店屋「俺は旅の店屋」 (10)

店屋「俺は旅の店屋、様々なモノを取り扱っております、お客様の懐具合と応相談致します」

店屋「お客様がいるなら例え砂漠の町雪国の町、どこにでも参ります、さぁ今日もお仕事お仕事」

店屋「おやあっちから店を呼ぶ声が、今参ります!」

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戦士「しまった剣が!」ボギィ

魔物「グフフフフその程度か人間よ?腕はそれなりに立つようだが、俺様に挑むにはそんな銅の剣などでは全く足りぬようだったな」

戦士「くそっせめてさっきの町で買い物してから来るんだった……何か!何かないか?」

魔物「グフフフフここに武器などあるわけがないだろう」

戦士「くそっ武器が!マトモな武器さえあれば!」

魔物「さぁ終わりだ」

戦士「誰か!誰でもいい!武器を!武器をくれ!」


店屋「はいかしこまりました」


戦士魔物「「え?」」

店屋「武器をお求めですね?では失礼して、そうですねお客様の様子からして、この辺でしょうか?」ゴソゴソ

戦士「えっ?誰?」

店屋「いらっしゃいませ、ここは旅の店屋です、お客様にお勧めなのはこちらの三点ですね」

店屋「一般的に普及されている剣No.1!お手頃安心安定!多くの国の兵士達も愛用している『鉄の剣』!お値段800Gとなっております」

店屋「次に鉄の剣は不安だ!更なる強さをほしい!より優れた武器を、そんなお客様にお勧めなのはこちら『鋼の剣』、鉄の剣よりも強く硬くそれでいて重さもほとんど変わらず、ですがお値段もその分お高め2400Gとなっております」

店屋「次に普通の剣では面白くない、お金に余裕があるというお客様にお勧めなのはこちら『雷の剣』鋼の剣をベースに雷の魔法を込めて切れ味と振りの速さを高めたこの逸品、ですがお値段お高めの7500Gとなっております」

店屋「さぁお客様?こちらの三点がただいまお勧めでございます」

戦士「えっと?何?」

店屋「お客様先程武器をくれとおっしゃいましたよね?」

戦士「え?言ったけどそりゃ」

店屋「ですので私がこうして売りに来た訳です」

魔物「はっ貴様!邪魔をするな!」バッ

店屋「いやそちらこそ商売の邪魔をしないで下さい」カキンカキン

戦士「片手でいなして」

店屋「さぁお客様、どちらをお求めになりますか?」

戦士「えっ?えっとじゃあ、お金あまりないから鉄の剣で」

店屋「かしこまりました鉄の剣でございますね?800Gになります」カキンカキン

戦士「あっはい」チャリン

店屋「はい確かにではこちらをどうぞ、ここで装備していかれますか?」カキンカキン

戦士「はい」ソウビ

店屋「はいではまたのご利用をお待ちしております」スタコラ

戦士「……」

魔物「……」

戦士「はっかっ覚悟!」ズバァ

魔物「ぐうっ」ドシャア

戦士「かっ勝った!……何だったんださっきの……」

店屋「俺は旅の店屋、お客様がいるなら洞窟の奥でも戦闘中でも参ります」

店屋「おっと今度はあちらから店を呼ぶ声が、今参ります!」

盗賊「なんてこった……罠にかかって道が分からなくなっちまった……どこから抜け出せるんだこの洞窟は」

盗賊「せっかく宝を手に入れたのに、出られないんじゃ意味がねぇよ、くそっこんな時に道が分かるモノがあれば!誰かいねえのかよ!」


店屋「はいかしこまりました」


盗賊「うおっ?」

店屋「道にお迷いですね?ではこちらの三点がお勧めですよ」

店屋「古今東西迷ったらこれ!『洞窟の地図』!これさえあればもう迷わない!様々な冒険者や勇者も愛用してきた安価かつ頼れる地図!今回特別に罠とお宝の場所を書き記しておきました、こちらの商品50Gとなっております」

店屋「次はこちら、地図をのぞき込むのが面倒だ、沢山持ってたらかさばる、そもそも地図を見るのが苦手だ、そんなお客様にお勧めなのがこちら『旅人の水晶』、これ一つで世界中の地図を見ることができ、目的地までを光で導いてくれるナビゲート付き、ですが当然お値段お高めの9500Gとなっております」

店屋「次はこちら、道を知るよりもとりあえず外に出れさえすればいい、そんなお客様にお勧めなのがこちら『魔法の糸車』、使い方は簡単こちらの糸を引っ張ると魔法が発動し一瞬で外に脱出出来ます、ただいまセール中でして、お値段100Gの所、こちら三本セットで250Gとなっております」

店屋「さぁお客様?こちらの三点がただいまお勧めでございます」

盗賊「えっ?えーと?」

店屋「お客様ただいま道にお迷いですよね?そして誰かいないかとおっしゃいましたよね?ですから私がこうして売りに来ました」

盗賊「あっああー?えっととりあえず……地図いや、どうせここにはもう用はないよな?でもお宝がまだ残ってる可能性も……よし!地図と糸車をくれ!」

店屋「かしこまりました、それでは合わせて300Gでございます」

盗賊「ほい」チャリン

店屋「はい確かに、それではこちらをどうぞ」

盗賊「おおっなるほどここから出られるのか」

店屋「それでは私はこれで」スタコラ

盗賊「あぁありが……あいつに付いてけば出れたじゃん!……あっここにまだ宝があるのか?一応確認しとくか」

店屋「俺は旅の店屋、品揃えはどこよりも豊富、お客様がお求めになるならどんなモノでもご用意いたします」

店屋「おっと今度はあちらから店を呼ぶ声が、今参ります!」

勇者「はぁはぁ……くそっ後一歩なのに」

僧侶「もう魔力が……」

武闘家「体力も限界だ……」

魔王「ハッハッハッ勇者よここまでだな、よくぞこの私をここまで追い詰めたものだ、だが最後に笑うのはこの私だ!さぁこの一撃で終わらせてやろう!」

勇者「体力も魔力も底を尽いて、万事休すか……せめて体力や魔力を回復出来れば、何か……誰か!」


店屋「はいかしこまりました」


勇者僧侶武闘家魔王「「「「えっ?」」」」

店屋「回復ですね?それではお泊まりとご休憩のどちらになさいますか?」

勇者「えっ?」

店屋「一応回復用のアイテムもございますが、全員分となりますとどうしてもお高めになってしまいますので、こちらの宿屋での回復をお勧めいたしますが」

武闘家「やっ宿屋?ここ魔王の城だぞ?」

店屋「お客様がいらっしゃるならどこにでも行くのがウチのモットーですので」

僧侶「と言うか今まさに魔王との戦いの最中ですよ?そんな休む暇なんて」

魔王「そうだ!貴様も邪魔をするならまとめて滅ぼしてくれるわ!火炎魔法!」ボウッ

店屋「あっ今接客中ですのでおやめください」ボフッ

魔王「何!?私の魔法をかき消しただと!」

店屋「えーそれではどういたしますか?お泊まりですと一晩かかりますが完全に回復できます、ご休憩ですとおよそ半分程回復しますがお時間は短く今からですと夜までとなります」

勇者「えっと……じゃあ……泊まりで?」

武闘家「大丈夫なのか?」

僧侶「多分?」

魔王「でえい!私を無視するな!」ボウッ

店屋「はいかしこまりました、それではお泊まりですと一晩20Gとなっております」ボフッ

勇者「はい……」チャリン

店屋「確かに、ではこちらの簡易宿泊施設でお休みください」ボフッボフッ

チャララララララン

勇者「回復したけど……」

魔王「くそっそこをどけ!」ブンブン

店屋「お客様がお泊まりですので無理です」ヒョイヒョイ

武闘家「……えー」

店屋「あっお客様夕べはお楽しみでしたね」

僧侶「なっしてませんそんなこと!」

勇者「落ち着け僧侶!」

店屋「はい、ではまたのご利用をお待ちしております」スタコラ

魔王「あっ待て!」

武闘家「……とりあえず続きするか?」

魔王「……フッフッフッ、さぁ勇者よ?私と手を組んで世界を」

勇者「くらえ!」ズバァ

魔王「ぐぉっおのれ!おのれ!あの商人が!アイツさえいなければ!」

僧侶「わっ私と勇者はまだそんな関係じゃってまだっていうかそもそも」

武闘家「おーい戻ってこい僧侶!」ガスガス

魔王「ぐぬおおおおー!」

店屋「俺は旅の店屋、どんな場所でも宿屋にお泊まりいただけます、魔王城でも魔王との戦闘中でも、もちろんお休みの間の安全は保証いたします」

店屋「おっと今度はあっちから店を呼ぶ声が、今参ります!」

店屋「おっと失礼しました、お客様も何かご入り用でしたらお呼び下さい、それでは失礼、今参ります!」スタコラ

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