大淀「提督はなぜ海軍に入ったんですか?」 (29)

ここの大淀さんはマンガ好き


提督「え?そんなん、アレだよ、ワ〇ピース読んでだよ」

大淀「………はい?」

提督「ワ〇ピースだよ、ワ〇ピース。海軍が出てくる漫画の」

大淀「アレは海賊の漫画じゃないですか?」


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提督「そうだけど、海軍の方がカッコいいだろ?」

大淀「まあ、立場上海賊の方が……なんて言えませんが」

提督「あの漫画を読んで、俺は人々が夜安心して眠れるために戦う人になろうと決めたんだ」

大淀「ああ、監獄の副館長がそんな台詞言ってましたね」

提督「.........なにそれ?知らない」

大淀「あら?、頂上決戦編は読んでないんですか?」

提督「仕官学校に入ってからはジャンプなんて買ってる暇無かったから、空島位までしか知らないよ」

大淀「今は割りと時間には余裕があるじゃないですか」

提督「こんな北方の泊地じゃジャンプ売ってねーじゃん」

大淀「明石さんに頼めば取り寄せてくれますよ」

提督「マジか」

大淀「一ヶ月分まとめて入荷ですけどね」

提督「……」


明石「いらっしゃいませー」

提督「………マンガの単行本とかって注文できるか…」

明石「出来ますよ。ただ今月は輸送艦の荷物に大型の機材が多くてこれ以上注文を増やせないので届くのは二ヶ月後になっちゃいますけど………」

提督「んあああああぁぁぁぁぁぁ!」ダダダッ!




提督「大淀!ワ◯ピースの単行本持ってないか!?」

大淀「えっ!?明石さんの所に注文しにいったんじゃ?」

提督「一回気になったら二か月も待てない!」

大淀「でも今ワ◯ピースは全巻熊野さんに貸しちゃってて………」

提督「熊野に?」

大淀「はい」

提督「熊野ぉー!居るかー?」ドンドン

鈴谷「あれ?提督じゃん、どしたの?」

提督「鈴谷、熊野は?」

鈴谷「えーーっと、居るんだけど……、まあ見ればわかるよ」

熊野「…………」モクモク

鈴谷「大淀さんに漫画借りてからずっとこうで……」

提督「熊野ー?」

熊野「…………」モクモク

鈴谷「ご飯の時間まで多分何にも聞こえてないと思うから……なにか伝言する?」

提督「いや、いい。出撃はすっぽかさないようにな」

提督「はぁ……」

長門「どうした、提督。浮かない顔だな」

提督「長門か……いやちょっとな」

長門「何か悩みがあるなら私に相談してみろ」

提督「うーーーん。欲しいものがどう足掻いても手に入らないと分かった時のもどかしさをどう発散したらいいかと思ってな……」

長門「なるほど。してそれは、本当にどうしても手に入らないものなのか?」

提督「そうだな、ここにいる限りはな」






長門「行ってしまった……なんだろうか、あの落ち込み様は」

長門「ここに居ては手に入らない……」

長門「まさか!?」

提督「まさかマンガが読みたいだけだなんて、長門には言えないよなぁ」

大淀「提督?どうでしたか 」

提督「ああ、ダメだ。熊野のやつ会話も出来なかった」

大淀「そうですか……あのっ、提督。よければ私の部屋に来ませんか?」

提督「……どうした大淀?熱でもあるのか」

大淀「熊野さんが読み終わるのを待つのが一番早い解決ですよね?」

提督「まあ、そうだな」

大淀「じゃあ、その間。他のマンガを読んで気を紛らわしましょう」

提督「それもそうだな」

大淀「あ、ちょっと外で待っててください。軽く片付けますから」

提督「おう、急がなくて大丈夫だぞ」




大淀(ちょっと過激な少女マンガは奥の棚、さらに手前に青年コミックを置いて隠して、手前の本棚に提督の好きそうな少年マンガを固めて目を留めさせて、秋雲さんに貰った同人誌……ベッドの下!!)ドタドタ

提督(あー、これは恥ずかしい本隠してるなー)ボーッ

大淀「すいません、お待たせしました!」ハァハァ

提督「おう、邪魔するぞ」



提督「おお!すごいな」

大淀「ええ、自慢のコレクションですから」

提督「うわ、ワン〇ース俺が読んでた頃の倍くらい出てる」

提督「え!?スティールボールランが完結してる!?」

提督「黒子のバスケ?またバスケマンガ流行ったの!?」

提督「…………」モクモク

大淀「提督、マルフタマルマルです。あら、提督?もしかして寝て……」

提督「…………」モクモク

大淀「ませんね」

大淀「ふわぁぁ……朝……?」

提督「…………」ウツラウツラ

大淀「提督?寝ないでずっと読んでたんですか?」

提督「……え?あーーーーー……そうだけど?」

熊野「私としたことがマンガに夢中になりすぎて寝坊だなんて……早く大淀さんにワン○ースをお返ししないと」

ガチャ

大淀「早く、誰かに見られないうちに戻ってください!」

提督「分かったから!押すなって……」


熊野「そんな……提督と大淀さんが……」

ドサッ

大淀「!?……熊野さん!?」

熊野「わ、私は何も見てませんわーーー!!!」

大淀「……はぁ」

長門「提督!欲しがっていた物を持ってきたぞ!」

提督「……その書類はなんだ?」

長門「ケッコンカッコカリの書類だ!」

提督「それで?」

長門「提督はこの泊地じゃ嫁が探せないことを悩んでいたのだろう?安心しろ、私がずっとそばにいる」

熊野「お待ちなさい長門さん!!」

長門「熊野、どうしたなぜ止める」

熊野「あれをご覧なさい」

提督「なあ大淀、今日行っていい?」

大淀「構いませんけど、最近多くないですか?」

提督「いやぁ、一度経験すると病みつきになるな」

大淀「仕事はちゃんと終わらせてから来てくださいね」

提督「わかったわかった、よーしやるぞー!」

長門「……」

熊野「……」

長門熊野「「大淀に先を越されるなんて!!!」」


おわり

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