女「えっ?」男「えっ?」(98)

女「……お、おかしくない? わたしがんばって気持ち伝えたのに……」

男「よくもまあ、伝える気になったよな」

女「だってずっと、我慢してたんだよ。毎日男くんを目で追ってた」

男「そこは……うん、ギリセーフでいいや。でもその後は完全にアウト」

女「ど、どうしてッ!?」

男「むしろ訊きたいどうして、と」

女「えっと、わ……わたしは、男くんが好き!」

男「お、おう」

女「男くんはわたしのことが好き」

男「おぅ?」

女「だから男くんは、わたしのモノッ!」

男「その理屈はおかしい」

女「バ、バカな!」

男「拉致監禁を容認するほど俺の性癖は乱れていない」

女「えーいいじゃない、いっしょに乱れようよぉ」

男「こんな状況じゃ悲しいぐらいにそそらねぇのな」

女「我がまま言わないでよ」

男「無茶言うなよ」

女「冗談だよね?」

男「今ならまだな」

女「どうしてそういうこと言うの! もう意味わかんないッ!」

男「さっきからことごとく俺のセリフだよッ!」

女「こと、ごと……く?」ムムッ?

男「アタマも弱くなってるッ!? いつもの真面目で勤勉なクラス委員クールビューティー女はどこ行ったよ!?」

女「男くんの所為だよ。いつも見ているのに無視して、他の女共としゃべってわたしを焦らして……」

男「これは気付かなかった俺が悪いのか?」

女「もう無理だもん。限界だよ。だから今までのも合わせて男くんを独り占めしないと気が済まないの」

男「随分な負債抱えてたんだな俺」

女「それとも、いつものわたしの方がいい?」

男「――ッ!」ピクッ

女「いいよ。男くんが望むならそうしてあげるよ」

男「なん、だとッ……!?」

男(デッレデレのクールビューティー……)

妄想中

女「そんな所に突っ立ってないで、こっち来たら?」

女「どうしてかな。胸が高鳴っているの。ほら、ちょっと聴いてみて」

女「どうやってって? こうすればいいじゃない」ダキツキ

女「フフッ、どうしたの? なんか男くんの音が聴こえてくるんだけど」

女「ほら、男くんからこんなに恥ずかしい音が聴こえる」

女「えっ、わたしの音と勘違いしている? そんなわけ……ないじゃない」

女「ちゃんと聴いてみなさいよ。ほらっ」ギュッ

女「どう? えっ、柔らかくて、いいにおいがする? バ、バカッ! ……へんたい」

男「――イエスッ! 有りだな、有りだろ!? 続きはリアルでッ……ん?」

女「まずは男くんを縛って一歩も外に出さないようにしないとねうん大丈夫どんな男くんでもわたしは愛していける」

女「あっ、今まで他の女共に関わってきたんだからまずは身体を消毒しないとだよね」ブツブツ

男「……リスクたけぇなぁおい」

女「そういうわけで、偶然たまたま紅茶なんか持ってきてるんだけど、男くん喉渇いてない? 渇いてるよね!」

男「うわー……」

女「わたし自慢じゃないけど紅茶淹れるの得意なんだから! 男くんも気に入ってくれると嬉しいな」

男「へぇー、んで、たまたま眠薬も入れたと」

女「そうそう。これで男くんもぐっすりッ――」ハッ!

男「……」ジトー

女「……」フリーズ

男「ぐっすり?」

女「寝ちゃわないんじゃ……ない、かな?」

男「苦しすぎるわッ!」

女「フッ、さすが男くんね。誘導尋問で誘いつつ、わたしの作戦を見破るなんて」

男「たいして誘ってないけどな! つーか、明らかにお前の自滅だ」

女「それでこそわたしが見込んだ男よ! 簡単に手に入ったら面白くないものね」

男「だぁから、人の話聞けよッ! ああもう、めんどくせー!」

女「まあまあ、ちょっとは落ち着こうよ。紅茶でも飲んで」ニコッ

男「お、おぉ。サンキュー」ゴクゴク

男「あっ……」

女「……勝った!」ニヤリ

男「うっ……眠薬ってこんな、早く……効くもん……なの、か?」ウトウト

女「さあ? でも効果はバツグンみたいでよかったよ!」

男「うぜー……テ、メェ……おぼえ、て……ろよ……」バタン

「う……ん、あぁ? ここは……まだ、学校だな」

男(てっきりどっかに監禁されてると思ったが……)

男「つか、寒ッ、屋上寒ッ! こりゃさっさと帰――ん?」ガシッ

女「ん……おとこ……ぅん、もぅ……たべらんらいよぅ……」ウヘヘー

男「なんでこいつまで寝てんだよ」

男「オラ起きろ」ペチペチ

女「んー……おはよ」

男「ああ、おはよ。……じゃなくて、なんだこの状況?」

女「んーっとぉ、わたしの巧妙な罠に掛かった男くんを運ぼうとして――」

男「あれは巧妙じゃなくてただ姑息なだけだ」

女「負け惜しみは聞きません」

男「ぐぬぬ……まあいい。続けてくれ」

女「うん。運ぼうとしたんだけど、男くんがビクともしないから諦めた!」

男「早ッつーか軽ッ! いや、俺が重いのか? まあいいや、ビクともって全く動かせなかったのか?」

女「うん……全然これっぽっちも……」ショボン

男「ダメじゃん」

女「うぅ……でも失敗を乗り越えてこその成功よ!」

男「うん、なんだ……しばらく突っ込まねーぞ。疲れたから」

女「男くんノリわるーい」

男「あーはいはい。んで、それからどうした?」

女「それで、あー、このままじゃ男くん風邪ひいちゃうなって思って毛布探しに行ったの」

男「ああ、これか。サンキュな」

女「いいんだよ。男くんのためだもん。そして毛布を手に入れたわたしは、全速力で屋上に向かった!」

男(いきなりテンション上がったな)

女「ぐっすり眠りつつも肌寒くしている男くんに毛布をかけ、わたしは気付いたのです」

男(自分のやろうとしていたことに、か。まあいいさ。これぐらいなら笑い話で済む)

女「もう、この上なく切実にッ、喉が渇いたと!!」

男「なに……?」

女「わたしこう見えて体力ないから、全力疾走なんてしたらすぐに息上がっちゃうの」

男「まあ、俺運べなかったしな」

女「身体は冷え、空気は乾燥し息が苦しい。そのとき、都合よくこの場所にあったのは――」チラッ

男(女の目線の先にあるのは女が持ってきた魔法瓶……っておい!)

男「どうすんだよ、オチが読めちまったじゃねーか。休憩短いよ」

女「じゃあ、ご期待に応えまして。あの睡眠薬、すっごい効くねッ!」テヘッ

男「やかましいわ!」

女「だって、しょうがないじゃない! もし男くんが同じ状況に立っていたら絶対同じことするよッ!」

男「どんだけ極限状態だったんだよ!」

女「むしろわたしは頑張った方だよ! わたしだからここまでできた。もう自分で自分を褒めてあげたいッ!」

男「大ポカかましといて自画自賛かよッ!」

女「別にいいもん。1枚の毛布に男くんと2人で包まって寝てたんだから!」

男「なっ……!」

男(起きた時はそんな余裕なかったけど、確かに近かったな女の顔……)

女「ん? もしかして、思い出してた?」クスッ

男「べ、別に……」

女「ふーん。わたしは――」

男「な、なんで近づいてくるんだ?」

女「意識が途切れるまで感じていたよ……男くんの、と・い・き」フゥー

男「ッ――」ゾクッ

男「……いきなり耳に吹きかけんなよ」

女「こういうの、嫌いだった?」

男「不意打ちは苦手だ」

女「嫌いではない、と」

男「知らねーよ。つーか、キャラ変わってんぞ」

女「……」ブツブツ

男「あ、あれ?」

男(なんか地雷踏んだ? 詰んだ俺?)

女「……わたしのキャラなんて、もうわたしにも……分かんないよ」

男「は? なんだ、それ」

女「さって、計画失敗したけど男くん成分は満たされたし、今日は帰ろっかな」

男「待て待て、こっちはなーんも解決されてないんだが、そのへんは如何に?」

女「あっ、今日はダメだったけどまた作戦練って、男くん拉致るからね」

男「やめてーちょーやめてー」ドヨーン

女「それじゃ男くん、あでゅー!」

男「あでゅーって……今生の別れとかそういう時に使うんじゃなかったっけ? 教えてエロい人」

翌日

男「つーわけで教えてエロい人」

友「考えるな、感じろ」

男「なるほど」

男「……」

友「……」

男「……なんか言えよ」

友「根暗ヤローからリア充に進化してよかったな」

男「お前聞いてなかったろ? 俺の話これっぽっちも聞いてなかったろ?」

友「あーはいはい、んで? どんだけ話盛ったんだ」

男「盛ってねえよ。悲しいことに全部事実だったよ」

友「ハハッ、お前本当に俺を退屈させないな」

男「バカバカ、笑いごとじゃねぇぞ」

友「面白くなりゃそれでいいさ。しっかし、あの女委員長がねぇ」

男「嬉しくない方のサプライズだった」

友「昨日委員長に誘われてお前スキップしながら行ったのにな」

男「お前こそ盛るんじゃねえよ!」

友「んでも少し惹かれたろ?」

男「……別に」

友「話聞く限り委員長、直球勝負仕掛けたみたいだしな。お前、自分に正直なヤツ好きだろ?」

男「否定できない。……が、それは俺に害がある場合は別だ」

友「害、あったのか?」

男「あったよ……拉致る宣言までされたよ」

友(なるほど、敵ってわけね。それで、男も素の性格が出たか)

友「ま、なんにしろ俺には嬉しい方のサプライズだな」

男「ひでーな、おい」

友「なに言ってんだよ。ヤローのツレなんざ、罵ってナンボだろうが」

男「いや、まあそりゃあ……」

友「それともなにか? 俺が優しく親身になって心配すればいいのか?」

男「それは気持ち悪い」

友「つまり、そういうことだろ」

友「まあ、んなこたぁどうでもいい。要は委員長のその害を取り除けばいいんだな」

男「お前はいい加減、引っ掻き回すだけ引っ掻き回して、俺を面倒事に巻き込むなよ」

友「オイシイ所持ってきてやってんだろ。なんだかんだ言って毎回楽しんでんじゃねーかお前」

男「いや、今回のはデリケートっつーか、俺がヤバい」

友「心配すんなって。俺絡まらなくても最悪流血沙汰だ」

男「あ、刺されるんだ……」

友「つっても、今回は俺の出る幕はなさそうだしな。ま、勝手にやれや」

男「さくっと話終わらしやがったな」

友「タイミングってやつだよ」

男「はぁ?」

友「後ろ」

男「ん?」

女「男くん」

男「おぅわあぁ!」

女「……」

男「お……女、さん」

女「今のは流石に傷つくわね。気の弱い子なら泣いてるわよ」

男「あーと、悪い。つい……」

女「気が付いたら後ろにめんどくさい女が立っていて、ついあんな声が出たと」

男「んなこと言ってねえだろ」

女「冗談よ。それより先生から伝言。昼休みに、さっきやった化学の実験の片付けよろしく、だって」

男「マジかよ……」

女「成績悪いんだから少しでも点数稼いどけ、とも言っていたわ」

男「そりゃシカトするわけにもいかないな。友ー手伝え……って、いねえし」

女「友くん? 私が来たときにはいなかったわよ」

男「あいつは忍者かよ。ったく、肝心な時にいねえからな」

女「確かに伝えたから。次の授業が終わったらすぐに行くわよ」

男「ん? ……女さんも行くのか?」

女「ええ、男くん1人じゃ不安だからって、私も頼まれたの」

男「そりゃ災難だな」

女「慣れてるから。それじゃまた後で」

男「はー、よっこらせっと」

女「お疲れ様。これで終わりよ」

男「思ったよりも早く終わったな」

女「男くんが頑張ってくれたから」

男「成績かかってるからな。そういや飯まだだったな」

女「ッ!」

男「こりゃ今から購買行ってもロクなもんねーな。まあ、腹に溜まりゃなんでもいいか」

女「ではここで、お弁当ターイムッ!」

男「……はい?」

女「お弁当ターイムッ!」イエーイ

男「いきなりキャラ変えんな」

女「だって、本当はもっと早く男くんとお話したかったけど、やっぱり公私混同は良くないと思うの」

男「そういう考え持ってんなら拉致監禁はやめろよ」

女「それはまた話が別だよ」

男「都合いいな」

女「それよりごはんだよ! ほら男くんの分もちゃんとあるよ」

男「俺の、分?」

女「うん。男くんいつも購買のパンだったから作ってきたんだけど……迷惑だった?」

男「女……お前、いいヤツだな!」

女「あっ……」

女(お、男くんが手を……握ってくれた!)

男「よし食おう! あっ俺、飲み物買ってこようか?」

女「紅茶ならあるけど……」

男「さすが女。用意がいいな!」

女「まーかせてッ! はい、男くんのお弁当」

男「サンキュー。さてさて、中身のほうは……」パカ

女「……」ドキドキ

男「おお! 結構ボリュームあるな。女が作ったの?」

女「うん。量、多かったかな? 別に無理して食べなくてもいいよ」

男「いんや、健康優良児にはちょうどいい量だ」

女「よかったぁ。 あっ、食べて食べて!」

男「んじゃ遠慮なく。いただきます」

女「ど、どうかな?」

男「うん。普通にうまい」

女「ホ、ホントッ!?」

男「ああ。想像以上だ」

女「やたっ!」

男「お前って要領いいのかアホなのかわかんねー時あるし、頭いいくせにどっか抜けてるからな。正直舐めてた」

女「ひどい……」

男「でも料理だったらなんの問題もないな。うん、参った」

女「えへへー」

男「つーか、見てばっかいないで、お前も食えよ」

女「そうだね。それじゃ、いただきます」

男「……どうよ? 自己評価」

女「まあまあ、かな」

男「本音は?」

女「おいしいッ! あっ……」

男「く、ははッ!」

女「わ、笑わないでよ……」

男「いや、いいんじゃね。実際うまいしな」

女「もう!」

男「いじけんなよ」

女「あんまりいじらないでよ」

男「はいはい」

女「……あっ、はいどうぞ」

男「ん?」

女「紅茶」

男「いただこう」

女「……」ジー

男「へぇ……昨日は味わう余裕なかったけど、紅茶も結構悪くないな」

女「でしょ?」

男「ああ、暖まる。……今日は盛ってねえよな?」

女「当たり前だよ! 同じ失敗なんかしないよ」

男「むしろ諦めてほしいんだが」

女「そいつはできない相談ですな」

男「そうかよ。まあでも、いつもの女より今のアホな女の方が絡みやすいな」

女「え、アホ……?」

男「俺も頭で考えず条件反射で突っ込んでるしな。割と素で」

女「そう、なんだ……」

女(スルーされた……)

男「結構面白いよ、お前」

女「お弁当すごい……男くんがデレた」

男「デレてねえよ。言っとくが俺はお前のモンになるつもりなんかこれっぽっちもねえからな」

女「……」

男「むしろお前が……俺のモンになれ」

女「え、えっ……えぇぇーーー!!」

男「うるせッ。冗談だよ。マジにすんな」

女「はぅ……」

男「……」ハァ

女「……」ショボーン

男「……」ナデナデ

女「わっ……!」

男「あぁ悪い。頭触られたくないよな」スッ

女「いっ、いきなりは驚くよ!」

男「だから悪かったって」

女「むー、誠意が足りない」

男「どうすりゃいいんだよ」

女「もう少し……続けて。そうしたら許してあげる」

男「なんかおかしくね?」

女「はやくー」

男「しょうがねえな」ナデナデ

女「んー」ピトッ

男「ちけーよ。くっつくなよ」

女「文句言わないでよー」

男「……」ナデナデ

女「ふふっ……」

男(あれ、なんで拉致監禁かまそうとしている相手と楽しくやってんだ?)

女(あれ、男くんまだわたしのものになってないのに、なんでこんなに満たされてるんだろ?)

男女(……ま、いっか)

男「そろそろ時間、か」

女「そうだね。鍵はわたしが返してくるから、男くんは先に教室にもどってて」

男「付き合うよ」

女「えっ?」

男「一緒に行くって言ってんの。いいだろ、別に」

女「う、うん……!」

多分、出来の悪いヤンだな。


数日後

女「男くーん、今日もお弁当作ってきたよ! 一緒に食べよ?」

男「おう!」

クラスメートa「来たなッ! 総員衝撃に備えろッ!」

クラスメートb「ここ最近連日じゃねえかッ! どうなってんだよいったいッ!?」

クラスメートc「馬鹿野郎ッ! 顔を上げるな! 眼を閉じろ! 耳を塞げ! 口を開けるな!」

女「はい男くん、あーん……」

クラスメートd「ぐぉはぁぶあぁぁ!」

クラスメートe[dッ! この野郎、無茶……しやがって」

友「うぃーす……って、今日も派手にやらかしてんな」

男「おう、友。相変わらず重役出勤だな」

友「まあな。つーかお前ら最近、ところ構わずだな」

男「なんの話だ?」

女「さぁ? それより友くん、遅刻はダメよ」

友「へいへい。こんな時でも委員長は口うるせーのな」

女「こんな、時……?」

友「2人とも自覚ゼロかよ。……ダメだこいつら。手に負えねーわ」

友(なんて冗談言ってる場合じゃねえか。本気で進展なさそうだしな)

友「そういや委員長はいつ男を拉致って監禁するんだ?」

男「なッ!?」

女「……?」

友「確か最初、そんな感じだったんだろ? もう男も十分懐柔されてると思うぜ」

女「――はッ!」

男「おい友ッ!」

友「なんだよ、いいだろ? たまには俺も委員長と絡ませろよ」

女「そうだった……わたし、男くんを……」

友「まあ、今のままでもいいってんなら何も言わないがな。傍から見てもいい感じだし?」

女「ホ、ホント?」

友「でも取られる時はあっという間なんだろうなぁ。コイツ結構流されやすいし? つか、なんも考えてねえし」

女「男くんが……? 嘘、だよ……でも……だったら、わたしが……」

友「油断して横からかすめ取られでもしたら、目も当てられねぇわな」

男「やめろ……」

女「……ごめん。ちょっと用事思い出したから、行くね」

男「女! ……おい友、どういうつもりだよ?」

友「……なにが?」

男「なにがじゃねえよッ! なんでわざわざ煽ってんだよ! なに考えてんだッ!!」

友「お前こそなに考えてんだよ? このまま刺激させなけりゃスルーできる」

友「おいおい、まさかそんなご都合期待してんじゃねえだろうな?」

男「……ッ」

友「図星、かよ。最近惚気て、頭ん中お花畑になっちまったか?」

友「現実見ろよ。ちょっと小突いてやりゃ、こんな過剰反応だ」

男「それはまだ、時間が……」

友「時間が解決してくれるのか? もしそうなら、そりゃただ表に出てきてねえだけだ」

友「消えねえよ。そのうちなんかの拍子で出てきて、そのまま修羅場突入だ」

友「いいぜ? タイミング見計らって、切り捨てトンズラかますってんなら、精々楽しんでろよ」

友「文句言ったところでツケはたまってるけどな」

男「お前さ……さっきから黙って聞いてりゃ、人をヘタレみたいに言いやがって……!」

友「あん?」

男「誰が捨てるかよ。誰が逃げるかよ。後の修羅場なんざ、死亡フラグでしかねえよ」

男「そんなの認めないし、あいつにだって何も失わせない。……見下してんじゃねえ!」

友「はッ、吠えたな、ほざいたな。お前みたいなケツの重いヤツが終わらせるってか?」

男「悪いかよ?」

友「いや、口でならいくらでも吐けるわな。やれるもんならやってみろよ」

男「だから、言われるまでもねえんだよ。やりたいようにやるだけだ」

友「そうかよ好きにしな。……ただな、男」

男「なんだよ?」

友「面白そうなことになったら……誘えよ?」

男「……期待すんなよ?」

友「ま、ここまで啖呵切りゃ失敗もできねえわな」

男「うるせえよ。煽るだけ煽りやがって」

友「はいはい、お前はもういいや。あとは委員長、か。どこ行ったんだろうな」

男「どうせ人が居ない所で、妄想にでも耽ってんだろ。想像できる」

友「あー……んで?」

男「面倒だから誘いに乗ってみる」

友「こいつはまた、思い切ったことを……」

男「大丈夫だろ、あいつ暴走してもどっか抜けてるからな。案外楽に抜け出せそうだ」

友「ヒデーな、色々と」

男「要はあいつを説得できりゃいいんだよ。難しく考えることはねえ」

友「だといいがな」

友(フラグ、立ってねえといいが……)

女「男くん……」

女(まただ……また、私は……)

女「でも、私が好きになった男くんは……」

女「うん。そうだ……そうだよね」

女(私じゃない。今を満足しているのは私じゃない。私が好きなのは私だけが知っている男くん……)

女「フ、フフッ……私の、モノ。誰にも、渡さ……ない」

放課後

男「さって、それじゃ動くとするか」

友「精々刺されないようにな」

男「言ってろ」

友「ま、明日学校来れるよう祈っといてやるよ。一瞬だけな」

男「いらねーよ。なんの役にも立たなそうだ」

友「んじゃ止めとくか。先帰るぞ」

男「あいよ」

女「男くん……」

男「おう、女」

女「あのね、今日……家に、来ない……?」

男「こいつもまたストレートに……アレか、こいつも考えるの面倒になったってオチか?」

女「えっ?」

男「いや、なんでもね。まあちょうどいいや。俺も女と話したいと思ってたんだよ」

女「あっ、じゃあ……」

男「これから邪魔しても、いいか?」

女「うん!」

男「うーん……うーん……」

女「フフッ、早く起きないかな」

男「だあぁぁぁーー!!」

女「わっ!」

男「フー、フー……あぁ、女……?」

女「え、なに? なんなのいったい?」

男「……いきなり借金背負わされる夢を見た」

女「はい?」

男「友が借金取りで、笑いながら追いかけて来んだよ」

女「シュールだね」

男「あいつとの付き合い方、考えようかな」

女「それは、ちょっと……」

男「ま、いいや。つーかここどこ?」

女「私の家よ」

男「……いつの間に?」

女「覚えてないの? 部屋に入って少ししたら、気持ち良さそうに寝ちゃったけど」

男「全然記憶にねえ。何したんだよ?」

女「……」

男「……」

女「別に……」

男「わかりやすいなお前。ご丁寧に手錠までしてくれやがって」ジャラ

女「ふっ……」

男「ウゼッ」

男「んで、念願叶ったわけだが感想はどうよ?」

女「嬉しいよ、すっごく」

男「満足したってか。だったらもういいだろ、これ外してくんね?」ジャラ

女「駄目だよ。言ったよね、ずっと一緒にいてほしいって」

男「……」

女「私は男くんをずっと見ていたい。あの時見た、私が好きになった男くんを」

男「あの時?」

女「男くんは覚えていないだろうね。いいよ、男くんのそういう所も好きだから」

男「おー、見事に自己完結入ってんな」

女「男くん……」

男(……こりゃ根競べだな)

男「……」

女「……」

男(……かれこれ1時間)

男「飽きた」

女「ッ……」

男「退屈で死にそうだ。しりとりでもするか?」

女「黙ってて!」

男「なんだよ機嫌悪ぃな」

女「違う……私は満足してる。男くんがここにいて、私が男くんを見て……」

男「……何が?」

女「なのに、なんで……嫌、だ……私、もう……」

男「おい女、お前さっきからなに言ってんだよ」

女「嬉しく、ない……おかしいよ、こんなの」

男「はぁ……なんなんだよ。まるで俺がいじめてるみたいじゃねーか」

女「だって……」

男「だってもクソもあるかッ。普段のほうがよっぽどいい顔してたぞ」

女「ッ……」

男「だから俺も楽しめたんだろうな。拉致る宣言までされたのによ」

女「うぅっ……」

男「でもオチがこれじゃあなぁ」

女「私だって、こんなはずじゃ……」

男「つか気付けよ。お前、今にも泣きそうな顔してんぞ」

女「そんなこと、言わ……ないで、よ」

男「うっせ。嫌ならやめちまえ」

女「……うん」

男「ったく、はた迷惑なヤツだな」

女「ごめん……男くん」

男「気にすんな。これぐらいメシ代替わりだ」

女「私、もうダメみたい」

男「もちろんこれからも――って、はい?」

女「疲れちゃった……それに、奪われるくらいなら……」

男「いやおい、なに言ってんだ? これもう一件落着の流れじゃねえの?」

女「だから、さよなら」

男「待て女ぁッ! 人の話を――」ジャラ

男「って繋がったまんまかよクソッ!」

男(さよならの前にせめてこれ外せよッ!)

ガチャ、バタン……

男「今、ドアが閉まった音聞こえたけど……あいつ外出やがったか?」

男(放置プレイ……?)

男「……あれ、これ……詰んだ?」

男(いや待て待て待て……落ち着け。なんか方法があんだろ。考えろ俺)

男「まず手錠が繋がってるのは俺の腕と……ベッドのフレームか」

男(片腕ずつベッドの両端のフレームと繋がれ、足は自由……おっ?)

男「……ベッド、背負えんじゃね?」

男「よっしゃ! 脱出成功!」

男「あーしんど……ベッドが軽かったのが唯一の救いだな」

男「部屋出るときにベッドが引っ掛かったのは笑ったな……」

男「階段降りるのはマジヤバかった」

男「……なんだかんだで時間食っちまったが、女はどこいったよ?」

男「とりあえず動くか」トゥルルル

男「電話? えーと携帯は……取れるか?」

男「よし、もうちょい……オラッ取れた」ピッ

男「はい?」

友「オレオレ」

男「息子はいねぇ」

友「お前のナイスガイな友人だよ」

男「なおさら心当たりがないな」

友「友達いねえもんな」

男「うるせえよ! んでなんだ? 今チョー取り込み中なんですけど」

友「委員長が学校に向かってたぞ」

男「マジ?」

友「マジ」

男「オッケわかった。ナイス友」

友「あとな」

男「ん?」

友「今のお前の格好スゲーだせぇ」

男「はっ?」

友「写メ撮っといたぞ」

男「いや……助けろよバカ野郎ォォォォーーー!!」

友「んじゃ俺も暇じゃねえから切るわ」

男「待てやあぁぁぁぁーーー!!」

男「クソッどいつもこいつも……まあいい。友は後回しだ」

男「まずはあのアホ女に文句の1つでも言わねえと気が済まん」

男「待ってろよクソアマァッ!」

学校の屋上

女「はぁ……結局負けちゃった」

女「しょうがないよね。男くんだってそう言ってたし……」

女「グスッ……ずるいよ。どうしてその時だけ……」

女「私だって……!」

女「そっか……結果がこれ、だもんね」

女「酷いな……こんなの……」

男「なに1人で気持ち良く感傷に浸ってんだよ?」

女「男、くん……えっ?」

男「……なんだよ?」

女「えっと……なに、その格好?」

男「お前は自分の胸に手を当てて、よーく考えてみよう、な?」

女「あー……アハハー」

男「ハッハッハー、もう周りの視線が痛てぇ痛てぇ。おまけに手首も赤くなって痛てぇよ」

女「……スミマセンでした」

男「この考えなしめ。んで、いったい頭の中でどんな化学反応が起こって、こんなことになったんだ?」

女「……言えないよ」

男「なんでよ?」

女「だって、言ったらきっと男くん、私の事幻滅する。ヘンな女だって思っちゃうもん!」

男「いや……お前既に俺の中では、ヘンな女だぞ」

女「なんとッ!?」

男「今の俺の姿見ろよ。明らかにおかしいだろ」

女「……あれは新学期が始まった頃だったかな」

男「うわー、華麗にスルーして昔語り始めやがった……」

女「先生に言われてプリントを教室まで運んでいた途中、つまずいて落としちゃったの」

男「ドジだなー」

女「うん。その時も男くん、同じこと言ってたよ」

男「俺?」

女「すっごい気怠そうな顔して、プリント拾うの手伝ってくれたんだよ」

男「……全く記憶にない」

女「それからなんとなく気になって、男くんを目で追うようになった」

男「そりゃ……さぞ、つまんなかったろ?」

女「いつ見てもあの時と同じ顔。友くんと接している時は怒ってたりもしてたけど」

男「突っ込み疲れるんだぜ、結構」

女「でも、私気付いたの。男くんはあんな態度取ってるけど、本当は優しいんだって」

男「なぬ?」

女「私は気付いた。みんなは表面しか見ていない。私だけが知っている、男くん」

男「あぁ、ダメだコイツ。いつかヘンなのに騙されて泣きを見るぞ……」

女「男くんを独り占めしたかった。男くんを知ってるのは私だけでいい」

女「後から出てきて、男くんについて大きな顔なんかされたくない! だから私は……」

男「なるほど。それで監禁ってか」

女「ずっと見ていたかったの。男くんの顔、目、表情。全部、私だけのモノにしたかった……」

男「……」

女「でもね、いざやってみたら全然……全然想像と違ってた」

女「物足りないの。男くんと話してる時は楽しかったし、お弁当喜んでくれた時は嬉しかった」

女「男くんが何か反応してくれないと不安で、だから……家で男くんを見るのが耐えられなくなった」

男「女……」

女「もう破綻しちゃってるんだよ、私の気持ち。でも私はそうするしかできないから……」

男「いや、ちょっと待て。もう答え出てるじゃねえか。好きなようにやればいいだろ?」

女「無理だよ。だって私――だもん……」

男「ん、なんだって?」

女「だから……私の中にもう1人のわたしがいるのッ!」

男「お、おう……」

女「……」

男「意味が、わからないです」

女「私だってわからないよッ! でもいつも出てくるの。男くんと楽しそうにしているアイツがッ!」

男「……いや、お前だろ」

女「違うよ……それに男くんだって言ったよね、普段の私より、男くんといるわたしの方がいいって」

男「まあ言ったけど……じゃあなにか? 多重人格だとでも言うつもりかよ?」

女「多重人格……そうだね、きっと私の人格は消えちゃうんだ」

男「おいこら待て。なにあっさり認めてんだよ。しかも消えるとか、ふざけんな」

女「だって……私、知らない。あんなわたし、初めてだもんッ!」

女「真面目で静かで友達という友達もいない!」

女「蔭では堅物って言われているのも知ってる。それが私なの」

男「だからあれは違うってか。……はぁ、ただのエセメンヘラだと思ってたんだがなぁ」

女「メンヘラじゃなくて、ヤンデレだもん」

男「知らねえよ。それと自分で言うと、この上なく胡散くせーぞ」

女「途中で諦めるような、そんな中途半端さだったしね」

男「自虐かよ……つか、お前はメンヘラでもヤンデレでもない。ただの中二だ」

女「ちゅーに?」

男「思春期特有の病気みたいなもん。後に思い出すとダメージがでかい」

女「奥が深いんだね」

男「あー泣きたい。ホント泣きたい。なんで俺がやる気出した途端、こんな難易度上がってんだよ」

女「そんなこと言われても……私だって大変なことになってるんだもん!」

男「だからそう言ってんだよッ! ったく、このお騒がせ女が」

女「だからそんなこと言われても困るよッ! 苦情は受け付けません!」

男「あーもういいわ、どーでも。知るかッ、あぁ、知らね」

女「……」

男「ここまで来たらぶっちゃけてやる」

女「な、なにを?」

男「女ッ!」

女「は、はいッ」

男「俺のモノになって朝も昼も夜もずっと一緒にいてくれ。大丈夫だ。お前は俺の部屋から出なくていい」

女「い……嫌、です」

男「えっ?」

女「えっ?」

男「……お、おかしくね? だって、これ……」

女「こんな状況で、よく伝える気になったよね」

男「あれー、なんか女さんが冷静でやりづれぇ」

女「男くん、もう色々とアウト。私もちょっと着いて行けない、かな」

男「いやいやいや、お前がそれ言う!?」

女「なんでそんな自信満々に言っちゃったの?」

男「えっと、女は俺のことが好き」

女「う、うん……」

男「俺は……まあ、置いとけ」

女「えぇー」

男「つまり女は、俺のモノッ!」

女「その理屈はおかしい」

男「バ、バカな!」

女「……ふふっ」

男「……くっ」

女「あははッ! なにこれ!」

男「はッ! おまッ、笑いすぎだろ!」

女「そっか、男くんもこんな気持ちだったんだね」

男「ホントだよ。少しは俺の苦労がわかったか?」

女「はーい、どうもすいませんでしたー」サーセン

男「誠意の欠片もねーな。ま、いいや。んで、今のお前……どっちだよ?」

女「えっと……今? その……」

男「まさか違う自分だって言わねえだろうな?」

女「それは……」

男「さっきまで散々そいつがどーのこーの言ってたのにな。瞬間に入れ替わりでもしたか?」

女「替わった……わたしに……私は……?」

男「なんつーか、スタートこそあんなんだったけどさ、俺だってお前といて楽しんでたんだよ」

男「それなのにお前じゃなかったって、詐欺じゃねえかよ。どうしてくれんだ俺の気持ち」

女「ごめん……なさい。私……」

男「謝んなよ。それにお前だってさっき言ってたろ」

男「一緒にいて楽しかったって、嬉しかったって……そう言ってくれたじゃねえか」

女「あっ……」

男「その気持ちが残ってるなら、その時いたのはお前の中にいる誰かじゃなくて、お前自身だったんじゃねえの?」

女「私……だったの? でも……私あんなに明るくなんて、ない」

男「明るいっつーか、終始暴走気味なだけだったよな」

男「それにさ、別に他のヤツらがどう思ってようが関係ないだろ」

男「なに周りが決めつけた枠にはまってるんだよ。それで身動きとれてねえだけじゃねえか」

女「違うよ。私がそういう性格だから、それを周りの人が見て伝わったんだよ」

男「それで、今更自分が変わるのが怖いか?」

女「――ッ! ち、違う!」

男「まあ、俺に対しては素直に見せてくれたよな。そりゃあもう、これでもかってくらい」

男「うん。それはそれでそそるモンがあるな! 俺だけ特別ってヤツだ」

女「え、と……そ、そ、それはどういう……」

男「なんつーか、キャラがどうとかあーだこーだ考えずによ、自然にしてればいいんじゃねーの?」

女「……」

男「クラスの連中だってそんな気にしないだろ。すでに垣間見てるしな、お前の暴走」

女「えっ、いつ……?」

男「そりゃ、昼休みに教室で普通に弁当食ってたからなぁ」

女「あ、あわわわ……」

男「ホント、今更だな」

女「そっか。あのわたしも私だったんだ……」

男「納得したか?」

女「うん。考えてみれば私、初めて人と真剣に接したから。男くんのことだけ考えて動いていたから」

女「そのわたしを否定したら、男くんとの思い出も否定することになっちゃうもん」

男「……ああ」

女「男くん、本当に今までありがとう。そしてごめんなさい。私――」

男「待て待て。なに別れ話切り出す流れになってんだよ?」

女「だって私、男くんに酷いことしたし……もうこれ以上は……」

男「言わなかったか? これからも弁当作ってきてくれるならチャラにするって」

女「でもッ……」

男「俺もここまで深く人に関わるの珍しいんだよ。もうすげーレア」

男「クールビューティーな女も悪くないけど、アホな女も退屈しないで済む」

女「アホ……」

男「だから……ああ、なんだ。俺もとっくに惚れてたんだな」

女「えっ……?」

男「俺、女が好きだよ」

女「うそ……どう、して?」

男「どうしてって……好きだし、退屈しないからな。他に理由いるか?」

女「……」

男「お前はどうなんだよ?」

女「……私も男くんが好き! 一緒にいて、楽しいから」

男「なんだよ、そんな変わんねーな」

女「……」

男「ん、どうした? 俯いたりして」

女「だって……グスッ、わた、し……」

男「あーあー、しょうがねえな。ほらっ……あっ!」ギシッ

女「……?」

男「悪いな。残念ながら今、抱きしめてやれる状況じゃねーんだわ。だから……胸だけ貸してやる」

女「うぅ……締まらないね」

男「ホントにな」

女「……男くん、グスッ……」

男「泣くなよ……あーいいや。泣いてろ」

女「うん……うぅっ、うわああぁぁぁん!」

男「飽きるまで泣いたらきっと腹減るだろうから、そしたらなんか食いに行こうぜ」

女「うわぁぁッ……ラーメン……食べたい」

男「食いモンにしっかり反応すんのな……」

男「あー、その前にこれ……手錠外してくれ。ベッド背負ってるのも限界だ……」

翌日

友「あっはっはっはーーー!!」

男「テメェ笑いすぎだ」

友「いやー、ホントお前って退屈させないよな」

男「うるせえよ。お前が俺を見捨てたの、忘れてねえからな」

友「あぁ、しっかり保存してあるぜ、写メ」

男「本当に撮ったのかよ!?」

友「ちょうどいい。3人で見ようぜ」

男「3人?」

女「おはよう。なに盛り上がってるの?」

友「おう、委員長。昨日男の写真撮ったんだけど一緒に見るか?」

女「男くんの!? 見る見る!」

男「こいつら……」

友「じゃあいくぞ、これだッ!」

女「ぷっ……」

友「くはっ……」

男「……」

友「見ろよ男のこの切羽詰まった表情」ゲラゲラ

女「ッ……」フルフル

男「女、笑いたきゃ笑えよ」

女「全然……可笑しく、ないよ? 私我慢なんか、してないんだから……」フルフル

男「その反応が1番ムカつくわ」

友「この写真にタイトルつけるなら、怪奇ベッド男だな」

女「ベッド男の恐怖でも有りだと思います!」

男「お前らいい加減にしろよ?」

友「サーセン」

女「サーセン」

男「うわ、友は元からだが、女まで……つーかこいつ吹っ切れたと思ったら、ふてぶてしくなりやがった」

女「あっ、もうチャイムが鳴るよ」

友「っと、たまには真面目に授業受けとくか」

男「とっとと散りやがれ」

女「男くん」

男「ん?」

女「今日もお弁当用意してあるから、一緒に食べよ」

男「あいよ」

男「今日は屋上なんだな」

女「うん。始まりはここだったから」

男「色々あったな」

女「ついこの間のことなのにね」

男「この数日、密度高かったからな」

女「こうやって男くんと付き合えたしね」

男「……」

女「照れてる?」

男「うっせ」

女「あはっ、男くん照れてるーかわいー」ワーイ

男「はしゃぐな……お前のほうが可愛いんだよ」ボソッ

女「えっ……な、なっなにきゅきゅ急に……!」

男「急に言い出したのはお前だ」

女「……そ、そうだ! お弁当食べよ!」

男「そ、そうだな!」

女「今日はねぇ、記念にお弁当を豪華にしたんだよ」

男「俺にしてみれば、いつも豪華なんだがな」

女「今日はさらに気合入ってるよ!」

男「そりゃ楽しみだ」

女「はい、どうぞ。それと紅茶も」

男「サンキュ……そういや初めて紅茶もらった時は眠薬入ってたんだな」

女「そうだったね。男くん睡眠薬入ってるのに飲んじゃったんだもん」

男「その後お前まで飲んだけどな」

女「男くんと添い寝したからいいの!」

男「はいはい。……今日は眠薬盛ってねえよな?」ニヤニヤ

女「えっ?」

男「えっ?」



女「……じょうだん、だよ♪」ニッコリ

end

はい終わり

途中、間が空いたりしてテンポ悪くて申し訳ない

ここまで付き合ってくれた人(いるよな?)には最大限の感謝を

そして俺は颯爽と去る

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