二宮飛鳥「月が綺麗ですね、ってね」 (12)
飛鳥「誰もいない…夜の月が顔を出す時間」
飛鳥「水の音が響くこの場所、静まる学舎にキミを呼び出した意味、キミならば理解できなくもないだろう?蘭子」
蘭子『…ふむ、確かにこの世界は今我々2人だけの時間を刻んでいるわ』
蘭子『静寂の中、集まりし我々は暗闇が照らす光【ダークイルミネイト】そのものとも言えよう』
蘭子『ならば此度の機会、我が友の言葉を並べる事と考えるが…?』
飛鳥「ご名答、流石はボクの蘭子だ」
飛鳥「そう、キミを呼んだのは他でもない」
飛鳥「この時間、この2人だけの世界だからこそ紡げる言葉をキミに聞いてほしい」
蘭子『成る程、ならばいかようにもそれに応じよう…しかし』
蘭子「眠いよぅ……」
飛鳥「それはほんとゴメン」
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飛鳥「でもね蘭子、なにもボクだって何のようも無いのにキミを呼んだわけじゃない」
飛鳥「ボクは自分の生きてきた時間には興味は無い、命は生きた時間よりも輝きを放つ事に意味があるから」
飛鳥「しかしそれはあくまで自分自身の話で…キミに対してはそうではない」
蘭子「……?」
飛鳥「まさかボクがこんな事を思うだなんて、昔は考えられなかったよ」
飛鳥「まぁ当たり前かな、だって蘭子…キミはボクにとっての初めての……し……し……」
蘭子『…飛鳥?』
飛鳥「ま、待ってね…なんだか蘭子の顔を見てると急にこの言の葉をつむぐのが恥ずかしくなってきたっていうかなんていうかその……」
飛鳥「ふー……そう、そうだ…」
飛鳥「蘭子、キミは太陽だ」
蘭子『我が…太陽と?』
蘭子『何を言うかと思えば…我が友よ、我は闇に落ちた悪姫、太陽とは相反する者よ』
飛鳥「あぁそうだね、キミはそう思うだろう」
飛鳥「でも違うんだ、キミはボクにとっては何よりも眩しい闇の太陽さ」
飛鳥「月は…太陽の光によってその輝きを得ている、それはまさしくボクだ」
飛鳥「キミという仲間がいてボクは初めて光を放つ」
蘭子『何を言うか!!汝は自身の力によりその強さを得た!!それは我々の信頼する者も感じていることよ!』
飛鳥「ふふ、ありがとう蘭子」
飛鳥「でもそれは早合点というやつだ、確かにボクはキミがいて初めて光を放てると言った」
飛鳥「しかしそれは過去の話、ボクがただの子供だった時の事だよ」
飛鳥「これはボクの勝手な思い込みかもしれない、でも今のボクは……」
飛鳥「キミにだって負けない、放つ光は借り物でもボクにしか放てない光を出しているつもりだ」
飛鳥「アイドル『二宮飛鳥』はね」
蘭子『フフ…それでこそ我が友、そして我が終生の好敵手!!!ダークイルミネイト、二宮飛鳥よ!』
飛鳥「あぁ、ボクとキミは仲間でありライバル…お互い競い合って高めあう………し、し………」
飛鳥「………しんゆう……だよね……?///」
蘭子「そんなの…当たり前だよ、飛鳥ちゃん!」
飛鳥「よ、よかった……それを否定されたら正直自分を保てる自信が無かったよ…」
蘭子「そんなにだったんだ…」
蘭子「えっと…話ってこのことだったのかな?」
飛鳥「いや、それもあるけどもっと大事な事があるんだ」
飛鳥「ねぇ蘭子、キミは『月が綺麗ですね』って知ってるかい?」
蘭子「つき…?」
飛鳥「アイラブユーを日本語にした時、なんとすればいいかという話さ」
飛鳥「昔の人はそれを『月が綺麗ですね』と言ったらしい、ならばボクはこうキミに伝えたいと思う」
飛鳥『太陽が綺麗ですね』
飛鳥「誕生日おめでとう、蘭子」
飛鳥「キミと出会えた事はボクの人生で最も幸福な事だ」
飛鳥(…キマッた……)
蘭子「……///」
飛鳥「…どうしたいんだい?そんなに顔を真っ赤にして」
蘭子「だ、だって……アイラブユーを日本語にしたのが月が綺麗ですね、で…///」
蘭子「それを飛鳥ちゃんは太陽が綺麗ですねって訳したってことは……その……///」
飛鳥「あー………」
飛鳥「………いやいやいや!!ち、ちがうからね!!!?ボクはあくまで親友としてキミを愛しているということであって別に蘭子を性的にどうのこうのしたいってわけではないからね!!!?」
蘭子「その……飛鳥ちゃんの気持ちは嬉しいけど……私たちまだ14歳だしアイドルだしそういうのは早いと思うしその………でも別に嫌いってわけではなくてむしろ大好きで………うう……///」
飛鳥「落ち着こうか蘭子!!?ボクは単に誕生日おめでとうってことを格好つけて言いたかったみたいなそういう感じだよ!?というよりキミなんか年齢とかアイドルとか以前に性別って前提が抜けてやしないかい!?」
蘭子「でも…飛鳥ちゃんはどっちもいけるってPさんが…///」
飛鳥「何考えるのあの人!!?」
飛鳥「あーもう予定が狂ってしまうけど……蘭子!!」
蘭子「ひゃ、はい!!」
飛鳥「これ、誕生日プレゼント!受け取ってくれるかい?」
蘭子「え…これって指輪…それもAlice-Auaaって私の好きなブランドの……?」
飛鳥「良かった…皆から蘭子のお気に入りだって聞いてね…良かったらつけてみて欲しいんだけど……うん、さっきの感じだとちょっと意味深になってしまうかな?」
蘭子「う、ううん!つける!ここでつけてもいいんだよね!?」
飛鳥「す、すごい喜びようだね!!?」
蘭子「だってこのブランドといえばオープン当初から一貫した世界観を持ってて決してそれを崩さずに続けてそれでいて高品質な商品を展開するゴスロリファッションの界隈でも評価の高いお店なんだよ!?だから私もこのブランドのお洋服とか小物が大好きでいっつも新作のチェックしてるしそれにこの指輪だって前々から欲しいなって思ってたしそれになによりも飛鳥ちゃんが私のために慣れないゴスロリファッションのお店に入ってくれたって思うと本当に嬉しいもん!」
飛鳥「ほ…ほんとに大好きなんだね…あげた甲斐があるよ」
蘭子「うん!今度飛鳥ちゃんもここの服着る?絶対に似合うと思うんだけど!」
飛鳥「そ、それはまたの機会にね!?とりあえずつけてみてよ」
飛鳥(蘭子がこんなにお喋りになるなんて…すごいな…ここのブランド)
蘭子「……」スッ
蘭子「わぁ……綺麗」
飛鳥「太陽と月がイメージされた指輪らしいよ、ちなみにそれは月でこのボクがつけてるのが太陽さ」
蘭子「あ、ホントだ…そっちも綺麗だね」
飛鳥「まさかキミがあんな反応をするとは予想外過ぎてお揃いっていう物を深く考えてなかったんだけど……それでもいいかい?」
蘭子「…うん、勿論だよ!」
飛鳥「あと本当に他意はないからね……?」
蘭子「…それはそれで残念かも」
飛鳥「え!!?」
蘭子『くくく…戯れよ、飛鳥』
飛鳥「……まったくいつの間にか茶目っ気が出てきたねキミも…ボクも、かな?」
飛鳥「さてもう今日が終わる…キミの生誕を祝う時間の終わりだ」
飛鳥「明日からはまたキミと同じ時間を生きることを祝う日になる、明日からまたよろしくねボクの太陽さん?」
蘭子「うん、飛鳥ちゃんこそよろしくね」
蘭子『我が友…そして我が月よ!!』
飛鳥「さぁ、帰ろう」
飛鳥「太陽と月だって…たまには2人で仲良く沈んでもいいだろう?」
この後2人は門限が過ぎたため女子寮に帰れなくなり、4月とは言えまだまだ冷え込む夜を抱きしめあい暖をとりながら過ごしたのだがそれはまた別のお話……
そして約束通りほぼ無理矢理にゴスロリファッションを蘭子に着させられた飛鳥が顔を真っ赤にして事務所を走り回りそれをPに激写され次のダークイルミネイトの衣装が両方ともゴスロリファッションになったのもまた別のお話…
ー終わりー
終わりです、お付き合いいただきありがとうございました
蘭子の誕生日に飛鳥のSSRが来るとかあれですよね、『プレゼントはボクだよ、蘭子…』とか言って薄い本展開になるってことですよね
そしてボクの貯金からごっそりお金が減りました
過去作
モバP「島村卯月の飼い方」
その他
あすランのいい感じの薄い本あったら誰か教えてください
それではまた
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