西川保奈美「首が回らない」 (82)
アイドルマスターシンデレラガールズのSSです。
当SSはアイドル名「ことわざ」でタイトルをつけているシリーズです。
以前のお話に戻る場合はSS wikiを通ってください。
http://ss.vip2ch.com/ss/%E3%80%90%E3%83%87%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%80%91%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%81%96%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA
前々回
早坂美玲「窮鼠猫を噛む」
早坂美玲「窮鼠猫を噛む」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1423/14234/1423442123.html)
前回
大和亜季「九死に一生を得る」
大和亜季「九死に一生を得る」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/kako/1425/14252/1425268281.html)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426590643
─ 前回のお話 ─
・小松伊吹が誘拐される
・その日の内に救助する事に成功!
・だが・・・モバP(以下P)は凶弾の餌食となってしまう
─ ○○プロ・事務室 ─
千川ちひろ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
西川保奈美「ちひろさん、大丈夫ですか?」
ちひろ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
保奈美「ち、ちひろさん?」
梅木音葉「保奈美ちゃん・・・」
保奈美「はい?」
音葉「ちひろさんは・・・言うならば修羅場なので・・・放っておいてあげてください・・・」
保奈美「は、はい」
音葉「Pさん・・・いないので、全部の仕事がちひろさんと社長に上積みされているんです・・・」
保奈美「なるほど・・・」
ちひろ「もう三徹目です・・・ああああああああああ」
保奈美(お疲れ様です・・・)
保奈美(私たちのプロデューサー・・・Pさんが大怪我をしてから早一週間。阿鼻叫喚と言える毎日が続いた)
保奈美(私たち、新人アイドルらは元々レギュラーがWEBラジオしかなく、幸いにもPさんが動けなくとも仕事をする事はできた)
保奈美(その新人アイドルがテレビ局にお世話になる場合は既に活躍している朋さんや雪乃さんなどの先輩アイドルと共に活動する事が基本だったので同じく問題なく仕事する事ができた)
保奈美(問題は・・・私たち○○プロのメインユニット、『エキサイトダンサーズ』、『ともキュービック』の両方が活動休止状態である点である)
保奈美(『エキサイトダンサーズ』からは小松伊吹、『ともキュービック』からは村上巴・・・)
保奈美(この2人が活動できない状態に陥っている)
保奈美(幸いなのが2人共アイドルを嫌ったわけではないという点にある。実際、巴ちゃんはレッスンには参加している)
保奈美(でも以前より・・・笑顔が減ったのは・・・確か)
保奈美(良い言い方ではないけど、皆それぞれPさんに依存していたのは確か。今、この穴を塞ぐのはほぼ無理)
社長「・・・皆、いるか?」
保奈美「社長・・・伊吹さんがまだ寝込んでいて、柚ちゃんと里美さんの2名がPさんの側から離れられない状態です」
社長「・・・そうか。まぁ、仕方ない」
音葉「何か・・・ありましたか?」
社長「この後、17時に会議室に全員集合するよう、皆に呼びかけておいてくれ。俺からもメールするが、こういう時は呼びかける方が確実だろう」
音葉「分かりました」
保奈美「レッスン場にいるメンバーにも掛け合っておきます」
保奈美(社長さんもPさんが活動できない分、色んな場所へ駆け回っている。彼の顔に余裕が見えないのは・・・やはり・・・)
ちひろ「ああああああ!首がまわらなーい!!!!!物理的にもー!!!」
保奈美「首が回らない?」
ちひろ「しゅ、出費が激しすぎるんですよ・・・」
保奈美「そんなにですか?」
ちひろ「・・・後々分かります。多分、会議で・・・」
保奈美「・・・?」
保奈美(・・・もしかして・・・違約金とかかしら・・・?)
保奈美(そして、17時となった)
─ ○○プロ・会議室 ─
社長「皆、集まったか?」
西島櫂「はい、問題ありません!」
成宮由愛「こちらも・・・問題ありません」
藤居朋「ともキュービック揃ってまーす」
村上巴「・・・・・・」
大和亜季「・・・・・・はい」
社長「欠席者は・・・喜多見柚、榊原里美、小松伊吹の3名で問題ないか?」
ちひろ「もう1人、佐藤心さんがお休みされてます」
社長「佐藤が?・・・まぁ、連日小松の代わりに動き回っていたからな。今日、レッスンも収録もないなら・・・不問としよう」
ちひろ「ありませんね。今日伝える内容は・・・えっと、その・・・」
社長「・・・どうした?」
ちひろ「・・・え・・・う・・・」
亜季「ちひろ殿?」
ちひろ「あっ、む・・・り・・・」バタッ
保奈美「ちひろさん!?」
ちひろ「・・・すーぅ・・・すー・・・」
社長「千川もダウンか・・・ここまでよくやってくれた」
ちひろ「・・・すー・・・ずー・・・」
社長「誰か、倉庫から毛布を持ってきてくれ。千川を下のソファで寝かそう」
由愛「私、持ってきます・・・」
・ ・ ・ ・ ・ 。
社長「・・・普段はすぐにプロデューサーが起きてくれたから、皆のモチベーションが維持されていたが」
朋「正直、次、誰が倒れるか分かりませんよ」
音葉「・・・皆を包む空気が・・・暗く、黒いです」
社長「それは少々マズいな」
櫂「それで社長、今日集められたのって?」
社長「あまり言える状況ではないがな。まずは業務連絡からだ。先に言っておく、俺が喋りきるまでは誰も口答えは許さん」
一同「・・・・・・?」
社長「まず1つだ。Pを解雇した」
一同「っ!?」
朋「ちょ、ちょ、どういう事!?」
音葉「Pさんが・・・どうしてっ・・・!?」
社長「話は最後まで聞けと言ったはずだ」
朋「っ、Pがいないならあたし、アイドル辞めるわっ!!!」
社長「最後まで聞け!!」
朋「・・・ごめんなさい」
社長「本当は休職止まりにしたかったんだがな。Pの解雇には2つの理由がある、まずはいつ起きるか分からないという点から給料を出してられない、という運営的な件」
社長「そして、大金を会社から出すための言い訳のためだ」
朋「大金?」
社長「こういう言い方もなんだが、今まででPが怪我した時、すべて次の日には起きていたため給料からの天引きなどの契約が立てれていた」
社長「だが、起きなければこういう契約も立てられん。その都度やってたツケってやつだな。そこで横領ではない形で会社から大金を渡すにはある方法しかなかった」
音葉「退職金・・・」
社長「そういう事だ。残念ながら、この会社は株式で回している。金の使い方を確認される事があるからな・・・、会社から大金を出してやるにはこうするぐらいしか・・・」
朋「そんな・・・」
社長「Pは簡単な保険には入っていたんだが、今回のような長期間の入院に対しての保険には入ってなかった」
櫂「それって・・・全額払うってこと・・・?」
社長「新しい保険を探していたみたいだが、決まる前にこうなってしまうとな・・・・。勝手に銀行を開ける訳にもいかないため、こうなった」
亜季「社長、P殿を外してどうするのでありますか?」
社長「そこでだ、少し待ってろ」
・ ・ ・ ・ ・ 。
社長「ご紹介しよう。青木慶さんだ」
朋「青木?あれ、もしかして・・・」
青木慶(以下ルキ)「はい、お姉ちゃんがお世話になっています!」
社長「○○プロのトレーナーを受け持ってくれている青木明さんのご紹介で妹である青木慶さんをマネージャーとして雇うことになった」
ルキ「現在、体育大学に在学中の身ですが、よろしくお願いします!!」
一同「よろしくお願いします」
社長「しばらくはアルバイト扱いでマネージャーを。卒業後はしばらくはここで専属トレーナーとして働く事になっている」
ルキ「みなさん、これからよろしくお願いします」
由愛「よろしく・・・お願いします」
朋「・・・・・・よろしく」
音葉「・・・はい」
ルキ「あはは・・・あんまり、歓迎されてないみたいですね」
社長「仕方ない。皆、あのプロデューサーと仲が良かったからな」
ルキ「代わりに入れられても・・・って感じですね、よしっ!」
社長「?」
ルキ「あとでみんなでご飯を食べにいきましょう!何事も仲良くなるにはご飯を食べて、腹を割って話すのが一番です!」
社長「・・・すまない、資金の使用には余裕がない状態だ」
ルキ「え、えぇ!?」
社長「・・・あの計画が成功すれば話が変わるんだがな・・・」
ルキ「計画?」
社長「口が滑った、まだ構想状態のものだ。気にしないで欲しい」
ルキ「はい」
社長「次に・・・皆も気になるだろうプロデューサーの今後だ」
朋「Pをどうするつもりなの?」
社長「・・・我々○○プロは現在Bランクのプロダクション、これが今のプロダクションの現状だ」
社長「そして、現在のペースならば一ヶ月後にAランクに格上げされる」
櫂「ランクが上がれば・・・採用できるスタッフが増える!」
社長「その通りだ。Aランクに上がり次第、プロデューサーを回収する予定だ」
朋「・・・・・・ふぅ」
音葉「・・・ひとまず安心です・・・」
社長「この中にプロデューサーに戻って欲しくないという人はいるか?」
一同「・・・・・・」
社長「口に出しづらいだろう。意見がある人間はあとで社長室に来てくれ。なるべく意見を汲みたい」
一同「・・・・・・」
社長「まぁ、この中であのプロデューサーに戻って欲しくないと願っているヤツはいないだろう」
社長「こうやって冷たい視線を見せているヤツが何人かいるわけだしな」
音葉「・・・・・・」ジー
朋「・・・・・・」ジー
社長「皆で力を合わせてこのプロダクションをAランクに育て上げよう。よろしく頼むぞ」
一同「はい」
社長「次だ。次の報告が一番大事だ」
朋「Pの命より大事なものなんてあるんですか」
社長「そのPが自分の時間を捨ててまで作り上げた企画書がここにある」
朋「む・・・」
社長「Aランク昇級記念、新規ユニット案だ」
由愛「ユニットを組むんですか?」
櫂「今の皆の沈みようからして・・・ちょっと辛いものがないですかね?」
社長「だが、何もしなければこのプロダクションは潰れていく一方だ。いる人間でなんとかしなければならない」
社長「既にメンバーは決まっている。当然、スタッフ全員とトレーナーの皆で選び抜いている、呼ばれた者は自信を持って前に出てくれ」
社長「イヴ・サンタクロース」
イヴ・サンタクロース「はーい☆」
社長「西川保奈美」
保奈美「え、私ですか?」
社長「返事」
保奈美「はい!」
社長「成宮由愛」
由愛「はい」
社長「村上巴」
由愛「巴ちゃん・・・」
巴「・・・はい」
社長「そして、このユニットのリーダー」
社長「大和亜季」
亜季「私で・・・ありますか?」
社長「不服か?」
亜季「い、いえっ!!不肖、大和亜季!頑張らせていただきます!!」
社長「よろしい」
社長「この5人が・・・新しいユニット『ソルシエールズ・デ・ボヌール』となる」
櫂「ぼ、ぼぬーる?」
社長「フランス語で『幸せの魔女たち』という意味で、スタッフ一同がファンやアイドルのみんなに幸せになって欲しいと付けた名前だ」
亜季「『幸せの魔女』・・・」
社長「基本的には『ソルシエールズ』と呼ぶようにする。世間一般的に伝わるようにな」
社長「今まで、俺たちスタッフ全員はアイドルである女性を魔法をかけていくように育ててきた」
社長「その女性が魔法を使えても、なんらおかしくはないだろう?」
イヴ「私、サンタで魔法使いになっちゃうんですかー?」
社長「そうなるな」
イヴ「頑張りま~す!ね、皆さん!!」
由愛「・・・え、ええ」
保奈美「そうね」
巴「・・・・・・」
亜季「・・・そ、そ、そうでありますな」
イヴ「?」
社長「まぁ、まだ戸惑う事が多々ある中、急にユニットと言われてもピンとは来ないだろう。だが、時間が迫っている、気持ちを切り替えるように!」
─ 病院・Pの病室 ─
喜多見柚「・・・・・・今日も、起きないね」
榊原里美「・・・ほぇぇ、そうですねぇ・・・」
柚「・・・Pサン、早く・・・起きてよ」
柚「起きてよ・・・、ねぇってば・・・」
里美「柚ちゃん」
柚「お父さんもお母さんも・・・Pサンまで・・・やだぁ・・・やだよぉ・・・」
柚「起きてよぉ・・・叱ってよぉ・・・また1人になるのはヤダよぉ・・・」
里美「柚ちゃん、ぎゅ~・・・ですよぉ。泣いちゃダメですよぉ・・・?」
柚「うぁぁぁぁぁぁっん・・・!!ぁぁぁぁぁぁぁっ・・・!!!」
里美「おにいちゃん・・・」
柚「ぁぁっくっ・・・うぅぅぅ・・・!」
里美(ほぇぇ、柚ちゃん・・・ずっと泣いています。いつもだったらおにいちゃんが慰めてくれるのに・・・もう一週間、こんな調子なんですぅ・・・)
里美「おにいちゃん、早く起きてください~・・・」
カツカツカツ・・・・・・
里美(誰か来ましたぁ・・・?)
ガラッ・・・
「あれ、先客がいるれすね」
里美「どなたですかぁ?」
「・・・アナタは、確か」
柚「ぐずっ・・・だれ・・・?」
「七海は七海れすよ。この方は詩織さんれす」
柚「?」
瀬名詩織「・・・えっと・・・その、その髪型・・・えっとっ」
浅利七海「榊原里美さん、れすね」
詩織「そうね・・・」
七海「もう一人は喜多見柚さんれす」
詩織「・・・初めまして、喜多見さん、榊原さん・・・。瀬名詩織と申します・・・」
二人[首を縦に振る]
七海「浅利七海れす!詩織さんのお付きをしているんれすよ~」
里美「お付き?」
詩織「ちょっと・・・脳というか・・・目の病気で・・・顔が見えないの」
柚「顔が・・・」
詩織「その事で・・・ちょっと前にね・・・Pさんに助けられたわ」
柚「どこで柚たちの事を・・・Pサンが言ったの・・・?」
詩織「ええ。いっつも・・・楽しそうに言ってたわ。従妹と仲良くて・・・4人が姉妹みたいだって」
柚(帽子を深くかぶった人は・・・遠く眺めるようにPサンを見つめていた)
詩織「喜多見さんも・・・Pさんに救われた人・・・でしょう?」
柚「そ、そうだよ・・・今は家族みたいにして過ごしてる」
詩織「ふふっ・・・仲間と家族を大事にする、可愛い女の子・・・」
七海「プロデューサーの言ってた通りれすね~、ウィンクも似合いそうれす」
詩織「・・・私には、ウィンクが分からないけど・・・優しく、可愛い雰囲気・・・それぐらい分かるわ」
柚「・・・ありがとう、ございます」
詩織「榊原さんも・・・ほんわかだけど真面目な子・・・って聞いてるわ」
里美「ありがとうございますぅ」
詩織「今日は・・・もちろん、Pさんの事でやってきたの・・・大怪我したって・・・」
里美「・・・そうなんですぅ。背中を・・・撃たれちゃって」
詩織「そう・・・」
七海「痛そうれす・・・」
柚「傷も治まりはじめて・・・今は安定しています・・・でも」
柚「でも、もう・・・一週間も寝たまま・・・」
詩織「・・・そうですか」
七海「・・・・・・」
詩織「七海ちゃん、ちょっと耳を貸して・・・」
七海「なんれすか~?」
詩織「────」コソコソ
七海「・・・・・・」
柚「?」
七海「了解れす。・・・七海も腹を決めました」
詩織「・・・ありがとう、七海ちゃん」
カツカツカツ・・・
柚(足音?)
柚(そう頭に浮かんだ矢先、銀髪の女の子がこの部屋に入ってきた)
「シオリ、ナナミ、準備が」
詩織「・・・もう、ですか」
「ミヤビのママが、早く着い・・・っ、брат・・・」
詩織「見ないほうがいいわ・・・でも、安定しているそうよ。起きるのを待ちましょう」
「Да・・・」
詩織「・・・行きましょう」
七海「はい」
詩織「喜多見さん、榊原さん、今日はありがとう・・・またどこかで会えたら・・・」
里美「は~い」
詩織「Pさん、また来るわ・・・今度は皆で・・・」
柚「・・・待って!」
詩織「?」
柚「・・・アナタたちは・・・誰?」
詩織「・・・瀬名詩織・・・って名乗ってなかったかしら?」
柚「違います!そうじゃない・・・Pサンとは・・・」
詩織「私たちは────」
─ ○○プロ・会議室 ─
朋「ようこそ、19歳の集いへ・・・」
ルキ「え?え?え?」
櫂「慶ちゃん・・・でいいよね?」
ルキ「はい!ぜひ皆さんもそう呼んで下さい!!」
朋「慶ちゃん、ここに呼ばれたのは・・・分かるわね?」
ルキ「え?えーっと・・・」
朋「・・・・・・」ジー
音葉「・・・」
イヴ「?」ニコニコ
ルキ「・・・イジメられるんですか?」
朋「・・・もし、Pが○○プロに戻らないのなら、そうしてるわよ」
ルキ「ひぃ!?」
櫂「まぁ、ウチのプロダクションは不思議なところだからねー」
朋「でも、Pはプロダクションに戻れるプランがある。慶ちゃんをリンチなんてしないわ」
ルキ「・・・ふぅ」
音葉「・・・慶さんには、人一倍頑張って欲しい」
ルキ「え?」
・ ・ ・ ・ ・ 。
ルキ「なるほど。『ソルシエールズ』をサポートしてほしいと」
イヴ「そうなんですぅ~♪」
朋「Pを戻すにはこのユニットのスタートダッシュを成功させるのが一番よ」
櫂「もちろん、プロダクションをランクアップさせる意味でも」
ルキ「任されました!皆さんのご期待に応えられるよう頑張ります!」
ルキ「早く、みんなの仲間って認めてほしいですしねっ!」
朋「・・・頑張ってね。いま、このメンバーは問題だらけだから」
ルキ「問題、ですか」
朋「5人中、イヴちゃんを除いた全員が精神的に不安定な状況よ」
ルキ「4人も・・・」
櫂「あたしからすれば事務所のメンバー全員がヤバいよ」
朋「・・・・・・否定しないわ」
音葉「・・・・・・」
ルキ「分かりました。まずは・・・その4人に声をかけてみたいと思います」
朋「お願いね」
─ 大和宅・亜季の部屋 ─
亜季(もう・・・お昼でありますか)
亜季「・・・・・・はぁ」
亜季(P殿・・・私があの時、止めていれば・・・)
亜季(警察にちゃんと話して、彼らに任せておけば・・・!)
亜季「上司を正すのも・・・部下の役目であります」
亜季「あの時、P殿を止められていれば・・・」
「姉者うっさい」
亜季(・・・ブツブツと言っていたのが壁越しに聞こえていたのでしょう。妹が私の部屋をバンッと開けて顔を覗かせていました)
「ってか姉者。今日、仕事じゃないの?」
亜季「・・・今日はないよ・・・。うん、ない」
「・・・レッスンは?」
亜季「・・・私は明日だったはず」
「学校は?」
亜季「今日は授業取ってないよ」
「・・・・・・じゃあ、寝てれば?」
亜季(言葉だけ見れば・・・辛辣に妹は言ってきました。でもこれが、毎日グチグチ言っていた私への最大限の配慮)
亜季(自分の中でいかに・・・誰かに頼りっぱなしの生活をしていたか。P殿がいかに自分の中で大事なモノだったか)
亜季(今なら・・・分かる。バカにしていたわけじゃないが、朋ちゃ・・・朋殿やミッチー殿をまったく笑えない)
亜季「・・・寝れないよ」
「だからと言って、部屋に篭ってブツブツ言われるのも困るんだけど」
亜季「・・・ごめん」
「その『P殿』は姉者の何なの?」
亜季「そんなことまで聞こえてたの・・・?」
「余裕」
亜季「・・・あはは・・・」
「彼氏?」
亜季「違う!」
「でもさ、毎晩PさんPさん言ってたらそう考えるよ」
亜季「・・・む」
「そんなにPさんの事つぶやいてるんだったら、(自主規制)って寝ろとしか」
亜季「ちょっ・・・っ////」
「P殿、P殿ってさ」
亜季「下品でありますっっっ!!!!!!!////」
「あ、元気出た。それでいいんだよ、姉者は」
亜季「む、むぅ」
「んじゃ、その顔で下に来てね。お客さん来てるから」
亜季「お客さん?」
─ 大和宅・リビング ─
ルキ「お邪魔してます」
亜季「あっ、えっと・・・慶殿」
ルキ「はい、慶ちゃんです」
亜季「今日は・・・どうしたのでありますか?」
ルキ「他のアイドルの皆さんから、亜季さんが元気ないと聞いたのでお話だけでも、って思いまして」
亜季「・・・あははは・・・面目ないであります」
ルキ「新米であるわたしになら、もしかしたら言える事もあるはずです」
亜季「・・・・・・」
ルキ「なにか、相談事とかありませんか?」
亜季「・・・そうですね・・・」
ルキ「些細な事でも・・・いいんです。わたしは皆さんのマネージャーでトレーナーです。アイドルの為なら頑張っちゃいます」
亜季「・・・・・・」
ルキ「もし口に出せないのであれば、メールアドレスを教えしま」
亜季「大丈夫です!言います!」
ルキ「は、はい!教えてください!」
亜季「実は・・・」
ルキ「えっ!?銃が怖くなった!?」
亜季「あはは・・・ミリタリーアイドル失格です」
ルキ「・・・まぁ、話を聞いただけですけど、とんでもない事が起こったそうですね」
亜季「・・・私がP殿に変な助言を言ってしまったために銃で撃たれてしまったんだと思います」
亜季「モデルガンを見たら・・・P殿が撃たれる瞬間を想像してしまって・・・、頭の中から離れなくなって・・・」
ルキ「・・・・・・」
亜季「あの時、ちゃんと警察に任せるよう伝えられれば・・・無理やりにでも止められていれば・・・」
ルキ「悔やんでも起きた事はしょうがないですよ」
亜季「でも・・・っ!」
ルキ「だからと言って恐れ怯えるのはミリタリーアイドル大和亜季さんではありませんよね?」
亜季「・・・・・・っ」
ルキ「危険なモノである事をしっかりと伝える力も持ってる。本来、危険なモノを自分の魅力にする力も持っている」
ルキ「わたしはまだ映像でしか亜季さんを知りません。でもその亜季さんなら教えてくれます」
ルキ「銃の対処法とか、犯罪防止の行動とか」
亜季「・・・私は・・・」
ルキ「克服は1日2日で出来るとは思えません。ですが、見てみましょう、自分が輝いている姿を」
亜季「自分の輝いてる姿・・・」
ルキ「大丈夫です。自分を肯定してくれる人はたくさんいます」
ルキ「その人たちを裏切らないように・・・頑張りましょう!今日からわたしも付いてます!」
亜季「・・・・・・はい」
ルキ「あ、そうだ!わたしがお世話になったカウンセラーの人、ご紹介しますね!」
亜季「カウンセラー・・・慶殿も、何か迷ったことがあるのでありますか?」
ルキ「あはは・・・、わたし4人姉妹の末っ子でみんなトレーナーなんです」
ルキ「それで、最初はわたしもトレーナーになるって意気込んでたんですが、勉強すればするほどお姉ちゃんたちの凄さが分かって・・・萎縮しちゃってた時代があるんです」
ルキ「っていうか、今もですけど」
亜季「・・・あははは・・・」
ルキ「でも、心のどこかにトレーナーになりたいって気持ちが残っていて・・・捨てる事すらできなくて・・・」
亜季「それでカウンセラーに聞いてもらった、と」
ルキ「はい、学校の先生に心配されちゃいまして・・・」
ルキ「でもその時、気付いたんです。わたしはわたし1人で生きてないな、って」
亜季「自分1人・・・」
ルキ「自分がトレーナーになる事でお姉ちゃんたちに迷惑かかるかも・・・って怖くなっても、やらなきゃ同じ舞台には立てません」
ルキ「その恐怖を・・・誰かに聞いてもらったり、相談したりして・・・克服するんです」
ルキ「たとえ、姉と比べられたとしても、わたしには、わたししかなれませんから」
亜季「私には・・・私しかなれない・・・」
ルキ「そうです。ミリタリーアイドル大和亜季には大和亜季さんだけしかなれません」
亜季「・・・・・・」
ルキ「・・・・・・」
ルキ(亜季さんはじっと、テーブルに投げ捨てられていたエアガンを眺めていました)
ルキ(でも・・・その瞳は何かを覚悟したような・・・そんな目でした)
─ トレーニング場 ─
ルキ(亜季さんの方はトリガーを元に連想してしまうモノでした。時間と踏み越える心さえあれば・・・戻ってこられると思います)
ルキ(あとは巴ちゃん、由愛ちゃん、保奈美ちゃん・・・)
ルキ(彼女たちはトレーニング場にいると聞いて、足を運びました)
由愛「・・・・・・ッ」
巴「・・・ッ!・・・ッ!」
保奈美「・・・・・・ッ!!」
ルキ(ダンダンという足音。これはステップ?個人レッスン中なのかな)
ルキ「こんにちはー」
相原雪乃「ごきげんよう、新人トレーナーさん」
ルキ「慶ちゃんと呼んで下さーい」
雪乃「慶ちゃん、どうしましたか?」
ルキ「朋さんからあの3人を見てくれ、と」
雪乃「朋ちゃんが・・・」
ルキ「どうなんでしょうか、今見るとみんな真面目に・・・」
雪乃「真面目すぎるというか」
ルキ「真面目すぎる?」
雪乃「あの3人、『ソルシエールズ』を成功させないといけないって・・・朝の打ち合わせの後、ずっとこの調子ですわ」
ルキ「・・・ずっとこの調子・・・」
パンパンッ!
雪乃「皆さん、ちょっと休憩しましょう!!」
ルキ(手を叩き、その3人に止めるよう指示しても・・・彼女らはステップを止めようとはしない)
雪乃「・・・慶ちゃん、電気を消してください」
ルキ(わたしが天井の電気を止めると、彼女らはその足を止めた)
保奈美「・・・・・・」
巴「・・・チッ」
由愛「・・・・・・」
雪乃「皆さん、気持ちは分かりますわ。不安、焦燥、混乱。いくら技術が上手くとも・・・その心が見えてしまっては仕事になりませんわ」
巴「んなもん、分かっとるわっ!!」
由愛「巴ちゃん・・・」
保奈美「・・・Pさんがいない今、私・・・ううん、私たち、何をすればいいのか・・・」
保奈美「ユニットなんて、言われても・・・先が見えないわ」
ルキ「でも・・・」
保奈美「でも、そんな私が今、出来る事はレッスンだけ」
巴[首を縦に振る]
由愛[ゆっくりと頷く]
ルキ(本当に・・・真面目な方々ですね)
ルキ(だけど、その真面目さゆえに今のような虚空を掴むような行動を繰り返す・・・か)
雪乃「レッスンもちゃんとした休憩をいれなければ体を壊してしまいますわ。元も子もありません」
保奈美「けど・・・どうすればいいのですか・・・」
雪乃「どうするって?」
保奈美「いきなりユニットに選ばれて・・・選ばれた理由も・・・ユニットのイメージも分からなくて・・・」
保奈美「心構えも決められません」
雪乃「・・・・・・」
巴「・・・・・・このままじゃ、あずきにも顔見せ出来ん」
ルキ「あずき?」
雪乃「巴ちゃんの衣装を作ってくれる呉服店の娘さんですわ。巴ちゃんは演歌歌手としても活躍してますから」
巴「先代の村上からの付き合いじゃけぇ・・・アイツを裏切るわけにゃいかん・・・」
ルキ「・・・巴ちゃんのファンでもあるんですね」
巴「そうじゃ・・・ウチに初めて出来たファンじゃ・・・」
巴「・・・ヤツの期待を裏切るぐらいなら・・・ウチはアイドルを辞める」
由愛「・・・」
ルキ(アイドルを辞めることも・・・彼女を裏切ることになるのでは?・・・と私の中で渦巻いたが口には出さなかった)
ルキ「では、あずきさんの為に・・・頑張ってみませんか?」
巴「アイツの為に・・・」
ルキ「そうです!初心に戻ってみましょう!」
ルキ「ファンが0の状態からの・・・再スタートだと思って!」
ルキ「由愛ちゃんも保奈美ちゃんも・・・たった一人の為に頑張るって思ってみてください!」
保奈美「たった一人のために・・・」
由愛「・・・・・・」
ルキ「この際、プロデューサーさんの為でもいいです!とにかく、誰か1人を思い浮かべて、その人がどうやったら喜ぶかを・・・考えるんです」
保奈美「・・・・・・」
由愛「・・・・・・」
雪乃「大丈夫、誰かを想って行動できたのなら、その心に賛同してくれる人たちがいます」
雪乃「人の為に動くのがアイドルですわ」
保奈美「・・・・・・分かったわ。心にひとつ、決めたものがあれば私は多分、動けるわ」
由愛「・・・頑張ります」
雪乃「では、お茶にしましょう。最高の頑張りのために、ちゃんと休むのですわ」
巴「・・・渋いお茶をくれ」
雪乃「ふふっ、これから頭をいっぱい使うのです。甘い物を取るべきですわ」
巴「・・・・・・むぅ」
由愛「ケーキ、冷蔵庫にあったと思う・・・持ってきますね」
巴「ゆめっ、緑茶!!!」
由愛「・・・・・・ふふっ」
保奈美「・・・巴ちゃんらしいわね」
ルキ(保奈美ちゃんは自分の目標をなんとか見つけて、意気込んだ様子)
ルキ(巴ちゃんも同様ですが、由愛ちゃんは巴ちゃんに合わせて復調し始めました。仲がいいんですね・・・)
ルキ(たしか、イヴさんは既にフルスロットルなんですよね・・・?)
ルキ(よかった、なんとか・・・まとまりそうかも・・・)
・ ・ ・ ・ ・ 。
ルキ(それから3週間、激動の日々だった)
ルキ(未だに目を覚まさないプロデューサーさんの代わりにわたしと社長は各地を走り回り、着々と準備を進めていく)
ルキ(まもなく、『ソルシエールズ』の発表になる)
ルキ(『ソルシエールズ』のみんなは何とか自分のすべき何かをなんとか見つけ、ひたむきに行動していく)
保奈美「音葉さん、伴奏をお願いしてもいいかしら?」
亜季「私からもお願いします」
音葉「・・・分かりました」
保奈美「あーあーあーあーあー♪」
保奈美「あー↓あー↑あー←あー→あ゛♪」
音葉「・・・・・保奈美ちゃん、4つ目が半音ずれています」
保奈美「本当!?もう1回お願いします!」
亜季「音葉殿、私の方は・・・」
音葉「いろいろとおかしいです」
亜季「うぅ・・・もう時間が少ないのに・・・」
音葉「付き合います。頑張りましょう」
亜季「お願いします・・・」
由愛「んーっ!!!!」
櫂「ははははっ!由愛ちゃんは体硬いなぁ・・・、巴ちゃんを見てみなよ」
巴「・・・・・・っ!っ!」
朋「ともえちゃ~ん、大きく息を吸って~」
巴「すぅぅぅ・・・」
朋「はーい、押すわよー。ゆっくり吐きながら、ねー?」
巴「はぁぁぁぁ・・・・・・」
朋「流石は巴ちゃんって所かしら、もう1回いくわよー」
由愛「巴ちゃん、智香さんとよく一緒に体動かしてますから・・・」
櫂「あー、そっか、ともキュービックはチアリーディング取り入れてたもんなー」
由愛「・・・・・・っ、もう1回押してください」
櫂「お、対抗心出てきたかー、よーし、押すよー!」
由愛「んん────っ!!!」
雪乃「そうですか、伊吹ちゃんはまだ・・・」
若林智香「ご飯は・・・少し食べれるくらいの元気は戻ってます。でも・・・」
杉坂海「あのままじゃ、栄養失調で倒れるのが目に見えてる。早くなんとかしないと」
雪乃「分かりました、私が今夜、あの子の部屋に言って話しかけてみますわ」
智香「柚ちゃんや里美ちゃんの方は・・・?」
雪乃「私は・・・何も聞いていません」
海「・・・大人しくPさんの所にいてくれるなら、いいんだけど」
雪乃「前からPさんにべったりでしたからね」
海「他の面々は大丈夫、クミちゃん先輩とハートさんはグラビア撮影。芽衣子さんが美羽ちゃんと美玲ちゃん連れてお世話になってるコーディネーターの人に挨拶に行ってる」
智香「なんでも『ソルシエールズ』の発表の時に仕事を依頼できないか、と」
雪乃「予約が入っていれば無理でしょうね。最悪、化粧は私たちがやる事になりますわ」
智香「はい」
海「んで、ミッチーと肇はあのWEBラジオに出演中。今日は響子と桃華とPaプロからエスパーユッコがゲストに来ているらしい」
雪乃「エスパーユッコ・・・堀裕子さんですわね」
海「本来なら、他のプロダクションは出さないんだけど・・・、単純にユッコちゃんがWEBラジオのファンみたいで」
智香「なんと1人で出演許可をもらいに来たんですって!」
海「んで、今日はたまたま人が少ないからって社長とかも許可しちゃったんだって」
雪乃「まぁ・・・」
海「Pさんならちょっと複雑な顔するだろうけどね」
雪乃「・・・そうですわね、何事も最初の一歩が肝心。崩れるときも最初の1回目が原因ですわ・・・」
智香「見た感じ、大丈夫そうですけど」
ガチャ
海「おや、誰かき・・・」
柚「・・・・・・」
里美「・・・・・・」
海「柚!里美!」
朋「もう大丈夫なのっ!?」
柚「う、うん」
里美「このままじゃあ、ダメだと思いましてぇ・・・」
朋「まだ本調子、って感じじゃないわね。でも良かった」
柚「・・・・・・」
朋「どうしたの柚ちゃん?」
柚「う、ううん!なんでもないヨ!」
朋「本当?」
柚「うん、ダイジョーブ」
雪乃「柚ちゃんと里美ちゃんが戻ってきてくれて良かった。話は・・・聞いてますか?」
里美「話、ですかぁ?」
雪乃「いま、新しいユニットが出来上がって、それに向けてみんなで調整しているんですわ」
柚「へー・・・まったく聞いてないなぁ・・・ごめんなさい」
里美「私もごめんなさい・・・」
櫂「いいっていいって、ちゃんと戻ってきてくれたんだし。そうそう、ユニット名は『ソルシエールズ』って名前なんだ」
柚「『ソルシエールズ』っ!?」
里美「・・・『ソルシエールズ』」
櫂「あれ、知ってた?」
柚「え・・・え、そんなワケないよ~、うん」
里美「・・・私も初めて聞きましたぁ~」
櫂「?」
柚(どうしよう・・・どうしよう・・・)
柚(どういう事なのっ、Pサン・・・答えてよぉ・・・)
『私たちは────『ソルシエールズ』を─────』
雪乃「一旦、5人で合わせてみましょう」
亜季「はい!」
巴「ん」
由愛「分かりました」
保奈美「はい」
イヴ「はーい☆」
雪乃「練習ではイヴちゃんをセンターにして行います。まずは彼女に合わせて動いてみてくださいね」
一同「はい!」
雪乃(まだ表情は固いですけど、みんなだいぶ元に戻ってきました)
雪乃(このまま・・・このままですわ)
雪乃(急ごしらえながら、大慌ての特訓は過ぎ・・・)
雪乃(そして、『ソルシエールズ』発足発表の日がやってきた・・・)
─ 会場 ─
ルキ「大丈夫でしょうか?」
社長「俺の主観でもトレーナーの目からも、問題はないと思うが、下地がまだ薄い状態だ。これからもトレーニングを加えていかなければならない」
ルキ「はい、了解です」
社長「・・・・・・時間には間に合ったか」
ルキ「・・・?どうしたんですか、腕時計壊れちゃいましたか?」
社長「・・・・・・いや、ここからが勝負だと思ってな」
社長「みんな、大丈夫かっ!?」
イヴ「こっちはだいじょーぶで~す☆」
亜季「はいっ!!一隊長として、立派に責務を果たして参ります!!」
巴「こっちもじゃ」
由愛「保奈美さんが・・・」
保奈美「だ、だ、大丈夫よ・・・み、み、みんながいる・・・」
社長「西川、大丈夫か?」
保奈美「む、武者振いです!」
社長「そういう時は鼻をつまんで」
保奈美「あい」
社長「背筋伸ばせ」
保奈美「あい」
社長「思いっきり口で深呼吸しろ」
保奈美「すぅぅぅ・・・・・・はぁぁぁぁ・・・」
社長「もう一回」
保奈美「すぅぅぅ・・・・・・はぁぁぁぁ・・・」
社長「どうだ?」
保奈美「ちょっと軽くなりました・・・」
社長「OK、そろそろ出よう。勢いが大事だ」
一同「了解!」
ちひろ「皆様大変お待たせしました。これより○○プロ、新規ユニット『ソルシエールズ・デ・ボヌール』お披露目記者会見と題しまして、私千川が司会を務めさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いします」
パチパチパチパチ・・・
ルキ(会場には埋まるほどではないが、新聞記者や雑誌記者が多くやってきていた。お世話になっているWEBラジオの放送局のところもやってきている)
Pipipipi...
ルキ(ひゃぁっ!?ケータイ鳴っちゃった!?裏手でよかった!!)
ルキ(・・・麗お姉ちゃん・・・?)
ルキ「社長さん、すみません!ちょっと“お姉ちゃん”から電話があったので楽屋に戻りますね!」
社長「ああ」
ルキ「こんな時にどうしたんだろう・・・お姉ちゃん・・・」
社長「・・・・・・さて、と。良い方向に動いてくれよ・・・」
ちひろ「では、メンバーのご紹介です」
・ ・ ・ ・ ・。
─ 楽屋 ─
朋「あれ、慶ちゃん?もう終わったの?」
ルキ「しー!ちょっと電話です」
朋「分かったわ」
ルキ(楽屋には・・・残りのメンバーが揃っていた。みんな、新規ユニットの事で頭が一杯でやってきたのだった)
ルキ(ここにいる皆がテレビの生放送で、いま表でやっている記者会見を見ていました)
朋「ほら、見てよ。亜季さん、ガチガチになっちゃってる」
亜季『り、リーダーのっ!!大和亜季であります!!今回は魔女になりますので、で、で、でぇっ!』
イヴ『頑張って♪』
巴『顎と脇を引き締めろ』
亜季『・・・っ、たくさんの人に幸せをぶち込んでやりますっ!!!!』
由愛『ふふふっ』
亜季『わー、わー、笑っちゃダメであります!』
海「あー、まぁ、らしいっちゃらしいよね」
雪乃「これくらい、失敗に入りません」
ルキ「もしもし麗お姉ちゃん?どうしたの、こんな時に」
青木麗『わが妹よ、テレビのチャンネルを□□局に合わせろ。以上だ』
ルキ「え、□□局!?──っ、切れちゃった」
雪乃「□□局ですか?」
ルキ「はい、一番上の姉が変えろって・・・どういう事なんだろう」
海「一番上の姉・・・って確かマスタートレーナーなんて呼ばれてた人・・・だよね?」
ルキ「そうですよ、ここのところまったく会ってないんですが・・・」
音葉「確か・・・いま、□□局では音楽番組がやっていたはずです・・・新曲とかを流す・・・」
朋「えー、変えちゃうの?いま面白そうになってるのに」
ルキ「すみません、姉の唐突なワガママで」
海「まー、いいんじゃない?この生放送はあとでチェックできるようにしてるんだし」
朋「ぶー」
ルキ「ごめんなさい」
ルキ(雪乃さんが部屋にあったテレビのチャンネルを変えると綺麗にハモった5人組の歌が聞こえてきた)
柚「・・・・・・っ!!!!!」
里美「柚ちゃん・・・」
『ダイアモンドから夢を放つペルセウス♪まだ見ぬチカラをその瞳に秘めて♪』
『光の翼が虹をかけてゆくField of dreams♪』
朋「え、ちょっと待ってよ・・・なんで・・・!!?」
『輝くあなたを信じてるー♪』
『輝くあなたを信じてるぅぅぅ♪』
ルキ(ちょうど、歌いきった瞬間であった。余韻のダンスを披露し、彼女らは決めポーズを揃え、パフォーマンスを終了させる)
海「朋、どうしたの?」
朋「ど、どういう事よ!!なんであそこに・・・!!智香ちゃんも見たでしょ!?」
智香「見逃すはずありません。『ともキュービック』はしょっちゅう会ってます・・・」
朋「なんであそこにあずきちゃんがいるのよっ!!!!」
柚「ディープリーコン・・・」
朋「えっ、ちょっと柚ちゃん!?知ってるの、どういう事!?」
柚[顔を俯かせる]
朋「え、え、ちょっと待って・・・え?え?答えて、ねぇ・・・!?」
『いやー、見事でしたね』
『ありがとうございます』
『息も乱れてない。ここまで来るのに、かなりの練習を重ねましたね?』
『はい、四ヶ月間、ずっと・・・缶詰でレッスンしてました』
『たった四ヶ月!?人間、やればできるんですねぇ。では、改めて自己紹介していただきましょう!『ディープリーコン』の皆さんですっ!!!』
ルキ「『ディープリーコン』・・・」
『今宵・・・アナタの心は緊急事態(エマージェンシー)!!!』
『『我ら、ディープリーコン!!』』
『必ずや・・・アナタの心を・・・』
『コンワクさせちゃうんだからっ!!』
雪乃「・・・あずきちゃん」
『では、雅ちゃんから・・・』
月宮雅『はーい♪みやびぃからいくよぉ!月宮雅18歳でっす♪みんなよろしくねー!次、アニャちゃん!』
アナスタシア『Добрый день!アナスタシア、です。ロシアと日本の、ハーフです♪皆さん、アーニャって呼んで、ください♪』
桃井あずき『はいはーい、次はあずきの番だよね!?』
雅『いいよぉ♪』
『いいれすよー』
あずき『やったぁっ、桃井あずき15歳!あっ、アーニャちゃんも15歳だよっ!』
アナスタシア『アズキ、そんなに引っ張ったら、服が、脱げちゃいます』
あずき『脱げちゃえ脱げちゃえー♪えへへ、仲良しなんだぁ♪みんなー、よろしくねー♪次、七海ちゃん!』
七海『やっと、七海の番れすっ!浅利七海、14歳!お魚が大好きな最年少れす!』
4人『そしてそしてぇ~・・・』
あずき『我らがリーダー!!』
雅『かっこいい~♪』
アナスタシア『хороший、素敵な方です』
七海『あー、それ七海が言いたかったれすよ!!』
『アナタたち、騒ぎ立てすぎよ・・・』
4人『てへっ』
ルキ(そして、最後の1人が言い放った言葉で・・・わたしたちはさらに混乱する事になった・・・)
詩織『瀬名、詩織と申します・・・。この『ディープリーコン』の・・・そして、“○○プロのリーダー”です・・・♪』
雪乃「・・・・・・え?」
続く
以上です。今回はここまでです。
読んでくれた方はありがとうございます。
「首が回らない(くびがまわらない)」とは出費や借金が膨大でやりくりができなくなってる状態の事です。
中小企業が大きなプロジェクト2つ抱えて、その上保険のない入院費を払ってたら、そりゃ金ないわ、というお話でした。
珍しく、「続く」で終わっています。
次回、次々回でもお金のないお話を続くので今回のことわざは継続します、多分。
さて、次回は
・アナスタシア「親の因果が子に報う」
次々回は
・藤居朋「白波」
になります。
ではまた。
平気でイジメとかリンチとか言うアイドルこええよ
チラ裏
・ディープリーコンは強行偵察、威力偵察という意味が通ります。名前の意味を知れば、彼女たちがどんな存在なのかが分かるかも・・・。
・ストーリー化してからずっと内部抗争の図を書いてみたかったので、もう少しだけお付き合いください。そのあと、本筋とアンケートとってキャラごとのENDを書いていこうと考えています。
・大体こんな感じ → http://i.imgur.com/l9HlPuK.png
・途中で流れてた曲は島谷ひとみさんの「Perseus -ペルセウス-」という曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=zj9vPHv52kI
野球とペルセウス流星群の事を歌っているのでアーニャとユッキでぜひ歌ってほしいですね。
乙。なんていうか胃が痛くなってきた。
これはもう完全に昼ドラじゃないかな。
>>64
最初書いててどうなの、って思いましたけど、身内が倒れて荒れているって事も含めると普通かなーと思って採用しました。
でもやっぱり怖いですね、書いててなんですが。
>>69
すまぬ・・・すまぬ・・・(AA略)
この後、お見合いの話とかカラオケの話とかエロ本の話とかラブコメなネタがちゃんと残ってるのでもうちょっと待って・・・OTL
書き忘れてたので、チラ裏2
・以前のアンケートの結果で赤2青3のディープリーコンのメンバーが決定しました。
ちなみに青5だった場合、綾瀬穂乃香ちゃんと荒木比奈ちゃんの2名が入る予定でした。
・今回で祝・40話です。もう1年半書いてるんですね、お付き合い頂き皆さんに感謝します。
・公式に藤居朋「笑う門には福来たる」をやられました。これは挑戦状ですかねぇ・・・?
SSを読む
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一部のP「知名度低いけどこんな可愛い娘がいたんやな」
↓
今までレッスンの餌にしとったけど、ちょっとお迎えして育ててみるか
↓
魅力的やんけ、投票しとこ
↓
運営「なんや最近このキャラの人気出とるな、軽めに推しとくか」
風が吹いて桶屋が儲かるよりは確率の高い理想論
wikiを更新しました。
ミスなどございましたら、ご報告お願いします。
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