P「学園都市年度末ライブ?」土御門「そうですたい」 (431)


-11月下旬、東京都765プロ事務所



P「えーと、君が電話をくれた土御門くんかな?」

土御門「ええ、はじめましてですにゃー」

P「学園都市で年度末に765プロのオールスターライブをしてほしいって話だったね?」

土御門「ええ。学園都市の学生たちで1年間のシメに大がかりなイベントをしよう、ってのが目的ですたい。
    学生の街ですんで学生が中心になって動いてます。そんで俺が交渉人として伺いに参ったわけですにゃー」

亜美「なになに!? 亜美たち学園都市に行けるの!?」

真美「しかもみんなでライブ!? やるしかないっしょ兄ちゃん!」

P「コラ、亜美、真美。どっから沸いて出た」




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土御門「おおー! 双海姉妹! 会えるなんて感激だにゃー!」

亜美「亜美たちのコト知ってるの!?」

土御門「当然だぜぃ! 765プロのアイドルはIA大賞に全員ノミネートされてるからにゃー! 知らん方がモグリぜよ」

真美「んっふっふ~。真美たちもゆ→め→になったものですなあ」

土御門「あっ、あとでサインもらってもいいですか? 俺765の中でもお二人の大ファンなんですたい!」

亜美「んっふっふ~。ういやつよのう。それなら特別に亜美の直筆サインを……」

律子「コラ亜美! 無闇にサインしないの! 真美もよ!」

真美「えー! はるばる学園都市から来てくれたんだからいいっしょー」

律子「ダーメ! 土御門くんだっけ? 詳しいお話を聞きたいから会議室の方に来てくれる?」

土御門「了解ですにゃー。その前に御手洗いをお借りしてもいいですかい?」

P「ああ、そっち行って右手側だよ。会議室はあっちだから。何かあったらそこでパソコン作業してる音無さんに聞いてくれ」

小鳥「はーい、私ですよー」カタカタ

土御門「了解ですたい。キャリーバッグは置いてきますぜよ」

律子「ええ。私たちは先に会議室にいるから」



-会議室



律子「プロデューサー殿。この話蹴りましょう」

P「え?」

律子「だってなんですかアレ!! 金髪グラサンで学ランの下にアロハシャツ!! オマケにめちゃくちゃな敬語!!」

P「あー、まあそれはたしかにな」

律子「『ますぜよ』ってなんですか『ますぜよ』って!! はじめて聞きましたよ!!
   765のアイドル全員っていうから私もプロデューサーも時間割いてんのに、あんなナメ腐ったヤツ寄越すなんてフザけてます!!」

P「どうどう、落ち着け落ち着け。向こうもまだ学生なんだから」

律子「だからこそです! ああいったヤツには社会の厳しさをビシッと教えてやんないと!」

P「ああ、その点は俺も賛成だ。だが、仕事を蹴るのはまた別の話だろ?
  学園都市に行くのもいい経験になるだろうし、みんなでライブなら春香とかも喜ぶだろ」

律子「それは、そうかもしれませんけど」

P「なら、とにもかくにも話くらい聞こう。大人の器の大きさってヤツを見せればいいさ」

律子「……いいでしょう。ただし、納得のいく交渉内容じゃなかったらすぐに蹴りますから」

P「ある程度は大目に見てやれよ? まだ伊織や美希と1つしか変わらないくらいの子なんだから」

律子「えーえー、当然ですとも。大人ですから」フン

P(あ、ダメだこりゃ)



<コンコンコン


P「どうぞ」


<ガチャ


土御門「いやー申し訳ないですたい。緊張しちまいまして」

P「1人でアイドル事務所に交渉に来てるんだ。無理ないよ」

土御門「ありがとうございますにゃー。座っても?」

律子「ええ。それじゃ、早速話を聞かせてもらおうかしら。少しは交渉の準備くらいしてるんでしょうね」

土御門「当然ですたい」


ドサッ


律子「ちょっと! 何キャリーバッグ机の上にあげてんの!? 汚いでしょ!?」

P「落ち着けって律子」

土御門「心配ご無用。ローラーの部分が収納できる優れ物です」

律子「そういう問題じゃ」


<パカッ


土御門「まずアイドルたちのギャラについて。前払いで1人頭240万。
    それ以上は私との交渉のうえで後払いとさせていただきます。ここに2900万あります。端数は交通費にでも充ててください」

P「」

律子「」




土御門「続いて時期についてですが、
    2月20日から末日までのいずれか、もしくは3月15日から末日までのいずれかが望ましいです。
    なにぶん学生の街ですので期末試験の時期にかぶせることができません。
    学園都市の学校では3月頭に試験が始まり3月15日までにすべての学校が試験を終えますのでそこ以外の時期でお願いしたいと考えています」

律子「え、あ」

土御門「次に会場の候補地です。資料をご用意しましたのでこちらをご覧ください」スッ

P「あ、ああ、どうも」

土御門「第七学区にあります競技場が候補地となっています。
    こちらはドーム型ですので全天候に対応できます。規模としましては東京ドームと同程度。
    スタジアム内とスタンドに限界まで詰め込んだ場合、収容人数はおよそ8万人ほどになります」

土御門「やっていただく内容はアンコール込みで3時間から4時間のライブ。
    17:00入場開始、18:00ライブ開始。演目はそちらのプロデュースにお任せします。
    こちらの方で765プロアイドルのライブDVDは全部取り揃えておりますのでステージ上の照明や演出はこちらをベースに再現いたします。
    変更点がある場合には我々のスタッフらと話し合って決めていただく形になります。その他会場全体の構成も打ち合わせで決めます」


土御門「機材や音源の方もこちらですべてそろえさせていただきます。
    特別にご要望の機材があればすべてご用意します。すべて学園都市製ですので品質は保証します。
    ただ、衣装の方はこちらでご用意のしようがありませんので、そちらですべてご用意してください」

律子「……はぃ」

土御門「メイクやスタイリストもこちらでご用意できますが、
    専属の方を呼びたいというのであればそちらの方をお呼びください。
    もちろん、その方の交通費その他もろもろはこちらで負担します」

土御門「宿泊先は第三学区にある外部来客用のホテルをご用意します。
    そちらの資料の方にホテルのサイトのURLを載せておきましたのでご不明な点がありましたら閲覧してください。
    ご希望ならば前乗り日とライブ当日の2泊まではこちらで宿泊費を負担します。夕食と朝食はこちらでお出しできます」

土御門「その他、会場設営費撤去費、ライブ運営費、宣伝費などはすべて学園都市側が負担します。
    グッズ販売はこの話を承諾いただけるのであればこちらから販売許可が出せます。
    私どもとしましてもサイリウムなどを持っている学生が少ないのでグッズ販売をしていただいたほうがありがたいですが」

土御門「また、ライブ後にはライブ映像のディスクを販売していただきます。
    今回のライブのために資金援助をした上で参加できなかった学生にはそちらを格安で販売することにしておりますので」


土御門「……と、ここまでが私どもの草案です。
    まだまだ粗いものですので、細部は追々話を詰めていく形になりますが。
    ここまでで何か質問がございましたら私が答えられる範囲内でお答えします」

律子「」

P「……えーと、そうだね……あー、売り上げの配分とかは?」

土御門「そちらの総取りでかまいません」

P「それだと学園都市は大赤字じゃないかい?」

土御門「長期的な目で見れば『学生の力で一大イベントを興すことができた』というのが大きなステータスになりますから。
    学園都市の内外に向けて、学生が主体的に動けばなんでもできるということをアピールすることがもう1つの目的でもあります」

P「……学生が主体的に動いてこれだけの資金を?
  今の話に出てきた資金すべてならここにあるお金の3倍前後になりそうだけど」

土御門「何割かは学園都市からの補助金ですが、大部分は生徒からの募金です。
    『奨学金のランク別と学年別に募金額の大きかった者からチケットを格安で販売する』といった形で募りました。
    明確な基準と公平性を公示して募ったところ大成功しまして。世の中の大アイドル時代といった流行が功を奏しました」

律子「……」ポカン

P(……律子が回復するまで時間を稼ごうと思ったけどダメだな。
  目の前に大金叩きつけられたのとこの子の豹変っぷりについていけてないや)


土御門「それで、この話受けていただけるでしょうか」

律子「……え? あー、えっと」

土御門「受けていただけないのであれば、同じ条件で961プロか876プロの方にお願いしに行きますが……」

P「イヤ、願ってもない好条件だ。やらせてもらうよ。その代わり、利益の配分はこっちで決めさせてくれ」

土御門「売り上げの総取りでは不満ですか?」

P「さすがに破格すぎてね。それに売り上げじゃなくて利益の配分だよ」

土御門「……分かりました。では、それ以外は先ほど提示した条件で交渉成立ということでこちらにサインを」スッ

P「……ホントに手慣れてるなあ……ホラ、律子も」サラサラ

律子「あ、はい」カキカキ

土御門「ありがとうございます。正直な話、招致するアイドルをアンケートで募ったところ
    765プロが有効票の7割を超えていましたので。これでダメだったら袋叩きでした」

P「ハハッ、嬉しい話だ」

土御門「では、私はこれで失礼します。後の詳しい打ち合わせの日程などは追って連絡をいたしますので」

P「あ、じゃあ名刺渡しておくよ。アドレス書いてあるからここにメールをくれるかな?」スッ

土御門「承知しました」

P「律子も渡しておけよ」

律子「あ、ええ、そうですね」スッ

土御門「ありがとうございます。では、失礼します」


<バタン



P「……しかしこのお金このままもらっていいのか? 税金とか処理済みなんだろうか……律子?」

律子「……あの子いくつって言いましたっけ?」

P「年齢は聞いてないけど高校1年だってよ」

律子「……学園都市って交渉術まで教えてるんですか?」

P「さあ?」

律子「あ、身だしなみについて注意すんの忘れてた」

P「アレも狙ってたんじゃないか? ギャップで主導権握ろうって魂胆だったのかもな」

律子「……年下の子どもにしてやられたってことですか……」ズーン

P「しょうがないさ。正直俺もしどろもどろだった」ポンポン


-東京都、たるき亭前



土御門「はー、疲れた疲れた。久しぶりにシリアスになったから敬語に自信が持てんぜよ」

土御門「しっかし、やっぱり来て正解だったにゃー。結局こっそりサインもらえたし事務員までもが可愛かったし」ホクホク


<ゥ゙ー ゥ゙ー


土御門「っと、電話か……って一方通行?」

土御門「…………どういうことだ?」



-学園都市、第七学区『ファミリーサイド』



土御門『俺だ。どうした?』

一方通行「土御門か。どうだった?」

土御門『何がだ?』

一方通行「決まってンだろォが。焦らすンじゃねェよ」

土御門『………スマン、まったく分からん。そもそも暗部が解散してから連絡の1つも

一方通行「分からねェわけねェだろォが!! テメェは何しに学園都市から出てンだ!! アァ!!?」

土御門『…………765プロとの交渉?』

一方通行「分かってンじゃねェか。とっとと答えろ」イライラ

土御門『……そりゃ成功したが

一方通行「ッシャアアアアアアアアアアアア!!」

土御門『!?』ビクッ

一方通行「よくやった土御門!! じゃあな!!」



<ブツッ


一方通行「……」

一方通行「……」ガラッ

一方通行「……」ガサゴソ

一方通行「……」スッ

一方通行「……雪歩たァン」ニタァ


<コンコン


一方通行「うおっ!?」ビクッ

???『ちょっと? 一方通行? 入るわよ?』コンコン



<ガチャ


一方通行「……芳川、いたのか」

芳川「ええ、もうすぐ出るけど」

一方通行「そォか。で、何の用だ?」

芳川「何の用もなにも、あなたが部屋でいきなり大声だすから心配して見に来たんじゃない」

一方通行「……悪ィ」

芳川「あら、そんな簡単に謝るだなんて。あなたも丸くなったわね」クスクス

一方通行「ほっとけ。遅刻すンぞババア」

芳川「おまけに私の心配までしてくれるなんて」

一方通行「とっとと行け」

芳川「あら? あなたその手に持ってるカード」

一方通行「行け」

芳川「はいはい。出かける時は戸締まりよろしくたのむわよ」



<バタン


一方通行「……クソみてェな俺の人生を変えてくれた存在」

一方通行「三下……打ち止め……そして」

一方通行「雪歩たン」スッ

一方通行「あの実験が終わってからはじめて聞いた『Cosmos,Kosmos』」

一方通行「アレ聞いてなかったら正直打ち止めを助けようなンざ思わなかった」

一方通行「おまけに助けた打ち止めは天使だった」

一方通行「三下はヒーロー。打ち止めは天使。雪歩たンは……女神だな」

一方通行「……このライブ、行くしかねェ。たンまり寄付金献上したからチケットは確保できる」

一方通行「問題は……このバッテリー」カチッ

一方通行「この状態になれる時間は30分。この状態じゃなきゃ障害持ちの俺はとてもじゃねェが飛び跳ねるコトなンざできねェ」カチッ

一方通行「……問題ねェ。ライブは年度末だ。今からバッテリーを改造して長時間保たせるぐらい訳ねェ」

一方通行「暗部のクソどもの技術でもバッテリーを短期間で改造して容量を倍加できた。
     時間を持て余した俺が直々に改良すれば年度末までに起動時間を10倍にさせるくらい楽勝だっつゥの」

一方通行「……今から楽しみで仕方ねェぜェ」ニタア


一旦区切ります
夕方か深夜に再開


-東京都、『たるき亭』カウンター席



土御門「……なんだったんだアイツ」

土御門「あ、日替り定食まだ大丈夫かにゃー? 1つお願いしますたい」

亭主「あいよ」

土御門「……アイツなりのルートで不穏な情報でも嗅ぎつけたか?」

土御門「…………ダメだ。まったく分からん」

土御門「つーかアイツ俺の番号消してなかったのか」

土御門「……ま、いいか。とりあえず吹寄に報告しとくぜよ」ポパピプペ



-学園都市、とある高校会議室



吹寄「もしもし、土御門?」

土御門『おう! 交渉終わったぜぃ! 大成功だにゃー!』

吹寄「! そう、よくやったわね。お疲れさま」

土御門『はっはっは、俺にかかればこんなもんですたい!』

吹寄「やればできるのよね、アンタは。普段からちゃんとしてほしいわ」

土御門『耳が痛いにゃー。学園都市の未来を左右させるかもしれない交渉を無事成功させた男に聞かせる話じゃないぜよ』

吹寄「あら、悪かったわね。ま、さすがにアンタも普段通りの格好で行った訳じゃないでしょうしね」

土御門『……』

吹寄「ちょっと、まさか貴様」

土御門『はっはっは、結果良ければすべてよしですたい』

吹寄「この馬鹿者!! せめて交渉の時くらい髪黒くしてサングラス外してワイシャツ着ろって言っただろうが!!」

土御門『だぁってにゃー、髪黒くしたら当分戻らんぜよ』

吹寄「一日染めのスプレーくらいそこらへんに売ってるでしょうが!!」

土御門『あ、定食きたぜよ。また学校でにゃー』



<ブツン


吹寄「待ちなさい! まだ話は……もう!」

上条「土御門か? どうだったって?」

青ピ「今のリアクションやと見当つかへんねんけど……」

吹寄「……大丈夫よ。成功したらしいわ」

上条青ピ「「っしゃあ!!」」

小萌「さすがは土御門ちゃん! 先生の誇りなのですよー!」

吹寄「だけどあの馬鹿、普段の格好のまま行ったらしくて……」

小萌「あー……」

吹寄「一応あとで謝罪の電話入れておきます」

青ピ「うっひょー! 765プロのオールスターライブが生で観れるなんて! 感謝感激雨あられやでー!!」

上条「生貴音さん! 生あずささん! なんとしてでもチケット手に入れねぇと!」

吹寄「黙れ馬鹿ども! そもそもなんで企画委員でもない貴様らがここにいる!」

青ピ「んなもん、結果の成否をいち早く知るために決まってるやんか!」

吹寄「電話かなにかで聞けばいい話でしょう!?」

上条「万が一アイツがケータイの電源入れてて交渉中に鳴ったらどうすんだ!
   上条さんの不幸にかかれば俺の着信で交渉がご破談なんて可能性はわりと高いんだよ!」

吹寄「言ってて悲しくならんのか貴様は!」

上条「ライブ開催が決まって俺に死角はない! テンション上がってもーまんたいだー!」

青ピ「ええぞカミやん! 隠れたファインプレーやでー!」

小萌「はーいはーい、そこまでなのですよー! 皆さんちょっと落ち着きましょうねー!」

青ピ「小萌先生の命とあらば」キリッ

上条「喜んで」キリリッ

吹寄「……はぁ、もういい。私はこれから企画委員と理事会に報告するから」



-1時間後、第七学区大通り



御坂「! きた! やったわ!!」

白井「? どうかしましたの? お姉さま」

初春「ケータイ見て興奮するなんて珍しいですね」

佐天「あ! もしかして!」

御坂「年度末のライブ! 765プロに決ったらしいわよ!」

佐天「ホントですか!? ぃやっほう!!」

白井「ああ、そうでしたの」

初春「765プロですか~、私の希望は叶いませんでしたね」

御坂「え? 初春さん765プロ希望じゃなかったの?」

初春「私は数少ない961プロ派でしたから。もちろん765プロも好きですけど」

佐天「ジュピターは抜けたけど一一一も961プロだもんね。でも私は断然765プロ派ですよ!」

白井「そんな派閥争いもありますのね」

御坂「別に争ってるわけじゃないわよ。それぞれ好きなアイドルを応援してるだけなんだから」

初春「白井さんはアイドルの歌とか聞かないんですか?」

白井「お姉さまのお勧めで多少聴くくらいですの」

佐天「じゃあどちらかと言えば765派ですか?」

白井「私は常に3510派ですの」フンス

御坂「……この話になるとコレばっかり言うのよこのコ」

初春「すぐ会いに行けるアイドルですね」

佐天「あはは……」



佐天「ま、私の場合まずはチケットを手に入れるとこからなんですけどね」

御坂「あ、それなんだけどさ」

初春「はい?」

御坂「実は私、このためにかなり募金したから特別にチケット4枚確保できたのよ!」

佐天「えええ!?」

初春「えっと、各ランク内でTOP3は複数枚もらえるんでしたっけ?
   1位が4枚で2位から1枚ずつ繰り下がってチケットをもらえるとか……?」


御坂「Level5は人数少ないからLevel5内で募金額順にチケットを配布ってなってさ
   私ともう1人で募金合戦になってたのよ。で、あんまりしつこいもんだからメールで交渉してみたら
   その人は3枚あれば十分だっていうから余り分はこっちに回してもらったってわけよ!」

白井「まったく、お姉さまったら私が止めなければ貯金を全額突っ込むところでしたの」


初春「あの……でも、実は私すでにチケットもらってるんですよ」

御坂「え?」

佐天「うぇえええ!? 初春まで!?」

白井「ああ、そういえばそうでしたわね」

初春「はい。今回の募金のページ作る際にセキュリティの面で協力してまして……
   かなり本気出して作りましたから御坂さんでもクラッキングは出来ないと思いますよ」

御坂「な、私はそんな卑怯なマネしないわよ!」

初春「分かってますよ。それくらい強固なセキュリティってコトです」

白井「万が一にも不正はあり得ない、ってわけですのね」

御坂「ああ、そういうこと……じゃあ黒子と佐天さんに1枚ずつあげるとして……」

佐天「いやいや、そこはさすがに買いますよ」

御坂「え? いいわよ別に」

佐天「嫌です! それが私の無能力者としての意地です!」

白井「……ふむ、でしたら私も定価で買いますの」

御坂「2人がそう言うなら……じゃあ残った1枚どうしよっか」

初春「誰かにプレゼントすればいいんじゃないですか? お世話になってる人とか好きな人とか」

御坂「す、好きな!? い、いや、そんな人なんか」

佐天「いるじゃないですか。あのツンツン頭の……」

御坂「わー! わー!? な、何言ってんの佐天さん!!」

白井「お姉さま!? まさか未だにあのような類人猿に!?」



???「あら、御坂さんたち? 奇遇ですわね」

白井「うげっ」

御坂「あ、婚后さん! いいところに!」

婚后「あら、何かありまして?」

御坂「婚后さんニュースもう見た?」

佐天(チィッ!)

初春(話題変えられちゃいましたね……)

婚后「ニュース?」

初春「年度末のライブが765プロで確定したみたいです」

婚后「まあ! 本当ですの!?」

白井「あら、思いの外食い付きますのね。てっきり興味がないかと」

婚后「ええ! 実は『竜宮小町』の水瀬伊織さんとは幼稚園が一緒でしたので」

御坂「そうなの!?」

佐天「スゴーい! お嬢様幼稚園ってコトですね?」

初春「世間って狭いものなんですね……」


婚后「ですが……その……」

白井「? 何かありますの?」

婚后「……お恥ずかしい話、当時の私は友達作りというものを勘違いしておりまして……
   幼稚園児ながらも水瀬さんをはじめとする様々な方々にとんだご無礼を働いてしまい……」

御坂「あー……」

佐天「気にしすぎじゃないですか? 幼稚園児なんて無礼でナンボですよ」

初春「というより幼稚園の頃に何をされたかなんてもう覚えてないと思いますけど……」

婚后「水瀬さんは幼いころから聡明な方でしたので……
   『竜宮小町』の存在を知ってから是非ファンレターをと思っているのですが
   当時のコトを思い出すとなかなか筆が進まず……どうにかして直接お詫び申し上げたいと思っておりました」

白井「それでさっきのリアクションですのね」

婚后「ええ、どこかでなんとかお時間が取れればその時に……」

御坂「なるほどね。……ねぇ、その時私もついて行っていい?」

婚后「え?」

御坂「ほら、謝るのってけっこう勇気いるしさ、1人じゃちょっと心細いかなー、なんて」

婚后「まあっ……ありがとうございます。やはり持つべきものは友ですわね」

御坂「あはは、ホントは私も伊織ちゃんのファンだからってのもあるんだけどね」

佐天「あ、御坂さんズルい! それなら私も!」

初春「あんまり大人数だと逆効果ですよ、佐天さん」


-2時間後、東京都765プロ事務所



<バタン!


春香「プ、プロデューサーさ、うわぁ!?」


どんがらがっしゃーん!


P「うわ! なんだ!? 春香か!?」

春香「あてて……あ、プロデューサーさん!」

P「大丈夫か? 事務所に入ってくる時くらい落ち着いてだな」

春香「そんなコトよりプロデューサーさん! またオールスターライブやるって本当ですか!?」

P「お? ああ、ホントだよ。さっき一斉送信で送った通り、舞台は学園都市だ」

春香「ぅわっほい!! やったー!!」ピョンピョン

P「おいおい、また転ぶぞ」

春香「いいんです!! 嬉しいですから!! ってうわぁ!?」


どんがらがっしゃーん!


P「コントか!」



千早「春香、騒ぎすぎよ」

P「お、千早も一緒に来たのか」

千早「ええ、どうも春香ったらクリスマスライブが終わったらみんなでライブすることは当分ないと思ってたみたいで」

P「……なるほど、それであのテンションか」

千早「はい。それで心配なのでついてきました」

春香「千早ちゃんオールスターライブだよ、オールスターライブ!」

千早「ええ、私も楽しみだわ。ところでプロデューサー」

P「おう?」

千早「学園都市ではライブだけですか?」

P「イヤ、前乗り日と当日の2日分のホテル用意してくれるらしいからな。
  スケジュールの調整が上手くいけば、ライブの次の日に少しみんなで観光してから帰るのもアリかなと思ってる」

春香「みんなで旅行!? ホントですか!?」

P「観光な。まあ、あんま変わらないか」

春香「やっっったー!! ってうわぁ!?」


どんがらがっしゃーん!!


千早「春香、いい加減にしなさい」


美希「む~……うるさいの~……」

千早「あら、美希。ソファーで寝てたのね」

美希「春香のせいで叩き起こされたの」

春香「ご、ごめん美希……」

美希「別にいいの。で、なんの騒ぎなの?」

P「ホラ、さっき言ってたライブの話だ」

美希「ああ、それなら春香のテンションが上がるのも無理ないの」

春香「でしょ!? 美希も楽しみだよね!」

美希「もちろんなの! みんな一緒ならもっとキラキラできるって思うな!」

千早「ふふっ、嬉しいコト言ってくれるわね」

美希「でもね、ミキ、ライブとは別に楽しみなコトがあるの」

P「お? ホテルのベッドとかか?」

美希「違うの。それはそれで興味あるけど。コレ、このページなの」

春香「? スマホで開いた学園都市のサイト、かな? 何が書いて……」



大絶賛!! ババロアおにぎり!!



千早「」

美希「……コレ、向こうじゃ普通にコンビニで売ってるらしいの」

P「マジでか」

美希「美味しいものと美味しいものを足したって美味しいものができるわけではないの。
   そのくらいミキにも分かるの。にもかかわらず大絶賛の文字……コレは食べるしかないって思うな」

春香「……1個食べる勇気はないから向こうで一口だけもらっていい?」

美希「春香は特別なの」



美希「千早さんは何かないの?」

千早「……時間があれば学園都市の機材でレコーディングしてみたいと思ってたけど」

P「イヤ、千早それは……」

千早「ええ、さすがにそんな簡単な話ではないことくらい分かっています」

春香「そんなに変わるものなの?」

千早「さあ? でも、20年以上も科学が進んでいるならきっとレコーディング技術も進んでいるにちがいないわ」

美希「なんとも千早さんらしい着眼点なの」

P「……なんとかこれを機に学園都市でのレコーディングができないか交渉してみるよ」

千早「!」パァァ

春香「千早ちゃん、スゴくいい笑顔」

美希「頑張ってね、ハニー」

P「お、おう」



-1時間後、東京都某テレビ局駐車場



律子「……」ズーン

伊織「ちょっと、まだそのテンションなの? いい加減しっかりしなさいよ」

律子「……ええ、そうね。ごめんなさい。車出すわね」

亜美「律っちゃん大ダメージだね」

あずさ「あらあら。学園都市のコがしっかり者だったってだけの話ではないのかしら」

伊織「あずさの言う通りよ。なんでそれで律子が凹んでのよ」

律子「……対応できなかった自分の未熟さと手玉に取られた悔しさのせいよ」ブロロロ

あずさ「そんなに賢いコだったの? 亜美ちゃん」

亜美「んー、亜美としてはただのおもろい兄ちゃんって感じだったYO!」

律子「……亜美、あの時彼キャリーバック持ってたでしょ?」

亜美「え? うん、たしか」

律子「あの中現金で2900万入ってたのよ」

亜美「!?」

あずさ「!?」

伊織「へぇ。でも、そのくらいのお金が動くのなんてはじめてじゃないでしょ?」

律子「書面で額だけ見るのと現金叩きつけられるのはまた別なのよ!」

あずさ「あ、あらあら~」

亜美「恐るべし学園都市……」



伊織「ま、私たちもそれだけの価値があるアイドルになったってコトよ。
   これからこんなコトなんてしょっちゅうあるかもしれないわよ?」

律子「……ええ、そうね。あなた達『竜宮小町』はもう立派なトップアイドルだものね」

伊織「にひひ♪ 覚悟なさい」

あずさ「……それと、あなた達『竜宮小町』じゃなくて、私たち『竜宮小町』じゃないかしら?」

律子「え?」

亜美「そうそう! 律っちゃんを含めての『竜宮小町』だYO!」

伊織「あんたがいなきゃ『竜宮小町』は動かないんだから。当たり前でしょう? 一心同体でやってきたのに今さら何言ってんのよ」

律子「……そうね。悪かったわ」

亜美「んっふっふ~、律ちゃんもまだまだですな~」

あずさ「あらあら、うふふ」

伊織「ま、学園都市のライブはまだまだ先だし。まずは明日のライブに取り組みましょ」



-同時刻、東京都某コンビニ



真「あれ? 小鳥さん?」

小鳥「あ、真ちゃん」

真美「ピヨちゃん! 事務所の外で会ったのはじめてだNE!」

雪歩「何かお買い物ですか?」

小鳥「真美ちゃんに雪歩ちゃんも。ボールペンのインクが切れたから買いにきたの。3人はレッスンの帰り?」

真「ええ。久々に天気がいいから外に出たくて」

真美「レッスンの後だから疲れてたんだけどね~」

雪歩「もうすぐ11月も終わりますし、今のうちに日光に当たっておこうって……」

小鳥「ふふ、なるほどね」


真「それより小鳥さん、学園都市のライブが決った時事務所にいたんですよね?」

小鳥「ええ。真美ちゃんと亜美ちゃんも一緒にいたわ」

真「その時交渉に来た高校生ってどんなヤツでした?」

小鳥「え? うーん……ちょっとチャラチャラしてたけどヤンキーとかじゃなかった、って感じかしら?
   少しだけお話ししたけど独特のしゃべり方してたわね。あれってどこの方言なのかしら」

真美「ほ→ら→、だから言ったじゃん! ただのおもろい兄ちゃんだって!
   真美と亜美もゲーム少し教えてもらったし悪者のなんかじゃないってば!」

真「いいや、そういうフリをしてたんだよ、きっと」

雪歩「まさか……いやでも……うぅ」

小鳥「えっと……どういうこと?」

真「その交渉が終わったころから律子がちょっとおかしくなってたらしいじゃないですか」

小鳥「おかしいって言うか凹んでたって言うか……」

真「きっとそいつにやられたんですよ! 超能力で!」

小鳥「ええっ!?」

真美「だ→か→ら→、考えすぎだYO! それだったら一緒にいた兄ちゃんが普通だったのがおかしいっしょー!」

小鳥「私もさすがにそれはないかと思うけど……」

真「いいや、分かりませんよ。あのテレビでやってた学園都市の運動会見た時スゴかったじゃないですか。
  きっとプロデューサーが気付かないところでこっそり律子に超能力をかけておかしくしたにちがいない!」

雪歩「うぅ、怖いよぉ……」

真「大丈夫だよ、雪歩。雪歩はボクが守るから」

雪歩「真ちゃん……」キュン

小鳥「……」

真美「一生やってなYO!」


-同時刻、東京都首都高速道路



貴音「ありがとうございます。高木殿」

順二郎「はっはっは、なぁにアイドル3人とドライブできるんだ。こんなに嬉しいことはないよキミィ」

響「社長の車なんてはじめてだぞー!」

やよい「うっうー! イスがフカフカですー!」

順二郎「はっはっは、気に入ってもらえて何よりだ!」

貴音「そういえば、年度末に学園都市でのらいぶが決定したとか」

順二郎「ああ、今日決定したらしいね」

響「学園都市かー。前に事務所のテレビで真たちと見たけどスゴかったぞ。やよいの弟くらいの子が超能力使ったりして」

やよい「ホントですかー!? スゴいです!」

貴音「ふむ、しかしそれ故に未成年者の凶悪犯罪も多いと聞きます」

響「えっ、そうなのか?」

貴音「中には日常の如く自動販売機に上段蹴りを放つことで日々無銭飲食にいそしみ、
   赤面しながら嬉々として人に即死級の電撃を浴びせることを生業としている者もいるとか」

やよい「……やっぱり怖いかなーって……」

順二郎「なぁに心配いらないよ。私の知り合いが学園都市にいるからね」

貴音「なんと」

響「へー、やっぱり社長の人脈は計りしれないな!」

やよい「友達いっぱいでうらやましいですー!」



貴音「時に、友人とはどのようなお方で?」

順二郎「学園都市の中で要職に着いてる人物だ。前に一度アイドルをやらないかと持ちかけたが、フラれてしまってね」

響「アイドルは大変だからな。学園都市にいるんじゃ無理だぞ」

順二郎「はじめて会った時はこれまでにないくらいティンときたんだがねぇ。いやぁ、惜しいことをした」

やよい「うー……私たちじゃダメですか?」

順二郎「まさか! キミたちは今や全員トップアイドル!
    所属しているアイドルが全員IA大賞にノミネートされているのに不満なんてあるわけがない!」

やよい「!」パァァ

響「ふふん。ま、自分完璧だからな!」

貴音「恐縮です。まさかほんの1年足らずでかような高みにまで昇れようとは……」

順二郎「キミたちのプロデューサーはびっくりするくらい優秀だからね。もしかしたら2人とも超能力者かもしれん」

やよい「はわっ、プロデューサーさんと律子さんが超能力者ですか!?」

響「あはは、さすがにそれはないさー。完璧な自分でも超能力はムリだぞ」

貴音「人を高みにまで昇らせる超能力……面妖な」

順二郎「はっはっは! ま、学園都市の学生たちはなかなか学園都市の外に出られないのが現状だ。
    普段ライブを見に行くこともほとんど出来ないだろう。最高のライブを届けてあげてくれ!」



-数時間後、学園都市第七学区『窓のないビル』



土御門「……これでよかったのか?」

アレイスター「ああ。『プラン』の保険としては悪くない」

土御門「年度末まで時間が空くのにか?」

アレイスター「あくまでも保険の一手だ。これとは別に修復をはじめている」

土御門「……たしかにお前の予想は当たっていた。時間がなかったから確実なものとは言えないがな」

アレイスター「結構」

土御門「だが、それはあくまで限られた人物の話だ。『プラン』全体に効果が出るとは思えん」

アレイスター「理論さえ分かればどうとでもなる」

土御門「……」

アレイスター「さがれ、土御門。ご苦労だった」

土御門「……チッ」


今回はここまでです。


ちなみに禁書側は『第三次世界大戦後にグレムリンが結成されなかった世界』というifルートです。
白垣根は出現済み。
あまり長くならないと思いますがよろしくお願いします。

-3月17日、夕方東京都765プロ事務所



  ワイワイ
      ガヤガヤ


P「よし、みんな集まったな。時間もないから簡単に明日のスケジュールを伝えとくぞ」


<はーい!


P「まず春香と千早とやよい! 朝7:30に事務所集合。 8:10にぶーぶーえす入りで9:00から番組収録。
  終わり次第昼飯食べてから学園都市に俺の車で行く。向こうのライブ会場に14:00前くらいには着けるはずだ」

千早「分かりました」

春香「とうとう学園都市ライブだよ! 学園都市ライブ!」

やよい「うっうー! 楽しみですー!」


律子「次、亜美真美伊織とあずささん。『竜宮小町』が地方ライブ帰りだから明日は14:30からのリハだけ。
   学園都市へは申し訳ないけど新堂さんの運転で行ってもらいます。
   亜美真美あずささんは新堂さんに自宅まで迎えに来てもらいます。伊織、もう一度新堂さんによろしく言っておいてね」

伊織「そんなに言わなくても大丈夫よ。新堂も嬉しそうだったから」

あずさ「あらあら、自宅まで迎えに来てもらうなんてなんだか申し訳ないわ~」

真美「ぎりぎりまで身体を休ませるためだもん。ちかたないね」

亜美「真美もゲスト出演で一緒に福岡から帰ってきたばっかりだもんね。ちかたないよ」


P「次! 美希と貴音と響! 9:30からボイスレッスン。レッスン場には現地集合。いつも通り10分前には動けるようにしとけよ。
  ボイスレッスンが終わってからバスで学園都市へ。レッスン場から音無さんが引率してくれるからな。そのまま会場で合流だ」

響「へー、ピヨ子が来てくれるのか。珍しいな」

美希「てゆーかオールスターライブなんだから小鳥も出ればいいと思うな」

貴音「ふむ……良き考えかと」

小鳥「誰も知らない私が出てもみんなきょとんとするだけよ。それに2日間も事務所を空けてられないわ」

律子「最後に雪歩と真。8:00に事務所集合。8:30にスタジオ入りして9:00からファッション雑誌の撮影。
   終わったら私の車で学園都市に行くわよ。お昼は時間次第では向こうで食べるかもね。その後は会場でみんなと合流」

真「分かったよ。律子と仕事なんて久しぶりだなあ」

雪歩「真ちゃんと撮影……学園都市より楽しみかも……」



P「で、全員が合流する時間が大体14:00前後だ。14:30から全体の流れを確認。
  ここでは立ち位置とかステージの感覚を把握するだけだ。本格的なリハーサルは次の日にやるぞ」

律子「それぞれレッスンは欠かしてないしライブも慣れてるとは思うけど、慢心だけはしないように。
   それからいつも言ってるけど体調管理だけはしっかりすること。ライブ当日に体調崩したらシャレにならないわよ」

亜美「なら律っちゃんも残業しないで帰ること!」

真美「オールスターライブだかんね! 体調崩したらシャレになんないYO!」

律子「分かってるわよ。残業しようにも社長が私の分全部終わらせてくれたから心配いらないわ」

響「え? そうなのか?」

小鳥「律子さんがレッスンに励む時は大体社長さんがお仕事してくれるのよ?
   あの人が本気出すと私より事務仕事早いんだから。タイピングなんてもう指が見えなくなる速さになるのよ」

貴音「面妖な」


伊織「おまけに『竜宮小町』の営業までやっちゃうんだから。こっちはアタリハズレあるけど」

あずさ「ディレクターさんにティンと来ない、なんて理由で営業を打ち切るなんて思わなかったわ~」

真「いいんですか? それ」

P「……後日そのディレクターが編成費を横領してクビになってな」

千早「!?」

春香「何者なんだろう、社長さん」

やよい「本当は社長さんが超能力者なのかなー、って」

美希「ありえそうなの」

雪歩「納得できちゃうのが怖いですぅ……」



-同時刻、学園都市第七学区某公園



上条「いよいよ明後日は765プロオールスターライブ」

上条「学園都市中が浮ついた雰囲気になり、道行く学生はみんな笑顔だ」

上条「そんな中、上条さんは」

上条「チケットを買えませんでした……」ズーン



上条「ナメてた。ライブチケットをナメてた」

上条「あんなんよっぽど幸運じゃないと1人じゃ買えないんだな」

上条「販売開始と共に電話したけどぜんっぜん繋がらない」

上条「1~2時間その状態が続いて、ようやく繋がったと思ったら完売してた」

上条「上条さんの家には募金なんてするお金なかったし、だふ屋も出回ってるみたいだけどやたら値段吊り上げてるって話だし……」

上条「土御門は企画委員だからチケットいらずで観れるし、
    青ピはパン屋のコネだかなんだかでちゃっかりチケット手に入れてやがるし」

上条「はぁ……不幸だ……」トボトボ



???「あっ、見つけた」

上条「ん?」

御坂「なによ、エラく辛気臭そうな顔してんじゃない」

上条「御坂か。なんか久しぶりだな」

御坂「そ、そうかしら?」

上条「ああ、バレンタイン以来じゃないか? あん時もチョコくれんのかと思ったら電撃もらっただけだったし……」

御坂「わ、わわ悪かったわね! 私だって本当はちゃんとチョコ……」

上条「え?」

御坂「~~~!! 違う!! 今のなし!!」ビリビリ

上条「ストップストップ!! またビリビリしてるぞ!!」

御坂「はーっ、はーっ」

上条「そうそう、落ち着け。冷静になれ。クールにいこうぜ」

御坂「……そうよ。今日はこれ以上漏電するわけには……」


上条「それで、今日はなんか用でもあるのか?」

御坂「……ええ、そう、そうよ」

上条「お、なんだ?」

御坂「そ、その、さ。アンタ明後日のライブのチケット持ってる?」

上条「……持ってねぇよ。上条さんが運に左右されるイベントでいい方向に転ぶと思うか?」

御坂「……ぜんっぜんイメージできないわ」

上条「……ちくせう」シクシク

御坂「そ、それならさ、ここに1枚余ってるチケットがあるんだけど」ピラッ

上条「!?」

御坂「ほしいならあげても……キャッ!?」

上条「いいのか!? ホントにいいのか!?」ガッシリ

御坂「ちょ、ちょっと、何いきなり私の手を握りしめて……」

上条「あ、ああ悪い」スッ

御坂「待って! 放すな! 今放したらまた漏電する! チケット焦げちゃう!!」

上条「え!?」ギュゥ

御坂「~~っ、強く握りすぎぃ!」

上条「どうしろってんだよ!」


御坂「ぜーっ、ぜーっ」

上条「大丈夫か? 落ち着いたか? てゆーか落ち着け」

御坂「……ふーっ、オッケー大丈夫。大丈夫よ」

上条「よし。それで今お前と俺が握っているチケット、もらっていいんだな?」

御坂「……ええ、そうよ。そのために来たんだから」

上条「でも、ホントにいいのか? これかなり貴重なもんなんだぞ?」

御坂「いいのよ。友達のために買ったんだけどその子もう持ってたから」

上条「……なるほど。それなら俺もちゃんとお前から買い取るよ。いくらだった?」

御坂「あら、お金なんていらないわよ」

上条「そういう訳にもいかないだろ」

御坂「いいのよ! これは今までのお礼とか、その、そういうのの一環なんだから!」

上条「お礼って……そんなもん別に気にすんなよ」

御坂「い・や・よ! そんなの私の気が済まない! そもそもこんなので全部返せたとも思ってないし」

上条「でも」

御坂「いいからもらっておきなさい! この美琴センセーがあげるって言ってんだからそれでいいの!」

上条「……分かった。じゃあありがたくいただくよ。ありがとうな、御坂」

御坂「……ふふ、どういたしまして」


上条「友達に買ったってコトは御坂はその友達と行くのか?」

御坂「ええ、アンタは1人なの?」

上条「イヤ、クラスのヤツらでチケット持ってるヤツいるからそいつらと行くよ」

御坂「へー。ね、ちなみにアンタは誰推しなの?」

上条「俺はやっぱりあずささんだな! その次に貴音さん!」

御坂「あずささんかぁ。私は伊織ちゃんのが好きだな」

上条「伊織ちゃんか~。伊織ちゃんもいいよな~。
   『竜宮小町』繋がりでよく見るけど、小柄なのにあの存在感はスゴいよな」

御坂「へぇ、アンタもなかなか分かってるじゃない」

上条「ただ上条さんのどストライクはあずささんなんですよ! あの雰囲気にあの包容力!」

御坂「なっ! ……まあ分からなくもないけど……何? アンタああいうのがタイプなの?」

上条「俺のタイプは昔からお姉さん系だからな!」

御坂「ふ、ふーん……ね、ねえ、ここに1万人の妹を抱えるお姉さんがいるんだけど……」

上条「へ? いやいや、お姉さん系って言うのは俺から見てお姉さんって意味だよ。さすがに御坂にその属性はねーよ」

御坂「……」

上条「つーかお前その聞き方だとまるで俺に好かれたいみたいに聞こええええ!?
   ちょ、ストッ、ストップ! チケット焦げちゃうから!! 電撃出すな!! ビリビリするな!」

御坂「るっさい!!」


-同時刻、第七学区某マンション



浜面「ただいま~、っと」


滝壺「おかえり、はまづら」

フレメア「浜面! 大体しっかり働いてきた!?」

浜面「おう! バッチリだ!」グッ

フレメア「うむ、ごくろー! 早速ごはんだ! 手を洗えい!」

浜面「サー! イエッサー!」ビシッ



絹旗「あ、おかえりなさい、浜面」

麦野「ちょうどいいタイミングじゃない。珍しいわね」

浜面「お、今から食うところか。ラッキーだな」

滝壺「今日は私と麦野で作ったシチューと唐揚げ」

フレメア「美味しそう! にゃあ!」

浜面「それじゃ、いただきます!」パン!


絹旗「そういえばもう明後日でしたか。例のライブ」モグモグ

浜面「ああ、だからこのバイトもあと2日だけだ。設営と撤去でな」モグモグ

麦野「どんなのだったっけ?」モグモグ

滝壺「駆動鎧を着た会場設営。経験者優遇」モグモグ

浜面「おかげで日当1万2千円。駆動鎧着るとやたら作業がはかどるんだよ」

フレメア「そして! 浜面が作った会場で765プロがライブ! 私たちはそれに行くのだ!」

滝壺「打ち止めちゃんたちとね。向こうもチケット持っててよかったね」

フレメア「うん! 大体これも麦野お姉ちゃんがチケット買うために募金してくれたおかげ!」

麦野「募金しないとまず買えないっつーチケットだったからな。ま、私は上位2人ほどヒートアップしなかったけど」

絹旗「いったい誰なんでしょうね。Level5なんて超限られてきますけど」

浜面「誰にしたって貧乏人にしてみりゃ羨ましい話だよ」


フレメア「浜面たちはホントに行かなくていいの? 響ちゃんたちが来るんだよ?」

麦野「ガキどもに興味なんかないわよ」

滝壺「私はそんなにはしゃげないから。天海春香とかは好きだけど」

浜面「俺には滝壺ってアイドルがいるからな」キリッ

フレメア「絹旗は?」

絹旗「んー、興味があるアイドルはいるんですけどね。ほら、萩原雪歩っているじゃないですか」

麦野「へぇ、意外だな」

絹旗「アイドルとしてではないんですけどね」

滝壺「どういうこと?」

絹旗「まだまだ売れてくる前にB級ホラー映画で出演してましてね。
    冒頭でセリフもなく悲鳴あげて死ぬだけの役だったんですけど
    アレどう見てもガチで泡吹いて失神してたんですよ。これは超大物になると思いましたね」

浜面「どんな見方してんだよ」

麦野「ま、明日のライブにはあの優男がついてくから問題ないだろ」

フレメア「大体分かった!」

滝壺「チケット持ってるの?」

麦野「カブトムシは無料だよ」クスクス


-学園都市、???


「決行は明日。各自抜かりはないな?」

「当然」

「バッチリじゃ」

「完璧だよ」

「万事問題ありません」

「よろしい。最低限の役割は果たせ。あとは自由にしてかまわん」



「コレでパワーバランスは元に戻る。こんな世界を私は認めない」


今回はここまでです。
アイマス難しい。



レスありがとうございます
一応声優ネタはありません。
メタネタ嫌いなのと声優ネタがさっぱりわからないんで。
>>1の前作は

麦野「フレンダは…私が殺した」
HAL「学園都市…」
とある根性の旧約再編

です。
アイマスは初めてなので口調などおかしなところがあったら脳内変換でお願いします


前々回が盲腸、前回が交通事故、今回何が来るかなーと思ってたら
ビーチではしゃぎすぎてぎっくり腰になりました。腰が痛すぎて立てない歩けない。
せっかくのBBQの大半を横になって過ごし、浜の上で横になったため大量に足を食われ
おまけにビーサンなくして裸足で友人の車に乗っけてもらって帰りました。
もうSS書くのやめようかな(笑


-3月18日、11:50学園都市第三学区バス停



響「着いたぞハム蔵! ここが学園都市さー!」

ハム蔵「ジュイ!」

貴音「真、まるで都心のような巨大びる群ですね」

美希「着いたのー、と」スッスッ

小鳥「あら、美希ちゃん何してるの?」

美希「ラインで学園都市に着いたって報告してたの」

響「あ、ホントだ……ってなんで目が半開きの自分とハム蔵が映ってるのさー!」

美希「だってそうじゃないと学園都市に着いたって報告にならないの」

響「それならもっと違う画像にしてよ! なんで半開きなんだ!?」

美希「キセキの一枚なの。載せないわけにはいかないって思うな」

響「うがー!!」


小鳥「まあまあ、それなら私が3人を撮ってあげるわ」

貴音「いえ、それなら小鳥嬢も一緒の方がよろしいかと」

小鳥「え? 私は別にいいわよ」

響「ダメだぞピヨ子! こういう時はみんな一緒さー!」

美希「そうなの! 小鳥も一緒じゃなきゃヤなの!」


小鳥「そう? じゃあ誰かその辺の人に……あ、すいませーん」

???「はい?」

小鳥「あの、ちょっと写真を撮って……きゃあ!?」

貴音「!? なにやつ!!」

???「はあ……? 垣根提督、と申しますが……」

美希「スゴいの! 身体も髪も真っ白なの!」

響「おい、ピヨ子も貴音も失礼だぞ。初対面の人に対して」

小鳥「え、ええ。ごめんなさい」

垣根「いえいえ、たしかに私は他の人と比べて異様ですから」

貴音「……もし、貴方は人なのですか?」

響「ちょ、貴音ぇ!」

垣根「ふふ、人のようなもの、と答えれば貴女は満足しますか?」

貴音「……」

美希「? どういうことなの?」

垣根「超能力ですよ。どのような意味でも」

響「へー! 超能力でこうなってるのか!! スゴいなハム蔵!!」

ハム蔵「ジュイ!」



垣根「……あなた方はもしかして、765プロの?」

小鳥「あ、はい……って、バレちゃいけないんだった」

垣根「大丈夫ですよ。騒ぎにはしませんから」

美希「小鳥ったらおっちょこちょいなの。こーゆー時は無理にでも違うって言わなきゃダメだと思うな」

小鳥「ごめんなさい……」

響「むー……なあ、やっぱり自分たちの変装甘いかな?」

垣根「いえ、話してみてはじめて分かりましたので。……それで、お写真でしたか?」

小鳥「あ、そうだった」

美希「忘れるところだったの。はい、コレで撮って」

垣根「かしこまりました」

響「ほら、貴音も」

貴音「……」



垣根「……このような感じでよろしいでしょうか?」

美希「アハッ☆ バッチリなの!」

響「うん! 今度はバッチリ目も開いてるぞ!」

小鳥「ありがとうございました」

垣根「いえ。では、私はこれで」

貴音「……お待ちください」

垣根「はい?」

貴音「……ご自分に自信を。いつの日も、自分が自分であるために」

垣根「!」

貴音「あらゆる艱難辛苦がございましょう。ですが、いつの日か貴方が完全に自分を確立するために」



垣根「……」

美希「……貴音?」

貴音「……失礼、言わねばならないと思いましたので」

垣根「……ありがとうございます。少し楽になりました」

響「……?」

垣根「さすがは『銀色の女王』と言ったところですか」

貴音「いえ、私などまだまだ」

小鳥「あの、何が?」

垣根「せめてものお礼です。この道をまっすぐ。2つ目の信号を右へ。30メートルも歩けばお望みのものがございます」

貴音「……ふむ、そこでしたか」

垣根「では、私はこれにて」ファサ

小鳥「!?」

響「な、何コレ!? つばさ!?」


ぎゅーん!!


美希「………飛んでっちゃったの」ポカーン



貴音「では、参りましょうか」

小鳥「ど、どこに!?」

貴音「あの方の情報を無為にするわけにはいきません」

響「情報って……2つ目の信号を右にってヤツ?」

貴音「ええ」

美希「な、何があるの? さっきからミキ全然ついていけてないの」



貴音「この信号ですね」

小鳥「右に曲がって30メートル歩いたところって……もしかしてあれ?」



ラーメン勇次郎
『富士山盛りラーメン!! 20分で食べられたらなんと無料!!』



響「」ズコー!

ハム蔵「ジュイ!?」

美希「ひ、響がずっこけたの!!」

貴音「真、良き匂いです。ああ、たまらない……」

小鳥「すっごい会話してるから何かと思ったらまさかのラーメン!?」

貴音「では、参りましょう」ガラッ

響「もう!! さっきのミステリアスな雰囲気はなんだったのさー!!」

貴音「大将殿、富士山盛りラーメンを」

大将「ヘイ!」

美希「なんなのなの!? なんなのなの!!」



-12:10、第一五学区大通り



亜美真美「」ブフゥ!

あずさ「あ、あらあら、笑っちゃダメよ」プルプル

亜美「あっひゃっひゃっひゃっ! こんなん笑うなってほ→がムリっしょー!」バンバン

真美「あっひゃっひゃっひゃっ! な、なんでひびきんそんな楽しそうな表情で目が半開きなの!?」バンバン

伊織「楽しそうね、アンタたち。私も早く自分のスマホほしいわ」

新堂「それが父上様の方針ですゆえ」

伊織「分かってるわよ」

亜美「亜美たちだってあずさお姉ちゃんのスマホ見せてもらってるだけだYO!」

真美「やよいっちだって持ってないし、中学生組はミキミキだけだね」

あずさ「そんなに早くから持つものじゃないわ、と」

伊織「なんて返したの?」

あずさ「響ちゃんはどんな表情でも可愛いらしいわね、って」

亜美「さっきまで全身震わせてたあずさお姉ちゃんが言ってもなー」

あずさ「あ、あらあら」



新堂「目的地である繁華街はこの辺りかと」

真美「ホントだ! なんだかだんだん賑わってきた!」

伊織「そうね。じゃあこの辺りで下ろしてちょうだい」

新堂「かしこまりました。車を止める場所を見つけますゆえ、しばしお待ちを」

あずさ「学生がたくさんいるわねぇ。私大丈夫かしら?」

亜美「大丈夫だよ! 亜美がついてるかんね!」

伊織「3人がかりで見張ってればさすがに大丈夫よ。それよりバレないように振る舞いなさいよ」

真美「んっふっふ~、ゆ→め→人の辛いところですなあ」



新堂「ここらでよろしいでしょう」キッ

亜美「イエーイ! 学園都市だぜーい!」ガチャ

真美「時代の最先端! 真美こそが未来だぜ!」ダッ

あずさ「ありがとうございました、新堂さん」

伊織「ごくろうさま。明後日の16時に迎えにきてちょうだい。場所はまた連絡するわ」

新堂「かしこまりました。ライブの成功を祈っております」

伊織「にひひっ♪ 私のライブに失敗なんてないわよ」

新堂「はて、昨年の夏ごろに……」

伊織「なんのことかしら」

新堂「いやはや、私ももうろくしましたかな」

伊織「早すぎるわ。まだまだコキ使ってあげるから覚悟なさい」

新堂「ありがたき幸せ。では、これにて」



<ブロロロロ……



あずさ「……カッコいいわねえ、新堂さん」

伊織「ふん、当然よ。このスーパーアイドル伊織ちゃんに仕えてるんだから」


<おーい! いおりーん! あずさお姉ちゃーん!

<こっちきてー! スゴいの見つけたー!


伊織「大声で名前呼んだらバレるでしょうが! もう! はいはい、分かったわよ!」

あずさ「いったいなにかしら?」



亜美「ほらほら見てよコイツ!」

真美「ロボだよロボ! 普通に動いてた!」

お掃除ロボ「」 ウィーン

あずさ「あら~、可愛らしいコね」

亜美「そこに目をつけるとはさすがあずさお姉ちゃん!」

伊織「へえ、こんなのが普通にいるのね、さすが学園都市」

真美「王道通りの感想とはさすがいおりん!」

亜美「コイツはどうやらお掃除ロボのようであります! さっきも空き缶を吸い込んでました!」

真美「あずさ大佐、いおりん少佐、いかがいたしましょう?」

伊織「なんで私が少佐なのよ。いかがも何も私たちでどうにかしていいわけないでしょ?」

あずさ「でも、せっかくだからこのコが頑張ってるところが見たいわ~。どこかにゴミとかないかしら」

亜美「そんじゃ、亜美と一緒に買い食い行こうよ! 学園都市のコンビニクオリティはスゴいってゆ→め→なんだYO!」

真美「あ、じゃあ真美も行く!」

亜美「いやいや、誰かがこのロボを見張ってなきゃダメっしょー! すぐに買ってくるから待っていたまえ真美隊員!」

伊織「軽いものにしなさいよ。これからお昼も食べるんだから」

亜美「イエッサー! 行こっ、あずさお姉ちゃん!」

あずさ「ええ」



真美「ちぇっ、真美も行きたかったな~」

伊織「コンビニなんていつでも行けるじゃない」

真美「その精神がダメなのだよ! 行ける時に行かなきゃチャンスを逃す! 今行かなきゃいつ行くの!」

伊織「だからいつでもいいわよ」

真美「いおりんノリ悪ーい」

伊織「言えばいいってもんじゃないわよ」



真美「でさ、ここって学園都市でも流行の最先端の学区らしいじゃん?」

伊織「そうらしいわね。パンフレットだと」

真美「学園都市っていうくらいだからファッションなんかも進んでるかと思ったんだけどさ」

伊織「……あんまり変わらないわね。東京と」

真美「真美も雑誌のモデルやらせてもらったりするから少しは分かるようになったけど、やっぱり大差ないよね」

伊織「ま、科学技術が進んでるってだけであとは普通なのよ、きっと」

真美「でもよくよく見ると面白い服装の人もいるよ! ほらあそこ、ウルトラマン!」

伊織「あらホント……隣の人は……民族衣装かしら?」

真美「それにほら、ブレザーの下にさらし巻いてる人とか」

伊織「アレはきっとイベントの衣装か何かよ。あんな服装普段からしてるわけないじゃない」

真美「でも、去年ライブの交渉にきた兄ちゃんも学ランの下アロハシャツだったよ?」

伊織「シャツとさらしを同列に扱ってどうすんのよ……っていうか真美」

真美「?」

伊織「……亜美たち遅くないかしら?」

真美「………え?」




-12:35、第四学区路肩



亜美『もしもーし、どったの? 律っちゃん』

律子「どったのじゃないわよ! アンタ今どこにいんの!?」

亜美『へ? 今あずさお姉ちゃんとコンビニで買い物中だよ? ミキミキが気になってたババロアおにぎりが』

律子「コンビニってどこよ!? どこのコンビニ!?」

亜美『ちょっと律ちゃんなんでそんな怒ってんのさ。今第一五学区ってとこの……
   え? なになに? ……ここは、第四学区!? うぇえ!? うそっしょ!?』

律子「何してんのよ! やっぱり迷子になってんじゃない!!」

亜美『だって、亜美たち10分も歩いてないよ!?』

律子「いいから! コンビニの近くにある建物教えなさい! 迎えに行くから!」

亜美『えーっと……あ、ちょっ、あずさお姉ちゃんストップ! タンマタンマ!

    あ、なんか隣におっきい料理屋さんある! バイキングっぽいよ!
    赤くて大きくて、えっと、大通りに面してる! 駐車場が広くて向かい側に大きなビルがあって……』

律子「バイキングね、分かったわ。今ちょうど第四学区にいるから迎えに行くわ」

亜美「今ので分かったの?」

律子「ええ、さっき通ったところだわ。絶対そこから動かないこと。絶対あずささんから目を放さないこと。いいわね?」

亜美『ラジャー!』




ピッ


律子「やれやれ……」

真「亜美とあずささん見つかった?」

律子「ええ、ちょうどこの学区にいるみたい」

雪歩「ほっ、よかったですぅ」

律子「ごめん、真。悪いけど伊織とプロデューサー殿に連絡しといて。私運転するから」

真「分かった。どうせなら伊織たちもこっち呼ぶ? みんなでお昼食べようよ」

律子「伊織たちが来れるならいいけど、来れるかしら?」

真「どうかな? 聞いてみる」

雪歩「はじめての土地だから難しいかも……」


律子「慣れるとスゴく楽なんだけどね」

雪歩「律子さんは分かるんですか?」

真「あ、もしもし伊織? 亜美とあずささんたち見つかったよ。うん、大丈夫」

律子「私とプロデューサー殿は何回かこっちまで打ち合わせで来てたから」

雪歩「ああ。……そういえば、その、大丈夫ですか?」

真「それでさ、よかったら伊織たちも一緒にご飯食べない? みんなで食べようかって話してるんだけど」

律子「? 何がよ?」

雪歩「あの、超能力、とか……律子さんもしかしたら超能力をかけられたんじゃないかって心配してて……」

真「ボクたちの場所? 今第四学区ってとこ。伊織たちは? ……え、そうなの?」

律子「ああ。あはは、ないない。そんなことされたらさすがに気付くわよ」

雪歩「で、でも、このライブが決まった時、律子さんちょっと暗かったし……
   かと思ったら学園都市から帰ってくると上機嫌な時があったりで、私と真ちゃん心配でぇ……」

真「バスとかでこっち来れない? ……へ? ホント?」


律子「……いらない心配かけちゃったわね。凹んでたのは年下の子どもに手玉に取られたから。
   上機嫌だったのは学園都市の実行委員会のコが可愛いくてしっかり者で気が合ったからよ。吹寄ちゃんってコなんだけど」

雪歩「あ、そうだったんですか?」

真「でも、亜美たちはこっちにいるんだよ? ……あー……。そっか、うん」

律子「ええ。……と言うか、アンタたち私をそんな風に見てたわけ?」

雪歩「ふぇっ!? いや、あの、その……」

真「分かった。伝えておくよ。ちょっとこっち悪い流れになってきたから切るよ? うん、またあとで」

律子「私は至って健常だったのにおかしな人だと思われてたのね……傷つくわ……」ニヤニヤ

雪歩「ご、ごめんなさいぃ! 私穴掘って埋まってますぅぅ!!」ジャキン

律子「えっ!? ちょっと、車に穴空けるつもり!?」

雪歩「ごめんなさいぃぃ!!」

真「はーい雪歩ストップ。そこまでだよ」ガシッ

雪歩「放して真ちゃん! 私なんか、私なんか!」

真「大丈夫だよ、律子怒ってないから」

雪歩「え?」

真「ね、律子」

律子「ええ。だから早くそのスコップをしまいなさい。どこから出したのよ」

雪歩「……よかったですぅ」ホッ

真「もう、律子もからかいすぎだよ」

律子「ごめんごめん、久しぶりで加減が分からなかったわ。で、伊織は?」

真「こっちに合流すると時間に間に合わなくなるから真美とご飯食べてからライブ会場行くって」

律子「そう……ん? でも亜美は歩いて10分もしないでこっち着いたって言ってたんだけど」

真「ほら、あずささんが一緒だから」

律子「……それが理由になるのが怖いわ……」ハァー



-12:55、第七学区『セブンスミスト』



P「おう、そうか。見つかって何よりだよ」

真『もう合流できたから大丈夫だと思いますけど』

P「ああ、律子がいれば問題ない。学園都市にいてよかったよ」

真『いくらあずささんでも学園都市から出ることはないんじゃないですか?』

P「だって俺こっちで一回あずささんと遭遇したんだぞ?」

真『こっちって……学園都市でですか?』

P「ああ。そのまま一緒に帰ろうとしたらすでに事務所にいた。何を言ってるか分からないと思うが……」

真『……あずささんて何者なんですか?』

P「ウチの誇るべきアイドルだよ。じゃ、またあとでな」

真『はい、分かりました。遅刻しないでくださいよ、プロデューサー!』



ピッ



P「ふぃー、とりあえず一安心だな」

P「なんでか知らないけど律子といる時は行方不明にならないんだよな、あずささん」

P「……そうじゃなきゃ『竜宮小町』のプロデュースなんかできないか」

P「ま、なんにせよ探しはじめてすぐに見つかってよかったよかった」

P「さてさて、今度は俺が春香たちを探さないとな」

P「この建物から出るなって言っておいたし、大丈夫だと思うが……」ポパピプペ


-2F、家電量販店



千早「!? なんなのコレ!?」

やよい「はわっ!? 私がいます! それに千早さんに春香さんに真さんに響さんに……」

春香「スゴーい!! コレきっとホログラムだよ、ホログラム!!」

千早「ホログラム? どういうものなの? なんで私たちの偽物がライブを……」

やよい「ち、千早さん! なんかあの千早さん透けてませんか!?」

千早「えぇっ!? そんな、こんな昼間の、明るいところで……」

やよい「ひぃっ! ゆ、幽霊です! 幽霊が出ました! 呪われますーっ!」

春香「あ、もしもし、プロデューサーさんですか? 今2階の電気屋さんで可愛いいもの見てます。
    ええ、プロデューサーさんも早く来ないと見逃しちゃいますよー? あと数分はもちそうですから早く来て下さい」



P「おーい」

春香「あ、残念ですねプロデューサーさん。見逃しちゃいましたね」

千早「……つまり、コレはライブのDVDが立体的に映されているのね?」

やよい「はぇー……学園都市ってスゴいんですねー」

P「……何があったんだ?」

春香「千早ちゃんとやよいがホログラムを見てドッペルゲンガーか何かと勘違いして……」

千早「ちょ、ちょっと春香!」オロオロ

やよい「春香さんそれ秘密ですってばー!」ワタワタ

P「……2人とも可愛いいなぁ」ホッコリ

春香「えぇ」ホッコリ



千早「そ、そんなことより! 亜美とあずささんは見つかったんですか!?」

P「ああ。もう律子たちと合流したから問題ないよ」

やよい「うっうー! よかったですー!」

P「向こうは今昼メシ食べてるようだからもう少しかかるかもしれないが、先にライブ会場に行ってみるか?」

春香「んー、それもいいですね。のんびり周りを見ながら行きたいです」

P「じゃあそうするか。……それにしても、明日がライブのせいかどこもかしこもウチのポスターばっかりだな」

千早「……『完売御礼』、ってことはみんなチケット買ってくれたんですね」

P「ああ。みんなお前たちのライブを楽しみにしてるんだ。張り切っていけよ」

やよい「うっうー!! 元気いっぱいで頑張りまーっす!」


   ザワザワ
オイ、アレホンモノノタカツキヤヨイジャネ?
  マジデ? タシカニシゼンナガルウィングダゾ
    マエニミタシスターノパチモントハカクガチガウ
ガヤガヤ


P「……早くから元気だしすぎたな。騒ぎにならないうちに行くぞ」

春香「はーい!」


今回はここまでです。
進まねえ……


レスありがとうございます
リアル上条て……
そりゃたしかに中学の時に部屋で寝てたら見知らぬ人物がってのはあったけど

銀髪のシスターじゃなくて茶髪のゲイだったから貞操の危機だったよ、うん


ぎっくり腰の2日後から11連勤なんでまたちょっと間空きます。あしからず


-14:15、第七学区ライブ会場



真美「ありゃ、真美たちがビリっけつ?」

亜美「おいおい遅すぎるぜ真美クン」ヤレヤレ

伊織「アンタとあずさが迷子になるからでしょうが!」

あずさ「ごめんなさいね伊織ちゃん。気付いたら全然違うところにいて……」

真「うわー、スゴいよ雪歩! 見てアレ! 人型ロボが機材担いでる! カッコいいなあ!」



駆動鎧(半蔵)「」ブィ



雪歩「! こ、こっち向いてピースしたよ真ちゃん! 私たちの言ってること分かるのかな!」

律子「あぁ、アレはたしか駆動鎧って言って中に人が入ってるのよ」

貴音「……なるほど、あれこそが音に聞くさいぼぉぐなる者ですか」

響「違うぞ貴音。サイボーグは身体の内側が機械の人さー。あの人は身体の外側が機械だから……えーっと?」

春香「で、千早ちゃんとやよいったら幽霊と勘違いして」

千早「だ、だから春香!」ワタワタ

やよい「ダメですってばー!」アセアセ

小鳥「」ダラダラ

美希「ハニー! ティッシュもってきてー! キラキラできるステージがドロドロの血まみれになるのー!!」

P「うおっ、まずいまずい! 何してるんですか音無さん!」



駆動鎧(浜面)(……なんだアレ、ハーレム? 765プロってマネージャー1人しかいないのか?)


小鳥「ご、ごめんなさい。あまりに可愛いかったので」

P「可愛いさで鼻血が出るってどういうことですか……。よーし、ちゅうもーく!!」

<はーい!

P「今から軽く通しだけやるぞー! 自分の順番と立ち位置、捌ける方向を確認しとけ!
  音もイントロだけ入れるぞ! 俺が正面から見て指摘してくからな! いつものステージより大きいからそのつもりで動け!」

<分かりましたー!

P「よし! 音無さん一緒に見てもらってもいいですか?」

小鳥「え!? 私ステージの良し悪しなんて分かりませんよ?」

P「だって1人で暇してるのも勿体ないじゃないですか」

小鳥「でも、事務所で社長が……」

P「ちょっとくらい平気ですよ。いつもコキ使われてるんだからたまには」

小鳥「じゃ、じゃあ少しだけお言葉に甘えて……」



伊織「ちょっと! 早くしなさいよ!」

亜美「いつまでピヨちゃん口説いてんのさー!」

小鳥「く、口説いて!? いや、私は」

真「な、どういうことですかプロデューサー!」

春香「1人だけ抜け駆ゲフンゲフン、えと、楽しもうったってそうはいきませんよ小鳥さん!」

美希「ミキのハニー取っちゃヤなの!」

あずさ「あらあら~」チュドドドド

千早「……」ゴゴゴゴゴゴ

響「ち、千早! せめてなんか言おうよ! 変なオーラの出方がシャレになってないさー!」

貴音「面妖な!」

雪歩「」ジャキン

真美「ゆきぴょんが無言でシャベルを装備したYO!」

やよい「雪歩さんステージに穴掘っちゃダメですー!」

律子「いい加減にしなさい! 始まらないでしょうが!」

P「悪い悪い! じゃあいくぞー! 雪歩スコップはどっか置いとけー!」



駆動鎧(浜面)(……リア充爆発しろ)



-15:25、第七学区ライブ会場



P「……もう終わってしまった」

真「へへっ、どうですかプロデューサー! バッチリですよね!」

P「ああ。文句のつけどころがない。みんなスゴいな」

伊織「にひひっ♪ 当然じゃない」

亜美「なんせ亜美たちはIA大賞にノミネートされてるアイドル!」

真美「みくびってもらっちゃ困るぜ兄ちゃん!」

響「それに自分たちは全員!」

春香「仲間だもんね!」

P「おまけに息もぴったりか。しかし律子まで完璧とは驚いたな」

律子「これでもちょっと前まで765の稼ぎ頭でしたから。
   そもそもこのライブの内容考えたのはプロデューサー殿と私ですよ?」

P「考えるのと実際にやるのはまた別物だろ? 大したもんだよ」

あずさ「うふふ、運転中でも必死にイメージトレーニングした甲斐がありましたね、律子さん」

律子「あ、バレてました?」

あずさ「ええ、時々真剣な表情でブツブツつぶやいてましたから」

雪歩「……ああ、今日の撮影中に険しい表情だったのは真ちゃんチョイスのファッションが原因じゃなくてそういう……」


貴音「して、あなた様。次はどういたしましょう」

P「んー、明日の練習もしたいがまだステージも完成してるわけじゃないからな……」

千早「どこか練習をする場所はないんですか?」

P「あるんだろうけど、今日の午後はこれで終わる予定だったから借りてないんだ。この人数でいきなりとなると……」

美希「だったら自由時間でいいと思うな! 張り切りすぎても仕方ないの!」

P「……そうだな。このままグダグダして時間を潰すよりマシか。邪魔になるし」

亜美「さっすが兄ちゃん! 話が分かるぜ!」

律子「……ま、よしとしますか。みんなのリフレッシュも兼ねて」

P「よし、じゃあこっからは自由時間! ホテルのチェックインは16:30からだから疲れてるヤツは早めに帰って休んでもよし!
  19:00からホテルで夕飯だからそれまでにはホテルにいること! 遅くなりそうなら俺か律子に絶対連絡すること! 何かあった時も同様だ!」

<はーい!


P「じゃあ解散! ケータイもってないヤツは渡すから俺の車にこい!」

小鳥「私は先に失礼しますね。事務所で少し書類まとめるので」

春香「えー、小鳥さんもう行っちゃうんですか?」

美希「たまには小鳥とも遊びたいの」

小鳥「これ以上はさすがにダメよ。ライブのDVD楽しみにしてるから頑張ってね」

響「なんくるないさー! 自分、完璧だからな!」

やよい「律子さんはどうするんですか?」

律子「私とプロデューサー殿はタイムスケジュールなんかを向こうの人たちと確認しないといけないから」

貴音「……大丈夫なのですか? ぷろでゅーさー業とあいどる業を同時にこなしている律子嬢にこそ気分転換が必要かと思いますが……」

律子「大丈夫大丈夫。向こうの人たちも手際がいいし、早く終わったらホテルで休んでるわ」

あずさ「……無理だけはしないでくださいね?」

律子「多少無理しなきゃこんな仕事やってけませんよ。でも、好きでやってる仕事ですから苦じゃありませんよ」

真美「律っちゃんプロデューサーのカナミンだよ……」ホロリ

千早「……鑑、って言いたいのかしら? カナミン……?」



-15:50、第七学区地下街ゲームセンター



真「へー、学園都市のゲーセンってこんな感じなのか」

響「あんまり東京と変わらないなー。自分もっとスゴいの想像してたぞ」

真「きっと中身が違うんだよ。あんまり派手なのだと場所取るだろうし」

響「なるほどなー。……!? な、なんだアレ!?」

真「え? わっ……だ、大胆だな」

響「ほ、ほとんど裸だぞあの人! 何考えてるのさー!」

真「……もしかしてアレかな?」

響「え? ……コスプレプリクラ?」

真「うわあ、看板の女の人もバニーガールだ……」

響「……やる?」

真「こ、こんな人前であんな格好する勇気ないよ!」

響「あ、あはは、そうだよなー! 冗談に決まってるさー!」

真「そ、そうだよね! あはははは!」

響(……その前にスタイリッシュな真の身体と自分の身体を並べる勇気なんてないさー……)

真(……恥ずかしいのもあるけど、響って意外と胸あるからこんな胸元が強調される服を一緒に着る勇気ないよ……)

ハム蔵(チィッ!!)



真「あ、あったあった! きっとコレだよ響!」

響「おー、コレが学園都市製次世代ダンスゲームかー!」

真「へへっ、パンフで見た時からずっと気になってたんだよね。コレなら決着をつけられる」

響「ふふん、いよいよ765プロのダンスNo.1を決める時がきたぞ」

真「言っとくけど、明日のライブに備えて本気を出さなかった、なんて言い訳は認めないからね」

響「望むところさー!! 真こそ撮影で疲れてるなんて認めないからな!!」

真「そうこなくっちゃ!! いくよ響!!」

響「完璧な自分の実力をみせつけてやるさー!!」





???「我那覇響、菊地真を発見。いつでもいける」


-15:55、第七学区『セブンスミスト』



美希「♪~」

雪歩「ん~、なかなかセンスいいなぁ。どう? 美希ちゃん」

美希「このお店アタリなの! ミキの趣味から見てもバッチリってカンジ!」

雪歩「ふふっ、よかったね」

美希「これなら明後日の企画もバッチリだと思うな!」

雪歩「? 明後日って……みんなと観光じゃなかったっけ?」

美希「その時も少しだけ自由時間があったから雪歩の真似をするの」

雪歩「私の真似?」

美希「題して! 『千早さん改造計画』! なの!」

雪歩「……ちょっと楽しそう」


美希「千早さんの服装はさっぱりしすぎなの。もう少し遊んでみてもいいと思うな」

雪歩「うーん、でもそれが千早ちゃんに一番似合ってるような……」

美希「だからと言って可能性の追究をしない理由にはならないの!」

雪歩「ふふっ、そうだね。じゃあそれとは別に今のファッションを崩さないような小物なんかも……」

美希「さっすが雪歩は分かってるの! あっちにアクセサリーショップもあったから行こっ!」

雪歩「うん!」





???「星井美希と萩原雪歩を捕捉。いつでもいけます」


-16:00、第三学区ホテル通り



千早「ほ、本当に私たちが宿泊するホテルはこの辺りなの?」

春香「そのはずなんだけど……」

やよい「す、すっごく高級感のあるホテルがいっぱい……わ、私こんなところにいてもいいんですか?」

千早「大丈夫よ。……多分」

春香「どのみちやよいがいちゃダメなら私たちだって……えと、ここ、かな?」

やよい「え? こ、こここここですか?」

千早「」

春香「えと、名前が……うん、あってる。……何階建てなんだろう」



???「どうも、いらっしゃいませ」シュタッ

やよい「はひゃい!?」ビクッ

支配人「765プロの方々でよろしいでしょうか?」

千早「え、あ、あの、はい」

支配人「申し訳ございませんが当ホテルでは16:30からチェックインとなっておりまして……」

春香「は、はい、あの迷子にならないように場所だけ確認しておこうと思って……」

支配人「左様でございますか。それでは、もう少し観光をしてからこちら戻って来られるのでしょうか?」

やよい「えっと、えっと、はいそうです!」

支配人「でしたらこの道を真っ直ぐ行きますと外部の方向けの国際展示場がございますのでそちらがおすすめです。
    入場料は無料ですし、駆動鎧をはじめとする様々な最先端技術の結晶が見れますのでぜひともご覧になってください」

千早「そうですか。ありがとうございます」

支配人「いえいえ。それでは16:30以降、お待ちしております」シュバッ

春香「……行っちゃった……」

やよい「伊織ちゃんの家の新堂さんみたいでした……」

千早「……なんだか学園都市に来てからもう10年分くらい驚いた気がするわ」

春香「あはは。退屈しないね、この街は」





???「天海春香、如月千早、高槻やよい見っけ。いつでも行けんぜ」



-16:05、第一五学区繁華街



真美「戻って来たぜ! 第一五学区!」

亜美「今度こそ遊びまくってやんYO!」

伊織「さっきはアンタとあずさを探すのでそれどころじゃなかったものね」

真美「まったく、しっかりしてくれよ亜美クン」ヤレヤレ

亜美「亜美だって気づいたらあんなところにいたんだってば! はっ、もしやアレがテレポーテーション!?」

伊織「アンタいつから超能力者になったのよ」

真美「いや! あずさお姉ちゃんなら! あるいは!」

亜美「うあうあ~! 全然実感なかったよ!」

伊織「……否定しきれなくなるからやめなさい」



真美「それじゃ、まずはどこに行く?」

亜美「どこもかしこも面白そうで目移りしますなあ~。いおりんは?」

伊織「そうね……あそこ、なんてどうかしら?」

真美「んー……、ぬいぐるみ屋さん?」

亜美「最先端の科学の街でぬいぐるみ屋さん?」

伊織「なによ、文句あるの?」

真美「どうせならもっと学園都市っぽいものにしよーよー」

亜美「ぬいぐるみに使われてる技術なんてどんだけ正確にシンバル叩けるかぐらいのもんっしょー?」

伊織「それ別に学園都市の外でも売ってるぬいぐるみじゃないの。
   ……その、シャルルの友達が欲しいのよ。このコ実は学園都市が出身だから」

真美「うぇ!? シャルルが!?」

亜美「うあうあ~!? 意外な新事実が!」

伊織「ずーっと前にパパが買ってきてくれたの。だから……」

真美「そ→ゆ→コトなら仕方ない!」

亜美「いっちょ亜美たちがシャルルの友達を見繕ってやろーじゃないか!」

伊織「……ありがと」



???「双海姉妹と水瀬伊織見つけたで。はよ合図出してくれや」



-16:10、第九学区大通り


貴音「……ふむ、どうやらここは第九学区というところのようです」

あずさ「あらあら、また移動してたのね~」

貴音「第七学区にてお掃除ろぼなる者を探す予定でしたが……」

あずさ「ごめんなさいね、貴音ちゃん。付き合わせちゃったのに道に迷ってしまって……」

貴音「いえ、私も一度『あず散歩』をしてみたかったので……」

あずさ「あらあら、うふふ」

貴音「どうやらお掃除ろぼなる者は学園都市中にいるようですし、
   このまま学園都市を散策しながら探すのもまた一興というもの」

あずさ「じゃあ、ホテルに向かいながらのんびり探そうかしら」



貴音「……最近の『竜宮小町』はいかがですか?」

あずさ「とっても楽しいわぁ。伊織ちゃんも亜美ちゃんも律子さんも頑張ってるし。
    みんなで力を合わせてあれだけのステージを作れるんだもの。文句なんて言ったらバチが当たっちゃいそう」

貴音「そうですか。それは重畳」

あずさ「貴音ちゃんこそ、『フェアリー』はどうなの?」

貴音「私も存分に楽しませてもらっています。美希と響と切磋琢磨し、日々頂きへと歩を進めていく。
   それが実感できているからこそ、私はこれほどまでに満たされているのでしょう。あの方には感謝してもしきれません」

あずさ「プロデューサーさんのことね。うふふ、貴音ちゃんもプロデューサーさんが好きなのねぇ」

貴音「なっ、いえ私は……!」

あずさ「うふふ、隠さなくてもいいのよ? きっとみんな似たようなものだから……」

貴音「……正直、自分の気持ちが分からないのです。
   慕ってはおりますが、果たして目上の者としてなのか、1人の殿方としてなのか……」

あずさ「恋愛の形は人それぞれだもの。自分の気持ちと向き合って、自分の気持ちに素直になれば、それがはっきりした形になると思うわ」

貴音「……ずいぶん含蓄のある言葉ですが、それはつまりあずさにもそのような経験が……?」

あずさ「うふふ、とっぷしーくれっと、よ」

貴音「……ふふ、これは一本取られました」クスクス

あずさ「うふふ。ところで貴音ちゃん」

貴音「はい?」

あずさ「ここ……どこかしら?」

貴音「……面妖なっ!」



???「やーれやれ、ようやく見つけたぜよ。三浦あずさと……四条貴音」


-16:16、???



???「頃合いだ。各自、作戦開始!!」



今回はここまでです。
前橋育英 VS 延岡学院 か……


レスありがとうございます
なんとか公務員は受かりました。
SSの浜面とは違うぜ(キリッ



地の文抜きってのも案外キツいのね……


-16:30、第七学区ライブ会場場外



御坂「いやー、もう着々と準備が進んでるわね」

白井「本番は明日ですから。おかげでどこもかしこも浮き足だってますの」

初春「昨日も急に出動命令出ましたもんね……」

婚后「あの……本当にここにいればよろしいのでしょうか?」

佐天「可能性は正直低いんですけどね。でも、0じゃないです!」

御坂「ふふ、なんかワクワクするわね。出待ちって」

白井「気持ちは分からなくはありませんが……本当にすでに会場に来てますの?」

初春「その点はバッチリです! 企画委員の人から聞いた情報ですから!」

婚后「ああ、緊張してきました……」

佐天「だーいじょうぶですって! きっと上手くいきますよ!」


御坂「そういえばさ、初春さんは961プロ派っていうのは聞いてたけど
   佐天さんの好きなアイドルって聞いてなかったわよね? 誰推しなの?」

佐天「あれ? 言ってませんでしたっけ? 私は星井美希ちゃん推しですよ」

白井「星井美希と言いますと……えーと、確か『フェアリー』の金髪の方でしたか」

佐天「ええ! よくファッションモデルなんかもやってるカリスマアイドルですよ!」

初春「佐天さんこないだも雑誌買ってましたよね」

佐天「当然だよ! 私の周りのコなんかみんな憧れてるもん!」

婚后「……かつては私もそのような存在を目指し、おかしな方向に進んでしまいましたが
   やはりそういった方も存在しますのね……あら? なにやら向こうの方が騒がしくありませんこと?」

御坂「え!? もしかして向こうから出てきた!?」

白井「……いえ、それにしては様子がおかしいですの」

初春「……なんか嫌な予感が……」

佐天「あれ? あそこのビルのスクリーン、ここ最近はずっと765のライブ流してたのに砂嵐になってますね」

婚后「そう言われれば……みなさんそれを気にしているようですわね。……あ、映りましたわ」



-16:30、第七学区コンサートホール広場



番外個体「あのさー、一体どこまで行くのさ第一位」

一方通行「あァ? 別に行き先なンか決まってねェよ」
    (雪歩たンというゴールは常に移動してるからな!)

番外個体「は? そうなの?」

一方通行「家にいても暇だからブラついてるだけだ」
    (家にいるとワクワクが止まらねェからじっとしてらンねェンだよ!)

番外個体「なにそれ? クリスマスも正月もずーっと引きこもって機械ガチャガチャいじくり回してたヤツのセリフ?」

一方通行「だからこそだっつゥの。いい加減飽きたンだよ」
    (女神に会うための苦行だと思えば屁でもねェがなァ!)

番外個体「……てゆーか、いじくり回してたヤツってバッテリーだよね」

一方通行「!」
    (!?)

番外個体「ビンゴ。第一位も案外ひっかかるもんだねえ」

一方通行「テメェ……」
    (やべェハメられた……。やっぱり今の俺の精神は正常じゃねェな)

番外個体「で、クリスマスも正月も返上して一体どんな悪いコトしようとしてんのかにゃーん?」ニヤニヤ

一方通行「……テメェにゃ関係ねェ」
    (下手にコイツがライブについた来たらシラケること請け合いだ。それだけは阻止しねェと)

番外個体「ツレないねえ。でも、ミサカ分かるよ? きっととんでもなく悪いコトでしょ?」

一方通行「あ?」
    (悪いコト?)

番外個体「だって第一位ったら歩いてないとずっとソワソワしてるもん。よっぽど切羽詰まってるでしょ」

一方通行「……」
    (切羽詰まってる、か。そォだな。他のファンも楽しみにしてンのにフライングして会いに行こうとしてるくらいだしな)

番外個体「無言は肯定ってのは常識だよね。ま、面白そうなコトだったらミサカも勝手についてくんでヨロシクね」

一方通行(下手に俺みてェな悪人面とライブ前に会ったら男性恐怖症であらせられる女神は明日のライブまで引きずるかもしれない。
     コイツはそういう意味でとンでもなく悪いコトと……待て、つゥことはアレか? コイツもまさか雪歩たンを女神として認識してるってコトか!?)

番外個体「……第一位?」

一方通行(俺がバッテリーいじくり回してたコトも知ってる。その伸びた稼働時間で女神を探すことを悪事と表現した。間違いねェ)

番外個体「ちょっと? アナタの百面相とか気持ち悪くて見てらんないんだけど」

一方通行「番外個体」

番外個体「は?」

一方通行「俺が間違ってた」

番外個体「え?」

一方通行「お前こそが(ファンに)ふさわしい」

番外個体「はぁ?」

一方通行「(予備のチケットが1枚残ってるし明日のライブに)付き合ってくれ」

番外個体「……………………………ふぇえ!?」ボンッ


???「お? 一方通行か? こんなところで会うなんて珍しいな」

一方通行「あ?」

番外個体「あ、ありゃ、ヒーローさんじゃん。おひさ~」
     (聞き間違いだよね? 今の聞き間違いだよね?)

上条「え? ……っと、すいません、どちら様でせう?」

番外個体「ミサカのコト覚えてないの? ……ま、そりゃそっか。あの時ミサカこの人にボコられて身体も顔も頭もめちゃくちゃだったし」

上条「ミサカ……? まさか」

一方通行「……チッ。そォだよ。コイツも【超電磁砲】のクローンだ」

上条「めちゃくちゃって、まさかお前……!」

番外個体「ギャハ、そうなのヒーローさん。おまけにミサカ空けたくもない穴まで空けられて……」

上条「!? 一方通行お前見損なったぞ!!」

一方通行「否定はしねェよ。だが、今は停戦中だ。じゃなきゃ仲良く一緒にお散歩なンざしねェだろォよ」

上条「え? ……ん?」

番外個体「な、なに!? あ、あなたミサカと仲良く一緒にお散歩してくれてるつもりだったの!? ぎゃ、ぎゃっはは、やっさし~!!」
     (ちょっと待って第一位マジで何言ってんの!? ミサカ分かんない! ミサカなんにも分かんない!!)

一方通行「……チッ」
    (いつの間にかさっきの話流れてンじゃねェか。
     しょうがねェ。夜にでもまた掛け合ってみるか。チケット持ってねェだろうし。
     何よりこんな近くに女神について語り合える同志がいたンだ。今日は前夜祭だな)

一方通行「番外個体」

番外個体「な、なに? ミサカ今顔が熱くてしょうがなくて冷ますのに忙しいから話しかけないで……」パタパタ

一方通行「今夜は(熱く語り合うから)眠れないかもなァ」ニタァ

番外個体「」ボンッ

上条「!?」


上条「……え、えーと、つまり前みたいな実験に一方通行が加担してるわけじゃないんだな?」
  (俺はなにも聞いてない俺はなにも聞いてない)

番外個体「う、うん。この人が無理矢理平和にしちゃったからね」
    (何これミサカ身体スゴい熱いんだけど!? おねーたまもこんな感じだったのかな……)


上条「ならよかった。悪いな、疑っちまって」

一方通行「ハッ、妥当なリアクションだったろォが」ニタニタ

上条「悪かったって。ところでなんで散歩してんだ? 見た感じリハビリか何かか?」
   (なんだあのえが……俺はなにも見てない俺はなにも見てない)

番外個体「な、なんかこの人がソワソワして落ち着かないから散歩して……」ハッ
    (ちょ、ちょっと待って、ソワソワって、その、そういう!?)

一方通行「してねェよ」
    (ったりめェだろォが! どンだけ待ちわびてたと思ってンだ!)

上条「ソワソワ? ……腹でも痛いのか?」

一方通行「なンで腹痛ェのに散歩すンだ。頭沸いてンのか」
    (痛いのはむしろ張り裂けそうなこの胸だボケェ!)

上条「」シュン

番外個体「あーあ、ヒーローさん凹んじゃった。……ん? どったのアレ?」

一方通行「あァ?」

番外個体「ほら、なんか飛行船のスクリーンが変な感じになってる」



-16:30、第七学区ライブ会場控え室



吹寄「――で、おそらく22:00には閉幕します。出待ちはさせませんからホテルまではスムーズに行けると思います。
   連日通しで借りてますし、各所の鍵の施錠も企画委員の方で行いますから長めに休憩をとってからホテルに向かっても大丈夫です」

律子「……うん。予定表通りね。特に変更点はない?」

吹寄「設営も道具の搬入も滞りなく進んでいますので今のところは大丈夫です。
   機材のチェックもほぼ終わっていますし、あとは明日の事前作業の進行次第です。何かありましたら逐一お知らせしますので」

律子「ん、分かったわ。……それにしても、一体プロデューサー殿は何してんのかしら」

吹寄「先ほど照明のスタッフと話し合ってましたが……一向に来ませんね」

律子「まったく、もうタイムテーブルの確認終わっちゃったじゃない。
   どうしてこう、時々どこか抜けてるのか……それに比べて吹寄ちゃんはホントしっかりしてるわね」

吹寄「い、いえ、私なんて全然……」
  (や、やった、憧れの秋月さんに誉められた!)

律子「だって、そこらスタッフよりきっちりしてるもの。この間の福岡のスタッフなんかグッダグダだったし」

吹寄「……そうなんですか?」

律子「こっちが会場入りしたらマイクがおかしいだの配線がおかしいだの言い始めて……それをライブの直前までやってるから呆れるしかなかったわ」

吹寄「……プロの方でもそんなことがあるんですね」


律子「ま、それは事故みたいなものだったからまだいいけど、ちょっと前までは故意の嫌がらせみたいのもあったしね」

吹寄「わざと? ……それはもしかして噂になっている961プロとの確執が……?」

律子「アレもひどかったけど、私がプロデューサーになったころもひどくてね……」

吹寄「……?」

律子「高卒の女プロデューサーだからってだけでまともに取り合ってくれない連中も多かったのよ。
   一応形式だけ話は聞くけどずーっと見下したような態度だったり、そもそも相手にされなかったりね」

吹寄「な、そんな! そんなの差別です!」

律子「向こうにしてみれば学のない小娘だもの。悔しくて悔しくて仕方なかったわ。
   でも、高卒の女プロデューサーだからこそちゃんと話を聞いてくれたところもあったの。
    そこを足掛かりに仕事を広げて『竜宮小町』もライブで連戦連勝だったから、そこからはうなぎ昇りだったわね」

吹寄「……なるほど。さすがは秋月さんです!」

律子「ふふ、ありがとう。ま、何が快感だったかってその後なんだけどね」

吹寄「? やはり仕事の数が増えて有名になっていくというのが……?」

律子「ううん、私の話をまともに聞かなかった連中の持ってきた仕事を電話越しにすぐさま蹴った時がもう快感で快感で……」ウフフフフ…

吹寄「」ビクッ


律子「ハッ……コホン。ま、そんなわけだからさ。社会に出たらある程度は覚悟しといた方がいいわよ」

吹寄「……肝に銘じておきます」

律子「ま、吹寄ちゃんくらいしっかりしてればどこに行っても大丈夫よ」

吹寄「ありがとうございます。……? なにやら外が騒がしいような……?」

律子「? ……ホントね。何かあったのかしら」

吹寄「ちょっと見てきます」

律子「私も行くわ」

吹寄「いえ、万が一押し掛けのファンだったりしたら秋月さんも危険ですし……」

律子「大丈夫よ。きっとプロデューサー殿もいるだろうから。一体なんなのかしら」



-16:40、学園都市各学区


???『えー、学園都市に住む皆さん。夕暮れ時に失礼』

???『少々公共の電波をお借りします。どうしてもお話ししたいことがあるんでね』

???『四条貴音、三浦あずさ、秋月律子を除く765プロのアイドル達ですが……』

???『我々が拉致しました。残りの者も発見次第拉致するつもりです』




-16:41、第七学区ライブ会場周辺



御坂「」

佐天「」

婚后「そんな……水瀬さんも!? なんて卑劣な!!」

白井「……初春、風紀委員と警備員に連絡。私たちの現在地を伝えて指示を仰いでくださいな。大至急ですの」

初春「は、はい!」



???『オールスターライブを楽しみにしていた諸君。まことに申し訳ない』

???『でも、こうすんのが一番手っ取り早いんでね』

???『さてさて、学園都市統括理事会の諸君。我々の要求は届いているかね?』

???『色んな方面から次々に要求が来たからどれのことか分からないかもしれませんねー』

???『どれが我々のものか当てんのは簡単です。何せそれらすべてが我々のものなんですから』

???『それらの要求を受け入れてください。突っぱねれば……分かりますね?』

???『アイドルの安否が不安なら見せましょうか?』

???『では、ランダムに……これは星井美希と萩原雪歩ですね』



-16:45、第七学区コンサートホール広場



一方通行「」
    ()

上条「な、なんだよ、これ……」

番外個体「うはー、どこのどいつか知らないけどエグいことするね。
     こんなジャックまでする割に音声のみでボイスチェンジャー使って……何がしたいんだかねえ」



???『次に……菊地真と我那覇響……天海春香と如月千早と高槻やよい……双海亜美と双海真美と水瀬伊織』

???『全員無事なのは確認できましたね? 拘束されてはいますが』

???『映像で分かったと思いますが、彼女たちはそれぞれバラバラの場所で拘束されています』

???『我々の要求が通れば彼女たちは無傷で解放します』

???『もし我々の要求が拒否された場合、彼女らがどうなるかは保証できませんが』



-16:48、第七学区ライブ会場



吹寄「そんな……」

律子「プロデューサー殿……! ダメ、通じない!! こんな時に何してんのよあの人!!」



???『是非の回答の刻限は……そうですね、本日中まで。それ以降は彼女たちがどうなるか分かりません』

???『アイドルの命が失われるか、はたまた貞操が失われるか、もしくは両方とも失われるか』

???『それは彼女たちを拘束している現場の判断に任せます』

???『なるべく早く、良い決断を期待します。……我々とてアイドルに手を出すのは回避したい』

???『是非の回答は大々的に、今のように公共の電波で。具体的な内容は個別にお願いします』

???『……こんなところですかね。では、なるべく早めにお願いします』



-16:50、第七学区廃ビル1階



<ブツン


???「ふぅ、こんなもんか。……で? ウチの魔術師ちゃんが何人やられたって?」

魔術師「……ざっと15人ほど」

???「……いくらカラテカちゃんを反撃なしで捕らえるのが条件だからってやられすぎでしょ」

魔術師「申し訳ありません……」

???「ま、いいや。結果捕まえられてるしね」


真「くっそー!! なんなんだよコレ!!」グイグイ

響「うがー!! 自分たちをはなせー!!」ジタバタ

???「はいはいお静かちゃんだよ、アイドルちゃんたち。まだ暴れ足りないの?」

真「お前が親玉か!! この変なロープはなんだ!!」

???「捕縛用の魔術だよん。力じゃ解けないから暴れてもダメダメちゃんだよ」

響「魔術!? 何わけ分かんないこと言ってるのさー! そもそも誰なんだよぉっ!」

サンドリヨン「私の名前ははサンドリヨン。ロシア出身の魔術師ちゃんさ。よろしくね、響ちゃんに真ちゃん」



-16:50、第一五学区空き店舗2階



???「おう、放送終わったんか?」スパー

チンピラ「へい」

893「ほうかい、そら結構。ほな、改めてどうも893プロのヤクザですー言うてな。ワハハ」

亜美「うぅ、あのおっちゃんめちゃめちゃ怖い……」

真美「周りのおっちゃんたちもだよ……。ゆきぴょんのウチってこんな感じなのかな……」

伊織「……な、なによ。アンタたち一体どういうつもり? こ、こんなことしてタダで済むと思ってんの?」ビクビク

893「済まへんやろうから頑張って済むようにしとるんやんか。
    まー、ワシらは手荒な真似するつもりはないさかい堪忍な」

亜美「……もう荒縄で両手両足縛られてるんだけど」

893「堪忍やって。ええ感じの画ぇ撮んのにインパクトが必要やったんやから」

真美「兄ちゃんに電話……ダメだ、ケータイに手が届かないよ」

伊織「ふざけんじゃないわよ! こんなの学園都市が許したって水瀬財閥が黙ってないわよ!!」

893「そやなぁ。そやけど、その水瀬財閥に用があんねんやからしゃあないやん」



-16:50、第三学区エタノール工場跡



スキルアウト「はー、眼福眼福。現役トップアイドルの生拘束姿なんて普通なら一生見られねえよ」

下っぱ「そうっすね~」ウヘヘ

やよい「うぅ、怖い人がいっぱい……」

春香「大丈夫だよ、やよい……。私と千早ちゃんがいるから」

千早「……一体なんなんですか、あなた達!」

スキルアウト「俺らはスキルアウト。外で言うヤンキーとかDQNとか、そういった類いの連中って言えば分かりやすいか?」

やよい「な、なんでそんな人たちが私たちを……」

スキルアウト「個人的な恨みはほとんどねーんだけどな。
       俺らのケツ持ちの人たちがアンタらの仲間に用があるからついでにってとこだ」

春香「ケ、ケツ持ち? え?」

スキルアウト「なんか変な想像してね? 要するに俺らの後ろ盾の人たち。早い話がヤのつく人たちだよ」

千早「そんな……ついででこんな犯罪をするなんて……あなた達自分が何をしてるか分かってるの!?」

スキルアウト「アンタらに恨みはねーが俺らに目的はあんのさ。
       ……権力に仲間を殺されたってのに日和ってなあなあで生きてるバカどもの目ぇ覚ますにゃこれぐらいがちょうどいい」



-16:50、第七学区廃ビル1階



<ブツン


???「ふぅ、こんなもんか。……で? ウチの魔術師ちゃんが何人やられたって?」

魔術師「……ざっと15人ほど」

???「……いくらカラテカちゃんを反撃なしで捕らえるのが条件だからってやられすぎでしょ」

魔術師「申し訳ありません……」

???「ま、いいや。結果捕まえられてるしね」


真「くっそー!! なんなんだよコレ!!」グイグイ

響「うがー!! 自分たちをはなせー!!」ジタバタ

???「はいはいお静かちゃんだよ、アイドルちゃんたち。まだ暴れ足りないの?」

真「お前が親玉か!! この変なロープはなんだ!!」

???「捕縛用の魔術だよん。力じゃ解けないから暴れてもダメダメちゃんだよ」

響「魔術!? 何わけ分かんないこと言ってるのさー! そもそも誰なんだよぉっ!」

サローニャ「私の名前ははサローニャ=A=イリヴィカ。ロシア出身の魔術師ちゃんさ。よろしくね、響ちゃんに真ちゃん」



-16:50、第七学区某学生寮一室



???「……目を覚ましたか?」

傭兵「いえ、一向に……」

雪歩「」

美希「雪歩……一体何してくれてるの? ハニー以外の男が雪歩に触ったら失神するに決まってるの」

???「ハニー? ……その点はこちらの落ち度だ。男性恐怖症とは聞いていたがここまでとは……」

美希「ナメんななの。てゆーかおじさん誰? いい年して軍服のコスプレなんてもしかして痛い人なの?」

キネシック「本物だコレは。私はキネシック=エヴァーズ。元フランス海軍参謀だ。今じゃ民間傭兵部隊の指揮官だがね」

美希「……嘘なの」

キネシック「は?」

美希「傭兵さんが平和な日本にいるわけないの。やっぱりそれ痛いコスプレなの」

キネシック「だから」

美希「そんなコトよりミキお腹減ったの。おにぎりが食べたいな」

キネシック「……あー、私の日本語がおかしかったか? キミ、状況、分かる? あー……、私、傭兵、キミ、誘拐、オーケー?」

美希「急にどうしたの? おじさん頭大丈夫?」

キネシック「」

美希「おにぎりないならもういいの。どうせここカットでしょ?
   もっかいカメラ回るまでミキも雪歩と寝てるの。おやすみ」

キネシック「イヤ、ちょっ」

美希「zzz」

雪歩「」

キネシック「……これが……ジャポネーゼのYUTORI、か……」



-16:50、第二二学区地下2階



貴音「これは……一大事です!」

貴音「あずさ、律子嬢に連絡を。あの方には私の方から……」

貴音「……」キョロキョロ

貴音「あずさ?」ポツーン

貴音「……私としたことが……」ズーン

貴音「……いえ、あずさだけではない……周りの者が全員……」

貴音「……まさか『人払い』?」

???「ご名答。流石です」

貴音「! なにやつ!」バッ

???「おっとっと、勘弁してください。助けに来たのにやられちまったら元も子もない」

貴音「名乗りなさい!」

土御門「土御門元春。土御門家の人間として、貴女を保護しに参りました」

貴音「土御門家……? 嘘を申しなさい! あの家にあなたのような年齢の者はいなかったはずです!」

土御門「俺は土御門家に拾われた身。早い話が養子です」

貴音「養子……」

土御門「嘘だと思うなら……コレでどうです?」ポイ

貴音「これは……折り鶴」ヒョイ

貴音「……たしかに、この折り方は土御門家のもの……」カサカサ



土御門「信じてくれますか?」

貴音「ええ。申し訳ありませんでした。数々の非礼、お詫び申し上げます」ペコリ

土御門「いえ、状況が状況ですので。それより折り紙を貸しますので『理派四陣』を。三浦あずさも早急に保護します」

貴音「? しかしこれは土御門家のもの。ならば貴方がした方がよいのでは?」

土御門「俺は学園都市の開発を受けています。『人払い』を発動するので限界です」ピラッ

貴音「!! シャツに血が……!!」

土御門「私のことはいい。早く『理派四陣』を」

貴音「……風ヲ伝イ、シカシ空気デハナク場ニ意思ヲ伝エル」



カッ、ギュルルルルルルルルル……



貴音「……みつけました。ふふ、2人とも流石です」

土御門「これは……萩原雪歩と星井美希? 三浦あずさは……?」

貴音「あずさは私たちの中でも一番の年長者。大抵のことは自分でなんとかできるでしょう。
   むしろ、単独で迷子になったあずさを捉えられる者があの方と律子嬢以外にいるのならお目にかかりたいというもの」クスクス

土御門「はあ……?」

貴音「なので私は美希と萩原雪歩の救援に向かいます」

土御門「な、無茶です!」

貴音「向こうは私を無傷で捕らえたいはず。ならば私に危害は加えにくいでしょう」

土御門「……それなら、せめて俺も」

貴音「その出血では足手まといです。私の心配なら無用。他の765プロの人間の力になってあげてください」

土御門「……分かりました。せめて俺の手配できる最高の助っ人を送ります」

貴音「ふふ、それは楽しみです。では」



-17:00、第七学区『窓のないビル』



塩岸『おい! どうするつもりだアレイスター!』

アレイスター「騒ぐな。古傷に障るぞ」

塩岸『765プロのアイドルが拉致監禁だぞ!? 各校の入試直前でこんな事件が起きれば来年度の予算に大ダメージだ!』

アレイスター「放っておけ。勝手に解決する」

塩岸『そんな簡単に済む問題か!? 暗部が解散した今! 組織的に動ける戦力など警備員くらいだ! タカがしれている!!』

アレイスター「この街はヤワじゃない。この程度は問題にならない」

塩岸『だがそれは』

アレイスター「静かにしろ。今客人を招いている最中だ」

塩岸『待て!』



<ブツン……



アレイスター「……申し訳ない。こちらが招いたというのに」

アレイスター「本来ならば互いに腰をかけてお茶でも煎じてもてなしたいが……」

アレイスター「生憎、私はここから出られないのでね。失敬だがこのまま話を聞かせてもらおう」








アレイスター「有意義な時間になることを期待するよ。765プロのプロデューサー殿」

P「……」


今回はここまでです。
全国のサンドリヨンファンとサローニャファンの皆さん、大変失礼しました。
不幸でもなんでもない、純度100%自分のミスです。


レスありがとうございます。
知ってるかい?
フラグって立てまくると逆に折れるんだぜ
今回の投下は不幸じゃなくてミスですから
重ね重ね本当にすいませんでした。
サンドリヨンの原作での活躍とサローニャの原作での復帰を祈ります。


今日2時間かけて完璧に洗車したら雨降ってきた
ウチのガレージ屋根ないけどあんまり関係ありませんよね?ね?

つーかアルコール入った頭でよくよく見たら訂正の方もタイプミスしてんじゃん……
皆さま脳内変換でお願いします


-17:01、第七学区公園



打ち止め「見た?」

フレメア「見た!」

打ち止め「これは大問題だ! ってミサカはミサカはここに宣言してみる!」

フレメア「だがしかし! この問題の解決に関われば響ちゃんたちと接点ができること大体間違いなし!」

打ち止め「むむむ、でもきっとあの人がこの状況で黙ってるはずがないよ、ってミサカはミサカはむしろこっちが避難することを提案してみる」

フレメア「消極的! にゃあ! あの白い人が暴れたって我々に被害はないはず!」

打ち止め「たぶんあの人廃ビルに腕突っ込んでブン投げる程度には
      理性飛んでると思うよ、ってミサカはミサカは2次災害の心配をしてみる」

フレメア「……………作戦会議! 何かいい案はないかね!」

カブトムシ05(小)「……直接アイドルでなくともその関係者
          メイクやヘア関係などの人間の安全を確保することもこの事件の解決につながるかと」

打ち止め「誰か分かるの?」

カブトムシ05(小)「こちらに来る予定の人物は全員調査済みです」

フレメア「よし、採用!」

カブトムシ05(小)「分かりました。大型になるので離れていてください」

打ち止め「MNWでも情報を呼び掛けてみるから画像が欲しいな、ってミサカはミサカは情報開示を要求してみる!」

カブトムシ05「ではまず第二学区へ向かいます。学園都市への来訪履歴を閲覧して実際の人数を把握し、画像も入手します。乗ってください」

フレメア「レッツゴー!」


-17:09、第七学区ライブ会場



青ピ「おったでお姉さん! あそこや!」タタタ

小鳥「律子さん! 無事だったんですね!!」タタタ

律子「こ、小鳥さん!? 小鳥さぁん!」ダキッ

小鳥「きゃっ!? ちょ、ちょっと律子さん落ち着いて!!」

律子「どうしよう! どうしよう皆が! プロデューサー殿も連絡つかなくて、貴音も、あずささんも、私、もうどうしたら……」グリグリ

小鳥「き、きっと大丈夫です! 大丈夫ですからちょっと落ち着いてください! 頭グリグリしないでぇ!」ワタワタ


青ピ「……アカン、不謹慎やけど天国や」ポー

吹寄「青髪ピアス!? どうしてここに!?」

青ピ「いやな、とある本屋で雑誌買おうとしとったら765の事務員のお姉さんと知り合ったんよ。
    意気投合してたかまこやあずゆきなんかの可能性について議論しとったらさっきのけったいな放送が流れてん。
    そしたら事務員のお姉さんテンパってもうてライブ会場までの道のりも分からなくなってたから僕がここまで道案内してあげたんよ」

吹寄「……そう。それよりさっきからケータイがまったく使えないんだけど」

青ピ「そらそうやろ。みんな警備員と理事会の窓口にクレームやらなんやら入れとるからしばらくは回線パンク状態や」

吹寄「……」

青ピ「……もしかしてけっこうテンパっとる?」

吹寄「当然でしょう!? せっかくここまで頑張ってきたのになんでこうなるのよぉ!!」ウワーン!

青ピ「どうどう、落ち着いてや! かわええおデコが台無しやで!」


律子「小鳥さぁ~~ん!!」グリグリグリグリ

小鳥「ちょ、ストップ! ストーップ!!」




青ピ「あ、もしもし? 事務員の音無さんと律子さん確保したで」コソコソ

土御門『そうか。よくやった。その2人そこから出すな。特に秋月律子は絶対出すな』

青ピ「ん、了解。それと吹寄にこの番号教えてええ? アイツけっこう限界やで」ボソボソ

土御門『ダメだ。一応非常用の電波だからな』

青ピ「僕はええの?」ボソボソ

土御門『今回に限りな。まさか頼み込む前にすでに音無小鳥と接触してるとは思わなかったぞ』

青ピ「いやぁ、なんかビビっときたんよ。あのお姉さんから同じニオイがして」


-17:14、第三学区エタノール工場跡



下っぱ「ははは、スゲースゲー、ネットじゃお祭り騒ぎッスよ!」

スキルアウト「はっ、そりゃそうだろ。今、学園都市の注目が全部俺らに向けられてんだぜ?」

下っぱ「っはー! ゾクゾクしますね!!」

スキルアウト「つーか端末ばっかいじってんな。あのメンツじゃ俺らが一番ナメられやすいんだ。
        もしアイドルを奪い返しにくるとしたら俺らんトコからだ。
        そっから今回の連合に動揺かけて一気に全部叩くのが定石だろうな。気ぃ抜くな」

下っぱ「うへへ、サーセン」


やよい「……のどがかわいてきました……」

春香「大丈夫? やよい」

千早「……あの、何か飲み物をもらえないかしら?」

下っぱ「あん? テメーら状況分かってんのか?」

やよい「ひっ」ビクッ

スキルアウト「やめろ馬鹿。脱水症状でぶっ倒れたらコトだろーが。おい、なんか飲み物もってこい」

下っぱA「うーぃ」

下っぱ「いいんスか? こんな早くのどかわくとか絶対ウソッスよ」

スキルアウト「緊張状態だからな。そりゃのどもすぐにかわくだろーよ。
        ま、飲み過ぎには注意しろよ? ウチら女いねーからトイレにゃもれなく俺らが着いてくぜ?」ニヤニヤ

春香「うう……なんでこんなことに……」



下っぱ「すんません、こんなんしかなかったんスけど」


つ いちごおでん きなこ練乳 スープカレー


千早「」

スキルアウト「おまw のどかわいたっつってんだろーがwww」ゲラゲラ

下っぱA「イヤだってなかったんスよw」ヘラヘラ

スキルアウト「そりゃしょうがないなww ほら、遠慮しないで好きなの飲めwww」ゲラゲラ

やよい「……えと、じゃあきなこ練乳……あの開けられないんですけど」

スキルアウト「プフッw ああ、そっかそっかww ほら困らせんなペットボトルのフタ開けてやれやww」クスクス

下っぱA「うーぃ」パキッ

春香「……いちごおでんってもう飲み物じゃないんですけど」

下っぱ「大根がいっぱい汁吸ってっから大丈夫大丈夫www」ケタケタ

千早「……………これはご飯にかけるものじゃないのかしら?」

下っぱA「あ、いる? 炊きたてのあるよ?」

スキルアウト「あんのかよwwww」ゲラゲラ

下っぱ「だから飲み物っつってんだろーがwwww」ゲラゲラ


やよい「………なんで、なんでこんなことするんですか?」

スキルアウト「あ? 馬鹿な仲間の目ぇ覚ますためだよ」

春香「ど、どういうことですか?」

スキルアウト「あー、じゃあどうせ暇だし説明すっか。今、俺らはアンタらの解放を条件に学園都市と取引してんだ。
        俺らが提示した条件は『奨学金制度の一律化』。要するに天才も馬鹿も同じ額の奨学金にしてくれってこと」

千早「……よく分からないけど、それじゃあ取引は成立しないんじゃ……?」

スキルアウト「そうだな。アンタら解放したあとに『やっぱやーめた』って言われたら俺らの人生詰むもんな。
        でも、そう簡単に反古にはできねーんだ。さっきカメラ回した時さりげなく俺も一緒に映ったんだよ。
        それで分かるやつは分かるだろ。俺が誰の仲間で、その仲間がどんだけヤバい情報を握ってんのかな」


やよい「……それで私たちにこんなことしたんですか? その、寝てるお友達の目を覚ますのと何にも関係なさそうです」

スキルアウト「寝てるわけじゃねーよ。さっきカメラに映ったのはその仲間の目を覚ますためでもある。
        自分の生きざまを間違えんな、俺たちはちゃんと行動してんぞっつー仲間に向けたメッセージでもあんだよ」

春香「……?」

スキルアウト「そうだな……たしかアンタたちに凄腕のプロデューサーっているんだろ?」

千早「ええ。ここまで私たちを育ててくれた人よ」

スキルアウト「そのプロデューサーが961プロのアイドルにより殺されました」

やよい「ええ!? そ、そんなはずありません!!」

スキルアウト「ああ、例え話な? 例え話。そこで、プロデューサーの跡を継いだ秋月律子が
        またもや961プロのアイドルの妨害工作により『竜宮小町』ごと刑務所行きになりました」

春香「律子さんはそんなヘマしません!」

スキルアウト「だから例え話だっつーの。……そんで秋月律子だけが裏取引で出所しました。
       数ヶ月後、『竜宮小町』が刑期を終えて出所すると
        プロデューサーを殺したアイドルと妨害工作をしたアイドルを楽しそうにプロデュースしてる秋月律子の姿がありました」

千早「……どういうこと?」

スキルアウト「……俺らが知りてーよ。駒場さんぶっ殺したヤツと
        俺らをムショぶち込んだヤツと浜面がワイワイやってんの見たら頭ぶっ壊れるかと思った……」

下っぱ「駒場さん……」グスッ


やよい「……えっと……それじゃ、お兄さんたちのリーダーさんが、その、殺されたんですか……?」

スキルアウト「ああ。この話のプロデューサーが俺らのリーダー。秋月律子がさっき言った俺の仲間の浜面ってヤツ。『竜宮小町』が俺らだ」

春香「……」

下っぱA「こんなムサい『竜宮小町』なんて嫌ッスけどねw」ヘラヘラ

スキルアウト「黙れバカ。だから、ちっとばっかド派手なゲリラライブ起こして765プロに秋月律子を連れ戻そうとしてんだ。
        どうにも業界のスキャンダル掴んで好き勝手生きてるらしいからな。そいつを使えばさっきの取引も成立するってこった」

千早「……」

スキルアウト「……正直アンタらには悪いと思ってるよ。こんな事情知ったこっちゃねーもんな。
        たが、俺らもここまで来たら引き返せねーんだ。こんな差別まみれの街を変えるにはこれくらいやんなきゃダメなんだよ」



-17:18、第一五学区空き店舗2階



893「ほな、とっととやることやってまおか。機材もってこい」

チンピラ「へい」

893「ほんでアイドルの3人も地べたやとケツ痛いやろ。そこの3人がけのソファー座らせたれや」

チンピラA「へい。失礼しやす」ヒョイ

亜美「わわっ……そんなに気使ってくれるならこれ解いてよ」ポスッ

893「そらできひんて。こっちもお仕事はきっちりせんと」スパー

チンピラB「失礼」ヒョイ

真美「……おっちゃん達なにがしたいの? 真美たち明日ライブなんだけど」ポスッ

893「あぁ、それなあ、多分延期か中止んなるやろ。事態が事態やし」

伊織「はあ!? だったらアンタたちひどい目に遭うわよ!? 今回のライブにどれだけのお金が動いてると……」

チンピラC「……」

伊織「……なによ?」

チンピラC「い……」

伊織「はあ?」

チンピラC「いおりいいいいいいいいいいいいいいん!!」ガバア!

伊織「きゃあああああああああああああああああああ!?」

亜美「いおりん!?」

チンピラC「はあはあはあはあはあはあいおりん!! いおりいいいいん!!」

伊織「や、やめ、やめさいよぉ!」

真美「いおりんから離れてよ!! なにしてんだよ!!」


893「何しとんねんワレこらぁ!!」バキィッ

チンピラC「おぐほぉ!!」ドサッ

893「おい! コイツそっちでシバいとけ!!」

チンピラ「へい!」

チンピラA「フザけんじゃねぇぞテメェ!!」

チンピラB「来いオラ!!」

チンピラC「ひっ、か、勘弁してください」ズルズル


ドゴッ! ガスッ! ボキッ!!
ギャアアアアアアアアアアアアア!!


893「ホンマにヤクやっとるヤツはこれやから……
    ゴメンなぁ、水瀬の嬢ちゃん。ちゃんとヤキ入れとくさかい、って」

伊織「……ヒック……ヒグッ……」ポロポロ

亜美「いおりん……」

893「ああもう泣いてもうたやないか。おいちょおアレ買うてこい、オレンジジュース。確か好きなんやろ?」ガシガシ

チンピラD「ウス」

893「ほいで早よソファー座らせたれや。いつまで地面ほっぽっとくねん」

チンピラE「ウス。失礼しやす」ヒョイ

伊織「グスッ……うぅ~……」ポスッ

真美「大丈夫だよいおりん。真美たちがいるから」

伊織「……なんなのよ……いったいアンタたち何がしたいのよ……」グスッ

893「いやな、さっきみたいな乱暴するような映像が欲しいわけやないねん。ワシらも身体が資本みたいなもんやからな。
     そこの価値観は似たようなもんや。アイドルの身体にキズ残すような真似はせん。したヤツは片っ端からああしたる」クイッ


チンピラC「」


亜美「……訳分かんない。おっちゃんホントはいい人なの?」

893「ワハハ、そうやそうや。街の治安を守るええ人や」


チンピラD「オレンジジュースと紙コップとストロー買ってきました」

893「おお、気ぃきくな。ついだれや」

チンピラD「へい」トクトク

893「……ほんでな、さっきも言ったけど水瀬財閥に用があんねん。双海の嬢ちゃんたちはついでや」

真美「じゃあ直接いおりんのおうち行けばいいじゃん。そんなの真美たちもいおりんも関係ないし」

893「最初はそうしたんや。ウチに商品卸してくださいー言うて。せやけどワシらみたいなモンに売る商品なんかない言うてきてな」

伊織「……当然じゃない。パパやお兄様たちがアンタたちみたいな連中を相手にするわけないでしょ」チュー

893「……さよか。ほんでも学園都市の中じゃ外の商品も少なからず需要があんねや。
    せやから、嬢ちゃんたちにはホンマに申し訳ないけどちょっとワシらの交渉の手伝ってもらうわ」

亜美「手伝い?」

893「せや」

真美「……も、もしかしてこのまま監禁生活?」

893「ちゃうちゃう。嬢ちゃんたちは学園都市がワシらの仲間解放するお願い聞いてくれたらすぐ帰したげるがな。約束やからな」

伊織「……じゃあなんなのよ」





893「なあに、嬢ちゃんたちの花ビラ撮って水瀬財閥と双海総合病院との交渉材料にするだけや」


亜美「?」

真美「」

伊織「」



-17:23、第七学区廃ビル1階



真「ふっ……っの」グググ

サローニャ「だからやるだけムダだって。……周囲に人影ちゃんは?」

魔術師「……見当たりません。おそらく探知はされてないかと」

サローニャ「甘い甘い。ここは科学の総本山、学園都市だよ? 科学に不慣れな私たちが電波ジャックなんてしたらバレて当然だって」

魔術師「はあ……?」

サローニャ「周りに人影ちゃんがないのは未だに混乱状態で上の意志が決定してないから。
       下手に動いてアイドルちゃんたちを死なせちゃったら全国数千万の765ファンと日本政府から大ブッシングだからね」

魔術師「……ふむ」

サローニャ「とはいえ、電撃作戦もないわけじゃない。警戒ちゃんを怠らないように」

魔術師「かしこまりました。各員に通達しておきます」



響(真、真)チョイチョイ

真(響? どうしたの?)ボソボソ

響(ちょっとだけアイツらの気を引いて)ボソボソ

真(? 分かった。やってみる)ボソボソ



真「やい! お前たちボクたちになんの恨みがあってこんなコトするんだ!」

サローニャ「んー? まあ各々目的はあるんだろうけど私らの場合は取引ちゃんかな」

真「各々? ここにいるのはみんなお前の仲間じゃないのか?」

サローニャ「ああ、言ってなかったっけ? 他のアイドルちゃんたちも私らが全員捕まえちゃったよ」

響「なあ!?」

真「はあ!? なんでだよ!!」

サローニャ「ある人がそれを望んだからさ。私らはそれに便乗して学園都市と取引してるだけ」

真「……?」

サローニャ「ま、ホントは765のアイドルちゃんたちを集めたって意味ないんだけどね。
       私にそれを教える義理なんかないし、最低限協力すればいいって言ったのは向こうだしねん」ニィッ

真「???」


サローニャ「さてさて、なんで私がキミたちを拉致ったかだっけ? さっきもちょっと言ったけど取引ちゃんが目的だよ」

真「取引? 身代金ってやつ?」

サローニャ「お金はいらない。私が欲しいのは駆動鎧と無人兵器の設計図。
       それとそれに必要な部品の製造方法と組立方法。要するに技術提携が目的ちゃんさ」

真「……なんでそんなものを?」

サローニャ「……去年の10月にさ、第三次世界大戦が起きたのは知ってるでしょ?
       その大戦じゃ私の母国であるロシアは学園都市相手に完敗した。挙げ句の果てに学園都市はロシアを踏み台にさらに成長した。
        こりゃ許せないよね。だから私はロシアを強い国に育てあげるのさ。こんな屈辱を拭いさって、どこにも負けない強い国に」

真「……言ってるコトがめちゃくちゃだ。国を強くしたい? こんなところで拉致なんてやってる人間にそんなことできっこない」

サローニャ「はっ、だからといって泣き寝入りするのが賢人ちゃんかい?」

真「そもそもボクと響を拉致ったくらいで学園都市がそんな重要なモノを渡すはずないだろ?」

サローニャ「やらなきゃキミたちが死ぬだけさ。それはそれでこちらにメリットはある。
       キミたちの死をキーに学園都市で大規模魔術が発生する。学生を大勢巻き込んで学園都市の意義を解消させる」

真「……狂ってる! なんだよそれ! まるっきりオカルト宗教団体の考えじゃんか!!」

サローニャ「はっはっはー、言ってること大体合ってるよ。これ以上は話しても無意味だ。お静かちゃんに頼むよ」



真(……響、これでいいの?)ボソボソ

響(バッチリさー。でもまさかみんな捕まってるなんて……)ボソボソ

真(何かやったの?)ボソボソ

響(ハム蔵に外に助けを求めてもらいに行かせたんだ。真がアイツらの気を引いてくれたから無事に脱出したぞ)ボソボソ

真(ハム蔵に? いくらハム蔵でもそんなことできるの?)ボソボソ

響(大丈夫さー。前に学園都市の運動会のテレビでげっ歯類限定のテレパシーができるって超能力者の人がいたんだ。その人を見つけてくれれば……)ボソボソ

真(出っ歯? そりゃハム蔵もハムスターだし……)

響(げっ歯。ハムスターとかの種族全般のことさー)

真(あ、ああ、うん知ってたよ。……でもそんな都合よく見つかるかな?)

響(なんくるないさー。ハム蔵は完璧だからな)フンス


-17:36、第七学区某所



ハム蔵「ジュッ、ジュッ」タタタタタタ

ハム蔵「ジュジュジュ-!」タタタタタタタタタタタタ

ハム蔵「ジュ-、ジュ-…」ゼェゼェ

ハム蔵「ジュジュッ!」タタタッ!



???「あら?」ヒョイ

ハム蔵「ジュイ!?」

???「ふふふ、かわいいハムちゃんねぇ。どこから来たのかしら」

ハム蔵「ジュイ! ジュイ!」ジタバタ

???「あらあら大丈夫よ。取って食べたりしないわぁ」コショコショ

ハム蔵「ジューッ! ジューッ!」ジタバタ

???「え? そうなの?」

ハム蔵「ジュ? ジュイジュイ?」ピタリ

???「ええ。それより詳しく教えて?」

ハム蔵「ジュイジュイ、ジュイ」カクカクシカジカ

???「………それ本当なの?」

ハム蔵「ジュイ! ジュイ!」コクコク





???「ちょっと待っててハムちゃん。今米軍に完封できる戦力揃えて向かうわ」

ハム蔵「ジェジェッ!?」



-17:22、第七学区某学生寮一室



キネシック「残りのアイドルはまだ見つからんのか?」

傭兵「四条貴音、三浦あずさは足取りがつかめません。秋月律子は発見しましたがすでに警備員が周りを固めていて……」

キネシック「……秋月律子は捨て置け。元々マネージャーだ。四条貴音と三浦あずさを一刻も早く捕らえろ」

傭兵「はっ」

キネシック「……素人の足取りなど簡単に追えると思ったが、一筋縄ではいかんか」

雪歩「」

美希「むにゃ……ZZZ」

キネシック「……これだけ豪胆な者が揃っていればな。まったく、厄介な仕事を請け負ったものだ」




???「いざ、かぐや姫、穢き所に、いかでか久しくおはせむ」


バタン! バタン! バタン!


キネシック「!? 扉がすべて……何者だ!」


貴音「お邪魔いたします。ふふ、広くてよい部屋ですがいささか清潔感がありませんね」スッ

傭兵「! 四条貴音!」

キネシック「……いやはや驚いた。まさか乗り込んでくるとは……」

貴音「ふむ、思ったより人数が多そうです」

雪歩「……はっ、あれ? ここは? きゃぁぁあああ!? いかつい男の人がいっぱいいぃぃいい!?」

美希「あふぅ、雪歩うるさいの……」

貴音「おはようございます。萩原雪歩、美希」

雪歩「あれ!? 貴音さん!?」

美希「あ、貴音おはようなの」

貴音「今そちらに行きますのでしばしお待ちを」スタスタ

キネシック「行かせると思うか? 捕らえろ!」



シーン……


キネシック「……?」

傭兵「で、できません」

傭兵A「そんな、そんな恐れ多いこと……」


貴音「お待たせしました。……ふむ、荒縄ですか。素手で解くのは難しそうですね……」グイグイ

雪歩「あ、あの、貴音さん!? 何がどうなって!?」

美希「むー、貴音ばっかり動けてズルいの」


キネシック「くそっ! 何をしている! 命令に従えないのか!?」


傭兵B「……南無三!!」ダッ

貴音「ふっ!」グイッ

傭兵B「うおっ!?」フワッ


ドターン!!


雪歩「ひいいいいいい!?」

キネシック「な、投げ飛ばしただと!? アイドルが傭兵を!?」

貴音「……おや、熟練者でしたか。この陣の中で立ち向かえるとは大したものです」

キネシック「ええい! 何をしている! 一斉にかかれ!」

傭兵C「無理です!」

傭兵D「我々にそんなことは……」

傭兵E「とてもじゃありませんが……!」

貴音「四条家流術式『竹取物語』。かぐや姫にはもちろん、迎えにきた家臣にも手を出すことはできません。
    また、あなた方がいかに心を押し殺して襲いかかってこようとも私たちへは無害なものとなりますので」クスクス

キネシック「」

美希「アハッ☆ やっぱり貴音はカッコいいの!」

キネシック「……もうなんなのこのアイドルたち」グスン




-17:30、第七学区『窓のないビル』



P「クソッ、出口はないのか!?」ハァハァ

アレイスター「フフフ、時間のムダだと言ったはずだ。さて、どこから話そうか……」

P「……アンタ一体何者だ? それにさっきチラッと聞こえたがウチのアイドルが拉致監禁……?」

アレイスター「ああ、それは心配しなくていい」

P「フザけんな!! 俺はアイツらのプロデューサーだ!! アイツらを保護する責任がある!!」

アレイスター「それがどうした? この状況であなたに何かするべきことがあるのか?」

P「少なくともここでじっとしてることは俺のするべきことじゃない! ここから出せ!」

アレイスター「……ふむ、この状況で他人の心配をするか。自分も拉致された人物の1人とは考えないのか?」

P「!」

アレイスター「フフフ、心配しなくとも危害を加えるつもりはない。あなたにも、アイドルたちにも」

P「……お前が主犯、なのか?」

アレイスター「アイドルの拉致問題と私はなんの関わりもない。私が興味あるのはキミだけだ」

P「俺に……? こんなしがない営業サラリーマンになんの興味があるんだよ?  俺はアンタみたいに巨大なビーカーの中で逆さまに浮かぶような特技なんかないぞ?」

アレイスター「フフフ、実に9人にも及ぶアイドルを同時にトップランクに上げた人物をしがない営業サラリーマンとは呼びはしない」

P「……」

アレイスター「私が興味のある事象はそれに関連している。その短期間でのプロデュースに」


P「……なんだ? つまりアンタプロデューサーになりたいのか?
   だったらビーカーから出てウチに来いよ。ちょうど人手不足だ。下っぱとしてコキ使ってやる」

アレイスター「どうやってプロデュースをしたのかに興味はない。なぜプロデュースできたのかに興味があるんだ」

P「……?」

アレイスター「あなたは昨年の4月にはじめてこの世界に入った。違いないな?」

P「……ああ、そうだよ。社長にスカウトされてな」

アレイスター「それがおかしいのだ」

P「はあ?」

アレイスター「どんな世界であれ、それにはじめて携わった人物が1年にも満たずにここまでの大成功を収めるというのはあり得ない」

P「……」

アレイスター「ただでさえ厳しい世界、生き残ることすら困難な世界で1年も経たずに頂点に立つ。こんなことはあり得ない
        どんな才能を有していようと、どんなに環境に恵まれていようとあり得ない。そこで私は仮説を立てた。そしてそれは当たっていた」
















アレイスター「あなたはこの世界をやり直している。もっと言えば前の世界をリセットしてここにいる」

P「!!!」





アレイスター「はじめは気にも留めなかった。だが、世間が一気に765色に染められるにつれ、違和感を感じた」

アレイスター「私が立てた仮説は『765プロのプロデューサーは未来を予知している』
        もしくは『765プロのプロデューサーは未来の事象をすでに経験している』の2つだ」

アレイスター「私は前者の可能性が高いと思っていたが、それでは如月千早の記事の件は回避できたはずであり、矛盾しているようにも思える」

アレイスター「そうではなく、如月千早はあの件を乗り越えられると確信していたからこそ
        そして765プロ全体の結束力がより高まることを確信していたからこそ彼女らの成長のために止めなかった」

アレイスター「さらに突き詰めれば未来の現象を予知できたとしてもそれを回避する実力と
        回避したあとにより良い方向に修正する実力がなければ9人同時に頂点に押し上げることなどできない」

アレイスター「つまり、予知よりも長いスパンで、予知よりも確証がある何かであなたは未来を把握していた」

P「……さっきから何を言ってんだ? 俺が世界をリセットしてここにいる?
   だったら今すぐリセットボタン押して過去に戻って今回のライブ蹴ってるよ。アンタ頭大丈夫か?」

アレイスター「かれこれ1700年生きているが痴呆が起きた試しはない」

P「現在進行形で痴呆じゃないか。それとも中二病か?」


アレイスター「私が知りたいのはリセットの方法。つまり世界をやり直す方法だ。それを話せばすぐにここから出そう」

P「だから心当たりなんかない! アンタの妄想に付き合ってる暇はないんだ!!
  俺がここまで来れたのは彼女たちに元々チカラがあったからだ!! 俺は引っ張ってもらったにすぎないんだ!!」

アレイスター「ほう? こちらはあなたが19年後の3月31日から来たことも把握しているのにか?」

P「なっ!?」

アレイスター「そこでのあなたは765プロの基礎を作り、トップアイドルも数人輩出したものの、不満と後悔を抱えていた」

アレイスター「あなたの言うチカラのある彼女たちの可能性を発揮できなかったことについてだ」

P「……」

アレイスター「まだ否定するなら、その世界での彼女たちを述べてみようか?」

アレイスター「天海春香と高槻やよいは今より10年後に引退。それもトップアイドルとは程遠いバラエティーアイドルの端くれとして終わった」

アレイスター「三浦あずさは結婚に伴い引退。双海姉妹はアイドルに早々に限界を感じて引退し、水瀬伊織も程なくして水瀬財閥に半ば強引に引き取られた」

アレイスター「如月千早と菊地真は自分たちの道のために765プロを切り捨て、星井美希はケガによりアイドルを断念し、萩原雪歩は変わらない自分に絶望した」

アレイスター「我那覇響はペットの治療費のために枕営業に走りかけたところであなたが沖縄に送り返し、四条貴音は科学と魔術の抗争に巻き込まれた末に第三次世界大戦で」

P「もういいやめてくれ! それ以上しゃべるな!」


アレイスター「……これで認めてくれるな?」

P「……アンタなんでそんなコト知ってんだ? 誰にもしゃべったことないのに……」

アレイスター「あなたが前の世界でつぶさにつけていた日誌。
        それはあなたのリセットで消えなかった。今でも机の奥にあり、あなたは時々それを書いている」

P「……」

アレイスター「これは土御門から聞いた情報だ。事務所に交渉に行った時に発見したそうだ」

P「……交渉を始める前にトイレに行ったあの時? でもあの時は事務所に亜美と真美、音無さんだって……」

アレイスター「どうやって知ったのか知りたいのなら土御門に聞いてもいいが
       そうこうしている内に時間はどんどん過ぎていく。765プロのアイドルが心配だったのでは?」

P「くっ……」

アレイスター「あなたは早く話してくれればいい。リセットの方法を」

P「俺も分からないんだ!! なんでこんなことが起きたのか!! あの日事務所の机で寝てて気づいたらこうなってたんだ!!」

アレイスター「……自覚はない、か。【原石】による能力の無自覚の発生……偶然が重なって起きた魔術……」

P「……魔術? ここは科学サイドの学園都市だろ? アンタの専門は超能力じゃないのか?」

アレイスター「……ならば、それでもいい。その時のあなたの状態をできる限り詳細に話してほしい。
        体調や精神状態、眠りについた時間、着ていた服装、事務所に置いてあった備品、なんでもいい」

P「……それを話したら俺を解放するんだな?」

アレイスター「当然だとも」

P「……分かった」



今回はここまでです。


レスありがとうございます。
土御門については公式で曖昧なんで、それぞれの補完でお願いします。
登場人物についてはすいませんが何とも言えません。


最近自然災害が多いので皆さん気を付けてください。

>???「ちょっと待っててハムちゃん。今米軍に完封できる戦力揃えて向かうわ」

>ハム蔵「ジェジェッ!?」

ハム蔵三陸出身説急浮上wwwww


-17:03、第一一学区裏通り



原谷「すいません、遅れました。さっきの放送見入っちゃってて……」

削板「イヤ、俺も今着いたところだ」

横須賀「……さて、どう見る?」

原谷「どう見るって……え? 今日銭湯行ってご飯食べに行くんですよね?」

削板「お前は目の前で拉致されてる女を見捨てるのか?」

原谷「いやいやいやいや、こんなん下手にどっか一ヶ所に突っ込んで刺激したら他の場所がヤバいですって」

横須賀「周りに気付かれずやったとしたらどうだ? 何もわからないまま一瞬で。」

原谷「えー……リスク高すぎません? 警備員任せでいいですよ」

削板「そんな根性なしなマネはできん」

原谷「だってそもそも場所が分からないし相手が誰かも分からないし」

横須賀「どっかで見た顔がいたな。たしか亡きゴリラの舎弟の1人だ。
     となると、奴らが外部の人間を狙うためのたまり場が第三学区にあったはずだ。行く価値はある」

原谷「……あーもー分かりましたよ! 行けばいいんでしょ行けば!」

削板「さすがの根性だな」ニッ

原谷「半ばヤケですよチクショー」

横須賀「車出すぞ。後ろ乗れ。あと帰りは天使やよいちゃんたちを乗せるんだからから消臭剤バラまいとけ」

原谷「どーせライブは中止だし。せめて間近でアイドル見てやる」




-17:08、第七学区ライブ会場周辺



初春「えと、情報届きました! 先ほどのグループはどうやら複数の組織が手を組んで動いてるみたいです。
    去年の9月に警備員に壊滅させられたスキルアウト、第一五学区を牛耳っている暴力団、何らかの形で侵入してきたテロリストの3組のようです」

白井「まったく! いったい何度都市に危険人物を入れれば気が済みますの!
    もっと警備体制を見直すようにと何度も進言さしあげておりますのに!」

佐天「あれ? 3組なの? さっき4つに分かれてなかった?」

初春「そうみたいです。向こうも何度か確認してたみたいですが、見つけられなかったみたいで……」

御坂「……フェイクね。きっと少しでも混乱させる気よ。どれかが2つに分かれてるって保証はないし。
    そうしてる内に期限が迫ってきて、上層部は一旦はうなずくしかなくなってくる。ってのが向こうの理想の形でしょうね」

婚后「どこまでも卑劣な……!」

初春「しかも都市外部に漏らさないようにしてるみたいで、あっちこっちに規制がかかってます。
    さらに御坂さんの言う通り上も混乱してるみたいで、おまけに学生が回線使用しすぎてパンク寸前。
    この分だと、もう一度正式な上からの命令が私たちに出るのはいつになるのかまるっきり見通しが……」

白井「何がその場で待機ですの! 下らないメンツよりもとっとと動いて人命救助が正道でしょうに!」



佐天「ど、どうしましょう、このままだとやっぱりマズいですよね!?」

御坂「……初春さん、誰がどこに捕まってるのかは分かる?」

初春「いえ、そこまでは……ただ、先ほどの電波ジャックの探知はできているらしくて、場所は第七学区です。
    それと、スキルアウトたちの方は身元が割れてますので警備員が連中の旧アジトをしらみ潰しに探っているようです」

御坂「……ってことはそっちは警備員に任せて大丈夫ね……」

白井「……はい? そっちは?」

御坂「行くわよ、一五学区」

初春「うぇ!? ダ、ダメですよ!」

白井「いけませんわお姉さま! 行くのであれば風紀委員である私が行きますの!」

婚后「いいえ、私も参ります!」

初春「婚后さんまで!?」

婚后「目の前でこのような犯罪行為が起き、その上旧知の者が巻き込まれているというのに
    目を背けてしまっては婚后家の名折れ! 不届きな輩は私がこの手で成敗してさしあげます!」

佐天「私だって! 楽しみにしてたライブをめちゃくちゃにされて黙ってられないよ!」


白井「み、皆さま落ち着いてくださいな! 警備員もスキルアウトのアジトを探す程度には動いておりますの!
    それだけ動けるのならば第一五学区の暴力団の動きを察知して監禁場所を見つけるのも時間の問題で……」


初春「いえ、スキルアウトのアジトを探してるのは黄泉川先生たちで、コレどうも黄泉川先生の独断みたいです」

白井「……つまり?」

初春「混乱の中で他学区の警備員が黄泉川先生ばりに動いてる可能性は低いです」

御坂「行くわよ」ザッ

婚后「ええ! 参りましょう!」ザッ

佐天「よーし! やってやる!」タタタ

白井「はあ……分かりましたの。行きますわよ、初春」

初春「はい!」




-17:21、第七学区コンサートホール前広場



番外個体「……そんでさ、どうすんの? ヒーローさん」

上条「ああ、さっき俺の仲間から連絡があってこっち来るみたいだから、そいつから話聞いて動くよ。闇雲に動くより効率が……」

番外個体「じゃなくてさ」

上条「え?」

番外個体「この人どうすんの?」ツンツン

一方通行「」

上条「……どうしようか」

番外個体「かれこれ何十分固まってんだか。そこらのパントマイムのパフォーマーよりスゴいよね」




土御門「おーい! カミやーん!」タタタ

一方通行「!」ハッ

上条「おっ、来た来た」

番外個体「あの人がヒーローさんのお友だち? ギャハ、人相悪っ!」

土御門「いや~、スマンスマン。遅くなっtぶりゅ!?」クキッ

一方通行「つゥゥゥゥゥゥちみかどくゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
      なンだなンだよなンなンですかこの素敵なシチュエーションはァ!!?? アァ!?」ゴリゴリゴリゴリ

土御門「チョ、マ…」

上条「土御門!? やめろ一方通行!!」

番外個体「あっひゃっひゃっひゃっ! オニーサン顔掴まれてすんごい変顔になってるよ」ゲラゲラ

一方通行「どォせ例によって例の如くお前が一枚噛ンでンだろォが!!
      さっさと吐くか美術館に3Dムンクで出展されるか選べオラァ!!」メキメキメキメキ

土御門「ハナ、ハナす、はナセ」パンパン

上条「ほら土御門もタップしてんだろ! つーかタップできてるってお前スイッチ入れてないの!? え!?」

番外個体「おーおー大反響。MNWで鉄板ネタになるねこりゃ。
      ん? 変なコトしてないでちゃんと画像の人間探せ? やなこった」ミョンミョン



土御門「あー、輪郭変わるかと思ったぜよ……」サスサス

一方通行「変えてやろォかコラ。早く話せ」カチッ

土御門「シャレにならんぜよ。とにかく、この件には魔術師が絡んでる」

上条「! 魔術師が!?」

一方通行「なるほどな、オカルトか」

番外個体「ふーん。で、何が目的なの?」

土御門「第三次世界大戦の結果は知ってるな? その結果をよしとしないロシアの魔術師一派だ」

上条「……それなら狙いは学園都市そのものだろ? アイドルたちは全員外部の人間じゃないか」

土御門「外部の人間を使って取引するのが狙いだ。そのために学園都市の既存の組織とも手を組んでる」

一方通行「そォいやガラのわりィのがいたな。人数確保のために手ェ組みやがったか」

土御門「そんなところだ。だが、オカルト集団の他に傭兵部隊がこの件に加わっている」

番外個体「傭兵? そいつらに雇われたの?」

土御門「もしくはこの件の黒幕に雇われたか、だ。この規模で動いてるならまとめ役が現場以外で動いてる可能性が高い」

上条「マジかよ……じゃあそのまとめ役を倒すのが解決への一番の近道なのか?」

土御門「イヤ、まとめ役がどこにいるのか、そもそも本当にいるのかも分からない。俺でもその存在が掴めてないんだ。
     可能性が高いってだけでな。だから、1つずつ奴らを叩くしかない。監禁場所は全部割れている。幸い人数は足りてるようだから……」

一方通行「アァ?」


一方通行「土御門」

土御門「ん?」

一方通行「監禁場所は割れてンのか?」

土御門「ああ、だからこれから」

一方通行「雪歩たンはどこだ」

土御門「へ?」

一方通行「雪歩たンはどこにいンだって聞いてンだよ腐れグラサン!! 眼球グラサンにされる前に吐けコラァ!!」

土御門「は、萩原雪歩か? それなら第七学区の一番西にある学生寮の空き部屋に

一方通行「シャアアアアアア!! 今行くぜェ雪歩たァァァァァァァァァァ……!」ギューン!





番外個体「……行っちゃったんだけど。なにアレ?」ポツーン

土御門「……あいつ雪歩ちゃん推しだったのか、知らなかった……」

上条「言ってる場合かよ! おい土御門! ちゃんとした住所! あいつがたどり着く前に行かないと大惨事だぞ!!」

土御門「そ、そうだな! 正確な場所が分からないならそこまで早く着けないはずだ! 頼むぞカミやん!」

上条「え!? 俺だけ!?」

番外個体「ミサカ利益もないのに爆心地なんて行きたくないし」

土御門「スマンが俺も限界ぜよ」ピラッ

上条「なんでもう瀕死状態なんだよ! 俺1人でアレ止めるのかよ! チクショー不幸だー!!」




-17:53、第七学区『窓のないビル』



P「……まだ質問はあるか?」

アレイスター「……一番可能性があるのはクロノス。しかし、条件から逆算すれば……事務所内に人形のような物は?」

P「なかった。……イヤ、社長からもらったダルマがあったな。人形と呼べるか微妙だけど」

アレイスター「ダルマ……ふむ……」

P「まだ何かあるのか?」

アレイスター「最後に、これまでの人生で他にこういったことは?」

P「一度もないよ」

アレイスター「……分かった」

P「なら早く出せ! もうどれだけ時間が経ったかも分からない! みんなが無事かどうかだって」

アレイスター「ああ。これであなたは用済みだ」

P「……な」

アレイスター「なに、言葉の通りだ」

P「まさか……」

アレイスター「今迎えを用意しよう……」











???「あら? プロデューサーさん?」




アレイスター「!?」

P「え、あ、あずささん!?」

あずさ「あら~、やっぱりプロデューサーさんだったのねぇ。あの、ここはどこでしょう?」

アレイスター「どうやって……!?」

あずさ「あら? どちら様ですか?」

あずさ(……年上? 年下? 男性? 女性?)

P「離れてくださいあずささん! こいつは」

アレイスター「失礼、私は今回のライブの責任者です。少々プロデューサー殿と打ち合わせをしておりました」

あずさ「あら~、そうだったんですか」

あずさ(ってことはやっぱり年上の方かしら? でも、律子さんがいつも話してる人は学生だから……)

P「イヤ、こいつは」

アレイスター「」ギロリ

P「っ!」



あずさ「でも、それならなんであなたはそんな風に逆さまで上から話してるのかしら?」

アレイスター「ああ、これは」

あずさ「いけませんよ。こういった時はちゃんとした服装で対等な目線で話すのが礼儀です」

アレイスター「あの」

あずさ「めっ、ですよ?」

アレイスター「」

P(……すげぇ、さすがあずささん)


アレイスター「コホン、これは失礼。なにぶん私は今出先ですので、テレビ電話のようなもので会話しているのです。
        今あなた方の前にあるのは新製品の立体ホログラムなのですが、どうも調子が悪いようで逆さまに投影されてしまっています」

あずさ「まあ、そうだったんですか?」

アレイスター「ええ」

P(絶対ウソだ)

あずさ「あ、あらあら、私ったら知ったような口を利いてしまって……」

アレイスター「いえ、礼を失しているのはこちらです。申し訳ありません」

あずさ「そんな、気にしないでください。……それで、打ち合わせの途中だったのかしら?」

アレイスター「いえ、ちょうど終わったところです」

あずさ「あら、そうだったんですね。では、私たちはこれで失礼します」

アレイスター「ええ、今迎えの者を呼びますので……」


あずさ「あらあら、大丈夫ですよ?」

アレイスター「は?」

P「あずささん?」

あずさ「うふふ、この間律子さんから教わったんです。迷子にならないように
     時々後ろを振り返って戻る道の風景を覚えておけば知ってる場所まで帰れる、って。
     今日はちゃんと実践してきましたから、きっと貴音ちゃんのところまで帰れますよ♪」

P「は、はあ……」

あずさ「でも、はぐれてしまったら大変だから手をつないでもいいかしら?」

P「え、ええ」ギュッ

あずさ「うふふふふ♪ じゃあ、行きましょうか」



アレイスター「いえ、そちらに出口は…………、…………!?」

アレイスター「消え、た……?」




<シュン


結標「あら? お客は?」スタスタ

アレイスター「……行ってしまったよ」

結標「はあ?」

アレイスター「フフフ、なんとも計り知れぬものだ……」

結標「……? なんでもいいけどお金はちゃんと往復分払いなさいよ? 私も今月カツカツなんだから」

アレイスター「ああ、振り込んでおこう。……明日のグッズ販売か?」

結標「いいえ? ライブなんて行かないもの。私765よりも876派だし。そっちのライブの円盤買うのよ」

アレイスター「……………秋月涼、か?」

結標「あら、なんで分かったの?」

アレイスター「なんとなくだ。……さて、ここらで一気に幕を引かせてもらおう。土御門、新堂」

土御門『ああ、準備はできた。あとはライブ会場に誘導してくれ』

新堂『居場所は捕捉できた。これより侵入する』


今回はここまでです。


レスありがとうございます。
???はもうバレてるんで言っちゃうと食蜂さんです
なんでハム蔵と会話できてるかって言ったらそりゃハム蔵だからと言っておきます。
納得いかないなら雲川妹風に言う「あの街の最新の更新速度知ってんの?」ってことで。作中じゃ3月なんで。
(どうしよう、そんな設定忘れてたなんて言えない)
☆の寿命の件は、あのアレ、説明文理解できなかった>>1が馬鹿でした。指摘されてやっと分かりました。
>>208の最後の2行なかったことにしてください


ミス連発ですいませんでした。
一応話の大筋とはあまり関わらないので脳内補完してもらえると助かります。


-17:52、第一五学区空き店舗2階



893「もうちょいレフ板左に傾けぇ。替え玉やと思われたら意味ないぞ? ……おお、よしよしそれでええ」

伊織「んー! んー!!」グイグイ

真美「んんっ! んー!」ジタバタ

亜美「???、???」ポカン

893「スマンなぁ水瀬の嬢ちゃんに双海の嬢ちゃん姉妹。
     ガムテープで口ふさがれて足縛られたまんま3人並んで天井から垂らしたロープに手ぇ縛られるなんて露骨なAVかなんかかっちゅうねんな」

チンピラE「……」ゴクリ

893「ガキ相手になんちゅう目ぇしとんねんドアホ」スパーン

チンピラE「つっ! すんません……」

893「わぁっとるやろうが2人目が手ぇ出したら指で済む問題ちゃうぞ?」プカー

チンピラE「へい……」

893「ほな、パパッと終わらせよか。ワシが撮るさかいお前服剥いてこい」

チンピラ「へい」

亜美「!?」ギョッ

893「ん? なんや片割れの嬢ちゃん今ごろ状況飲みこんだんか。純粋やのー」

真美「んんっ! んんんー!」ブンブン

チンピラ「失礼しやす……」スッ

伊織「んんん!! んん!! んーー!!」ポロポロ

893「堪忍なぁ、嬢ちゃんたち。ちゃんと収めたフィルムは必要な時以外は金庫にしまっとくさかい。
     この学園都市で画像をデータ化するなんちゅうアホみたいなマネはせぇへんから安心しときや」



-同時刻、第一五学区空き店舗前



佐天「いくよ初春」

初春「はい」

佐春「「せーの」」スゥー





佐春「「きゃあああああああああああああ!!!! 助けてええええええええええ!!!!!」」



-同時刻、第一五学区空き店舗2階



チンピラ「!?」ビクッ

893「なんや!? 外か!? ちょお下覗け!」

チンピラA「へいっ!」ダッ

チンピラB「……なんだ? 別に誰も……ガキが2人?」キョロキョロ




バコォォォン!!! ドガッ! ゴッ!



亜美真美伊織「「「!!??」」」ビクッ

チンピラ「うおっ!? 扉が吹き飛んできた!?」

チンピラC「」チーン

893「トドメささっとるやないかい! なんやカチコミか!?」

婚后「水瀬さんたち! ご無事ですか!?」ダタタ

伊織「んぅ!? んー! んー!」

チンピラD「ガキ!? なんでこんなところに」

チンピラE「おいアレ常盤台の制服だぞ!」

893「なんでお前詳しいねん!! ええからはよ捕らえろ!!」




<シュン!


白井「はっ!」シュンシュンシュン

亜美「!」トサッ

893「なっ、ロープと荒縄を……【空間移動】か!」

真美「ん~……ぷはっ、やっとしゃべれる!」

白井「風紀委員ですの!! アイドル監禁の現行犯で拘束します! 全員神妙にお縄につきなさい!」バッ

伊織「っ!? っ!?」オロオロ

893「クソが! おい! そっちのガキよりこっちのガキや! アイドルごと飛ばれたら手に負えへんぞ!」


御坂「飛びやしないわよ」


バチバチバチバチバチバチバチバチィ!!!


チンピラ×15「「「「ぎゃあああああああああ!!?」」」」バヂヂヂヂッ


亜美「うわっ! 何コレ!?」

真美「まぶしっ!!」


御坂「ここで全員ぶっ倒せば逃げる必要なんかないっつーの!! よくもライブの前にこんなことやってくれたわね!!」ビリビリ


893「……」


婚后「水瀬さん、今お口を……」ペリペリ

伊織「ん、ぷはっ。あ、あり、ありがとう……?」


白井「……先ほどのような規模の電撃を放ちながらもあなたの仲間にのみ攻撃している。
    あなたの前に立っている【電撃使い】がどなたかもうお分かりでしょう? おとなしく降伏しなさいな」


893「…………………………………フーッ」スタスタ

御坂「? 何よ、降伏すんなら黒子の方に」



ジャキン!


亜美「げっ!?」

真美「拳銃!?」


893「おどれらイタズラも大概にせぇよコラ!!! 大人の世界に簡単に踏み込んできおってクソガキどもが!!」ビキビキ

御坂「……」

893「こっちもガキの使いやないんじゃ!!
     ガキのままごとに付き合ってられるかボケ!! そんなにやりたきゃ三途の川渡ってからにせぇ!!!」


伊織「や、やめなさい!!」




<シュン


婚后「いい加減にするのは」ポン

893「あ?」

白井「そちらですの!」ポン


<シュン!


893「うおっ!?」


亜美「おっちゃんが消えた!?」

真美「上だよ亜美!」


<ゴッ!


893「うごぁ!!?」


<ズガァアン!!


伊織「きゃあああ!?」ビクッ


893「」ピクピク


御坂「落下中に加速させて床に叩きこんだ……やることエグいわね、アンタたち」

婚后「それほどでも」フンス

白井「ありませんの」フンス

御坂「あはは、褒めてないっての」


婚后「……それで、その、水瀬さん!」

伊織「は、はい!」ビクッ

婚后「お怪我はありませんか!?」

伊織「え、ええ。亜美も真美も大丈夫よね?」

亜美「大丈夫だYO!」

真美「腕上げっぱなしでちょっと痺れてるけどNE!」

婚后「よかった……あの、私に見覚えはありませんか?」

伊織「へ? 見覚え、ですか……?」

婚后「……」ジーッ

伊織「…………?」

婚后「……」ソワソワ

伊織「………………、も、もしかして、婚后さん!?」

婚后「! はい! 婚后です!!」パァッ

伊織「えっ!? あなた私より1つ年下だったわよね!?」

婚后「ええ! さすがは水瀬さん! 私に劣らず聡明ですわね!」

亜美「いおりんより年下!?」

真美「真美たちと1つしか変わらない!?」

婚后「ええ、そうですけど……」スラッ

伊織「……」

婚后「……あの、何か?」ボイン

亜美「……恐るべし」

真美「学園都市……」

伊織「orz」ズーン

婚后「あ、あの? やはりどこかお怪我を……?」オロオロ



御坂「落ち込む伊織ちゃん……アリね」

白井「言ってる場合じゃありませんの。初春ー? 佐天さーん? 終わりましたのー! 手錠と手が足りないので来てくださいな!」


<分かりましたー!

<さっすが常盤台トリオ!



-18:01、第七学区某学生寮一室



貴音「ふぅ、やはりこのようなかったーないふでは手間がかかります……」キーコーキーコー

美希「むー、他に包丁とかないの?」

貴音「どうやら空き部屋のようでして……。幸い、コレだけは見つけられました。
    しかし、あの方たちの刃物はみな自分たちで折ってしまいましたし……」キーコーキーコー

キネシック「ふん、要は貴様らをここに留めておけばいいのだ。何をしたのか分からんが、現状これが最善策だ」ムスッ

貴音「さすがは熟練者、と言ったところです。……ふっ」ブツン

雪歩「あ、解けました! ありがとうございます貴音さん!」

貴音「いえ。それでは美希、お待たせしました」

美希「やっと美希の番なの! 早く切って!」

貴音「分かりました。動くと危険ですのでじっとしていてください。萩原雪歩、他の刃物の調達をお願いします」

雪歩「えぇ!? で、でも、男の人がいっぱいぃ……」

貴音「案ずることはありません。私の術式が発動しているうちはあなたに危害を与えることはできません」キーコーキーコー



雪歩「術、式? ですか?」

貴音「ええ。ですので何か切れるものを。2人に分かれて手足をやれば時間も半減でしょう」キーコーキーコー

美希「早くしてほしいの雪歩。美希もう座ってるの飽きたの」

雪歩「う、うん。分かった。ちょっと待ってて」トテテ

キネシック「……その術式とやらも長時間もつものではあるまい。これだけ人間の精神に制限をかけているのならな」

美希「どうなの?」

貴音「先ほど大変美味なるらぁめんを心行くまで堪能しましたので丸一日は大丈夫かと」キーコーキーコー

美希「だってさ」

キネシック「」


傭兵「……なあ、俺もうあの人不憫に思えてきたんだが……」

傭兵A「俺もだ。世界は広いな……」





雪歩「貴音さーん、ハサミがありました!」トテテ

貴音「おや、それは僥光」キーコーキーコー

美希「さっすが雪歩なの! 早く足の方切って!」

雪歩「うん! ちょっとまってね」

貴音「これで早く済むでしょう。次は近くに監禁されているものを探して……」キーコーキーコー





<キュィイン



貴音「!?」ピタッ

美希「貴音? どうしたの?」


傭兵「……アレ?」

傭兵A「おい俺たちは今まで何を……」


雪歩「……? なんだか男の人たちの様子が……」


キネシック「ふっ、やはりハッタリだったか。小娘が考えそうなことだ」


貴音「面妖な!」

美希「え? 何? 何?」


キネシック「たしかこういう状況を日本では『年貢の納め時』と言うのだったな。捕らえろ!!」

傭兵「はっ!」ダッ

雪歩「きゃあああああああああああ!?」

傭兵A「こら、暴れんな!」ガシッ

貴音「くっ、萩原雪歩!!」




チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!


キネシック「うおっ!?」

美希「きゃっ!! な、何アレ!? 悪魔!?」


一方通行「ゆゥゥゥゥゥゥきィィィィィィほォォォォォォォたァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!」ニィタァア


雪歩「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

貴音「何奴!!」

傭兵C「何だこいつは!?」

一方通行「アァ!? 見りゃ分かンだろォが!! ファンだ!!!!」

傭兵D「ファ、ファン?」

一方通行「っておい」ギロリ


雪歩「ひっ、ひっ」ガクガク

傭兵A「な、なんだ?」ガッシリ


一方通行「」



一方通行「ッエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!」バサァ!


美希「つ、翼が黒から白に!? 天使だったの!?」

一方通行「ナメてンじゃねェぞォ!! フザけやがってよォォォォォオオオオ!!!」

貴音「! 2人とも伏せなさい!」


ズバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
 ガシャア! ドン! ベキ! ゴシャ! ドゴッ! バガン! メキッ!


キネシック「」




上条「クソ! 階段で時間かかりすぎた! 落ち着け一方通行!!」ダダダダダ!


一方通行「ヤベェよおいゴミが人のよォだ!! もっともっとミンチにしてやンねェとォ!!!」

上条「逆だ逆!! イヤ、逆でもダメだけど!! とにかく止まれ!!」ガシッ キュィイン

一方通行「放せ三下ァ!! 邪魔すンじゃねェ!!」ジタバタ


キネシック「」ビクンビクン


上条「落ち着けって!! ホラ、雪歩ちゃんも恐がってんだろ!!」

一方通行「あ?」クルッ


雪歩「」ブクブク


一方通行(泡吹いて失神する女神…………ッ!!)

一方通行「ッエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!」←絶叫

一方通行「」ガクッ



美希「……わっけわかんねぇの」

貴音「面妖な……」

上条「あの……なんかすいません……」


-18:18、第七学区廃ビル1階



サローニャ「は? 定期連絡が途絶えた?」

魔術師「はい。10分前の報告が傭兵部隊と暴力団からきておりません。
     暴力団はともかく、プロである傭兵たちが連絡を怠るとは考えにくいので……」


響「……みんな逃げたのか?」

真「きっとそうだよ! それならボクたちももうすぐ助かる!」


サローニャ「……なーるほどね。要求を飲むつもりなんかない上に場所まで特定しちゃってたか」

魔術師「いかがいたしましょう……」

サローニャ「戦闘準備。さっきカラテカちゃんにやられたヤツらも叩き起こせ。
       そしてアイドルちゃんたちを前に。人質がいるってことを思い出させてあげな」


響「うがっ!?」

真「クソッ! この変なロープさえなければ……!」


魔術師「はい。お断りします」



サローニャ「……は?」

魔術師「私は食蜂様の忠実な下僕ですので」

サローニャ「……! アンタその眼……っ」



ドギャアア! パリィン! バタン! バタン!



響「な、なんだ?」

真「遠くの方から……悲鳴?」

魔術師A「敵襲! 敵襲です!」

魔術師B「全方位から超能力者が攻めてきます! もちません!」

サローニャ「な、わけ分かんないこと言ってるな! 今回の連合じゃ私らが一番規模がデカいんだ! 押し返せ!」

魔術師C「で、ですがゴフッ」ドサッ

サローニャ「!」

食蜂「ハァーイ。テロリストさん、ご機嫌いかが?」


響「だ、誰?」

真「分からないけど……味方、かな?」


縦ロール「女王、お下がりください。危険です」

女生徒A「前線は我々のみで十分です」

食蜂「嫌よぉ。こっちの方がインパクトあるじゃない」

女生徒B「分かりました。出すぎた真似を……」


ゾロゾロ、ゾロゾロ


サローニャ「な、な……」

食蜂「ふふ、精神から『躊躇』と『恐怖』を排除した常盤台中学『食蜂派閥』総勢力。その気になれば米軍だって目じゃないゾ☆」


魔術師A「サローニャ様……」

サローニャ「まだだ! まだ終わってない!」

食蜂「あぁ、そういえばさっき向こうにあった植物ならあっちで燃えてるわぁ」

サローニャ「は!?」

食蜂「そこの側近さんたらあなたのこといろいろ知ってるんだもの。
    そもそも人の精神を操るのに限られた地域の植物だのなんだのが必要だなんて私の下位互換もいいところよねぇ」

サローニャ「」

食蜂「ちなみに、この子たちみぃんな私の支配下にあってまともな精神してないから。さっ、やっちゃって」

女生徒′s「「「「「「「はっ!」」」」」」」





響「な、なにが起きてるんだ!? 火とか水とか電気とか風とかコンクリートとかメチャクチャだぞ!」

真「スゴい、これが超能力……って、ボクたち大丈夫なの!?」

響「そ、そうだよ! 自分たち動けないぞ!」ワタワタ

食蜂「大丈夫だゾ☆ ちゃんとこっちに被害が出ないように調整役も配置してるから」ヒョコ

ハム蔵「ジュイ!」ヒョコ

響「あ! ハム蔵! ってお前またどこに入ってるのさー! 初対面の人の胸の谷間なんか入るなー!」ウガー

食蜂「ふふ、このエッチなハムちゃんのおかげで助けに来れたんだからお礼を言った方がいいんじゃないかしらぁ」

響「そ、そうなのか! ありがとな! ハム蔵!」

ハム蔵「ジュイ!」フンス

響「それにキミもありがとな! 助かったぞ!」

食蜂「お互い様だゾ☆ 私も目的が果たせたんだから」

響「え?」

食蜂「ねぇ」クルッ

真「へ?」


食蜂「まっこと王子ーー!!!」ダキィ

真「うわぁ!?」

ハム蔵「ジュイ!?」

食蜂「はじめまして真王子! 私常盤台中学の食蜂操祈っていいます! 気軽にみさきって呼んでください!!」

真「え、み、みさき?」

食蜂「きゃあああああ! 真王子に名前で呼ばれるなんてぇ! 感激です!! ありがとうございます!!」

真「あ、うん、えーと、どういたしまして?」

食蜂「私真王子の大ファンなんです! いつも応援してます!『エージェント夜を往く』も『自転車』も大好きです!」

真「あ、ありがとう。それであの、キミ」

食蜂「みさきでお願いします!」

真「ああ、ゴメン。それでみさき、なんとかしてこのロープみたいの解けない?」

食蜂「! ごめんなさい! 私ったら興奮のあまり失念しちゃってぇ……〔ちょっと〕」ピッ

魔術師「はっ」クイッ

響「!」パラッ

真「解けた……! ありがとうみさき!」ニコッ

食蜂「」キュン



サローニャ「フザけんな……!」ユラリ

ハム蔵「ジュイ!?」

サローニャ「こっちは命懸けで戦ってんのに! こんなところ百合子ちゃんしてんじゃないよ!」ビュッ

響「危ない! 後ろだ!」


真「フッ!!」ブン

サローニャ「ガフッ!」ドサッ

食蜂「え? ……あ……正拳突き……?」

真「よくも今まで拘束してくれたな! おまけにボクたちの恩人まで傷つけようとして! もう許さないぞ!」

サローニャ「……く、そ……」ガクッ

真「ふぅ……大丈夫? みさき。ケガはない?」キラッ

食蜂「」ズッギューン!



食蜂「まっこと王子ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいい!!!!」ダキィ!

真「うわぁあ!?」


女生徒′s「「「「「「「はあああああああああ!!」」」」」」」


ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!


響「な、なんだ!? あの子たちの勢いが急に増してるぞ!」

ハム蔵「ジュー! ジュー!」ジタバタ

真「ちょっ、まっ、みさき……」

食蜂「まっこまっこりーん!! まっっこまっっこりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん!!!!」ギュー!


女生徒′s「「「「「「「まっこまっこりーん!!!」」」」」」」


チュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
  ガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラガラ……!!


響「うぎゃあああああああ!! 崩れる!! ビルが崩れるぞおおおお!!」



外見がミキミキで中身がゆきぽだし


-18:29、第三学区、裏通り



スキルアウト「あ!? 誰も出ねぇだ!?」

下っぱ「あいつらからもらった紙がまったく反応しなくて……兄さんたちとも連絡がつかねーんス」

下っぱA「みんなトイレじゃないスか?」

スキルアウト「んな訳あるか!」

下っぱB「や、ヤバいッス! 俺ら以外やられてます!」

スキルアウト「ああ!?」

下っぱC「俺らさっきまでライブ会場にいて秋月律子を見張ってたんスけど、さっきから次々にアイドルが戻ってきて……!!」

スキルアウト「ウソだろ……ウソだろおいフザけんな!!」

下っぱB「フザけてなんかねーっスよ!!」

スキルアウト「くっ……そうだ、浜面! 浜面と半蔵から連絡は!?」

下っぱD「……音沙汰なしッス……」

スキルアウト「……クソッ、なんでこう、何もかも上手くいかねーんだ……」


下っぱ「ど、どうすんスか……」

スキルアウト「……やるしかねー。おめーらドーグぐらい持ってんだろ?」

下っぱA「一応全員最低限の武装はしてるッス」

スキルアウト「……うし、絶対逃げ切るぞ。この分だと俺らの居場所が割れんのも時間の問題だ。
        だったら、向こうが俺らに手ぇ出したらどうなるか、俺たちがどれだけ本気か知らしめる必要がある」

下っぱB「……つまり?」

スキルアウト「アイドル1人殺すぞ。残りの2人を盾に学園都市から脱出する」

下っぱC「えぇ!? ガチっスか!?」

スキルアウト「心配すんな。俺が殺る。どのみち俺は顔が割れてるからな。おめーらはなんとか逃げろ」

下っぱD「そんな……」

スキルアウト「じゃあ他になんか作戦でもあんのかよ!! もうどうしようもねーだろうが!!」

下っぱ「……」

スキルアウト「腹くくれ。他に道なんざねーんだ」



スキルアウト「……聞こえてたろ?」

やよい「ひっ」

スキルアウト「お前らの1人を殺す。残りの2人は学園都市から脱出したら逃がしてやる。誰がいい?」

春香「そんな、選べるわけないよ! おとなしく自首してください!」

スキルアウト「それはできねー。ここまでやって捕まったら実験動物になる人生しか待ってねーんだ。ここで1人殺すしかない」

千早「………………なら、私がいくわ」

やよい「! ダメです千早さん!!」

春香「千早ちゃんやめて!!」

スキルアウト「……いいのか?」

千早「…………私が死んで2人が助かるなら」

スキルアウト「……約束する。悪いな、せめて苦しませずに終わらせてやる」

やよい「ダメです千早さん!! やめてください!!」ポロポロ

春香「千早ちゃん!! お願いやめて!!」ポロポロ

千早「ごめんなさい、高槻さん、春香。今までありがとう」



スキルアウト「……動画サイトつながったか?」

下っぱ「……大丈夫ッス」

スキルアウト「よし……、あー、学園都市上層部のバカども。おめーらが出した答えは受け取った」


千早(……大丈夫。優に会えるんだもの。アイドルとしても多くの人に歌を届けられた。悔いはない)


スキルアウト「--、---」


千早(……、お父さん、お母さん、みんな、プロデューサー、優、ごめんなさい)

スキルアウト「つーわけで、今から如月千早の頭をチャカで吹き飛ばす。それでもまだ俺らを追い詰めるなら他のアイドルも殺す」


千早(でも、こんな最期なら、許してくれるわよね……)


スキルアウト「これはお前らの選んだ結果だ。よく目に焼き付けておけ」チャキ



ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!


スキルアウト「ぐはっ!?」ドサッ

???「うおおおおおおおおおおおおお!!!」

千早「!? なに? 瓦礫……爆発?」

削板「【ナンバーセブン】削板軍覇!! ただいますいさああああああん!!!」ズタッ

下っぱB「!? なんだこいつは!?」

下っぱ「かまわねえ!! 一緒にやっちまえ!!」

削板「スゴいガード!!」


ボゥン!!


千早「!? カラフルな…煙? 不良たちがみんな向こう側に……というより私を囲んでる?」

削板「無事か? 如月千早。他のアイドルはどうした?」

千早「え、ええ、私は大丈夫。高槻さんと春香は向こう側に……あなたは?」

削板「俺はLevel5の第七位【ナンバーセブン】削板軍覇だ! よろしくな!」



<バン! ガン! ガン!


千早「! 撃ってきた!」サッ

削板「伏せる必要はない。俺の能力はあんな根性なしどもの弾丸には貫けん」

千早「……? 超能力?」

削板「おう。……しかしどういう状況だ? イヤ……」チラッ

スキルアウト「」

削板「ふむ……」キョロキョロ

千早「あの……?」

削板「……はっはっはっ! なるほどな! さすがは如月千早! 素晴らしい根性だ!!」バシバシ!

千早「痛っ、ちょっと、やめてください! なんなんですか!」

削板「あんな記事を書かれてもちゃんと復活するんだ! そこらのアイドルとは根性が違うと思っていたが予想通りだな!」

千早「はあ……?」


削板「さて、時間がないから簡単に教えるぞ。今モツと原谷が裏から回り込んでる。多分残りのアイドルとすでに接触してるはずだ」

千早「モツ……?」

削板「俺の仲間だ。お前はそいつらと一緒に脱出しろ」

千早「あなたは?」

削板「あいつらの相手をする。あの腐った根性を叩き直してやらんとな」

千早「! 無茶よ! 相手は拳銃を……」

削板「心配いらん。現に今無傷だろ?」

千早「……………分かりました。助けてくださってありがとうございます」

削板「おう!」

千早「どうか気をつけてください。では」タタタ



削板「……行ったか。さて、根性なし共。
    俺は今あんな細いアイドルのドデカい根性を見て感動してんだ。
    負けてられねえよな。俺もお前らも。今からみっちりその腐った根性叩き直してやるから根性入れろよ」




やよい「千早さーーん!!」ポロポロ

春香「千早ちゃん!! お願い!! 返事して!!」



原谷「あ、いた! 横須賀さんこっちです!」タタタ

やよい「う?」グスッ

春香「だ、誰?」

原谷「わ、本物の天海春香だ。後でサインくださいね」

横須賀「言ってる場合か! 早く手足の縄切れ!!」ダダダダッ

やよい「ひぃぃぃいい!!」

横須賀「ん?」

やよい「さ、さっきの人たちより怖いですー!!」

春香「やめて! やよいに手を出さないで! やるなら私にして!!」

横須賀「」

原谷「あー……」

やよい「だ、ダメです春香さん! もう誰もいなくならないでください!!」ポロポロ

春香「お願いします! やよいだけは! やよいだけは! ……あれ?」

横須賀「orz」ズーン…

やよい「……え?」

原谷「……ゴメンね? この人こんな図体してやよいちゃんの大ファンだから……」


千早「高槻さん! 春香!」タタタ

やよい「千早さん!」パァッ

春香「千早ちゃん! よかった、無事だったんだね!」

千早「ええ。心配かけてごめんなさい。それで……あなたたちが原谷さんとモツさん?」

原谷「はい」

横須賀「あのヤロ、アイドルにまで……ああ、その通りだ。」

やよい「? 千早さん、知ってるんですか?」

千早「ええ、大丈夫。私たちを助けにきてくれた人よ」

春香「えっ!? す、すいませんでした! わた、私……」

横須賀「かまわん。それよりすぐに脱出するぞ。連中が外から回り込んでくるかもしれん。」

原谷「とりあえず縄を切ります。じっとしててください」




-??:??、第?学区???



???「ここまではおおむね順調ね」

秘書「はっ。注目を集めるという点では十分かと」

???「これでいい。もうすぐよ。もうすぐパワーバランスは生まれ変わる」

秘書「これもすべてあなたの力です」

???「そう。この力ももうすぐ私のモノに……」


新堂「そこまでだ」

???「!?」

秘書「なっ、どこから侵入してきた!?」

新堂「黙っておれ若造。久しいな、オーレイ。今じゃ父親の跡を継いで『米国のメディア王』だったか」

オーレイ「し、シンドウ!? 馬鹿な! 冷戦期のエージェントがなぜこんなところにいる!!」

新堂「相変わらず詰めが甘いなお前は。今の私の主人は765プロの水瀬伊織お嬢様だ」

オーレイ「な…な……?」

新堂「おまけにあんな化け物みたいな虎の穴にわざわざ入ってきおって。虎児を得るためにしてはリスクが高過ぎるぞ」

オーレイ「……学園都市がそれほどの脅威だと言うのか? 笑わせるな! 我が米国は学園都市ごときに屈しはしない!!」

新堂「やっぱり分かっておらんか。ま、仕方あるまい」


新堂「それで? 765プロのファンの負の感情を糧に莫大な魔力を得る、だったか? デマだから意味はない。やめておけ」

オーレイ「!?」

新堂「大方エンデュミオンと鳴護アリサの術式を得ようとしたか? いいように弄ばれているのがまだ分からんか」

オーレイ「……そんなはずはない! 証拠となる映像だってある! 数ある情報をどれだけ精査したと思っている!」

新堂「実際にある映像を見たらそう思うだろう。だが、果たしてその映像は誰がどのように撮ったものか確証はあるのか?」

オーレイ「……それ、は……」

新堂「そもそもあの術式は鳴護アリサの歌で人々を熱狂させることでエネルギーを得ることが条件だったのだ。
    なにも手を出さずにあのままライブを開催させた方がまだ可能性があったのにのう。ま、どの道私が潰していたと思うが」

オーレイ「……そんな……そんな……」

新堂「……そもそもそんな莫大な力などなくとも、ホレ」

秘書「642897425462、54809652418885、658471452258、547851422698」

オーレイ「!? や、やめなさい!」

新堂「……と、このように暗号をしゃべらせ破滅に追いやることもできなくはない。
    いろいろ手間はかかるがの。つまり、お前は最初からアレイスターの目的を果たすための隠れ蓑として利用されていたのだ」


オーレイ「クソッ! 何よ! だからこそ欲するんじゃない! オカルトの力を!」

新堂「……」

オーレイ「第三次世界大戦じゃアメリカは完全に蚊帳の外だった! こんなパワーバランスが認められるわけないじゃない!」

新堂「……冷戦を制し、幾度も大戦で本土を無傷で守り通しておきながら、まだ力を欲するか。大概にしておけ」

オーレイ「!」

新堂「私に言わせればオカルト抜きで世界の軍事面のトップに立っている方がよっぽど脅威的だ。先進各国も同じ考えだと思うがの」

オーレイ「……」

新堂「……初心を思い出せオーレイ。泥まみれになって私の影を追いかけていた頃の方がもっといい目をしていたぞ?」

オーレイ「………クソッ」

今回はここまでです。
正直このみさきちが書きたくてこのSSを書き始めたと言っても過言ではない。

レスありがとうございます。
ぶっちゃけ765プロは原石の集まりだと思ってます。じゃなきゃ貴音みたいな魔術師か能力者。


今思ったけどこのみさきちって声優ネタになるんですね
全然気付かなかった……

乙です

食蜂「ミサキの名前は食蜂操祈、14歳だよ本当だよ☆」

御坂「…はい?」

食蜂「ヒンソーでチンチクリンな私が御坂さんより目立ってごめんなさいねえ」

御坂「あんた喧嘩売ってるんでしょ?喧嘩売ってんのよね?」

こうですかわかりますん


-18:55、第七学区ライブ会場ステージ



律子「うぇぇ、よかった……みんな、みんな無事でよかった~……」ウワーン

あずさ「あ、あらあら、どうしたんですか? 律子さん」

律子「うぅ、あずささ~ん」ダキッ

あずさ「あら? うふふ、あらあら」ナデナデ


小鳥「一体どこ行ってたんですか!? 連絡つかなくてみんな心配してたんですよ!?」

P「す、すいませんでした。ちょっと電波の届かないところにいて……」

小鳥「ここ学園都市ですよ!? どこにそんな場所があるんですか!」

P「い、イヤ、それが俺もよく分からなくて……」

小鳥「パニック状態の律子さんをなだめるのにどれだけ苦労したと思ってるんですか!
    それでプロデューサーさんに電話してつながらなかったらまたパニックになるし!
    おかげさまでこの世の天国だったじゃないですか! 本当にありがとうございます!」

P「面目な……え?」


吹寄「……何もできなかったわ。私もまだまだね」

青ピ「あないな状況でなんかできる方がおかしいで? まぁボクはたっぷり桃源郷を満喫できたさかいええけど」

吹寄「わ、忘れなさい!」

青ピ「嫌に決まっとるやんか。アイドルと一緒に泣きじゃくるクラスメイトなんてレア映像すぎるやん」



佐天「え、えと、星井美希さんですよね?」

美希「? そうだよ?」

佐天「はじめまして! 佐天涙子って言います! 美希さんのファンなんです!」

美希「アハッ☆ ありがとー。嬉しいの」

佐天「美希さんのファッションセンスに憧れてるんです! こないだの私服特集で履いてたデニムもスッゴくカッコよくて!」

美希「ふふん、ミキのセンスが分かるなんてなかなかやるの。
    まー、ミキを越えるファッションセンスの持ち主なんていくら学園都市でも……」

初春「あ、佐天さんこんなところにいたんですね」トテテ

美希「」

佐天「あ、初春」

初春「あれ? 星井美希さんですか? どうもはじめまして」ペコリ

美希「……学園都市パネェの……」

佐天「へ?」

初春「はい?」



上条「つまりですね、上条さんの右手には【幻想殺し】という力が宿っておりまして……」

貴音「いまじんぶれいかぁ? それが私の術式を破壊したと?」

上条「ええ、そういうことですはい。というか俺的には貴音さんが魔術と関わっていることに驚きを隠せないんですが……」

貴音「四条の家は古都の中でも古き家ですので。あの程度の術式は幼少の頃に修めております」

上条「へー。イヤ、でも古い家なのと魔術を覚えるのとなんの関係が……?」

貴音「ふふ、それはとっぷしーくれっとです」

上条「生とっぷしーくれっといただきましたー! ありがとうございます!」




フレメア「いたぞ! あそこだ! にゃあ!」タタタ

打ち止め「突撃ー! 響ちゃーん! ってミサカはミサカは猪突猛進!」タタタ

響「ん? 自分のこと呼んだか?」

フレメア「うん! 大体はじめまして! 今日は勝負を申し込みにきたの!」

響「え? 勝負?」

打ち止め「響ちゃんと私たち! どっちがブリーダーとして優れているか勝負したいんだ!
      ってミサカはミサカはタイミングもわきまえず声高らかに宣戦布告をしてみる!」

響「へー、かまわないぞ! 自分はいつでも受けて立つさー!」

フレメア「さすが響ちゃん! あ、ちょうど来た!」

垣根「お待たせしました。今回のライブに関係する外部の人間は全員安全を確保しました」バサリ

響「あ、昼間の人」

打ち止め「ありがとう! いきなりで悪いんだけどフォルムチェンジして、ってミサカはミサカは誠心誠意お願いしてみる!」

垣根「はい。分かりました」ギュルルルル

響「うわっ!? な、なんだ!? 身体がぐにゃぐにゃになって……」

カブトムシ05「お待たせしました」キシキシ

響「」

フレメア「さあ響ちゃん!」

打ち止め「私たちに勝てるかな!? ってミサカはミサカは胸を張ってみる」フンス

響「じ、自分さすがに甲虫は専門外さー!」



真「雪歩! 大丈夫だった!?」

雪歩「あっ! 真ちゃん! 大丈夫、ケガはないよ!」

真「よかった……。ごめんね雪歩。学園都市ではボクが守るって言ったのに……」

雪歩「ううん。真ちゃんだって怖い目に遭ってたんだし……」

一方通行「あのォ」

雪歩「ひっ」ビクッ

真「雪歩?」

雪歩「」ガクガクガクガクガクガク

一方通行「(´,,・ω・,,`)」ショボン

真「? ?」ポカン

番外個体「アヒャ、どんだけ怯えられてんのさ第一位。まー、さっきのテンションの後で行ったら当たり前だけどね」

一方通行「うるせェ……」

番外個体「あーあーしおらしい第一位とか似合わないし気持ち悪いしやめてよね。慰めてあげようか?」

一方通行「………あァ、頼む」

番外個体「ふぇ!?」ボンッ




千早「あの……」

やよい「千早さーん……」ギュー

春香「千早ちゃーん……」ギュー

千早「二人に抱きつかれたら動けないのだけど……」


横須賀「orz」ズーン…

削板「おい、何があったんだ? こいつがここまで落ち込むなんてなかなかないぞ?」

原谷「えーと、状況と外見が悪かったと言いますか……」

削板「?」

やよい「はっ! そうでした! 忘れてました!」タタタ

横須賀「え?」

やよい「助けてくれてありがとうございました! とーっても助かりました!」

横須賀「お、おお。」

やよい「最初は怖い人だと思ってたけど、本当はスゴくいい人でした! 恐がってしまって申し訳ないですー……」

横須賀「ああ、イヤ、いいんだ。みんな助かったしそれでいい。」

やよい「! うっうー! ありがとうございまーす! じゃあみんな無事だったので!」スッ

横須賀「! よし!」スッ

やよい「はい!」

横須賀「たーっち!」パン!

やよ須賀「「いぇい!」」

千早(かわいい)

原谷(横須賀さん身長差ありすぎてハイタッチになってないんですが……)




亜美「ね→ね→黒子っちー」

白井「く、黒子っち?」

真美「さっきのやってよ→。テレポーテーション」

白井「はあ……ですが、原則として校外で無闇に能力を使うことは禁じられておりまして……」

亜美「えー! いいじゃん! 減るもんじゃないし!」

白井「ですからそういう問題では……」

真美「なんだよなんだよ! お嬢様のクセにドケチ!」

白井「ド……!? ……分かりましたの。そこまで言うのであれば」ポン

亜美「お? さすが黒子っち!」

真美「亜美と真美一緒にできるの!?」

白井「130kg以内でしたらいくらでもできますの。せっかくですのでたっぷり味わってくださいな」


シュン


亜美「おお!」


シュン


真美「おお!」


シュン シュン シュン


亜美真美「「おおおおおお!!」」


シュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュン


亜美「うわー! どこここ!?」

白井「ちょうど会場真上。地上350mですの」ヒューン

真美「うわー! 夜景キレイ! 風つよっ! さむっ!」ヒューン

亜美「よーし! ドンドン行こう!」ヒューン

白井「……」ヒューン

真美「アレ? 黒子っち?」ヒューン

白井「……マズいですの! エネルギー切れですの!」

亜美「エネルギー切れ!?」

真美「そんなのあるの!?」

白井「申し訳ありませんがこれ以上の転移は……」ヒューン

亜美「えええええええ!? 嘘っしょ!?」ヒューン

真美「ぎゃあああああ!! 落っこちて死ぬー!!」ヒューン




ヒュン


白井「……とまあ、このようにどのような高さから落下しても転移に成功すればそれまでの運動エネルギーは消失しますの」スタッ

亜美「」

白井「以上、私白井黒子による簡単な【空間移動】の体験講座でしたの。11次元演算などの座学はまた後日……」

真美「」

白井「……少々やりすぎましたの」テヘペロ♪




新堂「いやはや、お待たせしました。伊織お嬢様」

伊織「新堂!? アンタ今までどこ行ってたのよ!」

新堂「少々旧友に説教をして参りました。どのようなチカラも大きくなると御し難いものです」

伊織「……そう。でも、この伊織ちゃんの窮地に駆け付けなかった罰よ。向こう一週間は常に私の言うことを聞くこと。いいわね?」

新堂「はっ。いつも通り仕えさせていただきます」


婚后「まあ、新堂さん。お久しぶりです。覚えておりますでしょうか?」

新堂「おお、これは婚后光子様。お美しうなられましたな」

婚后「ふふ、ありがとうございます。しかしこの程度の美貌は婚后家の者ならば当然のことですわ」

伊織「む」カチン

新堂「それにそちらは旅掛殿のご息女ですかな?」

御坂「へ? パpじゃなくて父のことを知ってるんですか?」

新堂「旧い仲です。貴女にも会ったことがあるのですが覚えておられないでしょう。まだ生まれて間もない頃でしたから」

御坂「はあ……」

婚后「それで、あの、水瀬さん」

伊織「なによ」ムスッ

婚后「……その節は大変失礼いたしました」

伊織「はあ? どの節よ」

御坂(何この伊織ちゃん怖い)

婚后「幼稚園の頃、私はあなたに無礼な態度を幾度もとってしまい……」

伊織「…………そう言えばそんなこともあったわね」

婚后「本当に申し訳ありませんでした。いつか直接お詫びしようと考えておりましたので……」

伊織「別にいいわよそんなこと。気にしてないわ」

婚后「! 本当ですか!?」

伊織「ええ」

婚后「で、では、ファンレターなどをお書きしても?」

伊織「ファンレターって……はぁ、新堂」

新堂「はっ。光子様、これを」スッ

婚后「これは……住所ですか?」

伊織「私の家のよ。私まだ自分専用の端末なんて持ってないから。でも文通くらいならできるでしょ?」

婚后「! よ、よろしいのですか!?」

伊織「にひひっ♪ 当然じゃない。友達でしょう?」

御坂(何この伊織ちゃんかわいい)




土御門(おい、【心理掌握】)ヒソヒソ

食蜂(? 何かしらぁ? 声を落として話しかけてくるってことは大抵悪いことでしょうけど)ヒソヒソ

土御門(765プロの連中から今回の件の記憶を消せ。報酬はお前の言い分でいい)

食蜂(嫌よ)

土御門(なに?)

食蜂(そんなことしたら私と真王子の運命力に導かれた出会いまで消さないといけないじゃない)

土御門(……じゃあ菊池真の記憶は消さなくていい。それ以外を消せ)

食蜂(い・や・よ! そんなことしたら真王子がキチガイ扱いされるじゃない! そんなの絶対に嫌!)

土御門(いい加減にしろ! このままだと学園都市は芸能界をはじめとして各方面からバッシングを受ける!
     おまけにアイドルたちはトラウマになって今後の活動に支障が出る! 彼女らの人生を大きく狂わせるぞ!)

食蜂(真王子はそんなにヤワな精神力してないわぁ。実際に触れたもの)

土御門(ひいては明日のライブも中止だ! こんなことがあったら延期にはならないだろう! 二度と765は学園都市に来ない!)

食蜂(……それも嫌。でも765プロの記憶をいじるのも嫌)

土御門(……分かった。最大限の譲歩だ。……………で、どうだ?)

食蜂(それなら……でも、100%はムリよぉ?)

土御門(かまわん。目星はついてる)

食蜂(そう。ならいいわ。あなたの準備は?)

土御門(この展開も想定してある。タイミングは分かるな?)

食蜂(そのくらいの理解力はあるゾ☆)




土御門『あー、あー、マイクテスマイクテス。皆さん無事揃いましたかにゃー?』


青ピ「ん? アイツ1人だけ客席で何しとんねん」

吹寄「土御門!? なに勝手にマイクとライト使ってんのよ!」


土御門『各々方、言いたいことやりたいこといろいろあるでしょう! ですがまずは私に今回の件について説明させてください!』


響「説明?」

やよい「どういうことですかー?」


土御門『さあ、ステージ上にお集まりの皆さん!! 反対側を向いてステージのモニターにご注目ください!!』











             ド  ッ  キ  リ

            大 ☆ 成 ☆ 功 !!









食蜂〔えいっ〕ピッ

学園都市勢「「「!」」」ビクン




春香「…………えっ?」

千早「ドッキリ……?」

亜美「うぇえええええええええ!?」

真美「ドッキリ!? どこから!?」

土御門『はっはっはー!! 最初っからだにゃー!!』

やよい「はわっ!? そうだったんですか!?」

響「ええええええええええ!? だ、だってハム蔵が助けを呼んできたんだぞ!?」

ハム蔵「ジュイ! ジュイ!」コクコク

食蜂「ふふ、ハムちゃんが来そうなところで待ち伏せしてたんだゾ☆」



真「ど、どうしよう! ボク本気であの人たちに正拳突きしちゃったよ!?」


土御門『なお!! 今回のエキストラたちは学園都市での訓練のもと特殊な身体を作り上げておりますので全員ピンピンしておりますたい!!』


伊織「特殊って……電撃で黒焦げじゃなかったかしら?」

雪歩「あ、あの人たちも? 再起不能みたいだったけど……」

美希「あんなのドッキリに決まってるの。ミキは最初から気付いてたよ?」


土御門『ちなみに三浦さんと四条さんにつきましてはドッキリを仕掛けようにもこちらで捕捉することがかなわず、このような結果になりました!』


あずさ「あらあら、もしかして私みんなに迷惑をかけてたのかしら?」

貴音「……つまり、どっきりが成り立たぬ故にいまじんぶれいかぁを使われた、というのですか? しかし私とは接触できてましたし……」

新堂「……ほう、それがアレイスターのやり方か。若造」


律子「プロデューサー殿!? 私こんな企画があるなんて一言も聞いてませんよ!?」

P「俺だって何がなんだか……?」

土御門「」ギロリ

P「! くっ……イヤ、今回は律子もアイドル枠だったからな。知らせるわけにいかなかったんだ」

律子「な、な、もう! 私がどれだけ心配したと思ってるんですか!」

小鳥「てゆーかなんで私にまで黙ってたんですか!?」

P「ば、万全を期してです」




削板「ん? そうだったのか?」

横須賀「事前に散々打ち合わせしただろう。」

原谷「まー削板さんそん時筋トレしながらでしたから」

削板「???」



一方通行「ったくよォ、なンだって協力してやったのに雪歩たンに嫌われなきゃなンねンだ」

番外個体「ま、必死こいてる第一位は笑い者だったけどね」



吹寄「あぁ、円盤の特典映像のための企画とはいえ、秋月さんをあんなに不安にさせてしまうなんて……」

青ピ「しゃあないやん、結果として最大規模のドッキリも無事に大成功やし」



フレメア「イエーイ!」パン

打ち止め「ドッキリ大成功ー! ってミサカはミサカはハイタッチ!」パン

垣根「……ふふ、よかったですね」ニコニコ



食蜂(第七位さんにはこんな大雑把なやり方じゃ効かないけど周りも含めて馬鹿だから大丈夫。
    反射を切ってる第一位さんにはちゃんと効いてる。第二位さんは空気読んでくれてる。やっぱり問題なのは……)


上条「え? イヤ、俺はそんな話は一度も……。おい、土御門! どういうことだ!?」



佐天「えへへ! ここまで大規模なドッキリが成功すると気持ちいいですね」

初春「ちょっと申し訳ない気もしますけど……」

白井「いいえ。この手のものは中途半端にやるとシラけてしまいますもの」

婚后「ええ。おかげで水瀬さんとお会いできましたし、清々しい気分ですわ」

御坂「っつー……、ちょっと食蜂。どういうつもりよ」ギロッ


土御門(カミやんと【超電磁砲】か……)

食蜂「」チラッ

土御門「」コクッ



土御門「カミやんちょっと来てくれ」

上条「なんだよ! この状況ちゃんと説明してくれるんだよな!?」

土御門(いいか? ここで今回の事件をありのまま話したらどうなると思う?)ヒソヒソ

上条(……そりゃ良くはなんないだろうけどさ、だからってこんな形で騙していいのかよ)ヒソヒソ

土御門(いいかカミやん。今回の敵の目的は鳴護アリサの時と同じ術式が狙いだったんだ。それをアイドル自身が知ったらどうなると思う?)

上条(! ……でも、それはそれでいいんじゃないのか? 自分にどんな力があるのか自覚してもらった方が……)

土御門(本来なら特殊な条件が揃わなければこんな術式は使えないんだ。
     じゃなかったら地球はもう何回爆発してるか分からん。無駄にトラウマを植え付けるよりマシだろう)

上条(でもよ……)

土御門(彼女たちはアイドルだ。お前みたいなヒーローじゃない。血生臭い話には慣れてないんだ。
     それに下手すればちょっと前までカミやんがいた世界に彼女たちを送りこむことにもなりうるぞ)

上条(……なんかスッキリしねーけど……分かったよ。話さなければいいんだろ)



食蜂(御坂さんちょっといい?)コソコソ

御坂(ええ。納得のいく説明をしてもらおうじゃないの)

食蜂(そんな怖い顔しないでよぉ。私だって不本意なんだから)

御坂(不本意? アンタが無理矢理動かされてるっての?)

食蜂(無理矢理じゃなくて仕方なくが正しいわねぇ。今回の件に巻き込まれたアイドルの精神状態、だいたい分かるでしょ?)

御坂(それとこれとどう関係あんのよ)

食蜂(今後のアイドル活動力と明日のライブに。御坂さんの好きないおりんも確実に対男性と少人数での外出がトラウマになってるわ)

御坂(え!?)

食蜂(でも、今なら事後処理でどうとでもなるのよねぇ。幸い身体的外傷はないしぃ。
    『アレは全部虚構で安全が約束されたものです』ってなればかなり軽いトラウマで済むわ。
     私の派閥の人間を1人派遣すれば一晩で癒せるくらいに。精々が苦い思い出力になるくらいだゾ☆)

御坂(……)

食蜂(ざっと見積もっても過半数はトラウマ持ちになってるわぁ。
    それを優しい嘘で包み込んであげれば今後も支障なく活動できるって話)

御坂(……分かったわよ。その変わりこの場をやり過ごしたら能力を解きなさいよ)

食蜂(それは私より上条さんに頼んだ方が確実だゾ☆)



食蜂「……当座はこんなもので十分かしらぁ?」

土御門「あぁ、上々だ」

食蜂「ただ、問題は第一位さんねぇ。Level5の『自分だけの現実』じゃ洗脳力の類いは長くもたないわぁ」

土御門「かまわん。あとでなんとかする」



土御門『では、765プロのみなさん! 我々から手荒い歓迎会はここまでです! 正面入口に送迎のバスが来ております!
     本日はお疲れでしょうからゆったりと疲れを癒してください! ホテルではドッキリなしの快適な空間をお約束いたします! それでは解散!』


 ゼンゼンキヅカナカッタ- ジブンノトコビルクズレテタゾ
   デモオモイカエシテミレバタノシカッタカモ プロデューサーワカッテマスヨネ?
  ウッウーゴハンタノシミデスー ハラゴシラエヲシテカラカンガエルトシマショウ ハヤクネタイノ


土御門『協力してくれた学生諸君! 迫真の演技をありがとう!
     キミたちの活躍は編集して特典映像として売り出すぜよ! 明日のライブも思い切り楽しめ! 以上、解散!』


   ナアイツノハナシダ? ダイブマエデスヨ
  コノアトゴハンタベニイカヘン? オ、イクイク アキツキサンスイマセンデシタ
 オネエサマナンノハナシヲシテオリマシタノ?  カミジヨーサンガラミデスカ? チガウワヨ!




土御門「よし、行くぞ」ガシッ

食蜂「え? どこに?」

土御門「警備員各所と報道機関と学園都市上層部だな。向こうは事実通り本物の事件として動いているんだ」

食蜂「ちょ、ダメよ! 私これから派閥のみんなでコールの練習するんだからぁ!」

土御門「どのみち外部に漏れたらアウトだしこのままなら警備員がライブなど許さない。交渉と改ざんでドッキリを事実にするしかない」

食蜂「」

土御門「なに、上層部の連中は俺が交渉する。お前にはタクシーもつけてやるよ。上手く行けば日付が変わる前には終わるだろうよ」ポパピプペ

食蜂「……なによぉ……完全にハメられてるじゃない……」

土御門「なにも関わった連中の記憶を全部改ざんしろってわけじゃない。上役数人と実行部隊に限ればそれで十分だ。
     おう結標。ちょっと今からバイトしないか? 深夜割増にしてやるよ。なに? テレビに876が出る? どうせ録画してるだろ」

食蜂「……~~っ、ああもぉ貸して!」グイッ

土御門「うおっ!?」

食蜂「ちょっとムスジメさん!? なんでもいいから〔とっとと来なさい!〕」



シュン


結標「お待たせ。行きましょう」

食蜂「あぁ【空間移動】系能力者だったの。無駄な労力使わなくてすみそうねぇ」

土御門「……何したんだ?」

食蜂「リモコンの電波の代わりにケータイの電波使っただけよ」

土御門「そんなこともできんのか……」

食蜂「知らないわよ。今はじめてやったんだし。こぉなったら絶対2時間以内には終わらせてやるわ!」




-21:30、第三学区エタノール工場跡



スキルアウト「なあ、俺たちはドッキリのために何ヵ月も前から動いてたのか?」

下っぱ「分かんねっス」

スキルアウト「本気でドッキリで浜面と半蔵を呼び戻そうとしてたのか?」

下っぱA「分かんねっス」

スキルアウト「なんでドッキリのために見つかったらマズい武器を実弾入りで露出させてたんだ?」

下っぱB「分かんねっス」

スキルアウト「なんでドッキリなのにアイドルたちに駒場さんのこと話したんだ?」

下っぱC「分かんねっス」

スキルアウト「なんで兄さんたちは別件で全員捕まってんだ?」

下っぱD「分かんねっス」

スキルアウト「なんでドッキリなのにアジト壊された挙げ句全員ガチでボコられたんだ?」

下っぱE「分かんねっス」

スキルアウト「分かんねっスじゃねーだろーがよ!! なんだこりゃどういうことだよ!!」

下っぱ「分かんねっス」

スキルアウト「うるせー!!」

下っぱA「つっても自分でも分かってないじゃないスか」

スキルアウト「…………それなんだよなぁ。さっきの常盤台のヤツになんかされたのか?」

下っぱB「分かんねっス」

スキルアウト「……」




???「あ、よかったまだいた」

スキルアウト「あん?」

春香「えへへ、さっきはどうも」

下っぱ「うおっ!? 天海春香!?」

下っぱA「ヤベー。なんでこんなとこいんの?」

春香「ちょっとホテル抜けて来ちゃいました。この近くのホテル泊まってるんですよ、私たち」

スキルアウト「………あー、なんだ、さっきは悪かったな」

春香「ホントですよ! 私もやよいも本気で泣いちゃったじゃないですか!」プンスカ

下っぱB「あー、アレ可愛かったなぁ」

下っぱC「その点如月千早はアレだよな、カッコよかった」

下っぱD「分かる分かる! 普通あんな状況で自分を犠牲になんてできねーよ! 正直濡れた!」

下っぱE「キメーwww」



スキルアウト「……で? わざわざ恨み言吐くためにこんなとこまで来たのか?」

春香「私はそんなに陰湿じゃありません!」

下っぱ「じゃ、何しに?」

春香「明日のライブのお誘いです。みなさんチケット持ってます?」

下っぱA「んにゃ、俺らそんなのに回す金なかったし」

春香「じゃあ明日受付のところで『天海春香の招待です』って言ってください! そうすればフリーパスですよ! フリーパス!」

下っぱB「うおっ!? マジで!?」

春香「マジです!」

下っぱC「スゲー! 俺らめちゃくちゃラッキーじゃん!」



スキルアウト「待てよ、なんでそんなコトすんだ?」

春香「……あなた達、役者さんじゃなくて本物ですよね?」

下っぱD「本物のDQNですかって? ハイそうですよw」

春香「それで……あの話も実話ですよね?」

下っぱE「……駒場さんと浜面さんの? ああ、実話だよ。なんで分かったの?」

春香「えへへ、これでもアイドルとしていろんな人を見てきたので……。自分の信念を言ってるかどうか見分けるくらいならなんとか」

スキルアウト「……そーゆーの才能っつーんだろーな。うらやましいこって。
        で? それと俺たちがタダでライブ行けるのとなんの関係があんだよ」

春香「それはですね、明日のお楽しみです!」

スキルアウト「は?」

春香「えへへ、じゃあ私はこれで! おやすみなさい!」タタタ

下っぱ「あ、おい!」

下っぱA「……行っちゃったっス」

スキルアウト「……わっけわかんねー……」



今回はここまでです。
なんとか9月中に終わらせたい。


レスありがとうございます。
ネウロクロス書いてた時もそうだけど、クロスになるとレスのやりとりが秀逸になりますねw
ただ言わせてもらいたい。貧乳の何がいけないんだ、と。千早が何をしたんだ、と。


バレンティンとマーさんが覚醒しすぎてご飯がおいしいです。
おめでとうございます。


-3月19日、17:45第七学区ライブ会場控え室



<ドタドタドタドタ


亜美「スッゴいよ兄ちゃん! めちゃくちゃ人いっぱい!」バタン!

真美「前にみんなでオールスターライブやった時より多いYO!」

P「チケット全部売れたらしいからな。そのくらいはいるさ」

雪歩「うぅ、ちょっと緊張してきた……」

真「大丈夫大丈夫。ステージに立っちゃえばそんなの吹っ飛ぶよ!」

あずさ「なんだかんだで本番に強いのが雪歩ちゃんだものねぇ」

伊織「観客なんて多い方がやりがいがあるわよ。昨日散々やられた分やり返してあげるんだから!」

律子「当然。倍返しよ」クイッ

響「あはは、それなら自分もやってやるさー!」


千早「美希、何を食べてるの?」

美希「おにぎりなの! ハニーからライブは体力使うからやる前に食べていいって言われたの。 あ、春香いる? 約束のおにぎり」モグモグ

春香「え? ……ば、ババロアおにぎり……今はパスしようかな」

やよい「あ、じゃあ私いただきますー!」

貴音「ふむ。ならばあなた様、私もらいぶの前にらぁめんを……」

P「食べていいのは軽食だけ」

貴音「あなた様はいけずです……」シュン




<本番5分前です! 765さん準備お願いしまーす!


P「はーい! うし! 頑張れよお前ら! 音無さんと社長も円盤楽しみにしてるからな!」

やよい「うっうー! いっぱいいーっぱい! がんばりまーす!」ガルーン

亜美「はるるんアレやろーよ!」

真美「円陣円陣!」

春香「あ、いいね! やろうやろう! みんな肩組んで!」

響「よーし! ほら雪歩!」ガシッ

雪歩「うん! あずささんも!」ガシッ

あずさ「うふふ、ありがとう」

美希「ハニーも!」グイッ

P「お、俺も?」


律子「よし、みんな準備はいいわね?」

貴音「万全です」

真「ドッキリの後遺症はない?」チラッ

伊織「なんで私の方見んのよ! 向こうも向こうでケアの人間よこしてくれたし平気よ」

千早「みんな大丈夫そうね。……春香、時間がないわ」

春香「うん。よーしみんな! 精一杯盛り上げていくよ! 765プロー!!」

「「「「「ファイヤー!!!」」」」」




-18:00、ライブ会場ステージ


              ザワザワ ザワザワ

            ガヤガヤ ガヤガヤ



<フッ



            ! クルゾ オッ



千早「ARE YOU READY」

雪歩「I'M LADY」

貴音「はーじめっよぉーう♪」

やよい「やればできれぅー」

亜美「きっとー」

真美「ぜったーいー」

美希「私No'1!!」


パァン!!!

ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!


真「765プロオールスターライブ!!」

あずさ「IN'学園都市!!」

伊織「みんなたっぷり楽しんでってねっ☆」

春香「いっくよー!!」


オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!





千早「すべてー燃えて灰になれ!」

千早「それがーこの世の自由か!」

千早「貴方が微笑むなら 愛じゃ、なくてもー♪」

千早「愛してる……!!」


ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!

ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!


千早「きゃっ!?」ビクッ


なんだ!? インフェルノしたぞ!!
  なんか煙がカラフルじゃねーか!? 演出か!?
 よ、横須賀さ―――――――――――ん!!


千早「昨日の……? ふふっ、きてくれたのね」





美希「やさしさ欲しいと思ってる?」

貴音「やっぱアンタには高嶺の花ね♪」

響「心に響き渡らなくちゃ意味がないのよー!」


オイッ! オイッ! オイッ! オイッ! オイッ!

垣根「先日励まされた礼です。一助になれば」

オイッ! オイッ! オイッ! オイッ! オイッ!


貴美響「「「Thrillのない愛なんて! 興味あるわけないじゃない!」」」フワッ

貴美響「「「わかんないかなー♪」」」キラキラ


スゲー! なんだこれ!? 光に包まれてる!
オイッ!! オイッ!! オイッ!! オイッ!! オイッ!!
みんなちょっと浮いてねーか!? キラキラしてるぜ!





雪歩「みんなー!! 盛り上がってるー!?」


イエエエエエエエエエエエエエエイ!!


真「まだまだ! もっと声出してよ!」


イエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!


雪歩「もっともっとぉ!!」

真「ボクと雪歩に負けないくらい声出してよ!! いくよ!?」

雪真「「イエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!!」」


ッエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!!!

ズボアアアアアアアアアアアアアアア!!!

うおああああああああああああああああああ!?


真「うわぁ!? 何それ翼!? 天井に穴空いたよ!?」

雪歩「うふふ! いいよいいよぉ! 次もそのくらい盛り上がっていこう!! 私と真ちゃんで『Cosmos,Kosmos』!」


ッエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!!!

ブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンンブンブンブンブンブンブン!!

ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!??


真「わああ!? 屋根がボロボロに!? ちょ、雪歩! いいの!?」





真美「ケータイ取り出しポパピプペー♪」

真美「デートしてくれま・す・か?」


OK!!ぃ喜んで!!デートしてくれにゃー!!


真美「今度の土曜日 3日しかない♪」

真美「とにかくダイエーット 無茶は承知で♪」

真美「グロスを塗ーってー アヒルの練習☆」


フーッ!!真美たんかわいいにゃー!!
兄貴……? あっ





あ伊亜「「「全てを虹に変えたよ」」」

あ伊亜「「「どんなヨロコビもキミと分かちあえる♪」」」

伊織「はじめまして ボ・ク・に~」

あ伊亜「「「出会ってくれてありがとうー♪」」」




ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
  水瀬さーーん!! あずささーん結婚してくれーー!!
 亜美ちゃん愛してるでぇー!! 伊織ちゃん可愛いよぉー!!


亜美「いぇいいぇい! サンキュー学園都市!」

あずさ「うふふ、みんなまだまだ元気ねぇ」

伊織「みんなありがとう! でも、なんでこんなに応援してくれるのに昨日はあんなにヒドいことしたの?」


ゴメンね伊織ちゃーーん! 許してーー!
  オラ謝れバカども!! いおりんゴメンよーー!!
 土下座しろ土下座ー! 誠意が足りないのよ!


伊織「んー、どうしよっかなー?」


すいませんっしたああああああああああああああああああ!!!


伊織「にひひっ♪ じゃあ特別に許してあげちゃう☆」

 よっしゃああああああああああ!!
ありがとーーう!! いおりんマジ天使!!
  みんなすいませんっしたあ!
 

あずさ「うふふ、さすが伊織ちゃんね」

亜美「さらっと有言実行! そこに痺れる憧れるぅ!」






やよい「―――で、そしたら助けに来てくれた人がちょっと怖くて」

春香「やよいは悲鳴あげるし私はほとんど土下座しながら『やよいに手を出さないで!』って懇願するしで……」


ドッ!! アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!


律子「そんなコトになってたのね……今回の企画、私ノータッチだから誰がどんな目に遭ったのか全然知らないのよ」

やよい「でも! その人本当はとってもいい人でした!」

春香「律子さんはどうだったんですか?」

律子「わ、私? 私はその……とっぷしーくれっとよ」


えええええええええええええええええええ!?
  律っちゃん教えてよー! ズルいよー!
 いったい何があったんだーー!!


律子「ハイハイ! これ以上はネタバレになるから終了! 気になるならみんな円盤も買ってください!」


えええええええええええええええええええええええ!?
  チクショー買うしかねぇ!
 来月も赤字確定やんか!


春香「さすが律子さん! 抜け目ない!」

やよい「うっうー! じゃあみなさんが元気の出る歌をやりましょー!
     私と春香さんと律子さんの3人で『キラメキラリ』ですー!」




-22:00、ライブ会場舞台袖



<アンコール!! オイッ!!

<アンコール!! うおお!!

<アンコール!! にゃー!!

<アンコール!! ッエーイ!!



響「あはは! スゴい体力だなー、みんなまだまだ声出てるぞ!」

あずさ「あらあら、もう何曲やったか分からないのに」

真美「負けてらんないっしょー兄ちゃん!」

美希「ここで退いたらアイドルがすたるの!」

春香「もう一曲いきましょう! もう一曲!」

P「よっしゃ! なら最後に思い切り盛り上げてこい! 律子! いけるな!?」

律子「当然です。ライブに出るってのにそんなヤワな身体作ってくるわけないじゃないですか!」

亜美「さっすが律っちゃん!」

雪歩「兼業アイドルの鑑ですぅ!」

P「じゃあラストに『CHANGE!!!!』だ!! 絶対ファンに負けるなよ!!」

真「へへっ、そうこなくっちゃ!」

伊織「ふん、やってやろうじゃないの!」

やよい「うっうー! 最後まで負けません!」

千早「さあ! 行きましょう!」

貴音「学園都市史上最高の1日にしてさしあげましょう!!」



<ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!






-3月20日、00:05第三学区エタノール工場跡



下っぱ「っはー!! 楽しかったーー!!」

下っぱA「ヤベーッス!! テンション上がりっぱなしッス!!」

下っぱB「ライブってあんなんなるんだな!! なんつーの? 一体感?」

下っぱC「そう! それ! ヤベー!」

下っぱD「俺たぶん人生で一番声出したわ!」

下っぱE「俺も俺も! 声ガラガラだもんよ! あ″ー、あ″ー」

スキルアウト「……騒がしいなお前ら」

下っぱ「何言ってんスか」

下っぱA「一番声出して飛び跳ねてたクセに」

スキルアウト「……ほっとけ。つーか別にお前らまで来なくてもよ」

下っぱB「1人だけ抜け駆けしようったってそうはいかねーッス!」

下っぱC「天海春香が来るかもしれないからいるんじゃないスか!」

スキルアウト「もう日付変わってんだぞ。来ない確率のがたけーっつーの」

下っぱD「言ってる自分が残ってちゃ説得力ないッスって!」

下っぱE「なんだったら24時間待ち続けますよ!」



???「ふっふっふ、そこまで期待されてるなら出るしかありませんねー」

スキルアウト「……」

下っぱ「おっ!? まさか!?」

下っぱA「その声は!?」

春香「じゃじゃーん! 呼ばれて飛び出て春香さんでーす!」

下っぱB「きたーー!!」

下っぱC「ホントにきたーー!!」

下っぱD「春香さんいらっしゃーい!!」

下っぱE「うおおおおおおおおおおおおおお!!」

春香「えへへ、ありがとうございます! ありがとうございます!」

スキルアウト「……歓迎しといてなんだけどよ、こんな時間にこんな所に出入りしていいのかよ。
        学園都市だってタチのわりー記者くらいいるんだぜ? 妙な噂立てられたら困るだろ?」

春香「その点はバッチリです。伊織の付き人で新堂さんって人がついてきてくれてますから」



春香「それで、みなさんちゃんとライブ来てくれました?」

下っぱ「もちろん!」

下っぱA「みんな最初から最後までハイテンションでさ!」

下っぱB「人生で一番楽しかった!」

下っぱC「人生で一番ジャンプした!」

下っぱD「人生で一番腕振った!」

下っぱE「人生で一番声だした!」

春香「やったあ! そう言ってもらえるなら大満足です!」



スキルアウト「……で、なんで俺らをタダで招待したんだ?」

春香「……分かりませんか?」

下っぱ「え?」

下っぱA「分かる?」

下っぱB「分かんね」

スキルアウト「言っとくけど俺ら基本的に馬鹿だからよ、
        ライブに籠められた意味だの隠れたメッセージだのを読み取るなんざできねーぞ?」

春香「……」



スキルアウト「でも、まあ、なんだ」

春香「?」

スキルアウト「……元気出た。ありがとな」

春香「……えへへっ、じゃあ私の目的は果たせました!」

下っぱC「へ?」

下っぱD「そのために呼んでくれたの?」

春香「はい! 元気のない人は元気にして、元気のある人はもっと元気にしてあげるのがアイドルですから!」

下っぱE「……天使や……」


春香「では、もう時間も時間なので! これからも私たちのこと応援してくださいね!」

スキルアウト「……ああ。もちろんだ!」

春香「えへへ、じゃあおやすみなさーい!」タタタ

下っぱ「おう! おやすみー!」

下っぱA「楽しかったぜー!」

下っぱB「絶対応援するぞー!」

下っぱC「また来てくれよー!」

下っぱD「待ってるからなー!」

下っぱE「本当にありがとー!」




下っぱ「……行っちゃったっスねー」

スキルアウト「ああ」

下っぱA「今さらだけど可愛いかったなー」

下っぱB「マジでな。天使だろアレ」

スキルアウト「……スゲーな、アイドルって」

下っぱC「そうッスねー。あんな身体細いのにあんな大勢の前で……」

スキルアウト「それだけじゃなくてよ」

下っぱD「はい?」

スキルアウト「アイツらがライブやるだけで全員が一緒になって飛び跳ねてたんだぜ?
        あの時間だけはLevel0もLevel5も一緒になってた。あの時間だけはなんの格差も差別もなかった」

下っぱE「……」

スキルアウト「俺らが望んでた世界を作ってたんだよ、アイドルが。スゲーよマジで。
        ……俺らもいつまでもウジウジしてらんねーな。あんなライブやられたらよ」



今回はここまでです。



次回、最終回


-3月31日、16:47 東京都765プロ事務所



P「よし、みんないるな」

千早「ええ。美希、起きなさい」

美希「ん~……あふぅ、ミキ今日はもう疲れたの……」

真「ところでなんでみんな集まったんですか?」

P「こないだの学園都市でのライブ映像が早くも完成してな。
   今日はこれからコイツを観ながらライブの反省会と特典映像の鑑賞会だ」

真美「おお! さすが学園都市! 仕事が早いですな~」

響「……いくらなんでも早すぎないか?」

P「向こうは学生だし、しかも今春休みでコレだけに集中できてたからな。
   前に個人個人にサンプル観て検閲してもらったのもかなり早かっただろ?」

雪歩「へぇー、なるほど……」

P「で、ウチの事務所に完成版のサンプルが届いたわけだ。一応社長からは先にOKもらってるし、最終チェックも兼ねてみんなで観よう」

伊織「……みんなで、ね。まあいいわよ」

律子「うー……」

やよい「? 2人ともどうしたんですかー?」

亜美「今はまだ触れちゃいけないYO、やよいっち」

小鳥「すぐに分かるから……」

P「ちなみに、コイツは学園都市の外でも一般販売するつもりだ。
   ライブは大成功だったし、向こうも超能力開発なんかのいい宣伝になるからぜひ、って言われたからな」

春香「なんだか楽しみだなー。忙しくて自分のところしか確認してないんだよね」

あずさ「じゃあ最初は特典映像の方からにしましょう?」

P「よしきた!」

貴音(……結局私の術式はどうなったのでしょうか? 土御門の者がいましたし大丈夫だとは思いますが……
    ……そもそも、ぷろでゅーさーは検閲の時に共に私の術式を見ても驚きもしませんでしたが……この方はいったい……?)




P(……結局、俺に関する映像はあずささんと合流したシーンだけ使われた。
   あの逆さま人間は編集と高度なCGでうまいこと合成されて映っていなかった)

P(土御門くんとはあの後も業務上何度か連絡を取っている。彼曰く、アレが最善の方法だったそうだ)

P(あの逆さま人間はいったい何者なのか、いったいどうやって俺の日誌を見たのか)

P(それとなく聞いてみたが、その瞬間に一気に雰囲気が変わった)

P(『この世界の闇に浸かる覚悟があるなら話してやる』……あんなドスの効いた声を出せる高1がいるとは思わなかった)

P(もちろん俺はそんな世界に浸かりたくないし、向こうもあの日誌をネタに
   強請りにきたり未来の事象を聞きにくる様子もないから、終わった案件として考えていいのだろう)

P(それに……この世界の闇なら過去の世界で少しだけ見てきた)



貴音「……? あなた様、なにか?」

P「イヤ、なんでもないよ」

貴音「ならばなぜ私の方をじっと見つめていたのですか?」

P「んー? ……貴音がウチにいてくれてよかったなーって、なんとなく感傷に浸っててな」

貴音「……ふふ、私もこのような居場所を得られて幸せです」

P「……ありがとう」

貴音「こちらこそ」


P(……あの世界での貴音は第三次世界大戦の渦に飲み込まれ、行方が知れなくなった)

P(身体を震わせて、目に涙を浮かべて、それでも一族の役目を果たすために俺と決別した貴音の姿は今でも忘れられない)

P(俺があの逆さま人間のことを突き止めようとして、この世界の闇に浸かったなら
   きっとみんなを巻き込むことになる。そんな世界はもうこりごりだ。なんのためにここにいるのか分からなくなる)



P(……それに、あの過去の日誌はもうほとんど当てにならない。俺が運命をねじ曲げすぎた)

P(それにウチのアイドルは今や全員がトップアイドルの域にいる。
   それはある意味メディアの頂点だ。彼女たちが世界に与える影響力は計り知れない)

P(もはや俺が経験した世界とは別の世界になっている。……アイツらもそれが分かってるんだろうな。
   というより、あの逆さま人間は本当に俺がどうやってリセットしたのかってコトにしか興味がなかったのか)

P(……いっそ日誌は処分すべきだろうか? 過去の経験値と今の彼女たちの実力があればどんな困難も乗り越えられる)

P(……イヤ、やっぱりとっておこう。自分の戒めのために)





真「うわ、伊織コレ本気で泣いてるじゃん。よくOK出したね」

伊織「うっさいわね。律子が自分の分もちゃんとOK出すから私もOK出せってしつこいから仕方なくよ」

春香「……いやぁ、コレは誰でも泣くよ。怖すぎ……」





真『……ボクだって本当は765に居たいんですよ。みんなと一緒に、ずっと……引き止めて、くださいよ……』

伊織『仕方ないじゃない。結果がすべてよ。そういう世界だってくらいあんたでも分かるでしょ? ……なによ……そんな顔、すんじゃないわよ……』

春香『えへへ、全部終わっちゃいました……もう、限界です。夢が見れなくなっちゃいましたから』






あずさ「あらあら」ニヨニヨ

亜美「ほっほーう」ニヨニヨ

律子「も、もう! 当然の反応でしょ! 本気で心配だったんだから!」





あずさ『ごめんなさい、私がしっかりしてればスキャンダルなんかには……ええ、本気なんです………ごめん、なさい』

亜美『んっと、さ、亜美たちもアイドルしてたかったんだけど……パパもママも結果が出ないなら勉強しろって……医者の娘だしね』

律子『……いつまでも凹んでられませんよ。新しいアイドルはすぐにだって……ごめんなさい、もう少しだけ、このまま……』






真美「うわー……」キラキラ

雪歩「千早ちゃんカッコいい……」キラキラ

千早「……ふふ、ありがとう。ちょっと照れるわね……」





真美『めっちゃ反対したんだよ? もうわんわん泣いて……でも、亜美も真美も医者になりたいって気持ちもあって……』

雪歩『……やっぱり、私は、ダメダメです……結局……なんにも……変わらないんですね……もう、嫌です……』

千早『……願ってもない条件なんです。……あなたが、765プロがあったから私はここまで来れた。でも、だから、私は……!』






やよい「はわっ!? こんなところまで撮れるんですか!?」

響「通気孔を通って脱出してるハム蔵……学園都市ってどうなってんだ?」

貴音「面妖な……」





やよい『……ごめんなさい、プロデューサーさん。トップアイドルになれなくて、ごめんなさい……』

響『だって、だってこうでもしなきゃ! みんな死んじゃうんだよ! 自分なら大丈夫だから! それよりもみんなが!』

貴音『申し訳ありません、あなた様。ですが、栓なきことです……あなた様、勇気を、ください』






美希「やっぱり真クンかっこいいの!」

小鳥「わ、わ、ビルが……! スゴい迫力……!」





美希『それはおかしいの。ミキの身体はミキのモノなの。ハニーのせいって言うのはおかしいと思うな。……だから、泣かないで?』

小鳥『……あの頃のコたちはみんないなくなっちゃいましたね……。みんな、泣きながら……。ごめんなさい……大丈夫、私はずっといますよ?』









P(……もう二度とあんな思いをさせないために。この笑顔を守っていくために。あの日誌は戒めとして残しておこう)





-19:05、学園都市第七学区『窓のないビル』



アレイスター「おや」


<ヒュン


結標「」

食蜂「アレイスター!? ア――――レイスタ――――――!!!」ツカツカツカツカ

アレイスター「はじめまして、食蜂操祈」

食蜂「ええどうもはじめまして! それでいったいコレはどういうつもりかしらぁ!?」

アレイスター「はて?」

食蜂「とぼけるなぁ! この特典映像! なんで私のところなんの編集もないのよぉ!」バンバン

アレイスター「必要か?」

食蜂「こんなんじゃ私のイメージが総崩れでしょうがぁ! しかもなんか御坂さんはカッコいい感じだしぃ! 〔再編集しなさい!〕」ピッ

アレイスター「……これでも超能力開発を主導している長だ。対策は万全だ」

食蜂「きぃぃぃぃぃぃ!! なんなのよぉ!!」

アレイスター「……先ほども言ったが編集など必要か?
        『常盤台の女王』の意外な一面。派閥の人間も自分の女王に人間味を感じて安心するだろう」

食蜂「そんなの望んでないわよぉ!」

アレイスター「『常盤台の女王』が率先してドッキリ企画に貢献したとなれば周りの評価も」

食蜂「大暴落でしょうがぁ!!」ダンダン


アレイスター「……【心理掌握】、キミは重大なコトを見落としている」

食蜂「なによぉ! そんなのあるわけ」

アレイスター「菊地真の前では誰でもああなるだろう?」

食蜂「!」ピタリ

アレイスター「菊地真とは『常盤台の女王』がああなるほどの魅力があるアイドルだろう?」

食蜂「!!」ハッ

アレイスター「今回の特典映像は菊地真という存在の絶大さを知らしめるいい機会だ。違うか?」

食蜂「……でもぉ」

アレイスター「……よろしい、私も切り札を出そう」

食蜂「?」

アレイスター「私が今回どうやって事件の一連を撮影したかは知ってるな?」

食蜂「【滞空回線】でしょう? そんなもの学園都市にばらまいてるのは癇に触るけど」

アレイスター「それを駆使してライブの翌日の765プロの観光シーンを静止画で撮影し、写真集にした」

食蜂「!」ピクリ

アレイスター「各アイドルごとに一冊ずつ製本した。当然、菊地真の分も」

食蜂「……と、取り引きのつもり? そんなもので……」ピクピク

アレイスター「ちなみに袋綴じの内容は『フリフリの服を嬉々として試着する菊地真』
        『自信満々で披露するも萩原雪歩と星井美希にダメだしされて凹む菊地真』
         『しかし時間差で我那覇響とプロデューサーに褒められてご満悦の菊地まk

食蜂「一生ついていくわアレイスター」キリッ

アレイスター「すでに郵送済みだ。本人が受け取った方がいいだろう」




<シュン



アレイスター「……さて」

アレイスター「イヤ……ふむ」


<CALL SOUND ONLY
< 高木 順二郎


アレイスター「……私だ」

順二郎『いやぁアレイスター! 元気かね!』

アレイスター「まずまずだ」

順二郎『はっはっは! 相変わらず電話越しでもいい声だ!
     どうだい! いつまでもそんなところでひっくり返ってないで私と共にアイドルを』

アレイスター「断る」

順二郎『キミなら絶対トップアイドルに』

アレイスター「断る」

順二郎『つれないなぁ。せっかくの才能を無駄にしてるよキミィ』

アレイスター「用件はなんだ?」

順二郎『2つほどあってね。まずは765プロの社長としてキミをアイドルとしてスカウt

アレイスター「断る」

順二郎『つれないなぁ』


アレイスター「もう1つは?」

順二郎『765プロの社長として学園都市にクレームだよ。よくもウチのアイドルを危険な目に遭わせてくれたね』

アレイスター「……アレはドッキリ企画のはずだが?」

順二郎『私の目は誤魔化せないよキミィ。如月君たちのところは完全に実弾を使っていたし、
     我那覇君たちのところに至っては明らかに魔術師のテロリストじゃないか。術式がロシア系統とくれば察しはつく』

アレイスター「アイドルたちにはなんの危害もないコトは明白だった」

順二郎『万が一という場合もあった。現に今のキミは展開を完璧には読み切れていない。違うか?』

アレイスター「……何が望みだ?」

順二郎『話が早くて助かるよキミィ。まずは学園都市からの正式な詫び状。それとある人物を5人ほど貸してほしい』

アレイスター「ほう……?」

順二郎『実はウチの事務所は裏方不足でね。こんな状況を続けていたら近いウチに崩壊する。
     しかしなかなか裏方でティンとくる人間がいなくてねぇ。そんな折、特典映像を見ていたらティンとくる人間がいたのだよ』

アレイスター「……なるほど」


順二郎『なにもウチに永久就職させるつもりはないし、アイドルとして表舞台に立たせるつもりはない。彼が望むならその限りではないが』

アレイスター「……いいだろう。そいつに詫び状を持たせ、今日中に向かわせる」

順二郎『はっはっは! いやぁ話が分かる! キミもとっとと『プラン』を終わらせたまえ!』

アレイスター「……『プラン』を知っていてなお、応援するのはあなたくらいのものだ」

順二郎『何を言ってるんだね。私は『プラン』が成功しようが失敗しようがどちらでもいい。終わらせろと言ったんだ』

アレイスター「なに?」

順二郎『私の野望は『プラン』が終わってやることのなくなったキミをアイドルにすることだからな!』

アレイスター「……あなたは『プラン』が何か覚えていないのか?」

順二郎『どんな世界でもアイドルは不滅だよキミィ。それでは、詫び状と彼の到着を心待ちにしているよ』




-4月1日、8:45 東京都765プロ事務所



P「みんなおはよう!」


<おはようございまーす!


P「よし、じゃあ今から月初めの定例会だ。今月もバンバン働くぞ!」

やよい「うっうー! 今月もがんばりまーす!」

真「へへっ、どんな仕事もこなしてみせますよ!」

P「ああ、頼もしいな。じゃあ、まずは社長のあいさつから。社長、お願いします」


順二郎「ぅおっほん! あー、みんな昨年度はよく頑張ってくれた。まさかIA大賞でタイトルを総なめできるとは思わなかったよ」

響「ふっふーん! 自分たちは完璧だからな!」

美希「いっぱいキラキラできたから当然なの!」

順二郎「だが、一方で裏方の3人にはとんでもない量の仕事を負わせてしまった。これもひとえに私の力不足だ。本当にすまなかった」

小鳥「い、いえいえそんな……」

律子「たしかにキツかったけどなんやかんやで楽しかったし……」

P「みんなが頑張ってくれたおかげで残業代もちゃんと出ましたから」

順二郎「そう言ってもらえると気が楽だが、それに甘えるわけにはいかん。そこで! この度新入社員を5人ほど採用した!」

春香「えっ!?」

亜美「新しい兄ちゃん!?」

真美「それとも姉ちゃん!?」

順二郎「兄ちゃんだな! 具体的には事務方に1人、プロデューサーに2人、マネージャー兼雑務で2人だ」

雪歩「兄ちゃんってコトは男の人……うぅ、大丈夫かな……」

千早「プロデューサーとして2人……ちゃんと仕事できるのかしら?」

貴音「はじめての方が私たちの仕事量を捌けるとは思えませんが……」

順二郎「なぁに問題はない。ここにいるみんなを見つけた時と同じくらいティンときた人間だからね」

伊織「どういう根拠よそれ……」

あずさ「あらあら、なんにしても楽しみだわぁ」

順二郎「では、新入社員のお披露目だ。おぅい、入ってきたまえ!」





<ガチャ





垣根's「「「「「はじめまして、垣根提督と申します」」」」」ズラッ








「「「「「ええええええええええええええええええ!?」」」」」






その後、弱点であった裏方の体力を克服した765プロがさらなる躍進を遂げるが、それはまた別の話である






P「学園都市年度末ライブ?」土御門「そうですたい」



これにて完結

このSSはここまでです。
レスをくれた皆さま、ここまで読んでくれた皆さま、本当にありがとうございました。


アイマスSSはじめて書いたけど、周りのレスが週一で書いてて楽しかったです。
削板千早の共通点は本当はクソ笑いました。


本当は外伝としてPがリセットした日からIA大賞取るまでの話を日誌形式で書こうと思ったけど
卒論あるしこないだの根性目録の続編も書きたいし遊びたいし
このペースだと根性目録終わったら社会人でSS書く余裕なんかなさそうなのでお蔵入りです。


近日中にHTML化依頼出します。本当にありがとうございました。

>>298



ドッカアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!


スキルアウト「ぐはっ!?」ドサッ

???「だーもー、フザけやがってさー……」

千早「!? なに? 瓦礫……爆発?」

???「せっかく土御門さんに頭下げて結標さんに身体売って外に逃げる段取り取れたのに台無しじゃんか」

千早「……!?」

???「ま、いいや。せっかく出れても姉さんがいなけりゃ意味ないし」

千早「うそ、そんな……」

優「ほら、かかってこい! Level5の第六位【人造人間】(サイボーグ)如月優が相手だ!」

千早「優……!!」





ボツ理由:サイボーグは別に超能力じゃないかなーって

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年05月24日 (土) 10:21:09   ID: Ks80xtWB

面白かった!!

2 :  SS好きの774さん   2015年02月08日 (日) 19:23:29   ID: b09pFVK9

素晴らしい作品でした!!

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