キモオタ「デュフフwww暗殺教室の世界に迷い込んでしまったでござるwww」過去編 (703)

立て乙

タイトルに反して鬱展開になりそうだ…
期待してる


>>2>>5
ありがとう! 頑張ります!









『たかしは大きくなったら何になりたいんだい?』


『ぼく、大きくなったら本を書く人になりたい!』


『素敵な夢じゃないか 本を書く人になったら どんな本を書くんだい?』


『【大好きなおばあちゃん】っていう本を書くの!でね!その本をおばあちゃんに読んでもらうんだ!』


『おやまぁ、嬉しいねぇ じゃあ たかしが大きくなってその夢を叶えるまで私も長生きしなきゃねぇ』


『うん!約束だよ!』


『ええ約束だとも......たかしが夢を叶えるまで必ず長生きするから たかしもどんなに辛い事があっても諦めないで必ず夢を叶えるんだよ これはおばあちゃんとの約束だよ』


『うん!』
















ーーーあの日 交わした約束




守ることができなかった




ヤクソク








大石 貴志 10歳


http://i.imgur.com/FkYEYS4.jpg




これ>>1が書いたの?



ーーー時は 10年前





たかし「じゃあ、お母さん 学校行ってきまーす!」



母「はい いってらっしゃい ほら、あなたも早く行かなきゃ遅刻ですよ!」


父「そうだな おーい たかし!父さんが学校まで車で送っていこう!」



たかし「ありがとう お父さん!」



おばあちゃん「たかし、気をつけて行っておいで」ニコッ



たかし「うん!おばあちゃん!行ってきまーす!」タッタ!




ホラタカシ-!ハヤクノリナサイ! ウン!






おばあちゃん「たかしも もう小学4年生...
...あんなに小さかった たかしがねぇ....」



母「うふふ、子供の成長は早いですわねぇ」












少年は 家族の皆のことが大好きな少年だった

父 大石 優弥
母 大石 まもり
祖母 大石 永遠子



そして この少年 大石 貴志の四人で暮らしていた



家で 家族に包まれている時は 貴志は幸せだった......



家で 家族に包まれている時は.........









>>12 いや、拾い物 汗

10年前のたかしのイメージに合うような画像を探した






皆ありがとう! そう言ってもらえたらすごく嬉しいです!


学校では......



ドカッ!ボカッ!ドゴッ!



たかし「痛い!痛いよ!やめてぇ!」


ドカッ!ゴッ!ボコッ!


いじめっ子「うるせぇよ!勉強も運動も何一つできねぇもやし野郎が!」


取り巻きたち「何にもできねぇポンコツだからせめて体だけは鍛えてやってんだろーが!感謝しろよ!」


ドッ!バキッ!



たかし「痛いよぉ!どうして殴るの?痛いよぉ!」











少年は 何をするにしても要領が悪く 体も細かったので いじめの標的にされていた......


しかし、少年をいじめているのはあくまで一部の生徒



友達「たかし....大丈夫か.....?ごめん.....先生には言いに行ったんだけど.....先生 あいつらに軽く注意するだけで なんにもしてくれなくて....」



たかし「ううん、先生に言いに行ってくれてありがとうね、顔とかは殴られてないから大丈夫だよ」ニコッ



友達2「たかし....助けに行ってやらなくてごめんな......今日、おれんちにゲームしにこない?」



たかし「うん!行く行く!じゃ放課後一緒に帰ろうよ!」



友達「うん!」




たかしをいじめている一部の者たち以外の生徒たちは たかしに友好的に接してくれるため
たかしはいじめをさほど苦にはしていなかった


そして 家に帰れば 大好きな家族と一緒に過ごせる幸せな時間があるから いじめに負けずに学校に行くことができていた




とある日.......





先生「大石、お前は授業を非常に真面目に聞いているし、宿題の提出もきちんとする......それに、ちゃんと家に帰って 予習復習に励んでいる....先生はそのお前の
真面目な姿勢には感激しているよ、でも.......成績は...他の皆より劣っている......
どうしてなのだろうか.......」



たかし「ごめんなさい......」




少年は思っていた.....なぜ 他の皆が 10努力すればできることを自分は20も30も努力しなければ 人並みにこなせないのだろう......



少年は 自分の出来の悪さを恨んでいた.......




たかし「(.......もっと....もっと頑張らないと.......今のままじゃダメなんだ.....成績を上げて......いい学校に入って......お父さん、お母さん、おばあちゃんを安心させるんだ........)」









たかし「(成績をあげれば.....クラスでトップに入るぐらいになれば......きっと.....お父さんたちも安心してくれるだろうし.....先生だって 認めてくれる......いじめだって......なくなるはず.......)」カリカリカリ




たかしは 家族を安心させるため.....そして、先生や生徒たちに認めてもらうため.......それらを励みにして さらに勉強した.....



20 30 努力して人並みなら......100も
200も皆より努力するしかない......




たかしは 自分の睡眠時間を削って 寝る間も惜しんで勉強に励んでいた......





そして......



先生「すごいぞ よく頑張ったな!大石! クラスで最下位の成績だったお前が クラスで4位の成績だ!本当によく頑張った!」



生徒たち「すごい たかし!今度 国語教えてくれよ!」パチパチパチ



たかし「えへへ......ありがとう.....!ありがとう.......!」



皆より 100も200も努力した結果 それが身を結び 上位をとることができた


そしてその日 家では.......



母「たかし......よく頑張ったわ......あれだけ勉強が苦手だったたかしが.......お母さん 今すごく嬉しいわ!」


父「すごく努力したんだな.......父さんも嬉しいよ.....よし!日曜日はお前が大好きな博物館に連れてってやろう!」


たかし「ほんとっ!?やったー!!お父さんありがとう!!」


おばあちゃん「やっぱりたかしは頑張り屋さんだよ......でも......あんまり無理して体を壊さないでおくれよ......たかしがそうなってしまったら おばあちゃん悲しいからねぇ.....」


たかし「うん!今はまだ勉強時間を増やして頑張っているけど......もっと要領の良いやり方を身につけて時間を短縮できるよう頑張るよ!」


おばあちゃん「おやまぁ........これであたしゃ安心していつでも死ねるねぇ....」



たかし「ダメだよ!......小さい頃 おばあちゃんと約束したでしょ!? 僕が小説家になったら僕が書いた作品をおばあちゃんに読んでもらうんだって!
それまでは長生きするんでしょ!」


おばあちゃん「ええ覚えてるとも、.....さっきのは冗談だよ.....たかしが夢を叶えるその時まで長生きする.....あの時 約束したからねぇ.......」


たかし「うん!僕も夢を叶えるから おばあちゃんも約束を守ってね!」


おばあちゃん「ええもちろんだとも」ニッコリ



母「うふふ、頑張るのよ たかし お母さん応援してるからね」ニコッ

父「いいか たかし お前の名前の由来は『志を貫く』 そんな子に育って欲しいから『貴志』という名前にしたんだ......
男なら、最後まで自分の意志を貫き通すんだぞ!」



たかし「うん!!」ニコッ!!












たかし「(やっぱり......努力ってすごく大事なことなんだ........)」



たかし「(家族の皆もあんなに喜んでくれたし......先生や、皆も すごく 褒めてくれた.....)」


たかし「(僕が頑張れば 皆が笑顔になってくれるし....皆が認めてくれる.....)」


たかし「ふふ♪ もっと頑張らなきゃ!」






しかし、たかしが皆に認めてもらいたい一心で 一生懸命 努力し、成績を上げていく事を快く思わない者たちもいた.......




いじめっ子「がり勉して成績が上がったからって調子こいてんじゃねぇぞ!!」



ドカッ!!バキッ!!ゴッ!!



たかし「やめて!痛いよ!調子になんて乗ってないよぉ!」



取り巻き「うっせぇよ!!どうせ俺らみたいなバカを見下してんだろうが!!あんま調子こいてっと勉強できねぇ体にすんぞ!!」



ドガッ!!ボコッ!!ズガッ!!



たかし「うっ!!ごめんよ!!ごめんよぉ!!もう殴らないでぇ!!お願い!!」



前まで成績が最下位だった たかしが成績を上げたことにより、その劣等感に押しつぶされたいじめっ子たちが 自分達の劣等感をごまかすため さらにひどい暴力を振るうようになった










たかし「..........どうして.........あんなに頑張ったのに........どうして.........」

















いつもなら 服で隠れる部分ばかりを殴られたり蹴られたりしていたが

その日は顔など、所構わず暴力を受けていたため 顔には大きなアザができていた.......






たかし「(僕が学校でいじめられているって知られたら......せっかく皆 安心していたのに.....また 心配をかけてしまう.......)」





たかし「ただいまー!」ガチャ!



母「おかえり....... !? どうしたの!?そのアザは!!」


たかし「あ、これ階段からずっこけちゃって......でも あんまり痛みとかはないから 大丈夫だよ! やっぱり僕は運動神経が鈍いから体も鍛えなきゃね!あはは!
じゃ!宿題やってくるよ!」タタッ!



母「たかし.....!!」




その日の夜





母「あなた......やっぱり あの子.....学校でいじめられてるんじゃないかしら....」



父「.......今まではそんな様子、微塵も見せなかったのにな.......でも、あのアザは......どう考えても階段から落ちてできるようなアザじゃない.......」



母「........やっぱり 学校に相談するべきよ.....!」



父「あぁ、明日にでも.....たかしに正直に話してもらって......一緒に学校に行こう.......」






次の日 学校で......





先生「......では、この問題は誰に解いてもらおうかな〜........」



生徒たち「え〜 これは難しいだろ......わかんねぇよ.......」ザワザワ....



先生「.......じゃあ、大石! 大石ならこの問題ぐらい余裕で解けるよな?」



たかし「はい!」ガタン



カリカリカリカリカリ....




先生「おお!正解だ!さすが大石だ!」



生徒たち「すげぇ! どうやってやったの?」


たかし「えっとね......ここはこうやってこうして........」


生徒たち「.......ほんとだ!解けたよ!
ありがとう たかし!」


たかし「えへへ......///」








いじめっ子たち「チッ..............」













昼休み.......




友達「たかしー、バスケやろうぜ!」


たかし「うん!僕 ちょっとトイレに行ってくるから先に行ってて!」ニコッ


友達「わかったー!早く来いよー!」タタッ!








たかし「フンフーン♪」テクテク




いじめっ子「おい、大石」





たかし「!?」





いじめっ子「ちょっとこっち来いよ」





体育館裏




いじめっ子「最近ちょっと調子に乗りすぎじゃないんですかぁ!?優等生の大石君よぉ!!」



ドガッ!!バコッ!!ガッ!!



たかし「うぅ!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!」



いじめっ子「やっぱこいつマジで一回半殺しにしないとわかんねぇみたいだわ

おい!逃げられねぇようにこいつ押さえてろ!」


取り巻き「おう!!」ガシッ!!



たかし「やめて!!やめてよぉ!!」ジタバタ!



いじめっ子「さてと.......勉強できねーように 腕の骨でも折ろうかなぁ ギャハハwww」スッ.....



たかし「!!??」



取り巻き「え.....金属バット......!! たくちゃん.....流石にそれはまずいんじゃ......!!」




いじめっ子「うっせぇなぁ!!俺は何をやっても許されるんだよ!! いいから黙ってこいつ押さえてろや!!」



取り巻きたち「お......おう.....」ガッ












いじめっ子「じゃあ 歯を食いしばれよ.......」ザッ ザッ



たかし「やめて!!やめてぇぇぇぇぇぇ!!!!」



父「おいコラッ!!何をしてるんだ!!」



いじめっ子たち「やっやべえ!!逃げろ!!」ダダッ!!




父「待て!!待たんか!! たかし!!大丈夫か!?」ダダッ!!



たかし「お父さん......!」ポロ....




父「昨日 たかしの様子がおかしかったから 今日学校に行って先生に相談しようと思ってここに来たんだ.....そしたらお前の悲鳴が聞こえて.......やっぱり昨日の怪我もあいつらに殴られたりしてたのか......」



たかし「うぅ......」ポロ




父「たかし......今まで気付いてやれなくてすまなかった........もう、一人で抱え込むな.......父さんたちが......お前を守るからな.....」ギュ....



たかし「う........うわぁぁぁぁぁぁん!!!!!」ポロ ポロ




応接室にて





校長「そんなはずは......うちの学校はいじめなどはないはずですが......息子さんの怪我もプロレスごっこか何かで.....」


父「嘘をつくのもいい加減にしてください!!たかしから全て聞きました、同じクラスの『鬼熊 拓斗』君をはじめとするその他何人かの生徒に暴力を受けていたと聞きましたよ!!」


先生「私も鬼熊君には日頃から注意して
ましたし.......子供の喧嘩はよくあることですから.......」


父「喧嘩!?たかしは相手から金属バットで殴られそうになったんですよ!!一歩間違えたら死に直結するような犯罪をこの学校の生徒は犯しそうになったんですよ!!それを子供同士の喧嘩などと!!ふざけるんじゃない!!なぜそのようなことを注意だけで済まそうとするんですか!?
たかしのためにも、そしていじめを行っている生徒たちのこれからのためにも、適切な対応をしていただしたい!!」


校長「.........申し訳ありませんが 大石さん......この件に関しては.....あまり私共も波風を立てずに穏便に済ませたいのですが.......」


父「なんだと!?」


先生「鬼熊君のお父様が......PTA会長であり、警察界の頂点、警視総監ということはご存知ですよね......?」



父「知っていますが....それがどうしたというのです!!」



校長「やはり......その......学校の権力など.....警視総監の権力に比べれば無力なので.......もし、息子である鬼熊君がいじめを行っていることを世間に広められたら.
....全てを学校側である我々の不祥事にされかねないので......」




父「もういい!!!!あんたらには頼らん!!!!」バン!!!!
















父「(ダメだ.....やはり学校側は当てにならない.....)」



父「(担任の先生も 相手側の親の権力に怖気付いて 申し訳程度に注意を促すだけで、自分の責任をもみ消すことで精一杯だ......)」



父「(親がPTA会長だから何だ!!警視総監だから何だ!! いじめはいじめだ!!)」



父「(たかし......父さんたちがたかしを守るからな......)」



たかし「お父さん........」



父「今日は父さんと一緒に家に帰ろう.....大丈夫 絶対にいじめなんてさせないからな!」



たかし「うん....ありがとう!」ニコッ!





家で.....





母「やっぱり.....そうだったのね.......たかし、もっと早く気付いてあげられなくてごめんね.....ごめんね......」



おばあちゃん「たかしは.....あたしらに心配をかけないために、ずっと気丈に振舞っていたんだねぇ.......本当にたかしは強い子だよ.....」



父「とにかく....辛いことがあったら 隠さずに家族の皆に言いなさい、もう、一人で何でも抱え込むのはやめなさい......もっと 父さんたちを頼って欲しい.....家族なんだから」



たかし「.....皆 ありがとう....そして ごめんなさい.....もう隠し事はしないよ.....僕.....もう嫌だ......いじめられるのは嫌だよぉ......」ポロ ポロ



皆「たかし.......」






鬼熊家にて.......




鬼熊父「そうでしたか.......この度は.....私の愚息がご迷惑をおかけして、大変申し訳ありませんでした......お前も頭を下げんか!!」バシッ!!



鬼熊「ってーな!! ......はいはいすんませんしたぁ」ムスッ



鬼熊父「貴様!!人様のご子息を傷物にしておいてその態度は何だ!!申し訳ありません!!このバカ息子には今後このような愚かな行為に及ばないようよ殴ってでもわからせますので!!」バシィ!!



鬼熊「いてーっつってんだろ!!」



父「落ち着いてください鬼熊さん!わかっていただければそれでいいのです!
あまり息子さんを責めないであげてください.....今後暴力を振るうようなことがなければそれでいいのです.....たかし、お前もそれでいいか......?」



たかし「うん、僕は気にしてないから これから鬼熊君が僕と仲良くしてくれたらそれでいいから.....だから おじさん、鬼熊君を叩いたりするのはやめてください」



鬼熊父「おぉ......なんと優しい子なんだ.........拓斗.......たかし君の優しさに感謝しろ......」



鬼熊「......チッ.....わーったよ......今まで悪かったよ......」ムスッ


たかし「うん!いーよ!」ニコッ!



父「.......では、そろそろ失礼いたします......突然押しかけてしまい、申し訳ありませんでした じゃあたかし、家に帰ろう」


たかし「うん!」



鬼熊父「この度は本当に申し訳ありませんでした.....」ペコッ




ガチャ バタン














鬼熊父「..........たく、なぜ警視総監であるこの私があのような金も地位も無い親父に頭を下げねばいかんのだ......」


鬼熊「いてーじゃねぇかよ父ちゃん、演技とはいえ 実の息子である俺を殴るなんて 息子が可愛くねぇのかよ」


鬼熊父「可愛いからこその演技だ 大目に見ろ それから......いいか拓斗 、今後 お前はあの小僧と友として接するのだ」


鬼熊「やだよ!!なんで俺があんなもやし野郎と仲良しこよししなきゃなんねぇんだよ!!」


鬼熊父「我慢しろ.....いいか?拓斗
これはな、お前をいじめっ子呼ばわりして突然お門違いな抗議をし、そして、ただの社畜の分際で警察のトップの警視総監であるこの私に頭を下げさせたバカ親子に天誅を下すための いわば仕込みだ.......」



鬼熊「.............」



鬼熊父「いいか、この世界はな 権力こそ正義だ 警察のトップである私が悪と見なしたものは全て悪だ........
権力のない者が権力のある者に逆らうことなど 最も許し難い悪だ.......

必ず.......どんな手を使ってでもあの悪の家族に天誅を下してやる.......フハハハハハ!! 」



鬼熊「わかったよ 父ちゃん......悪は懲らしめねーとな......」ニヤァァァァァ








その日を境に、鬼熊がいじめをやめた事により、たかしをいじめる者は誰もいなくなった



いじめがなくなり、たかしは平和で幸せな学校生活を送ることができるようになり、


たかしは毎日を幸せいっぱいの笑顔で過ごすことができるようになった








たかし「ただいまー!」


母「あらおかえり たかし」ニコッ!


おばあちゃん「おかえり たかし 学校は楽しかったかい?」


たかし「うん!」ニコニコ


おばあちゃん「そうかそうか それはよかった」ニッコリ


たかし「僕 友達と野球に行ってくるね!宿題は帰ってきたからするから!」ダダ!!







母「あ!たかし おやつ.......もう!たかしったら」クスクス



おばあちゃん「いいことだよ やっぱり男の子はこれぐらい元気でなくちゃねぇ」ニコ


母「元気になりすぎて困っちゃうぐらいですわ でも いじめがなくなってからはたかしが笑顔で過ごすことが多くなって毎日楽しそうだし 本当によかったわ」ニコッ









とある日




たかし「うーん.......」カリカリ



母「あらたかし、何 書いてるの?」



たかし「小説を書いているんだ!
タイトルは『大好きなおばあちゃん』だよ!」ニコッ!



母「あらあら そのタイトル.....幼稚園の頃からずっと変わらないタイトルなのね」ニコニコ



たかし「うん!小さい頃から時間があればコツコツ書いてるんだけど まだまだ完成には程遠いかなぁ」



母「早く 小説家になって あなたが小さい頃から書き続けたその小説を おばあちゃんに見せてあげるといいわ きっとおばあちゃん喜んでくれるわよ おばあちゃん嬉しすぎて泣いちゃうかもしれないわね」クスクス



たかし「うん!約束だもんね!」ニコッ!



母「あ そうそう たかし、ちょっとお母さんの部屋に来て!」



たかし「? どうしたの お母さん?」



母「いいから いいから」ニコッ!






母の部屋にて




たかし「わー.....お母さんの部屋に入るの 本当に久しぶりだなぁ......」


母「うふふ、あなたが小学校に入学するまではこの部屋でお母さんと一緒に寝てたもの あなたが怖い夢を見ちゃって泣いちゃった時は......よく 歌を歌ってあなたをなだめてたわねぇ......」



ーー
ーーー





『うわぁぁぁぁん!おかあさぁぁん!』


『あらあら、たかし また怖い夢をみちゃったの?』


『グス....ヒグ....』


『よしよーし かわいそうかわいそう 怖い夢なんか ママと一緒におうたを歌って忘れちゃいましょうねー』


『うん!おかあさんと一緒におうた歌う!』


『うふふ♪ さんはい♪』


『♪かーごーめ かーごーめ♪
かーごのなーかのとーりーは ♪
いーつ いーつ でーやーる♪ よーあーけーのーばーんに♪
つーるとかーめがすーべった♪
うしろのしょうめんだぁれ♪』




ーーー
ーー





たかし「もう!お母さん!いつの話をしてるの!///」


母「うふふ♪」








母「『かごめかごめ』は あなたが一番最初に覚えた歌だったわねぇ....寝る時以外にもよく一緒に歌ったのを思い出すわぁ.......」


たかし「そうだったよね.....ちょっと恥ずかしい気もするけど 懐かしいね 」


母「ねぇ たかし、久々にお母さんと一緒に歌ってもらえないかな?今度は『かごめかごめ』じゃなくて、 私もあなたも大好きなあの曲を.....」



たかし「うん!あの曲だね!一緒に歌おう! 」




母「ピアノなんて久々に弾くから うまく弾けるかわからないけど.........」ギシ...



母「スゥ.....」










母「sing♪ 歌おう 声を合わせ♪
悲しいこと 忘れるため♪」ポロロン♪




たかし「(わぁ.....やっぱり.....すごく綺麗な声......)」




母「sing♪ 歌おう 幸せが来るように♪」ポロロン♪




たかし「(そっか......お母さんは....お父さんと結婚する前は小学校の音楽の先生だったんだ......だから 歌が大好きだし、歌がとても上手なんだ......僕は....お母さんと一緒に歌う時間が大好きだった.....)」




母「大きな声を出し♪ 恥ずかしがらず♪just sing sing a song♪」ポロロン♪




たかし「(........よぉし!)」スゥ....



たかし「ランララララン♪ラランララララン♪ ララーラーララララー♪」











たかし「sing♪ 歌おう 声を合わせ♪
悲しいこと 忘れるため♪」




母「sing♪ 歌おう 幸せが来るように♪」ポロロン♪



母「大きな声を出し♪ 恥ずかしがらず♪just sing♪」ポロロン♪





たかし 母「sing a song♪」







たかしにとって それは すごく すごく 幸せな時間だった




いつまでも いつまでも こんな幸せな時間が続いて欲しいと思った.....















次の日 学校にて




友達「あ〜あ〜、最悪、今日はこないだの算数のテストの返却日だった.....たかし、お前何点だった?」


たかし「僕は100点だったよ!」ピラ


友達「うわ〜うっぜえwww天才め〜 俺なんか43点だったんだぞ!」


友達2「俺なんか24点だぜ、たかしすげぇなぁ 前のたかしとは別人みたいだよ」


たかし「いや〜えへへ///」


友達「今度 たかしんち行っていいかな?算数教えてくれよ!」


友達「俺も俺も!今度こんな点数取ったら親にたっぷり しぼられるんだよ」



たかし「うん!教え方が下手くそな僕でよければ教えるよ!」


女子「ねぇ、私も行っていいかな たかしくん?私も算数苦手だから....」


たかし「あ......高花さん....うん! よかったらおいでよ///」


高花「ありがとう たかしくん!」ニコ!


たかし「うん!///」




友達「(おい......これは.......)」ヒソヒソ


友達2「(ああ.....間違いないな....)」ヒソヒソ


















昼休み



友達 友達2「たかしくんたかしくん」ニヤニヤ


たかし「なに......二人とも......その不敵な笑みは.....」



友達「たかしさぁ、正直に言えよ? お前 高花の事好きだろ?」ヒソヒソ


たかし「え!?///いやいや 違うよ!///急に何言い出すの!?///」


友達2「わかりやすいやつ......慌てすぎだし 顔真っ赤だし」


たかし「ちちちち違うってば///僕は高花さんの事はクラスメートぐらいにしか.....///」


友達「なんで認めないかねぇ〜 俺たちはお前の友達なんだぞ? お前が考えてることは大体わかるよ」



たかし「うぅ.....///やっぱり二人には敵わないや.......白状するよ......僕 高花さんの事が好き.......///」




友達 友達2「ヒュウゥゥゥゥ!!!」



たかし「ちょ!二人とも!!///」










たかし「二人とも!!絶対秘密だよ!?誰にも言ったらダメだよ!?///」


友達「言わないよ たかしには今まで 他の奴には言えないような悩みを相談してきたし.......正直、たかしになら何でも言えるんだよ.....」


友達2「俺たちはたかしの事 本当に信用してるから......お前も 俺たちの事を信用してくれよ......」


たかし「二人とも.......ありがとう!僕のことを信用してくれるなんて すごく嬉しいよ! そうだよね、僕も二人の事を信用しないとね!」


友達「だから 俺たち3人の間に隠し事は無しな!」


友達2「何があっても俺たちはずっと友達だよ!」


たかし「うん!!僕たちはずっと友達だよ!」ニコッ!









放課後 帰り道で......



たかし「わー......どうしようどうしよう......高花さんがうちに来るなんて......」テクテク


たかし「しかも....高花さんと部屋で二人っきりで勉強.......///」テクテク



『今日は俺らお前んちいかねーわ!俺らは野郎だけでむさくるしい場所で勉強するわ!
うまくやれよリア充くん!!』グッ!




たかし「あの二人には感謝しなきゃ.....」テクテク







たかし「あぁぁぁ!!心臓が破裂しちゃうよぉぉ!!///」










たかし「ただいまー!///」ニコニコ!!



母「おかえり たかし あら 今日はいつもよりもご機嫌ね?」ニコッ



たかし「べ、別にそんな事ないよ!///あ、今日 同じクラスの女子が来るけどいいよね?」



母「おともだち?」ニコニコ



たかし「え.....ええと お友達というか.......クラスメートというか.....あの.....ええと......///」



母「あらあら ひょっとして ガールフレンドかしら?」クスクス!



たかし「ちっ違うよ!!///そんなんじゃないよ!!/// 僕 着替えてくる!!」ダダッ!!




おばあちゃん「おやまぁ.....」ニッコリ







そして.......




ピンポーン!


たかし「来た!!///
はーい!///」ダダダ!!




ガチャ!





高花「あ、たかし君 ごめんね わざわざ押しかけちゃって.......」



たかし「いいよいいよ気にしないで!///さ 上がって上がって!///」



高花「お邪魔します」ニコッ!





たかしの部屋にて



たかし「じゃ、じゃぁ 今教えた公式を使ってこの問8と問9をやってみて///わからないことがあったら聞いてね!///」


高花「うん、わかった!」ニコッ!



高花「...........」カリカリカリ



たかし「............」



高花「............」カリカリカリ



たかし「(......やっぱり.....勉強しにきただけだから.....会話が続かないなぁ.......
でも、こうして一緒にいられるだけでもすごく幸せ.....)」



高花「ごめん、たかし君 ちょっとわからないところがあるんだけど.....いいかな?」



たかし「うん!わかった ///」







たかし「........この問題は 先に こことここをかけて.......こうしたらできるよ 」


高花「本当だ!たかし君の言うとおりにしたら簡単に解けたよ! ありがとう!」ニコッ!


たかし「えへへ.....///」


高花「......たかし君、」



たかし「ん?///」



高花「私.....たかし君ってすごい人なんだなぁって思うの.....」



たかし「え!?///」ドキッ!!



高花「私ね......この学校に転校してくる前の学校でいじめられていたの....」


たかし「..........!」


高花「私は、いじめに耐えられなくなって 学校に行かなくなったの.....それでどんどん勉強も遅れて行って....それを見かねた親がこの学校に転校させてくれたの.....」



たかし「そうだったんだ........」



高花「私はいじめから逃げて 親に迷惑をかけたのに たかし君は鬼熊君にひどいいじめを受けても いじめから逃げずに、苦手だった勉強だって克服した.......私.....そんなたかし君をすごい人だって思うし......その心の強さがすごく羨ましかった.....」


たかし「...........」





高花「ごめんね....たかし君.....こんな事を話してしまって......でも、誰かに話さないと自分がどうかなってしまいそうで......自分一人で背負うなんて.....出来なくて......やっぱり私.....弱い......強いたかし君がほんとに羨ましくて.....」ポロ ポロ



たかし「.......そんな事ないよ......」



高花「.........!」グスッ...



たかし「高花さんは弱くなんかないよ!僕なんかよりよっぽど強いよ!

僕はいじめられてる事を親に言うことなんてできなかった.....それは、親に心配をかけたくないから言わなかったんじゃない.....いじめられてるなんて親に知られたら情けないから......自分のちっぽけなプライドが傷つくのが嫌だったから言えなかっただけなんだ!」


高花「..........!」



たかし「でも、結局 いじめられてる事がお父さんにバレて その時 初めていじめられてる事を親に言ったんだ.....

そのとき、気がついたんだ......

誰かに自分の悩みを打ち明けられずにずっと悩み続けることよりも、
誰かに自分の悩みを打ち明けて、誰かに頼る事の方が よっぽど勇気がいる事だって!


自分のちっぽけなプライドを守るために悩みを隠そうとした僕なんかよりも

勇気を振り絞って 自分の悩みを僕に打ち明けてくれた高花さんの方がずっとずっと心が強いよ!」



高花「たかしくん........」グス....
















たかし「それにね......僕 嬉しいんだ、
高花さんが 僕に悩みを打ち明けてくれたこと........僕を信用してくれたことがすごく嬉しいんだ........!」


高花「.......たかしくん」


たかし「?」



高花「また......勉強を教えてもらいに.....ここに来てもいいかな?
これからも......勉強しながら.......こうやって お互いに本音を言い合える.....お互いに信頼して話せる友達でいたいから.......」



たかし「........!」




たかし「うん!!」ニコッ!!






そして その日の夜





『たかしになら何でも言えるんだよ.....』


『俺たちはたかしの事 本当に信用してるから......お前も 俺たちの事を信用してくれよ......』


『何があっても 俺たちはずっと友達だよ!』


『こうやって お互いに本音を言い合える.....お互いに信頼して話せる友達でいたいから.......』








たかし「友達......信頼しあえる友達......何があってもずっと友達........ふふ♪」











その日から 高花は週に何回かのペースでたかしの家を訪ねるようになり、そのたびに 勉強をしながら 二人は心を開いて お互いに他愛もない会話を弾ませた


一ヶ月が経つ頃には たかしと高花は まるで ずっと昔から友達だったかのような間柄にまで打ち解けていた






そして......




高花「見てみて!たかし君!今回の算数のテスト!」ピラ


たかし「満点じゃないか!すごい!すごいよ高花さん!」


高花「苦手な算数で満点が取れたのはたかし君が教えてくれたおかげだよ ありがとう!」ニコッ!


たかし「ううん、高花さんが頑張ったからだよ!」


高花「たかし君......今日もたかし君のお家に行ってもいいかな?」


たかし「今更そんなこと聞かなくても もちろん いつでも来てよ!」


高花「ありがとう、でもね、今日は勉強じゃなくて 純粋にたかし君の家に遊びに行きたいの....」


たかし「うん!遊ぼうよ!じゃあまた放課後ね!」






そして たかしの部屋にて......


〜〜〜〜



高花「うふふ、やっぱりたかしくんと話してたら会話が尽きないね」ニコッ!


たかし「うん!高花さんには何でも話せるからかなぁ

あ もうそろそろ帰る時間だね 最近暗くなるのが早いから高花さんの家まで送っていくよ」ザッ



ギュッ



たかし「!?」



高花「待って.......」



たかし「た....高花さん......?」



高花「帰る前に.....もうちょっとだけ 話ししたい事があるの......」



たかし「で....でも 今日はもう遅いし 話ならまた明日でもできるから.....」


高花「今すぐ......今すぐに話したいの......すぐに終わるからもうちょっとだけ待って......お願い」



たかし「(この表情......ひょっとして 高花さんは今 何か困っている事があるのかもしれない......)」



たかし「うん、わかった......」









高花「.......たかし君」


たかし「........?」


高花「私ね......自分の悩みを打ち明けたのは たかし君が初めてなんだ......」


たかし「うん.....本当にあの時はすごく嬉しかったよ......」


高花「私にとってたかし君は.....心を開いて何でも話せる大切な友達だと思ってるよ.......」


たかし「それは 僕も同じだよ....高花さんは、僕にとって 信頼して自分の事を話せる大切な友達だよ.....」


高花「ありがとう......でもね......」


たかし「..........?」


高花「ひとつだけ......ひとつだけ 何でも話せる友達であるたかし君にも話さなかった事があるの......」


たかし「高花さん......隠し事はなしだよ.
.......もっと 僕を信用して......僕に打ち明けてよ」


高花「......そうだよね.....今 話す決心がついたから........話すね......」














高花「たかし君.......私ね........最初にたかし君の家に行った時から ずっとずっと...........」


たかし「............!」



















たかし君の事が好きでした


















たかし「!?///////」





高花「私と.......付き合ってください.......///」





たかし「...........!!////」





高花「今までずっと黙っててごめんなさい.......この事を話してしまえば.......私の気持ちが通じても通じなくても 私達の 大切な『友達』という関係が壊れてしまうから.......それが怖くて.....ずっと言えないでいたの.......」



たかし「高花さん.......///」









高花「返事はいつでもいいから!!じゃ またね!///」ダッ!!




ギュッ!




たかし「待って......高花さん.......」




高花「たかし君........///」




たかし「ごめん......高花さん......さっき 僕は高花さんの事を 信頼して自分の事を何でも話せる大切な友達だって言ったのに.......僕は 自分の気持ちに嘘をついて ずっと高花さんに本当の自分の気持ちを話せないでいた.......」






たかし「僕も.......高花さんの事が好きだ!!.........僕と付き合ってください!!////」





高花「たかし君.......!!///」









こうして......たかしと高花の お互いに心を開いて何でも話せる大切な『友達』 という関係は壊れた



しかし それと引き換えに お互いに心を開いて何でも話せる大切な『恋人』という関係が生まれた.......





この時、たかしは この幸せな時間は ずっとずっと 永遠に続くものだと思っていた.....



















しかし、今 たかしを包み込む 永遠を感じる程の幸せな時間は まもなく 音を立てて崩れ去る













































悲劇の全ては『殺す』という行為から始まった




























とある日の朝




父「なぁ、明日の土曜日は 家族みんなでキャンプに行かないか?」


たかし「わーい!!行きたい行きたい!!」


母「あら いいわね! ここ最近は家族みんなで揃って出かけることがあまりなかったからね!」


おばあちゃん「 キャンプなんて何年ぶりだろうかねぇ 私もたまには若い頃を思い出して自然を満喫しようかねぇ 」ニッコリ


たかし「よし、決まりだな たかし、明日はお父さんが渓流釣りを教えてやろう、ここのところお前は勉強詰めで自然と触れ合う機会があまりなかったからな!」


たかし「うん!! あ〜楽しみだなぁ♪」ワクワク!


母「ほらほら たかし、浮かれてないで 早く学校に行かないと遅刻するわよ」クスクス


たかし「はーい!!行ってきまーす!!」ガチャ! バタン!






父「たかし.......元気になってくれて本当によかった」


母「ええ、あの子 毎日が本当に楽しそうだもの......少しだけ わんぱく坊主になっちゃった気もするけど.......元気になってくれて 安心したわ」


おばあちゃん「さて、まもりさん 今日の晩御飯は明日のキャンプの景気付けにご馳走を二人で腕によりをかけて作ろうかねぇ もちろん たかしの大好物もたくさん用意してね」ニコニコ


母「はい!義母さん 」ニコッ!


父「よし じゃぁ私も行って来るよ!二人共 たかしの大好物だけじゃなく 私の大好物も忘れないでくれよ?」ニコッ


母「はいはい もちろんですよ」クスクス


父「じゃ、行ってくるよ」


母「ええ、いってらっしゃい 気をつけてね」


父「あぁ」ニコッ






ガチャ バタン








学校にて.....昼休み




高花「ねぇねぇたかしくん」


たかし「どうしたの 高花さん?」


高花「あのね 明日 二人で一緒にデパートでお買い物に行かない?」


たかし「ごめん高花さん 明日は家族みんなでキャンプに行くんだ......」


高花「あ そうだったんだ....うん!わかった!家族でキャンプ 楽しんできてね!」ニコッ!


たかし「うん! ありがとう! 」


高花「あ.....あと......その.......///」モジモジ


たかし「わかってるよ 来週の金曜日は僕たちが付き合って一ヶ月の記念日だもんね! だから来週の金曜日は二人っきりでいっぱい遊ぼうね!」ニコッ


高花「たかしくん......./// うん!///」ニコッ




友達「ヒュウゥゥゥゥ!!お熱いねぇ〜二人共〜www!!」


友達2「 羨ましいぞぉ ちくしょおwww!」


たかし「ちょ!二人共!///」


友達 友達2「照れるな照れるな あははは!」タタッ!





たかし「もう!///」


高花「.........///」




放課後 帰り道にて




友達 友達2「じゃあな!たかし!」


高花「じゃあまたね!たかしくん!」


たかし「バイバイ皆!また月曜日ねー!」






たかし「(明日はキャンプかぁ......僕 キャンプは初めてだから楽しみだなぁ♪)」テクテク


たかし「(考えてみれば....お父さんと 博物館や動物園とかは何回も行ったことがあるけど.....一緒に釣りをするのは初めてだなぁ......)」テクテク


たかし「あー!もう楽しみすぎてじっもしてられない!早く家に帰ろ!」ダダッ!!












たかし「ただいまー!!」ダダッ!!


おばあちゃん「おかえり たかし」ニッコリ


たかし「ただいま おばあちゃん!

わぁ!すごいごちそう!!美味しそー!!」


母「おかえり たかし、今日はね 明日のキャンプに備えてごちそうよ!お母さんたち 奮発しちゃった!
あともう少しでお父さんも帰ってくると思うから 手洗いうがいをして 皆でお父さんを待ちましょうね!」ニコッ!


たかし「はーい!」タッタッ!





午後7時半.....



大石家には 時計の針の音だけが響いていた



カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ




たかし「............お父さん......帰ってこないね........」


母「.......ひょっとして......残業でもしてるのかしら......」


おばあちゃん「今日に限ってそんなことはないはずだろうけどねぇ.......」


カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ



全員「..............」



母「.......もう、先に夕飯 いただいちゃいましょうか」


おばあちゃん「そうだねぇ、食べてる途中で帰ってくるかもしれないしねぇ」


たかし「うん、それじゃあ いただきます」



カチッ カチッ カチッ カチッ カチッ




全員「...............」カチャカチャ モグモグ....











プルルルルルルルルルル!!






全員「!?」




突然、一通の電話の音が 一家の沈黙を破った









たかし「.......ひょっとして お父さんかもしれないよ」


母「.........ええ、出てみましょうか」


ガチャ


母「......もしもし、大石でございますが」



母「..............え........!?」



たかし おばあちゃん「........?」



母「...............!」ワナワナ....



母親の顔が みるみるうちに真っ青になってきた......


母「.........そんなことあるわけないじゃないですか.................嘘よ!!!!そんなことあるわけないじゃないの!!!!あるわけない!!!!あるわけない!!!!あるわけないのよぉぉぉ!!!!」



たかし「!!」



母「い"や"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!」


おばあちゃん「まもりさん!代わりなさい!!」パシッ!


母「嘘よぉぉぉぉ!!!!嘘に決まってるわぁぁぁぁ!!!!」


たかし「どうしたの!?お母さん!!しっかりして!!お母さん!!」



おばあちゃん「もしもし!?どういうことです!?何があったか説明しなさい!!」  



たかし「おばあちゃん........!お母さんが!!お母さんがぁ!!」ポロ ポロ


母「ゼェ-....ゼェ-...ヒュ-....ヒュ-....!!」



おばあちゃん「.............!!」



おばあちゃん「.........わかりました.......はい.......では 明日 そちらに伺わせていただきますので........はい.......失礼いたします..
.......」ガチャ....



たかし「..............!」グスッ...ヒグッ....



おばあちゃん「.................」ポロ ポロ




初めて見た 祖母の剣幕な顔.......そして泣き顔.......この時 たかしは 幼いながらも 父の身に何かがあったのだということを 直感していた......










たかし「おばあちゃん.........」



おばあちゃん「たかし......お母さんを寝室まで連れてって寝かせておやり........」



たかし「うん.......」



おばあちゃん「お母さんを寝かせた後で、おばあちゃんの部屋にいらっしゃい たかしはもう小学四年生.......たかしにも
電話の内容を知ってもらわなきゃいけないからね.......」




たかし「........わかった........」






祖母の部屋



たかし「.......おばあちゃん お母さん眠ったよ 呼吸も落ち着いてきたし.....大丈夫みたい....」



おばあちゃん「そうかい、ありがとうよ..........たかし、ここにお座り........」




たかし「........」ス....





おばあちゃん「...........」



たかし「............」





おばあちゃん「...........いいかい?たかし.........この事はね、たかしにとってはあまりにも辛い事だけど よく聞くんだよ...........」






たかし「............」コクン....







おばあちゃん「...............」




たかし「......どうしたの おばあちゃん?」




おばあちゃん「...............!」ポロ ポロ




たかし「おばあちゃん.......どうして泣いてるの.......?」




ギュッ




たかし「おばあちゃん.......?」




おばあちゃん「たかし......お父さんはね........もうここには帰ってこない......!それで.....たかしとお母さんはおばあちゃんとは別の場所で暮らさないといけないかもしれない.......!」ポロ ポロ




たかし「.......え......!?」



おばあちゃん「うぅ.....うっうぅ.....」ポロ ポロ




たかし「.......どうして.........どうしてお父さんは帰ってこないの.......お父さんが僕たちのことを嫌いになったから?.........どうしておばあちゃんと離れて暮らさないといけないのぉ......おばあちゃんが僕の事を嫌いになったからぁ.......?」グスッ...ヒグッ....




おばあちゃん「......違うよ......違うんだよ..........」ポロ ポロ



たかし「じゃあどうしてぇ......どう"じでな"の"ぉ".......?」











おばあちゃん「......お父さんが.......人を殺したからだよ........!」ポロ ポロ









たかし「嘘だ...........」



おばあちゃん「嘘じゃない.......」



たかし「嘘だ嘘だ!!お父さんが人を殺したりするはずがないよ!!嘘に決まって........!!」ポロ ポロ




おばあちゃん「嘘じゃない!!!!」



たかし「!!」ビクッ



おばあちゃん「嘘じゃない.......嘘じゃないんだよ..........人を殺したということには確信はないけど......お父さんが今 警察に捕まってることは確かなんだ.........」グスッ...グスッ...



たかし「.............!」ポロ ポロ



おばあちゃん「だから......明日.....おばあちゃんとお母さんと一緒に 留置所っていうところにいる お父さんに会いに行こう.........」




たかし「............」



『たかし、明日はお父さんが渓流釣りを教えてやろう』



たかし「う.......」ポロ



『もう、一人で抱え込むな.......父さんたちが......お前を守るからな.....』



たかし「うぅ.....グスッ.....う......ヒック...」ポロ ポロ



『男なら、最後まで自分の意志を貫き通すんだぞ!』



たかし「うわぁぁぁぁぁん!!」ポロ ポロ











たかし「う....グスッ...うぇぇっ.....ゲホッ!....」ポロ ポロ





ギュッ




たかし「.........!」



おばあちゃん「辛い時は.......泣きたいだけお泣き.......泣きたい時は......いくらでも泣いてもいいんだよ........」ポロ ポロ



たかし「うっ.......うっ!!」グズッ....








たかし「う"わ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん"!!」ポロ ポロ




おばあちゃん「グズツ....ヒグッ...」ナデナデ










泣いた




祖母の膝の上にもたれて 涙が枯れ果てるまで泣いた




ひとしきり泣くと 泣き疲れてそのまま 祖母の膝の上で眠りについた



頭を撫でる祖母の手がとても暖かく思えた.........













そして 留置所にて





父「.............」




母「あなた........」




父「皆......すまない こんなところに来させてしまって.......でも 信じて欲しい.......私は断じて人を殺してなんかいない.......」



母「えぇ.......わかってるわ.....あなた.....」


たかし「僕もわかってる.....お父さんが人を殺すはずなんてないよ......」


おばあちゃん「まもりさんとたかしの言う通りだよ.........辛いかもしれないけど 耐えとくれ.......」




父「.....ありがとう 頑張るよ.......まもり......皆の事........頼むぞ......」



母「ええ......」



父「たかしも........しっかりやるんだぞ........帰ってきたら.....今度こそ 皆でキャンプに行こうな......」



たかし「うん....わかった......」












帰り道にて



母「お義母さん、たかし.....昨日はごめんなさい......あの人の妻である私が一番しっかりしなければならないのに.......私が一番 皆に迷惑をかけてしまった......」




おばあちゃん「過ぎた事を悔やんでも仕方がないよ.......優弥はこれから自分の無罪を主張するために戦わなければならなくなる.......あたしらが出来る事は 皆で優弥を支えてやる事.......その時に、まもりさんが 一番に優弥を支えてやればいい」




母「はい......ありがとうございます.....お義母さん......」



たかし「お母さん......僕 もうわがままも言わないし、お手伝いも毎日ちゃんとする.........少しでも お母さんが安心出来るように 僕も頑張るよ......」



母「ありがとう たかし.......ありがとう.......」










突然の父の逮捕.......これにより、幸せだった日常の歯車が狂い始めた........





そして これからが本当の悲しみの始まりだった




















たかしと母は 祖母の元を離れ


格安のアパートを借り、苗字を母の旧姓の『小野寺』に戻し、生活を再スタートした


金銭面で負担をかけないために、たかしは転校はせず、今まで通りの学校に通うことになった














学校の廊下にて





たかし「(僕が出来ることは......お父さんを支えるお母さんを 僕が支えること.....)」テク テク



たかし「(そのためには 今まで通りに勉強して いい成績をとって いい学校に入ってお母さんを安心させることが一番.......)」テク テク



たかし「(今まで以上に もっともっと がんばらなきゃ.......)」テク テク



たかし「(よぉし!)」テク テク





ガララー!




たかし「おはよー!」











シィン....




たかし「..........?」



生徒たち「.............」クスクス...




たかし「(皆どうしたんだろ........?)」ガタン




たかし「!!」





たかしの机にはたくさんの辛辣な落書きが書かれてあった




『死ね 人殺し』

『犯罪者』

『学校来んな』

『さっさと死刑』

『地獄に落ちろ』

『お前も殺す』




たかし「こ........これは..........!!」




鬼熊「よぉ、犯罪者www」ザッ





たかし「..........!!」




























鬼熊「ニュースで流れてたぜwww『大石 優弥 52歳 強盗殺人の容疑で現行犯逮捕』 顔も映ってたけど どう見てもお前の親父だよなぁ?www」



たかし「な......!! ちがうよ!!僕のお父さんは人を殺したりなんかしないよ!!現行犯なんて何かの間違いだよ!!」




ドガッ!!




たかし「げほっ!!」ドシャァ!!





鬼熊「うっせーんだよ 犯罪者が喋りかけてくんなゴミが」




生徒たち「ギャハハハハハwwwww」




鬼熊「俺もさぁ 警察のトップの息子だからさぁ なんっつーの? こーいう犯罪者見たら許せねぇんだよね?」



鬼熊「だから、悪人は懲らしめてやらなきゃなぁ.........」ニヤァァァァ....



取り巻き「おら 覚悟しろよ 人殺しが」ザッザッザッ....




たかし「やめて.......やめてよ.......お父さんは......人殺しなんかじゃないよぉ.......」



鬼熊「喋んなっつってんだろ!!!!」




バキッ!!



たかし「ぎゃっ!!」ガァン!!




















鬼熊「おらっ!!とっとと死ね!!」



ドガッ!!ボカッ!!ガッ!!



たかし「(誰か.......助けて.......!!)」



取り巻き「殺された奴の苦しみはこんなもんじゃなかったろーよ!!」



ガンッ!!バキッ!!ゴッ!!



たかし「(どうして殴るの.....!?僕もお父さんも 何にも悪いことしてないよ.....!?)」




生徒たち「ギャハハハハハwwwww」




ドゴッ!!ゴガッ!!バコッ!!



たかし「(どうして皆笑ってばかりで誰も助けてくれないの......?痛いよ.....助けて........)」



















キーンコーンカーンコーン




鬼熊「チッ もう時間か........まぁいい、休み時間に保健室に逃げようとしたって無駄だからな また俺らがたっぷりお仕置きしてやんよ ギャハハハハハwwww」




たかし「う.....う......痛くて立てないよ......誰か.......」グスッ グスッ....




先生「おい」




たかし「...........?」




先生「ホームルームが始まる前なのに何寝転んでるんだ?お前 俺をなめてんのか?あ?」




たかし「殴られたところが......痛くて......立てないんです.......」グス...




先生「人のせいにするな!!!!」




たかし「.......え.......?」




先生「【プロレスごっこ】でお前がドジ踏んで怪我したから痛くて立てないんだろうが!!それを殴られただのと言い訳しやがって!!もういい!!お前は授業中もずっとそうしてろ!!」




たかし「せん......せぇ........」




『お前は最近よく頑張って成績がグングン上がってる 先生は頑張る奴の味方だ!』





たかし「う......うぅ......」グスッ...








素行不良な生徒でも クラス内のカーストが高ければ 教師がその生徒の味方をすることは珍しくはない


しかし、今 たかしが立たされている現状は全く別のもの


教師が生徒の親の権力に怯え、その生徒がどんなに理不尽な仕打ちを立場の弱い生徒に行っていたとしても


被害を受けている立場の弱い生徒を無理やり悪者にして、権力がある方の生徒の味方をする


所詮 そんな教師が吐く優しい言葉など 全て偽物だということを


たかしはこの時 悟った











キーンコーンカーンコーン




先生「よし、ホームルームは終了だ!一限目の授業は理科室に移動するが........


そこに捨てられている【生ゴミ】は理科室に持ってこないように!
理科室が臭くなるぞーwww」



生徒たち「ギャハハハハハwwwwww」




たかし「......グスッ.......」




友達「たかし......大丈夫か.......?」



たかし「..........?」



友達2「さっきは止めに入らなくてごめん........」



たかし「うん、気にしないで.....僕を助けに入ったりしたら 標的にされちゃうから.....」ニコ....



友達「本当にごめんよ.......あいつら、ひどすぎるよ......先生だって あんまりだよ.....」



友達2「とにかく.....保健室に行こう.....肩に掴まれよ......俺たちは.....お前の父ちゃんが人を殺したなんて 信じてないから.
....」



たかし「ありがとう二人とも.....!」グッ




世間的に見れば『殺人犯』の子供であるたかしを皆が虐げる中

それでも同じ気持ちになって考えてくれる数少ない『友達』の存在に

この時 たかしは救われた






渡り廊下にて



たかし「ごめん.....二人とも 本当にありがとう 肩を貸してもらって.....」ザ...ザ...



友達「礼なんて言わないでくれ...... たかしは許してくれたけど さっき 俺らは あいつらがたかしに暴力を振るうのを止めようとしなかった.....」ザ...ザ...



友達2「自分の身が可愛くて 友達を助けることができない奴なんて......友達失格だよ......」ザ...ザ...



たかし「そんなことないよ!僕 今すごく嬉しいんだ! 皆に嫌われてる僕にこうやって肩を貸してくれる友達がいることが.......!」ザ...ザ...



友達「たかし......ありがとな.....こんな俺らの事を友達だと思ってくれて.....」ザ...ザ...


友達2「そうだよな......俺ら三人で約束したもんな......『何があっても俺らは友達』だって..........」ザ...ザ...



たかし「うん!僕らは何があってもずっとずっと友達だよ.....!」ザ...ザ...


友達「そっか....それなら.....」ザ...ザ...












友達「はいどーん!!!!」



ドカッッッッ!!!!



たかし「ぎゃあっ!!」ドシャァッ!!!!










たかし「え.........!?」ゲホッ!




友達「ククク......ギャハハハハハwwwwこいつマジでアホだwwwww」


友達2「ひーwwww腹いてぇwwwwやっぱキモいわこいつwwww」




鬼熊「おいおいお前らマジでゲスだわwwww」ザッザッ


取り巻き「ドッキリ大成功wwww」ザッザッ



たかし「ど......どういうことなの......?」




鬼熊「かーっ!!お前これでもまだ気づいてないの!?マジでイライラするわ」



取り巻き「おい お前ら種明かししてやれよwwwwこいつみたいなアホでも理解できるようにwwwww」



友達「あぁそうだなwww教えてやろうかwww」


友達2「俺らさーwwwお前の友達としてずっと一緒に話したり遊んだりしてやってたけどwww」











友達 友達2「今までの全部 演技だから」










たかし「.......え.......!?
ちょ......ちょっと待ってよ!! 何言ってるの二人とも!! どうしたの!?どういう.........!!」




ガンッ!!




たかし「ゲホッ!」



友達「だーかーら!!言ってんだろ!?今までお前と仲良くしてやってたのは全部演技だって!!」


友達2「小学4年になってさー、クラスがお前と同じになったときにクラスのお前以外の全員で話し合ってたんだよ
『あいつナヨナヨしててキモいからあいつにドッキリ仕掛けね?』ってよ」




たかし「........!!」




友達「そのドッキリっつーのがたくちゃんたちがお前をいじめる中、俺ら2人がお前の理解者として、友達として仲良くしてやって いいタイミングになったら今まで仲良くしてやったのは全部演技だよーんってネタばらしするってことなんだよ」





たかし「そんな......!!」




友達2「いつネタばらししようか迷ってたけど、ちょうどお前の親父が殺人で警察に捕まったってニュースで流れてたから やるならお前が落ち込み切ってるこのタイミングだと思って今日ネタばらししたってわけだよ」


友達「これでわかったかい?優等生さんよーwwww」


全員「ギャハハハハハwwwwww」




たかし「嘘だ...........」








たかし「ねぇ....嘘だよね....?
嘘って言ってよ......!! ひょっとして これがドッキリなんでしょ!?僕を驚かすために二人が仕組んだドッキリなんだよね!?」



鬼熊「まだ言ってるよ.....こいつマジで理解力0だな」



友達「おーい!高花ー!お前もそろそろネタばらししてやれよーwww」




たかし「........え.......高花さん.......!?」




高花「..............」ザッザッ....




たかし「............!」




高花「......ごめんね、たかし君 私も 今までの事は全部 私のお芝居だったの......」



たかし「..............!!」ワナワナ...



生徒たち「おい あいつ涙目wwwほら泣くぞ泣くぞwww」プププ....




高花「たかし君の家に算数を教えてもらいに行ったのも......たかし君に告白したのも......そして、たかし君と付き合い始めたのも......全部全部





お芝居だったの」



たかし「そんな......待ってよ......もう冗談はやめてよぉ......」ポロ ポロ




生徒たち「はい泣いたーwwwww」




高花「たかし君に告白して付き合って 頃合いが来たらたかし君を手酷く振る......この役目を誰がやるかクラスの皆で討論になっちゃって....最終的にはボウリングでスコアが一番低かった女子がその役目を負う事になったの....」


生徒たち「ギャハハハハハwwwwいい夢見れましたかー?wwwwたかしくぅーんwwwww」




たかし「嘘だ......嘘だ......うわぁぁぁぁん!!」ポロ ポロ










たかし「嘘だよね!? グズッ...嘘なんだよね!? ヒッグ...高花さん!!」ガシッ!





高花「触んじゃねぇよ!!!!」ドン!






たかし「!!」ドサァ!!




高花「.....ねぇ もうさ、あたしの彼氏ヅラすんのマジでやめてくんない?」




たかし「..............!」ポロ ポロ




女子達「高ちゃーん よく頑張ったね、ほんっとよく耐えたよ こんなキモい奴と一ヶ月もずっと一緒にいるとか あたしらだったら自殺してたわ」ザッザッ


高花「うわ〜ん キモかったよ〜」ポロ ポロ


女子達「女の子泣かすとかマジサイテー!! 謝れよ!!高ちゃんに謝れよ!! 高ちゃ〜ん もう大丈夫だからね〜」ナデナデ


高花「うっ.....うっ....」グスッ グスッ




鬼熊「オラッ!!さっさと謝れよ!!」



ゲシッ!!



たかし「うっ....!」ドサッ!



友達「なに痛がるフリして倒れ込んでんだよ?土下座しろよ土下座」グイッ!!



たかし「痛いよぉ!髪を引っ張らないでぇ!」ポロ ポロ



友達2「ちゃんと高花に向かって『僕みたいなゴミにいい夢見させてくれてありがとうございました 彼氏ヅラして調子に乗ってすみませんでした』って謝れ」



たかし「....グスッ......ヒッグッ......」









友達「オラッ!!泣いてねーで謝れよ!!」ガンッ!!



たかし「うっ.....!」ヨロ....




たかし「.........僕みたいな.......」グスッ...




鬼熊「おい 土下座って知ってるか?なに跪いただけで満足しちゃってんの?
土下座っつーのはね!?こうやってぇ!!」ゴンッ!!



たかし「ぎゃっ!!」



鬼熊「地面にめり込むぐらい頭押し付けて謝んのを土下座ってゆーの」グリグリグリ.....



たかし「痛いよぉ.....痛いよぉ.....」ポロ ポロ



友達2「いや そんなんいいから早く高花に謝れよ さっき俺が言ったことを一字一句 完璧にな」



たかし「うっ.....ヒグッ....僕みたいな.....ゴミにいい夢見させてくれて....グズッ..........ありがとう....ございました......」ポロ ポロ



鬼熊「次に謝罪だよ謝罪!!高花の彼氏ヅラして調子に乗ったことを謝んだよ!!」ゴッ!!



たかし「ぐぅ.....! 彼氏ヅラして.....ヒッグッ.....調子に乗って.....うぅ....グズッ....すみませんでした.......」ポロ ポロ



全員「プククク......」



たかし「本当に".....ずみ"ま"ぜん"でじだぁ"........」ポロ ポロ









生徒たち「ギャハハハハハwwwww」




女子達「うわ....マジで土下座して謝っちゃったよ.....しかも泣きながら.....キモ......」



高花「まぁ謝っても許さないけどね?
おふざけで一緒にいてやっただけなのに
あたしに向かって散々説教たれてくれたよね?悩みは隠さないで誰かに話せだのなんだの.......散々カッコつけてたよね?あれはマジでキモかったわー......


言っとくけど あたしが前いた学校でいじめられててここに転校してきたとかゆーのね




アレ 嘘だからwwww」




女子達「ブハwwwwwちょwwww高ちゃんマジ鬼ーwwww」



生徒たち「ギャハハハハハwwwwあーやべぇーwwww腹いてぇーwwwww」





たかし「うぅ.....」ポロ ポロ








友達「そーいやぁよ さっき お前さぁ『何があっても僕らはずっと友達』とか言ってたよな? 」



たかし「...........」グズッ...ヒグッ...



友達2「まぁ、確かに お前の言う通り 俺たちは何があってもずっと友達かもな」



たかし「.............」グスッ グスッ



友達「俺らの友達ならさぁ......友達である俺らの頼みなら何でも聞いてくれるんだよなぁ?」



たかし「..............?」グズッ...ヒグッ...












友達「.......じゃあさ、これ食って 犬のうんこ」





たかし「!!」




生徒たち「ブフォwww」




鬼熊「お!!ナァイスwwwおい暴れねぇようにこいつ押さえてろ!!」



取り巻き「おっけぇwww」ガシッ!!




たかし「や.......や"め"でぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!ぞれ"だげばや"め"でぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!」ジタバタジタバタ!!













鬼熊「暴れんじゃねぇよ!!」ドガッ!!


たかし「ンンッッ!!」ジタバタ!!


友達「おい!鼻つまんで息止めて口開けさせろ!!」





『たかしになら何でも言えるんだよ.....』




取り巻き「おうよ!!」ガシッ!!


たかし「ン"ン"ン"ッ"ッ"!!」ジタバタ!!


友達2「オラオラ!!友達の頼みならちゃんと食えや!!友達思いのたかし君よぉ!!」




『俺たちはたかしの事 本当に信用してるから......お前も 俺たちの事を信用してくれよ......』



たかし「プハァッ!!」ジタバタ!!


女子達「ギャァァァァァwwww」


高花「ギャハハハwwwマジキモいwww」




『こうやって お互いに本音を言い合える.....お互いに信頼して話せる友達でいたいから.......』




たかし「がぁ"ぁ"っ"!!」ジタバタ!!


友達「おwww口開いたぞwww」


友達2「あともうちょいで口ん中だwww」







『何があっても 俺たちはずっと友達だよ!』















ずっと信じていた 友達が自分に言ってくれた数々の優しい言葉たち........






でも そんなものは全部まぼろしだった






最初から 自分に友達なんていなかった





友達だと思っていたのは自分だけだった





今まで自分が友達だと思っていたものは友達でもなんでもなかった






友達のフリをした トモダチ






これから先 自分は誰を信じればいいのだろう





ダレヲシンジレバ













ーーーー
ーーー
ーー





たかし「オェッ!!ゲェェッ!!」ビチャビチャ




鬼熊「うわぁwwwこいつマジで犬のうんこ食ったぞwww汚ねぇwww逃げるぞぉww
w」ダダッ!



女子達「オェーwwwwマジドン引きなんですけどwwww」ダダッ!




たかし「う....グスッ....うぅ.....ヒッグッ....」ポロ ポロ




高花「あー汚かった

もう二度とあたしに近づくなよ 汚物が」ザッザッ




トモダチ「ギャハハハハハwwwwこいつ犬のうんこが主食みたいだぜwww」ザッザッ




トモダチ2「あばよwww人殺しうんこ野郎www」ザッザッ







たかし「う.......」ジワァ....







たかし「う"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん"」ポロ ポロ





たかしはその後も



一日中 生徒からも教師からも残酷な仕打ちを受けた



それでもたかしは早退せずに 全ての授業を受けて帰った



全ては母親に心配をかけないため



そして母親を支えるためだった




放課後 帰り道にて



たかし「(今日は.....顔は殴られてないから....暴力を受けていたことはバレない..
......)」テク テク




たかし「(暴力じゃなくて 精神的にいじめられるのだったら......なんとか耐えられる......)」テク テク



たかし「(いじめられたぐらいで早退なんてできない.....そんなことしたら勉強がどんどん遅れていってしまう......それに、お母さんに心配をかけることになってしまう.......)」テク テク



たかし「(やっぱり....自分で戦わなきゃ......もう親を頼ったらダメだ......)」テク テク




たかし「(.......卒業するまでの2年間.......いじめられていることがバレないように...
...やり過ごさなきゃ.......!)」テク テク









たかし「ただいまー!」ガチャ!




母「おかえり たかし......その.....学校はどうだった.....?」



たかし「うん!いつもと変わらずに楽しかったよ!
クラスの皆が僕の事を心配してくれて すごく嬉しかったよ!前 僕をいじめていた子も僕の事をすごく気にかけてくれたんだよ!」ニコッ!





我慢しなきゃ.........泣いたらダメだ.......!






母「そう、お母さん安心したわ
クラスの皆は優しい子なのね」ニコッ!






演じきらなきゃ.......演じきらなきゃ.....!







たかし「うん! 僕 このクラスにいられて本当によかったって思ってるよ!じゃ 僕 宿題してくるねー!」ダダッ!






母「たかし.....学校でまたいじめられると思ったけど.......元気でいてくれて本当によかったわ.......」






たかしの部屋にて




「うっ......!うぅ........!」ポロ ポロ



部屋に入った瞬間 押さえていたものが溢れ出た




後 2年間 ずっといじめを耐えきらなければならない



そして その間 ずっと 母親に嘘をつき続けなければならない......




それらの事を思った時、たかしの目から涙が溢れ 止まらなかった




たかしは母親に泣き声が聞こえないように 声を殺して泣いた







キモオタ「すんまっせぇぇぇん!!!心の底からすんまっせぇぇぇぇん!!!うんこでもスカトロプレイでもなんでもするんで命だけは...」

たかし「や.......や"め"でぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!ぞれ"だげばや"め"でぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!」ジタバタジタバタ!!




それからというもの たかしは学校に通う度に毎日 残酷ないじめを受けた


殴る 蹴るの暴力は当たり前


親が人殺しである事に対する生徒や教師からの罵倒雑言はもはや日常


給食にチョークの粉や虫を入れられたりもされた




それでもたかしは学校に通い続け、母親に嘘を重ね続けた



全ては母親に心配をかけないため


勉強を遅らせないため


祖母と約束した夢を叶えるため


そして、いつか無実が証明された父親と
再開する時、胸を張って父親に会うため



それらの強い思いがあったから辛いいじめにも耐え抜くことができた


毎日逃げずに学校に通い続ける事ができた








たかしの部屋にて



たかし「今日もなんとかお母さんに隠し通すことができた......」カリカリカリ



たかし「後2年......後2年 我慢すれば 学校を卒業して......お母さんに負担はかけちゃうけど.....私立に入学もして.....今のクラスのみんなと会うことのない生活を送れる......」カリカリカリ



たかし「待っててね....おばあちゃん、
絶対に僕が書いた小説を.....見せてあげるからね.....ふふ♪」ニコッ



どんなに辛い時でも、たかしは大好きな小説を書くことだけはやめなかった


小説を書いている間は 学校であったことを忘れられるからだ


今のたかしにとっては 夢に向かって前向きに歩くことが なによりの支えになっていた



















しかし、それから数ヶ月後








『夢』に向かって一歩 一歩 歩いているたかしを待ち受けていたのは 今まで受けていたいじめなど比較にならないほどの辛い『現実』だった




























父親が 拘置所内で 首を吊って自殺した

















拘置所の独房のドアノブに衣服を結びつけて首を吊っている父親を見回り中の職員が発見し
病院に救急搬送したが、その一時間後に死亡が確認された



父が自殺した事をたかしたちが知ったのは 一本の電話によって伝えられた.......















最初に父の死を伝えられた時、母親と祖母が号泣する中


あまりにも急な父の死をたかしは実感することができなかった




きっとこれも何かの嘘だ



父が自殺などするはずがない



そう信じきっていたため たかしの目から涙がこぼれる事はなかった

























しかし、その後 手元に届けられた父が家族に最後に残した遺書を読んだことによって たかしは現実を思い知らされる


遺書にはこう記されていた




『母さん、まもり、貴志


この文をあなたたちが読む頃には私はもうこの世にはいないでしょう

私は 生きる事に疲れました

大切な家族に迷惑をかけ

人殺しとして自分の名前が世に出回り

取り調べを受ければ頑なに私に自白を強要する警察たち

いくら私が無実を主張しても、世間的に人殺しである私の声は誰にも届きません

身に覚えのない罪を背負って生きるには 私はあまりにも弱すぎました

戦おうともせずに 逃げる こんな弱い私をお許しください


最後に

母さん 今まで私の事を大切に育んでくれてありがとうございました 私にとってあなたは最高の母親でした

まもり 最後まであなたの良き夫でいることができなかったことを悔やんでいます 私の事を愛してくれてありがとう

貴志 小説家になるというおばあちゃんとの約束を必ず守ってください 父さんはいつまでも君を見守っています



それでは

今までありがとう

さようなら


大石 優弥』






たかし「.............」ポロ ポロ




この遺書を読んだ時 たかしは自分が目を背けようとしていた現実を思い知った




父が死んだこと そして もう二度と父と会うことは無いということ




それらのことを 理解した瞬間 たかしの目からは涙が溢れた





『たかし!今日の晩御飯は父さん特性カレーだ!』


『コラ!たかし!寝る前はちゃんと歯を磨きなさい!』




たかし「う......ヒック...」ポロ ポロ




『たかし!今日は父さんと公園でキャッチボールをしよう!』


『お!今日も小説を書いてるのかー!完成するのが楽しみだなぁ!』




たかし「おとう......さん.....う"ぅ".....」ポロ ポロ




『絶対にいじめなんてさせないからな!』


『たかし!』




たかし「う"わ"ぁ"ぁ"ぁ"ん"!!!!お"父ざあ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん"!!!!」ポロ ポロ










母「たかし....グス.....たかし......グス.....」



ギュッ



たかし「うっ....ヒック....うぅ.....グス...」




夫を失い 悲しみに溺れる母は泣きじゃくる息子を抱き寄せた



その時の母の温もりが暖かくて どこか懐かしくて でも遠くに離れていきそうで












悲しかった





















この日、




















父を亡くした この日を境に




母の様子が少しずつおかしくなり始めた
















母が会話の語尾に「ござる」を付け始めたのだ
僕のことも「たかし殿」と呼び始めた
家事もせず、引っ切り無しにパソコンを食い入る様に見ては「プギャー」と笑っている
何やら興奮気味に画面をスクロールしては「アッー」「やらないか?」などと呟いている事も多々あった
この時僕にはまだ、母がパソコンで何を見ているのかさっぱりわからなかった

母が会話の語尾に「ござる」を付け始めたのだ







僕のことも「たかし殿」と呼び始めた








家事もせず、引っ切り無しにパソコンを食い入る様に見ては「プギャー」と笑っている









何やら興奮気味に画面をスクロールしては「アッー」「やらないか?」などと呟いている事も多々あった









この時僕にはまだ、母がパソコンで何を見ているのかさっぱりわからなかった




次スレに続きます・・・




たかしが寝ようとすると 隣の母の部屋から夜な夜なすすり泣くような声と同時にブツブツと囁く声が聞こえてくるようになった



「.......アナタ....アナタ........アァァァ.......」グスン....グスン....




たかし「..........お母さん また泣いてる........」




「........ナイ......ナイ......ロス.....」グス....グス.....




たかし「.......なんって言ってるんだろう............いいや、早く寝よう.......」
















父を亡くした この日を境に




母の様子が少しずつおかしくなり始めた
















>>176


※最後の二行で >>169と同じ文が入ってしまった 訂正


次の日 学校にて




たかし「.............」ガララ-ッ




生徒たち「クスクス.......」




たかし「............?」チラッ






たかし「.........あ..........!!」








教室に入った途端、たかしが目にしたものは 黒板にでかでかと書かれた
今のたかしの心を抉るような残酷な言葉だった








『祝!人殺し自殺記念!
〜東京都に平和が戻った!!〜』












たかし「.......これは........」ワナワナ...




鬼熊「よう!大石wwwwwあwww今は小野寺だっけwww」




たかし「...........」グスッ...グスッ....




鬼熊「喜べ小野寺wwwwwこの東京から人殺しがいなくなったwwww牢屋ん中で首吊って自殺したんだってよwwwwwwこれでここもまた平和になるなwww」



生徒たち「プ-クスクスwwwww」





たかし「.............!」ピクッ





鬼熊「ほらwwwwwお前も喜べよwwww今日はパーッとやろうぜwwwww自分の罪と向き合わずに 家族を置いて逃げた人間のクズである『人殺し』が死んだんだからよwwwwwあwwwwwwそーいえばお前そいつの息子だっけwwwww
こりゃ失敬wwwwwwちょwww間違ってでも俺を殺さないでくださいよーwwwwひ・と・ご・ろ・し・君wwwww」




生徒たち「ギャハハハハハwwwwww」






たかし「...........!」キッ!!
















鬼熊「........んだよ、その目は?」




たかし「..........ろしじゃない.......」ブルブル....




鬼熊「あ?」





たかし「お父さんは人殺しなんかじゃない!!!!」ポロ ポロ




ボカッ!!!!




鬼熊「っ..........!」ヨロ....




たかし「全部お前らが決めつけてるだけだ!!!!謝れ!!!!お父さんに謝れ!!!!」ポロ ポロ




鬼熊「......ってーな.......調子乗ってんじゃねぇぞぉ!!!!人殺しがぁ!!!!」



ドカッ!!!!




たかし「ぐっ.....」ドサッ




鬼熊「おい、全員でこいつ半殺しにしよーぜ こいつ俺の顔 殴りやがった.......こーいう犯罪者はいつなにするかわかんねーからな」




生徒たち「おう」ザッザッ...















鬼熊「人殺しのくせに何俺にたてついてんだ あぁ!!??」ドカッ!!ドカッ!!


トモダチ「弱えくせに一丁前にキレてんじゃねぇよ!!」ガンッ!!バコッ!!


トモダチ2「今度そんな態度とったらお前んちのババァ犯すぞ!!」ドガッ!!バギャッ!!


取り巻き「ヒャッハハハハハwwwwマジストレス発散なるわこれwwww」ボカッ!!ゴッ!!






たかしは必死に顔を庇いながら 暴力に耐えた



暴力を振るわれながら たかしは感じた



自殺した父親が悪いんじゃない



本当に人を殺した奴が悪いんだ



そして 父を犯人だと決めつけた世の中やこいつらが悪いんだ




でも、たかしは何よりも 父親をバカにした者達に対して反撃もロクにできなかった自分の弱さを許すことができなかった














キーンコーンカーンコーン



鬼熊「ハァ....ハァ....二度と俺に刃向かうんじゃねぇぞ!!」ザッザッ


取り巻き「あぁスッキリしたwwww」ザッザッ








たかし「ゲホッ!!.........」








父の死に加え、さらに過激さを増す暴力、暴言


今まで 母親を心配させまいと笑顔を取り繕ってきたが


遂に 偽物の笑顔すら たかしから消えてしまった



家にて......







たかし「ただいま.......」ガチャ...







家の中は妙に静まり返っていた








たかし「..........お母さん......いないの......
..?」トッ トッ








たかし「おかあ............」








台所を覗いた瞬間 悲惨な光景がそこにあった








たかし「あ............あぁ............」












台所で 母親が 口から大量の吐瀉物を流して倒れていた



















たかしがすぐに救急車を呼んだため、母親は一命を取り止めた



母親は精神的疲労から 大量の薬を飲んで自殺を図ろうとした



夫の逮捕、そして夫の死 これらの度重なる不幸は 元々、精神的に弱い方だった母親にとっては精神を破壊するには十分すぎた



そして、母親の今の精神状態では、再び自殺行為に走る危険性が高かったため、そのまま閉鎖病棟に入院する事になった













母が病院に入院し、一時的に保護者のいない状態となった たかしは

再び祖母の元で暮らすことになった






父が死んでから 誰にも心配をかけないために、人に頼ることも、母親の前で泣くこともやめていた


でも、祖母の前では自分の気持ちに嘘はつかなかった


『泣きたい時は泣けばいい』


父が逮捕された日に 祖母が自分に言った言葉を思い出し


祖母の前では今まで押さえていた感情を抑えきれずに 泣いた


学校に行く度、いじめられ続け
学校から帰ってくる度に泣きながら祖母の元に帰った


でも、その度に、祖母は 優しい笑顔で、優しい言葉で、自分を励まし続けた


たくさん泣いた後は、夢の話やこれからの事をたくさん話した


夢を語ると、祖母は嬉しそうな顔をしてくれた


自分は それが嬉しくて 嬉しくて


幸せだった



















でも どうしてだろう




何で神様は 自分に幸せを与えては、すぐに奪い去るのだろうか





わからなかった















そして、それから約1年と1月が経った.......


母親は 無事 閉鎖病棟を退院することができ、


たかしは祖母に別れを告げ、母親とまた生活を再開する事となった


母親は夫の死を乗り越え、また 以前の 息子想いの優しい母親に戻っていた


そして、小学5年生に進級した たかしも、父親を失った悲しみを克服し、
辛いいじめと闘いながら学校に通っていた










それからさらに数ヶ月が経った頃






母「たかし、今までお母さんがあんな風になってたせいで、あなたには寂しい思いをさせたし、辛い思いをさせてしまつまたわね......」


たかし「どうしたの お母さん?急にそんなこと言って.......今はお母さんと一緒にいられるから僕 幸せだよ」


母「ありがとう、たかし......でもね、お母さんがあなたに寂しい思いをさせていたのは事実.......だから......もう少しで来るあなたの誕生日はね、寂しい思いをさせてしまった分、目一杯お祝いしたいの」


たかし「.....そうか、もう少しで12月20日......僕の誕生日だね!」


母「そこでね、なんと!たかしの誕生日はおばあちゃんがプレゼントを持って うちに来てくれます! その日はたかしと私、そしておばあちゃん 家族三人で素敵なたかしの誕生日にしたいと思ってるの!」ニコッ!




たかし「おばあちゃんが.......!!」パァァァ!!



母「ええ、今日 おばあちゃんに電話したら たかしの誕生日はお祝いに行ってもいいか?って聞かれてね!もちろん こっちからお願いしたわ!その方がたかしも喜んでくれるでしょうからね!」ニコッ!





たかし「やったぁ!!!!」





母「あらあら」クスクス




たかし「あ〜誕生日がすごく待ち遠しいよ〜!」ワクワク!



たかし「僕も おばあちゃんに電話してくるよ!」ダダッ!




母「もうったかしったら おばあちゃんっ子なんだから!」クスクス
















祖母の家




プルルルルルルルル!!




おばあちゃん「おや?電話だねぇ 誰からかねぇ」


ガチャ!


おばあちゃん「はい 大石でございますが」


たかし『もしもしおばあちゃん!たかしだよ!』


おばあちゃん「おや たかし!元気にしてるかい?」


たかし『うん!おばあちゃんも元気?』


おばあちゃん「もちろんおばあちゃんも元気だよ、たかし もう少しでたかしの誕生日が来るねぇ、だから 誕生日は おばあちゃん お祝いにそっちに行くから待ってておくれ」



たかし『うん! 絶対来てね!約束だよ!』


おばあちゃん「ええ、もちろんともさ 」


たかし『じゃあまた誕生日にねー!おやすみなさーい!』


おばあちゃん「はいおやすみ たかし」


ガチャッ



おばあちゃん「さぁて、明日は たかしのために素敵なプレゼントを買いに行かなきゃねぇ」ニコニコ























そして 誕生日前日の夜 たかしの部屋






たかし「(明日は.....おばあちゃんがうちまでプレゼントを持って 誕生日をお祝いしにきてくれる........)」




たかし「(ふふ♪ おばあちゃん 何くれるのかな? 楽しみ♪)」




たかし「(僕の大好きなおばあちゃん......)」




たかし「(優しいおばあちゃん........)」




たかし「(おばあちゃん..........)」スゥ...




そして 誕生日当日



ピンポ-ン!




たかし「あ!おばあちゃんが来た!はーい!」ダダッ!



母「こらこら 家の中を走り回らない!」クスクス



ガチャ



たかし「おばあちゃん!」ギュ-ッ!



おばあちゃん「おぉ、たかし!久し振りだねぇ、いい子にしてたかい?」



たかし「うん!」ギュ-ッ!



母「わざわざこんな所まですみません、お義母さん」



おばあちゃん「可愛い孫の誕生日を祝うためならここまで一時間かけて歩いて来るぐらい なんてことないさね」ニコニコ



母「どうもありがとうございます!さぁお上がりになって夕食ご一緒しましょう」



たかし「おばあちゃんこっちこっちー!」グイグイ



おばあちゃん「はいはい 今行きますよ」ニッコリ

















おばあちゃん「ほほぉ、こりゃすごいご馳走だねぇ まもりさん」


母「えぇ、腕によりをかけて作りましたから」ニコニコ


たかし「早く食べよ♪僕 お腹すいちゃったよ」


母「あらあら、今日はいつになく子供ねぇ、おばあちゃんが来てくれたからかしら?」クスクス


おばあちゃん「おやまぁ」ニッコリ


たかし「うっ///そっそんなことより早くバースデーケーキの火を消させてよ///」


母「はいはい じゃあ始めましょうか」ニコッ!




ボッ!




母 おばあちゃん「ハッピーバースデートゥーユー♪ハッピーバースデートゥーユー♪ハッピーバースデー ディア たかし♪
ハッピーバースデートゥーユー♪」



たかし「フ-! フ-!」




フッ!




母 おばあちゃん「たかし お誕生日おめでとう!」パチパチパチ



たかし「.........!!」パァァァァ!!






たかし「えへへ、ありがとう!///」ニッコリ!















母「あんな小さかった たかしがもう11歳かぁ.....時間が経つのは早いわぁ」ホノボノ



おばあちゃん「あんなに坊やだったたかしがこんなに大きくなってねぇ」グスッ



たかし「えへへ///照れるよ〜二人とも///」



母「じゃあご飯の前に、早速!たかしのお楽しみのプレゼントタイムにしましょう!」



たかし「やったぁー!!」



おばあちゃん「............!」










母「じゃあまずは私から渡すわね
やっぱりお楽しみのおばあちゃんのプレゼントは後の方がいいでしょうからね」ニコッ!



たかし「うん!」



おばあちゃん「あ.......あぁ.......」オロオロ



母「はいたかし、これは私から 早速 開けてみて!」ニコッ!


ガサゴソ


たかし「あ!欲しかった新しい靴だぁ! お母さん ありがとう!」パァァ!!



母「うふふっどういたしまして」ニッコリ!



たかし「次はおばあちゃんだね!おばあちゃんは何をくれるの?」ニコニコ



おばあちゃん「あ.......おばあちゃんはねぇ......えっとねぇ......」オロオロ








たかし「もったいぶらないではやく〜♪」ワクワク!


母「こら、急かさないの!」


おばあちゃん「あ.......たかし......」


たかし「ん?」ニコニコ


おばあちゃん「ごめんよ......ごめんよ.......」


たかし「...........?」


おばあちゃん「プレゼント.......ここに持ってくる途中で壊れてしまって......」





たかし「え!?」


おばあちゃん「ここに来る途中で.....おばあちゃんこけてしまって、荷物をばら撒いてしまってねぇ.........その時にたかしに渡すはずのプレゼントが道路に出てしまって........走ってたトラックに踏み潰されてしまったんだよ.....」


たかし「...........!」


おばあちゃん「代わりの物はないかと お店を探したんだけどお店が見つからなくてねぇ.........」


たかし「う.........」ジワァ....


たかし「だから......今日はたかしにプレゼントを渡せないんだよ......また今度、ここに来る時に 、たかしの欲しいもの買いに行くから......ごめんよ.....本当にごめんよ.......」


たかし「うぅ.....」グスッ


たかし「うわぁぁぁん!!」ポロ ポロ






>>233 ※おばあちゃんがたかしになっていた 訂正




たかし「おばあちゃんの嘘つき!!約束したのに!!ひどいよ!!」ポロ ポロ


おばあちゃん「ごめんよ たかし......」ウルウル


たかし「おばあちゃんなんて大っ嫌いだ!!おばあちゃんなんていなくなっちゃえ!!」ポロ ポロ


おばあちゃん「うぅ....ごめんよ....ごめんよ.........」ポロ ポロ


母「コラッ!!たかし!!なんてこと言うの!!せっかく遠くから来てくれたのに!!」


たかし「出てってよぉ!!早く出てってよぉ!!うわぁぁぁん!!」ポロ ポロ


おばあちゃん「ごめんよぉ.....ごめんよぉ......」ポロ ポロ


ガチャ バタン


たかし「..............!」グスッ....グスッ...


母「たかし!今すぐおばあちゃんを連れ戻しなさい!!それでおばあちゃんに謝って来なさい!!」


たかし「おばあちゃんなんて知らない!!もう僕 寝るよ!!」ダダッ!!


母「たかし!!待ちなさい!!たかし!!」





母「たかし.......どうして.......いつもならあんなわがまま絶対に言ったりしないのに.......」





その日の夜 たかしの部屋.....






『おばあちゃんなんて大っ嫌いだ!!おばあちゃんなんていなくなっちゃえ!!』




たかし「...............」





『うぅ..........ごめんよ.......ごめんよ.......』




たかし「おばあちゃん.......すごく悲しそうな顔をしてた........」





たかしは今、自分でも なぜあんなに祖母に冷たく当たってしまったのか 驚いていた.......


あの時、悲しそうに家から出て行く祖母の姿を見たとき、たかしはとてつもない後悔と罪悪感を感じた


本当は、プレゼントなどなくても、大好きな祖母が 自分の誕生日を祝いに来てくれただけでもすごく嬉しかったのに.......


祖母にひどい事を言ってしまった


日頃、学校での辛辣な仕打ちにより、溜まりに溜まったストレスを プレゼントを
壊してしまったという理由が引き金になってしまい、祖母にぶつけてしまった







たかし「おばあちゃん.........」スク...




たかし「やっぱり.......謝りに行かなきゃ.........!!」



ガチャ!バタン!




















母「たかし!どこに行くの!?」


たかし「おばあちゃんの家まで謝りに行ってくる やっぱり 僕 おばあちゃんの
事が大好きだから」


母「やめなさい!もう夜遅いし、危ないわ!それに ここから歩いたら一時間はかかるのよ!?
謝りに行くなら今日じゃなくてもいいでしょう!?」


たかし「ダメだよ!今日じゃないとダメなんだ!いつまでもおばあちゃんに悲しい思いをさせたままにしたくないよ!!」ダッ!!


母「たかし!!待ちなさい!!」


ガチャ!!バタン!!






母「たかし..........」





















たかしはこの後、祖母に辛く当たってしまったことを





一生 後悔することになる











たかし「ハァ....ハァ.....!!」ダダ!!




『おばあちゃんなんて大っ嫌いだ!!』




たかし「おばあちゃん......ごめんなさい.......!」ダダ!!




『おばあちゃんなんていなくなっちゃえ!!』




たかし「おばあちゃん......!!」ダダ!!




『ごめんよ......ごめんよ.......』




たかし「グスッ....ヒグッ」ダダ!!










たかし「もう少しで.....ハァ....おばあちゃんの家だ......!」ダダ!!






たかし「............!?」ピタッ....








たかし「.......夜なのに空が赤い.........煙が上がってる..........火事........!?」





通行人「おい!あっちの方の家 燃えてねーか!?」ダダッ!!

通行人2「行ってみよーぜ!!」ダダッ!!





たかし「............!」





この時 たかしの脳裏には最悪なシナリオが思い浮かんだ





煙が出ている方向......そして煙が出ている位置.......




考えたくない 想像したくもない事が次々思い浮かぶ






たかし「...........!!」ダッ!!

















たかしは自分が今 考えようとした恐ろしい光景を頭の中から消し


そして全力で走った


もう息は切れているはずなのに 全力で走った


溢れてきそうになる涙をこらえながら
ただ ひたすらに 我武者羅に 全力で走った




たかし「そんなはずない......そんなはずない......!!」ダダ!!






たかし「おばあちゃん........!!」ダダ!!












しかし、たどり着いた先にあったのは






非常な現実だった










>>250 ※非情 が 非常 になってた


訂正






けたましく音を立てながら燃える家



辺りを見渡せば 物珍しそうに見物しに来た大勢の野次馬達



その野次馬達にさがるよう指示を促す消防隊員達



燃えている家に突撃する消防隊員達



燃えている家に放水する消防隊員達



そして 今 燃えているその家は間違いなく













祖母の家だった








たかし「あ.........ああ...........」ワナワナ....






ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ






「うわぁすげぇ燃えてるよ」「中にいる人 大丈夫なのか?」「可哀想に これから大変だろうねぇ」




消防隊員「ここは危険です!!皆さんさがってください!!危険ですのでさがってください!!」




ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ





たかし「うわぁぁぁん!!おばあちゃん!!」ダダッ!!




ガシッ!!




消防隊員「コラッ!!ぼうず!!何をしているんだ!?こんなところに来てはダメだろう!?はやく家に帰りなさい!!」




たかし「離して!!!!離してよぉ!!おばあちゃんが!!おばあちゃんが中にいるんだ!!」ジタバタ!!



消防隊員「コラッ!!暴れるんじゃない!!早く帰るんだ!!」




たかし「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!おばあちゃん!!!!おばあちゃぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」ジタバタ!!









消防隊員2「この家の住民と思われる人を救助しました!!性別は不明!!まだ微かに息があります!!」



たかし「!!」



消防隊員「よし!!すぐに救急車に収容しろ!!」




消防隊員2「はい!!」







そのとき 消防隊員の腕に抱えられながら たかしの目に映ったものは


担架に乗せられ、救急車まで運ばれるダレか


人混みに紛れ、姿までは確認できなかったが


今 担架に乗せられている人物は 祖母であるということを 確信した






たかし「おばあちゃん!!!!おばあちゃん!!!!お願いします!!僕も救急車に乗せてください!!」ジタバタ!!



消防隊員「何を言っているんだこんな時に!!」




たかし「おばあちゃんなんです!!救急車に乗せられているのは僕のおばあちゃんなんです!!」ポロ ポロ




消防隊員「...........!!」






ゴォォォォォォォォ.........




消防隊員「すまなかった......子供の言う事だからと 私は君の事を疑ってしまった.....
私に泣きながら必死に訴えかける君の顔を見たら......救助された人が 君の家族であるということがよくわかった......」




たかし「.............」グスッ ヒッグ




消防隊員「だが、子供である君一人で患者に立ち会わせるわけにはいかない......これから君のおばあちゃんが運ばれる病院に 消防車で連れては行くが.....君のお母さんが病院に辿り着くまで、申し訳ないが その病院で待っていてほしい.......」



たかし「グスッ......ヒグッ.......」コクン



















それからたかしは、消防隊員に連れられ 母親よりも一足先に 祖母が搬送された病院に到着した


それからしばらく経った頃に、知らせを聞いて駆けつけた母親が病院に到着した


たかしと母親は病院の待合室で 今 治療中の祖母を待ち続けた


祖母の安否を待つ時間は 2人にとって永遠にも感じられる程 長く 永く 思えた...........












たかし「...................」




母「..................」














看護師「...........大石 永遠子様のご家族様でしょうか.......?」





母 たかし「!」ガタン!





看護師「たった今.....大石永遠子様の治療が終了しましたので 病室の方にご案内いたします........」










病室前........




医師「大石 永遠子様のご家族の皆様で間違いないないでしょうか......?」


母「はい.......」


医師「今、治療が終了いたしましたので.......そのご報告と 病状に関する説明を........」


母「あの.......ここにいるという事は......義母は....生きているんですよね........?」


医師「はい、永遠子様は 一命をとりとめられました」




母 たかし「.............!」ホッ



医師「ただ......」




母 たかし「............!?」




医師「一命はとりとめたものの......意識不明の重体です.......まだ安心はできません......」




母「そんな........」


たかし「おばあちゃん.......」





医師「..........これから目にするものを見る覚悟はおありでしょうか........?」










母「..........はい.......」




医師「......では、お母様は どうぞ こちらの病室に.........」ツカ ツカ



母「はい.......」ツカ ツカ


たかし「待ってください......僕も......僕も
入ります.......入れてください.......」


看護師「君は......やめたほうがいいわ.....」


たかし「どうして僕はダメなんですか!?僕が子供だからですか!?」



看護師「違うの......違うの.......!」
















「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!お義母さぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」







たかし「!!」


看護師「!!」










たかし「お母さん!!」ダッ!!




ガシッ!!




看護師「ダメ!!行ったらダメ!!
君は見ないほうがいい!!後悔することになるから!!」




たかし「離せ!!離せぇ!!なんで僕がおばあちゃんを見たらダメなの!?おばあちゃんが苦しんでるのにどうして孫の僕がおばあちゃんを心配しに行くのがダメなの!?」ジタバタ!!




看護師「.............!」




バッ!!




たかし「おばあちゃん!!」ダッ!!




看護師「あっ君!!待ちなさい!!行ったらダメェ!!」





ダダダ



おばあちゃん......




ダダダ




おばあちゃん




ダダダッ!!






お ば あ ち ゃ ん!!!!







ガララーッ!!!バァァンッ!!!
















たかし「................!!」










たかし「.......あ..........あぁ.........」ガクガク










たかし「う.........うぅ..........うっ.........!!」ポロ ポロ










たかし「げぇっっっ!!!げぇぇぇぇっ!!ガハッ!!ゲホッ!!」ビチャビチャビチャ




















たかしが病室で目にしたものは.........





全身に包帯を巻かれ、その包帯の隙間からもわかるほどに皮膚が赤黒く焼け爛れ、 生命維持装置を取り付けられた状態で病室のベッドに横たわる





祖母の変わり果てた姿だった










最早、ほんの数時間前まで元気に自分の誕生日を祝ってくれていた祖母の面影はどこにもなかった


当時 小学五年生だった たかしにとって 祖母の変わり果てたその姿は 恐怖でしかなかった








たかし「ハァ....ハァ.....ゲホッ!.....」



母「たかし........」




おばあちゃん「コヒュ-...コヒュ-....」




医師「..........受傷範囲90%のIII度熱傷.....つまり 全身に大火傷を負っています......そして、その火傷は内臓器官にも少し及んでいますので、 例え、目が覚めたとしても..........もう満足に自分の力で動くことはおろか.....喋る事もできないでしょう.......」



母「あぁ.......あぁぁぁ......!!」ポロ ポロ









たかし「......おばあちゃんじゃない.......」




医師「............!?」







たかし「こんなの.......こんなのおばあちゃんじゃない!!!!」ポロ ポロ







たかし「おばあちゃんをどこにやったの!?おばあちゃんを返してよ!!」ポロ ポロ




医師「...........おばあちゃんならここにいる........今君の目の前にいるのは 紛れも無く 君のおばあちゃんだ.......」




たかし「違う!!!違うよ!!僕のおばあちゃんを返してよぉ......」ポロ ポロ



医師「...............」




たかし「うわぁぁぁぁぁん!!!!おばあちゃん!!おばあちゃぁん!!」ポロ ポロ











パシィンッ!!









たかし「.............!」ドサ...



医師「お母様.........」



この時、たかしは 初めて母親に頬を叩かれた


普段 自分が受けているいじめの中の暴力なんかよりも 何倍も何十倍も 悲しみと痛みを感じた




母「......たかし、あなたはいつからそんな心の無い事が言えるようになったの?」




たかし「.............」ポロ...




母「.......たかし よく聞きなさい、
今ここで眠っているのはあなたのおばあちゃんなの」




たかし「..............」ポロ ポロ



母「生きたい.....生きたいって.....今ここで一生懸命 苦しみと闘っているのは あなたのおばあちゃんなの.......!」ポロ ポロ




たかし「う.....うぅ........!」ポロ ポロ




母親の言葉を聞いた時、たかしは理解した




母「たかし......たかし.......」ポロ ポロ




今 ベッドで横たわっている人は 紛れも無い 自分の祖母だということ、



そして、今 目の前にいる祖母は もう二度と 優しく自分を慰めてくれはしない、 夢を応援してはくれない



そして、もう二度と元の祖母には戻らない




それらを全て理解した時、


溢れてくる涙を押さえる事などできず、大声で泣き叫んだ





たかし「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」ポロ ポロ







たかしは 後悔した





自分が祖母に対して冷たく当たっていなければ 祖母が苦しむ事など無かった




たかしは 何度も何度も 動かない祖母の前で泣きながら懺悔した




しかし、たかしの声は 祖母には届いていなかった




その後悔は 二度と癒えない心の傷として 一生 たかしを苦しめる事になる........






病院にて





たかし「おばあちゃん、今日 学校でね、いいことがあったんだよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「クラスの皆がね、僕をいじめるのをやめてくれたんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「今までごめんね、って 皆が謝ってくれたから いいよって言ったら これからは仲良くしてねって言われたんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「クラスの皆と仲直りできたから、僕 今日はすごく嬉しいんだよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「僕がおばあちゃんの前で泣くのは今日でもう卒業だね 、だから 心配しないで 安心してね」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「じゃあ、また明日も来るからね、バイバイ」






2日目





たかし「おばあちゃん、今日はクラスの友達の家に遊びに行ったんだよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「テレビゲームをして遊んでたらね、友達の部屋にゴキブリが出てきちゃったんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「ゴキブリが大っ嫌いな友達は大慌て、その時の友達の慌て方がすごく面白かったんだよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「あんなに笑ったの 本当に久しぶりだったから 楽しくて 楽しくて 今日もすごくいい一日だったよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「また明日も、学校での出来事や、友達のお話をたくさんするからね、そのうち おばあちゃんのお話も聞かせてほしいな」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「じゃあまた明日ね、おばあちゃん、明日もたくさんお話しようね、バイバイ」





3日目





たかし「やあ おばあちゃん、今日も元気そうでよかったよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「今日はね、クラスの皆でクリスマスパーティをしたんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「その時にね、皆でプレゼント交換をしたんだよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「僕が渡すプレゼントは、僕が今日のために一生懸命 作ったマスコット人形だよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「そのマスコット人形を受け取った友達がね、すごく喜んでくれていて、僕もそれが嬉しくてついつい声に出して喜んじゃった
そしたら皆に笑われちゃって ちょっと恥ずかしかったなぁ 」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「それでね、僕がもらったプレゼントは サッカーボールだったんだよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「運動は苦手だけど サッカーは大好きだから すごく嬉しかったよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「今度は僕とお母さん、そしておばあちゃん、 三人でクリスマスパーティをしたいね」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「あ、もうそろそろお母さんが心配しちゃうから 僕 帰るね、
バイバイ おばあちゃん また明日ね」




4日目




たかし「おばあちゃん、今日はね、僕がゆうべ見た 夢の話をするね」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「その夢はね、僕が どこかの学校の教室に迷い込む夢だったんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「でもね、その教室には 誰もいなくて 僕一人だけだったんだ、」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「僕は、急に一人でいることが 怖くなって 悲しくなって 教室から出たんだ、 そしたら、ずっと ずっと 向こう側まで続く一本の道があったんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「この一本の道の先に何があるのか 僕は気になってきて
その道を走ったんだ ずっと ずっと走ってた」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「夢の中なのに 走り疲れたから、僕は立ち止まったんだ
そしたらね」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「『ひとりじゃないから』って声が聞こえてきたんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「その声が聞こえるのと同時に 夢は覚めたけど 寝起きはなんだか とても不思議で すごく嬉しい気持ちになれたんだ だからその事をおばあちゃんに伝えたくて、今日はおばあちゃんに 僕の夢のお話をしてみたよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「じゃあ そろそろ帰るね、今度は おばあちゃんの夢の話を聞かせてね
約束だよ バイバイ」






5日目





たかし「おばあちゃん、今日はね、
おばあちゃんに聞いてほしいことがあるんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「おばあちゃんは僕が 小さい頃、よく僕の手を繋いで 近くにあった 小さな公園まで一緒に歩いてくれたね」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「おばあちゃんと一緒に歩いているとね どこまでも どこまでも歩いていける気がしていたんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「でもね

僕 もう疲れちゃった

今 僕は何のために歩いているのか わからなくなってきちゃったよ

もう 歩けないよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「.........もう 立ち止まってもいいよね.........?もう 歩かなくてもいいよね.......?」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「僕らの旅は.....もう終わるんだよね..........?」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」



6日目




たかし「おばあちゃん、もしもね、おばあちゃんが目を覚ましたらね、お願いがあるんだ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「僕が小さい頃 おばあちゃんが連れて行ってくれた公園まで また あの頃みたいに 一緒に歩いて欲しいんだ 」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「僕が小さい頃は おばあちゃんが僕の手を引いて歩いてくれたけど 今度は僕がおばあちゃんの手を引いて歩くよ」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「だから........グスッ.....早く.......グスッ......元気になって欲しいなぁ.......」ポロ ポロ


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「えへへ、ごめんね.....ごめんね.......もう泣くのは卒業って言ったのに.
..........涙が止まらないよ.......」ポロ ポロ


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「おばあちゃん......おばあちゃん.......」ポロ ポロ




7日目




たかし「おばあちゃん、もう僕がおばあちゃんのお見舞いに通い始めて1週間になるね」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「ごめんね、おばあちゃん........僕 おばあちゃんに嘘ついてた......」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「..........僕に友達がいるなんて 嘘だった.......」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「クラスの皆が僕に謝ってくれて仲直りした事や......友達の家に遊びに行った事........クラスの皆でクリスマスパーティをした事も.........全部 全部 嘘だったんだ........」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「本当はね、僕はいっつもひとりぼっち........皆から殴られたり 蹴られたり、人殺しって言われたりしてるんだ........」


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「僕が 学校でひとりぼっちだって おばあちゃんが知っちゃったら........おばあちゃんが元気になれないから.......僕、
嘘ついちゃったよ..........」ポロ ポロ


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「本当は..........僕がいじめられてること......おばあちゃんに泣きながら話したかった.........優しく 頭を撫でてもらいながら 慰めてほしかった........また 夢を応援してほしかった.......」ポロ ポロ


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「ごめんなさい.......ごめんなさい...
......」ポロ ポロ


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「僕が........おばあちゃんにあんなひどいことを言わなかったらよかったんだ.........僕が悪いんだ......僕が悪いんだ.........うっ....ヒグッ.......うぅ.....グスッ......」ポロ ポロ


おばあちゃん「コヒュ-.....コヒュ-.....」


たかし「う"わ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ん"!!ごめ"ん"な"ざい"!!ごめ"ん"な"ざぁ"い"!!お"ばあ"ぢゃ"ん" ごめ"ん"な"ざぁ"い"!!」ポロ ポロ




















おばあちゃん「タ........カ........シ........」


たかし「うわああああぁぁぁ!!!喋った!!!!」ダッ

おばあちゃん「タ.....カ.....シ......」 (・ω・`)






たかし「!!」





それは、信じられない事だった



もう目を覚ます事は無いと思っていた祖母が



意識を取り戻し



たかしの名を呼んだのだ





たかし「おばあちゃん..........!!おばあちゃん..........!!」ポロ ポロ




おばあちゃん「.....ア..........ア...」




たかし「おばあちゃん! たかしだよ......!僕がわかる.......!?」ポロ ポロ




おばあちゃん「.......ア..........ア......」




祖母は その焼けた喉で 力を振り絞って たかしに何かを伝えようとしていた




たかし「おばあちゃん........!おばあちゃん..........!」ヒグッ...グスッ....





おばあちゃん「タ......カ......シ.......」




たかし「...............!」グスッ....ヒグッ....








祖母は もう一度 たかしの名を呼ぶと




最期の言葉をたかしに遺した













おばあちゃん「.........イ.........」










おばあちゃん「.........キ.........」










おばあちゃん「..........テ.........」



















ーーー生きてーーー

















それっきり 祖母は二度と目を覚ます事はなかった












顔中に包帯を巻いていてもわかる、とても優しい優しい

穏やかな寝顔だった





祖母の優しい寝顔、そして、祖母が自分に最期に遺した言葉、祖母との思い出




それらの全てが たかしの心に癒えない傷をつくった








そして、その日から たかしは 大好きだった 小説を書かなくなった




小さい頃 約束を交わした人はもうここにはいない



たかしは夢を捨てた




じゃあ悲しみを乗り越えた・・・のか?



........それから 約一年余りの時が経ち

たかしは名門の私立中高一貫校に入学した



小さい頃から祖母に言われてきた


『必ず親を幸せにしてあげなさい』


という言葉



祖母からの教えを守る事が、祖母への一番の償いと思った たかしは、一生 癒えない傷を負いながらも、唯一の自分の肉親である母を幸せにするため、勉強をおろそかにせず、前を向いて生きてきた


入学式後 教室



ワイワイガヤガヤ



たかし「(この学校は.....小学校の頃のクラスメートが誰も入学していない.......なぜなら、この学校の受験はものすごく難関だから.....皆 無難な公立中学に入学した.......)」



たかし「(この学校の人達は.......僕のお父さんの事なんて知らないはず......)」



たかし「(ここなら......また、一からやり直せる........いじめのない学校生活が.....
)」
















「よう 小野寺」










その声は たかしが最も聞きたくない声だった



中学生になって 小学校の頃に自分をいじめる者が誰もいないと安心した矢先、自分に一番初めに話しかけて来た人物は




自分の親を勝手に人殺しと決めつけ 挙げ句の果てには自分の事まで人殺し呼ばわりし、 小学4年から卒業するまで、ずっと自分に耐え難い 暴力、暴言を与え続けてきた張本人だった









たかし「.....お......鬼熊.....君.......」ガタガタ








鬼熊「お前もこの学校に入学してたとはなぁ、ほんと『奇遇』だなぁwww」








たかし「(ど.......どうして鬼熊君がこの学校に.......!?成績はクラス最下位だったから受験すらできないはずなのに.......!!)」ガクガク









実は 鬼熊 拓斗の父親、鬼熊 剛蔵は、自らの権力と財力を行使し、
この学校の教師を権力で脅しつつ、なおかつ賄賂を与えて手玉に取り、息子の拓斗を裏口入学させていた



全ては自分達にとって『悪』である大石家の長男、大石 貴志を徹底的に貶めるため.......








たかし「.............!」







鬼熊「俺から逃げられると思うなよ......『悪』はどこまでも追いかけて根絶やしにしなきゃならないからなぁ......」ニヤァァァ....







たかし「..............!」ガクガク.....








こうして、たかしの地獄の学校生活が再び始まった








たかし「............」ガララ-!



生徒たち「おい来たぞ......人殺しの子が......あいつの親父、人殺しらしいぜ.......」ヒソヒソ....「うわー、マジでー?怖〜い」ヒソヒソ....「おい、あんま声がでかいと聞こえる、殺されるぞ、.....」ヒソヒソ....



たかし「...........」



入学式の次の日、学校に行くと、早速 たかしの父親の情報が広まっていた



この時、たかしは自分の父親の情報を流したのは、間違いなく鬼熊だと確信していた......







中学生になった子供たちは、小学校の頃よりも、より残酷性を増した仕打ちをするようになっていた





鬼熊「おい 人殺し!!お前小学校の頃からナヨナヨナヨナヨきめーんだよ!!そーいうところがイラつくんだよ!!」


たかし「ごめんなさい.......ごめんなさい.......」


生徒1「なぁ、こいつ本当は女かもしれねーぞwww」


生徒2「こいつ玉 ついてねーんじゃねーのwwww」


生徒3「確かめてみよーぜwwww」


鬼熊「よっしゃwwwじゃあお前ら押さえとけよwww俺が脱がすからwww」


生徒たち「おうよwww」ガシッ!!


たかし「!! やめて!!やめてぇぇ!!」ジタバタ!!


鬼熊「暴れんじゃねぇよ!!!!」



ドカッッッ!!!!



たかし「うぐぅ.....!!」



鬼熊「よっしゃ!!今だ!!全員で脱がせろ!!」


生徒たち「おう!!」カチャカチャ!


たかし「いやぁ!!やめてよぉ!!」ジタバタ!!





ズルッ!!





鬼熊「ギャハハハハハwwwwww」


生徒たち「ひゃぁーwwwこいつ男だったのかぁwwwにしても小っさwww」


女子達「ギャハハハハハ!!キモいぃぃ!!www」





たかし「う.....うぅ......」グスッ...グスッ....








鬼熊「おい、これ以上何かされたくなかったら今から俺の言うことを実行しろ」



たかし「............?」ヒグッ...グスッ....











鬼熊「射精しろ 今すぐここでだ」






たかし「!?」






生徒たち「ブフォwwwww」




鬼熊「オラッとっととしごけよ!!射精するだけで許してやるんだからよー!!」




たかし「い.......嫌だよ!!そんな事したくないよ!!鬼熊君!!もうやめ.......!!」





ドゴッッッ!!




たかし「い"だい"!!!! 痛いよぉ......痛いよぉ.......」ポロ ポロ





生徒たち「うわぁ 玉に蹴りが.....こりゃ痛ぇわぁ.....」





鬼熊「お前に拒否権あると思うなよ 人殺しのくせによぉ 人殺しは警察のトップの息子である俺に黙って従えばいいんだよ!!!!」ドガッ!!ドゴッ!!グシャッ!!




たかし「ぎゃ"あ"!!い"だ"い"!!や"め"でぇ"!!」




鬼熊「ほら、お前らもやれよ こいつ小学校の頃から物分りが悪くてさー、こうでもしないとわかんないんだよね、自分の立場がさぁ」



生徒たち「りょーかいwwww」ザッ ザッ








生徒たち「オラッ!!とっととやれよ!!人殺し!!」ドガッ!!ゴッ!!バキッ!!




痛いよ...........痛いよ...........





生徒たち「鬼熊君の言うことが聞けねーのかよ!!」ドカッ!!バギャッ!!ガッ!!





やめて...........やめて.............もう殴らないで..........お願い.........






鬼熊「やるって言うまでずっと殴り続けるぞ!!」バコッ!!ドギャッ!!バキッ!!






そうだ..........







やればいいんだ............やれば 殴ったり蹴ったりするのをやめてくれる...........







やるだけで 痛い目に遭わなくて済むんだ.........













たかし「もうやめてぇっっっ!!!!」





生徒たち「あァ?」ピタッ....




鬼熊「.............」ニヤァ








たかし「やります........射精します.........射精しますから.........殴るのはもうやめてください..........お願いします」ゴッ




生徒たち「ブフwwwwこいつ下半身丸出しで土下座しやがったwwww」



女子たち「マジでキモいんだけどwww写メっとこwwww」パシャッ






鬼熊「じゃあ早くやれよ、クラスの全員や、廊下を歩く奴らにも見えるように教壇の上に座ってしごけ」






たかし「はい.........」ヨロ....ヨロ.....




鬼熊「痛がるフリしてんじゃねぇよ!!とっとと前に出ろ!!」





ドガッッッッ!!!!






たかし「うぅ.....!!すみません、すみません........」ヨロ....








たかし「.............」ガタ...




鬼熊「よし、座ったな.......じゃあ早く始めろよ」




たかし「あ.......あの......」




鬼熊「あ?なんだ、文句でもあんのか?






たかし「その......何もなしじゃ......できないというか......その........」





ドガッッッッッ!!!!




たかし「がはっ!!」ドサッ!!





鬼熊「調子に乗ってんじゃねぇぞ!!誰がテメーのためにわざわざオカズを用意してやるかよ!!お前みたいな人殺し!!妄想で充分なんだよ!!」ガン!!ガン!!ガン!!




たかし「うぅ......!ごめんなさい!!こんなさい!!」








鬼熊「ハァ.....ハァ......次くだらねぇこと言ったら腕の骨へし折るぞ.......とっととやれや!!!」




たかし「.......ゲホッ!!.......はい.........」ガタ....





たかし「.................」ス....




ギュ....





生徒たち「プククwwwww」




たかし「.................」

  


鬼熊「.............」ニヤニヤ....





たかし「................」シコシコ....










全員「ギャハハハハハwwwwwきめぇwwwwwこいつマジでしごき始めたぞwwwww」




たかし「うぅ.....グスッ....」シコシコ








女子たち「ギャアアアwwwwマジキモいんですけどwwww」



生徒たち「ギャハハハハハwwwwww」




鬼熊「オラッwwwwしごきながら笑顔で『僕は教室でマスかく変態ゴミ虫野郎です』って言えよwww」





たかし「ハ......ハハ......グスッ....僕は....ヒグッ.......教室でマスかく......エグッ....変態ゴミ虫野郎です.......ハハ.....ハハハ.......!」シコシコシコ





全員「ギャハハハハハwwwwマジで言ったぞこいつwwwwもうこいつに人権なんてねぇだろwwww」






たかし「う.......グスッ........うぅ.....ヒグッ.......!!」シコシコシコ






たかし「う.......!!」シコシコシコ





ドピュッ













たかし「ハァ.......ハァ.......う.......うぅ......」グスッ...ヒック.....





女子たち「ギャアアアア!!!!マジで出した!!汚い!!キモい!!
親が人殺しの上にこんなにキモいなんて、こいつ何で生きてるの!?」




鬼熊「けっwww教室で汚ぇモン出しやがってよぉwwww汚すぎて殴る気にもならねぇわ いこーぜwww」ザッ




生徒たち「もうこいつ人権ねぇから苗字で呼ぶのも嫌だわwwww」





鬼熊「じゃあwwwさしずめ今日からこいつはwwwwキモすぎるオタクだから......」









鬼熊「『キモオタ』でいいんじゃねーの?wwww」ザッザッ






生徒たち「おwwwwそれいいねwwwwじゃあなキモオタくんwwww名付け親の鬼熊君に感謝しろよwwww」ザッ ザッ









たかし「グスッ.....ヒグッ......」ポロ ポロ










キモオタ..........か...........




人殺し よりはよっぽどマシだ..........





.........今みたいに........自分が皆の笑い者になれば...........皆の道化として振舞えば.........





誰も自分を殴ったりしない.............









その出来事があった日から たかしは屈折した考え方を持つようになった




鬼熊「ほらwww今日もやれよwwwいつもみたいによぉwww」



たかし「......はい..........」シコシコ



生徒たち「こいつ 最早 躊躇いがなくなってきてねぇかwwww」


女子たち「マジキモいんだけど」





自分が大人しく言うことを聞けば 皆 自分を笑ったり蔑んだりするだけで これ以上 暴力が酷くなることはない





たかし「う.......くっ.....!」シコシコシコ





それなら こいつらの言うことを大人しく素直に聞けば これ以上痛い目に遭わなくて済む


自分が自慰さえすれば 誰にも暴力を振るわれずに済む







たかし「うぅ........!!」ドピュッ!!





鬼熊「出しやがったwww汚ぇwwww」



生徒たち「ギャハハハハハwwwwww」







その考え方を信じ込んでしまった たかしは 鬼熊達、クラスメートたちに言われるがまま、狂ったように毎日毎日 自慰にふけるようになってしまった



全ては自分の身を守る為に........







しかし、鬼熊たちクラスメートのたかしへの要求の内容は 日に日にエスカレートしていった






鬼熊「おい!!」



たかし「は.....はい....」カチャカチャ



鬼熊「それはもう飽きたし汚ぇから二度とすんじゃねぇよ!!」



たかし「ご....ごめんなさい.....!」ビクビク



鬼熊「お前 今日 家に帰ったらお前のババァの財布から金取ってこい、俺と俺のツレ 合わせて四人の分を一人あたり2000円ずつな 今日から 毎月一回 俺らに上納金払ってもらうからな」



たかし「!? そっそれだけは勘弁して!!お願い!!無理だよ!!」




生徒たち「何でだよ!?俺らに金払えねー理由でもあんのかよ!?」




たかし「僕、小学校の頃に.....お父さんとおばあちゃんが死んじゃって........お母さんは一人で僕を育てるために、パートの仕事を掛け持ちして......僕が私立に通う分のお金も出してくれてるし........前までは格安のアパートで二人で暮らしていたけど 私立に通うなら家が学校に近い方がいいからって、この学校の近くの借家を借りてくれて.......」



鬼熊「.............」







たかし「..........だから.......うちは今、お金に余裕がないから......皆にお金を払うことはできません.........ごめんなさい........」



鬼熊「............」






バキッッッッッ!!!!!






たかし「がはぁっ!!」ドシャァ!!






鬼熊「そんなの俺らの知ったことかよ!!!!お前が私立なんかに通うからいけねぇんだろうが!!!!」ドガッ!!バキッ!!ガッ!!




生徒たち「どうせテメェみてぇなボンクラに将来なんかねぇくせに身の程もわきまえねぇで私立なんか通ってんじゃねぇよ!!!!そんな無駄金はたくぐらいなら俺らによこせゴミが!!!!」ゴッ!!バガッ!!ガゴッ!!





たかし「痛い......!!痛いよぉ......!!誰か助けてぇ......!!」










他の生徒たち「おい、人殺しが助けを求めてるぜ」「誰が助けるかよバァカ」「そのまま死ねばいいのに」




その日の夜 母親の寝室....








たかし「..............」



母「.............」ス-....ス-....



たかし「.............」



『前の格安アパートよりも、この借家の方が ちょっと高くなっちゃうけど、パートの仕事をさらに増やせばいいだけだから たかしはお金の事は心配しないで!』



たかし「...............」



『たかし.......ごめんね.......こんな形でしか、お母さん、たかしを支えてあげることができなくて........』



たかし「............!」



『もしも、払わなかったら 勉強できない体にするからな、今度は確実に腕の一本へし折るぞ』



たかし「(........ごめんなさい.........お母さん、ごめんなさい.........)」ポロ ポロ








スッ.....










この日 たかしは 自分の母親の財布から 金を盗んだ


自分の身を守る為に、母親が自分の為に汗水流して働いて稼いだ金を たかしは盗んだ


たかしは、この時 今、自分がしている事が、殺人や強盗なんかよりもよっぽど愚かな行為で、最も重い罪に感じた


そして、自分がどれだけ卑怯で汚い人間なのかを 思い知った






それから、中学3年生に上がるまでの2年間、


生徒だけでなく、あろうことか 教師も加わった残酷ないじめに たかしは 耐えていた







生徒たち「お前のせいで体育のサッカー負けたじゃねぇか!!!!」ドガッ!!バギャッ!!ガッ!!




たかし「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」




体育教師「おい お前ら!!!!」




生徒たち「せ......先生.....!!」ビクッ!!




体育教師「大丈夫か?痛くないか?」ザッザッ




たかし「........はい......大丈夫です.......ありがとうござ.........」








バギャァッッッッ!!!!






たかし「ゲホッッッ!!!!」ガンッ!!





生徒たち「.............!!」




体育教師「『はい、大丈夫です 』なんて口から出るのはまだまだお仕置きになってない証拠だ.......お仕置きをするなら 返事もできなくなる程 徹底的にやれ、俺たちも昔はそうやって教師たちに鍛えられてきた........」








生徒たち「はぁい」ニヤァァァァ









鬼熊「オラッ今月の上納金......とっとと払えよ」



たかし「はい.........」ス....



鬼熊「ひぃ ふぅ みぃ よぉ.......確かに2000円を4人分だな」ピラピラ



たかし「.............」







ボカッッッ!!!!







たかし「ぐぅ......!!」ドサッ....






鬼熊「なに無言で金渡してんだよ!!!! 『毎日 僕のような人殺しの相手をしていただいてありがとうございます』ぐらい言ってから渡せねぇのかよ!!!!殺すぞテメェ!!!!」ドガッ!!バキッ!!バコッ!!





たかし「ごめんなさい.......ごめんなさい.......!!」








生徒たち「なぁ、なんかこの教室イカ臭くね?wwwww」



たかし「..........」ビクッ....



女子達「本当だ、この教室 臭うわwww」



先生「誰だーwwww授業中に教室に危険物を持ち込んだやつはーwwww先生の消臭スプレーを貸してやるからこのくっさい臭いを消しなさーいwwww」



鬼熊「せんせー!心当たりがあるんで消臭スプレー貸してくださーい!www」



先生「ほいっwww」サッ



鬼熊「へっへっへwwww」ザッザッザッ



たかし「..............」ビクッ ビクッ



鬼熊「ここだなぁwww臭いの発信源はwwww」ピタッ



たかし「.........!!」








鬼熊「オラオラ!!!!汚物は消毒だぁw
wwww」ブッシュゥゥゥゥゥ!!!!






たかし「ゲホッ!!ゲホッ!!」





全員「ギャハハハハハwwwwww」








そして、3年生に上がっても 鬼熊と同じクラスになり、いじめは変わらず行われた






鬼熊「オラオラ!!!!優等生さんよー!!!!また中間テストの成績がよかったからって 俺の事を見下しやがってよぉ!!!!」ドガッ!!ガッ!!ゴッ!!



たかし「み......見下してなんか.......いません........!」



鬼熊「ハァ.....ハァ......いい事を教えてやろうか?確かにお前は将来を見据えて努力して成績を上げた......一方で.....俺は元からバカで、将来の事なんか考えてもねぇし努力もしてこなかった.......」




たかし「ぐ.........うぅ.........」




鬼熊「でもなぁ、俺は将来の事なんか考えなくても警視総監である親父のコネで特例でペーパー試験なしで警察官になれる、それも 親父は俺のためにキャリア組の席も開けてくれるらしいぜ




俺みたいな努力もしねぇバカが親の権力のみで将来を約束される.........




権力も無い奴は こーやってお前のようにバカみたいに努力して ようやく 将来を約束される..........



お前が一生懸命 努力して 掴み取った喜びを 努力もしないバカに目の前で一瞬で簡単に掴み取られるってどんな気持ちなんだろうなぁwwwwwあぁwwwwその時が来るのが楽しみだなぁwwww」








たかし「う.........うぅ.........」グスッ....ヒグッ.....



修学旅行の班決めでも.......





教師「おーいwww『キモオタ』がまだ班が決まってないそうだーwww誰か入れてやれーwwww」




生徒A「えーやだー そいつくせぇもん」




生徒B「同じ空間にいるだけでメシがまずくなるよー」




生徒C「それに班行動でこいつと一緒に行動したくねぇよ 周りの目が気になるよー」




アイツハカンベンシテホシイヨナ- テカトモダチインノカナ?アイツ ギャハハwww




たかし「..........」




教師「じゃ...じゃぁ『キモオタ』は先生と一緒に行動しようか?な?(チッ 仕事上 仕方ないとはいえ、なんで俺がこんな人殺しなんかと一緒に行動せにゃならんのだ)」





たかし「.........」コクッ  










そして、耐え難いいじめを受け続ける日々の中で、たかしは『真実』を知る事になる










鬼熊「オラッ今日は上納金の集金日だぞ、とっとと払えよ」


たかし「.............」


生徒たち「なに黙ってんだよ、
とっとと金よこせよ」


たかし「もう.........嫌だ.........」


生徒たち「あ?」


たかし「もうこれ以上 お母さんに迷惑かけたくないよ!!!!もうお金なんて払うもんか!!!!暴力なんて怖くない!!!!」ポロ ポロ


鬼熊「............」




ドカッッッッ!!!!




たかし「うぅ.....!!」バァン!!




鬼熊「テメェ!!!!今になってなに怖気づいてやがんだよ!!!!お前なんか生きてるだけで十分 親に迷惑かけてんだよ!!!!テメェは黙って俺らに金払ってりゃいいんだよ!!!!」ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!



たかし「ぐぅっ!! げほっ!! がはっ!!」



鬼熊「とっとと払えよ!!!!払わねぇと『また』お前ん家 燃やすぞ!!!!」




たかし「............!!」ピク.....














たかし「また..............?
またってどういうことなの............?」





鬼熊「ヒヒヒ.......教えてやろうかぁ 本当の事をよぉ........」ニヤァァァァ



生徒たち「ククク.....wwww」



たかし「................!!」


5年前.........













父「さて、仕事も終わったし、明日のキャンプの渓流釣りに使う たかしの分の新しい釣竿を買わなくては、 ちょっと釣り具屋に寄るか」ザッザッ











警視「あの男が.......警視総監殿がじきじきに目をつけておられる犯罪者ですか......」




鬼熊父「うむ、あの男こそ、私に頭を下げさせ、果ては私のせがれをいじめっ子呼ばわりした悪党........『大石 優弥』だ.......」




警視「しかし、例の作戦......本当にうまくいくのでしょうか.......?」



鬼熊父「案ずるな、奴はこれからあの釣り具屋に入るようだ.........作業を行うのは奴が店に入っている間だ......なぁに、私の計画に狂いが生じる事はない.........大船に乗った気で、君は大人しく私の言った事を実行すればいい........」ニヤァァァ....





警視「流石は警視総監殿......おっしゃる通りで」ヘコヘコ













鬼熊父「よし、奴が店に入ったぞ、さぁ 始めろ」



警視「は!」ザッザッ















通行人「ふぃー、疲れた疲れた、さて、家に帰って一杯飲むとするか」




警視「申し訳ありません」ザッ



通行人「ん?」




警視「警察の者ですが、最近 近辺で起きた強盗事件について少しお聞きしたい事がありまして」サッ



通行人「はぁ.......(警視庁 警視......?わざわざ警視が動くなんて.......そんなに大きい事件でもあったのか........?)」



警視「少し、場所が悪いので 私と一緒にこちらの方に一緒に来ていただけますか?」ザッザッ




通行人「わかりました........」ザッ ザッ








通行人「あの.......だいぶ人気のない路地裏まで来ましたが........?」ザッ ザッ




警視「そうですね、そろそろお話を伺いましょうか.......... 失礼ですが、あなたは『黒川商事』の部長の『清田 勝』さん でお間違いないでしょうか?」



清田「は、はぁ、確かに私は『黒川商事』の清田ですが.....なぜ私の事を......?」



警視「先ほどあちらのビルから出られるあなたが見えましたので.......それと、もう一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」



清田「はぁ、何でしょう.......?」



警視「そちらの会社に『大石 優弥』という方はいらっしゃいませんか?」



清田「はぁ.....大石君は私の部下で 係長を務めておりますが.......大石君に何かあったのでしょうか........?」




警視「いえ、特に何も 御協力ありがとうございました」




清田「え?」











グサッ!!








清田「ぐ.......ぐぁぁ......!!」ドサ...





警視「あなたに聞きたい事はそれだけです」










清田「が.......ぐぁ.......」ドクドク....




警視「(やってしまった........これでもう後には引けない.........えぇい!!もうどうにでもなれ!!)」












ザクッ!!ブシュッ!!ブシャッ!!








清田「」ゴロ....











警視「(わ.........私は........人を殺したのか............!!)」ガクガク








鬼熊父「そいつは死んだか?」ザッザッ








警視「は......はい.......死亡を確認しました.......」





鬼熊父「そうか、ご苦労 よくやった では、仕上げに入るとするか........」ガサゴソ





警視「...........?」












警視「それは..........?」



鬼熊父「これか?これは この時のために取り寄せたクロロホルムだ.....これで 店から出てきた大石優弥を眠らせ........ここに連れてくる........」



警視「なるほど........そして........この清田の血液を大石優弥の衣服に付着させるという事ですか........」



鬼熊父「その通りだ.........」



警視「雨も降っていないのに私にレインコートを着させ、ビニール手袋を着けさせたのは.....」



鬼熊父「君に直接 こいつの血液を付着させないためだ........まぁ、仮に付着したとしても心配ない.....鑑識も含め、警察の大部分は 殆ど私の息がかかった者たちばかりだ........だが、念には念を入れなくてはな.........」



警視「なるほど........さすが警視総監殿」ヘコヘコ





鬼熊父「お、奴が店から出たぞ..........さぁ、仕上げの時間だ.......」ニヤァァァ....




 


警視「かしこまりました......」ザッザッ













父「よし!たかしの分の釣竿も買ったし、明日のキャンプに備えて早く帰ろう、母さんたちがご馳走を作って待ってくれてるだろうからな」ザッザッ




父「たかし、明日のキャンプをすごく楽しみにしていたからな、よぉし、明日は最高に楽しいキャンプにするぞ!」ニコニコ!





警視「申し訳ありません 少しお話を伺ってもよろしいでしょうか?」




父「ん?」




警視「私、警察の者ですが 、最近 近辺で起こった強盗事件について少々お聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」



父「......警視の方ですか.......わかりました、私でよろしければどうぞ」




警視「ありがとうございます、ここでは少し場所が悪いので、あちらの方までご一緒 願えますか?」ザッザッ




父「ええ、大丈夫です」ザッザッ




警視「どうもすみません、いや ほんとに.........」ザッザッ





路地裏





父「もうそろそろ要件の方をお願いしたいのですが........このような路地裏まで来ればさすがに私たちの会話は誰の耳にも入らないのでは?」ザッザッ




警視「そうですね.........そろそろ要件の方を.........少し、この携帯に記されているメモを見てもらいたいのですが」サッ  



父「どれどれ」スッ










バッ





父「!!??」






警視「いやぁ すみませんねぇ、いやほんとに.........」








父「(何だ.........これは.........)」クラッ....








父「(まさか............薬.....品..........)」










バタッ










鬼熊父「眠ったか?」






警視「はい...」






鬼熊父「よし、そのまま死体のあるところまで連れて行くぞ」






警視「わかりました」






眠ったたかし父を抱え、先程の路地裏に戻る途中、警視と鬼熊父は疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、
車の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは・・・。




鬼熊父「よし、眠ったようだな......」ザッザッ




警視「はい......」




鬼熊父「さて、ここまでうまく行けば、
後は簡単な作業だ........まず、清田の死体の所まで そいつを運べ」





警視「かしこまりました........よっこらせっ........」ザッザッ









鬼熊父「さて........後は.......手順通りに.......」



警視「はい.........まず、大石 優弥の衣服に清田 勝の血液を付着させ.......」ベチャ...




警視「そして、次に........狂気のナイフに大石 優弥の指紋を付着させる......これはただ単にこいつにナイフを握らせるだけでいいから簡単ですね........」ス....




警視「ふぅ.........これで、作業の手順は全て踏んだはずです..........しかし、なぜ殺す標的を 清田 勝に限定したのですか......?」



鬼熊父「単純な事だ.......大石 優弥と清田 勝の人間関係を利用しない手はないからな.......」



警視「........と 言いますと.......?」



鬼熊父「『黒川商事』に私と繋がりのある社員がいてな.......その社員からの情報によれば、清田 勝 は社内での評判は最悪.....特に、直属の部下である大石 優弥に対して風当たりが相当ひどかったらしく、自分の仕事の失敗を全て大石 優弥になすりつけるなどしていたらしい........


そんな清田の事を 奴がよく思っているはずがない........だから、その二人の人間関係の悪さは、奴が清田を殺害するのに十分な動機になりえる.........」



警視「なるほど..........」




鬼熊父「まぁ、私の力を持ってすれば、突然 奴に言いがかりをつけて逮捕することなど訳のないことだが.......」







鬼熊父「万が一のことも考えて、大石 優弥が清田 勝を『殺害した』という、既成事実を作っておかねばならないからなぁ......」ニヤァァァァ......







警視「(お........鬼..........!!)」ゾ....







鬼熊父「ククク........とにかく ご苦労だった.....ここまで円滑に計画が進んだのは君のおかげだ..........礼を言おう......」



警視「いえいえ.......ところで警視総監殿........私はこれで.......」ヘコヘコ



鬼熊父「あぁ、君には警視長の席に座ってもらう事を 約束しよう........」



警視「!! ありがとうございます!!ありがとうございます!!」



警視「(あぁ.......これで私も警視長に昇進だ.......グフフフフwwwwwガハハハハハハwwwwww)」
















鬼熊父「(バカめ.......貴様のようなゴミクズなど、誰が昇進させるか........そんな甘い話がある訳ないだろう.......)」







鬼熊父「(この世の私以外の人間は 全て私の思い通りに動く為に作られた駒だ........好きなように動かすことができ、好きなように捨て駒にもできる........)」





鬼熊父「(所詮、私の権力に逆らえる者などいない.........力のある私こそが絶対的な正義........そして、力のない弱者こそが絶対的な悪だ..........フフフ.......ハハハハハハハ!!!!!!)」















それから1年後........12月20日の夜.........

祖母の家の前.......








取り巻きたち「な なぁ......たくちゃん........マジでやるのか.......?」



鬼熊「やるに決まってんだろ?何だよ ビビってんのかよ お前ら?」



トモダチ「だ......だって、いくらあいつのばーさんちとはいえ.....放火はさすがに..........」





ドガッ!!!!




トモダチ「ぎゃっ!!」ドサッ!!




鬼熊「いつから俺に逆らえる程 偉くなったんだお前ら!!!!あぁん!!??お前らの親が過去にやらかした事を誰の
親父が揉み消してきたと思ってんだよ!!!!」ガンッ!!ガンッ!!ガンッ!!



トモダチ「ぎゃあ!!うわぁ!!ごめんよぉたくちゃん!!俺が間違ってたよぉ!!許してぇ!!」




鬼熊「ハァ.......ハァ.......お前らはなぁ!!黙って俺の言うこと聞いてりゃいいんだよ!!!!」





トモダチ「わ.......わかったよ......やるよ........」


トモダチ2「お.....俺もやるよ......」


取り巻き「俺たちも...........」









鬼熊「さぁ.......新聞紙も用意したし、この家は木造だから燃えやすいし.......条件は揃ってるな..........」





全員「...............」ドクン....ドクン.....





鬼熊「いいか、お前ら......世間から見ればあいつの親父は『人殺し』
そしてあいつのばーさんはその人殺しを生んだ『元凶』だ........
世の中が『悪』と認めた連中に罪悪感なんて感じる必要ねぇんだよ........」





全員「あ.......あぁ........」





鬼熊「じゃあ、火をつけるぞ..........ヒヒヒ..........大石 どんな顔するかなぁ........」ニヤアァァァ.....





全員「(.........マジで鬼だ........こいつも........こいつの親も........!!)」ゾ....






カチッ.....シュボ......

















パチッ....パチパチ......





トモダチ「も......燃え始めたぞ......!!」




トモダチ2「やべぇよ......やべぇよ......!!」




鬼熊「よっしゃ! 見つからねぇうちにとっとと逃げるぞ!」ダッ!!



取り巻きたち「ま.....待ってくれよぉ!たくちゃん!」ダダッ!!












ゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!








鬼熊「ハハハハハwwwwww火が家に燃え移ったぞぉぉ!!!!」ダダダッ!!




トモダチ「どんどん炎がでかくなっていく!!!!やべぇやべぇ 放火って面白いわぁwwwww」ダダッ!!




トモダチ2「あいつのババァ丸焦げになるんじゃないのwwwwwwギャハハハハハwwwwww」ダダッ!!



取り巻きたち「ちょwwwwwマジでシャレにならんシャレにならんってwwwwww」ダダッ!!












鬼熊「『悪人』は全員死ねばいいんだよぉ!!!!ギャハハハハハハハハハハハハ!!!!」ダダダッ!!!












しかしその後、燃えている家から逃げる鬼熊達の姿を目撃した近隣住民の通報により、

鬼熊達は警察に補導された







警察署........






警察「君達は何をしたかわかってるのか!?家一件に放火し、さらに重傷者まで出したんだぞ!?」




トモダチ「ごめんなさい......ごめんなさい.......」グス...グス...


トモダチ2「中に人がいるなんて思っていませんでした.........」グス...ヒグ....


取り巻き「マジで反省してます.......許してください.......」ヒック...エグッ....


鬼熊「ほんと.......俺ら....悪気はなかったんです........ごめんなさい......」グスッ....ヒッグ.....




警察「いくら謝っても もう遅い......君達は取り返しのつかない事をした.........これは許されることでは.........」







鬼熊父「少し待ちたまえ、君」ザッザッ






警察「け........警視総監殿........!?」



警察2「警視総監殿........ご用件は.......?」







鬼熊父「この少年達は見ての通り こんなにも涙を流しながら本気で自分達の犯した過ちを反省している..........我々警察の仕事は 罪を犯した少年を裁くのではなく.........罪を犯した少年をあえて許し........正しき方向へ導く事...........そうは思わんかね 君?」



警察「は.........はっ!! その通りであります!!警視総監殿!!」



鬼熊父「よろしい.........いいか?これは『事件』ではなく『事故』だ........出火原因は その家の住人の火の元の確認不十分によるキッチンからの発火.........それでいいのではないのかね?」パサ....



警察2「(札束.........すごい........100万は普通にある.......!!)」








警察2「はっ!! この件は事故として処理させていただきます!!」





鬼熊父「ククク.......話のわかる者を下に持って私は幸せだ......ククク......」ニヤァァァァ........




警察署からの帰り道..........




取り巻きたち「いやぁー 助かったぁー、マジでどうなるかと思ったよー!」ザッザッ


鬼熊「俺の言った通りだろ?www泣き真似と俺の父ちゃんの権力さえあればなんとかなるって!www」ザッザッ


トモダチ「あぁ、たくちゃんの父ちゃんカッコよかったなぁー!」ザッザッ


トモダチ2「なぁー!やっぱ警視総監は違うわー!」ザッザッ


鬼熊「まぁ、本当は 家だけを燃やす予定だったのにまさかババァまで燃えるとは思ってなかったなぁwww」


トモダチ「そうだよー、家が燃えたら逃げると思ってたのに 予想外だったよなー



トモダチ「マジであのババァのせいで俺ら警察のおっさんに怒られたじゃんか」


トモダチ2「まぁでもババァが丸焦げの姿を見た時の大石の反応が楽しみだわぁwwww」


取り巻きたち「だなぁwwwww」



















全員「ギャハハハハハハハハwwwwwwwww」







ーーーー
ーーー
ーー







たかし「.................!」




鬼熊「殺人の話は父ちゃんからの又聞きだけどな、放火は俺ら自身の手でやったことだからよく覚えてるぜ........小学校の頃、真相を知らなかったのはお前だけだったからなぁ........」



生徒たち「鬼熊君マジでやることやってるわーwww」




たかし「.................!」フルフルフル.....





鬼熊「叫ぶんなら叫んでもいいんだぜー?www『鬼熊は昔、自分の家に放火しました』ってよーwwww







でもな.........誰も『人殺し』の子であるお前の言うことなんか信じやしねぇからよ」



生徒たち「ギャハハハハハwwwww」








たかし「................」











鬼熊「ギャハハハハハwwwwwwwギャアッハハハハハハハwwwwww」










こいつが 殺したんだ...........











鬼熊「オラオラッ黙ってねぇでなんか言えよwwwww」ペシ ペシ












こいつが おばあちゃんを殺したんだ











鬼熊「楽しかったなぁ........お前のババァの家が燃えていく様を見るのは.......」










鬼熊「苦しかっただろうなぁ..........まぁ、『人殺し』を生んだ糞ババァが死のうがしったこっちゃねぇがよwwwwギャハハハハハwwwwww」















たかしの中で 何かが切れる音がした














バギャァッッッッ!!!!!!







鬼熊「ぐぎゃ"あ"!!!!」ガァンッッッッ!!!!






生徒たち「!!??」






女子達「きゃあっっ!!!!」








鬼熊「ぐ.......いてぇ......いてぇよぉ......」ググ....






たかし「殺してやる.........殺してやる..........」ハァ...ハァ.....






鬼熊「ひっ..........!!」ポロ ポロ




 
たかし「こ ろ し て や る ! !」







ドガァッッ!!!バゴォッッ!!!ゴォッッ!!!





鬼熊「がぁ"っ"!!!や"め"でぇっ"!!!ゆ"る"じでぇ"!!!」






生徒たち「お.......おい......お前助けに行けよ.......」「無理だよ.......今のキモオタはまるで別人みたいに怖ぇよ........」












鬼熊「が..........ぐぁ".........あ"ぁ"......」ピク....ピク.....








たかし「殺してやる殺してやる殺してやる..........」ガッ.....







生徒たち「お........おい.........あいつまさか机を...........!?」「マジでやばいぞ.........!!」




女子達「ひ......ひぃぃ......」ポロ ポロ










たかし「こ" ろ" じ で や" る"っ"っ"っ"っ"!!!!!!!!!!」グァァッッ!!!

















鬼熊「う"わ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ!!!!ごめ"ん"な"ざい"!!!!ごめ"ん"な"ざい"!!!!助げでぐだざい"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!許じでぐだざい"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!」ポロ ポロ










  


たかし「............!!」













鬼熊「お"願い"じま"ず........!!助げで........助げでぐだざい".........!!ひぃ"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!」ポロ ポロ






たかし「................!」ググ....






鬼熊「殺ざな"い"でぇ".......グズッ......許じでぐだざい"ぃ"ぃ"......ヒッグ......」






たかし「くっ...........!!」











ガシャアァァンッッッッ!!!!!!

















鬼熊「あ".........あ"ぁ"ぁ"........!」ジョバァァァ......





たかし「ハァ........ハァ.........」






生徒たち「.......ひ........ひぃぃ.......!!」ガクガク....






教師「おい!!何だ!!今この教室からすごい音がしたぞ!!...........あ!!」ダダッ!!




たかし「...............」




教師「貴様 小野寺!!何をやっとるか!!!!」




たかし「............」




教師B「大丈夫かね 鬼熊君!? すごい怪我だ..........すぐに保健室に連れて行かねば........!!」




鬼熊「う"......う"ぅ".......う"わ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」ポロ ポロ





教師「机を投げたのも鬼熊君に暴行を加えたのもお前だな!?こっちに来い!!」グイッ!!



たかし「............」




教師B「所詮.......人殺しの子は人殺し という訳か..........」







この日 たかしが起こした暴行事件により、たかしは退学を余儀なくされた



一方で、元々 親の威光を笠に着て 他人を攻撃してばかりだった鬼熊は 誰からも攻撃されたことなどなかったため、誰よりも精神的に脆かった


そして、そんな精神的に脆い鬼熊はこの日の暴行事件の恐怖により、精神的ショックを受けて不登校となってしまい、家に引きこもるようになった


それから半年後、毎日の日課のように鬼熊が行っていたリストカットにより、誤って自分の腕を深く切り込んでしまい、動脈が切れ、




出血多量で 鬼熊は死亡した






それからのたかしは毎日を家の中で 抜け殻のように生きていた........






母「たかし.........」



たかし「母さん......ゲホッ.......ごめんよ........ゲホッ..........僕が.......あんなことをしたから.......ゴホッ.......もう学校に行けなくなっちゃった........」



母「いいえ......たかしはよく頑張った........もう頑張らなくていいのよ......もう頑張らなくても.......」ポロ ポロ



たかし「ごめんよ........ゲホッ.......ごめんよ.......ゴホッ.........」



母「たかし、もう寝なさい、咳がひどくなってるわ.......」



たかし「........ゲホッ!!......ゲホッ!!」



母「た......たかし.......!!」



たかし「ゲホッ!!!ゲホッ!!! ガハッ!!!」















ビチャッ!!!!










母「............血...........!?」







ドサ........







母「キャアアッ!!!!たかし!!!たかし!!!」









父と祖母の死、そして小学4年から中学3年まで続いた残酷ないじめ




今までの度重なるストレスを押さえ込んできた反動により、
たかしは胃潰瘍で 病院に入院する事になってしまった........





病院......







母「たかし........」


たかし「お母さん........心配かけてごめんなさい........」


母「あなたが謝ることじゃないわ......それに お医者様のお話では、後 2週間程で退院できるそうなの.......本当によかった.......」


たかし「お母さん........」


母「たかし......2週間 経って 退院する頃には......12月20日........あなたの誕生日に
なるわ........」


たかし「そうだね.......」


母「4年前.......『あの事』があってからも、12歳、13歳、14歳の 誕生日......二人で祝い続けて来たわね......」


たかし「うん、お父さんとおばあちゃんの事で僕が悲しまないようにって、毎年 お母さんが楽しい誕生日にしてくれたよね........」


母「ええ、だから あなたが退院したら、15歳の誕生日も、お母さん 精一杯お祝いするから....早く 元気になってね.....」


たかし「お母さん........ありがとう!」ニコッ







>>408
>>1が完全オリジナルを投下しているならまだしも
原作付きのssだとスレタイで謳い文句にしながらいざ開けてみると
暗殺教室のあの字もないリアリティ0の糞つまらない携帯小説以下の[田島「チ○コ破裂するっ!」]が垂れ流しになってたら文句の一つも言いたくなるだろ







今の疲れきった たかしにとって




父親も祖母もいなくなった 今のたかしにとって




母親の優しさは たかしの唯一の心の拠り所だった.........








それから2週間が経ち.......たかしは無事 病院を退院する事ができた






そして、さらに数日経った頃........
















12月20日............たかし 15歳の誕生日



















何もかもを壊し、この後のたかしの人生を狂わせる おぞましい惨劇が起こった










>>436-437
自演失敗してて草









それは、悪夢のような 一生消える事のない 忌まわしい誕生日の記憶......











パンパン!!




母「たかし!お誕生日おめでとう!」パチパチパチ


たかし「ありがとう!お母さん!」ニコッ!


母「たかしも もう15歳ね!本当早いものだわぁ、ついこないだまで赤ん坊だった気がするもの」


たかし「ハハハ!お母さん それ毎年言ってるじゃない!」


母「そうだったかしらねぇ、さぁさ、そんな事より早く 夕飯 いただきましょ!今日はご馳走だからね!」ニコッ!


たかし「うん! それじゃ!いただきまーす!」


母「はい いただきます」ニコッ!






たかし「んー!!このグラタン すっごく美味しい!!」モグモグ


母「うふふ、なんせ今日は大切な日だからお母さん張り切っちゃった!」ニコッ!


たかし「グラタンかぁ........僕も お母さんの作ったグラタン 大好きだけど、お父さんも大好きだったよね、グラタン......うまいうまい言って食べてたなぁ......」モグモグ


母「そうだったわねぇ......あまりにも好きすぎて、私の分まで食べて、よくお父さんを叱ってたものだわぁ.......」


たかし「.........お父さん.........」


母「............ほらほら!そんなしんみりしない!せっかく今日はたかしの誕生日なんだから!もっと明るくパーッと楽しまなきゃ!」


たかし「.........うん!そうだよね!楽しまなきゃね!」ニコッ!










お母さんは、僕の誕生日が来るたび、お父さんとおばあちゃんの事を思い出して 気分が沈む僕を 優しく励ましてくれる......


本当は、お母さんが一番 辛い思いをしているはずなのに、僕の事を一番に考えてくれる


中学に入って 僕が小学校の頃よりさらに酷くいじめられている事を知った時も 隠し事をしていた僕を責めることなく 泣きながら慰めてくれた


中学3年生になるまで、暴力が怖くて 僕がお母さんの財布からお金を盗み続けていた事を知った時も お母さんは僕の事を許してくれた そして 優しく抱きしめてくれた


僕が血を吐いて倒れて、病院に入院した時だって 仕事が終わったらすぐに病院まで来てくれて 僕の事をずっと見ていてくれた





僕は そんな お母さんが世界で一番 大好きだ








母「そうそう たかし!」


たかし「ん?」


母「今日も、毎年 恒例のプレゼントタイム!今からやっちゃいましょうよ!」


たかし「わぁ!待ってました!」ニコッ!









4年前の誕生日.......このプレゼントタイムで おばあちゃんがプレゼントを壊してしまっていた時、まだまだ子供だった僕は
おばあちゃんに酷いことを言ってしまった.........そして、おばあちゃんを家の外に追いやってしまった.........




でも、今は違う




今は、例えプレゼントなんかもらえなかったとしても お母さんがこうしてそばにいてくれるだけで 僕にとってはそれが最高の誕生日プレゼントになるから






母「はい たかし、誕生日プレゼントよ」スッ


たかし「ありがとう!お母さん!」パァァァ!!


母「ほらほら、早く開けてみなさい」ニコッ!


たかし「うん!」ガサ ゴソ






包みの中に入っていたのは、とても素敵なオルゴールだった







たかし「わぁ......オルゴールだぁ.......!!ねぇねぇ!今から鳴らしてみてもいいかな!?」


母「ええ、鳴らしてみなさい 」ニコッ!


たかし「うん!!」パァァァ!!





キリキリキリ....





〜♪〜〜♪〜〜〜♪♪〜♪〜♪〜〜〜♪





ねじを離した瞬間、 流れたのは とても とても綺麗な音色だった






〜♪〜〜♪♪〜〜〜♪〜〜♪〜♪♪〜〜〜♪





たかし「わぁ.........すごく綺麗.........!」


母「とても素敵な音色でしょ? 私だって元 音楽教師.......音に関するセンスは自信があるのよ」ニコッ!


たかし「ねぇ、お母さん........」


母「ん?どうしたの?」






たかし「素敵な誕生日を........ありがとう!」ニコッ!






母「...........ううん、お礼を言うのは私の方よ たかし」






たかし「............!」






母「たかし、 生まれてきてくれてありがとう」ニコッ!








たかし「う.........うぅ........!!」ポロ ポロ




母「あらあら、たかし 泣きたくなっちゃったの?」




たかし「うぅ!!うぅ......!!」ポロ ポロ




母「おいで、たかし 泣きたい時は我慢せずに思いっきり 泣いてもいいのよ? 久しぶりに お母さんに甘えてらっしゃい」




たかし「うわぁぁぁぁん!!!!おかあさぁぁぁん!!!!」ダッ!!




ギュッ!!




母「たかし.........」




たかし「ずっとこうしたかった......ヒグッ.....お父さんとおばあちゃんが誕生日にいなくてずっとずっと寂しかった.......グスッ.....だからずっとこうしてお母さんに甘えたかった.......エグッ.........」




母「よしよし、たかし.......いい子いい子 もう我慢しなくていいのよ?甘えたい時はちゃんとお母さんに甘えなさい」ナデナデ


  

たかし「う......ヒグッ.....グズッ.....」ポロ ポロ










世界中でたった一人 僕を認めてくれる人.........



世界中でたった一人 誰からも愛されない僕を 愛してくれる人.........



そんな人がそばにいてくれる事が 嬉しくて 嬉しくて




僕はその人の膝の上で沢山泣いた





僕の頭を撫でてくれる優しい手



暖かくて 懐かしくて すごくいい匂いがする



この人の膝の上でいっぱい泣いたら 安心して、眠くなってきちゃった







大好きだよ お母さん





あぁ.........お母さん お母さん お母さん
お母さん お母さ.................


































グサッ...........





























一瞬 何が起こったか わからなかった










脇腹に激痛を感じたので 脇腹の方を見ると 服に血が滲んでいた










床を見れば 滴り落ちる血










そして、上を見上げると



















不気味な程の笑顔で血まみれのナイフを握りながら僕を見つめるお母さんがいた




















たかし「........お......かあ........さん.......?」ドクドク....







母「...........ごめんね......ごめんね..........」







たかし「........どう.........して.........?」ドク ドク....







母「...........もうね.........お母さん 疲れちゃった.............何で自分だけ.........こんな不幸な目に遭うのかわからなくなって..........」







たかし「....ハァ........ハァ........」ドク ドク....







母「お父さんもおばあちゃんも死んでしまって...........私一人であなたを育てなきゃいけなくなって............パートの仕事を増やして..........私立の学校に通わせて..........仕事から帰ってすぐにご飯作って...........もう嫌になっちゃった........」







たかし「..........お"......があ"........ざん"..........痛い"よ"ぉ".........助げで..........」ドクドク.....







母「うるさい.............」







たかし「お"があ"............ざん".........?」ドクドク......







母「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!うるさいんだよぉお前はぁぁぁっっ!!!!!!!」









たかし「お".........があ"........ざ.......」




母「おばあちゃんとの約束だかなんだか知らないけど小説家なんて叶うはずもない夢ばっかり見て!!!!売れない小説家になった所で飯が食えるかって話よ!!!!」




あぁ...........お母さん.........




母「中学になってからこそこそ私の財布からお金を盗みとっていた事!!怒ってないとでも思ってんの!!??気付いた時は殺してやりたくなったよ!!!!」




お願い 見捨てないで.........!!

やめて........やめて..........!!




母「しかも、この中途半端な時期に退学なんかさせられて!!!!おまけに入院までして!!!!どれだけ私に迷惑をかければ気がすむのアンタは!!!!」




やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて




母「子ドモッテイウノハネェ!!!!将来ハ親ヲ養ウ為ニ勉強スルノ!!!!ナノニタカダカイジメナンカニ負ケテ退学マデサセラレテ!!!!勉強デキナクナッテ親ヲ養ウコトガデキナクナッタゴミクズナンテ生キテル価値ナンカ無イノヨ!!!!ダカラココデ殺シテヤルンダヨ!!!!」





あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!!!







母が今までずっと溜め込んでいたであろう 恐ろしい程の憎悪の感情が姿を現した




母「ハァ.........ハァ...........ごめんなさいねぇ..........興奮しすぎて つい大きな声を出しちゃったわぁ」




たかし「あ"ぁ".........ぁ"........」




母「ね、たかし 一緒に死にましょ? ね?
大丈夫よ 寂しい思いなんてさせないから あなたを殺した後 お母さんもすぐに死んであげるから ね? だから........」






































母「お母さんと一緒に お父さんとおばあちゃんに会いにいきましょう」ニコッ!






いつも通りの母親の優しい笑顔のはずなのに





その笑顔がとてつもなく怖かった







殺される









やばい









やばい








やばい









逃げなきゃ







逃げなきゃ
















逃げなきゃ殺される












たかし「う"わ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!!!」ダダッ!!!!











母「ドウシテ逃ゲルノ.........タカシ........」ユラッ.....













脇腹がかなり痛い





血がたくさん出てる





なのにどうして走れるんだろう





そんなこと もうどうでもいい







逃げなきゃ!!!!








逃げなきゃ!!!!
















この時、自分は 大きな過ちを犯してしまった










どうして家の外に逃げて助けを呼ばなかったのだろう










どうして 二階の部屋の押入れになんか隠れてしまったのだろう










助けを求めた所で 誰も自分なんか助けてくれないから.........?










母親を人殺しにしたくないから........?










冷静な判断をができなかった事を ひどく後悔した


















たかし「..........!」ドクン ドクン





押入れの中にある布団と布団の間に身を挟み、隠れた

   



たかし「..............!」ドクン ドクン





精一杯、息を殺した

















見つかったら 殺されるから

















ドクン










ドクン










ド ク ン










ド ク ン!!
























母「かーごーめ かーごーめ♪」ミシ.....












たかし「!!??」














母「かーごのなーかのとーりーは♪」ミシ....ミシ....ミシ....






たかし「(階段を..........上がって来る............!!)」ドクン ドクン



 


母「いーついーつでーやーる♪」ミシ....ミシ....ミシ......






たかし「(....音が.......歌声が.........段々大きくなってくる..........!!)」ガクガクガク....






母「よーあーけーのーばーんに♪」ミシ.....ミシ.....ミシ.....







たかし「..................!!」ガクガクガク....








母「つーるとかーめがすーべった♪」ミシ.....ミシ.....ミシ....













シィン..........








音と歌声が........消えた...........?









ハハ.........ハハハ...........









やっぱり............これは夢だ.............悪い夢でも見てるんだ..........











もう........押入れから出ても平気だろう.........
































スーッ






















































母「ウシロノショウメンダァレ?」


























襖を開けた瞬間 目に入ったものは









優しい笑顔で真正面に立っている母の姿だった







ただ、いつもと違うのは







血の滴るナイフを持っていることだけだった















たかし「あ............あぁ...........」ガクガクガク.....









母「『カゴメカゴメ』ハ アナタガ一番最初ニ覚エタ歌ダッタワネェ....寝ル時以外ニモヨク一緒ニ歌ッタノヲ思イ出スワ

ウフフフフフ」









たかし「................!」ゾ......









母「待ッテテネ タカシ アナタヲ殺シタ後........スグニオ母サンモ死ンデアゲルカラネ」ニコッ!








たかし「やめて..........!!やめて.........!!」ポロ ポロ....








ガシッ!!!!







ギュゥゥゥゥゥ.........







たかし「カ.............ハァ.............!!」










母「ナイフ デ 刺シ殺スナンテ.......苦シミガ長イ間続イテ カワイソウダモノ........首ヲ締メレバ.......苦シミハスグニ終ワルワ...........ダカラ 我慢シテネ...........ゴメンネ.........ゴメンネ..........」ギュゥゥゥゥゥ.............





たかし「ガ.........ガハッ...........!!」







お母さん 苦しいよ






お母さん やめて







死んじゃうよ







『生きて』







ーーーー!!







いやだ.........!! 死にたくない!!






死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない












死 に た く な い























お母さん.............どうして僕はナイフを握ってるの..............?















お母さん............どうしてお母さんが血まみれで倒れてるの................?















お母さん.............どうしてお母さんは動かなくなったの..............?















お母さん...............ねぇ.............お母さん..........ねぇ お母さんってば................

















お母さん 死んでる







何で死んだ







誰が殺した







誰が殺した 誰が殺した 誰が殺した
誰が殺した 誰が殺した 誰が殺した
誰が殺した 誰が殺した 誰が殺した
誰が殺した 誰が殺した 誰が殺した
誰が殺した 誰が殺した 誰が殺した













お ま え だ よ













僕が..........お母さんを...........殺した........?










僕ガオ母サンヲ殺シタ?






殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した殺した










オ前ガ殺シタ





あぁ................





オ前ガ母親ヲナイフデ何回モ刺シタ





あぁぁぁ..........!!





何回モ何回モ刺シタ





あ"ぁ"ぁ"ぁ".............!!





オメデトウ コレデオ前ハ本物ノ人殺シニナレタ





オメデトウ





























あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ!!!!!!!!!!





今週の暗殺教室の目玉は速水さんの足だな。異論は認めん










ーーーーそれから 数時間後






血まみれで道路を徘徊するたかしの姿を近隣の住民が目撃し、通報





たかしは警察に身柄を確保された





元より、たかしは自ら警察に出頭するつもりだった






血まみれで道路を徘徊する たかしのその姿は





まさに 本物の『人殺し』の姿 そのもの だったという






警察署..........





警察「お前.........自分がどれだけとんでもない事をやらかしたのかわかってんのか?あ?」




たかし「はい...........僕は.........お母さんを殺しました..........」




警察「いいか!?親を殺すことはなぁ!!昔は尊属殺人と言われて、犯せば極刑は免れなかったんだぞ!!お前はそれを犯した!!どれほどやってはいけないことをやったのかわかってんのかぁ!!」バァン!!!!




たかし「................」




警察「.................!!」ブチブチ.....!!




ガシッ!!!!




警察「正面向けやゴラァッッ!!!!なめとんのかぁっっ!!!!親殺しがぁっっっ!!!!」



警察2「わぁっっ!!!先輩落ち着いて!!!!相手はまだ子供ですよ!!??」ガシッ!!


警察「うるせぇ!!!!相手がガキだろうがなんだろうが親殺しには変わらねぇ!!!!こーいうナメくさったガキは一度思いしら........!!!!」ジタバタ!!








「やめんかっっっ!!!!!」











鬼熊父「まったく.......いい大人が子供相手に取り乱すなど見苦しい......慎みたまえ」ザッザッ




警察「け........警視総監殿.........は!!失礼致しました!!」




たかし「..............」




鬼熊「君達はさがりたまえ、この少年の相手は私がしよう.........」ガタン....




警察 警察2「は!!」













鬼熊父「やぁ、久しぶりだね......私の事を覚えているかい? 大石 貴志君..........失礼.......今は旧姓の小野寺君だったね......」




たかし「ええ、もちろん覚えてますよ、鬼熊君のおじさん......」








鬼熊父「君と会うのは.......約5年ぶりになるかな..........私の息子が 君をいじめていたのを 君達親子が家に抗議しにきて以来だな.............あの時は.......すまなかった」



たかし「いいえ........もう5年も前の事ですから...........」



鬼熊父「まぁ........もっとも、5年前 君をいじめていた息子は『なぜか』もういないがね.......」



たかし「.............」



鬼熊父「失礼.......話の本題に入ろうか.........」



たかし「はい........」



鬼熊父「今回の件についてだが..........君が自分の母親を殺害した事...........それは事実かね?」



たかし「............はい........僕が........お母さんを殺しました..........」



鬼熊父「そうか.......事実か..........」



たかし「はい..........」



鬼熊父「ククク.............」



たかし「..............?」












鬼熊父「ハハハハハハハ!!!!」










警察2「け........警視総監殿........?」




鬼熊父「ククク.......そんな事......聞かなくてもわかってたよ......『親殺し』君」



たかし「............」




鬼熊父「いつかは必ず殺るだろうとは思っていたが...........まさか自分の母親を殺るとはな.........さすが『人殺し』の子だよ.......ククク......」




たかし「................」




鬼熊父「貴様の父親は自分の上司を殺した.........そして その『人殺し』の子である貴様は、自分の母親を殺し.........果てには、私の息子まで殺した..........」



たかし「..............」



鬼熊父「許さんぞ........許さんぞ........私の息子を殺した罪........絶対に許さんぞ!!!!」



たかし「.............」



鬼熊父「蛙の子は蛙とはまさにこの事だ!!貴様らは立派な『人殺し』だよ!!貴様も!!貴様の父親もなぁ!!ハハハハハハハ!!!アーッハハハハハハハ!!!!!」






















たかし「嘘つき.........」








鬼熊父「ん?何か言ったかね?」




たかし「嘘をつくのはやめてください..........」




鬼熊父「クハハ!!何が言いたい!?私がいつ『嘘』をついたのかね!?」




たかし「たしかに僕はお母さんを殺しました...........それは事実です...........でも、お父さんは人を殺してなんかいない..........お父さんが人を殺したなんて真っ赤な嘘です」




鬼熊父「何を根拠にそんな事を...........」




たかし「とぼけないでください、鬼熊君が嬉々として僕に語ってきましたよ


本当は あなたが自分の部下を利用してお父さんの上司を殺して、お父さんを殺人犯に仕立て上げた事を...........」




鬼熊父「な..........!」




たかし「お父さんは人を殺してなんかいない............お父さんは あなたに殺されたんだ..........







本当の人殺しはあなたですよ」






鬼熊父「...............!!」





警察「警視総監殿.........!」





鬼熊父「.........あ..........あの糞ガキがぁぁぁぁっっ!!!!!何度も何度も口止めをしてきたのに調子に乗って喋りおったかぁぁぁぁ!!!!!私の『駒』のくせに余計な事をしおってぇぇぇぇ!!!!!」





警察2「!!??」





たかし「................」




鬼熊父「あぁ そうだ!!その通りだ!!5年前のあの日!!貴様の父親を殺人犯に仕立て上げたのはこの私だ!!」




警察2「(.....け.......警視総監殿が......!!)」




鬼熊父「なぜそのような事をしたのかと言うと理由は一つだ!!!!
警察のトップの警視総監であるこの私に頭を下げさせたからだ!!!!
底辺の分際で!!!!頂点に立つこの私にだぞ!!??
私に逆らうことはこの世で最も愚かな『悪』だ!!!!
悪人には罰が下って当然だ!!!!貴様の父親は当然の報いを受けたまでの事だ!!!!
ガーッハハハハハハハ!!!!!」




たかし「...............」







鬼熊父「そしてぇぇぇっっっ!!!!貴様の祖母の家に火をつけるように『駒共』に仕向けたのも私だ!!!!
当然だろう!!??
悪人を生んだ『悪人』は最も忌むべき存在!!!!
悪は元凶から根絶やしにしなくてはならないからなぁ!!!!
だから私はその悪の元凶に苦しみを与えてやった!!!!!
『火炙り』という名の最高の苦しみをなぁ!!!!!
私も見てみたかったよ!!!!悪の元凶が苦しみながら焼け爛れていくその姿をなぁ!!!!!
想像しただけで笑いが止まらんよ!!!!
アッハハハハハwwwwwww
アーッハハハハハハハwwwwwwww」






警察2「...............!!」ゾ.....





たかし「...............」








鬼熊父「ハァ.......ハァ.........もちろん、この事は 別に周りに言いふらしてもらっても構わんよ? しかし、所詮は子供の戯言 周りの大人たちは信じてはくれまいよ.........それに、警察の大部分は私の手の内.........誰も私の行為を密告しようなどという者はいない.............そうだろう?そこの君...........」




警察「はっ!!承知しております!!警視総監殿!!」



鬼熊父「よろしい.......もちろん、君もわかっているね?」ポン!




警察2「!!」ビクッ!




鬼熊父「君はこの課に入ってまだ間もなく、おそらく、今 事情を初めて知ったと思うが.........この仕事を続けたければ ずる賢く生きることも覚えなくてはならないぞ?」








警察2「私は............私は.........」ビクビク....





鬼熊父「フフフ..........」






















警察2「私は..........こんなの間違っていると思います!!!!」








鬼熊父「!!」



警察「な.....!!」



たかし「..........!」







警察2「ハァ........ハァ........」ガクガクガク





警察「バ........バカ!!訂正しろ!!何を言ってるんだお前は!!」ツカツカ!!
 





警察2「私は.......子供の頃からずっと警察官になる事を夢見ていました.........悪人に
苦しめられている善良な市民を、悪人から守る..........それがすごく素敵だと思ったから..........
だから、私も 弱きを助け、悪を懲らしめる........そんな『ヒーロー』になりたかった........だから、私は警察官になったのです..........」



警察「黙れ!!黙らんか!!」ガシッ!!


たかし「.............!」


鬼熊父「...............」






警察2「それなのに............現状は、私利私欲で守るべきものを殺し、権力に物を言わせて守るべきものを苦しめている.......これでは、私たちが悪人じゃないですか!!!!」ポロ ポロ



警察「やめんか!!やめろ!!」



鬼熊父「............!!」ブチブチ...!!







警察2「こんなの..........こんなの!!

私が夢見た警察官じゃない!!!!!」ポロ ポロ  











ドガッッッッッ!!!!!




警察2「がはぁっ!!」ドシャア!!



鬼熊父「貴様ァァ!!!!警察でありながら 警察のトップであるこの私に逆らうかぁぁぁ!!!!!!」ガンッッ!!!ガンッッ!!!ガンッッ!!!



警察2「がぁ"っ"!!だずげで.......!!」



鬼熊父「私に逆らう者は全て『悪』だぁ!!!!貴様の家にも火をつけてやるからなぁ!!!!ガハハハハハハ!!!!ガハハハハハハ!!!!!」ガンッッ!!ガンッッ!!ガンッッ!!



警察2「ぎゃ"あ"っ"!!あ"ぁ"っ"!!」









鬼熊父「ハァ........ハァ.......二度と私に逆らうな!!!!」



警察2「あ".........あ"ぁ".........」ピク...ピク...











たかし「.........よくわかりました........あなたが僕のお父さんを殺人犯に仕立て上げたのも、鬼熊君を利用しておばあちゃんの家に火をつけたのも.........」







鬼熊父「だからそうだと言ってるだろう!!何だ!?今頃になって確信が持てたのか!?もう一度ハッキリ教えてやろうか!! 貴様の父親も!!貴様の祖母も!!私が殺してやったのさ!!アッハハハハハ!!!!アーッハハハハハハハ!!!!!」


































たかし「そっか、それならよかった」ニコッ!















鬼熊父「え?」








やれ!やっちまえたかし!射精するんだ!!!!

鬼熊父「え?」

俺「え?」











































グサッ.............



































鬼熊父「ぎ.......................」ボタボタボタ....
















鬼熊父「ぎゃ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ!!!!!!!!!!」ドシャァッッッッ!!!!














警察「ひ..........ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」ジョバァァァ!!















鬼熊父「あ"ぁ"ぁ"..........!!!!!あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"...........!!!!!」ジタバタジタバタ!!!!!

















たかし「これで心おきなく殺せる」ニコッ!








キモオタ「これで心おきなく犯せるでござるwwwwww」ニコッ!
ブスッ
鬼熊父「あ゙あ゙あ゙・・・・・・ア゙・・・アッー!!!」








それはまさに地獄絵図と呼ぶに相応しい光景だった







一人は 左目を押さえながら 激痛により、この世のものとは思えない 血を吐くような絶叫をあげ







一人は 目の前の惨状に恐怖し、阿鼻叫喚の悲鳴を部屋中に響き渡らせ







そして、一人は 血に塗れたナイフを握りながら笑顔でその惨状の中心に佇んでいた










本来なら、取り調べ室にナイフを持ち込むことなど ありえないことだけど



警察は 子供だからと高を括って、
証拠品として押収したナイフを取り調べ室の机に置いてしまった



だから、鬼熊が後輩の方の警察官に暴行を加え、もう一人の 先輩の方の警察官がそれに注意が向いた間に、



机の上にあったナイフを拾い、服の裾の中に隠し、鬼熊に近づいた.......



近づいても 警戒されないように、安心できるような優しい笑顔を向けて歩いた



そしたら、当たり前のように 鬼熊の懐に入ることができたので、



鬼熊の左目を隠し持っていたナイフで刺した



なんの躊躇いもなく刺した







鬼熊父「があ"........!!!!目が痛い"ぃ"!!!!目が痛い"ぃ"!!!!」ジタバタジタバタ!!!!



たかし「痛いか!?苦しいか!?お父さんとおばあちゃんはもっともっと苦しかったんだぞ!!!!」



鬼熊父「だれ"がぁ"!!!!だれ"がぁ"!!!!早ぐ俺を"助げろ"ぉ"!!!!がぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」ジタバタジタバタ!!!



たかし「殺してやる.........今度こそ殺してやる...........もう前みたいに情けなんてかけない..........可哀想だなんて思わない.........殺してやる.......殺してやる」ガシッ!!!!




ギュウゥゥゥゥゥ...........




鬼熊父「グ..........グォォ............!」グググ...



たかし「死ね死ね死ね死ね死ね」ギュウゥゥゥゥゥゥ.....




バァン!!






警察A「何をしている!!!離れんか!!!」ガシッ!!!!



たかし「離ぜぇ"!!!!離ぜぇ"!!!!殺じでや"る"!!!!殺じでや"る"!!!!殺じでや"る"!!!!」ジタバタジタバタ!!!!




警察A「コラッ!!暴れるな!!くそっ!!この細い体のどこにこんな力があるんだ!!??」




鬼熊父「な"に"を"じでい"る"ぅ"ぅ"ぅ"!!!!!早ぐぞい"づを"ぶっ"殺ぜぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!!」






警察B「とにかく警視総監殿からこいつを遠ざけるんだ!!!!」



警察A「さぁ!!こっちに来い!!暴れるな!!」グイグイ!!





たかし「があ"ぁぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!殺ざぜろ"!!!!殺ざぜろ"!!!!ごい"づを殺ざぜろ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!!!!!」ジタバタジタバタ!!!!





バタン!!









この事件の影響により、 鬼熊 剛蔵は左目を失明、 そして、 たかしの取り調べに立ち会い、鬼熊の犯した罪の隠匿行為に対し、異議を唱え、激怒した鬼熊から暴行を加えられた善良な警察官が 鬼熊の数々の悪事を国家公安委員会に密告した


これにより、鬼熊には懲戒免職処分が下され、それに加え、殺人教唆で逮捕された こうして鬼熊は 今まで築き上げた地位も名誉も財産も 全てを失った








一方で、たかしは 身辺調査が行われた結果


母親殺害に関しては、生前の母親の精神状態が不安定だったことが医師の診断書により判明し、加えて 母親が、たかしの左側腹部を負傷させた事が明らかになったため、正当防衛が可決された



そして、鬼熊 剛蔵に対する傷害事件に関しては、鬼熊の犯した数々の悪事が犯行の動機であったため、充分に情状酌量の余地があるとみなされた



これらの理由により、たかしは 保護観察処分の自宅謹慎と


致死事件では異例とされる軽い判決が下された






しかし、自宅謹慎を言い渡されたとはいえ、たかしは完全に身寄りのいない状態であったため、引き取り手の目処が立つまでは、たかしは児童相談所の一時保護施設に身を置く事となった








子供たち「なぁなぁ!」ザッ



たかし「..............?」



子供たち「いつまでも一人でいないでお前もこっちに来て一緒に遊ぼうぜ!」ニコッ!



たかし「...............わざわざ無理して誘ってくれなくてもいいよ、僕は一人にしてほしいから、それに........




偽善で話しかけてくれてるんなら、二度と僕に話しかけないでほしいな」



子供たち「な.......なんだよお前!!」「もういいじゃん、こんな奴!!ほっといて行こうぜ!!」タッタッ!







たかし「...............」











たかしは この頃にはもう、周りの人間を信じる事が出来ない子供になってしまっていた



そして...........







家族も 夢も 何もかも 失った今





生き続ける意味を失った たかしは





夜が来る度、何度も何度も 父親と同じように 首吊りで死のうとした.............















しかし、たかしには 自分の手で自分の人生を終わらせる勇気などなかった










後一歩、 後一歩で終わらせられるという所で..............祖母が最期に自分に残した言葉がたかしを踏み止まらせる







『生きて』










たかし「どうして..........どうしておばあちゃんまで.........僕を苦しめるの......?」ポロ ポロ







たかしが一時保護所に預けられ、一月が経った頃..........






保護司「たかし君 今日はね、たかし君に会いに来たお客様がいらっしゃるの」




たかし「..............」



保護司「ね、その人に会ってあげてくれないかな?たかし君の事をすごく心配してくれてるみたいで..........」




たかし「嘘だ.........僕の事を心配してくれる人なんて............もういないよ........」




保護司「............とにかく、会ってみましょ?これからのたかし君の生活に関わる大事な事だから、ね?」




たかし「.............」




保護司「もうあっちの部屋で お待ちになってるから 行きましょ たかし君、ね?」ギュッ




たかし「...............」テクテク....









保護司に手を引かれ、歩きながら たかしは自分に会いに来た人物のことを考えていた





父親も、母親も、祖母も、友達も、先生も 自分を心配してくれる者など誰もいないのに、
誰が自分のことを心配して ここに来たのか



疑問を抱きながら その人の待つ場所へ歩いた





相談室前..........





保護司「この部屋で、あなたの事を待ってらっしゃるわ、さ、入りましょ」



たかし「..............」



保護司「お待たせしました、失礼します」コンコン!






ガチャ





たかし「..................!!」










???「久しぶりだな.........君があの時 泣いていた少年か..........大きくなったな.......」







ドアが開き、その人物と目が合った瞬間、たかしは思い出していた





祖母の家が火事になった時、取り乱し、
泣きじゃくる 自分を 叱咤し、そして、祖母が病院に運ばれた時、前向きな言葉で自分を励ましてくれた人物がいた事を........





『すまなかった......子供の言う事だからと 私は君の事を疑ってしまった..... 』



『大丈夫、君のおばあちゃんは絶対に助かるから、諦めるんじゃないぞ』
















たかし「あの時、病院まで僕を連れて行ってくれた...........消防士のおじさん.........」








消防隊員「あれから、4年程経つのに........私の事を覚えていてくれたのか...........」





保護司「.........たかし君、紹介するわね、この方はこれから あなたのお父さんになる『鬼熊 正之』さんよ」





たかし「!!」ビクッ!!





保護司「たかし君、どうしたの......!?」





たかし「うわぁぁぁぁ!!来るな!!来るなぁっ!!来るなぁっっっ!!!!」ガシャアン!!バリィン!!





保護司「たかし君!!どうしたの!?落ち着いて!!たかし君!!」ガシッ!!





たかし「ひぃ!!ひぃぃぃぃ!!」ジタバタジタバタ!!





正之「............無理もない........あれだけ悲惨な思いをしたのだから.........」








正之「.......たかし君........私は 鬼熊 剛蔵の弟だ..........兄が君に対して行ってきた悪業の数々.........謝っても許されない事だということはよくわかっているよ........」



たかし「........ハァ....ハァ.......!!」



正之「君が私に怯えるのだって仕方ない事だ..........でも.........聞いてほしい、私は決して 兄を刺した君の事を恨んで ここに来た訳ではないんだ.......むしろ......兄は受けて当然の報いを受けただけだと 私は思っている.........」



たかし「............どうして.........?」



正之「................?」



たかし「.........どうして あなたが僕のお父さんになるんですか.........?」






正之「それは............兄が君に犯した罪を......そして、私自身が君に犯した罪を.....償う為だ.......」




たかし「.............!」






正之「4年前のあの火事の後.........私は 君がどうなったのかが気になっていた、だから、君のおばあちゃんが運ばれた病院まで君を送り届け、火事の始末を完全に済ませた後で、私もその病院に向かった......」


たかし「.............」


正之「病院に行って、私は看護師に 火事で全身に大やけどを負った患者の名前を聞いた........そしたら 『大石 永遠子』という名前の患者だったことがわかった......」


たかし「...............」


正之「それによって、私は 今回の火事を起こしたのは兄ではないかと 疑い始めた...........なぜなら 兄が『大石』という苗字の人物に対して、異常に執着していたからだ...........しかし、『大石』は他にもたくさんある苗字...... 私の思い過ごしだと思っていた.........だが、ある日 私の思い過ごしが 確信に変わった.......」


たかし「............?」


正之「兄の子.......つまり、私の甥である 鬼熊 拓斗が、私に自慢気に、自分があの時の火事を起こした犯人だと事を語ったのだ..........」


たかし「.............!」


正之「私は、拓斗を鬼のように叱った........だが、拓斗は悪びれる様子もなく、私にこう言ったよ........


『父親に やれと言われた』と.....」


たかし「...........」


正之「だから、私は兄に問いただした.........なぜ、なんのためにそのような凶行に走ったのかを.........」







正之『兄さん!!!!どうして!!??どうしてあの老人の家に火をつけたんだ!!?? あの老人の孫がどれだけ悲しい思いをしたと思っているんだ!!!!一体 あの家族になんの恨みがあって......
...!!!!』


鬼熊『あのババァの息子が、私に頭を下げさせたからだ.........警視総監であるこの私にな.........』


正之『そ......そんな理由で.........!!こんな事 許されるはずがない.......今すぐ上の方にかけあって........!!』


鬼熊『正之......わかっているだろうな?なぜ 貴様がこの事を知っているかは知らんが、 もし この事を 外部に漏らせば、いくら弟である貴様とはいえ、容赦はしない.........私の力を持ってすれば、ひと1人の人生を壊す事ぐらい容易いことだ..........女房の悲しむ顔が見たくないだろう.........?』ニヤァァァァ.....


正之『...........!! この下衆がぁっ!!!!』






たかし「.............!」


正之「私は...........兄がした事を知りながら........君の痛みを知りながら.........我が身可愛さ故に........兄の権力に怯え.........この4年間.......君の助けになれる事を何一つしてやれなかった..........」


たかし「.............」


正之「だから........せめて.........身寄りのなくなった君を私の手で護り、育てることが........君に罪を犯した私の責任であると思っている............」


保護司「鬼熊さん..........」






正之「すまなかった...........本当に.......すまなかった............!私を......私を許さないでくれ..........!」ポロ ポロ



たかし「...............」






保護司「.........たかし君......辛い事だと思うけど.........鬼熊さんを信じて........付いて行ってあげてくれないかな........」


たかし「..............」


正之「いえ..........いいんです..........自分の父、祖母を殺した犯人の弟の子供になれなど.....自分勝手で 酷な話でした......もうこれ以上この子を傷つけるようなことはしたくない........私はこれで御暇させていただきま........」



グイッ



正之「!」


たかし「..............」ギュ....


正之「たかし君..........」



保護司「たかし君........鬼熊さんに........付いて行くの.......?」


たかし「.............」コクン


正之「君は.........自分に罪を犯した私のような者を........信じてくれるのか.........?」


たかし「.............」コクン






ギュッ




正之「ありがとう..........ありがとう...........ありがとう...........!!」ポロ ポロ






保護司「たかし君...........!」





こうして、たかしは この日から

自分から沢山の大切な者を奪った外道の弟である、鬼熊 正之 と、正之の妻である、鬼熊 小百合

この二人の子供として、迎え入れられることとなった


正之の家..........





正之「さあ、今日から ここが君の新しい家だ.......!そしてこの人が、君の新しい母親になる、私の妻の小百合だよ」


たかし「.............」


小百合「あなたが たかし君ね? 女の子みたいで可愛いわぁ、 事情は夫から聞いたわ
本当に辛い目に遭ったのに、よく頑張ったわね...........もう大丈夫だからね.......!」ギュッ


たかし「..............」


正之「私たちは..........君の事を本当の息子だと思って接していくよ.........今はまだ 無理かもしれないが........もしも、君が 私たちの事を 本当の両親だと思ってくれる日が来たのなら これ以上嬉しい事はないよ.........」


小百合「たかし君、ここを 自分の本当のお家だと思って 気兼ねなく暮らしてね!
だって 私達は もう『家族』なんだから!」ニコッ!


たかし「.............!」


小百合「ほらほら、お腹空いたでしょ? もう晩御飯の用意してあるから 一緒に食べましょうね!今日は私達の『初めての子』が家に来る日だから 沢山作ったのよ!」ニコッ!


正之「さぁ、たかし君......いや、たかし.........食事にしよう!」ニコッ!





たかし「.............」





たかし「.............」コクン!





たくさんの 自分への言葉.........

ギュッと抱きしめられた時に感じた どこか懐かしい気持ち..........

児童相談所の業務的に作られた物とは違う、心のこもった料理.........

殺人を犯した自分を、まるで、本当の我が子のように迎え入れてくれた優しさ.......















でも、そんなものは全部 幻だ









自分への言葉も

どこか懐かしい気持ちも

料理に込められた心も

殺人を犯した自分を、まるで、本当の我が子のように迎え入れてくれた優しさも







全部 偽物だ


どうせこいつらも いずれは自分を裏切る.........


どうせ 裏切られるのなら........


裏切られる その日まで、その偽物の優しさを とことん利用してやる...........








人の優しさを信じる事を忘れてしまった たかしは、荒みきった生活を送るようになった






たかしは、自分の辛い過去や現実から目を背ける為に、
正之と小百合の心配をよそに、一日中、風呂にも入らずに部屋に引きこもるようになった


どっぷりとアニメや漫画 などの 二次元の世界に現実逃避し

畜生のように食事を喰らい続け

狂ったように、自慰にふける


まるで、タガが外れたかのように、自分の本能に忠実に生きるようになってしまった



その結果、細かった たかしの体はどんどん醜く肥え太っていった


しかし、醜く肥え太ったのは体だけではなかった


たかしは、荒んだ生活を続けるうちに、自分の心までも、醜悪に肥え太らせてしまっていた..........









.............ここは..........どこ..........?



『たかしー!早く家を出ないと学校に遅れるわよー!』



...........お母さん..........!



『たかし、今日はお父さんが車で学校まで送ろう!』



...........お父さん..........!



『たかし、気をつけて 行ってくるんだよ』



...........おばあちゃん...........!



思い出した.............!ここは............僕達の暮らしている家だ............!



そうだ、お父さんが死んだのも おばあちゃんが死んだのも、僕がお母さんを殺したのも、全部全部 悪い夢だったんだ.........!



今僕の目の前にあるものが現実なんだ......!


よかった.........よかった..........!






母 父 おばあちゃん『たかし.......』スゥ......





!? 待ってよ..........!!




皆どこへ行くの...........!?





置いてかないで..........!!






お父さん....!!お母さん......!!おばあちゃん.......!!






たかし「!?」ガバッ!!!!






たかし「.....ハァ......ハァ......」ポロ ポロ





たかしは 現実から目を背ける気持ちから、家族みんなで幸せに過ごしていた頃の夢を見るようになっていた




しかし、夢から覚めるとそこには誰もいない




夢から覚めるたびに、たかしは思い知った


『家族』という かけがえのない 大切な『縁』たちを 自分は掌から零してしまったという事を




そして.........たかしにとっても、正之と小百合にとっても、最も 辛く、残酷な日があった.......






正之「たかし、16歳の誕生日、おめでとう!」ニコッ!


小百合「おめでとう たかし!」ニコッ!


たかし「...............」


小百合「...........あ、たかし.........これ、お父さんとお母さんからの誕生日プレゼントよ、」スッ....


正之「きっと、たかしも喜んでくれると..........」


たかし「..........いらない.........」


小百合「え...........?」


バシッ!!


小百合「キャッ!!」


たかし「ハァ-.....ハァ-.....!」


正之「たかし........!」


たかし「こんな誕生日プレゼントなんかいらない!!!!受け取るもんか!!!!受け取ってたまるか!!!!」ガシャアン!!!!バリィン!!!!


小百合「たかし!!やめて!!やめてぇ!!」


正之「たかし!!やめなさい!!」


たかし「本当の親でもないくせに!!!!どうせ裏切るくせに!!!!そんな奴らに誕生日なんて祝って欲しくない!!!!おばあちゃんを.........お父さんを返して!!!!返してよぉ.........!!」ポロ ポロ


正之「.........すまない........すまない.......」


たかし「うわぁぁぁん!!!」ダッ!!



小百合「たかし!!どこに行くの!?待ちなさい!!たかし!!」


正之「いいんだ!!!!」


小百合「あなた............」


正之「いいんだ.........今はそっとしといてあげよう.............こうなったのも..........全て私のせいなんだ...........」









この時から、たかしにとって 自分の誕生日は、過去の忌まわしい記憶をフラッシュバックさせる日になっていた


誕生日が来るたび、たかしは 過去の悲惨な記憶を蘇らせ、


周りの人間に対して暴言を吐いては やりばのない怒りや悲しみをぶつけていた








そんな、荒んだ生活を続けて、約4年の月日が経ったある日のこと..........











たかし「おいババア、アニメイト行くから金よこせ」


小百合「たかし...........もう 今月だけで20万近くも使ってるじゃない..........あなたも もう成人なんだから...........そろそろ 働き口を探さないと...........今のままじゃ、あなたが後で困ることになるわ........」


たかし「なにぃ〜?」


正之「たかし........母さんの言う通りだぞ、もし、私たちが死んでしまった時に お前が働いていなかったら.........収入がなくなり、お前の将来がなくなってしまう........だから、そうならない為にも 私も一緒に働き口を探すから 今日 ハローワークに.......」


たかし「うるさい!!!!うるさいうるさいうるさぁぁぁい!!!!」


正之「たかし..........!」


たかし「昔、自分の身の保身のために僕の事を助けてくれなかったくせに.........いまさら父親面するなぁ!!!!」


正之「..............!」


たかし「将来よりも、何よりも!!今はアニメの限定版DVDを、買うことの方が大事なんだよ!!!!
いいからとっとと金をよこせぇ!!!!偽善者共がぁ!!!!」


小百合「!! たかし!!いい加減にしなさい!! お父さんもお母さんも あなたの為を思って.........!!」


正之「わかった........ほら、たかし 10万円 渡しておく.........好きな物を買って来なさい.........でも、いずれはちゃんと私と一緒に働き口を探しに行くんだぞ?」スッ.....


小百合「ちょっと、あなた......!」


たかし「..........最初から素直に渡せばいいんだよ!!」パシッ!







たかし「夕方には帰って来るからメシ用意しとけよババアー!」ガチャ バタン!







小百合「たかし............」



正之「..........あの子は、心に一生癒える事のない傷を負っている............その傷を負わせたのは.........たかしをあんな風にしてしまったのは.......紛れもなく 私と 私の兄だ..............」



小百合「.............」



正之「小百合.......たかしは、本当は優しくて素直で、とても強い子だ.........今はまだ無理かもしれないが..........いつかきっと わかってくれる時が来るよ.........だから、その時が来るまで、たかしを信じよう........!」ポン!


小百合「ええ、そうね..........親として、私たちができる事は、自分の息子を信じて待ってあげることよね..........だから、
いつか たかしが わかってくれる時が来るまで、信じて待ちましょう!」




アニメイトにて...........





たかし「.............」ドクン...ドクン.....



たかし「(やっぱり.........人がたくさんいる場所に来ると........昔を思い出して、心臓の鼓動が激しくなる..........)」ドクン...ドクン....



たかし「(ここに.......自分の事を知っている人間なんていないはずなのに.........)」ドクン....ドクン.....



たかし「(早く........DVDを買ってしまおう...........)」ドクン.....ドクン....






「おぅい!!そこの者ぉ!!ちと待たれぃ!!」





たかし「!!」ビクッ!!







ガリオタ「デュフフwww」ニヤニヤ


アニオタ「コポォwww」ニヤニヤ




たかし「(な.......なんなんだ......こいつらは........!)」ドキドキ....!



ガリオタ「お主に問いたい!!今 お主が着ているそのTシャツの後ろにに描かれているピンク髪のおにゃのこは もしや 拙者らの嫁の中の嫁『萌美』殿ではござらんか!?」



たかし「...............!」



アニオタ「そのTシャツは、日本全国に20着しかなく、入手が困難ゆえ、真の萌ラーにのみ着ることが許されたTシャツ...........!」



ガリオタ「そして!!拙者達も今、上着の下に お主が着ているのと同じTシャツを着ている!!」




ガリオタ アニオタ「見よ!!」バッ!!




たかし「(.........!!.......すごい........僕が相当苦労して手に入れたこのTシャツを........着ている人が2人もいるなんて.........!!)」







アニオタ「しかし、まさかこのような所で 『同志』に出会えるとは思わなんだ..
.........」


ガリオタ「もしよければ、名を教えてくれぬでござるか?拙者の名は『ガリオタ』と申す!!」


たかし「..........それ.....本名........?」


アニオタ「いやwwwもちろん本名ではござらんよwwww拙者らは 自分の名前を自分で名付けて、お互いにそれを呼び合っているのでござるwwwwちなみに拙者は『アニオタ』でござるwww」


たかし「.............!」


ガリオタ「男には、本名など無用だ.........それに.........自分の子供を置き去りにして生活費のほとんどをギャンブルに浪費する母親がつけた名前など、二度と名乗りたくない.........」


たかし「..............!」


アニオタ「拙者も同じく........働きもせずに毎晩酒に溺れては 弟や妹、そして自分に暴力を振るうような父親が名付けた名など 一生恥じるべきもの.......」





たかし「(.......この二人は.........辛い現実が負わせる『傷』と戦っているんだ.......本当の名前を捨てて、口調まで変えて...........『自分』を殺している..........そして......新しい『自分』に生まれ変わっている......)」







たかし「(僕も........僕も.......新しい『自分』に生まれ変わりたい............!!




生まれ変わるんだ............!!)」











たかし「.........キモオタ..............」





ガリオタ「...............!」


アニオタ「...............!」















キモオタ「拙者の名は『キモオタ』


そう覚えておいてもらいたいでござるよwwwデュフフwwwww」















たかしは.......中学の頃に 自分の弱さ故につけられた『キモオタ』というあだ名を ...........弱い自分から生まれ変わるために.........そして、自分の弱さを忘れないために........自らを戒める意味もこめ、名乗るようになった.........










そして、それから数ヶ月が経った頃........





24時間後に たかしは 『現実』から姿を消すことになる..............













キモオタ「ババア!!拙者は赤マルジャンプじゃなくて 少年ジャンプを買ってこいと言ったはずでござる!!ムキィィィィ!!!!」


小百合「たかし..........ごめんね......すぐに買ってくるから......」


キモオタ「もういい!!拙者が自分で買ってくるから金をよこすでござるよ!!そうでござるなぁwww最低でも5万は必要でござるなぁwwwコポォwww」ニヤァァァ...


小百合「たかし........」


キモオタ「ほら!!とっとと金をよこすでござるよ!! 5万ぐらいでしぶるなでござる!! ははぁーん?さては貴様 悪の手先でござるか!?

悪人にはお仕置きが必要でござるwwww
くらえ!!キモオタチョォップwww」ポカポカ!


小百合「あぁ!やめて!やめてぇ!お金は渡すからもうやめてぇ!」


キモオタ「デュフフwww正義は勝ぁつwww」







小百合「たかし.......うっ.......うう.......」ポロ ポロ



本屋..........





キモオタ「(やはり......人が多くいる場所は嫌いでござる.........心臓の鼓動が早くなる.........)」


キモオタ「(今の所.......家族以外で信用できた人間は..........アニメイトで出会ったガリオタ氏とアニオタ氏だけ.......)」


キモオタ「(あれ以来、あの二人には会ってないが..........一期一会の出会いだったが..........もしまた出会えるのなら もう一度会いたい........そして、『友達』になりたい...........)」


キモオタ「(もう......これから先、あの二人のように 心を許せる 人物に出会えるとは思わない.........)」


キモオタ「(だから、こうして 自分を絶対に裏切ることも傷つけることもない 二次元の世界に逃げ込んだ.......)」







キモオタ「(さて、今日も 拙者の逃げ込む世界を探すでござるかな..........)」ザッ....








キモオタ「(さてと、なにか掘り出し物はないでござるかな〜?)」ズン ズン


キモオタ「(ん............?)」ピタ.......


キモオタ「(2014年度 このマンガがすごい!一位受賞作品........)」


キモオタ「(なんだ.......このいかにも手抜き感満載の表紙は........)」


キモオタ「(それに........このデカデカと自慢気に書かれた『1200万部突破!』の安っぽい宣伝文句..........ゴリ押し感が拭えない...........)」























キモオタ「暗殺教室...............?」











この漫画との出会いが 自分の運命を大きく変えてしまうとは その時 たかしはまだ想像してもいなかった.............





そして その日の晩.......



キモオタ「結局 気になって全巻買ってしまったが...........たかだか8000円ちょっとの出費wwwwまぁ別によかろうwww」


キモオタ「デュフフwww今日も大人買いしてきた漫画で現実逃避するでござるwww」バサ!


キモオタ「ふむふむwww『暗殺教室』でござるかwww所詮はステマ作品でござるがまぁたまには流行に乗ってみるのもありでござるなwww」


キモオタ「さて、じゃあ早速 現実から エスケープと決め込むでござるかな...........」パラ....






たかしは、24時間の長い時間をかけて この漫画を読み込んだ


読み進める途中で、女子生徒がメインの話になるたび、三次元では感じることのない快感を覚えながら 自慰をし、そしてその興奮が止まぬうちに また読み始め を繰り返していた.........


この漫画を読みながら、たかしはこの漫画に描かれている中学生3年生の生徒たちと、
中学生3年生の頃の自分を比較していた........




真正面から 生徒にぶつかり、生徒の事を一番に考えるE組の先生たち、そして 裏切られても仲間を心から信じて支えるE組の生徒たち



自分の立場が危うくなれば 平気で生徒を捨てる 中学の頃の先生たち、そして 上辺だけの友情や愛情で自分を騙し、裏切った中学の頃の生徒たち



自分と E組の生徒たちは まるで正反対の人生を歩む中学生だということを感じていた.........







そして、24時間後..........たかしは、『暗殺教室』の今現在 描かれているストーリーを 単行本全巻と........単行本が発刊されていない分の話を週刊少年ジャンプで全て読み終えた........



キモオタ「ふぅ..........」



キモオタ「E組の女子のレベルが高いでござるwwwカエデたん桃花たん陽菜乃たんマジ天使杉wwwコポォwww」 カチャカチャ ズル ボロン!



キモオタ「...拙者がもしE組だったらぼっちにはならなかったでござろうな...」 シコシコシコ



キモオタ「一度でいいからE組に入ってみたいでござる」 シコシコシコ



キモオタ「そしたらビッチ先生に公開ディープキスの刑に処されるでゲスなwwwたまらんwww」シコシコシコ










たかしは、漫画を全て読み終えた後、言いようのない焦燥感に駆られ、二次元世界への憧れをぼやきながら、また 自慰にふけった...........









そして、快感が絶頂に達した瞬間、





突然 目の前が真っ暗になった








ーーーここはーーーどこだろうーーー?



ーーーひょっとしてーーー



ーーー自分は死んだのかーーー?



ーーーそれならよかったーーー



ーーーもう苦しまなくて済むーーー



ーーー向こうにいるみんなに会えるーーー








そう思った時、真っ暗な闇の中で 誰かの声が聞こえた











その声は自分に言った



これから自分は『暗殺教室』の世界に飛ばされるという事



そして、その世界で、超生物を殺さなければ 二度と 現実の世界には戻れないという事










ーーー超生物を殺さなければその世界の地球が爆発して死ぬーーー



ーーーならよかった......それならおばあちゃんの声で踏みとどまることなく、確実に死ねるーーー



ーーー元の世界に戻ったとして 待っているのはつらい現実だーーー



ーーーずっと憧れてた二次元の世界で確実に死ねるのなら、これ以上 幸せな事はないーーー



ーーーでも、あくまで今から飛ばされるのは『暗殺教室』........皆と同じ目標に向かわなければ、至極 不自然だ.......だから、殺す姿勢だけは見せておこうーーー



ーーーもしも、誰かが 超生物を殺して、元の世界に戻らなければならなくなったらーーー



ーーーその時は、本当に自殺しようーーー



ーーーもうなにも怖くないーーー










ーーーもうなにもーーー













ーーーたかしは 薄れゆく 意識の中で、昔 交わした 約束を思い出していたーーー

















『たかしは大きくなったら何になりたいんだい?』


『ぼく、大きくなったら本を書く人になりたい!』


『素敵な夢じゃないか 本を書く人になったら どんな本を書くんだい?』


『【大好きなおばあちゃん】っていう本を書くの!でね!その本をおばあちゃんに読んでもらうんだ!』


『おやまぁ、嬉しいねぇ じゃあ たかしが大きくなってその夢を叶えるまで私も長生きしなきゃねぇ』


『うん!約束だよ!』


『ええ約束だとも......たかしが夢を叶えるまで必ず長生きするから たかしもどんなに辛い事があっても諦めないで必ず夢を叶えるんだよ これはおばあちゃんとの約束だよ』


『うん!』










ーーーーー


ーーーー


ーーー


ーー













ーーーこうして、異次元からの来訪者は、全てを語り終えたーーー



















キモオタ過去編 完




2学期 終盤編に続く











随分長くなったけど 付き合ってくれたみなさん
本当にありがとうございました!
そろそろ原作も このSSも終盤に差し掛かってきたけど頑張ります!
これからもよろしくお願いします!



このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年09月24日 (木) 17:56:45   ID: RDCA1s3r

号泣した

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