男「女、入るぞ」ガラッ
女「……」ザクッザクッ
男「…! また手首切りやがって…。おい、馬鹿止めろ!」
女「ごめんね…あなたが好きな幼馴染みたいな女じゃなくてごめんね…」
男「幼馴染とは用事で一緒だっただけだ! そういう関係じゃない!」
女「嘘よ。私なんかより幼馴染の方がいいから毎日いるんでしょ?」
男「違う! 明日絶対に帰るからリストカットなんかするな!」
女「…本当?約束だよ?」
男「ああ、約束だ。…手当てするからじっとしとけ」
女「…うん」
男「……」マキマキ
女「やっぱりおかしいよね。家に引きこもってこんなことばかりするなんて」
男「別に引きこもるなんておかしくはないさ。誰でも引きこもりたいことがある」マキマキ
女「…男君も?」
男「ああそうだよ。俺だって学校休んでぶらぶらしたいよ」マキマキ
女「…けど、男君は生徒会長だから休んだらいろいろと迷惑かかるよね?」
男「それよりお前が自分で傷つけたりすることの方が迷惑だ」マキマキ
女「……」ビクッ
男「そう震えるなよ。だからもう、そういうのはしないでくれよ?」マキマキ
女「…頑張ってみる」
男「よし、手当ても終わったな。薬は飲んだ?」
女「…飲んだ」
男「よし。丁度お前の母さんも帰ってきたみたいだし帰るわ」
女「もう少しだけいて。…いないと不安になる」
男「…いいよ。もう少しだけ」
女母「只今」ガチャ
男「こんばんわ、おばさん」
女「……」ギュー
女母「あら、男君。ごめんなさいね遅くなっちゃって。…抱きつかれて苦しくない?」
男「大丈夫です」
女母「夫が生きてればあなたにも苦労書けなかったんだけど…」
男「暇なので心配しないで下さい」
女母「…ありがとね。あなたがいなければ娘より先に倒れてたかも」
男「…そろそろ帰らないと」
女「…明日早く帰ってきてね?」
男「ああ帰ってくるさ」
女母「本当にごめんねぇ。何度も頼んじゃって」
男「好きでやっているから大丈夫です…それじゃまたな、女」
女「……」フリフリ
<翌日>
男「…悪い、今日俺帰らないといけないんだよ」
幼馴染(以下幼)「はあ?今日仕事が沢山あるんだけど」
男「家でやるから…」
幼「持ち出し禁止のものだからだめ」
男「たのむよ…。昨日女と約束したんだから」
幼「…ふーん。これより不登校の女さんの約束の方が大事なのね」
男「……」
幼「…行っていいわよ。どうせ期限が決まってる仕事なんてないから」
男「ありがとう! 明日埋め合わせするからな!」ガチャ
幼「…まあ、昔からああだもんね。男君は」
一旦寝る
男「ちゃんと帰ってきたぞ」ガチャ
女「……」プルプル
男「おい、また…手に持ってるのはなんだ?」
女「包丁じゃないよ、麺棒だよ」コロコロ
男「なんだ…何作ってるんだ?」
女「く、クッキーだよ。お医者にも勧められたの。包丁使うのはだめだけど」コロコロ
男「へえ…手伝ってやろうか?」
女「ううん、大丈夫だから。男君に食べて欲しいの」
男「本当かい?嬉しいなあ」
女「えへへ…」
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