【艦これ】神通「耳掃除しましょうか?」 (53)

・三作目です

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注:艦娘→艦娘の二人称が間違っていることがあるかもしれません。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1449922812

―――執務室

神通改二(以下神通)「提督、お茶が入りました」コト

提督「ああ、ありがとう」

提督「」ズズズ

神通「」ニコニコ

提督「はぁ~。やっぱり、神通の淹れてくれたお茶は美味しいよ。いつもありがとう」

神通「いえ。……こんな私でも、提督のお役にたてるのでしたら、そのくらい」

提督「そんなことは言わない。神通は誰から見ても、立派な子だよ」

神通「……ありがとう……ございます」

提督「それにしても……平和だなあ」

神通「……はい」

提督「最近は深海棲艦も滅多に現れない。……嵐の前の静けさでないことを、祈るばかりだよ」

神通「……はい」

神通「……でも、仕事もあまりないのでしたら……しっかりと休みを取ってください。いつ、深海棲艦が攻めて来るのか、わからないのですから」

提督「わからないからこそさ。こういうとき程、しっかり気を引き締めていないと」

神通「それでしたら、司令代理は私が……」

提督「……そんなに僕を執務室から追い出したいのか……。そうかそうか、神通は僕と仕事がしたくないんだね……」ヨヨヨ

神通「そ、そういうわけでは」オロオロ

提督「ははは。冗談だ」

神通「て、提督……」

神通「し、しっかりと休みを取って頂けないのなら……本当に、執務室から追い出してしまいますよ……?」プンプン

提督「それは困ったなあ」

神通「ほ、本気です……!」

ドタドタドタドタ

ホォラ、イソイデ!

提督「……ふふふ。騒がしいのが来たみたいだ」

神通「……賑やかに、なりそうですね」

提督「ああ、そうだね」

コンコン

提督「はい」

扉『陽炎型一番艦、陽炎です!』

扉『同じく二番艦、不知火です』

提督「」チラ

神通「」コク

提督「どうぞ」

ガチャ

陽炎「失礼しまーっす!」

不知火「失礼します」

提督「不知火に陽炎か。どうしたんだい?」

陽炎「神通さんに訓練を見てもらおうかな~って」

不知火「ご多忙のところ、申し訳ありません」

提督「いいんだよ。むしろ毎日頑張っているところを褒めてあげたいくらいだ」

陽炎「ん? 褒めてくれるの? じゃあよしよしして!」

提督「はいはい。よしよし」ナデナデ

陽炎「んふふ~」ナデラレナデラレ

神通「でも……訓練、ですか? 私から教えられるものは……もう何も……」

陽炎「いや~。最初は不知火と二人でやってたんだけど、なんか物足りなくって……。神通さん借りても良いでしょ、司令?」ナデラレナデラレ

不知火「ッチ」チラチラ

提督「もちろん。神通も、ちょうど退屈していたところなんだ」

陽炎「やったぁ! あれから毎日、たくさん練習したんだからね! しっかり見ててよ!」

神通「……わ、私は……退屈なんて、していませんけど……」チラ

提督「まあいいじゃないか。鬼教官?」

神通「」ピキィ

陽炎&不知火「!??!!」ダラダラ

神通「もうっ! ……提督まで……そんなこと言うのですか……!」プクゥ

提督「ははは。これはまた、可愛い鬼もいたもんだ」ナデナデ

神通「……///」プイッ

陽炎&不知火「」

陽炎「よ、よく見ておきなさい……! あれがアダルティでプラトニックな恋愛よ!」ヒソヒソ
不知火「ええ、百も承知です」ヒソヒソ

神通「? ……なにを、話しているの……?」

陽炎「ヒィ! な、何でも!?」

不知火「し、不知火に落ち度でも!?」

神通「?」クビカシゲ

提督(これは、二人とも神通によっぽど搾られてきたんだなぁ)シミジミ

神通「……そうです。提督」

提督「ん? なんだ?」

神通「せっかくですし……提督もご見学なさっては如何ですか?」

提督「え? 僕も?」

陽炎「あ、それいい! 司令に私の成長した姿! 見せてあげるね!」

不知火「それでしたら、他の駆逐艦たちにも声を掛けてきますか?」

神通「そうですね……お願いします」

陽炎「よ~し、私の出番ね! ちょっと行ってくる!」バタバタ

提督「まだいいとは一言も言ってないんだけど……」

不知火「来て、下さらないのですか?」ジッ

神通「提督……今、お暇ですよね」ジッ

提督「そんな目をしなくたって、ちゃんと行くよ。不知火と神通は先に行っててくれ。僕も準備出来次第向かう」

神通「……はい。それでは」

不知火「了解しました」

バタン

訓練場―――

提督「で、集まったのが……」

陽炎「いえーい」
不知火「……」
朝潮「」ビシッ
涼風「」メラメラ
曙「ふんっ!」

提督「なかなか面白い組み合わせだね。どうやって集めたんだい?」

陽炎「駆逐艦寮の前に行って、大声で呼んできたの」

涼風「あたいもちょーど、動きたい気分でね!」

朝潮「朝潮! 司令官のご指導を頂けると伺い、ご一緒させて頂きました!」

曙「ま、訓練には絶好のタイミングよね。糞提督さえいなければ」ジロ

提督「ははは。曙は相変わらず手厳しいな」

陽炎「」チョイチョイ
不知火「」コクコク

陽炎「『だーれか! この陽炎と、一緒に訓練しませんか~! なんとあの神通さんも一緒~!』」ミブリテブリ

提督「か、陽炎!?」

不知火「う、……『朝っぱらからうっさいわね』。そ……『そんなのあんた自慢の姉妹たちでやってればいいじゃない? 数だけは多いんだから!』……///」カァ

提督「し、不知火まで!?」

曙(あれ? これって……?)

陽炎「『え~? せっかくだから、皆誘った方がいいでしょ? 何せ今日は、司令も見に来てくれるのよ?』」ミブリテブリ

不知火「……『え!? く、糞提督が!? ……な、何でもないわ!』」ミブリテブリ

曙(や、やっぱり!?)

不知火「『あ、な、何か急に体が動かしたくなってきたわ! く、糞提督がいるのは残念だけど、少しくらいなr』――」

曙「すとーーーーっぷ! な、何わけのわかんないことしてんのよ!?」

陽炎「なになに~? 人に見られるとやばいもんなの~?」

曙「自分の真似されて、嬉しい人間はいないわよ!」

不知火「曙の真似だと伝わったのですね。安心しました」

曙「いや、そ、そういうわけじゃ」

陽炎「」カチッ

『く、糞提督がいるのは残念だけど、少しくらいなら付き合ってあげてもいいわ! べ、別に糞提督なんか関係ないんだけどね!?』

曙「だぁーーーーー!?!?!? 何録音してんのよ!? あ、ありえないからぁぁぁぁーーー!!!!!!」

提督(最近の子の笑いのツボは、ちょっとわからないな……。僕、そんなにいらない子……?)グスン

神通「……あ、あの……揃ったのなら……始めたいのですが」オズオズ

不知火「し、失礼しました」ビシ

陽炎「」ビシ

『思えば、今日って絶好の訓練日和よね?!?!!? せっかくあの鬼教官が見てくれるんだし!?!?!? く、糞提督さえいなければ最高だったんだけど!?!?!』

神通「……曙ちゃん?」ピキィ

曙「なんで止めないのよぉぉぉぉ!!?!?!」ヒイイイ

涼風「いいから、ちゃっちゃと始めようよー!」

朝潮「司令官! 朝潮の力、見ていてください!」ビシィ

提督「おおおお、朝潮だけが僕の味方だよ……」ナミダメ

曙「」グヌヌ

――――――
神通「涼風ちゃん。焦ってはいませんか? 周りとの呼吸を合わせて」

                 \オーッス!/

神通「朝潮ちゃん。足元が覚束無い様子ですが、大丈夫ですか?」

               \アサシオ、マダイケマス!/

神通「前しか見えていない証拠です。ただ引っ張られていくのではなく、全体を見て、自分の頭で考え、その上で行動するよう心掛けてください」

 
                  \ハイ!/

提督(うん。やっぱりすごいな、みんなは)

提督(涼風は、この訓練を全力で楽しんでいるのがわかる。ただ、たまにこっち見てドヤ顔してくるのは止した方がいいな。神通もおそらく気付いてる)

提督(曙は、やっぱり根性がある。どんな辛い状況でも、瞳の中に確固たる意志が見て取れる。彼女もたまにこちらを睨んでくるが……やっぱりお邪魔だったのだろうか)

提督(朝潮は、一途な忠義は一級品。本当にいい子だ。彼女を活かせるかどうかは、僕次第ということかな)

提督(不知火は……とにかくすごいな。表情一つ変えずに付いて行っている。本当に頼もしい)

提督(陽炎は、目付きが普段と変わるな。でも、動きに絶対の自信を感じる。毎日、陰ながら努力しているもんな)

神通「撃ち方始めー!」

駆逐艦s「」ガチャ
 ドンドンドンドンドン

的1「ンノック」ドゴォ
的2「ペイーン」ドゴォ
的3「フィアー」ドゴォ
的4「ジ・エンド」ドゴォ
的5「フューリー」ドゴォ

提督(にしても……)

提督「神通……綺麗だ……」ボソ

神通「……///」カァ

――――――――――――――

神通「みなさん。……お疲れ様でした」ペコリ

不知火「いえ。こちらこそ、ご指導ありがとうございます」ビシ

朝潮「あ、ありがとうございました」ビシ

神通「妖精さん。……艤装の方は、よろしくお願いします」

妖精さんs「リョウカイ! ハコベー! ホキュウイソゲー! ジュウニイノチヲフキコンデイルヨウダ!」

陽炎「きつ……きっつ……!」ゼーハー

涼風「ってやんでぇ! 陽炎型ネームシップの名が泣いてるよ……!」フラフラ

曙「ほ、ほんっと! だらしないわね……!」ヒーヒー

神通「……みなさん。そのままでいいので聞いてください」

提督(本当に、神通は教鞭を執ると雰囲気が変わる。凛々しくて、かわいいと言うより美しい)

神通「みなさんは練度も高く、この鎮守府内では指導する側に回ってもおかしくありません。故に私は、教えられることのすべてをみなさんに授けました」

朝潮「」ビシ

神通「それから少し経って、今日久方ぶりにみなさんの動きを見せて頂きました。文句を言おうと思えば、いくらでも言えます。まだまだ半人前です。……私が言えたことではありませんが」

陽炎「そ、そんなこと――!」

神通「ですが今日、みなさんの中で、私の指導が生きていることを目の当たりにしました。そんなみなさんの面倒を見ることができて、私は本当に誇りに思います」

陽炎「」ウルウル
不知火「」ウルウル
涼風「」ウルウル
朝潮「」ウルウル
曙「」ウルウル

提督(……なんか卒業式みたいだな……)

神通「また、何かあったら呼んでください。……いつでも飛んできます」

曙「あ、あの!」

神通「曙ちゃん? な、何かしら……?」

曙「さ、さっきは……鬼だなんて言って、ごめんなさい!」ペコ

提督(曙……! 成長したんだな……!)ホロリ

神通「…………ふふ。怒ってなんかいませんよ」ナデナデ

曙「……ふぇ?」ナデラレナデラレ

神通「みなさんの力になれる、みなさんの命を救うことができる。……それなら、私は鬼にでも悪魔にでもなります」ナデナデ

曙「ふぇぇぇ……」グルグル

陽炎「ぷぷ……! フフフフフ……! 曙、顔真っ赤……! 目もぐるぐるさせちゃって……っくくく……!」ククク

不知火「林檎みたいです」

朝潮「か、かわいい……」キラキラ

涼風「ふぁ~あ」アクビィ

曙「ぅぅぅぅ」チラ

提督「」ニヤニヤ

曙「うがぁぁぁぁぁ!?!??!!?!」

陽炎「あ、暴走した」

曙「だ、大体! 糞提督が悪いのよぉ!」ズイズイズイズイ

曙「わざわざ見になんか来るからぁぁぁ!」ミミグイー

提督「痛い! ちょっと曙! 落ち着いて! 耳が、千切れる!」ミミヒッパラレ

曙「落ち着いてるわよ! ……って、え?」ミミグイ

曙「」

提督「曙!?」

曙「み、耳糞提督! 耳掃除ぐらいしなさいよぉ!!?!??!!」

神通「……!」

曙「も、もうわけわかんない……!」グスグス

不知火「曙が恥ずかしさのあまり我を忘れてます」

陽炎「う、うん……。なんか、可哀想ね」

神通「あ、曙ちゃん……!」スズカゼオンブ
涼風「すぴー」オンブサレ

朝潮「し、司令官? あ、あれは大丈夫なのでしょうか?」

提督「あ、ああ」

―――執務室

神通「……曙ちゃんは……誰かから愛されることに、慣れていないんですよ。……それどころか……自分は、疎まれて当然と思っている節さえあります」

提督「そうか。僕がもっと、しっかり見てあげていられれば……」

神通「……でも、私にはしっかりと謝ってくれました……。……少しずつですが……心を開いてくれるようになってきています。提督の……おかげです」

提督「そうかな? いや、神通が言うなら、そうなのかもね」

神通「ところで、提督……ひとつ、伺いたいことが」

提督「どうしたんだい? 神通」

神通「さっき、曙ちゃんが……耳糞提督……と呼んでいましたが……」

提督「ああ、あれね。ははは、最近耳掃除してなかったからなぁ。結構溜まってるんじゃないかな」

神通「……そう、ですか……。あの、提督」

提督「わかってるよ。明日までにはしっかり掃除してくるさ」

神通「いえ、そうではなくて……」

提督「?」

神通「あ、あの……提督が嫌でなければ……その……」

提督「うん?」

神通「み、耳掃除……しましょうか?」

提督「え? 耳掃除って……僕の?」

神通「ご、ご迷惑……でしたか?」

提督「い、いや! そ、そんなことはないけど! ほ、本当にしてくれるの?」

神通「はい。……提督には、お世話になっているので……なにか、恩返しのようなことができればと……」

提督「神通……ああ、是非お願するよ」

神通「……はい……! お任せください」

神通「場所は……提督のお部屋で……よろしいでしょうか?」スタスタ

提督「え? いまから?」

神通「今は、特に仕事もありませんから……それに」

神通「……提督を執務室から追い出す……いい口実ができましたから」ニコッ

提督「ははは。これはしてやられたね」

―――提督のお部屋

提督「悪いね。散らかっているけど」ガチャ

神通「お邪魔します」

提督「お茶でも出そう。そこらで寛いでてよ」

神通「でしたら私が」

提督「客人に茶を淹れさせるわけにはいかないだろう?」

神通「そ、それは……そうですが……。……ここでも他人の為に仕事をしようと言うのなら……今度はここから、提督を追い出さなければならなくなります」

提督「ここ僕の部屋なんだけど……」

神通「でしたら……私たちの部屋で寝泊まりしますか……? ……川内型は、いつでも歓迎です……///」

提督「……神通も、随分と大胆な物言いをするようになった」

神通「提督の……おかげです」

提督「しかし、これでは埒が明かないな。神通、そこの湯呑を取ってくれるかい?」

神通「? は、はい」

提督「せっかくだ。二人で淹れよう」

神通「……! はい……!」

―――――――

提督「いや、我ながら美味しいお茶が入ったなぁ」ズズズ

神通「はい……。とても美味しいです」

提督「神通の淹れてくれたものほどではないけどね」

神通「……いえ、そんなことはありません」

提督「さて、せっかくだし、お茶請けでもとってこようか」ヨッコイショ

神通「でしたら、私が……」スクッ

提督「……」ジッ

神通「?」オドオド

提督「ふ……ははははは。だから神通は、寛いでいてくれていいのに。本当に君は、いいお嫁さんになるよ」

神通「……/// あ、ありがとう……ございます///」カァ

提督「まあこの部屋には最初から、そんな気の利いたものはないんだけどね」

神通「そ、そう……なのですか?」

提督「ああ。神通をからかいたくてね」

神通「……提督……あまりにしつこいと……お、怒りますよ……!」プクゥ

提督「ははは。怒った神通も、さぞかし可愛いんだろうね」ナデナデ

神通「も、もう……」プイ

提督(……凛々しい神通も好きだけど、こっちの神通もやっぱりいいな)

提督「すまない、神通。少し悪ふざけが過ぎたよ」

神通「い、いえ……私もまだ怒ってはいないので……」アタフタ

提督(でも、こういう反応をされると、少し弄りたくなるんだよな……)

提督「神通は今日、僕のために来てくれたんだ。それなのに失礼なことをしてしまったよ」

神通「! ……そ、そうです。耳掃除をしたいので……」

提督「そうだね。耳かき棒を取ってこようか」

神通「でしたら――」

提督「っぷ。ふふふ。またこれかい?」

神通「あ……。す、すみません」ショボン

――――――――――――

神通「では……提督は、私の膝に頭を乗せてください」

提督「なんと、膝枕か。これは楽しみだ」

神通「こ、これが一番やりやすいので……」

提督「なら、お言葉に甘えて……」ヨッコイショ

ピト

神通「ど、どうでしょうか……?」

提督「ああ……最高だ……! 頭がしっかりと受け止められる感覚……それに、神通のスベスベなフトモモが気持ちいい。まるで雲の上にいるような気分だ……! それに、神通のいい香りが――」

プニッ

神通「は、恥ずかしいので……その……や、やめてください」

提督(じ、神通に頬をプニプニされた……。可愛らしい指先だ……!)

神通「……では……始めますね」

提督「ああ。お願いするよ」

サリッ サリ サリ サリ

提督(まずは耳の入り口からか。棒がやさしく耳に触れている……。すこし、こそばゆいな。だが、耳垢をカリカリとされるのは、なかなかに気分がいい)

提督「ところで神通」

神通「な……なんでしょう?」カリカリ

提督「耳垢なんだけど……どんな感じだい? 自分では見えないからね」

神通「そうですね……。……鳥肌が立っているような……と言えば分りますか? 細かいのがたくさんついている感じです」ピタ

提督「なるほど、それは気持ち悪いな」

神通「はい。……なるべく落としたくないので……動かないようにして頂けると、嬉しいです」

提督「ああ。わかった」

神通「そ、それでは、もう一度……」

サリッ サリッ サリッ サリッ
ッズ ッズ ッズ ッズ

提督(それにしても、柔らかいタッチだ。段々と、気持ちがよくなってきた)ゾクゾク

神通「……軽くなぞっただけでも、ぽろぽろと剥がれますね」カリカリ

ザリザリザリ
ペリッ

提督(張り付いた細かい耳垢が、ぺりっと剥がされる感覚。虫は脱皮したとき、気持ちいいと感じるようだが、それもわかる気がする……。なんて、絵本の知識だけど)ゾクゾク

クリッ クリッ クリッ クリッ
ペリッ ペリッ ペリッ ペリッ
カリッカリリリリリ

提督(耳垢が剥がされて……少しずつ奥に入っていく……。入り口から少し入ったところをカリカリされるの……心地いいな……)

神通「提督……痛くはないですか……?」カリッカリ

提督「ああ……問題ないよ……。すごく気持ちがいい……」ゾクゾク

神通「ふふ……そう、ですか……」カキカキ

スリッ スリスリスリ
ザッ ザリッ ザリッ ザリッ
ペリン

提督(ああぁぁ、ず、ずいぶんと気持ちがよくなってきた……! もう少し、強く掻いてほしい感じもするけど……慎重すぎるくらいの手つきに、神通らしさを感じる。それに、神通の深い吐息が……頬を通り過ぎていく……)ゾクゾクゾク

提督(それにしても、神通のフトモモ……柔らかい……! 力が抜けてしまっても、しっかりと支えてくれる……。ついつい、顔を埋めたくなってしまう……)モゾ

神通「あ……。提督……ダメですよ。動かないでください……! 怪我しちゃいますから……」

提督「あ、ああ。すまない」

提督(神通の声……綺麗だ。しっかり喉から発せられているのに、囁き声のような柔らかさがある。……こう、神通の声で叱られるのも、悪くないな……)

神通「ふふ。……なんだか、提督が……子供みたい」ナデナデ

提督「じ、神通……!?」ナデラレナデラレ

神通「あ……すみません……お気に障りましたか……?」

提督「い、いや。少し驚いただけだよ。それよりも、嫌でなければなんだけど……。もう少し撫でてくれるかな……?」

神通「は、はい……」ナデナデ

提督「子供みたい……か」ナデラレナデラレ

提督「昔は……母さんによく、こうしてもらっていたよ」

神通「……お母様、ですか……。今はどちらに……?」

提督「実家で元気にやってるよ。最近は妙に便りが多くてね。実家に帰って来いだの、いい子は見つけたのかだの」

神通「そう、ですか……。帰る家があると言うのは……羨ましいです」

提督「それじゃあ、近いうちに神通を紹介しにいかなければね。そうすれば、うちが神通の帰る家になる」

神通「……て、提督……それは、どういう……///」カァァ

提督「そのままの意味さ」

神通「またそうやって……。からかわないでください……」プクゥ

提督「ははは。からかったつもりはないよ」

神通「知りません……!」

提督「神通の反応は、いつも可愛らしいから。つい……ね」

神通「……わかりました。提督がそこまでするなら……私にも考えがあります」

提督「え? なにを――!?」

スーッスッスッスー
スリスリスリスリ

提督(み、耳かき棒で耳介に掻き始めた?!!?!? 今までよりも少し強いタッチで、溝の中を棒が走っていく!?!?!?)ゾクゾク

スリーッ スリーッ スリーッ 

神通「……どうですか、提督? 気持ちいい……ですよね」

提督(な、なんでそんなに自信満々なんだ……!?!? た、確かに気持ちがいいけど……!)ゾクゾクゾクゾク

神通「…………」サリサリサリ

提督(あああああ!? ま、まるで耳の中を柔らかくかき混ぜられているようだ……!)ゾクゾクゾクゾク

神通「……」フゥ~

提督(!?!?!! じ、神通が吐息を……! ふ、吹きかけてきた!??!!? や、柔らかい……神通は吐息まで柔らかいのか……? って僕は何を言ってるんだろうか)ゾクゾクゾクゾク

神通「ふふふ……。どうですか? ……しっかり、気持ちよくなれていますか?」サリサリ

提督「き、気持ちいい……」ゾクゾク

神通「……」ペロン

提督(ん? 神通が耳介をめくった? なんだか、つまれているのだけでも気持ちがいい)トローン

神通「……耳の裏側も……綺麗にしなくてはダメですよ」スリスリ

スーッ スーッ スーッ スーッ
スリースリリリリ

提督(み、耳の裏側まで??!!??!? これは、想像以上にゾクゾクする……!?!?!)ゾクゾク

提督(あ、あぁぁぁぁ。耳介の裏側、耳と頭の付け根の部分に棒が触れて……。すりっすりっという音と一緒に、快感が……。す、すごい……耳の中の時よりも……気持ちいい)ゾクゾクゾクゾク

神通「……提督がいじめるので……お返しです……♪」フゥ~

提督(神通に耳を引っ張られて……気持ちいいところを何度も掻かれて……柔らかく息を吹きかけられる……。なんだ、これ…………!)トローン

神通「……提督……あ、あの……返事がないのですが……大丈夫でしょうか……?」

提督「あ、ああ。き、きもちが……よかっただけだよ」トローン

神通「……眠たいのですか……?」ナデナデ

提督「ああ、な、なんだかね……」トローン

神通「いつでも、眠ってください……」ナデナデ

提督「あ、ああ……」

神通「では……先に反対側をやりましょうか……? こちらは大体終りましたし……」

提督「……そうだね……そうしてくれるかい……?」ネムネム

神通「それでは……提督?」

提督「ああ、わかっているよ」ヨッコイショ

神通「はい。……反対にしてください」ガシックルン

提督「え?」ポスン

提督(じ、神通……!? だ、大胆だ……。まさか二人の位置を変えずに、頭だけを回すなんて……! これじゃあ、神通のお腹が目の前に……!? す、スカートが短いせいか……中が見えそうだ……!?!?)ギョッ

神通「提督は……リラックスしていてください」ナデナデ

提督「あ、ああ」ナデラレナデラレ

提督(神通の手つき……優しいな……。姉はいたことなかったが……もしいたとしたら、こんな感じなのだろうか……。神通が……こんなおっさんの姉か……。いけない、眠気が)ネムネム

神通「……提督。安心して、眠ってください。神通は、いつまでもここにいますから……」

提督「じん……つう……」トローン

ザリッ ザリッ ザリッ ザリッ

提督(耳の入り口に溜まった耳垢が、剥がされていく。耳垢に隠されていた肌が、空気に触れる快感……。それが、全身を駆け巡っていく)ゾクゾク

ズッ ズズズズズズ
ズリッ ズリッ ズリ
スーッリ スーッリ スーッリ

提督(目の前の……神通のお腹……いい香りがする……。フトモモも、相変わらず柔らかい。女の子って、みんなこうなのだろうか……。眠るなら、このお腹に顔を埋めて眠ってみたいな……。お願いすればしてくれるのだろうか)ネムネム

神通「こちらも、ぽろぽろ取れていきますね……。……このまま、少し奥に行きますね」カキカキ

ッザリ ッザリ ッザリ ッザリ

スーッ スーッ スーッ

提督(耳垢を剥がしていく合間に……隙あらば耳介に棒を走らせてくる……。神通、気持ち良くしようと頑張ってくれているのか……)トローン

神通「……提督……?」カリカリ

提督「どう、したんだい?」トローン

神通「さきほど……提督は、私をお母様に紹介する……とおっしゃいましたね……」

ズ、ズッズッズッズ
チョ、チョッチョチョン

提督「ああ」トローン

神通「……はぐらかさないで、教えて頂けませんか……? なぜ、私を……?」カリカリ

提督「……決まってる、じゃないか……それは、神通を――」

神通「」ゴクリ

提督「……いや、やっぱりやめよう。……こんな時に言っても、格好が……つかないからね」トローン

神通「……そう、ですか」カリカリ

提督「……待っていてくれるかい……? 僕の……覚悟が決まるまで……」ネムネム

スリッスリスリスリ
クッ クッ クッ クッ

神通「……はい。……あまり、待たせないでください……ね?」

提督「ああ……約束だ……」コックリコックリ

神通「……無理を、なさらないでください……。お休みする時間は、いくらでもあります……」ナデナデ

提督「……そう。だな……。すまないね、神通……zzz」スゥウウ

神通「……」カリカリ

神通「……本当に……意地悪な人です……♪」ナデナデ

提督「」スピー

――――
―――
――

――――二週間後・執務室

提督「――この輸送船を、深海棲艦が襲撃。船員を閉じ込め、どこからかへ『護送』しているようだ。実質、彼らは深海棲艦の人質となったと言っても過言ではない。どうやら、大本営はこの輸送船の『積荷』がご心配のようだ」

神通「」ビシッ
陽炎「」ビシッ
不知火「」ビシッ
涼風「」ビシッ
朝潮「」ビシッ
曙「」ビシッ

提督「現在、第二並びに第三艦隊が、奴らの目を引き付けている。その隙に、君達第一艦隊が突入。その輸送船ごと、船員・積荷を奪還してほしい」

提督「この一件は、我ら人類の持つ残り少ない海が、またも奴らに奪われたことを意味している。人類の威信にかけて、深海棲艦どもに一泡吹かせてやれ!!」

第一艦隊「はい!」

提督「神通、艦隊を頼む。華の二水戦の力、頼りにしているよ」

神通「……はい……!」

提督「それじゃあ、神通。後ろを向いて」つハチマキ

神通「……はい」クル

ファサ シュル

陽炎「……///」

クイッ

不知火「……///」

シュルル

曙(なんで見ているだけのあたしが、こんなにドキドキしなくちゃいけないの!?///)

シュ…ッキュッ!

提督「はい、できた」

神通(ハチマキ装備)「提督。ありがとうございます」キッ!

提督「……よし、暴れてこい!」

提督「第一艦隊! 出撃!!」



神通「神通!! 行きますっ!!!」


おわり

以上です。

かなり駆け足&マイペースでしたがありがとうございました。

次は蒼龍編でいきたいと思います。

応援ありがとうございます!
少し遅れましたが、新作立てたので誘導。

【艦これ】蒼龍「耳掃除します?」
【艦これ】蒼龍「耳掃除します?」 - SSまとめ速報
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