安部菜々「お蕎麦出来たよー」 (35)
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安部菜々「お鍋出来たよー」 - SSまとめ速報
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志乃「いい匂い…」
礼子「一味あるかしら?」
菜々「ちょっと待っててね。志乃、まだ食べちゃダメだよ」
志乃「えー」
礼子「先手を打たれたわね」フフッ
菜々「はい。これも一緒に食べるんでしょ」
礼子「そういえば天ぷらもあったわね」
菜々「久しぶりに揚げたからちょっと心配だけど…」
志乃「大丈夫。しっかり揚がってるわ」サクサク
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菜々「あー、もう。この子は…」
礼子「じゃ、私達も頂きましょうか」
菜々「はぁ…。いただきます」
礼子「うん。やっぱりお蕎麦は良いわね」
志乃「日本人で良かった、って思うわよね」
菜々「そこまでのものなの?美味しいけど」
志乃「ウサミン星人には分からない感覚なのかしら?」
礼子「なら仕方ないわね。ウサミン星人だもの」
菜々「だからそれやめてってば!確かに昔よりは美味しく感じるようにはなったけど…」
礼子「そうねぇ。…いつ頃からかしら。こういうのが好きになってきたの」
志乃「舌が大人になった、って言うやつね。礼子一味ちょうだい」
礼子「ん。やってる事は昔と変わらないけどね。菜々の部屋に集まって菜々をいじって…」
菜々「全くもって迷惑な話なんだけど。お酒の量は年々増えていってるよね」
礼子「志乃が…」
志乃「礼子が…」
礼子・志乃「…………」
菜々「うん。痛み分け」クスッ
志乃「じゃあ菜々のせいね」
礼子「そうね。菜々のせいだわ」
菜々「なんでそうなるの!?」
礼子「菜々、お酒」
志乃「そうだわ。一緒にワイン持ってきてたでしょ」
菜々「え?今飲むの?」
志乃「蕎麦に合うのを選んできたから大丈夫よ」
菜々「へー。じゃ、持ってくるね」
礼子「蕎麦にワインね」
菜々「はい。私も初めてだなー。言われてみればお蕎麦屋さんのメニューで見た事あるかも?」
志乃「意外と合うのよ。蕎麦に辛口の白ワイン。最近置いてる店も増えてきてるわね」
礼子「流石志乃ね。……あら本当」
菜々「あ、美味しい。蕎麦は日本酒しか頭になかったけどワインも良いかも」
志乃「気に入ってくれて良かったわ」
礼子「でもどうして今日は蕎麦なの?」
菜々「さあ?志乃のリクエストだよね」
志乃「ええ。……ゆかり、いるでしょ」
菜々「ゆかりちゃん?」
礼子「あのドーナツ好きの?」
菜々「それは法子ちゃん」
礼子「じゃあ空手やってた…」
菜々「そっちは有香ちゃん。…わざとやってる?」
礼子「最近物忘れが増えてきてねぇ」
菜々「シャレにならないんだけど…」
志乃「ゆかりはアレよ。尺八やってる子」
礼子「ああ」ポン
菜々「フルート!」
礼子「で、そのゆかりがどうかしたの?」
志乃「ええ。何でもこの間初めて屋台でうどんを食べたらしくてね」
菜々「あー。霞みがちだけどゆかりちゃんもそこそこのお嬢様だもんね。その手のはあんまり食べないのかなぁ」
礼子「ウチの事務所、洒落にならないレベルのお嬢様達がうようよいるものね」
菜々「Pさん、どこでスカウトしてくるんだろ…」
志乃「不思議よね」
礼子「それで?」
志乃「ええ。その話を聞いて思ったの。『蕎麦食べたい』って」
菜々「……………ん?…………んん???」
礼子「………そう」
志乃「更に正確に言うと『菜々に作ら…作った蕎麦が食べたい』かしら」
菜々「今、作らせたって言おうとした!?」
菜々「でもなんでその流れでうどんじゃなくてお蕎麦になるの?」
志乃「だって私うどんより蕎麦の方が好きだもの」
礼子「なるほどね」
菜々「えっ!?なるほどなの?」
礼子「今更この子の思考回路を理解しようとしちゃダメよ」
志乃「ふふっ。照れるわね」
菜々「はぁ…。それでわざわざ蕎麦だけじゃなくて天ぷらの材料まで持ってきたの」
礼子「ワイン持参で」
志乃「いいでしょう。ほぼ私持ちなんだし」
菜々「お店で食べるって発想は?」
志乃「え?菜々がいるんだから必要ないじゃない」
礼子「ご馳走さま。美味しかったわ」
菜々「はい。お粗末さま」
志乃「菜々、おかわりないの?」
菜々「ないよ。志乃、三人分しか麺持ってこなかったでしょ」
志乃「困ったわね。あれだけじゃ足りないわ…」
礼子「ホント、ここでだけはよく食べるわよね志乃は」
志乃「別に他で食べないわけじゃないんだけれど、どうしてもお酒が先になる節はあるわ」
菜々「ちゃんと食べないと悪酔いするよ?」
志乃「大丈夫よ。菜々がいるから」
菜々「…いや、いつもいるわけじゃないからね?」
菜々「んー…。じゃあ、天ぷら粉余ってるし。適当に何か揚げようか」
志乃「ふふ。流石菜々ね」
礼子「何があるかしら?つまみ代わりになるなら私も欲しいわ」
菜々「そうだなぁ……。じゃあ手始めに紅生姜でも…」
礼子「あら良いわね」
志乃「私はお腹にたまるものがいいわ」
菜々「えーっと……あ、お餅が少しあるよ」
志乃「餅天!決まりね」
菜々「おっけー。ちょっと待っててね」
志乃「やっぱり持つべきものは料理の出来るメイ…友達ね」
菜々「……褒めてるの?」
礼子「べた褒めよ。芋ジャージにフリフリエプロンのうさ耳メイドさん」
菜々「うさ耳は付けてないから!」
菜々「はい、お待たせ」
礼子「まあでもこれだけ出来たらプロデューサーも幸せでしょうね。塩取って」
菜々「…なんでそこでPさんが出てくるの?」
志乃「嫁が料理出来ないのは致命的だものね…あつっ」
菜々「ああ、ほら。がっつかないの」
礼子「味も申し分ないし、後はさっさとくっつくだけなのに」
志乃「あの朴念仁、多分菜々から行かないと進展ないわよ。お手手繋いでって歳でもないでしょうに」
菜々「それはそうだけど…」
礼子「そうね。菜々はまだ17歳だったわね」
志乃「ああ、それじゃあ仕方ないわね」
菜々「今それ言うの!?」
志乃「もひもひあふあふ…」
菜々「はいはい。食べながら喋らないの」
志乃「でもお餅だとやっぱり日本酒が欲しくなるわね」
礼子「お米同士だからね……あら?ワインなくなったわ…」
菜々「一本しか持ってきてなかったよね」
志乃「ええ。お蕎麦用に持ってきたものだもの。という訳で次よ」
菜々「はいはい。えーっと…あれ?」
礼子「どうしたの?」
菜々「ストックないや」
志乃「なんですって!?」
礼子「珍しいわね」
菜々「あー……そうだ。この間瑞樹ちゃん達が来た時に全部飲んじゃったんだ…」
礼子「瑞樹達?」
菜々「うん。近くでロケがあったとかって、瑞樹ちゃんと早苗ちゃんが来てね。あれよあれよと言う間に全部なくなっちゃったんだった」
志乃「補充しときなさいよね」
菜々「そんなこと言ったって、二人だっていきなり来たんだから仕方ないでしょ」
礼子「あら?私は志乃に付き合って来ただけよ」
志乃「ずるいわ、礼子」
菜々「それに私一人だとそんなに飲まないし」
礼子「じゃあどうする?」
菜々「まだ電車動いてるよ!」
礼子「なんでそんなに嬉しそうに言うのかしら」
菜々「たまには帰って欲しいかな?」
志乃「あら。これからじゃない。ないなら買いに行けばいいでしょ」
菜々「わざわざ買いに行くの?」
礼子「寒いけど仕方ないわね…」
菜々「礼子まで乗り気なんて珍しいね」
礼子「志乃じゃないけれど、中途半端に飲んだせいかしら。火がついちゃったみたいなのよ」
菜々「ワイン一本空けて中途半端、ね…」
志乃「三人だとあっという間でしょ」
礼子「今なら体がほてってるし我慢できるんじゃないかしら」
菜々「今夜雪が降るって話だったけど…」
志乃「お酒には代えられないわね」
菜々「……はぁ。面倒だし、もうこの上にコート着ればいいや…」
志乃「冬はそれが出来るから便利よね」
礼子「女としてはどうかと言う問題もあるけど」
菜々「い、一応変装の一種って事で…」
礼子「はいはい。これでプロデューサーにでも会ったら面白いわね」
菜々「いやいや。この辺で会った事ないし…。ないよね?」
志乃「油断してる時に限って、ってあるわよね」
志乃「そうだわ。ついでにつまみと天ぷらの材料も買いましょう」
菜々「どうせろくな材料なかったから良いけど、揚げるの私なんだよね?」
礼子「定番ものも良いけれど変わり種も食べたいわね」
志乃「そうね。菜々、オススメあるかしら」
菜々「んー…。葉物は大体大丈夫だし、納豆とか明太子とか…」
礼子「明太子良いわね」
志乃「じゃあその辺中心に選びましょう」
菜々「はぁ…。結局今日も泊まる流れかぁ…」
礼子「諦めなさい」
菜々「もう良いけどさ…」
おしまい
以上、読んでくださった方ありがとうございました!
年を取るにつれて食べられなかったものが食べられるようになりますよね、菜々さん
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