藤居朋「白波」 (169)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。
以前のお話に戻る場合はSS wikiを通ってください。
http://ss.vip2ch.com/ss/%E3%80%90%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%80%91%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%96%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
前々回
西川保奈美「首が回らない」
西川保奈美「首が回らない」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1426/14265/1426590643.html)
前回
アナスタシア「親の因果が子に報う」
アナスタシア「親の因果が子に報う」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427642734/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429062316
─ 前回のお話 ─
・○○プロダクションの中で意図的に対立を起こされる
・相原雪乃らはこれをCoプロの攻撃と見なす
・2つのアイドルユニットはLIVEバトル5本勝負で雌雄を決する
─ ○○プロ・会議室 ─
大和亜季「作戦はどうしましょうか?」
相原雪乃「相手の実力はある程度予測できますわ。問題は・・・」
藤居朋「考えるでもないわ。たった5ヶ月しかトレーニングしていないようなアイドルたちよ!押しまくるのよ!」
亜季「とは言うものの・・・慶殿、何かいい方法はありますか?」
青木慶(以下ルキ)「え・・・っと、わたしなら・・・そうですね、先手必勝です。人気の高い曲を早めに使うのはどうでしょう」
雪乃「確かに相手側が専用曲を持っていないのは確かです。ですが、それはこちらの『ソルシエールズ』にも言えることですわ」
ルキ「・・・なかなか難しいですね」
亜季「プロデューサーという仕事は大変であります。いまモバP殿(以下P)がいない以上、我々だけでの解決が求められています」
朋「なんとしても勝つのよ!Pをアイツらなんかに絶対渡さないわ!」
─ 隣町・ホテル ─
瀬名詩織「・・・・・・ふぅ」
浅利七海「詩織さん?」
月宮雅「どうしたのぉ、詩織ちゃん疲れちゃった?」
詩織「・・・大丈夫・・・緊張が解かれちゃっただけよ・・・」
雅「いきなり喧嘩売っちゃったんだもんねぇ。怖いのは分かるよぉ」
七海「大丈夫れす!絶対なんとかなるれす!」
詩織「・・・そうね・・・」
青木麗(以下マス)「全員揃っているか?」
詩織「はい、『ディープリーコン』・・・全員います」
マス「作戦を発表する!」
雅「遂にみやびぃたちの大舞台だねぇ♪」
・ ・ ・ ・ ・ 。
亜季(翌日、我々○○プロはまた記者会見を開いた)
亜季(内容は○○プロ内のユニット、『ソルシエールズ』と『ディープリーコン』の2つが対戦し、覇権を争うこと)
亜季(勝負の決め手はLIVEバトルを5回。勝った回数の多い方が今後の○○プロのメインユニットと発表された)
亜季(突如として発表された事もあり、チケットはアイドルのLIVEの値段とは思えない格安の値段で提供する事となった)
亜季(緊急で用意されたLIVE、そして両者は作られたばかりでファンがいない状態)
亜季(つまり、ほぼ○○プロのネームバリューだけ売り捌き、固定客のいない状態でどれだけ有利に持っていけるかが勝負の決め手)
亜季(だからこそ負けられない。ネームバリューは既にアイドルとして活躍しているメンバーのいる『ソルシエールズ』の方が上だ)
亜季(だからこそ・・・・・・)
─ テレビTOKIO ─
塩見周子「っはーぁ、今日も疲れたーん」
脇山珠美「すーこさん、だらしないですよ?もっとこの珠美を見習ったらどうですか!」シャキーン
周子「え、身長は真似できないなぁ」
珠美「ひどいっ!!」
古澤頼子「まぁまぁ、ひとまずどこかでご飯でも」
周子「だよねぇ、タマちゃんの奢りで」
珠美「イヤです!というか、先週奢ったばっかですよねっ!!?」
周子「そうだったかなー」
頼子「今日は私が奢りますよ」
周子「えー、なんか悪いなー」
珠美「その謙虚さを珠美にも見せてください・・・っ!!」
周子「あはははっ、大丈夫、今日のアタシはサイフを・・・あれ?」
頼子「どうしたのですか?まさか忘れたとか・・・?」
周子「いや、珍しくCoolPから連絡があったからさ」
珠美「あっ、珠美にも来てますなっ!」
頼子「・・・?おや、私にも・・・」
周子「『今日はタクシー使ってまっすぐ帰るように♥』・・・なにかあったん?」
頼子「はて・・・?」
珠美「分かりました!きっとパーティするんですよ!」
頼子「最近、誰か大きな成果を出していましたっけ・・・?」
周子「すーこがアイドルになって祝2000日!とか」
珠美「そうなんですか?」
周子「いや、全然」
頼子「2000日って・・・ざっと6年近く・・・」
周子「やっばーっ、アタシすっごい子役だったんだ」
珠美「貴女は珠美の同期でしょう!?とりあえずまっすぐ帰りましょう」
頼子「そうですね」
周子「やった、奢らなくて済む」
珠美「次、絶対奢らせますからね!!」
─ Passionプロ・事務室 ─
浜口あやめ「お呼びでしょうか?」
PassionP(以下PaP)「浜口、今からPaプロ全員に意地でもマスコミに出会うな、と連絡しろ」
あやめ「えっ、急にどうしたんですか?」
PaP「○○プロが軽く攻めて込んできた、しかも一番面倒なパターンだ」
あやめ「○○プロが?珍しい・・・」
PaP「油断していた。すでにCuプロは若干、飲まれてる」
あやめ「分かりました、早急に連絡網を回してきますっ!!ニンッ!!」
PaP(Pは今、怪我で倒れている。となるとほかのスタッフが暴走しているのか・・・?)
PaP(それとも、あの怪我はPの演技?いや、そんなわけないか・・・)
─ Cuteプロ・事務室 ─
Pipipipipi...!!!!
Pipipipipi...!!!!
Pipipipipi...!!!!
「CutePさん!もう手一杯です!!」
CuteP(以下CuP)「分かってるわよっ!ああ、もうPちゃんめーっ!!」
─ 都内某所・撮影所 ─
涼宮星花「皆様、今日はスイパラというところに行ってみませんかっ!?」
古賀小春「スイパラ?」
宮本フレデリカ(以下フレ)「スイーツパラダイスのことだよねー、あれ、スイミングパラドックスだっけ?」
星花「前者ですわ、ケーキの食べ放題など、女性に人気な場所だそうですわ」
小春「わぁぁっ、行ってみたいです~」
フレ「あれ、2人とも行った事ないの?」
星花「はい、ずっと行ってみたいとは思ってたのですが」
小春「小春は初めて聞きました~」
フレ「おっけー、このフレデリカがいいところをしょうか」
「いたぞ、Cuプロのアイドルだっ!!!」
3人「???」
フレ「あれ、マスコミ?」
「涼宮星花さん、○○プロの『ソルシエールズ』と『ディープリーコン』が戦うのはご存知ですか!?」
星花「え、ええ・・・先ほど、ニュースで入って・・・」
「これに相原雪乃と瀬名詩織のリーダー争いが関わっているというのはご存知ですかっ!!」
「涼宮さんはどちらに味方になりますかっ!!」
星花(相原雪乃・・・リーダーを降ろされるという噂は本当だったのですね・・・)
星花「わたくしは当然、瀬名詩織を応援しますわっ!」
小春「え」
フレ「え」
星花「相原雪乃はわたくしの宿敵と言っても過言ではありません。ですが、敵はいない方がいいのです、相原さんには悪いですが、ここで降りてもら・・・」
「それでは『ディープリーコン』の方に勝つという事でよろしいですねっ!」
「『ソルシエールズ』の敗北は間違いない、と?」
「勝敗予想をよろしくお願いします!!」
星花「え、え、えええぇぇぇっとぉ・・・」
「宮本さんも是非!!」
「古賀小春ちゃん!○○プロの友人に一言!」
「○○プロを倒すならいまだと思いませんかっ!?」
「Cuプロの代表として一言お願いしますっ!!!!!」
3人「き、きゃああああぁぁぁぁぁっ!!!!」
─ Cuプロ・事務室 ─
Pipipipipi...!!!!
Pipipipipi...!!!!
Pipipipipi...!!!!
『Cuプロは節穴ばかり』
『涼宮星花は雌狐きたない』
『正面から戦わない弱虫』
『もはやゴミである』
CuP「もう・・・あの3バカが余計な事言うからっ!!」
「CuPさん、ちょっと手が足りませんよ!!」
「電話10個じゃ足りませんって!」
「手の空いてるアイドルに電話番を・・・っ」
CuP「いつも以上に脅迫電話が多い・・・」
CuP「うぅぅ・・・Pちゃん、謝るから許してぇ!!!」
─ ○○プロ・事務室 ─
雪乃「マスコミに手を回した?」
社長「ああ、あまり使いたくない手ではあるが、他のプロダクションのアイドルに勝敗予想をしてもらった」
雪乃「・・・・・・?」
社長「こうやって人気で仕事をやってるとな、アンチってのがどこにでも付くものだ」
社長「彼らが少し突きやすいようにしただけだ」
雪乃「その人らを・・・煽ったと?」
社長「そうなる。上の会社も腫れ物には触りたくないだろう。邪魔されず、お前たち二つのユニットが対戦に集中できるようにな」
社長「後の事は考えない。だが、これを乗り越えればSランクの御三家に太刀打ちが可能なはずだ」
雪乃「・・・・・・」
雪乃「・・・勝ちます」
社長「ならば行動で表せ。俺たちはまだBとAの境目にいるんだぞ」
雪乃「もちろんですわ」
・ ・ ・ ・ ・ 。
千川ちひろ「雪乃ちゃん・・・だけではありませんね。みんな何かが外れてます」
社長「我慢しろ、目を醒ますタイミングは必ずあるはずだ」
ちひろ「・・・分かりました、我慢します・・・」
ちひろ「プロデューサーさん、こんな置き土産はゴメンです」
社長(早く起きろ、P。俺たちという舞台装置が支えられるのにも限界があるぞ・・・)
亜季(・・・そして、第1戦目の日・・・)
─ 小型LIVE会場A ─
成宮由愛「会場・・・埋まってますね」
村上巴「この会場は200人が定員だそうじゃ」
由愛「200人のファンが・・・来てくれてるのかな・・・」
巴「・・・うちらは、魅せればええ。なぁ、保奈美」
西川保奈美「ガタガタブルブル」
由愛「保奈美さん・・・大丈夫ですか?」
保奈美「だだだだだ大丈夫よ、たたたたたたぶんね?」
巴「・・・あんた、人を前にするんは初めてじゃろ?」
保奈美「そ、そそそ、その通りよ・・・!」
由愛「そういえば、候補生だった人は・・・まだファンの前で歌った人少ないんですよね」
保奈美「どころかトークすらないわ・・・。完全に、初めてのところよ・・・」
巴「イヴを参考にしとけ」
保奈美「イヴさん?」
イヴ・サンタクロース「は~い?呼ばれちゃいました?」
保奈美「今日は、よろしくお願いしますね」
イヴ「違います☆」
保奈美「?」
イヴ「一緒に頑張りましょう!ですよ~☆」
保奈美「・・・そうね、頑張りましょう」
巴「・・・問題は───」
由愛「・・・?」
亜季(・・・勝たなければ。勝たなければ、P殿は『ディープリーコン』のモノに)
亜季(皆が慕う男性。彼が消えれば、我々は崩れると言っても過言ではない)
亜季(勝たなければ)
巴(───ヤツの心か)
「お待たせしました。ただいまより、『ソルシエールズ・デ・ボヌール』のLIVE公演を開始します。当LIVEは撮影禁止となっ────」
亜季「さぁ、行きますよ!」
巴「おう」
由愛「はい」
保奈美「分かったわ」
イヴ「はーい☆」
─ 小型LIVE会場B ─
詩織「『ソルシエールズ』はLIVEを開始したそうよ・・・」
雅「それじゃあ、みやびぃたちもぉ・・・」
桃井あずき「魅せちゃいますかっ!」
詩織「・・・みんな、覚悟はいいわね・・・?」
七海「もちろんれす!」
雅「みやびぃも♪」
あずき「あずきも大丈夫です!詩織さん、全力でファンの人を楽しませましょう!!」
詩織「ふふっ、そうね・・・私たちの最高の舞台にしましょう・・・」
七海「あ、アーニャちゃん、どうれすか?会場の方は」
アナスタシア(以下アーニャ)「会場、人が・・・まだ少なかった、です」
詩織「・・・10人くらいかしら・・・?」
アーニャ[首を縦に振る]
詩織「ふふ、でも・・・大事なのは、そこではない・・・」
アーニャ「シオリ、たのしそう、です」
詩織「アナタも、でしょう・・・?」
アーニャ「Да!アズキも、ミヤビも、ナナミも・・・皆、いい顔です」
七海「えへへ~♪じゃあ、温まったところでぇ~『ディープリーコン』作戦!」
アーニャ「スタート、です♪」
あずき「あ、それあずきのセリフ~!!」
詩織「ふふっ・・・」
初日の集計結果・・・。
WIN ソルシエールズ : 1,791
LOSE ディープリーコン: 110
朋「当然の結果よ!」
ルキ「ここまでの点差が付いたんですね!これなら・・・」
雪乃「油断してはなりませんわ。2戦目のLIVEは2日後、準備を整えましょう」
巴「・・・・・・」
由愛「巴ちゃん・・・?」
巴「・・・問題ない」
由愛「・・・?」
─ 隣町・ホテル ─
マス「全員、見事だった。来ていたファンが全員が満点を出していたぞ」
雅「ホントですかぁ♪みやびぃ頑張ったかいがあったねぇ」
アーニャ「ミヤビ、みんなの力、ですよ?」
雅「そうだねぇ」
マス「お前たちは十二分の能力を発揮してくれた。だが、これからだ」
マス「分かってるな?」
詩織「・・・もちろんです・・・」
アーニャ「シオリ」
詩織「アーニャちゃん・・・?」
アーニャ「・・・プロデューサーが、用意してくれたブタイです。辛ければ、言ってくれて、いいのですよ?」
詩織「・・・ふふっ、大丈夫・・・」
七海「詩織さん、なんだか暗いお顔をしているれすよ?」
詩織「・・・・・・」
詩織「七海ちゃん」
七海「はい?」
詩織「アーニャちゃん」
アーニャ「ここに」
詩織「あずきちゃん」
あずき「?」
詩織「雅ちゃん」
雅「はぁい♪」
詩織「そして、麗さん」
マス「なんだ?」
詩織「私は・・・五ヶ月前、死のうとした空っぽの人間です」
詩織「ですが、Pさんに救われ、空虚ながら光を得ました・・・」
詩織「皆さんと会えて、この私を理解してもらって・・・」
詩織「今は・・・この心臓が波打っているのが、皆さんと呼吸をあわせているのが・・・とても幸せです」
詩織「・・・お願いします。もう少しだけ、一緒にいてください」
あずき「水臭いですよー!」
アーニャ「アズキの言うとおり、です」
雅「これからも一緒だよぉ」
七海「七海に任せてくれればいいんれすよ」
マス「・・・どうした、怖くなったか?」
詩織「・・・幸せすぎるんです。欠けた私を満たしてくれる人が・・・多すぎます・・・」
マス「この後、消えるとでも思っているのか?」
詩織「・・・そう、感じてしまって・・・」
マス「・・・アイドル瀬名詩織は確かに儚さでも売っている。だが、分かるな?その足で、その耳で・・・“その目で”、生を実感してるだろう?」
詩織「・・・はい・・・」
マス「この4人はプロデューサーがお前の為に集めた、最高のメンバーだ。・・・リーダーのお前にはこいつらとまだまだ戦ってもらうぞ」
4人[サムズアップ]
マス「・・・フッ、お前の部下は喜んでるぞ」
詩織「はいっ・・・行けますっ、見えますっ・・・!視界・・・良好です・・・!」
・ ・ ・ ・ ・ 。
亜季「ありがとうございましたっ!!!」
亜季(2日目の公演も滞りなく終了した)
亜季(LIVEで大きなミスはない。人気の高いイヴさんが先頭を切って行動してくれているのもあって満足行く結果を出せたと思う)
2日目の集計結果・・・。
WIN ソルシエールズ : 1,304
LOSE ディープリーコン: 950
イヴ「一気に下がってしまいましたね~・・・」
朋「・・・気にしなくてもいいわ、この短期間に格安で詰め込んでいるもの。お試しであっちに移った人がいるってことよ」
保奈美「確かに、この2つのユニットはほとんど無名。となると、いるとするならば○○プロのファン」
ルキ「お得ですからね~、両方のチケットを買ってる人がいるはずですしね」
朋「2つを見比べた後、戻ってくるわよ」
イヴ「だと、いいんですけどね~・・・」
ちひろ「み、皆さん、来てください!!て、テレビに『ディープリーコン』がっ!!」
朋「どういうこと!?テレビの収録なんて一ヶ月前にやるものよっ!?」
ちひろ「違いますっ、ニュース番組なんです!!」
朋「えっ・・・!!」
『今、急激に人気をあげているアイドルユニット『ディープリーコン』、今日はその5人に来て頂きました!!』
詩織『今宵・・・アナタの心は緊急事態(エマージェンシー)!!!』
『『我ら、ディープリーコン!!』』
アーニャ『必ずや、アナタの心を・・・』
あずき『ワクワクさせちゃうんだからっ!!』
朋「ニュース・・・」
保奈美「・・・ニュースならアイドルに興味がない人にも目に入れることが可能です」
『初めまして!』
詩織『初めまして・・・リーダーの瀬名詩織と申します』
『アイドルの世界に飛び込んで、まだ間もないと思いますがどうですか?大変ですか?』
詩織『ふふっ・・・覚悟はしてました・・・でも、とても楽しいです』
『一気に人気があがっていることはご存知ですか?』
詩織『ええ、特にアーニャちゃんの人気が高いことも・・・知ってます・・・』
アーニャ『Большое спасибо!!』
詩織『もちろん、それぞれがファンを獲得できているのも・・・この耳に入っています』
『皆さん、いい顔ですね!こっちまで幸せになりそう・・・』
詩織『私たちのユニット名の由来が・・・物騒な名前ではありますが、たくさんの人の心の中に入り込めるよう、強く心に残るよう・・・と名付けられています』
『なるほど』
朋「・・・アタシたちの心はボロッボロけどね」
『瀬名さん、落ち着いていますね?』
詩織『たくさんのモノを・・・背負ってますから』
『そんな瀬名さんですが『白波の乙女』なんて呼ばれているのはご存知ですか?』
詩織『そうなんですか・・・?それは初めて知りました・・・』
朋「なーにが『白波の乙女』よ」
保奈美「二つ名、というやつね」
朋「そうよ、Paプロの首藤葵が『若女将』って呼ばれてるのと同じ」
保奈美「○○プロにはいないんですか?二つ名を持つアイドルは・・・?」
朋「一応、響子ちゃんが『幼妻』なんて呼ばれてるわ」
保奈美「いなくはないんですね」
朋「でもこうやってテレビから言われることって正直少ないよ。根回しを考えちゃうわね」
保奈美「Coプロの戦略ですかね・・・」
詩織『私には、勿体無いです・・・』
『そうですか?衣装の水兵の帽子を見ていると、海を彷彿させますよ』
詩織『・・・ふふっ』
『さて、そんな瀬名さんが1つ、秘密にしている事があると聞いたのですが』
詩織『秘密だなんて・・・そんな事ありませんよ』
『皆さんもどうなのですか!?』
4人[詩織を見つめる]
詩織『もう・・・』
『おっ、あるんですね!!』
詩織『実は、私・・・相貌失認というモノを持っているのです・・・』
『相貌失認?』
詩織『人の顔が・・・分からないのです』
朋「は?」
保奈美「は?」
イヴ「?」
ルキ「え?」
『え?え?え?顔が・・・?』
詩織『ええ。残念ながら、ファンの方の顔が分かりません』
『そのような病気で・・・大丈夫なのですか!?』
詩織『大丈夫です。そのための訓練をしてきました。おかげで違うものを感じ取れるようになりました』
詩織『来て頂いたファンの皆さんの喜びが波動となって私の肌や耳に届くんです・・・』
『体全身で受け止めてると・・・』
詩織『はい。それに・・・私には支えてくれる仲間たちがいます。最高の仲間たちが・・・』
4人[ピースサイン]
『これからもアイドルは・・・続けられるのですか?』
詩織『もちろんです。私が・・・証明ですから・・・♪』
朋「これ・・・マズいかも」
保奈美「・・・でしょうね。こんなステータスの持ち主がリーダーになっているなんて世間に伝わっ・・・それが狙い・・・!?」
朋「だからニュースなのよ!アイドル知らない人だって、これだけ大きなイレギュラー抱えてるなら誰だって興味持つわ!!」
朋「あぁっ!!どうしよう・・・どうしよう・・・『ソルシエールズ』に対抗できるステータスの子はいる・・・?」
保奈美「イヴさんがサンタってのは・・・もう周知の事実のはず・・・」
朋「そもそも体が資本の世界でこんな爆弾飛んできたら対処できないわっ・・・」
ルキ(これ・・・お姉ちゃんが考えたのかな・・・?やっぱり・・・Coプロ・・・?)
朋「そうだ、慶ちゃん!」
ルキ「はい!なんでしょうか?」
朋「今度、あっちのLIVE会場を視察してくれないかな?」
ルキ「いいですけど・・・、何を見てくればいいんですか?」
朋「何でも、よ!対戦相手の戦い方を知る事も勝利の秘訣よっ!!」
ルキ(あのニュースの後、『ディープリーコン』は更に名前をあげることになった)
ルキ(アイドルとして最高にして最低の素質を持っている瀬名詩織がリーダーをしている事は紛れもない客引きとなった)
ルキ(そして、次の公演日)
─ 小型LIVE会場B ─
ルキ(わたしは○○プロの人間であるという特権を利用して、『ディープリーコン』のLIVE会場へと足を運んだ)
ワイワイザワザワ・・・
ルキ(今いる場所はお客さんとは離れている1個上の階層、撮影スタッフ用のエリア)
ルキ「お客さん、100人くらいでしょうか・・・?」
ルキ(みんな、ドキドキワクワクとした面持ちで、今か今かとアイドルたちの登場を待っている)
ルキ(多分、この大半以上は新規の人。ニュースやインターネットで瀬名詩織を初めとする話題に乗っかってみた、という感じ)
ルキ(しかし、そんな人たちをも既にドキドキとさせているのは・・・彼女らのイレギュラー性にあるのか)
「・・・な~んて、ポエムを考えているんじゃないか、我が妹よ」
ルキ「わぁっ!!?お姉ちゃん!?」
マス「この場に運動用の服で来れば、誰だって怪しむだろう」
ルキ「あぅぅ」
マス「何をしにきた?十中八九、こちら側の動向が気になった、だろうがな」
ルキ「う、うん」
マス「まぁ、見ていくといい。お前の方のユニットとこちらのユニット、見比べればおのずとこのプロダクションの抱える問題が見えてくるはずだ」
ルキ「抱える問題?」
マス「・・・見ればわかるさ」
ルキ「うーん・・・」
ルキ(それから5分。『ディープリーコン』の公演が始まった)
詩織「今宵・・・アナタの心は緊急事態(エマージェンシー)!!!」
「「我ら、ディープリーコン!!」」
雅「必ず、アナタの心をぉ♪」
あずき「ユウワクしちゃうんだからっ!!」
「「「わぁぁぁぁぁぁぁああああああっ!!!」」」
ルキ(決め台詞が重要?いや、関係あるのかな・・・)
七海「今日は第3回目!みんなどうれすかー?」
雅「初めての人いるぅ~?」
ルキ(お客さんの半数以上が手を挙げる)
雅「あっ、いっぱいいるねぇ♪」
七海「こうなったらたっくさん満足してもらうれすよ~!」
雅「だねぇ♪それに七海ちゃんやる気だねぇ♪」
七海「そうれすよっ!七海はこの2日間、あんまり活躍できなくて弱ってるんれす」
雅「サカナに弱いと書いてぇ~♪」
七海「鰯(イワシ)!最初はみんなも知ってるおさかな天国れす~♪みんなも一緒に歌って欲しいな~」
「「「は───い!!」」」
ルキ(雰囲気的には・・・こっちとあまり変わらない・・・はず)
ルキ(お姉ちゃん、一体どこを見れば・・・)
・ ・ ・ ・ ・ 。
─ 小型LIVE会場B・楽屋前 ─
ルキ(この日の演目はすべて終わった)
ルキ(・・・せっかくスタッフとして来ているんだし、彼女らに挨拶しにいこう)
「七海ちゃん、はやくはやく!」
「うわーっ、ひっかかってるれす~」
「ナナミ、動かないで」
「アーニャちゃん、ありがとうれす」
ルキ(何かに急いでいるのかな?これから会議とか・・・?)
バンッ!
ルキ「ふぁ!?」
ルキ(そう考えた矢先、楽屋の扉が忙しく開き、中から5人組が大急ぎに出て行った)
あずき「1分遅刻だよーっ!」
七海「ごめんなさいれす~っ!!」
アーニャ「まだ、間に合います」
雅「ダッシュだよぉ、早くいこーっ♪」
ルキ(5人全員、LIVE中には着ていなかった衣装。まだLIVEするとか・・・?)
ルキ「・・・なんだったんだろう?」
マス「あれが答えだ」
ルキ「ぅひょぉっ!?お、お姉ちゃん・・・わざわざ後ろに立たないでよ・・・」
マス「私に背中を見せるお前が悪い」
ルキ「・・・ぁーぃ。んで、お姉ちゃん、答えって・・・?」
マス「見れば分かる。玄関に行くぞ」
─ 小型LIVE会場B・玄関口 ─
詩織「今日は来ていただき、ありがとうございます」
「お、お、お、お疲れ様です!!」
詩織「お疲れ様です。・・・また来てくださいね・・・♪」ニコッ
アーニャ「帰るまでがLIVE、です。変な寄り道は、メッですよ♪」
「はーい!・・・やべっ、アーニャちゃん、すげぇかわいい・・・」
アーニャ「ふふっ、今日は、ありがとうございます♪」
「雅ちゃん!一目見てファンになっちゃいました!」
雅「ありがと~♪うれしいなぁ♪」
「お疲れ様、あずきちゃん!」
あずき「まだまだ!みんなから元気もらってるからねー!」
七海「七海たちのこと、みーんなに教えてあげてください!」
「も、もちろんですすすすす!!!」
マス「なんとか間に合ったようだな」
ルキ(あれって・・・もしかして握手会・・・?)
ルキ(LIVEで疲れているはずなのに・・・)
ルキ(そんな中、疑心暗鬼に眉をひそめた大学生ぐらいの男性が瀬名さんに近づきました)
「本当に顔が分からないんですか?」
詩織「・・・ごめんなさい、分かりません」
「そんなんでアイドルできるんですか!?ファンの顔も分からないのに!!」
ルキ(喧嘩腰で話しかけられて・・・マズい、朋さんが言ってた爆弾要素が・・・)
ルキ(でも瀬名さんは・・・優しい口調で、彼の手を握りました)
詩織「私も自覚するまで大変時間がかかりました・・・」
「え?」
詩織「自分が嫌いになったことも、見ず知らずの人を嫌うこともありました」
詩織「でもそんな自分と向き合ったおかげで今、ここでこうやってアナタとこうやって話せています」
「あっ・・・」
詩織「顔が理解できなくとも、アナタの瞳が純粋であることぐらいなら・・・私には分かります」
「うっ・・・////」
ルキ(まっすぐ目を見つめられ、戸惑う男性)
ルキ(・・・あれは多分、男性じゃなくとも惹かれると思う。あそこまで・・・じっくり見られたら)
詩織「・・・アナタの胸から波打つ音が・・・聞こえています・・・」
「はぅ、そ、そ、その失礼しました!!」
詩織「・・・ふふっ、また会える事を・・・」
「は、はい!」
マス「瀬名の相貌失認は間違いなく、最強のステータスだ。相手がどんな容姿だろうと、まっすぐと目を合わせることができる」
ルキ「目を合わせてどうするの?」
マス「そもそも日本人は目を合わせるのが苦手だ。合わせても敵意を見せる意味でもあったりする」
マス「だが、見てみろ。あの男、肩の力が抜けて口元がにやけているぞ」
ルキ(・・・まるで恋をしたみたいに)
マス「・・・アイツらに勝ちたいか?」
ルキ「え?」
マス「次回、『ソルシエールズ』のLIVEを見て考えてみるといい。彼らは何のために戦っているのかを」
ルキ「何のためにって・・・」
マス「ファンを喜ばせて、なんぼだからな。この業界は」
ルキ(なんの為に・・・あっ・・・!!!)
3日目の集計結果・・・。
LOSE ソルシエールズ : 1,024
WIN ディープリーコン: 1,210
ルキ(『ディープリーコン』側の動員数は123人だった、となるとこの数値はほぼ満点)
ルキ(対し、『ソルシエールズ』側の動員数は142人。あちらより人数は多いのに、負けている・・・)
亜季「ぐっ・・・、初の敗北でありますね・・・」
雪乃「話題性はあちらの方が高いのは確かですわ。ですが、あと1回勝てばいいのです」
亜季「それはそうでありますが、どう勝てばいいのですか?」
雪乃「質をあげましょう。1人辺りの得点をあげれば・・・」
亜季「質・・・?」
雪乃「・・・今から追加でレッスンをしましょう。足先から、指先まで、もっと綿密にするんです」
亜季「反対はしませんけど、間に合うんですかね?」
雪乃「負けられないのですわ・・・!負けたくは・・・ないんです・・・!」
亜季「雪乃殿・・・分かりました!」
雪乃「亜季ちゃん、ありがとう」
亜季「不肖、大和亜季!○○プロに骨を埋める気で頑張ります!」
ルキ(・・・もし・・・社長さんやお姉ちゃんたちの考えている事が、わたしの考えてる事と同じなら・・・)
ルキ(・・・ただ言うだけじゃ・・・効果はない)
4日目・・・。
─ 小型LIVE会場A ─
イヴ「はーい☆今日も頑張っていきまーす!!」
亜季「巴殿、由愛殿、イヴ殿、保奈美殿!頑張っていっきますよー!!」
全員「おーっ!!!!」
ルキ(4回目のLIVE・・・。わたしはステージ裏で『ソルシエールズ』とファンの両方が見える場所から傍観していた)
ルキ(お姉ちゃんたちの考えを確証にするために)
イヴ「もう折り返しも過ぎて、あと2回になりました~☆今日初めてだっていう人いる~?」
ルキ(今日の来場者は・・・目測で100人は切っていた)
ルキ(その内、4分の1がイヴさんの呼びかけに応え、手を挙げた)
イヴ「あぁっ、何度も来ているファンの方がいるんですねぇ~☆うれしいな~、ね、由愛ちゃん☆」
由愛「そうですね・・・!・・・ありがとう、ございます」
巴「由愛、恥ずかしがらずにもっと声を出せぃ」
由愛「あ、ありがとうございます!!!」
巴「ウチもげぇに嬉しい!『ソルシエールズ』をこれからもよろしゅうなっ!」
保奈美「・・・・・・」
亜季「・・・・・・」
イヴ「ほらほら~☆保奈美ちゃんも、亜季さんもぉ」
保奈美「あっ・・・えっと、ありがとうございます!」
亜季「大変、恐縮であります!」
ルキ(この後も、イヴさんはメンバーにちょくちょく話を回し、巴ちゃんがそのフォローをしている)
ルキ(保奈美ちゃんと亜季さんは、プレッシャーからか、ちょくちょく下を見てしまっている)
ルキ(そんな2人を感じ取ったのか、由愛ちゃんは巴ちゃんの後ろに隠れてしまっている)
ルキ(間違いない・・・このユニットは・・・)
ルキ(イヴさんと巴ちゃん以外が必要ない状態になってる・・・)
ルキ(ううん、このユニットは・・・)
・ ・ ・ ・ ・ 。
ルキ(次の日、対戦の結果が発表された)
4日目の集計結果・・・。
LOSE ソルシエールズ : 672
WIN ディープリーコン: 1,445
ルキ(『ディープリーコン』の勝利。当然の結果だった・・・)
ルキ(言わないと・・・、彼らの心のベクトルを変えなきゃ・・・)
─ ○○プロ・事務室 ─
ルキ(既に○○プロのメンバーは小松伊吹さん、『ディープリーコン』の5人を除いた全員が揃っていた)
ルキ(皆の表情は良くない。絶望色に染まって、悪い方向にそわそわしている)
ルキ(わたしが打破しないと。新人として、伝えられる事を)
朋「嘘・・・嘘よっ・・・!」
並木芽衣子「・・・・・・」
大原みちる「朋さん・・・」
雪乃「・・・っ」
朋「なんで、なんでよぉ・・・」
朋「なんでぇ・・・やめてよ・・・このままじゃ・・・」
朋「このままじゃ、Pが取られちゃうよっ・・・!!!!」
朋「なんでぇ・・・なんで・・・っ、こないだまで、こっちの方がポイント高かったじゃない!同じメンバーなのよっ!!」
朋「亜季さん、本気出したわよねっ!出してたわよねっ!!?」
亜季「朋殿、落ちついて・・・」
朋「いやぁっ!やだっ、P、Pっ!」
みちる「あたしも・・・Pさん離したくないです・・・」
芽衣子「いきなり現れた人たちに取られるのは・・・ねぇ」
雪乃「最終日・・・なんとしても勝たないと・・・でないとPさんが・・・」
亜季「ですが、どうすればいいのか・・・。我らが勝てる要素なんて・・・!」
ルキ「・・・勝てます」
亜季「え?」
朋「慶ちゃん!?勝てるのっ!!?
ルキ「勝てます。皆さんなら・・・勝てます」
朋「ねぇ、教えて!!教えてよ!!!」
ルキ「・・・プロデューサーさんを忘れてください」
朋「は!?出来るわけないでしょ!!!」
芽衣子「・・・慶ちゃん、さすがの私も怒るよ?」
亜季「我々がP殿を見捨てるなどっ、出来るわけがありません!!」
ルキ「まだ分からないんですかっ!この敗北は必然ですっ!!最初の2勝だって・・・お情けに等しいんです!!」
朋「だからってPを捨てろなんて・・・家族なのよっ!?出来るわけないじゃない!!」
みちる「そうですよ!ここまで支えてくれたのはPさんなのにっ!!」
ルキ「家族がなんですか!?今ここにいるのは誰ですかっ!?あなたたちは─────」
バチンッ!!!!
ルキ「痛っ!!」
亜季「雪乃殿っ!?び、ビンタなんて・・・!」
雪乃「・・・家族にも等しい人を、蔑ろにされて・・・貴女は黙っていられますか・・・?」
雪乃「大好きな人を・・・捨てろだなんて言われて・・・黙っていられますかっ!!?」
ルキ(耐えなきゃ・・・変えなきゃ・・・。新しく入ったわたしだからこそ、言えるんだ・・・この状況に・・・)
雪乃「今まで一緒に戦ってきた人の想いを・・・踏みにじれるんですか!!!?」
ルキ「踏みにじってるのは・・・アナタでしょう!!?」
雪乃「えっ・・・?」
ルキ「なんで気付かないんですか!プロデューサーさんがせっかく用意してくれた舞台を、相手を、まったく見ない!」
芽衣子「相手を・・・?」
ルキ「プロデューサーさんが好きなら別にいいじゃないですか、知りませんよそんな事!私には管轄外です。でも・・・アナタたちはアイドルなんです!!」
朋「アイドル・・・」
ルキ「アイドルの仕事は覚えていますか!?歌う事ですか?踊ることですか?喋ることですか?いいえ!違います!」
ルキ「アイドルの仕事は・・・ファンを喜ばせる事です!」
みちる「ファン・・・」
ルキ「確かにわたしは皆さんにファンが0からの気持ちで、って言いました!でもお客さんと向き合わなければ増えるものも増えません!」
ルキ「アイドルはファンを一心に考えられるプロなんです!」
ルキ「もし自分がアイドルだと思ってるなら・・・ファンと向き合ってください!!!!」
「その通りだ!!!!!!!!」
ルキ(扉を強く開き、呼吸が乱れた男性がひとり現れた)
ルキ(あれは・・・プロデューサーさん)
みちる「Pさんっ!!?」
雪乃「Pさん!!」
朋「P、もう大丈夫なの!?」
P「はぁ・・・ぅくっ・・・当然だよ、死んでも化けて出てやる・・・」
ルキ(壁伝いにゆっくりと皆のもとへと歩いてくる。意地というか、執念)
P「はぁ・・・はぁ・・・一ヶ月も待たせちゃったね・・・」
朋「P、無理しないで!あんた、その一ヶ月寝てたのよっ!?」
P「それでも今やらないといけないことがあるっ!」
ルキ(・・・プロデューサーさんは一度深呼吸をし、檄を飛ばす)
P「キミたちにはプロになってもらうっ!!」
芽衣子「プロ・・・」
ルキ「やっぱり・・・そういう事だったんですね、プロデューサーさん・・・」
P「ぜぇ・・・はぁ・・・ごめんね、青木さんの妹さん・・・。こんな面倒な役目、任されちゃって・・・その通りなんだ・・・」
P「ごほっごほっ・・・『ソルシエールズ』は・・・いわばこの○○プロダクションの縮図」
P「今抱えている問題そのものだ。責任感に弱かったり、場数が少なかったり、誰かの傀儡であったり・・・」
P「でもそれはいい、別な誰かが支えられる事だ・・・ごほっ!」
みちる「Pさんっ・・・!!」
P「・・・でもな、決定的にダメなところがある。どうだ、亜季ちゃん・・・LIVEの中で一度でもファンの方の顔をじっくり見たか?」
亜季「それは・・・」
P「見ていないだろう?そう・・・お客さんを見ていないことだ」
P「本当に大事なのは・・・ファンに対する真心だ。1人1人がファンを大事にする心があれば・・・『ディープリーコン』や御三家にだって勝てる・・・」
朋「でも・・・でもっ・・・ステージの上に立ってるのは5人だけなのよっ!?」
P「じゃあ、ステージ以外のところに立てばいいだろう?何のために23人もいるんだよ・・・」
朋「ステージ以外って・・・」
P「ファンが喜ぶことを考えろ・・・どうしたらファンは喜ぶ・・・?」
朋「そりゃ・・・会えたら・・・、っ!!!」
P「戦いはステージの上だけじゃないんだ、プロのアイドルなら・・・どこだって人を魅了できる・・・」
P「俺を見るなっ、前を見てファンを見ろっ・・・!!」
P「俺はみんなにプロになって欲しくて・・・彼女ら・・・を・・・」
バタッ・・・!
ルキ(彼は言うだけ言って、膝から倒れてしまいました)
芽衣子「プロデューサー!!」
朋「Pっ!!!」
亜季「・・・大丈夫であります、気絶しただけであります。息は・・・あります」
朋「・・・・・・」
ルキ(無理もありません、一か月寝てた体を強引に動かしてるんだから・・・)
雪乃「私は・・・」
ルキ「・・・分かってくれましたか?」
雪乃「・・・・・・」
ルキ「“アイドル”相原雪乃の中から、プロデューサーさんを消し去ってください」
ルキ「プロのアイドルになってください・・・雪乃さん」
ルキ「先頭に立って、ファンを喜ばせてください・・・!」
雪乃「・・・っ」
亜季「雪乃殿・・・」
雪乃「私が・・・リーダーを降ろされた理由が・・・今、分かりました」
雪乃「皆さんがPさんを好きだからと言って、皆さんは私と一緒だからって、心のどこかでアイドルを忘れていた、そんな気がしています・・・」
雪乃「技術や実績、それに古参だからと言って皆さんを振り回していたのでしょう・・・」
亜季「・・・・・・」
雪乃「そうですわね、亜季ちゃん?」
亜季「・・・かもしれません・・・」
雪乃「・・・・・・」
亜季「・・・でも!私だって・・・LIVEの時、P殿を失いたくないから・・・みんなの期待に応えたかったから・・・」
亜季「一度だって・・・ファンを見れていませんでした・・・」
雪乃「・・・ですわね」
保奈美「私・・・自分のことで頭いっぱいで・・・」
イヴ「大丈夫ですよー☆ファンと一緒に楽しめばいいんです☆」
保奈美「ファンと一緒に・・・」
イヴ「失敗もパフォーマンスですよ~、流石に失敗しかないとダメですけど♪」
保奈美「・・・イヴさんは強いね」
イヴ「私はみんなの笑顔が一番大好きなんです☆ほら、由愛ちゃんも笑顔っ!」
由愛「え、えっと・・・その・・・」
巴「由愛、ウチの後ろに隠れようとするのを止めんか」
由愛「あ・・・ぅ」
巴「もっと胸を張れ。由愛なら出来る」
由愛「う、うん・・・巴ちゃん、すごいね」
巴「?」
由愛「Pさんが倒れた後、ずっと・・・自分のせいだって・・・言ってたのに・・・」
巴「あん時は心が迷ったが、そこの新人マネージャーが言ってくれてのぅ。あずきの・・・いや、ファンのために頑張れってな」
巴「ライバルになろうとも、ウチが誰かんために輝くことにゃ変わらん。ただその結果じゃ」
由愛「そう・・・なんですか。私・・・、ずっとどうしようって思ってた・・・Pさんにどこかに行ってほしくなくて・・・」
由愛「そのせいで・・・私、不安になってしまってて・・・」
巴「んじゃ、もう大丈夫じゃな?」
由愛「うん・・・!お客さんの方・・・向かなきゃ・・・!」
ルキ(各々が自分の中で、やってしまっていたミスを口に出して反省し、目に輝きが戻ってきました)
ルキ(これを求めていたんですね、プロデューサーさん)
朋「・・・何が『白波の乙女』よ・・・」
みちる「?」
朋「何が『ディープリーコン』よ!!」
雪乃「朋ちゃん?」
朋「本気になったアタシたちなら本気よっ!!!」
みちる「あのー、朋さん?言ってること支離滅裂ですよ?」
朋「なんでもいいわよ!・・・智香ちゃん!!」
若林智香「はいっ!!」
朋「今すぐ、Pのパソコン開いて!!パスワードはmarupuro1559よ!!」
智香「了解っ!!!・・・ってなんで知ってるんですか?」
朋「そんな事聞かない!今すぐチラシを作るのっ!100枚、いや150枚・・・違う200枚よ!!」
一同「チラシ?」
朋「・・・今のままの評判じゃ、絶対『ディープリーコン』に届く点数は取れないわ!だったら新しい客を、ファンを開拓するのよ!!」
みちる「まさか今からビラ配りしに行くんじゃ・・・?」
朋「その通り!アタシたちでファンを呼び寄せるのよ!!」
智香「でも・・・」
朋「でも、じゃない!やれることは全部やるわ!智香ちゃん、ミッチー、アタシに付き合ってもらうわ!」
みちる「・・・分かりました!」
智香「もちろんですっ!」
芽衣子「・・・じゃあ、私は衣装ひっぱり出してこようかなっ♪」
杉坂海「衣装?だけど次のステージの衣装は決まってるはずじゃ・・・」
芽衣子「違う違うっ!私たちが着るのっ」
海「え?」
芽衣子「宣伝でゲリラLIVEやろうよっ!それと、会場で受付嬢もやっちゃおう!」
海「んな、ムチャクチャな・・・」
芽衣子「朋ちゃんが言ってたでしょ?やれることはなんでもやるのっ!!」
海「・・・うん。ウチも異論はないよっ!」
佐藤心「あ、それ混じっていい?」
芽衣子「どんどんおいで!もう1人くらい欲しいかなっ!!」
心「じゃー、ワンちゃん!キミに決めたっ☆」
早坂美玲「だれが犬だぁぁぁぁ!!!」
亜季「雪乃殿、慶殿、もう一度レッスンしてください!!」
ルキ「はい、よろこんでっ」
雪乃「私で・・・いいのですか?」
亜季「今の目と心があれば・・・絶対大丈夫です!」
雪乃「ですが・・・」
亜季「私たちは・・・今の貴女がいいんです!」
巴「うむ」
由愛「ファンの為に頑張るってひとつになれたから・・・」
イヴ「ファンの皆を笑顔に出来そうだから!」
保奈美「今なら、ぐんっと伸ばせる気がする!」
亜季「もっと、みんなと一つになりましょう!雪乃殿、アナタが本当に培ってきたモノを・・・みんなに・・・!!」
雪乃「・・・・・・」
巴「雪乃姐さん!」
由愛「雪乃さん・・・!」
保奈美「雪乃さん!」
イヴ「雪乃さんっ♪」
ルキ「・・・雪乃さん」
雪乃「分かりました。・・・みなさん、容赦はしませんわ!いいですわね?」
一同「はいっ!!!」
─ ○○プロ・社長室 ─
ちひろ(青木慶さんが声を張り上げてから、ずっと社長室から2人で見ていました)
ちひろ(正直、このまま○○プロが終わってしまうのではないかとビクビクしていましたよ・・・)
ちひろ「・・・よかったです・・・みんなが気付いてくれて・・・」
社長「間一髪だったな」
ちひろ「あぁ・・・なんだか憑き物が落ちたって感じですね」
社長「・・・そうだな。こんな事をプロデューサーやマネージャーに任せっきりになってしまうあたり・・・俺も社長としてまだまだだな」
ちひろ「・・・私もアシスタントとして、まだまだです。もっと自信とか、技術とか、学んでいかないと」
社長「・・・よし、千川!持ってけ!」
ちひろ「・・・これは・・・」
社長「俺の車の鍵だ。外に出るアイドルのサポートをしてこい!」
ちひろ「・・・行ってきます!」バピューン
社長「俺はプロデューサーを病院に叩き込んでくるかな・・・」
─ 都内某所・交差点 ─
朋「○○プロです!よろしくお願いしまーす!」
みちる「『ソルシエールズ』と『ディープリーコン』の最後の対戦でーす!」
智香「お求めやすい金額になっておりまーす!ぜひ見に来てくださーい!!」
朋「あっ、お願いします!○○プロのLIVEイベントです!ありがとうございます!」
みちる「パンの差し入れですか!?ありがとうございまーす!」
智香「ミッチーちゃん!?休憩はまだ早いですよっ!」
みちる「えっ・・・あ、ごめんなさい!どうですか?LIVEイベントやってます♪」
・ ・ ・ ・ ・ 。
朋「ダメっ・・・全然見てくれない・・・!アタシに悪い相でも出てるのかしら・・・」
みちる「ティッシュ配りが最悪の仕事って聞きますけど、今なら分かります・・・」
ちひろ「どうしましょう・・・何かいい手は・・・」
「ここにいましたの!!?」
智香「桃華ちゃん?どうしたんですか?」
櫻井桃華「櫻井グループに声をかけて関東圏内のテレビのCM枠を確保してきましたわ!これで今から撮影をしましょう!」
ちひろ「でも桃華ちゃん、そんなことしたらまたCuプロの時みたいに変な噂が・・・」
桃華「使えるものを最大限に活かさないなんて櫻井の血に反しますわ!それに・・・」
朋「それに?」
桃華「皆さんのことが大好きですの。この程度で受ける汚名なんてかすり傷にもなりませんわ!」
みちる「も、も゛も゛がぢゃん・・・!」
桃華「みちるさん、泣いちゃダメですわ。今こそ怒涛の攻めを見せる時です」
智香「でもチラシが・・・」
桃華「問題ありません!助っ人を呼んでありますわ」
朋「助っ人・・・ってクミちゃん先輩!!」
松山久美子「ふふっ、桃華ちゃんに頼まれて来ちゃった」
智香「でも久美子さん1人じゃ、このチラシの量・・・まだ150枚はあるんですよ!」
久美子「大丈夫、任せておいて♪私の地元なら、すぐに捌けるよ」
みちる「ホンドですがっ!!!」
久美子「ホントだから泣き止んでね!今からテレビ映るんだから!」
みちる「はいっ!!!!」
久美子「・・・ふふっ、私がアイドルになってからね、地元の商店街がもっと活気づいたんだ♪」
久美子「P君がお母さんを治してくれて、ピアノ教室が櫻井グループ傘下になったおかげで沢山の子供とその親御さんが来るようになって・・・」
久美子「だから地元の人に伝えたいのっ、こんな素敵な仲間がいるんだって」
朋「・・・クミちゃん・・・、これお願いします!」
久美子「任されたよ!そっちもCM撮影頑張ってね!」
一同「はい!」
ちひろ「それじゃあ車を持ってきます!急いで向かいましょう!」
─ 都内某所・駅前 ─
────────────♪♪♪──
パチパチパチパチ・・・!!!
芽衣子「ありがとうございましたー!!」
海「今度の大型LIVEバトルもぜひよろしくお願いしまーす!!」
心「オラオラッ☆こねぇとぶっとばすぞー!」
美玲「ついでにひっかくからなッ!!!」
・ ・ ・ ・ ・ 。
五十嵐響子「お疲れ様です!」
心「あー、響子ちゃんも一緒に踊ればよかったのにぃ!腰痛いんだって☆」
響子「同じ衣装なかったんですってば!その割にはノリノリだったじゃないですか!」
心「そりゃそうだって♪やっとみんながファンの方に向き始めたじゃん☆」
海「・・・ハートさんはずっとキャラ変えずにやれてますもんね」
心「それがファンに求められてるものだからねー☆いやー疲れる疲れる」
心「・・・でも嬉しかった。ファンに喜ばれるのも、みんなと一緒の方向、向けてるのも」
美玲「・・・・・・」
心「っていうか、なんで皆ファンのために戦ってねーんだ☆おいおい☆」
響子「あははは・・・」
海「Pさんに目に奪われていたというか、なんというか」
心「プロデューサーだけじゃなくて、みんなも喜ばせるんだぞ☆うふっ♪」
芽衣子「♪~♪♪♪」トオイメ
心「芽衣子ちゃんもだぞ、このこの~♪ってか口笛ふいたなーこのー☆はぁと苦手なんだぞー!」
美玲「そうなのか?」
心「多分。やったことないし♪んじゃーやってみよーかなー☆」
心「すーすー!あれ?ふーふー!!」
海「水で濡らしてみる?」
響子「あっ、そうだ!さっきスーパーに行って来てドリンク作ってきたんですよ!」
心「おっ、サンキュー☆響子ちゃんにはあとではぁとがご褒美あげちゃう♪」
響子「あはは・・・お気持ちだけで・・・」
心「あっ、ひっでぇ☆」
美玲「ドリンク・・・そうだッ!!!」
芽衣子「どしたの?」
美玲「響子響子!」
響子「?」
美玲「いつものお料理仲間と一緒にドリンクとかクッキー作ってファンに配ればいいんじゃないか?」
海「うん、それいいんじゃないかなっ!ウチ賛成だよっ!」
心「まぁ、アイドル特製なら涎もんだよね☆」
芽衣子「LIVE中はみんな汗かいちゃうもんねっ♪」
響子「分かった!たぶん、今手持無沙汰で肇ちゃんと音葉さんそわそわしてると思う!連絡して先に用意してもらうね!!」
芽衣子「それじゃ、ダッシュで事務所に戻ろうっ!」
─ レッスン場 ─
ルキ「ワン、ツー、スリー、フォー!!」
ルキ「ワン、ツー、スリー、フォー!!」
雪乃「亜季ちゃん、もっと顎を引いて、笑顔を忘れないでください!」
亜季「はいっ!」
雪乃「保奈美ちゃんとイヴちゃん、そこは脇を締めるところですわ!!」
イヴ「はーいっ!」
保奈美「はいっ!」
由愛「きゃっ!!」
巴「っ!?由愛!!」
保奈美「ごめんなさい!今、手が当たったかしら・・・?」
由愛「だ、大丈夫です!私が足元崩しただけですから・・・」
雪乃「・・・一旦休憩にしましょう」
亜季「私はまだやれます!」
雪乃「ダメです。モップを持ってきますわ。床を拭いて滑らないようにしましょう」
ルキ「あっ、私がやります!」
雪乃「お願いしますわ・・・その間に・・・皆さん、お茶にしましょう」
亜季「え゛」
巴「は?」
保奈美「雪乃さん・・・?何を言って・・・」
雪乃「水分補給は大事ですわ。それに、落ち着くのです。黙想と同じですわ、自分を振り返る時間を作るのです」
雪乃「私も、今その時間が欲しいのです」
由愛「振り返る時間・・・」
雪乃「私たちは先ほどまで暴走していました。頭を冷やす時間はたくさん必要ですわ」
雪乃「何をすればファンが喜ぶのか、どんな時にファンが楽しめるのか、頭の中で自分の完成系を探すのです」
亜季「分かりました」
雪乃「・・・慶ちゃん、終わったらアナタも一緒に飲みませんか?」
ルキ「・・・はい」
雪乃「・・・さっきは殴ってしまって・・・ごめんなさいね」
ルキ「いえ、痛ーい1発でしたが・・・皆の頭が冴えたならコスパの良いリソースです」
雪乃「・・・ごめんなさい」
ルキ「謝るのは一通り終わってから、ですよ。みんな心配な顔で見てますよ?」
雪乃「え・・・」
保奈美「・・・実はまだ心配だったり」
ルキ「お茶飲んで、心を休めましょう、ね?」
雪乃「・・・・・・ふふっ、ありがとうございます」
ルキ(私たちの準備は着々と進んでいった)
ルキ(今までとは違う、一致団結!一つとなった○○プロは負けません!)
ルキ(でも、なーんか気になることがあるんだよなぁ・・・お姉ちゃんはまだなんか・・・企んでいる気がする・・・)
LIVE最終日・・・。
─ 小型LIVE会場A・玄関口 ─
芽衣子「ようこそっ!『ソルシエールズ・デ・ボヌール』LIVE会場へ!」
海「会場はこちらになりまーす!足元暗いので注意してくださーい!!」
芽衣子「お荷物の多い方はロッカールームを無料で貸し出していまーす!ぜひご利用くださーい」
「あっ、海ちゃんだ!!俺ファンなんです!サインください!!」
海「え、えっと・・・」
芽衣子「ゴーゴー♪」
海「・・・うん、OK!」
「この帽子にください!」
海「りょーかい!」
「ありがとうございますっ!宝にします!」
海「あの笑顔だよね。ウチらが求めるはずのもの」
芽衣子「だねっ。私たち・・・ちょっと脱線しちゃってたね」
海「うっし、心入れ替えていこう!!」
芽衣子「伊吹ちゃんがいれば・・・もっと気合入るんだけどなぁ・・・」
海(まだ・・・寝込んでるんだよね・・・)
芽衣子「さてと、あとはステージのみんなが頑張ってくれるだけだよ」
─ 小型LIVE会場A・ステージ裏 ─
ルキ(・・・久美子さんが呼んだ呼び寄せた人たち、テレビCMの広告を見てやってきた人たち・・・)
ルキ(来場者は現時点で190を越えた・・・!今なら・・・今ならいける)
「まもなく公演です!スタンバってください!!!」
雪乃「皆さん、いいですか」
亜季「はい!」
由愛「はい?」
雪乃「私たちの為に待ってくれた人、道化を演じてくれた人、必死に訴えてきてくれた人、すべての人に想いをぶつけましょう」
雪乃「皆さんは幸せの魔女、その魔法で自分の心を形にしてください」
保奈美「もちろんです!」
亜季「風穴あけてやりますよ!」
雪乃「勇ましくて結構。この4日分の失態をすべて払拭します!」
巴「今がその時じゃ」
イヴ「行ってきますよー☆」
雪乃「それでは、行きましょう!えいえい・・・」
全員「お──────っ!!!!」
ルキ「行ってらっしゃい!!」
亜季「みなさーん!!たいっへんっ!お待たせしましたーっ!!」
巴「今日が最終日、我ら『ソルシエールズ』!」
保奈美「全員でファンのみんなに!」
由愛「元気と幸せと愛情を・・・!!!」
イヴ「そのほかいーっぱい☆」
亜季「叩き込んであげますっ!!!」
「わぁぁぁぁぁあああああっ!!!」
・ ・ ・ ・ ・ 。
5日目の集計結果・・・。
WIN ソルシエールズ : 1,904
LOSE ディープリーコン: 1,899
─ ○○プロ・会議室 ─
「「「勝ったぁぁあああああっ!!!!」」」
海「勝ったよ!ちゃんと向き合った分、ファンは応えてくれたんだ!」
雪乃「そうですわね、これは大きな1歩です」
亜季「皆の心が1つになる!いやー、私の体に強く刻み込まれました」
芽衣子「途中まで雪乃ちゃんのお人形だったけどねっ」
亜季「そ、それはっ・・・!もう今後はお人形ではありません!間違えていれば進言しますし、正しければ同調します。大切な同士であります!」
雪乃「またすぐに頼ってくるようにならなければいいのですが・・・」
亜季「ちょっ、雪乃殿っ!!!」
由愛「・・・美玲ちゃん、『ディープリーコン』の方の会場で受付やってたんだ・・・」
美玲「悪いかッ!・・・片方だけじゃエコヒーキになっちゃうから・・・残ってたメンバーで行ってきたんだ」
美玲「あっちも凄かった。ファンに対する意識が凄かった!でもアレに勝ったってことは由愛は頑張ったんだなッ!!」
由愛「私だけじゃないですよ・・・巴ちゃんも」
巴「・・・フン、犬は相変わらずじゃのぅ。由愛の爪の垢でも飲ませたいわ」
美玲「がるるるぅ!犬じゃないって言ってるだろッ!!」
由愛「今日は・・・クマでもないんだね・・・」
美玲「聞いて驚けよ!今日のパーカーは・・・!」
イヴ「ブリッツェンなんですよー☆」
美玲「うわぁっ!!?」
イヴ「あれ、言っちゃダメでした?」
美玲「そ、そんなわけじゃないけど・・・ケド・・・。でも後ろに立つなーッ!!」
イヴ「ごめんなさーい☆」
バタンッ!!!
雪乃「勢いよく開けたら壊れてしまいますわ、朋ちゃん」
朋「ご、ごめん・・・ってそれどころじゃないのっ!Pが病院からいなくなってるの!!」
一同「は?」
みちる「柚ちゃんも里美さんも知らないって・・・!」
雪乃「まだリハビリも上手くやれてない体なのに・・・どこに行ったのでしょうか」
社長「あ?プロデューサーがいないのか?」
朋「はい、社長!Pがどこに行ったか分かりますか?」
社長「彼なら・・・・・・」
─ 空港 ─
P「・・・お疲れ様、みんな」
詩織「これで・・・いいのですね、Pさん」
P「ああ、ありがとう。『ディープリーコン』によって○○プロに大きな警鐘が鳴らされた」
P「これから、あの子たちはプロとして戦えるだろう」
詩織「・・・心残りは・・・負けたことでしょうか」
七海「詩織さん・・・」
アーニャ「シオリ・・・」
詩織「・・・悔しいですね、自分の体がやっと理解し始めたというのに」
詩織「潮の流れが・・・変わって、私の道が拓けたばかりというのに」
あずき「ごめんなさい・・・もっといい作戦考えなかったあずきのっ・・・」
雅「みやびぃのせいだよぉ・・・!もっと活躍できれば・・・」
P「詩織・・・」
詩織「・・・悔しいです」
マス「悔しいか」
詩織「・・・はい」
マス「やり直せるチャンスはある。それまでに更に腕を磨け」
七海「七海だって頑張りますよっ!」
アーニャ「私も、みんなと一緒ならどこへだって・・・!」
あずき「そうだよっ、皆こーんなに仲良しなんだもん!」
雅「ねー♪この程度でへこたれないよぉ」
詩織「・・・みんな、ありがとう」
マス「さぁ、準備しろ。新しい船出だ!」
P「・・・戻ってきたら、改めて皆に紹介するよ。新たな仲間として」
詩織「ふふっ、Pさんがいなかったのは痛手でしたね・・・」
アーニャ「ミッチー、嫌ってなければ・・・いいのですが」
P「そう簡単に人を毛嫌いする子じゃないよ。大丈夫」
アーニャ「もっと一緒に、話したかったです」
あずき「私も巴ちゃんともあんまり話できなかったなー」
P「ははは、積極的に連絡してあげてくれ」
あずき「もちっ!」
アーニャ「連絡先、もらいました。大丈夫です」
雅「でも、皆に伝えなくてよかったのぉ?P君的にも困っちゃうんじゃない?」
P「俺がいなかったから、溝の深い敵対心が生まれちゃったみたいだからな・・・こればかりは、時間で直すしかないよ」
雅「じゃあ、丁度よかったんだねぇ♪」
P「雅、ママさんにはちゃんと挨拶したか?」
雅「大丈夫だよぉ、ママってばみやびぃがアイドルとして羽ばたくなら見守りだけだって」
P「そうか。七海は婆さまには連絡済みか?」
七海「大丈夫れすよ!七海の帰巣本能がありますから!」
P「はははっ、じゃあ七海が先頭に立って皆を引っ張ってあげてね」
七海「えへへ~もちろんれすよ!必ずプロデューサーのもとに戻るれす!」
P「では、麗さん・・・この子たちをよろしくお願いします」
マス「もちろんだ。私のワガママで連れて行く以上、トップアイドルと並ぶだけの実力は付けさせる」
詩織「・・・Pさん、行ってきます」
「待って!!」
詩織「皆さん」
P「・・・朋、みんな・・・来ちゃったか」
雪乃「社長さんが・・・Pさんとあの5人はここにいると」
朋「P、ちゃんと説明して!この一連の活動を、一体どういうことだったの!?」
P「・・・・・・」
P「俺たち、○○プロは着実に力を付けてきた。Aランク達成もほぼ完了したと言っても過言ではない」
P「だが、アイドルの皆はまだ“アイドルごっこ”をしている状態だったのが難点だったんだ」
朋「アイドルごっこって・・・アタシたち、マジメに・・・」
P「マジメにやってるから気付かないんだ。他人から・・・特に、ファンはすぐに感じ取ってしまう」
雪乃「それを気付かせるために、この『ディープリーコン』を結成した、と?」
P「その通りだ。負け役を押し付けるのは、心苦しかったけどね」
詩織「・・・・・・」ニコッ
朋「じゃあ・・・正真正銘の○○プロのアイドルなのね・・・」
P「ん?なんかあったのか?」
雪乃「最初、Coプロの刺客だと思ってましたわ」
亜季「私も、彼らの手口を知らないわけじゃないんで・・・」
七海「ひどいれす!七海たちはちゃーんと○○プロの仲間れすよ!」
あずき「あずきだって巴ちゃん追いかけてきたって言ったよー!」
雪乃「なんというか・・・ごめんなさい」
P「疑いが晴れてよかった・・・のかな?」
P「・・・○○プロで一番、仕事先からのリピーター率が高いのって誰だと思う?」
朋「え?それなら雪乃さん?」
P「実は・・・はぁとさん」
一同「え?」
心「あっちゃー、さすがはぁと♪みんな分かってるー♪」
P「・・・次点でイヴ。このままの調子じゃ皆が仕事を得られなくなる可能性があった、だから早急に手を打たなければなかった」
P「はぁとさんやイヴにおんぶにだっこじゃ、自分らがAランクになったところで自分の実力で上がってきたと勘違いされてしまう」
朋「だから・・・こうやって戦わせたと」
P「本当は俺がひとつひとつ紐解いていきながら、勝利に繋げてあげるつもりだったんだけどね」
マス「・・・キミが倒れた時は、社長も大慌てだったぞ」
P「ははは・・・面目ない」
マス「私は先に飛行機に乗っているぞ。お前たちは時間まで満足に話してから来るといい」
あずき「はーい♪」
みちる「・・・アーニャちゃん!ど、どこに行っちゃうんですか!?せっかく・・・せっかく会えたのに」
アーニャ「アー・・・これから、イタリアやアメリカに行ってきます」
みちる「ええっ!?」
P「そういう契約だったんだ。麗さんを雇う金は・・・俺らにはない」
P「だけど、麗さんの活動に援助するという形でアイドルを育ててもらうことは可能だったんだ」
朋「援助?」
P「日本を代表するアイドル育成トレーナーとして論文発表するんだって。そのために0からアイドルを育てる環境が欲しかったんだ」
あずき「それで麗さんとー、プロデューサーさんの意見が合致!あずきたちが徴集されたーって感じなんだ」
アーニャ「だから・・・ミッチー、もう少しだけ待ってください」
雅「あと三か月くらいだねぇ、帰ってきたらぁ、今度はちゃんとした仲間だよぉ♪」
みちる「ホント・・・ホントなんですね!?」
アーニャ「Да!」
あずき「えへへ、ちゃーんと成果出して戻ってくるからね」
巴「・・・そのまま戻らんでもええ」
あずき「あーっ、ひっどーい!」
巴「ウチが求めるはアイドルごっこの桃井あずきではないわ」
あずき「アイドル桃井あずきで戻ってくるよ!待っててね」
巴「フン」
美玲「・・・あ、すっごく嬉しそう」
巴「うっさいわ!」
詩織「・・・ふふっ」
雪乃「何か、おかしいことでも?」
詩織「私たちは、敵だった人たちですから」
詩織「受け入れてくれたようで、よかったです」
雪乃「まだ、溝があると思いますわ」
詩織「そうですね・・・では今は、リーダーの座をお返ししておきます」
雪乃「・・・今は?」
詩織「絶対、取戻しますから。それまで、預かっていてください」
雪乃「そうはいきませんわ。生まれ変わったアイドル相原雪乃が皆を導くのです」
詩織「・・・その調子です。そうでなければ、私たちの意味がありません」
雪乃「・・・・・・」
詩織「次は、一緒にあの舞台に立ちましょう・・・“雪乃さん”」
雪乃「・・・ええ、期待して待ってますわ、“詩織ちゃん”」
七海「うー!あと5分しかないれすよ!」
あずき「えー、もっと話したいのに」
アーニャ「やる事やってから、です。三か月なんて・・・あっという間です」
あずき「そうだね!」
雅「・・・ねぇねぇ、ちょっといい?」
詩織「どうしたの?」
雅「せっかくみんながいるんだからぁ、みーんなに印象に残ることしたいなぁって思ってるんだけどぉ」ゴニョゴニョ
七海「・・・えっ、そんな事するんれすか?」
あずき「えっ、えぇっ・・・////」
雅「絶対覚えてもらえるよぉ、あっちのみんな───だしぃ」
詩織「・・・ふふっ」
アーニャ「私は・・・問題ないです」
P「どうしたんだ?早く行かないと飛行機が行っちゃうぞ?」
七海「ちょっとだけ待ってほしいれす!」
「最初はグー!じゃんけーん!ポンっ!」
「あいこでー、しょっ!」
P(なんで、ジャンケンやってんだ?)
あずき「あぁぁっ!?あずきの1人勝ち!?」
七海「あぅ、残念れす」
アーニャ「アズキ、お願いしますね」
あずき「な、なーんかすっごい恥ずかしいんだけど////」
雅「ファイトだよぉ?」
あずき「分かった!名付けてセクシーバトン大作戦、発動だよ!」
朋「セクシー・・・ってなにやってんのっ!?」
雅「見てればわかるよぉ?・・・ちゅっ」
朋「見ちゃダメっ!!」
P「あっ!?朋!?なんで目隠し!?」
朋(月宮雅が・・・桃井あずきにキス・・・?)
あずき「・・・ぷはっ、ちょ、ちょっと!?ガチすぎないかなっ!?////」
雅「ガチでやらないともったいないよぉ♪」
あずき「え、えっと・・・うぅ、恥ずかしくなってきたぁ・・・」
七海「次は七海の番れす!んーっ!」
あずき「もごっ!?」
七海「ぷはぁっ!次はアーニャちゃん!」
あずき「も、もたないよぉ!?」
朋「な、な、な、なにやるつもりなのよ・・・!?」
アーニャ「トモもやりますか?」
朋「そっちの趣味はないよ!?」
アーニャ「私も、ないです。ですが・・・んちゅ」
あずき「・・・んっ」
P「なぁ、朋。一体、何が起こってるんだ?」
朋「だ、黙ってて!!」
朋(なんであの人たち、あずきちゃんに次々キスしてんのよ・・・)
P「?」
アーニャ「・・・アズキ、お願い、しますね?」
あずき「も、もちろんだよっ!アーニャちゃんもガチでやってくるね・・・////」
アーニャ「私も、P君のこと・・・だから、拭いちゃダメ、ですよ?」
あずき「もちっ!さぁ、あとは詩織さんです!」
詩織「私は・・・軽く、ね?」
あずき「唇指さしてますからねー?ここですよー?」
詩織「大丈夫よ・・・ちゅっ」
あずき「んっ、みんなの気持ち、預かったよ!////」
朋(あずきちゃんはくるりと一回転、そしてこちらを向いた・・・ってことは・・・!!)
朋「あずきちゃん、それはダメッ!ダメってばっ!!!」
みちる「させませんっ!」
朋「ちょっ、ミッチー!?止める方違うって!!アタシじゃなくてあっち、あっち!!」
みちる「アーニャちゃんたちの想いだって捨てさせませんっ!」
朋「ちょぉぉぉぉっ!?」
雪乃「だ、誰か、阻止してくださ・・・」
あずき「えへへっ、とうっ!!」
P(えっ・・・?あずき・・・?)
P(俺の視界が開けた時には・・・目の前には、あずきが・・・)
あずき「んちゅぅ・・・♥」
P「むぐっ・・・!?」
雪乃「あっ・・・あっ・・・あぁっ・・・!!」
P(え?お、俺・・・あずきとキスして・・・、いや違う!多分、みんなの反応からして『ディープリーコン』の全員とキスして・・・!?)
詩織「・・・Pさん、5人分の想い、預かっててくださいね」
雅「帰ってきたら、受け取りに行くからねぇ♪」
アーニャ「ミッチー、спасибо・・・ありがとう」
みちる「あははー、あたしも参加すればよかったかなー」
アーニャ「帰ってきたら、いろいろ、やってみましょう」
みちる「うん、待ってます。それまで、ちゃんとアイドルやってますから!」
あずき「・・・ちゅ・・・んんっ・・・♥」
あずき(みんなの分も背負ってるせいなのかな・・・すごくゾクゾクする・・・♪)
あずき「ぁむっ・・・ん~っ・・・♥」
七海「あと2分れす!あずきちゃーん!」
雅「あれ、これスイッチ入っちゃった感じ?」
雪乃「はやく離させてください!」
朋「わかったわ!」
あずき「ぷはっ・・・あはっ・・・プ~ロデュ~サ~さ~ん、行ってくるね♪」
詩織「行きましょう、あずきちゃん」
あずき「はーい♪」
詩織「Pさん、行ってきます」
雅「行ってきますぅ♪」
アーニャ「行ってきます」
七海「行ってくるれすよ~」
朋「早くいきなさいよっ!!」
朋(『ディープリーコン』の5人は全力ダッシュで青木麗のところへと行ってしまった)
朋「P、だいじょう・・・」
P「・・・・・・」チーン
朋(た、立ったまま気絶してる・・・!?)
雪乃「・・・・・・」ゴゴゴゴゴゴ
朋「ゆ、雪乃さんっ!?」
雪乃「あの人たち、やっぱり敵ですわっ!!!!!!!」
終わり
以上です。今回はここまでです。
非常に長くなってしまいました、読んでくれた方はありがとうございます。
「白波(しらなみ)」とは、泥棒の事をさした言葉になります。中国のことわざだそうです。
ずっと使いたいと思ってたので、やっとこさ使える場面まで構築できたなーとしみじみ思います。
さて、次回は
・藤原肇「一に看病二に薬」
その次に
・梅木音葉「好奇心は猫を殺す」
になります。
今回のお話で想定してた範囲では中盤戦が終了した、という具合です。
本当は先週の金曜日に出したかったです(苦笑)
ではまた。
チラ裏
・要望があったのでオマケの方でディープリーコン結成までのお話を書こうと思ってます。
・ルーキートレーナーはアイドルの数に入らない・・・予定です。
つまりあと2人なのですが、私の考えでは16歳Pa、21歳Cuがいいのではないかなーと思ってます・・・が、強い要望があれば変更したいなーとも思ってたり
・柚ぅぅぅうぅぅぅううぅぅうううううううううううう!!!!!
wikiのこの話のリンク違って見つけるの大変やったわ
wikiのリンクが一つ前のアーニャの話のになってるな・・・
以下、おまけ
─ ○○プロ・会議室 ─
それは・・・今から五ヶ月前のこと。
俺は社長からある一言を告げられた。
P「売り上げ低下・・・ですか?」
社長「ああ。しかも一番悪いパターンだ」
P「・・・というと・・・」
社長「これを見てくれ」
P(モニターには右肩下がりの線グラフ、つまり実績が落ちている事を示している)
社長「プロデューサー、なんで下がったか・・・分かるかね?」
P「・・・いえ、なんというか・・・分かりません」
社長「はぁ・・・、いや・・・警鐘を鳴らさなかった俺や千川も悪い」
ちひろ「申し訳ありません」
社長「プロデューサー、俺たちの仕事には常にリピーターというものが存在している。それはファンや仕事先のカメラマンなど、どの立場にあってもだ」
P「はい」
社長「このグラフはリピーターが減っているという事を示している」
P「つまり・・・もうココとは仕事したくない、と?」
社長「いや、使いきり・・・という言葉の方が正しいだろう」
P「使いきり?」
社長「次に、これを見てくれ」
P(次の画面に映されたのは僅かであるが徐々に上がっていく右肩上がりのグラフ・・・)
社長「これは依頼件数のグラフだ。キミや・・・アイドルたちが自ら得てきた仕事の件数だ」
P「・・・・・・ふむ」
社長「分かるか?この2つのグラフを見て、何が起こっているか」
P「・・・お試しでやっているだけ、と?」
社長「・・・まぁ、その感覚でいいだろう。俺から言わせれば、ウチのアイドルにも依頼が来るが他の事務所の方が優先されている、という事だ」
P「そんな・・・」
社長「御三家のプロダクションに近付いたことで普段来ないところから依頼件数が増えた、だが同時に御三家のアイドルのままでいいや、という仕事先からの意思表示」
社長「加えて、アイドルたちに出す給料の分を差し引いてのこのグラフ」
社長「つまり、相対的に利益を落としている状況だ」
P「相対的に、なら・・・」
社長「そんな気持ちじゃ、20人以上も背負ってプロダクションを生かすことなど出来ん!」
P「ひっ」
社長「このままでは支障が出るレベルの赤字になる」
社長「プロデューサー・・・これをどう乗り越える?」
P「・・・・・・」
P(どう乗り越える、かー・・・)
社長「一週間以内に企画書を出せ。爆発的に、とは言わん。だが、ちゃんと仕事を得て、確実に利益を得られる環境作りのための・・・な?」
P「分かりました・・・」
─ ○○プロ・事務室 ─
ちひろ「こってり絞られましたね・・・」
P「あ゛───っ・・・」
ちひろ「スタミナドリンク、持ってきましょうか?」
P「お願いします。集中力も忍耐力も飛んでいってしまいそう・・・」
ちひろ「経費も無駄遣いできませんねー・・・あ、私コーヒー入れようっと」
P「・・・あ゛ー」
P(と言ってもなぁ・・・環境作り・・・ねぇ・・・)
P(何が原因なんだろう?)
ちひろ「♪♪♪───♪♪」
P(鼻歌・・・?この曲は確か・・・)
P「ちひろさん、懐かしい曲ですね」
ちひろ「あ、聞こえてましたか?恥ずかしい・・・」
P「いいじゃないですか、ブラックビスケッツなんて俺も世代ですよ」
ちひろ「『Timing』はいい曲ですよね。昨日たまたま耳にする事がありまして、ずっと頭にこびりついてまして・・・」
P「懐かしいなぁ・・・ブラックビスケッツとポケットビスケッツのぶつかり合いはテレビの中とは言え白熱していました」
ちひろ「今からカラオケに行きます?」
P「ダメですよ。今は企画書を書かなきゃ」
ちひろ「あはは・・・社長もヒントなしですからねー」
P「え、ヒントなし?」
ちひろ「だって、下がった原因を教えてないじゃないですか」
P「・・・・・・あ」
ちひろ「私からヒントを出しましょうか?」
P「・・・お願いします。俺だけの問題じゃないんです」
ちひろ「・・・アマチュアって、なんでしょうね」
P(アマチュア・・・?)
P「アマチュアって言ったらプロにはまだ届かな・・・・・・ああっ!!!」
ちひろ「分かったようですね」
P「ちょ、ちょっと集中します!」
ちひろ「はい、頑張ってくださいね♪プロデューサーさん」
P(そうか、アイドルたちのプロ意識が著しく弱いんだ。だからランクが上に近付くと共に御三家と比べられ、評価が落ちてしまってるんだ・・・!)
P(このままではシンデレラではなく、イカロスの物語だ!太陽に近付くにつれて蝋の翼は解け、アイドルは堕ちていく・・・)
P(今までのようにはいかない。プロのアイドルとして育ってもらわなければ・・・!!)
翌日・・・。
─ ○○プロ・社長室 ─
P「社長、企画書が出来上がりました。お時間ある時に見ていただけませんか?」
社長「いや、今見よう」
P「お願いします」
社長「・・・ひとつだけか?」
P「・・・すみません。これだっ!って思いまして・・・」
社長「企画を出す人間なら20個30個は平気で出せるようにな」
P「この身に叩き込んでおきます」
社長「それで・・・ふむ・・・」
P「いかがでしょうか?」
社長「ぬるい」
P「・・・っ」
社長「それに毒にもならん」
P「・・・うっ」
社長「毒と薬は表裏一体、効かなきゃ意味がない。毒が薬になることもない」
社長「だが、やりたい事と目標地点が分かる。これによって何が求められるか、それが分かるものにはなっている」
社長「味付けが必要だな」
P「分かりました・・・新しいのを・・・」
社長「いや、改めてプレゼンしてみろ。俺と千川の前でな」
P「?分かりました」
数分後・・・。
ちひろ「はい、こちらは準備できました」
社長「よし、始めてくれ」
P「分かりました」
P「これより、○○プロの現状を変えるための提案と題しまして、Pが発表したいと思います」
P「始めに我が社は現在、ランクBのプロダクションであり、このまま順調に行けば早いうちにAランクへの昇進が間違いないという所まで来ています」
P「ですが、ランクの上昇につれて我が社のアイドルたちに問題がある事が発覚しました」
P「それはプロ意識の欠如です」
P(紛れもない事実だった。どんなに俺たちスタッフが頑張っても、商品であるアイドルたちが100%の力を見せることが出来なければ、1回きりの仕事になる事が多くなってしまうだろう)
P「────そこで、私が提案するのがプロダクション内でアイドルユニットを2つ作り、競わせるという方法です」
ちひろ「あれ・・・それってもしかして・・・」
P「はい、かつてテレビ番組出身の歌手グループ『ポケットビスケッツ』と『ブラックビスケッツ』という2つのグループがいました」
P「彼らの振る舞いは見ているファンが感情移入しやすく、かつ互いに切磋琢磨しやすい環境であったことは間違いないです」
P「これにあやかり、我が社でも2つのユニットを作り、競い、磨きあう事を提案します」
社長「・・・それは出来るのか?」
P「私は出来ると思います。現に20人を超える人数です、いい組み合わせが・・・」
社長「いや、無理だな」
P「・・・え?」
社長「考えてもみろ。このプロダクションに集まったアイドルたちは皆ドが付くぐらいのピュアだ」
社長「女性は非常にコミュニティを意識する。千川も経験はないか?」
ちひろ「ま、まぁ・・・あります」
社長「簡単なところだと、仲間であってもその人がいない所では平気で陰口を言う。全部が全部とは言わないが多くの女性は経験している事だ」
ちひろ「そうですね。高校時代に経験があります」
社長「それすらない、と来たもんだ。○○プロに集ったアイドルは」
社長「そんな仲良しグループを2つに分けたところで、どうだ?」
P「・・・うっ」
社長「強い効果はないだろう。あるとして、それぞれが別々の技術を得る、程度だろう」
P「・・・では、どうします?私が反論できる要素がないですよ?」
ちひろ「あはは・・・簡単に論破されてますね」
社長「簡単に引き下がるな。切り口を変えるんだ」
P「切り口ですか?」
社長「ああ。現に過去の例を言って、それがもたらしたメリットを言っただろう?」
社長「それにどうやったら近づけるか、それを考えるんだ」
P「・・・・・・」
P(つまり・・・対立をどうやって成り立たせるか、か)
社長「もちろん、完全な二番煎じはモチベーションや観客の当たりに悪いぞ?」
社長「さぁ、どうする?手立てはあるはずだぞ?」
P(今いるメンバーじゃ対立にならない・・・となると・・・)
P「新しいメンバーでユニットを作って・・・戦わせる・・・?」
社長「ほう・・・。だが、時間がないぞ?あと半年ほどしたらAランクに上がって本格的に利益に障害が発生するぞ」
P「う・・・うぅむ・・・」
社長「・・・今までで同じではダメだって事だな」
P「そうですね」
社長「終わりか?」
P「・・・・・・いえ。でも・・・」
社長「おいおい、そんなんじゃアイドル達も不安がってしまうぞ」
P「・・・・・・っ」
ちひろ「プロデューサーさん・・・」
P「外部に委託・・・する」
社長「おう、外部に委託する。そうすれば俺らは今いるアイドルに付きっ切りになれる」
社長「だが、新人アイドルを誰かに託すとなると、より優秀な人間であったり、理解力の高い人間でないと新人をドブに捨てるようなものだぞ」
P「・・・っ」
社長「委託する金は?誰を雇う?何人月必要だ?」
P「それは・・・分かりません」
社長「企画なら、徹底的に納得させる情報も必要だ。こうやって方向転換した時にも対応できるようにな」
P「はい・・・」ションボリ
ちひろ(社長さん、Pさんを後継者にする気マンマンの行動というか)
社長「・・・プロデューサー君よ」
P「はい」
社長「これ、行って来い」
P(社長からスマートフォンを手渡された。画面には・・・あるSNSのページが映された)
P「・・・新規論文のための新人アイドル募集・・・担当は青木麗・・・青木麗って・・・」
社長「マスタートレーナー、日本で指折りのトレーナーのひとりだ」
社長「彼女にネゴシエート(交渉)してこい。彼女なら4、5ヶ月あれば我が○○プロのアイドルの平均値まで育てる事は余裕だろう」
P「分かりましたっ!!行ってきます!!」バピューン
社長「あー、おいおい・・・アイツ、俺のケータイ持って行ったぞ」
ちひろ「社長さんがプロデューサーさんを叩きすぎなんですよ」
社長「そうとは思わんがな。人間だって金属みたいなもんだ。必要な時に叩き、磨き上げれば伸びる」
ちひろ「だからって・・・まぁ、プロデューサーさんが納得しているならいいんですけど」
─ 都内某所・カフェテラス ─
P(事務所を出て1時間)
P(先ほど会えないかと連絡したところ、青木さんはこの時間ならば話が出来るとの事だった。幸先が良い)
「それじゃあ、麗さん。また今度」
麗「ああ、次までにDパートのところを出来るようにしておくように」
「もちろん、すーこにも言っておくわ」
P(青木麗さんが来た。隣にいたのは・・・Coプロの相川千夏?)
麗「お待たせした。○○プロのプロデューサーで間違いないな?」
P「はい。私も先ほど着いたばかりです」
麗「他のプロダクションでの仕事が残ってしまってな。気を遣わなくてもいい」
P「・・・Coプロからは依頼されているんですか?」
麗「なんだ、知っていたのか」
P「相川さんが見えたもので」
麗「Coプロ・・・いや、御三家はほぼ週1で面倒を見ている。どこも具合はどうあれレベルが高いぞ」
P「なるほど・・・」
麗「今日は私のローテーションに○○プロを入れる事の交渉でいいのか?」
P「い、いえ!実は・・・」
・ ・ ・ ・ ・ 。
麗「なるほどな、プロデューサー殿のプロダクションの新人アイドルを・・・」
P「はい。○○プロ内のより強い活気のために今までとは違う風を得たいのです。そのためにアイドルを外部で育てる空間が欲しいのです」
麗「それで私のところに、と」
P「はい」
麗「それは私の妹でもいいのではないか?聖はいま手が空いているぞ?」
P「いえ、時間がないのです。ランクが上がる前に、新人アイドルが活躍できる場にならないといけない・・・そのために実績を持つ麗さんにお願いしにきたのです」
麗「バカ高くなるぞ?御三家を面倒見ている私をさらに働かせるとなると」
P「・・・今回、麗さんが担当したアイドルは・・・論文のための行動に使うことを許可しても・・・?」
麗「ほう?そう考えたか」
P「はい、残念ながら我が○○プロに金銭的に余裕があるとは言えません。ですが、相互に利益が得られる環境ならば・・・いかがでしょう?」
麗「・・・それは値切りか?」
P「もちろんです。麗さんに必要なアイドルは私らが用意、担当したアイドルは論文発表時の出張も優先して付き添いさせます」
麗「何人用意できる?」
P「・・・・・・」
P(ここで言い切らなければ・・・切られる・・・)
P「・・・5人です」
麗「OK、いいだろう。金銭は二の次だ、この件は○○プロとの合同プロジェクトとして立件する」
P「本当にいいんですか?」
麗「時間は待ってくれないぞ。キミも急いで動かないといけないのではないか?」
P「は、はい!」
麗「期待しているぞ、どんなアイドルを連れてくるのか。キミのセンスを期待している」
P(マスタートレーナーとの交渉は無事成功に終わった。二週間後にアイドル用意し、顔合わせする事が決定した・・・)
─ ○○プロ・事務室 ─
社長「交渉が完了した、と」
P「はい、社長に薦められたおかげです」
社長「それで、新人アイドルはどうするんだ?」
P「あ・・・えっと・・・」
七海『・・・七海がアイドルになったらライバルに勝てますか?』
詩織『アイドル・・・私も幼い頃・・・テレビで聞いて、憧れました・・・』
P「2人ほど、候補があります」
社長「残り3人はどうする?」
P「・・・スカウトしてきます」
社長「分かった、金は気にするな。日本各地走り回ってこい」
P「・・・はいっ!!」
P(俺はすぐさま七海ちゃんのお店に向かった。場所は青森、新幹線とレンタカーを使えば・・・)
─ 定食屋 ─
「はい、アジフライ定食だよ」
詩織「ありがとうございます・・・」
「お礼なんていいんだよ、孫がお世話になってるようだからね」
詩織「お世話なんて・・・私の方が助けられています・・・」
七海「詩織さんは気にしなくていいんれすよー♪」
詩織「・・・七海ちゃんには・・・ホント、助けられています」
「七海が迷惑かけないといいけどねぇ、この子はホント人懐っこいから」
七海「婆さま!七海はやるときはやるんれすよ~!」
「ホントかい?信用できないねぇ・・・」
七海「絶対信用させます~!」
「いやぁ、ベッピンさんだねぇ」
「七海ちゃんとは違うタイプ」
「儚い感じが~・・・いやぁエロい!」
七海「こら~っ!人が食べてる時にちょっかい出しちゃダメれすよ~!!」
詩織「・・・?・・・七海ちゃん、私が言われてたの・・・?」
七海「そうれすよ、このいつもの酔っ払いたちれすよ」
詩織「そ、そうですか・・・////」
「顔真っ赤、かわいい──ィ!」
「俺、嫁さん捨ててこようかな」
「嬢ちゃんどうだい?俺みたいなオッサン、イカスだろう?」
詩織「え・・・・・・その・・・」
「いい加減にせんか、このバカどもぉっ!!!!」
「「「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」」」
・ ・ ・ ・ ・ 。
詩織「・・・ごちそうさまでした」
「お粗末様でした。それにしても嬢ちゃんみたいな子がこんな所に来るなんて、孫に引きずられたかい?」
詩織「いえ・・・」
七海「プロデューサーにここにいてくれって言われたんれすよ」
詩織「私と七海ちゃんに・・・」
「へぇ、あの子がねぇ・・・」
七海「多分、詩織さんの退院祝いが出来てなかったかられすよ!お祝いしにくるんれす!」
詩織「・・・そうかしら・・・」
「いつ頃になるって言ってたんだい?」
七海「大急ぎで来るとは言ってたれすよ」
詩織「関東からだから・・・少なくとも4時間以上はかかるかと・・・」
「まったくしょうがないねぇ。今日は閉店は11時(23時)だよ」
「え、まだ飲んでていいの?」
「プロデューサーにカンパイ!サンキュー!」
「詩織ちゃん、おじさんと一緒に飲もう!!」
詩織「い、いえ・・・私まだ未成年・・・」
詩織(そう言いきる前に・・・3人のおじさんは七海ちゃんのお婆さんに拳骨されてました)
七海「でもプロデューサーどうしたんれすかね?退院祝いじゃないなら、こんな大急ぎで来る理由は分からないれす」
詩織「・・・もしかして・・・」
七海「?」
詩織「・・・七海ちゃんをアイドルとして・・・スカウトしに来たり・・・」
七海「え~?えへえへ~♪七海がアイドルれすか~」
詩織(・・・ありえそう・・・この暖かい雰囲気なら。私は彼女のこの優しい波のような雰囲気に何度も助けられている)
七海「詩織さんもアイドルになれるんじゃないれすか?」
詩織「・・・私には無理よ・・・」
七海「・・・・・・むー」
詩織(そして、午後11時になろうとしていた・・・その時だった)
P「すみません、失礼しますっ!」
「おっそいねー、どこほっつき歩いてたんだい」
P「こ、これでもまっすぐ来たんですがね・・・」
「賄い料理でいいかい?」
P「・・・あっ、ありがとうございます」
七海「プロデューサー、お疲れ様れす~」
詩織「どうしたんですか、Pさん?」
P「ちょっとね、2人とお話したくなってね」
「お、デートか?」
「開幕二股たぁ、すげぇな」
「ヒューヒュー!」
P「違いますって!!」
七海「お電話じゃダメだったんれすか~?」
P「こればっかりは顔を合わせて言わないとダメだと思って、ね?」
「やっぱり告白じゃねーか」
「わざわざ関東から来るだけあるなぁ」
「男を見せてくれ!」
P「だから違・・・」
七海「七海に告白れすか~・・・////」
詩織「・・・そういうのはまだ早いと思います・・・////」
P「あばばばば・・・違う、違うって!」
P「俺は2人をアイドルに誘おう、と・・・って」
P(って・・・勢いで言っちまったぁぁっ!?)
七海「七海がアイドルですかー?」
詩織「・・・・・・」
P「ああ、七海ちゃんとは前にアイドルになるかならないかっていう話はしたと思うんだ」
七海「したれす~」
P「・・・それで、ウチの社長と打診した結果・・・急遽ユニットを組むことになったんだ」
P「そのユニットにもしよければ、七海ちゃんと詩織さん、2人を迎え入れたい」
七海「いいんれすか~?七海はアイドルのこと、何も知らないれすよ~?」
P「別に構わない。むしろ知らない方がいい」
七海「?」
P「人伝いではなく、自分の目や肌で新しい体験をして欲しいからね」
七海「・・・えへえへ~♪」
P「?」
七海「七海はOKれすよ~♪アイドルになります~」
P「ありがとう。あとは詩織さん、返事を聞かせてください」
詩織「・・・・・・あ・・・」
P「もちろん、無理なら無理と言ってくれても構わない。俺は話をしにきたんだ、強制じゃない」
詩織「・・・・・・」
七海「詩織さん・・・」
P「・・・詩織さん」
詩織「・・・・・・」
詩織「・・・・・・私に、出来るのでしょうか。無理だと思いますが・・・」
P「アイドルを?もちろんです。以前、俺はキミに魅了された。地元の話、海の話、自分の感性のお話・・・そしてそれを話すキミに」
P「・・・俺の感性が狂ってるとは思わない、魅了されてなければ、人徳がなければ、七海ちゃんは懇意にしていない」
七海「コンイ・・・?」
P「親しいってことさ」
七海「えへえへ~♪詩織さんとは一緒にいること多いれすよ~」
詩織「・・・ですが、私は・・・」
P「人の顔が見えないことなんて、個性でしかない。苦痛に感じていた時期があったとしても、今は違うだろう?」
詩織「・・・・・・はい」
P「その個性があったから、俺と出会えた。七海ちゃんと出会えた。この店でこうやって再び会えた。違うかな?」
詩織「はい」
P「その自分だけが持つ感性で、たくさんの人を魅了して欲しい。俺はそう思って、キミをスカウトしにきた」
P「改めて聞きます。詩織さん・・・アイドル、やってみませんか?」
詩織「・・・私で、いいのですか?」
P「もちろん」
七海「七海も大賛成れすよ~」
詩織「分かりました・・・その話、受けます」
P(こうして、浅利七海と瀬名詩織は・・・○○プロのアイドルになった)
七海「婆さま~、アイドルになるれすよ~」
「そうかい、ここも寂しくなるね」
七海「大丈夫れす、有名になってテレビに映るれすよ~」
「はいはい、そうだそこの2人」
詩織「私、ですか?」
P「どうかしましたか?」
「今日はもう遅い、泊まっていきなさい」
詩織「え」
P「え」
七海「わーい、一緒にお風呂入りましょ~」
P(さすがに一緒に風呂に入ることはなかったが、3人で川の字になって寝ることになった・・・)
・ ・ ・ ・ ・ 。
次の日。
P「おばあちゃん、お世話になりました」
「気ぃつけて帰りな、孫を世話するヤツが怪我されちゃ、困るからね」
P「あはは・・・お気遣い感謝します」
P「それじゃあ、七海ちゃん、詩織さん、後ほど連絡します。親御さんの所に直々に行かないといけないからね」
七海「はいれすよ~」
詩織「・・・分かりました・・・沖縄の海、是非その目で見てください・・・」
P「もちろん」
・ ・ ・ ・ ・ 。
P(俺は、また同じだけを莫大な時間をかけて事務所周辺に戻ってきたのだった)
P(・・・あと3人か・・・。どんな人をスカウトすべきだろうか)
P(詩織さんはいつか壊れてしまいそうガラスのような雰囲気があり、七海ちゃんは芯からある元気って感じ・・・)
P(何を入れれば、バランスがいいだろうか)
P(・・・あー、分からん。誰かに話を聞いてもらいたいぐらいだけど、秘密にしなきゃいけな・・・)
P(話を聞いてもらう・・・?そうだ!)
P(俺は新たな出会いを求め、朋が太鼓判を押す占い師の下に向かった・・・)
─ 都内某所・公園 ─
P「・・・あ、いたいた」
P(朋が言うには、18時以降のとある公園前で店を開いているとのことだった)
P(・・・人気がなくなった公園の前に、小さな明かりをつけたテーブル。間違いない、あそこだろう)
P「すみませーん」
「なんでしてー?」
P(座っていたのは、和服を着たとんでもなく若い女性・・・いや女の子だった)
P(この人で合っているのだろうか・・・不安に残る)
P「え、えっとぉ・・・」
「・・・・・・」ジー
P(いやいや、Paプロの片桐早苗のように異常なまでに若い人とかいるから人を見た目で比べてはいけないな!)
「・・・・・・」ジー
P「いま、人探しをやってまして、占って欲しくてですね」
「・・・、誰を探しているのでしてー?人探しならお任せをー」
P(彼女は興味を示したようで、俺の顔をじっと見つめてきた)
P「えっとぉ、誰か、というわけではないのですが」
「?」
P「5人の新しいメンバーを探してくるというのが今、私に課せられた使命なんです」
「そなたの使命ですかー」
P(ずいぶん古風な喋り方だな)
P「2人は見つかったのですが、残り3人が見つからないのです。どんなメンバーを探せばいいのか、今のメンバーと合うのかどうか」
「・・・・・・」
P「・・・占いで見つからないかなーと思いまして・・・って、甘えすぎですよね・・・あはははは・・・」
「顔をー、もっとこちらへー」
P「え、はい」
P(俺はテーブルに手をつき、彼女に従って顔を近づけた。顔のシワで調べる人なのかな?)
「・・・・・・」
P(ち、近い・・・。彼女は俺の顔をやや強引に引きこみ、瞳を覗き込んだ)
P(柔らく小さな手が俺の頬にしっとりとくっつくのがなんともくすぐったい)
P「あ、あの~」
「見つかりましてー・・・そなたのまなこにはー、見えていましてー」
P「え?」
「情緒なる空気を洗浄する使徒がいてー」
P「く、空気の洗浄?空気お掃除?」
「星空のしたー、そなたが抱く父なる布団がありましてー」
P「父なる布団????????」
「そなたに抗い続ける、へこたれない発案者がいましてー」
P「へこたれない発案者・・・」
「そなたの下に集う、女子(おなご)はー、そんな人たちなのでありましてー」
P「・・・・・・」
「────でしてー」ジー
P(これらはキーワードなのか・・・?)
「そなたー?」
P(これを辿れば、残りの3人が見つかるというのか・・・!?)
「ねーねー、聞いてましてー?」
P「ありがとうございます!さっそく走り回って探してきます!!」
「・・・・・・」
P(でもすごいな、女性を探してるなんてパッと分かるなんて・・・)
・ ・ ・ ・ ・ 。
「おっとおっと、お手洗い探しに遠くまで行っちゃったよ。仕事のモノ、盗まれてないか、な・・・誰だい、アンタ」
「この場をお借りしましてー」
「イス探してたの?別にいいけどさ・・・、嬢ちゃんみたいな子じゃ襲われちゃうよ?」
「お気遣い、まことに感謝なのでしてー」
「占ってく?ただにしてあげる」
「・・・・・・」
「女の子なら、恋占い大好きでしょ?」
「もちろんでしてー」
「・・・んじゃ、手を出して・・・ん!?」
「・・・どうかしましてー?」
「ん!?いいねぇ、恋愛するなら今だって書いてあるよ」
「もちろんでしてー」
「ふーん、今恋してる?」
「先ほどにー、伴侶となるべく男と出会いましてー」
次回のおまけに続く
以上でおまけは終わりです。
ちょっと長くなりそうなので、二分割したいと思います。次回はアーニャ、雅、あずきのスカウトに向かいます。
第4回の総選挙が終わりましたね、優勝はやはりすーここと周子ちゃんになりました。おめでとう!
私の推しメンである巴ちゃんも25位に、なかなかいい順位にいます。
不満があるとするなら3回に渡って選挙の時の月末ガチャ1番手がCoだったことぐらいでしょうか。
次回があるならCuを一番手にしてあげてほしいですね。
ではまた。
乙なのでしてー
芳乃もあっさり陥落する辺り
○○のPは常時フェロモンを発する天外君体質なのか?
>>155
天外君ってなにかなーと調べたら、20年ほど前の漫画の主人公なんですね。
確かにこの作品のPこと○○Pは、困った子は捨て置けない、志希にゃんからはオットセイに近いフェロモンなんて言われてたり・・・とどこか似てますね。
蛇足ですが、オットセイのオスの中には100頭のメスを従える事があるそうです。
180人ものアイドルに信頼され、外堀を埋められるような行動をされるゲーム中のプロデューサーは人間じゃなくて本物のオットセイなんじゃないかなーと思います。
次々回に追加タイトルです。
・古澤頼子「モナリザの微笑」
ではまた。
時系列無視した突拍子もないおまけその2
榊原里美「ほえ~、おにいちゃん見つけましたぁ」
喜多見柚「ねーねーPサン♪ちょっといい?」
P「んー?どうした?」
柚「5人で名乗りを作ってみたんだけど、見てみてよ」
里美「がんばりますぅ」
P「・・・名乗り?」
みちる「レッドシスター!」
朋「ブルーシスター!」
柚「イエローシスター!」
里美「ピンクシスタぁ」
アーニャ「ホワイトシスター」
「「ブラコン戦隊!ファイブシスターズ!!!」」
P(絶句)
朋「どう?今日の占いで家族と力を合わせるといいでしょう、ってあったから考えてみたんだけど」
みちる「特撮番組みたいでかっこいいですよね!?」
アーニャ「выразительность、みんなで精一杯表現しました」
P「え、ああ、うん・・・」
柚「Pサンも納得の出来だよねー?」
里美「ほわぁ・・・おにいちゃん、頭抱えてますぅ」
P「そら(5人揃ってブラコン宣言したら)そう(やって頭抱えたくなる)よ」
朋「それでどうかな、P!?これでユニットにしてもいいんじゃないかな?」
P「は?」
朋「今となっちゃ仲良し5人組だし」
P「お前ら誰の妹になるつもりなんだい?」
みちる「え?えーっとぉ・・・」
柚「まぁ、順当に言ってPサン」
P「炎上確定じゃないか」
里美「ほぇぇ、燃えちゃうんですかぁ?」
P「当然だよ、んなファンだって自分と関係ない女性応援したってなんも嬉しくも楽しくもないもの」
アーニャ「残念、です」
P「アーニャまで何やってんの・・・」
アーニャ「みんなと一緒が、一番ですから」
P(右ならえを一番としてるあたり、アーニャも日本人だなぁ・・・)
朋「はぁ・・・残念、せっかく練習したのに・・・」
みちる「ですねー、まぁ・・・Pさんに見せただけでも」
朋「世間一般に兄が大好きです!なんて言ったアイドルはいないもの、絶対伝説になれると思ったのよ」
柚「悪い意味で伝説になりそうだよ」
P(世間一般に・・・シスター・・・)
朋「ん?Pどうしたの?」
P「いや、ちょっと思いついたことがあってな」
一同「?」
数日後・・・。
みちる『レッドシスター!』
朋『ブルーシスター!』
柚『イエローシスター♪』
里美『ピンクシスターぁ』
アーニャ『ホワイト・・・シスター!』
みちる『我ら、迷える子羊を救い出す!』
『『教会戦隊!ファイブシスターズ!!!』』
ちひろ「・・・・・・なんですかコレ」
P「たまたま、ドラマの役で面白いシスター・・・というか修道士探していたところがありまして」
ちひろ「それで・・・この5人?なんでですか?」
P「電波というか、たまたま俺の目に入ったというか」
ちひろ「まぁ・・・いいですけど」
みちる「このシーンの為に何十回も練習したんですよ」
朋「おかげで変なところに筋肉痛が出来ちゃうくらいなのよ」
里美「柚ちゃーん、肩揉んであげますねぇ」
柚「あぅぅ、すっごく効くよぉぉぉぉ・・・」
朋「あ、里美ちゃん、次アタシにお願い♪」
里美「は~い」
アーニャ「ミッチーには私がやってあげます」
みちる「いいですよー(否定)ああっ、いいですよってそっちの意味じゃなくてー」
ちひろ「ふふふっ、みんな頑張ってきたみたいですね。おやつ買ってきてあるんですよ。食べますよね?」
一同「お願いしまーす♪」
ちひろ「それじゃあ、お茶入れてきますねー。プロデューサーさんにはドラマの現場のこと色々聞かせてもらいますからねー」
P(言えない・・・!これが妹の方のシスターのつもりでやってるとか、教会で色々アブない発言された事とか、言えるはずがない・・・!!!)
ちなみにドラマの方は色物回としてそこそこいい視聴率が取れたそうな・・・。
おまけその2終わり
ちょっと次の話を投稿するのが遅れそうなので、小休止にこんなお話をば。
アイドルと家族だー、兄弟だーというSSはいくつかありますが、こんな色物なのは私のところだけなのではないでしょうか?
こんな色物だからまとめサイトに採用されにくいんでしょうね、たぶん
これで私もレア物か・・・(メタナイト感)
ではまた、次のお話で。
好きだけどこうやって後ろに小話追加されるからまとめづらいのでは?
まぁwikiからたどれるからまとめサイトにまとめられなくても読めるから読者がわからしたらそんなに困らないけどね
>>168
あー、そういう考え方の方が正しいかもしれませんね・・・
wikiそのものがまとめみたいなところもありますしね
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