モバP「飛鳥に足りないものがあるとすれば」 (65)

P「胸だと思う?」

飛鳥「……えっ?」

P「あ、間違った、何だと思う?」

飛鳥「言い直しても遅いよ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1447239738

P「まあ待て。俺の話を聞いてくれ」

飛鳥「聞くに値する話なのかい、それ」

P「静岡で俺は飛鳥をスカウトしたけどさ、うちにいるアイドルの中では加入がかなり遅い方なんだ」

飛鳥「みたいだね」

P「活動期間を考慮すれば、飛鳥は割りとすぐ人気がついてきてるしスカウトした俺としては鼻が高い」

飛鳥「まだまだ上には上がいるけど、そう思っててくれたんだ」

P「個人的にはユニットも組んでて同い年、二代目シンデレラガールでもある蘭子にも引けを取らない存在感を示せてきてると思うんだ」

飛鳥「それは買いかぶり過ぎなような……ん、蘭子?」

P「そこで俺は思った。ベクトルは違えど中二な2人の間に何か差があるのだろうか。蘭子にあって飛鳥にないものが――」

飛鳥「……」

P「本題に帰ろう。飛鳥に足りないものがあるとすれば、何だと思う?」

飛鳥「既にキミの中で答えが出てたじゃないか!」

P「わー! すまんすまん! さっきは俺が悪かったから!」

飛鳥「まったく、急に何を言い出すかと思えば……」

P「だってさー。確実に売れてきてるのに今一歩扱いがなー。某音ゲーにも早めに参戦できたり、アニメもちらほら映りはしたけど声はまだだし」

飛鳥「それがいまのボクに対して下された評価なんだろう? ならしょうがないさ」

P「俺の飛鳥はもっと高みにいけるはずなんだ!」

飛鳥「いつからキミのになったんだボクは」

P「え、違うの?」

飛鳥「いや、キミの担当アイドルという意味でなら正しいが」

P「ほう? その言い草だと別な意味もあるような感じだな。ほうほう」

飛鳥「今日のPはとても不愉快なヤツだね」

P「ともかく、俺はもっと飛鳥を輝かせたい。そのためにどうしたらいいか東奔西走といったわけだ」

飛鳥「ただの迷走だろうに。人気なんて気にしたところで、あるがままに受け入れるしかないんじゃないのかい?」

P「露骨に媚びを売れって話じゃないさ。いま以上に自然と注目が集まるにはどうしたらいいか、考えていこう」

飛鳥「イヤな予感がする……」

P「というわけで、飛鳥をよく知るアイドルに聞いて回ってきた。その時に内ポケットに隠してたボイスレコーダーがこれだ」

飛鳥「隠す必要はないんじゃないか?」

P「いやー、もしかしたら遠慮してやんわりと当たり障りのないことしか指摘してくれないかもしれないじゃん? 生の声を聞き出そうと思って」

飛鳥「その生の声を聞かされるボクには配慮してくれないんだね」

P「なお飛鳥と聞き込みに応じてくれたアイドル達の関係がこじれないよう、音声に加工してあるから安心しろ」

飛鳥「そういうところは気が回るのに、何だろうねこの状況」



?『――は? 飛鳥に足りないもの? 何でそんなことオレに聞くんだよ』

飛鳥(早速意味ないし! 一人称がオレだなんて一人しかいないだろう、加工しても誰かバレてるよ!)

?『急に言われてもな……んー、別に何言ってるか分かりにくい時があるくらいしか……あ、そういうのじゃなく? うーん』

?『よくわかんねーけど、>>7とかじゃね? 飛鳥に足りないっつーと』

厚着

飛鳥「……厚着?」

P「まあ聞けまあ聞け」



?『飛鳥って服のセンス良いだろ? だいたい着てるの黒っぽいけど様になってるし、自分のフィールド生かしてるよな』

?『でもさ、そのせいか寒い季節になると着てるのに着てなく見えるっつーか、着てないのに着てるように見えるっつーか。寒そうではあるんだけどな、梨沙ほどじゃねーけど』


P「俺も思ってたんだよな。実際あれで寒くないのか? 特に太もも」

飛鳥「適度に寒さを感じてこそ冬を楽しめるというものさ」

P「本当は?」

飛鳥「……ちょっと寒い」


?『それが悪いとかじゃなくて、どうせなら梨沙みたくやせ我慢しながらもっと肌見せるとかどうだ? どうせこっそり寒がるくらいならたまにはスパッとした格好してみるとか』

?『……んー、でもああいう感じでこそ飛鳥っぽいのかもしれないし……わりぃ、やっぱうまくまとまらねーや。つかなんでこんな急に無茶振りs――』


P「といった具合だ。参考になったか?」

飛鳥「結局ボクのファッションを褒めてもらっただけなような気がしてならないんだが」

P「うん、俺もそう思う」

飛鳥(……たまには付き合ってあげるか、サッカーなんて柄じゃないけれど)

P「ところで露出の方はどうなんだ? 肩とか脚は出してるのよく見かけるけど、へそとか胸の谷間とか……あっ」

飛鳥「何を察したのか知らないがボクにはキミを殴る権利がたったいま生まれたと思う」

P「つまり飛鳥に胸があれば露出具合も変化して、新たなファン層を獲得できるかもしれないってわけだな!」

飛鳥「そんなファン層いらないよ……」

P「じゃあ次な。それポチッとな」

飛鳥(さすがに次からは誰の意見か見当つかなさそうだ)



??『ちょっ、何よ。パパにメールするとこなんだからアタシに用があるなら待ってて、え、そのままでもいい? 一体何なのよ?』

飛鳥(Pーー!! だから意味ないだろうって! むしろわざとやってるんじゃないのか!?)

??『飛鳥に足りないもの? ふつーそういうこと同じアイドルのアタシに聞くもんなの? ま、しょうがないわねぇ。答えてあげるからパパにはアタシがイイ子にしてるって報告しなさいよね!』

??『で、飛鳥に足りないものだっけ。んー……んー? ちょっとメールの文面考えながらじゃ難しいわね。うー、しいていえば>>12じゃない?』

乳首

こんな感じでゆっくりやっていきますん

なお某SS作者ではないのであしからず

??『もう胸とかポロッといっちゃうしかないんじゃないの?』


P「俺は感動したね。その手があったか、と」

飛鳥「」


??『飛鳥もあんまり気にしてない素振りしてるけど、アンタ蘭子と飛鳥が一緒にいる時決まって見比べてるんでしょ? あれほんとに分かるんだからやめなさいよね』

??『ま、男の人ってそーゆーもんだっていうから、アタシもパパのためにこーゆー服を着こなしてるわけだけど!』


P「もう開き直っちゃうがバレてたんだな」

飛鳥「……Pはちょっとあからさま過ぎだよ」


梨沙『何の話だっけ? そうそう、でね無いものは無いんだからそういう視線を蘭子に取られても仕方ないじゃない? だから大きさで敵わないなら』

梨沙『え、駄目? アイドルどうこう以前の問題? そりゃそうよねぇ、でももし、仮によ? ファンの前では無理でもプライベートで2人がアンタを取り合おうってことになったとしたらそれぐらいしないt――』


P「参考になったか?」

飛鳥「とても気になる発言の最中に切らないでもらおうか。誰と誰が誰を取り合うって?」

P「安心しろ、俺は女性を胸では選ばない!」

飛鳥「今日一番重みのない言葉だね。……でも一応キミにも良心が残されていたみたいでよかった」

P「年頃の女の子にポロリをさせるのはなー……今の時代ネットでずっと語り継がられることもあるしな」

飛鳥「さすがにそれはボクも立ち直れなさそうだ」

P「さてそろそろ次いってみようか?」

飛鳥(この流れだと……次はネネさんかユッコかな)


??『プロデューサー? 私に何か……むむっ、待ってください! 私のサイキックパワーで当ててご覧にいれましょう!』

飛鳥(ボクの周りってこんなにわかりやすい人だらけだったのか……)

??『あ、どこ行くんですか! 私に何か用があったんじゃないんですかー!?』

飛鳥「声かけておいて放置とはやるね」

P「めんどくさくなってついな」

??『ほうほう、飛鳥ちゃんに足りないものですね? 私の力もさすがに今回は……むぅ。そうですねぇ、自信はありませんが>>23とか?』

コーヒーをブラックで飲むのが大人って思ってるところ、つまり知識の狭さ

??『お年頃だからかもしれませんが、ちょっと裏目に出ちゃってるところとか? でもそこが可愛いんですよね飛鳥ちゃん!』


飛鳥「……ほう?」

P「飛鳥、目がガチになってるぞ」


??『ほら、背伸びしてコーヒーをブラックで飲んでたりするじゃないですか? でも飛鳥ちゃんって苦いの苦手ですよね? 私のサイキックパワーがそう言ってます!』

??『カッコいい時はもちろんカッコいいんですけど、たまーに無理してカッコよく振る舞おうとしてるんだなって隙が見えると、やっぱり可愛く見えちゃいますねー。プロデューサーもそう思いません?』


P「どうした飛鳥、うずくまったりして」

飛鳥「……」

P(案外本質突かれて恥ずかしがってるんだろうか)


??『私は今のままの可愛い飛鳥ちゃんでいいと思いますけど、もし本気で常にカッコ良くいようって飛鳥ちゃんが思ってたら、プロデューサーさんからいろいろと教えてあげてくださいね!』

??『え、私がですか? んー、私が言っても聞き流されちゃうか恥ずかしがっちゃうだろうし、そこはプロデューサーさんが大人の余裕ってやつd――』


P「さあ飛鳥、今の気持ちは?」

飛鳥「……」

飛鳥(アホの子とばかり思ってたのに、ボクはおろかPよりよっぽど大人だったなんて……! そこに一番ショックを受けたといってもいい……!)

P「飛鳥?」

飛鳥「あ、あぁ、うん。なかなか建設的な意見だったんじゃないかな。参考に……させてもらうよ」

P「涙目になってない?」

飛鳥「うるさい!」

P「あ、ちなみに俺に聞きたいこととかあればいつでも」

飛鳥「ないよ。さっさと次いこうか」

飛鳥(次はネネさんかな? ここでさっき受けた精神的なダメージを回復しておかないと……)


??『わ、我が友よ! 何を先程から駆け回っているのだ?(プロデューサー、さっきから忙しそうにしてない?)』


飛鳥「ん? 語彙で誰かが丸わかりなのはともかく違和感が……」

P「ああ、それは多分俺の方が声をかけられたからだよ」


??『我が片翼について知りたいのだろう? さあ、我にとくと尋ねるがいい!(飛鳥ちゃんのことなら私に聞いてください!)』

??『……え、まだいい? そうですか……じゃ、じゃあ聞きたくなったら、じゃなくて――我と再び相見みえる時こそ、終幕の鐘を鳴らそうぞ!(未だその刻には至らぬと、では今度私と会ったら聞いてくださいね!)』


飛鳥「……どうして相手してあげなかったんだよ」

P「トリに取っておこうと思ってさ。まさか向こうから出向いてくるとは思わなかった、仲良いんだな」

飛鳥「まぁ、悪くはないけど」

P「嬉しいくせに」

飛鳥「いいから次の人いこう、というかここカットしておいてもよかったんじゃ」

P「何故カットしなかったかって? わかってるくーせーにー」

飛鳥(ボクはこんなのにプロデュースを任せていて大丈夫なんだろうか?)

P「気を取り直して、ほい」

飛鳥「心が休まるひと時になるといいが」


??『チッ、何よ? 私の足を止めるということはそれ相応の用件があるんでしょうね?』

飛鳥(ん? ネネさんじゃない……それどころか既に敵意剥き出しで心休まるどころじゃない!)

??『下僕の分際でわかっているのでしょうね? ……飛鳥に足りないもの? 貴方はそれを私に聞き出そうっていうのね?』

飛鳥「相手を選んでもらえるとボクの心の均衡も助かるんだけど……」

P「いや、でも最初の不機嫌さが嘘みたいに緩和されてたんだぞこれでも」

飛鳥「……そうかい」

??『飛鳥に足りないもの。たかだか14の子に何を求めているのか知らないけれど、私から言わせればそれは>>29ね」

飴とムチ

今日はこの辺で

蘭子はもっとガンガン書いてみたいんですけどね。熊本弁難しいですね(白目

??『ああいう斜に構えて世の中をわかったような振りをする子供は、得てして躾け甲斐があるのよ。飴とムチで身体と心に刻んでやれば容易く飼い慣らせるわ。それから好きにすればいいんじゃなくて?』


P「だそうだが」

飛鳥「知らないよ。というか話の流れに身の危険を感じるよ」


??『あの子を調教してほしいなら考えてあげなくもないけど、別にいい? へぇ……貴方が? ならお手並み拝見といこうじゃない』


P「すまん飛鳥、俺はお前を飼い慣らしてみせると誓ったんだ。俺の飴を味わいながらおとなしくムチを食らってれ」

飛鳥「飴次第かな……ボク今欲しい画材があってなかなか手が出なくて困ってたんだが」

P「買う買う! じゃあその後俺は飛鳥にムチとしてあんなことやこんなことを……ふひひ」

飛鳥(なんとなくPのことは適当にあしらえる自信あるな)


??『私? 私だったらまずは――して――したところに――を――で――してくるだろうからそこを――で――してやれば大概の子は従順になるだろうけれど、飛鳥なr――』


飛鳥「」

P「さすが、参考になるよな」

飛鳥「ねぇ、ボクの場合まだ続きがあるんだよね? あの後にまだ何かされるの?」

P「聞きたいか? それポチッと」

飛鳥「いや…………いい、目立たないようこれからは平凡な人生を歩むから」

P「アイドルの時点でそれは無理だがな」

P「じゃあ次な。いくぞ」

飛鳥(推測されるPの取材対象候補が一人増えたが果たして……)



???『ぷろでゅーしゃー? くるみに何かごよう~?』


飛鳥「隠す気ないよね」

P「はっは何のことやら」


???『飛鳥しゃんの足りないもの? くるみのほうが足りないものばっかりだから、他の人の足りないものなんか聞かれてもぉ』

???『ふえぇ、答えないと帰っちゃだめなの~? うぅ~……』


飛鳥「さすがに人選を間違えてないか?」

P「いや、だからこそ突飛な返答を期待してみたんだ」


???『う~んと、う~んと、じゃあ……>>35?』

蘭子さんに比べてキャラを作ってる?

なるべくゲーム中に少しでも飛鳥と絡んだキャラを選出したいんですが、今まで飛鳥絡みでどんなユニットがありましたっけ……

???『なんとなく、蘭子しゃんよりキャラを作ってるんじゃないかなぁ~って』



P「だそうだが、どうなんだいお嬢さん」

飛鳥「……ノーコメントで」

P「飛鳥は決め顔でそう言った」

飛鳥「やめるんだ」


???『この前偶然見ちゃったんだけどねぇ、蘭子しゃんと2人でいる時の飛鳥しゃんは優しそうでねぇ』

???『くるみはバカだから2人が何て言ってるのかわからないのに、その時だけは何を言ってるかわかったのぉ』

???『それでね、蘭子しゃんはたまに素になるでしょ~? 飛鳥しゃんも蘭子しゃんみたくたまに素になれば……えっと、キ、キャップ萌え? だっけ、ぷろでゅーしゃー?』


P「……真剣に聞くけど、マジでキャラ作ってるの?」

飛鳥「作ってないよ! いや、広義の意味では作ってると言えなくもないけど。誰だって複数の仮面を持っているものじゃないか」

P「なるほど、蘭子にしかみせない仮面を持っていると」

飛鳥「あれは……蘭子に合わせただけさ。Pだって蘭子が標準語でしおらしいこと言い出したら少しは対応も変えるだろう?」

P「まあな、もう慣れたが」

飛鳥「ボクと蘭子は全然違うけど似ているのもまた事実だから、通じるものがあってね。腹を割って話すことがたまにある、蘭子とはそれだけだよ」

P「ふーん。でもボクっ子のくせしてキャラ作ってないってのは考えてみると……」

P(……いや、幸子みたいなのもいるし、それだけでは案外作ってると言えないのかもしれない)

P「まあいいか、うちはほんと変わったヤツ多いな!」

飛鳥「キミがそれを言うのか……」

P「まだまだいくぞ。次はこの人だ」

飛鳥(隠す気ないなら最初から誰か言ってしまえばいいのに)



??『Pさん? 私に何かご用でも? それともついに私に甘えたくなりましたか~?』

飛鳥(ん? ようやく誰なのかはっきりしなくなったか。今さらと言うべきかもだが)

??『飛鳥ちゃんのことで私に? ……あ、いえ、違うんです。どうしてか口の中に苦味が一瞬……苦い思い出ですか? Pさんお上手ですね~』

飛鳥(苦い……? Pに辛酸を舐めさせられてるせいか候補が浮かばないな)

??『飛鳥ちゃんの足りないものでしたっけ。う~ん、お姉さんの口から言えるとすれば、>>44でしょうか~?』

必死さ

??『飛鳥ちゃんは必死さが足りないんだと思います。まだ14歳の子に求めるのは酷でしょうけど~』


P「どうだ飛鳥、アイドルになってから必死に事をなそうとした事があったか?」

飛鳥「必死さ、ね。確かにそういった根性論というか、泥臭さとはボクの世界観には合わないけれど」


??『私なんかは小さく見られないよう頑張って頑張って、それでもまだ大人に見て貰えない時もありますけど……以前よりも子供扱いされないようにはなったんですよ~』

??『だから飛鳥ちゃんも、もし何かが足りないと自覚しているんだとしたら、格好なんて気にしないで何かにひたすら食らいついてみるのもいい経験になると思います~』


P「この前の公演、似合わない役かと思いきや熱演してたからなあ。誰とは言わないけど」

飛鳥(さすがにもう誰かわかったよ)

飛鳥「……まぁ、一理あるかもね。参考にはするよ。問題はボクがボク自身について今現在何かが足りていないなんて思っていなかったことかな」

P「えっ」

飛鳥「えっ」



??『Pさんは私の事をちゃんと大人扱いしてくれますよねっ。すごく嬉しいです~』

??『だから……大人な私と、今晩どうですか? なんて、ふふ~』


飛鳥「……」ジトー

P「大人には大人の世界があるのだよ飛鳥くん。といっても軽くお酒飲みに行こうとしただけだ」

飛鳥「しただけとは、引っかかる言い方するじゃないか」

P「うん……店の人に止められたんだ。未成年連れてくんなって。なんかもう店入ってお疲れ様の一杯をやるどころじゃなくなってさ」

飛鳥「……なるほどね。それは気の毒に」

P「だから俺んちで少し宅飲みして愚痴を聞かされてからタクシー代握らせて帰しました。本当にありがとうございました」

飛鳥「おい」

P「それはともかく、次いくぞ次」

飛鳥「家に連れ込んだ件は後で追及させてもらうからね」



??『えっ、飛鳥ちゃんッスか? いい子だと思いまスけど、足りないもの? なんで私にそんなこと聞くんスかー……」

飛鳥(この語尾は……いや、この微妙に気だるさのうかがえる雰囲気はあの人か)

??『飛鳥ちゃんより私の方がいろいろダメなとこあると思うんでそういうのはちょっと……言わなきゃ明日起こしてくれない? えー……それは困るッス』

飛鳥「キミはモーニングコール係だったのかい」

P「仕事の日になかなか来ないから部屋まで様子見に行ったこともあるんだなこれが」

飛鳥「……プロデューサーって大変なんだね」

??『うーん、じゃあてきとーに何か挙げましょうかね。てきとーじゃダメ? ぐぬぬ……わかりました、ちゃんと考えるッス』

??『そっスねー、しいていえば>>49とかじゃないんスか?』

柔軟さ

??『柔軟さ、と言うべきなのかわからないけどそんなとこっスかね。あ、身体の柔らかさじゃあないっス。それはむしろ私に足りてないものなんで……あはは』


P「飛鳥は身体柔らかい方なのか?」

飛鳥「普通、じゃないかな。……なんだいその期待に満ちた目は」

P「やだなあ、柔らかさを確認するために背中を押す役で合法的に触ろうだなんて思ってない思ってない」

飛鳥「その発言が法に触れそうな人間のそれだとなぜわからないのか」


??『漫画の話なんでスが、あぁ、その辺の関係で飛鳥ちゃんと話す機会もあるんスよ。意外っスかね?』

??『それでアドバイスって程でもないっスけど意見を求められたりとか同じ年の頃どんなの描いてたのかとか、まぁちょこちょこと』

??『飛鳥ちゃんは王道よりも奇をてらったお話が好きなのかなって思うんスけど、あまり読者の裏をかくことを狙い過ぎるとストーリーが難解になったり、伏線回収し損ねたり、矛盾が生まれたり……』

??『そんな事態に陥りやすいんスよ~。だから柔軟にまっすぐ行くところはまっすぐ、メリハリを付けるとどんでん返しにも大きなインパクトが生まれるかなーと』

??『……え、本人に言ってやれって? いやぁ、お年頃だし描きたいように描かせてあげたくて口を挟みたくないんスよ。それが将来、絵描きにとっては大事な黒歴史になる可能性もあるんで……私の黒歴史? ちょっ、探さないで~』


P「そういや漫画描くのが趣味だったな。どうだ、そっち方面で何か仕事取ってこようか」

飛鳥「……」

P(おお、ダメ出しにしては緩いが指摘された件に思い当たる事でもあるのか考え込んでるぞ。茶化しにくいから黙っておこう)

飛鳥(……最後の音声、探さないでって言ったような。Pはどこで今のやり取りをしたんだ? 何故かそっちの方が気になる……)

P「もう大丈夫か? 次の意見を流すぞ」

飛鳥「ん……そうしてくれ」


??『おっまたせー★ 急にプロデューサーに呼び出されるなんて焦るじゃん! あんまり準備できなかったし、ていうか何かあった? まさかデートのお誘いとか……だったり?』

飛鳥(この一見軽そうな印象のノリをボクはどこでみたのだったか)

??『違うの? 飛鳥ちゃんの足りないものを聞きたい? それだけ? えっと、そうなんだ……ふーん』

飛鳥(そしてちょっと期待してたのと違って落ち込んでそうな、素に等しい初々しさをかいま見せるノリはどこでみたのだったか)

??『んーと、そうだねー。わざわざ呼びたしてまでアタシを頼りにしてくれたからには答えるけど、飛鳥ちゃんか。飛鳥ちゃん……>>52じゃない?』

色気

??『色気、かな? 女の子ならではの武器はやっぱり欲しいよね★ 別に飛鳥ちゃんが女の子っぽくないって話じゃないよ? お花見の時、アタシの恋バナにバッチリ食いついてきてたしさ』


P「そういうの興味なさそうなふりして飛鳥も何だかんだ女の子してるんだな」

飛鳥(ボクとしたことが……っ!)


??『でも色っぽさなんて衣装だけじゃ演出しきれないから難しいよねー。ほら、莉嘉を見てればわかるっしょ?』

??『そういうアタシも勉強中ではあるんだけどさ。オトナの色香? みたいなのを出せたら……ちょっとはいつもと違う目で見てくれるかな、なんて』


P「飛鳥に色気がついたら俺はどうなってしまうのだろう」

飛鳥「どうにもならないでくれないか立場的に。……色気、ね。ボクはまだそういうのはいいかな」

P「そうだな、もっと大きくなってから身につければいいさ」

飛鳥「その台詞、どこを見ながら言ってるんだい?」

P「あれッ! 急に目にゴミが入った! 見ていない! 俺は見てないぞ なあーんにも見ていないッ!」

飛鳥「どこのスタンド使いなんだか」

P「ちなみにこの後本当に用事がこれだけなのかとさりげなく何度も粘られて、遅くなりそうだったからこの日の取材はここで打ち切りになりましたとさ」

飛鳥「少しは意を汲んでやりなよ……それともわざとなのか?」

P「……ん? すまんちょっと電話」

飛鳥「うん、いっておいで」


P「もしもし……はい、……CDデビュー? ええ、次は…………本当ですか!?」

飛鳥(ボクってそんなに足りないものばかりなのかな。完璧だなんてさらさら思ってはいないが……)


P「……お待たせ」

飛鳥「……どうしたんだい、随分と放心しているみたいじゃないか」

P「いや、あの……落ち着いて聞いてくれ」

飛鳥「ボクは落ち着いてるよ。それで?」

P「…………決まった」

飛鳥「何が?」

P「飛鳥のCDデビュー……決まった!! おっひょおおおおおおおお!!!!」

飛鳥「えっ。……えぇー」

P「おいおいもっと喜べよ、CDデビューだぞ! 声も付くんだぞ!!」

飛鳥「いや、その、それは喜ばしいと思ってはいるんだが……」

P「だが?」

飛鳥「どうするんだよ、この茶番」

P「茶番言うな! ……いや、今となっては茶番になってしまっているか。でも飛鳥がさらに飛躍するためにしたことだ、無駄になるとは思わん!」

飛鳥「ボクもう帰っていいかな」

P「おういいぞ。あ、でもせっかくトリに回そうと思って何度もスルーしてた蘭子が焦らしに焦らされたせいかちょっとふてくされてる貴重な音声もあるんだが、最後に聞いてくか?」

飛鳥「…………、じゃあ、それを最後にしよう」

??『……あ、……いいもん。どうせまた……え、今度は本当? 本当に本当?』


飛鳥「すごい疑われようだけど」

P「いやぁ、蘭子ってついからかいたくなるんだよなー反応かわいくて」

飛鳥「というかここもきっちり音声加工してるんだね。さすがに意味ないよね」

P「まあそう言うな、様式美ってやつだ多分」


??『あー、ごほんごほん。……ならば、改めて我に問うがいい。我が片翼についてを! 今はそういうのはいい? えー……わ、わかりました』

??『飛鳥ちゃんに足りないものですよね? きっと>>57だと思います!』

露出

??『もっと飛鳥ちゃん、露出しないかなぁって』


飛鳥「……最後の最後に露出ときたか、蘭子」

P「まあ最後まで聞くんだ、こっからだぞ」


??『理由ですか? だってそうすれば飛鳥ちゃんも今以上に注目されてそしたらお仕事もきて、一緒にお仕事できる機会も増えて……増えますよね?』

??『だからプロデューサーさん、ダークイルミネイトをもっと売り込んできてください! お願いします!』


P「お前がCDデビュー決まったって知ったら一番喜びそうだな、蘭子」

飛鳥「露出の意味がどのつもりで言ってるのか曖昧なのは気になるが……それにしても」

P「ああ、今度はもっと過激な衣装を揃えてやろう」

飛鳥「そうじゃなくて、って余計なことをしないでもらおうか。元はと言えばキミがボクのむ……ねを蘭子と比べるからこんな茶番に付き合うハメになったというのに」

P「まあでも晴れてCDデビューだ。これでメディアへの露出は必然増えるわけだし、早速ダークイルミネイトとしての仕事もくるかもな」

飛鳥「それは構わないが、蘭子なら他にも組めそうな相手ぐらいいるんじゃないのか?」

P「正直言うと、蘭子のあのノリを理解しつつ相乗的に互いを生かせるような相方といったら、俺としても飛鳥が適任だと思うんだ」

飛鳥「……やれやれ。ボクにシンデレラガールの相手は荷が勝ちすぎた、なんて言われないようせいぜい頑張るとしよう」

P「そうしてくれ。そしていずれ蘭子と胸を……じゃなかった肩を並べるくらいに大きく成長してくれ」

飛鳥「最後までぶれないねキミは!」




(書いてる途中にCDデビュー決定しちゃってこのSSの存在意義が) 終わり

飛鳥CDデビューおめでとう!

書けば出る(新カードとは言っていない)をまた体現できてしまいとりあえず早々にこのSSを終わらせようと思いました まる

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