるわけじゃ――って、聞こえてないか」

灼「意外と足速……」





竜華「へぇ、玄ちゃんて言うん?」

玄「そうなのです。えっと、清水谷さんでしたっけ」

竜華「もう、竜華でええって。なんか他人って気がせぇへんし」ポヨン

玄「私もそのおもちには大いに興味が……」ジュルリ

竜華「おもち? 時期外れやと思うんやけど」

玄「おもちはいつだって素晴らしいものなのです!」

竜華「そうなん?」

玄「そうなのです!」

竜華「あはは、かわええなぁ」ムギュッ

玄「おお……ナイスおもち!」



怜「うーむ、どうもあの子からは同類の匂いが……」

穏乃「ひょうりゅい?」モグモグ

怜「とりあえず自分、飲み込んでから話してもろたらありがたいんやけど」

穏乃「んぐっ、そうですね」

怜「……」ジー

穏乃「? どうかしました?」

怜「脚、鍛えてる?」

穏乃「え、特には。よく山には登ってますけど」

怜「なるほどなぁ……ね、触ってええかな?」

穏乃「脚、ですか? どうぞ」

怜「じゃあ、失礼しまーす」サワッ

穏乃「うひゃっ」ビクンッ





玄「ふぅ」ホクホク

怜「ふぅ」ホクホク


竜華「どしたんやろな、二人とも」

穏乃「どうしたんですかね?」

玄「十分に堪能したのです!」

怜「たまには違うのもええなぁ」

竜華「そういえば玄ちゃんたちも東京行くんやったっけ?」

玄「はい、清水谷さんたちもですよね」

怜「ちなみに竜華は男目当てやでー」

竜華「ちょっ!」

穏乃「男目当て……玄さんもでしたっけ?」

玄「はわっ!」

怜「なんや、どうりで気ぃ合うはずやなぁ」



「二人ともー、バスが出るでー!」


竜華「あ、もう時間やん」

怜「えー? もう行くん? ゆっくりしたいー」

竜華「みんなに迷惑かけるわけにもいかへんし、ほら」

怜「むー、病弱なカラダに鞭打って動けと?」

竜華「とーきー?」

怜「はーい」



穏乃「もう行っちゃうんですか?」

竜華「もうちょいゆっくりしたいのは本音やけど」

穏乃「でも行き先が同じ東京だったらきっとまた会えますよ!」

竜華「うん、せやな」


怜「元気でなー、おもちの人」

玄「おもちの人……えっと、私はどうお呼びすれば」

怜「せやなぁ……ふとももの人?」

玄「ふとももの人!」

怜「あかん、大声で呼ばれると恥ずいわ」





穏乃「また会いましょうねー!」

玄「立派なおもち、ありがとうなのです!」


憧「あ、いたいた……って、あの人たち」


玄「あ、憧ちゃん。すっごいおもちだったんだよ!」

憧「ごめん、その話は後でいい?」ズバッ

玄「あうぅ……」

穏乃「憧、知ってるの?」

憧「知ってるもなにも、あの人たちって千里山女子でしょ」

玄「千里山?」

穏乃「女子?」

憧「去年もレギュラー勤めてた清水谷に、ここ最近実力をつけてきた園城寺。あと遠くにいたのは江口セーラね」

穏乃「おおっ、憧ってエスパー?」

憧「んなわけあるかっ。もう、そういう雑誌とか読まないんだもんね」

玄「グラビアだったらよく読んでるよ!」

憧「そんなことは聞いてない!」





穏乃「いやー、開会式、人多かったね」

憧「全国52校、単純計算でその五倍はいたのよね」

灼「どうりで、あの圧迫感」

宥「おしくらまんじゅう、あったかそう……」

憧「こらこら」


玄「でも、和ちゃんは見えなかったね」

穏乃「ぴょんぴょんしたけど見えなかったよ」

憧「あれ、恥ずかしかったんだからもうしないでね」

「にしても懐かしいなー、もう十年前かぁ」シミジミ

宥「先生の時もおしくらまんじゅうしたんですか?」

「さすがにそんな愉快なイベントはなかったね」

憧「というかさっきもなかったわよ」

「ま、試合までは時間あるし、調整はおいおいしていくとして……まずは昼ごはんでも――」



「――っ」

玄「――っ」

穏乃「――っ」


「……」ゴゴゴゴ


憧「あの制服、清澄の」

玄「あ、あわわわ」ガタガタ

宥「く、クロちゃん?」

「……あれはやばそうだね。トラウマ蘇りそう……」

灼「ハルちゃん?」

穏乃「和と同じ学校……そういえば龍門渕の屋敷で聞いた」


穏乃「あの天江さんを倒したのは、和じゃなくって……たしか、名前は――」


「……」ゴゴゴゴ


穏乃「――宮永咲、清澄の大将だって」


「……(と、トイレどこぉ?)」グスンッ



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
夏、一足先の出立・一番星
夏、知り合いの多いインターハイ
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2
そのころの阿知賀編その3

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

てなわけで終了
特に選択肢もないので次回は

『三年、夏、クレプスキュール』

ですね
のよりんのカード出てよかった……阿知賀BOXに感謝

去る前にもう一個落としてきます



・中学一年、十一月十一日、細長くて棒状のお菓子


照「京ちゃん」

京太郎「なに?」

照「今日は何の日か知ってる?」

京太郎「うーん……チーズの日?」

照「ハズレ」

京太郎「じゃあ……ピーナッツの日?」

照「それもハズレ」

京太郎「だれかの誕生日とか?」

照「正解は、ポッキーの日」

京太郎「ポッキーの日?」

照「縦にして並べたらそう見える……というわけで京ちゃん」


照「トリックオアトリート」

京太郎「照ちゃん、ハロウィンはもう終わったぞ」



照「問答無用。ポッキーがないなら罰ゲーム」

京太郎「なんて強引な……大体な? 同じような形のお菓子だったら他にも色々あるだろ」

照「プリッツはダメ。チョコがかかってない」

京太郎「じゃあトッポでいいだろ。あいつら中までぎっしりだぞ」

照「トッポはダメ。もう十月十日は過ぎた」

京太郎「もしかして、それがトッポの日なのか?」

照「その通り」

京太郎「そんなものまであったのか……」


京太郎「んなこと言われてもないもんはない」

照「じゃあ罰ゲーム。やむなしだね」

京太郎「はいはい……で、なにすればいいんだ?」

照「それじゃあ、一緒にポッキー買いに行こ?」

京太郎「なんかいつもと変わんないな」

照「そしてその後ポッキーゲーム」

京太郎「いきなり難易度上がったな!?」



その後ポッキーゲームしようとしたら咲に見られてあれやこれや

それじゃ、おやすみなさい



・一年、十一月十三日、始まりの日


京太郎「部長ー、これどこ置いときます?」

部長「そっちの棚でいいんじゃないかな?」

京太郎「はーい」


京太郎「ふぃー、これで買い出し終了」

部長「お疲れ、お茶でも飲む?」

京太郎「早速買ってきたお茶菓子の出番っすね」


京太郎「そういや、久ちゃんはまだですかね?」

部長「竹井さん、今日来ないってさ」

京太郎「え」

部長「用事があるって言ってたけどね」

京太郎「……今日って何日でしたっけ?」

部長「たしか、十一月十三日」

京太郎「あぁー、久しぶりすぎて忘れてた」

部長「? 今日はなにかあるのかな?」

京太郎「まぁ、なんというか……誕生日ですよ、久ちゃんの」





久「あぁ、もう……最悪」

久「なんで私を捨てたような親の顔を見に行かなきゃならないんだか……」

久「今日って誕生日よね? これじゃとんだ厄日じゃない……」

久「はぁ……もう出よ」


ピンポーン


久「このタイミングで……はーいっ」


京太郎「よっ、元気?」



久「……なんか用?」

京太郎「元気かどうかはともかく、不機嫌っぽいな」

久「わかってるならほっといてよ」

京太郎「わかったわかった、これ渡したら去るよ……ほい」

久「……プリン?」

京太郎「一応誕生日プレゼント。結構高めだから味わって食べろよ」

久「覚えてたんだ」

京太郎「出会って八周年の記念日でもあるし」

久「その割にはプレゼントがしょぼくない?」

京太郎「うっ……気持ちはこもってるはず」

久「絶対直前まで忘れてたでしょ」

京太郎「お、思い出したからセーフだし」

久「はぁ……まあいいや」



久「じゃあ、明日付き合ってくれたら許す」


京太郎「よし、許された」

久「気が早い」

京太郎「んじゃ、おとなしく去りますよっと」

久「……京太郎」

京太郎「ん?」

久「その、ありがとう」

京太郎「久ちゃんが喜んでくれただけで嬉しいよ」

久「……気持ち悪」

京太郎「ひどっ」





久「もう八年になるんだ」

久「私の誕生日……私とあいつの始まりの日」


『うっせーよ、ちかよんなよ』


久「なーんて、最初トゲトゲしてたのって向こうよね」

久「ま、お互い人のことは言えないかな」


久「ふふ、明日何してもらおうかしら?」



というわけで誕生日おめでとう

過去の話はおいおいですね
場合によっては日の目を見ない可能性もありますが

それじゃ、失礼します

こんちゃっす

昨日やろうと思ったけど昨日はぐっすりだったのでこれからやります
最近は残業も少なくなってきたから更新頻度も上がるといいな……

そんじゃ、もう少ししたらで

それじゃ、始めます



・三年、夏、クレプスキュール


京太郎「さて、明日明後日は試合ないんだよな?」

久「うちはBブロックだからね。その間はのんびりしつつ、調整しつつね」

京太郎「調整ね……相手には困ってないみたいだな」


美穂子「あ、お邪魔してます」

華菜「感謝しろよー」

衣「ふみゅ……」ウトウト

一「衣、眠そうだね」


咲「私もちょっと眠いかも……今日は色々あったし」

優希「咲ちゃんは迷子になってただけだじぇ」

咲「そ、そんなことないよっ」

華菜「迷子とか情けないなぁ。しっかりしろよな、清澄の」

咲「だ、だからっ」



まこ「わしらの布団があるけぇ、ちっと休んでいきんしゃい」

一「なんか申し訳ないんだけど……」

まこ「というかもう布団に潜り込んどるわな」

衣「――zzz」スヤッ

一「寝つき早すぎだよね」


和「……」


和(今夜こそ、先輩の部屋に……!)



久「のーどーか」

和「ひゃっ」

久「良からぬこと、考えてるでしょ」

和「わ、私は別に」ドキッ

久「とりあえずインハイ終わってからにしなさいね。ほら、不祥事ですっぱ抜かれたくないでしょ?」

和「ふ、不祥事……」

久「ね、美穂子」

美穂子「あら、キスマークの件はどうなの?」

久「それ以外はなんもないから平気よ。それに、そこはお互い様じゃない」

美穂子「ふふ、そうね」


和(二人の間に一体何が……?)



京太郎「……なんかすっかり女子会の様相だな」

京太郎「男女比の偏りってこういうとこで効いてくるよな」グゥ

京太郎「腹減ったな……晩飯ちょっと早かったもんな」


京太郎「外になんか食いに行こうと思うけど、だれか一緒に行くか?」


衣「むにゃむにゃ……」

一「しーっ」

まこ「パスじゃ。まだ腹に空きがない」

咲「うん、私もお腹は空いてないかな?」

優希「タコス食べすぎたじぇ……」

華菜「行くわけないし」

美穂子「もう夕食も済んじゃいましたし」

和「すみません、私も今から夜食はちょっと……」

久「こってりしたものにいきそうだからパス。太っちゃうし」


京太郎「俺のデリカシーが足りませんでしたっ!(小声)」





京太郎「くっそー、まさか同行者ゼロとは」

京太郎「せめて井上かハギヨシさんがいたらな」

京太郎「まぁいいや、一人も気楽っちゃあ気楽だし」グゥ

京太郎「……とりあえずあそこのラーメン屋に行ってみよう」


「おやおや、ここが日本のラーメン屋ですか」

「早速入りまショウ!」

「あなたは昼も食べたのでは……」

「日本のラーメンはまさにムゲン、いくらたべても食べきれまセン!」


京太郎(もう暗くて雨も降ってないのに傘をさしてる白人の女の子)

京太郎(日本語の発音が時々怪しい、ラーメン推しの……アメリカの人か?)

京太郎(あとひとりの子はパッと見て日本人だけど、着てる服は中華っぽいと言えなくもない)



京太郎「なんともまた、国際色豊かな……どういった集まりだよ」

京太郎「まあいっか、俺も入ろ」ガラッ


「いらっしゃいませ、お一人ですか?」

京太郎「はい……って、だいぶ人いますね」

「他の方と相席でよろしければ、すぐに案内できますが……」

京太郎「じゃあそれでお願いします」

「では、確認をとってきますので少々お待ちください」


京太郎(てか、カウンター席もびっしりか)

京太郎(そんな有名店だったのか?)


「お待たせしました。こちらへどうぞ」





京太郎「悪いね、いきなりお邪魔しちゃって」

「ドウゾドウゾ、旅は道連れ世は情けと言いマスシ」

「私は家族が少ないので大人数での食事は大歓迎です」

「構いません。私の国は人口が多いので慣れてます」

京太郎「ま、せっかくだし仲良く食べようか」


「注文はお決まりですか?」


京太郎「決まった?」

「うーん、プチプチしたものがほしいですねぇ」

京太郎「明太子トッピングってのはあるけど」

「じゃあこのトンコツというのとそれで」

「私は辛味噌で」

「どうしまショウカ……」

京太郎「どうすっかなぁ……」

「エット」

京太郎「じゃあ」



「塩ラーメンで」

京太郎「塩ラーメンで」


「それでは、もう少々お待ちください」


「ところで、トンコツというのはどういったものなんでしょうか?」

「知らずに頼んだのですか?」

「あまり見ないものでしたから、物珍しくて」


「説明しまショウ!」


「まずデスネ、トンコツというのは豚の骨から出汁をとった白湯に属するスープのことデシテ……」

「ふんふん」コクコク



京太郎「……なぁ、あいつってラーメン好きなのか?」

「そうですね、暇さえあればカップ麺を食べています」

京太郎「なるほどな、日本に来た外国人がラーメンとか寿司にハマるってのはよく聞くな」

「気持ちはわかります。私もこちらに来て日本の食には驚かされましたから」

京太郎「そういや、中国の人?」

「はい、郝慧宇――ハオと呼んでください」

京太郎「ハオね、わかった。須賀京太郎、よろしく」

ハオ「すが、きょうたろう?」

京太郎「え、中国的には良くなかったりする?」

ハオ「いえ、なんでもありません」


「以上でダヴァンのラーメンレクチャーは終わりデス」

「ラーメンというのは色々種類があるんですねぇ」



京太郎「ラーメン詳しいんだな」

「ロンオブモチ! ソウルフードと言っても過言ではありまセン」

京太郎「よくもまぁ、染まったもんだ」

「私も日本に来てイクラや梱包材の素晴らしさを知りました」

京太郎「梱包材?」

「はい。こう、プチプチしたやつです」

京太郎「ああ、あれか」

ハオ「明華は好きなんですよ、魚卵とかそう言ったプチプチしたものが」

京太郎「……みょんふぁ? また中国の方?」

明華「フランスの方です。漢字なら明るい華と書きます。こんな風に」サラサラ

京太郎「はぁ、なるほど……ますますわからん」

明華「では、謎多き女ということで」

京太郎「じゃあ俺も謎多き男ということで」

ハオ「須賀京太郎だそうです」

京太郎「早速プロフィール流出か!」

明華「すがきょうたろう……」

京太郎「え、フランス的にもNG?」

明華「そういうわけじゃないんですけど……」



「それよりデス!」


京太郎「うおっ、いきなりなんだ」

「アナタはなぜ塩ラーメンを選んだのデスカ?」

京太郎「そういやかぶってたな」

「数多いメニューの中からソレを選んだ理由をお聞かせくだサイ」

京太郎「えっと、ラーメン屋の腕が知りたいならあっさりしたやつを食べればわかる、みたいな?」

「おお! マサカとは思いマシタが同志だったトハ!」ガシッ


「Megan Davin、メグと呼んでくだサイ」


京太郎「あ、ああ……須賀京太郎、よろしく」

メグ「スガキョウタロウ……?」

京太郎「え、まさか三カ国からダメ出しされんの?」

メグ「イエ、そういうわけデハ……タダ」

京太郎「そんでみんなして曖昧なまま流すパターンなんだよな……」

メグ「サトハが言っていた名前と同じだと思いマシテ」

京太郎「あん? さとは?」


明華「それですよ!」

ハオ「ようやく思い出しました!」


京太郎「……はい?」





京太郎「つまり、辻垣内のチームメイトってことでいいのか?」


ハオ「ふむ、なるほど」

明華「あなたが噂に聞く……」

メグ「須賀京太郎、デスカ」


京太郎「ちょっと待て、その反応は意味深すぎるだろ」

明華「いえいえ、大したことじゃありませんよ?」

ハオ「よくよく考えればその通りですね」

メグ「ハテ、どうでしたカネ?」

京太郎「……一体あいつはなにを話したんだよ」


明華「えっと、いきなりナンパをしてきた、とか?」

ハオ「個人戦九位のマネージャーだとか」

メグ「世界二位に出会い頭にケンカをふっかけたと聞きマシタ!」


京太郎「やめよう、その話題は俺に効く……」





ハオ「では、私たちはこれで」

明華「ごきげんよう」

メグ「またラーメンについて語り合いマショウ!」

京太郎「ああ、辻垣内とちっこいのにもよろしくな」

ハオ「ネリーにも会ったのですか?」

メグ「そういえば、ケチな人にお金を取られたと言ってマシタネ」

明華「それは穏やかではありませんねぇ」

京太郎「逆だ、俺が取られかけたんだよっ」


ハオ「それではさようなら、ケチな人」

明華「また会いましょう、ケチな人」

メグ「今度はオススメのラーメン屋を紹介しマス、ケチな人」


京太郎「てめぇら、一回そこに直れ」





京太郎「まったく、人をからかってんじゃねーよ」

京太郎「って、俺もあんまり人のことは言えない、か」

京太郎「小鍛冶さんは元気かな……」


「うっぷ」


京太郎「あの人もあんな風にチューハイ一杯で酔っ払ってたな」

京太郎「今はこっちにいるのかね? 時間あったら会いに行ってみようかな」


「苦しい、死ぬ……うっぷ」


京太郎「……で、あの酔っ払いのお姉さんは俺が介抱するのか?」

京太郎「うんまぁ、他に誰もいないし仕方ないよな!」





京太郎「もしもーし、部屋はここでいいんですかー?」

「ま、また吐きそう……」

京太郎「あんた人の背中の上に盛大にリバースしたばっかだろ!?」

「か、鍵……」ジャラ

京太郎「今開けるからまだ吐くなよ!」ガチャッ


「と、トイレ」ヨロヨロ


京太郎「くっそー、ワイシャツが……」ベチャア

京太郎「この格好で帰るの、俺?」

京太郎「嫌すぎる……」

京太郎「ふぅ……とりあえず一言文句言ってから帰るか」



京太郎「……」

京太郎「……」

京太郎「……遅い!」


京太郎「もしもーし、大丈夫ですかー?」コンコン

京太郎「……返事なし。入るか?」


京太郎「失礼しますよー」ガチャ


「――zzz」スースー


京太郎「って、寝てんじゃねーよっ!」





「ごめんなさいっ」


京太郎「いや、わかってくれたらいいんですけどね」

「わ、ワイシャツ」

京太郎「ああ、これはまぁ……どうにかしますよ」

「お詫び!」プンスコ!

京太郎「え、あ……怒ってます?」

「怒ってない!」プンスコ!

京太郎「えぇ……」


京太郎(何この人、どっからどう見ても怒ってるようにしか見えねーっての)


「……」


(ど、どうしよどうしよっ)

(気がついたら知らない人が部屋にいて、しかも介抱されちゃってて……)

(ワイシャツも汚しちゃったみたいだし……)



「……」ジー

京太郎「?」

「……年下のイケメン男子」ボソッ

京太郎「はい?」

「な、なんでもないっ」


(これはもうお詫びして、できればお近づきに……じゃなくて!)


「買ってくる!」

京太郎「え?」

「Tシャツ、コンビニ!」

京太郎「あ、ちょっ――」バタン


京太郎「……鍵持たないで大丈夫か? オートロックかかるぞ、ここ」





「な、何度もごめんなさい」

京太郎「まぁ、俺もこの格好で外に出るのは抵抗ありましたから」

「鍵、気をつける」

京太郎「是非そうしてください」


「買ってきた!」プンスコ!


京太郎「ああ、Tシャツっすね。えっと、代金は……」

「いい!」プンスコ!

京太郎「ならお言葉に甘えます」

「早く着替える!」プンスコ!

京太郎「あ、はい」



京太郎「よいしょっと」

「――っ」カァァ

京太郎「あ、すいません。向こうで着替え――」

「こ、このままでいいっ」

京太郎「あ、そうですか」


京太郎(やっぱ怒ってんじゃないのか、この人?)

(は、恥ずかしいけど後学のために……!)


京太郎「えっと、ピッタリっすね」

「良かった」ホッ

京太郎「じゃあ、俺はそろそろ……」


「待って!」



京太郎「え、まだなんかあります?」

「ワイシャツ、洗う!」プンスコ!

京太郎「いや、こっちで勝手にやっとくんで」

「ダメ、責任!」グイッ

京太郎「ちょっ、そんな強引なっ」グイッ

「いいから、渡す!」グググ


京太郎(あ、やばいパターンだ、これ)


――ビリッ


京太郎「……」

「……」





「重ね重ね、ごめんなさい」ペッコリン

京太郎「別に着替えはあるからいいですけどね……」

「な、なにかお詫び!」ガタッ

京太郎「ストップ、お気持ちだけでいいです」

「しゃ、シャワーとか」

京太郎「……はい?」

「その、汚しちゃったから」


京太郎(……なにこれ、誘われてんの、俺?)

京太郎(てか、それはTシャツに袖を通す前に言って欲しかった……)


京太郎「一応聞きますけど、女性が男性を部屋に招き入れてシャワーを勧めるってことの意味、わかってますよね?」

「意味?」キョトン

京太郎「マジか、まずそこからか……あのですね?」





京太郎「ってわけで、色々まずいと思うんですよ」

「……」ボー

京太郎「聞いてます?」

「……」ボー

京太郎「もしもーし」

「……」フラッ

京太郎「っと、そんな積極的な……って」


「――zzz」スヤッ


京太郎「寝てるのかよ! まだ酒抜けてないじゃねーか!」

京太郎「え、どうするのこれ」

京太郎「……よし、ベッドに安置して」

京太郎「あとは混乱しないように書置きでも残して……」ソー


「ん~」ガシッ


京太郎「ちょっ、腕を掴まれて……! くそっ、離れないっ」


「放さない、絶対……」ムニャムニャ


京太郎「本当は起きてるんじゃないだろうな!?」

「……」スースー

京太郎「まいったな……動けなくなった」





「……ん、もう朝……」フワァ


京太郎「――zzz」


「○△□×っ!?」


(え、この人だれ!?)

(昨日お店を出た後から記憶が曖昧だけど……まさかまさか!)

(こ、こんなイケメンさんと一夜を……)カァァ


京太郎「ふわぁ……あれ、起きてたんですか」

「ふ、ふつつかものですが!」

京太郎「……えっと、とりあえず顔洗ってもいいですか?」





京太郎「思い出しました?」

「大体……」


(金髪、イケメン、高校生)

(それに……)


「……」ジッ

京太郎「顔になんか付いてます?」

「め、目と鼻と口っ」

京太郎「それはまあ、人間ですから」


(なんか、色々いるみたい)

(もしかしてこの子が……)


「……須賀、京太郎」

京太郎「え、自己紹介しましたっけ」

「ぷ、プレイボーイだって……」

京太郎「ちょっと待てあんた、その話の出どころ詳しく」





「野依理沙、一応トッププロ」


京太郎「はぁ……それで俺の知り合い達から情報が漏れたと」

理沙「ダダ漏れ」

京太郎「……変なこと吹き込まれてません?」

理沙「ある程度想像通り」

京太郎「ちなみに想像の中の俺ってどうなってます?」

理沙「い、言えないっ」カァァ

京太郎「うおーい」


理沙「と、とにかく! お礼に朝御飯!」プンスコ!


京太郎「朝御飯……今何時だっけ?」


『9:47』



京太郎「……携帯の方は」


久『お腹減ったから先に朝ごはん食べてるわねー、寝坊助さん』


京太郎「……まぁ、今更だな」


京太郎「じゃあ、御相伴にあずかります」

理沙「わ、わかった」


理沙(お、男の人と食事……)ドキドキ


京太郎「その前にシャワー借りてもいいですかね?」

理沙「――っ」

京太郎「あ、変な意味じゃないですから」

理沙「わ、わかってる!」プンスコ!





京太郎「それじゃ、ごちそうさまでした」

理沙「また今度」

京太郎「次は酔ってないときにお願いします」

理沙「い、意地悪!」プンスコ!

京太郎「はは、冗談ですよ。じゃ、お元気で」


理沙「……ほんと、意地悪」

理沙「でも、楽しかった」ホクホク

理沙「早速小鍛冶さんたちに自慢!」ピッピッ





京太郎「――っ」

京太郎「なんだ? 今、悪寒が……」ピロリンッ

京太郎「メール……三尋木プロから?」


咏『うちの婿養子蹴っといて野依さんに手を出すとはいい度胸だねぃ、知らんけど』


京太郎「知らんならメールするんじゃない」

京太郎「添付ファイル付き……げっ、見てたのかよあの人」

京太郎「肖像権の侵害で訴えるぞこの野郎」ピロリンッ

京太郎「またメール、しかも二通……」


健夜『理沙ちゃんと一夜過ごしたってどういうこと!? いつかやらかすとは思ってたけど、君って子は本当にもう(ry』

はやり『京太郎くん、はやりんは悲しいです。私より先にりさちゃんに手を(ry』


京太郎「……見なかったことにしようかな?」



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・一年
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夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
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秋、衣の誕生日(略してころたん)
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冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
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三月八日、一年後の誕生日
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三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
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初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
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初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
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夏、全国へ
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夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
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秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
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三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
夏、一足先の出立・一番星
夏、知り合いの多いインターハイ
夏、クレプスキュール
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2
そのころの阿知賀編その3

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学一年、十一月十一日、細長い棒状のお菓子
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

これにて終了です

クレプスキュールはのよりんのカードに書かれてる二つ名みたいな称号です
各プロが初めてメインになる回にはタイトルに使ってます
のよりんだけわかんなくてどうしようとか思ってたら阿知賀BOXに救われました

次回のタイトルに関しては明日か明後日に安価取ってから決めます

それじゃ、おやすみなさい

のよりんは普段から吐いてるわけじゃないから……

人がいるかはわからないけど安価だけ出しときます

千里山、姫松、永水、宮守、有珠山、臨海の中から好きなの一つどうぞ


下1~下5

じゃあコンマ判定で

永水:1-20
有珠山:21-40
千里山:41-60
宮守:61-80
臨海:81-00

直下

これは臨海の流れが来てる……?

それじゃあメンバーの中からお好きなの一人

下1〜下5

それじゃあコンマで

ハオ 1-20
明華 21-60
智葉 61-00

直下

間があいて申し訳ない

てなわけで次回は

『三年、夏、鋭い女と時々レジェンド』です


明日にはできるといいな
それじゃ去ります

こんばんはー、風呂入ったらやります

そんじゃ、開始します



・三年、夏、鋭い女と時々レジェンド


京太郎「ただいまー」コンコン

京太郎「あれ、全員留守?」

京太郎「参ったな、なんの連絡もないし」

京太郎「じゃあ電話でも……」プルルル

京太郎「……誰も出ない」ピッ

京太郎「さて……自由行動ってことでいいのか?」

京太郎「とりあえず着替えるか」



久「あー、気持ちいいわねー」

優希「お昼前に温泉とか贅沢の極みだじぇ」

和「それ、合宿の時もしましたよ」

まこ「しかし、何か忘れてるような気が……」

咲「温泉出てから考えましょうよぉ」フニャア





京太郎「街に出てみたけど……もうすぐ昼だよな」

京太郎「朝が遅めだったから、まだそんなに腹は減ってないけど」


智葉「須賀」


京太郎「あれ、ガイト」

智葉「ガイト?」

京太郎「辻垣内って長いと思わないか?」

智葉「……まぁいい」

京太郎「いいのか? そのまま定着するぞ?」

智葉「構わないさ、気に入らなかったら力ずくで変えさせるだけだよ」

京太郎「お前やっぱりこえーって」

智葉「お前は相変わらず自由そうだな。今日もナンパか?」

京太郎「な、ナンパとかほとんどしたことないし……」

智葉「ほとんど、か」

京太郎「うんまぁ、それなりに……って言えるほどしてない」



京太郎(そもそもナンパっぽいものをしただけなんだよな……)


智葉「なるほど、私は数少ない一例か」

京太郎「いや、だからそれは……ってかお前チームメイトに変なこと吹き込んでるだろ!」

智葉「ん? ああ、メグたちに会ったそうだな。ラーメンの話のついでに聞かされたよ」

京太郎「俺は物のついでか」

智葉「あいつは優先順位がおかしいんだ」

京太郎「だろうな」


智葉「ところで、これから昼か?」

京太郎「ちょっとぶらってしてから食べようかなって思ってた」

智葉「良ければいい店を紹介できるが、どうする?」





「へいらっしゃい! ……って、お嬢じゃありませんか!?」

智葉「ああ、少しお邪魔する」

「今何か用意しますんで、ちょっと待っててください」

智葉「今日は客として来たんだ。余計な気遣いはいらない」

「で、ですが……」

智葉「いらない、そう言ったんだ」

「……へい」


京太郎「……」

智葉「どうした?」

京太郎「この店の店長と知り合いなのか?」

智葉「まあな」

京太郎「……そうですか」



京太郎(え、明らかにカタギじゃないオーラ放ってるんですけど)


「……」ゴゴゴゴ


京太郎(んでもってすげー睨まれてるんですけど)


京太郎「……」

智葉「頼まないのか?」

京太郎「いや、なんだか刺すような視線が」

智葉「そうか?」

京太郎「気のせいだったらそれでいいんだけど……」


「野郎、お嬢に近づきやがって……」ボソッ


京太郎「ははっ、幻聴だったらいいなぁ」

智葉「疲れてるのか?」

京太郎「うん、かも……ちょっとトイレ行ってくる」





京太郎「ふぅ……」

京太郎「勘弁してくれ……そこら不良だったらともかく、あんなの相手にしてらんないっての」


「だぁれが、あんなのだってぇ?」


京太郎「あ、聞いてらっしゃったんですか」

「おめぇ、お嬢とどういう関係だ?」

京太郎「えっと……知り合い、ですかね?」

「知り合い、だとぉ?」

京太郎「だから多分ですけど、そちらが懸念されてるようなことはまったく……」

「いいか? もしお嬢に指一本でも触れたら……わかってるよな?」

京太郎「は、はい……」





智葉「ごちそうさま」

京太郎「ご、ごちそうさまでした……」


智葉「で、味の方はどうだった?」

京太郎「ま、まあ……」


京太郎(正直味なんてわからなかった……)


智葉「……ふぅ、まあそうだろうな」

京太郎「はい?」

智葉「さっきはすまなかったな、トイレに行った時だろう?」

京太郎「ああ……気づいてたのか」

智葉「せめて目の前でやられたなら注意もできるんだがな」

京太郎「そこは男子トイレまで助けに来てくれよ」

智葉「お前は女子に男子トイレに入れというのか」

京太郎「なんかそういうの気にしなさそうだし」

智葉「……シメていいか?」

京太郎「悪い、悪かった」



京太郎「でも、あれだな……良かったらまた誘ってくれよ」

智葉「いいのか?」

京太郎「さすがに脅されっぱなしは気に食わない」

智葉「ほう?」

京太郎「それに、お前のこと心配してたっぽいし。悪い人じゃないだろ」

智葉「……そうか、そうだな」

京太郎「なんだよ、いきなり納得して」

智葉「竹井がお前と一緒にいる理由が少しわかったよ」

京太郎「久ちゃんがなぁ……もしかして惚れた?」

智葉「斬るぞ?」

京太郎「すいませんでした」



京太郎「ていうかさ、お前の知り合いってああいう人が多かったり?」

智葉「たしかに荒っぽいのが多いのはその通りだが……」

京太郎「いや、荒っぽいっていうかさ……お前、男友達いないだろ」

智葉「……まあ、見ての通りだな」

京太郎「やっぱりな……なら仕方ない、俺がなってやろう」

智葉「随分上からだな」ギロッ

京太郎「うっ……お前眼光鋭すぎだって」

智葉「だが、悪くない……そう思うよ」

京太郎「じゃあ、友情の証に……」

智葉「盃でも交わすか?」

京太郎「……だからさぁ」

智葉「ふふ、冗談だ」


「あー! ちょっとなにやってんのよー!」


京太郎「げっ……」

智葉「なんだ?」



淡「近い近いちーかーいー!」ズイッ


京太郎「おっと」

淡「キョータローは私のなんだからねっ」

智葉「……」

京太郎「それはお前の中だけだ。おめでたいやつめ」

淡「だってそのうちそうなるんだから、今言ったって一緒じゃん」

京太郎「その自信はどこから来るんだかな……」

淡「だって私だもん。他の誰かには負けないよ、テルにだって」

京太郎「……」

淡「ね、屈んで?」

京太郎「いや、断る」

淡「屈め屈め、かーがーめー!」グイッ

京太郎「おわっ」

淡「――んっ」



淡「今日はほっぺだけね」

京太郎「大星、お前はまた……」

淡「淡って呼んでよ。あ、淡ちゃんでもいいよ?」

京太郎「大星」

淡「ツーン」プイッ

京太郎「大星さん」

淡「ツーン」プイッ

京太郎「……淡」

淡「えへへ……名前で呼ばれちゃった」テレテレ

京太郎「つ、疲れる……」

淡「じゃ、遅れたらまたスミレに怒られちゃうから」


淡「浮気しちゃダメだからねーっ!」



智葉「……今のはなんだ?」

京太郎「大星淡、白糸台の……多分問題児」

智葉「そこらへんはわかる。それ以外の部分だ」

京太郎「……色々あったんだよ」

智葉「詮索されたくないなら無理には聞かないが……」

京太郎「そうしてくれ」

智葉「お前、いつか刺されるんじゃないのか?」

京太郎「……前に同じこと言われた」

智葉「そうだな……どこぞの純朴な箱入り娘を誑かして危ない目にあったり……とかか?」

京太郎「もうお前鋭すぎて怖い!」

智葉「まさか当たってるとは思わなかったよ」





京太郎「それじゃ、気をつけろよ」

智葉「お前も刺されるなよ」

京太郎「……もっと普通に心配してくんない?」

智葉「もちろん冗談だ」


京太郎「もう夕方か……けっこうぶらぶらしたな」

京太郎「さすがにそろそろ……ん? あれって……」

京太郎「たしか、熊倉さんだっけ? そっか、宮守がこっちに来てるんだもんな」

京太郎「せっかくだし挨拶でも……」



トシ「おや、あんたは」

京太郎「どうも須賀です」

トシ「豊音から聞いていたけど、まさかこんな所で会うなんてねぇ」

京太郎「他のやつらは元気ですか?」

トシ「ふふ、エイスリンはあんたにすごく会いたがっていたよ」

京太郎「こっちにいるうちに顔出しに行きますよ」

トシ「そういえば男子個人戦、惜しくも代表逃したんだって?」

京太郎「ああ、それはまあ……なかばズルしてたようなもんですし」

トシ「その様子だと、気づいたのかい?」

京太郎「指摘されて、ですけど」

トシ「そうかい……」


トシ(竹井久の予選敗退……多分無関係じゃないんだろうねぇ)



京太郎「熊倉さんも知ってたんですか、俺のあれに」

トシ「次の機会にと悠長に構えてたのが仇になったみたいだね……すまなかったよ」

京太郎「いいですよ、それで色々気づけたこともあったし……それに、一番迷惑被ったやつが肯定してくれましたからね」

トシ「折り合いはつけられたのかい?」

京太郎「わだかまりが完璧になくなったわけではないんですけどな」

トシ「それでいいんだよ。世の中には割り切れる物の方が少ないんだから」

京太郎「さすがの格言ですね」

トシ「年の功とでも言っておくかい?」

京太郎「だとしたら、いい年の取り方したんですね」

トシ「褒め言葉と受け取っておくよ」


京太郎「そういえば、熊倉さんはここでなにを? ナンパ待ちですか?」

トシ「おや、エスコートしてくれるのかい?」

京太郎「俺でよろしければ」

トシ「でも残念、待ち合わせなのさ」

京太郎「あらま」



「熊倉さん、お久しぶりです」


トシ「久しぶり、調子はどうだい?」

「ぼちぼちです、私もチームも」

トシ「ふふ、順調に行けば当たるのは決勝……楽しみだねぇ」

「あの、それで……彼は?」

トシ「ああ、ちょっとした知り合いさ。たまたま会ったんだよ」

京太郎「どうも、須賀京太郎です」

「赤土晴絵、よろしくね」

京太郎「……」

晴絵「……」


京太郎(赤土晴絵……どこかで聞いたことがあるような)

晴絵(須賀京太郎……なんだっけなぁ?)



トシ「二人とも、どうかしたのかい?」

京太郎「ああ、大丈夫です」

晴絵「多分気のせいですし」

トシ「そうかい?」

京太郎「それで、赤土さんとこれから食事ですか?」

トシ「そうなんだよ、彼女にプロへの転向を勧めようと思ってねぇ」

京太郎「プロへの転向……え、マジですか」

トシ「10年前のインターハイで小鍛冶プロに跳満を直撃させた張本人さ」

京太郎「あの小鍛冶プロに? やばいな……」

トシ「地元ではレジェンドと名乗ってたんだっけねぇ」

晴絵「あの、それ決して自称じゃないですから、自称じゃ」

京太郎「てか、自称だったらイタすぎるでしょ」

トシ「おまけに瑞原プロからチームにお誘いが来てるほど評価されてるんだよ」

京太郎「はやりんに!? 羨ましいっ」

晴絵「でも、瑞原プロと一緒に活動することになれば……あれもやらなきゃいけないんですかね?」

トシ「あれって……はやや、ってやつかい?」

晴絵「それもというか、アイドル的な活動です」

京太郎「物は試しだし、一回ここでやってみりゃいいんじゃないですか?」

トシ「そうだねぇ、それで踏ん切りがつくかもしれないし」

晴絵「そ、そうですか? ……じゃあ――」



晴絵「れ、れじぇじぇっ」カァァ


京太郎「……赤土さん」

晴絵「な、なに?」

京太郎「その前髪、引きちぎってもいいですか?」

晴絵「えぇっ!?」


晴絵(こわっ、この子こわっ!)ビクビク


トシ「はいはい、とりあえずあんたは落ち着きなさいね」

京太郎「すいません、なんかはやりんが馬鹿にされた気がして」

晴絵「こ、こっちこそ不出来なコピーでごめん」

トシ「さ、そろそろ行こうかね」

晴絵「あ、はい」

京太郎「それじゃ、俺はこれで」

トシ「他の二人にもよろしくね」

京太郎「わかりましたよ」





京太郎「ただいまー」


久「あら、ずいぶん遅かったじゃない」ガチャ

京太郎「色々タイミング悪かったんだよ、そっちも部屋にいなかったり電話に出なかったりさ」

久「人のこと言えないでしょ。あの後結構連絡したんだけど」

京太郎「マジで? えーっと……あ、携帯部屋に置きっぱだったかも」

久「携帯電話を携帯しないでどうするのよ……」

京太郎「まぁ、過ぎたことはしゃあない。それより夕食、まだだろ?」

久「そうね……でもその前に」



和「先輩!」ギュッ


京太郎「はら……和?」

和「先輩先輩先輩っ、どこいってたんですかなにしてたんですかどうして私も連れてってくれなかったんですか!?」

京太郎「いや、お前昨日の夜は行かないって……」


優希「しぇんぱいっ」ヒシッ


京太郎「ぐっ、片岡!?」

優希「タコスが足りないんだじぇ、先輩のタコスが……」シオシオ

京太郎「この前ちゃんと売ってる店教えたろ!?」


咲「京ちゃぁん、おいてかないでぇ」グスッ


京太郎「咲……お前鼻水が」

咲「やだやだ、もういなくなっちゃうのやだぁっ!」

京太郎「いや、いるから、ちゃんといるから!」



京太郎「久ちゃん!」

久「……なに?」

京太郎「なにがあった!?」

久「なにがって……龍門渕さんが差し入れてくれたウィスキーボンボン的なもので、ね?」

京太郎「ね? じゃねーよ! 大変なことになってるじゃねーか!」

久「だから今まで大変だったのよぉ。だから落ち着くまで任せた!」グッ

京太郎「はぁあ!?」


まこ「ふぅ……今日の晩飯は何時頃になるかの?」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
十一月十三日、始まりの日
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
夏、一足先の出立・一番星
夏、知り合いの多いインターハイ
夏、クレプスキュール
夏、鋭い女と時々レジェンド
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2
そのころの阿知賀編その3

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学一年、十一月十一日、細長い棒状のお菓子
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

というわけで終了です
次回のタイトルとかは明日、てか今日安価とってから決めます

それじゃ、おやすみなさい

こんばんはー

安価取りたいんですけど、人いますかね?

それじゃ、この中からお一つどうぞ

新道寺、千里山、永水、姫松、宮守、有珠山

下1~下5

それじゃコンマで

宮守:1-40
有珠山:41-80
新道寺:81-00


直下で

宮守で了解

それじゃ、メンバーの中から一人どうぞ

下1~下5

コンマ判定

豊音:1-60
エイスリン:61-80
胡桃:81-00

直下

あねったいさんに決定ですね
それじゃ、次回は

『三年、夏、大きな彼女とサイン』です

でh、去ります

こんばんは

もうちょっとしたらやりますよー

それじゃ、始めますー



・三年、夏、大きな彼女とサイン


京太郎「はよーっす」

久「今日はちゃんと起きたみたいね」

京太郎「まあな」


京太郎(昨日は朝帰りだなんて言ったらどうなるかわかったもんじゃないな)

京太郎(よし、野依プロの話題は封印だな)


優希「そういえば、昨日プロを見かけたじぇ」

和「プロ……インハイの期間中だからでしょうか?」

咲「へぇ、私テレビでしか見たことないな。どんな人だったのかな?」

優希「なんかプンスコしてたじぇ」

咲「ぷんすこ?」

まこ「多分野依プロじゃな」

優希「おお、それそれ、それだじぇ」

和「野依プロですか……若い男性と朝御飯を食べていたとニュースになってますね」

咲「恋人なのかな?」

まこ「女子のトッププロは男の影がないことで有名なんじゃがの……」

和「写真もありますけど、ちゃんとは写ってないみたいです」

優希「なんだー、つまらないじぇ」



京太郎「……ふぅ」

久「なにホッとしてるのよ」

京太郎「してないしてない」

久「……」ジー

京太郎「な、なんだよ」

久「嘘ね」

京太郎「そ、そういえば!」


京太郎「和、サインしてくれないか!?」


和「さ、サインですか?」

京太郎「ああ、いきなりで悪いんだけど」


和(そんな、婚姻届にサインだなんて……)

和(いきなりすぎて嬉し……じゃなくて、戸惑っちゃいます)

和(でも、先輩が望むなら……!)



和「はい、構いません、むしろ是非っ」

京太郎「じゃあ早速この色紙に……」ゴソゴソ

和「え、色紙?」

京太郎「知り合いにお前のファンがいてさ、頼まれちゃったんだよ」

和「……」

京太郎「さ、サラサラっと書いちゃってくれ」

和「あ、はい」サラサラ


京太郎「サンキュ。じゃ、俺はこれを届けてくるから」ソソクサ


久「逃げたわね」

まこ「まーたなにかやらかしたんかの」

久「さぁね、とりあえずゴシップ誌にうちの副部長が取り上げられないことを祈りましょうか」





京太郎「お邪魔しまーす」


豊音「あっ、京太郎く――」

エイスリン「キョータロ!」ダキッ


京太郎「おっと、いきなり情熱的だな」

エイスリン「ニホンゴ、イッパイベンキョーシタ!」

京太郎「そいつは助かるな。こっちは英語は相変わらずだからさ」

エイスリン「ムム、フベンキョー」

京太郎「そう言うなって」ポンポン

エイスリン「クルシュウナイ、フモンニショス」

京太郎「……なんか変な方に向かってないか?」



胡桃「あ! 早速不純異性交遊!」

塞「久しぶり、今日は一人なんだ」

白望「……ども」


豊音「え、エイスリンさんずるいっ」

エイスリン「トヨネ、ハンブンコ」

豊音「じゃあ、私はこっち側で」ギュッ

京太郎「おい待て、動けないんだけど」

胡桃「離れるのっ」グイッ

エイスリン「ノーウェイ!」

豊音「わわっ」

京太郎「あー、話進めていいか?」





京太郎「これ、もらってきたぞ」

豊音「わぁ」キラキラ


塞「なにそれ? 色紙?」

胡桃「とりあえず怪しいものじゃないみたいだけど」

京太郎「俺をなんだと思ってるんだ」


エイスリン「ハラムラ……コノヒト?」サラサラ


京太郎「お、上手いな」

エイスリン「ヒビショウジン」

京太郎「そういや、そのボードはどうしたんだ?」

エイスリン「プレゼント、ミンナカラ!」

京太郎「俺が買ったのは使い切った感じか」

エイスリン「ウン……タカラモノ、イッショウ」

京太郎「嬉しいこと言ってくれるな」ワシャワシャ

エイスリン「~~♪」



白望「ダル……お腹空いた」

塞「そういえば朝御飯まだだったね。須賀くんも一緒にどう?」

京太郎「あー、どうすっかなぁ」


京太郎(というか、久ちゃんたちもほったらかしだしなぁ)

京太郎(ほとぼりも冷めただろうし、戻るか?)


京太郎「やっぱ戻るよ。久ちゃんにどやされそうだ」

塞「あはは、かもね。じゃあ竹井さんたちによろしくね」

京太郎「わかったよ。小瀬川、元気でな」

白望「ダルくて死にそう。おんぶして」

京太郎「相変わらずみたいで良かった。じゃあな、エイスリンと姉帯とちっこいのも」

胡桃「ちっこい言うな!」

エイスリン「キョータロ、オゲンキデ」

豊音「……」

エイスリン「トヨネ?」

豊音「え? あ……ごめんなさい、サインが嬉しくてボーッとしちゃった」



豊音「こうやってサインもらうの、夢だったんだよ」


京太郎「……」

豊音「だから、ありがとね」

京太郎「色紙、何枚ある?」

豊音「え?」

京太郎「あと何枚かでいいんだったらもらってきてやるよ。超大物からさ」



京太郎「さて、預かった色紙は5枚……ちょうど知り合いの女子プロと同じか」

京太郎「小鍛冶さんとはやりんと三尋木プロは連絡先知ってるけど、藤田さんと野依さんは知らないんだよな」

京太郎「野依さんはホテルの方に行ってみるとして……藤田さんのほうは久ちゃんに相談してみるか」

京太郎「ま、連絡は朝飯のあとでだな」





久「靖子のサイン?」

京太郎「どうにかなんないか?」

久「連絡とるぐらいだったらできるけど……」

京太郎「やっぱり忙しいかな」

久「その前に、それって姉帯さん絡み?」

京太郎「よくわかったな」

久「あんたがサインほしがる理由なんて、それか転売かのどっちかでしょ」

京太郎「じゃあのどっちで」

久「あんたはなにを言ってるのよ」

京太郎「冗談だよ……大体、はやりんのサインを他の誰かに売るわけないだろ」

久「あー、はいはい、そうだったわね」


久「まあいいわ。靖子のは私がもらっておくから」

京太郎「え、マジで?」

久「ほら、早く渡しなさい」

京太郎「よし、じゃあ頼んだ」

久「じゃ、あとで色々聞かせてもらうから」

京太郎「う……わ、わかったよ」





理沙「ど、どうぞ」

京太郎「お邪魔します」


理沙(昨日の今日で訪ねてくるなんて……もしかして脈アリ!?)

理沙(どうしよどうしよっ!? まだ心の準備が……!)

理沙(こ、ここは落ち着いて深呼吸)スーハー


京太郎「いきなり本題に入らせてもらいますけど」

理沙「はいっ」ドキドキ

京太郎「頼みがあります。野依さんにしかできないことです」


理沙(私にしかできないこと……)

理沙(こ、恋人になってほしいとかっ)カァァ


理沙「そ、それでっ」ズイッ

京太郎「サイン、もらえます?」





理沙「……書いた!」プンスコ!

京太郎「ありがとうございます」

理沙「どういたしまして!」プンスコ!

京太郎「……怒ってます?」

理沙「知らない!」プンスコ!



京太郎「……なんかしたかな、俺?」

京太郎「怒ってない、じゃなくて知らないだもんな」

京太郎「やっぱ怒ってるってことだよな」

京太郎「……まあ、次行くか」





健夜「えっ、サイン!?」

京太郎「お願いします」

健夜「こ、これでいいかな?」グギギ

京太郎「いいと思いますよ」


京太郎(字は思いっきり歪んでるけど)

京太郎(この人、サインしたことないのかな?)



はやり「サイン? いいよっ☆」サラサラ

京太郎「こ、こっちにもお願いします!」

はやり「えー? 京太郎くんにはこの前もあげたと思うんだけどなぁ」

京太郎「いくつあっても足りませんから」

はやり「しょうがないなぁ……じゃあ」チュッ


はやり「キスマーク付きで☆」

京太郎「……」グッ





咏「サイン? 別にいいよ」

京太郎「じゃ、サラサラーっとお願い」

咏「いいとは言ったけど、タダとは言ってないんだよねぃ」

京太郎「……何が目的だ」

咏「さぁ? 保留ってことで」

京太郎「くっ、はやりんはタダでくれたのにっ」

咏「それはそれ、これはこれ」グリグリ

京太郎「扇子でグリグリすんなよ」

咏「なんかムカつくから仕方ないんじゃね? 知らんけど」



靖子「サイン? 別に構わないが」

久「じゃ、お願いね」

靖子「しかし瑞原プロならともかく、私にとはね」

久「あら、靖子のプレイスタイル、盛り上がるから私は好きだけど」

靖子「君にもサイン、書こうか?」

久「まこの店にでも飾ろうかしらね」

靖子「おいおい」





京太郎「集まりました!」

豊音「こ、これ本物なのかな?」

京太郎「そこは保証する。間違いなく本物」


京太郎(というか、今日中に集まるとは思ってなかった)

京太郎(昼休みだったからかもしれないけど、もしかして案外暇だったのか?)


豊音「きょ、京太郎くぅん」ポロポロ

京太郎「ど、どうした?」

豊音「私の名前、書いてるよぉ」ポロポロ

京太郎「あぁ、そう頼んだからな」

豊音「ちょー嬉しいよぉ」ポロポロ

京太郎「まぁ、とりあえず涙ふけって」

豊音「う、うん」



豊音「ありがとうございますっ」フカブカ


京太郎「別にいいって。友達だし」

豊音「お友達……うん、そうだよね」


豊音「私の初めてのお友達……」ギュッ


京太郎「……今日の抱きつきはソフトだな」

豊音「ダメかな?」

京太郎「いや、悪くない」


京太郎(柔らかい感触とかな)

京太郎(小さい頃、母さんに抱きかかえられてたことを思い出す)


豊音「京太郎くんはさ、誰かと恋人になったらなにしたい?」

京太郎「友達の次は恋人か。欲張りめ」

豊音「そ、そういうことじゃなくてねっ、ちょっと気になったから」

京太郎「恋人なぁ……」



京太郎(ある、めっちゃある)

京太郎(18歳未満お断りなこともしたい)

京太郎(でも、この場に即したことを言えば……)


京太郎「こうやって抱きつかれてるのもいいかもな」

豊音「ほ、本当? 背の高い女の子でも気にしない?」

京太郎「それも個性だろ、きっと」

豊音「そうかな?」

京太郎「そうだよ」

豊音「……うん、そうだね、きっと」ギュッ





豊音「じゃあね、京太郎くん」

京太郎「ああ」


京太郎「……こうして過ごしてる分には影響ないんだよな」

京太郎「ま、しばらく麻雀はできないな」

京太郎「意識しすぎたらダメって……今は無理だろ」

京太郎「ほんと、扱いに困るな、これ」

京太郎「それもこれも、俺の自惚れじゃなきゃだけど」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
十一月十三日、始まりの日
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
夏、一足先の出立・一番星
夏、知り合いの多いインターハイ
夏、クレプスキュール
夏、鋭い女と時々レジェンド
夏、大きな彼女とサイン
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2
そのころの阿知賀編その3

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学一年、十一月十一日、細長い棒状のお菓子
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

てなわけで終了

安価とりたいんですけど、人いますかね?

それじゃ、この中から好きなのどうぞ

新道寺、千里山、永水、有珠山、臨海

下1~下5

それじゃ、コンマで


有珠山:1-40
新道寺:41-60
臨海:61-80
永水:81-00

直下

臨海のメンバーの中からお好きなのどうぞ

下1~下5

監督は出てないんで悪いんですけど無効にします

コンマ判定


ネリー:1-20 41-60 81-00
ハオ:21-40
明華:61-80

直下

ネリーに決定ですね

それじゃ、次回は

『三年、夏、お金で買えるものと買えないもの』です

では、おやすみなさい

こんばんは、もうちょっとしたらやります

んじゃ、やります
なお、寝落ち注意報



・三年、夏、お金で買えるものと買えないもの


『インターハイ団体戦一回戦、三日目の今日はCブロックの学校がぶつかり合います――』


京太郎「いよいよ清澄の出番か……」

京太郎「ま、俺は暇なんだけどな」


憩「あれれ、お兄さんやないですかーぁ」


京太郎「君は……もしかして荒川ナース」

憩「いえいえ、うちの名前はナースじゃありませんよーぅ」

京太郎「わかってるって、久しぶり」

憩「はい、お久しぶりですねーぇ」





京太郎「それで個人戦に?」

憩「今年も頑張りますよーぉ」

京太郎「まぁ、お手柔らかにな」

憩「お兄さん、女装でもするんですかーぁ?」

京太郎「なんでそうなる」

憩「だって、女子の個人戦に出ないとうちとは戦えないやないですか」

京太郎「違う違う、出るのは後輩だよ」

憩「後輩?」

京太郎「宮永と原村っていうんだけど」

憩「宮永……チャンピオンの妹さんとか」

京太郎「まぁ、そうだな」

憩「お兄さんもお知り合いで?」

京太郎「……まぁ」

憩「あらら、わけありって感じですねーぇ」

京太郎「気にすんな……ところで」

憩「はい?」

京太郎「ようやくはっきりと顔が見れたな」

憩「去年はフラフラでしたからねーぇ」

京太郎「思ったとおり可愛いな。俺の見立てに間違いはなかった」

憩「えぇっと、お兄さん、素面で言ってます?」

京太郎「君に酔ってる」

憩「もう、冗談ばっかで人が悪いやないですか」

京太郎「はは、ばれたか」





『決まりました! 二回戦進出は清澄高校です! 中堅の竹井選手が他校をとばして終了です!』


京太郎「あれ? さっき昼飯食ったばっかなのに」

京太郎「久ちゃん、快調みたいだな」

京太郎「さて、俺も戻ろうかな」


ネリー「なぁんだ、サキの出番はないんだね」


京太郎「げっ」

ネリー「ケチな人、こんなとこでなにしてるの?」

京太郎「お前はまずその呼び方を改めなさい」

ネリー「ケチな人はケチな人だよ?」

京太郎「……わかった、シュークリーム一個でどうだ?」

ネリー「やった!」





ネリー「おいしかったぁ、案外やるね」

京太郎「これで俺がケチじゃないことは証明されたわけだ」

ネリー「これからもケチな人って呼んだらご馳走してくれるのかな?」

京太郎「多分ご馳走の前に拳骨が飛んでくな」

ネリー「傷害罪で慰謝料ね」

京太郎「いいのか? 訴え起こすには金がいるぞ?」

ネリー「それ以上にもらうからいいもん」

京太郎「しかし、こっちには腕のいい弁護士がついてるんだな」

ネリー「それこそお金がかかるんじゃない?」

京太郎「ところがどっこい、知り合い料金でタダ同然」

ネリー「た、タダ? ……やるね」

京太郎「とまぁ、冗談はこれくらいにしとくか」

ネリー「冗談?」

京太郎「拳骨ってのはな。せいぜいくすぐるくらいだ」

ネリー「それはそれでセクハラだからね?」



京太郎「で、お前は暇なのか?」

ネリー「うん、でも同じく暇な人には言われたくないね」

京太郎「俺は試合に出るわけじゃないからな……」

ネリー「暇な人は個人戦には出ないの?」

京太郎「ケチの次は暇か」

ネリー「あ、またなにかご馳走してくれるの?」

京太郎「んなわけあるか」

ネリー「なぁんだ、つまんないの」



ネリー「それで、どうなの?」

京太郎「どうって、俺は大会には出ないぞ」

ネリー「ふぅん、面白そうな感じなのにね」

京太郎「面白そうってなぁ……」

ネリー「うまくやれば大儲けできるんじゃない?」

京太郎「大儲けって……麻雀でか?」

ネリー「そうだよ? ネリーも大儲けするためにやってるもん」

京太郎「お前はまた、がっついてんなぁ」

ネリー「だって、お金があればなんでも手に入るもん」

京太郎「なるほど、そういう考えか」

ネリー「なに? 愛とかそういうものはお金では買えないとか言っちゃうの?」

京太郎「さぁね。そんなのは買ったことも買われたこともないからわかんないな」

ネリー「……意外だね、思いっきり否定されると思ってた」

京太郎「そんなの人それぞれだからな。押し付けたって意味ないだろ。でも――」


京太郎「買えないものは多分、ある」



京太郎「過去、とかな」

ネリー「過去?」

京太郎「買えないってより、変えられないって言ったほうが正しいかな」

ネリー「そうかな? お金出せば戸籍だって経歴だって買えるよ?」

京太郎「自分の中の問題だよ。書類をどう弄ったってそこは変えられないだろ」

ネリー「忘れちゃえばいいよ。他に楽しいことをいっぱいしてさ」

京太郎「そうできたらいいんだけどな。多分無理だ」

ネリー「……ねぇ?」

京太郎「ん?」

ネリー「それってさ、忘れられないんじゃなくて、忘れたくないだけだよね」

京太郎「そうとも言う。どれも今の俺の一部だしな」

ネリー「ふぅん」



ネリー「ね、キミ、なんて名前だっけ?」

京太郎「須賀京太郎」

ネリー「ネリーはネリー……Nelly Virsaladzeだよ」


ネリー「キョウタロウ、ちょっと付き合ってよ」

京太郎「時給千円な」

ネリー「むしろネリーに時給くれてもいいんだよ?」

京太郎「やるわけないだろうが」

ネリー「む、やっぱりケチだ」





ネリー「ここ、入ろうよ」

京太郎「……ファミレス?」

ネリー「サトハが言ってたよ? ファミレスなら料理の種類が豊富だって」

京太郎「まぁ、そうだろうな」

ネリー「最近、昼になるとメグがインスタント食べさせようとしてくるんだよね」

京太郎「もしかして逃げてきたのか?」

ネリー「さすがに飽きちゃうもん」

京太郎「あいつはなにをやってるんだ……」

ネリー「この前はインスタントにトッピングして無限の可能性がどうのって騒いでたよ?」

京太郎「もういい、わかった。とりあえず入ろうぜ」





ネリー「どれにしようかなー」

京太郎「お前って漢字も読めんの?」

ネリー「当たり前じゃん。こっちに来る前に勉強したんだよ?」

京太郎「喋りに関しても問題なさそうだしな」

ネリー「褒めていいよ? ついでに報奨金も弾んでいいよ」

京太郎「俺から搾取する方へ向かうな」

ネリー「冗談だってば、40%ぐらい」

京太郎「冗談の割合の方が少ないからな、それ」


京太郎(というか俺、昼飯済ませたばっかだぞ?)

京太郎(ここに来てやることといえばドリンクバーくらいなんだよな)


ネリー「このハンバーグが美味しそうかも」

京太郎「決まったか?」

ネリー「うん。キョウタロウは?」

京太郎「俺も決まったよ。じゃあ、店の人呼ぶか」ピンポーン



「お待たせいたしました」


京太郎「ドリンクバー」

ネリー「このハンバーグで」


「かしこまりました、少々お待ちください」


ネリー「食べなくていいの?」

京太郎「さっき食ったばかりなんだよ」

ネリー「ふぅん……ところで、そのドリンクバーってなに?」

京太郎「頼んだらジュースとかが飲み放題になるメニューだ」


京太郎(とはいえ、店として儲かるぐらい原価が安いってことだよな、あれ)


ネリー「なにそれすごいっ」キラキラ

京太郎「いい機会だし、俺がドリンクバーの楽しみ方ってやつを教えてやるよ」





ネリー「むむ……調和のとれたブレンド、ミスマッチから生まれる絶妙な味……」

京太郎「見た目と美味しさは別ってところもポイントだな」

ネリー「コーラ入れたら大体真っ黒だしね」

京太郎「そこにメロンソーダをぶち込んだ時の不味そう感は半端ない」

ネリー「でも美味しかったよね」

京太郎「カルピスはジュースと混ぜるなら万能だな」

ネリー「ウーロン茶混ぜたら大変なことになったよ……」

京太郎「だろ?」

ネリー「ドリンクバーって奥が深いんだね」

京太郎「その通りだ。今度ファミレスに来ることがあれば練習してみろよ」

ネリー「うん、今度はサトハたちと来てみる」





ネリー「お金、良かったの?」

京太郎「初めてのファミレス記念だ」

ネリー「もらえるんだったらもらっておくけどね」

京太郎「タダより高いものはないって言葉はあるけどな」

ネリー「……やっぱり払う」

京太郎「冗談だ。年上には甘えとけ」

ネリー「甘え、る?」

京太郎「いやか?」

ネリー「甘えさせてくれるの?」

京太郎「こうやってそばにいるうちはな」

ネリー「……うん、そうだね」

京太郎「まぁ、大したことはしてやれないけどな」

ネリー「じゃあ、これは?」ギュッ

京太郎「手をつなぐくらいだったらお安い御用だな」ギュッ

ネリー「汗で湿ってる」

京太郎「今日も暑いからな……てか、嫌なら離せ」

ネリー「ふふ、やだ」





京太郎「それじゃ、そろそろ帰るわ」

ネリー「えー、もう?」

京太郎「あんまり遊びほうけてるとどやされる」

ネリー「いっそうちに来たらどうかな?」

京太郎「うちって……臨海にか?」

ネリー「うん」

京太郎「無茶言うな。そもそも女子校だろうが」

ネリー「女装すれば?」

京太郎「それ、最近流行ってんのか?」

ネリー「?」

京太郎「いや、なんでもない」



ネリー「ところでさ、私の生涯賃金の半分あげるって言ったらどうする?」


京太郎「はぁ? なんだそれ?」

ネリー「いいから」

京太郎「どうするって……やだよ」

ネリー「なんで? ネリーはきっといっぱい稼げるよ?」

京太郎「年下の女からそんな大金、もらえるかよ」

ネリー「……なにそれ」

京太郎「もらうだけの立場って結構辛いもんだぞ」

ネリー「お金以外のことで返してもらうからいいんだけど」

京太郎「それでもだ」

ネリー「……じゃあさ」



ネリー「キョウタロウの生涯賃金の半分、ちょうだいって言ったら?」


京太郎「ダメ」

ネリー「なんで?」

京太郎「いくらになるかわかんないけど、そんな大金いきなり払えるか」

ネリー「ローンでもいいよ?」

京太郎「ダメったらダメ。ま、こっちの方がさっきのより気は楽かもだけどな」

ネリー「ふぅん、キョウタロウはする方よりされる方なんだね」

京太郎「よくわかんないけど、そうなんじゃないか?」

ネリー「それじゃ、ネリーは行くね」タタッ


京太郎「……結局よく意味がわからなかった」

京太郎「生涯賃金の半分……まさかな」





ネリー「ただいま」

智葉「ああ、遅かったな」

ネリー「もうインスタントはいいかなって」

智葉「やっぱり逃げてたのか……」


ネリー「ねぇ、サトハ、絶対優勝しようね」


智葉「もちろんだ」

ネリー「優勝して、サキに勝って、そうしたらきっと……」

智葉「なんだ、金以外に欲しいモノができたのか?」

ネリー「うん、そうなんだ」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
十一月十三日、始まりの日
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
夏、一足先の出立・一番星
夏、知り合いの多いインターハイ
夏、クレプスキュール
夏、鋭い女と時々レジェンド
夏、大きな彼女とサイン
夏、お金で買えるものと買えないもの
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2
そのころの阿知賀編その3

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学一年、十一月十一日、細長い棒状のお菓子
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

というわけで終了

安価取りたいんですけど、人いますかね?

そんじゃ、この中から好きなの一つどうぞ

新道寺、千里山、永水、姫松、宮守、臨海

下1~下5

有珠山は無効です……

それじゃ、コンマ判定


新道寺:1-33
永水:34-66
宮守:67-99

00:それ以外


直下

それじゃあ、宮守のメンバーから一人どうぞ

下1~下5

じゃあコンマで

ゾロ目:あねったいさん
それ以外:エイスリン

直下

エイスリンで決定ですね
てなわけで次回は

『三年、夏、絵描きの彼女と金髪と』です


そんなわけでおやすみなさい



・三年、夏、クレプスキュール――if


「重ね重ね、ごめんなさい」ペッコリン

京太郎「別に着替えはあるからいいですけどね……」

「な、なにかお詫び!」ガタッ

京太郎「ストップ、お気持ちだけでいいです」

「しゃ、シャワーとか」

京太郎「……はい?」

「その、汚しちゃったから」


京太郎(……なにこれ、誘われてんの、俺?)

京太郎(てか、それはTシャツに袖を通す前に言って欲しかった……)


京太郎「一応聞きますけど、女性が男性を部屋に招き入れてシャワーを勧めるってことの意味、わかってますよね?」

「意味?」キョトン

京太郎「マジか、まずそこからか……あのですね?」





京太郎「ってわけで、色々まずいと思うんですよ」

「……」ボー

京太郎「聞いてます?」

「……」ボー

京太郎「もしもーし」

「……」フラッ

京太郎「っと、そんな積極的な……」


「……体、熱い」トロン


京太郎「えっと、さっき言った通り、ちょっとまずいんじゃないかと……」

「理沙」

京太郎「はい?」

理沙「理沙って呼んで」グイッ

京太郎「ちょっ――」

理沙「ん――」


理沙(しちゃった、ファーストキス……)

京太郎(酒臭っ! でも、柔らかくて……)ギュッ


理沙「――っ」ビクンッ

京太郎「正直もう無理です。我慢できません」

理沙「うん」


理沙「来て……?」





理沙「……ん、もう朝……」フワァ


京太郎「――zzz」


理沙「○△□×っ!?」


理沙(え、この人だれ!? なんで裸!?)

理沙(昨日お店を出た後から記憶が曖昧だけど……まさかまさか!) バッ


理沙「ベッドに赤いシミ……」

理沙「私、しちゃった……?」カァァ


京太郎「ふわぁ……あれ、起きてたんですか」

理沙「ふ、ふつつかものですが!」

京太郎「……えっと、とりあえずシャワー浴びません?」





――シャー


理沙「……」ドキドキ

京太郎「……一緒に入る必要はないんじゃあ」

理沙「じ、時間短縮!」プンスコ!

京太郎「それはそうかもしれないですけど……」


京太郎(こんな狭いとこでお互い裸とか……)

京太郎(もしかして、また誘われてるのか?)

京太郎(なら――)モミモミ


理沙「んっ……」ピクン

京太郎「……」サワサワ

理沙「ま、またする?」

京太郎「この状況で我慢できるほど、俺は人間ができてません」ギュッ

理沙「ご、強引っ」

京太郎「でも、期待してたでしょ」

理沙「ち、ちが――んんっ」ビビクン!

京太郎「抵抗してもいいですけど、多分止まれません」

理沙「け、けだものぉ」





理沙「……」フラフラ

健夜「理沙ちゃん、フラフラしてるけどなにかあったの?」

はやり「寝不足はダメだよー? お肌の大敵なんだからっ」

健夜「でも血色はいいような……」

理沙「お……」

はやり「お? 尻尾?」


理沙「男は、けだもの……」


健夜「……」

はやり「……」

理沙「ダメって言ってるのに何度も……」ポッ


健夜「理沙ちゃん?」ガシッ

はやり「ちょっとその話詳しく……!」ガシッ





京太郎「連絡先も交換してないけど……このままってのはやっぱりまずいよな」

京太郎「またあとでホテル、行ってみようかな」

京太郎「ん、メールか」ピロリン


『小鍛冶さん』

『はやりん』


京太郎「……ものすごく嫌な予感がする」




つづ……かない

というわけでのよりんとのもしもです

のよりんは京太郎の名前すら知らない状態ですが
あれこれ聞き出されて、あたりをつけた二人が京太郎にメールを送ってます
このあとの惨事は必至ですね

じゃあ、日が変わる頃にでもまた

二人があの後、京太郎に手を出すかはともかく
三尋木プロが知ったらもっと大変なことになります。知らんけど

んじゃあ、そろそろ始めます



・三年、夏、絵描きの彼女と金髪と


和「……」

優希「浮かない顔だじぇ、なにかあったのか?」

和「東京に来てから先輩と一緒にいる時間が減ったような気がして……」

咲「京ちゃん、いっつもどこか行ってるよね」

優希「たしかにそうだじぇ。手作りタコスも減ったじぇ」

咲「インターハイに知り合い、多いみたいだし」

和「まさか、女の人と会ってて……」ブツブツ

まこ「安心せぇ、そういう関係になっとるやつはおらんじゃろ」

和「そ、そうですよね」

まこ「ほうじゃほうじゃ」


まこ(それなら真っ先に久とくっついとるわな)


咲「……やっぱりお姉ちゃんなのかな」

優希「さ、早く帰ってお風呂に入るじぇ」

まこ「さて、後ろの二人を急かしてくるとするかの」





京太郎「さて、晩飯は済んだけど……なんかするか?」

久「帰って休むわよ。試合の後だしね」

京太郎「つっても中堅で終わっちゃったけどな」

久「咲と和が温存できたんだし、いいじゃない」

京太郎「ま、それもそうか」

久「それよりー」ジトッ

京太郎「な、なんだよ」

久「あんた、智葉と二人きりでご飯食べてたって本当?」

京太郎「……誰に聞いた?」

久「本人」

京太郎「まさかのホットライン」

久「智葉に色目使うとかやめときなさいよ」

京太郎「お友達になっただけだから大丈夫」

久「どうだか」

京太郎「そもそも、俺があいつをどうにかできるかよく考えてくれ」

久「そうね……でも、もしかするとって可能性も……」

京太郎「ある意味信頼されてんな、おい」



まこ「ほれ、そこの二人、早うせんかい」


京太郎「悪い悪い、久ちゃん、行こうぜ」

久「とりあえず保留ね」

京太郎「置いておくのか」

久「疑わしきはとりあえず追求よ」

京太郎「そこはそっとしておくのが奥ゆかしき日本人だろ」

久「私はノーと言える日本人だから」

京太郎「いや、本当に何もないから勘弁してくれ」


……すいません、寝落ちです
今日のとこはおとなしくおやすみなさい

こんばんはー
もうちょっとしたら昨日の続きやります

んじゃ、始めますねー




京太郎「ふぃー、いい湯だった」

京太郎「惜しむらくは一緒に入る人がいないってことだ」

京太郎「ハギヨシさんか一太でもいたら……いや、混浴だったら選択肢が増えるな」

京太郎「にしてもアイスが食べたい」

京太郎「……外に買いに行くか?」





京太郎「やっぱり夜でもそれなりに暑い……というか蒸し蒸ししてるな」

京太郎「さっさと買いに行こう」


「あ、いた」


京太郎「何食べるかな……」


「ひ、久しぶり。相変わらずのにわかっぷりだな」


京太郎「一応久ちゃんたちにも聞いておこう」ピッ


「ちょっと、おーい」


京太郎「アイス買ってくるけどなにがいい……っと」ピロリン


「む、無視するにゃっ」



京太郎「その噛みっぷりは……パシリさんか」

やえ「小走! わざと言ってるでしょ!」

京太郎「悪いな、お前の反応が面白いからつい」

やえ「認めた! おちょくってるって認めた!」

京太郎「それは違うな」

やえ「じゃあなんだっていうのよ」

京太郎「虚仮にしてるだけだ」

やえ「なお悪いわっ!」

京太郎「どうどう、冗談だから」


京太郎「で、なにやってんだ? 晩成はたしか敗退したよな」

やえ「うっ……わ、私には個人戦があるから」

京太郎「にしても早いだろ。個人戦のスタートは一週間後じゃなかったか?」

やえ「それはそうだけど……その、阿知賀が情けない戦いをしてないか見張るために」

京太郎「なるほど、要するに応援か」

やえ「ち、違う! あくまで監視、監視だかんね!?」

京太郎「お前もたいがいツンデレだなぁ」

やえ「ツンデレじゃにゃい!」





やえ「……これ」

京太郎「なにこれ、上着?」

やえ「あげる」

京太郎「いや、これ女物だろ、サイズも小さいし。俺が着たら面白いことになるぞ?」

やえ「別に着て欲しいわけじゃない……前にもらったののお返し」

京太郎「前に……ああ、そういや俺の上着あげたっけ」

やえ「べ、別に時々くるまって匂い嗅いだりとかしてないからっ」

京太郎「……えっと、してるの?」

やえ「だからしてないって!」

京太郎「俺に対してツンデレ発揮されてもな」


京太郎「まあいいや、暇だったら一緒に来るか? アイス一つぐらいだったら奢ってやるけど」

やえ「そこまで言うんだったら仕方ない、奢られてあげよう」

京太郎「なんでお前は上から目線かなぁ」ギリギリ

やえ「いたっ、いたたたっ!」

京太郎「まったく……」ピロリン


京太郎「ん、久ちゃんからか……それと」

京太郎「エイスリンから?」





久「で、明日の昼前後は出かけるって?」

京太郎「さっきメール来たんだ。一緒に出かけたいって」

久「明日は試合ないし、足りないものもないから問題ないけど……」

京太郎「だろ? せっかくだしちょっと案内してやろうかなって思ってさ」

久「というかあんた、妙に懐かれてるのね」

京太郎「まあ、はとこだしな」

久「本当にそれだけなのやらね」

京太郎「同じ金髪として親近感を抱いている可能性も無きにしも非ず」

久「天然物でもあんたはどうひっくり返っても日本人だけどね」

京太郎「でも8分の1はニュージーランド産だよ」

久「つまりキウイ野郎ってことね」

京太郎「その呼び方はやめような」


まこ「なんじゃ、また明日も出かけるんかい」



京太郎「指名されちゃってさ」

久「ホストみたいなこと言わない」

まこ「まあ、ええとおもうがの」

京太郎「え、ホストが?」

まこ「アホウ、違うわ」

久「出かけるのはともかく、問題は一年生たちよね」

京太郎「なんかあんのか?」

まこ「ここ連日だと抑えも効かなくなるじゃろな」

京太郎「話が見えないんだけど」

久「あとでしっかりフォローしなさいってこと」

京太郎「はぁ、わかった」


久(あ、わかってないな、これ)

まこ(わかっとらんじゃろな、多分)





エイスリン「キョータロ!」パタパタ

京太郎「久しぶり……でもないな、この前会ったし」

エイスリン「ン~」スリスリ

京太郎「早速行こうか?」

エイスリン「シュッパツシンコー!」



京太郎「……」

エイスリン「――♪」ギュッ

京太郎「なあ、腕組まなきゃいけないのか?」

エイスリン「ダメ?」

京太郎「ダメっていうか、暑くないか?」

エイスリン「ア、ゴメンナサイ……」シュン


京太郎(ヤバい、すごい罪悪感だ……)



京太郎「……わかった、俺が悪かった」

エイスリン「ジャア……テ、ツナイデイイ?」

京太郎「ん、オーケー」

エイスリン「……」ギュッ

京太郎「じゃ、行こうぜ」


美穂子「あら、京太郎さん?」



京太郎「みほっちゃん」

エイスリン「……ダレ?」

京太郎「ああ、長野の強い人」

エイスリン「ツヨイヒト?」

京太郎「暫定ナンバーワンってところかな」

エイスリン「パツキン!」

京太郎「それは俺らもだろうが」

美穂子「あの、京太郎さんとそちらの方はどういう関係で……」

京太郎「はとこ」

エイスリン「My steady!」ギュッ

京太郎「なんかすっごい懐かれちゃったんだよ」

美穂子「えぇっと……」


美穂子(マイステディって恋人って意味じゃ……)



貴子「お、須賀じゃねえか」

京太郎「久保さん」

エイスリン「マタパツキン!」

貴子「お前はいっつも違う女といるなぁ」


京太郎「あー……」

美穂子「……」

エイスリン「ムムム……」


貴子「えっと、触れちゃまずかったか?」

美穂子「そういうわけじゃ……」

京太郎「じゃ、じゃあ俺らはこれで……」ソソクサ

エイスリン「アッ……」


貴子「……お前、悪い男に引っかかってるんじゃないだろうな?」

美穂子「それは違います」

貴子「ならいいけどよ」





京太郎「ふぅ、俺は悪いことしてないよな?」

エイスリン「……」カキカキ

京太郎「……何描いてるんだ?」

エイスリン「He is cheating on me」

京太郎「なんだそりゃ?」

エイスリン「……ウワキモノ」

京太郎「はぁ?」


エイスリン「ダメ、ウワキ」ギュッ


京太郎「お前なぁ、日本語の使い方間違ってないか?」

エイスリン「トヨネナラ、ギリオーケー」

京太郎「おう、いっぺん勉強しなおしてこい」


佳織「あ、須賀くん」



京太郎「お、こんなとこで奇遇だな」

佳織「お、お久しぶりですっ」

京太郎「ほかの奴らも来てるんだろ?」

佳織「はいっ」

京太郎「今度挨拶に行くから伝えといてくれ」

佳織「わ、わかりました。それで、あの……」


エイスリン「ムムム……」ジー


佳織「こ、こちらの外人さんは……」

京太郎「俺のはとこ。ちょっと東京のガイド中」

佳織「はとこ、ですか」


佳織(それにしては距離が近いような……)

佳織(手もつないじゃってるし)



エイスリン「パツキン、マタ」

京太郎「だからそれは俺らもだって」

エイスリン「ウワキ、マタ?」

京太郎「だから日本語の使い方間違ってるって」

エイスリン「Nah!」

京太郎「ええい、強情な」


佳織「あの、本当にはとこなんですよね?」

京太郎「そこは嘘言ってないから安心してくれ」

佳織「そ、そうですよね」ホッ



佳織(でも、よくよく考えたらはとこで恋人ってありえるんじゃ……)

佳織(いとことは結婚できるって聞いたことあるし)


佳織「こ、恋人とかではないんですよね?」

京太郎「恋人? なんでまた――」

エイスリン「Stop!」ベシッ

京太郎「ちょっ、ボードで叩くな!」

佳織「えっと、喧嘩は良くないと思いますっ」

京太郎「わ、悪いな。俺らはもう行くよ」

佳織「あ、はい」





エイスリン「……」ブッスー

京太郎「おい、なんで機嫌悪くしてるんだよ」

エイスリン「……」カキカキ

京太郎「今度はなんだ?」

エイスリン「Big tits fascinated him」

京太郎「はぁ?」

エイスリン「オッキイノ、スキ?」

京太郎「いや、何の話だよ」

エイスリン「イイカラ!」

京太郎「まぁ、大は小を兼ねるとは言うけど」


エイスリン「……」スカッ



エイスリン「……」シュン

京太郎「よくわからんけど、落ち込むなよ」ポン

エイスリン「キョータロ、ワタシノコト、キライ?」

京太郎「んなわけないだろ」

エイスリン「ジャア、スキ?」

京太郎「当たり前だろ」

エイスリン「~~♪」カキカキ

京太郎「お、先生の新作か」

エイスリン「Happy Wedding!」

京太郎「見事にハートがいっぱいだなぁ」



透華「ごきげんよう」


京太郎「だれかと思えば、龍門渕のお嬢様か」

透華「あなたはまた新しい女と……」ハァ

京太郎「俺が遊び歩いてる風に言うの、やめてくんない?」

透華「それで、あなたはうちの使用人とどういう関係ですの?」

エイスリン「シヨーニン?」

京太郎「ジャパニーズジョークだ聞き流せ」

エイスリン「Joke?」

京太郎「目立ちたがりだから多少大げさに物言うんだよ、こいつ」

エイスリン「Don Quijote!」ポン

京太郎「そりゃ誇大妄想狂だ」

透華「……そろそろキレますわよ?」

京太郎「ごめんなさい」





透華「なるほど、はとこ……」

京太郎「そういうわけだ。やましい関係じゃない」


エイスリン「――♪」ヒシッ


透華「とてもそうは見えませんわ」

京太郎「人懐っこいんだよ、多分」

透華「どれ……」ズイッ

エイスリン「……」サッ


透華「……これはどういうことですの?」

京太郎「さぁ? お前の顔が怖いんじゃないか?」

透華「……」ギロッ

京太郎「冗談冗談、ジャパニーズジョーク」

透華「まったく……」



エイスリン「コノヒトモ、パツキン」


透華「天然物ですわ、もっと褒めてもよろしくてよ?」ファサッ

京太郎「俺らも天然物だっつーの」

エイスリン「……」ジー

透華「さぁ、もっと見ていただいてもかまいませんわ」スカッ

エイスリン「……フゥ」

透華「い、今どこを見てたか言いなさいな!」

エイスリン「……」サッ

透華「隠れても無駄ですわ!」

エイスリン「……!」サッ

透華「このっ、お待ちなさい!」

エイスリン「――っ」サッ


京太郎「あー、お前ら俺を囲んで鬼ごっこするのはやめろ」





京太郎「ひどい目にあった……」

エイスリン「ダイジョブ?」

京太郎「最後の最後は俺にビンタだもんな……」ヒリヒリ

エイスリン「Hmm……Nice hand print?」

京太郎「だれのせいだ、こら」

エイスリン「カラダデシハライマス」

京太郎「はいはい、よくわかってないのにそういうこと言うのはやめような」


エイスリン「……」カキカキ

京太郎「で、またまた新作か」

エイスリン「Master & man」

京太郎「ちょっと待て、その絵だとご主人様と下僕って感じじゃないか?」

エイスリン「Master & slave?」

京太郎「そうそう……ってか、この下僕のモデルは俺じゃないだろうな?」

エイスリン「ジョウズニカケマシタ」

京太郎「そこは否定しなさい」





京太郎「ラーメンでよかったのか?」

エイスリン「ウン。オハシ、ナレマシタ」

京太郎「そういや、初めて一緒に食べたのもラーメンだったな」

エイスリン「――オボエテタ!」

京太郎「まぁ、そうそう忘れないだろ」


京太郎(思えば外人とまともに話したの、こいつが初めてなんだよな)


京太郎「そういや、今日は他の奴らと一緒じゃなくて良かったのか?」

エイスリン「キョータロト、フタリキリガヨカッタ。ソレニ……」


エイスリン「トヨネ、キョウハワタシノバンダッテ」


京太郎「……姉帯が、ね」

エイスリン「ドウカシタ?」

京太郎「いや、なんでもない。……そうだ、小瀬川と仲良くな」

エイスリン「シロ? ナンデ?」

京太郎「なんとなく、かな」

エイスリン「ダイジョブ、ミンナナカヨシ!」

京太郎「ま、そこは心配してないよ」





エイスリン「……ソロソロ、ジカン」

京太郎「戻るのか?」

エイスリン「ウン」

京太郎「そっか……ま、次の試合も頑張れよ」

エイスリン「ツギ、キヨスミト」

京太郎「あ、マジか……じゃあ程々でお願いします」

エイスリン「ヤルカラニハゼンリョク、デス」

京太郎「仕方なし、だな」

エイスリン「キョータロ……スワッテ、ソコ」

京太郎「このベンチでいいのか?」

エイスリン「ン、ハヤク」ソワソワ

京太郎「はいはいっと……で、キスでもしてくれんの?」

エイスリン「――っ」ピシッ

京太郎「え、あ……もしかして図星?」

エイスリン「~~っ」カァァ

京太郎「ま、まあアメリカとかでは挨拶でやるよな」



エイスリン「エイッ――」グイッ


京太郎「んっ――」

エイスリン「――ソ、ソレジャ」タタッ


京太郎「さ、さすがにマウストゥマウスは挨拶じゃないような……」

京太郎「……うあ~」

京太郎「俺、モテ期でも来てんのかな?」



選択済みエピソード

・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
十一月十三日、始まりの日
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)

・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に

・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
夏、一足先の出立・一番星
夏、知り合いの多いインターハイ
夏、クレプスキュール
夏、鋭い女と時々レジェンド
夏、大きな彼女とサイン
夏、お金で買えるものと買えないもの
夏、絵描きの彼女と金髪と
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2
そのころの阿知賀編その3

・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学一年、十一月十一日、細長い棒状のお菓子
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白

てなわけで終了

安価取りたいけど、人いますかね?

それじゃ、この中からお好きなの一つどうぞ

永水、姫松、宮守、有珠山、臨海

下1~下5

そんじゃコンマで

永水:1-20 41-60 81-00
有珠山:21-40 61-80


直下で

永水の中から好きなのお一人どうぞ

下1~下5

それじゃコンマで

小蒔:1-60
春:61-80
初美:81-00

直下

はっちゃんで了解

てなわけで次回は

『三年、夏、スク水巫女とお姫様抱っこ』です


このまま次スレのスレタイキャラの安価も取ります

埋めないで少々お待ちを

それじゃ、次スレのスレタイのキャラ安価をば


美穂子
華菜
桃子

智美
佳織
透華

理沙
智葉
晴絵
豊音
ネリー
エイスリン


この中から一人どうぞ

下1~下5で

んじゃ、コンマで

豊音:1-20
美穂子:21-60
淡:61-00

直下

みほっちゃんで了解

それじゃ、立ててきます

それじゃ、次スレ

京太郎「俺が三年生?」美穂子「傍にいられるだけでいいんです」
京太郎「俺が三年生?」美穂子「傍にいられるだけでいいんです」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449156946/)


今回の金髪勢は長野限定で各校一人です
全国含めたらチカセンとかも出てきますし
コーチはおまけみたいなものなので気にしないでください


それじゃ、あとはいつもどおり埋めてもらってけっこうです

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