夕方
グラウンド
恭介「よし、今日はここまでだ」
理樹(僕らはいつも野球の練習を切り上げた後は西園さんのお茶を貰うことになっている。しかし、今日はいつものようには行かないだろう。何故なら…)
西園「直枝さん。お疲れ様です」
理樹「うん、ありがとう西園さん」
ゴクッ
理樹「グ、グフ!!」
西園「……?」
理樹「あ……あ、ああ……!!」
バタンッ
理樹「……………………」
理樹(安心してほしい。僕は全くもって身体に異常はない。むしろ絶好調過ぎて顔がにやけそうになっている。では何故倒れているのか?それはすべて西園さんをドッキリでハメる為だ!)
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理樹(ほぼ限界で薄眼を開けた。そこには心配そうに駆け寄るみんなのシルエットが写っていた)
西園「直枝さん…?」
恭介「おい!どうした理樹!」
真人「な、何が起こったんだ!?」
謙吾「ん?なにをそんなに騒いで……ハッ!」
クド「り、リキー!?」
理樹(みんな期待通りのリアクションを取っていてくれている。あの疑り深い西園さんも充分すぎるくらい引っかかっていた。よし、ここからだぞ!)
恭介「なにがあった西園!?」
西園「…分かりません…急に私のお茶を飲んだかと思うと倒れてしまって……」
葉留佳「フッフッフッ………皆さん甘いですナァ。大甘ですヨ !」
理樹(と、辺りが混乱しているところに葉留佳さんが自信満々の笑みでこちらに近づいた)
恭介「甘い?一体どういう意味だ」
理樹(深刻な状況で意気揚々としている葉留佳さんに恭介は怒りを覚えているようだ)
葉留佳「やーやーそんな顔しないしない!まあ、見ててくださいっスよMr.キョウスケ!あっしはこういう事ばかりやってるから知ってるけど今の理樹君は仮病を使ってるんですヨ!ズバリ寝たふり!」
恭介「な、なんだと!?」
理樹(そう宣言するが早いか留佳さんは僕の顔まで接近してじーっと睨み込んだ)
理樹「……………………」
葉留佳「……………………」
恭介「ど、どうだ……?」
葉留佳「……………皆さん、理樹君は…」
理樹(葉留佳さんの言葉にみんなが真剣に耳を傾けた)
葉留佳「………………し、死んでる…」
理樹(そう。実はこの葉留佳さんも仕掛け人である)
西園「!」
恭介「ば、馬鹿な!ありえない!たかがお茶を啜ったくらいで……っ!!」
理樹(流石に1人でこのドッキリを完遂出来るとは思えなかった。なのでイタズラと言えばこの人。この人をスカウトして成功率を格段に上げる事としたのだ)
……………………………
今日の朝
理樹「~~~という訳なんだ。葉留佳さんも手伝ってくれないかな」
葉留佳「ナルホドー!そういう事ならこのはるちんに任せんしゃーい!ズバッと名演技をキメますヨッ!」
理樹「うん、ありがとう!葉留佳さん」
……………………………
真人「…おい三枝、そいつはちと冗談にしちゃ悪趣味なんじゃねえか?」
葉留佳「いや、本当だよ!本当にデスアンドダイですヨ!?」
西園「な、直枝さん………」
真人「そんなの信じられる訳ねえだろ!理樹とは何年来の付き合いだと思ってんだ!」
謙吾「やめろ真人。三枝に当たるな」
真人「チッ…分かったよ」
葉留佳「う………」
真人「じゃ、俺が代わりに確認してやっからよ。こう見えても昔からこの目で見ねえと信じられないタチでね」
理樹(と、今度は真人が近づいて来た)
真人「なあ理樹…嘘なんだろ?さ、帰って一緒にカツ丼でも食おう…………」
恭介「ど、どうした真人?」
真人「………………………し、死んでる」
理樹(そう。実はこの真人も仕掛け人である)
……………………………
今日の朝
理樹「うん、ありがとう!葉留佳さん」
「その話、俺も乗るぜ?」
理樹「そ、その声は真人!」
真人「理樹がそんな事を考えてたなんてな…俺はそういう方面についてはよく分からねえが俺に出来ることなら協力は惜しまないぜ!」
理樹「ま、真人…!君まで!」
………………………………
理樹(という訳で真人にも僕を亡き者扱いしてもらってみんなを二重に騙そうと試みたのだ。まずこれでまだ疑う人は少ないだろう)
恭介「ば、馬鹿な!ありえない!たかがお茶を飲んだくらいで……っ!!」
謙吾「真人……お前までそんなこと言うなんて…」
真人「しかし本当にそうなんだから他に言えることなんてねえし………………」
謙吾「いいや、お前ら2人はそもそも信用ならん。だいたい理樹が死んだなんてどうやって分かったんだ?」
理樹(謙吾が決定的な正論をぶつける)
真人「そ、それは……ど、瞳孔が開いてたとか?」
恭介「目は閉じていたぞ」
葉留佳「心臓の鼓動が聞こえなかったーー…みたいな?」
来ヶ谷「普通は近づくだけでは聞こえんな」
謙吾「ええいどけ!」
真人「あっ、やめろ謙吾!」
謙吾「こんな茶番は俺が終わらせてやる!さあ起きろ理樹!」
理樹(僕の肩を揺さぶってくる謙吾。しかし当然反応はしない)
謙吾「あくまでそうするつもりか…ならば俺が直接脈をとって生きている証明をしてやる!」
理樹(そうして指を僕の手首に押し付ける謙吾)
謙吾「……………………」
恭介「どうだ謙吾?」
謙吾「……………………」
恭介「……………謙吾?」
謙吾「……………し、死んでる」
理樹(そうなのだ。実はこの謙吾もまた仕掛け人である)
……………………………
今日の朝
理樹「ま、真人…!君まで!」
「真人だけにいい格好をさせる訳にはいかないな…」
理樹「そ、その声は謙吾!」
謙吾「幼馴染のよしみだ。今回はかつてロマンティック大統領と謳われたこの宮沢謙吾がお前を全力でサポートしよう。さ、いったいなにをすればいいのか言ってみるといい」
理樹「優しい友達を持って僕は幸せだ……」
……………………………
理樹(かくしてさらに優秀なサポーターの三段構えになった。この布陣なら万が一にもバレることはないだろう)
恭介「ば、馬鹿な!ありえない!たかがお茶を頂いたくらいで……っ!!」
西園「直枝さん……そんな……」
来ヶ谷「はあ……」
理樹(しかし、その中に1人異論を唱える人がいた。そうだ…万が一にもバレなくとも、ここに100万力の人物がいたのだ…)
来ヶ谷「……揃いも揃って馬鹿ばかりだな……いったいなにがしたいんだ?」
真人「したいとかそういうんじゃねえ!理樹はなぁ……理樹はなぁ……!!」
謙吾「おうとも!…理樹は…認めたくはないが……くうっ!!」
葉留佳「そーだそーだ!」
来ヶ谷「……話にならん。どけ、邪魔だ貴様ら」
真人「な、なんでどく必要があるんだよ!もうちょっとだけ死に目を見させてくれよ!」
謙吾「そうだ!疑い深い人間が濁った感情で理樹に近づくな!」
葉留佳「そーだ!そーだ!」
来ヶ谷「いや……まったくもって意味が分からんのだが…一つ分かるのは貴様らが3馬鹿筆頭だという事だけだ」
理樹(……………………)
来ヶ谷「……………」
真人「は、離れやが……グハァッ!?」
理樹(近づいてくる来ヶ谷さんを止めようとした真人は華麗に避けられて、逆に足を引っ掛けられ、盛大にずっこけた)
来ヶ谷「そもそもこんなしても美魚君をいたずらに不安がらせるだけだろう…見ろ、今彼女は自分のお茶が原因じゃないかと思っているぞ」
西園「………で、でも直枝さんがし…死んでしまったのは…私の……私の…」
来ヶ谷「安心したまえ。きっと少年は何かしら死んだふりをしたくなったんだろうがそんなもの私が見破ってやる」
理樹(と、怯える西園さんに優しく諭す来ヶ谷さん)
謙吾「ウオルァァアアアア!!!」
理樹(突然背後から大人気なく襲いかかる謙吾)
来ヶ谷「ふんっ!」
謙吾「げほぁっ!」
理樹(そしてカウンターの回し蹴りで散った)
葉留佳「あ…あ…あ……」
来ヶ谷「どれ………」
理樹(強引に僕の瞼を開けて瞳孔を確認する来ヶ谷さん。ところで葉留佳さんは助けてくれないらしい)
来ヶ谷「さて、そろそろ化けの皮をはがすんだ理樹く……」
来ヶ谷「………………………………」
恭介「ど、どうした来ヶ谷……?」
小毬「ゆ、ゆいちゃん?」
来ヶ谷「…………し、死んでる……」
理樹(実はこの来ヶ谷さん。ここまでやっといて仕掛け人である)
…………………………
今日の朝
理樹「優しい友達を持って僕は幸せだ……」
「ふっ、優しいだけじゃ問題は解決出来ないよ少年。障害はよりスマートに取り除くべきだ」
理樹「そ、その声は来ヶ谷さん!」
来ヶ谷「うむ。日頃のお茶に付き合ってもらっている礼だ。これくらいの恩返しはしておかないとバチが当たるだろう」
理樹「今僕は猛烈に感動しているよ……」
…………………………
理樹(という訳でもはや作戦は鉄壁の布陣となった。これを崩せる人間はまずいない)
恭介「ば、馬鹿な!ありえない!たかがお茶を召したくらいで……っ!!」
西園「う、うう……」
鈴「嘘だ!そんなことあるはずがない!理樹が…理樹が!」
ダダダッ
小毬「あっ、鈴ちゃん!」
クド「私も行くです!リキとこんな納得のいかない別れ方なんてありえません!」
来ヶ谷「しまっ……!」
理樹(10年に一度あるかどうかという来ヶ谷さんの一瞬の隙を突いて3人が僕の元へ群がってきた)
クド「リキ~そろそろ目を開けるです!ぷりーずおーぷんゆあーあいず!」
小毬「こしょこしょしたら起きるよねえ…?」
鈴「起きろアホ理樹!」
理樹(なにやら色々と3人から揉みくちゃにされた)
クド「わふ…………」
小毬「ほあ…………」
鈴「な……………」
恭介「ど……どうだった?」
クド・小毬・鈴「「「…………し、死んでる………」」」
理樹(実はというかなんというか、御察しの通りみんな仕掛け人である)
…………………………
理樹「僕は今猛烈に感動しているよ……」
「よく分からないけど私も参加するよ~」
「小毬ちゃんがそう言うなら私もする」
「わふー!これぞ、じゃぱにーずふれんどしっぷかるちゃーなのです!」
理樹「き、君たちまで!」
小毬「うーんとりあえずみんなの真似をすればいいの?」
鈴「理樹を死んだと思えばいいのか」
クド「ドッキリなんて初めてで上手くやれるかドキドキしますっ」
理樹「オウ、イッツアビューティフォー…!」
…………………………
理樹(もはや約束された成功である。これを狂わせるのは並大抵の人間には不可能である)
恭介「……どうやら西園……まともなのは俺たちだけかもしれねえぜ……」
西園「で、でも直枝さんが本当に死んでしまったということも………」
恭介「そんなわけあるか!いや、あるはずがねえ!俺は信じないぞ…たとえお前がこれからまた理樹の死亡を確認したと言っても信じてやるもんか……」
理樹(恭介の息は凄く激しくなっていた。そう、ここにはまだその並大抵ではない人間が1人いたのだ)
恭介「お前ら……もしも嘘をついていたら全員ゲンコツだからな」
「「「!!」」」
理樹(これにはその場の全員が驚いた。何故なら恭介の声のトーンがいつもとはかけ離れたものだったからだ。そう______恭介は本気で切れてしまったのだ。恭介ならみんなの嘘を嘘であると見破るのは容易い)
恭介「……………すまん西園。これ持っててくれないか」
西園「は、はい……」
理樹(いつもとは違う険しい形相で西園さんにタオルを渡す西園さん。滅多に感情を露わにして怒ることがない恭介がとうとうその姿を現した)
恭介「…………………」
「「「…………………」」」
理樹(無言の圧力にどんどん道を開けていってしまうみんな。そして遂にその進撃は歩みを止め、僕の元にしゃがみ込んだ)
恭介「理樹………今ならもう全部水に流すから悪趣味なドッキリなんかやめて早く起きろ…な?」
理樹「…………………」
恭介「そうか……それでも起きないか………なら……」
恭介「…………………」
西園「き、恭介……さん?」
恭介「…………し、死んでる…………」
理樹(実は西園さん以外全員仕掛け人である。ここまで全部茶番である)
………………………
今日の朝
理樹「オウ、イッツアビューティフォー…」
「みんな揃ってるな…」
理樹「!」
「絶好のタイミングで戻ってきたようだな」
理樹「恭介!!」
恭介「理樹…今はお前がリーダーだ。俺にやれることならなんでも命令しな!」
理樹「やっぱりリトルバスターズは…最高だ!!」
…………………………
理樹(もはやバレるバレないとかそう言う問題ではなかった。西園さんが今日風邪とかで休まないかとかそういう心配だけしてればよかった)
西園「そんな………」
恭介「残念だ西園……どうしてかは分からないが…俺たちは理樹を……クソッ!」
謙吾「気にやむな西園。お前のせいじゃない」
小毬「そうだよ美魚ちゃん…きっと違うよ」
来ヶ谷「美魚君…君は最近特に理樹君と仲が良かったというのにな…」
鈴「みお……相談ならいつでも乗るからな」
クド「美魚さん。私も辛いです…でも共に乗り越えましょう…」
真人「西園………」
葉留佳「みおちん…辛かったら私に言ってね…」
西園「…………はい…ありがとうございます皆さん」
恭介「とりあえず俺たちは救急車や人を呼んでくる。西園はそれまで理樹と一緒にいてやってくれ…」
西園「分かり……ました…」
理樹(さあ、ここからが本番だ)
………………………
今日の朝
理樹「さて、今回の作戦の流れを話すよ」
葉留佳「はーいはーい!」
理樹「はい、葉留佳さんどうぞ」
葉留佳「その作戦の途中で全然関係ない人達が来たらどうするんですカ?」
理樹「いい質問だね。答えは『そもそも来ない』だよ。うちクラスの人に何枚か握らせて人払いを頼んでおいたから」
真人「徹底してんな……」
理樹「じゃあ話を戻すよ。まずは僕が突然倒れる。そしてみんなが交互に僕の死亡を確認するんだ。迫真の演技で頼むよ」
謙吾「よし任せろ!」
恭介「おうとも!」
理樹「そしてなにか理由をつけて死んだふりをしている僕と西園さんを残していくんだ。そしてドッキリ成功のプラカードを持って機会をいかがっておいて」
鈴「うーん…それはいいんだが…」
理樹「いいけど?」
鈴「なんでそんな事してまでみおを騙そうとするんだ?」
理樹「ああ…そっか、鈴は結局聞いてなかったね。それは…」
………………………
理樹「……………」
美魚「直枝さん……嘘でしょう?」
美魚「…………直枝さん……突然こんなのはナンセンスです…っ…私は…私はまだ貴方に大事なことを言っていない…」
………………………
理樹「西園さんにその…まだ言ってもらったことないんだ。好きだっていうことを」
鈴「!!?」
恭介「ヒューヒュー!」
理樹「知っての通り僕らは(多分)付き合っているんだけどさ、結局まだ一度も言ってもらったことないんだよ。この調子だとひょっとすると死ぬまで言ってもらえないかも…」
理樹「だから一層の事、死んでみたら西園さんも僕に一言くらい言ってもらえるかなーって……」
鈴「こいつ馬鹿だ!」
恭介「馬鹿で結構だ。……だろ?理樹」
理樹「うん。だから今回は好きって言ってもらえるために全力を捧げる!みんなついて来てくれる?」
「「「オオーーッ!!」」」
…………………………
理樹「………………」
理樹(さあ、という訳で今、その成功の一言が発せられる瞬間である。どこかで潜んでいるみんなの喉が生唾を飲み込む幻聴が聞こえた)
理樹(そして遂に西園さんが僕の隣に座って語り出した)
西園「私は……直枝さんにこの気持ちを伝えるため、洒落た海外文庫の台詞や時には慣れない恋愛小説を読んで勉強していました」
西園「……しかし、そんなことをしているのも結局無駄でしたね。気付きました…思いを伝えるならたった一言、シンプルな一言で充分だったんですね」
西園「直枝さん……これまであなたにしっかりした形で言えずにごめんなさい。これまで色々な後悔を経験してきましたが、今回は…私も耐えきれそうにないです……」
理樹(…………………)
西園「直枝さん…ずっとあなたのことが……」
理樹(頭の中でファンファーレが鳴り響いた。遂にやり遂げたんだ!)
西園「…………ごめんなさい。やっぱり言いません。これは私も貴方と同じ所に着いた時までこの言葉は取っておこうと思います…」
ガサッ
恭介「はぁー!?」
真人「なんだとぉ!?」
謙吾「嘘だろ……」
葉留佳「ええぇーーっ!!?」
鈴「おーまーいーがっ」
クド「わふー!?」
小毬「ほ、ほぇえ!?」
来ヶ谷「はっはっはっ!」
理樹「………………いやいやいやいやいやいや!!!」
理樹(西園さんの結論が出てからあちこちの物陰に隠れていたみんなが一気にずっこけた。死んだふりも忘れて僕も思わず突っ込んでしまった)
理樹(まさかそんな話になるなんて…。いや、確かに西園さんらしいと言えば西園さんらしいけど……)
西園「ふふふっ…」
理樹「?」
理樹(と、普通なら死人が生き返ったことと、行ったはずのみんながそこら中にいた事のダブルショックを受けるはずの西園さんが何故からクスクスと微かに肩を震わせて笑っていた)
西園「うふふ…嘘ですよ、直枝さん。貴方のことがずっとずっと好きです。世界で一番大好きです」
チュッ
理樹「…………!!!」
理樹(起き上がった僕を再び倒すように肩を押さえられ、西園さんの唇がどんどん目の前に近づいて終いには行き着く所に行き着いてしまった。大胆な告白と共に………)
来ヶ谷「ほう」
小毬「な、な、な…!?」
恭介「見るな鈴!お前にはまだ早い!」
鈴「も、もう遅いわ…ば、馬鹿兄貴…!」
西園「…………どうですか?これで、伝わったでしょうか」
理樹「こ、これは……!」
来ヶ谷「なるほど。どうやら我々は一本取られたらしい」
真人「ど、どういうことだ!?」
理樹「…………」
理樹(しばらく放心状態だった。急にこんなことをされて頭が真っ白にならない男は存在しない)
西園「……もしかしてまだ愛情表現が足りませんでしたか?」
理樹(また近く綺麗な顔。とても頬が赤かった)
理樹「え…あ…いや…!」
理樹(ここでは男としては断るのが一番なんだろうけど止めて欲しくない自分もいた)
謙吾「よし!ここは当事者達に任せて俺たちは帰ろうじゃないか」
恭介「うむ。邪魔者はただ消え去るのみだ」
理樹(横では勝手に話が進んで僕らを気遣おうとしている。なんでこういう時だけ本当に気が効くんだろう)
西園「2人きりになりましたね。直枝さん」
理樹「に、西園さんいつもと性格が違うくない!?」
西園「それは多分、もう1人の私が影響しているんじゃないでしょうか」
理樹(そしてもう一度キスをせがまれる。もうどうして西園さんにばれたかとかそういう考えは一気に吹っ飛んでしまった。今は、ただ、流れに身を委ねよう)
理樹「西園さん………」
西園「んっ………」
理樹(多分、大人になった僕はいつか今のことを振り返ってこう言うだろう。これから2人の口が離れるまでが人生のピークだったかもしれないと)
……………………………………
今日の朝
「「「オオーーッ!!」」
物陰
「…………………なるほど。クラスの隅で皆さんがやけに集まっているかと思えばそういうことが…」
西園「ですが、そこまでしてもらっては騙されない訳にもいきませんね……さて、小説のヒロインならこういった時どう行動すれば正しいのでしょうか……」
終わり
理樹「今度の笹瀬川さんは中身の方が猫になったんだ」真人「ちょっと待ってくれ」
理樹「今度の笹瀬川さんは中身の方が猫になったんだ」真人「ちょっと待ってくれ」 - SSまとめ速報
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きれいなおわりかただ!