土御門「level5ってのはヤンデレ予備軍だにゃー」 (75)

土御門「超能力者ってのはぶっちゃけ思い込みの激しい奴らばっかりだからにゃー」

土御門「当然ヤンデレ予備軍にもなるわけだにゃー」

土御門「そんな話を今回はお話していくにゃー♪」

気ままに投下してきます

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悪い遅れた投下する



彼はただ彼女のそばにいたかった


それだけだった



慈愛と狂気の未元物質

空は晴天、静かな雰囲気漂う喫茶店の中カチカチッと乾いた擬音を響かせコーヒーをすする
その姿に能力『未元物質』で作られた人外の面影はなく、彼が望んだ『人間』という姿がうつる
彼がすするコーヒーですらも本来の『彼』ならとる必要はないが、今の『彼』は自らの体を人間のそれに近づけた

自ら自身の体を不憫な体に変えてでも私は彼女とその無駄な行動を共にしたいと願った

初めはただ彼女が笑ってくれればそれでかまわない、彼女がが無事ならそれに越したことはない
ただ相場願っていただけだったはずなのに

矛盾…していますね

そう呟き頬を緩ませる

画面に目を移し作業に移るその仕草にも、日頃の無駄な行動の一つ一つに幸せを感じている
あの少女と共にいきれるなら

ただ兵器でしかなかった私を、ただ能力の塊でしかなかった私に笑顔を向けてくれたあの少女を思いながら再び頬を緩ませた


「とりあえずは一段落、ですね」

カチッと乾いた擬音と共に一息、という具合にため息をつきノートパソコンを閉じる
研究所の資料をまとめ終わり仕事もいい具合に区切りがついた

体が人体のそれに近づいた以上そのまま彼女の防犯グッズではいられない
かと言って学生でも無いため奨学金がでるわけでもなく、研究所の『お手伝い』として生活費などを稼ぐ日常
カブトムシで居れば不必要無いことかもしれない、しかし
「悪くない」

そう思えるのは彼女のおかげなのであろうか


しかし遅い
私がここにいるのは何も静かな所で仕事がやりたかったからではない
気分転換に店に入った…というわけでもない
彼女の保護者代行のような者『浜面仕上』との待ち合わせしていたが時間になっても彼の姿は無く、その時間の合間に仕事をしていたに過ぎない
そろそろさすがに何か(第四位辺りと)あったのではと彼の身を案じていた時に、喫茶店の扉が開き彼が入店する姿を確認した
「悪い垣根、またせちまって」

まるで漂流者という服装で彼が近づいてくる
本心ではあまり知り合いとは思われたくない姿だったが彼の行動で最早周りに不審者『達』という印象を植え付けたのは言うまでもない
「私は構いませんが、あなたの姿は待った私より悲惨なのですが」
「ああ、これか…出てくる途中麦野の機嫌損ねちまってさ…」

やっぱりですか…
「深くは追求しません、とりあえず席についたらどうですか?」
「悪い、そうするよ」

彼はそう言うとはぁ…とため息をつくと共に正面の席に座り哀愁感溢れる浮浪者姿で店員にコーヒーを頼む
正直今すぐこの相席から立ち去りたいのは言うまでもない

「俺さ、就職決まったんだ」
「え?」

そんな浮浪者姿でなにを言うんだ彼は、と内心思いつつ彼を小さくおめでとうございますと労う
すると彼は途方にくれるように窓から店の外を見つめる
間違いなく彼はどうしたのかと聞いてほしいのだろう、そう確信するのは付き合いの長さだけではなく彼の姿は構って貰いたい人のそれに違いない
わかりやすく言うなら構ってちゃん、というよりうざったい性格をしたタイプである

再びコーヒーを口に運び小さくため息をこぼしたのち、彼の一番欲する言葉をかけた
「…悩んでるようですがどうかなさったのですか?」
「よくぞ聞いてくれた!」

…聞かなきゃよかったと、彼のオーバーな反応により再び他の客の注目の的になったその刹那の出来事に深く後悔した

そう頭を抱える私をよそに彼は照れるように鼻の下を伸ばす
正直これだけで友人を止めたいレベルだ

「実はだな、これを期に俺と滝壺は別の学区に引っ越そうと思うんだけど」
「…惚気ですか?」

「違うわ!…ただそうなるとさ、フレメアが今までみたいに面倒見れなくなりそうなんだ」

なる程、だから私にフレメアの保護者代行を任せようと、と呟くと彼はコクりと頷き店員の運んできたコーヒーを受け取る
実際今まで保護対象として生活してきたために何かが大きく変わるなどと言うことはないだろう、こちらとしては断る必要はない
「構いません、いつも通り護衛につくだけですから」

その言葉を聞いた途端に彼の表情が再び変わり今にも吹き出しそうな姿だった
何がおかしいのか、ドッキリか何かなのだろうか

何かわからないがすごく感に触る

「そいつはよかった!…だけど問題はここから何だよ」
「問題?」

「フレメアの寮今整備中でさー、お前の所済ませてくれない?」
「…はい?」

ハメられた…そういう事か…
話は最後まで聞くべきだと深く後悔した

とりあえず今日は此処まで
お疲れ様です\(^o^)/
お前らまたな

順番は
第2位 フレメア
第5位 上条
第3位 上条
第4位 浜面
第7位 モツ鍋

おらは第7位は一番すきだべ

第1位忘れとったw

んじゃまたな


「カブトムシクローゼットは?」
「…先に運んで起きました」
「だいたい。片付け終わってる、やるなカブトムシ」
「ありがとうございます」

ブロンズの綺麗な髪を靡かせた彼女は私の部屋を探検と言わんがばかりに走り回る

どうしてこうなった…
確かに彼女との生活は私にとってはかけがえのないものだ、彼女の事も大切に思っている
しかし同棲となると不安要素はいくらでも出てくる
異常性癖は持ち合わせてはいないが自分の真意を探られるようで、深くまで入り込まれるようで平常ではいられなくなる

たまに彼女に会えるそれが私の現時点の幸せ、現時点の私の限界地点
いくら人のそれに近づけたとは言え彼女に紛い物の体を隠して接しつづけるのか?


私は完全に人になりきれるまで彼女にあうこと極力避けた、なのにどうしてこうなったと思想の中でため息を零す

喫茶店を後に帰宅すると研究所の『お手伝い』により得た所持金で借りたマンションの空き部屋は最早おもちゃ箱のように人形を並べられたファンシールームに変貌していた
浜面仕上の「ああ、引っ越しの事とかなら知り合いに任せてあるから大丈夫だぜ☆」の言葉から帰宅後後悔は更に加速する

一体何が大丈夫だったのであろう
「カブトムシお腹すいたぞ、にゃあ」
「…とりあえず出前でも取りましょうか」

悩んでいても仕方がない、と自分に区切りをつけ家庭用電話機に手をかけると彼女が後ろから声をかけてきた
「だいたい。カブトムシは料理とかしないの?」
「料理…ですか?私はあまり」
「…ふーん?」


そう何か思いついたようににやける彼女を背に出前を注文していると、また何かを企んでるであろうかふむふむと頷き自分の寝室まで走っていく
彼女の事だ深い意味など存在はしないであろうと自己解決を済ませると残った仕事を片付けなければと椅子を引いた

パソコンを起動しようとパソコンを開くと彼女が部屋の扉の隙間から私を覗いていることに気づいた
ジーッとこちらを見つめる姿は私が気づいているなどミジンコほどにも思ってなさそうだ

…気づがないふりをしたほうがよさそうだ
それより彼女がこれからどういう行動にでるかにも興味がある
と余興を楽しむように彼女を観察していると彼女は再び部屋にこもってしまった
気がついたのか、それとも何か再び思いついたのか

結局何がしたかったのかはわからない
だけれども私にとっては微笑ましくて次でて来るのは今か、それとも今かとチラチラとドアを確認する

結局その後彼女は夕食まで部屋から出てくることはなかったですが


適当に取った出前だったが彼女は普通に満足していた様子だった
そういえば人体に体を近づけてからは仕事や調整などで彼女と接する機会はみるみるうちに減っていき、こうして食事を取るのも久々だと言うことに気づく
彼女と普通の行動を共にしたくて調整したものが逆に彼女との時間を奪っていたとはなんとも矛盾している
「カブトムシって好きな食べ物とかある?」
「好きな食べ物ですか?特にはありませんが」
「だいたい。答えに面白みがない、にゃあ」

すみません、と微笑みながら謝ると彼女はなにそれと笑う

こんなどこにでもありそうな風景が私にはとても幸せだった
こんな普通の幸せが欲しくて今まで頑張ってきた、それが形になって返ってきた
と思えるくらいに



そんな私の思想世界を壊すように
「カブトムシはもう『カブトムシ』にはならないの?」
「え?」

彼女からの突然の不意打ちがきた

私にとっては一番触れて欲しくなかった部分、いずれ聞かれると覚悟していたはずなのに実際に聞かれてここまで心が痛む

当然な質問だ
どれだけ繕おうがどれだけ人間に近づこうが私は人間ではなくただの能力の塊、兵器でしかなかった
返す言葉もない、返答にこまり小さく微笑む



そんな私を覗き込むように彼女は見つめイタズラっぽく微笑みながら私の手を握る

「だいたい。カブトムシだろうとカブトムシじゃなくてもカブトムシは私の友だちだよ」

彼女は友だちと言ってくれた、こんな紛い物の私に
兵器でしかない私に
「…そうですね、友だち…です」
「ずっと一緒だよ、にゃあ!」

なんだ…心配し過ぎだったのですか
「カブトムシどうしたの?」
「…いえ、何でもありません」

なんだ…何も恐れる事なんてなかったんだ
「それでねカブトムシ」

私は私なんだ
ただそれだけで言葉は十分だった




その後、談笑に疲れて眠ってしまった彼女を彼女のベッドに寝かせて布団をかけ寝顔を覗き込む
本当に気持ちよく眠っているものだ、と彼女の頭にそっとてを伸ばし額を撫でる
おこさないようにそっと…

やっぱり貴方は暖かい、こんな紛い物の私ですら癒やしてくれるのだから
「…えへへー、カブトムシー」
「…ふふっ何を言っているのですか」

彼女の寝言に頬を緩ませ手を引く
そして彼女に向けてお休みなさいと囁き踵を返して部屋からでるとそっとドアを閉じた

そして再びパソコンの前に移動そして着席
パソコンを開くといつもの壁紙がうつる
彼女と撮った公園の一枚、何時でも撮れそうななんて事のないツーショット

そんな日常を見つめ呟く
「私はなにを悩んでいたんだ…彼女は何時でも私を受け入れてくれていたのに」

紛い物なんて関係ない、未元物質なんて関係ない
彼女は私を『垣根帝督』を見ててくれていたのだから

キーボードを叩く指に水滴が零れた
雨漏りか?…それにしてもおかしいな、今日の満月はこんなにもきれいなのに


彼女との同棲は極めて良好、私が一番欲しかった日常を送る
彼女の面倒を見ることも、彼女と日常を過ごす事も私が一番待ち望んだものだったから

そろそろタイムセールの時間だろうとパソコンを閉じ、買い物の準備に取りかかる
所持金にゆとりはあるのだが安い事に越したことはない
世の中の主婦さんの考えに近づいてきたのではないかと本気で悩む

料理などしたことはなかったが最近では彼女が家庭を望むのであれば叶えてあげようと料理を覚えるためよく作るようになった

初めに作った頃には彼女にだいたい普通に出来すぎて芸が無いと言われた
その後芸のある料理に悩んだのは後の話であった



相も変わらずこのスーパーはこの時間になると学生が賑わう
やはり経済力的な問題でも無能力者にとってもこのタイムセールは必需品なのだろうか

そんな事を考えていると後ろから見知ったツンツン頭の少年に声をかけられた
「垣根じゃねーか、お前もタイムセール?」

今日は珍しく超電磁砲こと御坂美琴がいない、それに服もボロボロではない
偏見だがこれでは明日槍が降っても疑うことはない
いやふるのは雷か、主に彼の上に

「こんにちは上条さん、お前もと言うとあなたもですか?しかしシスターさんはイギリスに帰ったのでは?」

「ああ、だけど節約しとくに越したことはねぇだろ」

どうせまた財布ごと落とすけどと彼ははにかみながら言う
笑い事ではない、というよりも何故彼は落とすとわかっている財布にチェーンをつけないだろうと割と本気で疑問に思う
世界を救ったヒーローは救いようのない頭を持ってしまったのだろうか
「…今失礼な事考えただろ?」
「…」
「……」

両者漂う沈黙
ええそうですよなんて言える訳ない

それを切り裂くようにただ今よりタイムセールを開始しますという店員の声が響く
「とりあえずいくか」
「…えぇ」

二人無言のまま背を向けたまま前へ進む
タイムセールと言う名の戦場に



無能力者とはいえ生活がかかれば身体能力はレベル4の肉体強化と同等以上の力を振り回す
タイムセールとはそんなバケモノがうじゃうじゃと存在する場所であり慣れていないものは死するが必然

必要なものを手に入れ帰宅時思いついたように彼に問いかけた
「そういえば今日は彼女いないみたいですね」
「彼女?」
「超電磁砲です、いつもは恋人のように一緒にいるじゃないですか」
「ああ御坂か、そんなにいいもんじゃねぇよ」

タイムセールの品である卵の入った袋を大事そうに抱えながら彼は答える
その姿はまさに幽鬼、一体彼の身に何があったのか興味はあるのだが彼がプルプル震えながら微笑しているために聞くに聞けない

大方超電磁砲と何かあったのか、それとも心理掌握か大抵の予想はつく

修羅場に巻き込まれるのも嫌なので彼にそれではまたと声をかけて立ち去る事にする
彼は手をふりながら呟いた、無数の視線に気をつけろと
意味はわからないが気をつけますと返事をし、自宅へと矢印を向ける

そのまま上条から少し離れた辺りから大量の学生達が上条を監視しながら早く迎えに来てと連呼して呟く事案が発生していたのは別の話



帰宅後出来るだけ彼女との時間を作るために彼女がいない間に大抵の仕事を片付けるのが私の日常
待つ時間すらもまた人間として生きている実感が持てる


夕食の準備も終えて仕事に移っているといつものように彼女のただいまという声が響く
それを確認するとパソコンを一旦閉じ彼女を迎えるために玄関へと向かった
「お帰りなさ」

すべての言葉を言う前に彼女の姿を見て一時思考が止まった
「だいたい。お出迎えご苦労、にゃあ」
「…」

「カブトムシ?」
「…その膝はどうしたのですか?」
「膝?」

その包帯でまかれた膝をみて
「ころんじゃた、にゃあ」
「ころんだ?」

「だいたい。ただの掠り傷だよ?」


夕食の準備も終えて仕事に移っているといつものように彼女のただいまという声が響く
それを確認するとパソコンを一旦閉じ彼女を迎えるために玄関へと向かった
「お帰りなさ」

すべての言葉を言う前に彼女の姿を見て一時思考が止まった
「だいたい。お出迎えご苦労、にゃあ」
「…」

「カブトムシ?」
「…その膝はどうしたのですか?」
「膝?」

その包帯でまかれた膝をみて
「ころんじゃた、にゃあ」
「ころんだ?」

「だいたい。ただの掠り傷だよ?」


掠り傷、私が彼女見ていない間に傷を
私が彼女から目を離したがために彼女がケガをおったのでは?そう黒い何かが胸の奥で渦巻く

私のせいだ
私がずっと見ていれば彼女がケガなんてしなくても
これからだってそうなるのかもしれない、彼女が私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで私のせいで
「カブトムシ!」
「っ?!…すみません」

彼女の声で正気に戻る、転ぶなんて誰でもあること何のに私は一体…
「だいたい。顔色悪いよ?」
「すみません…少し休めば治ります」

それならいいと彼女は私を見つめる、彼女に心配をかけるなんて私はなにをやっているんだ
彼女は心配そうに私を見つめ寝室にもどる

彼女の事になるとすぐに弱気になる、レベル5としてのパーソナルリアリティですら崩れかねないくらいに
私は気づかないうちに彼女に依存していたらしい
先ほどの黒い何かは一体何だったのか…

考えていても仕方ない、彼女の帰宅を促し自身は夕食の時間まで仕事にうつる

思えば、私の中の日常が壊れだしたのはこの時からだった

またなお前ら\(^o^)/

よう、元気かお前ら\(^o^)/
明日か明後日にまた投下する

じゃあまたなお前ら\(^o^)/



…………………
…………


ここは…?
…公園のベンチ?

静かな風に撫でられ重たい瞼を見開くと見知った公園の風景が広がる
彼女と写真をとったあの場所の

ベンチの横に置かれた買い物袋、どうやら気がついたら眠ってしまっていたらしい
自分ながらなんて不用心なことをと横に置いた買い物袋を手にしそろそろ帰らねばと立ち上がると『あの日』のように私を呼ぶ彼女の声がした

『カブトムシ、なにやってるの?』


私を覗き込む愛おしい彼女の声が
再び公園に静かに風が吹きその髪の毛優しく靡かせた
その風景が美しくて優しくてつい見とれてしまう

『カブトムシ?』
『…何でもありませんよ、帰りましょうか』

そう囁きながら手のひらを彼女に向けた
彼女はその手を見ると満面の笑顔で頷き私の差し出した手のひらを握った
その手はとても小さくてとても暖かくて、守るべきものを実感させられる

私の大切な、大切な
…………………
…………
……


そこで背景が変わった

気がつけば周りには人混み、学生の野次馬
隣にいた彼女は一体どこへ


…背筋を冷たい何かが刺す

周りの人混みをかき分け中心に進む、その野次馬の集まる原因に
振り払った学生がどんな顔をしていたのかそんな事に気を払う暇などなく、ただ無我夢中に進む、進む、進む

何も考えられずとにかく前に進む、そこにあるものを確かめるために
悪い予感ばかりが頭によぎる



端の野次馬を振り払った瞬間に思考が止まった

『彼女』だったもののオブジェが道路に転がっていた

綺麗なブロンズの髪の毛は緋色に染まり、小さな手の平は無残に飛び散り

そして

その血走った瞳は私を睨みつけていた

…わかっていた、わかっていたはずなのに

ふらふらと路上に転がるそれに近づきそれに触れる
あの暖かさなどなく残るのは冷たさと心の空白、その血走った瞳は再び笑む事などない



『ーーーーーっ!』

何を叫んでいるのか分からない、自分でもわからない
ただ彼女だったそれを抱きしめ叫び続ける


そんな風景を私は見ていた


…………………
…………
……

再び重たい瞼をひらくと見知った天井が広がる

…またあの夢を見ていたのか

彼女がケガをして帰ってきたあの日からよくこんな夢を見るようになった
たかが夢、本気などしていない

…だけどどうしてこんなに寒気が止まらないんだ

膝が震え、手が震える


「カブトムシー!」
「ぐぇっ?!」

そんな静寂を切り裂くように突然部屋に飛び込み、私の上に飛びかかる
それを抱きめた私はとんでもなく情けない声を上げていただろう

そんな私は完全無視で満面の笑顔で囁く
「おはよう!」

…言いたいことも言わなければいけない事もいくらでもある
ただその前にもっと伝えなければいけない言葉があるから

「おはようございます」

今はただそれだけで十分だ



夢で見た風景、思い出の公園に私はいた

今日は非番であってやることがなくなったという理由もあるのだが、そんな事よりも最近よく見る悪夢を忘れる為に
所詮は気休めでしか無いのだが、それでも彼女との思い出をあんなもので潰したくはなかった

ただ公園のベンチの佇み風を感じていた

「こんなところで黄昏てるなんざいい趣味してんじゃねぇか」

…この男は本当に空気が読めない

私と瓜二つの男
正しくは私のオリジナル
気だるそうに頭をかきながらチンピラホストは私と同じベンチにズサッと腰掛け缶コーヒーをすする


「…何のようですか?垣根帝督」
「そんないいぐさはねぇだろ兄弟」

その男『垣根帝督』はニヤニヤしながら私の前でコーヒーをゆらゆらさせると再び俺様座りでベンチを占領する
とにかくうざい

「うざいと思ったろ、心配すんな自覚はしている」

今度はドヤ顔そういい払った
何でしょうか、とにかく殴りたい

「…だから何のようですか、垣根帝督」
「えっ?暇だったから」

そうだ、彼はそういう人だった
今まで死んだとか言われつづけ、つい先日ヒーローこと上条当麻が拾ってきた
出会った様々な人をおちょくって回っていたために上条当麻までも頭を抱えて『何でこんなの助けたんだろう』と後悔していた


私を始めて見たときには「ドッペルゲンガー?それとも隠し子」と高笑いして床に転がり回った
冥土返し曰わく『恐怖で頭がおかしくなったのかね?』とのことだ

どこからか押しあがる殺意を抑え彼の顔を見ると凄くえらそうに、とにかく感に触る
「んなくだらない話に来たわけじゃねぇんだよ兄弟」

くだらないとわかっているなら口を開かないでほしい
そんな事を思いながらじゃあ何なのかと彼に問うと口を斜め上に釣りあげて吹き出しそうなのを我慢しながら言った

「お前って…ロリコンなの?…ブフッ」
「…」

なぜヒーローはこんな粗大ゴミを拾ってきたのだろうか問い詰めたい

悪いなお前ら今日はここまでだまたなヽ(^o^)丿(゚∀゚)

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