アルビノ少女「どこからきたの?」(188)

仔犬「わふっ!」ペロペロ

アルビノ「人懐っこいね。街の誰かの犬かな?」

仔犬「あんあんっ!」パタパタッ

アルビノ「でも、ここに来たらダメだよ。」

仔犬「きゃぅん?」

アルビノ「この森にはこわーい魔女がいてね、目が合うと石にされちゃうんだよ。」

仔犬「きゃうっ!」パタパタッ

アルビノ「まぁ、私のことなんだけどね。」

飯食ったら続き書く。

アルビノ「そんなこと言っても、犬のお前にはわかるわけないよね。」

仔犬「くぅん?」

アルビノ「紐がついてるし、お前迷子なの?」

仔犬「わふっ!」

アルビノ「あ、首輪にネームプレートがついてるね。」

仔犬「あんっ」

アルビノ「お前、仔犬って、言うんだ。」

仔犬「きゃんきゃんっ」

アルビノ「お前のご主人、探してあげようか?」

仔犬「わんっ!」

アルビノ「ちょっと、待っててね。」

アルビノ「お待たせ。」

仔犬「わふぅ?」パタパタ

アルビノ「なんで目隠ししてるかって?」

仔犬「あんあんっ!」

アルビノ「私と目を合わせた人は石になってしまうから、そうしないためだよ。」

仔犬「わぅ?」

アルビノ「もっとも、お前のご主人に会うつもりはないけどね。」

仔犬「あぅっ!」

アルビノ「じゃあ、いこうか。」

仔犬「わんわんっ!」クルクル

アルビノ「お前は元気だね。」

アルビノ「本で読んだことがあるけど、街では目の見えない人をサポートする犬がいるらしいけど………」

仔犬「あぅ?」

アルビノ「お前に期待できるわけもないか………」

仔犬「あんっ!」パタパタッ

アルビノ「仕方ないね、“千里眼”」

仔犬「きゃうん?」

アルビノ「これはね、遠くのものを見ることができる魔法なんだよ。………近くに人がいるね、お前を探しているのかな?」

仔犬「わんわんっ!」

アルビノ「うん、わかったよ、ついておいで。」

仔犬「きゃんっ!」

森の外れ
青年「おーい!仔犬ー、どこだーっ!?」

青年「………いないな。」

青年「たぶん、こっちの方に走っていったと思うんだけど………」

青年「まったく、あのチビ、こっちの制止も聞かずに走っていっちゃうんだもなぁ………」

青年「ここら辺はアンマリ人の気配がしないな………」

青年「まぁ、森のなかだから当たり前だけど、人が手を加えたっていう形跡もない。」

青年「もったいないよなぁ、こんなに綺麗なのに。」

青年「いや、手が加えられてないからこそ、綺麗なままなのか………」

青年「どっちでもいいや。おーい!仔犬ー!でてこーい!」

大きな木の近く
アルビノ「向こうのブツブツ言ってるのが、お前のご主人?」

仔犬「あんあんっ!」パタパタッ

アルビノ「そうみたいだね。じゃあ、お行き。」

仔犬「あぅ?」

アルビノ「私はなるべく人とは関わりたくないから。お前をここまで連れてきたのだって、森の奥まで探されたら困るからだよ。」

仔犬「わぅ………」

アルビノ「わかったなら、ご主人のところに行って。もう迷子になるんじゃないよ。」

仔犬「あんっ!」タッタッタッ

アルビノ「元気でねー。」

森の外れ
仔犬「あんっ!」パタパタッ

青年「おー、チビ!どこいってたんだよ、このやろー。」グリグリ

仔犬「きゃんきゃんっ」ペロペロ

青年「ははっ!くすぐったいよ。」

仔犬「あぅん!」

青年「よし、お前も見つかったことだし、もう今日は散歩おしまいにするか。」

仔犬「あぅっ!」グイグイッ

青年「どうしたんだよ、服の裾引っ張って。」

仔犬「あぅあぅっ!」グイグイッ

青年「………着いてこいってことか?」

仔犬「わふっ!」

大きな木の近く
アルビノ「よかった。ちゃんと会えたみたいだ。」

アルビノ「私も帰ろうっと。」

アルビノ「今日はたしか、夜に白猫が来るはずだし……」

アルビノ「………薬の材料は採集しておいた方がいいかな。」

アルビノ「もう目隠しははずしても………っ!?」

アルビノ「あの人、こっちに来てる?」

ナンダヨヒッパルナヨ
アンアンッ!

アルビノ「どうしよう……」

コッチニナニカアルノカ?
キャン!
ウオー,オオキナキダナー

アルビノ「………隠れなきゃ!」バタバタ

ドテン

アルビノ「きゃっ!」

青年「うわっ!」

仔犬「あんっ!」

アルビノ「いたた………つまづいた。」

青年「あの………」

アルビノ「ひゃ、ひゃいっ!」

青年「大丈夫ですか?」

アルビノ「だ、大丈夫でふっ!ちょっと、つまづいただけですっ!」

アルビノ(お、落ち着け私っ!目は合わせることはないんだから、大丈夫。落ち着け落ち着け………)

仔犬「あんあんっ!」

アルビノ「で、では、私はこれで………」

仔犬「わぅんっ!」ガバッ

アルビノ「きゃっ……」ドシャ

青年「あー、こらっ、チビ!ダメじゃないか急に飛び付いたりしたら。………すみません、大丈夫ですか、お怪我はしていませんか?」

アルビノ「は、はいっ!け、怪我なんかしてませんっ!」

青年「本当にそうですか?お顔がやや赤いようですが………それに、包帯で目を覆ったままですと、危ないですよ?」

アルビノ「き、気にしないでくださいっ!」

青年「気にするな、と言われましても………。こんな森の中でそのようなものをつけていましたら……」スッ

アルビノ「さ、さわらないでくださいっ!」パシッ

青年「っ………!」

アルビノ「………あ、ご、ごごごめんなさいっ!」

青年「いえ、大丈夫です。」

アルビノ「腫れたりしていませんか?骨とか折れていませんか?それからそれから………」アセアセ

青年「落ち着いてください。女の子に叩かれた程度で骨が折れるほど、柔ではありませんから。」

仔犬「わふっ!」

青年「その目隠し……」

アルビノ「は、はいっ!」

青年「外したくない理由でもあるんですか?」

アルビノ「えぇっと………わ、私、生まれたときから目が見えなくて………」

青年「それなら、目隠しする必要はない気がしますが……」

アルビノ「ひ、瞳が変だから……見てほしくないんです。」

青年「そういうものですか………」

アルビノ「は、はい、そういうものなんです。」

青年「それにしても、目が見えないのなら、どうしてこのような森の中へ?」

アルビノ「あ………えっと、その………こ、この森の奥に住んでるんです。」

青年「えぇっ、こんな不便なところにですか?」

アルビノ「………そう不便ではないですよ。」

青年「そうですか………とすると、どうしてここに?」

アルビノ「その子が………」

仔犬「わぅ?」

アルビノ「森に迷いこんでいたので、せめて入り口までは送っていってあげようかと。」

青年「………その目で?」

アルビノ「はい、森の中でしたら、匂いや質感でおおよその場所はわかりますから。」

アルビノ(本当は見えているんだけど。)

アルビノ「で、では、今度こそ私はこれで………」

青年「待ってください。」

アルビノ「まだ、なにか?」

青年「その……コイツ送ってくれたお礼に、今度は僕がアナタを送りましょうか?」

アルビノ「い、いいですっ、ひ、一人で帰れま……きゃうっ!」ドテッ!

青年「なれている場所とはいえ、やっぱり危ないですよ。」

アルビノ「ほ、本当に大丈夫ですから………」サスサス

青年「いえ、このまま何度もアナタがコケるのを、見過ごすのも嫌ですので、送りましょう。手を借りますね。」

アルビノ「あ、ありがとうございます。」

小川に沿った小道
アルビノ(どうしようどうしようどうしよう)

アルビノ(目が見えない振りをしたのが裏目に出た………)

アルビノ(なんか、手とか繋がれてるし………)

青年「あの……」

アルビノ「ひゃ、ひゃいっ!」

青年「道は間違ってないですか?」

アルビノ「ま、間違ってないと思います………このまま、まっすぐいけば、着くはずです」

アルビノ(………こうしてヒトと過ごすのっていつ以来だったかな)

アルビノ(暖かいなぁ………)

森の奥
青年「開けた場所に一軒、家があったのですが、ここで間違いないでしょうか?」

仔犬「あんあんっ!」パタパタッ

アルビノ「はい、間違いないです。送っていただき、ありがとうございました。」

青年「一人で大丈夫ですか?」

アルビノ「はい………」

アルビノ(この人がいなければ、目隠しをとることができるから、普段通りに過ごすことができる。)

アルビノ(だけど、お礼もしないままっていうのはよくないよね……)

アルビノ「あ、あのっ!」

青年「はい、なんでしょうか?」

アルビノ「せっかくここまで来たのですから、よ、よろしければお茶でも飲んでいきませんか?」

リビング
アルビノ「ど、どうぞ」カチャ

青年「ありがとうございます。………面白い香りですね。」

アルビノ「近くで採れるハーブをお茶にしたんです。」

青年「そうなんですか。………それにしても、アナタはスゴい人ですね。」

アルビノ「………何がですか?」

青年「目が見えないというのに、お茶を入れることもできるし、森の中を歩くこともできる。」

アルビノ「………な、慣れてますから。」

アルビノ(“千里眼”の応用で、周りは見えてるんだけど、教えるわけにはいかないよね。)

青年「お一人で、ここに住んでるんですか?」

アルビノ「はい、基本的には一人です。」

青年「それは大変でしょう。こんな人のいない場所よりも、街に住んだほうが生活しやすいんじゃないですか?」

アルビノ「街は、ちょっと………。私、ヒトとは少し違うから。」

青年「………その髪のことですか?」

アルビノ「はい。真っ白で気持ち悪いでしょ?」

青年「そうですかね?雪みたいで、綺麗だと僕は思いますよ。」

アルビノ「………アナタは優しいんですね。」

アルビノ(この人はいい人だ。普通、ヒトは自分と違うものを気味悪がる。)

アルビノ「それに、いつも一人と言うわけではないですから。」

青年「そうなんですか?」

アルビノ「一週間に一回、優秀なハウスキーパーが来るんです。」

青年「………寂しくはないんですか?」

アルビノ「それも、慣れてますから。前は一年おきくらいにしか来なかったんですから。」

青年「そう、ですか………」

モン娘(?)とか俺特すぎる。



支援

青年「お茶、ごちそうさまでした。おいしかったです。」

アルビノ「お粗末様でした。」

青年「カップは流し台まで運びましょうか?」

アルビノ「いえ、おかまいなく。………引き留めておいて、なんですが、はやく帰った方がよろしいですよ。この森、夜になると危ないですからね。」

青年「夜の森はどこでも危ないでしょう。」

アルビノ「それもそうですね。」

青年「では、暗くなる前に僕はこれで。」

アルビノ「はい、気を付けてくださいね。」

玄関
青年「あの……」

アルビノ「どうかなされましたか?」

青年「もし、迷惑じゃなかったら、ここに遊びに来てもいいですか?」

アルビノ「え?」

青年「いくらハウスキーパーさんが来るとはいえ、こんな森奥に一人きりというのは寂しいでしょう?」

アルビノ「……………」

青年「僕なんかでよければ、話し相手になれたらなーって………」

アルビノ「……………」

青年「なんて、押し付けがましかったですね。ごめんなさい。」

>>23
モン娘じゃないヨー。
ちゃんと意味ググってないと、後がこわいネー。

まぁ、設定としては魔女だけどさ………

アルビノ「そ、そんなことないです………」

青年「え?」

アルビノ「わ、私、こんな眼だし、街に出ることなんてないから、お話しする相手とかいないんです。」

青年「…………」

アルビノ「だから、迷惑なんかじゃないです………」

青年「つまり、またここに来てもいいと?」

アルビノ「はい……お暇があればまた………」

仔犬「あんあんっ!」

アルビノ「………この子も一緒に。」

青年「わかりました。また今度、コイツと遊びに来ます。」

仔犬「あんっ!」

夕方
リビング
アルビノ「今日は楽しかったな………」

アルビノ「あの人はいい人だった。」

アルビノ「また、遊びに来るって言ってくれたし……」

アルビノ「お部屋のお掃除とかしなくちゃ。」

白猫「どうせ、途中で飽きて、ニャーに投げ出すのが見えてますニャ。」

アルビノ「し、白猫っ!?」

白猫「どうも、ですニャ、お嬢。」

アルビノ「い、いつ来たの?」

白猫「お茶してる辺りくらいからですニャ。」

アルビノ「気づかなかった………」

白猫「ニャーは猫ですからニャ、気配を消すにゃんてオチャノコサイサイですニャ。」

アルビノ「私相手に気配は消さなくていいでしょうに………」

白猫「お嬢以外にもいたから、気配を消すのは当然ですニャ。」

アルビノ「アナタは普通の猫のふりしてたらいいでしょ。」

白猫「優秀にゃハウスキーパーですから、そのようにゃ真似はできませんニャ。」

アルビノ「聞いてたのね………」

白猫「まぁ、それがにゃくとも出てはいきませんニャ。生来、犬っころとは、気が合いませんニャ。」

アルビノ「あの仔犬はかわいかったじゃない。………と、なんか、飲み物だしてあげるね。ミルクでいい?先週アナタが持ってきてくれたヤツだけど。」

白猫「古くなってるのをニャーで、処分しないでほしいですニャ………」

白猫「それにしても、お嬢は迂闊ですニャ。」

アルビノ「なにがー?………あ、マッチきれてる。」

白猫「ニンゲンを家に招き入れるにゃんて、普通じゃ考えられにゃいことですニャ。」

アルビノ「勝手についてこられたんだよ。………仕方ない“粉火炎”」ボォォ

白猫「にゃーにが、“勝手についてこられた”ですかニャ。仲良くお手々つにゃいで歩いてたくせに………」

アルビノ「し、仕方ないじゃない。“千里眼”で見てると、俯瞰図でしか見れないから足元が見えにくいんだし」コポコポ

白猫「へーへー、そうですかニャ。」

アルビノ「なに、その態度。新しい薬の実験台にでもなる?」コトコト

白猫「勘弁ですニャ。お嬢の作った薬はどれもこれも、効きがよすぎるからニャ。」

アルビノ「ハイハイ。………よし、できた。」

白猫「にゃにを作っていたんですかニャ?」

アルビノ「白猫用のホットミルク。」

白猫「ニャーは猫舌にゃんですけど………」

アルビノ「なにか、ここ一週間で、変わったことあった?」コト

白猫「んー、特ににゃいですニャ。」フーッフーッ

アルビノ「薬の評判は?」

白猫「上々でしたニャ。ただ、新しい薬……不眠薬でしたかニャ?あれは不評でしたニャ。」フーッフーッ

アルビノ「なんで?」

白猫「服用者いわく、三日は眠れにゃかったそうですニャ。そして、反動で丸一日眠ってしまったと………」フーッフーッ

アルビノ「そういう効果の薬なんだけどな………」

白猫「使用する側としては、1日くらい眠気が吹き飛ぶレベルを求めていたみたいですニャ。後は副作用を軽微なものにしてほしい、と。」フーッフーッ

アルビノ「効能を弱めれば副作用も弱まるだろうから、次からはそうする。………さっきから何してるの?」

白猫「ミルクを冷ましてるんですニャ。」ズズズッ

白猫「あちっ!」

白猫「この際ですからいっそ、名前を変えるのはどうですかニャ。」

アルビノ「不眠薬の?」

白猫「そーですニャ。眠らずの薬ではなく、覚醒させる薬として、覚醒薬とかどうですニャ?」

アルビノ「却下。その名前はなんか危うい気がする………」

白猫「常用者はボロボロの廃人になっていそうですニャ。」

アルビノ「ダメ、ゼッタイ。」

白猫「言ってみただけですニャ。」

アルビノ「で、注文の方は?」

白猫「まず、商工会の方が傷薬と万能毒消しを小瓶詰めで、30ずつ。」

アルビノ「今回は少ないね。」

白猫「ここのところ平和ですからニャ。次に魔女会の方から精神統一薬を、樽2つほど。」

アルビノ「うげ、こっちは多いの………」

白猫「新人育成の時期ですからニャ。仕方にゃいですニャ。後は個人の依頼ですニャ。魔女長の婆さんが腰痛の薬、海の町に住んでるジジィが精力剤、 他はいつも通りですニャ。」

アルビノ「お婆ちゃん、また、腰が悪くなったんだ………」

白猫「よる年波には勝てにゃいと言ってましたニャ。」

アルビノ「お爺さんは………うん。」

白猫「よる年波には勝てにゃいとのたまってやがりましたニャ。」

アルビノ「水でいいか。」

白猫「プラシーボ効果が起きないかが不安ですニャ………」

アルビノ「頼んだものは?」

白猫「すでに氷箱に入れておりますニャ。卵はやや古いのでお早めに、とのことですニャ。」

アルビノ「うん、わかった。………本は?」

白猫「お嬢の趣味に合いそうにゃのが、にゃかったから、今回は抜きですニャ。」

アルビノ「えー………」

白猫「文句があるなら、自分で街に出て買ってくればいいじゃにゃいですか。」

アルビノ「わかってて言ってるでしょ。」

白猫「まぁ、お嬢が街に行く気がにゃいのは知っていますけどニャ。ただ、今日の昼のことで気が変わったりしにゃいかにゃーと。」

アルビノ「変わるわけないよ。うっかりで誰か石にしちゃったりしたら、私、退治されちゃうよ。」

白猫「婆さんが頑張ったお陰で、魔女にもようやく人権みたいなものができたんですけどニャ。」

アルビノ「あくまでヒトに危害を加えない限り、でしょ。私にそのつもりがなくても、この眼はお構い無しだからね。」

白猫「つくづく、不便ですニャ。」

アルビノ「呪いだからね、仕方ないよ。」

白猫「そう、割りきれるお嬢はスゴいですニャ。」

アルビノ「何年、私がこの眼と付き合ってると思うの?」

白猫「何年ににゃるんですかニャ?」

アルビノ「さぁ?忘れちゃった。」

アルビノ「今日、ご飯食べていくでしょ?」

白猫「いただきますニャ。」

アルビノ「なにか食べたいものはある?」

白猫「お嬢に料理のリクエストをして、希望通りにニャったことがにゃいので、にゃんでもいいですニャ。」

アルビノ「じゃあ、玉葱フルコースとかどう?」

白猫「………魚が食べたいですニャ。」

アルビノ「魚ね、おっけー。」ルンルン

白猫「はぁ………」

一時間後
アルビノ「できたよー。」

白猫「魚が食べたいといったはずにゃのに、にゃんでオムレツににゃってるんですかニャ………」

アルビノ「なんか、卵が私に食べて、っていってる気がした。」

白猫「そうですかニャ………」

アルビノ「じゃあ、手を合わせて」パチン

白猫「ニャ」プニン

アルビノ・白猫「「いただきます」」

アルビノ「白猫ってさ。」モグモグ

白猫「にゃんですか?」クンクン

アルビノ「ニンゲン嫌い?」モグモグ

白猫「嫌いですニャ。」

アルビノ「ふーん、そっかー………」カチャカチャ

白猫「お嬢はどうなんですかニャ?」

アルビノ「私?んー……わからない。だけど、嫌いじゃないと思う。お昼にあった人みたいに優しいヒトもいるし。」

白猫「それはごく一部のニンゲンですニャ。それに、お嬢は魔女であることを、あのニンゲンには隠していたでしょ?」

アルビノ「そうだった………次会うときに、教えてもいいかな?」

白猫「ニャー以外の話し相手を欲しくにゃいにゃら、教えてもいいんじゃにゃいですかニャ?」

アルビノ「冗談だよ。それくらいはわかってる。」

展開ミスった………

>>30の最初の一文訂正。
白猫「それにしても、お嬢は迂闊ですニャ。」×

白猫「それにしても、お嬢にしては珍しいですニャ。」

アルビノ「………だけど、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ期待してるんだ。」

白猫「にゃにをですか?」

アルビノ「本当のことを話しても、あの人なら変わらずに接してくれないんじゃないかなぁ、って。」

白猫「………夢を見るのも、大概にしてくださいニャ。」

アルビノ「想像するくらいいいじゃない。」

アルビノ「ところで、白猫。さっきから全然食べてないみたいだけど、どうしたの?」

白猫「お嬢の手料理って言うのがにゃー……」

アルビノ「なに?私の料理になにか、文句でもあるの?」

白猫「お嬢は味覚に味を合わせるんじゃにゃくて、味に味覚を合わせますからニャ………」

アルビノ「美味しければいいじゃない。それに、味覚を誤魔化す薬の研究にもなるし。」

白猫「そんにゃ研究をするくらいにゃら、料理の研究をするようにしてくださいニャ………」

次の日
アルビノ「今日は何をしようかな。」

アルビノ「白猫も、行商に行っちゃったし………」

アルビノ「もうちょっとゆっくりしていってもいいのになぁ。」

アルビノ「薬でも作るか。」

アルビノ「………あの人、来たりしないよね。」

一時間後
アルビノ「ここを、こうして………」グルグル

アルビノ「後は煮詰めていけば完成っと。………“粉火炎”」ボォォ

アルビノ「………あ、もうこんな時間か。お昼ご飯作らなくちゃ。」

アルビノ「………一人だと、食べる気が起きないなぁ。」

アルビノ「ま、食べなくてもいいか。必要ないんだし。」

アルビノ「ニンゲンらしい生活を、ってお婆ちゃんに言われたけどさ。」

アルビノ「無理だよ、そんなの。」

アルビノ「………私、ニンゲンじゃないもの。」

アルビノ「目を合わせたるだけで石になってしまう。」

アルビノ「魔女というより、メデューサだよね。」

アルビノ「蛇髪じゃないけど。」

アルビノ「これ、私の力じゃないのに………」

アルビノ「進んで使ったことなんて一度もないのに………」

アルビノ「………私は悪くないのになぁ」

――――――――
花畑
赤目の幼女「………できた。」

赤目の幼女「花冠、ママの分……これでお揃い。」

ガサガサ

赤目の幼女「………誰?」

少年a「うは、おい、見ろよ」

少年b「なんだよ。」

少年a「あんなところに化け物がいるぜ。」ニヤニヤ

少年c「ホントだ。」ニヤニヤ

赤目の幼女「ち、違うよ、私、化け物なんかじゃないよ?」カタカタ

少年a「なーに、言ってんだよ。」

少年c「俺らと違う姿のクセによぉ。」

少年b「魔女の子供が、化け物じゃないわけないだろ。」

赤目の幼女「違う、違うよ………」カタカタ

少年a「なんか、ウゼェな………なぁ、俺らで化け物退治しようぜ。」

少年c「どうやって?」

少年a「こうするんだよ」ブンッ

赤目の幼女「―――ゲホッ」

少年b「うわ、ひでぇ。鳩尾はいってんじゃねーの?」

少年a「いーのいーの、問題なし。相手は化け物なんだぜ?」ドガッバギィ

赤目の幼女「がっ……ゴボォ」ビチャビチャ

少年c「うわっゲロ吐きやがった!」

少年a「きたねぇな……この化け物がっ!」ボゴッ

赤目の幼女「ぐっ………」

赤目の幼女「やめてっ………やめてよぉ……」ポロポロ

少年c「おい、泣き出したぜ」

少年a「でも、やめるつもりなんかねーし。コッチは人間なんだ。化け物に手を抜いたら殺されちまう」ドゴッ

赤目の幼女「うっ!」ドサッ

少年a「よしっ!化け物討伐ぅ!」

少年b「まぁ、恨むんなら、魔女の子供なんかに、生まれた自分を恨むんだな。」

少年c「そーそー、魔女に人権なんかないもんな。まず人間じゃねーんだからよぉ」

赤目の幼女「うっ……うっ……」ユラリ

少年a「んだよ、その目は。まだやろうっての―――」

少年c「………a?どうしたんだよ?」

少年a「……………」カチーン

少年b「お、おい、コイツ!石になってるぞっ!なにしやがっ―――」

赤目の幼女「………え?なに、これ……」カタカタ

少年b「め、目が光って―――」

少年b「……………」コチーン

赤目の幼女「違う、こんなの違う。………こんなこと望んでなんか……」ブンブン

少年c「ひ、ひぃっ、化け物っ、ち、ちかよ―――」

―――――――
アルビノ「はっ………」

アルビノ「………夢、か。」

アルビノ「忘れるくらい前のことなのに。」

アルビノ「たまに見るんだよね。」

アルビノ「………化け物、か。」

アルビノ「間違ってはないよね。」

アルビノ「さ、お昼寝もしたし、薬作りの続きでもしようっと。」

アルビノ「と、思ったのはいいんだけれど………」

アルビノ「昼光草が切れてたんだった………」

アルビノ「昨日、集められなかったからなぁ。」

アルビノ「探してみるか………“千里眼”」

アルビノ「……………あ。」

アルビノ「昨日の人だ。」

実のなる木の近く
青年「お前さ、頼むからジッと、しててくれよ………」

仔犬「わぅん………」

青年「お前が元気に走り回ったせいで、迷ったって理解してるか?」

仔犬「わふっ?」

青年「お前、今度言うこと聞かずにどこかにいったら、当分散歩に連れていってやらないからな。」

仔犬「あんっ!」スンスン

青年「返事だけは一人前だな………」

仔犬「くぅ?」ピタッ

仔犬「あんあんっ!」ダッ

青年「言ったそばから走るなよっ!」

アルビノ「たしか、ここら辺に………」

仔犬「あんあんっ!」ガバッ

アルビノ「きゃっ!」

アルビノ「いたた……」

仔犬「わぅーん」ペロペロ

青年「待てって言ってる………あれ?」

アルビノ「あ、ど、どうも。」

青年「こんにちは。………僕のこと、わかりますか?」

アルビノ「はい、昨日、お会いした方ですよね。」

青年「正解です。目が見えないのによくわかりましたね。」

アルビノ「耳と鼻には自信がありますので。」

アルビノ「どうして、こんな場所に?」

青年「あはは………昨日のお茶のお礼に遊びにいこうと思ったんですけど。」チラッ

仔犬「あんっ!」パタパタ

青年「コイツのせいで、迷子になっていたんです。」

アルビノ「そうだったんですか………」

青年「アナタはどうして?」

アルビノ「えと………森の中を散歩してたら、アナタの匂いがしたので………」

アルビノ(ホントは“千里眼”で見かけたからなんだけど。)

青年「う………僕臭いますか?」

アルビノ「あ、そ、そういう意味ではなくてですね………私、犬並みに鼻がきくから、匂いで個人が区別できるんです。」

仔犬「わふっ?」

アルビノ「じゃあ、いきましょうか。」

青年「え?」

アルビノ「遊びにいらっしゃったのでしょ?」

青年「あ、あー、そうですね。なんだか、アナタにあったことで、目的を達した気分になってました。では―――」スッ

アルビノ「あ、え?ど、どうして、手を………」

青年「アナタが転ばないように、と思ったのですが………迷惑ですか?」

アルビノ「い、いえ、そんなことはないです………。つ、着いてきてくださいね。」

アルビノ(暖かい………)

森の奥の家・リビング
青年「なんだか、すみません。お礼に来たって言うのに………」

アルビノ「いえ、来てくれて嬉しいです。」カチャ

青年「昨日とは違う香りですね。」

アルビノ「同じものを出すのは芸がないかな、と。前の方がよかったですか?」

青年「あぁ、いえ、これも美味しそうですよ。」

青年「………そうだ。お茶請けにと思ってクッキーを持ってきたんです。」

アルビノ「………クッキー、ですか?」

青年「えぇ、あまり見映えはよくないんですが………」

アルビノ「私は目が見えませんから。味がよければ気にしませんよ。」

アルビノ(確かに形は不揃いだ。手作りなのかな?)

アルビノ「………美味しい。これ、手作りですか?」モグモグ

青年「あ、はい。一応、僕が作ったりなんか………」

アルビノ「お上手ですね。」モグモグ

青年「見た目は不恰好なんですけどね。」ポリポリ

アルビノ「型抜きを使わずに手で形作ると、こうなっちゃいますよね。」モグモグ

青年「………えぇ、そうですよね。」

アルビノ「なにか?」モグモグ

青年「いや、よく食べるなぁ、と。もう、半分以上食べてますよ。」

アルビノ「あ、ご、ごめんなさいっ!美味しくて、つい………」

青年「そう言ってもらえると、作った方としては嬉しい限りです。」

玄関
アルビノ「もうお帰りになるのですか?」

青年「えぇ、今日は到着したのが遅かったですからね。次は迷わないようにします。」

仔犬「あんっ!」パタパタ

青年「お前のせいで遅くなったんだけど、わかってるか?」

仔犬「わふぅ?」

アルビノ「その様子だとわかってないみたいですね。」クスクス

青年「全くです。」

アルビノ「次はいつ来てくださいますか?」

青年「そうですね………明日は用事があるので来れませんが、明後日なら………」

アルビノ「そうですか………」

青年「クッキーならまた持ってきますよ?」

アルビノ「ち、違いますっ!そ、そんないやしくなんかありませんっ!」

青年「いやー、あれだけ綺麗にたいらげてくれると、作った方も嬉しいですよ。」

アルビノ「うー………とにかく、明後日ですね。今度は私もアナタに負けないくらい………」

青年「どうかされましたか?」

アルビノ「………名前、まだ聞いてませんでしたよね。」

青年「あ、そう言えば………僕は青年って言います。」

アルビノ「私はアルビノと言います。」

アルビノ「これからよろしくお願いしますね。」

青年「こちらこそ。」

アルビノ「………自己紹介ってもっと最初の方にするものですよね。」

青年「なんとなくで、話してましたからね………」

仔犬「あんあんっ!」グィーッ

青年「なんだよ、帰ろうって言ってるのか?」

仔犬「あんっ!」ブンブン

アルビノ「仔犬の言う通りです。早く帰らないと、暗くなってしまいますよ。」

青年「そうですね。では、お邪魔しました。」

アルビノ「はい、また来てください。」

翌日
町外れの家
青年「いいか、今日は大人しくここで待ってるんだぞ。」

仔犬「あぅ?」パタパタ

青年「今日は兄さんたちの式典なんだから、お前は連れていけないってこと。」

仔犬「わふ?」

青年「お前が嫌いな人だよ。ほら、こんな顔してる人。」カキカキ

仔犬「ぐるるるっ」

青年「書いた絵に威嚇するなよ………」

青年「まぁ、とりあえず、大人しくしてくれよ。家の中なら好き勝手していいからな。」

仔犬「あんっ!」

青年「じゃ、いってきます」

森の奥の家
アルビノ「………はぁ~」グルグル

アルビノ「退屈だなぁ」グルグル

アルビノ「いつもと変わらないのに」グルグル

アルビノ「なんでだろ」グルグル

アルビノ「んー………」グルグル

アルビノ「………あの人が来ないから?」

アルビノ「そ、そんなことない、よね」シュー

アルビノ「………あ」キューン

ボンッ

アルビノ「ケホッケホッ………失敗した。」

アルビノ「………片付けなきゃ」

式典会場
青年「兄上、この度はご結婚おめでとうございます」

団長「ぬはははっ!なんだその言葉使いはっ!背中が痒くなるっ!」

青年「結婚に伴いこの街の防衛騎士団の団長様にもなった兄さんに、穀潰しの僕がフランクに話せるわけないじゃないですか。」

団長「ぬはははっ!どの口が言うかっ!お前は私の数倍頭がよいではないかっ!親父殿に頼めば私なんかよりも、ずっと上の地位につけるであろうに」

青年「そんなことないですよ。僕なんかは一介の町人がお似合いですよ。」

団長「ふん、ぬかしおるっ!王都の学術院を首席で卒業しておいて何を言うかっ!」

青年「最後の試験が簡単だっただけですよ。みんな満点をとって仲良く首席になったんです。」

団長「まぁよいっ!今日は式典だ!お前も飲めっ!」

青年「ほどほどにしておきますよ。兄さんもほどほどにしてくださいよ?なんたって主役なんですから。」

町外れの家
仔犬「くぅ………」テコテコ

仔犬「わんっ!」グルグル

ガタンッ

仔犬「わぅ?」ジィー

仔犬「あんっ!」ピョン

仔犬「ぐぅぅ……」ガジガジ

ガタガタ……ガチャン

キィィ……

仔犬「わふっ!」パタパタ

森の奥の家
アルビノ「ふぅ………」ガチャン

アルビノ「だいたい片付いたかな。」ゴシゴシ


アルビノ「あとの細かいところは白猫に………」

アルビノ「………ダメだ。明日あの人が来るんだった。」

アルビノ「仕方ない……頑張るか。」

仔犬「あんっ!」パタパタ

アルビノ「お前が手伝ってくれたら………って、あれ?」

仔犬「わふっ!」パタパタ

アルビノ「………どうしてお前がここに?」

仔犬「わんっ!」

アルビノ「リードがついてないね。今日は散歩中じゃないの?」

仔犬「わぅ?」

アルビノ「あの人は?」

仔犬「くぅ?」

アルビノ「……………」

仔犬「あんっ!」パタパタ

アルビノ「ここまで来れたんだから、放っておいても、帰ることできるよね?」

仔犬「わふっ!」

アルビノ「果てしなく不安だ………」

式典会場
団長「ぬはははっ!弟よっ!結婚はいいぞぉっ!」

青年「幸せそうで何よりです。」

団長「どうだっ!お前も結婚はしないのかっ!」

青年「相手がいませんよ。」

団長「なんだ、つまらんっ!気になる相手はおらんのかっ!」

青年「気になる人なんて………」

団長「どうしたっ!言葉を濁してっ!」

青年「……いませんよ。」

団長「そうかっ!なら私が見繕ってやろうかっ!」

青年「慎んで遠慮させてもらいます。」

青年「……………」

青年(………どうして、アルビノさんのことを考えたんだ?)

森の奥の家
アルビノ「はい」コトッ

仔犬「………わぅ?」キョトン

アルビノ「お前のご飯だよ。もうすぐお昼だし、お腹すいたでしょ?」

仔犬「くぅ?」スンスン

アルビノ「大丈夫、毒なんかは入ってないよ。」

仔犬「わふっ」ペロ

仔犬「あんっ!」ガツガツ

アルビノ「よく食べてね。」

アルビノ「………さて、片付けを再開しなきゃ。」

街中
青年「ふぅ、すっかり遅くなったな。」

青年「まったく、夕飯に誘ってくるなんて兄さんも、わかってないなぁ。」

青年「奥さん、はやく二人きりになりたいって顔してたし。」

青年「というか、なんで熊みたいな兄さんにあんな綺麗な奥さんが………」

青年「………結婚かぁ」

青年「……………」

青年「………だからなんで、僕はあの人のことを考えてるんだ。」

町外れの家
青年「ただいまー」

青年「……………」

青年「……………」

青年「……………」

青年「………仔犬がでてこない。」

青年「寝てるのか?」

青年「おーい、仔犬ー。」

森の奥の家
アルビノ「もうやだ、疲れた………」

仔犬「わぅ?」

アルビノ「お前はまだここにいるし」

仔犬「わんっ!」パタパタ

アルビノ「帰らないの?」

仔犬「くぅ?」

アルビノ「もうすぐ夕方だよ。青年さんのところに帰った方がいいんじゃない?」

仔犬「あぅ?」

アルビノ「………帰り道わかる?」

仔犬「わふっ?」

アルビノ「………わからないの?」

仔犬「わんっ!」

アルビノ「………はぁ。」

アルビノ「森の出口までつれていってあげる。」

仔犬「わふっ!」パタパタ

アルビノ「………嬉しそうだね。」

仔犬「あんあんっ!」グイグイ

アルビノ「ちょっと、服を引っ張らないで。すぐに準備するから。」

アルビノ「“千里眼”」

アルビノ「……………うん。誰もいないみたいだし、包帯はいいかな。」

アルビノ「待たせたね。じゃあ、行こうか。」

仔犬「あんっ!」

大きな木の近く
アルビノ「ここまで来たらもう帰ることできるよね?」

仔犬「わんっ!」パタパタ

アルビノ「そっちは逆方向だよ。街はこっち。」

仔犬「くぅ………」

アルビノ「そんな目をしてもダメだよ。早く帰ってあげないと青年さんが心配しちゃうよ。」

仔犬「あぅ………」トボトボ

アルビノ「気をつけて帰るんだよ。」

アルビノ「……………」

アルビノ「いったね。」

アルビノ「うん、私も薬の材料採取してから帰ろうっと。」

森奥の開けた場所
アルビノ「帰る足でここに来たけど」

アルビノ「………まだ摘み時じゃないね。」

アルビノ「宵泣草って花が咲いてるときに摘まないと効能薄いし」

アルビノ「日暮れまでもう少しか………」

アルビノ「そういえばこの花の話、よくママがしてくれたんだよね。」

アルビノ「“宵泣草が夜に泣くのは、いくら待っても現れない恋人を思ってるから”」

アルビノ「………恋人かぁ」

アルビノ「……………」

アルビノ「また、あの人のこと考えてる………」カァァ

猫の名前はアルカインか?

シエンタ

アルビノ「私、ひょっとして、あの人と恋仲になりたいとか………」

アルビノ「……………」

アルビノ「……………」

アルビノ「………ある、かも。」

アルビノ「………………」ポロポロ

アルビノ「あはは……私、どうしちゃったんだろ。泣いたりして。」ポロポロ

アルビノ「あの人といたいなんて、思ったら………思うだけで胸が苦しいよ」ポロポロ

アルビノ「……………嫌い」

アルビノ「この眼が嫌い。嫌いっ嫌いっ!大っ嫌いっ!」

アルビノ「どうして、私はこんな目を持ってるの?」ポロポロ

アルビノ「うっ………うっ………」

>>90
なぜわかったし………

町外れの家の前
仔犬「くぅ………」テコテコ

仔犬「わぅっ!」ピョンピョン

仔犬「………わふぅ」ショボン

青年「あ、こんなところにいやがったなっ!」

仔犬「わふぅっ!?」ビクッ

青年「ったく、どこいってたんだよ」

仔犬「わ、わぅ………」タジタジ

青年「あんまり心配かけさせな―――」

仔犬「きゃん!」ダッ

青年「あ、待て逃げるなっ!」

――――――――
白髪の女性「お前は優しい娘だよ。」

白髪の女性「私は嬉しいよ。お前がそういう風に育ってくれて。」

白髪の女性「だからこそ悲しい。」

白髪の女性「どうしてお前がこんな目にあわなければいけないのかと。」

白髪の女性「ヒトを好きと言ったお前がどうしてヒトから嫌われる眼を持ったのか。」

白髪の女性「今から私達の時間をお前に渡す。」

白髪の女性「だから死なないで。」

白髪の女性「生きていればきっといいことがあるから。」

――――――――

白髪の女性「だから死なないで。」

森奥の開けた場所
アルビノ「っ!ママ!?」ガバッ

アルビノ「………夢、か。」

アルビノ「いくら春先とはいえ、外で眠ってしまうのはどうなんだろ………」

キュウキュウウ

アルビノ「でもまぁ、宵泣草が鳴き出す前に起きたからいいとしようっと。」

アルビノ「さっさと摘まないと、うるさいし。」

アルビノ「この花鳴かなければ、ボンヤリ光るだけで綺麗なのになぁ………」

アルビノ「………いいこと、か。」

アルビノ「あの人に会えたことはいいことなのかな?」

森のどことも知れない場所
青年「ようやく捕まえたっ!」ガシッ

仔犬「きゃうんっ!」バタバタ

青年「暴れるな。もう怒らないからさ。」

仔犬「わぅ?」

青年「勝手に抜け出したことを悪いって思ったから逃げたんだろ?」

仔犬「わふっ」

青年「だったら怒らないよ。次からこんなことしなければな。」

仔犬「わんっ!」

青年「いい返事だ。」

青年「………で、ここはどこだ?」

青年「たぶん、走ってきた方角から、アルビノさんの家がある森のなかだとはわかるんだけど………」

青年「夜の森というのは、視界が聞かないからなぁ」

青年「灯りもないし」

青年「熊とかでない、よな?」

青年「さて、どうしたものか………」

仔犬「わふっ!」ジタバタ

青年「下ろせってか?」ヒョイ

仔犬「わんっ!」トトト

青年「そっちに何かあるのか?」

仔犬「わんわんっ!」パタパタ

仔犬「あんあんっ!」パタパタ

青年「おい、これ、森の奥に向かってる感じなんだけど、大丈夫なのか?」

仔犬「わふっ!」パタパタ

キュウキュウウ

青年「なんだ、この音………」

仔犬「わん」スンスン

青年「その花から聞こえてるのか。………うっすらと光ってるな。」

仔犬「あんっ!」パタパタ

青年「不思議な花だな………」

キュウキュウウ

青年「だいぶ音が大きくなってきたな。」

仔犬「あんっ!」

青年「なんだか、物悲しい音だよな。」

仔犬「わぅ?」

青年「お前にはわからないか………ん?」

仔犬「くぅ?」

青年「アソコ、開けた場所に誰かいないか?」

仔犬「わんっ!」

青年「あれは………アルビノさん?」

青年「あんなところで何してるんだろう………」

仔犬「わぅ………」

青年「すごく幻想的な風景だよな………」

青年(花と月の光に照らされて、まるで絵画みたいに………)

青年(そのせいで声がかけづらいけど。)

青年(それにしても、なんだか違和感がある……)

青年「あ、包帯をつけてないんだ。」

青年「それはそうか、誰かに眼を見られるというわけではないんだし………」

青年「あ――――」

森奥の開けた場所
アルビノ「宵泣草も鳴き止んできたし。そろそろ潮時だね。」

アルビノ「これだけ摘めれば当分は材料に困らないだろうし。」

アルビノ「うん、もう帰ろう。」

ガサガサッ

アルビノ「っ!?」

アルビノ「だ、誰?」

ガサガサッ

青年「こ、こんばんは~。」ヒョコ

アルビノ「せ、青年さん……?」

アルビノ「……………あ!」バッ

青年「だ、大丈夫ですか!?」

アルビノ「ち、近づかないでくださいっ!」

青年「っ!」

アルビノ「あ、……ご、ごめんなさい。」

青年「いえ………」

アルビノ「………ちょっと待ってください」ゴソゴソ

アルビノ(あれ………包帯がない………)

アルビノ「あの………青年さん。」

青年「はい、なんでしょうか。」

アルビノ「何か眼を隠せるものはありませんか?」

森の小道
青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「………アルビノさんは」

アルビノ「はい………」

青年「目、見えてるんですよね。」

アルビノ「………はい。」

青年「どうして、盲目のフリをしているんですか?」

アルビノ「………私は」

アルビノ「……………」

アルビノ「私は化け物なんです。」

アルビノ「目を合わせただけでヒトを石にしてしまう。」

アルビノ「そんな化け物です。」

アルビノ「……………」

アルビノ「………私は、アナタには知ってほしくなかった。」

アルビノ「だって、怖いじゃないですか。化け物なんて。」

アルビノ「アナタに嫌われたくなかった。」

アルビノ「だけど、ダメなんですよね。化け物がニンゲンのフリをすることは。」

アルビノ「嫌ってくれていいです。」

アルビノ「怖がってくれていいです。」

アルビノ「アナタがそういう態度をとってくれたら、私はまだ生きていけます。」

アルビノ「化け物じゃなくなるその日まで。」

アルビノ「……………」

アルビノ「あとは、この道を真っ直ぐ行けば街に出ることができます。」

アルビノ「………サヨウナラ」

青年「……………」

街中
青年「……………」

仔犬「わぅ………」ツンツン

青年「……………」

仔犬「わんっ!」

青年「……………」

仔犬「わふぅ………」

仔犬「………ぁぅ?」スンスン

仔犬「わふっ!」ビクッ

仔犬「ぐるるる……」

団長「ぬはははっ!そう威嚇するな、チビよっ!」

青年「兄さん………」

町外れの家
団長「さぁ、飲むぞっ!弟よっ!」

青年「………また、喧嘩でもしたんですか?」

団長「ぬはははっ!相変わらずお前は察しがいいなっ!」

青年「奥さん……義姉さんと同棲してるときから、喧嘩したらいつも来てたじゃないですか。」

団長「一つ屋根の下で生活してるとなっ!喧嘩すると顔を合わせづらいのだっ!」

青年「顔を合わせる………ねぇ。」

団長「それにしても、お前はどうしたというのだっ!昼間あったときとはまるで別人ではないかっ!」

青年「兄さんがそういうってことは、今の僕はよほどひどい顔をしてるんですね。」

ドクペ飲んで寝る

団長「何か悩みでもできたのかっ!」

青年「………そうですね。嫁さんと喧嘩して、帰ろうとしない大男が僕の家にいることが悩みでしょうか。」

団長「誤魔化すではないっ!」

青年「……………」

団長「正直に言おう、私はバカだっ!昔から、お前の考えていることなど一つもわかりはしないっ!」

青年「………だったら」

団長「しかし、お前が何かに悩んでいることくらいはわかるっ!」

青年「……………」

団長「相談してみろっ!打ち明けてみろっ!人と言うのはなっ!言葉を交わすだけでも楽になれるものだぞっ!」

青年「言葉を交わすだけでも、ですか………」

団長「うむっ!」

青年「そうかもしれませんね。」

団長「ぬはははっ、そうであろうっ!して、どうだっ!打ち明ける気になったかっ!」

青年「いえ、全く。」

団長「なんとっ!」

青年「ですが、悩みは解消できるかもしれません。」

団長「そうかっ!それは、よかったっ!」

青年「兄さん、悩みを解決するためにも一つ質問です。」

青年「義姉さんのために死ねますか?」

団長「あぁもちろんだっ!」

団長「男として生まれた以上っ!惚れた女のためなら命など、いくらでもかけようぞっ!」

青年「………そっか。」

青年「そうですよね。」

翌日
森の奥の家
アルビノ「……………」

アルビノ「………朝、か。」

アルビノ「……………」

アルビノ「……………」

アルビノ「………やる気、でないなぁ。」

アルビノ「わかってたことじゃない。」

アルビノ「物語の中でも怖がられる役ばっかりで。」

アルビノ「そんな私がニンゲンと仲よくできるわけなんて………」

アルビノ「………仲よく、できないのかなぁ」

アルビノ「………あ。」

アルビノ「あの人のハンカチだ。」

アルビノ「昨日、目隠しするのに借りたんだっけ………」

アルビノ「……………」

アルビノ「………これを取りにあの人は来るかな?」

アルビノ「………来ないよね。」

アルビノ「……………」

アルビノ「あーあ、退屈だなぁ」

コンコン

アルビノ「……………?」

アルビノ「気のせい、かな?」

コンコン

アルビノ「気のせいじゃない………白猫かな?」

アルビノ「入っていいよー。」

??「……………あー、そのー入ってもいいですか?」

アルビノ「………え?」

アルビノ「青年……さん?」

青年「ぇっと、はい。僕です。青年です………」

青年「………来ちゃいました。上がっても、いいですか?」

アルビノ「あ、………ダメっ!ダメですっ!」

カクッ

アルビノ「え、―――きゃぁっ!」

ドンガラガッシャーン

青年「あ、アルビノさんっ!だ、大丈夫ですかっ!?」ガチャガチャ

青年「あれ?………開かない。」

アルビノ「うぅ………鼻打ちました………」

青年「け、怪我はしてませんか?」

アルビノ「はい、多分大丈夫です………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「あの、………鍵を開けてくれませんか?」

アルビノ「……………」

アルビノ「………嫌です。」

青年「そう、ですか………」

アルビノ「……………」

青年「………仕方ありません。僕がドアを開けるのは諦めましょう。」

アルビノ「……………」

青年「少し、お話ししませんか?ドア越しでいいですから。」

アルビノ「………“空間転移”」シュン

青年「うわっ!………椅子?」

アルビノ「どうぞ、かけてください。………魔法を使う化け物が怖くないと言うのでしたら。」

アルビノ(これで、いい。………怖がらせて、近寄らないようにしたら………。)

青年「いやー、助かりました。ちょっと疲れてるんですよね。」

アルビノ「……………え?」

青年「せっかくですから、ドアの近くに座りましょうか。………声、聞こえますか?」

アルビノ「………あ、は、はい、聞こえています。」

青年「それはよかった。では、何を話しましょうか?」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「………あの」

アルビノ「………どうして」

青年「……………」

アルビノ「どうして、私を怖がってないんですか?」

青年「………どうして、怖がる必要があるんですか?」

くそっ!何でっ!何でモン娘や妖怪っ娘や魔女っ娘は現実にいないんだぁぁ!!!

>>139
俺達がそちら側に行けばいい

アルビノ「そ、それは………私、化け物だし……。魔法とか使えるし………目を合わせると石にしちゃうし………」

青年「それで、僕が怖がる理由になるんですか?」

青年「僕の知ってるアルビノさんは、大人しくて優しい、可愛らしい女の子です。」

アルビノ「そ、それはっ!私を………よく、知らないから………」

青年「でしたら、嫌うことも怖がることもできませんよ。」

青年「アルビノさんは、僕のこと嫌いですか?」

アルビノ「………それは、ぁぅ………」

なんか、>>138->>140の流れ吹いた。

そして、こんな氷河速度進行のスレを見てくれてたことに感謝。

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「………その、…好き、かな?」

青年「………そうですか。」

アルビノ「わからないんです。今まで、アナタみたいなヒトに会ったこと、ないですから………」

青年「アルビノさんは、僕のことをよく知らないから、嫌いである、と言えないんですよね?」

アルビノ「そ、それはっ!」

青年「はい?」

アルビノ「ち、違うと、思います。多分………アナタはいいヒトだから、嫌いになるなんてことなん………」

青年「僕も同じですよ。よく話すこともせずに、嫌うことなんて無理です。」

青年「嫌ってほしければ、もっとよく教えてくださいよ。アナタのこと。」

アルビノ「ぁ、ぁぅぅ………」

>>145はなかったことにしてけろ

青年「………アルビノさんは僕のこと、嫌いですか?」

アルビノ「そ、そんなことは……ない、です。」

青年「よかった………誰かに嫌われるというのは、辛いですもんね………」

アルビノ「ぅ………そ、そうですね。」

青年「だったら、どうして、アルビノさんは嫌われたいと思っているんですか?」

またミスった……>>147もなかったことにしてけろ。

疲れてんのかな………

青年「では、どうして、嫌われたいと思っているんですか?」

アルビノ「……………」

アルビノ「……………」

アルビノ「………いままで、ずっと嫌われ続けていたんです。」

アルビノ「魔女だから」

アルビノ「白い髪だから」

アルビノ「紅い眼だから」

アルビノ「そんな理由で気味悪がられ、怖がられて生きてきました。」

アルビノ「当然と言えば当然ですよね。」

アルビノ「大多数の他人とは違うんですから。」

アルビノ「化け物と呼ばれて」

アルビノ「死ねと言われて」

アルビノ「生きてきました。」

アルビノ「気の遠くなるほどの昔のことです。」

アルビノ「お母さんとお父さんは、私に時間をくれました。」

アルビノ「他人をいとも容易く終わらせることのできる呪いを持った私に」

アルビノ「世界なんて、なくなってしまえばいいと呪ってしまった私に」

アルビノ「信じることができないんですよ。」

アルビノ「一度でも世界を呪ってしまった私には」

アルビノ「自分も」

アルビノ「他人も」

アルビノ「心のそこから信じることができないんです。」

アルビノ「そんな自分が誰かに好いてもらう権利なんてあるわけないじゃないですか。」

アルビノ「アナタを好きだと感じているこの気持ちでさえ疑っている自分は」

アルビノ「アナタに好かれてはいけないんです。」

青年「それは、違うと思います。」

アルビノ「え?」

青年「信じることができないから、誰かに好きになってもらうことがいけないなんて、そんなことはないです。」

青年「そんな悲しいことを言わないでください。」

アルビノ「で、でも………」

青年「ねぇ、アルビノさん、鍵開けてくれませんか?見せたいものがあるんです。」

青年「見たいものがあるんです。」

アルビノ「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

アルビノ「……………」

アルビノ「……………」ゴソゴソ

カチャン

青年「………開けますよ?」

アルビノ「えぇ。」

ガチャ

青年「………やっぱり、眼は隠したままなんですね。」

アルビノ「はい………」

青年「でも、それじゃダメなんです。」

青年「アルビノさん、先に謝っておきますね―――」

シュルッ

アルビノ「……………え?」

アルビノ「あっ!」バッ

青年「隠さないでくださいっ!」

アルビノ「っ!?」ピタッ

青年「隠しちゃダメなんです。目を背けちゃダメなんです。」

青年「アルビノさん―――こっちを向いてくれませんか?」

アルビノ「そ、それはっ………」

青年「できませんか?」

アルビノ「……………」コクン

青年「石にしてしまうから?」

アルビノ「……………」コクン

青年「そのことなら、多分………いや、絶対に大丈夫です。」

青年「だから、僕の目をみてください。」

アルビノ「む、無理ですよ………」

青年「無理じゃないです。ただ、目を合わせるだけじゃないですか。」

アルビノ「それだけで、アナタが石になってしまうんですよ?」

青年「絶対になりませから………」グイッ

アルビノ「―――あ」

青年「……………」

青年「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………あれ?」


青年「ね?大丈夫だったでしょ?」

アルビノ「な……んで、私の眼は……ぇ、あれ?」

青年「ふぅ………よかった……」

アルビノ「はい?」

青年「っと………」ガクン

アルビノ「あ、せ、青年さんっ!大丈夫ですかっ!」

青年「ちょっと気が抜けちゃって………」

アルビノ「???」

青年「いや、絶対に、とは言ったものの確証はなかったですからね。………ひょっとしたらということはあったんですよ。」

アルビノ「え?」

アルビノ「えええぇぇぇぇっ!?」

アルビノ「」

あ、最後のとこミスった、特に意味はないですからね。

青年「そんな、大きな声も出せるんですね。」

アルビノ「あ、ぁぅぅ………」

アルビノ「せ、説明してください。」

青年「はい?」

アルビノ「どうして、石にならなかったのか、とかですよ………」

青年「あぁ、……………えぇっと、勘、です。」

アルビノ「は?」

青年「………なっとくしてくれ、ませんよね?」

アルビノ「………自白材ってどこにしまってあったかな。」

青年「説明しますっ!説明させていただきますっ!」

青年「でも、とりあえず………」

アルビノ「………?」

青年「今日もクッキーを持ってきたんです。お茶にしませんか?」

アルビノ「………どうぞ。」カチャ

青年「ありがとうございます。」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「………そう、顔を伏せなくても。」スッ

アルビノ「……………」ピクッ

青年「………この、ハーブティー、なにも入ってませんよね?」

アルビノ「ソ、ソンナコトナイデスヨ?」

青年「そういうときは、僕の目を見て言ってください。」

アルビノ「う………」

青年「なんて、冗談ですよ。」

青年「さて………どこから説明したらいいんですかね。」

青年「先に断っておきますけど、僕は魔術というか、魔法と言いますか………そういうことに全然詳しくないです。」

アルビノ「………そうなんですか?」

アルビノ「それで、あんな強引なことをしたんですか?」ニコニコ

青年「あの、アルビノさん………アナタ、そんな性格でしたっけ?」

アルビノ「魔女ですから。性格は悪くて当たり前ですよ?」ニコニコ

青年「兄さんが喧嘩したときに、僕のところへ逃げてくる気持ちがわかるなぁ………」

アルビノ「……………」ニコニコ

青年「ゴホンッ………端的に説明させてもらいます。」

青年「昨日、夜の森で会ったじゃないですか。」

アルビノ「会いましたね。私は化け物だと、お伝えしました。」

青年「アルビノさんは、化け物なんかじゃないですよ。」

青年「で、そのときにですね、アナタの目を、僕はバッチリ見ていた訳なんですよ。」

アルビノ「…………はい?」

青年「とっても綺麗でした。」

青年「で、そのあとアルビノさんは、僕を森の入り口まで送ってくださいましたよね。」

アルビノ「はい、送りました。」

青年「で、アナタのことを語ってくださったじゃないですか。」

アルビノ「はい、イロイロといった記憶はあります。まさか、ここまで語ったのに、私のもとに来る人がいるとは思いませんでした。」

青年「まぁ、信じていませんでしたからね。」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………は?」

青年「今まで、魔法使いなんて、一度もみたことなかったですし、それに、アルビノさんが魔法を使っているところ、一度も見ることがなかったですからね。」

アルビノ「………確かに、目に見えるようには使ってませんでしたね。」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「………ということは、青年さんは私のことを狂言者か何かだと思っていたと言うことですか?」

青年「あはは………少し違います。」

アルビノ「……………?」

青年「子供の頃の傷のせいで、心がちょっとだけ傷んでしまった女の子だと………思っていました。」

アルビノ「………過去形ですか。」

青年「魔法を目の前で使われましたからね。見た以上は信じるしかないんです。」

アルビノ「……………あれ?」

青年「どうかしましたか?」

アルビノ「青年さんは、私が魔法なんか使えない、だから、呪いも持っていない、という考えだったんですよね?」

青年「えぇ、そうですね。」

アルビノ「でも、私は魔法を使っているところを見せましたよね?」

青年「この椅子のことですね。」

アルビノ「………だったら、私の呪いもあるかもしれないとは、考えなかったんですか?」

青年「あはは……」

アルビノ「………まさか、確証もなく?」

青年「………はい。」

アルビノ「ふぅん………そうですか……」ニコニコ

青年「いや、でも、最初に言ったじゃないですかっ!確証はなかったって!」

アルビノ「………石になることは怖くなかったんですか?」

青年「………正直に言っても構いませんか?」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」コクン

青年「ありがとうございます。………正直、怖かったです。」

アルビノ「……………」

青年「だけど、躊躇うことはなかったですね。」


青年「惚れた女性のために命くらい投げ出せますから。」

アルビノ「ふぇ…………?」

青年「アルビノさん、僕はアナタのことが好きです。」

アルビノ「は、はぁ………」

青年「……………」

アルビノ「っ!?」

アルビノ「い、いや、ちょっ、ちょっと待ってくださいっ!」

青年「はい?」

アルビノ「好きって………私たち会ってまだ3日くらいしかたってませんよっ!」

青年「一目惚れというやつです。」

アルビノ「はぁ?」

青年「いや、初めて会ったときにはここまで惹かれてなかったから………ふむ、二目惚れと言い直した方が………」

アルビノ「そんなことじゃなくてっ!」バンッ

アルビノ「…………イタタ」サスサス

青年「大丈夫ですか?」

アルビノ「は、はい、大丈夫です………って、だから――」

青年「僕は本気です。」

アルビノ「――――っ!」

青年「だから、アナタのことを嫌うなんて無理なんですよ。」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「……………」

青年「……………」

アルビノ「………ズルいです。」

青年「ズルい、とは?」

アルビノ「今まで、そんなこと言われたことないんですよ?」

アルビノ「だから、そんなこと言われたら………」

アルビノ「私だってアナタのことを………」



―――好きになっちゃうじゃないですか。

遅れたけど推奨bgm
ttp://www.youtube.com/watch?v=tsbnxvlivcu&feature=youtube_gdata_player


アルビノ「………ズルいです。ズルいですよ。」

アルビノ「勝手に私のことを好きになって。」

アルビノ「私が今まで、悩んでいたことを全部壊しちゃって。」

アルビノ「青年さんはズルいです。」

青年「……………」

アルビノ「………青年さん」

青年「はい。」

アルビノ「化け物の私だけど、アナタのことを好きになってもいいですか?」

アルビノ「私のこと嫌いになるまででいいです。」

アルビノ「アナタに恋していいですか?」

青年「構いませんよ。僕も………」

青年「僕も、アナタのことが好きです。」

青年「何の変哲もないアナタと同じただの人間ですけど、アナタに恋していますから。」

どことも知れない場所
白猫「全く、甘ったるくて見てられにゃいですニャー」

魔女婆「ふぇふぇ、そう言うでないよ。甘酸っぱいじゃないかぇ?」

白猫「お陰でニャーのお役目もようやくごめんとにゃるんですニャ。」

魔女婆「そうだねぃ……」

白猫「あのニンゲンにお嬢を任せるのはシャクですがニャ。」

白猫「魔女の世界でも忌み子として恐れられてたお嬢に正面から向き合った勇気は、認めてやらにゃいこともにゃいですかニャ。」

魔女婆「ふぇふぇ、全くだよ。ニンゲンも存外捨てたもんじゃないねぇ。」

白猫「しかしまぁ、無知と言うものはときに恐ろしいまでの力を持つものですニャー。」

魔女婆「おや?どういうことだぃ?」

白猫「だって、ニャー達なら呪いの知識が半端にある以上、お嬢と目を合わすことにゃんて無理じゃにゃいですかニャ?」

白猫「あの目はお嬢が世界を呪う限り発動する、自動防御装置みたいなものにゃんですからニャ。」

魔女婆「まぁ、そうだねぃ……」

白猫「ですよニャー」

魔女婆「しかし、そういうと少しロマンに欠けるよ、猫の坊っちゃん。」

白猫「どういう意味ですかニャ?」

魔女婆「あの小僧が、嬢ちゃんに目をあわせることができる理由はねぃ、こういうべきなのさ。」

白猫「というと?」

魔女婆「愛じゃよ愛。」

白猫「はぁ……………これだから年寄りは。」

魔女婆「おや、なにかいったかぇ?」

白猫「にゃーにも言ってにゃいですニャ。」

魔女婆「ふぇふぇ、そうかいそうかい。」

魔女婆「しかし、これ以上覗き見するのも、悪いかねぇ。」

白猫「悪いに決まってますニャ。バレたら、薬の実験台にされますニャ。」

魔女婆「じゃあここら辺でやめるとしようか。」

プツン

魔女婆「しかしまぁ、前途は多難であろうねぃ。」

白猫「お嬢の母上、マスターも、ニンゲンの男と恋してたんでしょ?前列がにゃい訳じゃにゃいですから、にゃんとかにゃるでしょうニャ。」

魔女婆「そうだといいねぇ………」

森奥の家
アルビノ「そう言えば………」

青年「どうかしましたか?」

アルビノ「今日はあの子連れてきてないんですか?」

青年「いや、まぁ………今日は道に迷うわけには行かなかったので、置いてきました。」

アルビノ「そうなんですか………」

青年「まぁ、次くるときには―――」

アンアンッ!

青年「え?」

アルビノ「ふふっ………」



アルビノ少女「どこからきたの?」


~fin~

ようやく終わらせることができた………
休み休み書いたせいでぐだっちゃいましたが、これでアルビノ少女と青年の話はおしまいです。
白猫や団長なんかは、実は伏線にしたかったんですが、これ以上長くすると、あと一ヶ月は使い込みそうなので、ここで終わりとします。
自分語りが長いと
後味が悪くなるのでここら辺で。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

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