【艦これ】神通「耳掃除しましょうか?」 (53)
・三作目です
今までの
【艦これ】伊168「耳掃除してあげる」
【艦これ】伊168「耳掃除してあげる」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449286793/)
【艦これ】摩耶「耳かきしてやんよ」
【艦これ】摩耶「耳かきしてやんよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1449402596/)
注:艦娘→艦娘の二人称が間違っていることがあるかもしれません。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449922812
―――執務室
神通改二(以下神通)「提督、お茶が入りました」コト
提督「ああ、ありがとう」
提督「」ズズズ
神通「」ニコニコ
提督「はぁ~。やっぱり、神通の淹れてくれたお茶は美味しいよ。いつもありがとう」
神通「いえ。……こんな私でも、提督のお役にたてるのでしたら、そのくらい」
提督「そんなことは言わない。神通は誰から見ても、立派な子だよ」
神通「……ありがとう……ございます」
提督「それにしても……平和だなあ」
神通「……はい」
提督「最近は深海棲艦も滅多に現れない。……嵐の前の静けさでないことを、祈るばかりだよ」
神通「……はい」
神通「……でも、仕事もあまりないのでしたら……しっかりと休みを取ってください。いつ、深海棲艦が攻めて来るのか、わからないのですから」
提督「わからないからこそさ。こういうとき程、しっかり気を引き締めていないと」
神通「それでしたら、司令代理は私が……」
提督「……そんなに僕を執務室から追い出したいのか……。そうかそうか、神通は僕と仕事がしたくないんだね……」ヨヨヨ
神通「そ、そういうわけでは」オロオロ
提督「ははは。冗談だ」
神通「て、提督……」
神通「し、しっかりと休みを取って頂けないのなら……本当に、執務室から追い出してしまいますよ……?」プンプン
提督「それは困ったなあ」
神通「ほ、本気です……!」
ドタドタドタドタ
ホォラ、イソイデ!
提督「……ふふふ。騒がしいのが来たみたいだ」
神通「……賑やかに、なりそうですね」
提督「ああ、そうだね」
コンコン
提督「はい」
扉『陽炎型一番艦、陽炎です!』
扉『同じく二番艦、不知火です』
提督「」チラ
神通「」コク
提督「どうぞ」
ガチャ
陽炎「失礼しまーっす!」
不知火「失礼します」
提督「不知火に陽炎か。どうしたんだい?」
陽炎「神通さんに訓練を見てもらおうかな~って」
不知火「ご多忙のところ、申し訳ありません」
提督「いいんだよ。むしろ毎日頑張っているところを褒めてあげたいくらいだ」
陽炎「ん? 褒めてくれるの? じゃあよしよしして!」
提督「はいはい。よしよし」ナデナデ
陽炎「んふふ~」ナデラレナデラレ
神通「でも……訓練、ですか? 私から教えられるものは……もう何も……」
陽炎「いや~。最初は不知火と二人でやってたんだけど、なんか物足りなくって……。神通さん借りても良いでしょ、司令?」ナデラレナデラレ
不知火「ッチ」チラチラ
提督「もちろん。神通も、ちょうど退屈していたところなんだ」
陽炎「やったぁ! あれから毎日、たくさん練習したんだからね! しっかり見ててよ!」
神通「……わ、私は……退屈なんて、していませんけど……」チラ
提督「まあいいじゃないか。鬼教官?」
神通「」ピキィ
陽炎&不知火「!??!!」ダラダラ
神通「もうっ! ……提督まで……そんなこと言うのですか……!」プクゥ
提督「ははは。これはまた、可愛い鬼もいたもんだ」ナデナデ
神通「……///」プイッ
陽炎&不知火「」
陽炎「よ、よく見ておきなさい……! あれがアダルティでプラトニックな恋愛よ!」ヒソヒソ
不知火「ええ、百も承知です」ヒソヒソ
神通「? ……なにを、話しているの……?」
陽炎「ヒィ! な、何でも!?」
不知火「し、不知火に落ち度でも!?」
神通「?」クビカシゲ
提督(これは、二人とも神通によっぽど搾られてきたんだなぁ)シミジミ
神通「……そうです。提督」
提督「ん? なんだ?」
神通「せっかくですし……提督もご見学なさっては如何ですか?」
提督「え? 僕も?」
陽炎「あ、それいい! 司令に私の成長した姿! 見せてあげるね!」
不知火「それでしたら、他の駆逐艦たちにも声を掛けてきますか?」
神通「そうですね……お願いします」
陽炎「よ~し、私の出番ね! ちょっと行ってくる!」バタバタ
提督「まだいいとは一言も言ってないんだけど……」
不知火「来て、下さらないのですか?」ジッ
神通「提督……今、お暇ですよね」ジッ
提督「そんな目をしなくたって、ちゃんと行くよ。不知火と神通は先に行っててくれ。僕も準備出来次第向かう」
神通「……はい。それでは」
不知火「了解しました」
バタン
訓練場―――
提督「で、集まったのが……」
陽炎「いえーい」
不知火「……」
朝潮「」ビシッ
涼風「」メラメラ
曙「ふんっ!」
提督「なかなか面白い組み合わせだね。どうやって集めたんだい?」
陽炎「駆逐艦寮の前に行って、大声で呼んできたの」
涼風「あたいもちょーど、動きたい気分でね!」
朝潮「朝潮! 司令官のご指導を頂けると伺い、ご一緒させて頂きました!」
曙「ま、訓練には絶好のタイミングよね。糞提督さえいなければ」ジロ
提督「ははは。曙は相変わらず手厳しいな」
陽炎「」チョイチョイ
不知火「」コクコク
陽炎「『だーれか! この陽炎と、一緒に訓練しませんか~! なんとあの神通さんも一緒~!』」ミブリテブリ
提督「か、陽炎!?」
不知火「う、……『朝っぱらからうっさいわね』。そ……『そんなのあんた自慢の姉妹たちでやってればいいじゃない? 数だけは多いんだから!』……///」カァ
提督「し、不知火まで!?」
曙(あれ? これって……?)
陽炎「『え~? せっかくだから、皆誘った方がいいでしょ? 何せ今日は、司令も見に来てくれるのよ?』」ミブリテブリ
不知火「……『え!? く、糞提督が!? ……な、何でもないわ!』」ミブリテブリ
曙(や、やっぱり!?)
不知火「『あ、な、何か急に体が動かしたくなってきたわ! く、糞提督がいるのは残念だけど、少しくらいなr』――」
曙「すとーーーーっぷ! な、何わけのわかんないことしてんのよ!?」
陽炎「なになに~? 人に見られるとやばいもんなの~?」
曙「自分の真似されて、嬉しい人間はいないわよ!」
不知火「曙の真似だと伝わったのですね。安心しました」
曙「いや、そ、そういうわけじゃ」
陽炎「」カチッ
『く、糞提督がいるのは残念だけど、少しくらいなら付き合ってあげてもいいわ! べ、別に糞提督なんか関係ないんだけどね!?』
曙「だぁーーーーー!?!?!? 何録音してんのよ!? あ、ありえないからぁぁぁぁーーー!!!!!!」
提督(最近の子の笑いのツボは、ちょっとわからないな……。僕、そんなにいらない子……?)グスン
神通「……あ、あの……揃ったのなら……始めたいのですが」オズオズ
不知火「し、失礼しました」ビシ
陽炎「」ビシ
『思えば、今日って絶好の訓練日和よね?!?!!? せっかくあの鬼教官が見てくれるんだし!?!?!? く、糞提督さえいなければ最高だったんだけど!?!?!』
神通「……曙ちゃん?」ピキィ
曙「なんで止めないのよぉぉぉぉ!!?!?!」ヒイイイ
涼風「いいから、ちゃっちゃと始めようよー!」
朝潮「司令官! 朝潮の力、見ていてください!」ビシィ
提督「おおおお、朝潮だけが僕の味方だよ……」ナミダメ
曙「」グヌヌ
――――――
神通「涼風ちゃん。焦ってはいませんか? 周りとの呼吸を合わせて」
\オーッス!/
神通「朝潮ちゃん。足元が覚束無い様子ですが、大丈夫ですか?」
\アサシオ、マダイケマス!/
神通「前しか見えていない証拠です。ただ引っ張られていくのではなく、全体を見て、自分の頭で考え、その上で行動するよう心掛けてください」
\ハイ!/
提督(涼風は、この訓練を全力で楽しんでいるのがわかる。ただ、たまにこっち見てドヤ顔してくるのは止した方がいいな。神通もおそらく気付いてる)
提督(曙は、やっぱり根性がある。どんな辛い状況でも、瞳の中に確固たる意志が見て取れる。彼女もたまにこちらを睨んでくるが……やっぱりお邪魔だったのだろうか)
提督(朝潮は、一途な忠義は一級品。本当にいい子だ。彼女を活かせるかどうかは、僕次第ということかな)
提督(不知火は……とにかくすごいな。表情一つ変えずに付いて行っている。本当に頼もしい)
提督(陽炎は、目付きが普段と変わるな。でも、動きに絶対の自信を感じる。毎日、陰ながら努力しているもんな)
神通「撃ち方始めー!」
駆逐艦s「」ガチャ
ドンドンドンドンドン
的1「ンノック」ドゴォ
的2「ペイーン」ドゴォ
的3「フィアー」ドゴォ
的4「ジ・エンド」ドゴォ
的5「フューリー」ドゴォ
提督(にしても……)
提督「神通……綺麗だ……」ボソ
神通「……///」カァ
――――――――――――――
神通「みなさん。……お疲れ様でした」ペコリ
不知火「いえ。こちらこそ、ご指導ありがとうございます」ビシ
朝潮「あ、ありがとうございました」ビシ
神通「妖精さん。……艤装の方は、よろしくお願いします」
妖精さんs「リョウカイ! ハコベー! ホキュウイソゲー! ジュウニイノチヲフキコンデイルヨウダ!」
陽炎「きつ……きっつ……!」ゼーハー
涼風「ってやんでぇ! 陽炎型ネームシップの名が泣いてるよ……!」フラフラ
曙「ほ、ほんっと! だらしないわね……!」ヒーヒー
神通「……みなさん。そのままでいいので聞いてください」
提督(本当に、神通は教鞭を執ると雰囲気が変わる。凛々しくて、かわいいと言うより美しい)
神通「みなさんは練度も高く、この鎮守府内では指導する側に回ってもおかしくありません。故に私は、教えられることのすべてをみなさんに授けました」
朝潮「」ビシ
神通「それから少し経って、今日久方ぶりにみなさんの動きを見せて頂きました。文句を言おうと思えば、いくらでも言えます。まだまだ半人前です。……私が言えたことではありませんが」
陽炎「そ、そんなこと――!」
神通「ですが今日、みなさんの中で、私の指導が生きていることを目の当たりにしました。そんなみなさんの面倒を見ることができて、私は本当に誇りに思います」
陽炎「」ウルウル
不知火「」ウルウル
涼風「」ウルウル
朝潮「」ウルウル
曙「」ウルウル
提督(……なんか卒業式みたいだな……)
神通「また、何かあったら呼んでください。……いつでも飛んできます」
曙「あ、あの!」
神通「曙ちゃん? な、何かしら……?」
曙「さ、さっきは……鬼だなんて言って、ごめんなさい!」ペコ
提督(曙……! 成長したんだな……!)ホロリ
神通「…………ふふ。怒ってなんかいませんよ」ナデナデ
曙「……ふぇ?」ナデラレナデラレ
神通「みなさんの力になれる、みなさんの命を救うことができる。……それなら、私は鬼にでも悪魔にでもなります」ナデナデ
曙「ふぇぇぇ……」グルグル
陽炎「ぷぷ……! フフフフフ……! 曙、顔真っ赤……! 目もぐるぐるさせちゃって……っくくく……!」ククク
不知火「林檎みたいです」
朝潮「か、かわいい……」キラキラ
涼風「ふぁ~あ」アクビィ
曙「ぅぅぅぅ」チラ
提督「」ニヤニヤ
曙「うがぁぁぁぁぁ!?!??!!?!」
陽炎「あ、暴走した」
曙「だ、大体! 糞提督が悪いのよぉ!」ズイズイズイズイ
曙「わざわざ見になんか来るからぁぁぁ!」ミミグイー
提督「痛い! ちょっと曙! 落ち着いて! 耳が、千切れる!」ミミヒッパラレ
曙「落ち着いてるわよ! ……って、え?」ミミグイ
曙「」
提督「曙!?」
曙「み、耳糞提督! 耳掃除ぐらいしなさいよぉ!!?!??!!」
神通「……!」
曙「も、もうわけわかんない……!」グスグス
不知火「曙が恥ずかしさのあまり我を忘れてます」
陽炎「う、うん……。なんか、可哀想ね」
神通「あ、曙ちゃん……!」スズカゼオンブ
涼風「すぴー」オンブサレ
朝潮「し、司令官? あ、あれは大丈夫なのでしょうか?」
提督「あ、ああ」
―――執務室
神通「……曙ちゃんは……誰かから愛されることに、慣れていないんですよ。……それどころか……自分は、疎まれて当然と思っている節さえあります」
提督「そうか。僕がもっと、しっかり見てあげていられれば……」
神通「……でも、私にはしっかりと謝ってくれました……。……少しずつですが……心を開いてくれるようになってきています。提督の……おかげです」
提督「そうかな? いや、神通が言うなら、そうなのかもね」
神通「ところで、提督……ひとつ、伺いたいことが」
提督「どうしたんだい? 神通」
神通「さっき、曙ちゃんが……耳糞提督……と呼んでいましたが……」
提督「ああ、あれね。ははは、最近耳掃除してなかったからなぁ。結構溜まってるんじゃないかな」
神通「……そう、ですか……。あの、提督」
提督「わかってるよ。明日までにはしっかり掃除してくるさ」
神通「いえ、そうではなくて……」
提督「?」
神通「あ、あの……提督が嫌でなければ……その……」
提督「うん?」
神通「み、耳掃除……しましょうか?」
提督「え? 耳掃除って……僕の?」
神通「ご、ご迷惑……でしたか?」
提督「い、いや! そ、そんなことはないけど! ほ、本当にしてくれるの?」
神通「はい。……提督には、お世話になっているので……なにか、恩返しのようなことができればと……」
提督「神通……ああ、是非お願するよ」
神通「……はい……! お任せください」
神通「場所は……提督のお部屋で……よろしいでしょうか?」スタスタ
提督「え? いまから?」
神通「今は、特に仕事もありませんから……それに」
神通「……提督を執務室から追い出す……いい口実ができましたから」ニコッ
提督「ははは。これはしてやられたね」
―――提督のお部屋
提督「悪いね。散らかっているけど」ガチャ
神通「お邪魔します」
提督「お茶でも出そう。そこらで寛いでてよ」
神通「でしたら私が」
提督「客人に茶を淹れさせるわけにはいかないだろう?」
神通「そ、それは……そうですが……。……ここでも他人の為に仕事をしようと言うのなら……今度はここから、提督を追い出さなければならなくなります」
提督「ここ僕の部屋なんだけど……」
神通「でしたら……私たちの部屋で寝泊まりしますか……? ……川内型は、いつでも歓迎です……///」
提督「……神通も、随分と大胆な物言いをするようになった」
神通「提督の……おかげです」
提督「しかし、これでは埒が明かないな。神通、そこの湯呑を取ってくれるかい?」
神通「? は、はい」
提督「せっかくだ。二人で淹れよう」
神通「……! はい……!」
―――――――
提督「いや、我ながら美味しいお茶が入ったなぁ」ズズズ
神通「はい……。とても美味しいです」
提督「神通の淹れてくれたものほどではないけどね」
神通「……いえ、そんなことはありません」
提督「さて、せっかくだし、お茶請けでもとってこようか」ヨッコイショ
神通「でしたら、私が……」スクッ
提督「……」ジッ
神通「?」オドオド
提督「ふ……ははははは。だから神通は、寛いでいてくれていいのに。本当に君は、いいお嫁さんになるよ」
神通「……/// あ、ありがとう……ございます///」カァ
提督「まあこの部屋には最初から、そんな気の利いたものはないんだけどね」
神通「そ、そう……なのですか?」
提督「ああ。神通をからかいたくてね」
神通「……提督……あまりにしつこいと……お、怒りますよ……!」プクゥ
提督「ははは。怒った神通も、さぞかし可愛いんだろうね」ナデナデ
神通「も、もう……」プイ
提督(……凛々しい神通も好きだけど、こっちの神通もやっぱりいいな)
提督「すまない、神通。少し悪ふざけが過ぎたよ」
神通「い、いえ……私もまだ怒ってはいないので……」アタフタ
提督(でも、こういう反応をされると、少し弄りたくなるんだよな……)
提督「神通は今日、僕のために来てくれたんだ。それなのに失礼なことをしてしまったよ」
神通「! ……そ、そうです。耳掃除をしたいので……」
提督「そうだね。耳かき棒を取ってこようか」
神通「でしたら――」
提督「っぷ。ふふふ。またこれかい?」
神通「あ……。す、すみません」ショボン
――――――――――――
神通「では……提督は、私の膝に頭を乗せてください」
提督「なんと、膝枕か。これは楽しみだ」
神通「こ、これが一番やりやすいので……」
提督「なら、お言葉に甘えて……」ヨッコイショ
ピト
神通「ど、どうでしょうか……?」
提督「ああ……最高だ……! 頭がしっかりと受け止められる感覚……それに、神通のスベスベなフトモモが気持ちいい。まるで雲の上にいるような気分だ……! それに、神通のいい香りが――」
プニッ
神通「は、恥ずかしいので……その……や、やめてください」
提督(じ、神通に頬をプニプニされた……。可愛らしい指先だ……!)
神通「……では……始めますね」
提督「ああ。お願いするよ」
サリッ サリ サリ サリ
提督(まずは耳の入り口からか。棒がやさしく耳に触れている……。すこし、こそばゆいな。だが、耳垢をカリカリとされるのは、なかなかに気分がいい)
提督「ところで神通」
神通「な……なんでしょう?」カリカリ
提督「耳垢なんだけど……どんな感じだい? 自分では見えないからね」
神通「そうですね……。……鳥肌が立っているような……と言えば分りますか? 細かいのがたくさんついている感じです」ピタ
提督「なるほど、それは気持ち悪いな」
神通「はい。……なるべく落としたくないので……動かないようにして頂けると、嬉しいです」
提督「ああ。わかった」
神通「そ、それでは、もう一度……」
サリッ サリッ サリッ サリッ
ッズ ッズ ッズ ッズ
提督(それにしても、柔らかいタッチだ。段々と、気持ちがよくなってきた)ゾクゾク
神通「……軽くなぞっただけでも、ぽろぽろと剥がれますね」カリカリ
ザリザリザリ
ペリッ
提督(張り付いた細かい耳垢が、ぺりっと剥がされる感覚。虫は脱皮したとき、気持ちいいと感じるようだが、それもわかる気がする……。なんて、絵本の知識だけど)ゾクゾク
クリッ クリッ クリッ クリッ
ペリッ ペリッ ペリッ ペリッ
カリッカリリリリリ
提督(耳垢が剥がされて……少しずつ奥に入っていく……。入り口から少し入ったところをカリカリされるの……心地いいな……)
神通「提督……痛くはないですか……?」カリッカリ
提督「ああ……問題ないよ……。すごく気持ちがいい……」ゾクゾク
神通「ふふ……そう、ですか……」カキカキ
スリッ スリスリスリ
ザッ ザリッ ザリッ ザリッ
ペリン
提督(ああぁぁ、ず、ずいぶんと気持ちがよくなってきた……! もう少し、強く掻いてほしい感じもするけど……慎重すぎるくらいの手つきに、神通らしさを感じる。それに、神通の深い吐息が……頬を通り過ぎていく……)ゾクゾクゾク
提督(それにしても、神通のフトモモ……柔らかい……! 力が抜けてしまっても、しっかりと支えてくれる……。ついつい、顔を埋めたくなってしまう……)モゾ
神通「あ……。提督……ダメですよ。動かないでください……! 怪我しちゃいますから……」
提督「あ、ああ。すまない」
提督(神通の声……綺麗だ。しっかり喉から発せられているのに、囁き声のような柔らかさがある。……こう、神通の声で叱られるのも、悪くないな……)
神通「ふふ。……なんだか、提督が……子供みたい」ナデナデ
提督「じ、神通……!?」ナデラレナデラレ
神通「あ……すみません……お気に障りましたか……?」
提督「い、いや。少し驚いただけだよ。それよりも、嫌でなければなんだけど……。もう少し撫でてくれるかな……?」
神通「は、はい……」ナデナデ
提督「子供みたい……か」ナデラレナデラレ
提督「昔は……母さんによく、こうしてもらっていたよ」
神通「……お母様、ですか……。今はどちらに……?」
提督「実家で元気にやってるよ。最近は妙に便りが多くてね。実家に帰って来いだの、いい子は見つけたのかだの」
神通「そう、ですか……。帰る家があると言うのは……羨ましいです」
提督「それじゃあ、近いうちに神通を紹介しにいかなければね。そうすれば、うちが神通の帰る家になる」
神通「……て、提督……それは、どういう……///」カァァ
提督「そのままの意味さ」
神通「またそうやって……。からかわないでください……」プクゥ
提督「ははは。からかったつもりはないよ」
神通「知りません……!」
提督「神通の反応は、いつも可愛らしいから。つい……ね」
神通「……わかりました。提督がそこまでするなら……私にも考えがあります」
提督「え? なにを――!?」
スーッスッスッスー
スリスリスリスリ
提督(み、耳かき棒で耳介に掻き始めた?!!?!? 今までよりも少し強いタッチで、溝の中を棒が走っていく!?!?!?)ゾクゾク
スリーッ スリーッ スリーッ
神通「……どうですか、提督? 気持ちいい……ですよね」
提督(な、なんでそんなに自信満々なんだ……!?!? た、確かに気持ちがいいけど……!)ゾクゾクゾクゾク
神通「…………」サリサリサリ
提督(あああああ!? ま、まるで耳の中を柔らかくかき混ぜられているようだ……!)ゾクゾクゾクゾク
神通「……」フゥ~
提督(!?!?!! じ、神通が吐息を……! ふ、吹きかけてきた!??!!? や、柔らかい……神通は吐息まで柔らかいのか……? って僕は何を言ってるんだろうか)ゾクゾクゾクゾク
神通「ふふふ……。どうですか? ……しっかり、気持ちよくなれていますか?」サリサリ
提督「き、気持ちいい……」ゾクゾク
神通「……」ペロン
提督(ん? 神通が耳介をめくった? なんだか、つまれているのだけでも気持ちがいい)トローン
神通「……耳の裏側も……綺麗にしなくてはダメですよ」スリスリ
スーッ スーッ スーッ スーッ
スリースリリリリ
提督(み、耳の裏側まで??!!??!? これは、想像以上にゾクゾクする……!?!?!)ゾクゾク
提督(あ、あぁぁぁぁ。耳介の裏側、耳と頭の付け根の部分に棒が触れて……。すりっすりっという音と一緒に、快感が……。す、すごい……耳の中の時よりも……気持ちいい)ゾクゾクゾクゾク
神通「……提督がいじめるので……お返しです……♪」フゥ~
提督(神通に耳を引っ張られて……気持ちいいところを何度も掻かれて……柔らかく息を吹きかけられる……。なんだ、これ…………!)トローン
神通「……提督……あ、あの……返事がないのですが……大丈夫でしょうか……?」
提督「あ、ああ。き、きもちが……よかっただけだよ」トローン
神通「……眠たいのですか……?」ナデナデ
提督「ああ、な、なんだかね……」トローン
神通「いつでも、眠ってください……」ナデナデ
提督「あ、ああ……」
神通「では……先に反対側をやりましょうか……? こちらは大体終りましたし……」
提督「……そうだね……そうしてくれるかい……?」ネムネム
神通「それでは……提督?」
提督「ああ、わかっているよ」ヨッコイショ
神通「はい。……反対にしてください」ガシックルン
提督「え?」ポスン
提督(じ、神通……!? だ、大胆だ……。まさか二人の位置を変えずに、頭だけを回すなんて……! これじゃあ、神通のお腹が目の前に……!? す、スカートが短いせいか……中が見えそうだ……!?!?)ギョッ
神通「提督は……リラックスしていてください」ナデナデ
提督「あ、ああ」ナデラレナデラレ
提督(神通の手つき……優しいな……。姉はいたことなかったが……もしいたとしたら、こんな感じなのだろうか……。神通が……こんなおっさんの姉か……。いけない、眠気が)ネムネム
神通「……提督。安心して、眠ってください。神通は、いつまでもここにいますから……」
提督「じん……つう……」トローン
ザリッ ザリッ ザリッ ザリッ
提督(耳の入り口に溜まった耳垢が、剥がされていく。耳垢に隠されていた肌が、空気に触れる快感……。それが、全身を駆け巡っていく)ゾクゾク
ズッ ズズズズズズ
ズリッ ズリッ ズリ
スーッリ スーッリ スーッリ
提督(目の前の……神通のお腹……いい香りがする……。フトモモも、相変わらず柔らかい。女の子って、みんなこうなのだろうか……。眠るなら、このお腹に顔を埋めて眠ってみたいな……。お願いすればしてくれるのだろうか)ネムネム
神通「こちらも、ぽろぽろ取れていきますね……。……このまま、少し奥に行きますね」カキカキ
ッザリ ッザリ ッザリ ッザリ
スーッ スーッ スーッ
提督(耳垢を剥がしていく合間に……隙あらば耳介に棒を走らせてくる……。神通、気持ち良くしようと頑張ってくれているのか……)トローン
神通「……提督……?」カリカリ
提督「どう、したんだい?」トローン
神通「さきほど……提督は、私をお母様に紹介する……とおっしゃいましたね……」
ズ、ズッズッズッズ
チョ、チョッチョチョン
提督「ああ」トローン
神通「……はぐらかさないで、教えて頂けませんか……? なぜ、私を……?」カリカリ
提督「……決まってる、じゃないか……それは、神通を――」
神通「」ゴクリ
提督「……いや、やっぱりやめよう。……こんな時に言っても、格好が……つかないからね」トローン
神通「……そう、ですか」カリカリ
提督「……待っていてくれるかい……? 僕の……覚悟が決まるまで……」ネムネム
スリッスリスリスリ
クッ クッ クッ クッ
神通「……はい。……あまり、待たせないでください……ね?」
提督「ああ……約束だ……」コックリコックリ
神通「……無理を、なさらないでください……。お休みする時間は、いくらでもあります……」ナデナデ
提督「……そう。だな……。すまないね、神通……zzz」スゥウウ
神通「……」カリカリ
神通「……本当に……意地悪な人です……♪」ナデナデ
提督「」スピー
――――
―――
――
―
――――二週間後・執務室
提督「――この輸送船を、深海棲艦が襲撃。船員を閉じ込め、どこからかへ『護送』しているようだ。実質、彼らは深海棲艦の人質となったと言っても過言ではない。どうやら、大本営はこの輸送船の『積荷』がご心配のようだ」
神通「」ビシッ
陽炎「」ビシッ
不知火「」ビシッ
涼風「」ビシッ
朝潮「」ビシッ
曙「」ビシッ
提督「現在、第二並びに第三艦隊が、奴らの目を引き付けている。その隙に、君達第一艦隊が突入。その輸送船ごと、船員・積荷を奪還してほしい」
提督「この一件は、我ら人類の持つ残り少ない海が、またも奴らに奪われたことを意味している。人類の威信にかけて、深海棲艦どもに一泡吹かせてやれ!!」
第一艦隊「はい!」
提督「神通、艦隊を頼む。華の二水戦の力、頼りにしているよ」
神通「……はい……!」
提督「それじゃあ、神通。後ろを向いて」つハチマキ
神通「……はい」クル
ファサ シュル
陽炎「……///」
クイッ
不知火「……///」
シュルル
曙(なんで見ているだけのあたしが、こんなにドキドキしなくちゃいけないの!?///)
シュ…ッキュッ!
提督「はい、できた」
神通(ハチマキ装備)「提督。ありがとうございます」キッ!
提督「……よし、暴れてこい!」
提督「第一艦隊! 出撃!!」
神通「神通!! 行きますっ!!!」
おわり
以上です。
かなり駆け足&マイペースでしたがありがとうございました。
次は蒼龍編でいきたいと思います。
応援ありがとうございます!
少し遅れましたが、新作立てたので誘導。
【艦これ】蒼龍「耳掃除します?」
【艦これ】蒼龍「耳掃除します?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450268660/)
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません