あれからどれくらいの時間が経ったんでしょうか。
覚えていますか?
初めて歌った日、踊った日、色んな思い出は私の心に今でも生きてます。
でも出会いがあれば、別れもあるんだってあのときの私にはわかっていなかったんです。
楽しいだけの毎日が、このままずっと続くんだってそんな勘違いをしていたんです。
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アイドルなんてその日を生きているって言っても過言じゃない職業です。
そんなことは分かっているはずでした。
だけど、みんなが少しずつ去っていって、ぽつんと残された私たちはその時に気付いたんです。
ああ、私たちはいつの間にかそんな当たり前のことすらも忘れてしまっていたんだって。
でも、別れなんて辛くないんです。
こっちで私たちは楽しく生きてるんですから。
――「天海さんのことが好きです。アイドルとしてではなく一人の女性として」
昔、誰かにそんなことを言われたこともありました。
覚えていますか? えへへ、覚えていないですかね。
それでもいいんです。
だって、私たちはここで歌い続けるんですから。
……他の誰かのところに行ったとしても、歌い続けるんですから。
思い返せば、思い出なんてたくさんあります。
でも、思い出にしがみついていたらいつまでも先へは進めません。
だから、私たちは、私は振り返ってみたりなんかはしないんです。
――私の人生の中で、忘れられない場所があります
だって、私たちは大切な仲間に囲まれてるんですから。
――はい! 皆さんこんにち‥‥じゃなかった。皆さんこんばんは! 天海春香です!
――秋にはまだ遠く暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
――朝日が昇って、お昼になって、夕暮れに沈む。そんな色。
だから、そっちでも楽しんで過ごしてください。
私なら、私たちなら大丈夫です。
――私は天海春香、元アイドルの18歳です。
……お元気で。
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