苗木「久しぶりだね、霧切さん」 (44)
苗木「僕も今用事が済んだところでさ、悪いけどこの部屋でちょっと待っててもらえないかな?」
苗木「ほら、一応ちゃんとしたお話だし。お菓子でもつまんでてよ?」
霧切「…気にしないで。私が早く来ちゃっただけだから」
苗木「ん。じゃまたあとで」ガチャ
霧切「…苗木君!」
苗木「はい、なんでしょう?」ヒョコ
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霧切「あなたにずっと会いたかった」
苗木「ん。僕もだよ」
苗木「じゃあね」
ガチャ…
※駄文注意
※あんまり長くするつもりはありません。
眠いから続きは明日以降
ー10分後ー
苗木「お待たせしました」ガチャ
霧切「…」
苗木「どうかした?」ギシッ
霧切「見違えたわね」
苗木「お世辞なんかいいよ。スーツなんて霧切さんや十神君が着るから様になるわけだし」
霧切「スーツだけの話じゃないわ。背がずいぶん伸びたんじゃない?」
苗木「くすぐったいね。霧切さんもすっかり美人になっちゃってさ、一瞬誰かと思ったよ」
霧切「あら、私は昔から美人だったけど?」
苗木「ふふ、そうだったね。…本題に入ろうか」
霧切「…苗木君、
あなたに、未来機関に参加してほしいの」
霧切「江ノ島盾子亡きあとも、世界中に蔓延した『絶望』は消え去らず新たな犠牲を生み出し続けている。未来機関のメンバーも世界中に散ったけど、正直いってじり貧よ。今新たな人材を未来機関は世界中から集めているの」
苗木「僕に白羽の矢が立ったわけ?」
霧切「そうよ」
苗木「…」
苗木「他にも要望があるらしいけど、全部教えてよ。それからじっくりお話ししよう?」
霧切「皇居を東京に戻してほしい。もう関東には脅威は存在しないわ」
霧切「最後にひとつ。ソニア・ネヴァーマインドを未来機関の東京支部に引き渡してほしい」
霧切「提示した3条件は、日本政府への関東地方・東北地方の統治権返還の条件でもあるわ」
苗木「…」
苗木「未来機関はよりによってどうして僕なんかをスカウトしたがってるの?他にも相応しい人はいるだろうに、もうちょっと探してみたら?」
苗木「僕なんてまぐれで希望が峰にやって来ただけの凡人「もうだれもあなたを凡人なんて思ってないわよ?」
霧切「あなたは希望が峰を出たあと九州で勢力を築き上げ、皇室を保護し、西日本の絶望を5年かけて駆逐し、日本政府を復興させた」
霧切「未来機関が関東を平定できたのも、日本政府とそれを導くあなたの尽力あってこそ」
霧切「あなたには日本人と未来機関の仲介者となって、絶望との戦いにも参加してほしいの」
苗木「返還後も東京支部は残るわけ?」
霧切「ええ。未来機関は日本政府との同盟関係を維持したがってるわ」
苗木(…同盟維持?)
苗木「占領維持の間違いじゃない?」
霧切「…」
今日はここまで
苗木「とはいっておいたよ?」
大臣A「間違いなどではない」
左右田「ソニアさんを渡しちまったら、絶対殺されちまうって!」
ソニア「私の命でどうにかなるならそれに越したことはありません、私の自業自得なのですから」
ソニア「ですが、天皇陛下と苗木さんまで未来機関に引き渡す必要性がどうしてにあるのです?」
苗木「陛下は違うよ。関東が日本に返されるんだから、遷都なさることになる」
衛兵「でも、未来機関は東京支部を残すのでしょう?」
官吏「四国や近畿の二の舞は目に見えております!毛頭信用できません」
左右田(アイツは確か)
衛兵(大阪府からの使者です)
大臣A「苗木、未来機関との友好関係を継続することについて異論はない。しかし大阪の状況を忘れたわけではあるまい?」
大臣A「大阪府庁の全職員の会話を24時間傍聴され、毎日のように通達が来る。条例ひとつ出すにも未来機関の大阪支部の顔色を伺っておるのだぞ。近畿と四国に配属された師団は実質的に未来機関に指揮権を握られている」
兵士「未来機関は日本政府から人質を取りたがってるんだ!」
大臣B「我が国の自立を損なうような協定など必要ございません!」
カサカサ
苗木「…」
ヒョイ
大臣B「苗木さん?」
苗木「未来機関のスパイ昆虫だ」
ソニア「え!?」
官吏「虫にスパイをやらせているのですか!?」
苗木「金属探知機に引っ掛からないからね。ステルスも金がかかるし。希望が峰のOBにとって難しいことじゃない」
左右田「と、盗聴するような奴ら信用できっかよ!」
苗木「彼らとの技術力の差は明快だよ。たとえ超高校級のメカニックがいても、あちらさんにはウンゼンウンビャクの才能が咲き乱れている」
苗木「彼らとの同盟は続けるべきだ」
衛兵「苗木さん…」
苗木「でも彼らの要求をすべて飲むつもりはない。ボクたちに有利な条件で「東」を取り戻そう」
左右田「ったく、おっさんがいたら未来機関のホテルに殴り込みに行ってたろうぜ」
兵士「おっさんのことは俺も心配だ。未来機関とドンパチやるときゃあ、俺はあの人のもとへ駆けつけるぜ!」
大臣A「勝手なことは許さん。自分の持ち場を離れるな」
左右田「あ゛ームカつく~~!!おい、気晴らしにこれ飲もうぜ!宮崎から届いた都農ワイン!」
大臣A「ふざけるな、明日は未来機関との談合があるのだぞ」
官吏「未来機関の方々に振る舞う予定ではありませんか!」
左右田「んだよノリが悪いぞ!」
兵士「そうだ!オメーらばっか美味い酒のんでずりぃぞ、友のよしみで今夜くらい飲ませろ」
大臣B「あなたはいつもそうやって酒をせびっているではないですか!」
ワイワイガヤガヤ
霧切「ずいぶんと賑やかね。盗聴がばれたと言うのに」
朝日奈「77期生以外は九州で旗揚げしたときからの古参なんだよ。大臣Aは宮崎県出身で、大臣Bはこの中では陛下と過ごした時間がいちばん長いんだってさ」
霧切「あんな風に77期生と打ち解けられるなんて…彼らの中にも絶望の手にかかって大切な人が死んでいると言うのに」
朝日奈「ねえ…霧切ちゃん」
霧切「なにかしら?」
朝日奈「今回関東返還の3条件を提案したのが霧切ちゃんってうわs「噂じゃないわ、そのとおりよ?」
朝日奈「…」
霧切「どうしてそんなことを求めるのかって?」
朝日奈「ソニアさんのことならわかるんだよ?だけど、どうして苗木や天皇陛下まで人質にするの?苗木は私たちに敵対なんかしないよ!」
霧切「人質なんかじゃないわ。日本政府と未来機関の協力なしに日本列島の復興はありえない。東京への遷都はその必要条件よ」
朝日奈「でも、日本の人たちは皆反発してるみたいだよ?これ以上の占領はやめてくれって近畿のあちこちから言われてるのに」
霧切(わかっている。そんなことをしなくても、苗木君は絶望と戦い続けることは。これ以上の日本政府への圧迫は決裂を起こしかねないことも)
霧切(でも、それでもわたしは)
霧切(自分から彼を「殺し」ておいて、おこがましいにもほどがあるけれど)
霧切(こんなことを望む権利なんてないけれど)
霧切(わたしは苗木君を―!)
つづく
運転手「到着いたしました」
十神「おい、誰が紅葉狩りに行きたいと言った?」
霧切「ここからは車で入れないわ。徒歩でも5分も掛からないわ」
苗木「運転手さーん、駐車場あっちあっち」
上司「行きましょう。彼らがそこで待っている」
霧切(会議場は南方を林で覆われ、北方に海と市街地が見える小高い丘の建物)
霧切(施設自体はかなり新しく改築されたものらしく、窓から見える市街地はとても美しく整備されている)
大臣A「何か眩しくないか?」
苗木「雲ひとつ無いよ。せっかくの風景だけど、カーテン閉めちゃおっか」
霧切(少しだけ部屋が暗くなった殆ど直後、ライトが部屋を照らし出した)
霧切(そして今、私たちは席につき、苗木君は要請してくる)
苗木「統治権のみならず、警察権と軍事権の返還を要請します」
苗木「国内の未来機関支部の残存には応じますが、もはやあなた方の通達は必要ありません」
―会議のメンバー―
○日本国側
総理大臣
大臣B(宮内大臣)
苗木誠
外務大臣
大臣A(軍務大臣)
○未来機関側
上司(未来機関本部の幹部)
未来機関福岡支部長
霧切響子
十神白夜
朝日奈葵
幹部「関東への師団の準備があるのですか?」
軍務大臣「すでに志願者含めおよそ八万人揃っております」
十神「元首が丸腰で遷都するのが嫌なのか?」
総理「遷都はいたしません」
十神「…なに?」
総理「日本軍を関東に派遣しますが、陛下や苗木さんは関東には行きません」
宮内大臣「未だ治安の安定しない関東に陛下をお連れするわけにはいきません」
総理「関東地方と東北地方は日本古来からの領土であり、日本政府が条件を呑んで回復する根拠はありません」
十神「無条件で返せというわけか」
苗木「そうだよ?」
十神「ソニアも引き渡さないと?」
霧切「待って十神君。…ソニア・ネヴァーマインドについても聞きたいところですが」
幹部「まずは日本国元首の遷都についてお話いたしましょう」
つづく
苗木「遷都にはいかなる意義があるのですか?」
苗木「霧切さんは日本と未来機関(あなたがた)の連携のためとおっしゃったけど、福岡にだって日本一の規模の支部があるわけだし、支部長殿と連携できてる以上、焦って遷都する必要なんてないとおもいますよ?」
霧切(苗木君に一べつされた福岡支部長が会釈する)
霧切(天皇の東京遷都の理由は、本音は日本から人質をとるという目的以外に無い)
霧切(勿論露骨にそんなことを言えるはずも無く、関東復興や未来機関との連携を理由に要求したけれど、さすがに苦しかった)
霧切(今でも福岡支部と日本の連携が成功しており、関東復興の意志がはっきりしている以上、これ以上遷都を要求することは不可能)
幹部「…」
苗木(さあ、どう出る?)
幹部「遷都の話は、これで終わりにいたしましょう」
霧切(どのみち通る期待の薄い要求。これ以上は会合が破綻しかねない。むしろ残りの二条件が本命)
十神「では本題にはいるぞ」
十神「ソニア・ネヴァーマインドの引渡しについてな」
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