梅木音葉「好奇心は猫を殺す」 (122)

アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。

当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。


以前のお話に戻る場合はSS wikiを通ってください。
http://ss.vip2ch.com/ss/%E3%80%90%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%80%91%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%96%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

前々回
藤居朋「白波」
藤居朋「白波」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1429/14290/1429062316.html)

前回
藤原肇「一に養生二に薬」
藤原肇「一に養生二に薬」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1431/14319/1431925935.html)


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1436571195

※プロットでは短かったのですが、異様に長くなってしまい今回は前後編に分けて投稿します。
 まだ後編が完成していませんが、前回より投稿間隔が離れてしまったので区切りのいい前編までをお送りしたいと思います。



 ─ 前回のお話 ─


・伊吹が復帰

・みんなでパーティー

・ちょっとだけ肇に弱音を見せるモバP



 ─ ○○プロ・事務室 ─




モバP(以下P)「─────ということになったんだ」





「「ええええええええええええ!!!」」




P(それは俺が仕事場に完全復帰し、走らなければ自立可能なまでに回復した頃の話だった)




P「大声を出すほどのことじゃないと思うんだけどなぁ・・・」

矢口美羽「でもでもすっごい事じゃないんですか!?」

五十嵐響子「Pさんがまさかの・・・どうしよう、予約してブルーレイに・・・」

P「おいおい・・・」



P(朝の大声、事の発端は俺がある仕事を手に入れたことにある)



千川ちひろ「でもその仕事を受けたってことは裏になにかありますね?」

P「裏ってほどではないんですけど、BS放送でやる音楽番組のレギュラーあげるって言われたらねぇ・・・」

ちひろ「あ、なるほど」

P「これはチャンスだと思ったんで、ちょっと身を粉にしてきます」

美羽「はー・・・待って、もしかして一緒にテレビに映る子もいるって事、ありますよね?」

P「誰になるかは分からないけど、アイドルを映さないってことはないと思うよ」

P「俺からも頼み込むつもりだしね」

美羽「じゃ、じゃあ、是非とも矢口美羽をよろしくお願いします!」

P「・・・分かった、なんとか組み込めるよう頼んでみる」

美羽「やったぁっ!よぉし、新作ギャグを考えて・・・じゃなかった、印象に残るようにするぞーっ!」

響子「美羽ちゃん良かったね!」

美羽「はいっ」


西島櫂「おーす、なにやってんの?」



響子「あ、櫂さん!Pさんがなんと、“熱狂の宮殿”でピックアップされる事になったんですよっ」

櫂「え、マジ?」

P「マジ」

櫂「すごいじゃん、あー・・・女子寮の食堂のテレビ・・・予約できたかなぁ・・・」



P(熱狂の宮殿。いま話題の人や話題にはならないが世界的に頑張っている人に密着取材をする番組)

P(なんとこれに俺が選ばれてしまったのである。アイドルではなく、俺に)

P(Coolプロの考え方と同じになってしまうが、プロデューサーもまたアイドル同様に見世物と考えられる以上、ある意味稼ぐチャンスである)



櫂「プロデューサーってそういうの受けるんだ。普段から堅物なイメージだけど」

P「俺に対してファンが出来るのは万々歳だよ。今はまだ○○プロ全体のファンになるのと同様だしね」

櫂「なるほどねー。少しでも親身になってくれればって感じだね」

P「そういうこと」


P(俺は以前、Cuteプロの涼宮星花との熱愛疑惑が立てられたりした。渦中のド真ん中の人間としては事が大きくなるのを防ぎたい)

P(だが星花さん本人が俺に熱い眼差しを送る以上、違った方面で地盤を固めるしかない)

P(そう、部外者から○○プロのプロデューサーはこんなにもマジメな人間なんだって思わせること・・・)

P(つまり・・・一石二鳥を狙うチャンスでもあったのだ)


櫂「いつからカメラ入るの?」

P「詳しくは伝えられてが、予定が合えば2日後とか結構すぐらしい」

櫂「意外。早くて一ヵ月後だと思ってたよ」

P「なんでも撮影する予定だった人がいくつか問題が起こっちゃったみたいでね」

P「亡くなったり、海外に移住することになったり」

櫂「亡くなるのはしょうがないけど、移住?」

響子「仕事すっぽかして海外に逃げちゃうなんて・・・」

P「まぁ、聞く限りだと離婚とか破産とかそういうやつだろうな。ともかく、交渉の順番的に俺に白羽の矢が立ったってこと」

櫂「あれは新鮮度が重要な番組っぽいしね」

美羽「Pさんならいっつも忙しそうですし、短い時間で撮影終わりそうですしねっ!」

P「長くダラダラやるとダメになるのは俺たちが一番理解しているんだ。テキパキ行こう」

3人「はーい」




 ─ ○○プロ・会議室 ─



櫂(今日はCoプロの八神マキノがレッスンに参加しにきていた。・・・服装はちゃんと着ている)

八神マキノ「Pに撮影、と」

櫂「だってさー」

マキノ「私に言っていいのかしら?」

櫂「プロデューサーが言っても別にいいってさ。妨害のしようがないはずだし」

マキノ「確かに。むしろ妨害すればこちらの事務所全体がマイナスイメージね」

櫂(視聴者はPさんの視点で物事を見るようになる。確かにこの番組に出るのは大正解だよね)

マキノ「まぁ、Coプロは今それどころではないから・・・妨害している余裕はないわ」

櫂「?」

マキノ「・・・録音器具はないわね?」

櫂「ないよ、アタシしかいないし」

マキノ「・・・・・・渋谷凛が復活出来そうにない」

櫂「・・・マジ?」


マキノ「その返答には肯定のみ送る。私も渋谷生花店の方を覗いたが・・・」

櫂「覗いたが?」

マキノ「・・・廃人そのものよ。アレは」

櫂「・・・・・・」

マキノ「ずっとCoプロのLIVE音源をリピート、自分がステージに立っていた時のことを思い出している状態。生きる屍よ」

櫂「治らないの?」

マキノ「治るなら、とっくにしている。いや、治し方は知っているが出来ないのよ」

櫂「?」

マキノ「・・・渋谷凛はそっけないが、中身は熱くマジメな女性。小さな仕事ですら思いやりの心を持って挑んでいた」

マキノ「だが、3代目シンデレラガールに選ばれたことによって、どうにも業界に骨をしゃぶられるようになってしまった」

マキノ「ここまでは知ってるかしら?」

櫂「うん、新参者のアタシでも知ってるよ」


マキノ「では治し方は浮かぶかしら?」

櫂「うーん・・・」

マキノ「浮かぶなら参考にしたいところよ」

櫂「・・・・・・ごめん、ムリ。いくら仕事をやろうとしても渋谷凛を獲得したい層が独占することになるってことでしょ?」

マキノ「その通りよ、理解が早くて助かる」

櫂「じゃあどうするの?」

マキノ「・・・こちらのプロデューサーいわく、渋谷凛そのものが権力を握る・・・」

櫂「マジ?」

マキノ「現状なら、初代と二代目のシンデレラガール、十時愛梨と神崎蘭子に比較されてしまう」

マキノ「増してや、シンデレラガール候補ならごまんといるんだ。ここの相原雪乃やイヴ・サンタクロースのように」

マキノ「だが、それらと比較する事ができないレベルに達していれば・・・?」

櫂「なっるほどねー♪あたまいいー!」

マキノ「・・・・・・問題はどうやってそこまで持っていくか、よ」

櫂「あ」


マキノ「私の知識ではそこまで行くのは到底ムリよ。CoolPは何かをしようとしているようだけど、詳しくは存じてないわ」

櫂「う、うーん」

マキノ「口が過ぎたようね。私が話したことはくれぐれも・・・内密に」

櫂「はいはい、ありがとね」

マキノ「・・・私も○○プロがよかったな」

櫂「移れば?」

マキノ「私はいまやCoolPの腕の1本。外れようとするには多大な犠牲を払うことになるでしょう」

櫂「・・・・・・借金とか?」

マキノ「それで済めばいくらいいか。最低でも親の命が消えるわね」

櫂「うぇ・・・」

マキノ「それだけ残酷な人よ。だが、卑怯なのが熱意や信念まであるという所・・・」

マキノ「あの男は必ず渋谷凛を蘇らせようとする・・・何をしてでも」

櫂「・・・八神ちゃん、大丈夫なの?」

マキノ「・・・情報で生きてる人間がこういう言葉を言うわけにはいかないけど・・・、なるようになるわ」

櫂「・・・何かあればウチのプロデューサーが筆頭に皆で助けにいくから!」

マキノ「・・・甘えさせてもらうわ」

櫂(八神マキノは目尻を細めた。なんだか、こっちにいるほうが安心してるって顔)


ちひろ「櫂ちゃん、マキノちゃん、レッスンの準備ができました」

マキノ「ありがとうございます。じゃあ、先に行かせてもらうわね」

櫂「・・・そーいや最近、裸エプロンやってないね」

マキノ「トレーナーからさすがに苦情が出て、そこの千川ちひろによって条件が書き換えられたのよ・・・」

櫂「え?いつの間に」

ちひろ「レッスン参加後、私のコスプレ人形になってもらう事になってます」

櫂「え゛?」

マキノ「・・・・・・最初は助かったと思ったわ。もう裸エプロンをしなくていいと思ったのに・・・」

ちひろ「ふっふっふっ・・・」

櫂「ちひろさん・・・なにやったの?」

ちひろ「じゃーん、見てください!この写真!」


【黒ニーソと黒下着だけの八神マキノ】


ちひろ「いやー、刺激的!って思ったけど自分じゃやれないモノがいくつか存在するんです」

ちひろ「マキノちゃんが手伝ってくれるから助かります♪」

櫂「あー・・・あー・・・」

マキノ「・・・・・・////」


櫂「えぇっと、八神ちゃん?」

マキノ「屈辱的なはずなのに、当時は若干ノリノリでやってしまったのが運の尽きだった・・・!!」

櫂「あははは・・・」

ちひろ「次はですねー、マイクロスリングショットを・・・」



マキノ「レッスン行って来ます!!!!!!」




櫂「ちひろさん、やりすぎないでよ?」

ちひろ「・・・まぁ、ほどほどにしています。でも、マキノちゃんの目を見てるとどうしてもね」

櫂「ど、ドS!?」

ちひろ「ち、ち、違うのっ!そうじゃないのっ!」

櫂「?」

ちひろ「・・・Coプロでアイドルやってる時よりもここにいる方がずっと楽しそうなの、あの子」

櫂「まぁ、さっきアタシもそれ感じたけど・・・」

ちひろ「だからなるべくこっちにいる時間を長く感じてもらえるようにって、いろいろ刺激的なことやってるだけなんですけどね」

櫂「あー・・・本人も了承してるならいいんですけどね」

ちひろ「犯罪にはならないようにはしてるから、それに過激なモノの方が少ないんですよ?こういうのばっかですよ?」



【白いゴスロリドレスに熊のヌイグルミを抱くマキノ】



櫂(こんな顔するんだ・・・、ホントCoプロの仕事じゃ見た事ない・・・)

櫂「・・・・・・あ、そろそろ行かないと」

ちひろ「行ってらっしゃい」




 ─ ○○プロ・事務室 ─



梅木音葉「あ、ちひろさん・・・」

ちひろ「音葉ちゃん?どうしたの、そんな不安そうな顔をして」

音葉「いえ、いつもなら・・・この時間はPさんがいたはずなんですが・・・」

ちひろ「しばらく忙しくなってしまうようですよ?」

音葉「・・・そうですか」ショボン

ちひろ「なにかありましたか?」

音葉「いえ、最近・・・デュエットのように心を通わすことがなくなってしまったような・・・」

ちひろ「甘えさせて欲しい?」ニヤニヤ

音葉「はい・・・せめて、同じ空間で鼓動を重ねられたら・・・」

ちひろ(皆の意識改善は達成しましたが、同時に遅れている人もいるって事ですよね)

ちひろ(音葉ちゃんは、遅れてる側・・・というより自分に厳しくしすぎてその反動が欲しいという感じに近そう・・・)


ちひろ「大丈夫です。まずは音葉ちゃんの仕事をしっかり終わらせてきて、事務所で待ってれば夕方には会えますよ」

音葉「・・・はい」

ちひろ「・・・私の方で音葉ちゃんに構うよう、伝えておきますか?」

音葉「えっ・・・?・・・あ、ぜひ」

ちひろ(音葉ちゃんは一瞬血の気が引いたような顔をしたけど、すぐに安堵の顔に戻った)





ちひろ(プロデューサーさんの方は・・・桃華ちゃんと美羽ちゃんの方についていますね・・・桃華ちゃんがいるなら心配はいらなそう・・・)




 ─ 撮影スタジオ ─



桃華「美羽さん、もっと背筋を伸ばして顎引いて!」

美羽「はいぃっ!」

桃華「腰を突き出しすぎて下品になってますわ、もうちょっとだけ引いてください!」

美羽「はいっ!!」

桃華「歯茎がむき出しになってますわ!」

美羽「はいぃぃぃぃっ!!!!!!」



P(今日は美羽の撮影だった。雑誌のコラムの一環でグラビア撮影を行うのだが、美羽にとっては初めての経験だ)

P(幸いにも桃華が仕事場が近く、仕事に行くまで美羽の面倒を見ると言って奮闘してくれている)



美羽「桃華ちゃん、これでどうかなっ!!」

桃華「いいですわ!そのままの体勢で10秒!!!」

美羽「はいっ!さぁこぉい!」


「撮りまーす!さん、にー・・・・・・」



バシャ!




 ・ ・ ・ ・ ・ 。



美羽「桃華ちゃん、ありがとうねっ!」

桃華「美羽さんは飲み込みが早いですわ。すぐに一流になれますわ」

美羽「えへへっ、だってプロデューサーさん!桃華ちゃんに褒められましたよ!」

P「もらった言葉をしっかり噛み砕けよー?桃華だっていつまでも側にいられないんだから」

美羽「もちろんですよっ!どやっ!」

P「ちょっと心配だな」

桃華「美羽さんは失敗も成功もたくさん経験するべきですわ」

P「それは一理ある」

美羽「あぅ、失敗こわーい・・・」

P「失敗を隠さないようにするなら俺はいくらでも助けられるさ」

P「致命的な失敗はムリだけどな」

美羽「ち、致命的って・・・?」


P「恋人できてデキ婚寸前です!とか誰かと揉み合って大怪我させてしまいました!とかね」

美羽「だ、大丈夫です!」

桃華「・・・・・・やっぱり心配ですわね」

P「うん。俺の一番心配しているアイドルだよ、お前は」

美羽「あうあうあうあう・・・」

P「まぁ、一番面倒見る子にはなりそうだ」

美羽「え、いいんですか?朋さんとか怒りますよ?」

P「怒らせとけ。アイツというか、あの姉妹共はアイドルと素の切り替えが上手くいってないからな」




 ─ ○○プロ・会議室 ─



藤居朋「はっくしゅんっ!!!」

榊原里美「くちゅんっ!」

喜多見柚「ふぇっくちゅっ!!」

大原みちる「ほごっ・・・ごっごっごっ・・・!」←我慢したらパンが喉詰まった

里美「みちるちゃん大丈夫ですか~?」

みちる「ほっほっほっ・・・ほほほほほほー!!」

柚「あ、結構マズそう・・・水もって来るね」

朋「ほら、背中たたいてあげるから」バンバン

みちる「ほごっ・・・!ごっ・・・はぁ」

里美「大丈夫ですかぁ?」

みちる「な、なんとか大丈夫です・・・」

柚「はい、ミッチー。おーみずっ」

みちる「助かりました・・・」


朋「にしても、4人同時にくしゃみだなんて誰か噂でもしてるんじゃない?」

柚「ミラクルすぎない?」

朋「じゃあ・・・ウィルスとか?」

里美「ウィルス、ですかぁ・・・怖いです~・・・」

みちる「ちゃ、ちゃんと手を洗ってうがいもしてるから大丈夫です!」

朋「まぁ、健康に過ごしてナンボよね。あたしの今日の健康運悪めだったし、ちょっと意識しよ」

柚「サトミン、おやつ食べようよ」

里美「は~い♪」

朋「ちょっとぉ、あたしの言葉聞いてた?」

柚「聞いてたってばぁ」

里美「聞いてましたよぉ」

朋「せっかくお姉ちゃんらしくタメになりそうな事言ってるのに」

みちる「威厳あるんですかね」

朋「あるでしょ!?ねぇ柚ちゃんはあると思うよねー?」

柚「♪♪~♪♪♪♪」

朋「ちょっとぉ!?」




Pipipipi...



朋「っと、あれ、メール・・・響子ちゃん?」

響子『W町のショッピングモールや繁華街にいかないでください!お願いします!!』

柚「あれ?なんか事件でもあったの?」

里美「ほぇぇ・・・火事とか・・・」

みちる「今W町周辺のニュース見てますけど、そんな話題はありませんけどね」

柚「じゃあ、なんだろ・・・」

朋「ちょっと詳しく聞いてみるわね」

朋『一体どうしたの?犯人が逃げてるとか?』



響子『私の方が逃げてます!』



みちる「・・・これって、誰かに追われてるの?」

朋「マズいじゃない!助けにいかなきゃ・・・」

柚「でも待ってよ!響子チャンの警告を考えたら・・・」

朋「それでも響子ちゃんのピンチじゃない!!行くわ、仲間のピンチだものっ!」

里美「あぁっ、朋さぁん~」

みちる「下手に事件に巻き込まれたらPさんに怒られますって!」

柚「朋サンのバカッ!」

みちる「せめて変装してからーっ!」



 ─ W町・繁華街 ─


朋「手分けして探しましょ!」

柚「ダメだよ。もし変な人に絡まれたら・・・」

朋「何の為の変装よ。大丈夫よ」

みちる「ダメですよ。せめて2人1組になった方が」

朋「むー、じゃあそれで行きましょ」




 ・ ・ ・ ・ ・ 。




朋(あたしは里美ちゃんと一緒にデパートやアミューズメント施設が並ぶ地域へと足を踏み込んだ)

朋(普段から人気の多い場所ではあったが、今日は特に人の足が多かった)


里美「ほぇっ、なんだか人がいっぱいいる気がします~」

朋「そうね。なんだかあっつい・・・」

里美「もしかして、響子ちゃん・・・この暑さのこと言ってたりしてぇ?」

朋「それはないと思うわ。だったら近づくな、じゃなくて暑いことそのものを伝えるはずでしょ?」

里美「ほぇぇ・・・」

朋「絶対なにかあったのよ。急いで探しましょ」

里美「は~い」


朋(でも・・・確かにこの人の波は異常に感じる)

朋(・・・気のせい、じゃない。女の勘に近いものが訴えてくる)

朋(はやく響子ちゃん見つけて戻ろう。あのメールがイタズラだったら皆にケーキ作ってもらうんだから)

朋「里美ちゃん、響子ちゃん見つけたらすぐに言ってね」

里美「はぁい」





『ハイッ!ハイッ!ハイッ!ハイッ!』



朋(・・・しかし、響子ちゃんはすぐに見つかった)



響子「───────♪────♪♪」



里美「朋さん、あれ・・・」

朋「響子ちゃん・・・?」

朋(ゲリラLIVEバトル用の特設ステージ。あの上で響子ちゃんは1人で歌っていた)

朋(顔は蒼白、げっそりとしていて、今にも倒れそうな状態だった)

朋「な、何があったの!?終わり次第すぐにでも連れ去るわよ!!」

里美「はいぃっ!」



朋(アタシと里美ちゃんはステージの裏に回り、顔パスでどうにか潜り込んだ)



朋「響子ちゃん!」

響子「と、もさん・・・」

朋「な、なんでこんなにフラフラになってるの!?」

響子「ご、めんなさ・・・ぃ」フラッ

里美「響子ちゃん、どうしてこんなことに~・・・」

朋「LIVEの結果なんて聞いてる暇ないわ!」

響子「ダ・・・メ・・・」

朋「里美ちゃんタクシー呼んで!」

里美「わかりましたぁ!」

朋「響子ちゃん、いま飲み物もって来るからねっ!」

響子「ぁぁ・・・ぅ・・・」



 ─ ○○プロ・会議室 ─



朋(大急ぎで彼女を連れて事務所に戻った。どうみても響子ちゃんは暑さと過剰な運動による熱中症にかかっていた)


朋「里美ちゃん、響子ちゃんの具合はどう?」

里美「ちょっぴり、よくなりましたぁ・・・今は寝てます~」

里美「でも・・・ちょっとだけ唸っていました」

朋「唸ってた?」

里美「どうしよう、どうしようって・・・」

朋「・・・うーん、困ったわね」


音葉「潤うお水・・・換えを持ってきました」

朋「音葉ちゃん、ありがとー♪」

音葉「どういたしまして・・・、響子ちゃんがなんでこんな事になったかは・・・理解しかねますが」

朋「そうよね・・・アタシたちにはPがしつこいくらい言いつけてある言葉があるもの」

音葉「勝てない勝負はしない、ですね」

朋「そうよ、勝てない試合を気合だけで乗り切れるんだったらこの業界なんてPaプロの日野茜ちゃんが今頃トップよ」

音葉「・・・それは響子ちゃんの心にも響き、伝わってるはずです」

朋「そこなのよね、何があったかだけでも分かればいいんだけど・・・今は大事にしてあげようと思うの」

里美「私、スポーツドリンク作ってきます~」

朋(あ、それはアカン)

音葉「それなら・・・先ほど作っておいたので大丈夫ですよ?」

里美「ほわぁ、そうですかぁ~」

朋(音葉ちゃん、ナイス!)


音葉「・・・そういえば妹さん方は・・・?」

朋「え?里美ちゃんならここに・・・って、あっ!ミッチーと柚ちゃん置いてきちゃった!!」

里美「連絡しておきます~?」

朋「うん、お願いね」

里美「はぁい♪」




朋(里美ちゃんがケータイでメールを送ろうとした、その瞬間だった)



櫂「ねぇ、大丈夫っ!?ちょっと、ミッチー!!柚ちゃん!!」

みちる「・・・・・・」

マキノ「・・・こっちも汗だくで朦朧としてる。これは休憩もない重労働をした後よ」

柚「ぁ・・・・・・」

朋「ちょ、ちょっと!!!!」

櫂「ああ、朋ちゃん!レッスン場から戻ってくる時に2人が外でフラフラしてたから急いで連れてきたんだよ!」


マキノ「この子らは藤居朋の妹分、キミの監督下のはずだが?」

朋「え、あ、あ・・・わ、分からないのよっ!アタシたち、響子ちゃんが変なメール送ってきて、急いで向かったら・・・」

櫂「響子ちゃんも・・・同じ目にあったんだ」

朋「二手に分かれたのが失敗だった・・・?柚ちゃん、ミッチー、しっかりして!!」

柚「と・・・もサン」

朋「なに?なにがあったの!?」

柚「にゃん・・・にゃんにゃんに・・・」

朋「にゃ・・・NNN芸能の『にゃん!にゃん!にゃん!』!?」

柚「ぅ・・・っ」


朋(柚ちゃんは最後まで言葉を発さず、体力が切れてしまった)



朋「・・・っ、音葉ちゃん!大急ぎでタオル持ってきて!櫂ちゃんは飲み物!里美ちゃんは着替え!八神さんはあたしと一緒にこの子たちを運んで!」




 ・ ・ ・ ・ ・ 。




朋「どう・・・?」

音葉「・・・・・・3人は静かに眠っています。このまま安静が、一番いいでしょう」

朋「よね。3人の方は里美ちゃんに任せて・・・はぁ、どうしちゃったんだろう・・・参っちゃう」


音葉(・・・NNN芸能の『にゃん!にゃん!にゃん!』。前川みくをリーダーに高峯のあ、上条春菜の3人のユニット)

音葉(前川みくの水飲み鳥よりも早いレスポンスと、その彼女を彩るクールな寡黙美女と眼鏡な女神)

音葉(柚ちゃんやみちるちゃんはキツそうですが・・・ランクが下の彼女らに響子ちゃんが負けることがあるのでしょうか・・・?)


マキノ「調べたが、今日の気温は快適とも言える気温だ。普通にやっていれば熱中症にはかからない」

櫂「ってことはさ、普通にやれなかったってことだよね」

音葉「・・・普通ではないフィールド・・・LIVEバトルに何か仕掛けが・・・?」

櫂「LIVEバトル?」

朋「そうよ、あたしたちが響子ちゃんを見つけた時、この子はゲリラ会場でLIVEバトルをやってたの」

マキノ「NNNの姿は?」

朋「あたしは見てないわ。見逃す・・・はずないし。濃いのが3人でいるんだもの」

音葉「・・・・・・あ」

櫂「どうしたの?」

音葉「ちょっと・・・電波の力に頼ろうかと」

櫂「?」




 ─ ○○プロ・事務室 ─



マキノ(倒れた3人は榊原里美に任せ、私たちは下の階へとやってきた)

マキノ(先頭に歩いていた梅木音葉は共有のタブレットパソコンを立ち上げ、あるインターネットページを開いた)

マキノ(・・・外部の人間としては、この会社のパソコンを・・・いや、なんでもない)



マキノ「・・・なるほど、ゲリラLIVEの履歴か」


音葉「ゲリラLIVEバトルであろうと、通常のLIVEバトルであろうと・・・同じアンビエント(環境)」

朋「なにか秘密が載ってるかもねー」

櫂「っつってもさー、履歴ってそんな簡単に分かるもんなの?」

マキノ「逐次リアルタイムで観察されている。基本的にLIVEバトルは申請制だから認められた瞬間このページに載るはずよ」

櫂「へー、じゃあそこで得たファンとかはすぐ分かるわけなんだ」

音葉「これで・・・分かるはず・・・」



マキノ(・・・そして、見つけた文字の羅列に部外者である私も驚きを隠せなかった)



朋「な、な、な、なによこれっ!!?」

マキノ「度し難いな・・・」

櫂「え?え?なに?」


音葉「・・・・・・っ」



 ・・・ アイドルLIVEバトル履歴 ・・・


『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『● NNN芸能 VS ○○プロ ○』

         ・

         ・

         ・

『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『○ NNN芸能 VS ○○プロ ●』
『● NNN芸能 VS ○○プロ ○』
『● NNN芸能 VS ○○プロ ○』
『● NNN芸能 VS ○○プロ ○』
『● NNN芸能 VS ○○プロ ○』


朋「櫂ちゃん、この図の見方はね、上に行くほど最新ってことでね」

朋「たぶん、この上の一塊が柚ちゃんとミッチーの対戦」

櫂「そして、この下の塊が響子ちゃんの・・・」



櫂「って、おかしいでしょ!?なんでこんな回数戦ってんの!?」

マキノ「そうね。対戦するのは普通なら1回よ」


音葉「・・・・・・」

朋「音葉ちゃんなにか分かった?」

音葉「いえ・・・ですが・・・パターンだけ見えた気がします」

マキノ「パターン・・・ああ、なるほど」

朋「え、ちょっと」

櫂「あっ、あたしも分かった。どちらも最初は勝ってて、あとは全敗、ってところかな」

朋「あっ・・・」

音葉「・・・つまり、NNNは勝つまで戦いを挑んで・・・いえ、勝てるまで持っていったらひたすらに」

櫂「KOまでぶちのめす、と」

朋「なっ、なっ、なっ、なによそれ・・・何がにゃんにゃんよ、こんなのハイエナじゃない!!!!」

マキノ「間違いないわね。これは自由気ままな猫がやることじゃないわ、統制された、相手を潰した上で死体蹴りだけを考えた動きよ」

音葉「・・・強引にレクイエムを聞かせようとする、最低の行為です・・・」


朋「ぅぅぅっ、あったまきたっ!今すぐギャフンと・・・」

マキノ「藤居朋、相手の手口が分からない内は動くべきではないわ」

朋「で、でもっ・・・あたしの今日のあたしの健康運は・・・微妙だけど、勝負運はいい方よ絶対!」

櫂「朋ちゃん、あたしは止めておくべきだと思うよ」

朋「櫂ちゃんなんでよ・・・」

櫂「考えてもみてよ、いま相手は絶対波に乗ってる。ただでさえデータが押せ押せな結果を見せてる以上、いま行ったら柚ちゃんたちと同じ目に遭うよ・・・」

朋「むー・・・」

音葉「・・・NNN芸能は私たち以外を・・・狙ってはいないようですね・・・」

マキノ「私のCoolプロは?もしくは狙いやすいCuteプロは?」

音葉「どちらも・・・見当たりません」

マキノ「ますます度し難いな・・・。○○プロだけを狙って潰してるのか・・・」


朋「や、やっぱり行こう!このままじゃ・・・」

マキノ「・・・相手は無尽蔵の体力よ、大丈夫なの?」

朋「む、む、むむむぅぅぅぅ・・・」

マキノ「五十嵐響子が意識朦朧になるまで歌わされたってことは、相手もそれだけ動いている・・・」

マキノ「その上で大原みちると喜多見柚を相手して勝っているのよ?」

櫂「総合的に見ても、相手の体力が人類未踏のレベルまで行ってるよね」

朋「そんな体力は絶対ありえないわ!Paプロの沢田麻理菜さんと日野茜ちゃんが揃っても届くかどうか・・・」


マキノ「そう、ありえないのよ。つまりどこかにトリックがあるはず・・・」

音葉「このトリックが分からない限りは・・・私たちが歌い、羽ばたくことは出来ない・・・」

朋「そんなぁ・・・」


櫂「とりあえず、無駄なLIVEは避けるように皆に連絡しておくね。プロデューサーにも送っておく?」

朋「そうよね、お願いするわ」

マキノ「いいの?Pの性格なら・・・自らの撮影を止めてでもアナタたちの指示に移るんじゃないかしら?」

朋「撮影?」

櫂「プロデューサーと・・・多分、美羽ちゃんが“熱狂の宮殿”に出演するんだって」

朋「“熱狂の宮殿”って・・・あの社長紹介番組!?なんでPが・・・」

櫂「なんでも、もっとお客さんに親身になってもらうため、だって。あとは美羽ちゃんの全力紹介のため」

朋「・・・あうう、あたしじゃ判断できないわ・・・」

櫂「・・・んじゃ、避けとくかー・・・。そっちの方に集中してほしいもんね」

櫂(ホウレンソウ無視、ってのもあんま良くないけどね)







マキノ(あのハイエナたちの行動的に・・・まずは真上にいる○○プロを叩いている)

マキノ(だけど、そのうち私たちにも挑んでくるでしょうね・・・CoolPに伝えておくべきかしら)




・ ・ ・ ・ ・ 。




音葉(何時間かが経過し、辺りはもう真っ暗になっていました)

音葉(朋さんと里美ちゃんは妹さんと響子ちゃんの看病を、櫂さんは課題があるとの事で帰宅してしまいました)

音葉(Coプロの八神さんはちひろさんと共にどこかへ消えていってしまいました・・・)


音葉(ソロ。・・・いるのは・・・私だけです)



音葉(・・・事なかれで済めばいいのにと、ずっとNNN芸能の事で頭がいっぱいになっていました)

音葉(その事だけで・・・来客用のソファの上で静かに天井を見上げてました)

音葉(誰か・・・帰ってきてくれませんか・・・?)



ガチャ



音葉(噂すればなんとやら・・・)


P「ただいまー」

美羽「ただいま戻りましたー!」


音葉「っ!!」


P「おう、どうしたの音葉」

美羽「・・・お疲れですか?」

音葉「あっ、いえ・・・おかえりなさい・・・」


音葉(どうしましょうか・・・伝えるべきなんでしょうか・・・?)


美羽「あ、音葉さん!!聞いてください!!」

音葉「?」

美羽「さっき、プロデューサーさんとテレビの現場監督さんにお願いしに行ったんですよっ!」

美羽「そしたらOKもらっちゃいましてっ!主役ですよっ!」キラキラ

音葉「そう・・・」

音葉(・・・なんだか、すごく楽しそうで・・・まぶしい。彼女の後ろに鼓笛隊がいるかのよう)

P「音葉は知らないんじゃないか?」

美羽「ああ、そうだったっ!?」

音葉「いえ、櫂さんから・・・聞いてます・・・Pさんが番組にピックアップされた、と」

P「おう、それなら話は早い。美羽がどうしても出れないかって相談してきてね」

P「試しに直談判しにいったら、簡単にOKもらっちゃってな」


P「番組では“新人アイドル育成の筋道!”と題して美羽にもスポットが当たるようになったんだ」

美羽「えへへ、田中な牡丹餅です♪」

P「まぁ、俺としても美羽のチョイスが上手くいってなくてな。いい機会だよ」

音葉「それは・・・よき輝きを得る・・・素敵なチャンスですね・・・」

美羽「おーいっ!ちょっとぉ!!」

P「ん?」

美羽「せっかくギャグ言ったのに、無視しないでくださいよぉ!」

P「言ってたか?気付かなかった」

美羽「がびーん!!」



音葉(2人と楽しく談笑しました・・・。この2人には・・・NNN芸能の強襲を伝えられていません・・・)




 ・ ・ ・ ・ ・ 。



美羽「それじゃあ、私帰りまーす!えへへ、プロは体調管理が完璧だといけませんしねっ!」

P「その意気だ!期待してるぞ!」

美羽「はーい、お疲れ様でしたー!」

音葉「・・・お疲れ様でした」


P「・・・・・・」

音葉「・・・・・・」


P「・・・ははっ」

音葉「?」

P「美羽は周りのアイドルと比べて普通すぎてね」

音葉「普通?」

P「ああ、候補生だった時から皆と比べて影が薄くてな」

P「もちろん、美羽が悪いわけではない。だが、どうしてもパンしか食わない子や今時珍しい大和撫子、もう後がない26歳と並べると・・・」

音葉「・・・普通ですね」


P「そうなんだ。・・・だからこそ、彼女を売り出さないといけない身でもあった」

音葉「?」

P「俺のプロデューサーとしての腕が試されているんだ」

音葉「・・・・・・」

P「普通だからこそ、俺の実力、特色が際立って浮き出てくるんだ。美羽は・・・俺の写し鏡みたいなもの・・・かな」

音葉「・・・・・・美羽ちゃんが」

P「今回、彼女から出たいと言ってくれたのは・・・本当に嬉しかった。心の中では燻ってたんだろう」

P「だから今回の撮影は、絶対に失敗できない。彼女のいい所、俺たちのいい所、全部見せる気でいく」

音葉(・・・美羽ちゃんだけではありません・・・Pさんもどこかキラキラしています)

音葉「・・・頑張ってください」

P「おう・・・って、あははっ・・・ごめんな」

音葉「?」


P「ちひろさんに言われたんだ、音葉にもっと構ってやってくれって」

音葉「っ!」

P「・・・・・・音葉は手がかからないアイドルで、俺があれやれこれやれ言わなくてもどんどんやってくれてる」

P「それに甘えちゃったんだな」

音葉「・・・いえ・・・でも、寂しかったのは・・・確かです」

音葉「聞いてくれる・・・側にいてくれる人がいなければ、歌は意味を限りなく削ります・・・」

P「ん。そうだな・・・」


音葉(Pさんは、私と一緒にソファに座ってくれました・・・。隣で距離こそ感じますが、すぐ隣で、座ってくれました)


P「それでな、ちひろさんにこんなもの渡されたんだ」

音葉「?」

音葉(彼はA4サイズの紙を一枚取り出し、私に手渡した)


───────────────


    一日デート券


・私、Pはアナタと一日、生活を
共にする事をここに記します。





・使用者氏名 ______ 印



───────────────



音葉「デート券?」

P「らしい。ちひろさんが多分、即興で文書ソフトで叩いたものだろう」

P「あとで使いまわす気マンマンって感じで笑っちゃうけど・・・利用させてもらおう」

音葉「・・・いいんですか?」

P「ん。音葉がこんなんで喜んでくれるなら、俺も頑張らないとなーって・・・」

P「あ、でも性行為とかは、絶対しないからね!?この丁度何も書いてない箇条書きの所に手書きしておこう・・・」

音葉「む・・・・・・」プクー

P「・・・皆はもうちょっと自分の身体を大事にしてください」

音葉「分かりました・・・。デートしてくれるだけ、会社もPさんも・・・心を許してくれてるのは・・・分かっています」

P「ん(肯定)」

音葉「手を出したくなるような・・・そんなひとときを提供すればいいんですから・・・♪」

P「・・・無茶言うなし」


音葉「・・・・・・ありがたく頂戴します」

P「おう、使うときになったら言ってくれ。なんとか休みを調整する」

音葉「・・・ふふっ」

P「音葉」

音葉「なんでしょうか・・・?」

P「俺は・・・」

音葉「俺は?」

P「・・・いや、なんでもない。忘れてくれ」

音葉「気になる・・・言い方ですね」

P「・・・・・・皆の事が大好きなだけだよ」

音葉「全員・・・自分の女にしては・・・?」

P「そういうニュアンスじゃないんだけどなぁ・・・」

音葉「・・・刺されますよ?」

P「もう刺されたから、こんな環境になってるんじゃないかな」

音葉「・・・私は愛してますから・・・Pさん」



音葉(彼は赤くなった頬をかいて、明後日の方向にそっぽを向いた)

音葉(そんな彼の姿を満足して、私はあの紙を片手に帰路についた・・・)




音葉(そして・・・ある事を再び頭に呼び戻し、決めた)


美羽『えへへ、プロは体調管理が完璧だといけませんしねっ!』

P『だから今回の撮影は、絶対に失敗できない。彼女のいい所、俺たちのいい所、全部見せる気でいく』


音葉「2人とも・・・キラキラしていた」

音葉(あのキラキラは邪魔しちゃいけない・・・)

音葉(・・・絶対に2人の邪魔はさせない。“NNN芸能を止めなくては・・・”)

?
※ここで前編終了になります。
 後編完成し次第、この続きから投稿します。お楽しみに。

 今回はゲーム中にある、あるステータスを文章化してみました。
 なんとなく伝わるようにはしてますが、どうでしょうか?

作風変わった?
なんかな

プロ意識も持ったし日常とシリアスのバランスはもう戻らないっぽいのね
冠あたりまでともう

>>53
そんなに変わっていますか?
自分ではそうは思ってないのですが、シリアス回のつもりで作っているせいですかね。

>>54
今回はシリアス目に作ってますが、次回頼子etc、次々回お見合いのつもりです。
私の書き方はシリアス読みにくいんでしょうか、ほどほどが難しいです。

そう言えばロワでともキュービックと当たったの思い出してスレに戻ってきたけどやっぱここの作者さんかな
SSのユニットと同じメンバーだったし


>>57
こちらと同じ並びでありましたら多分私だと思います。
http://i.imgur.com/Kr2DToJ.png

ちょっと7月いっぱいは大忙しなので、8月までお待ちくださいな・・・(大汗)




次の日・・・。



朋「えっ、NNNに打って出る!?」

音葉「はい・・・待ってるだけだとやられてしまいます・・・こちらから攻めるべきかと」

朋「どうしたの、頭でも打っちゃった・・・?」

音葉「至って正常・・・のつもりですが」

朋「じゃ、じゃあ・・・どうしてその結論に至ったかを教えてくれる~・・・?」

音葉「今回、NNN芸能が出没したのがW町・・・、おそらくあちらの耳と鼻が効く範囲で一番○○プロが出没すると踏んだのでしょう・・・」

朋「え、でもなんで?」

音葉「今回の動きに計画性がある・・・と判断しました・・・」

朋「あ、そうよね。○○プロだけをピンポイントで攻撃だったものね・・・うんうん」

音葉「そして・・・その予測通り・・・まったく無警戒だった響子ちゃん・・・その後に助けにきた柚ちゃん、みちるちゃんが負けてしまった・・・」


朋「となると、もう一度ここに張り込んでいる可能性がある、ってこと?」

音葉「・・・と考えるのが当然かと」

朋「でもさ、だったらW町に近づかなければいいんじゃない?」

音葉「・・・・・・」

朋「ちょっと足伸ばして他の繁華街に・・・」


音葉「先ほど・・・ちひろさんに聞きました」

朋「聞いた?なにを」

音葉「明日のPさんと美羽ちゃんの撮影が・・・隣町のV町だったんです・・・」

朋「う、うっそ!?」

音葉「私も驚きました・・・。万が一、と思って調べておいて正解でした・・・」

音葉「・・・もしW町の空間にいないと判断されて、隣町に移動されたら・・・」

朋「美羽ちゃんが餌食に・・・?」

音葉「撮影続行不可能となったら、Pさんらだけでなく・・・私たちの評価も下がります」

朋「むむっ・・・むむむぅ・・・」

音葉「逆なんです・・・W町に閉じ込めるために・・・打って出るんです」

朋「言いたい事は分かったわ。あくまで倒すのではなく抑え込む、美羽ちゃんとPへの影響をなくすって事がしたいのね?」

音葉「ひとまずは・・・」


朋「でもあたし、今日・・・ともキュービックで仕事よ?」

音葉「ぁぅ・・・」

朋「里美ちゃんだって今日、ラジオの方に行くし・・・昨日のメンバーは皆出払ってるよ」

朋「昨日ボロボロになったメンツはお休みもらっちゃってるし、よっぽど疲れちゃったんだと思うわ」

音葉「私が・・・レッスン終わり次第・・・」

朋「レッスンやった後の体でNNNと戦えるとは思えないんだけど」

音葉「でも・・・」

朋「でもじゃないの、音葉ちゃん・・・気持ちは分かるけどあたしたちアイドルがやるべき事はファンの声援に応える。違う?」

音葉「・・・はい」

朋「『にゃん!にゃん!にゃん!』の行動が卑怯だとしても、ファンがそう思ってるとは限らないの」

朋「勝つことが、他のアイドルより優れていることが、最高のファンサービス」

朋「最初はムカつくーって思ったけど・・・頭冷やして、よく考えたら・・・NNN芸能の方が正しいの」

音葉「・・・・・・だからこそ、私たちが勝つべきでは・・・?」

朋「そりゃ・・・そうだけど。でも音葉ちゃん、絶対1人で挑もうなんて考えちゃダメよ!?」

音葉「・・・・・・」


音葉(朋さんはその後、仕事へと向かっていってしまいました)




音葉(里美ちゃんも櫂さんも・・・今日はいません。昨日のメンバーは皆仕事・・・)

音葉「・・・どうにかなりませんでしょうか・・・?」



音葉(接触しないように、と・・・願うことしかできないのでしょうか・・・)



 ─ レッスン場 ─


青木明(以下トレ)「ワンツー、ワンツー!」


音葉(今日はダンスレッスン。ダンスは・・・苦手です)

音葉(レッスンを受けているのは私と・・・桃華ちゃん。外部出身の2人が揃うのは珍しいです)


トレ「梅木さん!!テンポがズレています!」

音葉「・・・はいっ!」


音葉(今日のトレーナーさん、かなり指導に熱が入っています)

音葉(このままだと・・・朋さんの言うとおり、レッスン後に動けるとは思えません)

音葉(でも・・・私の中ではNNN芸能を止めなきゃ止めなきゃと焦り始めていました)

音葉(美羽ちゃんの先輩として晴れ舞台を守りたい、Pさんにいい顔をしたい)

音葉(欲望もまた、まぶたの裏に渦巻き嫌な共鳴をしている)

音葉(アイドルとして、ファンに謳うことも・・・)


トレ「ストップ!!」

桃華「音葉さん、どうしたんですの?」

音葉「ぇ・・・」

桃華「ずっと上の空ですわ」

トレ「違うこと考えながら体動かすと、怪我しちゃいますよ?」

音葉「・・・ごめんなさい」

桃華「トレーナーさん、少しよろしくて?」

トレ「・・・分かりました。10分ほど休憩を取りましょう」


音葉「・・・・・・」

桃華「何か・・・心の中に渦巻いているものがありますわね?」

音葉「・・・はい」

桃華「それは口に出せますか?」

音葉「・・・・・・」

桃華(音葉さんは2分ほど黙った後に口を開きました)

音葉「・・・・・・美羽ちゃんのこと、NNNのことです」

桃華「・・・話には聞いてました。響子さんと柚さん、みちるさんがひどい勝負に挑まれたとか」

音葉「はい、呼吸が乱れ、体の中のリズムがめちゃくちゃにされた痕跡がありました・・・」

桃華「こうやって口に出したという事は、自分でなんとかしたい・・・ということですわね?」


音葉「・・・桃華ちゃんは見極めるのが早いですね」

桃華「これでも人の上に立った事のある者。これくらい朝飯前、と言ったところですわ」

音葉「ノブリスオブリージュ」

桃華「そうですわ、Pちゃまがわたくしを頼ってくれる限り、私はお嬢様アイドルですわ」

音葉「・・・桃華ちゃん」

桃華「ふふふっ、音葉さんの手伝いをさせてもらいますわ」

音葉「いいのですか?」

桃華「美羽さんのことはわたくしも気になっておりますの。少しでも美羽さんが万全でお仕事に挑めるように」

音葉(桃華ちゃんが一緒に行動してくれることになってくれました・・・。まずは斥候・・・、相手が何の目的を理解しなくては)




 ─ W町・車内 ─


音葉(桃華ちゃんが所有するリムジンに揺られ、私たちはW町までやってきました)

音葉(その桃華ちゃんはいま電話中です)

桃華「・・・、・・・・分かりましたわ。引き続き尾行をお願いしますわ」

音葉「お電話の相手は?」

桃華「私の家の者ですわ。先ほど、先行してNNN芸能の人間を見かけたら連絡するように行っておきましたの」

音葉「その調子だと・・・」

桃華「いましたわ。“野良猫”が・・・。見つかったのは高峯のあさんだけですが、他の2人もどこかにいると思いますわ」

音葉「今日も張り付いているんですね・・・」

桃華「ですが、これで分かりましたわ。あの人たちは私たちだけかはともかく、ここで狩りをしているのは確かだという事」

音葉「なぜでしょうか・・・?」

桃華「・・・分かりそうで分かりませんわ」

音葉「・・・・・・」


音葉(2人揃って、アゴに手を当てて、唸ってしまいました。こうしてても分からないときは分からないものです・・・)




「お嬢様方、まもなく到着となります。お迎えが必要になりましたら、またお呼びください」

桃華「こんな時間にまで使わせてしまって・・・助かりましたわ」

「これが仕事ですから」

音葉(リムジンとはここでお別れ。次は自分の足に頼ります)




 ─ W町 ─


桃華「さぁ、音葉さん、どこから見回りましょうか」

音葉「・・・戦いのカデンツァ、LIVEバトル用に作られた会場周りにいると考えられます・・・」

桃華「確かにそうですわね。覚悟はよろしいですか?」

音葉(私はその問いに首を縦に振りました)




 ・ ・ ・ ・ ・ 。



音葉(・・・予想がストレートに的中しました)


前川みく「○○プロはっけーん♪ここで会ったが100年目!さぁさぁみくと勝負にゃ!」


音葉(まさかここまで完璧に当たるとは)

桃華「もちろん、こちらも勝負しに来ましたわ」

みく「にゃ!?もしかして報復攻撃!?」

桃華「・・・・・・」

音葉「・・・・・・」



みく「黙ってちゃ分からないにゃ!でもそうであっても、みくたちの布陣は完璧にゃ!いざ勝負にゃっ!」




音葉(おかしいですね、前川みくさん1人・・・)

桃華(1人で布陣と言っていいのでしょうか・・・?)

音葉(勝てるうちにコテンパンにしておくべきです)

桃華(そうですわね)





音葉(前川みくさんとのLIVEバトル。2対1とNNN芸能の不利のため、我々の勝利はほぼ確定でした)

音葉(しかし、自分に思い出して欲しかった。昨日のNNN芸能との対戦回数を・・・、なぜあの回数もこなしていたのか、という疑問を)

音葉(勝てばいい、そんな甘ったれた言葉では済まされなかったのであったのです・・・)







 ・ ・ ・ ・ ・ 。





みく「うにゃ~!負けちゃったにゃ~!」

音葉(我々○○プロの圧勝・・・、なぜ前川みくは1人で挑んできたの・・・?)

桃華「前川さん、1人で戦って大丈夫でしたの?」

音葉(確か・・・『にゃん!にゃん!にゃん!』はまだ2人・・・)

みく「心配ご無用にゃ!もうみくの仲間が到着しているにゃ!」

音葉「っ、・・・いつの間に」

みく「見つけた瞬間にメールを送っといたんだよっ!っと、言ってる側からっ!」


高峯のあ「・・・・・・おまたせ」

上条春菜「よかった、今日も対戦相手が現れてくれたんですね・・・!」


みく「それじゃあ、はるにゃん!“バトンタッチ”ね!」



音葉「・・・え、バトンタッチ・・・?」



春菜「任されました!さぁ、○○プロの方!眼鏡尽くしでお迎えさせていただきます!」




音葉(次に上条春菜が1人で我々に挑んできた・・・)

音葉(いや・・・いや、まさか・・・)






 ・ ・ ・ ・ ・ 。





春菜「ぎゃふん!」


桃華「はぁ・・・はぁ・・・歌いきりましたわ!ファンとの一体感も・・・」

音葉「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

春菜「私の眼鏡が通用しな・・・いえ、眼鏡はいつだって不変にして普遍、私が失敗しただけです・・・!」


音葉(上条春菜の特異とまで思える眼鏡推しにファンを何人か奪われていたが、それでも○○プロの勝利だった)




のあ「春菜、下がって。・・・次は私よ」



桃華「・・・これで・・・はぁ・・・はぁ・・・3人抜きと行きましょう・・・」

音葉[首を縦に振る]




音葉(もうお気づきでしょうか・・・)





 ・ ・ ・ ・ ・ 。




のあ「っ・・・、流石に前の2人のようにはいかないわね」



桃華「ぜ・・・ぇ・・・これでどうです・・・の!?3人全滅させてやりましたわ!」


音葉(高峯のあの神秘的な空間に飲み込まれる所でした。私と似たタイプなどと評価されている事を以前聞いていたので、まさかと思ってましたが・・・)


桃華「これに懲りたら・・・」


みく「全然懲りてないにゃ!みくたちはまだまだピンピンしてるよっ!」

音葉「・・・?」

みく「次はみくの番にゃ!次は負けないよ!」

桃華「何を言ってますの?・・・もう勝負は・・・」

みく「残念だけど、NNNが勝つまでやらせてもらうにゃ!」

桃華「は?」



音葉「っ・・・!!!!!!」



音葉(そういうことですか・・・、やっと謎が解けました)


みく「みくたちが勝つまで何度でも戦ってもらうにゃ!」

桃華「そんな詭弁が通用するとでも・・・」

のあ「通用させたわ」

春菜「私たちのプロデューサーがここらをジャック済みなんです!お眼鏡にかなったって所ですかね!」

桃華「・・・なんて卑劣な・・・」

みく「みくたちは○○プロと違って人数が少ないにゃ・・・でも○○プロより実力が上って事を証明する方法はいくらでもあるにゃ!」

みく「みくたちはもっと上に行く、○○プロよりもねっ!」



音葉(結果として残る対戦で、○○プロよりも多く勝てばいい)

音葉(NNN芸能はローテーションを組み、○○プロの人間が疲れるまで、○○プロの人間に勝てるまで何度でも対戦し、勝てた後もひたすら稼ぎ続ける)

音葉(響子ちゃんや柚ちゃんらが負け続けてたのも逃げられない場を作られたから・・・)



桃華「これ以上の勝負、断固として拒否しますわ!」

みく「対戦カードを決めた時のルール、止めるなら逃げるしかないにゃ!」

みく「でもでも、逃げられるかにゃ・・・?」



音葉(前川みくから怪しい目線が送られてくる。・・・分かっています、さっきからずっと・・・)


『アンコール!アンコール!!』

『次の対戦まだー?』

『ももかちゃーん!!!おとはちゃーん!!!!!』


音葉(ファンの人たちの声が聞こえているのを)

音葉(もし、ディープリーコンとの戦いがなければ・・・私たちにプロ根性がなければ、いま全力で逃げていたと思います)

音葉(でも・・・今の私たちはファンの声援に応えたい)

音葉(・・・でも、このままでは負ける、醜態を晒してしまう・・・皆に迷惑をかけてしまう・・・)


桃華「・・・では、次の対戦へと向かいましょう」

音葉「桃華ちゃん・・・?」

みく「そうこなくっちゃ!」

音葉「・・・大丈夫なのですか?」

桃華「申し訳程度ではありますが・・・作戦が浮かびましたわ」

音葉「作戦?」



 ─ W町・LIVE会場 ─


みく「まっずはみくからの先行にゃー!」


「「「わあああああああああああああああああ!!」」」


みく「聞いてください!『おねだり Shall We ~?』!」


 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪


みく「いたずら目して Thank you!」

みく「鈴が響いて Bye-bye♪」

みく「街灯に照らされ また明日・・・な~んて甘い!」

みく「子猫じゃないのよ!にゃお!!!!!」




 ・ ・ ・ ・ ・ 。



みく「おっつかれさまー!さぁ、次は○○プロにゃ!」



桃華「行きましょう!」

音葉「分かりました・・・」



「わあああああああああああああああ!」

「だいじょうぶー!?」

「ももかちゃーん!おとはちゃーん!!!!」



桃華「おまたせしましたわ!聞いてください」

音葉「『夢見るCagedBird』」




桃華「知らない空を旅してほんとの私にめぐり合いたい♪」

音葉「だって私知りたいの この空の色は青ですか?」


「「物語を始めようよ♪」」




音葉(作戦はこうでした・・・)



音葉「自分らしくなりたくて もっともっと変わりたくて」

音葉「アナタのコトバ1つ1つ抱きしめました」




音葉(空に関する歌を歌って・・・)



桃華「遠い空を眺めて 自由に飛びたいと願う♪」

桃華「それでも微笑んでたら 誰も傷つきませんか?」




バラバラバラバラ・・・!!


「ん!?なんだ!?」

「あれはなんだ!?ヘリ!?」

「ヘリコプターがこっちに近づいてくるぞ!?」



桃華「皆さまには大変申し訳ありません」

桃華「次のお仕事の時間がやってきてしまいました!」

「えー!」

音葉「ごめんなさい、皆さん・・・」

「って、大丈夫なのー!?」



音葉(ヘリコプターが我々の真上にやってきて縄ハシゴが降ろされました)

音葉(そう・・・歌ってる最中に空に逃げてしまうのです)



みく「に、逃げるつもりかにゃ!?」


桃華「演出ですわ☆音葉さん、掴まってください!」


音葉「はい・・・!少し怖いですが・・・」


桃華「知らない空を旅してホントの私色を見つけたい♪」

音葉「そしていつか目覚めるのこの翼を羽ばたかせて 答えを探したいの・・・♪」



桃華「準備完了ですわ!お願いします!」


「とんだー!?」

「パンツ!パンツ見えない!?」

「すげぇヘリ技術・・・」

「歌通り飛んで行っちまった・・・」


音葉(ものすごく怖いですが我慢します・・・!)




みく「あぁー!待つにゃぁぁぁぁあああああ!!!!!」




音葉(おかげで・・・なんとか逃げることが出来ました・・・)



 ─ ○○プロ・事務所 ─



音葉(桃華ちゃんは本当に別な仕事が入っていたので、お別れ今は櫂さんと一緒にいます)



音葉「・・・ものすごく怖かったです」

櫂「ヘリが?」

音葉「それもですが・・・NNN芸能が」

櫂「むっかつくことやってくるもんだねぇ、ずっと拘束して攻撃だっけ?」

音葉「・・・はい、柚ちゃんらが脱水症状起こしてたのが納得です・・・」

櫂「でもどうするのさ、逃げてきただけなんだよね?」

音葉「はい・・・」

櫂「・・・明日も近づいたらやられるだろうね」

音葉「・・・はい」


音葉(櫂さんも唸るように悩んでしまいました)

音葉(それも当然です。彼らのテリトリー下に封じ込める事を考えるとならば、莫大の体力と莫大の技術力、加えてかなりの人数が必要です)

音葉(・・・・・・私には、何が出来ますか?)

音葉(この思考の鳥かごから脱出する事はできますか?)




音葉(・・・・・・あっ)


櫂「どしたん、音葉ちゃん」

音葉「いえ、これは・・・」

櫂「言ってみ、言ってみ?」

音葉「いえ・・・その・・・」

櫂「?」



次の日・・・。




 ─ V町・オーディション会場 ─


P「美羽、準備はいいかい?」

美羽「はははは、はい!みうさぎいつでも行けまぁす!」


P(撮影はもう始まっている。事務所を出るところからずっと撮影が始まっており、今から新人アイドルがオーディションに挑戦!と言った感じだ)

P(美羽の頬が引きつってるのが気になる所だが、どう転がろうと気にせず彼女の勢いをガンガン、皆に伝えて欲しい)


美羽「プロデューサーさん!」

P「ん?」

美羽「・・・頑張ります!みうさぎ、精一杯頑張ります!」

P「私も見守ってるから、頑張っておいで」

美羽「・・・っぷくく・・・」

P「どうした?」

美羽「プロデューサーさんが私って・・・、変ですよー!」

P「うっさい、外向けの一人称」

美羽「はーい、えへへ・・・でもなんか緊張解れたかも・・・」

P「おう、頑張れ」



「仲いいですね」

P「家族ですから」

P(カメラマンへの返答に思わず、即答)

P(これは失敗したかな)

P(でも気にしてられない、今から美羽のオーディションが始まるんだ)



Pipipipi・・・



P「ん?」

「お仕事のお電話ですか?」

P「いや、他のアイドルからの電話ですね・・・もしもし、Pです」


里美『おにいちゃんですかぁ!?』

P「お、おう?里美?どうした?」

里美『美羽ちゃんはいますかぁ!』

P「おう、これからオーディションに・・・」

朋『里美ちゃん貸して!・・・P!』

P「朋?何があったんだ?」

朋『美羽ちゃんは絶対、その施設から出しちゃダメよ!?』

P「・・・お、おう?」

朋『いい!?いい!?分かってるの!?』

P「そうは言ってもな、俺たちも撮影で動・・・」


ブチッ!


P(そこで電話が切れてしまった。何かあったというのだろうか。いやな予感がする)






数分前。


 ─ W町・繁華街 ─


朋「ともかく、あのハイエナたちを封じ込めるのよ」

里美「でも、作戦はないですよぉ」

朋「相手は三人よ、そしてこちらは・・・4人」

櫂「・・・・・・」

音葉「・・・・・・」

朋「目には目をって所、相手がローテーションで体力を温存する戦い方をするならこっちはより多くやるまで」

櫂「ねぇ、と、朋ちゃん・・・」

朋「なに?心配そうな顔をして」

櫂「いや、それがね・・・」

朋「?」

櫂「いやー・・・あっはっはっ・・・」

朋「歯切れが悪いわね、どうしたの」

音葉「大丈夫です・・・大丈夫・・・」

朋「?」


朋(櫂ちゃんと音葉ちゃんはどこかやらかした、という目をしている・・・。いや、問い詰めても今はしょうがないわ、早くNNN芸能を見つけないと)


朋「手分けして探しましょ、あたしと里美ちゃんはあっち、櫂ちゃんと音葉ちゃんはデパート周辺ね!」





 ─ W町・デパート周辺 ─


櫂「・・・・・・」

音葉「・・・・・・」

櫂「どうしよう・・・」

音葉「・・・美羽ちゃんのためです」

櫂「美羽ちゃんのためって言っても、今回のやつは絶対マズいよ・・・」

音葉「彼らをV町に行かせないためです・・・」

櫂「いや・・・うん、分かってるんだけど。あたしもいいかなーって思っちゃったんだけど、今は・・・」

音葉「・・・・・・私も後悔ばかりです。敵に塩どころか土地を渡すような真似をしたのですから・・・」

音葉「でもこれで・・・相手の手を封じ込めます。好奇心は猫を殺すという言葉を刻み込んであげましょう」

櫂(なーんかやけくそになってない?)




?「・・・・・・」





 ─ W町・LIVE会場 ─



朋「ここに来れば、そっちも来ると思ってたわ!」

みく「みくたちも同じこと考えていたにゃ!さぁさぁ勝負・・・」


Pipipi...


みく「にゃにゃ!?のあにゃん、どうしたの?」

朋「?」

みく「え、V町?ちょっと待って、みくも今相手を・・・えー!!」

朋「V町!?」

みく「この勝負、お預けにゃ!」

朋「ちょ、ちょっ・・・待ちなさい!!!」




里美「いまV町って・・・」

朋「・・・もしかして美羽ちゃんの事が知られちゃったんじゃ・・・?」

里美「・・・おにいちゃんに連絡しますぅ・・・!」



 ・ ・ ・ ・ ・ 。



 ─ V町・オーディション会場 ─




美羽「ナンバー11番!○○プロダクション、矢口美羽ですっ!よろしくお願いします!!!」



P(美羽のオーディションが開始された。彼女の緊張した面もちはなく、いつも皆に見せられている明るさが出ている)

P(その一方で俺の中では先ほどの朋の発言が渦巻いていた)



P(美羽をオーディション会場から出すな、そう言われても撮影がある。オーディションが終わり次第、我々はグラビア撮影の方に向かう事になっている)


P(だが、その行動を躊躇わせるほどの問題が起こっているというのなら、始めから言って欲しい)



「美羽ちゃん、心配ですか?」

P「えっ・・・あ、はい」


P(顔に出てただろうか、美羽の事ももちろん・・・だが、同時に朋の言葉が)



 ・ ・ ・ ・ ・ 。


「では矢口さん、軽くステップを踏んでもらえますか?」


美羽「はいっ!せーのっ、ほっ、ほっ、っほ、はっ!」


「ふむ・・・」

「・・・悪くないですね・・・」


美羽(よし、感触はいい!このままっ・・・回てn・・・)ツルッ


美羽「えっ・・・」


P「美羽っ!?」





 ・ ・ ・ ・ ・ 。




美羽「コケちゃいました・・・一番大事なところで・・・」

P「そうだな、調子乗っちゃったか?」

美羽「ちょっと調子乗っちゃったかもです」

P「はははっ、まだ場数が足りないかもなぁ・・・」


「怒らないのですか?」


P「怒ってもしょうがないですよ。彼女が折れないで前に進んでくれる限り、私はチャンスを与えるだけです」

美羽「あははっ、あ、プロデューサーさん・・・外で空気吸ってきていいですか?」

P「おう、深呼吸しておいで」」






P「って、あっ・・・やべっ・・・大丈夫かな」





 ・ ・ ・ ・ ・ 。



美羽「・・・ぐすん」

美羽「Pさん、怒ってくれればいいのに・・・」

美羽(なんだかモヤモヤしちゃうなぁ・・・)

美羽(怒ってくれた方が、踏ん切りがつくんだけどなぁ・・・)



Pipipi...



美羽「あれ、里美ちゃん?」

里美『美羽ちゃん?いまどこにいますかぁ?』

美羽「えっ・・・えーっと、オーディション会場の外に・・・」

里美『っ・・・いますぐに会場に戻ってくださ・・・!!!』


みく「見つけたにゃー!!!」


美羽「えっえっえっ・・・NNN!!?」


里美『あっ、うっ・・・もう・・・』

美羽「な、何がどうなってるのぉっ!?」

里美『に、逃げてくださぁいっ!!!!』

美羽「に、にげまぁす!!!!」


のあ「追いかけるわよ」

みく「もちろんっ!」

春菜「矢口さんには申し訳ありませんが、倒されてもらいましょう!」


美羽「え、え、え、どういうことー!?」


里美『どこか安全な場所にっ!!!!!』


美羽「どこですかー!!!!?」


里美『えっと、えーっと!』


?「美羽ちゃんっ、こちらですわ!!!」


美羽「えっ・・・!?」



のあ「あの角っこを曲がったわよ!」

みく「大人しくお縄につくにゃー!」



?「お縄にかかるのはアナタですわ」

?「弱い者イジメはいけないよねー?え、私たちが弱い者イジメになる?」

?「美羽さーん、もう大丈夫ですよー」


みく「な、なんで・・・ここに」


?「わたくしは○○プロのお友達として、助けにきただけですわ」



みく「アンタたちがいるにゃー!!!?」







 ・ ・ ・ ・ ・ 。





 ─ ○○プロ・事務所 ─



P(急に美羽がいなくなった為、撮影は当然中止となった)

P(加えて、音葉からかかってきた電話で何故いなくなったかの原因が伝えられたわけなのだが・・・)



P「・・・・・・で?」


音葉「・・・・・・ごめんなさい」

櫂「ごめんなさい・・・」

朋「ごめん」


P「美羽を護りたいって気持ちは分かる、俺たちに迷惑をかけたくないって気持ちは分かる」

P(NNN芸能が俺たち○○プロへ執拗な攻撃を仕掛けてた来たこと、そして美羽のお仕事を成功させたいと裏に回って必死に頑張ってた事も分かる)

P(結果として失敗に失敗を重ねた事になるが、彼女たちの気持ちは汲もうとは思う)




音葉「はい・・・」







P(だが自分たちで出来ることには限界がある、俺にだって限界はあるが少なくともアイドルよりも裏手に出れる)

P(心配かけたくないのも分かるが、やはりこういう事は言って欲しい。そのためのプロデューサーだ)

P(朋の美羽を動かすな、という忠告を守らなかった俺も彼女たちを強く言えないが、ホウレンソウを守っていればどうにかなった問題だけに頭を抱える)

P(それよりも・・・)




P「う゛ーん゛・・・」



涼宮星花「ダメですわ、あんまり怒ってしまっては」

宮本フレデリカ「そーそー、ほらほら甘いモノ持ってきたんだよー、それともフレデリカ食べるー?」

古賀小春「わわわー、ヒョウ君暴れちゃダメですよ~」



P「どうしてこの子たちに助け舟頼んだの・・・?」



音葉「・・・相手の勢いを削ぐ方法として、第三勢力の介入がいいと思いまして・・・」



P(なるほどねぇ、言わば傭兵のようなものを用意して対処する、と)

P(いやでも、正直この子たちに譲歩しすぎちゃうとマズいような・・・)

P(あれ、でもどうやってこの子たちを味方につけれたんだ?)



星花「ふふっ、あの猫ちゃんたちにはきっちりと大人しくしてもらいましたわ」

フレデリカ「ねー、今後○○プロへのちょっかいはなくなると思うよー、たぶん」

星花「これも○○プロとCuプロの同盟のおかげですわね」


P「同盟って」


星花「音葉さんからこのようなモノを受け取りましたわ」



【一日デート券】



P「なっ、それは・・・俺が音葉に渡したデート券・・・」

P(そしてすでにCuプロの三人の名前がサインしてあった。ハンコ付きで)

P(音葉がこれを使ってまで、Cuプロをおびき寄せたって事か・・・?)



星花「音葉さんには感謝していますわ。このようなきっかけを頂けるなんて、それならばあの猫駆除もお安い御用というわけですわ」


音葉「・・・・・・」ギリッ


P「音葉・・・?」


音葉「背に腹は代えられませんでした・・・。美羽ちゃんを守るため・・・」


P(音葉は目じりに涙を溜めて、歯を食いしばって言っていた。本心はデート券で独り占めしたかったんだろう)

P(だがそれ以上に自分が○○プロの人間であること、美羽が仲間であること、プロのアイドルである事が重なり、このような決断をしたのだろうか)



星花「ではP様はお借りしていきますわね」

フレデリカ「こっはるーん、いこいこ?」

小春「あ、待ってくださ~い!」




音葉「・・・・・・」





P(星花さんに手を引かれ、俺はおぼつかない足で彼女らに拉致される)

P(そんな中、背中に刺さる音葉の視線が『行かないで、踏みとどまって』と訴えてくる)

P(でも自分で起こした悲劇に、なにも言えない、なにも出来ない)





P(・・・自己犠牲の精神は尊いが、それ以上に彼女たちにまだ教えなきゃいけないことがたくさんある)

P(そんな後ろめたい気持ちがいっぱいになった一日だった・・・)








終わり


以上です。今回はここまでです。
少々間が空いてすみません。

「好奇心は猫を殺す(こうきしんはねこをころす)」とは、過剰な好奇心は身を滅ぼすという戒めの言葉であり、 さらに元にたどれば「猫に九生あり」という言葉(意味は猫は執念深くなかなか死なない)から今回の話のベースになっています。

あと今回のお話のテーマは失敗の連鎖、選択の誤りという内容でした。
テンションの低いお話だったのとシーンチェンジの多い回だったのでモチベ維持が大変でした。無事完成してよかったです。


さて、次回は

・古澤頼子「モナリザの微笑」

その次に

・涼宮星花「苦虫を噛み潰したよう」

になります。



ではまた。

おっつん?
みうみうどこいった

おつ
今回はおまけはなし?

いつも読んで頂きありがとうございます。

>>105
描写不足でしたね。Cuの3バカに回収された後、一緒に事務所に戻ってきてました。

>>109
今回は間が空きすぎてしまったのでオマケはなしです。申し訳ありません。

音葉ちゃん・・・音葉ちゃん・・・(白目)

蛇足です。
今回使ってた音楽は以下の通り。


・おねだり Shall We ~?
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm24102384
おなじみ前川みくの曲。リンク先はワンホビのライブ映像

・夢見るCagedBird
ttps://www.youtube.com/watch?v=LTCBbF3zMs8
ドリームクラブの曲。デレマスに出会わなかったら多分、今もドリームクラブ通いだったと思います。
でも受付が一番のお気に入り(ボソッ


次回は実はエロ本のお話、由愛ちゃんが読んでしま(ry

ひと月空いたなぁ

>>118
ノートパソコンが壊れてしまったのでSS執筆効率が著しく落ちてしまいました(小声)
しばらくは月1で出せるかどうか・・・。

次の話の完成度は大体60%ぐらいです。いま何とか作業回数増やして頑張ってます・・・

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