輝子「私だけの特許」 (78)
――ある日のこと
輝子「キノコーキノコー……ボッチノコー……」フヒッ
輝子「ま、マイフレンズ……元気に……育て、よ……」
ガチャッ……
P「はー……疲れた」
輝子「プ、プロデューサー……ど、どうした? ずいぶん、疲れてるみたいだけど……」
P「ああ、輝子か……いやなに、ちょっと営業先でな、色々あったんだよ……」ハァ
輝子「そ、そうか……まあ、そんなに気を落とさないで……」
P「落とす気も無いんだがな……ちょっと予定していた収録が、向こうの都合でキャンセルになって無駄足になっちまった」
輝子「それは……た、タイヘン、だな……フヒッ!」
P「あー参ったよ……この仕事あるからって断った仕事もいくつかったからなぁ……ちひろさんになんて言おう……」
輝子(プ、プロデューサー……辛そう、だな……)
P「まあ、いいや……腹減ったし飯食おう……」トボトボ
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輝子「……さ、参考までに……な、何食べるんだ?」ピクッ
P「んー……なんか冷蔵庫に余ってねーかな……お、しめじがあるぞ。これ輝子のか?」
輝子「ま、マイフレンズじゃないぜ……たぶん、ちひろさんの買い置きだ……」
P「まあ勝手に使っていっか。パスタでも茹でるか……輝子も食べるか?」
輝子「い、いいのか?」
P「ずっと机の下にいて飯食ってないんだろ? どうせ材料余ってるんだし、一緒に食べよう」
輝子「だ、誰かとご飯……リア充……フヒッ!!」
P「アイドルやってるお前は既にリア充だよ……くだらないこと言ってないで、テーブル拭いてといてくれ」
輝子「わ、わかった……」フキフキ
……
…………
――数十分後
輝子「……」モグモグ
P「どうだ、美味いか?」
輝子「お、おいしい……しめじパスタ……ま、マイフレンズじゃないから、平気だぜ」
P「さすがにお前の育ててる茸を摘み取って食ったりはしないからな……」
輝子「そ、それもそうだな……ところで、プロデューサー……」
P「なんだ?」
輝子「さ、さっき話してた仕事……そんなに、残念だったのか……?」
P「……まあ、な。そりゃ取ってきた仕事が、こっちに落ち度もないのにキャンセルになるのはなぁ」
輝子「そ、そうか……」
P「ま、相手の都合もあるしな。向こうもかなり申し訳なさそうにしてくれたし、仕方が無いっちゃ仕方が無いさ」
輝子「そ、そう気を落とすなよ……?」
P「ああ……ごめんな」
輝子「……?」
P「さて、さっさと飯食って仕事に戻るか……茸うめえな……」モグモグ
輝子「……プ、プロデューサーは、キノコ……好きか?」
P「ああ、ファミレスとかで食べる物に迷ったら、とりあえずキノコ料理選ぶくらいは好きだな」
輝子「そ、そうか……」
……
…………
P「……」カタカタカタッ……
輝子「……」
P「……おーい、輝子、お前今日って仕事もレッスンもないだろ?」
輝子「そ、そうだな……」
P「寮に帰れよ……」
輝子「り、寮にいても……やること、ないし……ここで、マイフレンズたちの世話してる……」
P「俺の机の下を何だと思ってるんだ……まあいいや」ハァ……
輝子「……プロデューサー、さ、さっきから……溜息、多いぞ」
P「ん、そうか?」
輝子「疲れてるなら、休んだほうがいい……菌床も、1度栽培した後は少し休ませてからまた使うんだ……」
P「俺はキノコと同類かよ……」
輝子「……そ、そうだ、プロデューサー」
P「なんだ?」
輝子「今日、何時に仕事終わるんだ……?」
P「何時か……そうだなぁ、茜とユッコの収録に付き合って……戻ってからだから少し遅くなるな」
輝子「わ、分かった……フヒッ!!」
P「?」
……
…………
――数時間後
P「さてと、それじゃ茜とユッコ拾って現場行ってくるよ。輝子、帰るなら帰るでいいけど、いるなら留守番頼むぞ」
輝子「わ、わかった……ちひろさんが戻ってくるまでは、ここにいる……」
P「おうー」
ガチャッ……バタンッ!!
輝子「……」
P『……まあ、な。そりゃ取ってきた仕事が、こっちに落ち度もないのにキャンセルになるのはなぁ』
P『とりあえずキノコ料理選ぶくらいは好きだな』
輝子「……い、いいいいい、いつも……プロデューサーには、世話になってるからな……トモダチは、労うのが、当然……」スッ
ブチッ!
輝子「ま、マイフレンズ……収穫のとき……た、たまには、いいか……」
ガチャッ!!
ちひろ「ただいまー」
輝子「ヒャアアアアッハアアアアアッ!?!?」ビクッ!
ちひろ「うっひゃああああ!?」
輝子「……って、な、なんだ、ちひろさんか」
ちひろ「な、なんですかいきなり……戻ってくるなりビックリさせないでくださいよ……」ハァ、ハァ……
ちひろ「って、あら? 輝子ちゃん、育てていたキノコ、収穫しちゃうんですか?」
輝子「あ、ああ……プロデューサーに、晩御飯でも、作ってやろうか……ってな」
ちひろ「あら、プロデューサーさんもモテモテですね」
輝子「フヒッ!? そ、そういうわけじゃ……た、ただ、今日、仕事が上手くいかなくて、元気、なさそうだったから……」
ちひろ「あらら……そうだったんですか。輝子ちゃんは優しいですね」
輝子「そ、そうだ、ちひろさん……久しぶりに、料理するから……ちょっと、味見だけ、してくれないか……」
ちひろ「へ? 私でいいんですか?」
輝子「プロデューサーに、マイフレンズを出すとき……し、失敗したら、恥ずかしいからな……」
ちひろ「……まあ、ちょうどお腹も空いていましたし、構いませんけど」グゥ……
輝子「そ、それじゃあ……ちょっと、待っててくれ……」ブチッ、ブチッ……
……
…………
――1時間後
輝子「で、できたぞ……」
ちひろ「わ……キノコの炊き込みご飯とキノコのガーリック炒めですか。美味しそうですね!」
輝子「き、キノコ料理は……任せてくれ……」
ちひろ「ところで料理に使ってるこのキノコ、何のキノコなんですか?」
輝子「さ、さあ……なんだったかな……私も、知り合いからもらった菌床から育ててたんだ……」
ちひろ「へー……まあいっか。それじゃあいただきまーす♪」モグモグ
輝子「ど、どうだ……?」
ちひろ「……うん、美味しいです! いい香りで、キノコも肉厚で……」モグモグ
輝子「そ、そうか、よかったよかった……」
ちひろ「輝子ちゃんが毎日熱心にお世話してるから、美味しいキノコが出来るんですかね?」
輝子「ど、どうだろうな……まあ、毎日話しかけたり、たまに霧吹きかけたり……」
ちひろ「いやー……にしてもこれホント美味しいですね。何かキノコ好きになりそうですよ」モグモグ
……
…………
――数十分後
ちひろ「ふー……ご馳走様です」
輝子「た、炊き込みご飯が全部無くなっちまったぜ……」
ちひろ「いやー、だってホントに美味しかったんですよ? これで定食屋とかやれるんじゃないかって思いましたよ!」
輝子「そ、そうか……?」
ちひろ「何だか食べてばっかりで申し訳ない気分になってくるくらいですし、プロデューサーさんが戻ってきたときにまた一緒に食べようかなー?」
輝子「クレイジー……食いすぎだろ……そ、それじゃあ、代わりに洗い物は、ちひろさんにやってもらおうか……な、なんて――」
ピクッ
ちひろ「……そうですね、輝子ちゃんの言うことなら洗い物やりましょうか」スッ
輝子「い、いいのか?」
ちひろ「美味しいキノコ料理もご馳走になりましたしね、これくらい私がやりますよ」カチャカチャッ……
輝子「わ、悪いな……そ、それじゃあちひろさん、よろしく……」
ちひろ「はーい」
……
…………
――数分後、台所
ジャー……
ちひろ「……あら?」ピタッ
ジャー……
ちひろ「……あら? 私、いつの間に流し台に立って……」
ちひろ「あれー? おかしいなあ……あー……ご飯食べた後の、後片付け……してたんでしたっけ?」
ちひろ「……ま、いっか」
ジャー……
……
…………
――事務所
ちひろ「洗い物おしまいーっと……さーて、私もお仕事お仕事……」
輝子「……」キョロキョロ
ちひろ「あら、どうしたんですか輝子ちゃん?」
輝子「ち、ちひろさん……実は、マイフレンズたちにかけてやる霧吹きが、どこかにいったんだ……」キョロキョロ
ちひろ「霧吹きですか? んー……どこかに置きっぱなしになってるとすれば……」
輝子「……あ、ちひろさんの後ろ……流し台の傍に、あった……そういえば、料理するとき、置いたんだった……」
ちひろ「ん? ああ、あそこに置いてあるやつですか?」クルッ
輝子「そ、そうそう……ちひろさん、悪いけど取って……くれないか?」
ちひろ「え――」
ピクッ
ちひろ「そうですね、輝子ちゃんの言うことなら」スッ
ピクッ!
ちひろ(……ん?)
ちひろ「……はい、どうぞ」
輝子「す、すまない……ありがとう……」
ちひろ(あれ、私の身体……勝手に……?)
ちひろ「……いえいえ、見つかってよかったですね」
輝子「あ、ああ……」
ちひろ「……あっ、いけない。新しいノート買っておくの忘れてた……ちょっと急いでコンビニ行って買ってきますから、輝子ちゃんお留守番お願いしますね」
輝子「ま、任せてくれ……」フヒッ
ちひろ「……」
タッタッタッタッ……
ガチャッ……バタンッ!
……
…………
――外
ちひろ(……さっき、台所に立つまでの記憶が無かった)
ちひろ(覚えているのは、直前に輝子ちゃんから、洗い物を頼まれたこと……)
<イラッシャイマセー
ちひろ(それに……さっき、輝子ちゃんの霧吹きを取ったときも、取ってほしいってお願いされたとき、一瞬記憶がとんだような……)
ちひろ(いつの間にか、霧吹きを手に持って、輝子ちゃんにそれを渡そうとしていた……)
ちひろ(どうしてそんなことになったんだろう……どうして……)
ちひろ『ところで料理に使ってるこのキノコ、何のキノコなんですか?』
輝子『さ、さあ……なんだったかな……私も、知り合いからもらった菌床から育ててたんだ……』
ちひろ「……もしかして」
<アリガトウゴザイマシター
……
…………
――数時間後、夜、事務所
P「おおっ!? 輝子、お前料理できたんだなー! この炊き込みご飯めっちゃ美味いぞ!」モグモグ
輝子「き、気に入ったようで……な、何より……フヒッ!」
ちひろ「美味しいですよねー。私もお昼に頂いたとき同じこと言っちゃいましたよ」
P「これなら輝子を料理番組に出すのも手だな……いや、これは予想外だ」モグモグ
輝子「き、キノコ以外の料理は……無理だな……」
P「どんだけ偏った知識と腕前だよ……まあ何でもいいか。これは美味いぞ……」モグモグ……
ちひろ「……」
輝子「ま、マイフレンズたちのこと……しっかり味わってくれよ……」
P「なんかそう言われると噛むのに抵抗感が生まれるな……」
……
…………
――数十分後
P「はー……食った食った……」
輝子「ぜ、全部食べたか……」
P「そりゃあ美味かったからなぁ……ちひろさん、美味しかったですよね?」
ちひろ「え? え、ええ、そうですよねー」チラッ
P「ふー……これで夜の仕事も頑張れるってもんだな……」
ちひろ(……)
ちひろ「プロデューサーさーん、私ご飯食べた後のデザート欲しくなっちゃいました。コンビニで何か買ってきてくれませんか? プロデューサーさんのオゴリで」
P「えー? 飯食った直後だし動きたくないですよ……っていうかちひろさん自分で行ってくださいよ。ていうか何で俺が奢るんですか」
ちひろ「えー……」スススッ
ちひろ(輝子ちゃん、輝子ちゃん……)コソコソ
輝子「な、なんだ……?」
ちひろ「ちょっとプロデューサーさんに、ご飯食べた後のアイスが食べたいから買ってきてって言ってみてくださいよ」
輝子「わ、私は……別に、食べなくても……」
ちひろ「まあまあ、輝子ちゃんのお願いならプロデューサーさんも快くコンビニまで走ってくれますよ。ほらほら」グイグイッ
輝子「う……ぷ、プロデューサー……私、ご飯食べた後の、アイス……食べたいから、買ってきてくれないか?」フヒッ
ピクッ
P「……そうか。輝子の言うことなら仕方が無いな。アイスを買えばいいんだよな?」スッ
輝子「い、いいのか?」
P「ああ、いいよ。ちょっと買ってくるから待っててくれよ」
ガチャッ……バタンッ
ちひろ(さっきまでソファの上に寝転がっていたプロデューサーさんが目の色を変えて……)
輝子「な、なんだか悪いことした感じ……ま、まあ、買ってきてくれるなら、いいか……」
ちひろ(これは……もしかして、もしかしなくても……)
輝子「さて……わ、私は、マイフレンズたちのところに……」トテトテ
ちひろ(……使える)ニヤァ
……
…………
――数日後、事務所
輝子「フヒッ……ま、マイフレンズ……今日も元気だな……」シュッ、シュッ
輝子「……」
P『ああ……ごめんな』
輝子「……そ、そういえば、プロデューサー……今日は、なかなか事務所に来ないな……」
輝子「あ……ホワイトボードに……蘭子ちゃんたちの、付き添いって書いてた……」
輝子「……わ、私も、次のお仕事……ま、まだかな……なんて」フヒッ
バンッ!!
ちひろ「輝子ちゃーん、いますかぁー?」
輝子「な、なんだ? ちひろさん、元気だな……」
ちひろ「ああ、よかったあ……ちょっと輝子ちゃんに相談したいことがあったんですよ」
輝子「な、なんだ……?」
ちひろ「実は……この前輝子ちゃんが食べさせてくれたキノコ、見たこと無いキノコを食べたって知り合いの学者さんに話したら……」
輝子「……?」
ちひろ「なんでも、輝子ちゃんが育てたキノコに凄く興味があるみたいなんですよ!」
輝子「そ、そうか……へえ……」
ちひろ「それでですね、できれば……なんですけど、輝子ちゃんが育てているキノコをちょっと分けて頂きたいなーって……」チラッ
輝子「マイフレンズを……つ、連れて行くのか……そ、それは……ダメだぜえええええ!! ゴートゥーヘエエエエルゥゥゥ!!!!」
ちひろ「えー、ダメですかぁ?」
輝子「あ、あのときは……ぷ、プロデューサーに……元気に、なってもらう……ためだったから……特別だ……」
ちひろ「んー……」
ちひろ(チッ……盛りおって……)
ちひろ「まあ、輝子ちゃんがそういうなら仕方が無いですね。学者さんには無理ですって話しておきます……」シュン……
輝子「わ、悪いな……」
ちひろ「さてと、それじゃあ私はちょっと備品の手配してきますので外出しますね。輝子ちゃん、事務所にいるならお留守番お願いします」
輝子「わ、わかった……」
ガチャッ……バタンッ!!
輝子「……プロデューサーが……元気に、なるため……か」チラッ
P『おおっ!? 輝子、お前料理できたんだなー! この炊き込みご飯めっちゃ美味いぞ!』
輝子「……フ、フヒヒ……よ、喜んでもらえて、よかったな……マイフレンズ」
輝子「マイフレンズを、旅立たせるのは寂しいが、トモダチには……元気で、いてもらわないと、な……」
輝子「……」
……
…………
――女子寮
志希「手元にキノコ無し! 徒労感漂う表情! やっぱもらえなかったー?」
ちひろ「はい……残念ながら」
志希「にゃはははは! あーあー、食べさせた相手に何でも言うこと聞かせられるキノコ、調べてみたかったなー」
ちひろ「せっかく金の匂いのする話だと思ったのに……」
志希「でもー、やっぱり調べてみたいなー。ねーちひろさん、どうにかしてそのキノコ手に入らないの?」
ちひろ「無理やりはちょっとマズイですね。見つかったら色々と面倒ですし」
志希「あっちにいた頃と違って、こっちだと研究するのにもお金のこと考えなきゃダメだしさー、ちょっとイイ話しだと思ったんだけどなー」
ちひろ「これ絶対儲かりますよ! だって相手に好き勝手命令できるんですよ!?」
志希「まーホントかどうか、あたしもこの目で見たわけじゃないけどねー」
ちひろ「ぐぐぐ……分かりました。何とかしてキノコを手に入れてきますよ。だから志希ちゃん、手に入ったら……お願いしますね?」
志希「まー、手に入ったらねー。そしたらやるだけやってみるケド」
ちひろ(とはいえ、どうすれば……)
輝子『あ、あのときは……ぷ、プロデューサーに……元気に、なってもらう……ためだったから……特別だ……』
ちひろ(……そうだ)ニヤッ
……
…………
――数日後
P「愛梨、次の現場向かうぞ!!」
愛梨「は、はいっ!」タタタタッ
P「現場近いからいいけど……撮影の仕事入れすぎたか……」
愛梨(ううう……せっかく久しぶりにPさんがお仕事に付き添ってくれてるのに、忙しくて全然お話しできない……)
――
――――
P「蘭子はゲストなのでこの辺りに座らせて……ええ、司会さんの近いところで、なるべく一緒に映るようにように……」
蘭子「迸る絶対的な闇の波動、我の存在を尚も照らす!」
P「蘭子はバラエティだと面白い表情しますからね。色々弄ってもらわないと」
蘭子「ふぇっ!?」
――
――――
凛『これが蒼の力……体中に湧き上がる、これは……!!』
<ハイ、オッケーデース
凛「ふう……」
P「このアニメの声の収録はこれで終わりか? 次は……っと」
凛「ようやくアフレコも慣れてきたかな……ところで、最近休む暇もないね……」
P「なんだかなー……正直しんどいわ」
――
――――
――さらに数日後
藍子「高森藍子のゆるふわらじお、今日ものんびりお話しさせてもらいますね」
P「……」ウツラウツラ
藍子「それでは……と、その前に番組宛にお手紙が届いているので先に――」
P(……いかん、眠い)ゴシゴシ
――
――――
茜「ボンバー!!!!」
ドゴォッ!!
P「ふぐぅっ!?」
茜「いい感じに肩の入ったタックルが出来ました!! プロデューサー、もう一度お願いします!!!!」ドドドドドッ!!!!
P「な、何で俺が茜のスポーツ番組の収録の特訓に付き合うことに……うぐっ!?」
――
――――
裕子「むむむ!!! マジカルサイキックサイエンス……ミラクルテレパシー!!」
P「魔法なのかエスパーなのか科学なのかどっちだよ……収録なんだしもうちょっとこう、それっぽく……」ウトウト
裕子(……おや?)
P「……」ウツラ、ウツラ……
裕子(プロデューサー……)
裕子「……むむむむむ~!!」
――
――――
――事務所
P「……」グッタリ
輝子「プ、プロデューサー……だ、大丈夫、か?」
P「……むり」
輝子「ちゃんと、ね、寝てるか……? 泊まり込みで、お風呂とか、入ってるか? 足、なんだか臭うぞ……」
P「……すまん」
ちひろ「あらあらだいじょうぶですかー? プロデューサーさん、おつかれのようですねー」ススススッ
P「……最近、ハード過ぎやしませんか? いや、絶対仕事詰めすぎだろこれ……身体が持たん」
ちひろ「んー、確かに最近は仕事量が多いですね。特にシンデレラガール……去年の蘭子ちゃんと今年の凛ちゃん」
ちひろ「先月に比べて2人の仕事量は倍になってますね」
P「……無理です。俺1人じゃ絶対無理ですから……人増やしましょうよ……」
輝子「ち、ちひろさん……ど、どうにか、ならないのか? プロデューサー……死にそうだぞ……」
ちひろ「そうですねえ……お休みできるときは寝て、あとは栄養のあるものをしっかり食べないと」
P「そんな暇ないですよ……深夜収録のメンバーだっているんですから……」
ちひろ「んー、難しいですねぇ。どうしましょうか?」
輝子「……」
P「まあ、仕方が無いですよ。みんな表で頑張ってる分、裏方は裏方なりに頑張らなきゃなりませんしね……」
輝子(プロデューサー……大変、か……)
輝子「……プ、プロデューサー」
P「んー……なんだー……?」
輝子「そ、その……また、私の、ご飯でも、た、食べる……か……?」
P「……おー、それ、前に食べた炊き込みご飯か……? 食いたいな……美味かったんだよな……」
ちひろ「……」ピクッ
輝子「じ、じゃあ……たまには、作るか……」
ちひろ「あっ、輝子ちゃん! それじゃあ私もお手伝いしますよ!」
輝子「ち、ちひろさん……いいのか?」
ちひろ「はい! この前は全部用意してもらっちゃいましたからね。今度はお手伝いしますよ」
輝子「そ、それじゃあ、頼む……私は、マイフレンズを……」
ちひろ「それじゃあ私は台所で他のお野菜を切っておきますから」タタタタッ
輝子「わ、わかった……」
ちひろ「……」ニヤァ
……
…………
――1時間後
輝子「ど、どうだ……?」
P「……うん、美味い、美味い……輝子は結構いい嫁さんになるタイプだな」モグモグ
輝子「フッ、フヒッ!? じ、冗談キツイぜ……」
P「いやいや……このご飯、いつ食べても美味いな……毎日食いたいわ」
輝子「そ、それは無理だ……マイフレンズの尊い犠牲が……」モグモグ
ちひろ「……」
ちひろ(プロデューサーさんも、この前は食べてなかった輝子ちゃんもキノコを食べてる……よし)
ちひろ「……あっ! プロデューサーさん、そういえば○○局の方から夕方お電話が来てましたよ!」
P「……えっ? あれ、おかしいな……俺の携帯に掛かってくるもんかと思ってたんですけど」
ちひろ「一応プロデューサーさんの携帯にお電話して下さいとは伝えたんですけど……大事な用事だと困りますし……今すぐ! 廊下に行って電話してください」
ピクッ
P「……そうですね、ちひろさんが言うなら、電話してきます」スッ
輝子「プロデューサー……だ、大丈夫なのか……疲れてないのか?」
P「ちひろさんが言うなら仕方ない。電話してくるよ」
ガチャッ……バタンッ!
ちひろ「……」ニヤッ
ちひろ「あっ、そうそう! 輝子ちゃん」
輝子「な、なんだ?」
ちひろ「今日輝子ちゃんがお料理に使ったキノコ、2つ3つほど私に譲ってください」
輝子「え――」
ピクッ
輝子「そ、そうか……それじゃあ、ちひろさん……こ、これ……」ブチッ……ブチッ……
ちひろ「わっ、ありがとうございます♪」ヒョイヒョイッ
輝子「……ん?」ピクッ
ちひろ「……え?」
輝子「あ、あれ……なんでちひろさんが、ま、マイフレンズを……?」
ちひろ「え……い、いやですねぇ輝子ちゃん! さっき私がお家でも輝子ちゃんのキノコ食べたいってお話ししたら譲ってくれたじゃないですか!」
輝子「あ、あれ? そ、そうだっけ……?」
ちひろ「ええ! 私、お家で食べるの楽しみですよ!」
ちひろ(やっぱり……私が輝子ちゃんに命令したほんの少しの時間、輝子ちゃんの記憶がなくなってる……)
ちひろ(多分、プロデューサーさんも電話している間……命令を聞いている間くらいは記憶がないのかも)
輝子「ま、まあいいや……しっかり、味わって食べてくれよ……」
ちひろ「はーい♪」
……
…………
――女子寮
バンッ!!
ちひろ「志希ちゃん! やりましたよ!!」ダダダッ!!
志希「んー? 何がー?」
ちひろ「キノコですよキノコ! 輝子ちゃんから失敬してきましたよ!」
志希「おおお、ホントに持ってきたんだ。大丈夫なの?」
ちひろ「ちょろいもんですよ。輝子ちゃんがこのキノコを食べたタイミングを見計らってキノコを分けてもらうように命令したんです」
志希「うわー、それ完全に悪者? 鬼? 悪魔?」
ちひろ「何のなんの、これくらい大したことないですよ。それより志希ちゃん、早速これを……」
志希「ふーん……なんかしいたけに似た形してるけど、なんのキノコなんだろね。見たことないや」
ちひろ「形なんてどうでもいいですよ! それより早く調べてくださいよ!」
志希「にゃはははは♪ ちひろさんせっかちー。まあいいや、とりあえず調べてみよーっと♪」
ちひろ「これで志希ちゃんがキノコと同じ効果の薬を作ることができたら……ひひひひ……」
……
…………
――その後
志希「できたーよー」
ちひろ「おおおおっ! ようやくですか……長かったですね」
志希「いつの間にか季節も変わってるしねー。まあ薬作ること考えたら早いくらいだよ」
ちひろ「で、作った薬は大丈夫なんですか?」
志希「バッチリバッチリ。試してないけどダイジョーブダイジョーブ」
ちひろ「ダメじゃないですか……どうしましょう。誰かで実験してみますか?」
志希「え、これそのまま使うの? どこかに売ったりしたほうがいいんじゃない?」
ちひろ「それよりも薬自体を上手く使って一儲けしたほうがいいですよ! 違法性のある薬扱いされたら金稼ぎにもなりませんし」
志希「まーそうだねー。それじゃ誰で実験する?」
ちひろ「そうですね……とりあえず適当に誰か見繕っておきましょうか」
志希「あたしが直接クスリ渡すとみんな怪しむからねー。そこはちひろさんがビシッと決めちゃっていーよ」
ちひろ「わかりました。それじゃあひとまず事務所に戻りますね」
……
…………
――事務所前
ちひろ「……とはいえ、誰に薬を飲ませるか……効果がどれくらい続くのかも確認したいし」
ちひろ「おや? あそこにいるのは……」
蘭子「……」
ちひろ(蘭子ちゃん? 事務所の中をこっそり覗いて……ん?)
輝子「プ、プロデューサー……み、見てくれ、マイフレンズ……また、増えた……」
P「もはや俺の机の下、足の踏み場も無いんだが……」
輝子「そ、そういえば、そうだな……ごめん……」
P「ま、いっか。ほら輝子、今日はご飯作ってくれるんだろう?」
輝子「そ、そういえば、そうだったな……マイフレンズの命を刈り取る日、だったか……」
P「なんだその言い方は……」
輝子「き、きっと、プロデューサーの栄養になれて……満足してくれる、はずだ……」
P「そ、そうか……」
ちひろ(事務所から聞こえてくる声……プロデューサーさんと輝子ちゃんしかいないみたいですけど……)
蘭子「……」カサッ……
……パタンッ
蘭子「……はぁ」
ちひろ「蘭子ちゃん」
蘭子「っひょぉう!?」ビクッ!!!!
ちひろ「そ、そんなに驚かなくてもいいじゃないですか……」
蘭子「み、緑の悪魔……わ、我の領域を侵しつつその存在を掻き消すとは……」ドキドキドキドキ
ちひろ「いやいや、蘭子ちゃんが熱心に事務所の中を覗いてたものですから……」
蘭子「……」シュン……
ちひろ「どうしたんですか? おや、その手に持ってるものは……」
蘭子「わ、我が友……プロデューサーに……おべんと……」
ちひろ「あらあら、可愛い包みじゃないですか。プロデューサーさんにお渡ししないんですか?」
蘭子「き、今日は、ちゃんと渡そうって思って……だ、だけど、プロデューサー……輝子ちゃんと……」
ちひろ「……あー、プロデューサーさん、いまから輝子ちゃんが作るご飯食べる気満々でしたからね」
蘭子「だから、私のお弁当……食べてもらえないかなって……輝子ちゃんのご飯、すごく楽しみにしてるみたいだから……」
ちひろ(あーもー……アイドルのお悩み相談なんてやってる場合じゃ……ん?)
蘭子「もう帰ろうかな……」
ちひろ「……そうだ、蘭子ちゃん。ちょっといいですか?」
蘭子「ふぇ?」
ちひろ「私もあの中に入っていくのはちょっと気が引けちゃいますからね。仮眠室で少しお茶しませんか?」
蘭子「は、はい……」
……
…………
――仮眠室
蘭子「なんで応接室じゃないんだろ……」
ちひろ「応接室はお客さんが来るところですからね。汚しちゃ大変ですから」
コポコポコポ……
ちひろ(このお茶に……薬を……)サーッ……
ちひろ「はい蘭子ちゃん。お茶どうぞ」コトッ
蘭子「あ、ありがとうございます……」スッ……
ちひろ(よし、飲んだ……この後は……)
ちひろ「そういえば蘭子ちゃん、今日はどうしてプロデューサーさんにお弁当を?」
蘭子「そ、その……プロデューサー、ずっとお仕事大変そうで……シンデレラガールの取材でお料理したとき、プロデューサーが褒めてくれて……」
蘭子「だから、お弁当……作ってプロデューサーに食べてもらえたら、元気になってくれるかなって……」
ちひろ「あらあら、プロデューサーさんも隅に置けませんねぇ」ニヤニヤ
蘭子「わっ、我が友にこのことは……! 魂の叫びは封じねばならん!!」
ちひろ「分かってますよ。プロデューサーさんには内緒にしておきますね」
蘭子「ほっ……よかった……ちひ……あ、れ……?」
ちひろ「どうしましたか?」
蘭子「……ねむぅい……ん……」
蘭子「……」
ちひろ「……寝たか」スッ
ちひろ「えっと、確か薬の副作用で、飲んだ後少しの間は寝てしまうって話しでしたね……1時間くらい仮眠室に寝かせておこう」ヨイショッ
蘭子「……」
ちひろ「さーてさて、後は蘭子ちゃんが起きてからのお楽しみということで、長い時間事務所から離れていたし、1度戻っておかないと」
ちひろ(あの2人、まだいるかな……)
……
…………
――事務所
P「それにしても、輝子のこの炊き込みご飯はホント美味いな」モグモグ
輝子「よ、よろこんでくれて何より……作った甲斐が、ある……」
P「しかもこのキノコ、何のキノコなんだ? 前々から思ってたけど見たことないキノコだが……」
輝子「さ、さあ……でも、何度も、育ててる……いつも、一緒にいるマイフレンズ……」
P「ほー……あれかな、輝子の育て方がいいからこんなに美味しいキノコに育ったのかな」
輝子「そうかな……あ、あまり気にしたこと、ないけど……」
P「多分輝子が愛情持って育てたからこんなに美味しいキノコなのかもな。育て方も良いのかもしれない」
輝子「まあ、育てるときは色々気にしてる……」
P「アレだな、特許取れるぞ。美味しいキノコの育て方、的なやつで」
輝子「と、特許になるのか……それ……?」
P「分からん。でもこれだけ美味いキノコなら十分に特許取れると思うんだけどなあ」モグモグ
カチャッ……
ちひろ(なに下らない話してるんだか……育て方なんかより、このキノコの効果そのもののほうがよっぽど特許になって金になりますよ)ソーッ
ちひろ「……ただいま戻りましたー」
P「あ、ちひろさんお帰りなさい」
輝子「お、おかえり……」
ちひろ「あらあら、プロデューサーさんまた輝子ちゃんにご飯作ってもらったんですか?」
P「いやあ、ハマッちゃって……この炊き込みご飯食べてると元気になってくる気がするんですよ」
輝子「そ、そうか……! 元気に、なるか……」
P「ああ、これで明日も頑張れるぞ」
ちひろ「はいはい。ご飯は食べてくださって結構ですから。それよりプロデューサーさん、今日はもうお仕事ありませんよね?」
P「そうですねー。久しぶりに夜に休める日ですよ」
ちひろ「たまにはちゃんと家に帰って、ゆっくり休んでください。プロデューサーさんには早く休んでもらいたいですし、事務所もすぐ閉めちゃいますから」
輝子「よ、よかったな……プロデューサー」
P「すぐ閉めるって……まあ、久しぶりに家に帰れるし別にいいか。ちょっと、輝子のご飯食べ終わるまで待っててください」
ちひろ「もうっ、急いでくださいよ?」
……
…………
――1時間後、仮眠室
蘭子「……ふぁ」
ちひろ「あ、蘭子ちゃん。おはようございます」
蘭子「……ちひろさん?」
ちひろ「大丈夫ですか? 疲れてたのか、寝ちゃっていたんですよ?」
蘭子「ご、ごめんなさい……い、いま何時だろう……」キョロキョロ
ちひろ「まあまあ蘭子ちゃん、時間は気にせず……それより……」
ちひろ「蘭子ちゃん、ベッドから降りて床に座ってください」
ピクッ
蘭子「はい……」スッ
ちひろ(よしっ! ちゃんと薬が効いてる……それじゃあ色々試してみましょうか……)
蘭子「ちひろさん……?」
ちひろ「おっと、それじゃあ適当に……蘭子ちゃん、ずばり聞いちゃいますけどプロデューサーさんのこと好きか嫌いか教えてください」
ピクッ
蘭子「プロデューサーのこと……す、好きです……」
ちひろ「ほー」
ちひろ「なるほどなるほど……んー、それじゃ、どれくらいプロデューサーさんのことが好きなのか教えてください」
ピクッ
蘭子「い、一緒にお出かけしたい……お付き合いや……て、手も、繋いでみたいし……そ、その、えっ、えっ……ち……」モジモジ
ちひろ「あー、はいはい。もう大丈夫ですよ。言わなくても分かるのでそこで終わっていいです。そこまで言うのは恥ずかしそうですね」
蘭子「はい……」
ちひろ(これくらいは大丈夫か……それならもうちょっと頑張って……)
ちひろ「蘭子ちゃん、上着1枚脱いでください」
蘭子「ふぇっ!? ち、ちひろさんが言うなら……脱ぎます」スッ
ちひろ「おおう……」
蘭子「ぬ、脱ぎました……ちょっと、寒いかも……」
ちひろ「……ひ、ひひひひ……」プルプル
蘭子「ちひろさん……?」
ちひろ(すっご……この薬ホント使える……これなら……)
蘭子『い、一緒にお出かけしたい……お付き合いや……て、手も、繋いでみたいし……そ、その、えっ、えっ……ち……』
ちひろ「……そうだ!」ガタッ!!
蘭子「?」
……
…………
――翌日、事務所
バンッ!!
蘭子「闇に飲まれよ!!」
ちひろ「おはようございます。蘭子ちゃん」
蘭子「……あれ、プロデューサーは……?」キョロキョロ
ちひろ「プロデューサーさんなら、凛ちゃんのお仕事の付き添いですよ」
蘭子「そうなんだ……」シュン
ちひろ「蘭子ちゃんは今日、スタジオに行く予定でしたよね? 少し休んでてください」
蘭子「はーい」
ちひろ(さてと……厄介払いは済ませてるし、適当なタイミングで……)スススッ
蘭子「愚かなり我が友……傷ついた悪姫のそばを離れるなど……」ブツブツ……
ちひろ「……蘭子ちゃーん、蘭子ちゃん?」
蘭子「ちひろさん? どうしたんですか?」
ちひろ「ちょっと落ち込んでいるみたいだったので……どうしたのかなと」
蘭子「あう……そ、そのようなことは……」
ちひろ「……もしかしてー、プロデューサーさんのことですか?」
蘭子「ひぐぅっ!? そっ、その話しは……!」ブンブン!!
ちひろ「大丈夫ですよ。いま事務所には私しかいませんから、ね?」
ちひろ(この様子だと、昨日薬を飲んだ後の記憶はやっぱりないみたい……よかった)
ちひろ「悩みがあるなら、私でよければ相談に乗りますよ?」
蘭子「で、でも……」モジモジ
ちひろ「……私はみなさんと違ってただのしがない事務員ですからね。こうしてお悩み相談するのだってお仕事のうちなんです」
ちひろ「それに、昨日の蘭子ちゃんの様子を見てたら、私だって気になっちゃいますし……」チラッ
蘭子「う、ううう……」
ちひろ(早く喋れよ……)
蘭子「さ、最近……プロデューサーが一緒にお仕事に付いて来てくれる機会が減ってきて……」
ちひろ「ふんふん」
蘭子「凛ちゃんが、新しいシンデレラガールになってからは凛ちゃんに付きっきりの日が多くて……」
ちひろ「ほー、ほー」
蘭子「なんだか、凛ちゃんにプロデューサーを取られちゃった気分になって、それで……」
ちひろ「そうですかー」
蘭子「だけど、私に付きっきりだったときも、プロデューサーはとっても忙しいし、ワガママは言っちゃダメだから……」
ちひろ(ま、蘭子ちゃんがシンデレラガールになった年は愛梨ちゃんが同じ目に遭ってるんですけどね)
蘭子「それで、昨日……オフの日だったから、プロデューサーにお弁当食べてもらって元気になってもらおうって」
ちひろ「だけど、タイミング悪く輝子ちゃんに先を越されちゃったってことですね……」
蘭子「あう……」
ちひろ「んー、そうですねえ……確かに、最近プロデューサーさんと凛ちゃんはいつも一緒にいますね」
ちひろ「事務所ではよく輝子ちゃんと一緒にいますけど……やっぱりその年のシンデレラガールは事務所の稼ぎ頭ですからね」
蘭子「もう1回シンデレラガールになりたかったな……」
ちひろ「まあ、仕方が無いですよ。……あっ、そうそう」
蘭子「?」
ちひろ「そういえば、この前、昼間に買出しに駅前に行ったときに……プロデューサーさんと凛ちゃんが2人でお買い物してるの見かけましたね」
蘭子「え……」
ちひろ「随分仲良さそうにしてましたし、買い物も凛ちゃんが着る服を見ていたみたいで……あれはビックリしましたねー」チラッ
蘭子「……」グスッ
ちひろ(ま、普通に考えて仕事があるのに昼間から買い物なんて暢気なことできませんけどね)
蘭子「プロデューサー……」シュン……
ちひろ「でも……大丈夫ですよ!」
蘭子「ふぇ?」
ちひろ「実はですね……私こんなものを持ってるんですよ」スッ
蘭子「……お薬?」
ちひろ「ええ、なんとこのお薬……飲ませた相手に何でも言うことを聞かせちゃう薬なんです!」
蘭子「……」
ちひろ「……その顔、信じてないですね?」
蘭子「だって……そんなお薬なんてあるわけないもん」
ちひろ「まあ、誰だってそう言いますよね。でも蘭子ちゃん、この薬がもし本物だったら……どうしますか?」
ちひろ「プロデューサーさんに、何でもやってもらえるんですよ? いつもお仕事に付き添ってもらったり、デートしてもらったり……」
ちひろ「……えっちなことしたり、とか」
蘭子「えっ、えええええっ……ち……!」
ちひろ「でもなー、蘭子ちゃんはお薬のこと信じてくれませんでしたからねー。これどうしよかなー」
蘭子「あっ、あう……」
ちひろ「でも、ホントに最近はプロデューサーさんと凛ちゃんは仲良さそうですからね。あれはまるで……こ――」
蘭子「ちっ、ちひろさん……!」
ちひろ「……」ニヤァ
ちひろ「はい?」
蘭子「そ、その、お薬……」プルプル……
……
…………
――夕方、事務所
輝子「キノコー、キノコー……ボッチノコー、ホシショウコー……」
ちひろ「輝子ちゃーん」ヒョコッ
輝子「な、なんだ……ちひろさん、どうした……?」
ちひろ「実は、輝子ちゃんに謝らなきゃならないことと、お話しが1つあるんです」
輝子「へ……?」
ちひろ「この前、輝子ちゃんかキノコを頂いたじゃないですか? あのキノコ、前に話していた知り合いの学者さんに1つお渡ししたんです」
輝子「そ、そうなのか……」
ちひろ「せっかく頂いたのに申し訳ないと思ったんですけど……何とですね、ここからが輝子ちゃんにとって、とってもいいお話なんですけど……」
ちひろ「どうやらあのキノコ新種みたいで、とっても栄養価の高いキノコみたいなんです!」
ちひろ「プロデューサーさんが、あのキノコを食べたらすごく元気になるって言ってたのは、とっても栄養豊富なキノコだったからなんですよ!」
輝子「そ、そうだったのか……さすが、マイフレンズ……!」
ちひろ「それでですね、プロデューサーさんの体調のことも学者さんに話してみたら、輝子ちゃんから頂いたキノコの成分を詳しく分析して、お薬を作ることができれば……」
ちひろ「プロデューサーさんの体調管理もしやすくなって、元気になれるみたいなんですよ!」
輝子「お、おおおお……」
ちひろ「なので、輝子ちゃんには申し訳ないとは思っているんですけど……プロデューサーさんのために、またあのキノコを分けて頂けたらなあって思いまして……」
輝子「そ、そうなのか……でも、昨日料理に使った分で、マイフレンズは品切れなんだ……また、育てないと……」
ちひろ「それでも大丈夫ですよ! 学者さんは前にお渡しした分のキノコで色々分析しているみたいですから。ただサンプルとしてもう少し欲しいみたいで……」
ちひろ「プロデューサーさんのために、またあのキノコを育ててくれませんか?」
輝子「プ、プロデューサー……」
P『多分輝子が愛情持って育てたからこんなに美味しいキノコなのかもな。育て方も良いのかもしれない』
P『この炊き込みご飯食べてると元気になってくる気がするんですよ』
P『輝子は結構いい嫁さんになるタイプだな』
輝子(プロデューサー……美味しかったって、元気になるって……そ、それなら……)
輝子「……わ、わかった……トモダチには、元気になって……もらいたいから、な……」
ちひろ「そうですよね! 私もプロデューサーさんには元気になって頂きたいですし……輝子ちゃん、頑張ってプロデューサーさんに元気になってもらいましょう!」
輝子「あ、ああ……それじゃあ、またマイフレンズを育てるから……収穫したら、ちひろさんに、渡してあげる……」
ちひろ「はいっ、それじゃあお待ちしてますね!」
ちひろ(さてと……あとは夜に事務所にいるプロデューサーさんのところに蘭子ちゃんが来れば……)
……
…………
――夜、事務室
『あっ! あんっ……プ、プロデューサー……わ、私に、もっと……』
『あ、ああっ……蘭子、蘭子……ああ……気持ちいいぞ……』
『ふぁっ! こ、このまま、最後まで……私と一緒に……』
ちひろ「あーっはっはっは!! ホ、ホントに薬使ってヤることヤっちゃって!!」ケラケラ
ちひろ「カメラの映像だとこれもう完全に援交だし! ひひひひ……さ、最近の子供ってホントませちゃってまぁ!」
志希「ちょっとちょっとー、ちひろさん笑いすぎてカメラの音聞こえないー」
ちひろ「だって蘭子ちゃんも輝子ちゃんも、私が適当なこと喋っただけで簡単に騙されるんですから、そりゃあ可笑しくて笑いもしますよ!」
ちひろ「ら、蘭子ちゃんたちも、あ、あんな安月給の何がいいんだか……もうプロデューサーさん、蘭子ちゃんのヒモにでもなったほうがいいいんじゃないですかね?」
志希「まーまー、それでアレ録画したヤツ売るんだよね? ちゃんと稼げるのー?」
ちひろ「そりゃあ元シンデレラガールのAVですよ? 欲しがってる人も結構いますからね、人を選んで慎重に売ればいい感じに稼げますよ」
志希「それならいいけどー、もうキノコ無いよ? これ売っただけだとあんまりお金にならないんじゃないの?」
ちひろ「大丈夫ですよ。またキノコはもらえばいいんですから。今頃なーんにも知らない輝子ちゃんが、私に騙されて必死で新しいキノコ育ててますからね」
志希「にゃははは♪ それならいっかー。あの薬ももっと改良したいからねー。次のキノコが来るの楽しみーに待ってよっか」
ちひろ「ホント、プロデューサーさんのためにあのキノコを育ててるつもりが……」
ちひろ「プロデューサーさんのキノコを蘭子ちゃんに咥えさせるためにキノコを育ててるなんてバカみたいですよねぇー!」
志希「おー、下ネタだー。結構オヤジっぽい発言だったよそれ」
ちひろ「ひ、ひひひひひ……これなら仕事の合間にでも十分金になる……あっ、あっはははは!!」
……
…………
――女子寮
輝子「プ、プロデューサー……わ、私が、元気にさせてやるからな……」シュッ、シュッ……
輝子「マイフレンズも……立派に育って、な……それで、一緒にプロデューサーを、元気にさせてやろう……」
P『アレだな、特許取れるぞ。美味しいキノコの育て方、的なやつで』
輝子「元気に……育て、よ……マイフレンズも……」
輝子「それで……元気になったプロデューサーと、ま、また……ご飯、食べよう……」
輝子「……プロデューサーを元気にする、マイフレンズを育てることが、で、できるのは……」
輝子「わ、私だけの……特許、だからな……」
……
…………
完
ところで何で検索すれば過去作出るの?
>>76
1作目 愛梨「私だけの特権」
2作目 藍子「私だけの特権」
このSSまとめへのコメント
ひゃー(心肺停止)