海未「あなたは最低です!!」 シャーロック「高機能社会不適合者!」 (102)

SHERLOCK×ラブライブ!
ことうみ、本編と同程度のS/J、ミステリー要素は雰囲気だけ

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穂乃果「ねぇねぇ! この後、皆でクレープ食べに行かない?」

希「お、ええなぁ」

絵里「私も良いわよ」

にこ「しょうがないわねぇ、付き合ってあげるわ」

ことり「ごめん、ことりはこれからバイトがあって…それじゃぁ、もう行くね?」

穂乃果「そっかぁ、残念…凛ちゃん達は?」

凛「行っくにゃーー! もちろんかよちんと真姫ちゃんも一緒に!」

真姫「ちょ、勝手に! まぁ行くけど…」

花陽「あはは……」

穂乃果「あれ?」

希「どうしたん?」

穂乃果「いつもならここで海未ちゃんが『穂乃果! 太りますよ!』ってお説教してくるはずなのに」

穂乃果「ってあれ? 海未ちゃんは?」

希「海未ちゃんなら野暮用だって言って先に帰ったよ?」

穂乃果「ええーー!?」




――――――――――――


ことり「……」キョロキョロ

ことり「今日は…いないね」

ことり「よし…!」タタタタタタ…


――――――――――――

海未(はぁ……思わず一人で帰ってきてしまいました)トボトボ

海未(今朝、下駄箱に入っていたこれ……)

海未(まさか、後輩からラブレターをもらうなんて)ピラッ

海未(『園田先輩LOVE』ですか…)

海未(一体私なんかのどこが良いんでしょうか…いや、慕ってくれるからにはきちんと返事しないと)

海未(相談しましょうか、μ'sの誰かに? しかしあの娘に知られるわけには…)

海未「はぁ…ことり…」ギュッ

「僕なら断る」

海未「!?」


「幼馴染のことが好きなら断るのが論理的だと、僕なら思うがね」

海未「なっ、なっ!? 何ですかあなたはいきなり!」

「失礼。こんなことは滅多に無いんだが、道を尋ねたくて話かけたんだ。だが、お悩みの様だったのでアドバイスを差し上げたまでさ」

海未「どうして私が考えていることがわかったんですか! はっ、まさか! ストーカー!? 変質者!?」

「僕は変質者じゃない! 高機能社会不適合者だ!」

海未「こ、こうきの…お…? じゃあ、どうして! 私のことがわかるんですか!?」

「観察に基づく科学的な推論だ」

「君はその封筒を持ちながら悩むそぶりをしていた。見た目からしてラブレター。差出人は年下の女性。封筒に書かれた文と筆跡、それに貼られたシールを見ればわかる。真剣に返事を悩んでいる様子から、君は同性愛を嫌悪していない。そして鞄についているキーホルダーを握りながら女性の名前を呟いた。手紙の送り主の名を呼んだわけではあるまい。そのキーホルダーにはメッセージが。その女性からの贈り物だろう。文面からしてかなり親しい仲、それも古い付き合いだと伺い知れる。ラブレターの返事に困りながら、同性愛に嫌悪の無い君がその女性の名前を呟いたのなら、その女性を好きだと推測するのは、そう難しいことじゃない」

海未「」ポカーン

海未「な、な、な、何なんですかあなたは!?」

シャーロック「僕はシャーロック…ああー、シェリンフォード」

海未「シャーロック…シェリンフォード…」

海未(何故でしょう…他人のような気がしません)


シャーロック「ロンドンから来たんだが、この辺りの地理はまだ頭にインプットしていなくてね」

シャーロック「おまけにこの辺りじゃ、僕の携帯の電波がつながりにくい。この住所に行きたいんだが」ピラ

シャーロック「行き方、もしくはタクシーを拾える場所を教えてくれないか」

海未「はあ、なんだかよくわかりませんけどそういうことなら…って、この住所は…」

シャーロック「いやいやいやいや、よろしくないぞ。若い女が会ったばかりの男にほいほいついて行くなんて控えるべきだ。日本人は慎しみ深いんじゃなかったか? 道だけ教えてくれれば自分で行ける」

海未「……まだ何も言っていませんが」

シャーロック「道案内しようかと言おうとしただろう? いらない」

海未「(カチン)いや……良ければここまで案内しましょうか」

シャーロック「いや、いい。それより剣道の稽古はいいのか? もしくは舞踊?」

海未「なっ! 何故それを!?」

シャーロック「君の手と足だ」

海未「なっ…/// み、見ないでください!!」ガバッ

シャーロック「別にいかがわしい目で見ているわけじゃない」

シャーロック「君の足の筋肉のつき方は武道家であることを示している。指の状態から見ておそらく弓道と剣道。学校でのクラブ活動で弓道をやっていることは、君が弓具を抱えていることから明らかだ。普段は学校に置いてあるのだろうから、今はたまたま手入れの為に持ち帰るところだろう。学校で弓道と剣道を掛け持ちしているのかもしれないが、その弓具入れの状態を見るにほぼ毎日出し入れしているはず。掛け持ちはしていないと考える方が自然だ。では剣道はどうか? 君の動きにはブランクを感じないし、指についてる跡から見ても、ほぼ毎日訓練しているはずだ。学校が終わったあと、別の場所で稽古しているのだろう。さらに言えば君の歩き方の歩幅とリズムと踵を見れば何らかの舞踊の練習を継続して行っているのもわかる。まだあるぞ。君は登山家でもあるようだが、それは内腿の――」

海未「わかりました! わかりましたからっ!!」


海未「でも時間の余裕はあるんです! ですから道案内することはできます!」

シャーロック「タクシーの方が早い」

海未「いえ! こうなりゃ意地です! さあ行きましょう!」

シャーロック「君は変わっているな。普通の人なら僕と出会ったら、災難だと思うのに」

海未「あなたに言われたくありません!!」

海未「それにこれは親切心で言っているわけではありません! 後に引けなくなっただけです!」

シャーロック「そうか、じゃあ仕方ない」





――――――――――


穂乃果「ん? あれ、海未ちゃんだ! ってあれ? 男の人と一緒に歩いてる…」

絵里「!?」

花陽「ヤボヨウッテコレノコトダッタノォー!?」

にこ「ぬわぁんですってぇ!? これは大スキャンダルよ!!」

希「しかも、長身のなかなかのハンサムさんやん。おっ、それもすごい年上の外国人っぽい」

絵里「落ち着いてる場合じゃないわよ希! これはマズイわ! まさか海未が不純異性交遊だなんて!」

穂乃果「不純異性交遊!? そ、そんな、海未ちゃん…!」

絵里「行くわよ!」





絵里「こらーーーーー!!」

海未「絵里!? それにみんな」

絵里「あなたね! 一体何やっているの!」

海未「何をやっている、とは?」

絵里「こんなところで、そんな年の離れた男の人と何をしているのって聞いてるの! まさか、いかがわしいことを――」

海未「道案内です」キッパリ

絵里「え」

海未「道案内です」

絵里「あ、さいで」

真姫「正直このオチは読めたわね」

希「もーう、えりちったらあわてんぼうやねぇ」

海未「あ、こちらロンドンからきたシャーロック・シェリンフォードさんです」

海未「不本意ながら、目的地まで案内をしているところで」

シャーロック「僕はいらないって言ったのに、無理矢理案内すると言ったのは君だ」

絵里「海未! やっぱりこの人と――」

海未「違います!」

シャーロック「そういう君たちは昨夜はお楽しみだったようだ」

絵里「!?」

希「!?」

シャーロック「そう、そこのブロンドの君と、方言を喋る君だ」

海未「ど、どういうことですか!?」

シャーロック「その二人は既にデきてる」

希「なっ!?」

凛「できてる? 何ができてるにゃ?」

花陽「凛ちゃんは知らなくても大丈夫だよ」

絵里「ど、どうしてわかったの!?」

希「えりち! あかん!!」

絵里「あ!」

にこ「あ、あんた達! 本当に付き合ってるの!?」

シャーロック「そんなこと、見ればわかるだろ?」

にこ「普通見ただけじゃわからないわよ!」

シャーロック「おいおい、その肩の上にある尻尾が二つ付いた物は一体何だ? 折角頭があるんだから使えよ」

にこ「ムカつく言い方ね……」

希「な、何でなん!? 何でウチとえりちが付き合ってるってことがわかったん!?」

シャーロック「君と彼女から同じシャンプーの匂いがする。たまたま同じ銘柄を使ったのか? いーや、そちらの彼女の髪と頭皮が少し荒れている。仮にも人前で歌って踊る人間――日本ではアイドルというのか?――なら身だしなみには人一倍気を遣うはず。自分の頭皮に合わないシャンプーを使うはずはない。合わないシャンプーを使ったということは、急な外泊があったということ。この場合、君の家に泊まったということだ。それだけなら単に友人の家に泊まっただけかもしれない。だが君たちは昨夜、性交渉を行っている。指と膝の状態から明らかだ。まさか膝で床を磨いていたわけではあるまい。昨日相手の家に泊まって性交渉を行ったのなら君たち二人が恋愛関係にあると考えるのが自然だ。相手の家に自分用のシャンプーを用意していないということは、まだ付き合い始めて日が浅いこともわかる」

希「」

絵里「」

穂乃果「ほぇ~、絵里ちゃんと希ちゃんが」

凛「難しくてよくわからないけど、なんだかすごいにゃー!」

花陽「だ、ダレカタスケテーー!!」

真姫「イミワカンナイ!」

海未「な、な、な、な、な、な……///」

海未「は、破廉恥です!! 人前でそんなこと暴露するなんて! 変態ですか!!!」

海未「あなたは最低です!!」

シャーロック「高機能社会不適合者!」

海未「……待ってください。さらっと言ってて聞き流しそうになりましたけど」

海未「アイドルということはどうしてわかったのですか!? 私は教えてないはずです!」

シャーロック「知りたいのか?」

海未「もちろん!」

シャーロック「そこのポスターに書いてある。マイクロ…いや、ミューズと読むのか」

海未「」ズルッ

凛「この前よばれたイベントのポスターにゃー」

穂乃果「はは、穂乃果たちも結構有名人だねぇ~」

海未「まぁ、正確にはアイドルではなくスクールアイドルですが」

シャーロック「どう違うんだ」

にこ「しょうがないわねぇ。この、にこにーが教えてあげるわ。スクールアイドルってのh」

シャーロック「いや、いい! 今質問したのは忘れてくれ! 僕にとっては無駄な知識だ! 消去しないと!」

にこ「あ、あんたねぇ~!!」

凛「り、凛は!? 凛のことは何かわからないかにゃー!?」

シャーロック「君は猫好きなのに猫アレルギーだ。猫の様に振る舞っているのは、猫を飼いたくても飼えない気持ちを紛らわすためか? 自分を女らしくないと思いコンプレックスを抱いているが、スカートの折り目を見るに少しは克服したようだ。君は昼食に即席麺を食べたが、物足りなくて友達からライスボールを分けてもらった。塩分と糖質の摂り過ぎは良くないぞ。アイドルとやらを続けるつもりなら」

凛「にゃにゃにゃにゃーーーーー!?」

真姫「当たってるじゃない…」

穂乃果「超能力みたい!」

シャーロック「科学的な推論だ」

花陽「ハッ」

真姫「どうしたの花陽?」

花陽「その推理力…どこかで聞いた覚えがあります…!」

花陽「たしか…」スマホピッピッ 



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近況報告
2011/05/01

大いなるゲーム
2011/04/01

死を呼ぶ暗号
2011/03/28

⇒ご参考までに
2011/03/27


これが僕だ。

そして、こっちがシャーロック。

いいかい? ロンドンに潜む犯罪者のみなさん、僕と
シャーロックを間違えないように!




花陽「やっぱり!」

花陽「イギリスの有名な探偵だった、シャーロック・ホームズさん!!」

海未「ホームズ…? シェリンフォードではなく?」

花陽「ほら、このブログに写真が、間違いありません!!」

真姫「そんなに有名な人なの?」

花陽「ロンドンで有名だった私立探偵です! 彼の相棒が事件の記録を綴ったブログが人気で、日本でも有志がファンサイトを作って日本語訳を公開していました!」

花陽「ちなみに私はオタクとアルミとバスカヴィルの話が好きでした!」

真姫「へぇ、花陽ってアイドルのこと以外も詳しいのね」

花陽「ふふふ、情報を収集するコツは広く網をかけることです。これくらいのこと知らなきゃアイドルの世界ではやっていけません!」

凛「凛はオタクなかよちんも好きにゃー!」

花陽「それで、盗まれたターナーの『ライヘンバッハの滝』という絵画を取り戻した事件から爆発的に知名度を上げて、マスコミなどにも度々取り上げられていたんです!」

花陽「ところが一年と少し前、彼が扱ったある事件が自作自演という疑惑をかけられ、バーツの屋上から飛び降りて自殺したはずです! ネットニュースでも話題になりました!」

凛「じ、自殺した人が何でここにいるにゃー!?」

穂乃果「ま、まさか幽霊!?」

シャーロック「…まさか日本で僕を知っている人間に出くわすとは思わなかった」

シャーロック「偽名も適当に決め過ぎたな」

海未「ぎ、偽名?」

シャーロック「訳あって本名は隠したくてね。僕はシャーロック・ホームズ」

シャーロック「シェリンフォードというのは、そこらへんに貼ってあったアニメのポスターに書いてあるのを見て適当に決めた偽名だ」

花陽「ほ、ほ、ほ、本物のホームズさん!? どうして生きているんですか!?」

シャーロック「死を偽装する方法はいくらでもある。女装したマイクロフトが助けにきたのかもしれないし、そうじゃないのかもしれん」

花陽「な、な、な、何故そんなことを!? この事はDr.ワトソンは知っているんですか!?」

シャーロック「そう。重要なのは死を偽装する方法ではなく、理由だ」

シャーロック「明確な理由はある。だがそれは知らない方がいい。ジョンも僕が生きていることは知らないんだ」

花陽「そんな…! 恋人にも内緒で死を偽装するなんてどんな壮大な理由が…!」

シャーロック「ジョンは僕の彼氏じゃない」

真姫「へぇー。彼氏さんがいるのね」


海未「そ、そんな探偵が日本に何しにきたんですか!?」

シャーロック「知らない方がいい。僕みたいな物騒な人間とはここで別れた方がいいぞ」

シャーロック「ここならタクシーを拾えそうだから、僕はもう行く」

海未「待ってください! あなたが物騒な人間だというなら、なおさら私も行かないと!」

シャーロック「なんだと…? ああ、そうか。そういうことか」ニヤリ

シャーロック「そういうことなら勝手についてくればいい」

海未「言われなくても!」

穂乃果「海未ちゃん?」

海未「あ、皆は帰っててください! 私は用事を片付けてから帰ります」

シャーロック「それから君たち全員に言っておく。僕に出会ったことは人に言うなよ」

シャーロック「最悪、命を危険に晒してもいいのなら別だが」

ほのにこまきりんぱな「え”」


シャーロック「タクシー!」バッ

海未「待ってください! 私も乗ります!」

ガチャ バタン

ブロロロロロロロロ……

ほのにこまきりんぱな「」ポカーン

穂乃果「これからどうしよう?」

にこ「とりあえず追求はあとでするとして…とりあえずこの二人を連れて帰らないと。放心しきってるわよ」

絵里「」

希「」

凛「なんだかすごい経験したにゃー」

花陽「ああ…! あんな有名人に出会ったのに誰にも言えないなんて…!」

真姫「それよりあんな人について行った海未はどういう神経してるのよ…」

にこ「そうよ! たとえただの道案内でも、誤解されるような行動は慎む。それがアイドルという道の厳しさなのよ!? っていうかついてく意味ないじゃない!」

穂乃果「まぁまぁ。海未ちゃんなら大丈夫だよ」

にこ「あんた達は自覚がなさすぎるのよーー!」




~タクシー内~



海未「それで?」

シャーロック「それで、とは?」

海未「とぼけないでください! あなたがここに来た理由を教えてください!」

シャーロック「ふん…まぁ、別に僕がこれから行く所で一悶着があるわけではないぞ」

海未「くっ…! やはり気づきましたか」

シャーロック「当然だ。これから行く店に君の想い人がいる。僕のような危険な人間がそこに用があると聞いて、君は彼女を心配している」

海未「先ほどの」

シャーロック「ん?」

海未「私たちがスクールアイドルだということ。あれもどうせポスターを見ずとも気づいていたのでしょう?」

シャーロック「中々学習してきたな。君一人を見ても何らかのパフォーマンスに関わっているのは薄々感づいていたが、彼女たち全員を見て確信に変わった。あの赤毛の彼女が作曲を手掛けているのも一目瞭然」

シャーロック「君は骸骨よりは僕の会話相手として優秀なようだ。ジョンには一歩劣るがね」

海未「が、骸骨…?」

シャーロック「気にするな、とりあえず君は優秀な研ぎ石だということだ。優秀な他者を研ぎ澄ますためのね」

海未「馬鹿にされているとしか思えないのですが」

シャーロック「ほう? 賢いな?」

海未「ぬぅ…! とにかく! これから行く場所にあなたがどんな用事があるのか教えてください!」

シャーロック「他言しないのなら教えてもいい。だが目的地に着いてからだ」

海未「むむ…!」



キキィーー ガチャ バタン

ブロロロロロロロ……




シャーロック「着いたぞ。目的地はこのビルに入ってるカフェだ」

シャーロック「メイド喫茶か……メイドをフェチズムの対象にするとはユニークだな」

海未「なっ…/// 言い方が破廉恥です!」

シャーロック「それが君の口癖か? 店に入るぞ」



―――――――



ことり「おかえりなさいませー♪ ご主人様」

海未「ことり」

ことり「あっ海未ちゃん♪ 来てくれたんだ!」

海未「ええ、それが…」

シャーロック「二人分席を」

ことり「…!?」

ことり「は、え? あ、お、おかえりな…さいませ? ご主人さ…ま?」

ことり「え? あれ? 海未ちゃん? え? ホワット? この人はどなたデスカー?」ガクガク

海未「ことり、誤解しないでください。詳しいことは後で説明しますが、ことりが今考えているようなことではないですよ?」

シャーロック「どうも! 僕……記者をやってるジョン・ハリソンといいます!」

海未「!?」


シャーロック「サンフランシスコから日本の文化を取材しに来たんですが……!」イビツナ

シャーロック「たまたまこの人に、この辺りでいい店はないか訊ねたんです…いやぁ、良さそうな店紹介してもらえて良かった!」エイギョウ

シャーロック「お礼にこの人にお茶を一杯奢ろうと思って…いやぁ、本当にありがとう!」スマイル

海未「は、はぁ」

ことり「そ、そうだったんですか。二名様ご案内でーす♪」


―――――――





海未「なぜあんな嘘を」

シャーロック「お互いのためだ。あのメイドが君の目当ての娘だということは一瞬でわかった。君はあの娘に誤解されたくない。僕は正体を隠したい」

海未「だからって…! 突拍子がなさすぎます!」

シャーロック「ああ、人生ってそういうものだろ?」

海未「あなたという人は、さぞ社会では浮いている存在なのでしょうね。友達少ないでしょう?」

シャーロック「友達? かもな」

ことり「ご注文をお伺いしまーす♪」

海未「ではミルクティーをお願いします」

シャーロック「ミルクティー?」


海未「おや? 英国人なのにミルクティーを知らないのですか? 紅茶にミルクが入ってる物ですよ」

シャーロック「乾燥させた葉を煮出して雌牛が分泌する液体を混ぜた物なのは想像がつく。つまりはただのお茶じゃないか。何故そんなまどろっこしい名前をつける?」

海未「?」

シャーロック「ああ、そうか。そういうことか。日本ではそういう認識か」

シャーロック「英国ではお茶といえばミルクが入っているのが当然なんだよ。故にそんな言葉は使わない」

海未「へぇ、勉強になりますね」

ことり「……」

海未「…………あっ」

シャーロック「おっと。僕としたことが」


ことり「サンフランシスコから来たんじゃ…ないんですね?」

ことり「海未ちゃん? どうして嘘ついたの? やっぱりこの人と――」

海未「ああ! ことり! やはり全部説明します!」

シャーロック「おい!」

海未「いいえ! やはりことりに隠し事はしたくありません! ことり! 実はかくかくしかじかで――」

海未「――というわけで、たまたまこの探偵をここに案内することになり、せっかく来たのだからお茶の一杯も飲んでいこうと思って、たまたまこの人と同席しているだけなのです」

海未「ちなみにさっき嘘をついたのは、この人がサイコパスだからです」

シャーロック「ソシオパス!」

海未「さらにこの人にはロンドンに残してきた彼氏がいるのです!」


ことり(探偵さん……)

海未「ことり? 大丈夫ですか?」

ことり「え? あ、なんでもないよ♪ そういうことだったんですか♪ それは失礼しました♪」

ことり「それではご注文をお伺いします♪」

シャーロック「……ミルクティー、それとビスケットを」

ことり「かしこまりました♪ ミルクティーお二つにビスケットお一つですね、少々お待ちくださーい♪」

シャーロック「まったく」

シャーロック「僕の正体を説明するとはな」

海未「仕方ないじゃないですか」

シャーロック「たが、君があの娘を心配して、ここまで来たというのは省いたな」

海未「言えるわけないじゃないですか…///」

シャーロック「ふん?」


海未「それより! あなたがここに来た理由を説明してもらいましょうか」

シャーロック「本来なら君に教える義理は無いが、まぁいい。いずれジョンのブログに真相が載る時がくるだろうが、他言はするなよ?」

シャーロック「僕が一年と少し前、自殺したことになってるのは聞いたな? それは宿敵のモリアーティという犯罪者に、濡れ衣を着せられた上、僕が自殺しなければ僕の友達を殺すと脅されたから」

シャーロック「というのは建前で、僕が自殺しなくても友達はどのみち救えていた」

シャーロック「では何故死を偽装したかというと、僕を死んだことにすれば相手を油断させて各国にまたがるモリアーティの犯罪組織を解体するのに好都合だからだ」

シャーロック「そういうわけで僕は死んで以来、各国をまわってモリアーティの残党を駆逐している。日本でも昨日、ひと仕事終えたところだ。ひと仕事と言っても全然大したことなかったが」

シャーロック「ああ、残党と言ったのは、僕に自殺を強要したとき、彼も自殺したからだ」

海未「なるほど……中々殺伐とした世界に生きているのですね」

シャーロック「だが退屈するときは退屈する。人生って、ままならないものだ」

シャーロック「今日ここにきたのは、情報提供者から情報を貰うため。ここで特別危険が起こるわけじゃない」

海未「そうでしたか…」

海未「とはいえ、やはり心配です。どうせここまで来たのだからもう少しここに残ってことりを見守ることにします。情報提供者に会うのに邪魔なら席を移りますが」

シャーロック「別に構わない」




ことり「お待たせいたしました~、ミルクティーお二つとビスケットです♪」

ことり「それではぁ、お客様の紅茶においしくなるおまじないをかけたいと思いまぁす」

ことり「萌え萌えおいしくなぁr――」

シャーロック「いらない」

ことり「ふぇ?」

海未「な!?」

シャーロック「聞こえなかったのか? いらないと言ったんだ」

ことり「あ、はい」オロオロ


ことり「そ、それではごゆっくりー」サササ

海未「あなたという人は…! ことり!」

ことり「なに…? 海未ちゃん」

海未「今日は一緒に帰りましょう。あとどれくらいで終わります?」

ことり「あと一時間くらいだよ」

海未「そうですか。それまで待ってます。お仕事頑張ってください」ニコッ

ことり「あ、うん…// ありがとう///」タタタ




店長「あ、ミナリンスキーちゃーん。新人ちゃんのアシストしてあげてねー?」

ことり「はぁーい!」




シャーロック「彼女が君をどう思っているか知りたいか?」

海未「わ、わかるのですか…!? いや…………」

海未「結構です! そんな卑怯な真似はしたくありません!」

シャーロック「何が卑怯だ。彼女を見れば明らかじゃないか」

海未「そんなことはありません!」

シャーロック「見てるだけで観察しないからだ。彼女が君を見るとき、瞳孔が――」

海未「わーー! わーー! 聞きたくありません! 聞きたくありません!」アーアーキコエナイ

シャーロック「だったら自分で確かめろ。脈を測るのが一番簡単だが」


海未「あなたに人の心は無いのですか……」

シャーロック「心? さあな。あると言った者もいる」

海未「あなた……誰かを好きになったことは?」

シャーロック「その質問をぶつけるという事は、さっきはわかっててジョンが僕の彼氏だと言ったな?」

海未「そうですが。とにかく誰か大切な人はいたことはあるのですか?」

シャーロック「その話題を君と話すつもりはない」

海未「しかし人との繋がりを持たずに生きていける人間はいません。いくらあなたのような人でも……」

シャーロック「セックスなんて怖くない!」ガタッ

海未「だ、だ、だれもそんな話はしてません!!!! 破廉恥です!!!! やっぱりあなたは破廉恥ですぅーーーー!!!!」ワァァァァ

シャーロック「今言ったじゃないか!!」



―――――――

ことり「それじゃあ一旦練習で、ケチャップで絵と文字を書いてみようか!」

新人「は、はい! やってみます!」

新人「むぅ~……」カキカキ

新人「はいっ! できました!」

ことり「おお~結構よくできてるよ! これならもうお客さんに書いてあげることもできるね!」

新人「あ、ありがとうございます//」

ことり「次オムライスの注文あったらやってみようか!」

新人「ところで先輩?」

ことり「なあに?」

新人「あそこのテーブルの人…μ'sの園田さんですよね? あんな年上の男性と何をやってるんでしょう」

ことり「あ、あれ!? あれはねー?」

ことり「外国の記者さんをたまたま道案内してあげたお礼に、お茶を奢ってくれてるらしいよ!」アセアセ

新人「ふぅん…」


―――――――




海未「……」スマホピッピッ




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不可解なマッチ箱
2013/09/03

オリエント・エクスプレスでの殺人
2013/06/17

ツイッター殺人
2013/05/23

死のキャンドル
2013/05/12

いくつかの写真…
2013/04/26

新たなスタート
2013/04/20

⇒無題
2012/06/16

彼は僕の親友だったし、これからもずっと彼を信じている。




海未「……」


海未「……何故」

海未「あなたの相棒……Dr.ワトソンにも生きていることを秘密にしているのですか?」

シャーロック「……」ユビスリアワセ

海未「Mr.ホームズ?」

シャーロック「……」

海未「Mr.ホームズ!」

シャーロック「ああっ、何だ!?」

海未「なにをぼぉっとしているのですか」


シャーロック「ああ、失礼。無駄な会話はカットするようにしていてね」

海未「無駄って…!」

シャーロック「で、何だって?」

海未「ですから! 何故Dr.ワトソンにも生きていることを秘密にしているのですか!」

シャーロック「ジョンは嘘が顔に出るから。君と同じで」

海未「んな!?」

シャーロック「君はトランプで賭け事はしないほうがいいぞ。すぐに身包み剥がされる」

海未「言われなくてもわかってます!!」

シャーロック「ふむ? 本当に賢いな」

海未「嫌味ですか!」


メイド「お待たせ致しました。スコーンでございます」

海未「おや? これは頼んでいませんが……」

シャーロック「…いや、これは僕が頼んだ物だ。ありがとう」

メイド「ごゆっくりどうぞ」

海未「いつの間に注文を?」

シャーロック「日本の公安には貸しがあってね」サクッサクッパカッ

海未「はぃ?」


ポロッ

サッ

海未「あれ、今スコーンの中から何かでてきませんでした?」

シャーロック「気のせいだ。トイレに行ってくる。残りのスコーン食べていいぞ」ガタッ

海未「……」

海未(触れない方がいいのでしょうか)






新人「お待たせしましたぁ、オムライスになりまぁ~す」

新人「それではぁ、愛情込めてケチャップで書かせて頂きます!」

カキカキカキカキカキカキカキカキ……

新人「はい! 完成です!」

客「おお~」パチパチ



シャーロック「……」スタスタ



ことり「うん。上出来だね! よく出来ました!」

新人「はい/// ありがとうございます///」




~トイレ~


シャーロック「……」スマホピッピ

ピッピッピッピッピッピ

シャーロック

シャーロック「東欧か」

シャーロック「……面白い」


―――――――


海未「おや、メールですか」ピッ


from:ことり
海未ちゃん、バイト終わったよ! 裏口で待っててくれる?
それと…できればホームズさんにお話があるんだけど…
ホームズさんもう用事はいいのかな?



海未「!?」

海未「ことりが彼に、一体何の用があるというのでしょう…」

シャーロック「用事は済んだ」スタスタ

シャーロック「僕はもうホテルに帰る」

海未「あ、待ってください。ことりがあなたに話があるというので、裏口まで一緒に来てくれませんか?」

シャーロック「話?」

シャーロック「……行こう」



~裏口~

ことり「海未ちゃん、おまたせ!」

海未「ことり、お疲れ様です。……Mr.ホームズを連れてきましたが一体どうしたのです?」

シャーロック「依頼だろう」

海未「依頼?」

シャーロック「この状況で探偵に話があるとして、それ以外に何がある? 少しは頭を使え」

海未「あなたはどうしてそういう言い方しかできないのですか!」

ことり「あの…その通りです。探偵さんということで、ホームズさんにご相談したいことが…費用が必要ならバイトで貯めたお金があるので…」


シャーロック「面白い事件なら歓迎だ」

海未(ことりに探偵に相談するほどの悩みごとがあったとは……)

ことり「実は……ここ二週間くらい、ストーカーに付きまとわれてて…」

海未「な、なんですって!? 本当ですかことり!?」

海未「どうして相談してくれなかったのですか!?」

ことり「うう、ごめんなさい…皆に心配かけたくなくて…でもこの機会だから言っちゃおうと思って…」

海未「詳しく話してください!」

ことり「あのね…? 直接何かされたってわけじゃないんだけど…いつも誰かがことりのことを尾けている感じがするの」

ことり「学校やバイト先から一人で帰る時、人気のない所で……それに学校の中で感じることもあるの」


海未「学校の中でもですか…学校に怪しい人物がいたら誰かに見つからないわけはありません」

海未「ことりを疑うわけではありませんが、気のせいということはないのですか?」

ことり「ことりも最初はそう思ったの。だけど、誰もいないと思う場所でも確かに視線と気配を感じるし、ことりが振り向いたら誰かが物陰に隠れるのを何度か見たの…」

海未「それはどんな人物かチラッとでも見えませんでしたか?」

ことり「ごめんね…影しか見えなくて……でも誰かがいるのはわかるの。恐いからちゃんと確かめたことはないんだけど……」

ことり「信じてくれる……?」


海未「勿論です! ことりがそんな嘘をつくわけがありません!」

海未「スクールアイドルを始めてそういうことが起こる可能性も少しは考えていましたが…まさかことりに降りかかるとは…! ましてや、ことりは伝説のメイド…! 今までそういうことが無かったのが幸運だったのかもしれません」

海未「Mr.ホームズ! 私からもお願いします! ことりに付きまとうストーカーを捕まえてください!」



シャーロック「Bored!!」


ことうみ「!?」ビクッ



シャーロック「ああ、失礼。“つまらない”って言ったんだ」

シャーロック「つまらん帰れ! いや、帰るのは僕か。シャーリーおウチ帰る!! これで合ってる?」

海未「ふざけないでください!!」

シャーロック「ふざけてなどいない。じゃあ聞くが、今日、学校からメイドカフェに来るとき、ストーカーはいたか?」

ことり「いいえ…」

シャーロック「ラブレターの差出人はわかっているのか? 返事はどうやってすることになっている?」

海未「へ? 何を急に……」

海未「いえ、差出人の名前が無かったので相手が誰かはわかりません。返事は明日の放課後、体育館裏で会うことになってます」

ことり「らぶ…れたー?」


海未「あ! ち、違いますことり! たまたま貰っただけなのです! 返事も断るつもりでした!」ワタワタ

ことり「そ、そうなんだ……」

シャーロック「ほら、やっぱりな。今ので五つあった可能性が一つに絞れた」

シャーロック「僕の頭脳を煩わせる価値の無い事件だ。何もしてこないのだろう? じゃあほっとけ」

海未「今ので何がわかったのですか! それに今までは何もしてこなくてもこれからはわからないじゃないですか!!」

シャーロック「君ほどの武道家がついていれば安心だ。逆に相手を殺さないよう注意しろ。君がバリツを習得していないのは不安だが、凡人にそこまで求めるのは酷ってものだしな」


海未「こ、こんのぉ……!!」ムッカァァァ

ことり「海未ちゃん、いいよ…受けてくれるかくれないかは探偵さん次第なんだから」

海未「しかし…!」

ことり「引き止めてごめんなさい、ホームズさん。ありがとうございました」ペコリ

海未「……待ってください」

海未「この依頼を受けてくれないのならあなたが生きていることをネットでバラしますよ!」

シャーロック「なんだと?」ピクッ



パシャ


海未「ほらっ! 今写真もとりました! これがあればガセネタだと一蹴されることもありません! なんだったらあなたの彼氏のブログに書き込んであげましょうか!」

海未「あなたはどうせ、こんなちっぽけな小娘には何もできないだろうと思って真相を教えてくれたのかもしれませんが!」

シャーロック「天使がそんなことをするのか?」

海未「え?」

シャーロック「さっき、μ'sの評判をネットで調べた。概ね『誰々ちゃん天使』だの、『誰々ちゃん女神』だの、そういうコメントで溢れていた」

シャーロック「どこの国でも、ファンという人種は大仰な物言いが好きだな」


海未「天使の側ではあるかもしれませんが、勘違いしないことです…!」

海未「少なくとも私は天使ではありません!!」

シャーロック「!」

シャーロック「……ほう」




======================
=================

聖バーソロミュー病院の屋上、約15ヵ月前



ジム『違うね。大口叩き。違う……君は凡人。天使の側にいる普通の人間だ』

シャーロック『天使の側かもしれないが、一瞬でも思うな。僕が…天使の一人だなんて』

=================
======================



シャーロック「面白い……」



シャーロック「英国政府を的に回すことになるぞ」

海未「か、覚悟の上です…!」

シャーロック「MI6が君という存在をこの地球上から抹殺するぞ!」

海未「覚悟の上ですーーーー!!!」

ことり「う、海未ちゃん!? やめて! ことりの為なんかに危険なことはしないで!」

海未「なんかではありません! ことりのことだから危険を冒すのです!」

ことり「海未ちゃん…! ダメだよ!」

海未「いいえ、私はことりの為なら命だって賭けます!」

ことり「う、海未ちゃん///」


海未「あ、ち、違いますことり! あ、いや違くはないのですが! 穂乃果やμ'sの他のメンバーが危機に陥っても私はですね……!」

ことり「でもやっぱりダメーーー!! 海未ちゃん意地になってるでしょーー!!」

海未「そんなことはありません!!」

シャーロック「全く、バカバカしい。こんな小さな事件にそこまでする必要があるか」

シャーロック「こんな、ただの痴情のもつれの延長線でしかなく、しかも既に犯人が分かりきっている事件にな」

ことうみ「え?」


シャーロック「気が変わった。こんなしょぼい事件でも、明日日本を発つまでの暇つぶしにはなるだろう」

海未「!」

ことり「あ、ありがとうございます!」

シャーロック「勘違いするなよ。いまさら僕の生存をバラされた程度で、僕の仕事に大した支障は無いし、君達に危険が及ぶこともない。ちょっと大袈裟に言ってみただけだ」

海未「え、そ、それじゃあ……」

シャーロック「いつかジョンにドッキリを仕掛ける楽しみを奪われるのが嫌なだけだ」


海未「は、犯人がわかっているとはどういうことです!? 今日初めてことりと会ったのに何故わかるのです!」

シャーロック「今日観察した情報だけで十分すぎる」

海未「まさか、メイド喫茶の客の中にストーカーがいたのですか?」

ことり「ことりは気付かなかったけど……」

シャーロック「君達はのんきでうらやましいな」

シャーロック「さらに、この依頼を受けるには一つ条件がある」

海未「条件?」

シャーロック「君がラブレターの返事にYESと答えることだ」

海未「な!?」


海未「何故そんなことをしなければならないのです! あなたの条件とは私を苦しめることなのですか!」

シャーロック「いいや、それが犯人をおびき出すのに必要なことだからだ」

海未「え? でも犯人はわかっているのでは?」

シャーロック「おびき出してその場で捕らえるが一番手っ取り早い」

シャーロック「君がミナリンスキー嬢の為に命を賭けれるというのならこれくらいのことはできるだろう? どうする?」

海未「し、しかし…」


シャーロック「ああ、君に好きな人がいることは大して障害にならないぞ。YESと返事しても付き合うことにはならないだろうから」

海未「ど、どういうことです!?」

シャーロック「明日になればわかる」

ことり「え!? う、海未ちゃん好きな人がいるの…!?」ガーン

海未「こ、ことり! 誤解ですー! あ、いや、いることはいるのですが、そうではなくてですね…!」

シャーロック「それで? やるのかやらないのか」

海未「ぐぬぬ…やります! やればいいのでしょう!?」

シャーロック「よろしい。君が告白の返事をしたら、ゲームの始まりだ(Game is on)」



―――――――

~翌日 学校~




絵里「今日の練習はこれでおしまい!」

凛「おなか空いたにゃーー! かよちん、真姫ちゃんラーメン食べに行くにゃーー!」

真姫「マッタクー。昨日あの変な探偵に言われたばっかりじゃないの」

花陽「あはは…」

絵里「」ガクガク

希「」ブルブル

にこ「トラウマになってるじゃない……いい? こうなったら別にあんた達の仲にどうこう言おうとは思わないけど、ファンにバレないように節度を守ったお付き合いをするのよ? 仮にもにこ達はアイドルなんだから」

のぞえり「ハイ…」ガクブル

にこ「海未もあんな怪しい輩について行くなんて、少しは考えなさいよ!」

海未「はは…いえ…大したことはなかったんで大丈夫です」


海未(言えません…あの後、その変態とお茶して依頼までしたとは言えません)

穂乃果「海未ちゃんどうかした?」

海未「い、いえ、何でもありませんよ」

穂乃果「そう?」

ことり「海未ちゃん」ヒソ

海未「ことり、今日はどうでしたか? 怪しい視線は感じましたか?」

ことり「ううん、ずっと海未ちゃんがそばにいてくれたおかげかな。大丈夫でした」

海未「そうですか…本当にいいのですか? 皆に内緒のままで」

ことり「うん…余計な心配かけたくないの。海未ちゃんにだけ負担かけてごめんね?」

海未「いえ、良いのです。むしろことりに頼りにしてもらえて嬉しいです」

ことり「ありがとう海未ちゃん……」


ことり「そういえば、その…ラブレターの返事はどうだったの? さっき練習の前に相手と会ってきたんだよね?」

海未「それが…」

海未「Mr.ホームズに言われた通り、付き合うことを了承する旨を伝えたんです」

海未「ところがそう言った途端、『やっぱり、先輩はアイドルだし、独り占めするなんて許されないですよね。駄目元で告白したし、このことは忘れてください』という言葉を残して、去ってしましました」

ことり「ええ? それは妙だね……」

ことり(でも良かった…)

海未「おや、メールです」ピッ



告白の返事はしたか? ミナリンスキー嬢を一人で帰し、
君は僕と合流しろ。裏口で待つ。
SH



海未(ことりを一人で…? 危険ではないですか)



ことり「海未ちゃんどうしたの?」

海未「ことり、それがMr.ホームズからことりを一人で帰すように指示が……」

ことり「そう。ならことり、一人で帰るよ」

海未「しかし…!」

ことり「大丈夫。きっと何か考えがあるんだよ。依頼したからにはホームズさんの言う通りにしよ?」

海未「わかりました。おそらく私と彼で、ことりの後をつけることになると思います。いざというときは必ず守りに行きますから」

ことり「うん…/// 待ってる」

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃーん! 何二人で内緒話してるのーー!」

海未「あ、いや、何でもないです」

ことり「うんうん。何でもないんだよ」

穂乃果「怪しい…」ジー

穂乃果「ま、いいか! これから凛ちゃんとラーメン食べに行くことになったんだけど、海未ちゃんとことりちゃんも行かない?」

ことり「そ、それがぁ、ことりはちょっと用事があってぇ、急いで帰らないといけないの」

海未「じ、実は私も昨日稽古をすっぽかしたせいで今日は早く帰るように言われてまして」

穂乃果「もう、何やってるのぉ海未ちゃん! …そっかぁ、残念だけど仕方ないね」

海未「すみません、また誘ってください。それと太らないように気をつけるのですよ?」

海未「それじゃあことり、行きましょうか」

ことり「そうだね、それじゃあ皆、また明日っ」ソソクサ




真姫「何か最近あの二人仲良いわね」

にこ「まさか! あの二人も付き合ってるんじゃないでしょうね!」

穂乃果「うーん。もしかしたらそうかも」

花陽「ソウナノォー!?」

にこ「あんた意外と落ち着いてるのね。良いの?」

穂乃果「あの二人のことなら応援するよ」

穂乃果「私にも教えてくれなかったら、それは少し寂しいけど……」

絵里「まあまあ、まだそうと決まったわけじゃないわ」

希「それにそうだとしても、最初は言う勇気が無いものやん? 時期が来たら教えてくれるよ」

凛「大丈夫! 穂乃果ちゃんが寂しくても、凛達がいるにゃーー!!」

穂乃果「えへへ。ありがと、みんな」


―――――――――


シャーロック「来たか、ウミ」

シャーロック「さっき、通りすがりの生徒に、『君の彼女、隣のクラスの生徒と浮気しているぞ』と教えてやったら通報されそうになった。早くここを離れよう」

海未「何をやっているのですか…呆れて物も言えません…いや、それよりも」

海未「どういうことです? ことりを一人で帰らせるなんて」

シャーロック「勿論、僕達はすぐ後から追いかける」

シャーロック「君がしてくれたことのおかげで、犯人も動くだろう。今夜僕は発つから動いてくれなきゃ困るが」

海未「?」

シャーロック「何だ、まだわからないのか? 君は脳みそまで筋肉なんじゃないか?」

海未「余計なお世話です!!」

シャーロック「まあいい。すぐにわかる」



―――――――――



~帰路~


ことり(とは言うものの、やっぱりちょっとこわいかな……)テクテク

ことり(怪しい視線は……無いね)キョロキョロ

「先輩」

ことり「!」ビクッ

「こんにちは。南先輩」

ことり「なぁんだぁ~。新人ちゃんかぁ」

新人「どうしたんですか? ビクッとして」

ことり「うん、ちょっとね」

新人「今日は、一人で帰ってるんですね。園田先輩や高坂先輩は一緒じゃないんですか?」

ことり「今日はちょっとね…ことりは用事があって一人で帰って来たの。新人ちゃんはどうしたの? 今日はシフトも無いよね?」

新人「南先輩を待ってたんです」ボソッ

ことり「え?」


新人「ねぇ先輩? 先輩って、園田先輩と仲良いですよね」

ことり「海未ちゃん? そりゃそうだよ。幼馴染だもん。海未ちゃんだけじゃなく穂乃果ちゃんもね!」

新人「ふふ、そういうことを言ってるんじゃないんです」

ことり「ん?」

新人「先輩。南先輩って園田先輩のこと好きですよね?」

ことり「ふぇっ!?/// そ、そりゃ好きだよ、友達だもん!」

新人「とぼけなくても良いんですよ」ニコッ

新人「先輩が園田先輩を見てる顔、完全に恋する乙女ですもん。見てればわかります」

新人「でも知ってます先輩? 園田先輩って後輩に告白されてOKしたらしいんですよ?」

ことり「そ、そうなの!?」

新人「そうです。だから南先輩は失恋したってことです」


ことり「でも…海未ちゃんは、OKしたけど、ふられたって言ってたけど……」

新人「ありゃ、知ってたんですか? あの人恥ずかしがり屋だから誰にも内緒にしてると思ったんですが」

新人「そっかぁ……それはマズイです」

ことり「な、何を言ってるの?」

新人「まぁいいか。どの道、いつか聞かせるつもりで録音したわけだし」ピッ

『あ、あなたの恋文、素敵でしたよ。是非、あなたと交際させていた、いた、頂きたいと、思いまひゅっ……思います』

ことり「海未ちゃんの声」


新人「ほら、聞きました?」

新人「あの人がふられたとかはどうでもいいんです。問題は南先輩はあの人の眼中に無いってことなんです」

新人「ねぇ南先輩。あんなロクに知らない相手と付き合っても良いなんて言う女より、私の方が先輩を幸せにできます」

ことり「ええ…?」

新人「私と付き合いませんか?」

「いいや、そうは思えないな」

新人「誰!?」

ザッ


シャーロック「気にするな。ミナリンスキー嬢の依頼を受けた、ただのコンサルタント探偵だ」

新人「た、探偵!?」

海未「……待ってください」

海未「あなた、私にラブレターを渡しましたよね……?」

新人「……」

海未「それがどうして今ことりに言い寄っているのです」

シャーロック「彼女を見て何か気づかないか?」

海未「何がです?」

シャーロック「彼女は昨日メイドカフェで働いていたメイドの一人だ」

海未「い、言われてみればそうだったかもしれません」


シャーロック「彼女にしてみれば、メイド姿で君の印象に残るのは好ましくないから、出来るだけ君の前に出ないようにしていたんだ」

ことり「ど、どういうことですか?」

シャーロック「ストーカーとラブレターの差出人は同一人物。君の学校、そしてアルバイト先の後輩である新人メイド、つまり彼女だ」

新人「……!」

海未「何故です!? ことりをストーキングしているということはことりのことが好きなのでしょう!? どうして私にラブレターを……」

シャーロック「彼女が君にラブレターを送った理由は、ミナリンスキー嬢が君を好きだとわかっているから」

海未「!? そうなんですか!?」

ことり「わー! わー! どうしてわかったんですかーー!!」

シャーロック「見れば明らかだ」

ことり「」


海未「しかしこ、こ、ことりが私のことをす///、す、好きだからといって、何故私にラブレターを…?」

シャーロック「恋のライバルの反応を見たかったんだ。もし君がOKと返事すれば儲けもの。ウミはロクに知らない相手とも付き合える軽い女で、ミナリンスキー嬢のことなど好きでも無いと証明できる」

シャーロック「駄目元で試してみたのだろうが、思いのほかOKされた。そこでミナリンスキー嬢にウミを諦めさせようと、今現れたわけだ。罠とも知らずな」

新人「わ、罠……?」

シャーロック「そう、罠だ。ウミにYESと返事しろと指示したのは僕だ」

シャーロック「大方、最初は“ウミが後輩の告白に応じたことが噂になってる”とでも言って迫るつもりだったのだろう」


シャーロック「彼女の計画は、ウミがラブレターのことを誰にも言わないであろうことを計算に入れていたから、可能性は低いと思っていただろうが、返事の際に顔は見られてるし、いずれは自分がウミにラブレターを送っていたことがバレるかもしれない。だが、その前に既成事実を作ってしまえばいい」

シャーロック「ところが、ミナリンスキー嬢がウミのラブレターのことを既に知っていた為、すぐに手札を切ったんだ」

新人「なっ…なっ…何を証拠に! 私は今日たまたま南先輩と会って…!」

シャーロック「おいおい、よせよ見苦しい。君がウミの言葉を録音してまでミナリンスキー嬢に迫ったことは、誤魔化しきれない立派な社会病質的行為だ」

海未「あなた人のこと言えるのですか」


新人「そんなの、録音消せば証拠は…! あれ? 無い! 私のケータイ!」

シャーロック「これか?」スッ

新人「あ!」

シャーロック「失礼ながらスらせてもらったよ。隙だらけだったものでね」

シャーロック「おやおや、盗撮としか思えないアングルのミナリンスキー嬢の写真が一杯だ。これは言い逃れできないな」ピッピッ

シャーロック「パスワードも設定してないのは危険だぞ。してたとしても、僕の前には意味が無いが」

新人「くぅっ…」ガクッ


海未「しかし、どうしてことりのバイト先にいたメイドさんが、私にラブレターを送った者と同一人物だとわかったのです?」

シャーロック「君がもらった手紙の表に書いてあった字と、昨日彼女がオムライスにケチャップで書いた字の筆跡が同じだった」

海未「ケチャップで書いた字、ですか? しかしそれはさすがに無理があるのでは」

シャーロック「どちらも『LOVE』の『V』と『E』が、独特な書き方だったから間違いない。それに、彼女がミナリンスキー嬢に恋慕しているのも態度からすぐわかった」

シャーロック「君がもらったラブレターも本気には見えなかった。本気で愛の告白をするのなら、あんな色気のない封筒と便箋は使わないし、ましてや匿名とはね」


シャーロック「そしてストーカー被害にあっているという依頼。そこまでわかれば怪しい人物は彼女しかいない」

シャーロック「さらに言えば昨日、ミナリンスキー嬢がアルバイト先に行くまでに怪しい視線を感じなかったのは、ストーカー本人もシフトに入っていたからだ」

シャーロック「ミナリンスキー嬢を目当てにメイドカフェで働きだしたのか、メイドカフェでミナリンスキー嬢に出会ったからストーカーになったのか、どちらはわからんがね」」

海未「ブ……」

海未「ブリリアント! あ、いえ……」コホン

海未「な、なるほど……癪ですがやはりあなたは名探偵のようです」

シャーロック「まったく退屈な事件だよ」


シャーロック「それでどうする? 警察に突き出すか?」

海未「ことりを怖がらせたことは許せません! 覚悟なさい!」

新人「ひっ」ビクッ

ことり「待ってください!」

海未「ことり?」

ことり「新人ちゃん」ズィ

新人「……! な、何ですか……」

ことり「えい!」ブン

新人「っぅ!」パシン!

新人「……!?」

海未(こ、ことりが…誰かを叩くところなんて初めてみました)


ことり「今回あなたがしたことはすごく怖かったし、ましてや海未ちゃんにも迷惑かけたことは絶対許せません!」

新人「はい……」

ことり「だけど、恋する人の気持ちはわかるつもりだよ。あなたは少し道を間違えてしまっただけなのもわかる」

ことい「だから……」

ことり「ごめんなさい!」ペコリ

新人「……! な、なんで謝るんですか…」

ことり「ことりは好きな人がいるんです! だからあなたとは付き合えません!」

ことり「ことりのことは忘れて新しい恋を見つけてください! ことりなんかより良い子はたくさんいるよ♪」

新人「あ……あ……わたし……」ジワッ

新人「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……」グスッ

新人「すみませんでしたぁ……ふぇっ、ぐすっ」


―――――――――――――――

――――――――――


―――――――




海未「あの程度で許してしまうなんて、ことりは優しすぎます!」

シャーロック「携帯電話も返してしまったしな。データは消しておいたが」

ことり「ううん、いいの。正直、あの娘の気持ちも少しわかるから……」

海未「気持ち、ですか」

海未(そ、そういえば…! ドサクサで忘れてましたが、ことりは私のことがす、好きって…///)

ことり「海未ちゃん」

海未「ひゃ、ひゃい!」

ことり「ありがとう海未ちゃん! ことりの為に真剣になってくれて」

海未「い、いえ。そんなこと」


ことり「ことり、今回のことで学びました! 後悔しないように自分の気持ちを素直にぶつける大切さを!」

海未「え?」

ことり「海未ちゃん! 好きです! 付き合ってください!!」

海未「こ、ことり!? 何を言って!?」

ことり「海未ちゃんは、ことりのこと、嫌い?」ウルウル

海未「ことり、私も好きです。私と生涯を共にしてください」キリッ

ことり「海未ちゃん……そこまで考えて……嬉しい」


海未「ぁ!? 待ってくださいことり! 今のは言葉の綾で…!」

ことり「一緒にいてくれないの……?」

海未「ことり、愛してます。ずっと傍にいてください」キリッ

ことり「うみちゃあーーん!!」ダキッ

シャーロック「カップル誕生の瞬間を目撃か。貴重な体験と言うべきか?」

ことうみ「!?」


ことり「あ、あははは…(つい勢いで人前で告白しちゃいました)」

海未「あ、あ、あ、はっ……はっ……」プルプル

シャーロック「破廉恥か? 僕がいることを忘れて勝手に事を進めていたのは君達だ」

ことり「あ、あの、ホームズさん。ありがとうございました」

ことり「ところで、報酬のほうは…」

シャーロック「いらない。僕がうさぎを探して欲しいって依頼してきた子供から貯金箱を奪う真似をする人間に見えるか?」

海未(正直見えます)

ことり「あ、ありがとうございます!」


シャーロック「じゃあな、僕はもう行く。もし新婚旅行でロンドンに来て、面白い事件に出会ったら、ヤードよりも先に僕のところに来い」

シャーロック「住所はベーカー街221のBだ」

海未「ま、まだ結婚してません!」

ことり「///」

シャーロック「確率の問題だ。おっと、今のは忘れてくれ、兄の口癖だ。嫌いなのに真似してしまった」

シャーロック「幸せな人生を!」


例のBGM

テッテンテ テレレーレ テレー♪
テッテンテ テレレーレ テー♪
テッテンテ テレレレ テッテン♪
テレレ テレレ テレレ テレ テッテテテー♪


海未「本当に奇妙な人物でした……」

ことり「でもことりは感謝してるかな」

海未「そりゃ、一応ストーカー退治はしてくれたわけですからね」

海未「正直、彼の態度に頭にきたので、依頼を受けさせようと意地になってただけなのですが、正解だったようです」

ことり「ううん、それもあるけど、そうじゃなくて」

ことり「今回のことが切っ掛けで、海未ちゃんとの関係を進めることができたから」

海未「ふふ、それもそうですね」

ことり「そのうち皆にも話さなきゃだね♪」ギュッ

海未「まずは穂乃果にですね」ギュッ


テッテンテ テレレレ テッテン♪
テレレ テレレ テレレ テレ テッテテテー♪


fin.


謎解きしょぼいし穴だらけだけど許して
ミルキィ期待してた人すまんね
読んでくれた人ありがとう

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